説明

新規な免疫治療薬とこの薬物を使用してサイトカインレベルを低減する方法

【課題】新規な免疫治療薬と、この薬物を使用してサイトカインおよびこれらの誘導体類のレベルを低減する方法の提供。
【解決手段】化学式(I)で表せる置換スチレンのシアノ及びカルボキシ誘導体に属する化合物であって、ホスホジエステラーゼ活性、特にはPDE3およびPDE4活性と、TNFα(腫瘍壊死因子−α:tumornecrosisfactor−α)、及びNFκB(nuclearfactorκB)産生のいずれかの阻害剤。


化学式(I)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、哺乳動物のサイトカイン及びこれらの誘導体類のレベルを低減する方法と、該方法に使用される化合物類及びその組成物に関するものである。より詳しくは、ホスホジエステラーゼ、特にはPDEIII及びPDEIV活性と、TNFα及びNFκBの産生を媒介する一連の化合物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
TNFα(腫瘍壊死因子-α: tumor necrosis facter-α)は、免疫賦活剤に応答してマクロファージより実質的に遊離するサイトカインである。動物やヒトにTNFαを投与すると、炎症、発熱、心循環系への影響、出血、凝固(coagulation),及び急性感染症やショック状態の時に見られる症状に似た急性症状を誘発することができる。
【0003】
NFκB(nuclear factor κB)は、様々な疾患及び炎症状態に関係する多面的転写アクチベーターである(レナルドら、Cell, 1989, 58, 227-29)。NFκBは、TNFαを含むサイトカイン(但しこれのみに限定するものではない)のレベルを調節するとともに、HIVウイルス転写を賦活する物質と考えられている(ドバイボら、J. Biol. Chem., 1993, 17762-17766; ドウら 、Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1989, 86, 5974-5978; バクレリーら,Nature, 1991,350, 709-712; ボスバスら,J. Acquired Deficiency Syndrome 1993, 6, 778-786; スズキら, Biochem.. Biophys. Res., Commun., 1993, 193, 277-83; スズキら.,Biochem. Biophys. Res. Commun., 1992, 189, 1709-1715; スズキら.,Biochem. Mol. Biol. Int., 1993, 31(4), 693-700; シャコブら,1990, 171, 35-47; 及びスタールら,Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 1990, 87, 9943-9947)。したがって、NFκBの結合を阻害することによって、サイトカイン遺伝子(genes)の転写調節ができる。NFκBは、この調節及びこれ以外の機序を介して、多くのジエステラーゼを阻害するために使用される。TNFαとNFκBのレベルは、相互に関係するフィードバックループにより影響を受けている。
【0004】
多くの細胞機能は、アデノシン-3',5'-サイクリックモノホスフェート(cAMP)レベルにより調節されている。かかる細胞機能は、喘息、炎症、及び他の症状を含む病気の炎症状態と疾病に対して関与することができる(ロー及びチェン,Drugs of the Future, 1992, 17(9), 799-807)。炎症時に白血球中 cAMPレベルが高揚することによって白血球が活性化されると、TNFα及びNFκBを含む炎症メディエータの遊離は阻害されることが報告されている。cAMPレベルが高揚すると、気道平滑筋の弛緩が惹起される。cAMPを不活性化する主たる機序は、サイクリックヌクレオチド ホスホジエステラーゼ(PDE)と呼称されるアイソザイムファミリーによる cAMPの分解であり、PDEアイソザイムは7種類が知られている。例えば、PDEタイプIVの阻害は、炎症起炎メディエータの遊離阻害及び気道平滑筋の弛緩に対して特に効果的であることが認められている。したがって、PDEタイプIVを阻害する物質は、炎症と気道平滑筋の弛緩に対して好適な阻害効果を発現するが、心循環系に対する影響或いは抗血小板効果のごとき不必要な副作用が極めて少い。現在、TNFαの産生阻害は、PDEタイプIVの阻害の結果であることが知られている(エル.ジェイ.ローバルド,Current Pharmaceutical Design,, 1995, 1, 255-268)。
【0005】
TNFα産生の過剰若しくは調節不能は、様々な疾病の症状に影響を及ぼす。これら疾患には、エンドトキセーミア(endotoxiemia)及び/又はトキシンショック症候群(トレーシら, Nature, 1987, 330, 662-664、及びヒンショーら, Circ. Shock, 1990, 30, 279-292)、悪液質(ダズベら,Lancet, 1990, 335(8690), 662)、及び成人呼吸窮迫症候群(ARDS)が含まれる。成人呼吸窮迫症候群(ARDS)の場合、ARDS患者の肺吸引物中に、TNFα濃度が12,000 pg/ml 以上検出される(ミラーら,Lancet, 1989, 2(8665), 712-714 )。
リコンビナントTNFαのシステミックな注入もまたその症状に変化が起きることが、ARDS患者にて代表的に観察されている(フェリー−バリベーラら,Arch. Surg., 1989, 124(12), 1400-1405)。
【0006】
TNFαはまた、関節炎を含む骨吸収性疾患に関係していることが明らかになった。関節炎において、白血球が活性化された場合この白血球は骨活性を発現することが明らかとなり、結果はTNFαがこの活性に寄与していることを示唆している(ベルトリニら,Nature, 1986, 319, 516-518、及びジョンソンら,Endocrinology, 1989, 124(3), 1424-1427)。TNFαは、骨芽細胞の機能阻害とともに骨芽細胞の形成と活性化を促進を介し、インビボ及びインビトロの系で骨吸収を促進しそして骨形成を阻害することが明らかになった。TNFαは関節炎を含む多くの骨吸収疾患に関与している可能性があるけれども、疾患に無理矢理リンクさせているものの大部分は、腫瘍又はホスト組織によるTNFα産生と、高カルシウム血漿との関連についてである(Calci. Tissu Int.(US), 1990, 46(Suppl.), S3-10 )。移植片とホストとの反応(Graft versus Host Reaction)において、血中TNFαレベルの高揚は、急性同種骨髄移植(acute allogenic marrow transplants)後の主要な合併症に関係している(ホラーら,Blood, 1990, 75(4), 1011-1016)。
【0007】
脳性マラリヤ(cerebral malaria )は、血中TNFαレベルの高いことと関係のある急性致死性神経症候群(lethal hyperacute neurological syndrom)であり、マラリア患者の極めて重篤な合併症である。血中TNFαレベルは疾患の重篤度と、急性マラリア患者の予後に直接的な関連がある。
【0008】
マクロファージ誘導血管新生(Macrophage-induced angiogenesis)は、TNFαにてメディエートされることが知られている。ライボビッヒらは、極めて少量のTNFαがラット角膜毛細血管の形成と家禽絨毛膜の発達を誘導することをインビボの系で示した(Nature, 1987,329, 630-632)。そして、TNFαは、炎症時の血管新生、損傷治癒、及び腫瘍成長を誘導する候補であることを示唆した(チンら、Brit. J. Cancer, 1955, 72, 339-343; コッホ,Progress in Medicinal Chemistry, 1985, 22, 166-242)。
【0009】
TNFαはまた、慢性肺炎性疾患領域で役割を果たしている。シリカ粒子が沈着すると珪肺(繊維化して汎発性呼吸障害を起こす疾病)となる。抗TNFα抗体は、マウスのシリカ誘導肺繊維かをブロックした(ピグネットら、Nature,1990, 344, 245-247)。(血中及び分離マクロファージ中で)TNFαが高レベルに産生されていることが、シリカ及びアスベストにて誘導した線維化病態モデル動物で証明されている(ビソンテら,Inflammation, 1989, 13(3), 329-339)。肺サルコイドーシス患者の肺腫マクロファージが、健常ドナーから得たマクロファージと比較すると、大量のTNFαを自発的に遊離していることも発見されている(バウマンら,J. Lab. Clin. Med., 1990, 115(1), 36-42)。
【0010】
TNFαはまた、再循環を導く炎症性応答、いわゆる再循環不全症(reperfusion injury)と、血流が不足した後の組織傷害にも関係している。また、TNFαは内皮細胞特性を変化し、そして、様々な血液凝固活性を持っている。すなわち、組織因子の凝血活性の増加及び凝血素(thrombomodulin)発現のダウンレギュレーションと同じ意味を持つ抗凝固蛋白Cパスウエーの抑制が起きる(シェリーら, J. Cell Biol., 1988, 107, 1269-1277)。TNFαは前駆炎症活性(proinflammatory activity)を有する。この活性は、(起炎現象の初期段階において、)予め産生されることと相まって、これらに限定するものではなけれども、心筋梗塞、脳卒中、及び循環性ショックを含む各種重要疾患に見られる組織傷害を誘発する情報達物質に類似するものでを構成しているかもしれない。TNFαが、接着性分子、例えば間質接着性分子(ICAM:intracellular adhesion molecule)若しくは内皮細胞上に接着する内皮白血球接着性分子(ELAM:endothelial leukeocyte adhesion molecule )の発現を誘導する点は、特に重要であるかもしれない(ムンローら, Am. J. Path., 1989, 135(1), 121-132)。
【0011】
抗TNFαモノクロナール抗体によるTNFαのブロックは慢性関節リウマチに有効であることが記載されている(エリオットら、Int. J. Pharmac., 1995, 17(2), 141-145)。高レベルのTNFαがクローン病に関係している(ホンダ グルマンら, Gastroenterology, 1995, 109(1), 129-135)。抗TNFα抗体による処理が臨床的に有効であった。このことは、クローン病にTNFαが重要であることが追認されている。
【0012】
さらに、TNFαが、HIV-1の活性化を含むレトロウイルス複製に対する活性化因子であることが知られれている。(ドゥーら,Proc. Natl. Acd. Sci. (USA), 1989, 86, 5974-5978; ポールら, Proc. Natl. Acd. Sci. (USA), 1990, 87, 782-785; モントら, Blood, 1990, 79, 2670); クロウゼら、J. Immunol. 1989, 142, 431-438 ; ポールら、AIDS Res. Hum. Retrovirus, 1992, 191-197)AIDSは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)がTンパ球に感染した結果である。少なくとも3タイプ若しくは株種のHIV、すなわちHIV−1、 HIV-2 , HIV-3が同定されている。HIV感染の結果、T細胞の関与する免疫系が損なわれ、感染者は、極度の日和見感染及び/又は正常でない腫瘍症状を呈す。Tリンパ球に入り込んだHIVは、Tリンパ球の活性化を要求する。HIV−1及びHIV-2のような他のウイルスは、T細胞を活性化した後のTリンパ球に感染する。そして、これらウイルスの蛋白質発現及び/又は複製が、上述したT細胞の活性化によりメディエート又は維持される。活性化Tリンパ球が一度HIVに感染すると、このTリンパ球は活性化された状態のまま維持され、HIV遺伝子の発現及び/又はHIVの複製ができるのである。サイトカイン、特にTNFαは、Tリンパ球の活性を維持する点でその役割を果たす。これにより、活性化T細胞が介在するHIV蛋白質発現及び/又はウイルスの複製に関係する。したがって、HIV感染患者にあっては、特に顕著なものはTNFαであるが、サイトカイン産生を阻止する又は阻害することによって、サイトカイン活性を妨害するため、HIV感染が原因のTリンパ球活性化を制限する手助けとなる。
【0013】
また、単球、マクロファージ、及びこれらに類する細胞(例えばクッパー細胞やグリア細胞)は、HIV感染の維持に関係している。T細胞に類似するこれらの細胞は、ウイルスが複製するための標的細胞であり、ウイルス複製のレベルはこの細胞の活性状態に依存性を有するローゼンバーグら,The Immunopathogenesis of HIV Infection, Advances in Immunology, 1989, 57)。TNFαのようなサイトカイン類は、単球及び/又はマクロファージ内でHIV複製を活性化することが記載されている(ポリら, Proc. Natl. Acd. Sci. (USA), 1990, 87, 782-784)。したがって、サイトカインの産生若しくは活性を阻止又は阻害することは、上述したT細胞と同様、HIVの進行を制限する手助けとなる。その後の研究から、TNFαがHIVの活性化に共通因子であることがインビトロの系で証明されており、細胞の細胞質内に見いだせる核調節蛋白質(nuclear regulatory protein)が介在する作用メカニズムが明確に提供されている(オスボーンら, Proc. Natl. Acd. Sci. (USA), 1989, 86, 2336-2340)。このことは、TNFα合成の低下が転写及び結果としてのウイルス産生を減じることを示しており、HIV感染に対して抗ウイルス的な影響を持つかもしれないことを示唆しているものである。
【0014】
T細胞及びマクロファージ株の潜伏的なHIV、AIDSウイルス複製は、TNFαにより誘導することができる(ホークスら, Proc. Natl. Acd. Sci. (USA), 1989, 86, 2365-2368)。このウイルス誘導活性の分子レベルでの作用メカニズムは、TNFαが、細胞の細胞質に見いだせる遺伝子調節蛋白質(NFκB)を活性化することにあると示唆されている。この遺伝子調節蛋白質(NFκB)は、ウイルスの調節遺伝子配列(LTR)に結合することでHIV複製を促進する(オスボーンら, Proc. Natl. Acd. Sci. (USA), 1989, 86, 2336-2340)。血中TNFαが高レベルであること及び患者末梢血由来の単球は自発的TNFα産生が高レベルであるっため、AIDSのTNFαは悪液質に関係することが示唆されている(ライトら,J. Immunol., 1988, 141(1), 99-104)。
【0015】
TNFαは、叙上と同じ理由で、サイトメガロウイルス(CMV)、インフルエンザウイルス、アデノウイルス、ヘルペスウイルス群のごとき、他のウイルス感染にも関係する。
【0016】
TNFαの影響を抑制することは様々な症状に対して有効であることが認められており、過去にあっては、ポリクロナール抗体及びモノクロナール抗体とともに、例えばデキサメタゾンやプレドニゾンのようなステロイドが、この目的に適用されていた(ビュートラーら、Science,1985, 234, 470-474; WO92/11383)。
【0017】
TNFαの阻害が望まれる症状としては、細菌性ショック、敗血症、エンドトキシンショック、血行動態ショック(hemodynamic shock)及び敗血症症候群(sepsis syndrome)、後発性虚血再環流傷害(post ischemic reperfusion injyury),マラリア、マイコバクター感染症、髄膜炎、乾せん(psoriasis)、鬱血性心疾患(congestive heart failure)、線維性疾患(fibrotic disease)、悪液質、移植片拒絶反応(graft rejection)、癌、自己免疫疾患、AIDSの日和見感染、慢性関節リウマチ、リウマトイド背椎炎(rheumatoid spondylitis)、変形性関節症(osteoarthritis)及び他の関節疾患、クローン病、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス、らい病のらい性結節性紅班(ENL in leprosy)、放射線障害、喘息、及び肺胞性過酸素傷害(hyperoxic alveolar imjury)が含まれる。
【0018】
核内のNFκB作用抑制は、限定的に記載するものではないが、つぎに示す様々な疾患の処置に有効的に適用できる;慢性関節リウマチ、リウマトイド背椎炎(rheumatoid spondylitis)、変形性関節症(osteoarthritis)や他の関節疾患、細菌性ショック、敗血症、エンドトキシンショック、移植片拒絶反応(graft rejection)、消耗性疾患(wasting)、クローン病、潰瘍性大腸炎、多発性硬化症、全身性リテマトーデス、らい病のらい性結節性紅班(ENL in leprosy)、HIV、 AIDS、及びAIDSの日和見感染症。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
本発明は、哺乳動物のサイトカイン及びこれらの誘導体類のレベルを低減する方法と、該方法に使用される化合物類及びその組成物に関するものである。より詳しくは、ホスホジエステラーゼ、特にはPDEIII及びPDEIV活性と、TNFα及びNFκBの産生を媒介する一連の化合物に関するものである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明となる化合物は、ホスホジエステラーゼ、TNFα及びNFκBのレベルに影響を及ぼすものであり、その方法は、つぎの化学式で表される化合物を適用することにより、ホスホジエステラーゼ、TNFα及びNFκBのレベルを調節することを含んでいる。

【0021】
ここで、
(a)Xは−O−若しくは-(CnHn)-であり、この-(CnHn)-で中のnは0,1,2,若しくは3の整数であり、そして、
は、炭素数が1〜10のアルキル、炭素数が10までのモノシクロアルキル基、炭素数が10までのポリシクロアルキル基.又は炭素数が10までのベンゾサイクリックアルキル基のいずれかであるか、又は、
(b)Xは-CH=であり、そして、Rは、炭素数が10までアルキリデン基、炭数が10までのモノシクロアルキリデン基、又は炭素数が10までのバイシクロアルキリデン基であり、
は、水素、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、カルベトキシ(car bethoxy)、カルボメトキシ(carbomethoxy)、カルボプロポキシ(carbopropoxy)、アセチル、カルバモイル、アセトキシ、カルボキシ、ヒドロキシ、アミノ、低級アルキル、低級アルキリデンメチル、低級アルコキシ、又はハロゲンであり、
は、
(i) ニトロ、シアノ、ハロゲン、トリフルオロメチル、カルベトキシ、カルボメトキシ、カルボプロポキシ、アセチル、カルバモイル、炭素数が1〜3個のアルキル基で置換されたカルバモイル、アセトキシ、カルボキシ、ヒドロキシ、アミノ、炭素数が1〜5のアルキル基で置換されたアミノ、炭素数が10までのアルキル、炭素数が10までのシクロアルキル、炭素数が10までのアルコキシ、炭素数が10までのシクロアルコキシ、炭素数が10までのアルキリデンメチル、炭素数が10までのシクロアルキリデンメチル、フェニル、若しくはメチレンジオキシから独立して選択された1又はそれ以上の置換基によって置換されている又は置換されていな「フェニル基」か、
(ii) ピリジン、置換ピリジン、ピロリジン、イミジゾール(imidizole)、ナフタレン、又はチオフェンか、
(iii)ニトロ、シアノ、ハロゲン、トリフルオロメチル、カルベトキシ、カルボメトキシ、カルボプロポキシ、アセチル、カルバモイル、アセトキシ、カルボキシ、ヒドロキシ、アミノ、置換アミノ、炭素数が1〜10のアルキル、炭素数が10以上のアルコキシ、フェニルからなる群から独立して選択された1又はそれ以上の置換基によって置換されている又は置換されていない「炭素数が4〜10のシクロアルキル基」、
であり、
及びRは、それぞれ水素と結合しているか、又はRとRはともにC-C結合を持つ官能基であり、
Yは、-COZ、-C≡N、又は炭素数が1〜5の低級アルキル基であって、
Zは-OH、-NR、-R、又は-ORで、Rが水素若しくは低級アルキル基、-Rがアルキル若しくはベンジル基である。
【0022】
好適な第1番目の化合物群は、化学式1で表せる化合物であって、
が、アルキル基、炭素数が10までのモノシクロアルキル基、炭素数が10までのポリシクロアルキル基.又は炭素数が10までのベンゾサイクリックアルキル基、
Xが−O−若しくは-(CH-であって、”n”は0,1,2,若しくは3の整数、
が、 水素、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、カルベトキシ、カルボメトキシ、カルボプロポキシ、アセチル、カルバモイル、アセトキシ、カルボキシ、ヒドロキシ、アミノ、低級アルキル、低級アルコキシ、又はハロゲン、
そして、R、R、Y、Z、R、Rが叙上で定義したもの、
である。
【0023】
好適な第2番目の化合物群は、化学式1で表せる化合物であって、
が、
(i) ニトロ、シアノ、ハロゲン、トリフルオロメチル、カルベトキシ、カルボメトキシ、カルボプロポキシ、アセチル、カルバモイル、炭素数が1〜3 のアルキル基で置換されたカルバモイル、アセトキシ、カルボキシ、ヒドロキシ、アミノ、炭素数が1〜5のアルキル基で置換されたアミノ、炭素数が1〜10のアルキル若しくはシクロアルキル、炭素数が1〜10のアルコキシ、若しくはシクロアルコキシからなる群から独立して選択された1又はそれ以上の置換基によって置換されている又は置換されていない「フェニル又はナフタレン」、又は、
(ii) ニトロ、シアノ、ハロゲン、トリフルオロメチル、カルベトキシ、カルボメトキシ、カルボプロポキシ、アセチル、カルバモイル、アセトキシ、カルボキシ、ヒドロキシ、アミノ、置換アミノ、炭素数が1〜10のアルキル、炭素数が1〜10までのアルコキシ、フェニルからなる群から独立して選択された1又はそれ以上の置換基によって置換されている又は置換されていない「炭素数が4〜10までのシクロアルキル基」、
である。
【0024】
特に好適なニトリル含有化合物は、つぎの化学式IIA及びIIBで表されものである。


【0025】
又は、




【0026】
ここで、
(a)Xは−O−若しくは-(CnHn)-であり、この -(CnHn)-中のnは0,1,2,若しくは3の整数であり、そして、
は、炭素数が10以上のアルキル、炭素数が10までのモノシクロアルキル、炭素数が10までのポリシクロアルキル.又は炭素数が10までのベンゾサイクリックアルキル、又は、
(b)Xは-CH=であり、そして、Rは、炭素数が10までのアルキリデン、又は炭数が10までのモノシクロアルキリデンであり、
は、水素、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、カルベトキシ (carbethoxy)、カルボメトキシ(carbomethoxy)、カルボプロポキシ(carbopropoxy)、アセチル、カルバモイル、アセトキシ、カルボキシ、ヒドロキシ、アミノ、低級アルキル、低級アルコキシ、又はハロゲンであり、
は、
(i) ニトロ、シアノ、ハロゲン、トリフルオロメチル、カルベトキシ、カルボメトキシ、カルボプロポキシ、アセチル、カルバモイル、又は、炭素数が1〜3個のアルキル、アセトキシ、カルボキシ、ヒドロキシ、アミノで置換されたカルバモイル基、又は、炭素数が1〜5のアルキル、炭素数が1〜10のアルコキシ若しくはシクロアルコキシで置換されたアミノ基、から独立して選択された1又はそれ以上の置換基によって置換されている又は置換されていない「フェニル又はナフチル基」か、
(ii) ニトロ、シアノ、ハロゲン、トリフルオロメチル、カルベトキシ、カルボメトキシ、カルボプロポキシ、アセチル、カルバモイル、アセトキシ、カルボキシ、ヒドロキシ、アミノ、置換アミノ、炭素数が1〜10のアルキル、炭素数が1〜10のアルコキシ、又はフェニルからなる群から独立して選択された1又はそれ以上の置換基によって置換されている又は置換されていない「炭素数が4〜10のシクロアルキル基」、
であり、
Zは-OH、-NR、-R、又は-ORで、Rが水素若しくは低級アルキル、-Rがアルキル若しくはベンジル基である。
【0027】
特に好適なアルカノイック酸誘導体は、つぎの化学式IIIA又はIIIBで表されるものである。


【0028】
又は


【0029】
ここで、
(a)Xは−O−若しくは-(CnHn)-であり、この -(CnHn)-中のnは0,1,2,若しくは3の整数であり、そして、
は、炭素数が10以上のアルキル、炭素数が10までのモノシクロアルキル、炭素数が10までのポリシクロアルキル.又は炭素数が10までのベンゾサイクリックアルキル、又は、
(b)Xは-CH=であり、そして、Rは、炭素数が10までのアルキリデン、又は炭数が10までのモノシクロアルキリデンであり、
は、水素、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、カルベトキシ(carbethoxy)、カルボメトキシ(carbomethoxy)、カルボプロポキシ(carbopropoxy)、アセチル、カルバモイル、アセトキシ、カルボキシ、ヒドロキシ、アミノ、低級アルキル、低級アルコキシ、又はハロゲンであり、
は、
(i) ニトロ、シアノ、ハロゲン、トリフルオロメチル、カルベトキシ、カルボメトキシ、カルボプロポキシ、アセチル、カルバモイル、又は、炭素数が1〜3個のアルキル、アセトキシ、カルボキシ、ヒドロキシ、アミノ、炭素数が1〜3のアルキル、アセトキシ、カルボキシ、ヒドロキシ、アミノ、炭素数が1〜5のアルキル基で置換されたアミノ、炭素数1〜10のアルキル若しくはシクロアルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ若しくはシクロアルコキシで置換されたカルバモイル基、
(ii) ニトロ、シアノ、ハロゲン、トリフルオロメチル、カルベトキシ、カルボメトキシ、カルボプロポキシ、アセチル、カルバモイル、アセトキシ、カルボキシ、ヒドロキシ、アミノ、置換アミノ、炭素数が1〜10のアルキル、炭素数が1〜10のアルコキシ、又はフェニルからなる群から独立して選択された1又はそれ以上の置換基によって置換されている又は置換されていない「炭素数が4〜10のシクロアルキル基」、
であり、
Zは-OH、-NR、-R7、、又は-ORであり、Rが水素若しくは低級アルキル、-Rがアルキル若しくはベンジル基、
である。
【0030】
本明細書にて使用する「アルキル」という用語は、飽和単結合の枝分かれ又は直鎖状の炭化水素鎖のことである。特記しない限り、この鎖は1〜18個の炭素原子を含んでいる。かかる「アルキル」グループに含まれる代表的なものは、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、sec-ブチル、tert-ブチル、ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、tert- ペンチル、へキシル、イソヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、へプタデシル、オクタデシル、及びこれらに類するものである。”低級”であるとは、上述した「アルキル」群で、炭素数が1〜6のものである。同じ炭素のものに対して、「アルカン」といい、この誘導語が「アルコキシ」である。
【0031】
本明細書にて使用する「シクロアルキル」という用語は、飽和単結合で環状構造をした炭化水素鎖のことである。特記しない限り、この鎖は18個以上の炭素原子を含んでいる。モノサイクリックアルキルは、単環グループをもつグループのことである。ポリサイクロアルキルは、通常は2個以上の炭素を骨格に有する2ないしそれ以上の環状系をもった炭化水素系のことである。ベンゾシクロアルキルは、ベンゾ基に融合したモノサイクリックアルキルグループを意味する。モノサイクリックアルキルグループに含まれる代表的なものは、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニィル、シクロデシル、シクロウンデシル、シクロドデシル、シクロトリデシル、シクロテトラデシル、シクロペンタデシル、シヘキヘキサデシル、シクロへプタデシル、シクロオクタデシルである。ポリシクロアルキルグループに含まれる代表的なものは、バイシクロ[2.2.1]ヘプチル、バイシクロ[3.2.1]オクチル、及びバイシクロ[2.2.2]オクチルが含まれる。ベンゾシクロアルキルは、テトラヒドロナフチル、インダニル、及び1,2-ベンゾシクロヘプタニルにタイプ分けされる。
【0032】
上述した化合物は、ジアリルアルケンの製造に一般に公知である方法を使用して製造することができる。例えば、適宜置換されたビス(アリル)ケトンをジアルキルシアノメチルフォスホネートで処理すると、対応するビスアリルアクリロニトリル(bis aryl acrylonitrile)を得ることができる。このものを加水分解して対応するカルボン酸にすることができ、公知方法にてエステル体及びアミド体にできる。一方、置換ビス(アリル)ケトンを、アルキル2置換ホスホノアセテート(alkyl disubstituted phosphonoacetate )とリチウムヘキサメチルジシラザイド(lithium hexamethyldisilazide)で処理すると、エステル体若しくはアミド体がそれぞれダイレクトに生成する。置換ビス(アリル)ケトンを逆に適当なトリフェニルホスフェート(triphenylphosphite)で処理することもできる。


【0033】
ビス(アリル)ケトンはまた、例えばルイス酸存在下、酸クロライドで処理するフリーデル-クラフトアシル化反応のような公知の方法で製造することもできる。
【0034】
これら化合物の代表的なものを例示すると、3,3-ビス(3,4-ジメトキシフェニル)アクリロニトリル、3,3-ビス(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)アクリロニトリル、メチル 3,3-ビス(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)プロピオネート、メチル 3-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-3-フェニルプロピオナート、 3-(3-プロポキシ-4-メトキシフェニル)-3-フェニルアクリロニトリル、3-(3エトキシ-4-メトキシフェニル)3−フェニルアクリロニトリル、3,3-ビス-(3-シクロぺントキシ-4-メトキシフェニル)アクリロニトリル、 メチル 3-(3-シクロペントキシ-4-メトキシフェニル)-3-フェニルプロペノエート(-phenylpropenoate)、3-(3-シクロペントキシ-4-メトキシフェニル)-3-フェニルアクリロニトリル、 3-(3-シクロペントキシ-4-メトキシフェニル)-3-フェニルプロペン、 1-(3-シクロペントキシ-4-メトキシフェニル)-1-フェニルプロパン、3-(3-シクロペントキシ-4-メトキシフェニル)-3-フェニルプロパンニトリル、メチル 3-(3-シクロペントキシ-4-メトキシフェニル)-3-フェニルプロパネート、3-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-3-フェニルプロパンニトリル、メチル 3-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-3-フェニルプロパノエート、3,3-ビス(3,4-ジメトキシフェニル)プロパンニトリル、3,3-ビス(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)プロパンニトリル、 3-(3,4-ジメトキシフェニル)-3-フェニルアクリロニトリル、3-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-3-ナフチルプロパンニトリル、 3-(3,4-ジメトキシフェニル)-3-フェニルプロパンニトリル、及び 3-(3,4-ジメトキシフェニル)-3-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)プロパンニトリルがある。
【0035】
好適な化合物の更なるグループにはつぎの化合物が含まれる。; 4,4-ビス-(3,4-ジメトキシフェニル)-ブテ-3-エン-2-オン、 4-(3,4-ジメトキシフェニル)-4-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)ブテ-3-エン-2-オン、 4-(3,4-ジメトキシフェニル)-4-フェニルブテ-3-エン-2-オン、 4-(3,4-ジメトキシフェニル)-4-(3-シクロペントキシ-4-メトキシフェニル)ブテ-3-エン-2-オン、 4-(3,4-ジメトキシフェニル)-4-(3インダン-2-イルオキシ-4-メトキシフェニル)ブテ-3-エン-2-オン、 4-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-4-(4-ピリジル)ブテ-3-エン-2-オン、 4-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-4-(4-ピリジル)ブタン-2-オン、4-(3-シクロペントキシ-4-メトキシフェニル)-4-(4-ピリジル)ブテ−3−エン−2−オン、4-(3-シクロペントキシ-4-メトキシフェニル)-4-(4-ピリジル)ブタン-2-オン、 メチル 3-(3-シクロペントキシ-4-メトキシフェニル)-3-(4-ピリジル)プロペ-2-エンエート、 メチル 3-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-3-(4-ピリジル)プロペ-2-エンエート、 メチル 3-(3-エトキシ−4-メトキシフェニル)-3-(4−ピリジル)プロパネート、 4-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-4-(2-フリル)ブテ-3-エン-2-オン、 3-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-3-(2-フリル)プロペ-2-エンニトリル、 3-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-3-(4-ピリジル)プロペ-2-エンニトリル、 3-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-3-(4-ピリジル)プロパンニトリル、 3-(3-シクロペントキシ-4-メトキシフェニル)-3-(4-ピリジル)プロペ-2-エンニトリル、 3-(3-シクロペントキシ-4-メトキシフェニル)-3-(4-ピリジル)プロパンニトリル、 4-(3,4-ジメトキシフェニル)-4-(4−メトキシ-3-プロピペ-1-エニルフェニル)ブテ-3-エン-2-オン、 4-(3,4−ジメトキシフェニル)-4-(4−メトキシ-3-プロペ-1-エニルフェニル)ブテ-3-エン-2-オン、4,4-ビス-(3,4-ジメトキシフェニル)ブタン-2-オン、 4-(3,4-ジメトキシフェニル)-4-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)ブタン-2-オン、 4-(3,4-ジメトキシフェニル)-4-(3-(シクロペンチリデンメチル)-4-メトキシフェニル)ブタン-2-オン、 4-(3,4-ジメトキシフェニル)-4-(4-メトキシ-3-プロペ-1-エニルフェニル)ブタン-2-オン、 4,4-ビス-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)ブテ-3-エン-2-オン、 3-(3,4-ジメトキシフェニル)-3-(3-(シクロペンチリデンメチル)-4-メトキシフェニル)プロペ-2-エンニトリル、 3-(3-(シクロペンチリデンメチル)-4-メトキシフェニル)-3-フェニル-プロペ-2-エンニトリル、 1-(3,4-ジメトキシフェニル)-1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)ペンタン-3-オン, 1-(3,4-ジメトキシフェニル)-1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)ペンテ-1-エン-3-オン、 1,1-ビス-(3,4-ジメトキシフェニル)ペンタン-3-オン、 3-(3,4-ジメトキシフェニル)-3-(3-(シクロペンチリデンメチル)-4-メトキシフェニル)プロペ-2-エンニトリル、 3-(3-(シクロペンチリデンメチル)-4-メトキシフェニル)-3-フェニル-プロパンニトリル、 3,3 -ビス-(3−(シロペンチリデンメチル)-4-メトキシフェニル)プロパンニトリル、 3,3 -ビス-(3−(シロペンチリデンメチル)-4-メトキシフェニル)プロペ-2-エンニトリル、 3-(3,4-ジメトキシフェニル)-3-(3-(シクロペンチリデンメチル)-4-メトキシフェニル)プロペ-2-エンアミド、 3-(3-(シクロペンチリデンメチル)-4-メトキシフェニル-3-フェニル)プロパンアミド、 3,3 -ビス-(3−(シロペンチリデンメチル)-4-メトキシフェニル)プロパンアミド、 3,3 -ビス-(3−(シロペンチリデンメチル)-4-メトキシフェニル)プロペ-2-エンアミド、 3-(3,4-ジメトキシフェニル)-3-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)プロペ-2-エンアミド、 3,3 -ビス-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)プロペ-2-エンアミド、 3,3 -ビス-(3,4-ジメトキシフェニル)プロペ-2-エンアミド、 3,3 -ビス-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)プロパンアミド、 3,3 -ビス-(3,4-ジメトキシフェニル)プロパンアミド、 4-(3,4-ジメトキシフェニル)-4-(4-メトキシ-3-エキソ-ノルボニルオキシフェニル)ブテ-3-エン-2-オン、 3-(3,4-ジメトキシフェニル)-3-(4-メトキシ-3-エキソ-ノルボニルオキシフェニル)プロペ-2-エンニトリル、 3-(3,4-ジメトキシフェニル)-3-(3,4-メチレンジオキシフェニル)プロペ-2-エンニトリル、 3-(4-アミノフェニル)-3-(3,4-ジメトキシフェニル)プロペ-2-エンニトリル、 及び 3-(4-アミノフェニル)-3-(3-エトキシ-4-ジメトキシフェニル)プロペ-2-エンニトリル。
【0036】
これらの化合物は、1若しくはそれ以上の分子不斉中心(center of chirarity)を有することがあり、そのため光学異性体が存在し得る。これら異性体の各ラセミ体及びそれぞれの異性体は、2又はそれ以上の分子不斉中心がある時の例えばジアステレオマー異性体と同様に、本発明のスコープにある。ラセミ体は、カイラルアブソーバントを用いたクロマトグラフィで機械的に個々の異性体を分離することができるし、これらをカイラルアブソーバントとして使用することもできる。一方、個々の異性体を分子不斉体として製造し、10-樟脳スルフォン酸(10-camphorsulfonic acid)、樟脳酸、アルファブロモ樟脳酸、メトキシ酢酸、酒石酸、ジアセチル酒石酸、マレイン酸、ピロリドン-5-カルボン酸、及びこれらに類する化合物のそれぞれエナンシオマー(enantiomers )のような分子不斉酸と塩を形成させ、ついで、得られた塩の一方若しくはその両方を遊離体にし、必要に応じてこの操作を繰り返すと、一方の異性体を含まない例えば光学純度95%の異性体化合物として、そのどちらか一方若しくはその両方が化学的に分離できる。さらに、R4及びR5がC−C結合をしている化合物には、シス型(Z)及びトランス型(E)の異性体として存在できる。
【0037】
これらの化合物は、優れた専門医の監視下で、TNFα,NKκB及びホスホジエステラーゼの望まない影響を阻害するべく使用できる。これら化合物はこれ単独で又は抗生物質、ステロイド等の他の治療薬とともに、治療を必要とする動物に対して、経口的、経直腸的又は非経口的に適用することができる。経口投与する際の剤形は、錠剤、カプセル剤、糖衣錠、及びこれらに類する剤形、すなわち加圧系の薬剤を含む。等張生理食塩水中に20〜100mg/mLの割合で溶解し、筋肉、背椎、静脈及び関節ルートを含め非経口に適用することができる。経直腸投与は、ココアバターのような通常の賦形剤を処方した座剤を使用して適用すると有効である。
【0038】
投与レジメは、特定な条件、すなわち年齢、体重及び患者の全身の生理状態に基づいていなければならず、そして、応答を得るには、常用量ではないが、約1〜約100mg/日の範囲内であり、1日につき1回若しくは複数に分けて適用する。一般的な最初の処置量は、他のTNFα関与の症状において本発明の化合物がTNFα活性を阻止する有効量をそのままコピーすることができる。患者のT細胞数と、T4/T8比及び/又は逆転写酵素の若しくはウイルス蛋白質のレベルのようなウイルス血症の測定、及び/又は悪疫質若しくは筋傷害のような問題に関係するサイトカイン関与疾患の進行が定期的にチェックされるであろう。もし通常の処置レジメで期待する効果が認められないならば、適用された薬剤にて阻止するサイトカイン活性量を、例えば1週間当たり50%の割合で増加する。
【0039】
本発明となる化合物はまた、過剰のTNFα発現を介した若しくは病状が悪化した(exacerbated)ウイルス感染のような特定疾患の治療又は予防に特には使用できる。このウイルス感染は、ヘルペスウイルス若しくはウイルスが原因の症状、ウイルス性結膜炎、乾せん、他の皮膚系の傷害及び疾患が例示できる。
【0040】
本発明となる化合物はまた、TNFα産生を阻止する又は阻害する必要のあるヒト以外の他の動物の獣医学的治療に使用できる。動物を治療又は予防的に処置するTNFα関与の疾患は、上述した各疾患が含まれており、かかるウイルスの例は、ネコ免疫不全ウイルス(feline immuno deficiency virus)、ウマ伝染性貧血ウイルス(equine infection anaemia virus)、山羊関節炎ウイルス(caprine arthritis virus)、ビスナウイルス、マエディ、及び他のレンチウイルスを含むものである。
【0041】
これら化合物によるPDE-III、PDE-IV、TNF-α及びNKκBの阻害は、例えば酵素免疫測定法、ラジオイムノアッセイ、アフィニティーラベリング等の先行公知の方法で通常アッッセイできつぎにその代表的なものを述べる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0042】
TNFαのエンザイムリンク イムノソルベントアッセイPBMC細胞の分離
健常者由来のPBMCは、Ficoll-Hypaque密度遠心分離法で得た。得られた細胞は、10%AB+血清、2mM L−グルタミン、100U/mLペニシリン及び100mg/mLストレプトマイシンを含むRPMI培地で培養した。
【0043】
PBMC細胞サスペンジョン
薬物をジメチルスルフォキサイド(シグマ)に溶解した後、上記サプリメント含有RPMI培地で希釈した。PBMCサスペンジョン中に薬物が存在しても存在しなくても、ジメチルスルフォキサイドの終濃度は0.25wt%である。薬物は、50mg/mLを倍倍希釈法で定量した。96穴プレート中のPBMC(106 細胞/mL)に対して薬物を加え、さらに1時間後にLPSを加えた。
【0044】
細胞刺激
薬物存在下若しくは非存在下にて、PBMC(106 細胞/mL)を、サルモネラミネソタ R595株(Salmonella minnesot)(List Biological Labc, Campbell , CA)由来LPSで処理をした。ついで、18〜20時間37℃で細胞培養した。上清を得て、直ちにTNFαのレベルを測定するか、測定するまで −70℃で凍結保存した(但し4日以上は放置しなかった)。
【0045】
TNFα定量
上清中のTNFα濃度は、ヒトTNFα ELISAキット(ENDOGE製、ボストン、MA)を使用し取扱説明書にしたがって定量した。
【0046】
ホスホジエステラーゼは、常法にしたがって測定できる。例えば、ヒル-ミッチェルの方法にしたがい、ヒト前単球(promonocyte)細胞株ライン、U937細胞を、1x10 細胞数/mL間で増殖させて遠心分離にて集める。細胞数が1x10 個の細胞を等張食塩リン酸緩衝液で洗浄した後、後洗浄するまで-70℃で凍結保存するか直ちに冷ホモゲナイズ用緩衝液中で分解した。ホモゲナイズ用緩衝液は、20mMトリス塩酸緩衝液(pH7.1)、3mM2- メルカプトエタノール、1mM塩化マグネシウム、0.1mMエチレングリコール-ビス-(β-アミノエチルエーテル)-N,N,N',N'-テトラ酢酸(TGTA)、1μMフェニルメチルスルフォニルフルオライド(PMSF)、及び 1μg/mLロイペプシンを含有する、20mMトリス塩酸緩衝液,pH7.1である。
細胞をダンス型ホモゲナイザーで20回ストロークさせてホモゲナイズし、細胞質を含む上清を遠心分離して得た。この上清画分を、Sephacryl S-200 カラムクロマトグラフィにて分画し(溶媒;上記ホモゲナイズ用緩衝液、流速:約0.5mL/分)、各フラクションのホスホジエステラーゼ活性の有無(-/+)を測定した。ホスホジエステラーゼ活性(rolipam sensitive)のある画分をプールし、使用時まで保存した。
【0047】
ホスホジエスエラーゼ活性は、ヒル-ミッチェルの方法をベースにして実施した。活性測定は、各種濃度に調整した試験用化合物、50mMトリス-塩酸緩衝液,pH7.、5mM塩化マグネシウム、及び1μMcAMP(cAMP1%含有)を含む100μLの反応溶液中で行った。30℃、30分間インキュベートした後、2分間加熱して反応を停止させた。これらの実験に用いた抽出物を含有するホスホジエステラーゼ IVの量は、反応が直線的に進行する範囲内であり、そして、全基質の15%以下の消費となるように予備的に算定した。反応を停止させた後、サンプルを4℃に冷やした後、10mg/mL蛇毒、10μLにて30℃、15分間処理をした。15分間、4級アンモニウムイオン交換樹脂(AG1−X8)を加えて未反応の基質を除去した。3000rpm, 5分間遠心して、得られた水層,50μLにつき、カウントした。各データポイントは2重測定されており、酵素活性は、コントロール当たりの百分率で表した。被検化合物のIC50 は、3回の実験で最小となるものを選び、検量線から求めた。
【0048】
以下の実施例から本発明の特徴がさらに明らかとなるであろうが、本発明はこれら実施例に限定されるのではなく、クレームにのみ限定されるものである。
【実施例1】
【0049】
3,3−ビス−(3,4−ジメトキシフェニル)アクリロニトリル
A.3,4,3’4’'-テトラメトキシベンゾフェノン
ベラトロール(veratrole: 2.07g、15.0ミリモル)含有塩化メチレン,30mL中に、窒素雰囲気、氷冷下にて攪拌しながら、塩化アンモニウム(2.20g,16.5ミリモル)を加える。僅かに発熱した。反応混合物に、3,4-ジメトキシベンゾイルクロリド(3.01g, 15.0ミリモル)及び塩化メチレン20mLを加える。ついで、室温となるまで加温し、ついで、3.4時間環流した後、さらに16時間室温で攪拌した。反応混合物を氷水(50mL)中に注ぎ込み、5分間攪拌した。この混合物を塩化メチレン(25mL)で2回抽出し、併せた抽出液を硫酸ナトリウムにて乾燥、真空下で濃縮すると、粗生成物が黄褐色固体として得られた。この粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル,酢酸エチル/塩化メチレン(4/96))で精製すると、2.96gの目的物が白色結晶として得られた(収率66%)。
【0050】
HNMR(CDCl)δ7.4(m,4H),6.91(m,2H), 3.97(s,6H),3.95(s,6H); 13CNMR(DMSO−d)δ194.4, 152.5, 148.8, 130.7, 124.7, 112.2, 109.7, 56.0
化学式C17H18O ; 理論値: C, 67.54; H, 6.00
実測値: C, 67.42; H, 6.03.
【0051】
B.3,3-ビス-(3’,4’-ジメトキシフェニル)アクリロニトリル
水酸化ナトリウム(5.0ミリモル)を懸濁させたテトラヒドロフラン,20mL中に、0.8mLのジエチルシアノメチルホスホネートを、氷冷攪拌下、シリンジにて滴下しながら加えた。反応混合物を室温になるまで加温し、ついで、3,4,3’,4’'-テトラメトキシベンゾフェノン(1.51g、5.00ミリモル)及びテトラヒドロフラン(10mL)を添加した。反応混合物を5日間攪拌した後、10mLの水を注ぎ込んだ。この混合物を塩化メチレン(50mLと25mL)で2回抽出し、抽出液を硫酸ナトリウムにて乾燥、真空下で濃縮すると、粗生成物が油状で得られた。この粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィーで精製すると、目的物が白色ワックスとして得られた。
HNMR(CDCl)δ7.95(brm,6H), 5.57(s,1H), 3.94(s,3H),3.92(s,3H), 3.87(s, 3H), 3.84(s, 3H); 13CNMR(DMSO-d)δ162.4, 151.0, 150.5, 148.8, 148.5, 131.8, 129.5, 123.2, 122.2, 118.6, 112.7, 111.4, 110.7, 110.7, 91.9, 56.0, 55.9, 55.9.
化学式C17H18O ; 理論値: C, 67.54; H, 6.00
実測値: C, 67.42; H, 6.03
【実施例2】
【0052】
シス及びトランス 3-(3,4−ジメトキシフェニル)−3−(エトキシ−4−メトキシフェニル)アクリロニトリル
A.3,4-ジメトキシ-3-エトキシ-4-メトキシベンゾフェノン
3-エトキシ-4-メトキシ安息香酸(0.98g、5.0ミリモル)含有塩化メチレン,20mL中に、氷冷、攪拌下、オキサリルクロリド(0.44mL,5.0ミリモル)及び N,Nジメチルホルムアミド(ジメチルホルムアミド)を加える。得られた黄色混合物を、室温で35分間攪拌すると、反応液は溶液となる。得られた溶液をアイス浴で冷やし、ベラトロール(veratrole: 0.64mL、5.0ミリモル)を加え、ついで、塩化アルミニウム(0.73g, 5.5 ミリモル)を加える。アイス浴をはずし、混合物を室温で攪拌した。この反応は、HPLC(Nova-Pak/C,8(ウオーターズ製)、3.9x150mm、4ミクロン、1mL/min、アクリルニトリル/0.1%リン酸)でモニターした。37時間後に反応は終了した。反応混合物を氷水(30mL)中に注ぎ込み、30分間攪拌、ついで塩化メチレン(20mL)で2回抽出した。塩化メチレン層を、重炭酸ナトリウム溶液(30mL)、ついで、水(50mL)で2回、さらに塩水(brine: 50mL)で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し濾過し、真空下で濃縮すると、粗生成物,1.05gが褐色固体として得られた。この粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル,5%酢酸エチル/塩化メチレン)で精製し、真空下(60℃、<1mmHg)で乾燥すると、目的物が0.8g得られた(収率51%)。
mp122-124.5℃;HNMR(CDCl)δ7.48-7.34(m,4H), 6.98-6.86(m,2H), 4.16(q,J=7 Hz,2H), 3.96(s,3H), 3.96(s,3H), 3.94(s,3H), 1.49(t,J=7Hz, 3H); 13CNMR(CDC13)δ194.4, 152.8, 152.5, 148.8, 148.0, 130.7, 130.6, 124.6, 124.5, 113.5, 112.2, 109.9, 109.7, 64.3, 55.9, 55.9, 14.6; HPLC:Nova−Pak/C,8カラム(ウオーターズ製),3.9 x 150 mm, 4μ, 1mL/min, 35/65アクリルニトリル/0.1%リン酸水溶液,99%;
化学式 C18H20O ; 理論値: C, 68.34; H, 6.37
測定値: C, 68.56; H, 6.51
【0053】
B.シス及びトランス 3-(3,4-ジメトキシフェニル)-3-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)アクリロニトリル
ジエチルシアノメチルホスホネート(0.9mL,5.5ミリモル)を溶解したテトラヒドロフラン,15mL中に、1.3M リチウムヘキサメチルジシラジド(4.2mL, 5.5ミリモル)/テロラヒドロフラン溶液を、氷浴を使用して冷却攪拌しながら加えた。反応混合物を室温となるまで加温後30分間攪拌し、ついで、3,4-ジメトキシ-3-エトキシ-4-メトキシベンゾフェノン(1.58g、5.00ミリモル)をテトラヒドロフラン(20mL)に懸濁した懸濁液を加えた。反応混合物を21時間攪拌した後、100mLの水を注ぎ込んだ。得られた混合物を塩化メチレン(50mL)で2回抽出した。抽出液を水で洗い、硫酸マグネシウムにて乾燥後、真空下で濃縮すると、粗生成物が黄色油状で得られた。得られた粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル、3%酢酸エチル/塩化メチレン)で精製し、ついで、ヘキサン/エーテル混液から再結晶した。得られた生成物を真空下(40℃、<1mmHg)で乾燥すると、目的物が白色固体として0.6g得られた。(収率35%)。
HNMR(CDCl)δ7.10-6.75(m,6H), 5.55(s,IH), 4.17-3.76(m,I1H), 1.54-1.36(m,3H);13CNMR(CDCL)δ162.5, 151.0, 150.8, 150.5, 148.8, 148.6, 148.1, 147.8, 131.9, 131.7, 129.6, 129.5, 123.2, 123.1, 122.1, 122.0, 118.6, 114.2, 112.9, 112.8, 111.4, 110.9, 110.9, 110.7, 110.7, 91.8, 64.5, 56.0, 55.9, 14.6;HPLC: Nova−Pak/C,カラム(ウオーターズ製),3.9 x150 mm,4μ,1mL/min,45/55アクリルニトリル/0.1%リン酸水溶液7min,100%;
化学式 C20H21NO ; 理論値: C, 70.78; H, 6.24; N, 4.13
測定値: C, 70.62; H, 6.21; N, 4.07
【実施例3】
【0054】
3-(3,4-ジメトキシフェニル)−3−フェニルアセテート
A.3,4-ジメトキシベンゾフェノン
3,4-ジメトキシベンゾフェノンは、3,4,3’,4’-テトラメトキシベンゾフェノンの製造方法と類似の方法で、ベラトロール(veratrole: 2mL、15.0ミリモル)、塩化アルミニウム(2.2g、16.5ミリモル))及びベンゾイルクロリドを使用して作製した。粗反応の混合物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル,3%酢酸エチル/塩化メチレン)で精製すると、目的物が白色固体として3.44g得られた(収率93%)。
HNMR(CDCl)δ7.82-7.30(m,7H), 6.95-6.85(m,1H), 3.96(s,3H), 3.94(s,3H); 13CNMR(CDCl)δ195.5, 153.0,149.0, 138.2, 131.8, 130.2, 129.6, 128.1, 125.4, 112.1, 109.7, 56.0, 56.0;
化学式 C15H14O; 理論値: C, 74.36; H, 5.82
測定値: C, 74.21; H, 6.01
【0055】
B.3-(3,4-ジメトキシフェニル)-3-フェニルアセテート(E及びZ異性体)
3-(3,4-ジメトキシフェニル)-3-フェニルアセテートは、3,3-ビス-(3’,4’-ジメトキシフェニル)アクリレートの製造方法と類似の方法で、3,4- ジメトキシベンゾフェノン(4.8g,20 ミリモル)、トリメチルホスホノアセテート(4.1g,22ミリモル)及びリチウムヘキサメチルジシラジド(22mL,22ミリモル、1mL)を使用して、環流しながら138時間反応することにより、製造した。粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル,1%酢酸エチル/塩化メチレン)で精製すると、純化された異性体それぞれが得られた。
【0056】
異性体1:HNMR(CDCl)δ7.40-7.36(m,3H), 7.26-7.20(m,2H)6.88(s,1H), 6.80(s,2H), 6.30(s,1H), 3.88(s,3H), 3.82(s,3H), 3.60(s,3H); 13CNMR(CDCl)δ166.5, 156.9, 150.4, 148.7, 138.9, 133.4, 129.1, 128.1, 128.0, 127.8, 122.1, 114.9, 110.8, 110.6, 55.9, 55.8, 51.1;
化学式 C18H18O ; 理論値: C, 72.47; H, 6.08
測定値: C, 72.08; H, 6.11
異性体2:HNMR(CDCl)δ7.3 5-7.32(m,5H), 6.90-6.83(m,2H), 6.73(s,1H), 6.30(s,1H), 3.92(s,3H), 3.81(s,3H), 3.64(s,3H); 13CNMR(CDCl)δ166.6, 156.7, 149.2, 148.3, 141.2, 131.1, 129.4, 128.5, 128.3, 122.4, 116.4, 112.7, 110.4, 55.8, 55.7, 51.2;
化学式 C18H18O ; 理論値: C, 72.47; H, 6.08
測定値: C, 72.28; H, 5.94
【実施例4】
【0057】
3-フェニル−3−(3’エトキシ−4メトキシフェニル)アクリルアミド(E及びZ異性体)
このアクリルアミドは、3,3-ビス-(3,4-ジメトキシフェニル)アクリレートの製造方法と類似の方法で、3-エトキシ-4-メトキシベンゾフェノン(0.3g,1.20 ミリモル)、ジエチルカルバモイルメチルホスハート(0.25g、1.35ミリモル)及びリチウムヘキサメチルジシラジド(1 mL,1.3ミリモル,1.3M)を使用して、環流しながら54時間反応することにより、製造した。粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル,45%酢酸エチル/塩化メチレン)で精製すると、E及びZ異性体の混合物が、油状として0.06g得られた(収率,17%)。
1HNMR(CDCl)δ7.54-7.19(m,10H), 7.00-6.65(m,6H), 6.34(s,2H), 5.54(s,1H), 5.55(s,1H), 5.24(s,1H), 5.04(s,1H), 4.16(m,4H), 3.92(s,3H), 3.87(s,3H), 1.60-1.33(m,6H); 13CNMR(CDCl)δ168.7, 168.6, 150.8, 150.4, 149.7, 148.4, 148.0, 140.7, 138.2, 133.0, 130.2, 129.2, 129.1, 128.8, 128.3, 128.0, 121.9, 121.6, 120.0, 113.7, 111.9, 111.4, 110.8, 64.4, 64.3, 55.9, 14.6;
化学式 C18H19NO.035HO, ; 理論値:C, 71.19; H, 6.54; N, 4.61
測定値:C, 71.19; H, 6.68; N, 4.45
【実施例5】
【0058】
1−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−フェニルプロペ−1−エン(E及びZ異性体)
1-(3,4-ジメトキシフェニル)-1-フェニルプロペ-1-エンは、メチル 3,3-ビス-(3,4-ジメトキシフェニル)アクリレートの製造方法と類似の方法で、3,4-ジメトキシベンゾフェノン(3g,12.4ミリモル)、(エチル)トリフェニルホスホニウムブロマイド( 5.1g、13.6ミリモル)及びリチウムヘキサメチルジシラジド(13.6mL,13.6ミリモル,1M)を使用して、室温で4時間反応することにより製造した。粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル,10%酢酸エチル/塩化メチレン)で精製すると、E及びZ異性体の混合物が、白色固体として1.3g得られた(収率,41%)。mp72-73℃; HNMR(CDCl)δ7.40-6.80(m,16H), 6.16-6.08(m,2H), 3.90-3.80(m,12H), 1.97-1.73(m,6H); 13CNMR(CDCl)δ148.6, 148.5, 148.1, 147.8, 142.9, 142.3, 142.0, 140.0, 136.0, 132.5, 129.9, 128.0, 128.0, 127.1, 126.7, 126.6, 123.8, 122.6, 122.5, 119.8, 113.6, 110.8, 110.7, 110.4, 55.8, 55.8, 55.7, 15.7, 15.5;
化学式 C17H18O ; 理論値: C, 80.28; H, 7.13
測定値: C, 79.94; H, 7.12
【実施例6】
【0059】
1−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)プロペ−1−エン(E及びZ異性体)
1-(3,4−ジメトキシフェニル)-1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)プロペ-1-エンは、メチル 3,3-ビス-(3,4-ジメトキシフェニル)アクリレートの製造方法と類似の方法で、3,4-ジメトキシ-3’-エトキシ-4’-メトキシベンゾフェノン(1.6g, 5ミリモル)、(エチル)トリフェニルホスホニウムブロマイド(2.04g、5.5ミリモル)及びリチウムヘキサメチルジシラジド(4.2mL,5.5ミリモル,1.3M)を使用して、室温で24時間反応することにより製造した。粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル,10%酢酸エチル/塩化メチレン)で精製すると、E及びZ異性体の混合物が、白色固体として0.8g得られた(収率,49%)。
mp65.5-68℃; HNMR(CDCl)δ6.95-6.65(m,12H), 6.14-6.00(m,2H), 4.11-3.78(m,22H), 1.86-1.74(m,6H), 1.50-1.36(m,6H); 13CNMR(CDCl)δ148.5, 148.4, 148.1, 147.7, 141.8, 141.7, 136.1, 136.0, 132.6, 132.5, 122.5, 122.3, 119.7, 114.7, 113.1, 111.9, 111.0, 110.7, 55.9, 55.8, 55.8, 55.7, 15.7, 14.7;
化学式 C20H24O ; 理論値: C, 73.15; H, 7.37
測定値: C, 73.33; H, 7.39
【実施例7】
【0060】
1−(3,4−ジメトキシフェニル)−1−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)ブテ−1−エン(E及びZ異性体)
1-(3,4−ジメトキシフェニル)-1-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)ブテ-1-エンは、メチル 3,3-ビス-(3,4-ジメトキシフェニル)アクリレートの製造方法と類似の方法で、3,4-ジメトキシ-3’-エトキシ-4’-メトキシベンゾフェノン(1g, 3.2ミリモル)、プロピルトリフェニルホスホニウムブロマイド(1.34g、3.5ミリモル)及びリチウムヘキサメチルジシラジド(2.7mL,3.5ミリモル,1.3M)を使用して、室温で2時間30分反応することにより製造した。粗生成物を、クロマトグラフィー(シリカゲル,塩化メチレン)で精製し、クーゲルロール蒸留装置で蒸留すると、E及びZ異性体の混合物が油状として0.77g得られた(収率,71%)。
HNMR(CDCl)δ6.92-6.65(m,12H), 6.02-5.89(m,2H), 4.12-3.96(m,4H), 3.92(s,3H), 3.91(s,3H), 3.86(s,3H), 3.85(s,3H), 3.82(s,3H), 3.81(s,3H), 2.22-2.04(m,4H), 1.51-1.38(m,6H), 1.14-0.98(m,6H);
13CNMR(CDCl)δ148.5, 148.1, 147.8, 147.7, 140.4, 140.4, 136.0, 135.9, 133.0, 132.9, 130.1, 130.0, 122.2, 119.8, 114.6, 113.1, 112.0, 110.0, 110.7, 110.4, 64.3, 64.2, 55.9, 23.2, 14.8, 14.7;
化学式 C21H26O ; 理論値: C, 73.66; H, 7.65
測定値: C, 73.32; H, 7.26
【実施例8】
【0061】
3−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−3−フェニルアクリロニトリル(E及びZ異性体)
3-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-3-フェニルアクリロニトリルは、 3,3-ビス-(3,4-ジメトキシフェニル)アクリレートの製造方法と類似の方法で、3-エトキシ-4-メトキシベンゾフェノン(1.3g, 5ミリモル)、ジエチルシアノメチルホスホネート(0.9 mL、5.5ミリモル)及びリチウムヘキサメチルジシラジド(4.2mL,5.5ミリモル,1.3M)を使用して、室温で2時間反応することにより製造した。粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル,塩化メチレン)で精製し、蒸留すると、E及びZ異性体の混合物が白色固体として1.35g得られた(収率,96%)。
mp74-77℃; HNMR(CDCl)δ7.50-7.24(m,10H), 7.07-6.75(m,6H), 5.67(s,1H), 5.60(s,1H), 4.15-3.95(m,4H), 3.92(s,3H), 3.89(s,3H), 1.50-1.36(m,6H); 13CNMR(CDCl)δ162.8, 162.7, 151.4, 150.9, 148.1, 147.1, 147.9, 139.3, 137.1, 131.3, 130.2, 129.9, 129.5, 129.3, 128.6, 128.5, 128.4, 123.1, 122.0, 118.3, 118.2, 113.9, 112.5, 110.9, 93.3, 92.9, 64.4, 55.9, 14.6;
化学式 C18H17NO :理論値: C, 77.40; H, 6.13; N, 5.01
測定値: C, 77.14; H, 6.06; N, 4.75
【実施例9】
【0062】
3−(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−3−フェニルプロピオネート
エタノールと酢酸エチル(20mL/30mL)混合液に溶解した3-(3-エトキシ-4-メトキシフェニル)-3-フェニルアクリロニトリル(0.9g,3.2ミリモル)溶液に、10%パラジウム含有炭素0.5gを触媒として加えた。混合物をパール−シェイカー型装置(Parr-Shaker Apparatus)内にて12日間、 55−60psiの水素を通じて接触還元処理した。反応混合物をセタイトを通して濾過し、ロ液を真空下で濃縮すると、組成物が得られた。この粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル,4%へキサン/塩化メチレン)で精製すると、油状の目的物が0.15g得られた(収率,15%)。
HNMR(CDCl)δ7.4 0-7.16(m,5H); 6.88-6.78(m,3H), 4.32(t,J=7.5Hz,1H), 4.03(q,J=7Hz,2H), 3.85(s,3H), 3.00(d,J=7.5Hz,2H), 1.42(t,J=7Hz,3H); 13CNMR(CDCl)δ148.7, 148.5, 141.5, 133.7, 128.8, 127.4, 127.3, 119.5, 118.5, 112.7, 111.6, 64.4, 55.9, 46.7, 24.5, 14.7;
化学式 C18H17NO ; 理論値: C, 76.84; H, 6.81; N, 4.98
測定値: C, 76.53; H, 6.92; N, 4.95
【実施例10】
【0063】
3−(3−ジメトキシフェニル)−3−(3’,5’−ジメトキシフェニル)−アクリロニトリル(E及びZ異性体)
A. 3,4,3’5’-テトラメトキシベンゾフェノン
3,4,3’,5’-テトラメトキシベンゾフェノンを、4-(3,4-ジメトキシベゾイル)ピリジンの製造方法と類似の方法で、ブチルリチウム(9 mL, 22ミリモル、2.5M)及び3,5−ジメトキシベンゾニトリル(3.75g, 23 ミリモル)を用いて製造した。粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル,塩化メチレン)で精製すると、目的物が1.54g得られた(収率,26%)。
mp107-110℃; HNMR(CDCl)δ7.53-7.39(m,2H), 6.95-6.84(m,3H), 6.70-6.60(m,1H), 3.96(s,3H), 3.95(s,3H), 3.83(s,6H); 13CNMR(CDCl)δ195.0, 160.4, 153.0, 148.9, 140.1, 130.0, 125.4, 112.0, 109.7, 107.5, 104.1, 56.0, 55.5;
化学式 C17H18O ; 理論値: C, 67.54; H, 6.00
測定値: C, 67.38; H, 5.96
【0064】
B. 3−(3,4−ジメトキシフェニル)−3−(3’,5’−ジメトキシフェニル)アクリロニトリル
3-(3,4-ジメトキシフェニル)-3-(3’,5’'−ジメトキシフェニル)アクリロニトリルは、 3,3-ビス-(3,4-ジメトキシフェニル)アクリレートの製造方法と類似の方法で、3,4,3’,5’-テトラメトキシベンゾフェノン(0.7g, 2.3ミリモル)、ジエチルシアノメチルホスホネート(0.42 mL、2.5ミリモル)及びリチウムヘキサメチルジシラジド(1.9mL,2.5ミリモル,1.3M)を使用して、室温で60分間反応することにより製造した。粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル,1%酢酸エチル/塩化メチレン)で精製ると、E及びZ異性体の混合物が白色固体として0.66g得られた(収率,81%)。
HNMR(CDCl)δ7.10-6.80(m,6H), 6.61-6.40(m,6H), 5.66(s,1H), 5.61(s,1H), 3.94(s,3H), 3.91(s,3H), 3.87(s,3H), 3.84(s,3H), 3.80(s,3H), 3.77(s,6H);
13CNMR(CDCl)δ162.7, 162.5, 160.7, 160.6, 151.1, 150.6, 148.8, 148.5, 141.3, 138.9, 131.1, 129.2, 123.2, 122.1, 118.2, 118.0, 112.6, 110.9, 110.7, 110.7, 107.6, 107.0, 102.1, 102.0, 93.4, 93.1, 56.0, 55.9, 55.5, 55.4;
化学式 C19H19NO ; 理論値: C, 70.14; H, 5.89; N, 4.30
測定値: C, 70.33; H, 5.89; N, 4.03
【実施例11】
【0065】
3−(3,4−ジメトキシフェニル)−3−(3’−ニトロフェニル)アクリロニトリル(E及びZ異性体)
A.3,4-ジメトキシ-3’-ニトロベンゾフェノン
ベラトロール(veratrole: 2.55mL、20ミリモル)含有塩化メチレン,30mL中に、窒素雰囲気、氷冷下にて攪拌しながら、塩化アルミニウム(2.93g,22ミリモル)を加える。僅かに発熱した。反応混合物に、3- ニトロベンゾイルクロリド(3.8g, 20ミリモル)を溶解した塩化メチレン30mLを加える。ついで、室温となるまで加温し、加熱して環流させ、さらに5時間環流した後、室温に戻し、72時間攪拌した。反応混合物を氷水(100mL)中に注ぎ込み、20分間攪拌した。この混合物を塩化メチレン(60mL)で3回抽出した。有機層を硫酸マグネシウムにて乾燥、真空下で濃縮すると、粗生成物が緑色固体として得られた。この粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル,塩化メチレン)で精製すると、2.21gの目的物が黄色固体として得られた(収率,39%)。
mp133-135℃; HNMR(CDCl)δ8.64-8.56(m,1H), 8.49-8.39(m,1H), 8.10-8.05(m,1H), 7.76-7.65(m,1H), 7.55-7.47(m,1H), 7.36-7.29(m,1H), 7.00-6.87(m,1H), 3.99(s,3H), 3.97(s,3H); 13CNMR(CDCl)δ192.8, 153.8, 149.4, 147.9, 139.7, 135.2, 129.5, 128.9, 126.2, 125.6, 124.4, 11.8, 110.0, 56.2, 56.1;
化学式 C15H13NO ; 理論値: C, 62.72; H, 4.56; N. 4.88
測定値: C, 62.74; H, 4.59; N, 4.89
【0066】
B.3-(3,4-ジメトキシフェニル)-3-(3'-ニトロフェニル)アクリロニトリル
3-(3,4-ジメトキシフェニル)-3-(3’-ニトロフェニル)アクリロニトリルは、 メチル 3,3-ビス-(3,4-ジメトキシフェニル)アクリレートの製造方法と類似の方法にて、3,4-ジメトキシ-3’-ニトロベンゾフェノン(1.44g, 5ミリモル)、ジエチルシアノメチルホスホネート(0.91 mL、5.5ミリモル)及びリチウムヘキサメチルジシラジド(4.2mL,5.5ミリモル,1.3M)を使用して、室温で24時間反応することにより製造した。粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル,3%ヘキサン/塩化メチレン)で精製ると、E及びZ異性体の混合物が黄色固体として1.12g得られた(収率,72%)。
mp117.5-120℃; HNMR(CDCl)δ8.40-8.17(m,4H), 7.90-7.55(m,4H), 7.08-6.89(m,6H), 5.84(s,1H), 5.71(s,1H), 3.95(s,3H), 3.92(s,3H), 3.88(s,3H), 3.85(s,3H); 13CNMR(CDCl)δ160.2, 160.1, 151.7, 151.1, 149.2, 148.3, 148.2, 141.0, 138.8, 135.4, 134.4, 129.9, 129.7, 129.7, 128.1, 124.8, 124.6, 124.4, 123.3, 123.1, 122.3, 117.4, 117.3, 112.3, 111.0, 110.4, 95.7, 94.8, 56.0, 55.9;
化学式 C17H14NO ; 理論値: C , 65.80; H, 4.55; N, 9.03
測定値: C, 65.57; H, 4.64; N, 8.92
【実施例12】
【0067】
3−(3'−アミノフェニル)−3−(3,4−ジメトキシフェニル)アクリロニトリル(E及びZ異性体)
3-(3,4-ジメトキシフェニル)-3-(3-ニトロフェニル)アクリロニトリル(0.7g,2.30ミリモル)を溶解した酢酸エチル(40mL)に、10%パラジウム含有炭素0.1gを触媒として加えた。この混合物をパール−シェイカー型装置(Parr-Shaker Apparatus)内にて2.5時間、 55−60psiの水素を通じて接触還元処理した。反応混合物をセタイトを通して濾過し、ロ液を真空下で濃縮すると、組成物が得られた。この粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル,15%酢酸エチル/塩化メチレン)で精製すると、E及びZ異性体の混合物が黄色固体として0.25g得られた(収率,56%)。mp100-101℃; HNMR(CDCl)δ7.30-6.59(m,14H); 5.63(s,1H), 5.59(s,1H), 3.94(s,3H), 3.91(s,3H), 3.87(s,3H), 3.84(s,3H); 13CNMR(CDCl)δ163.1, 162.9, 151.1, 150.5, 148.8, 148.7, 146.5, 146.4, 140.4, 138.2, 131.5, 129.5, 129.5, 129.4, 123.2, 122.1, 119.9, 119.0, 118.4, 118.2, 116.8, 116.6, 115.9, 115.0, 112.7, 111.0, 110.7, 93.3, 92.7, 56.1, 56.0, 55.9;
化学式 C17H16NO ; 理論値: C, 72.84; H, 5.75; N, 9.99
測定値: C, 72.48; H, 6.05; N, 9.58.
【実施例13】
【0068】
3,4−ジメトキシフェニル−3’−アミノベンゾフェノン
3,4-ジメトキシ-3’-ニトロベンゾフェノン(0.5g, 1.7ミリモル)を溶解した酢酸エチル(40mL)に、10%パラジウム含有炭素0.05gを触媒として加えた。この混合物をパール−シェイカー型装置(Parr-Shaker Apparatus)内にて1時間30分間、 55−60 psiの水素を通じて接触還元処理した。反応混合物をセタイトを通して濾過し、ロ液を真空下で濃縮して、粗生成物を得らた。この粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル,10%酢酸エチル/塩化メチレン)で精製すると、目的物が黄色固体として0.17g得られた(収率,38%)。
mp157-175℃; HNMR(CDCl)δ7.56-6.80(m,7H), 3.95(s,3H), 3.94(s,3H); 13CNMR(CDCl)δ195.7, 152.9, 148.9, 146.4, 139.3, 130.3, 128.9, 125.4, 120.1, 118.4, 115.6, 112.1, 109.7, 56.0, 56.0;
化学式 C15H15NO ; 理論値: C, 70.02; H, 5.88; N, 5.44
測定値: C, 70.00; H, 6.10; N, 5.13
【実施例14】
【0069】
3−(3,4−ジメトキシフェニル)−3−(4−ニトロフェニル)アクリロニトリル(E及びZ異性体)
A.3,4-ジメトキシ-4’-ニトロベンゾフェノン
3,4-ジメトキシ-4’-ニトロベンゾフェノンは、3,4-ジメトキシ-3’-ニトロベンゾフェノンの製造方法と類似の方法にて、ベラトロール(veratrole: 3.8mL、30ミリモル)、塩化アルミニウム(4.4g、33ミリモル)及び4-ニトロベンゾイルクロライド(5.7g、30ミリモル)を使用して、48時間環流した。得られた粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル,4%酢酸エチル/塩化メチレン)で精製すると、1.69gの目的物が白色固体として得られた(収率,78%)。
mp172-173℃; HNMR(CDCl)δ8.43-8.31(m,2H), 7.97-7.86(m,2H),7.55-7.46(m,1H), 7.40-7.30(m,1H), 7.00-6.89(m,1H), 3.99(s,3H), 3.96(s,3H); 13CNMR(CDCl)δ193.4, 153.8, 149.4, 149.3, 143.8, 130.2, 130.0, 125.8, 123.4, 111.7, 109.9, 56.1, 56.0;
化学式 C15H13NO ; 理論値: C, 62.72; H, 4.56; N, 4.88
測定値: C, 62.49; H, 4.68; N, 4.86
【0070】
B.3-(3,4-ジメトキシフェニル)-3-(4'-ニトロフェニル)アクリロニトリル
3-(3,4-ジメトキシフェニル)-3-(4’-ニトロフェニル)アクリロニトリルは、 メチル 3,3’-ビス-(3’,4’-ジメトキシフェニル)アクリレートの製造方法と類似の方法にて、3,4ジメトキシ-4’-ニトロベンゾフェノン(4g, 14ミリモル)、ジエチルシアノメチルホスホネート(2.5 mL、15.4ミリモル)及びリチウムヘキサメチルジシラジド(4.2mL,5.5ミリモル,1.3M)を使用して、室温で24時間反応することにより製造した。粗生成物を、クロマトグラフィー(シリカゲル,3%ヘキサン/塩化メチレン)で精製すると、E及びZ異性体の混合物が黄色固体として2.38g得られた(収率,55%)。
HNMR(CDClδ8.40-8.20(m,4H), 7.70-7.46(m,4H), 7.06-6.75(m,6H), 5.84(s,1H), 5.70(s,1H), 3.95(s,3H), 3.93(s,3H), 3.88(s,3H), 3.85(s,3H); 13CNMR(CDCl)δ160.3, 151.7, 151.1, 149.2, 148.9, 148.7, 148.5, 148.5, 143.5, 130.6, 129.9, 129.6, 128.2, 123.7, 123.1, 122.2, 117.4, 117.3, 112.3, 111.0, 110.5, 96.2, 94.9, 56.0, 56.0;
化学式 C17H14NO ; 理論値: C, 65.80; H, 4.55; N, 9.03
測定値: C, 65.45; H, 4.66; N, 8.82
【実施例15】
【0071】
3−(4−アミノフェニル)−3−(3,4−ジメトキシフェニル)アクリロニトリル(E及びZ異性体)
3-(4-アミノフェニル)-3-(3,4-ジメトキシフェニル)アクリロニトリルは、3-(3,4-ジメトキシフェニル)-3-(3-アミノフェニル)アクリロニトリルの製造方法と類似の方法にて、3-(3,4-ジメトキシフェニル)-3-(4-ニトロフェニル)アクリロニトリル(1.24g, 4mL)及び10%パラジウム含有炭素0.15gを含む酢酸エチル100mLを触媒として用い製造した。得られた粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル,5%酢酸エチル/塩化メチレン)で精製すると、E及びZ異性体の混合物が黄色固体として0.19g得られた(収率、17%)。
mp150-152℃; HNMR(CDCl)δ7.38-6.56(m,14H); 5.51(s,1H), 5.44(s,1H), 3.97(br s,4H), 3.93(s,3H), 3.91(s,3H), 3.85(s,3H), 3.82(s,3H), 3.82(s,3H); 13CNMR(CDCl)δ162.8, 162.6, 150.8, 150.3, 148.8, 148.7, 148.5, 148.4, 132.4, 131.4, 130.1, 129.5, 129.9, 128.6, 126.7, 123.0, 122.1, 114.4, 114.3, 112.8, 111.6, 110.7, 90.3, 89.9, 56.0, 55.9;
化学式 C17H16NO ; 理論値: C, 72.84; H, 5.75; N, 9.99
測定値: C, 72.79; H, 5.83; N, 9.59
【実施例16】
【0072】
3,4−ジメトキシフェニル−4’−アミノベンゾフェノン
3,4-ジメトキシ-4’-アミノベンゾフェノンは、3,4-ジメトキシ-3’-アミノベンゾフェノン の製造方法と類似の方法にて、3,4-ジメトキ-4’-ニトロベンゾフェノン(1g、3.5ミリモル)と、10%パラジウム含有炭素0.1g含む酢酸エチル110mLを触媒として用い、製造した。得られた粗生成物をフラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル,12%酢酸エチル/塩化メ チレン)で精製すると、0.32gの目的物が黄色固体として得られた(収率,36%)。
mp189-191℃; HNMR(CDCl)δ7.86-7.62(m,2H); 7.45-7.29(m,2H), 6.96-6.80(m,1H), 6.75-6.61(m,2H), 4.14(s,2H), 3.95(s,3H), 3.93(s,3H); 13CNMR(CDCl)δ194.2, 152.2, 150.5, 148.8, 132.6, 131.3, 128.0, 124.3, 113.6, 112.3, 109.7, 56.0;
化学式 C15H15N O ; 理論値: C, 70.02; H, 5.88; N, 5.44
測定値: C, 69.95; H, 6.18; N, 5.13
【実施例17】
【0073】
3−(3,4−ジメトキシフェニル)−3−(4−メチルフェニル)アクリロニトリル
A.3,4-ジメトキシ-4’-メチルベンゾベンゾフェノン
この化合物は、3,4,3’,4’-テトラメトキシベンゾフェノン の製造方法と類似した方法にて、ベラトロール(veratrole: 3.9mL、28ミリモル)、塩化アルミニウム(4.1g、29ミリモル)及び4-メチルベンゾイルクロライド(4.6mL、29ミリモル)を使用して、4時間室温で反応させた。得られた粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル,2%酢酸エチル/塩化メチレン)で精製すると、4.22gの目的物が白色固体として得られた(収率,59%)。
mp121.5-122℃; HNMR(CDCl)δ7.70-7.67(d,J=8Hz,2H), 7.48-7.26(m,4H), 6.91-6.88(d,J=8.3Hz,1H), 6.96(s,3H), 3.94(s,3H), 2.44(s,3H);13CNMR(CDCl)δ195.1, 152.6, 148.8, 142.4, 135.3, 130.3, 129.8, 128.7, 125.0, 112.0, 109.6, 55.9, 55.8, 21.4;
化学式 C16H16O ; 理論値: C, 74.98; H, 6.29
測定値: C, 74.84; H, 6.43.
【0074】
B.3-(3,4-ジメトキシフェニル)-3-(4-メチルフェニル)アクリロニトリル
3-(3,4-ジメトキシフェニル)-3-(4-メチルフェニル)アクリロニトリルは、 メチル 3,3’-ビス-(3,4-ジメトキシフェニル)アクリレートの製造方法と類似の方法にて、3,4-ジメトキシ-4’-メチルベンゾフェノン(2.3g, 9ミリモル)、ジエチルシアノメチルホスホネート(1.8 mL、9.9ミリモル)及びリチウムヘキサメチルジシラジド(10mL,9.9ミリモル,1M)を使用して、室温で22時間反応することにより製造した。粗生成物を、クロマトグラフィー(シリカゲル,1%酢酸エチル/塩化メチレン)で精製すると、E及びZ異性体の混合物が白色固体として1.83g得られた(収率,73%)。
mp83.5-86.5℃; HNMR(CDCl)δ7.35-7.20(m,8H); 7.04-6.81(m,6H), 5.62(s,1H), 5.59(s,1H), 3.90(s,3H), 3.90(s,3H), 3.88(s,3H), 3.82(s,3H), 2.41(s,3H), 2.39(s,3H); 13CNMR(CDCl)δ162.7, 162.6, 160.0, 150.4, 148.8, 148.5, 140.6, 140.1, 136.3, 134.1, 131.6, 129.5, 129.2, 129.0, 128.5, 123.0, 122.1, 118.4, 118.3, 112.6, 111.1, 110.7, 92.6, 92.4, 55.9, 55.9, 55.8, 21.3, 21.2;
化学式 C18H17NO ; 理論値: C, 77.40; H, 6.13; N, 5.01
測定値: C, 77.64; H, 5.93; N, 5.01.
【実施例18】
【0075】
3−(4−ビフェニイル)−3−(3,4−ジメチルフェニル)アクリロニトリル
A.3,4-ジメトキシ-4’-フェニルベンゾフェノン
3,4-ジメトキシ-4’-フェニルベンゾフェノンは、3,4,3’,4’-テトラメトキシベンゾフェノンの製造方法に類する方法にて、ベラトロール(veratrole: 2.4g、17ミリモル)、塩化アルミニウム(2.5g、19ミリモル)及び4-ビフェニルカルボニルクロライド(4g、18ミリモル)を使用して、24時間室温で反応させた。得られた粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル,2%酢酸エチル/塩化メチレン)で精製すると、3.86gの目的物が白色固体として得られた(収率, 70%)。
mp103-104℃; HNMR(CDCl)δ7.88-7.84(m,2H), 7.73-7.64(m,4H), 7.52-7.40(m,5H), 6.93-6.90(m,1H), 3.97(s,3H), 3.96(s,3H); 13CNMR(CDCl)δ194.9, 152.9, 148.9, 144.5, 139.8, 136.8, 130.2, 130.2, 128.8, 127.9, 127.1, 126.7, 125.2, 112.0, 109.7, 55.9, 55.9;
化学式 C21H18O ; 理論値: C, 79.23; H, 5.70
測定値: C, 78.91; H, 5.87
【0076】
B.3-(4-ビフェニルイル)-3-(3,4-ジメトキシフェニル)アクリロニトリル
3-(4-ビフェニルイル(Biphenylyl))-3-(3,4-ジメトキシフェニル)アクリロニトリルは、 メチル 3,3’-ビス-(3,4-ジメトキシフェニル)アクリレートの製造方法と類似の方法にて、3,4-ジメトキシ−4’−フェニルベンゾフェノン(2.33g, 7.32ミリモル)、ジエチルシアノメチルホスホネート(1.5 mL、8.1ミリモル)及びリチウムヘキサメチルジシラジド(8.1mL,8.1ミリモル,1M)を使用して、室温で22時間反応することにより製造した。粗生成物を、クロマトグラフィー(シリカゲル,1%酢酸エチル/塩化メチレン)で精製すると、E及びZ異性体の混合物が白色固体として1.76g得られた(収率,70%)。
mp132.0-134℃; HNMR(CDCl)δ7.70-7.39(m,18H), 7.10-6.80(m,6H), 5.69(s,1H), 5.68(s,1H), 3.95(s,6H), 3.93(s,3H), 3.89(s,3H), 3.85(s,3H); 13CNMR(CDCl)δ162.2, 151.1, 148.8, 148.6, 143.0, 142.6, 140.0, 137.9, 135.9, 131.4, 130.1, 129.3, 129.1, 128.8, 127.9, 127.1, 127.0, 126.0, 126.9, 123.1, 122.2, 118.3, 118.2, 112.6, 111.1, 110.7, 93.2, 92.9, 56.0, 55.9, 55.8;
化学式 C23H19NO ; 理論値: C, 80.92; H, 5.61; N, 4.10
測定値: C, 80.55; H, 5.80; N, 3.95.
【実施例19】
【0077】
3-(3,4−ジメトキシフェニル)−3−(4’−フルオロフェニル)アクリロニトリル
3-(3,4-ジメトキシフェニル)-3-(4’-フルオロフェニル)アクリロニトリルは、メチル 3,3-ビス-(3,4- ジメトキシフェニル)アクリレートの製造方法と類似の方法にて、3,4−ジメトキ−4’−フルオロベンゾフェノン(2.33gmL、7.32ミリモル)と、ジエチルシアノメチルホスホネート(1.5 mL、8.1ミリモル)及びリチウムヘキサメチルジシラジド(8.1mL,8.1ミリモル,1M)を使用して、室温で22時間反応することにより製造した。粗生成物を、クロマトグラフィー(シリカゲル,1%酢酸エチル/塩化メチレン)で精製すると、E及びZ異性体の混合物が白色固体として2.38g得られた(収率,55%)。
mp100-102℃; HNMR(CDCl)δ7.54-6.74(m,14H), 5.67(s,1H), 5.57(s,1H), 3.94(s,3H), 3.92(s,3H), 3.87(s,3H), 3.83(s,3H); 13CNMR(CDCl)δ1 66.0, 165.6, 162.0, 161.6, 151.3, 150.7, 148.9, 148.7, 135.4, 135.4, 133.2, 133.1, 131.7, 131.6, 131.3, 130.7, 130.5, 129.2, 123.1, 122.1, 118.1, 118.0, 115.8, 115.8, 115.5, 115.4, 112.6, 111.0, 110.8, 93.4, 93.2, 56.0, 56.0, 55.9;
化学式 C17H14FNO ; 理論値: C, 72.07; H, 4.98; N, 4.94
測定値: C, 71.91; H, 4.98; N, 4.79
【実施例20】
【0078】
3−(3,4−ジメトキシフェニイル)−3−ナフト−2−イルアクリロニトリル(E及びZ異性体)
A.2-(3,4-ジメトキシベンゾイル)ナフタレン
2-(3,4-ジメトキシベンゾイル)ナフタレンは、3,4,3’,4’-テトラメトキシベンゾフェノンの製造方法に類する方法にて、ベラトロール(ve ratrole: 2.6mL、20ミリモル)、塩化アルミニウム(2.9g、22ミリモル)及び4-ナフトイルクロリド(3.9g、20ミリモル)を使用して、4時間環流して反応することにより製造した。得られた粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル,2.5%酢酸エチル/塩化メチレン)で精製すると、4.52gの目的物が白色固体として得られた(収率, 77%)。
mp120-121.5℃; HNMR(CDCl)δ8.24(s,1H), 8.03-7.84(m,4H), 7.00-6.87(m,1H), 3.97(s,3H), 3.95(s,3H); 13CNMR(CDCl)δ195.5, 153.0, 149.0, 135.5, 134.9, 132.2, 131.0, 130.4, 129.2, 128.1, 128.0, 127.8, 126.7, 125.9, 125.4, 112.2, 109.8, 56.1, 56.0;
化学式 C19H16O ; 理論値: C, 78.06; H, 5.52
測定値: C, 77.73; H, 5.69
【0079】
B.3-(3,4-ジメトキシフェニル)-3-ナフト-2-イルアクリロニトリル
3-(3,4-ジメトキシフェニル)-3-ナフト-2-イルアクリロニトリルは、メチル 3,3-ビス-(3’4’-ジメトキシフェニル)アクリレートの製造方法と類似の方法にて、2-(3,4-ジメトキシベンゾイル)ナフタレン(2.9g, 10ミリモル)、ジエチルシアノメチルホスホネート(1.8 mL、11ミリモル)及びリチウムヘキサメチルジシラジド(8.5mL,8.1ミリモル,1.3M)を使用して、室温で1時間反応することにより製造した。粗生成物を、クロマトグラフィー(シリカゲル,塩化メチレン)で精製すると、E及びZ異性体の混合物,2.93gが白色固体として得られた(収率,93%)。
mp121-123℃; HNMR(CDCl)δ8.11-6.78(m,20H), 5.76(s,1H), 5.75(s,1H), 3.96(s,3H), 3.92(s,3H), 3.85(s,3H), 3.80(s,3H); 13CNMR(CDCl)δ162.7, 162.7, 151.2, 150.6, 148.9, 148.7, 136.6, 134.5, 134.0, 133.8, 132.8, 131.5, 129.7, 129.4, 129.0, 128.6, 128.6, 128.3, 128.1, 127.7, 127.7, 127.4, 127.2, 126.8, 126.6, 125.4, 123.2, 122.2, 118.4, 118.2, 112.7, 111.1, 110.8, 93.9, 93.4, 56.0, 55.9.
化学式 C21H17NO ; 理論値: C, 79.98; H, 5.44: N, 4.44
測定値: C, 79.90; H, 5.65; N, 4.46
【実施例21】
【0080】
3−(3,4−ジメトキシフェニイル)−3−(3,4−メチレンジオキシフェニル)アクリロニトリル(E及びZ異性体)
A.1-(3,4-ジメトキシベンゾイル)-3,4-メチレンジオキシベンゼン
1-(3,4-ジメトキシベンゾイル)-3,4-メチレンジオキシベンゼンは、3,4,3’,4’-テトラメトキシベンゾフェノンの整造方法に類する方法にて、ベラトロール(veratrole: 1.3mL、10ミリモル)、塩化アルミニウム(1.5g、11ミリモル)及び ピペロニルオイルクロリド(piperonyloyl chloride; 1.9g、10ミリモル)を使用して、室温で2.5時間反応することにより製造した。得られた粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル,5%酢酸エチル/塩化メチレン)で精製すると、1.99gの目的物が白色固体として得られた(収率, 69%)。
mp164-135℃; HNMR(CDCl)δ7.46-7.26(m,4H), 6.95-6.82(m,2H), 6.06(s,2H), 3.96(s,3H), 3.94(s,3H); 13CNMR(CDCl)δ193.9, 152.7, 151.0, 148.9, 147.8, 132.4, 130.6, 126.1, 124.8, 112.2, 109.9, 109.7, 107.6, 101.7, 56.0, 56.0;
化学式 C16H14O ; 理論値: C, 67.13; H, 4.93
測定値: C, 66.86; H, 5.11
【0081】
B.3-(3,4-ジメトキシフェニル)-3-(3,4-メチレンジオキシフェニル)アクリロニトリル
3-(3,4-ジメトキシフェニル)-3-(3,4-メチレンジオキシフェニル)アクリロニトリルは、メチル 3,3-ビス-(3’,4’−ジメトキシフェニル)アクリレートの製造方法と類似の方法にて、1-(3,4-ジメトキシベンゾイル)-3,4-メチレンジオキシベンゼン(1.43g, 5ミリモル)、ジエチルシアノメチルホスホネート(0.91mL、5.5ミリモル)及びリチウムヘキサメチルジシラジド(4.2mL,5.5ミリモル,1.3M)を使用して1時間環流した後、さらに室温で24時間反応して製造した。粗生成物を、クロマトグラフィー(シリカゲル,2%酢酸エチル/塩化メチレン)で精製すると、E及びZ異性体の混合物,0.79gが白色固体として得られた(収率,51%)。
mp121-123℃; HNMR(CDCl)δ7.10-6.73(m,12H), 6.13-5.94(m,4H), 5.57(s,1H), 5.53(s,1H), 3.94(s,3H), 3.92(s,3H), 3.87(s,3H), 3.84(s,3H); 13CNMR(CDCl)δ162.3, 151.0, 150.5, 149.6, 149.1, 148.8, 148.5, 147.9, 133.2, 131.6, 130.8, 129.4, 124.3, 123.5, 123.1, 122.1, 118.5, 118.3, 112.6, 111.1, 110.7, 109.9, 108.5, 108.2, 101.6, 101.5, 92.2, 92.2, 56.0, 55.9, 55.9;
化学式 C18H15NO ; 理論値: C, 69.89; H, 4.89; N, 4.53
測定値: C, 69.61; H, 5.01; N, 4.37
【実施例22】
【0082】
3−(3,4−ジメトキシフェニル)−3−ピリジノ−4−イルアクリロニトリル(E及びZ異性体)
A.4-(3,4-ジメトキシベンゾイル)ピリジン
ブチルリチウム(9mL,22ミリモル、2.5M)のヘキサン溶液を、−70℃、窒素雰囲気にて攪拌しながら、4-ブロモベラトロール(4-bromoveratrole: 2.90mL、20ミリモル) 含有テトラヒドロフラン,40mL中にゆっくりと加える。15分後、4−シアノピリジン含有テトラヒドロフラン(12mL)反応混合物中に加え、さらに15分間攪拌する。反応液を−10℃に暖め、注意深く希塩酸(45 mL,1N)で希釈する。10%水酸化ナトリウム溶液,50mLを加えてpHを122調整する。反応液をエーテル(50mL)にて3回抽出する。抽出したエーテル層を、100mLの塩水で洗浄、硫酸マグネシウムで乾燥した後、真空下に濃縮し、褐色の固体を得らた。この粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル,3%酢酸エチル/塩化メチレン)で精製し、真空下乾燥すると、目的物1.9gが得られた(収率, 39%)。
mp117-118℃; HNMR(CDCl)δ8.85-8.76(m,2H), 7.60-7.50(m,3H), 7.40-7.30(m,1H), 6.97-6.88(m,1H), 3.98(s,3H), 3.96(s,3H); 13CNMR(CDCl)δ193.7, 153.9, 150.1, 149.3, 145.2, 128.7, 125.9, 122.6, 111.5, 109.9, 56.1, 56.0;
化学式 C14H13NO ; 理論値: C, 69.12; H, 5.39; N, 5.76
測定値: C, 69.05; H, 5.39; N, 5.85
【0083】
B.3-(3,4-ジメトキシフェニル)-3-ピリジン-4-イルアクリロニトリル
3-(3,4-ジメトキシフェニル)-3-ピリジン-4-イルアクリロニトリルは、メチル 3,3−ビス-(3’,4’-ジメトキシフェニル)アクリレートの製造方法と類似の方法にて、4-(3,4-ジメトキシベンゾイル)ピリジン(1g, 4ミリモル)、ジエチルシアノメチルホスホネート(0.73mL、4.4ミリモル)及びリチウムヘキサメチルジシラジド(3.4mL,4.4ミリモル, 1.3M)を使用して、室温で24時間反応することにより製造した。得られた粗生成物を、10mlのヘキサンでスラリー化した。濾過して得られる沈殿物をヘキサンで洗浄、空気乾燥した後、さらに真空乾燥すると、E及びZ異性体の混合物,0.91gが白色固体として得られた(収率,85%)。
mp116-125℃;HNMR(CDCl)δ8.80-8.63(m,4H),7.40-7.20(m,4H),7.04-6.74(m,6H),5.81(s,1H),3.96(s,3H),3.92(s,3H),3.87(s,3H),3.84(s,3H); 13CNMR(CDCl)δ160.1, 157.0, 151.6, 151.1, 150.3, 149.2, 148.9, 146.7, 144.7, 144.9, 129.6, 127.8, 123.7, 123.1, 122.7, 122.1, 117.4, 117.1, 112.3, 111.0, 110.5, 96.1, 94.8, 56.0, 56.0;
化学式C1614,; 理論値:C, 72.17; H, 5.30; N,10.52
測定値:C, 72.35, H, 5.43; N,10.47
【実施例23】
【0084】
3−(3,4−ジメトキシフェニル)−3−ピリジノ−2−イルアクリロニトリル
A.2-(3,4-ジメトキシベンゾイル)ピリジン
2-(3,4-ジメトキシベンゾイル)ピリジンは、4-(3,4-ジメトキシベンゾイル)ピリジンの製造方法と類似の方法にて、2−シアノピリジンを用いて製造した。得られた粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル,3%メタノール/塩化メチレン)で精製し、真空下(60℃,1mmHg)で乾燥すると、目的物1.67gが得られた(収率, 34%)。
mp91.5-93℃;HNMR(CDCl)δ8.76-8.70(m,1H),7.55-7.45(m,1H),7.00-6.89(m,1H),3.96(s,3H),3.96(s,3H);13CNMR(CDCl)δ192.1, 155.7, 153.3, 148.7, 148.2, 136.9, 128.9, 126.7, 125.7, 124.4, 112.6, 109.8, 56.0, 55.9;
化学式C1413NO; 理論値: C, 69.12; H, 5.39; N, 5.76
測定値: C, 68.96, H, 5.47; N, 5.66
【0085】
B.3-(3,4-ジメトキシフェニル)-3-ピリジン-2-イルアクリロニトリル
3-(3,4-ジメトキシフェニル)-3-ピリジン-2-イルアクリロニトリルは、メチル 3,3-ビス-(3’,4’-ジメトキシフェニル)アクリレートの製造方法と類似の方法にて、2-(3,4-ジメトキシベンゾイル)ピリジン(1g, 4ミリモル)、ジエチルシアノメチルホスホネート(0.73mL、4.4ミリモル)及びリチウムヘキサメチルジシラジド(3.4mL,4.4ミリモル, 1.3M)を使用して、室温で17時間反応することにより製造した。得られた粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル,3%メタノール/塩化メチレン)で精製すると、E及びZ異性体の混合物,0.8gが褐色固体として得られた(収率,75%)。各異性体を(シリカゲル、10%酢酸エチル−塩化メチレン)で分離すると、純化された異性体のそれぞれが得られる。
異性体1:mp125-126℃;HNMR(CDCl)δ8.75-8.65(m,1H),7. 75-7.60(m,1H),7.41-7.16(m,2H),7.10-6.90(m,3H),6.52(s,1H),3.95(s,3H),3.89(s,3H),; 13CNMR(CDCl)δ159.9, 154.9, 150.4, 149.9, 148.9, 136.7, 128.0, 124.6, 124.1, 122.6, 118.1, 112.4, 111.1, 97.8, 56.1, 56.0;
化学式C1614,; 理論値: C, 72.17; H, 5.30; N, 10.52 測定値: C, 71.90, H, 5.28; N, 10.33
異性体2:mp134.5-135.5℃;HNMR(CDCl)δ8.82-8.70(m,1H),7.60-7.34(m,2H),6.94-6.80(m,3H),5.82(s,1H),3.91(s,3H),3.83(s,3H),; 13CNMR(CDCl)δ160.8, 155.3, 151.2, 149.9, 149.0, 136.6, 130.2, 124.9, 124.3, 122.1, 117.6, 110.9, 95.4, 56.0;
化学式C1614,; 理論値: C, 72.17; H, 5.30; N, 10.52 測定値: C, 72.13, H, 5.23; N, 10.40
【実施例24】
【0086】
3-(3,4−ジメトキシフェニル)−3−(2−フリル)アクリロニトリル
A.2-(3,4-ジメトキシベンゾイル)フラン
2-(3,4-ジメトキシベンゾイル)フランは、3,3,3’,4’-テトラメトキシベンゾフェノンの製造方法と類似の方法にて、ベラトロール(veratrole: 1.3mL、10ミリモル)、塩化アルミニウム(1.5g、11ミリモル)及び2-フロイルクロリド(2-furoly chloride; 1.1mL,10ミリモル)を使用して、室温で2時間環流することにより製造した。得られた粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル,4%酢酸エチル/塩化メチレン)で精製すると、1.69gの目的物が白色固体として得られた(収率, 78%)。mp112-114℃;HNMR(CDCl)δ7.78-7.66(m,2H),7.59-7.52(m,1H),7.26-7.17(m,1H),6.96-6.90(m,1H),6.63-6.55(m,1H),3.97(s,3H),3.96(s,3H),3.83(s,3H);13CNMR(CDCl)δ180.9, 153.0, 152.5, 148.9, 146.5, 129.8, 124.0, 119.6, 112.0, 111.7, 110.0, 56.0, 55.9;
化学式C1312; 理論値: C, 67.23; H, 5.21
測定値: C, 67.09, H, 5.21
【0087】
B.3-(3,4−ジメトキシフェニル)−3−(2−フリル)アクリロニトリル
3-(3,4−ジメトキシフェニル)−3−(2−フリル)アクリロニトリルは、メチル 3,3−ビス−(3’4’−ジメトキシフェニル)アクリレートの製造方法と類似の方法にて、2-(3,4-ジメトキシベンゾイル)フラン(0.87g, 4ミリモル)、ジエチルシアノメチルホスホネート(0.73mL、4.4ミリモル)及びリチウムヘキサメチルジシラジド(3.4mL,4.4ミリモル, 1.3M)を使用して、室温で3時間反応することにより製造した。得られた粗生成物を、クロマトグラフィー(シリカゲル,2%酢酸エチル/塩化メチレン)で精製すると、E及びZ異性体の混合物,0.78gが白色固体として得られた(収率,75%)。
mp78-82℃;HNMR(CDCl)δ7.68-7.73(m,2H),7.16-6.75(m,7H),6.54-6.39(m,3H),5.87(s,1H),5.30(s,1H),3.93(s,3H),3.91(s,3H),3.88(s,3H);13CNMR(CDCl)δ152.0, 150.7, 150.5, 150.4, 149.3, 148.8, 148.7, 148.7, 145.2, 145.0, 129.6, 122.1, 121.6, 118.1, 118.0, 116.5, 115.6, 112.5, 112.1, 112.0, 111.5, 110.9, 110.8, 90.5, 90.2, 55.9, 55.9, 55.9, 55.8;
化学式C1513NO; 理論値: C, 70.58; H, 5.13; N, 5.49
測定値: C, 70.61; H, 5.09; N, 5.18
【実施例25】
【0088】
3-(3,4−ジエチルフェニル)−3−フェニルアクリロニトリル(E及びZ異性体)
A.3,4-ジエトキシベンゾフェノン
ジエチルベンゼン(1.7mL,10ミリモル)を含む塩化メチレンを、氷浴で冷却し窒素雰囲気にて攪拌しながら、塩化アルミニウム( 2.93g、22ミリモル)を加える。反応液は発熱した。この反応溶液に、ベンゾイルクロリド(1.2mL,10ml)を添加した。反応液を室温とし、1.5時間攪拌し、氷水60mLにて希釈後、20分攪拌した。得られた反応混合物を、塩化メチレン(40mL)にて2回抽出した。抽出した塩化メチレンを硫酸マグネシウムで乾燥した後、真空下で濃縮すると、オレンジ色の油が得られた。この粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル,2.5%酢酸エチル/ヘキサン)で精製すると、油状の目的物1.22gが得られた(収率, 51%)。
HNMR(CDCl)δ7.85-7.41(m,7H),7.30-7.20(m,1H),2.83-2.61(m,4H),1.35-1.17(m,6H);13CNMR(CDCl)δ196.8, 147.0, 141.9, 138.1, 135.3, 132.1, 132.1,130.1, 130.0, 128.1, 128.1, 125.6, 25.41, 5.1, 15.0;
化学式C1718O,; 理論値: C, 85.67; H, 7.61
測定値: C, 85.38; H, 7.42
【0089】
B.3-(3,4-ジメトキシフェニル)-3-フェニルアクリロニトリル
3-(3,4-ジメトキシフェニル)-3-フェニルアクリロニトリルは、メチル 3,3-ビス-(3’,4’-ジメトキシフェニル)アクリレートの製造方法と類似の方法にて、3,4-ジエトキシベンゾフェノン(0.95g, 4ミリモル)、ジエチルシアノメチルホスホネート(0.73mL、4.4ミリモル)及びリチウムヘキサメチルジシラジド(3.4mL,4.4ミリモル, 1.3M)を使用して、室温で2時間反応することにより製造した。得られた粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル, 8%酢酸エチル/塩化メチレン)で精製して得られる油状分を、ヘキサン中で攪拌して固化させた。この固状部分をロ別してヘキサンで洗浄後、空気乾燥ついで真空乾燥すると、E及びZ異性体の混合物,0.6gが白色固体として得られた(収率,57%)。
mp63-64℃;HNMR(CDCl)δ7.51-6.99(m,16H),5.72(s,2H),2.76-2.55(m,8H),1.32-1.14(m,12H);13CNMR(CDCl)δ163.3, 144.7, 142.2, 137.3, 136.5, 130.2, 129.8, 129.6, 128.6, 128.5, 128.4, 128.3, 127.2, 126.2, 118.2, 93.9, 93.7, 25.5, 25.3, 15.2, 15.0
【実施例26】
【0090】
3-(3,4−ジエトキシフェニル)−3−(3,4−ジメトキシフェニル)アクリロニトリル
A.3’,4’-ジエチル-3,4-ジメトキシフェニルベンゾフェノン
3’,4’-ジエチル-3,4-ジメトキシフェニルベンゾフェノンは、3,4-ジエチルベンゾフェノンの製造方法と類似の方法にて、ジエチルベンゼン( 2.5mL、15ミリモル)、塩化アルミニウム(2.2g、16.5ミリモル)及び3,4−ジメトオキシベンゾイル クロリド(3g,15ミリモル)を使用して、3時間環流することにより製造した。得られた粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル,1.5%酢酸エチル/塩化メチレン)で精製すると、0.84gの目的物がオレンジ色の固体として得られた(収率, 20%)。mp60-61℃;HNMR(CDCl)δ7.74-7.15(m,5H),7.00-6.80(m,1H)3.96(s,3H),3.94(s,3H),2.93-2.60(m,4H),1.43-1.15(m,6H);13CNMR(CDCl)δ195.5, 152.7, 148.8, 146.3, 141.7, 135.9, 130.6, 129.8, 128.0, 127.7, 125.1, 112.2, 109.7, 56.0, 25.6, 25.4, 15.1, 15.0;
化学式C1922; 理論値: C, 76.48 ; H, 7.43
測定値: C, 76.53 ; H, 7.34
【0091】
B.3-(3,4-ジエトキシフェニル)-3-(3,4- ジメトキシフェニル)アクリロニトリル
3-(3,4-ジエトキシフェニル)-3-(3,4- ジメトキシフェニル)アクリロニトリルは、メチル 3,3-ビス-(3’4’-ジメトキシフェニル)アクリレートの製造方法と類似の方法にて、3’,4’-ジエチル-3,4-ジメトキシフェニルベンゾフェノン(0.51g, 1.7ミリモル)、ジエチルシアノメチルホスホネート(0.31mL、1.9ミリモル)及びリチウムヘキサメチルジシラジド(1.4mL,1.9ミリモル, 1.3M)を使用して、室温で10時間反応することにより製造した。得られた粗生成物を、クロマトグラフィー(シリカゲル,1%酢酸エチル/塩化メチレン)で精製して得られる油状分を、ヘキサン中で攪拌して固化させた。この固状部分を、ヘキサンをロ別してヘキサンで洗浄後、空気乾燥ついで真空乾燥すると、E及びZ異性体の混合物,0.31gが白色固体として得られた(収率,57%)。
mp78-82℃;HNMR(CDCl)δ7.30-6.75(m,12H),5.61(s,1H),5.60(s,1H),3.94(s,3H),3.92(s,3H),3.87(s,3H),3.83(s,3H),2.80-2.59(s,8H),11.35-1.14(s,12H); 13CNMR(CDCl)δ163.0, 163.0, 151.0, 150.5, 148.8, 148.6, 144.6, 143.9, 142.1, 141.8, 136.8, 134.5, 131.9, 129.7, 128.6, 128.5, 128.2, 127.3, 126.3, 123.2, 122.2, 118.7, 118.6, 112.8, 111.3, 110.7, 92.5, 92.2, 56.1, 56.0, 25.5, 25.4, 25.4, 25.3, 15.3, 15.2, 15.0, 14.9;
化学式C2123NO,; 理論値: C, 78.47; H, 7.21; N, 4.36
測定値: C, 77.80; H, 7.25; N,4.68
【実施例27】
【0092】
4-(3−エトキシ−4−メトキシフェニル)−4−フェニル−3−ブタン−2−オン
シアン化銅(I)(0.21g,2.3ミリモル)懸濁テトラヒドロフラン溶液を、-70℃、窒素雰囲気にて攪拌しながら、フェニルリチウム(2.60mL、4.6ミリモル,1. 8M)含有のシクロヘキシル/エーテル(cyclohexyl/ether)液を加え、45分後、4-(3-エトキシ-4−メトキシフェニル)-3-ブテン-2-オン(0.51g, 2.3ミリモル)含有テトラヒドロフラン溶液(10mL)を加えた。-78℃で1時間冷却した後、室温に戻した。反応混合物を、塩化アンモニウム水溶液10mLで注意深く希釈した。得られた反応混合物を、塩化メチレン10mLで3回抽出した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、真空下で濃縮して、0.7gの粗生成物を得る。この粗生成物を、クロマトグラフィー(シリカゲル,2%酢酸エチル/塩化メチレン)で精製すると、固化可能な油状目的物0.41gが得られた(収率, 60%)。
mp57-58℃;HNMR(CDCl)δ7.31-7.13(m,5H),6.86-6.69(m,3H)(t,J=7.5Hz,1H),4.03(q,J=7Hz,2H),3.82(s,3H),3.13(d,J=7.5Hz,2H),2.07(s,3H),1.41(t,J=7Hz,3H);13CNMR(CDCl)δ207.0, 148.2, 148.0, 144.2, 136.4, 128.6, 127.6, 126.4, 119.4, 113,0., 111.5, 64.3, 55.9, 49.9, 45.6, 30.6, 14.8;
化学式C1922; 理論値: C, 76.48 ; H, 7.43
測定値: C, 76.81 ; H, 7.44
【実施例28】
【0093】
3-(3,4−ジメトキシフェニル)−3−(ナフチ−1−イル)アクリロニトリル
1-(3,4-ジメトキシベンゾイル)ナフタレンは、3,4,3’,4’-テトラメトキシベンゾフェノンの製造方法と類似の方法にて、ベラトロール(veratrole: 1.3mL、10ミリモル)、塩化アルミニウム(1.5g、11ミリモル)及び1-ナフトイルクロリド(1-naphthoyl chloride; 1.5mL,10ミリモル)を使用して、室温で24時間反応することにより製造した。得られた粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル,2.5%酢酸エチル/塩化メチレン)で精製すると、1.85gの目的物が白色固体として得られた(収率, 63%)。
mp92.5-94.5℃;HNMR(CDCl)δ8.06-7.84(m,3H),7.80-7.39(m,5H),7.31-7.21(m,1H),6.84-6.74(m,1H),3.94(s,3H),3.913(s,3H);13CNMR(CDCl)δ196.6, 153.5, 149.0, 136.8, 133.6, 131.1, 130.9, 130.5, 128.2, 126.9, 126.7, 126.3, 126.3, 125.6, 124.3, 111.3, 109.7, 56.0, 55.9;
化学式C1916,; 理論値: C, 78.06, ; H, 5.52
測定値: C, 77.97 ; H, 5.66
【0094】
3-(3,4-ジメトキシフェニル)-3-(ナフチ-1-イル)アクロニトリルは、上述した例20記載の方法と同様の方法で製造した。
【実施例29】
【0095】
3-(3,4−ジメトキシフェニル)−3−(2,5−ジクロロフェニル)アクリロニトリル
2’,5’-ジクロロ-3,4-ジメトキシベンゾフェノンは、3,4,3’,4’-テトラメトキシベンゾフェノンの製造方法と類似の方法にて、ベラトロール(veratrole: 2.15mL、15ミリモル)、塩化アルミニウム(2.2g、16.5ミリモル)及び 2,5-ジクロロベンゾイルクロリド(2,5-dichlorobenzoyl chloride; 1.9mL,15ミリモル)を使用して、3時間環流することにより製造した。得られた粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル,2.5%酢酸エチル/塩化メチレン)で精製すると、3.88gの目的物が白色固体として得られた(収率, 83%)。
mp129-130℃;HNMR(CDCl)δ7.65-7.56(m,1H),7.41-7.12(m,4H),6.89-6.81(m,1H),3.96(s,3H),3.94(s,3H);13CNMR(CDCl)δ191.1, 154.4, 149.6, 137.9, 132.0, 130.5, 128.7, 128.0, 125.7, 110.2, 56.1, 56.0;
化学式C1512Cl; 理論値: C, 57.90, ; H, 3.89
測定値: C, 57.58 ; H, 3.87
3-(3,4-ジメトキシフェニル)-3-(2,5-ジクロロフェニル)アクロニトリルは、出発原料として5’-ジクロロ−3,4−ジメトキシベンゾフェノンを用い、上述した例26に記載の製造方法と同様の方法で製造した。
【実施例30】
【0096】
2’,6’,3,4−テトラメトキシベンゾフェノン
2’,6’,3,4-テトラジクロロ-3,4-ジメトキシベンゾフェノンは、3,4,3’,4’-テトラメトキシベンゾフェノンの製造方法と類似の方法にて、ベラトロール(veratrole: 1.3mL、10ミリモル)、塩化アルミニウム(1.47g、11ミリモル)及び 2,6-ジメトキシベンゾイルクロリド(2,6-dimethoxybenzoyl chloride;2.0mL,10ミリモル)を使用して、室温で3時間反応することにより製造した。得られた粗生成物を、フラッシュクロマトグラフィー(シリカゲル,4%酢酸エチル/塩化メチレン)で精製すると、2.11gの目的物が白色固体として得られた(収率, 70%)。
mp128-129℃;HNMR(CDCl)δ7.66-7.60(m,1H),7.40-7.20(m,2H),6.88-6.791(m,1H),6.67-6.65(m,2H),3.93(s,3H),3. 91(s,3H),3.71(s,6H);13CNMR(CDCl)δ193.8, 157.4, 153.4, 148.9, 130.9, 130.5, 125.3, 118.0, 110.2, 109.9, 104.0, 55.9, 55.8;
化学式C1718; 理論値: C, 67.54 ; H, 6.00
測定値: C, 66.51 ; H, 5.91
3-(3,4-ジメトキシフェニル)-3-(2,6-ジメトキシフェニル)アクロニトリルは、出発原料として2’,6’,3,4-テトラメトキシベンゾフェノンを用い、上述した例10に記載の製造方法と同様の方法で製造した。
【実施例31】
【0097】
活性成分50mgをそれぞれ含有する錠剤を以下の方法で製造した。
【0098】
<処方>
成分 (100錠当たり)
有効成分 ……… 50.0g
乳糖 ……… 50.7g
小麦デンプン ……… 7.5g
ポリエチレングリコール
6000 ……… 5.0g
タルク ……… 5.0g
マグネシウム ステアレート……… 1.8g
脱イオン水 ……… 適量
【0099】
まず、固状の有効成分の粒径を0.6mmメッシュ篩を用いて整粒した。整粒後の有効成分、乳糖、タルク、マグネシウムステアレート、及び処方半量の小麦デンプンを混和した。残余半量の小麦デンプンを上記水40mLに懸濁し、ついで、前記水100mL中にポリエチレングリコールの処方量が含まれ、煮沸された溶液に加えた。得られたパスタに賦形剤(pulverulent)を加え、もし必要ならば水を追加して、この混合物を顆粒化する。得られた顆粒を35℃で一夜乾燥、1.2mmメッシュの篩を通して整粒した後、両面がレンズ状で径が約6mmの錠剤を打錠して製造した。
【実施例32】
【0100】
活性成分100mgをそれぞれ含有する錠剤を以下の方法で製造した。
【0101】
<処方>
成分 (100錠当たり)
有効成分 ……… 100.0g
乳糖 ……… 100.0g
小麦デンプン ……… 47.0g
マグネシウム ステアレート……… 3.0g
【0102】
まず、固状の有効成分の粒径を0.6mmメッシュ篩を用いて整粒した。
整粒後の有効成分、乳糖、タルク、マグネシウム ステアレート、及び処方半量の小麦デンプンを混和した。残余半量の小麦デンプンを上記水40mLに懸濁し、ついで、前記懸濁液を煮沸水100mLに加えた。得られたパスタに賦形剤(pulverulent)を加え、もし必要ならば水を追加して、この混合物を顆粒化する。得られた顆粒を35℃で一夜乾燥、1.20mmメッシュの篩を通して整粒した後、両面がレンズ状で径が約6mmの錠剤を打錠して製造した。
【実施例33】
【0103】
活性成分75mgをそれぞれ含有する、チューイング錠(tablet for chewing) を以下の方法で製造した。
【0104】
<処方>
成分 (100錠当たり)
有効成分 ……… 75.0g
マンニトール ……… 230.0g
乳糖 ……… 150.0g
タルク ……… 21.0g
グリシン ……… 12.5g
ステアリン酸 ……… 10.0g
サッカリン ……… 1.5g
5%ゼラチン溶液 ……… 適量
【0105】
まず、固状の有効成分の粒径を0.25mmメッシュ篩を用いて整粒した。
マンニトールと乳糖を混和し、ゼラチン溶液を添加して顆粒化、2mmメッシュ篩と用いて整粒化、50℃で乾燥した後、1.7mmメッシュの篩を用いて整粒した。グリシンとサッカリンとを注意深く混合した整粒済み有効成分、マンニトール、乳糖顆粒、ステアリン酸、及びタルクを混和した。ついで、この完全に混和した組成物を、両面がレンズ状で上面に割り溝を形成した径が約10mmの錠剤を打錠して製造した。
【実施例34】
【0106】
活性成分10mgをそれぞれ含有する錠剤を以下の方法で製造した。
【0107】
<処方>
成分 (100錠当たり)
有効成分 ……… 10.0g
乳糖 ……… 328.5g
コーンスターチ ……… 17.5g
ポリエチレングリコール
6000 ……… 5.0g
タルク ……… 25.0g
マグネシウム ステアレート……… 4.8g
脱イオン水 ……… 適量
【0108】
まず、固状の有効成分の粒径を0.6mmメッシュ篩を用いて整粒した。
整粒後の有効成分、乳糖、タルク、マグネシウム ステアレート、及び処方半量のデンプンを混和した。残余半量のデンプンを水65mLに懸濁し、ついで、前記水260mL中にポリエチレングリコール処方量が含まれる煮沸溶液にこれを加えた。得られたパスタに賦形剤(pulverulent)を加え、もし必要ならば水を追加して、この混合物を顆粒化する。得られた顆粒を35℃で一夜乾燥、1.2mmメッシュの篩を通して整粒した後、両面がレンズ状で上面に割り溝を形成した径が約10mmの錠剤を打錠して製造した。
【実施例35】
【0109】
活性成分10mgをそれぞれ含有する、ゼラチン硬カプセル剤を以下の方法で製造した。
【0110】
<処方>
成分 (100カプセル錠当たり)
有効成分 ……… 100.0g
微結晶セルロース ……… 30.0g
コーンスターチ ……… 17.5g
ラウリル硫酸ナトリウム ……… 2.0g
マグネシウム ステアレート……… 8.0 g
【0111】
0.2mmメッシュ篩を用いて整粒した有効成分中に、ラウリル硫酸ナトリウムを加えて、両者を10分間良く混和した。 0.9mm メッシュ篩を通した微結晶セルロースを加え、全体を10分間良く混和した。最後に、0.8mm メッシュ篩を通したマグネシウム ステアレートを加えてさらに3分間混和した後、得られた混合物の140mgを、サイズが”0番”であるゼラチン硬カプセル中にそれぞれ充填した。
【実施例36】
【0112】
例えば、0.2%注射剤は以下の方法で製造することができる。
【0113】
<処方>
有効成分 ……… 5.0g
塩化ナトリウム ……… 22.5g
リン酸緩衝液、pH7.4 ……… 300.0g
脱イオン水に溶解して全量2500.0mLとする。
【0114】
有効成分を脱イオン水1000mLに溶解した後、ミクロフィルターにてろ過るか、或いは脱イオン水1000mLに懸濁した。ついで、緩衝液を加えて、全量を2500mLにメスアップした。単位当たりの薬量を含むものを製造するため、その1.0若しくは2.5mLをガラス製アンプル中に封入した(それぞれ2.0又は5.0gの有効成分を含む注射剤となる)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
つぎの化学式(I)で表せる化合物であって、

(a)Xは−O−若しくは-(C2n)-であり、-(C2n)-のnは、1,2,若しくは3の整数であり、そして、
は、炭素数が1〜10のアルキル、炭素数が10までのモノシクロアルキル基、炭素数が10までのポリシクロアルキル基、又は炭素数が10までのベンゾサイクリックアルキル基のいずれかであるか、又は、
(b)Xは-CH=であり、そして、Rは、炭素数が10までアルキリデン基、炭素数が10までのモノシクロアルキリデン基、又は炭素数が10までのバイシクロアルキリデン基であり、
は、ニトロ、シアノ、トリフルオロメチル、カルベトキシ、カルボメトキシ、カルボプロポキシ、アセチル、カルバモイル、アセトキシ、カルボキシ、ヒドロキシ、アミノ、低級アルキル、低級アルキリデンメチル、低級アルコキシ、又はハロゲンであり、
は、
(i) ニトロ、シアノ、ハロゲン、トリフルオロメチル、カルベトキシ、カルボメトキシ、カルボプロポキシ、アセチル、カルバモイル、炭素数が1〜3個のアルキル基で置換されたカルバモイル、アセトキシ、カルボキシ、ヒドロキシ、アミノ、炭素数が1〜5のアルキル基で置換されたアミノ、炭素数が0までのアルキル、炭素数が10までのシクロアルキル、炭素数が10までのアルコキシ、炭素数が10までのシクロアルコキシ、炭素数が10までのアルキリデンメチル、炭素数が10までのシクロアルキリデンメチル、フェニル、若しくはメチレンジオキシから独立して選択された1又はそれ以上の置換基によって置換されている又は置換されていな「フェニル基」か、
(ii) ピリジン、置換ピリジン、ピロリジン、イミジゾール(imidizole)、ナフタレン、又はチオフェンか、
(iii) ニトロ、 シアノ、ハロゲン、トリフルオロメチル、カルベトキシ、カルボメトキシ、カルボプロポキシ、アセチル、カルバモイル、アセトキシ、カルボキシ、ヒドロキシ、アミノ、置換アミノ、炭素数が1〜10のアルキル、炭素数が10以上のアルコキシ、フェニルからなる群から独立して選択された1又はそれ以上の置換基によって置換されている又は置換されていない「炭素数が4〜10のシクロアルキル基」、
のいずれかであり、
又はRとRはともにC-C結合を持つ官能基であり、
Yは、-COZ、-C≡N、又は炭素数が1〜5の低級アルキル基であって、
Zは-NR、又は-R
が水素若しくは低級アルキル基であり、Rがアルキル若しくはベンジル基 である化合物、
前記化合物を含有することを特徴とするホスホジエステラーゼ活性、TNFαレベル、及びNFκB転移のうちのいずれかを阻害するための医薬組成物。
【請求項2】
請求項1に記載の化合物を含むことを特徴とする医薬組成物。

【公開番号】特開2008−143912(P2008−143912A)
【公開日】平成20年6月26日(2008.6.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−15067(P2008−15067)
【出願日】平成20年1月25日(2008.1.25)
【分割の表示】特願平10−509944の分割
【原出願日】平成9年8月11日(1997.8.11)
【出願人】(508027464)セルジーン コーポレーション (3)
【出願人】(508025600)
【出願人】(508025611)
【Fターム(参考)】