説明

放射受光器およびその製造方法

放射の検出に使用される第1の活性領域210および第2の活性領域220を有する半導体ボディ2を備えている放射受光器1を開示する。第1の活性領域210および第2の活性領域220は、垂直方向に互いに隔置されている。第1の活性領域210と第2の活性領域220との間にはトンネル領域24が配置されている。トンネル領域24は接続面31に導電接続されており、接続面31は、第1の活性領域210と第2の活性領域220との間で半導体ボディ2に外部から電気的に接触する目的で使用される。さらに、放射受光器を製造する方法も開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、放射受光器およびその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリコンをベースとするカラーセンサにおいては、一般的に、赤色、緑色、および青色スペクトル範囲内の色成分を測定するために複数の異なるカラーフィルタが使用されている。さらには、赤外放射をフィルタリングする目的で、さらなるガラスフィルタが必要なこともある。これらの外部フィルタによって、製造コストが上昇し、コンパクトなコンポーネントを製造することが難しくなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の目的は、改良された特徴を有し、製造が単純であるコンパクトな放射受光器を提供することである。本発明のさらなる目的は、そのような放射受光器の製造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
これらの目的は、独立請求項の主題によって達成される。有利な構造形態およびさらなる発展形態は、従属請求項の主題である。
【0005】
一実施形態によると、本放射受光器は、第1の活性領域と第2の活性領域とを備えている半導体ボディを備えている。第1の活性領域および第2の活性領域のそれぞれは、放射を検出する目的で設けられている。第1の活性領域および第2の活性領域は、垂直方向に互いに隔てられている。第1の活性領域と第2の活性領域との間には、トンネル領域が配置されている。トンネル領域はランドに導電接続されており、このランドは、半導体ボディに外部から電気的に接触する目的で、第1の活性領域と第2の活性領域との間に設けられている。
【0006】
このように、半導体ボディは2つの活性領域を提供し、放射受光器の動作時、これらの活性領域のそれぞれにおいて、例えば、電磁放射が入射したときに電子正孔対が生成され、その後に分離することによって、信号を生成することができる。ランドによって、この信号を活性領域の間で外部から取り出すことができる。
【0007】
ランドと活性領域との間の導電接続は、トンネル領域によって単純に形成される。特に、ランドを、第1の活性領域と第2の活性領域とに導電接続することができる。このようにすることで、ランドは、第1の活性領域および第2の活性領域のための共通のランドとなることができる。したがって、活性領域の間それぞれにおいて、活性領域ごとの個別のランドを省くことが可能である。このようにすることで、放射受光器の製造が単純化され、結果として製造コストが減少し、製造不良の危険性が下がる。
【0008】
本放射受光器は、3つ以上の活性領域を備えていることもでき、これらは、特に、半導体ボディにモノリシックに集積化することができる。特に、半導体ボディは、第1の活性領域とは反対の第2の活性領域の側に、第3の活性領域を備えていることができる。第2の活性領域と第3の活性領域との間には、さらなるトンネル領域を配置することができる。さらなるトンネル領域は、さらなるランドに導電接続することができる。
【0009】
言い換えれば、このように、隣接する2つの活性領域の間それぞれにトンネル領域を配置することができ、さらに、このトンネル領域のそれぞれをランドに導電接続することができる。このようにすることで、隣接する2つの活性領域の間それぞれにおいて、半導体ボディに外部から電気的に接触することができる。
【0010】
トンネル領域もしくはさらなるトンネル領域、またはその両方は、互いに異なる導電型を有する少なくとも2つのトンネル層を備えている。したがって、トンネル領域またはさらなるトンネル領域のトンネル層をn型導電性にドープし、トンネル領域またはさらなるトンネル領域のさらなるトンネル層をp型導電性にドープすることができる。トンネル層のそれぞれは、高濃度にドープすることができ、具体的には、少なくとも1×1019cm−3、さらには少なくとも1×1020cm−3のドーピング濃度を有する。したがって、半導体ボディの外側に配置されるランドまたはさらなるランドとの導電接続の形成が単純化される。
【0011】
トンネル領域のうちランドに面しているトンネル層は、さらなるトンネル領域のうち、さらなるランドに面しているトンネル層と同じ導電型とすることができる。したがって、ランドおよびさらなるランドは、特に、半導体ボディに対する低い接触抵抗に関して同じ構造とすることができる。
【0012】
さらには、ランドおよびさらなるランドは、共通の形成ステップにおいて形成することができる。したがって、製造方法が単純化される。
【0013】
少なくとも1つの活性領域は、バリア層と対向バリア層(counter barrier layer)との間に配置することができる。特に、活性領域のそれぞれを、関連付けられるバリア層と関連付けられる対向バリア層との間に配置することができる。
【0014】
バリア層および対向バリア層のそれぞれは、互いに異なる導電型を有する。さらには、活性領域のそれぞれは、非ドープ領域または真性領域とすることができる。このようにすることで、PINダイオード構造を形成することができる。
【0015】
バリア層のそれぞれは同じ導電型を有することができ、関連付けられる活性領域の上流に配置することができる。言い換えれば、本放射受光器は、スタック型ダイオードの構造を備えていることができ、放射入射主方向(main radiation entrance direction)に対するダイオードそれぞれの極性は同じである。
【0016】
半導体ボディは、放射入射主面(main radiation entrance face)を備えている。この放射入射主面によって、活性領域において検出される放射の大部分を、半導体ボディに取り込むことができる。
【0017】
半導体ボディの放射入射主面は、垂直方向に、すなわち、半導体ボディの半導体層の主延在面に垂直な方向に、半導体ボディの境界を定義する。
【0018】
さらには、半導体ボディの放射入射主面を階段状構造とすることができる。したがって、放射入射主面は、複数の階段面を備えていることができる。本文書において、階段面とは、横方向に、すなわち、半導体の半導体層の主延在面の方向に延在している面を意味するものと理解されたい。さらには、主延在面に対して傾いている、または垂直の少なくとも1つの側面によって、階段面の横方向の境界を定義することができる。
【0019】
特に、各活性領域に階段面を関連付けることができる。したがって、それぞれの活性領域において検出される放射を、主として、それぞれに関連付けられている階段面によって半導体ボディに取り込むことができる。したがって、それぞれの活性領域において検出される放射は、それより前に上流の活性領域の1つを通過することなく、それぞれの活性領域に入射する。
【0020】
言い換えれば、それぞれの活性領域に入射する放射は、その活性領域に関連付けられている、放射入射主面の階段面を主として通過して、その活性領域に入る。このようにすることで、活性領域を、その上流に配置されている別の活性領域とはおおむね独立しているものとして設計することができる。
【0021】
さらには、活性領域において生成される信号の互いの関係を、関連付けられる階段面の面積の相対的な比率によって、活性領域の基本領域(base area)にはほとんど関係なく調整することができる。したがって、特に、互いに異なる基本領域を有する2つの活性領域が、同程度のレベルの信号を生成することができる。
【0022】
しかしながら、半導体ボディの放射入射主面が、埋め込まれている半導体層に接触するために設けられる凹部を備えているにすぎず、凹部の領域それぞれにおいて、放射入射主面全体と比較して小さな割合の(例えば10%以下の)放射のみが半導体ボディに取り込まれる場合、そのような放射入射主面は、本願の目的においては階段状構造とはみなされない。
【0023】
垂直方向において、隣接する2つの活性領域の間それぞれに1つの階段面を設けることができる。したがって、階段面と、対応する活性領域との関連付けが単純化される。
【0024】
2つの活性領域の間に階段面が配置されている場合、少なくとも部分的にトンネル領域を除去することができる。トンネル領域の下流に配置されている活性領域において検出される放射が階段面の領域において吸収されることを防ぐことができる。
【0025】
上から見たときの構造形態の一バリエーションにおいては、少なくとも2つの階段面が二次元的に横に並んで配置されている。特に、上から見たとき、1つの階段面の任意の2点を結ぶ線が別の階段面を通らないように、階段面を構成することができる。例えば、階段面それぞれは、多角形(例えば、三角形あるいは四角形の基本形状)を有することができる。階段面は、与えられた領域において、階段面の境界の全長ができる限り小さくなるような形状とすることができる。このようにすることで、境界に沿って発生する漏れ電流によって放射受光器の感度が損なわれる危険性を最小にすることができる。
【0026】
代替構造形態においては、上から見たとき、少なくとも2つの階段面が部分的に半導体ボディ上で互いに交わっている(engage)。例えば、階段面の1つがクシの形をとり、別の階段面が少なくとも部分的に間の空間に延びていることができる。このような配置によって、階段面を放射受光器の基本領域の全体にわたり比較的一様に分布させることができる。このようにすることで、たとえ放射受光器の照射が空間的に一様でなくても、入射する放射のスペクトル部分と、特に、スペクトル部分の互いの比とを、高い信頼性で決定することができる。
【0027】
第1の活性領域は、第2の活性領域の上流に配置することができる。本願の目的において、句「上流に配置されている」は、放射入射主方向における相対的な配置を意味する。ただし、入射する放射に関する、句「上流に配置されている」は、放射受光器の一要素に入射する放射が、その要素の上流に配置されている要素を最初に通過しなければならないことを意味しない。例えば、第2の活性領域に入射する放射は、上流に配置されている第1の活性領域を通過せずに、第2の活性領域に関連付けられている階段面を通過することができる。
【0028】
さらには、第1の活性領域に関連付けられている階段面は、連続的な面とすることができる。これにより、第1の活性領域への外部からの電気的接触が単純化される。
【0029】
さらには、第2の活性領域に関連付けられている階段面が、第1の活性領域に関連付けられている階段面を少なくとも部分的に囲んでいることができる。これにより、第1の活性領域に関連付けられている階段面と、第2の活性領域に関連付けられている階段面とによって形成される領域を連続的な構造にすることが単純になる。これによって、特に、ランドによる第2の活性領域への外部からの電気的接触が単純化される。
【0030】
特に、トンネル領域が、下流の1つまたは複数の活性領域において検出される放射に対する十分な透明性を示す場合、階段面の形成を省くことができる。すべての活性領域への放射が、共通の、特に、分割されていない放射入射主面を通過する。したがってこの場合、放射は、1つの活性領域に入射する前に、その活性領域の上流に配置されている1つ以上の別の活性領域を通過する。
【0031】
さらには、少なくとも1つの活性領域を、可視スペクトル範囲内の感度を有するようにすることができる。このような活性領域それぞれは、特に、ピーク波長にて最大の検出値(detection maximum)を呈することができ、少なくとも1つのピーク波長が可視スペクトル範囲内にある。ピーク波長は、互いに隔てることができる。例えば、放射受光器は、赤色、緑色、および青色のスペクトル範囲内にピーク波長を有する3つの活性領域を備えていることができる。
【0032】
このような放射受光器では、三原色の赤色、緑色、および青色のそれぞれに対する信号を生成するカラーセンサを製造することが単純になる。このようなカラーセンサによって、例えば、フルカラーの表示装置の発光を監視することが可能である。このカラーセンサは、特に、放出される放射の相対強度を所定の値、特にホワイトバランスに対して適合させる目的で設けることができる。
【0033】
さらには、少なくとも1つの活性領域を、狭スペクトル帯域構造とすることができる。活性領域の検出スペクトル範囲の重なりが小さいほど、互いに個別のカラー信号を容易に生成することができる。
【0034】
特に、隣り合う2つの最大検出値のピーク波長の間の距離それぞれを、これらの最大検出値に対応する半値幅の和よりも大きくすることができる。半値幅とは、最大値の1/2のレベルにおけるスペクトル幅の1/2を意味するものと理解されたい(半値半幅:HWHM)。
【0035】
さらには、ピーク波長を、放射入射主方向に沿って増大させることができる。例えば、放射入射主方向に沿って見たとき、活性領域が、青色、緑色、および赤色のスペクトル範囲内にピーク波長を有する。
【0036】
これとは異なり、少なくとも1つの活性領域が、放射入射主方向に沿って上流の活性領域よりも低いピーク波長を有することができる。したがって、上流の活性領域は、その低いピーク波長を有する放射に関する吸収体とすることができる。下流の活性領域に入射する放射は、その活性領域に関連付けられている階段面によって取り込むことができる。したがって、垂直方向の一連の活性領域を、それらのピーク波長とは無関係に選択することができる。したがって、半導体ボディを形成させるとき、活性領域の順序を、別の基準(例えば、活性領域それぞれに使用される半導体材料の格子パラメータ)に関して最適化することができる。
【0037】
さらには、少なくとも1つの活性領域の上流に受動領域を配置することができる。受動領域は、特に、関連付けられる活性領域の検出スペクトル範囲の短波エッジ部(short wave edge)を形成する目的で設けることができる。受動領域とは、そこで吸収される放射が、関連付けられている活性領域の信号に何ら寄与しない、または少なくとも大きくは寄与しない領域であるものと理解されたい。受動領域は、例えば、ドープされた半導体層によって形成することができ、ただし、受動領域では、放射が入ってきたときに生成される電子正孔対が互いに分離されず、その後に再び再結合する。
【0038】
特に、受動領域は、関連付けられている活性領域の半導体層のバンドギャップよりも大きいバンドギャップを有する半導体層を備えていることができる。このようにすることで、活性領域の検出範囲の短波エッジ部を単純に形成することができる。したがって、2つの検出範囲の間のスペクトルの重なりを小さくすることができる。
【0039】
少なくとも1つの活性領域は、III−V族化合物半導体材料を含んでいることができる。III−V族化合物半導体材料は、高い吸収効率を示す。
【0040】
リン化物化合物半導体をベースとする材料は、可視スペクトル範囲内の検出に特に適している。
【0041】
「リン化物化合物半導体をベースとする」とは、本文書においては、1つの半導体層が、リンを含んでいる化合物半導体、特に、AlGaIn1−n−mP(0≦n≦1、0≦m≦1、n+m≦1)を備えていることを意味する。さらに、n≠0、m≠0の少なくとも一方を条件とすることもできる。この材料は、上の化学式に従った数学的に正確な組成を示している必要はない。そうではなく、この材料は、1つまたは複数のドーパントと、材料の物理特性を実質的に変化させることのない追加の構成成分とを含んでいることができる。しかしながら、説明を簡潔にする目的で、上の化学式は、結晶格子の本質的な構成成分(Al、Ga、In、P)のみを含んでおり、これらの構成成分は、その一部分をわずかな量のさらなる物質によって置き換えることができる。
【0042】
リン化物化合物半導体をベースとする活性領域は、可視スペクトル範囲における高い吸収効率を特徴とし、同時に、赤外スペクトル範囲における感度が低い。したがって、赤外放射を遮るための追加の外部フィルタを省くことが可能である。したがって、放射受光器を特にコンパクトな構造とすることができる。
【0043】
活性領域は、材料の組成に関して互いに異なっていることができる。特に、活性領域は、互いに異なるバンドギャップを有することができる。このような活性領域は、本質的に、互いに異なる吸収挙動を示す。広スペクトル帯域の放射受光器(例えばシリコン検出器)とは異なり、個々のスペクトル範囲を選択するための個別のフィルタ層を省くことができる。したがって、半導体ボディの材料組成を適切に選択することによって、それぞれの分光感度の大部分が所定の範囲内にある複数の活性領域を形成するステップが単純化される。
【0044】
本放射受光器は、特に、カラーセンサにおける動作を目的とすることができる。カラーセンサとは、一般的には、少なくとも2つの互いに異なるスペクトル範囲それぞれに対する信号を供給するセンサであるものと理解されたい。スペクトル範囲は、必ずしも可視スペクトル範囲内になくてもよい。
【0045】
カラーセンサは、複数のカラーチャネル(例えば3つ以上のカラーチャネル)を備えていることができる。放射受光器のランドにおいて取り出される信号を、カラーセンサの評価回路に供給することができる。
【0046】
構造形態の一バリエーションにおいては、カラーチャネルそれぞれに対して放射受光器の1つの活性領域に個々に接触する。活性領域の信号は、互いに独立して(例えば並列に、または順々に)取り出すことができる。
【0047】
構造形態の代替バリエーションにおいては、放射受光器の活性領域には、基準コンタクトとしての共通のランドを介して(例えば、上部のランドまたは下部のランドを介して)接触することができる。活性領域は、トンネル領域によって互いに直列に接続することができる。個々のカラーチャネルの信号は、特に、算術演算(例えば減算)によって生成することができ、この信号をランドにおいて取り出すことができる。
【0048】
放射受光器を製造する方法の一実施形態によると、まず、半導体ボディを形成する。この半導体ボディは、第1の活性領域および第2の活性領域を備えており、これらの活性領域それぞれは放射を検出することを目的としており、第1の活性領域と第2の活性領域との間にトンネル領域が配置される。そして、第1の活性領域を部分的に除去することによって、トンネル領域を露出させる。この露出したトンネル領域の上にランドを形成する。そして、放射受光器を完成させる。これらの方法ステップは、記載した順序で実施する必要はない。
【0049】
本方法においては、半導体ボディの製造が単純化され、第1の活性領域と第2の活性領域との間のランドによって半導体ボディに接触することができる。
【0050】
半導体ボディは、成長基板の上にエピタキシャルに(例えば、MOCVDまたはMBEによって)形成させることができる。製造中に、成長基板を薄くする、または除去することができる。このステップは、いずれの場合も、表面全体にわたり、または少なくとも部分的に行うことができる。
【0051】
さらには、トンネル領域は、湿式化学エッチングによって露出させることができる。トンネル領域は、エッチング停止層としての役割を果たすことができる。言い換えれば、露出させるステップは、材料選択性の湿式化学エッチングによって行うことができる。これを目的として、特に、活性領域に使用される材料とはエッチング挙動に関して異なる種類の材料によって、トンネル領域を形成する。特に、トンネル領域および活性領域は、互いに異なる種類のV族材料を含んでいる材料をベースとすることができる。例えば、少なくとも1つの活性領域、特に、すべての活性領域を、リン化物化合物半導体材料をベースとすることができる。トンネル領域、およびオプションとしてさらなるトンネル領域は、ヒ化物化合物半導体材料をベースとすることができる。
【0052】
ヒ化物化合物半導体をベースとする半導体層は、ヒ素を含んでいる化合物半導体、特に、材料系AlGaIn1−n−mAs(0≦n≦1、0≦m≦1、n+m≦1)からの化合物半導体を含んでいる。さらに、n≠0、m≠0の少なくとも一方を条件とすることもできる。この材料は、上の化学式に従った数学的に正確な組成を示している必要はない。そうではなく、この材料は、1つまたは複数のドーパントと、材料の物理特性を実質的に変化させることのない追加の構成成分とを含んでいることができる。しかしながら、説明を簡潔にする目的で、上の化学式は、結晶格子の本質的な構成成分(Al、Ga、In、As)のみを含んでおり、これらの構成成分は、その一部分をわずかな量のさらなる物質によって置き換えることができる。
【0053】
半導体ボディは、第1の活性領域とは反対の第2の活性領域の側に第3の活性領域を備えていることができる。第2の活性領域と第3の活性領域との間には、さらなるトンネル領域を配置することができる。トンネル領域およびさらなるトンネル領域それぞれの上には、共通の形成ステップにおいてランドを形成することができる。このように、放射受光器の製造が単純化される。
【0054】
半導体ボディの外側に配置されるランドを形成するステップは、例えば、スパッタリングあるいは蒸着によって行うことができる。
【0055】
上述した方法は、前述した放射受光器を製造するうえで特に適している。したがって、本方法に関連して記載されている特徴は、放射受光器についてもあてはまり、逆も同様である。
【0056】
さらなる特徴、構造形態、および有利な側面は、図面を参照しながらの例示的な実施形態の以下の説明によって明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】放射受光器の第1の例示的な実施形態の概略的な断面図
【図2】第1の例示的な実施形態による放射受光器における活性領域それぞれの応答性を、入射する放射の波長の関数として示す図
【図3】放射受光器の第2の例示的な実施形態の概略的な平面図
【図4A】放射受光器の第3の例示的な実施形態の概略的な平面図
【図4B】放射受光器の第3の例示的な実施形態の概略的な断面図
【図5A】カラーセンサの第1の例示的な実施形態の概略図
【図5B】カラーセンサの第2の例示的な実施形態の概略図
【図6A】放射受光器を製造する方法の第1の例示的な実施形態を、断面で概略的に示した中間ステップによって示す図
【図6B】放射受光器を製造する方法の第1の例示的な実施形態を、断面で概略的に示した中間ステップによって示す図
【図6C】放射受光器を製造する方法の第1の例示的な実施形態を、断面で概略的に示した中間ステップによって示す図
【図6D】放射受光器を製造する方法の第1の例示的な実施形態を、断面で概略的に示した中間ステップによって示す図
【図6E】放射受光器を製造する方法の第1の例示的な実施形態を、断面で概略的に示した中間ステップによって示す図
【図6F】放射受光器を製造する方法の第1の例示的な実施形態を、断面で概略的に示した中間ステップによって示す図
【発明を実施するための形態】
【0058】
図面において、同じ要素、類似する要素、および機能が同じ要素には、同じ参照数字を付してある。
【0059】
図面はいずれも概略図であり、したがって、必ずしも正しい縮尺ではない。むしろ、比較的小さい要素と、特に層の厚さは、説明のため誇張して大きな縮尺で示してある。
【0060】
図1は、半導体ボディ2を備えている放射受光器1の第1の例示的な実施形態を示している。半導体ボディ2は、第1の活性領域210と、第2の活性領域220と、第3の活性領域230とを備えている。第3の活性領域は、第1の活性領域とは反対の第2の活性領域の側に配置されている。
【0061】
半導体ボディを上から見たとき、活性領域は部分的に重なっている。第1の活性領域210は、第2の活性領域220を一部分のみ覆っている。さらに、第2の活性領域220は、第3の活性領域230を一部分のみ覆っている。
【0062】
第1の活性領域210は、放射入射主方向において第2の活性領域220の上流に配置されている。さらに、第2の活性領域220は、この方向において第3の活性領域230の上流に配置されている。
【0063】
隣接する2つの活性領域の間、すなわち、第1の活性領域210と第2の活性領域220との間と、第2の活性領域220と第3の活性領域230との間には、それぞれ、トンネル領域24およびさらなるトンネル領域25が配置されている。
【0064】
トンネル領域24は、少なくとも一部分が活性領域210よりも横方向に突き出している。トンネル領域24およびさらなるトンネル領域25の上には、それぞれ、ランド31およびさらなるランド32が配置されている。これらのランドおよびさらなるランドは、トンネル領域が間に配置されているそれぞれの活性領域の間において、半導体ボディ2に外部から電気的に接触する目的で設けられている。
【0065】
ランドは、導電性であることが有利であり、金属(例えば、Au、Ti、Ni、Pt、Ag、Rh、またはAl)あるいは金属合金(特にこれらの金属の少なくとも1つを有する金属合金)を含んでいる、もしくは、このような金属またはこのような金属合金から成ることができる。さらには、ランドを多層構造とすることもできる。
【0066】
上部のランド30は、トンネル領域24とは反対の、第1の活性領域210の側に配置されている。さらに、下部のランド33は、第2の活性領域220とは反対の、第3の活性領域230の側に配置されている。したがって、各活性領域は、各側にランドを備えており、これによって、放射受光器1の動作時に活性領域それぞれにおいて生成される信号に、活性領域の両側において外部からアクセスすることができる。
【0067】
半導体ボディ2は、放射入射主面10を備えており、この面は階段状構造である。活性領域それぞれに階段面が関連付けられており、各活性領域に入射する放射は、これらの階段面によって半導体ボディ2に取り込まれる。階段面のそれぞれは、横方向に、かつ互いに平行に延在している。
【0068】
第1の階段面11は第1の活性領域210に関連付けられており、第2の階段面12は第2の活性領域220に関連付けられており、第3の階段面13は第3の活性領域230に関連付けられている。垂直方向において、すなわち、半導体ボディ2の半導体層の主延在面に垂直な方向において、階段面のそれぞれは、互いに段差をなすように配置されている。横方向においては、階段面は重なることなく延在している。
【0069】
隣接する2つの活性領域の間それぞれに、1つの階段面が形成されている。このようにすることで、第3の活性領域230に入射する放射を、例えば階段面13を介して取り込むことができ、したがって、この放射は上流の活性領域210,220を通過しなくてよい。このようにすることで、半導体ボディ2の活性領域を、活性領域それぞれの所定の分光感度特性に、おおむね互いに独立して適合させることができる。したがって、活性領域の分光感度は、活性領域それぞれの上流にオプションとして配置されるさらなる活性領域とは無関係である、または少なくともおおむね無関係である。
【0070】
個々の活性領域210,220,230の感度は、放射入射主面10全体に対する階段面11,12,13それぞれの面積の比率によって、互いに同程度にする、特に、互いに適合させることができる。
【0071】
活性領域210,220,230は、それぞれ、バリア層211,221,231と対向バリア層212,222,232との間に配置されており、各バリア層は、関連付けられている活性領域の上流に配置されている。
【0072】
活性領域210,220,230は、真性または非ドープ構造とすることができる。このようにすることで、活性領域の中で生じる電子正孔対が互いに分離し、それぞれのバリア層または対向バリア層を介してそれぞれのランド30,31,32,33に達することができる。
【0073】
バリア層のそれぞれは、p型導電性にドープされており、対向バリア層のそれぞれは、n型導電性にドープされている。このようにすることで、放射受光器を、モノリシックに集積化されたスタック型PINダイオードとして構築することができ、各ダイオードには、活性領域の各側におけるランドによって外部から電気的に接触することができる。
【0074】
トンネル領域24およびさらなるトンネル領域25は、それぞれ、第1のトンネル層241および第1のさらなるトンネル層251と、第2のトンネル層242および第2のさらなるトンネル層252とを備えており、これらのトンネル層は互いに異なる導電型を有する。第1のトンネル層241,251のそれぞれは、最も近くに位置している対向バリア層212,222と同じドーピングを示し、第2のトンネル層242,252のそれぞれは、最も近くに位置しているバリア層221,231と同じドーピングを示す。
【0075】
したがって、これにより、トンネル領域24の両側またはさらなるトンネル領域25の両側からの電荷キャリアが、それぞれ、ランド31またはさらなるランド32に容易に達する。
【0076】
3つの活性領域からの信号には、トンネル領域24,25によって合計4つのランドを介して外部からアクセスすることができる。例えば、第1の領域210からの電荷キャリアは、トンネル領域24を介してランド31に達することができ、ランド31において、特に、対向バリア層212を通じて取り出すことができ、同様に、第2の活性領域220からの電荷キャリアは、特に、対向バリア層222を通じて取り出すことができる。したがって、2つの活性領域の間にバリア層および対向バリア層のための個別のランドが必要ない。バリア層および対向バリア層を、例えば異なるエッチング深さまでの2回の個別のエッチングステップによって個別に露出させるステップを省くことができる。これによって、特に、必要なエッチングステップの数を減らすことができる。
【0077】
このように、トンネル領域24,25によって、ランドの数とエッチングステップの数の両方を減らすことができる。これによって、放射受光器1の製造が単純化され、これにより製造不良の危険性が減少する。さらには、ランドによって隠れる放射受光器の表面積の比率が減少する。このようにすることで、放射を放射受光器に良好に取り込むことができる。
【0078】
トンネル層241,242,251,252のそれぞれは、高濃度でドープすることができ、例えば少なくとも1×1019cm−3、特に、少なくとも1×1020cm−3のドーピング濃度を有する。
【0079】
ドープ濃度が高い結果として、トンネル層は比較的高い横伝導度(transverse conductivity)を有する。したがって、電子正孔対の生成によって活性領域において解放される電荷キャリアが、トンネル領域、具体的にはトンネル層によって、ランド31またはさらなるランド32に容易に供給される。発生する電流は、特に、数マイクロアンペアのオーダーである。
【0080】
半導体ボディ2の外側に形成される追加のコンタクトフィンガ構造を省くことができる。したがって、放射受光器の製造が単純化される。しかしながら、オプションとして、このようなコンタクトフィンガ構造をさらに設けることもできる。
【0081】
トンネル領域24の第1のトンネル層241と、さらなるトンネル領域25の第1のさらなるトンネル層251は、同じ導電型を有する。したがって、ランド31またはランド32のそれぞれへのオーミック接続を、同じ構造のランドによって達成することができる。したがって、活性領域の間での半導体ボディ2への外部からの電気的接触が単純化される。
【0082】
受動領域、すなわち、第1の受動領域213、第2の受動領域223、第3の受動領域233は、それぞれ、活性領域210,220,230の上流に配置されている。受動領域213,223,233は、それぞれ、隣接するバリア層211,221,231と同じドーピングを有する。
【0083】
受動領域における吸収は、活性領域210,220,230の場合とは異なり、その結果として信号は生成されない、または少なくとも著しくは生成されない。したがって、受動領域のそれぞれは、半導体ボディにモノリシックに集積化されているフィルタ層の機能を果たすことができる。受動領域における意図的な吸収の結果として、それぞれに関連付けられている活性領域の分光感度を調整することができる。したがって、活性領域の検出範囲のスペクトル分離が単純化される。
【0084】
図示した例示的な実施形態とは異なる形態として、受動層を省くこともできる。
【0085】
さらに、説明した例示的な実施形態とは異なり、半導体層、特に、バリア層、対向バリア層、トンネル層、および受動領域を、それぞれの導電型に関して逆にする、すなわちn型導電性にドープされる半導体層をp型導電性にドープし、p型導電性にドープされる半導体層をn型導電性にドープすることもできる。
【0086】
さらには、活性領域を、pn接合部に生じうる空間電荷ゾーンによって形成することもできる。それぞれのバリア層と対応する対向バリア層との間の、個別の真性層または非ドープ層が必要ない。
【0087】
さらには、本放射受光器は、2つの活性領域、または4つ以上の活性領域を備えていることもできる。
【0088】
さらには、放射入射主面の階段状構造を省くことも可能である。この場合、共通の、特に、分割されていない放射入射面を主として介して放射を活性領域に取り込むことができる。したがって、同じサイズの半導体ボディにおいて、各活性領域のうち放射を取り込むために利用できる面積を、階段状構造の場合よりも大きくすることが可能である。活性領域への接触については、それぞれのトンネル領域を露出させ、露出したトンネル領域の上にランドを形成する目的で、上流の活性領域を比較的小さい領域のみ除去することができる。このような形状構造は、検出のために供給される放射のうち、各活性領域の上流の層(例えば上流の別の活性領域、または上流のトンネル領域)において吸収される割合が十分に小さいならば、特に有利である。
【0089】
図示した例示的な実施形態とは異なり、半導体ボディ2を支持体の上に配置することができる。この支持体は、例えば、半導体ボディ2の半導体層のための成長基板によって形成することができる。成長基板を部分的に除去する、または部分的に薄くすることができる。下部のランドは、半導体ボディ2とは反対側の成長基板の面の上に配置することができる。
【0090】
放射受光器の上述した構造は、互いに異なる検出スペクトル範囲それぞれに対して1つの信号を生成するカラーセンサに特に適している。検出範囲は、特に、紫外、可視、または赤外スペクトル範囲内とすることができる。
【0091】
半導体ボディ2、特に活性領域210,220,230は、III−V族化合物半導体材料をベースとすることができる。
【0092】
可視スペクトル範囲内、例えば三色(例:赤色、緑色、および青色のスペクトル範囲内)の放射を検出するためには、リン化物化合物半導体、特に、AlGaIn1−n−mP(0≦n≦1、0≦m≦1、n+m≦1)をベースとする活性領域が特に適している。活性領域210,220,230、およびオプションとして、関連付けられる受動領域213,223,233の材料組成を適切に選択することによって、放射受光器の分光感度を広い制限範囲内で調整することができる。
【0093】
図2は、図1に関連して説明した構造を有する放射受光器の分光感度の例を示している。図示した曲線621,622,623は、それぞれ、青色、緑色、赤色のスペクトル範囲における検出器の応答性を、放射受光器に入射する放射の真空中波長λの関数として示している。
【0094】
比較として、曲線620は、人間の目の分光感度分布を示している(Vλ−曲線)。
【0095】
青色の放射を検出するために設けられている第1の活性領域は、AlInPをベースとしている。この第1の活性領域210には、GaPをベースとしている受動領域213が関連付けられている。第1の活性領域のピーク波長は、約470nmである。
【0096】
緑色の波長範囲内の放射を検出するために設けられている第2の活性領域220は、AlGaInPをベースとしており、アルミニウム含有量n=0.5である。この活性領域の上流には、AlGaInPをベースとしておりアルミニウム含有量n=0.80である受動領域223が配置されている。第2の活性領域のピーク波長は、約530nmである。
【0097】
赤色の放射を検出するために設けられている第3の活性領域230は、GaInPをベースとしている。関連付けられている受動領域233は、AlGaInPをベースとしておりアルミニウム含有量n=0.30である。第3の活性領域のピーク波長は、約640nmである。
【0098】
受動領域のそれぞれは、関連付けられている活性領域のバンドギャップより大きいバンドギャップを備えている。したがって、それぞれの応答スペクトルの短波エッジ部を、関連付けられている受動領域における、より短い波長の放射の吸収によって意図的に調整することができる。
【0099】
図2は、さらに、活性領域210,220,230の検出スペクトル範囲が、比較的わずかに重なっているのみであることも示している。検出スペクトル範囲のそれぞれは狭帯域構造であり、隣り合う2つのピーク波長の間のスペクトル距離は、これらの検出範囲に対応する最大値の1/2における半幅の合計よりも大きい。
【0100】
説明した例示的な実施形態とは異なり、活性領域のピーク波長は、放射入射主方向に高くなっていなくてもよい。そうではなく、少なくとも1つの活性領域の上流に、より高いピーク波長を有する別の活性領域を配置することができる。
【0101】
トンネル領域24,25は、この場合、AlGa1−xAs(0≦x≦1)をベースとすることができる。リン化物半導体層のすべて、または少なくともいくつかの材料組成は、これらの層がヒ化物のトンネル領域と格子整合するように、または少なくともおおむね格子整合するように、選択することができる。これを目的として、リン化物半導体層は、約50%のインジウム含有量を有することができる。
【0102】
図3は、放射受光器1の第2の例示的な実施形態の概略的な平面図である。この放射受光器は、垂直方向には、図1に関連して説明したような構造とすることができる。
【0103】
放射入射主面10は階段状であり、第1の階段面11と、第2の階段面12と、第3の階段面13とを備えている。これらの階段面を通じて、各階段面に関連付けられている活性領域に放射を取り込むことができる。
【0104】
階段面は、同一平面内において見ると互いに隣接して配置されている。1つの階段面の任意の2点を結ぶ線は、別の階段面を通らない。これらの階段面は、比較的単純な別の幾何学的基本形状、特に、多角形(例えば、三角形または四角形の基本形状)を有することもできる。
【0105】
階段面は、特に、階段面の間の境界線の合計が最小となるような形状とすることができる。このようにすることで、境界面に発生する漏れ電流の危険性と、それに関連しての放射受光器の感度の低下とを、おおむね最小化することができる。
【0106】
図4Aおよび図4Bは、放射受光器の第3の例示的な実施形態を、概略的な平面図と、線AA’に沿っての対応する断面図として示している。半導体ボディ2の多層構造は、図1および図2に関連して説明した構造とすることができる。説明を簡潔にする目的で、図4Bに示した断面図には、受動領域を示していない。しかしながら、図1および図2に関連して説明したような構造として受動領域を設けることができる。
【0107】
この例示的な実施形態においては、図3に示した例示的な実施形態とは異なり、階段面は、放射入射主面10の全体にわたり高い一様性で分布しているように配置されている。この配置によって、特に、放射受光器1への照射が空間的に一様ではない場合、高い信頼性の信号の生成が単純化される。図3に関連して説明した例示的な実施形態よりも製造工程を大幅に増大させることなく、空間的一様性が向上した感度分布を達成することができる。
【0108】
第1の活性領域210に関連付けられている第1の階段面11は、連続的な構造である。このようにすることで、第1の活性領域において生成される信号を、上部のランド30を介してより単純に取り出すことができる。
【0109】
第2の活性領域220に関連付けられている第2の階段面12は、放射入射主面10の内側領域において第1の階段面11を囲んでいる。言い換えれば、第2の階段面は第1の階段面に隣接している。したがって、第1の階段面と第2の階段面の両方によって形成される領域は、連続的である。したがって、第1のランド31による放射受光器への外部からの接触が、単純化される。さらには、放射受光器の製造時、階段面を形成するうえでのより大きな製造公差が達成される。
【0110】
第3の活性領域230に関連付けられている第3の階段面13は、第1の活性領域に関連付けられている第1の階段面11の中に少なくとも部分的に入り込んでいる。第3の階段面13は、連続的な構造でなくてもよい。代わりに、第3の階段面13は、島状の部分領域を備えていることができ、なぜなら、第3の階段面13の島状領域を形成する場合でも、さらなるトンネル層25を切除しなくてよいためである。
【0111】
したがって、放射入射主面10の全体にわたり活性領域210,220,230の感度を空間的に一様に分布させることが単純化される。
【0112】
階段面は、少なくとも部分的に帯状構造とすることができる。特に、少なくとも1つの階段面(例えば、例示的な実施形態に示した第1の階段面11)は、クシ状の構造とすることができる。
【0113】
帯部は、放射受光器の横方向範囲に応じて、8μm〜100μmの間、特に、8μm〜50μm(両端値を含む)の間の幅を有することができる。階段面の2つの隣り合う帯部の間の中心間距離は、この場合、例えば、帯部の幅の2倍とすることができる。帯部の最小幅は、特に、製造公差(例えば、さまざまなフォトリソグラフィステップにおける調整公差、湿式化学製造工程において生じるアンダーカットエッチング)に依存する。
【0114】
図5は、カラーセンサ5の第1の例示的な実施形態を示している。このカラーセンサは放射受光器1を備えており、この放射受光器は、特に、図1〜図4Bに関連して説明したような構造とすることができる。
【0115】
カラーセンサは評価回路4を備えており、この評価回路は、第1の評価ユニット41と、第2の評価ユニット42と、第3の評価ユニット43とを備えている。評価ユニットのそれぞれは、2つのランドに接続されており、これらのランドそれぞれは、活性領域の両側に配置されおり、活性領域の各側における最も近いランドである。例えば、第1の評価ユニット41は、上部のランド30とランド31とに導電接続されている。活性領域のそれぞれは、バイアス電圧によって、または光起電力によって動作させることができる。活性領域の信号は、順々に、または並列に取り出すことができる。
【0116】
各評価ユニットは、それぞれ1つのカラーチャネルの信号を出力するように意図されている。
【0117】
図5Bは、カラーセンサの第2の例示的な実施形態を示している。図5Aに関連して説明したカラーセンサとは異なり、評価ユニット41,42,43は、基準コンタクトとしての共通のランドに導電接続されている。図示した例示的な実施形態においては、共通の電気的ランド(electrical land)は上部のランド30である。
【0118】
この場合、活性領域210,220,230は、トンネル領域24,25によって電気的に直列に接続されている。各カラーチャネルの対応する信号は、ランドにおいて取り出される信号から、評価ユニットによって(例えば微分などの算術演算によって)生成することができる。
【0119】
放射受光器を製造する方法の例示的な一実施形態は、図6A〜図6Fに示した中間ステップによって断面図として概略的に示してある。
【0120】
図6Aに示したように、半導体積層体を有する半導体ボディ2を形成する。半導体ボディの半導体積層体は、成長基板20の上に、例えばMBEまたはMOVPEを使用してエピタキシャルに形成させることができる。半導体積層体は、図1に関連した説明した構造とすることができる。
【0121】
図示した方法は、個々の放射受光器の製造を簡潔に説明することを目的としているにすぎない。当然ながら、説明する方法において、複数の放射受光器をまとめて製造し、以降に個片化することができる。個片化は、例えば、機械的に(例えば、ソーイング、切断、または破断(breaking)によって)あるいは化学的に(例えば湿式化学エッチングまたは乾式化学エッチングによって)、行うことができる。レーザー分離法も使用することができる。
【0122】
図6Bに示したように、第1の活性領域210と第2の活性領域220との間に配置されているトンネル領域24を、部分的に露出させる。このステップは、トンネル領域の上の半導体層の材料を、部分的に、特に、第1の活性領域210から除去することによって行う。
【0123】
材料は、特に、湿式化学エッチングによって除去することができる。この場合、トンネル領域24は、エッチング停止層としての役割を果たすような構造とすることができる。例えば、リン化物半導体材料およびヒ化物半導体材料は、湿式化学エッチング工程に関して高い選択性を示す。例えば、塩化水素(HCl)を使用してのエッチングでは、リン化物半導体材料が効果的に除去され、ヒ化物材料において高い選択性をもって停止する。
【0124】
次に、図6Cに示したように、第2の活性領域220と第3の活性領域230との間に配置されているさらなるトンネル領域25を、部分的に露出させる。このステップは、図6Bに関連して説明したように行うことができる。
【0125】
次に、トンネル領域24またはさらなるトンネル領域25の露出した領域のそれぞれに、ランドを形成する。このステップは、共通の形成工程において行うことができ、そのためには例えば蒸着またはスパッタリングが適している。多層構造のランドを設けることもできる。さらには、第1の活性領域210に関連付けられている受動領域213の上に上部のランド30を形成する。このステップは、ランド31およびさらなるランド32と一緒に行う、または個別の形成ステップによって行うことができる。
【0126】
図6Eに示したように、トンネル領域24およびさらなるトンネル領域25を部分的に除去する。このようにすることで、活性領域220,230にそれぞれ関連付けられている受動領域223,233を露出させることができる。したがって、トンネル領域を、それより下の活性領域において検出される放射に関する吸収体として構成することができる。
【0127】
トンネル領域が、それより下の活性領域において検出される放射に対して透過性であるような構造である場合、トンネル領域を部分的に除去するこのステップを省くことが可能である。
【0128】
図6Fに示したように、成長基板20を除去する。これによって露出した半導体ボディの面の上に底部のランド33を形成する。底部のランドは、ランド30,31,32に関連して説明したように形成することができる。
【0129】
さらには、半導体ボディに、少なくとも部分的に保護層(明示的には図示していない)を設けることができる。保護層は、特に、半導体ボディのうち露出している側面を覆うことができる。保護層は、例えば、酸化物(例:酸化ケイ素、酸化チタン)、窒化物(例:窒化ケイ素)、または窒酸化物(例:窒酸化シリコン)を含んでいることができる。
【0130】
図示した例示的な実施形態とは異なり、本放射受光器は、少なくとも部分的に成長基板20を保持することもできる。さらには、成長基板20を、特に、部分的にのみ除去する、または、表面全体もしくは部分的に薄くすることもできる。さらには、本製造ステップは、有利であるならば説明した順序とは異なる順序で実行することもできる。
【0131】
ここまで、例示的な実施形態を参照しながら本発明について説明してきたが、本発明はこれらの実施形態に制限されない。本発明は、任意の新規の特徴と、特徴の任意の組合せ(特に、請求項における特徴の任意の組合せを含む)を包含しており、これらの特徴またはその組合せは、それ自体が請求項または例示的な実施形態に明示的に記載されていない場合でも本発明に含まれる。
【0132】
本特許出願は、独国特許出願第102008006987.6号の優先権を主張し、この文書の開示内容は参照によって本願に組み込まれている。


【特許請求の範囲】
【請求項1】
放射を検出するためにそれぞれ設けられている第1の活性領域(210)および第2の活性領域(220)を備えている半導体ボディ(2)を有し、
− 前記第1の活性領域(210)および前記第2の活性領域(220)が垂直方向に互いに隔てられ、
− 前記第1の活性領域(210)と前記第2の活性領域(220)との間にトンネル領域(24)が配置され、
− 前記トンネル領域(24)がランド(31)に導電接続され、
− 前記ランドが、前記半導体ボディ(2)に外部から電気的に接触するために、前記第1の活性領域(210)と前記第2の活性領域(220)との間に設けられている、
放射受光器。
【請求項2】
前記半導体ボディ(2)が、前記第1の活性領域(210)とは反対の、前記第2の活性領域(220)の側に、第3の活性領域(230)を備え、
さらなるトンネル領域(25)が、前記第2の活性領域(220)と前記第3の活性領域(230)との間に配置され、さらなるランド(32)に導電接続されている、
請求項1に記載の放射受光器。
【請求項3】
前記トンネル領域(24)が、相互に異なる導電型を有する2つのトンネル層(241,242)を備えている、
請求項1または2に記載の放射受光器。
【請求項4】
前記半導体ボディ(2)の放射入射主面(10)が階段状構造であり、
前記放射入射主面(10)の1つの階段面(11,12,13)が活性領域(210,220,230)のそれぞれに関連付けられ、
階段面(11,12,13)のそれぞれが、隣接する2つの活性領域(210,220,230)の間に形成されている、
請求項1〜3のいずれか1項に記載の放射受光器。
【請求項5】
上から見たときに、少なくとも2つの階段面(11,12,13)が二次元的に横に並んで配置されている、
請求項4に記載の放射受光器。
【請求項6】
上から見たときに、少なくとも2つの階段面(11,12,13)が部分的に互いに交わっている、
請求項4に記載の放射受光器。
【請求項7】
前記第1の活性領域(210)が、放射入射主方向において前記第2の活性領域(220)の上流に配置され、
前記第1の活性領域(210)に関連付けられている前記第1の階段面(11)が連続的な構造である、
請求項1〜6のいずれか1項に記載の放射受光器。
【請求項8】
前記活性領域(210,220,230)のそれぞれが、ピーク波長にて最大の検出値を呈し、
前記ピーク波長が互いに隔てられ、
前記ピーク波長が前記放射入射主方向に高くなっている、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の放射受光器。
【請求項9】
前記活性領域(210,220,230)のそれぞれが、ピーク波長にて最大の検出値を備え、
前記ピーク波長が互いに隔てられ、
少なくとも1つの活性領域(210,220,230)が、前記放射入射主方向において上流に配置されている活性領域(210,220,230)よりも低いピーク波長を有する、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の放射受光器。
【請求項10】
前記活性領域(210,220,230)の少なくとも1つの上流に受動領域(213,223,233)が配置され、
前記受動領域が、その活性領域(210,220,230)に関連付けられている検出スペクトル範囲の短波エッジ部を形成するために設けられている、
請求項1〜9のいずれか1項に記載の放射受光器。
【請求項11】
前記活性領域(210,220,230)の少なくとも1つがIII−V族化合物半導体材料を含んでいる、
請求項1〜10のいずれか1項に記載の放射受光器。
【請求項12】
カラーセンサ(5)における動作のために設けられ、
前記カラーセンサ(5)が複数のカラーチャネルを備えている、
請求項1〜11のいずれか1項に記載の放射受光器。
【請求項13】
放射受光器(1)を製造する方法であって、
(a)第1の活性領域(210)および第2の活性領域(220)を備えている半導体ボディ(2)であって、前記活性領域(210,220)のそれぞれが、放射を検出するために設けられ、前記第1の活性領域(210)と前記第2の活性領域(220)との間にトンネル領域(24)が配置されている、半導体ボディ(2)を形成するステップと、
(b)前記第1の活性領域(210)を部分的に除去し、前記トンネル領域(24)を露出させるステップと、
(c)前記トンネル領域(24)の上にランドを形成するステップと、
(d)前記放射受光器(1)を完成させるステップと、
を含んでいる、方法。
【請求項14】
前記半導体ボディ(2)が成長基板(20)の上にエピタキシャルに形成する、
請求項13に記載の方法。
【請求項15】
請求項1〜12のいずれか1項に記載の放射受光器(1)が製造される、
請求項13または14に記載の方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【図6E】
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【図6F】
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【公表番号】特表2011−511443(P2011−511443A)
【公表日】平成23年4月7日(2011.4.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−544569(P2010−544569)
【出願日】平成20年12月17日(2008.12.17)
【国際出願番号】PCT/DE2008/002126
【国際公開番号】WO2009/094966
【国際公開日】平成21年8月6日(2009.8.6)
【出願人】(599133716)オスラム オプト セミコンダクターズ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (586)
【氏名又は名称原語表記】Osram Opto Semiconductors GmbH
【住所又は居所原語表記】Leibnizstrasse 4, D−93055 Regensburg, Germany
【Fターム(参考)】