説明

放射線画像撮影装置および放射線画像撮影システム

【課題】放射線画像撮影で取得された画像データを圧縮する際の圧縮率を向上させることが可能な放射線画像撮影装置および放射線画像撮影システムを提供する。
【解決手段】放射線画像撮影装置1は、圧縮間引き画像用データを作成する場合、1画像分データに対して所定の割合で信号線方向に間引き処理を行うことにより間引き画像用データを作成し、当該間引き画像用データを構成する各画像データについて走査線方向の差分データを作成し、当該差分データに対して圧縮処理を行う。また、圧縮1画像分データを作成する場合、1画像分データを構成する各画像データについて信号線方向の差分データを作成し、当該差分データに対して圧縮処理を行う。また、圧縮残り画像用データを作成する、間引き処理後の残り画像用データを構成する各画像データについて信号線方向の差分データを作成し、当該差分データに対して圧縮処理を行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、放射線画像撮影装置および放射線画像撮影システムに関する。
【背景技術】
【0002】
病気診断等を目的として、X線画像に代表される放射線を用いて撮影された放射線画像が広く用いられている。こうした医療用の放射線画像は、従来からスクリーンフィルムを用いて撮影されていたが、放射線画像のデジタル化を図るために輝尽性蛍光体シートを用いたCR(Computed Radiography)装置が開発され、最近では、照射された放射線を、二次元状に配置された放射線検出素子で検出して、デジタル画像データとして取得する放射線画像撮影装置が開発されている。
【0003】
このような放射線画像撮影装置としては、照射されたX線等の放射線の線量に応じて検出素子で電荷を発生させて電気信号に変換するいわゆる直接型の放射線画像撮影装置や、照射された放射線をシンチレータ等で可視光等の他の波長の電磁波に変換した後、変換された電磁波のエネルギーに応じてフォトダイオード等の光電変換素子で電荷を発生させて電気信号に変換するいわゆる間接型の放射線画像撮影装置が種々開発されている。なお、本発明では、直接型の放射線画像撮影装置における検出素子や、間接型の放射線画像撮影装置における光電変換素子を、あわせて放射線検出素子という。
【0004】
このタイプの放射線画像撮影装置は、FPD(Flat Panel Detector)として知られており、従来は支持台(或いはブッキー装置)と一体的に形成されていたが(例えば特許文献1参照)、近年、放射線検出素子等を筐体内に収納して持ち運びできるようにした可搬型の放射線画像撮影装置が開発され、実用化されている(例えば特許文献2、3参照)。
【0005】
ところで、このような放射線画像撮影装置では、複数の放射線検出素子が二次元状(マトリクス状)に配列されて検出部が形成されるが、その際、放射線検出素子の数(すなわち画素数)は、通常、数百万〜数千万画素或いはそれ以上の画素数にのぼる。そのため、各放射線検出素子から読み出された画像データを外部装置に圧縮せずに転送すると、転送時間が長くなる。また、バッテリが内蔵された可搬型の放射線画像撮影装置では、画像データの転送時間が長くなると、転送の際に消費される電力が大きくなり、バッテリの消耗につながる。
【0006】
そこで、読み出された画像データは、通常、可逆圧縮(ロスレス圧縮ともいう。)や非可逆圧縮(不可逆圧縮ともいう。)などのデータ圧縮方法で圧縮されて、コンソールやサーバなどの外部装置に転送される。
そして、例えば、放射線画像撮影装置により撮影された放射線画像を診断等に用いる医療用の画像として用いる場合には、画像データを圧縮するデータ圧縮方法として、一般的に、圧縮により画像データが有する情報の一部が失われてしまう非可逆圧縮の方法よりも圧縮前の画像データと復元後の画像データとが完全に一致するように圧縮を行う可逆圧縮の方法が採用されることが好ましいと考えられている。
【0007】
ところが、上記可逆圧縮方式を採用する場合でも、各画像データのばらつきがある場合には十分な圧縮が行われず、圧縮処理時間の短縮、データ転送時間の短縮等が十分に図れない場合があった。
また、放射線画像撮影装置の放射線検出素子の中には、製造当初から異常な検出値を出力するものが存在する場合があり、この異常な検出値が画像データの効率的な圧縮の妨げとなっていた。
そこで、予め異常な検出値を示す放射線検出素子の位置情報を欠陥画素マップとして記憶しておき、放射線画像撮影時において、異常な検出値を示す放射線検出素子についてはその検出値を採用せず、その周囲の放射線検出素子の検出値から補間処理により求めた検出値を採用する放射線画像撮影装置が開発されている。これにより、放射線検出素子の異常による影響を排除し、画像データのばらつきの解消が図られている(例えば特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平9−73144号公報
【特許文献2】特開2006−058124号公報
【特許文献3】特開平6−342099号公報
【特許文献4】特開2009−172078号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、画像データを単純に可逆圧縮するだけでは圧縮率を向上させ難いという問題がある。
このことを説明するために、まず、放射線画像撮影システムにおける画像データに対する処理および放射線画像の表示に関する処理の一例について図21のフローチャートを参照して説明する。
【0010】
放射線画像撮影システムにおいて、放射線画像撮影装置は、読み出し回路によって放射線検出素子から画像データを読み出し(ステップS101)、その読み出された画像データに対して圧縮処理を行って、圧縮画像データを作成し(ステップS102)、当該圧縮画像データをコンソール等の外部装置に転送する(ステップS103)ように構成されていた。
【0011】
そして、コンソール等の外部装置は、放射線画像撮影装置から転送されてきた圧縮画像データを受信すると、当該圧縮画像データに対して伸長処理を行い(ステップS104)、その伸長後の画像データに対してオフセット補正処理を行い(ステップS105)、そのオフセット補正後の画像データに対してゲイン補正処理を行い(ステップS106)、そのゲイン補正後の画像データに対して欠陥画素補正処理を行い(ステップS107)、そして、その欠陥画素補正後の画像データに対して所定の表示処理を行って(ステップS108)、当該画像データに基づく放射線画像を表示部に表示する(ステップS109)ように構成されていた。
【0012】
ところで、画像データに対して圧縮処理を行って圧縮画像データを作成する処理(ステップS103)では、ハフマン符号化等の可逆圧縮処理の手法が用いられる。ハフマン符号化では、出現頻度の高いデータほど短いハフマンコードを割り当てることによって、全体としてデータの圧縮が行われる。
【0013】
しかしながら、画像データDの出現頻度Fの分布が、例えば図22に示すような分布であったとする。この図22に示す分布では出現頻度Fが比較的高い画像データDの分布範囲が広いため、比較的長いハフマンコードが割り当てられる画像データDが多くなり、圧縮率がさほど上がらないという問題が生じてしまう。
【0014】
また、コンソール等の外部装置は、表示部に、診断等に用いる医療用の放射線画像(診断用放射線画像)等を表示するのに先立って、画像データから所定の割合で画素を間引いた間引き画像をプレビュー用に表示するように構成されている場合がある。
この場合、放射線画像撮影装置1は、例えば、圧縮画像データとして、間引き画像用の画像データをコンソール58に転送した後に、1画像分の全画像データ或いは間引き処理後に残った残りの画像データをコンソール58に転送するように構成されている。
【0015】
本願発明者は、間引き画像用の画像データと、1画像分の全画像データ或いは残りの画像データとについて圧縮率を詳しく解析した結果、放射線画像撮影装置で取得される画像データの圧縮率をより向上させることができる可逆的なデータ圧縮方法を見出すことができた。
【0016】
本発明は、上記の点を鑑みてなされたものであり、放射線画像撮影で取得された画像データを圧縮する際の圧縮率を向上させることが可能な放射線画像撮影装置および放射線画像撮影システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
前記の問題を解決するために、本発明の放射線画像撮影装置は、
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および前記複数の信号線により区画された各領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子とを備える検出部と、
前記各放射線検出素子から前記各信号線を通じて電荷を読み出し、前記放射線検出素子ごとに前記電荷を画像データとして出力する複数の読み出し回路と、
前記複数の読み出し回路から出力された各画像データにより構成される1画像分データに基づいて、圧縮間引き画像用データと圧縮1画像分データとを作成する作成手段と、を備え、
前記作成手段は、
前記圧縮間引き画像用データを作成する場合、前記1画像分データに対して所定の割合で前記信号線の延在方向に間引き処理を行うことにより間引き画像用データを作成し、当該間引き画像用データを構成する各画像データについて前記走査線の延在方向に隣接する前記放射線検出素子から読み出された画像データ同士の差分を算出して差分データを作成し、当該差分データに対して圧縮処理を行うことによって当該圧縮間引き画像用データを作成し、
前記圧縮1画像分データを作成する場合、前記1画像分データを構成する各画像データについて前記信号線の延在方向に隣接する前記放射線検出素子から読み出された画像データ同士の差分を算出して差分データを作成し、当該差分データに対して圧縮処理を行うことによって当該圧縮1画像分データを作成することを特徴とする。
【0018】
また、本発明の放射線画像撮影装置は、
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および前記複数の信号線により区画された各領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子とを備える検出部と、
前記各放射線検出素子から前記各信号線を通じて電荷を読み出し、前記放射線検出素子ごとに前記電荷を画像データとして出力する複数の読み出し回路と、
前記複数の読み出し回路から出力された各画像データにより構成される1画像分データに基づいて、圧縮間引き画像用データと圧縮残り画像用データとを作成する作成手段と、を備え、
前記作成手段は、
前記圧縮間引き画像用データを作成する場合、前記1画像分データに対して所定の割合で前記信号線の延在方向に間引き処理を行うことにより間引き画像用データを作成し、当該間引き画像用データを構成する各画像データについて前記走査線の延在方向に隣接する前記放射線検出素子から読み出された画像データ同士の差分を算出して差分データを作成し、当該差分データに対して圧縮処理を行うことによって当該圧縮間引き画像用データを作成し、
前記圧縮残り画像用データを作成する場合、前記間引き処理後の残り画像用データを構成する各画像データについて前記信号線の延在方向に隣接する前記放射線検出素子から読み出された画像データ同士の差分を算出して差分データを作成し、当該差分データに対して圧縮処理を行うことによって当該圧縮残り画像用データを作成することを特徴とする。
【0019】
また、本発明の放射線画像撮影システムは、
前記作成手段により作成された前記圧縮間引き画像用データと前記圧縮1画像分データとを外部装置に対して転送する転送手段を備える放射線画像撮影装置と、
前記放射線画像撮影装置から前記圧縮間引き画像用データが転送されてきた場合には、当該圧縮間引き画像用データを元の前記差分データに解凍し、当該差分データに基づいて元の前記間引き画像用データを復元し、前記放射線画像撮影装置から前記圧縮1画像分データが転送されてきた場合には、当該圧縮1画像分データを元の前記差分データに解凍し、当該差分データに基づいて元の前記1画像分データを復元するコンソールと、を備えることを特徴とする。
【0020】
また、本発明の放射線画像撮影システムは、
前記作成手段により作成された前記圧縮間引き画像用データと前記圧縮残り画像用データとを外部装置に対して転送する転送手段を備える放射線画像撮影装置と、
前記放射線画像撮影装置から前記圧縮間引き画像用データが転送されてきた場合には、当該圧縮間引き画像用データを元の前記差分データに解凍し、当該差分データに基づいて元の前記間引き画像用データを復元し、前記放射線画像撮影装置から前記圧縮残り画像用データが転送されてきた場合には、当該圧縮残り画像用データを元の前記差分データに解凍し、当該差分データに基づいて元の前記残り画像用データを復元するコンソールと、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明のような方式の放射線画像撮影装置および放射線画像撮影システムによれば、圧縮1画像分データまたは圧縮残り画像用データを作成する場合には、信号線の延在方向の差分データ、すなわち同じ信号線に接続された複数の放射線検出素子から読み出された各画像データの差分データを作成して、その差分データに対し圧縮処理を行い、圧縮間引き画像用データを作成する場合には、走査線の延在方向の差分データ、すなわち同じ走査線に接続された複数の放射線検出素子から読み出された各画像データの差分データを作成して、その差分データに対し圧縮処理を行うように構成した。つまり、作成する圧縮画像データの種類に応じて、信号線の延在方向に差分をとるか、走査線の延在方向に差分をとるかを切り替えるように構成した。
【0022】
そのため、圧縮1画像分データまたは圧縮残り画像用データを作成する場合には、同一の読み出し回路で読み出された各画像データの差分データに対して圧縮処理が行われるので、各読み出し回路の出力特性のばらつきに依存して差分データの分布が広がって圧縮率が低下してしまうことを防止することが可能となるとともに、圧縮間引き画像用データを作成する場合には、互いに隣接する放射線検出素子から読み出された各画像データの差分データに対して圧縮処理が行われるので、放射線検出素子間の距離に依存して差分データの分布が広がって圧縮率が低下してしまうことを防止することが可能となり、放射線画像撮影で取得された画像データの差分データを圧縮する際の圧縮率を的確に向上させることが可能となる。
【0023】
また、差分データを高い圧縮率で圧縮することが可能となることで、転送するデータ量が軽減され、転送時間も短縮されるため、放射線画像撮影装置や放射線画像撮影システム全体の消費電力を低減させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本実施形態に係る放射線画像撮影装置を示す斜視図である。
【図2】図1におけるA−A線に沿う断面図である。
【図3】放射線画像撮影装置の基板の構成を示す平面図である。
【図4】図3の基板上の小領域に形成された放射線検出素子やTFTなどの構成を示す拡大図である。
【図5】図4におけるX−X線に沿う断面図である。
【図6】COFやPCB基板などが取り付けられた基板を説明する側面図である。
【図7】放射線画像撮影装置の等価回路を表すブロック図である。
【図8】検出部を構成する1画素分についての等価回路を表すブロック図である。
【図9】各読み出しICで放射線検出素子から一斉に読み出された画像データがバッファメモリに蓄積された後並べ替えられて記憶手段に送信される状態を説明する図である。
【図10】(A)は1画像分データを説明する図、(B)は間引き画像用データを説明する図、(C)は残り画像用データを説明する図である。
【図11】信号線方向に差分をとる場合を説明する図である。
【図12】レジスタ部の構成、および本実施形態における同じ信号線に接続された信号線方向に隣接する画像データ同士の差分データの作成の仕方を説明する図である。
【図13】走査線のラインL1に接続された各放射線検出素子から読み出された各画像データについて、信号線方向に差分をとる場合を説明する図である。
【図14】(A)〜(C)1つのバッファレジスタを用いて同じ信号線に接続された信号線方向に隣接する画像データ同士の差分データを作成する仕方を説明する図である。
【図15】走査線方向に差分をとる場合を説明する図である。
【図16】レジスタ部の構成、および本実施形態における同じ走査線に接続された走査線方向に隣接する画像データ同士の差分データの作成の仕方を説明する図である。
【図17】(A)〜(C)1つのバッファレジスタを用いて同じ走査線に接続された走査線方向に隣接する画像データ同士の差分データを作成する仕方を説明する図である。
【図18】本実施形態に係る放射線画像撮影システムの全体構成を示す図である。
【図19】放射線画像撮影装置に一様に放射線を照射した場合に得られる差分データの分布であり、1画像分データを構成する各画像データについて走査線方向に差分をとり作成した差分データの分布を示す図である。
【図20】放射線画像撮影装置に一様に放射線を照射した場合に得られる差分データの分布であり、1画像分データを構成する各画像データについて信号線方向に差分を取り作成した差分データの分布を示す図である。
【図21】放射線画像撮影システムにおける、画像データに対する処理および放射線画像の表示に関する処理の一例を説明するためのフローチャートである。
【図22】画像データの出現頻度の分布の一例を示すグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。ただし、本発明を適用可能な実施形態はこれに限定されるものではなく、また、本発明は図示例に限定されるものでもない。
【0026】
なお、以下では、放射線画像撮影装置として、シンチレータ等を備え、照射された放射線を可視光等の他の波長の電磁波に変換して照射し、放射線検出素子で電気信号である画像データに変換する、いわゆる間接型の放射線画像撮影装置について説明するが、本発明は、シンチレータ等を介さずに放射線を放射線検出素子で直接検出する、いわゆる直接型の放射線画像撮影装置に対しても適用することができる。
また、放射線画像撮影装置が可搬型の放射線画像撮影装置である場合について説明するが、本発明は、支持台等と一体的に形成された放射線画像撮影装置に対しても適用することができる。
【0027】
[放射線画像撮影装置]
まず、本実施形態に係る放射線画像撮影装置の構成について説明する。
図1は、本実施形態に係る放射線画像撮影装置の外観斜視図であり、図2は、図1のA−A線に沿う断面図である。
本実施形態に係る放射線画像撮影装置1は、いわゆるフラットパネルディテクタ(以下「FPD」という。)を可搬型に構成したカセッテ型FPDであり、放射線画像撮影に用いられ、放射線を検出して当該放射線の線量に応じた画像データを生成して取得するものである。
放射線画像撮影装置1は、図1や図2に示すように、筐体2内にシンチレータ3や基板4などが収納されて構成されている。
【0028】
筐体2は、少なくとも放射線入射面Rが放射線を透過するカーボン板やプラスチックなどの材料で形成されている。
なお、図1や図2では、筐体2がフレーム板2Aとバック板2Bとで形成された、いわゆる弁当箱型である場合が示されているが、これに限定されることはなく、例えば、筐体2を一体的に角筒状に形成した、いわゆるモノコック型とすることも可能である。
【0029】
図1に示すように、本実施形態においては、筐体2の側面部分に、電源スイッチ36や、LED等で構成されたインジケータ37や、バッテリ41(後述する図7参照)の交換等のために開閉可能とされた蓋部材38などが配置されている。
また、本実施形態においては、蓋部材38の側面部に、画像データ等を、コンソール58(後述する図18参照)等の外部装置に無線で転送するための転送手段であるアンテナ装置39が埋め込まれている。なお、画像データ等を外部装置に有線方式で転送するように構成することも可能であり、その場合は、例えば、転送手段として、ケーブル等を差し込むなどして接続するための接続端子等が放射線画像撮影装置1の側面部等に設けられる。
【0030】
図2に示すように、筐体2の内部には、基板4の下方側に図示しない鉛の薄板等を介して基台31が配置され、基台31には、電子部品32等が配設されたPCB基板33や緩衝部材34などが取り付けられている。なお、本実施形態において、基板4やシンチレータ3の放射線入射面R側には、それらを保護するためのガラス基板35が配設されている。
【0031】
シンチレータ3は、基板4の検出部P(後述)に貼り合わされている。本実施形態において、シンチレータ3は、例えば、蛍光体を主成分とし、放射線の入射を受けると300〜800nmの波長の電磁波、すなわち可視光を中心とした電磁波に変換して出力するものが用いられる。
【0032】
本実施形態において、基板4は、ガラス基板で構成されており、図3に示すように、基板4のシンチレータ3に対向する側の面4a上には、複数の走査線5と複数の信号線6とが互いに交差するように配設されている。基板4の面4a上の複数の走査線5と複数の信号線6とにより区画された各小領域rには、放射線検出素子7がそれぞれ設けられている。
【0033】
このように、走査線5と信号線6とで区画された各小領域rに二次元状に配列された複数の放射線検出素子7が設けられた領域全体、すなわち図3に一点鎖線で示される領域が検出部Pとされている。
【0034】
本実施形態においては、放射線検出素子7としてフォトダイオードが用いられているが、この他にも例えばフォトトランジスタ等を用いることも可能である。
各放射線検出素子7は、図3や図3の拡大図である図4に示すように、スイッチ素子である薄膜トランジスタ(Thin Film Transistor。以下「TFT」という。)8のソース電極8sに接続されている。また、TFT8のドレイン電極8dは信号線6に接続されている。
【0035】
そして、TFT8は、走査駆動手段15(後述)により、接続された走査線5にオン電圧が印加されてゲート電極8gにオン電圧が印加されるとオン状態となり、放射線検出素子7内に蓄積されている電荷を当該放射線検出素子7から信号線6に放出させるように構成されている。
また、TFT8は、接続された走査線5にオフ電圧が印加されてゲート電極8gにオフ電圧が印加されるとオフ状態となり、放射線検出素子7から信号線6への電荷の放出を停止して、放射線検出素子7内で発生した電荷を当該放射線検出素子7内に保持して蓄積させるように構成されている。
【0036】
ここで、本実施形態における放射線検出素子7やTFT8の構造について、図5に示す断面図を用いて簡単に説明する。図5は、図4におけるX−X線に沿う断面図である。
【0037】
図5に示すように、基板4の面4a上には、AlやCrなどからなるTFT8のゲート電極8gが走査線5と一体的に積層されて形成されており、ゲート電極8g上および面4a上に積層された窒化シリコン(SiNx)等からなるゲート絶縁層81上のゲート電極8gの上方部分に、水素化アモルファスシリコン(a−Si)等からなる半導体層82を介して、放射線検出素子7の第1電極74と接続されたソース電極8sと、信号線6と一体的に形成されるドレイン電極8dとが積層されて形成されている。
【0038】
ソース電極8sとドレイン電極8dとは、窒化シリコン(SiNx)等からなる第1パッシベーション層83によって分割されており、さらに第1パッシベーション層83は両電極8s、8dを上側から被覆している。また、半導体層82とソース電極8sやドレイン電極8dとの間には、水素化アモルファスシリコンにVI族元素をドープしてn型に形成されたオーミックコンタクト層84a、84bがそれぞれ積層されている。以上のようにしてTFT8が形成されている。
【0039】
また、放射線検出素子7の部分では、基板4の面4a上にゲート絶縁層81と一体的に形成される絶縁層71の上にAlやCrなどが積層されて補助電極72が形成されており、補助電極72上に第1パッシベーション層83と一体的に形成される絶縁層73を挟んでAlやCrやMoなどからなる第1電極74が積層されている。第1電極74は、第1パッシベーション層83に形成されたホールHを介してTFT8のソース電極8sに接続されている。なお、補助電極72は必ずしも設けられなくてもよい。
【0040】
第1電極74の上には、水素化アモルファスシリコンにVI族元素をドープしてn型に形成されたn層75、水素化アモルファスシリコンで形成された変換層であるi層76、水素化アモルファスシリコンにIII族元素をドープしてp型に形成されたp層77が下方から順に積層されて形成されている。
【0041】
放射線画像撮影装置1に対して照射された放射線が筐体2の放射線入射面Rから入射し、シンチレータ3で可視光等の電磁波に変換され、変換された電磁波が図中上方から照射されると、電磁波は放射線検出素子7のi層76に到達して、i層76内で電子正孔対が発生する。放射線検出素子7は、このようにして、シンチレータ3から照射された電磁波を電荷に変換するようになっている。
【0042】
また、p層77の上には、ITO等の透明電極とされた第2電極78が積層されて形成されており、照射された電磁波がi層76等に到達するように構成されている。本実施形態においては、以上のようにして放射線検出素子7が形成されている。なお、p層77、i層76、n層75の積層の順番は上下逆であってもよい。また、本実施形態においては、放射線検出素子7として、上記のようにp層77、i層76、n層75の順に積層されて形成されたいわゆるpin型の放射線検出素子を用いる場合が説明されているが、これに限定されない。
【0043】
放射線検出素子7の第2電極78の上面には、第2電極78を介して放射線検出素子7にバイアス電圧を印加するバイアス線9が接続されている。なお、放射線検出素子7の第2電極78やバイアス線9、TFT8側に延出された第1電極74、TFT8の第1パッシベーション層83等、すなわち放射線検出素子7とTFT8の上面部分は、その上方側から窒化シリコン(SiNx)等からなる第2パッシベーション層79で被覆されている。
【0044】
図3や図4に示すように、本実施形態においては、それぞれ列状に配置された複数の放射線検出素子7に1本のバイアス線9が接続されており、各バイアス線9はそれぞれ信号線6に平行に配設されている。また、図3に示すように、各バイアス線9は、基板4の検出部Pの外側の位置で結線10に結束されている。
【0045】
また、本実施形態において、各走査線5や各信号線6やバイアス線9の結線10は、それぞれ基板4の端縁部付近に設けられた入出力端子(パッドともいう)11に接続されている。各入出力端子11には、図6に示すように、IC12a等のチップが組み込まれたCOF(Chip On Film)12が、異方性導電接着フィルム(Anisotropic Conductive Film)や異方性導電ペースト(Anisotropic Conductive Paste)等の異方性導電性接着材料13を介して接続されている。
【0046】
また、COF12は、基板4の裏面4b側に引き回され、裏面4b側でPCB基板33に接続されている。このようにして、放射線画像撮影装置1の基板4部分が形成されている。なお、図6では、電子部品32等の図示が省略されている。
【0047】
ここで、放射線画像撮影装置1の回路構成について説明する。
図7は、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1の等価回路を表すブロック図であり、図8は、検出部Pを構成する1画素分についての等価回路を表すブロック図である。
【0048】
前述したように、基板4の検出部Pの各放射線検出素子7は、その第2電極78にそれぞれバイアス線9が接続されており、各バイアス線9は結線10に結束されてバイアス電源14に接続されている。バイアス電源14は、結線10および各バイアス線9を介して各放射線検出素子7の第2電極78にそれぞれバイアス電圧を印加する。
また、バイアス電源14は、制御手段22(後述)に接続されており、制御手段22によって、バイアス電源14から各放射線検出素子7に印加するバイアス電圧が制御されるように構成されている。
【0049】
本実施形態では、バイアス線9の結線10に、結線10(バイアス線9)を流れる電流の電流量を検出する電流検出手段43が設けられている。そして、前述したように、放射線画像撮影装置1に放射線が照射されると各放射線検出素子7のi層76(図5参照)内で電子正孔対が発生し、それがバイアス線9や結線10に流れ出して結線10等に電流が流れるが、電流検出手段43は、その結線10を流れる電流の増減を検出して放射線の照射の開始や終了を検出できるようになっている。なお、電流検出手段43は必ずしも設けられなくてもよい。
【0050】
図7や図8に示すように、本実施形態では、放射線検出素子7のp層77側(図5参照)に第2電極78を介してバイアス線9が接続されていることからも分かるように、バイアス電源14からは、放射線検出素子7の第2電極78にバイアス線9を介してバイアス電圧として放射線検出素子7の第1電極74側にかかる電圧以下の電圧(すなわちいわゆる逆バイアス電圧)が印加されるようになっている。
【0051】
各放射線検出素子7の第1電極74はTFT8のソース電極8s(図7、図8中ではSと表記されている。)に接続されており、各TFT8のゲート電極8g(図7、図8中ではGと表記されている。)は、走査駆動手段15(後述)のゲートドライバ15bから延びる走査線5の各ラインL1〜Lxにそれぞれ接続されている。また、各TFT8のドレイン電極8d(図7、図8中ではDと表記されている。)は各信号線6にそれぞれ接続されている。
【0052】
本実施形態において、走査駆動手段15は、ゲートドライバ15bにオン電圧やオフ電圧を供給する電源回路15aと、走査線5の各ラインL1〜Lxに印加する電圧をオン電圧とオフ電圧の間で切り替えて各TFT8のオン状態とオフ状態とを切り替えるゲートドライバ15bとを備えている。本実施形態において、ゲートドライバ15bには、前述したIC12aが複数並設されて形成されている。
【0053】
各信号線6は、読み出しIC16内に形成された各読み出し回路17にそれぞれ接続されている。なお、読み出しIC16には1本の信号線6に1個ずつ読み出し回路17が設けられている。
【0054】
読み出し回路17は、主に、増幅回路18や相関二重サンプリング(Correlated Double Sampling)回路19などからなる読み出し回路17と、アナログマルチプレクサ21と、A/D変換器20とで構成されている。なお、図7や図8中では、相関二重サンプリング回路19はCDSと表記されている。また、図8中では、アナログマルチプレクサ21は省略されている。
【0055】
本実施形態において、増幅回路18は、チャージアンプ回路で構成されており、オペアンプ18aと、オペアンプ18aにそれぞれ並列に接続されたコンデンサ18bおよび電荷リセット用スイッチ18cとで構成されている。また、増幅回路18には、増幅回路18に電力を供給するための電源供給部18dが接続されている。
【0056】
増幅回路18のオペアンプ18aの入力側の反転入力端子には信号線6が接続されており、増幅回路18の入力側の非反転入力端子には基準電位Vが印加されるように構成されている。
なお、基準電位Vは適宜の値に設定され、本実施形態では、例えば0[V]が印加される。
【0057】
また、増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cは、制御手段22(後述)に接続されており、制御手段22によってオン/オフが制御されるように構成されている。
各放射線検出素子7からの画像データの読み出し処理時に、電荷リセット用スイッチ18cがオフの状態で放射線検出素子7のTFT8がオン状態とされると(すなわち、TFT8のゲート電極8gに走査線5を介して信号読み出し用のオン電圧が印加されると)、当該放射線検出素子7から放出された電荷がコンデンサ18bに流入して蓄積され、蓄積された電荷量に応じた電圧値がオペアンプ18aの出力側から出力されるように構成されている。増幅回路18は、このようにして、各放射線検出素子7から出力された電荷量に応じて電圧値を出力して電荷電圧変換するようになっている。
【0058】
また、電荷リセット用スイッチ18cがオン状態とされると、増幅回路18の入力側と出力側とが短絡されてコンデンサ18bに蓄積された電荷が放電されて、増幅回路18がリセットされるように構成されている。なお、増幅回路18を、放射線検出素子7から出力された電荷に応じて電流を出力するように構成することも可能である。
【0059】
各放射線検出素子7からの画像データの読み出し処理時に、各放射線検出素子7から電荷が読み出され、増幅回路18で電荷電圧変換されて出力された電圧値は、相関二重サンプリング回路19でサンプリング処理されて画像データとして下流側に出力される。そして、相関二重サンプリング回路19から出力された各放射線検出素子7の画像データは、アナログマルチプレクサ21(図7参照)に送信され、アナログマルチプレクサ21から順次A/D変換器20に送信される。そして、A/D変換器20で順次デジタル値の画像データに変換されて記憶手段40に出力されて順次保存される。
【0060】
なお、本実施形態において、各放射線検出素子7からの画像データの読み出し処理の際には、オン電圧が印加される走査線5の各ラインL1〜Lxが順次切り替えられながら、上記のような各放射線検出素子7からの画像データの読み出し処理が行われるようになっている。
【0061】
ここで、本実施形態においては、128本の信号線6を1つの読み出しIC16で処理するように構成されている。
すなわち、1つの読み出しIC16は、主に、各信号線6に対応して128個の読み出し回路17(すなわち、増幅回路18や相関二重サンプリング回路19など)と、1つのアナログマルチプレクサ21と、1つのA/D変換器20とで形成されている。
【0062】
そして、信号線6の本数が、例えば2048本である場合、2048÷128=16個の読み出しIC16が並設されて読み出し部が形成されている。
なお、以下、1つの読み出しIC16内に形成された読み出し回路17の数、すなわち1つの読み出しIC16に接続される信号線6の本数が128であり、信号線6の総本数が2048本であることを前提に説明するが、本発明がこの場合に限定されないことは言うまでもない。
【0063】
図9に示すように、画像データの読み出し処理の際に、例えば走査線5のラインL1にオン電圧が印加されると、走査線5のラインL1に接続された各放射線検出素子7から一斉に画像データが読み出されて、パラレルに各読み出しIC16に送られる。
【0064】
そして、各読み出しIC16中の各読み出し回路17で電荷電圧変換等が行われ、パラレルに送信されてきた128個の画像データを、各読み出しIC16中のアナログマルチプレクサ21でA/D変換器20に順次シリアル転送し、デジタル化された画像データがA/D変換器20から一旦バッファメモリ45に蓄積されるように構成されている。
【0065】
すなわち、画素位置(n,m)の画素に対応する放射線検出素子7を放射線検出素子(n,m)と表し、放射線検出素子(n,m)から読み出された画像データをD(n,m)と表すと、各読み出しIC16から、まず、画像データD(1,1)、D(1,129)、D(1,257)、…、D(1,1921)の各画像データが送信されてバッファメモリ45に蓄積され、続いて、画像データD(1,2)、D(1,130)、D(1,258)、…、D(1,1922)の各画像データが送信されてバッファメモリ45に蓄積される。
【0066】
そして、バッファメモリ45に、走査線5のラインL1に接続された各放射線検出素子(1,1)〜(1,2048)からの各画像データD(1,1)〜D(1,2048)が蓄積されると、各画像データが画像データD(1,1)、D(1,2)、D(1,3)、D(1,4)、…の順に並べ替えられて、記憶手段40に順次送信されて保存されるように構成されている。
【0067】
また、走査線5のラインL1に接続された各放射線検出素子(1,1)〜(1,2048)からの各画像データD(1,1)〜D(1,2048)の読み出し処理が終了すると、続いて、オン電圧が印加される走査線5のラインがL2に切り替えられる。そして、同様にして各画像データD(2,1)〜D(2,2048)が各読み出しIC16ごとにバッファメモリ45に送信されて並べ替えられた後、記憶手段40に順次送信されて保存される。
【0068】
そして、この読み出し処理と記憶手段40への保存処理とが走査線5の各ラインL1〜Lxごとに順次繰り返されて、全ての放射線検出素子7からの画像データの読み出し処理が行われるように構成されている。
【0069】
なお、この画像データの並べ替えの処理は、放射線画像撮影装置1から画像データが転送される外部装置がどのような装置であっても、通常、画像データを画像データD(1,1)、D(1,2)、D(1,3)、D(1,4)、…の順番で転送すれば対応することができるため、画像データの記憶手段40への保存の段階で、汎用的に画像データを上記の順番に並べ替えて保存するための処理である。
【0070】
したがって、予め放射線画像撮影装置1から外部装置に各画像データを転送する順番等を取り決めておくことができる場合には、その取り決めに従って画像データを並べ替えるように構成することが可能である。
【0071】
また、予め放射線画像撮影装置1から外部装置に各画像データを、例えば各読み出しIC16から出力される順に画像データD(1,1)、D(1,129)、…、D(1,1921)、D(1,2)、D(1,130)、…、D(1,1922)、…の順番で転送するように取り決めておけば、各読み出しIC16から出力された画像データを、バッファメモリ45を介さずに直接記憶手段40に順次送信して保存することも可能となる。
【0072】
さらに、上記のような画像データの並べ替えを行う場合、各画像データの記憶手段40への保存の際ではなく、各画像データを記憶手段40から読み出す際に画像データの並べ替えを行うように構成することも可能である。
【0073】
なお、本実施形態では、上記のように各放射線検出素子7から読み出した各画像データを一旦記憶手段40に保存した後、放射線画像撮影装置1から外部装置に転送する際に各画像データ(差分データ)に対する圧縮処理を行う場合について説明するが、各放射線検出素子7から読み出された各画像データを、記憶手段40に保存せずに、或いは記憶手段40への保存と並行して別処理として各画像データ(差分データ)に対して圧縮処理を施して直接転送するように構成することも可能である。
【0074】
制御手段22は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、入出力インターフェース等がバスに接続されたコンピュータや、FPGA(Field Programmable Gate Array)などにより構成されている。なお、制御手段22は、専用の制御回路で構成されていてもよい。
そして、制御手段22は、放射線画像撮影装置1の各機能部の動作等を制御するようになっている。
【0075】
図7等に示すように、制御手段22には、DRAM(Dynamic RAM)等で構成される記憶手段40が接続されている。
また、本実施形態において、制御手段22には、アンテナ装置39が接続されており、さらに、検出部P、走査駆動手段15、読み出し回路17、記憶手段40、バイアス電源14等の各機能部に電力を供給するためのバッテリ41が接続されている。このバッテリ41には、クレードル55(後述する図18参照)等の充電装置からバッテリ41に電力を供給してバッテリ41を充電する際の接続端子42が取り付けられている。
【0076】
前述したように、制御手段22は、バイアス電源14を制御してバイアス電源14から各放射線検出素子7に印加するバイアス電圧を設定したり、読み出し回路17の増幅回路18の電荷リセット用スイッチ18cのオン/オフを制御したり、読み出し回路17の相関二重サンプリング回路19にパルス信号を送信して、そのサンプルホールド機能のオン/オフを制御する等の各種の処理を実行するように構成されている。
【0077】
また、制御手段22は、各放射線検出素子7のリセット処理時や放射線画像撮影後の各放射線検出素子7からの画像データの読み出し時に、走査駆動手段15に対して、走査駆動手段15から各走査線5を介して各TFT8のゲート電極8gに印加する電圧をオン電圧とオフ電圧との間で切り替えさせるためのパルス信号を送信するように構成されている。
【0078】
また、本実施形態において、制御手段22には、少なくとも2つのバッファレジスタを備えたレジスタ部44が接続されており、制御手段22とレジスタ部44とで本発明の作成手段が形成されている。
【0079】
なお、本実施形態においては、制御手段22がFPGAで構成されている場合には、当該FPGAに一体的に設けられたレジスタをレジスタ部44として用いるように構成することも可能であるし、制御手段22がCPU等からなるコンピュータで構成されている場合には、当該コンピュータに既設のレジスタをレジスタ部44として用いるように構成することも可能である。
また、本実施形態では、レジスタ部44に2つのバッファレジスタが設けられているが、これに限定されることはなく、例えば、後述するように1つのバッファレジスタを設けるように構成することも可能であるし、3つ以上のバッファレジスタを設けるように構成することも可能である。
【0080】
<圧縮1画像分データ、圧縮間引き画像用データ、圧縮残り画像用データの作成>
以下、作成手段としての制御手段22による圧縮1画像分データ、圧縮間引き画像用データ、圧縮残り画像用データの作成について説明する。
【0081】
なお、本実施形態では、後述するように、圧縮1画像分データや圧縮間引き画像用データや圧縮残り画像用データを作成した後、そのまま記憶手段40に保存せずにアンテナ装置39から無線方式で外部装置に転送する場合について説明するが、作成した圧縮1画像分データや圧縮間引き画像用データや圧縮残り画像用データを放射線画像撮影装置1の記憶手段40に保存するように構成することも可能である。
【0082】
ここで、圧縮1画像分データとは、図10(A)に示すような、1画像分の全画像データにより構成される、すなわち本実施形態においては画像データD(1,1)〜D(x,2048)により構成される1画像分データを、外部装置に対して転送する際に作成される圧縮画像データである。
【0083】
また、圧縮間引き画像用データとは、図10(B)に示すような、1画像分データに対して所定の割合(本実施形態においては1/4の割合)で信号線6の延在方向(以下「信号線方向」という。)に間引き処理を行うことにより作成された間引き画像用データを、外部装置に対して転送する際に作成される圧縮画像データである。
すなわち、圧縮間引き画像用データとは、走査線5の各ラインL1〜Lxに接続された各放射線検出素子7から出力された各画像データのうち、所定本数のラインおき(本実施形態においては3ラインおき)に走査線5の延在方向(以下「走査線方向」という。)に並ぶ各画像データを抽出する形で作成された間引き画像用データを、外部装置に対して転送する際に作成される圧縮画像データである。
【0084】
また、圧縮残り画像用データとは、図10(C)に示すような、1画像分データのうち間引き処理後に残った残り画像用データを、外部装置に対して転送する際に作成される圧縮データである。
【0085】
<差分>
まず、画像データ同士の差分について説明する。
本実施形態において、画像データは、旧来の銀塩フィルムを用いたアナログ画像に匹敵する程度に細かく階調区分されているため、各画像データがとり得るデータ値のダイナミックレンジ(dynamic range)が非常に大きくなる。
例えば、画像データを216(=65536)階調とした場合、画像データは0〜65535の間の各データ値をとり得る。そのため、画像データに対する圧縮処理の方法として、例えば後述するようにハフマン符号化等の方法を用いた場合、画像データの圧縮率が必ずしも良好な値にならない可能性がある。
【0086】
一方、放射線画像の場合、互いに隣接する放射線検出素子7から読み出された画像データ同士の差分を算出すると、差分の分布は比較的狭い範囲の分布になることが知られている。
そこで、本実施形態においては、互いに隣接する放射線検出素子7から読み出された画像データ同士の差分を算出して差分データを作成し、その差分データに対して圧縮処理を行うこととする。
【0087】
なお、本実施形態においては、後述するように、圧縮1画像分データや圧縮残り画像用データを作成する場合は信号線方向に差分をとり、圧縮間引き画像用データを作成する場合は走査線方向に差分をとるように構成されている。
すなわち、作成する圧縮画像データの種類によって、信号線方向に差分をとるか、走査線方向に差分をとるかを切り替えるように構成されている。
【0088】
<圧縮1画像分データ作成時における差分データの作成>
次に、圧縮1画像分データの作成時における差分データの作成について説明する。
制御手段22は、まず、図11に示すように、記憶手段40から走査線5の各ラインLnの画像データD(n,1)、D(n,2)、D(n,3)、D(n,4)、…を読み出す。次いで、信号線方向の各画像データ、すなわち同じ信号線6に接続された各放射線検出素子7から読み出された各画像データD(1,m)、D(2,m)、D(3,m)、D(4,m)、…に対して、隣接する画像データ同士の差分を算出して差分データを作成し、その差分データに対して圧縮処理を行うように構成されている。なお、図11における縦方向の矢印は、圧縮1画像分データの作成時における差分を行う方向、すなわちこの場合は信号線方向を表す。
【0089】
ここで、本実施形態において、レジスタ部44には、図12に示すように、少なくとも2つのバッファレジスタ44a,44bが設けられており、また、圧縮された各差分データを、アンテナ装置39を介して外部装置に転送する前に一時的に格納するバッファメモリ44cが設けられている。
【0090】
制御手段22は、圧縮1画像分データの作成時における差分データの作成の際には、記憶手段40から、隣接する走査線5の各ラインLn、Ln+1に接続された各放射線検出素子7から読み出された走査線方向に並ぶ各画像データD(n,1)、D(n,2)、D(n,3)、D(n,4)、…、D(n+1,1)、D(n+1,2)、D(n+1,3)、D(n+1,4)、…をそれぞれ読み出してバッファレジスタ44a,44bにそれぞれ一時的に蓄積させる。
【0091】
その後、バッファレジスタの44a,44bの同じ番地の画像データ同士の差分を算出して差分データΔD(n+1,1)、ΔD(n+1,2)、ΔD(n+1,3)、ΔD(n+1,4)、…を作成することで、同じ信号線6に接続された信号線方向に隣接する放射線検出素子7から読み出された画像データ同士の差分データを作成するように構成されている。
【0092】
その際、差分データを作成するために、記憶手段40から毎回隣接する2ライン分の走査線方向に並ぶ各画像データを読み出すように構成すると読み出し制御が面倒なものとなる。
【0093】
そのため、本実施形態において、制御手段22は、隣接する走査線5の各ラインLn、Ln+1に接続された各放射線検出素子7から読み出された走査線方向に並ぶ各画像データ同士の差分データを作成すると、各画像データD(n+1,1)、D(n+1,2)、D(n+1,3)、D(n+1,4)、…をバッファレジスタ44bからバッファレジスタ44aに移し、空になったバッファレジスタ44bに次に隣接する走査線5のラインLn+2の走査線方向に並ぶ各画像データD(n+2,1)、D(n+2,2)、D(n+2,3)、D(n+2,4)、…を蓄積させる。
【0094】
そして、差分データΔD(n+2,1)、ΔD(n+2,2)、ΔD(n+2,3)、ΔD(n+2,4)、…を作成すると、各画像データD(n+2,1)、D(n+2,2)、D(n+2,3)、D(n+2,4)、…をバッファレジスタ44bからバッファレジスタ44aに移し、バッファレジスタ44bに各画像データD(n+3,1)、D(n+3,2)、D(n+3,3)、D(n+3,4)、…を蓄積させる。
このようにして、各画像データをバッファレジスタ44bからバッファレジスタ44aに移し替えながらバッファレジスタ44a,44bの同じ番地の画像データ同士の差分を算出する処理を繰り返して差分データを順次作成していくように構成されている。
【0095】
上記のように構成する場合、走査線5のラインL1に接続された各放射線検出素子7から読み出された走査線方向に並ぶ各画像データD(1,1)、D(1,2)、D(1,3)、D(1,4)、…の差分データΔD(1,1)、ΔD(1,2)、ΔD(1,3)、ΔD(1,4)、…を作成するための基準となるデータが必要となる。そのため、本実施形態においては、予め設定された基準データDc(0,m)、具体的には基準データDc(0,1)、Dc(0,2)、Dc(0,3)、Dc(0,4)、…が、制御手段22が備えるROM等のメモリに予め保存されていることとする。
【0096】
そして、制御手段22は、各差分データΔD(1,1)、ΔD(1,2)、ΔD(1,3)、ΔD(1,4)、…を作成する際には、図13に示すように、メモリから読み出した基準データDc(0,1)、Dc(0,2)、Dc(0,3)、Dc(0,4)、…をバッファレジスタ44aに蓄積させ、記憶手段40から読み出した走査線5のラインL1に接続された各放射線検出素子7から読み出された走査線方向に並ぶ各画像データD(1,1)、D(1,2)、D(1,3)、D(1,4)、…をバッファレジスタ44bに蓄積させて、その差分を算出して差分データΔD(1,1)、ΔD(1,2)、ΔD(1,3)、ΔD(1,4)、…を作成するように構成されている。
【0097】
その際、基準データDc(0,1)、Dc(0,2)、Dc(0,3)、Dc(0,4)、…の各値は、同一の値に設定することも可能であるし、また、互いに異なる値に設定することも可能であり、予め適宜設定される。
【0098】
なお、レジスタ部44にバッファレジスタ44aが1つしか設けられていない場合でも上記と同様の信号線方向に隣接する画像データ同士の差分を算出して差分データを作成するように構成することが可能である。
【0099】
まず、制御手段22は、図14(A)、図14(B)、図14(C)に示すように、隣接する走査線5の各ラインLn、Ln+1に接続された各放射線検出素子7から読み出された走査線方向に並ぶ各画像データのうち、走査線5のラインLnの走査線方向に並ぶ各画像データD(n,1)、D(n,2)、D(n,3)、D(n,4)、…をバッファレジスタ44aに蓄積させる。
【0100】
この状態で、制御手段22は、隣接する走査線5のラインLn+1の走査線方向に並ぶ各画像データD(n+1,1)、D(n+1,2)、D(n+1,3)、D(n+1,4)、…を記憶手段40から順次読み出してきて、それぞれ対応する各画像データD(n,1)、D(n,2)、D(n,3)、D(n,4)、…と順次置換しながらバッファレジスタ44aに蓄積させるが、その際、対応する画像データ同士の差分データを作成してから置換するように構成する。
【0101】
このように構成すれば、バッファレジスタ44aが1つしか設けられていない場合でも、上記と同様にして、同じ信号線6に接続された隣接する放射線検出素子7から読み出された画像データ同士の差分データを作成することが可能となる。
【0102】
また、このようにして差分データが作成され置換されながらバッファレジスタ44aに蓄積された各画像データD(n+1,1)、D(n+1,2)、D(n+1,3)、D(n+1,4)、…が、今度は、続いて記憶手段40から順次読み出された各画像データD(n+2,1)、D(n+2,2)、D(n+2,3)、D(n+2,4)、…に順次差分データが作成されながら置換される。そのため、バッファレジスタ44aが1つしか設けられていない場合でも、各差分データの作成処理を連続して容易に行うことが可能となる。
【0103】
<圧縮間引き画像用データ作成時における差分データの作成>
次に、圧縮間引き画像用データの作成時における差分データの作成について説明する。
圧縮間引き画像用データの作成時には、前述した圧縮1画像分データの作成の場合と異なり、走査線方向に隣接する画像データ同士の差分を算出して差分データを作成する。
【0104】
具体的には、制御手段22は、まず、図15に示すように、記憶手段40から走査線5の各ラインLb(本実施形態においてはb=4a+1。ただし、a=0、1、2、3、…)の画像データD(b,1)、D(b,2)、D(b,3)、D(b,4)、…を読み出す。次いで、走査線方向の各画像データ、すなわち同じ走査線5に接続された各放射線検出素子7から読み出された各画像データD(b,1)、D(b,2)、D(b,3)、D(b,4)、…に対して、隣接する画像データ同士の差分を算出して差分データを作成し、その差分データに対して圧縮処理を行うように構成されている。なお、図15における横方向の矢印は、圧縮間引き画像用データの作成時における差分を行う方向、すなわちこの場合は走査線方向を表す。
【0105】
前述したように、本実施形態において、レジスタ部44には、図16に示すように、少なくとも2つのバッファレジスタ44a,44bが設けられており、また、圧縮された各差分データを、アンテナ装置39を介して外部装置に転送する前に一時的に格納するバッファメモリ44cが設けられている。
【0106】
制御手段22は、圧縮間引き画像用データの作成時における差分データの作成の際には、まず、予め設定された基準データDc(b,0)をバッファレジスタ44aの先頭に一時的に蓄積させる。
その後、記憶手段40から、走査線5のラインLbに接続された各放射線検出素子7から読み出された走査線方向に並ぶ各画像データD(b,1)、D(b,2)、D(b,3)、D(b,4)、…を読み出してバッファレジスタ44a,44bにそれぞれ一時的に蓄積させる。
【0107】
この際、画像データD(b,1)を、バッファレジスタ44aに蓄積されている基準データDc(b,0)の直後に蓄積させるとともに、バッファレジスタ44bの先頭に蓄積させる。
次いで、画像データD(b,2)を、バッファレジスタ44aに蓄積されている画像データD(b,1)の直後に蓄積させるとともに、バッファレジスタ44bに蓄積されている画像データD(b,1)の直後に蓄積させる。
次いで、画像データD(b,3)を、バッファレジスタ44aに蓄積されている画像データD(b,2)の直後に蓄積させるとともに、バッファレジスタ44bに蓄積されている画像データD(b,2)の直後に蓄積させる。
以下同様にして、画像データD(b,4)〜D(b,2047)をバッファレジスタ44a,44bに蓄積させる。
そして、走査線5のラインLbに接続された各放射線検出素子7から読み出された走査線方向に並ぶ各画像データのうちの最後の画像データD(b,2048)を、バッファレジスタ44bに蓄積されている画像データD(b,2047)の直後に蓄積させる。なお、画像データD(b,2048)については、バッファレジスタ44aに蓄積させてもよいし、蓄積させなくてもよい。
【0108】
その後、バッファレジスタの44a,44bの同じ番地の画像データ同士の差分を算出して差分データΔD(b,1)、ΔD(b,2)、ΔD(b,3)、ΔD(b,4)、…を作成することで、同じ走査線5に接続された走査線方向に隣接する放射線検出素子7から読み出された画像データ同士の差分データを作成するように構成されている。
【0109】
ここで、本実施形態においては、予め設定された基準データDc(b,0)、具体的には基準データDc(1,0)、Dc(5,0)、Dc(9,0)、Dc(13,0)、…が、制御手段22が備えるROM等のメモリに予め保存されていることとする。
その際、基準データDc(1,0)、Dc(5,0)、Dc(9,0)、Dc(13,0)、…の各値は、同一の値に設定することも可能であるし、また、互いに異なる値に設定することも可能であり、予め適宜設定される。
【0110】
なお、レジスタ部44にバッファレジスタ44aが1つしか設けられていない場合でも上記と同様の走査線方向に隣接する画像データ同士の差分を算出して差分データを作成するように構成することが可能である。
【0111】
まず、制御手段22は、図17(A)に示すように、基準データDc(b,0)をバッファレジスタ44aの先頭に蓄積させる。
この状態で、制御手段22は、走査線5のラインLbの走査線方向に並ぶ各画像データのうちの画像データD(b,1)を記憶手段40から読み出してきて、バッファレジスタ44aの先頭に蓄積されている基準データDc(b,0)との差分データを作成した後、当該基準データDc(b,0)と置換してバッファレジスタ44aに蓄積させる。
【0112】
次いで、制御手段22は、図17(B)に示すように、走査線5のラインLbの走査線方向に並ぶ各画像データのうちの画像データD(b,2)を記憶手段40から読み出してきて、バッファレジスタ44aの先頭に蓄積されている画像データD(b,1)との差分データを作成した後、当該画像データD(b,1)と置換してバッファレジスタ44aに蓄積させる。
【0113】
次いで、制御手段22は、図17(C)に示すように、走査線5のラインLbの走査線方向に並ぶ各画像データのうちの画像データD(b,3)を記憶手段40から読み出してきて、バッファレジスタ44aの先頭に蓄積されている画像データD(b,2)との差分データを作成した後、当該画像データD(b,2)と置換してバッファレジスタ44aに蓄積させる。
以下同様にして、画像データD(b,4)〜D(b,2047)についても差分データを作成した後バッファレジスタ44aに蓄積させる。なお、走査線5のラインLbに接続された各放射線検出素子7から読み出された走査線方向に並ぶ各画像データのうちの最後の画像データD(b,2048)については、差分データを作成した後、バッファレジスタ44aに蓄積させてもよいし、蓄積させなくてもよい。
【0114】
このように構成すれば、バッファレジスタ44aが1つしか設けられていない場合でも、上記と同様にして、同じ走査線5に接続された隣接する放射線検出素子7から読み出された画像データ同士の差分データを作成することが可能となる。
【0115】
<圧縮残り画像用データ作成時における差分データの作成>
次に、圧縮残り画像用データの作成時における差分データの作成について説明する。
圧縮残り画像用データの作成時には、信号線方向に隣接する画像データ同士の差分を算出して差分データを作成する点は、前述した圧縮1画像分データの作成の場合と同一であるが、1画像分データのうち間引き処理後の残り画像用データを用いる点が、前述した圧縮1画像分データの作成の場合と異なる。したがって、異なる箇所のみについて、2つのバッファレジスタ44a,44bが設けられている場合を例に挙げて説明する。
【0116】
具体的には、制御手段22は、圧縮残り画像用データの作成時における差分データの作成の際には、まず、記憶手段40から、走査線5のラインLbに隣接する走査線5の各ラインLb−1、Lb+1に接続された各放射線検出素子7から読み出された走査線方向に並ぶ各画像データD(b−1,1)、D(b−1,2)、D(b−1,3)、D(b−1,4)、…、D(b+1,1)、D(b+1,2)、D(b+1,3)、D(b+1,4)、…をそれぞれ読み出してバッファレジスタ44a,44bにそれぞれ一時的に蓄積させる。
ただし、b=1の場合は、画像データD(b−1,1)D(b−1,2)、D(b−1,3)、D(b−1,4)、…として、基準データDc(0,1)、Dc(0,2)、Dc(0,3)、Dc(0,4)、…をバッファレジスタ44aに蓄積させる。
【0117】
その後、バッファレジスタ44a,44bの同じ番地の画像データ同士の差分を算出して差分データΔD(b+1,1)、ΔD(b+1,2)、ΔD(b+1,3)、ΔD(b+1,4)、…を作成する。
【0118】
次いで、制御手段22は、記憶手段40から、互いに隣接する走査線5の各ラインLb+1、Lb+2に接続された各放射線検出素子7から読み出された走査線方向に並ぶ各画像データD(b+1,1)、D(b+1,2)、D(b+1,3)、D(b+1,4)、…、D(b+2,1)、D(b+2,2)、D(b+2,3)、D(b+2,4)、…をそれぞれ読み出してバッファレジスタ44a,44bにそれぞれ一時的に蓄積させる。
【0119】
その後、バッファレジスタ44a,44bの同じ番地の画像データ同士の差分を算出して差分データΔD(b+2,1)、ΔD(b+2,2)、ΔD(b+2,3)、ΔD(b+2,4)、…を作成する。
【0120】
次いで、制御手段22は、記憶手段40から、互いに隣接する走査線5の各ラインLb+2、Lb+3に接続された各放射線検出素子7から読み出された走査線方向に並ぶ各画像データD(b+2,1)、D(b+2,2)、D(b+2,3)、D(b+2,4)、…、D(b+3,1)、D(b+3,2)、D(b+3,3)、D(b+3,4)、…をそれぞれ読み出してバッファレジスタ44a,44bにそれぞれ一時的に蓄積させる。
【0121】
その後、バッファレジスタ44a,44bの同じ番地の画像データ同士の差分を算出して差分データΔD(b+3,1)、ΔD(b+3,2)、ΔD(b+3,3)、ΔD(b+3,4)、…を作成する。
このようにして、圧縮残り画像用データの元になる差分データを作成する。
【0122】
<圧縮処理>
次に、作成した差分データに対する圧縮処理について説明する。
本実施形態においては、前述したように、作成された差分データに対して圧縮処理を行うように構成されている。
【0123】
ここで、放射線画像撮影装置1により撮影された放射線画像を診断等に用いる医療用の画像として用いる場合等には、差分データに対する圧縮処理の方法として、圧縮前の差分データと復元後の差分データとが完全に一致するように圧縮を行う可逆圧縮の方法を採用することが好ましい。
【0124】
本実施形態においては、可逆圧縮の方法として、ハフマン符号化の方法を採用することとする。
なお、本実施形態では、差分データに対する圧縮処理の方法として、ハフマン符号化の方法を採用するが、差分データに対する圧縮処理の方法は必ずしもハフマン符号化の方法に限定されるものではなく、他の可逆圧縮の方法或いは不可逆圧縮の方法を用いて差分データに対する圧縮処理を行うように構成することも可能である。
【0125】
本実施形態においては、ハフマン符号化の方法によって差分データに対する圧縮処理を行うために、予め制御手段22が備えるROM等のメモリに圧縮処理のために予め作成されたハフマンコードのテーブルが格納されており、作成手段を構成する制御手段22は、圧縮処理の際にはこのテーブルを参照して差分データのハフマン符号化を行うように構成されている。
【0126】
本実施形態において、制御手段22は、上記のようにして差分データを作成するごとにハフマンコードのテーブルを参照して、当該差分データに対して対応するハフマンコードを割り当てるように構成されている。すなわち、各ハフマンコードが、圧縮された各差分データに相当し、各ハフマンコードによって、圧縮1画像分データや圧縮間引き画像用データや圧縮残り画像用データが構成される。なお、ハフマン符号化によるデータ圧縮では、よく知られているように、出現頻度が高いデータほど短いハフマンコードが割り当てられるようになっている。
【0127】
そして、制御手段22は、各差分データに割り当てた各ハフマンコードをバッファメモリ44c(図12等参照)に一時的に格納し、圧縮1画像分データや圧縮間引き画像用データや圧縮残り画像用データとして、アンテナ装置39を介して外部装置に順次転送するように構成されている。
【0128】
なお、この場合、放射線画像撮影装置1から差分データが転送される先の外部装置も同じハフマンコードのテーブルを備えており、外部装置では、解凍処理の際に、テーブルを参照して、転送されてきた圧縮された差分データを解凍するように構成される。
【0129】
また、ハフマンコードのテーブルとして、一種類のテーブルのみを備えるように構成することも可能であるが、複数の種類のテーブルを備えるように構成し、制御手段22でテーブルを選択して参照するように構成することも可能である。
【0130】
例えば、信号線方向に隣接する放射線検出素子7から読み出された画像データ同士の差分データ、すなわち圧縮1画像分データや圧縮残り画像用データの元になる差分データに対して圧縮処理を行う場合と、走査線方向に隣接する放射線検出素子7から読み出された画像データ同士の差分データ、すなわち圧縮間引き画像用データの元になる差分データに対して圧縮処理を行う場合とで、ハフマンコードのテーブルを変えてもよいし、変えなくてもよい。
【0131】
また、例えば、上記のように放射線画像撮影装置1を医療用の放射線画像の撮影装置として用いる場合、被写体である患者の身体の撮影部位(胸部、頭蓋骨、腰椎等)やその撮影方向(正面、側面等)によって、照射する放射線の線量や照射時間などの撮影条件が変えられる場合も多い。
そのため、被写体である患者の身体の撮影部位や撮影方向などを含む撮影条件ごとに圧縮処理のためのハフマンコードのテーブルを予め複数種類備えておき、制御手段22が、設定された撮影条件に応じてテーブルを選択し、選択したテーブルを参照して差分データのハフマン符号化を行って差分データに対する圧縮処理を行うように構成すれば、撮影条件に即して差分データの圧縮率をより向上させることが可能となる。
【0132】
なお、放射線画像撮影装置1を用いて医療用の放射線画像を撮影する場合、予め被写体である患者の身体の撮影部位や撮影方向などを特定する撮影オーダー情報が作成される場合が多く、例えば、この撮影オーダー情報や、撮影部位や撮影方向などを含む撮影条件の情報を外部装置から放射線画像撮影装置1に転送したり、放射線技師等の操作者が放射線画像撮影装置1に撮影オーダー情報や撮影条件の情報を入力したりすることで、放射線画像撮影装置1に対して撮影条件が設定される。
【0133】
また、撮影条件とハフマンコードのテーブルとの対応付けを予め放射線画像撮影装置1と外部装置とで共通に行っておき、作成された撮影オーダー情報に基づいて、放射線画像撮影装置1と外部装置とがともに当該撮影オーダー情報中の撮影部位や撮影方向などから使用するテーブルを特定して共通のテーブルを用いるように構成することが可能である。また、圧縮された差分データとしてのハフマンコードを放射線画像撮影装置1から外部装置に転送する際に、使用したテーブルの番号の情報等をあわせて転送し、外部装置で番号の情報等で指定されたテーブルを用いて解凍するように構成することも可能である。
【0134】
さらに、放射線画像撮影ごとに外部装置から当該放射線画像撮影の撮影条件に適したハフマンコードのテーブルを放射線画像撮影装置1に送信して保存させ、或いは書き換えさせ、制御手段22は、送信されてきた当該ハフマンコードのテーブルを参照して差分データのハフマン符号化を行って圧縮処理を行うように構成することも可能である。
【0135】
[放射線画像撮影システム]
次に、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1から圧縮された差分データ(すなわちハフマンコード)により構成される圧縮1画像分データや圧縮間引き画像用データや圧縮残り画像用データの転送を受けた外部装置側でのデータの復元について説明する。
以下、まず、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50の構成について説明する。
【0136】
図18は、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50の全体構成を示す図である。
放射線画像撮影システム50は、例えば、病院や医院内で行われる放射線画像撮影を想定したシステムであり、放射線画像として医療用の診断画像を撮影するシステムとして採用することができるが、必ずしもこれに限定されない。
【0137】
放射線画像撮影システム50は、図18に示すように、放射線を照射して患者の一部である被写体(患者の撮影対象部位)の撮影を行う撮影室R1と、撮影室R1に隣接し放射線技師等の操作者が被写体に照射する放射線の制御等の種々の操作を行う前室R2と、それらの外部とに配置される。
【0138】
撮影室R1には、例えば、放射線画像撮影装置1を装填可能なブッキー装置51と、被写体に照射する放射線を発生させるX線管球を備えた放射線源(図示省略)を備える放射線発生装置52と、無線アンテナ53を備え放射線画像撮影装置1とコンソール58等の外部装置とが通信する際にこれらの通信を中継する基地局54とが設けられている。
【0139】
なお、図18では、可搬型の放射線画像撮影装置1をブッキー装置51のカセッテ保持部51aに装填した状態で用いる場合と、ブッキー装置51に装填されない単独の状態で用いる場合、具体的には臥位撮影用のブッキー装置51Bの上面側に配置してその放射線入射面R上に被写体である患者の手等を載置して用いる場合等とが示されているが、前述したように、放射線画像撮影装置1はブッキー装置51や支持台等と一体的に形成されたものであってもよい。
ここで、可搬型の放射線画像撮影装置1をブッキー装置51に装填されない単独の状態で用いる場合、臥位撮影用のブッキー装置51Bの上面側に配置してその放射線入射面R上に被写体である患者の手等を載置して用いる他に、例えば撮影室R1内に設けられたベッド等の上面側に配置してその放射線入射面R上に被写体である患者の手等を載置したり、或いは、例えばベッドの上に横臥した患者の腰や足などとベッドとの間に差し込んだりして用いることも可能である。
【0140】
また、図18では、放射線画像撮影装置1と基地局54とを無線接続し、放射線画像撮影装置1と外部装置との間の通信を、基地局54を介して無線方式で行うことができるように構成した場合が示されているが、放射線画像撮影装置1と基地局54とをLAN(Local Area Network)ケーブル等で有線接続し、放射線画像撮影装置1と外部装置との間の通信を、基地局54を介して有線方式で行うことができるように構成することも可能である。
また、図18では、ブッキー装置51と基地局54とを有線接続し、ブッキー装置51に装填されている放射線画像撮影装置1と外部装置との間の通信を、基地局54を介して有線方式で行うことができるように構成した場合が示されているが、これに限定されることはなく、ブッキー装置51と基地局54とは有線接続されていなくてもよい。
【0141】
また、図18では、撮影室R1内に、ブッキー装置51として、立位撮影用のブッキー装置51Aと臥位撮影用のブッキー装置51Bとが1個ずつ設けられている場合が示されているが、撮影室R1内に設けられるブッキー装置51の個数や種類は特に限定されない。
また、図18では、撮影室R1内に、放射線発生装置52として、ブッキー装置51に対応付けられた放射線発生装置52Aと、ポータブルの放射線発生装置52Bとが1個ずつ設けられている場合が示されているが、撮影室R1内に設けられる放射線発生装置52の個数や種類は特に限定されない。
【0142】
また、図18に示すように、本実施形態において、撮影室R1には、放射線画像撮影装置1が挿入されると、放射線画像撮影装置1から当該放射線画像撮影装置1を識別するためのカセッテIDを読み取り、基地局54を介してコンソール58等の外部装置に通知するクレードル55が備えられている。なお、前述したように、このクレードル55で放射線画像撮影装置1の充電等を行うように構成することも可能である。
【0143】
撮影室R1には、放射線画像撮影装置1に対して放射線を照射する放射線発生装置52が設けられている。
そして、本実施形態においては、撮影室R1に隣接する前室R2に、放射線発生装置52の操作卓57が設けられており、この操作卓57には、放射線技師等の操作者が放射線発生装置52に対して放射線の照射開始等を指示する際に操作するための操作スイッチ56が設けられている。
【0144】
また、放射線発生装置52は、放射線技師等の操作者が操作卓57を操作して或いは手動で、放射線画像撮影装置1に対して放射線が適切に照射されるように放射線照射方向を調整したり、放射線画像撮影装置1の所定の領域内に放射線が照射されるように絞りを調整したり、適切な線量の適切な線質の放射線が照射されるように放射線源を調整したりすることができるように構成されている。
【0145】
[コンソール]
コンソール58は、図18に示すように、CRT(Cathode Ray Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)などからなる表示部58aと、コンソール58の各機能部の動作等を制御する制御部58bと、HDD(Hard Disk Drive)等からなる記憶手段59と、LANケーブル等によって基地局54と接続され放射線画像撮影装置1等の他の装置との間で通信を行うための通信部(図示省略)と、キーボードやマウスなどからなる入力部(図示省略)とを備えて構成されるコンピュータである。
【0146】
なお、図18では、コンソール58が撮影室R1や前室R2の外側に設けられている場合が示されているが、コンソール58は、例えば前室R2に設けられていてもよい。
また、図18では、コンソール58に記憶手段59が接続されている場合が示されているが、記憶手段59はコンソール58に内蔵されていてもよい。
【0147】
コンソール58の制御部58bは、CPU、ROM、RAM等を備えて構成されている。ROMには所定のプログラムが格納されており、CPUは、必要なプログラムを読み出してRAMの作業領域に展開してプログラムに従って各種処理を実行して、コンソール58の各機能部の動作等を制御するように構成されている。
【0148】
<1画像分データ、間引き画像用データ、残り画像用データの復元>
以下、コンソール58における1画像分データ、間引き画像用データ、残り画像用データの復元について説明する。
【0149】
コンソール58(具体的には、コンソール58の制御部58b)は、基地局54を介して放射線画像撮影装置1から、圧縮1画像分データや圧縮間引き画像用データや圧縮残り画像用データを構成する各ハフマンコード、すなわち圧縮された各差分データが転送されてくると、それらを一旦記憶手段59に保存した後、それらに基づいて1画像分データや間引き画像用データや残り画像用データを復元するように構成されている。
【0150】
<1画像分データの復元>
まず、1画像分データの復元について、コンソール58が放射線画像撮影装置1と共通のハフマンコードのテーブルを予め備えている場合を例に挙げて説明する。
コンソール58は、まず、制御部58bが備えるROMや記憶手段59などに予め格納されているハフマンコードのテーブルを読み出し、その読み出したハフマンコードのテーブルを参照して、放射線画像撮影装置1からの各ハフマンコード、具体的には圧縮1画像分データを構成する各ハフマンコードを元の差分データに解凍する。そして、その解凍した元の差分データに基づいて元の1画像分データ、具体的には1画像分データを構成する各画像データを復元する。
【0151】
この場合、コンソール58側でも前述した基準データDc(0,m)、具体的には基準データDc(0,1)、Dc(0,2)、Dc(0,3)、Dc(0,4)、…が予め制御部58bが備えるROMや記憶手段59などに保存されており、コンソール58は、まず、これらの基準データDc(0,1)、Dc(0,2)、Dc(0,3)、Dc(0,4)、…を読み出す。
【0152】
そして、ハフマンコードのテーブルを参照して、各差分データΔD(1,1)、ΔD(1,2)、ΔD(1,3)、ΔD(1,4)、…に対応するハフマンコードを解凍して元の差分データΔD(1,1)、ΔD(1,2)、ΔD(1,3)、ΔD(1,4)、…を復元し、
Dc(0,m)+ΔD(1,m)→D(1,m) …(1)
を演算して、走査線方向に並ぶ元の画像データD(1,1)、D(1,2)、D(1,3)、D(1,4)、…を復元する。
その後、コンソール58は、復元した画像データD(1,1)、D(1,2)、D(1,3)、D(1,4)、…を記憶手段59に保存する。
【0153】
次いで、コンソール58は、ハフマンコードのテーブルを参照して、各差分データΔD(2,1)、ΔD(2,2)、ΔD(2,3)、ΔD(2,4)、…に対応するハフマンコードを解凍して、元の差分データΔD(2,1)、ΔD(2,2)、ΔD(2,3)、ΔD(2,4)、…を復元する。
【0154】
そして、先に復元した画像データD(1,1)、D(1,2)、D(1,3)、D(1,4)、…を用いて、
D(1,m)+ΔD(2,m)→D(2,m) …(2)
を演算して、走査線方向に並ぶ元の画像データD(2,1)、D(2,2)、D(2,3)、D(2,4)、…を復元し、復元した画像データD(2,1)、D(2,2)、D(2,3)、D(2,4)、…を記憶手段59に保存する。
【0155】
このようにして、コンソール58は、ハフマンコードのテーブルを参照して、各差分データΔD(n,m)に対応するハフマンコードを解凍して元の差分データΔD(n,m)…を復元し、先に算出した画像データD(n−1,m)を用いて、
D(n−1,m)+ΔD(n,m)→D(n,m) …(3)
を演算していくことで、全ての画像データD(n,m)を順次復元して、1画像分データを復元するように構成されている。
【0156】
そして、コンソール58は、このようにして復元した1画像分データに基づいて、医療用の放射線画像である診断用放射線画像等を生成し、表示部58aに表示したり、他の装置に送信したりする。
【0157】
<間引き画像用データの復元>
次に、間引き画像用データの復元について、コンソール58が放射線画像撮影装置1と共通のハフマンコードのテーブルを予め備えている場合を例に挙げて説明する。
コンソール58は、まず、制御部58bが備えるROMや記憶手段59などに予め格納されているハフマンコードのテーブルを読み出し、その読み出したハフマンコードのテーブルを参照して、放射線画像撮影装置1からの各ハフマンコード、具体的には圧縮間引き画像用データを構成する各ハフマンコードを元の差分データに解凍する。そして、その解凍した元の差分データに基づいて元の間引き画像用データ、具体的には間引き画像用データを構成する各画像データを復元する。
【0158】
この場合、コンソール58側でも前述した基準データDc(b,0)、具体的には基準データDc(1,0)、Dc(5,0)、Dc(9,0)、Dc(13,0)、…が予め制御部58bが備えるROMや記憶手段59などに保存されており、コンソール58は、まず、これらの基準データのうちの基準データDc(1,0)を読み出す。
【0159】
そして、ハフマンコードのテーブルを参照して、各差分データΔD(1,1)、ΔD(1,2)、ΔD(1,3)、ΔD(1,4)、…に対応するハフマンコードを解凍して元の差分データΔD(1,1)、ΔD(1,2)、ΔD(1,3)、ΔD(1,4)、…を復元し、
D(1,m−1)+ΔD(1,m)→D(1,m) …(4)
を演算して、走査線方向に並ぶ元の画像データD(1,1)、D(1,2)、D(1,3)、D(1,4)、…を復元する。ただし、m=1の場合は、画像データD(1,m−1)として読み出しておいた基準データDc(1,0)を代入する。
その後、コンソール58は、復元した画像データD(1,1)、D(1,2)、D(1,3)、D(1,4)、…を記憶手段59に保存する。
【0160】
次いで、コンソール58は、基準データDc(5,0)を読み出し、ハフマンコードのテーブルを参照して、各差分データΔD(5,1)、ΔD(5,2)、ΔD(5,3)、ΔD(5,4)、…に対応するハフマンコードを解凍して、元の差分データΔD(5,1)、ΔD(5,2)、ΔD(5,3)、ΔD(5,4)、…を復元する。
【0161】
そして、この復元した画像データD(5,1)、D(5,2)、D(5,3)、D(5,4)、…を用いて、
D(5,m−1)+ΔD(5,m)→D(5,m) …(5)
を演算して、走査線方向に並ぶ元の画像データD(5,1)、D(5,2)、D(5,3)、D(5,4)、…を復元し、復元した画像データD(5,1)、D(5,2)、D(5,3)、D(5,4)、…を記憶手段59に保存する。ただし、m=1の場合は、画像データD(5,m−1)として読み出しておいた基準データDc(5,0)を代入する。
【0162】
このようにして、コンソール58は、ハフマンコードのテーブルを参照して、各差分データΔD(b,m)に対応するハフマンコードを解凍して元の差分データΔD(b,m)…を復元し、先に算出した画像データD(b,m−1)を用いて、
D(b,m−1)+ΔD(b,m)→D(b,m) …(6)
を演算していくことで、全ての画像データD(b,m)を順次復元して、間引き画像用データを復元するように構成されている。
【0163】
そして、コンソール58は、このようにして復元した間引き画像用データに基づいて、放射線画像撮影における被写体のポジショニング等を確認するためのプレビュー画像等を生成し、表示部58aに表示したりする。
【0164】
<残り画像用データの復元>
次に、残り画像用データの復元について、コンソール58が放射線画像撮影装置1と共通のハフマンコードのテーブルを予め備えている場合を例に挙げて説明する。
コンソール58は、まず、制御部58bが備えるROMや記憶手段59などに予め格納されているハフマンコードのテーブルを読み出し、その読み出したハフマンコードのテーブルを参照して、放射線画像撮影装置1からの各ハフマンコード、具体的には圧縮残り画像用データを構成する各ハフマンコードを元の差分データに解凍する。そして、その解凍した元の差分データに基づいて元の残り画像用データ、具体的には残り画像用データを構成する各画像データを復元する。
【0165】
コンソール58は、ハフマンコードのテーブルを参照して、各差分データΔD(b+1,1)、ΔD(b+1,2)、ΔD(b+1,3)、ΔD(b+1,4)、…に対応するハフマンコードを解凍して元の差分データΔD(b+1,1)、ΔD(b+1,2)、ΔD(b+1,3)、ΔD(b+1,4)、…を復元し、
D(b−1,m)+ΔD(b+1,m)→D(b+1,m) …(7)
を演算して、走査線方向に並ぶ元の画像データD(b+1,1)、D(b+1,2)、D(b+1,3)、D(b+1,4)、…を復元する。
その後、コンソール58は、復元した画像データD(b+1,1)、D(b+1,2)、D(b+1,3)、D(b+1,4)、…を記憶手段59に保存する。
【0166】
ただし、b=1の場合は、画像データD(b−1,m)として、制御部58bが備えるROMや記憶手段59などに予め保存されている基準データDc(0,m)、具体的には基準データDc(0,1)、Dc(0,2)、Dc(0,3)、Dc(0,4)、…を代入する。
【0167】
次いで、コンソール58は、ハフマンコードのテーブルを参照して、各差分データΔD(b+2,1)、ΔD(b+2,2)、ΔD(b+2,3)、ΔD(b+2,4)、…に対応するハフマンコードを解凍して、元の差分データΔD(b+2,1)、ΔD(b+2,2)、ΔD(b+2,3)、ΔD(b+2,4)、…を復元する。
【0168】
そして、先に復元した画像データD(b+1,1)、D(b+1,2)、D(b+1,3)、D(b+1,4)、…を用いて、
D(b+1,m)+ΔD(b+2,m)→D(b+2,m) …(8)
を演算して、走査線方向に並ぶ元の画像データD(b+2,1)、D(b+2,2)、D(b+2,3)、D(b+2,4)、…を復元し、復元した画像データD(b+2,1)、D(b+2,2)、D(b+2,3)、D(b+2,4)、…を記憶手段59に保存する。
【0169】
次いで、コンソール58は、ハフマンコードのテーブルを参照して、各差分データΔD(b+3,1)、ΔD(b+3,2)、ΔD(b+3,3)、ΔD(b+3,4)、…に対応するハフマンコードを解凍して、元の差分データΔD(b+3,1)、ΔD(b+3,2)、ΔD(b+3,3)、ΔD(b+3,4)、…を復元する。
【0170】
そして、先に復元した画像データD(b+2,1)、D(b+2,2)、D(b+2,3)、D(b+2,4)、…を用いて、
D(b+2,m)+ΔD(b+3,m)→D(b+3,m) …(9)
を演算して、走査線方向に並ぶ元の画像データD(b+3,1)、D(b+3,2)、D(b+3,3)、D(b+3,4)、…を復元し、復元した画像データD(b+3,1)、D(b+3,2)、D(b+3,3)、D(b+3,4)、…を記憶手段59に保存する。
このようにして、コンソール58は、全ての画像データD(b+1,m)、D(b+2,m)、D(b+3,m)を順次復元して、残り画像用データを復元するように構成されている。
【0171】
そして、コンソール58は、このようにして復元した残り画像用データと、前述したように復元した間引き画像用データとを合成して合成データを作成する。そして、この合成データに基づいて、医療用の放射線画像である診断用放射線画像等を生成し、表示部58aに表示したり、他の装置に送信したりする。
【0172】
なお、前述したように、放射線画像撮影装置1とコンソール58とが複数種類のハフマンコードのテーブルを共通に備える場合において、放射線画像撮影装置1からコンソール58に使用したテーブルの番号の情報等を転送するように構成されている場合には、コンソール58は、転送されてきた番号の情報等で指定されたテーブルをROMや記憶手段59などから読み出し、そのテーブルを用いて解凍処理や復元処理を行うように構成される。
【0173】
また、上記のような放射線画像撮影システム50においては、撮影前に、コンソール58で、被写体である患者の身体の撮影部位や撮影方向などを特定する前述した撮影オーダー情報を作成する場合が多い。そのため、この撮影オーダー情報に基づいて撮影が行われる場合には、放射線画像撮影装置1側ではその撮影オーダー情報に基づいて撮影部位や撮影方向などを含む撮影条件が特定され、それに応じたハフマンコードのテーブルが選択されるため、1画像分データや間引き画像用データや残り画像用データの復元の際、コンソール58側でも、放射線画像撮影装置1から使用したテーブルの番号の情報等の転送を受けずに、撮影オーダー情報自体に基づいて、用いるハフマンコードのテーブルを選択するように構成することも可能である。
【0174】
また、前述したように、放射線画像撮影ごとに外部装置であるコンソール58側から当該放射線画像撮影の撮影条件に適したハフマンコードのテーブルを放射線画像撮影装置1に送信するように構成する場合には、放射線画像撮影装置1から当該テーブルを参照して圧縮された差分データにより構成される圧縮1画像分データや圧縮間引き画像用データや圧縮残り画像用データが転送されてくると、1画像分データや間引き画像用データや残り画像用データの復元の際、コンソール58側では、放射線画像撮影装置1に送信したものと同じハフマンコードのテーブルを参照して解凍処理や復元処理を行うように構成することも可能である。
【0175】
一方、放射線画像撮影装置1で差分データに対する圧縮処理を行うごとにハフマンコードのテーブルを作成するように構成することも可能である。そして、この場合には、コンソール58は、1画像分データや間引き画像用データや残り画像用データの復元の際、放射線画像撮影装置1からハフマンコードとともに転送されてきたハフマンコードのテーブルを参照して、上記と同様にして元の差分データを復元する等して1画像分データや間引き画像用データや残り画像用データを復元するように構成される。
【0176】
なお、この場合、上記の基準データDc(0,m)やDc(b,0)も放射線画像撮影装置1で差分データに対する圧縮処理を行うごとに作成するように構成してもよく、その場合には、コンソール58は、ハフマンコードのテーブルとともに転送されてきた基準データに基づいて、上記と同様にして元の差分データを復元する等して1画像分データや間引き画像用データや残り画像用データを復元するように構成される。
【0177】
次に、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1および放射線画像撮影システム50の作用について説明する。
【0178】
放射線画像撮影装置1の制御手段22は、複数の読み出し回路17から出力された1画像分の全画像データにより構成される1画像分データをコンソール58等の外部装置に送信等するために、圧縮1画像分データを作成する場合、1画像分データを構成する各画像データについて、信号線方向に隣接する放射線検出素子7から読み出された画像データ同士の差分を算出して差分データを作成し、差分データに対して圧縮処理を行うことによって当該圧縮1画像分データを作成する。
ここで、本実施形態において、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、コンソール58等の外部装置や操作卓57などからコンソール58等の外部装置に1画像分データを送信するよう指示されると圧縮1画像分データを作成する、或いは、圧縮間引き画像用データを作成すると自動的に圧縮1画像分データを作成するように構成されていることとする。
【0179】
そして、コンソール58(具体的には、コンソール58の制御部58b)は、放射線画像撮影装置1から圧縮1画像分データが転送されてきた場合、当該圧縮1画像分データを元の差分データに解凍し、当該差分データに基づいて元の1画像分データを復元する。そして、当該復元した1画像分データに対してオフセット補正処理やゲイン補正処理や欠陥画素補正処理などの画像補正処理を行う等して当該復元した1画像分データに基づき診断用放射線画像等を生成し、表示部58aに表示等するように構成されている。
【0180】
なお、コンソール58は、復元した1画像分データに基づいてプレビュー画像を生成することも可能である。すなわち、復元した1画像分データに対して間引き処理を行い、その間引き処理が行われた1画像分データに基づいてプレビュー画像を生成するように構成することも可能である。
【0181】
ここで、本願発明者らの研究によると、1画像分データを構成する各画像データについて走査線方向に隣接する画像データ同士、すなわち走査線方向に互いに隣接する放射線検出素子7から読み出された画像データ同士の差分を算出して作成した差分データは、比較的広い範囲に分布することが分かった。
【0182】
このように走査線方向の差分データが、比較的広い範囲に分布することの原因を明らかにするために、放射線画像撮影装置1に被写体を介さずに一様に放射線を照射した場合に同じ走査線5のラインLnに接続された各放射線検出素子(n,1)、(n,2)、(n,3)、(n,4)、…から読み出された画像データD(n,1)、D(n,2)、D(n,3)、D(n,4)、…の各差分データを算出したところ、図19に示すような差分データの分布が得られた。なお、図19や後述する図20において、縦軸はその差分データΔDの出現頻度Fを表す。
【0183】
図19に示すように、同じ走査線5のラインLnに接続された各放射線検出素子(n,1)、(n,2)、(n,3)、(n,4)、…は同じ線量の放射線の照射を受けているにもかかわらず、或いは同じ線量の放射線の照射を受けたシンチレータ3で変換された同じ強度の電磁波の照射を受けているにもかかわらず、それらから読み出された画像データD(n,1)、D(n,2)、D(n,3)、D(n,4)、…の各差分データは、比較的広い範囲に分布することが分かる。
【0184】
差分データの分布が広くなる原因が、図5に示したように各層が積層されて形成される各放射線検出素子7の製造ばらつきによるものとするには、分布の広がり方が大き過ぎる。また、各放射線検出素子7の製造ばらつきによるとすれば、ΔD=0を中心とする正規分布状の分布になるはずであるが、図19に示す分布を見る限り、そのような分布にはなっておらず、寧ろ台形状とも言い得る分布になっている。
【0185】
このように同じ走査線5のラインLnに接続された各放射線検出素子7から読み出された画像データの各差分データの分布が図19に示したような分布になる主な原因は、各放射線検出素子7から画像データを読み出す読み出し回路17の出力特性が各読み出し回路17ごとに異なり、各読み出し回路17の出力特性にばらつきがあるためと考えられている。
【0186】
すなわち、本実施形態においては、図9に示したように、各読み出しIC16内に形成された計2048個の読み出し回路17を備えているが、各読み出し回路17において増幅回路18の電荷電圧変換特性や相関二重サンプリング回路19のサンプリング特性などが総合された読み出し回路17の出力特性がそれぞれ異なる。そのため、各放射線検出素子7から各読み出し回路17に送られる画像データが同じ値であっても、各読み出し回路17で電荷電圧変換されて出力される画像データは異なる値になると考えられている。
【0187】
なお、この各読み出し回路17の出力特性が異なることにより画像データに生じる差異は、例えば、コンソール58等の外部装置に転送された後、画像補正処理の際に画像データ(正確には画像データからオフセット分を差し引いた値)に乗算する各読み出し回路17ごとのゲイン補正値を調整することにより解消され、或いは軽減される。
【0188】
図19に示したような台形状の分布では、最も出現頻度が高く最短のハフマンコードが割り当てられるΔD=±α(α≠0)の部分の差分データ以外の差分データでも出現頻度が比較的大きい。
そのため、図19に示したような分布を有する各差分データにハフマンコードを割り当てると、さほど短くないハフマンコードが割り当てられる差分データの数が多くなる。そのため、差分データの圧縮率がさほど高くならないと考えられる。
【0189】
これに対して、同じ信号線6に接続された各放射線検出素子(1,m)、(2,m)、(3,m)、(4,m)、…から読み出された画像データD(1,m)、D(2,m)、D(3,m)、D(4,m)、…の各差分データは、図20に示すように、比較的狭い範囲に分布し、ΔD=0を中心とする正規分布状の分布になることが分かった。
【0190】
これは、図7に示した構成を見れば分かるように、同じ信号線6に接続された各放射線検出素子(1,m)、(2,m)、(3,m)、(4,m)、…から出力された画像データD(1,m)、D(2,m)、D(3,m)、D(4,m)、…は同一の読み出し回路17により電荷電圧変換等がなされるため、差分データの分布には上記のような各読み出し回路17の出力特性のばらつきの影響は現れない。したがって、この場合は、まさに各放射線検出素子7の製造ばらつきによる影響のみが反映されて、差分データの分布が図20に示したような正規分布状の分布になると考えられる。
【0191】
図20に示したような正規分布状の分布では、最短のハフマンコードが割り当てられるΔD=0の差分データの出現頻度が非常に大きく、それ以外のより長いハフマンコードが割り当てられる差分データの出現頻度が小さくなる。
そのため、図20に示したような分布を有する各差分データにハフマンコードを割り当てると、短いハフマンコードが割り当てられる差分データの数が多くなり、差分データの圧縮率が向上すると考えられる。すなわち、圧縮1画像分データを作成する場合、本実施形態のように信号線方向に差分をとると、走査線方向に差分をとる場合と比較して、圧縮率が向上する。
【0192】
また、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、1画像分データに対して所定の割合で信号線方向に間引き処理を行うことにより作成した間引き画像用データをコンソール58等の外部装置に送信等するために、圧縮間引き画像用データを作成する場合、間引き画像用データを構成する各画像データについて、走査線方向に隣接する放射線検出素子7から読み出された画像データ同士の差分を算出して差分データを作成し、差分データに対して圧縮処理を行うことによって当該圧縮間引き画像用データを作成する。
ここで、本実施形態において、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、コンソール58等の外部装置や操作卓57などからコンソール58等の外部装置に間引き画像用データを送信するよう指示されると圧縮間引き画像用データを作成する、或いは、撮影が終了すると自動的に圧縮間引き画像用データを作成するように構成されていることとする。
【0193】
そして、コンソール58(具体的には、コンソール58の制御部58b)は、放射線画像撮影装置1から圧縮間引き画像用データが転送されてきた場合、当該圧縮間引き画像用データを元の差分データに解凍し、当該差分データに基づいて元の間引き画像用データを復元する。そして、当該復元した間引き画像用データを制御部58bが備えるROMや記憶手段59などに記憶させるとともに、当該復元した間引き画像用データに対してオフセット補正処理やゲイン補正処理や欠陥画素補正処理などの画像補正処理等を行う等して当該復元した間引き画像用データに基づきプレビュー画像等を生成し、表示部58aに表示等するように構成されている。
【0194】
なお、コンソール58は、プレビュー画像を生成する場合、復元した間引き画像用データに対してさらに間引き処理を行い、その間引き処理が行われた間引き画像用データに基づいてプレビュー画像を生成するように構成することも可能である。
【0195】
ここで、本願発明者らの研究によると、間引き画像用データを構成する各画像データについて、信号線方向に隣接する画像データ同士の差分を算出して作成した差分データの分布と、走査線方向に隣接する画像データ同士の差分を算出して作成した差分データの分布とを比較したところ、圧縮1画像分データを作成する場合とは異なり、走査線方向に隣接する画像データ同士の差分を算出して作成した差分データの方が、より狭い範囲に分布することが分かった。
【0196】
これは、圧縮間引き画像用データを作成する場合、走査線方向に隣接する画像データは、画像データD(b,1)とD(b,2)、画像データD(b,2)とD(b,3)、…であり、互いに隣接する放射線検出素子7から読み出された画像データである。これに対し、信号線方向に隣接する画像データは、所定本数のラインおき(本実施形態においては3ラインおき)に抽出された画像データであるので、本実施形態の場合、画像データD(1,m)とD(5,m)、画像データD(5,m)とD(9,m)、…となり、互いに隣接する放射線検出素子7から読み出された画像データでないためと考えられる。
【0197】
すなわち、画素位置が離れれば画素値の差が大きくなる可能性が高いので、放射線検出素子7,7同士の位置が離れれば当該放射線検出素子7,7から読み出された画像データ同士の差分データの値がΔD=0から離れる可能性が高くなる。画素値の差が大きくなるほど、各読み出し回路17の出力特性のばらつき以上に差分データの分布に大きく影響するので、圧縮間引き画像用データを作成する場合は、信号線方向に差分をとる、すなわち位置が離れた放射線検出素子7,7から読み出された画像データ同士の差分をとる方が、走査線方向に差分をとる、すなわち互いに隣り合う放射線検出素子7,7から読み出された画像データ同士の差分をとるよりも、差分データの分布の広がり方が大きくなると考えられる。
【0198】
そのため、圧縮間引き画像用データを作成する場合、信号線方向の差分データを作成すると、さほど短くないハフマンコードが割り当てられる差分データの数が多くなるので、差分データの圧縮率がさほど高くならない。これに対し、走査線方向の差分データを作成すると、短いハフマンコードが割り当てられる差分データの数が多くなるので、差分データの圧縮率が向上すると考えられる。すなわち、圧縮間引き画像用データを作成する場合、本実施形態のように走査線方向に差分をとると、信号線方向に差分をとる場合と比較して、圧縮率が向上する。
【0199】
また、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、1画像分データのうちの間引き処理後の残り画像用データをコンソール58等の外部装置に送信等するために、圧縮残り画像用データを作成する場合、残り画像用データを構成する各画像データについて、信号線方向に隣接する放射線検出素子7から読み出された画像データ同士の差分を算出して差分データを作成し、差分データに対して圧縮処理を行うことによって当該圧縮残り画像用データを作成する。
ここで、本実施形態において、放射線画像撮影装置1の制御手段22は、コンソール58等の外部装置や操作卓57などからコンソール58等の外部装置に残り画像用データを送信するよう指示されると圧縮残り画像用データを作成する、或いは、圧縮間引き画像用データを作成すると自動的に圧縮残り画像用データを作成するように構成されていることとする。
【0200】
そして、コンソール58(具体的には、コンソール58の制御部58b)は、放射線画像撮影装置1から圧縮残り画像用データが転送されてきた場合、当該圧縮残り画像用データを元の差分データに解凍し、当該差分データに基づいて元の残り画像用データを復元する。そして、当該復元した残り画像用データと、予め復元して制御部58bが備えるROMや記憶手段59などに記憶しておいた間引き画像用データとを合成して合成データを作成し、当該合成データ対してオフセット補正処理やゲイン補正処理や欠陥画素補正処理などの画像補正処理等を行う等して当該合成データに基づき診断用放射線画像等を生成し、表示部58aに表示等するように構成されている。
【0201】
ここで、本願発明者らの研究によると、残り画像用データを構成する各画像データについて、信号線方向に隣接する画像データ同士の差分を算出して作成した差分データの分布と、走査線方向に隣接する画像データ同士の差分を算出して作成した差分データの分布とを比較したところ、圧縮1画像分データを作成する場合と同様、信号線方向に隣接する画像データ同士の差分を算出して作成した差分データの方が、より狭い範囲に分布することが分かった。
【0202】
これは、圧縮残り画像用データが、圧縮間引き画像用データよりも、圧縮1画像分データに似ているためと考えられる。
【0203】
すなわち、残り画像用データは所定本数のラインおき(本実施形態においては3ラインおき)に抽出された画像データ以外の画像データである。したがって、本実施形態において、圧縮残り画像用データを作成する場合、信号線方向に隣接する画像データは、画像データD(b−1,m)とD(b+1,m)、画像データD(b+1,m)とD(b+2,m)、画像データD(b+2,m)とD(b+3,m)になる。画像データD(b−1,m)とD(b+1,m)は、互いに隣接する放射線検出素子7から読み出された画像データでないが、画像データD(b+1,m)とD(b+2,m)、画像データD(b+2,m)とD(b+3,m)は、互いに隣接する放射線検出素子7から読み出された画像データである。
【0204】
また、画像データD(b−1,m)とD(b+1,m)は、互いに隣接する放射線検出素子7から読み出された画像データではないものの、前述した画像データD(1,m)とD(5,m)、画像データD(5,m)とD(9,m)、…よりは位置が離れていない放射線検出素子7,7から読み出された画像データ同士である。
すなわち、放射線検出素子(b−1,m)と放射線検出素子(b+1,m)との間の距離は、放射線検出素子(1,m)と放射線検出素子(5,m)との間の距離や、放射線検出素子(5,m)と放射線検出素子(9,m)との間の距離よりも短い。言い換えれば、画素位置(b−1,m)と画素位置(b+1,m)との間の距離は、画素位置(1,m)と画素位置(5,m)との間の距離や、画素位置(5,m)と画素位置(9,m)との間の距離よりも短い。
【0205】
そのため、画像データD(b−1,m)とD(b+1,m)とのデータ値の差は、画像データD(1,m)とD(5,m)とのデータ値の差や、画像データD(5,m)とD(9,m)とのデータ値の差よりも小さいと考えられる。言い換えれば、画素位置(b−1,m)と画素位置(b+1,m)との間の画素値の差は、画素位置(1,m)と画素位置(5,m)との間の画素値の差や、画素位置(5,m)と画素位置(9,m)との間の画素値の差よりも小さいと考えられる。
したがって、圧縮残り画像用データを作成する場合、圧縮1画像分データを作成する場合と同様、各読み出し回路17の出力特性のばらつきが、差分データの分布に大きく影響すると考えられる。
【0206】
そのため、圧縮残り画像用データを作成する場合、走査線方向の差分データを作成すると、さほど短くないハフマンコードが割り当てられる差分データの数が多くなるので、差分データの圧縮率がさほど高くならない。これに対し、信号線方向の差分データを作成すると、短いハフマンコードが割り当てられる差分データの数が多くなるので、差分データの圧縮率が向上すると考えられる。すなわち、圧縮残り画像用データを作成する場合、本実施形態のように信号線方向に差分をとると、走査線方向の差分をとる場合と比較して、圧縮率が向上する。
【0207】
以上のように、本実施形態に係る放射線画像撮影装置1によれば、圧縮1画像分データや圧縮残り画像用データを作成する場合には、信号線方向の差分データ、すなわち同じ信号線6に接続された複数の放射線検出素子7から読み出された各画像データの差分データを作成して、その差分データに対し圧縮処理を行い、圧縮間引き画像用データを作成する場合には、走査線方向の差分データ、すなわち同じ走査線5に接続された複数の放射線検出素子7から読み出された各画像データの差分データを作成して、その差分データに対し圧縮処理を行うように構成されている。つまり、作成する圧縮画像データの種類に応じて、信号線方向に差分をとるか、走査線方向に差分をとるかを切り替えるように構成されている。
【0208】
このように構成することで、圧縮1画像分データや圧縮残り画像用データを作成する場合には、同一の読み出し回路17で読み出された各画像データの差分データに対して圧縮処理が行われるため、各読み出し回路17の出力特性のばらつきに依存して差分データの分布が広がって圧縮率が低下してしまうことを防止することが可能となるとともに、圧縮間引き画像用データを作成する場合には、互いに隣接する放射線検出素子7から読み出された各画像データの差分データに対して圧縮処理が行われるため、放射線検出素子間の距離に伴う画素値の差に依存して差分データの分布が広がって圧縮率が低下してしまうことを防止することが可能となり、放射線画像撮影で取得された画像データの差分データを圧縮する際の圧縮率を的確に向上させることが可能となる。
【0209】
また、本実施形態のように差分データを高い圧縮率で圧縮することが可能となることで、転送するデータ量が軽減され、転送時間も短縮されるため、消費電力を低減させることが可能となる。特に、本実施形態に示したように放射線画像撮影装置1がバッテリ内蔵型である場合、バッテリ41の電力消費が低減されるため、1回の充電で放射線画像撮影装置1をより長時間使用することが可能となり、放射線画像撮影装置1の使用効率を向上させることが可能となる。
【0210】
なお、本実施形態では、ハフマンコードのテーブルとして、各信号線6或いは走査線5の各ラインLbについて共通の1つのテーブルを備え、差分データにハフマンコードを割り当てる際にはこの共通のテーブルが参照されるが、この他にも、例えば、各信号線6ごとに或いは走査線5の各ラインLbごとにハフマンコードのテーブルを備えるように構成することも可能である。また、例えば、検出部Pを信号線方向或いは走査線方向に延在する複数の領域に区分して、領域の各区分ごとにハフマンコードのテーブルを備えるように構成することも可能である。
【0211】
また、本実施形態では、上記のように、放射線画像撮影装置1のROM等に予め1種類或いは撮影条件等ごとに複数種類のハフマンコードのテーブルが格納されており、作成手段を構成する制御手段22が、圧縮処理の際に、テーブルを参照して差分データのハフマン符号化を行うことでそれらのデータを圧縮する場合について説明したが、これに限定されることはなく、例えば、予めハフマンコードのテーブルを作成しておく代わりに、得られた差分データに基づいてハフマンコードのテーブルを作成し、作成したテーブルを参照して差分データのハフマン符号化を行ってデータの圧縮処理を行うように構成することも可能である。
【0212】
具体的には、作成した差分データを圧縮する前に、そのまま一旦バッファメモリ44c(図12等参照)に格納し、作成した差分データをバッファメモリ44cに格納する段階で、例えば、その差分データの値をヒストグラムに投票していき、作成された全ての差分データがバッファメモリ44cに格納された段階で、ヒストグラム上に図20等に示したような差分データの分布が完成するように構成する。
そして、制御手段22は、この差分データの分布に基づいて、出現頻度が高いデータほど短いハフマンコードが割り当てられるようにして差分データの各値にハフマンコードを割り当てて、ハフマンコードのテーブルを作成する。そして、バッファメモリ44cから各差分データを読み出し、各差分データにそれぞれ対応するハフマンコードを割り当てて、圧縮された差分データである各ハフマンコードを再度バッファメモリ44cに格納して蓄積させる。なお、この場合、バッファメモリ44cを、例えば差分データ用のものとハフマンコード用のものとの複数設けてもよい。
【0213】
このように構成すれば、予めハフマンコードのテーブルを作成しておかなくても、作成した差分データに基づいてハフマンコードのテーブルを作成し、それを参照して差分データのハフマン符号化を行ってデータの圧縮処理を行うことが可能となる。
なお、この場合も、各信号線6ごとに或いは走査線5の各ラインLbごとにハフマンコードのテーブルを作成したり、また、検出部Pを信号線方向或いは走査線方向に延在する複数の領域に区分して領域の各区分ごとにハフマンコードのテーブルを作成するように構成することも可能である。
【0214】
また、この場合、放射線画像撮影装置1からハフマンコードすなわち圧縮された差分データにより構成される圧縮1画像分データや圧縮間引き画像用データや圧縮残り画像用データを外部装置に転送する際に、放射線画像撮影装置1で作成したハフマンコードのテーブルの情報も外部装置に転送することが必要となる。そのため、この場合、ハフマンコードとあわせて、作成されたハフマンコードのテーブルの情報が可逆圧縮される等して、外部装置に送信される。
【0215】
また、以上のように、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50によれば、放射線画像撮影装置1から転送されてきた圧縮された差分データを元の差分データと完全に一致するように復元することが可能となり、放射線画像撮影装置1で撮影された放射線画像の各画像データを確実に復元することが可能となる。
【0216】
また、本実施形態に係る放射線画像撮影システム50においても、放射線画像撮影装置1で、作成する圧縮画像データの種類によって、信号線方向に差分をとるか、走査線方向に差分をとるかが切り替えられるため、差分データを高い圧縮率で圧縮することが可能となり、データの転送時間が短縮され、消費電力が低減されるといった効果が得られる。そのため、システム全体として見た場合にも、データの転送時間を短縮することが可能となり、消費電力を低減させることが可能となる。
【0217】
以上説明した本実施形態に係る放射線画像撮影装置1および放射線画像撮影システム50によれば、放射線画像撮影システム50は、圧縮間引き画像用データを作成する場合、1画像分データに対して所定の割合で信号線方向に間引き処理を行うことにより間引き画像用データを作成し、当該間引き画像用データを構成する各画像データについて走査線方向に隣接する放射線検出素子7から読み出された画像データ同士の差分を算出して差分データを作成し、当該差分データに対して圧縮処理を行うことによって当該圧縮間引き画像用データを作成し、圧縮1画像分データを作成する場合、1画像分データを構成する各画像データについて信号線方向に隣接する放射線検出素子7から読み出された画像データ同士の差分を算出して差分データを作成し、当該差分データに対して圧縮処理を行うことによって当該圧縮1画像分データを作成し、圧縮残り画像用データを作成する場合、間引き処理後の残り画像用データを構成する各画像データについて信号線方向に隣接する放射線検出素子7から読み出された画像データ同士の差分を算出して差分データを作成し、当該差分データに対して圧縮処理を行うことによって当該圧縮残り画像用データを作成するように構成されている。
【0218】
すなわち、放射線画像撮影装置1は、作成する圧縮画像データの種類に応じて、信号線方向に差分をとるか、走査線方向に差分をとるかを切り替えるように構成されている。
そのため、圧縮1画像分データや圧縮残り画像用データを作成する場合には、同一の読み出し回路17で読み出された各画像データの差分データに対して圧縮処理が行われるので、各読み出し回路17の出力特性のばらつきに依存して差分データの分布が広がって圧縮率が低下してしまうことを防止することが可能となるとともに、圧縮間引き画像用データを作成する場合には、互いに隣接する放射線検出素子7から読み出された各画像データの差分データに対して圧縮処理が行われるので、放射線検出素子7間の距離に依存して差分データの分布が広がって圧縮率が低下してしまうことを防止することが可能となり、放射線画像撮影で取得された画像データの差分データを圧縮する際の圧縮率を的確に向上させることが可能となる。
【0219】
また、差分データを高い圧縮率で圧縮することが可能となることで、転送するデータ量が軽減され、転送時間も短縮されるため、放射線画像撮影装置1や放射線画像撮影システム50全体の消費電力を低減させることが可能となる。
【0220】
また、以上説明した本実施形態に係る放射線画像撮影システム50によれば、コンソール58は、放射線画像撮影装置1から圧縮間引き画像用データが転送されてきた場合には、当該圧縮間引き画像用データを元の差分データに解凍し、当該差分データに基づいて元の間引き画像用データを復元し、放射線画像撮影装置1から圧縮1画像分データが転送されてきた場合には、当該圧縮1画像分データを元の差分データに解凍し、当該差分データに基づいて元の1画像分データを復元し、放射線画像撮影装置1から圧縮残り画像用データが転送されてきた場合には、当該圧縮残り画像用データを元の差分データに解凍し、当該差分データに基づいて元の残り画像用データを復元するように構成されている。
【0221】
したがって、コンソール58は、放射線画像撮影装置1から転送されてきた圧縮1画像分データや圧縮間引き画像用データや圧縮残り画像用データを構成する圧縮された差分データを元の差分データと完全に一致するように復元することが可能となり、放射線画像撮影装置1で撮影された放射線画像の各画像データを確実に復元することが可能となる。
【0222】
また、以上説明した本実施形態に係る放射線画像撮影システム50によれば、コンソール58は、復元した間引き画像用データに基づいてプレビュー画像を生成して表示部58aに表示することができるように構成されているとともに、復元した1画像分データや、復元した間引き画像用データと復元した残り画像用データとを合成して得た合成データに基づいて診断用放射線画像を生成することができるように構成されている。
【0223】
なお、本発明は上記の実施形態に限定されず、本発明の趣旨から逸脱しない限り、適宜変更可能であることはいうまでもない。
【0224】
例えば、上記実施形態では、間引き画像用データを作成する際、1画像分データに対して1/4の割合で間引き処理を行うように構成したが、間引く割合は1/4に限ることはなく、1/2以下であれば任意である。
また、間引く割合が1/2である場合は、圧縮残り画像用データを作成する際も、圧縮間引き画像用データを作成する場合と同様、走査線方向に差分をとるように構成してもよい。すなわち、間引く割合が1/2である場合、間引き画像用データも、残り画像用データも、1ラインおきに走査線方向に並ぶ各画像データを抽出する形で作成されたデータとなる。したがって、この場合、残り画像用データから差分データを作成する際、信号線方向に差分をとると、互いに隣り合う放射線検出素子7から読み出された画像データ同士の差分をとることができないので、走査線方向に差分をとって、互いに隣り合う放射線検出素子7から読み出された画像データ同士の差分をとることができるように構成してもよい。
【0225】
また、上記実施形態では、放射線画像撮影装置1は、圧縮1画像分データと圧縮間引き画像用データと圧縮残り画像用データとを作成するように構成したが、圧縮1画像分データまたは圧縮残り画像用データは作成しないように構成することが可能である。すなわち、圧縮1画像分データと圧縮間引き画像用データとを作成するように構成してもよいし、圧縮間引き画像用データと圧縮残り画像用データとを作成するように構成してもよい。
【符号の説明】
【0226】
1 放射線画像撮影装置
5 走査線
6 信号線
7 放射線検出素子
17 読み出し回路
22 制御手段(作成手段)
39 アンテナ装置(転送手段)
44 レジスタ部(作成手段)
50 放射線画像撮影システム
58 コンソール(外部装置)
58a 表示部
P 検出部
r 領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および前記複数の信号線により区画された各領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子とを備える検出部と、
前記各放射線検出素子から前記各信号線を通じて電荷を読み出し、前記放射線検出素子ごとに前記電荷を画像データとして出力する複数の読み出し回路と、
前記複数の読み出し回路から出力された各画像データにより構成される1画像分データに基づいて、圧縮間引き画像用データと圧縮1画像分データとを作成する作成手段と、を備え、
前記作成手段は、
前記圧縮間引き画像用データを作成する場合、前記1画像分データに対して所定の割合で前記信号線の延在方向に間引き処理を行うことにより間引き画像用データを作成し、当該間引き画像用データを構成する各画像データについて前記走査線の延在方向に隣接する前記放射線検出素子から読み出された画像データ同士の差分を算出して差分データを作成し、当該差分データに対して圧縮処理を行うことによって当該圧縮間引き画像用データを作成し、
前記圧縮1画像分データを作成する場合、前記1画像分データを構成する各画像データについて前記信号線の延在方向に隣接する前記放射線検出素子から読み出された画像データ同士の差分を算出して差分データを作成し、当該差分データに対して圧縮処理を行うことによって当該圧縮1画像分データを作成することを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項2】
互いに交差するように配設された複数の走査線および複数の信号線と、前記複数の走査線および前記複数の信号線により区画された各領域に二次元状に配列された複数の放射線検出素子とを備える検出部と、
前記各放射線検出素子から前記各信号線を通じて電荷を読み出し、前記放射線検出素子ごとに前記電荷を画像データとして出力する複数の読み出し回路と、
前記複数の読み出し回路から出力された各画像データにより構成される1画像分データに基づいて、圧縮間引き画像用データと圧縮残り画像用データとを作成する作成手段と、を備え、
前記作成手段は、
前記圧縮間引き画像用データを作成する場合、前記1画像分データに対して所定の割合で前記信号線の延在方向に間引き処理を行うことにより間引き画像用データを作成し、当該間引き画像用データを構成する各画像データについて前記走査線の延在方向に隣接する前記放射線検出素子から読み出された画像データ同士の差分を算出して差分データを作成し、当該差分データに対して圧縮処理を行うことによって当該圧縮間引き画像用データを作成し、
前記圧縮残り画像用データを作成する場合、前記間引き処理後の残り画像用データを構成する各画像データについて前記信号線の延在方向に隣接する前記放射線検出素子から読み出された画像データ同士の差分を算出して差分データを作成し、当該差分データに対して圧縮処理を行うことによって当該圧縮残り画像用データを作成することを特徴とする放射線画像撮影装置。
【請求項3】
前記作成手段により作成された前記圧縮間引き画像用データと前記圧縮1画像分データとを外部装置に対して転送する転送手段を備える請求項1に記載の放射線画像撮影装置と、
前記放射線画像撮影装置から前記圧縮間引き画像用データが転送されてきた場合には、当該圧縮間引き画像用データを元の前記差分データに解凍し、当該差分データに基づいて元の前記間引き画像用データを復元し、前記放射線画像撮影装置から前記圧縮1画像分データが転送されてきた場合には、当該圧縮1画像分データを元の前記差分データに解凍し、当該差分データに基づいて元の前記1画像分データを復元するコンソールと、を備えることを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項4】
前記コンソールは、復元した前記間引き画像用データに基づいてプレビュー画像を生成して表示部に表示し、復元した前記1画像分データに基づいて診断用放射線画像を生成することを特徴とする請求項3に記載の放射線画像撮影システム。
【請求項5】
前記作成手段により作成された前記圧縮間引き画像用データと前記圧縮残り画像用データとを外部装置に対して転送する転送手段を備える請求項2に記載の放射線画像撮影装置と、
前記放射線画像撮影装置から前記圧縮間引き画像用データが転送されてきた場合には、当該圧縮間引き画像用データを元の前記差分データに解凍し、当該差分データに基づいて元の前記間引き画像用データを復元し、前記放射線画像撮影装置から前記圧縮残り画像用データが転送されてきた場合には、当該圧縮残り画像用データを元の前記差分データに解凍し、当該差分データに基づいて元の前記残り画像用データを復元するコンソールと、を備えることを特徴とする放射線画像撮影システム。
【請求項6】
前記コンソールは、復元した前記間引き画像用データに基づいてプレビュー画像を生成して表示部に表示し、復元した前記間引き画像用データと復元した前記残り画像用データとを合成して得た合成データに基づいて診断用放射線画像を生成することを特徴とする請求項5に記載の放射線画像撮影システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−143474(P2012−143474A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−5479(P2011−5479)
【出願日】平成23年1月14日(2011.1.14)
【出願人】(303000420)コニカミノルタエムジー株式会社 (2,950)
【Fターム(参考)】