説明

操作装置及び画像形成装置

【課題】タッチパネルの操作中にヘルプ情報を表示させる場合にタッチパネル上から他に視線を移すことなくヘルプ情報を表示させる。
【解決手段】タッチパネルに操作ボタンを表示させると共に、前記タッチパネルにおける操作者が触れた位置に基づいて操作者の操作内容を判断して受け付ける操作装置であって、操作者が前記操作ボタンに対して所定の特殊操作を行ったことを検知した場合に、当該操作ボタンに対応するヘルプ情報を前記タッチパネルに表示させるヘルプ表示手段を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、タッチパネルを用いた操作装置及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
複写機やファクシミリ装置等の画像形成装置には、一部の操作をタッチパネルを用いて行うものがある。このような画像形成装置では、タッチパネル上に複数の操作ボタンを画像として表示し、操作者がタッチパネル上の何れの操作ボタンに触れたかを検知することによって操作者の操作指示内容を把握する。
例えば、下記特許文献1には、このようなタッチパネルを用いた画像形成装置において、タッチパネルとは別に設けられた所定の専用キー(ヘルプキー)を操作することにより、操作者による操作を補助するためのヘルプ情報をタッチパネル上に表示するものが開示されている。
【特許文献1】特開2000−127557号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、特許文献1の画像形成装置では、例えば、タッチパネル上の操作ボタンの操作方法が判らなかった場合に、タッチパネルとは別に設けられたヘルプキーを操作する必要があるが、この際に、操作者の視線がタッチパネルからヘルプキーへと、一旦移動することになる。タッチパネル上には複数の操作ボタンが表示されているので、或いは操作の進捗状態に応じてタッチパネル上に異なる操作が順次表示されるので、この視線の移動は、操作者に無用の混乱を与え、操作性を低下させる要因になっている。
【0004】
本発明は、上述した事情に鑑みたものであり、以下の点を目的とするものである。
(1)タッチパネルの操作中にヘルプ情報を表示させる場合にタッチパネル上から他に視線を移すことなくヘルプ情報を表示させる。
(2)ヘルプ情報の表示に関する操作性を向上させる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明では、操作装置に係る第1の手段として、タッチパネルに操作ボタンを表示させると共に、前記タッチパネルにおける操作者が触れた位置に基づいて操作者の操作内容を判断して受け付ける操作装置であって、操作者が前記操作ボタンに対して所定の特殊操作を行ったことを検知した場合に、当該操作ボタンに対応するヘルプ情報を前記タッチパネルに表示させるヘルプ表示手段を備えるものを採用した。
【0006】
また、操作装置に係る第2の手段として、上記第1の手段において、前記ヘルプ表示手段は、前記ヘルプ情報を表示させるにあたっては、当該ヘルプ情報に対応する前記操作ボタンを前記タッチパネルに表示させた状態を保つように、前記ヘルプ情報を表示させるものを採用した。
【0007】
操作装置に係る第3の手段として、上記第2の手段において、前記ヘルプ表示手段は、前記ヘルプ情報を表示させるにあたっては、前記ヘルプ情報に対応する前記操作ボタンを前記タッチパネルの端に移動させ、残りの領域に前記ヘルプ情報を表示させるものを採用した。
【0008】
操作装置に係る第4の手段として、上記第1から3の何れかの手段において、前記ヘルプ表示手段は、前記タッチパネルに、複数の前記ヘルプ情報を表示させる場合には、各ヘルプ情報に、見出し又は番号を付記するものを採用した。
【0009】
操作装置に係る第5の手段として、上記第1から4の何れかの手段において、前記ヘルプ表示手段は、操作者が前記ヘルプ情報の表示範囲に触れたことを検知した場合に、当該ヘルプ情報を消去するものを採用した。
【0010】
操作装置に係る第6の手段として、上記第1から5の何れかの手段において、前記ヘルプ表示手段は、同一の前記操作ボタンに操作者が連続して複数回触れ且つ連続する各回の検知間隔が所定時間内である場合か、又は、前記操作ボタンに操作者が所定時間連続して触れた場合に、前記特殊操作が行われたとするものを採用した。
【0011】
更に、本発明では、画像形成装置に係る第1の手段として、上記第1から6の何れかの手段の操作装置を備えるものを採用した。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、操作者が操作中のタッチパネルにおける操作ボタンが、操作者の特殊操作によって、ヘルプ情報を表示させる操作キーとなるので、タッチパネルの操作中にヘルプ情報を表示させる場合にタッチパネル上から他に視線を移すことなく、操作者が疑問をもって注視している部分への操作者の視点を据え置いたまま、ヘルプ情報を表示させる操作を受け付けることができ、即ち、ヘルプ情報の表示に関する操作性を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の一実施形態について図面を参照して説明する。図1は、本実施形態における操作装置が適用された複写機1の機能構成を示すブロック図である。本複写機1は、操作表示部2、画像読取部3、画像記憶部4、画像処理部5、印刷部6及び制御部7を備えている。
図2は、操作表示部2が備える操作表示パネル2aの外観を示す平面図である。操作表示パネル2aは、タッチパネル8として機能する液晶ディスプレイや、スタートキー9、テンキー10、ヘルプキー11等の各種ハードキーから構成されている。操作表示部2は、制御部7から入力された表示指示に基づいて文字や図形などで各種情報をタッチパネル8に表示させると共に、操作者による各種操作指示を受け付け、当該操作指示内容を示す電気信号を制御部7に出力する。また、操作表示部2は、タッチパネル8における操作者が触れた位置の座標情報を制御部7に出力する。
【0014】
画像読取部3は、原稿自動送り装置3aと、スキャナ部3bと、を備えている。このような画像読取部3は、制御部7による制御の下に、原稿自動送り装置3aから供給された原稿の画像をスキャナ部3bで順次読み取り、原稿画像の画像データを画像記憶部4に出力する。
画像記憶部4は、ハードディスク等の外部記憶装置或いは/及び半導体メモリから構成されており、画像読取部3から入力された原稿画像の画像データを記憶する。この画像記憶部4は、制御部7による制御の下に、上記原稿画像の画像データの書き込みを行うと共に、当該画像データを読み出して画像処理部5に出力する。
画像処理部5は、制御部7による制御の下に、画像記憶部4から入力された画像データを印刷用の画像データに画像変換して印刷部6に出力する。
印刷部6は、制御部7による制御の下に、印刷紙を搬送しつつ当該印刷紙にトナーを付着させることにより上記画像データに基づいて原稿画像を印刷紙上に形成するものであり、周知の給紙カセット、感光ドラム、露光装置、定着装置、排紙トレイ等を備えている。
【0015】
制御部7は、操作表示部2から入力される操作指示、内部メモリに記憶された制御プログラム及び各種制御用データ等に基づいて、複写機の全体動作を制御するものである。即ち、制御部7は、上記制御プログラム、操作指示及び各種制御用データ等に基づいて制御演算を行うCPU(Central Processing Unit)及び他の各部(つまり操作表示部2、画像読取部3、画像記憶部4、画像処理部5及び印刷部6)とのデータ授受を行う各種入出力インタフェース回線等から構成されており、上記他の各部を統括的に制御し、画像読取部3が読み取った原稿画像を印刷部6で複写印刷させる。
図3は、タッチパネル8の画面を示す模式図である。制御部7は、操作表示部2を制御して、タッチパネル8に操作者が選択可能な各種機能を示す操作ボタンA〜Fを表示させる。そして、操作表示部2から、タッチパネル8における操作者が触れた位置の座標情報が入力された場合には、制御部7は、操作者が触れた位置の座標に基づいて操作者が触れた位置にどの操作ボタンA〜Fが表示されていたかを判断し、操作ボタンA〜Fに対応する操作内容を操作者から受け付けたとする。
【0016】
次に、本複写機の動作について説明する。操作者が、原稿自動送り装置3aに原稿をセットし、スタートキー9を押下すると、操作表示部2は、スタートキー9が押されたことを示す電気信号を制御部7に出力する。制御部7は、操作表示部2から、スタートキー9が押されたことを示す電気信号を入力されると、画像読取部3を制御して、画像読取部3に原稿画像を読み取らせ、原稿画像の画像データを画像記憶部4に出力させる。続いて制御部7は、画像記憶部4を制御し、画像記憶部4に、画像読取部3から入力される画像データの書き込みを行わせると共に、当該画像データを読み出して画像処理部5に出力させる。次に制御部7は、画像処理部5を制御し、画像処理部5に、画像記憶部4から入力された画像データを印刷用の画像データに画像変換して印刷部6に出力させる。そして制御部7は、印刷部6を制御し、印刷部6に、印刷紙を搬送しつつ当該印刷紙にトナーを付着させることにより上記画像データに基づいて原稿画像を印刷紙上に形成させ、印刷物を複写機の外部へ排出させる。
【0017】
また、制御部7は、操作表示部2を制御して、タッチパネル8に操作ボタンA〜Fを表示させる。操作者がタッチパネル8に触れると、操作表示部2は、タッチパネル8における操作者が触れた位置の座標情報を制御部7に出力する。制御部7は、操作表示部2から入力された座標情報に基づいて、タッチパネル8の操作者が触れた位置にどの操作ボタンA〜Fが表示されていたかを判断し、操作ボタンA〜Fに対応する操作内容を操作者から受け付けたとし、操作内容にしたがって各部を動作させるように制御する。
操作者が、ヘルプキー11を押した場合には、操作表示部2は、制御部7にヘルプキー11が押されたことを示す電気信号を出力し、この電気信号を入力された制御部7は、操作表示部2を制御して、タッチパネル8に直前の操作に適したヘルプ情報を表示させる。
【0018】
更に、本複写機では、ハードキーであるヘルプキー11によらず、タッチパネル8のみへの操作によって、ヘルプ情報を表示させることを可能にしている。図4は、ヘルプ情報呼出操作受付の流れを示すフローチャートである。操作者がタッチパネル8に触れると、操作表示部2は、制御部7に、タッチパネル8における操作者が触れた位置の座標情報を出力し、制御部7は、タッチパネル8への入力が行われたことを認識する(ステップS1)。続いて制御部7は、タイマーをセットする(ステップS2)。そして、所定時間が経過する前に、操作者によって前回と同一の操作ボタンA〜Fの表示領域への再入力があれば(ステップS3のYes)、制御部7は、操作表示部2から入力された最後の座標情報に合致する操作ボタンA〜Fに対応するヘルプ情報を、操作表示部2を制御してタッチパネル8に表示させる(ステップS4)。また、操作者によるタッチパネル8の同一箇所への再入力がないまま(ステップS3のNo)、所定時間が経過すれば(ステップS5のYes)、操作表示部2から入力された最後の座標情報に合致する操作ボタンA〜Fに対応する操作内容を操作者から受け付けたとする(ステップS6)。
ここで、上記所定時間は、例えば1秒未満とし、操作者が、操作ボタンA〜Fをダブルクリックした場合に、制御部7は、操作表示部2を制御してヘルプ情報をタッチパネル8に表示させるとする。
【0019】
図5及び図6は、タッチパネル8の表示内容のヘルプ情報を表示中の例を示す模式図である。この図に示すように、制御部7は、ヘルプ情報を表示するにあたっては、操作表示部2から入力された最後の座標情報に合致する操作ボタンA〜Fを、タッチパネル8の端へ移動し、その操作ボタンA〜Fを表示している領域以外の領域に、ヘルプ情報を表示させるようにする。そして、操作者が、タッチパネル8のヘルプ情報を表示している領域に触れると、操作表示部2は、タッチパネル8における操作者が触れた位置の座標情報を制御部7に出力する。制御部7は、操作表示部2から入力された座標情報に基づいて、操作者がヘルプ情報を表示している領域に触れたことを認識し、ヘルプ情報を消去し、元の表示状態(図3に示す状態)に戻す。
【0020】
上記実施形態によれば、操作者が操作中のタッチパネル8における操作ボタンA〜Fが、操作者のダブルクリックによって、ヘルプ情報を表示させる操作キーとなるので、タッチパネル8の操作中にヘルプ情報を表示させる場合にタッチパネル8上から他に視線を移すことなく、操作者が疑問をもって注視している部分への操作者の視点を変えさせることなく据え置いたままで、ヘルプ情報を表示させる操作を受け付けることができ、即ち、ヘルプ情報の表示に関する操作性を向上させることができる。
【0021】
なお、本実施形態では、ダブルクリックを特殊操作とし、操作者が操作ボタンA〜Fをダブルクリックした場合にヘルプ情報を表示するとしているが、実施にあたっては、別の特殊操作としてもよく、例えば、操作者が操作ボタンA〜Fを長押しした場合にヘルプ情報を表示するようにしてもよい。
また、実施にあたっては、タッチパネル8に、同時に複数のヘルプ情報を表示させてもよい。その場合には、各ヘルプ情報に、見出し又は番号を付記することにより、何に関するヘルプ情報であるのかを操作者に判り易くする。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の一実施形態における操作装置が適用された複写機の機能構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の一実施形態における操作部が備える操作表示パネルの外観を示す平面図である。
【図3】本発明の一実施形態におけるタッチパネルの表示内容の例を示す模式図である。
【図4】本発明の一実施形態におけるヘルプ情報呼出操作受付の流れを示すフローチャートである。
【図5】本発明の一実施形態におけるタッチパネルの表示内容のヘルプ情報を表示中の例を示す模式図である。
【図6】本発明の一実施形態におけるタッチパネルの表示内容のヘルプ情報を表示中の例を示す模式図である。
【符号の説明】
【0023】
1…複写機、 2…操作表示部、 2a…操作表示パネル、 3…画像読取部、 3a…原稿自動送り装置、 3b…スキャナ部、 4…画像記憶部、 5…画像処理部、 6…印刷部、 7…制御部(ヘルプ表示手段)、 8…タッチパネル、 9…スタートキー、 10…テンキー、 11…ヘルプキー、 A〜F…操作ボタン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルに操作ボタンを表示させると共に、前記タッチパネルにおける操作者が触れた位置に基づいて操作者の操作内容を判断して受け付ける操作装置であって、
操作者が前記操作ボタンに対して所定の特殊操作を行ったことを検知した場合に、当該操作ボタンに対応するヘルプ情報を前記タッチパネルに表示させるヘルプ表示手段を備えることを特徴とする操作装置。
【請求項2】
前記ヘルプ表示手段は、前記ヘルプ情報を表示させるにあたっては、当該ヘルプ情報に対応する前記操作ボタンを前記タッチパネルに表示させた状態を保つように、前記ヘルプ情報を表示させることを特徴とする請求項1に記載の操作装置。
【請求項3】
前記ヘルプ表示手段は、前記ヘルプ情報を表示させるにあたっては、前記ヘルプ情報に対応する前記操作ボタンを前記タッチパネルの端に移動させ、残りの領域に前記ヘルプ情報を表示させることを特徴とする請求項2に記載の操作装置。
【請求項4】
前記ヘルプ表示手段は、前記タッチパネルに、複数の前記ヘルプ情報を表示させる場合には、各ヘルプ情報に、見出し又は番号を付記することを特徴とする請求項1から3の何れかに記載の操作装置。
【請求項5】
前記ヘルプ表示手段は、操作者が前記ヘルプ情報の表示範囲に触れたことを検知した場合に、当該ヘルプ情報を消去することを特徴とする請求項1から4の何れかに記載の操作装置。
【請求項6】
前記ヘルプ表示手段は、同一の前記操作ボタンに操作者が連続して複数回触れ且つ連続する各回の検知間隔が所定時間内である場合か、又は、前記操作ボタンに操作者が所定時間連続して触れた場合に、前記特殊操作が行われたとすることを特徴とする請求項1から5の何れかに記載の操作装置。
【請求項7】
請求項1から6の何れかに記載の操作装置を備えることを特徴とする画像形成装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2007−334025(P2007−334025A)
【公開日】平成19年12月27日(2007.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−166022(P2006−166022)
【出願日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【出願人】(000006150)京セラミタ株式会社 (13,173)
【Fターム(参考)】