説明

攪拌装置、並びにそれを用いた攪拌方法及び光学測定装置

【課題】簡易な構成により試料と試薬とを良好に攪拌することができる攪拌装置、並びにそれを用いた攪拌方法及び光学測定装置を提供する。
【解決手段】試薬保持部を含む試料保持部、試料保持部に試料を導入する試料導入口、試料導入口及び試料保持部を連通する試料導入路、試料保持部内の試料に外部の気体を導入する気体導入口、気体導入口及び試料保持部を連通する気体導入路、並びに試料保持部を外部と連通する開口部を備える測定セル、を取付けた測定セル取付け部;開口部を通して試料保持部内の気体を吸引する吸引部;気体導入口を開閉する気体導入口開閉部;気体導入口を閉じた状態で吸引部を作動させ試料導入口から試料導入路を通して試料保持部に試料を導入しかつ気体導入口を開けた状態で吸引部を作動させ気体導入口から気体導入路を通して試料に外部の気体を導入するように吸引部及び気体導入口開閉部を制御する制御部;を備える攪拌装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定対象物質を含む試料と試薬とを攪拌するための攪拌装置、並びにそれを用いた攪拌方法及び測定対象物質を光学的に測定するための光学測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、試料中に含まれる測定対象物質の濃度を光学的に測定するためのセンサとして、センサの試料保持部内に、測定対象物質に対する抗体を乾燥状態で備えたセンサが提案されている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に開示されているセンサは、試料を保持するための試料保持部と、試料保持部に試料を供給するための試料供給口と、試料保持部内に設けられた試薬保持部とを備えている。具体的には、試薬保持部として、試薬である抗ヒトアルブミン抗体を乾燥状態で担持したガラス繊維製の担体が試料保持部の内壁面に貼付されたセンサが開示されている。このセンサの一部を測定装置のセンサ取付け部に挿入し、紙コップ等の容器内に排尿された尿を、測定装置内の吸引部を用いて試料供給口を通して吸引することより、試料保持部内に尿を供給する。供給された尿に、担体に担持された乾燥状態の抗ヒトアルブミン抗体が溶解すると、尿中のヒトアルブミンと抗ヒトアルブミン抗体との抗原抗体反応が進行し、凝集複合体による濁りが尿中に生じる。測定装置内の光源から出射した光を試料保持部の壁面を通して尿中に入射させ、尿中の凝集複合体により散乱し、試料保持部の壁面を通して出射した散乱光を受光部により受光する。受光部において測定された受光量をヒトアルブミン濃度に換算することにより、尿中のヒトアルブミン濃度を求めることができる。上記特許文献1に記載の方法では、測定の精度を向上させるために、試料保持部内に供給された試料と試薬とが攪拌されて、試料中に乾燥状態の試薬を均一に溶解させることが好ましい。
【0003】
一方、試料と液体状態の試薬とを混合する際に、その混合液に気体を注入することで攪拌する方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。特許文献2には、サンプルセルと、サンプルセル内に試料を供給するためのロートと、サンプルセル内に試薬液を滴下するためのピペットと、サンプルセル内の下部に設けた注入口を通してサンプルセル内に空気を注入するためのポンプとを備えた攪拌装置が開示されている。サンプルセル内にロートを用いて試料を供給し、次に、その試料にピペットを用いて試薬液を滴下する。その後、ポンプを用いて、注入口からサンプルセル内に空気を注入する。空気の注入によってサンプルセル内に生じた気泡の動きにより、試料と試薬液とが攪拌される。
【特許文献1】国際公開第03/056333号パンフレット
【特許文献2】特開2002−286602号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献2では、サンプルセル内に試薬液を供給するための機構であるピペットと、気体を注入するための機構であるポンプとが必要であり、装置が複雑であるという問題点があった。
そこで本発明は、上記従来の問題点に鑑み、測定セルの試料保持部内にあらかじめ試薬が担持されており、その試料保持部内に試料を供給して、試料中に試薬を溶解させる際に、簡易な構成により試料と試薬とを良好に攪拌することができる攪拌装置、並びにそれを用いた攪拌方法及び光学測定装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記従来の課題を解決するために、本発明の攪拌装置は、
(a)測定対象物質を含む試料を保持するための試料保持部、前記測定対象物質と反応する試薬を前記試料保持部内において保持する試薬保持部、前記試料保持部内に前記試料を導入するための試料導入口、前記試料導入口及び前記試料保持部を連通する試料導入路、前記試料保持部内に導入された前記試料中に前記試料保持部外の気体を導入するための気体導入口、前記気体導入口及び前記試料保持部を連通する気体導入路、並びに前記試料保持部及び前記試料保持部の外部を連通する開口部を備える測定セル、を取付けるための測定セル取付け部と、
(b)前記測定セル取付け部に取付けられた前記測定セルの前記開口部を通して、前記試料保持部内の気体を吸引するための吸引部と、
(c)前記測定セル取付け部に取付けられた前記測定セルの前記気体導入口を開閉する気体導入口開閉部と、
(d)前記気体導入口を閉じた状態で前記吸引部を作動させることにより、前記試料導入口から前記試料導入路を通して前記試料保持部内に前記試料を導入し、かつ、前記気体導入口を開けた状態で前記吸引部を作動させることにより、前記気体導入口から前記気体導入路を通して前記試料中に前記試料保持部外の気体を導入するように、前記吸引部及び前記気体導入口開閉部を制御する制御部と、を備える。
【0006】
また、本発明の攪拌方法は、
測定対象物質を含む試料を保持するための試料保持部、前記測定対象物質と反応する試薬を前記試料保持部内において保持する試薬保持部、前記試料保持部内に前記試料を導入するための試料導入口、前記試料導入口及び前記試料保持部を連通する試料導入路、前記試料保持部内に導入された前記試料中に前記試料保持部外の気体を導入するための気体導入口、前記気体導入口及び前記試料保持部を連通する気体導入路、並びに前記試料保持部及び前記試料保持部の外部を連通する開口部を備える測定セル、を取付けるための測定セル取付け部と、
前記測定セル取付け部に取付けられた前記測定セルの前記開口部を通して、前記試料保持部内の気体を吸引するための吸引部と、
前記測定セル取付け部に取付けられた前記測定セルの前記気体導入口を開閉する気体導入口開閉部と、を備える攪拌装置を用い、
(1)前記気体導入口開閉部により、前記測定セル取付け部に取付けられた前記測定セルの前記気体導入口を閉じる工程と、
(2)前記工程(1)の後に、前記試料導入口から前記試料導入路を通して前記試料保持部内に前記試料を導入させるために、前記気体導入口を閉じた状態で、前記吸引部により前記試料保持部内の気体を吸引する工程と、
(3)前記工程(2)の後に、前記気体導入口開閉部により前記気体導入口を開ける工程と、
(4)前記工程(3)の後に、前記気体導入口から前記気体導入路を通して前記試料中に前記試料保持部外の気体を導入させるために、前記気体導入口を開けた状態で、前記吸引部により前記試料保持部内の気体を吸引する工程と、を含む。
【0007】
また、本発明の光学測定装置は、上記攪拌装置と、前記測定セル取付け部に取付けられた前記測定セルの前記試料保持部内に保持された前記試料に入射させるための入射光を出射する光源と、前記入射光に起因して前記試料保持部内から出射した光を検出する検出器と、前記検出器により検出された前記光の強度に基づき、前記試料中における前記測定対象物質の濃度を演算する演算部と、を備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明の攪拌装置、並びにそれを用いた攪拌方法及び光学測定装置によれば、測定セルの試料保持部内にあらかじめ試薬が担持されており、その試料保持部内に試料を供給して、試料中に試薬を溶解させる際に、簡易な構成により試料と試薬とを良好に攪拌することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の攪拌装置は、(a)測定対象物質を含む試料を保持するための試料保持部、前記測定対象物質と反応する試薬を前記試料保持部内において保持する試薬保持部、前記試料保持部内に前記試料を導入するための試料導入口、前記試料導入口及び前記試料保持部を連通する試料導入路、前記試料保持部内に導入された前記試料中に前記試料保持部外の気体を導入するための気体導入口、前記気体導入口及び前記試料保持部を連通する気体導入路、並びに前記試料保持部及び前記試料保持部の外部を連通する開口部を備える測定セル、を取付けるための測定セル取付け部と、(b)前記測定セル取付け部に取付けられた前記測定セルの前記開口部を通して、前記試料保持部内の気体を吸引するための吸引部と、(c)前記測定セル取付け部に取付けられた前記測定セルの前記気体導入口を開閉する気体導入口開閉部と、(d)前記気体導入口を閉じた状態で前記吸引部を作動させることにより、前記試料導入口から前記試料導入路を通して前記試料保持部内に前記試料を導入し、かつ、前記気体導入口を開けた状態で前記吸引部を作動させることにより、前記気体導入口から前記気体導入路を通して前記試料中に前記試料保持部外の気体を導入するように、前記吸引部及び前記気体導入口開閉部を制御する制御部と、を備える。
【0010】
また、本発明の攪拌方法は、
測定対象物質を含む試料を保持するための試料保持部、前記測定対象物質と反応する試薬を前記試料保持部内において保持する試薬保持部、前記試料保持部内に前記試料を導入するための試料導入口、前記試料導入口及び前記試料保持部を連通する試料導入路、前記試料保持部内に導入された前記試料中に前記試料保持部外の気体を導入するための気体導入口、前記気体導入口及び前記試料保持部を連通する気体導入路、並びに前記試料保持部及び前記試料保持部の外部を連通する開口部を備える測定セル、を取付けるための測定セル取付け部と、
前記測定セル取付け部に取付けられた前記測定セルの前記開口部を通して、前記試料保持部内の気体を吸引するための吸引部と、
前記測定セル取付け部に取付けられた前記測定セルの前記気体導入口を開閉する気体導入口開閉部と、を備える攪拌装置を用い、
(1)前記気体導入口開閉部により、前記測定セル取付け部に取付けられた前記測定セルの前記気体導入口を閉じる工程と、
(2)前記工程(1)の後に、前記試料導入口から前記試料導入路を通して前記試料保持部内に前記試料を導入させるために、前記気体導入口を閉じた状態で、前記吸引部により前記試料保持部内の気体を吸引する工程と、
(3)前記工程(2)の後に、前記気体導入口開閉部により前記気体導入口を開ける工程と、
(4)前記工程(3)の後に、前記気体導入口から前記気体導入路を通して前記試料中に前記試料保持部外の気体を導入させるために、前記気体導入口を開けた状態で、前記吸引部により前記試料保持部内の気体を吸引する工程と、を含む。
このようにすると、1つの吸引部を用いて、測定セルの試料保持部内に試料を導入するとともに、気体も導入することができるため、簡易な構成の装置により試料と試薬とを良好に攪拌することができる。また、気体導入口開閉部を用いて気体導入口を開けることにより、試料導入口が試料中に浸漬している状態であっても気体導入口を通して試料保持部内に気体を導入することができるため、気体を導入する際に試料導入口を試料中から引き上げることが不要となる。
【0011】
本発明の攪拌装置および攪拌方法においては、前記気体導入口を開けた状態で前記吸引部を作動させることにより、前記気体導入口から前記気体導入路を通して前記試料中に前記試料保持部外の気体を導入する際、前記試料の表面張力により前記試料導入路が閉じているのが好ましい。このようにすると、上記気体導入口からより確実に気体を上記試料保持部内の試料中に気体を導入することができる。
このように上記試料に表面張力を働かせるためには、上記試料導入路の径、上記気体導入路の径、上記吸引部による吸引力(例えば上記吸引部の作動速度)及び気体の流量等を適宜調整すればよい。
【0012】
ここで、本発明の攪拌方法は、
前記工程(4)の後に、前記気体導入口開閉部により前記気体導入口を閉じる工程(5)と、
(6)前記工程(5)の後に、前記試料保持部内に保持された前記試料を、前記試料導入路を通して前記試料導入口から排出させるために、前記気体導入口を閉じた状態で、前記吸引部により前記試料保持部内に気体を排気する工程と、
をさらに含むことが好ましい。
このようにすると、試料保持部内に保持されている、試薬と攪拌された後の試料を、容易に測定セル外に排出することができる。
【0013】
また、本発明の光学測定装置は、上記攪拌装置、前記測定セル取付け部に取付けられた前記測定セルの前記試料保持部内に保持された前記試料に入射させるための入射光を出射する光源、前記入射光に起因して前記試料保持部内から出射した光を検出する検出器、及び前記検出器により検出された前記光の強度に基づき、前記試料中における前記測定対象物質の濃度を演算する演算部、を備える。
このようにすると、試料と試薬とが攪拌された後、攪拌に用いた装置と同じ装置を用いて、試料中に含まれる測定対象物質の濃度を測定することができる。
ここで、検出器により検出される光としては、例えば、入射光に起因して試料中で生じ、試料保持部内から出射した散乱光や、試料中に入射した入射光が試料中を透過した後、試料保持部内から出射した透過光が挙げられる。
以下、本発明の好ましい実施の形態を図面を用いて詳細に説明する。
【0014】
本実施の形態の光学測定装置および試料攪拌装置の構成について説明する。図1は、本実施の形態において用いた光学測定装置101を示す断面図である。
本実施の形態の光学測定装置101は、シリンダ104の内側に設けられた吸引駆動プランジャ105、吸引駆動プランジャ105と連動する吸引駆動シャフト103、吸引駆動シャフト103を介して吸引駆動プランジャ105を動かすための吸引駆動モータ102、測定セル401を取り付ける際に吸引口403を固定し、Oリングなどで気密性を確保する測定セル取付部107、および測定セル401の気体導入口406を塞いだり開放したりする気体導入口密閉プランジャ114および気体導入口密閉プランジャ114と連動する気体導入口密閉シャフト106および気体導入口密閉シャフト106を動かすための気体導入口密閉駆動モータ109を備えている。
【0015】
このうち、吸引駆動モータ102、吸引駆動プランジャ105、シリンダ104及び吸引駆動シャフト103が、被検試料を測定セル401の内部に吸引するための吸引部に相当する。吸引駆動プランジャ105及び吸引駆動シャフト103が可動する。吸引駆動モータ102、シリンダ104、測定セル取付部107及び気体導入口密閉駆動モータ109は、筐体113に固定されている。シリンダ104内部にはOリングが設けられ、シリンダ104と吸引駆動プランジャ105との間で気密性が保持されるようにしている。筐体113の大きさは、例えば150mm×50mm×50mmである。
【0016】
図2は図1におけるA−A線断面図である。光学測定装置101は、測定セル401に入射する入射光を出射するための光源112、測定セル401から出射した出射光を受光するための検知器108を具備し、筐体113に固定されている。すなわち、図1における気体導入口密閉プランジャ114、気体導入口密閉シャフト106、及び気体導入口密閉駆動モータ109と、光源112及び検知器108とは、光学測定装置101の長軸方向から見て90度の角度をずらした位置に存在することになる。
なお、図1および図2では光学測定装置101の構成を示したが、本構成のうち、光源112、検知器108の構成を外した構成が本発明の攪拌装置の構成に相当する(ここでは図示は省略する)。
【0017】
気体導入口密閉プランジャ114は気体導入口密閉駆動モータ109の動力により気体導入口密閉シャフト106とともに連動する。測定セル取付部107には、気体導入口密閉プランジャ114が隙間なく上下できる孔が設けられている。
なお、吸引駆動モータ102と気体導入口密閉駆動モータ109は連動せず、あらかじめ定めたタイミングによりそれぞれ別個に動作させる。また、気体導入口密閉プランジャ114は測定セル401に押し付けることで密閉するため、空気の漏れが発生しないよう、例えばテフロン(登録商標)などのフッ素ゴムやイソプレンゴムなどの弾性を有する樹脂製であるほうがよい。
【0018】
本実施の形態における光源112としては、650nmの波長の光を出射する半導体レーザを用いることができる。これに代えて、ライトエミッティングダイオード(LED)などを用いてもよい。なお、本実施の形態においては免疫比濁法による測定を適用し、650nmの照射及び受光波長を選択するが、この波長は測定法や測定対象に応じて適宜適切な値が選択され得る。
本実施の形態における検知器108としては、フォトダイオードを用いる。これに代えて、検知器108としては、電荷結合型素子(CCD)、フォトマルチメーターなどを用いてもよい。
【0019】
本実施の形態においては、シリンダ104内の吸引駆動プランジャ105をリニア型のステップモータである吸引駆動モータ102により作動させる構成となっている。
ステップモータは小歯を持ったステータ(固定子)と同じく小歯を持ったムーバ(移動子)からなり、ムーバをあらかじめ永久磁石化しておいて、ステータのそれぞれの小歯をコイル巻線などで励磁するものである。入力された1パルス信号あたりにステータの励磁歯を移動することにより、ムーバが対応するステータ歯に順次引き寄せられ、結果としてある一定距離を正確に移動する。すなわち、入力パルスステップ数により、吸引駆動プランジャ105(ピストン)の動作距離を制御できる。このムーバを吸引駆動シャフト103と接続することにより、入力パルス数に依存して、吸引駆動プランジャ105が直進運動するように構成されている。
【0020】
次に、図3に、本実施の形態における光学測定装置101の斜視図を示す。本実施の形態における光学測定装置101は、測定セル401への試料の供給を開始するための試料供給ボタン301、測定後に測定セル401内の試料を紙コップ701等に排出するための試料排出ボタン302、および測定結果を表示する表示部304を備えている。また、装置内には測定セル401を着脱可能に取付けるための測定セル取付部107を保持している。測定セル取付部107の開口部の大きさは、縦横ともに例えば12mmである。
【0021】
また、図4に本実施の形態における測定セル401の斜視図を示す。本実施の形態における測定セル401は、試料を保持する試料保持部401a、試料を導入する試料導入口402、気体を導入する気体導入口406、試料および気体をそれぞれ試料保持部401aに導く試料導入路402a及び気体導入路405、吸引部により内部に負圧をかけることで試料導入口402より試料を導入するため吸引部と接続する吸引口403を保持している。気体導入口406は、吸引口403と同じ面である測定セル401の上面に具備している。
なお、図4では、試料導入路402aと気体導入路405を合流させた後、試料保持部401aに接続するようにしている。気体導入路405と試料保持部401aとの接続位置は、試料保持部401aの底面に接する位置にするほうが、空気で攪拌する効果をより多く得ることができ、好ましいが、試料を保持したときにおける液面より接続位置が下でさえあれば、機能的に問題はない。また、上記気体導入口406も上記液面よりも上に位置するのが好ましい。
【0022】
本発明の測定セル401は、さらに試料中の被検物質(測定対象物質)と特異的に反応する試薬を内部に備えていてもよい。試薬は、内部に乾燥状態で備えられ、内部に試料が供給されたときに、試料に溶解するように配置されていることが好ましい。例えば、ガラス繊維や濾紙等からなる多孔性の担体に試薬の溶液を含浸させた後乾燥させることにより試薬を担持させ、その多孔性の担体を測定セル401内に設ければよい。また、測定セル401を構成する壁面に、試薬の溶液を直接塗布した後乾燥することにより試薬を配置してもよい。
【0023】
上記試薬としては、例えば、酵素、抗体、ホルモンレセプター、化学発光試薬、DNA等が挙げられる。特に抗体は、公知の方法により産生することができるので、試薬を作製しやすいという点で有利である。例えば、アルブミンなどの蛋白や、hCG、LHなどのホルモンを抗原として、マウス・ウサギ等に免疫することにより、前記抗原に対する抗体を得ることができる。抗体としては、アルブミン等の尿中に含まれる蛋白に対する抗体や、hCG、LHなどの尿中に含まれるホルモンに対する抗体等が挙げられる。
【0024】
測定セル401は、光学的に透明な材料または可視光の吸収を実質的に有していない材料で形成されていることが好ましい。例えば、石英、ガラス、ポリスチレン、ポリメタクリル酸メチル等が挙げられる。測定セル401を使い捨てにする場合には、コストの観点からポリスチレンが好ましい。
【0025】
本発明における試料としては、尿、血清、血漿、血液等の体液及び培地の上清液等の液体の試料が挙げられる。これらの中で、試料として尿が好ましい。試料が尿であると、非侵襲的に在宅での日常の健康管理を行うことができる。
被検物質としては、アルブミン、hCG、LH、CRP、IgG等が挙げられる。
健康管理の最初の段階で行われる尿の定性検査では、pH、比重、蛋白、糖、潜血、ケトン体、ビリルビン、ウロビリノーゲン、亜硝酸塩、白血球、アスコルビン酸、アミラーゼ、食塩の12項目について検査が行われる。また、腎機能を分析するという目的では微量アルブミンが、妊娠検査等のマーカーとしては、hCG、LH等のホルモンがある。蛋白や、微量アルブミン、hCG、LH等のホルモンは、抗原抗体反応に基づいた光学測定が適している。ここで、抗原抗体反応に基づいた光学測定としては、免疫比ろう法、免疫比濁法、ラテックス免疫凝集法などが挙げられる。
【0026】
次に、図5及び図6にそれぞれ本実施の形態における測定セル401の正面図及び側面図を示す。より具体的には、図5は図4における矢印Xの方向からみた場合の測定セル401を示す図であり、図6は、図4における矢印Yの方向からみた場合の測定セル401を示す図である。
図5及び図6に示すように、測定セル401は、気体導入路405と試料導入路402aが合流し、その後試料保持部401aに接続するように構成されている。気体導入路405と試料導入路402aの合流点においては、気体導入路405が下方から合流するように設計するのが好ましい。これは、液状の試料より気体の方が比重が軽いため、液体である試料に優先させて気体を試料保持部401aに円滑に導入させることができるためである。継続して気体を試料保持部401aに導入するとき、上記試料の表面張力によって試料導入路402aが閉塞され、気体のみが試料保持部401aに入っていくのが好ましい。このような表面張力に基づく機能を実現するためには、上記試料導入路の径、上記気体導入路の径、上記吸引部による吸引力(例えば上記吸引部の作動速度)及び気体の流量等を適宜調整すればよい。
【0027】
また、気体導入路405は光源112から投光される光および検知器108に入力される光を妨げることがないように設計されることが好ましい。測定セル401を光学測定装置101に挿入する際には、測定セル401を構成する4つの側面のうち、気体導入路405に近い面は光源112および検知器108に対向しないような向きで挿入することが好ましい。
【0028】
ここで、図7は本実施の形態における測定セル401の分解斜視図である。
第1の測定セル部材1501、第2の測定セル部材1502、第3の測定セル部材1503及び第4の測定セル部材1504は、例えば透明のポリスチレン製であり、例えば金型を用いた成型によって得ることができる。成型には、公知の樹脂成型技術を用いればよい。第1の測定セル部材1501は、図7における上側及び両端が開口した形状を有しており、断面が凹部状である。また、第2の測定セル部材1502及び第4の測定セル部材1504には、開口部1507が設けられている。また、第3の測定セル部材1503には、導線状の開口部1508が設けられている。この導線状の開口部1508が気体導入路405として機能する。
【0029】
次に、第1の測定セル部材1501の凹部の底面に試薬保持部1509を形成する。例えば光学測定のための試薬であるヒトアルブミンに対する抗体の水溶液を、マイクロシリンジなどを用いて第1の測定セル部材1501の凹部の底面に一定量滴下することにより塗布し、これを室温〜30℃程度の環境に静置して水分を蒸発させることにより、乾燥状態で試薬を担持することができる。抗体水溶液の濃度、滴下量及び滴下する部分の面積は、例えば、濃度が11μg/mL、滴下量が0.1mL、滴下する部分の面積が1.5cm2である。
【0030】
塗布する試薬を含む水溶液の濃度及び量は、必要とする測定セル401の特性や第1の測定セル部材1501における形成位置の空間的な制限に応じて適切な値が選択される。また、第1の測定セル部材1501における試薬保持部1509の位置や面積は、試薬の試料に対する溶解性や光源112の投光位置などを鑑みて適宜適切な位置が選択される。なお、ヒトアルブミンに対する抗体は従来公知の方法により得ることができる。例えば、ヒトアルブミンを免疫したウサギ抗血清を、プロテインAカラムクロマトグラフィーにより精製した後、透析チューブを用いて透析することにより、抗ヒトアルブミン抗体が得られる。
【0031】
第5の測定セル部材1505及び第6の測定セル部材1506は、例えば透明のポリスチレン製の板状の部材であり、金型を用いた成型によって得ることができる。また、それに代えて、板状の樹脂を所望の形状に切削することによっても作製することができる。
上記のようにして得られる第1の測定セル部材1501、第2の測定セル部材1502、第3の測定セル部材1503、第4の測定セル部材1504、第5の測定セル部材1505及び第6の測定セル部材1506を、図7における破線で示す位置関係にしたがって接合し、測定セル401本体を組み立てる。なお、第6の測定セル部材1506はなくてもよい。各部材の接合部にはエポキシ樹脂などの接着剤を塗布した後、各部材を張り合わせ静置し、接合部を乾燥させることにより組み立てる。また、それに代えて、各部材を接合した後、市販の溶着機を用いて接合部分を熱または超音波によって溶着させてもよい。以上のようにして図5及び図6に示すような測定セル401を得ることができる。
【0032】
例えば、第1の測定セル部材1501は、厚みが1mmで、凹部の寸法は、幅が8mm、深さが8mm、長さが50mmである。第2の測定セル部材1502および第4の測定セル部材110は、厚みが1mm、幅が10mm、長さが50mmであり、それぞれの開口部は直径1mmであり、共通の位置に形成する。第3の測定セル部材1503は、厚みが1mm、幅が10mm、長さが50mmであり、導線状の開口部は、幅が1mmでコの字型に形成し、コの字を形成するそれぞれの辺の長さは、外辺で計った距離が、49mm、3mm、3mmである。また、コの字の終端部分(前記3mm側の終端)には直径1mmの円状の開口部を、第2の測定セル部材1502および第4の測定セル部材1504の開口部と重なる位置に形成する。また、第5の測定セル部材1505は、厚みが2mm、幅が8mm、長さが8mmである。また、第6の測定セル部材1506は、厚みが1mm、幅が10mm、長さが10mmである。
なお、図4〜図7では、光学測定装置の一部としての測定セル401の構成を示したが、本発明の攪拌装置の構成の一部として測定セル401を使用する場合、材料の光学的な性質は特に問わない。
【0033】
図8は、本実施の形態において用いた光学測定装置101を用いて光学測定を行う手順を示したフローチャートである。まず、測定セル401を装着する(S1)。このとき、気体導入口密閉プランジャ114は下がっており、測定セル401を装着することでプランジャに押し付けられ気体導入口406は密閉される。次に、測定用試料に測定セル401を浸漬させ、試料供給ボタン301を押す(S2)ことで吸引駆動プランジャ105が引き上げられ、試料を吸引して測定セル401内の試料保持部401aに試料を供給する(S3)。試料を供給し終わった後、気体導入口密閉プランジャ114を上げて気体導入口406を開放する(S4)。その後、吸引駆動プランジャ105をさらに引くことで試料保持部401aに気体を導入して(S5)、試料保持部401a内の試料を攪拌する。その後、光源112を動作させ検知器108により測定を行う(S6)。測定が終了したら、気体導入口406を密閉する(S7)。その後、試料排出ボタン302を押すことで吸引駆動プランジャ105を押し下げ、試料保持部401aに保持されていた試料を排出する(S8)。
【0034】
図9は、本実施の形態の攪拌装置を用いて試料の攪拌を行う手順を示したフローチャートである。まず、測定セルを装着する(S11)。ここでいう測定セルとしては、上述した測定セル401を用いることができるが、その材質は特に問わない。このとき、気体導入口密閉プランジャ114は下がっており、測定セルを装着することでプランジャに押し付けられて気体導入口406は密閉される。次に、攪拌用試料に測定セルを浸漬させ、試料供給ボタン301を押す(S12)ことで吸引駆動プランジャ105が引き上げられ、測定セル内の試料保持部401aに試料を供給する(S13)。試料を供給し終わった後、気体導入口密閉プランジャ114をひき上げて気体導入口406を開放する(S14)。その後、吸引駆動プランジャ105をさらに引くことで気体を吸引して(S15)試料保持部401aに気体を導入し、試料保持部401a内の試料を攪拌する。その後、試料排出ボタン302を押すことで吸引駆動プランジャ105を押し下げて気体導入口406を密封し(S16)、試料保持部401aに保持されていた攪拌後の試料を排出する(S17)。
【0035】
図10に、測定セル401を光学測定装置101に挿入したときの断面図を示す。測定セル401を光学測定装置101に取り付ける際に、測定セル取付部107内に測定セル401の吸引口403が挿入される。このとき、気体導入口密閉プランジャ114は下がっており、測定セル401を装着することで気体導入口密閉プランジャ114に押し付けられ気体導入口406は密閉される。接合部は、空気の漏れが発生しないよう、例えばテフロン(登録商標)等のフッ素ゴムやイソプレンゴムなどの弾性を有する樹脂製の封止リングを測定セル取付部107の内壁に設け、測定セル取付部107と吸引口403との密着性を高めることが好ましい。
【0036】
図11に、光学測定装置101の内部ブロック図を示す。光学測定装置101の内部には、検知器108により受光された出射光に基づき、試料中に含まれる被検物質を検出または定量したり、吸引駆動モータ102および気体導入口密閉駆動モータ109を始めとする各部材の制御を行うための演算部であるCPU601、及び被検物質であるヒトアルブミンの濃度と検知器108により受光される出射光強度との関係を表す検量線が格納されている記憶部であるメモリ602が設けられている。
さらに、得られたヒトアルブミン濃度は、記録部605によりSDカードなどの記憶媒体に記録することができる。取り外し可能な記憶媒体に保存することにより、測定結果を光学測定装置101から容易に取り出すことができるので、前記記憶媒体を分析専門業者に持参または郵送して、分析を依頼することができる。
【0037】
さらに、得られたヒトアルブミン濃度は、送信部606により光学測定装置101外に送信することができる。これにより、測定結果を、病院内の分析関連部門または分析関連業者等に送信し、それを前記分析関連部門または分析関連業者などにおいて分析することができるので、測定から分析までの時間を短縮することができる。
さらにまた、前記分析関連部門または分析関連業者などにおいて分析した結果を受信するための受信部607を備えている。これにより、分析結果を迅速にユーザにフィードバックすることができる。
【0038】
次に、本実施の形態の測定セル401及び光学測定装置101を用いて試料中の被検物質を測定する手順について図12〜17を参照しながら説明する。図12〜17は、本実施の形態の測定セル401及び光学測定装置101を用いて試料中の披検物質を測定する手順を示す概略図である。以下に、試料として尿を用いた例について述べる。
まず、光学測定装置101の測定セル取付け部を介して測定セル401を光学測定装置101に装着する。その後、紙コップ701に排出された尿中に、測定セル401のうち少なくとも試料導入口402を浸漬させる。図12は、測定セル401を紙コップ701内の尿に浸漬させたときの様子を示す概略図である。このとき、気体導入口密閉プランジャ114は下がっており、測定セル401を装着することで気体導入口密閉プランジャ114に押し付けられ気体導入口406は密閉されている。なお、このとき気体導入路405は筐体113内部に収納された位置にあるため、筐体113が浸漬しないように注意して使用してさえすれば気体導入路405が被検試料により浸漬されることはない。
【0039】
次に、試料供給ボタン301を押すことにより、CPU601が吸引部を作動させる。具体的には、光学測定装置101内の吸引駆動モータ102が駆動し、シリンダ104内側にある吸引駆動プランジャ105が吸引駆動シャフト103を介して引きあげられることにより、測定セル401の試料導入口402から試料保持部401a内に所定量(例えば2mL)の尿が供給される。図13は、必要量の尿が供給され終わったときの様子を示す概略図である。このとき、気体導入口密閉プランジャ114は下がっており、測定セル401を装着することで気体導入口密閉プランジャ114に押し付けられ気体導入口406は密閉されている。そのため、気体導入口406からの物質の出入りはなく、試料導入口402からの被検試料のみが吸引により試料保持部401aに供給される。
【0040】
吸引駆動モータ102により吸引駆動プランジャ105を引き上げ、その位置に保持することにより試料保持部401a内に残存する空気が密閉状態となるため、試料保持部401a内に尿が保持され、尿は試料導入口402から漏れ出したり、シリンダ104内に吸引されたりすることがない。吸引駆動モータ102が停止し吸引動作が終了すると、CPU601は、試料保持部401a内への試料の供給が完了したことを通知するメッセージを表示部304に表示させるとともに、計時部604であるタイマーによる計時を開始させる。
試料保持部401a内に供給された尿は、試薬保持部401aに担持された乾燥状態の試薬である抗ヒトアルブミン抗体を溶解する。
【0041】
次に、計時部604からの信号によって、試料保持部401a内への試料の供給完了から所定時間(例えば、15秒)経過したことをCPU601が判断すると、CPU601により気体導入口密閉プランジャ114が押し上げられ、気体導入口406が開放される。図14は、気体導入口406が開放された場合の概略図である。ただし、気体導入口406が開放されても、試料保持部401a内の空気の密閉状態は維持されているため、試料保持部401a内の試料が外に出て行くことはない。
【0042】
その後、CPU601により吸引駆動モータ102を作動させ吸引駆動プランジャ105をさらに引き上げ、気体導入口406より気体を試料保持部401aに導入して試料保持部401a内の試料を攪拌する。図15は、気体が供給され終わった様子を示す概略図である。このように、気体導入口密閉プランジャ114を押し上げて気体導入口406を開放することにより、試料導入口402が尿中に浸漬している状態であっても気体導入口406を通して試料保持部401a内に気体を導入することができるので、気体を導入する際に試料導入口402を尿中から引き上げることは不要である。
なお、ここでの所定時間(試料の供給完了から気体が供給されはじめるまで(気体により攪拌をされ始めるまで)の(待機)時間)を、試薬保持部401aに担持された乾燥状態の試薬に試料が十分に浸透することのできる時間に設定(例えば、15秒)すると、溶液状態で攪拌されるため好ましい。その後尿中の抗原であるヒトアルブミンと抗ヒトアルブミン抗体との免疫反応が進行する。
【0043】
次に、計時部604からの信号によって、試料保持部401a内への試料の供給完了から所定時間(例えば、2分)経過したことをCPU601が判断すると、CPU601は光源112による光照射を実行させる。光源112から出射したレーザ光が測定セル401の側面を通って試料保持部401a内の尿に照射され、尿中で散乱され測定セル401の側面から出射した光を検知器108により受光する。CPU601はメモリ602に格納されている出射光強度とヒトアルブミン濃度との関係を表す検量線を読み出し、それを参照することによりCPU601が検知器108により受光された出射光強度をヒトアルブミン濃度に換算する。得られたヒトアルブミン濃度は表示部304に表示される。表示部304にヒトアルブミンが表示されることにより、ユーザはヒトアルブミン濃度測定が完了したことがわかる。好ましくは、得られたヒトアルブミン濃度は、計時部604により計時された時刻とともにメモリ602に保存される。
【0044】
測定が終わった状態で、試料排出ボタン302を押すと、CPU601により、まず気体導入口密閉モータ109が駆動し、気体導入口密閉シャフト106を介して気体導入口密閉プランジャ114を押し下げ、気体導入口406を密閉する。図16は、気体導入口密閉プランジャ114を押し下げた後の様子を示す概略図である。
その後、吸引駆動モータ102が駆動し、シリンダ104内側にある吸引駆動プランジャ105が吸引駆動シャフト103を介して押し下げられることにより、測定セル401内の尿が紙コップ701内に排出される。図17は、測定が終了した後に測定試料を排出した後の様子を示す概略図である。紙コップ701内に排出された尿は流し捨て、その後紙コップ701も廃棄する。
【0045】
ここで、図12〜図17で示される一連の動作を本発明の攪拌装置で実施する場合には、上述した構成要素のうちの光源112及び検知器108は必ずしも必要ではない。また、排出した尿は流して捨てるのではなく回収し、その後の分析などに活用することもできる。
また、上記実施の形態は本発明の代表的なものであり、本発明はこれらのみに限定されることなく種々の設計変更が可能である。例えば、上記実施の形態において、吸引機構として、シリンダ104内の吸引駆動プランジャ105をリニア型のステップモータである吸引駆動モータ102により作動させる構成を用いたが、これに限らない。リニア型以外のステップモータや、直流モータ等を用いてもよい。
【0046】
また、上記実施の形態において、紙コップ701に尿を採取したが、これに限らず、プラスティック製のカップ等の運搬可能な容器や、便器内に設けられた受尿容器等を用いてもよい。また、上記実施の形態において、試料保持部内への試料の供給が完了したことを通知するメッセージを表示部304に表示させたが、これに代えて、ブザー等の音声により通知してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0047】
本発明の攪拌装置、並びにそれを用いた攪拌方法及び光学測定装置によれば、簡易な構成の装置により、測定対象物質を含む試料と試薬とを良好に攪拌することができるので、分析・検査分野において有用である。
【図面の簡単な説明】
【0048】
【図1】本発明の一実施の形態に係る光学測定装置101の構成を示す概略断面図である。
【図2】図1におけるA−A線断面図である。
【図3】図1に示す光学測定装置101の斜視図である。
【図4】光学測定装置101に用いられる測定セルの一実施の形態の斜視図である。
【図5】図4における矢印Xの方向からみた場合の測定セル401を示す図(正面図)である。
【図6】図4における矢印Yの方向からみた場合の測定セル401を示す図(側面図)である。
【図7】図4〜図6に示す測定セル401の分解斜視図である。
【図8】光学測定装置101を用いて光学測定を行う手順を示すフローチャートである。
【図9】本発明の一実施の形態に係る攪拌装置を用いて試料の攪拌を行う手順を示すフローチャートである。
【図10】測定セル401を光学測定装置101に挿入した様子を示す概略断面図である。
【図11】光学測定装置101の内部構成を示すブロック図である。
【図12】光学測定装置101に装着された測定セル401を紙コップ701内の尿に浸漬させたときの様子を示す概略図である。
【図13】光学測定装置101に装着された測定セル401に必要量の尿が供給され終わったときの様子を示す概略図である。
【図14】光学測定装置101において気体導入口406が開放された様子を示す概略図である。
【図15】光学測定装置101において気体が供給され終わった様子を示す概略図である。
【図16】光学測定装置101において気体導入口406が密閉された様子を示す概略図である。
【図17】光学測定装置101による測定が終了した後に試料を排出した後の様子を示す概略図である。
【符号の説明】
【0049】
101 光学測定装置
102 吸引駆動モータ
103 吸引駆動シャフト
104 シリンダ
105 吸引駆動プランジャ
106 気体導入口密閉シャフト
107 測定セル取付部
108 検知器
109 気体導入口密閉駆動モータ
112 光源
113 筐体
114 気体導入口密閉プランジャ
301 試料供給ボタン
302 試料排出ボタン
304 表示部
401 測定セル
401a 試料保持部
402 試料導入口
402a 試料導入路
403 吸引口
405 気体導入路
406 気体導入口
601 CPU
602 メモリ
604 計時部
605 記録部
606 送信部
607 受信部
701 紙コップ
1501 第1の測定セル部材
1502 第2の測定セル部材
1503 第3の測定セル部材
1504 第4の測定セル部材
1505 第5の測定セル部材
1506 第6の測定セル部材
1507 開口部
1508 導線状の開口部
1509 試薬保持部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)測定対象物質を含む試料を保持するための試料保持部、前記測定対象物質と反応する試薬を前記試料保持部内において保持する試薬保持部、前記試料保持部内に前記試料を導入するための試料導入口、前記試料導入口及び前記試料保持部を連通する試料導入路、前記試料保持部内に導入された前記試料中に前記試料保持部外の気体を導入するための気体導入口、前記気体導入口及び前記試料保持部を連通する気体導入路、並びに前記試料保持部及び前記試料保持部の外部を連通する開口部を備える測定セル、を取付けるための測定セル取付け部と、
(b)前記測定セル取付け部に取付けられた前記測定セルの前記開口部を通して、前記試料保持部内の気体を吸引するための吸引部と、
(c)前記測定セル取付け部に取付けられた前記測定セルの前記気体導入口を開閉する気体導入口開閉部と、
(d)前記気体導入口を閉じた状態で前記吸引部を作動させることにより、前記試料導入口から前記試料導入路を通して前記試料保持部内に前記試料を導入し、かつ、前記気体導入口を開けた状態で前記吸引部を作動させることにより、前記気体導入口から前記気体導入路を通して前記試料中に前記試料保持部外の気体を導入するように、前記吸引部及び前記気体導入口開閉部を制御する制御部と、
を備える攪拌装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記気体導入口を開けた状態で前記吸引部を作動させることにより、前記気体導入口から前記気体導入路を通して前記試料中に前記試料保持部外の気体を導入する際、前記試料の表面張力により前記試料導入路が閉じている、
請求項1記載の攪拌装置。
【請求項3】
測定対象物質を含む試料を保持するための試料保持部、前記測定対象物質と反応する試薬を前記試料保持部内において保持する試薬保持部、前記試料保持部内に前記試料を導入するための試料導入口、前記試料導入口及び前記試料保持部を連通する試料導入路、前記試料保持部内に導入された前記試料中に前記試料保持部外の気体を導入するための気体導入口、前記気体導入口及び前記試料保持部を連通する気体導入路、並びに前記試料保持部及び前記試料保持部の外部を連通する開口部を備える測定セル、を取付けるための測定セル取付け部と、
前記測定セル取付け部に取付けられた前記測定セルの前記開口部を通して、前記試料保持部内の気体を吸引するための吸引部と、
前記測定セル取付け部に取付けられた前記測定セルの前記気体導入口を開閉する気体導入口開閉部と、を備える攪拌装置を用い、
(1)前記気体導入口開閉部により、前記測定セル取付け部に取付けられた前記測定セルの前記気体導入口を閉じる工程と、
(2)前記工程(1)の後に、前記試料導入口から前記試料導入路を通して前記試料保持部内に前記試料を導入させるために、前記気体導入口を閉じた状態で、前記吸引部により前記試料保持部内の気体を吸引する工程と、
(3)前記工程(2)の後に、前記気体導入口開閉部により前記気体導入口を開ける工程と、
(4)前記工程(3)の後に、前記気体導入口から前記気体導入路を通して前記試料中に前記試料保持部外の気体を導入させるために、前記気体導入口を開けた状態で、前記吸引部により前記試料保持部内の気体を吸引する工程と、
を含む攪拌方法。
【請求項4】
前記工程(4)において、前記気体導入口を開けた状態で、前記気体導入口から前記気体導入路を通して前記試料中に前記試料保持部外の気体を導入する際、前記試料の表面張力により前記試料導入路が閉じている、
請求項3記載の攪拌方法。
【請求項5】
(5)前記工程(4)の後に、前記気体導入口開閉部により前記気体導入口を閉じる工程と、
(6)前記工程(5)の後に、前記試料保持部内に保持された前記試料を、前記試料導入路を通して前記試料導入口から排出させるために、前記気体導入口を閉じた状態で、前記吸引部により前記試料保持部内に気体を排気する工程と、
をさらに含む、請求項3または4記載の攪拌方法。
【請求項6】
請求項1記載の攪拌装置と、
前記測定セル取付け部に取付けられた前記測定セルの前記試料保持部内に保持された前記試料に入射させるための入射光を出射する光源と、
前記入射光に起因して前記試料保持部内から出射した光を検出する検出器と、
前記検出器により検出された前記光の強度に基づき、前記試料中における前記測定対象物質の濃度を演算する演算部と、
を備える光学測定装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2007−309835(P2007−309835A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−140520(P2006−140520)
【出願日】平成18年5月19日(2006.5.19)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】