説明

新規2−チオフェンカルボキサミド誘導体

【課題】カンナビノイド2受容体(CB2)が関与する疾患の予防及び/または治療剤の提供。
【解決手段】式(I)


(式中、VはO、OH;R1はH、CF3、脂肪族炭化水素等;R2は、H、ハロゲン、脂肪族炭化水素等; R3は一〜三環式炭素環、アリールアルキル等;WはN、S;nは0−2;R4、R4'はH、脂肪族炭化水素;R5、R6はH、トリハロメタンスルホニル等;環P、環Qは脂環式複素炭化水素基等。)で示される化合物、その塩、その溶媒和物、これらを有効成分とする医薬組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な2−チオフェンカルボキサミド誘導体もしくはその製薬学上許容される塩、又はそれらの溶媒和物に関する。また、2−チオフェンカルボキサミド誘導体もしくはその製薬学上許容される塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含有することを特徴とする新規な医薬組成物に関する。さらに、2−チオフェンカルボキサミド誘導体もしくはその製薬学上許容される塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含有することを特徴とするカンナビノイド2受容体(以下、CB2と記載することがある)が関与する疾患の新規な予防及び/または治療剤、特に神経因性疼痛、炎症性疼痛、炎症性疾患、アレルギー性疾患及び自己免疫疾患の新規な予防及び/または治療剤に関する。
【背景技術】
【0002】
カンナビノイドとは大麻の主要活性成分であるΔ9−テトラヒドロカンナビノール(Δ9−THC)とその類似化合物の総称であり(非特許文献1)、哺乳類動物に対して、時間感覚・空間感覚の混乱、多幸感、幻覚、傾眠、食欲増進、痛覚の低下、免疫抑制、抗炎症など様々な作用を引き起こすことが知られている(非特許文献2)。
カンナビノイド(CB)受容体として、現在までにカンナビノイド1受容体(以下、CB1と記載することがある)とCB2の2つのサブタイプが遺伝子クローニングされている。このうち最初に同定されたのはCB1であり、1990年にマツダ(Matsuda)らによりラット大脳皮質cDNAからクローニングされた(非特許文献3)。一方、1993年にはムンロ(Munro)らによりヒト前骨髄球性白血病細胞株であるHL−60細胞からもう一つのCB2遺伝子がクローニングされた(非特許文献4)。CB1はほとんどの神経系組織に発現しているのに対し、CB2は中枢神経にはほとんど発現しておらず、主に炎症若しくは免疫反応に関与する組織や細胞に豊富に発現していることが明らかになっている。 最近では免疫系の組織・細胞の他に、ミクログリア(非特許文献5)、
末梢神経(非特許文献6)、皮膚角化細胞(非特許文献7)、でもCB2が発現していることが報告されている。
【0003】
近年の研究により、Δ9−THCの多様な作用のうち、多幸感、幻覚、傾眠、時間感覚・空間感覚の混乱、食欲増進などの作用は中枢神経系のCB1を介する作用であることが明らかになっている。一方、Δ9−THCの作用のうち抗炎症作用、免疫抑制作用、痛覚低下に関しては、CB2を発現している炎症若しくは免疫反応に関与する細胞を介する作用であると考えられている。 従って、CB1に結合せずCB2のみに選択的に結合する
物質を見出せば、中枢作用を回避しつつ鎮痛作用、抗炎症作用、免疫調節作用を発揮するものと期待され、この想定のもとにこれまで数多くの創薬研究が行われてきた。
【0004】
実際に特許文献1〜特許文献31にはCB2と結合する物質(以下、CB2リガンドと記載することがある)の具体的な化合物及び対象疾患が示されており、特に特許文献7若しくは特許文献8、20、27、28、29には、各種実験モデルにおける有効性が示されている。これらの特許文献記載CB2リガンドの対象疾患として、疼痛や、炎症性疾患(慢性関節リウマチ、変形性膝関節症など)、自己免疫疾患(強皮症、クローン病、全身性エリテマトーデスなど)、アレルギー性疾患(喘息、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹など)、神経疾患(多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病など)、心血管系疾患、腎疾患、骨粗鬆症などが挙げられている。
【0005】
外因性に哺乳類動物に投与されたCB2リガンドのうち特にインバースアゴニストは、主に2−アラキドノイルグリセロール(2−AG)などの内因性CB2リガンドの生理作用に拮抗することにより抗炎症作用および免疫調節作用などの薬理作用を示すと考えられ
ている。即ち、炎症時に内因性CB2リガンドが局所で産生され、それがCB2を介してミクログリアや単球系細胞を活性化することにより炎症および免疫反応を引き起こし、インバースアゴニストを含むCB2リガンドは、この内因性リガンドの作用に拮抗するものである(非特許文献8および9)。 実際にCB2選択的なインバースアゴニストである
JTE−907、SR144528およびSch.336は、各種の炎症、アトピー性皮膚炎、アレルギー性喘息のモデル動物において経口投与で有効性を示すことが報告されている(非特許文献10−12)。
【0006】
一方、外因性に哺乳類動物に投与されたCB2リガンドのうち特にアゴニストは、主にはそれ自体がアゴニストとしてCB2受容体を刺激し、細胞や神経の機能を修飾して薬理作用を示すと考えられている。即ち、病態においてミクログリアや神経系のCB2発現が上昇し、アゴニストがこれら細胞・神経の興奮・活性化を抑制するものである(非特許文献13−15)。 実際に、選択的CB2アゴニストであるAM1241は、哺乳類動物
において、中枢神経に関連した副作用を示すことなく、神経傷害によるアロディニア(通常では痛みと感じない刺激で痛みを感じること)、炎症性の痛覚過敏(痛み刺激を通常よりも強く感じること)および炎症反応を抑制することが報告されている(非特許文献7,16,17)。また、選択的CB2アゴニストであるJWH133は、哺乳類動物において、CB1に起因する中枢神経系に対する副作用を示すことなく、鎮咳作用を示すことが報告されている(非特許文献18)。非選択的CB2アゴニストWIN55212−2は、哺乳類動物において、その気道過敏性や神経原性炎症を抑制し、その薬理作用はCB2選択的インバースアゴニストで拮抗される(非特許文献14、19)。これらの報告のように、CB2アゴニストは神経系への直接/間接作用に基づき疼痛、咳嗽、気道過敏性といった病態に対しin vivoで有効性を示す。 これらの神経系疾患の他、CB2アゴニストが単球/マクロファージに直接作用してそのケモカインによる遊走阻止を介し、動脈硬化モデルで有効性を示すこと(非特許文献20)、中枢作用を持たないCB2選択的アゴニストが骨芽細胞活性化および破骨細胞増殖抑制を介してマウス骨粗鬆症モデルに有効性を示すこと(非特許文献21)などが報告されている。
【0007】
以上の特許文献・非特許文献の報告から、CB1に結合せずCB2選択的に結合する物質(CB2選択的リガンド)は中枢性の副作用を示すことなく、疼痛、炎症性疾患(慢性関節リウマチ、変形性膝関節症など)、自己免疫疾患(強皮症、クローン病、全身性エリテマトーデスなど)、アレルギー性疾患(喘息、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹など)、神経疾患(多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病など)、心血管系疾患、腎疾患、骨粗鬆症の治療薬としてその有用性が期待される。
CB2選択的リガンドのうち特にアゴニストは、神経因性疼痛(帯状疱疹後神経痛、有痛性糖尿病性ニューロパシー等)および炎症性疼痛(慢性関節リウマチ、変形性膝関節症など)に対する鎮痛薬としてその有用性が期待される。また、気道過敏性亢進に基づく咳嗽(気管支炎、かぜ症候群、喘息、閉塞性肺疾患等)に対する鎮咳薬として、あるいは動脈硬化に基づく心血管系疾患(不安定狭心症、心筋梗塞や脳卒中)および骨粗鬆症の予防薬として有用であると考えられる。
更には自己免疫疾患、炎症、腎疾患、他の神経疾患(脳卒中、アルツハイマー、偏頭痛、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症など)、心血管系疾患(不整脈、高血圧、脳虚血)、アレルギー、癌、消化管疾患、肥満、多発性硬化症、ハンチントン病、掻痒、動脈硬化および他の神経因性疼痛(糖尿病性疼痛など)の予防及び/または治療剤として有用であると考えられる。
またCB2選択的リガンドのうち特にインバースアゴニストは、アレルギー性喘息、アトピー性皮膚炎および蕁麻疹などのアレルギー疾患に対する予防及び/または治療剤として有用であると考えられる。
更にはT細胞リンフォーマ、慢性関節リウマチ、アレルギー、強皮症、クローン病、全
身性エリテマトーデス、多発性硬化症、糖尿病、緑内障、骨粗鬆症、腎虚血、腎炎、脳虚血、脳卒中に対する予防及び/または治療剤として有用であると考えられる。
【0008】
一方で2−チオフェンカルボキサミド誘導体の上記疾患への適用はこれまで知られておらず、まして該化合物を含む2−チオフェンカルボキサミド誘導体のCB2を介する薬理作用に関してはまったく知られていなかった。
【0009】
【特許文献1】国際公開第97/860号パンフレット
【特許文献2】国際公開第97/29079号パンフレット
【特許文献3】国際公開第02/72562号パンフレット
【特許文献4】国際公開第01/28329号パンフレット
【特許文献5】国際公開第02/72562号パンフレット
【特許文献6】国際公開第02/85866号パンフレット
【特許文献7】国際公開第03/61699号パンフレット
【特許文献8】国際公開第03/63758号パンフレット
【特許文献9】国際公開第03/97597号パンフレット
【特許文献10】国際公開第04/807号パンフレット
【0010】
【特許文献11】国際公開第04/29027号パンフレット
【特許文献12】国際公開第04/35548号パンフレット
【特許文献13】特開2001−151779号公報
【特許文献14】特開2001−151780号公報
【特許文献15】国際公開第04/18433号パンフレット
【特許文献16】国際公開第04/50086号パンフレット
【特許文献17】国際公開第04/87704号パンフレット
【特許文献18】国際公開第04/10400号パンフレット
【特許文献19】国際公開第04/103974号パンフレット
【特許文献20】国際公開第05/21547号パンフレット
【0011】
【特許文献21】国際公開第05/75440号パンフレット
【特許文献22】国際公開第05/75646号パンフレット
【特許文献23】国際公開第05/80350パンフレット
【特許文献24】国際公開第05/80349号パンフレット
【特許文献25】国際公開第05/80342号パンフレット
【特許文献26】国際公開第05/100333号パンフレット
【特許文献27】国際公開第05/123053号パンフレット
【特許文献28】国際公開第06/12176号パンフレット
【特許文献29】特開2003−252796号公報
【特許文献30】国際公開第04/48322号パンフレット
【特許文献31】国際公開第06/2133号パンフレット
【0012】
【非特許文献1】「ファーマコロジカル レビューズ(Pharmacological Reviews)」、1986年、第38巻、p.151−178
【非特許文献2】「ファーマコロジカル レビューズ(Pharmacological Reviews)」、1986年、第38巻、p.1−20
【非特許文献3】「ネーチャー(Nature)」、1990年、第346巻、p.561−564
【非特許文献4】「ネーチャー(Nature)」、1993年、第365巻、p.61−65
【非特許文献5】「インターナショナル イムノファーマコロジー(International Immunopharmacology)」、2002年、第2巻、p.69−82
【非特許文献6】「ジャーナル オブ ダーマトロジカル サイエンス(Journal of Dermatological Science)」、2005年、第38巻、p.177−188
【非特許文献7】「プロシーディングス オブ ザ ナショナル アカデミー オブ サイエンス(Proceedings of the National Academy of Sciences)」、2005年、第102巻、p.3093−3098
【0013】
【非特許文献8】「モレキュラー ファーマコロジー(Molecular Pharmacology)」、2004年、第65巻、p.999−1007
【非特許文献9】「ザ ジャーナル オブ バイオロジカル ケミストリー(The Journal of Biological Chemistry)」、2003年、第278巻、p.24469−24475
【非特許文献10】「ザ ジャーナル オブ ファーマコロジー アンド エクスペリメンタル セラピューティックス(The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics)」、2001年、第296巻、p.420−425
【非特許文献11】「ザ ジャーナル オブ ファーマコロジー アンド エクスペリメンタル セラピューティックス(The Journal of Pharmacology and Experimental Therapeutics)」、2006年、第316巻、p.4780−788
【非特許文献12】「ヨーロピアン ジャーナル オブ ファーマコロジー(European Journal of Pharmacology)」、2005年、第520巻、p.164−171
【非特許文献13】「ブリティッシュ ジャーナル オブ ファーマコロジー(British Journal of Pharmacology)」、2003年、第140巻、p.261−268
【0014】
【非特許文献14】「アメリカン ジャーナル オブ レスピラトリー アンド クリティカル ケア メディスン(American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine)」、2004年、第170巻、p.941−946
【非特許文献15】「ニューロサイエンス(Neuroscience)」、2005年、第135巻、p.235−245
【非特許文献16】「プロシーディングス オブ ザ ナショナル アカデミー オブ サイエンス(Proceedings of the National Academy of Sciences)」、2003年、第100巻、10529−10533
【非特許文献17】「アネセジオロジー(Anesthesiology)」、2003年、第99巻、955−960
【非特許文献18】「ブリティッシュ ジャーナル オブ ファーマコロジー(British Journal of Pharmacology)」、2003年、第140巻、p.261−268
【非特許文献19】「ジャーナル オブ ファーマコロジカル サイエンス(Journal of Pharmacological Science)」、2005年、第98巻、p.77−82
【非特許文献20】「ネーチャー(Nature)」、2005年、第434巻、p.782−786
【非特許文献21】「プロシーディングス オブ ザ ナショナル アカデミー オブ サイエンス(Proceedings of the National Academy of Sciences)」、2006年、第103巻、696−701
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
上記の通りCB2選択的リガンドについては、中枢神経系に影響を及ぼさない神経因性疼痛、神経疾患、炎症若しくはアレルギー疾患、自己免疫疾患などの予防及び/または治療剤としての研究が進められているものの、未だ医薬品として成功を収めておらず、その効果的な用途が模索されている。従って、現在でもカンナビノイド選択的リガンド、特にCB2に選択的なリガンドを有効成分とする新規な治療剤の開発が望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明者らは、CB2に結合活性を有する化合物について鋭意研究を重ねた結果、後述する式(I)の2−チオフェンカルボキサミド化合物若しくはその製薬学上許容される塩が、CB2に直接結合してその機能を調節する作用を有すること、及び/またはCB2に直接結合して、内因性若しくは外因性CB2リガンドが結合することを阻害する作用を有することを見出した。また、該化合物若しくは該塩を有効成分として含有することを特徴とするCB2が関与する疾患の新規な予防及び/または治療剤、特に神経疾患、炎症若しくはアレルギー疾患及び自己免疫疾患の新規な予防及び/または治療剤を見出した。
【0017】
CB2選択的リガンドは中枢性の副作用を示すことなく、疼痛、炎症性疾患(慢性関節リウマチ、変形性膝関節症など)、自己免疫疾患(強皮症、クローン病、全身性エリテマトーデスなど)、アレルギー性疾患(喘息、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹など)、神経疾患(多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病など)、心血管系疾患、腎疾患、骨粗鬆症の予防及び/または治療薬としてその有用性が期待される。
CB2選択的リガンドのうち特にアゴニストは、神経因性疼痛(帯状疱疹後神経痛、有痛性糖尿病性ニューロパシー等)および炎症性疼痛(慢性関節リウマチ、変形性膝関節症など)に対する鎮痛薬としてその有用性が期待される。また、気道過敏性亢進に基づく咳嗽(気管支炎、かぜ症候群、喘息、閉塞性肺疾患等)に対する鎮咳薬として、あるいは動脈硬化に基づく心血管系疾患(不安定狭心症、心筋梗塞や脳卒中)および骨粗鬆症の予防薬として有用であると考えられる。
更には自己免疫疾患、炎症、腎疾患、他の神経疾患(脳卒中、アルツハイマー、偏頭痛、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症など)、心血管系疾患(不整脈、高血圧、脳虚血)、アレルギー、癌、消化管疾患、肥満、多発性硬化症、ハンチントン病、掻痒、動脈硬化および他の神経因性疼痛(糖尿病性疼痛など)の予防及び/または治療剤として有用であると考えられる。
またCB2選択的リガンドのうち特にインバースアゴニストは、アレルギー性喘息、アトピー性皮膚炎および蕁麻疹などのアレルギー疾患に対する予防及び/または治療剤として有用であると考えられる。
更にはT細胞リンフォーマ、慢性関節リウマチ、アレルギー、強皮症、クローン病、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、糖尿病、緑内障、骨粗鬆症、腎虚血、腎炎、脳虚血、脳卒中に対する予防及び/または治療剤として有用であると考えられる。
【0018】
ヒトCB2受容体結合活性を有する被検物質のアゴニスト/インバースアゴニスト活性を判定する機能アッセイとしては、グアノシン三リン酸(GTP)結合反応が挙げられる(「アッセイ アンド ドラッグ デベロップメント テクノロジーズ(Assay and Drug Development Technologies)」2003年、第1巻、第2号、p.275−280)。この系においてGTPの結合量を増加させるCB2リガンドはアゴニスト、低下させるリガンドはインバースアゴニストである。
他の判定法としてはヒトCB2受容体強制発現細胞をフォルスコリンで刺激し、細胞内cAMPを測定する系が挙げられる。この系において細胞内cAMP濃度を低下させるリガンドはアゴニスト、上昇させるリガンドはインバースアゴニストである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下に、本発明を詳細に説明する。ここで示されるR1、R2等の各基について一般式(I)において記される略号及び定義は、他の一般式に記載される場合でも本明細書中共通した範囲を示す。
なお、本明細書において「・」は、「、」の意味で使われることがあるが、文脈中の他の「、」とは別の概念のくくりの中で使われている。
「C1−C6脂肪族炭化水素基」とは、直鎖もしくは分枝鎖の炭素原子数1〜6を有する飽和もしくは不飽和の炭化水素基を示し、例えばC1−C6アルキル基、C2−C6アルケニル基、C2−C6アルキニル基等が挙げられる。
「C1−C6アルキル基」としては、例えばメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、tert−ペンチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、1,2−ジメチルプロピル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、1,1−ジメチルブチル基、1,2−ジメチルブチル基、2,2−ジメチルブチル基、1,3−ジメチルブチル基、2,3−ジメチルブチル基、3,3−ジメチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1,1,2−トリメチルプロピル基、1,2,2−トリメチルプロピル基、1−エチル−1−メチルプロピル基、1−エチル−2−メチルプロピル基等が挙げられる。
【0020】
「C2−C6アルケニル基」としては、例えばビニル基、アリル基、プロペニル基、イソプロペニル基、2−メチルアリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基等が挙げられる。
「C2−C6アルキニル基」としては、例えばエチニル基、1−プロピニル基、2−プロピニル基、ブチニル基、ペンチニル基、ヘキシニル基等が挙げられる。
「アリ−ル基」としては6〜10員環アリール基を表し、例えばフェニル基、αもしくはβナフチル基等が挙げられる。
「脂環式炭化水素基」としては、飽和もしくは部分的に不飽和の炭素数3〜10の単環式、縮合環式もしくは架橋環式脂環式炭化水素基を表し、例えばシクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキセニル基、ビシクロオクチル基、ノルアダマンチル基、アダマンチル基、αピネン等が挙げられる。
「ヘテロアリ−ル基」としては、窒素原子・酸素原子・硫黄原子から任意に選ばれるヘテロ原子を1〜4個含んでいる5〜10員ヘテロアリール基を表し、例えばオキサジアゾリル基、ピロリル基、フリル基、チエニル基、オキサゾリル基、イミダゾリル基、イソオキサゾリル基、チアゾリル基、イソチアゾリル基、ピラゾリル基、テトラゾリル基、ピリジル基、ピリダジニル基、ピリミジニル基、ピラジニル基、チアジアジニル基、キノリル基、インドリル基等が挙げられる。
【0021】
「脂環式複素炭化水素基」としては、窒素原子・酸素原子・硫黄原子から任意に選ばれるヘテロ原子を1〜4個含んでおり、環中に部分的に不飽和結合若しくは芳香環を有していてもよい3〜10員の脂環式複素炭化水基を表し、例えば1−アザ−2−チアシクロペ
ンタン−2,2−ジオン―5−イル基、1−アザ−2−チアシクロペンタン−2,2−ジ
オン―1−イル基、1−チアシクロペンタン−1,1−ジオン−2−イル基、アゼチジニル基、オキシラニル基、オキセタニル基、ピロリジニル基、テトラヒドロフリル基、チオラニル基、ピラゾリニル基、ピラゾリジニル基、ピペリジル基、テトラヒドロピラニル基、モルホリニル基、ピペラジニル基、テトラヒドロキノリル基、デカヒドロキノリル基、
ジヒドロベンゾフラニル基、テトラヒドロピラニル基等が挙げられる。
「ハロゲン原子」としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。
「C1−C6アルコキシ基」としては、例えばメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、1,2−ジメチルプロピルオキシ基、1,1−ジメチルプロピルオキシ基、2,2−ジメチルプロピルオキシ基、2−エチルプロピルオキシ基、ヘキシルオキシ基、1,2−ジメチルブチルオキシ基、2,3−ジメチルブチルオキシ基、1,3−ジメチルブチルオキシ基、1−エチル−2−メチルプロピルオキシ基、1−メチル−2−エチルプロピルオキシ基等が挙げられる。
【0022】
「C1−C3アルキルスルホニル基」としては、例えばメタンスルホニル基、エタンスルホニル基、プロパンスルホニル基等が挙げられる。
「トリハロメタンスルホニル基」としては、例えばトリフルオロメタンスルホニル基等が挙げられる。
「アリールチオ基」としては6−10員環アリールチオ基を表し、例えばフェニルチオ基、αもしくはβ−ナフチルチオ基等が挙げられる。
「アリールスルホニル基」としては6−10員環アリールスルホニル基を表し、例えばフェニルスルホニル基、αもしくはβ−ナフチルスルホニル基等が挙げられる。
「C1−C6アルキルカルボニル基」としては、例えばアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、バレリル基、イソバレリル基、ピバロイル基、カプロイル基などの炭素数2〜6の直鎖もしくは分枝鎖の脂肪族飽和カルボン酸から誘導される基、アクリロイル基、プロピオロイル基、メタクリロイル基、クロトノイル基、イソクロトノイル基などの炭素数3〜6の直鎖もしくは分枝鎖の脂肪族不飽和カルボン酸から誘導される基等が挙げられる。
「C1−C6アルコキシカルボニル基」としては、例えばメトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、プロポキシカルボニル基、イソプロポキシカルボニル基、ブトキシカルボニル基、sec−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニル基、ペントキシカルボニル基等が挙げられる。
「アリールC1−C6アルキル基」としては、例えばベンジル基、フェネチル基、αもしくはβ−ナフチルメチル基等が挙げられる。
【0023】
本発明は、新規な2−チオフェンカルボキサミド誘導体もしくはその製薬学上許容される塩、又はそれらの溶媒和物に関する。また、2−チオフェンカルボキサミド誘導体もしくはその製薬学上許容される塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含有することを特徴とする新規な医薬組成物に関する。さらに、2−チオフェンカルボキサミド誘導体もしくはその製薬学上許容される塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含有することを特徴とするカンナビノイド2受容体(以下、CB2と記載することがある)が関与する疾患の新規な予防及び/または治療剤、特に神経因性疼痛、神経疾患、炎症若しくはアレルギー疾患及び自己免疫疾患の新規な予防及び/または治療剤に関する。
【0024】
本発明は以下の態様に示される新規化合物、医薬用組成物、若しくはこれらの医薬用途である。
本発明を以下の態様により詳細に説明する。
<態様1>
式(I)
【化1】

(式中、
Vは酸素原子(オキソ基)または水酸基を表し、実線と破線で表される結合は単結合若しくは二重結合を表し、

1は、
水素原子、トリハロメチル基、水酸基で置換されていてもよい直鎖若しくは分枝鎖のC1−C6脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、アリール基、カルボキシル基、C1−C6アルキルカルボニル基、C1−C6アルコキシカルボニル基、カルバモイル基であり、
【0025】
2は、R2a),R2b),R2c)から選ばれ、
R2a)は、
水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基・水酸基・オキソ基・ハロゲン原子から任意に選ばれる基で1−3個置換されていてもよい直鎖若しくは分枝鎖のC1−C3脂肪族炭化水素基若しくはC3脂環式炭化水素基であり、
R2b)は、
アミノ基・水酸基・オキソ基・ハロゲン原子から任意に選ばれる基で1−3個置換されていてもよい直鎖若しくは分枝鎖のC4脂肪族炭化水素基であり、
R2c)は、
アミノ基・水酸基・ハロゲン原子・C1−C6アルキル基・C1−C6アルコキシ基・カルボキシル基・C1−C6アルコキシカルボニル基・アリール基から任意に選ばれる基で1−3個置換されていてもよいアリール基、アミノ基・水酸基・ハロゲン原子・C1−C6アルキル基・C1−C6アルコキシ基・カルボキシル基・C1−C6アルコキシカルボニル基・アリール基から任意に選ばれる基で1−3個置換されていてもよいヘテロアリール基、アミノ基・水酸基・ハロゲン原子・C1−C6アルキル基・C1−C6アルコキシ基・カルボキシル基・C1−C6アルコキシカルボニル基・アリール基から任意に選ばれる基で1−3個置換されていてもよい
アリールC1−C6アルキル基、アリールチオ基、アリールスルホニル基、アミノ基・水酸基・オキソ基・ハロゲン原子から任意に選ばれる基で1−3個置換されていてもよい直鎖若しくは分枝鎖のC5−C6脂肪族炭化水素基、アミノ基・水酸基・オキソ基・ハロゲン原子から任意に選ばれる基で1−3個置換されていてもよいC4−C6の脂環式炭化水素基であり、
【0026】
3は、
C3−C10の単環・二環(縮合またはスピロ環)・三環式(縮合またはスピロ環)炭素環、
酸素原子・窒素原子・硫黄原子から任意に選択される1−4個のヘテロ原子を含む3−10員の単環・二環(縮合またはスピロ環)・三環式(縮合またはスピロ環)ヘテロ環、アリールC1−C2アルキル基であり、当該環状基はハロゲン原子・水酸基・トリフルオロメチル基・C1−C3アルキル基から任意に選ばれる基で1−3個置換されていてもよく、
【0027】
Wは窒素原子或いは硫黄原子を表し、
Wが窒素原子であるとき、
nは0−2の整数を表し、
4、R4'は同一若しくは異なって、
水素原子、水酸基で置換されていてもよい直鎖若しくは分枝鎖のC1−C3脂肪族炭化水素基であり、
5、R6は同一若しくは異なって、
水素原子、トリハロメタンスルホニル基、C1−C3アルキルスルホニル基、または
水酸基若しくはオキソ基で置換されていてもよい直鎖若しくは分枝鎖のC1−C3脂肪族炭化水素基であり、
ただし、R5とR6は同時にトリハロメタンスルホニル基またはC1−C3アルキルスルホニル基であることはなく、
或いはR4、R5、Wを構成要素として含む環Pとして脂環式複素炭化水素基、若しくはヘテロアリール基を形成し、
或いはR5、R6、Wを構成要素として含む環Qとして脂環式複素炭化水素基若しくはヘテロアリール基を形成し、
ここで環Pがヘテロアリール基であるときは、R4'及びR6は置換基を形成せず、若しく
はR6は酸素原子(N−オキシド)を表すことがあり、
ただし環Pと環Qは同時には環を形成せず、
【0028】
Wが硫黄原子であるとき、
nは0−2の整数を表し、
4、R4'は同一若しくは異なって、
水素原子、水酸基で置換されていてもよい直鎖若しくは分枝鎖のC1−C3脂肪族炭化水素基であり、
5は、
水酸基で置換されていてもよい直鎖若しくは分枝鎖のC1−C3脂肪族炭化水素基、トリハロメチル基、C1−C3アルキル基でモノ若しくはジ置換されていてもよいアミノ基であり、
或いはR4、R5、Wを構成要素として含む環Pとして
3−6員の脂環式複素炭化水素基を形成し、
6は、
W−R6としてスルフィニル基若しくはスルホニル基である。)
で示される化合物もしくはそれらの製薬学上許容される塩、又はその溶媒和物。
【0029】
<態様2>
式(I)
【化2】

(式中、
Vは酸素原子(オキソ基)または水酸基を表し、実線と破線で表される結合は単結合若しくは二重結合を表し、
1は、
水素原子、トリハロメチル基、水酸基で置換されていてもよい直鎖若しくは分枝鎖のC1
C6脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、アリール基、カルボキシル基、C1−C6アルキルカルボニル基、C1−C6アルコキシカルボニル基、カルバモイル基であり、

1として好ましくは、
水素原子、トリフルオロメチル基、直鎖若しくは分枝鎖のC1−C3脂肪族炭化水素基であり、
【0030】
2は、R2a),R2b)から選ばれ、
R2a)は、
水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基・水酸基・オキソ基・ハロゲン原子から任意に選ばれる基で1−3個置換されていてもよい直鎖若しくは分枝鎖のC1−C3脂肪族炭化水素基であり、
R2b)は、
アミノ基・水酸基・オキソ基・ハロゲン原子から任意に選ばれる基で1−3個置換されていてもよい直鎖若しくは分枝鎖のC4脂肪族炭化水素基であり、

2として好ましくはR2a)であり、とりわけ
水素原子、ハロゲン原子、直鎖若しくは分枝鎖のC1−C3脂肪族炭化水素基であり、
【0031】
3は、
C3−C10の単環・二環(縮合またはスピロ環)・三環式(縮合またはスピロ環)炭素環、
酸素原子・窒素原子・硫黄原子から任意に選択される1−4個のヘテロ原子を含む3−10員の単環・二環(縮合またはスピロ環)・三環式(縮合またはスピロ環)ヘテロ環、アリールC1−C2アルキル基であり、当該環状基はハロゲン原子・水酸基・トリフルオロメチル基・C1−C3アルキル基から任意に選ばれる基で1−3個置換されていてもよく、

3として好ましくは、
ハロゲン原子・水酸基から任意に選ばれる基で1−3個置換されていてもよいC3−C10
単環・二環・三環式(縮合またはスピロ環)炭素環であり、
【0032】
Wは窒素原子或いは硫黄原子を表し、
Wが窒素原子であるとき、
nは0−2の整数を表し、
好ましくはnは0であり、

4、R4'は同一若しくは異なって、
水素原子、水酸基で置換されていてもよい直鎖若しくは分枝鎖のC1−C3脂肪族炭化水素基であり、
5、R6は同一若しくは異なって、
水素原子、トリハロメタンスルホニル基、C1−C3アルキルスルホニル基、または
水酸基若しくはオキソ基で置換されていてもよい直鎖若しくは分枝鎖のC1−C3脂肪族炭化水素基であり、
或いは環Pとして脂環式複素炭化水素基、若しくはヘテロアリール基を形成し、
或いは環Qとして脂環式複素炭化水素基を形成し、
ここで環Pがヘテロアリール基であるときは、R4'及びR6は置換基を形成せず、若しく
はR6は酸素原子(N−オキシド)を表すことがあり、

5、R6として好ましくは同一若しくは異なって、
水素原子、トリハロメタンスルホニル基、C1−C3アルキルスルホニル基であり、
ただし、R5とR6は同時にトリハロメタンスルホニル基またはC1−C3アルキルスルホニル
基であることはなく、
環Pとして好ましくは3−6員の脂環式複素炭化水素基であり、
ただし環Pと環Qは同時には環を形成せず、
【0033】
Wが硫黄原子であるとき、
nは0−2の整数を表し、
4、R4'は同一若しくは異なって、
水素原子、水酸基で置換されていてもよい直鎖若しくは分枝鎖のC1−C3脂肪族炭化水素基であり、
5は、
水酸基で置換されていてもよい直鎖若しくは分枝鎖のC1−C3脂肪族炭化水素基、トリハロメチル基、C1−C3アルキル基でモノ若しくはジ置換されていてもよいアミノ基であり、
6は、
W−R6としてスルフィニル基若しくはスルホニル基であり、
或いは環Pとして3−6員の脂環式複素炭化水素基を形成し、
ただし環Pと環Qは同時には環を形成しない。)
で示される化合物もしくはそれらの製薬学上許容される塩、又はその溶媒和物。
【0034】
<態様3>
式(I)
【化3】

(式中、
Vは、酸素原子(オキソ基)または水酸基を表し、実線と破線で表される結合は単結合若しくは二重結合を表し、
1は、
水素原子、トリハロメチル基、水酸基で置換されていてもよい直鎖若しくは分枝鎖のC1−C6脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、アリール基、カルボキシル基、C1−C6アルキルカルボニル基、C1−C6アルコキシカルボニル基、カルバモイル基であり、
【0035】
1として好ましくは、
水素原子であり、

2は、R2b),R2c)から選ばれ、
R2b)は、
アミノ基・水酸基・オキソ基・ハロゲン原子から任意に選ばれる基で1−3個置換されていてもよい直鎖若しくは分枝鎖のC4脂肪族炭化水素基であり、
R2c)は、
アミノ基・水酸基・ハロゲン原子・C1−C6アルキル基・C1−C6アルコキシ基・カルボキシル基・C1−C6アルコキシカルボニル基・アリール基から任意に選ばれる基で1−3個置換されていてもよいアリール基、アミノ基・水酸基・ハロゲン原子・C1−C6アルキル基・C1
−C6アルコキシ基・カルボキシル基・C1−C6アルコキシカルボニル基・アリール基から任意に選ばれる基で1−3個置換されていてもよいヘテロアリール基、アミノ基・水酸基・ハロゲン原子・C1−C6アルキル基・C1−C6アルコキシ基・カルボキシル基・C1−C6アルコキシカルボニル基・アリール基から任意に選ばれる基で1−3個置換されていてもよいアリールC1−C6アルキル基、アリールチオ基、アリールスルホニル基、アミノ基・水酸基・オキソ基・ハロゲン原子から任意に選ばれる基で1−3個置換されていてもよい直鎖若しくは分枝鎖のC5−C6脂肪族炭化水素基、アミノ基・水酸基・オキソ基・ハロゲン原子から任意に選ばれる基で1−3個置換されていてもよいC4−C6員の脂環式炭化水素基であり、

2として好ましくは、
アミノ基・水酸基・ハロゲン原子・C1−C6アルキル基・C1−C6アルコキシ基・カルボキシル基・C1−C6アルコキシカルボニル基・アリール基から任意に選ばれる基で1−3個置換されていてもよいアリール基若しくはヘテロアリール基、直鎖若しくは分枝鎖のC5−C6脂肪族炭化水素基であり、
【0036】
3は、
C3−C10の単環・二環(縮合またはスピロ環)・三環式(縮合またはスピロ環)炭素環、
酸素原子・窒素原子・硫黄原子から任意に選択される1−4個のヘテロ原子を含む3−10員の単環・二環(縮合またはスピロ環)・三環式(縮合またはスピロ環)ヘテロ環、アリールC1−C2アルキル基であり、当該環状基はハロゲン原子・水酸基・トリフルオロメチル基・C1−C3アルキル基から任意に選ばれる基で1−3個置換されていてもよく、

3として好ましくは、
ハロゲン原子・水酸基から任意に選ばれる基で1−3個置換されていてもよいC3−C10
単環・二環(縮合またはスピロ環)・三環式(縮合またはスピロ環)炭素環であり、
【0037】
Wは窒素原子或いは硫黄原子を表し、
Wが窒素原子であるとき、
nは0−2の整数を表し、
好ましくはnは0であり、

4、R4'は同一若しくは異なって、
水素原子、水酸基で置換されていてもよい直鎖若しくは分枝鎖のC1−C3脂肪族炭化水素基であり、
5、R6は同一若しくは異なって、
水素原子、トリハロメタンスルホニル基、C1−C3アルキルスルホニル基、または
水酸基若しくはオキソ基で置換されていてもよい直鎖若しくは分枝鎖のC1−C3脂肪族炭化水素基であり、
或いは環Pとして脂環式複素炭化水素基、若しくはヘテロアリール基を形成し、
或いは環Qとして脂環式複素炭化水素基を形成し、
ここで環Pがヘテロアリール基であるときは、R4'及びR6は置換基を形成せず、若しく
はR6は酸素原子(N−オキシド)を表すことがあり、

5、R6として好ましくは同一若しくは異なって、
水酸基若しくはオキソ基で置換されていてもよい直鎖若しくは分枝鎖のC1−C3脂肪族炭化水素基であり、
ただしR5とR6は同時にトリハロメタンスルホニル基またはC1−C3アルキルスルホニル基であることはなく、
環Pとして好ましくは5−6員の脂環式複素炭化水素基であり、
ただし環Pと環Qは同時には環を形成せず、
【0038】
Wが硫黄原子であるとき、
nは0−2の整数を表し、
好ましくはnは0であり、

4、R4'は同一若しくは異なって、
水素原子、水酸基で置換されていてもよい直鎖若しくは分枝鎖のC1−C3脂肪族炭化水素基であり、
5は、
水酸基で置換されていてもよい直鎖若しくは分枝鎖のC1−C3脂肪族炭化水素基、トリハロメチル基、C1−C3アルキル基でモノ若しくはジ置換されていてもよいアミノ基であり、
6は、
W−R6としてスルフィニル基若しくはスルホニル基であり、
或いは環Pとして3−6員の脂環式複素炭化水素基を形成し、
ただし環Pと環Qは同時には環を形成しない。)
で示される化合物もしくはそれらの製薬学上許容される塩、又はその溶媒和物。
【0039】
以下に、本発明のCB2が関与する疾患の予防及び/または治療剤の有効成分としての式(I)の化合物における好ましい官能基及び好ましい化合物について説明する。
1は、
水素原子、メチル基、エチル基、イソプロピル基、シクロプロピル基、トリフルオロメチル基が好ましい。

2は、
水素原子、メチル基、イソプロピル基、t-ブチル基、トリフルオロメチル基、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が好ましい。

3は、
メンチル基、4,7,7−トリメチル−3−オキソ−2−オキサビシクロ[2.2.1]ヘプタン−1−イル基、インダン−1−イル基、インダン−2−イル基、テトラリン−1−イル基、テトラリン−2−イル基、
ジフルオロシクロヘキシル基、アダマンチル基、3−フルオロアダマンチル基、3,5−
ジフルオロアダマンチル基、3,5,7−トリフルオロアダマンチル基、3−クロロアダマンチル基が好ましい。
より好ましくは、ジフルオロシクロヘキシル基、アダマンチル基、3−フルオロアダマンチル基、3,5−ジフルオロアダマンチル基、3,5,7−トリフルオロアダマンチル基、
3−クロロアダマンチル基である。
【0040】
【化4】

は、(トリフルオロメチルスルホニルアミノ)メチル基、(メチルスルホニルアミノ)メチ
ル基、(エチルスルホニルアミノ)メチル基、(N−メチルメチルスルホニルアミノ)メチル基、[N−(2−ヒドロキシエチル)メチルスルホニルアミノ]メチル基、(1,1−ジオキシチアゾリジン−2−イル)メチル基、1−(トリフルオロメチルスルホニルアミノ)エチル基、1−(メチルスルホニルアミノ)エチル基、2−ヒドロキシ−1−(トリフルオロメチルスルホニルアミノ)エチル基、2−ヒドロキシ−1−(メチルスルホニル
アミノ)エチル基、1−トリフルオロメチルスルホニル−2−アジリジニル基、1−メチルスルホニル−2−アジリジニル基、1−メチルスルホニル−2−アゼチジニル基、1−メチルスルホニル−2−ピロリジニル基、(1,1−ジオキシチアゾリジン−3−イル)メチル基、
(メチルスルホニル)メチル基、(トリフルオロメチルスルホニル)メチル基、1−(メチルスルホニル)エチル基、2−ヒドロキシ−1−(メチルスルホニル)エチル基、(1
,1−ジオキシテトラヒドロチオフェン−2−イル)メチル基、(メチルスルフィニル)メチル基、(tert−ブチルスルホニル)メチル基、(2−ヒドロキシエチルスルホニル)メチル基、(ジメチルアミノスルホニル)メチル基が好ましい。
【0041】
さらに特に好ましい式(I)の化合物は、
N−{3−[1−ヒドロキシ−2−(メチルスルホニル)エチル]チオフェン−2−イル}アダマンタン−1−カルボキサミド
N−{5−クロロ−3−[1−ヒドロキシ−2−(メチルスルホニル)エチル]チオフェン−2−イル}アダマンタン−1−カルボキサミド
N−{3−[1−ヒドロキシ−2−(メチルスルホニル)エチル]チオフェン−2−イル}3−フルオロアダマンタン−1−カルボキサミド
N−{3−[1−ヒドロキシ−2−(メチルスルホニル)エチル]チオフェン−2−イル}3,5,7−トリフルオロアダマンタン−1−カルボキサミド
N−{3−[2−(トリフルオロメチルスルホニルアミノ)アセチル]チオフェン−2−イル}アダマンタン−1−カルボキサミド
N−{3−[2−(メチルスルホニルアミノ)アセチル]チオフェン−2−イル}アダマンタン−1−カルボキサミド
N−{3−[2−(トリフルオロメチルスルホニルアミノ)アセチル]チオフェン−2−イル}3−フルオロアダマンタン−1−カルボキサミド
N−{5−メチル−3−[2−(トリフルオロメチルスルホニルアミノ)アセチル]チオフェン−2−イル}3−フルオロアダマンタン−1−カルボキサミド
N−{4−メチル−3−[2−(トリフルオロメチルスルホニルアミノ)アセチル]チオフェン−2−イル}3−フルオロアダマンタン−1−カルボキサミド
N−{3−[2−(トリフルオロメチルスルホニルアミノ)アセチル]チオフェン−2−イル}3,5−ジフルオロアダマンタン−1−カルボキサミド
【0042】
N−{3−[2−(メチルスルホニルアミノ)アセチル]チオフェン−2−イル}3,5,7−トリフルオロアダマンタン−1−カルボキサミド
N−{3−[2−(トリフルオロメチルスルホニルアミノ)アセチル]チオフェン−2−イル}3,5,7−トリフルオロアダマンタン−1−カルボキサミド
N−{5−クロロ−3−[2−(メチルスルホニルアミノ)アセチル]チオフェン−2−イル}3,5,7−トリフルオロアダマンタン−1−カルボキサミド
N−{3−[1−ヒドロキシ−2−(メチルスルホニルアミノ)エチル]チオフェン−2−イル}アダマンタン−1−カルボキサミド
N−{3−[1−ヒドロキシ−2−(トリフルオロメチルスルホニルアミノ)エチル]チオフェン−2−イル}3,5,7−トリフルオロアダマンタン−1−カルボキサミド
N−[5−ブロモ−3−(2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシエチル)チオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミド
N−[3−(2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシエチル)−5−フェニルチオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミド
N−[3−(2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシエチル)−5−(3−ピリジル)チオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミド
N−[3−(2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシエチル)−5−(2−ヒドロキシフェニル)チオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミド
N−[3−(2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシエチル)−5−(8−キノリル)チオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミド
【0043】
N−[5−(1−ブチル)−3−(2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシエチル)チオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミド
N−{3−[ヒドロキシ(N−メチル−(S)−ピロリジン−2−イル)メチル]−5−フェニルチオフェン−2−イル}アダマンタン−1−カルボキサミド
N−{5−(tert−ブチル)−3−[2−(メチルスルホニルアミノ)アセチル]チオフェン−2−イル}アダマンタン−1−カルボキサミド
N−{3−[2−(S)−メチル−2−(メチルスルホニルアミノ)アセチル]チオフェン−2−イル}アダマンタン−1−カルボキサミド
N−{3−[2−(S)−ヒドロキシメチル−2−(メチルスルホニルアミノ)アセチ
ル]チオフェン−2−イル}アダマンタン−1−カルボキサミド
N−[3−(N−メチルスルホニル−(S)−アジリジン−2−イル)カルボニルチオ
フェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミド
N−{3−[2−(メチルスルホニルアミノ)アセチル]チオフェン−2−イル}3−フルオロアダマンタン−1−カルボキサミド
N−{3−[2−(メチルスルホニルアミノ)アセチル]チオフェン−2−イル}4,4−ジフルオロシクロヘキサン−1−カルボキサミド
N−{3−[1−ヒドロキシ−2−(メチルスルホニル)エチル]−5−メチルチオフェン−2−イル}アダマンタン−1−カルボキサミド
N−{3−[1−ヒドロキシ−2−(メチルスルホニル)エチル]チオフェン−2−イル}3−クロロアダマンタン−1−カルボキサミド
【0044】
N−{3−[1−ヒドロキシ−2−(メチルスルホニル)エチル]−4−イソプロピルチオフェン−2−イル}アダマンタン−1−カルボキサミド
N−{3−[1−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)エチル]チオフェン−2−イル}アダマンタン−1−カルボキサミド
N−{3−[1−ヒドロキシ−3−(メチルスルホニル)プロピル]チオフェン−2−イル}アダマンタン−1−カルボキサミド
N−{5−クロロ−3−[1−ヒドロキシ−2−(メチルスルホニル)エチル]チオフェン−2−イル}3−フルオロアダマンタン−1−カルボキサミド
N−{3−[1−ヒドロキシ−2−(メチルスルホニル)エチル]−5−メチルチオフェン−2−イル}3−フルオロアダマンタン−1−カルボキサミド
N−{3−[1−ヒドロキシ−2−(メチルスルホニル)エチル]−4−メチルチオフェン−2−イル}3−フルオロアダマンタン−1−カルボキサミド
N−{3−[1−ヒドロキシ−2−(メチルスルホニル)エチル]−5−(トリフルオロメチル)チオフェン−2−イル}3−フルオロアダマンタン−1−カルボキサミド
N−{5−クロロ−3−[1−ヒドロキシ−2−(メチルスルホニル)エチル]−4−メチルチオフェン−2−イル}3−フルオロアダマンタン−1−カルボキサミド
N−{3−[1−ヒドロキシ−2−(メチルスルホニル)エチル]チオフェン−2−イル}3,5−ジフルオロアダマンタン−1−カルボキサミド
N−{3−[1−ヒドロキシ−2−(メチルスルホニル)エチル]−5−メチルチオフェン−2−イル}3,5,7−トリフルオロアダマンタン−1−カルボキサミド
【0045】
N−{3−[1−ヒドロキシ−2−(メチルスルホニル)エチル]−4−イソプロピルチオフェン−2−イル}3,5,7−トリフルオロアダマンタン−1−カルボキサミド
N−{5−クロロ−3−[1−ヒドロキシ−2−(メチルスルホニル)エチル]チオフェン−2−イル}3,5,7−トリフルオロアダマンタン−1−カルボキサミド
N−{3−[1−ヒドロキシ−2−(メチルスルホニル)エチル]−5−(トリフルオロメ
チル)チオフェン−2−イル}3,5,7−トリフルオロアダマンタン−1−カルボキサミド
N−{3−[1−ヒドロキシ−2−(メチルスルホニル)エチル]−4−(トリフルオロメチル)チオフェン−2−イル}3,5,7−トリフルオロアダマンタン−1−カルボキサミド
N−{3−[1−ヒドロキシ−2−(メチルスルホニル)エチル]−4−メチルチオフェン−2−イル}3,5,7−トリフルオロアダマンタン−1−カルボキサミド
N−{3−[ヒドロキシ(N−メチルスルホニル−(S)−アジリジン−2−イル)メチル]チオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミ
N−{3−[1−ヒドロキシ−2−(メチルスルホニルアミノ)エチル]チオフェン−2−イル}3−フルオロアダマンタン−1−カルボキサミド
N−{5−ブロモ−3−[ヒドロキシ(N−メチルスルホニル−(S)−ピロリジン−2−イル)メチル]チオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミ
N−[5−クロロ−3−(2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシエチル)チオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミド
N−[3−(2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシエチル)−5−(4−フルオロフェニル)チオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミド
【0046】
N−[3−(2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシエチル)−5−(3−ヒドロキシフェニル)チオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミド
N−[5−(3−アミノフェニル)−3−(2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシエチル)チオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミド
N−[3−(2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシエチル)−5−(2−プロポキシフェニル)チオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミド
N−[3−(2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシエチル)−5−(3−プロポキシフェニル)チオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミド
N−[3−(2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシエチル)−5−(4−プロポキシフェニル)チオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミド
N−[3−(2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシエチル)−5−(1−ナフチル)チオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミド
N−[3−(2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシエチル)−5−(2−ナフチル)チオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミド
N−[5−(2−ビフェニル)−3−(2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシエチル)チオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミド
N−[5−(3−ビフェニル)−3−(2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシエチル)チオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミド
N−[5−(4−ビフェニル)−3−(2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシエチル)チオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミド
N−[3−(2−ジエチルアミノ−1−ヒドロキシエチル)−5−フェニルチオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミド
である。
【0047】
<態様4>
態様1〜3いずれかの態様の化合物、医薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物を有効成分として含有する医薬組成物。
【0048】
<態様5>
態様1〜3いずれかの態様の化合物、医薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物を有効成分として含有することを特徴とし、CB2受容体が関与する疾患の予防及び/また
は治療剤。
CB2が関与する疾患とは、例えば、CB2が関与して生じる神経疾患、CB2が関与して生じる炎症若しくはアレルギー疾患、CB2が関与して生じる自己免疫疾患、CB2が関与して生じる心血管障害等であり、本発明の態様5の予防及び/または治療剤は、これらの疾患の予防及び/または治療に有効である。式(I)の化合物若しくはその製薬学上許容される塩は、CB2に結合してその機能を調節することによって、若しくはCB2に直接結合して、内因性若しくは外因性のCB2リガンドのCB2への結合を阻害することによって予防及び/または治療効果を示す。
本発明で言う「CB2が関与する神経疾患」とは、帯状疱疹後神経痛、有痛性糖尿病性ニューロパシーなどを代表とする神経因性疼痛、癌性疼痛、術後疼痛、腰痛、頭痛、偏頭痛及び歯痛等を含む疼痛疾患、気管支炎、肺炎、自然気胸、かぜ症候群、肺結核及び肺癌等を含む咳嗽疾患、神経退縮症、癲癇、嘔吐、パーキンソン病並びにアルツハイマー病等である。
【0049】
本発明で言う「CB2が関与する炎症若しくはアレルギー疾患」とは、炎症性腸疾患、腎炎、胃炎、消化性潰瘍、膵炎、心筋炎、肺炎、肝炎、肝硬変、脳炎、骨関節炎、アレルギー性接触皮膚炎、アレルギー性鼻炎、逆流性食道炎、硬直性脊椎炎、気管支喘息、発熱、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹、変形性膝関節症、気道過敏性亢進に基づく咳嗽(気管支炎、かぜ症候群、喘息、閉塞性肺疾患等)等である。
本発明で言う「CB2が関与する自己免疫疾患」とは、慢性関節リウマチ、多発性硬化症、全身性エリテマトーデス(SLE)、難治性大腸炎、潰瘍性大腸炎、クローン病、糸球体腎炎、強皮症、シェーグレン症候群、並びに臓器移植後の組織障害及び拒絶反応等である。
本発明で言う「CB2が関与する心血管障害」とは、狭心症、不安定狭心症、心筋梗塞、心不全、脳卒中等である。
本発明の態様5の予防及び/または治療剤が有効な疾患の具体的例示は上記に示したが、CB2が関与する疾患はこれらに限定されない。
好ましくは、本発明の態様5の予防及び/または治療剤は、CB2が関与する疾患が、神経疾患、炎症若しくはアレルギー疾患及び自己免疫疾患であることを特徴とする予防及び/または治療剤である。さらに好ましくは、CB2が関与する疾患が、疼痛疾患であることを特徴とする予防及び/または治療剤である。特に好ましくはCB2が関与する疾患が、神経因性疼痛であることを特徴とする予防及び/または治療剤である。
【0050】
<態様6>
式(I)の化合物若しくはその製薬学上許容される塩及びそれらの溶媒和物を有効成分とするCB2の機能調節剤。CB2の機能調節剤とは、生体内に投与されることにより、CB2に直接結合してその機能を調節し、CB2が関与する疾患や、生理作用に対して効果を示す試薬である。また、該CB2の機能調節剤は生体内に投与する試薬に限定されるものではなく、in vitroにおけるCB2リガンドの作用を確認する試験等に対して、CB2の作用を調節する試薬をも含む。また、第三の試薬として添加されたCB2リガンドの作用を調節する目的としての試薬を含む。
さらにまた、本発明の態様6には、式(I)の化合物若しくはその製薬学上許容される塩を有効成分とする内因性若しくは外因性CB2リガンドのCB2への結合阻害剤の態様を含む。CB2リガンドのCB2への結合阻害剤とは、生体内若しくはin vitroにおいてCB2リガンドがCB2への結合することを阻害する試薬である。
CB2リガンドとは、例えば生理的条件下では内因性のCB2リガンドであり、代表的なものとして2−AGが挙げられる。生体内に投与される外因性のCB2リガンドとしては、大麻成分であるカンナビノイド等が挙げられる。
これらのCB2リガンドがCB2に結合して生体内に悪影響を及ぼすことにより生じた
疾患、例えば神経傷害時にミクログリアや単球系細胞等により産生された2−AGが、CB2に作用し、痛み(主に神経因性疼痛)、炎症および免疫反応を及ぼすことにより生じた疾患に対して、本発明の結合阻害剤は有効である。また例えば、過剰量摂取した若しくは投与された外因性CB2リガンドが生体内でCB2に結合した場合等の原因で生じた疾患に対しても有効である。
【0051】
本発明の予防及び/または治療剤の有効成分として用いられる式(I)の化合物(以下本発明化合物と記することがある)は不斉炭素を有する場合があり、光学活性若しくは立体異性体(エナンチオマーやジアステレオマー等)が存在しうる。本発明化合物には、幾何異性体、光学異性体などの各種の立体異性体の混合物や単離されたものが含まれる。かかる幾何異性体の単離、精製は、再結晶やカラムクロマトグラフィーにより、また立体異性体の単離、精製は、優先晶出やカラムクロマトグラフィーを用いた光学分割あるいは不斉合成等により可能で、いずれも当業者が通常の技術により為し得ることができる。
【0052】
本発明の化合物は、酸付加塩を形成する場合がある。また、置換基の種類によっては塩基との塩を形成する場合もある。かかる塩としては、製薬学的に許容しうる塩であれば特に限定されないが、具体的には、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸等の鉱酸類、酢酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、フマール酸、マレイン酸、乳酸、ギ酸、リンゴ酸、酒石酸、クエン酸、マンデル酸等の有機カルボン酸類、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、2−ヒドロキシエタンスルホン酸等の有機スルホン酸類、アスパラギン酸、グルタミン酸等の酸性アミノ酸類等との酸付加塩;ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム等のアルカリ金属もしくはアルカリ土類金属の塩基、メチルアミン、エチルアミン、エタノールアミン、ピリジン、リジン、アルギニン、オルニチン等の有機塩基との塩や、アンモニウム塩等が挙げられる。

また、本発明の化合物の塩には、モノ塩、ジ塩等が含まれる。あるいは側鎖の置換基によっては、酸付加塩と塩基との塩の両方を形成しうる。さらに本発明の化合物の水和物、製薬学的に許容可能な各種溶媒和物や結晶多形のもの等も本発明の化合物及び医薬組成物に含まれる。なお、当然ながら本発明は、後述実施例に記載された化合物に限定されるものではなく、式(I)で示される2−チオフェンカルボキサミド誘導体またはそれらの製薬学的に許容される塩またはそれらの溶媒和物の全てを包含するものである。
【0053】
[本発明化合物の製造方法]
以下に本発明の2−チオフェンカルボキサミド誘導体(I)またはその塩の製造方法を示し、各反応工程について説明するが、本発明は以下に説明する製造方法に、何ら限定されるものではない。
【0054】
[製造法1]
式(Ia)の化合物、その塩またはそれらの溶媒和物は、下記(反応式1)の方法で製造することができる。
【化5】

(式中、R1、R2、R3、R4、R4’、R5、R6、nは前記と同じ意味を表し、R5’、R6’は異なってアルキルオキシカルボニル基に代表されるアミノ基の保護基または水素原
子、或いは環を形成した場合、環P,Qを表す。)
【0055】
<工程1>
式(II)の化合物および式(III)の化合物を用い、文献公知の方法、例えば式(III)の化合物が酸ハライドの場合、[新実験化学講座 14 有機化合物の合成と反応[II]、
1142頁、1977年、丸善]などに記載された方法[酸ハロゲン化物とアミンの縮合反応]に準じて、トリエチルアミン、ピリジン等の塩基の存在下、ジクロロメタン、クロロ
ホルム等のハロゲン系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、ベンゼン等の炭化水素系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド等の極性溶媒等の反応に関与しない溶媒中、0℃から溶媒が還流する温度で反応させることにより、式(IV)の化合物を製造することができる。また式(III)の化合物がカルボン酸の場合、[新実験化学講座 14 有機化合物の合成と反応[II]、1104頁、1977年、丸善]
などに記載された方法[酸ハロゲン化物の合成反応]に準じて、酸ハライドを調製し、上記方法と同様に反応を行うか、[新実験化学講座 14 有機化合物の合成と反応[II]、1
136頁、1977年、丸善]などに記載された方法[カルボン酸とアミンの縮合反応]に
準じて、1,3−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)、1−エチル−3−(3'
−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(WSC・HCl)、ベンゾトリアゾール−1−イロキシトリス(ジメチルアミノ)ホスホニウム ヘキサフルオロホスフェイト(BOP試薬)、ビス(2−オキソ−3−オキサゾリジニル)ホスフィニッククロリド(BOP−Cl)等の縮合剤の存在下、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒、トルエン、ベンゼン等の炭化水素系溶媒、N,N−ジメチルホルムアミド等の極性溶媒等の反応に関与しない溶媒中、トリエチルアミン、ピリジン等の塩基の存在下または非存在下、−78℃から溶媒が還流する温度で反応させることにより、式(IV)の化合物を製造することができる。
【0056】
<工程2>
式(IV)の化合物を用い、アミノ基の保護基を脱保護した後、文献公知の方法、またはそれに準じて、メタンスルホン酸クロリド、トリフルオロメタンスルホン酸クロリド等のアルキルおよびハロメタンスルホン酸クロリド、メタンスルホン酸無水物、トリフルオロメタンスルホン酸無水物等のアルキルおよびハロメタンスルホン酸無水物と、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒等の反応に関与しない溶媒中、トリエチルアミン、ピリジン等の塩基の存在下または非存在下、0℃から溶媒が還流する温度で反応させることにより、式(Ia)の化合物を製造することができる。
或いはアミノ基の保護基を脱保護した後、文献公知の方法、またはそれに準じて、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド等のアルキルアルデヒドと、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤存在下、メタノール、エタノール、イソプロパノール等のプロトン性溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン系溶媒、もしくはこれらの混合溶媒等の反応に関与しない溶媒を用いて、0℃から溶
媒が還流する温度で反応を行い、式(Ia)の化合物を製造することができる。
【0057】
(反応式1)の原料となる式(II)の化合物は、文献公知の方法、またはそれに準じて、たとえば下記(反応式2)に従って製造することができる。
【化6】

式(V)の化合物、式(VI)の化合物、および硫黄もしくはジチアンを用い、文献公知の方法、例えばサブニス(SABNIS)の総説(「サルファー レポート(Sulfur Reports)」、(米国)、1994年、第16巻、p.1−17)などに記載された方法[ゲワルド合成(GEWALD synthesis)]に準じて、ジエチルアミン、モルホリン、トリエチルアミン等の塩基存在下、エタノール、N,N−ジメチルホルムアミド、ジオキサン、テトラヒドロフラン等の反応に不活性な溶媒、もしくはこれらの混合溶媒を用いて、室温から溶媒が還流する温度で反応を行い、式(II)の化合物を製造することができる。
【0058】
[製造法2]
式(Ib)の化合物、その塩またはそれらの溶媒和物は、下記(反応式3)の方法でも製造することができる。
(式中、R1、R2、R3、R4、R4’、R5、環Pは前記と同じ意味を表し、R7はメチル
基、エチル基に代表される低級アルキル基を、mは1から2の整数を表す。)
【化7】

式(VII)の化合物および式(VIII)の化合物を用い、文献公知の方法、またはそれに
準じて、例えばジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒等の反応に関与しない溶媒中、−78℃から0℃で、式(VIII)とn−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、水素化ナトリウム等の塩基から生成させたアニオンを、式(VIII)の化合物に−78℃から室温で加え、−78℃から溶媒が還流する温度で反応を行い、式(Ib)の化合物を製造することができる。
【0059】
(反応式3)の原料となる式(VII)の化合物は、文献公知の方法、またはそれに準じ
て、たとえば下記(反応式4)に従って製造することができる。
【化8】

<工程1>
式(IX)の化合物および式(VI)の化合物を用い、[製造法1]の式(II)の化合物の製造法と同様の方法により、式(X)の化合物を製造することができる。
<工程2>
式(X)の化合物および式(III)の化合物を用い、[製造法1]の<工程1>と同様の方
法により、式(VII)の化合物を製造することができる。
【0060】
[製造法3]
式(Id)の化合物、その塩またはそれらの溶媒和物は、下記(反応式5)の方法でも製造することができる。
【化9】

(式中、R1、R2、R3、R4、R4’、R5、R6、W、n、環P、環Qは前記と同じ意味
を表す。)
式(Ic)の化合物(式(I)のVがオキソ基である化合物)を用い、文献公知の方法、例えば[新実験化学講座 14 酸化と還元[II]、183頁、1977年、丸善]などに記載された方法[ケトンの還元反応]に準じて、例えばメタノール、エタノール、イソプロパノール等のプロトン性溶媒、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン、ジオキサン等のエーテル系溶媒、もしくはこれらの混合溶媒等の反応に関与しない溶媒を用いて、−78℃から室温で、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素リチウム、トリアセトキシ水素化ホウ素ナトリウム、シアノ水素化ホウ素ナトリウム等の還元剤を加え、−78℃から溶媒が還流する温度で反応を行い、式(Id)の化合物(式(I)のVが水酸基である化合物)を製造することができる。
【0061】
[製造法4]
式(Ie)、式(If)、式(Ig)、の化合物、その塩またはそれらの溶媒和物は、下記(反応式6)の方法でも製造することができる。
【化10】

(式中、R1、R3、R4、R4’、R5、R6、W、n、環P、環Qは前記と同じ意味を表し、R2’はアリール基もしくはヘテロアリール基を表す。)
<工程1>
式(Ie)の化合物(式(I)のR2が水素,Vがオキソ基である化合物)を用い、文
献公知の方法、例えば[新実験化学講座 14 有機化合物の合成と反応[I]、307頁
、1977年、丸善]などに記載された方法[ハロゲン化反応]に準じて、N−クロロコハ
ク酸イミド、N−ブロモコハク酸イミド、N−ヨードコハク酸イミド、臭素、ヨウ素、塩化銅等のハロゲン化剤存在下、ジクロロメタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン系溶媒等の反応に関与しない溶媒中、酢酸等の酸の存在下または非存在下、0℃から溶媒が還流する温度で反応させることにより、Yが塩素、臭素、ヨウ素である式(If)の化合物を製造できる。
【0062】
<工程2>
式(If)の化合物および式(XI)のボロン酸またはボロン酸エステル(R2’はアリ
ールおよびヘテロアリール基)を用い、文献公知の方法、例えば鈴木(SUZUKI)らの総説(「ケミカル レヴュー(CHEM.REV.)」、(米国)、1995年、p.2457)などに記載された方法[鈴木−宮浦クロスカップリング反応]に準じて、非酸素雰囲気下、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、四酢酸パラジウム等のパラジウム触媒、および炭酸ナトリウム、水酸化バリウム、リン酸カリウムおよびその水溶液や、トリエチルアミン、モルホリン等の塩基存在下、トルエン、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1、2−ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、ベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素溶媒等の反応に不活性な溶媒、もしくはこれらの混合溶媒を用いて、0℃から溶媒が還流する温度で反応を行い、式(Ig)の化合物を製造することができる。
<工程3>
式(Ig)の化合物を用い、[製造法3]と同様の方法により、式(Ih)の化合物を製造することができる。
【0063】
上記の各製造法により合成した各化合物に置換基として水酸基、アミノ基、カルボキシル基等の反応性基がある場合には、各製造工程においてこれらの基を適宜保護し、適当な段階で当該保護基を除去することもできる。こうした保護基の導入・除去の方法は、保護される基あるいは保護基のタイプにより適宜行われるが、例えばグリーン(Greene)らの「プロテクティブ・グループス・イン・オーガニック・シンセシス(Protective Groups in Organic Synthesis)」、(米国)、第3版、1999年等の成書に記載の方法により行うことができる。
また、上記の式(III)、式(V)、式(VI)、式(VIII)、式(IX)で表される化合物
は市販品であるか、または市販化合物から公知の方法で製造することができる。
【0064】
本発明の第4の態様の予防/治療剤及び医薬組成物(以下、総称して本医薬組成物と記することがある)について説明する。
本医薬組成物は、静脈投与ばかりでなく経口投与においても有効性を示す。このことから本発明の医薬組成物、予防・治療剤は、投与用途に限定されることなくその用途は広いと考えられる。
なお、本発明の医薬組成物、予防/治療剤の有効成分である化合物は、in vivoで有効性を十分に示す濃度において毒性がない。すなわち、本発明の医薬組成物、予防・治療剤は安全性にも優れている。
【0065】
本医薬組成物は、式(I)の化合物で表される化合物の少なくとも一つ以上を含んでいればよく、医薬上許容される添加剤と組み合わせてつくられる。より詳細には、賦形剤(例;乳糖、白糖、マンニット、結晶セルロース、ケイ酸、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン)、結合剤(例;セルロース類(ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC))、結晶セルロース、糖類(乳糖、マンニット、白糖、ソルビトール、エリスリトール、キシリトール)、デンプン類(トウモロコシデンプン、バレイショデンプン)、α化デンプン、デキストリン、ポリビニルピロリドン(PVP)、マクロゴール、ポリビニルアルコール(PVA))、滑沢剤(例;ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、カルボキシメチルセルロース)、崩壊剤(例;デンプン類(トウモロコシデンプン、バレイショデンプン)、カルボキシメチルスターチナトリウム、カルメロース、カルメロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、クロスポピドン)、被膜剤(例;セルロース類(ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(HPMC))、アミノアルキルメタクリレートコポリマーE、メタクリル酸コポリマーLD)、可塑剤(例;クエン酸トリエチル、マクロゴール)、隠蔽剤(例;酸化チタン)、着色剤、香味剤、防腐剤(例;塩化ベンザルコニウム、パラオキシ安息香酸エステル)、等張化剤(例;グリセリン、塩化ナトリウム、塩化カルシウム、マンニトール、ブドウ糖)、pH調節剤(例;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、塩酸、硫酸、リン酸緩衝液などの緩衝液)、安定化剤(例;糖、糖アルコール、キサンタンガム)、分散剤、酸化防止剤(例;アスコルビン酸、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)、没食子酸プロピル、dl−α−トコフェロール)、緩衝剤、保存剤(例;パラベン、ベンジルアルコール、塩化ベンザルコニウム)、芳香剤(例;バニリン、1−メントール、ローズ油)、溶解補助剤(例;ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリソルベート80、ポリエチレングリコール、リン脂質コレステロール、トリエタノールアミン)、吸収促進剤(例;グリコール酸ナトリウム、エデト酸ナトリウム、カプリン酸ナトリウム、アシルカルニチン類、リモネン)、ゲル化剤、懸濁化剤、または乳化剤、一般的に用いられる適当な添加剤または溶媒の類を、本発明の化合物と適宜組み合わせて種々の剤形とすることが出来る。
【0066】
種々の剤形とは、錠剤、カプセル剤、顆粒剤、散剤、丸剤、軟膏剤、パッチ剤、坐剤、注射剤、舌下投与剤、液剤、粉剤、懸濁剤、鼻腔投与剤、徐放化製剤等があげられる。また、経口、皮下投与、筋肉内投与、経皮投与、静脈内投与、動脈内投与、神経周囲投与、硬膜外投与、硬膜下腔内投与、脳室内投与、直腸内投与、鼻腔内投与等により患者に投与し得る。
本発明の化合物のヒトに対する臨床投与量は適用される患者の症状、体重、年齢や性別などを考慮して適宜決定されるが、通常成人1日当たり0.005mg〜3.0g、好ましくは0.05mg〜2.5g、より好ましくは0.1mg〜1.5gである。これを1回あるいは数回に分けて経口若しくは非経口投与、好ましくは、経口投与する。投与量は種々の条件で変動するので、上記投与量範囲より少ない量で十分な場合もある。また患者の状態によりその投与期間は1日に限らず連続した数日もしくは数週間になることもある
が、症状あるいは投与経路に応じて適宜増減できる。
【0067】
<製剤例>
以下に、本発明の医薬組成物の製剤例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。特に記載のない%は質量%である。

製剤例1 錠剤
実施例3化合物 100g
乳糖 137g
結晶セルロース 30g
ヒドロキシプロピルセルロース 15g
カルボキシメチルスターチナトリウム 15g
ステアリン酸マグネシウム 3g
上記成分を秤量した後,均一に混合する。この混合物を打錠して重量150mgの錠剤とする。

製剤例2 フィルムコーティング
ヒドロキシプロピルメチルセルロース 9g
マクロゴール6000 1g
酸化チタン 2g
上記成分を秤量した後,ヒドロキシプロピルメチルセルロース、マクロゴール6000を水に溶解、酸化チタンを分散させる。この液を、製剤例1の錠剤300gにフィルムコーティングし、フィルムコート錠を得る。

製剤例3 カプセル剤
実施例10化合物 50g
乳糖 435g
ステアリン酸マグネシウム 15g
上記成分を秤量した後、均一に混合する。混合物をカプセル封入器にて適当なハードカプセルに重量300mgずつ充填し、カプセル剤とする。

製剤例4 カプセル剤
実施例10化合物 100g
乳糖 63g
トウモロコシデンプン 25g
ヒドロキシプロピルセルロース 10g
タルク 2g
上記成分を秤量した後、実施例48化合物、乳糖、トウモロコシデンプンを均一に混合し、ヒドロキシプロピルセルロースの水溶液を加え、湿式造粒法により顆粒を製造する。
この顆粒にタルクを均一に混合し,適当なハードカプセルに重量200mgずつ充填し,カプセル剤とする。
【0068】
製剤例5 散剤
実施例10化合物 200g
乳糖 790g
ステアリン酸マグネシウム 10g
上記成分をそれぞれ秤量した後、均一に混合し、20%散剤とする。

製剤例6 顆粒剤、細粒剤
実施例14化合物 100g
乳糖 200g
結晶セルロース 100g
部分α化デンプン 50g
ヒドロキシプロピルセルロース 50g
上記成分を秤量した後、実施例27化合物、乳糖、結晶セルロース,部分α化デンプンを加えて均一に混合し、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)の水溶液を加え、湿式造粒法により顆粒又は細粒を製造する。この顆粒又は細粒を乾燥し、顆粒剤又は細粒剤とする。

製剤例7 注射剤
実施例15化合物 2g
プロピレングリコール 200g
注射用蒸留水 適量
上記成分を秤量した後、実施例48化合物をプロピレングリコールに溶解する。注射用滅菌水を加えて全量を1000mLとし、濾過滅菌後10mLアンプルに5mLずつ分注し、熔封して注射剤とする。

製剤例8 坐剤
実施例15化合物 100g
ポリエチレングリコール1500 180g
ポリエチレングリコール4000 720g
実施例56化合物を乳鉢にて十分研磨して微細な粉末とした後、溶融法によって1gずつの坐剤とする。
【0069】
<薬理実験例>
以下に薬理試験の実験例を挙げて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらによって何ら限定されるものではない。

(実験例1)ヒトCB2受容体結合アッセイ
ヒトCB2受容体強制発現CHO−K1細胞(Euroscreen社)を10%非働化牛胎児血清(FBS),400μg/mLネオマイシン(G−418), 100U/mLペニシリン、100μg/mLストレプトマイシンおよび2.5μg/mLのファンギソンを含むHAM‘sF−12培地で培養した。 氷冷したリン酸緩衝生理食塩水(PB
S)で洗浄後,セルスクレーパーで細胞を剥がして遠心分離で回収した後、結合アッセイ用バッファー(50mM トリス/塩酸 pH7.4, 2.5mM エチレンジアミン四酢
酸(EDTA), 100mM NaCl, 0.1%牛血清アルブミン(BSA))で細胞
10万個/mLに調製した。
結合アッセイ用バッファーにて放射リガンド[3H]−WIN55212−2の4nM
溶液,非標識WIN55212−2 10μM溶液をそれぞれ調製した。被検物質は、ジ
メチルスルホキシド(DMSO)に終濃度の1000倍濃度に溶解後、このDMSO溶液を1%濃度で結合アッセイバッファーに添加、溶解した。
チューブに結合アッセイ用バッファーを100μLずつ添加し、全結合量測定用には1%DMSOを含む結合アッセイ用バッファーを 25μL, 非特異結合量測定用には,非
標識WIN55212−2 10μMを25μL(終濃度 1μM),または適当な濃度に調製した被検物質調製溶液を25μL添加した。以上の全チューブに[3H]−WIN5
5212−2の4nM溶液を25μL添加し(終濃度 0.4nM), 細胞液 100μ
L添加し(1万個/チューブ, 全液量250μL, 0.1%DMSO),30℃で60分間インキュベートした。
反応液は、インキュベート後直ちにマルチスクリーンFC96穴プレート(ミリポア社)に添加して吸引し,氷冷した結合アッセイ用バッファー300μLで3回洗浄した。洗浄後フィルターをプレートから外し,シンチレーションカクテル(AQUASOL−2, Packard社)2mLを注入したバイアルに入れた。液体シンチレーションカウンター(LS6000TA, Beckman社)を用い、全サンプルの放射活性を測定した(5分間/サンプル)。各被検物質の放射リガンド結合阻害Ki値は,解析ソフト Sigm
aPlot(HULINKS社)を用いて算出した。
【0070】
各実施例化合物のKi値を表1に示す。本発明のチオフェンカルボキサミド誘導体のKi値は1nM〜1000nMの範囲であり、CB2受容体に対して良好な結合活性を示した。
【表1】

【0071】
(実験例2)ヒトCB1受容体結合アッセイ
ヒトCB1受容体強制発現HEK細胞膜分画はPerkin Elmer社より購入し、
37℃で溶解後、結合アッセイ用バッファー(50mM トリス/塩酸 pH7.4, 2.5mM EDTA, 5mM MgCl2, 0.1%BSA)で適当なタンパク濃度に調製し
た。
結合アッセイ用バッファーにて放射リガンド[3H]−CP55,940の2nM溶液,非標識CP55,940 10μM溶液をそれぞれ調製した。被検物質は、ジメチルスルホキシド(DMSO)に溶解後、このDMSO溶液を結合アッセイバッファーに添加した。
チューブに結合アッセイ用バッファーを100μLずつ添加し、全結合量測定用には1%DMSOを含む結合アッセイ用バッファーを 25μL, 非特異結合量測定用には,非
標識CP55,940 10μMを25μL(終濃度 1μM),または適当な濃度に調製
した被検物質調製溶液を25μL添加した。以上の全チューブに[3H]−CP55,940の2nM溶液を25μL添加し(終濃度 0.2nM), CB1膜分画100μL添加し(全液量250μL, 0.1%DMSO),30℃で90分間インキュベートした。
反応液は、インキュベート後直ちにマルチスクリーンFC96穴プレート(ミリポア社)
に添加して吸引し,氷冷した結合アッセイ用バッファー300μLで3回洗浄した。洗浄後フィルターをプレートから外し,シンチレーションカクテル(AQUASOL−2, Packard社)2mLを注入したバイアルに入れた。液体シンチレーションカウンター(LS6000TA, Beckman社)を用い、全サンプルの放射活性を測定した(5分間/サンプル)。各被検物質の放射リガンド結合阻害Ki値は,解析ソフト Sigm
aPlot(HULINKS社)を用いて算出した。

本発明のチオフェンカルボキサミド誘導体のhCB1受容体結合活性は、実施例化合物16でKi=573nM、実施例化合物19でKi>10000nMと、Ki値が1.0−20nMであるhCB2受容体結合活性Ki値より高値を示し、hCB1受容体に対して良好な選択性を示した。
【0072】
(実験例3)ヒトCB2受容体機能アッセイ1. GTP結合アッセイ
ヒトCB2受容体結合活性を有する被検物質のアゴニスト/インバースアゴニスト活性を判定する機能アッセイの一つとして、グアノシン三リン酸(GTP)結合反応系を実施した。
実験例1の方法で培養、回収したヒトCB2受容体強制発現CHO−K1細胞の沈殿に、0.32mMのショ糖を含むトリス/EDTAバッファー(10mM トリス/塩酸p
H7.5, 0.1mM EDTA)を添加し、ホモジナイズした。4℃、15分間の遠心
分離により得られた上清を超遠心チューブ(33PCアツチューブクミ、日立製作所)に回収し、超遠心機Himac CP70G(日立製作所、RP70T175 roter使用)にて45000g、4℃で30分間遠心した。得られた沈殿をトリス/EDTAバッファーに懸濁し、再び45000g、4℃で30分間遠心した。この沈殿をトリス/EDTAバッファーに懸濁し、タンパク定量後に1mg/mLに調製した。 こうして得られた膜分画は、液体窒素中にて瞬間凍結後、−80℃で使用時まで保存した。
被検物質のGTP結合におよぼす影響は、DELFIA(GTP‐binding Kit (Perkin Elmer社)を用いて測定した。ポリプロピレン製96well丸底プレートの各wellに、7.5μM グアノシン二リン酸(GDP), 0.1%BS
A, , 125mM NaCl, 7.5mM MgCl2 を含む50mM HEPESバッフ
ァー40μLと、500μg/mLのサポニンを含む50mM HEPESバッファー2
0μLを添加した。この各wellに被験薬物、溶媒(DMSO終濃度0.1%)あるいはGTP−γ―s(終濃度10μM)を含む50mM HEPESバッファーを20μL
ずつに添加した。上記膜画分は50mM HEPESバッファーにて4倍希釈し、各we
llに20μL添加して (終濃度 50μgタンパク/mL)、室温で30分間攪拌しながらインキュベートした。
インキュベート後、100nMのヨーロピウム標識GTP(GTP−Eu)を含む50mM HEPESバッファーを10μLずつ添加し、室温で30分間攪拌しながらインキ
ュベートした。この反応液全量を96wellフィルターに移し、吸引しながら洗浄液を300μL×3回添加した。このプレートをARVOプレートリーダー(Wallac社)に入れ、615nmでGTP−Eu量をカウントした。各wellのカウント値からGTP−γ―s添加wellのカウント値を非特異的結合として引いた値をGTP−Eu結合量とし、溶媒(0.1%DMSO)添加wellの結合量からの増減を%で計算した。
このGTP結合アッセイ系において、GTP−Euの結合量を増加させるCB2リガンドはアゴニスト、低下させるリガンドはインバースアゴニストである。アゴニストの対照物質としてはHU210(Sigma)をインバースアゴニストの対照物質としてはSR144528を用いた。
【0073】
本発明のチオフェンカルボキサミド誘導体のうち、実施例化合物16および19のGTP結合反応に及ぼす影響を図1および図2にそれぞれ示す。実施例化合物16は濃度依存的にGTP―Eu結合量を増加させ、HU210と同様なアゴニスト活性を示した。一方
、実施例化合物19は濃度依存的にGTP―Eu結合量を減少させ、SR144528と同様なインバースアゴニスト活性を示した。
【0074】
(実験例4)ヒトCB2受容体機能アッセイ2. 細胞内cAMP濃度測定系
ヒトCB2受容体結合活性を有する被検物質のアゴニスト/インバースアゴニスト活性を判定する機能アッセイの一つとして、細胞内cAMP濃度測定系を実施する。cAMP濃度の定量には、LANCE cAMP 384 Kit(Perkin Elmer)を用いる。
実験例1で述べた方法でヒトCB2発現細胞を培養後、氷冷したHanks-bala
nced Salt Solution(HBSS)を添加し、セルスクレーパーで細胞を剥がして遠心分離で回収する。得られる細胞懸濁液をHBSSで2回洗浄後、Stimulationバッファー(5mM HEPES, 0.1%BSA, 0.5mM IBMXを含むpH7.4のHBSS)にて細胞10万個/mLに調製する。これにKit添付のAlexa Fluor(登録商標)647−抗cAMP抗体を細胞懸濁液量の1/100
量添加する。
96 well ハーフエリアプレート(Coaster)にForskolin(終濃
度3M)と適当な濃度範囲の被検物質(溶媒:DMSO 終濃度0.1%)を含むSti
mulationバッファーを24μL添加し、同量の上記細胞懸濁液を添加後、攪拌しながら室温で30分間インキュベートする。インキュベート後、ユーロピウム標識ストレプトアビジン、ビオチン標識cAMP、10mM CaCl2、0.35%Titon X
100を含む50mM HEPESバッファーpH7.4を48μL添加し、攪拌しなが
ら室温で60分間インキュベートする。Kit添付のcAMP標準液は適宜希釈し、細胞、被検物質などを含まない条件で上記と同様にwellに添加し、cAMP濃度検量線作成に用いる。インキュベート後、被検物質および標準液の全wellについて、wallac Envision(Perkin Elmer)を用いて励起波長 320nm, 蛍
光波長665nm、参照波長615nmにて測定を行い、cAMP濃度を定量する。
この細胞内cAMP濃度測定系において、cAMP濃度を低下させるCB2リガンドはアゴニスト、増加させるリガンドはインバースアゴニストである。アゴニストの対照物質としてはHU210およびCP55,940を、インバースアゴニストの対照物質としてはSR144528を用いる。
【0075】
(実験例5)ラットカラゲニン誘発疼痛モデル
全ての実験手順は、International Association for t
he Study of Painに記載された倫理規定(Zimmermann,M., 1983. Pain 16巻,109ページ)に従って行い得る。5週齢の雄性Wistarラットを日本エスエルシーより購入し、室温21〜25℃、湿度45〜55%、12時間昼夜サイクルに保たれた部屋で飼育する。馴化期間中は自由に摂餌摂水させる。動物は6週齢で実験に供し、測定前日より18時間以上の絶食を行う。
被験物質は2%濃度のカルボキシメチルセルロースNa(和光純薬)溶液に溶解または懸濁し、10mL/kgの容量にてラットに強制経口投与する。被験物質投与1時間後に
動物の右側後肢足蹠皮下に1w/v%に懸濁したカラゲニン(逗子化学)生理食塩液0.1mLを投与し、炎症を誘発する。被験物質の鎮痛作用はRandall−Selitto法(Randall,L.O. and Selitto,J.J., 1957. Arch.Int.Pharmacodyn, 111巻, 409ページ)を用いて検討する。即ち、カラゲニン投与後3ないし4時間後にラットの右後肢足にAnalgesy m
eter(TK−201, ユニコム)によって圧刺激を加え,動物が肢の引き抜き行動を起こす際の圧力を疼痛閾値として測定する。

本モデル動物において、本発明のチオフェンカルボキサミド誘導体の一つは、10〜100mg/kgの経口投与で用量依存的に疼痛閾値を上昇せしめ、鎮痛作用を示した。以上により、本発明の化合物は、炎症性疼痛における鎮痛剤として有用であることが確認できる。
【0076】
(実験例6)ストレプトゾトシン誘発ラット糖尿病性疼痛モデル
全ての実験手順は、International Associationfor the Study of Painの倫理規定(Zimmermann,M., 1983.
Pain 16巻,109ページ)に従って行った。50mg/kgのストレプトゾトシ
ンを腹腔内に投与した雄性Splague−Dawleyラットを日本エスエルシーより購入し、室温21〜25℃、湿度45〜55%、12時間昼夜サイクルに保たれた部屋で飼育した。馴化期間中は自由に摂餌摂水させた。動物はストレプトゾトシン投与3週間以上経過してから実験に供し、測定前日より18時間以上の絶食を行った。
被験物質は0.5%濃度のヒドロキシプロピルメチルセルロースNa溶液に溶解または懸濁し、10mL/kgの容量にてラットに強制経口投与した。神経因性疼痛で特徴的に認められるアロディニアの測定は、Seltzerらの方法(1990. Pain 43巻,205ページ)に従って行った。即ち、網の上に置いたプラスチックケージ中に動物を置き、一連のvon Frey Filament(Stoelting)をラット後肢足蹠に押し当て、素早く足を引っ込めた際に用いたfilament径より閾値(g)を測定した。

本モデル動物において、本発明実施例7の化合物は、10〜30mg/kgの経口投与で用量依存的に閾値を上昇せしめ、抗アロディニア作用を示した。以上により、本発明の代表化合物は、神経因性疼痛における鎮痛剤として有用であることが確認できた。

これら薬理実験例の結果から、本発明の化合物は、in vitroでのCB2結合活性を示すのみならず、生体内への投与によりCB2が関与する疾患の予防及び/治療剤となることが確認される。
【0077】
<合成実施例>
次に、本発明をさらに詳細に説明するために合成実施例をあげるが、本発明はこれに限定されるものではない。
核磁気共鳴スペクトル(NMR)の測定には、ジェオルJNM−LA300(JEOL
JNM−LA300)FT−NMR(日本電子(株)製)またはジェオルJNM−EX270(JEOL JNM−EX270)FT−NMR(日本電子(株)製)を用いた。
【0078】
(実施例1)
N−{3−[1−ヒドロキシ−2−(メチルスルホニル)エチル]チオフェン−2−イル}アダマンタン−1−カルボキサミドの合成
<工程1>2−(1−アダマンタンカルボニルアミノ)チオフェン−3−カルボン酸エチルの合成
2−アミノチオフェン−3−カルボン酸エチル(8.30g)のジクロロメタン(170mL)溶液に、ピリジン(11.76mL)、1−アダマンタンカルボニルクロリド(14.45g)を順次加えた後、1時間加熱撹拌した。反応液に水を加え、ジクロロメタンで抽出した後、有機層を0.5規定塩酸、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(溶出液;n−へキサン:酢酸エチル=100:0〜9:1)で精製し、得られた固体をn−へキサンで洗浄して標記化合物(10.4g)を無色固体として得た。
<工程2>N−{3−[2−(メチルスルホニル)アセチル]チオフェン−2−イル}ア
ダマンタン−1−カルボキサミドの合成
ジメチルスルホン(39.29g)のテトラヒドロフラン(240mL)懸濁液に、−78℃でn−ブチルリチウム(200mL 1.58M n−ヘキサン溶液)を滴下し、滴下後室温に戻した後、1時間加熱還流した。この反応液に工程1で得られた化合物(8.00g)のテトラヒドロフラン(80mL)溶液を室温で滴下し、10分間撹拌した。反応液に氷冷下水を加え、1規定塩酸で中和した後、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去して得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄して標記化合物(8.00g)を淡黄色固体として得た。
<工程3>N−{3−[1−ヒドロキシ−2−(メチルスルホニル)エチル]チオフェン−2−イル}アダマンタン−1−カルボキサミドの合成
工程2で得られた化合物(0.55g)のテトラヒドロフラン(5mL)−メタノール(5mL)溶液に、テトラヒドロホウ酸ナトリウム(81.8mg)を加え、室温で30分間撹拌した。反応液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を水、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(溶出液;n−へキサン:酢酸エチル=2:1〜1:2)で精製し、標記化合物(0.46g)を無色アモルファスとして得た。
【0079】
(実施例2)
N−{5−クロロ−3−[1−ヒドロキシ−2−(メチルスルホニル)エチル]チオフェン−2−イル}アダマンタン−1−カルボキサミドの合成
<工程1>N−{5−クロロ−3−[2−(メチルスルホニル)アセチル]チオフェン−2−イル}アダマンタン−1−カルボキサミドの合成
実施例1<工程2>で得られた化合物(0.20g)のクロロホルム(4mL)溶液に、酢酸(2mL)、N−クロロコハク酸イミド(77mg)を順次加え、室温で1時間撹拌した。反応液に1規定水酸化ナトリウムを加え、ジクロロメタンで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(溶出液;n−へキサン:酢酸エチル=100:0〜2:1)で精製し、得られた固体をジエチルエーテルで洗浄して標記化合物(93mg)を白色粉末として得た。
<工程2>N−{5−クロロ−3−[1−ヒドロキシ−2−(メチルスルホニル)エチル]チオフェン−2−イル}アダマンタン−1−カルボキサミドの合成
実施例1<工程3>と同様の方法で、工程1で得られた化合物(80mg)から標記化合物(65mg)を白色粉末として得た。
【0080】
(実施例3)
N−{3−[1−ヒドロキシ−2−(メチルスルホニル)エチル]チオフェン−2−イル}3−フルオロアダマンタン−1−カルボキサミドの合成
<工程1>2−(3−フルオロアダマンタン−1−カルボニルアミノ)チオフェン−3−カルボン酸エチルの合成
実施例1<工程1>と同様の方法で、2−アミノチオフェン−3−カルボン酸メチル(400mg)および欧州特許第870757号パンフレットに記載の方法に準じて合成した3−フルオロ−1−アダマンタンカルボン酸(717mg)より調製した3−フルオロ−1−アダマンタンカルボニルクロリドを用いて、標記化合物(694mg)を白色粉末として得た。
<工程2>N−{3−[2−(メチルスルホニル)アセチル]チオフェン−2−イル}3
−フルオロアダマンタン−1−カルボキサミドの合成
実施例1<工程2>と同様の方法で、工程1で得られた化合物(200mg)から標記化合物(322mg)を白色粉末として得た。
<工程3>N−{3−[1−ヒドロキシ−2−(メチルスルホニル)エチル]チオフェン−
2−イル}3−フルオロアダマンタン−1−カルボキサミドの合成
実施例1<工程3>と同様の方法で、工程2で得られた化合物(155mg)から標記化合物(91mg)を無色結晶として得た。
【0081】
(実施例4)
N−{3−[1−ヒドロキシ−2−(メチルスルホニル)エチル]チオフェン−2−イル}3,5,7−トリフルオロアダマンタン−1−カルボキサミドの合成
<工程1>2−(3,5,7−トリフルオロアダマンタン−1−カルボニルアミノ)チオフェン−3−カルボン酸エチルの合成
実施例1<工程1>と同様の方法で、2−アミノチオフェン−3−カルボン酸メチル(93mg)および欧州特許第870757号パンフレットに記載の方法に準じて合成した3,5,7−トリフルオロ−1−アダマンタンカルボン酸(180mg)より調製した3,5,7−トリフルオロ−1−アダマンタンカルボニルクロリドを用いて、標記化合物(122mg)を淡黄色固体として得た。
<工程2>N−{3−[2−(メチルスルホニル)アセチル]チオフェン−2−イル}3,5,7−トリフルオロアダマンタン−1−カルボキサミドの合成
実施例1<工程2>と同様の方法で、工程1で得られた化合物(110mg)から標記化合物(200mg)を淡黄色固体として得た。
<工程3>N−{3−[1−ヒドロキシ−2−(メチルスルホニル)エチル]チオフェン−2−イル}3,5,7−トリフルオロアダマンタン−1−カルボキサミドの合成
実施例1<工程3>と同様の方法で、工程2で得られた化合物(200mg)から標記化合物(90mg)を無色固体として得た。
【0082】
(実施例5)
N−{3−[2−(トリフルオロメチルスルホニルアミノ)アセチル]チオフェン−2−イル}アダマンタン−1−カルボキサミドの合成
<工程1>tert−ブチル N−(2−シアノアセチル)カーバメイトの合成
テトラヒドロフラン(200mL)に、−60℃以下でn−ブチルリチウム(136mL
1.56M n−ヘキサン溶液)を加えた後、この溶液にアセト二トリル(12.4mL)のテトラヒドロフラン(20mL)溶液を−65℃以下で滴下した。この反応液を同温で10分間撹拌後、N−(tert−ブトキシカルボニル)グリシンメチルエステルのテトラヒドロフラン(20mL)溶液を−65℃以下で滴下した。滴下後1時間かけて−
35℃まで昇温した後、同温にて更に2時間撹拌した。反応液に1規定塩酸(250mL)を一気に加え中和した後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去して標記化合物(14.49g)を淡赤色油状物として得た。
<工程2>2−アミノ−3−[2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)アセチル]チオフェンの合成
工程1で得られた化合物(13.0g)のエタノール(400mL)溶液に2,5−ジヒドロキシ−1,4−ジチアン(12.0g)を加え、50℃まで加熱した後、トリエチルアミン(21.9mL)を一気に加え、60〜70℃で30分間撹拌した。放冷後、不溶物をろ別した後、ろ液を約100mL程度まで濃縮した。この濃縮液に水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去して得られた残渣をジエチルエーテルで洗浄して標記化合物(7.5g)を淡黄色固体として得た。
【0083】
<工程3>N−{3−[2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)アセチル]チオフェン−2−イル}アダマンタン−1−カルボキサミドの合成
工程2で得られた化合物(7.0g)のジクロロメタン(140mL)溶液に、ピリジン(4.73mL)、1−アダマンタンカルボニルクロリド(8.3g)を順次加えた後、
室温で2時間、40℃で2時間撹拌した。反応液に水を加え、1規定水酸化ナトリウムでアルカリ性とした後、ジクロロメタンで抽出した。有機層を希塩酸(pH3〜4)、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(溶出液;n−へキサン:酢酸エチル=9:1〜6:4)で精製して標記化合物(6.66g)を淡黄色アモルファスとして得た。
<工程4>N−{3−[2−(トリフルオロメチルスルホニルアミノ)アセチル]チオフェン−2−イル}アダマンタン−1−カルボキサミドの合成
工程3で得られた化合物(0.1g)に4規定塩酸−酢酸エチル溶液(5mL)を加え、室温で30分間、50℃で30分間撹拌した。溶媒を留去後、水を加え、1規定水酸化ナトリウムでアルカリ性とした後、ジクロロメタンで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去して得られた残渣をジクロロメタン(5mL)に溶解し、氷冷下、トリフルオロメタンスルホン酸無水物(57μL)、ピリジン(68μL)を順次加え、室温で15分間撹拌した。反応液に水を加え、飽和炭酸水素ナトリウム水溶液でアルカリ性とした後、ジクロロメタンで抽出した。有機層を1規定塩酸、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(溶出液;n−へキサン:酢酸エチル=4:1〜2:1)で精製して標記化合物(47mg)を淡黄色アモルファスとして得た。
【0084】
(実施例6)
N−{3−[2−(メチルスルホニルアミノ)アセチル]チオフェン−2−イル}アダマンタン−1−カルボキサミドの合成
実施例5<工程4>と同様の方法で、実施例5<工程3>で得られた化合物(0.40g)およびメタンスルホニルクロリド(96μL)からから標記化合物(0.24mg)を白色粉末として得た。
【0085】
(実施例7)
N−{3−[2−(トリフルオロメチルスルホニルアミノ)アセチル]チオフェン−2−イル}3−フルオロアダマンタン−1−カルボキサミドの合成
<工程1>N−{3−[2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)アセチル]チオフェン−2−イル}3−フルオロアダマンタン−1−カルボキサミドの合成
実施例5<工程3>と同様の方法で、実施例5<工程2>で得られた化合物(1.2g)および3−フルオロアダマンタン−1−カルボン酸(1.32g)から調製した3−フルオロアダマンタン−1−カルボニルクロリドを用いて、標記化合物(1.45g)を無色固体として得た。
<工程2>N−{3−[2−(トリフルオロメチルスルホニルアミノ)アセチル]チオフェン−2−イル}3−フルオロアダマンタン−1−カルボキサミドの合成
実施例5<工程4>と同様の方法で、工程1で得られた化合物(1.3g)から、標記化合物(880mg)を淡黄色アモルファスとして得た。
【0086】
(実施例8)
N−{5−メチル−3−[2−(トリフルオロメチルスルホニルアミノ)アセチル]チオフェン−2−イル}3−フルオロアダマンタン−1−カルボキサミドの合成
<工程1>2−アミノ−3−[2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)アセチル]−5−メチルチオフェンの合成
実施例5<工程2>と同様の方法で、実施例5<工程1>で得られた化合物(5.0g)、プロピオンアルデヒド(2.2mL)、および硫黄粉末(806mg)から標記化合物(317mg)を淡褐色固体として得た。
<工程2>N−{3−[2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)アセチル]−5−
メチルチオフェン−2−イル}3−フルオロアダマンタン−1−カルボキサミドの合成
実施例5<工程3>と同様の方法で、工程1で得られた化合物(300mg)および3−フルオロ−1−アダマンタンカルボニルクロリド(380mg)を用いて、標記化合物(445mg)を淡黄色アモルファスとして得た。
<工程3>N−{5−メチル−3−[2−(トリフルオロメチルスルホニルアミノ)アセ
チル]チオフェン−2−イル}3−フルオロアダマンタン−1−カルボキサミドの合成
実施例5<工程4>と同様の方法で、工程2で得られた化合物(0.39g)から、標記化合物(0.17g)を淡橙色固体として得た。
【0087】
(実施例9)
N−{4−メチル−3−[2−(トリフルオロメチルスルホニルアミノ)アセチル]チオフェン−2−イル}3−フルオロアダマンタン−1−カルボキサミドの合成
<工程1>2−アミノ−3−[2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)アセチル]−4−メチルチオフェンの合成
実施例5<工程2>と同様の方法で、実施例5<工程1>で得られた化合物(5.0g)、アセトン(37mL)、および硫黄粉末(806mg)から標記化合物(818mg)を淡黄色アモルファスとして得た。
<工程2>N−{3−[2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)アセチル]−4−
メチルチオフェン−2−イル}3−フルオロアダマンタン−1−カルボキサミドの合成
実施例5<工程3>と同様の方法で、工程1で得られた化合物(0.20g)および3−フルオロ−1−アダマンタンカルボニルクロリド(0.24g)を用いて、標記化合物(0.19g)を無色固体として得た。
<工程3>N−{4−メチル−3−[2−(トリフルオロメチルスルホニルアミノ)アセ
チル]チオフェン−2−イル}3−フルオロアダマンタン−1−カルボキサミドの合成
実施例5<工程4>と同様の方法で、工程2で得られた化合物(0.18g)から、標記化合物(0.12g)を淡黄色アモルファスとして得た。
【0088】
(実施例10)
N−{3−[2−(トリフルオロメチルスルホニルアミノ)アセチル]チオフェン−2−イル}3,5−ジフルオロアダマンタン−1−カルボキサミドの合成
<工程1>N−{3−[2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)アセチル]チオフェン−2−イル}3,5−ジフルオロアダマンタン−1−カルボキサミドの合成
実施例5<工程3>と同様の方法で、実施例5<工程2>で得られた化合物(137mg)および欧州特許第870757号パンフレットに記載の方法に準じて合成した3,5−ジフルオロアダマンタン−1−カルボン酸(173mg)から調製した3,5−ジフルオロアダマンタン−1−カルボニルクロリドを用いて、標記化合物(160mg)を淡黄色固体として得た。
<工程2>N−{3−[2−(トリフルオロメチルスルホニルアミノ)アセチル]チオフェン−2−イル}3,5−ジフルオロアダマンタン−1−カルボキサミドの合成
実施例5<工程4>と同様の方法で、工程1で得られた化合物(160mg)から、標記化合物(93mg)を黄色固体として得た。
【0089】
(実施例11)
N−{3−[2−(メチルスルホニルアミノ)アセチル]チオフェン−2−イル}3,5,7−トリフルオロアダマンタン−1−カルボキサミドの合成
<工程1>N−{3−[2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)アセチル]チオフェン−2−イル}3,5,7−トリフルオロアダマンタン−1−カルボキサミドの合成
実施例5<工程3>と同様の方法で、実施例5<工程2>で得られた化合物(0.16g)および3,5,7−トリフルオロアダマンタン−1−カルボニルクロリド(0.20g)を用いて、標記化合物(0.16g)を淡黄色アモルファスとして得た。
<工程2>N−{3−[2−(メチルスルホニルアミノ)アセチル]チオフェン−2−イル
}3,5,7−トリフルオロアダマンタン−1−カルボキサミドの合成
実施例5<工程4>と同様の方法で、工程1で得られた化合物(72mg)およびメタンスルホニルクロリド(24μL)から、標記化合物(38mg)を淡黄色固体として得た。
【0090】
(実施例12)
N−{3−[2−(トリフルオロメチルスルホニルアミノ)アセチル]チオフェン−2−イル}3,5,7−トリフルオロアダマンタン−1−カルボキサミドの合成
実施例5<工程4>と同様の方法で、実施例11<工程1>で得られた化合物(51mg)から、標記化合物(30mg)を黄色固体として得た。
【0091】
(実施例13)
N−{5−クロロ−3−[2−(メチルスルホニルアミノ)アセチル]チオフェン−2−イル}3,5,7−トリフルオロアダマンタン−1−カルボキサミドの合成
<工程1>N−{5−クロロ−3−[2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)アセチル]チオフェン−2−イル}3,5,7−トリフルオロアダマンタン−1−カルボキサミドの合成
実施例2<工程1>と同様の方法で、実施例11<工程1>で得られた化合物(80mg)から、標記化合物(80mg)を淡黄色固体として得た。
<工程2>N−{5−クロロ−3−[2−(メチルスルホニルアミノ)アセチル]チオフェン−2−イル}3,5,7−トリフルオロアダマンタン−1−カルボキサミドの合成
実施例5<工程4>と同様の方法で、工程1で得られた化合物(73mg)およびメタンスルホニルクロリド(22μL)から、標記化合物(39mg)を淡黄色固体として得た。
【0092】
(実施例14)
N−{3−[1−ヒドロキシ−2−(メチルスルホニルアミノ)エチル]チオフェン−2−イル}アダマンタン−1−カルボキサミドの合成
実施例1<工程3>と同様の方法で、実施例6<工程4>で得られた化合物(0.10g)から、標記化合物(90mg)を白色粉末として得た。

(実施例15)
N−{3−[1−ヒドロキシ−2−(トリフルオロメチルスルホニルアミノ)エチル]チオフェン−2−イル}3,5,7−トリフルオロアダマンタン−1−カルボキサミドの合成
実施例1<工程3>と同様の方法で、実施例12で得られた化合物(20mg)から、標記化合物(14mg)を淡黄色アモルファスとして得た。
【0093】
(実施例16)
N−[5−ブロモ−3−(2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシエチル)チオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミドの合成
<工程1>N−{5−ブロモ−3−[2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)アセチル]チオフェン−2−イル}アダマンタン−1−カルボキサミドの合成
実施例2<工程1>と同様の方法で、実施例5<工程3>で得られた化合物(6.3g)およびN−ブロモコハク酸イミド(2.68g)から、標記化合物(7.05g)を薄茶色固体として得た。
<工程2>N−[5−ブロモ−3−(2−ジメチルアミノアセチル)チオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミドの合成
工程1で得られた化合物(0.50g)の酢酸エチル(10mL)溶液に4規定塩酸−酢酸エチル溶液(2mL)を加え、室温で2時間撹拌した。4規定塩酸−酢酸エチル溶液(
3mL)を追加し、室温で2時間撹拌後、更に4規定塩酸−酢酸エチル溶液(3mL)を
追加し、室温で2時間撹拌した。溶媒を留去後、1規定水酸化ナトリウムでアルカリ性と
した後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去して得られた残渣をジクロロメタン(9mL)に溶解し、氷冷下、37%ホルムアルデヒド液(0.69mL)、トリアセトキシ水素化ほう素ナトリウム(0.54g)を順次加え、氷冷下で2時間撹拌した。反応液に1規定水酸化ナトリウムを加え、ジクロロメタンで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去して標記化合物(0.36g)を黄色アモルファスとして得た。
<工程3>N−[5−ブロモ−3−(2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシエチル)チオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミドの合成
実施例1<工程3>と同様の方法で、工程2で得られた化合物(0.10g)から、標記化合物(44mg)を無色固体として得た。
【0094】
(実施例17)
N−[3−(2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシエチル)−5−フェニルチオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミドの合成
<工程1>N−{3−[2−(tert−ブトキシカルボニルアミノアセチル)]−5−フェニルチオフェン−2−イル}アダマンタン−1−カルボキサミドの合成
実施例16<工程1>で得られた化合物(0.30g)とフェニルホウ酸(93mg)の1,2−ジメトキシエタン(1.2mL)懸濁液を脱気した後、窒素雰囲気下、2M炭酸ナトリウム水溶液(1.2mL)、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0)(70mg)を順次加え、80℃で1時間撹拌した。放冷後、酢酸エチルを加え、有機層を1規定水酸化ナトリウム、飽和食塩水で順次洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(溶出液;n−へキサン:酢酸エチル=9:1〜4:1)で精製し、得られた固体をn−へキサンで洗浄して標記化合物(0.20g)を淡黄色固体として得た。
<工程2>N−[3−(2−ジメチルアミノアセチル)−5−フェニルチオフェン−2−
イル]アダマンタン−1−カルボキサミドの合成
実施例16<工程2>と同様の方法で、工程1で得られた化合物(0.23g)から、標記化合物(0.14g)を黄色固体として得た。
<工程3>N−[3−(2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシエチル)−5−フェニルチオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミドの合成
実施例1<工程3>と同様の方法で、工程2で得られた化合物(0.14g)から、標記化合物(89mg)を無色固体として得た。
【0095】
(実施例18)
N−[3−(2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシエチル)−5−(3−ピリジル)チオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミドの合成
<工程1>N−{3−[2−(tert−ブトキシカルボニルアミノアセチル)]−5−(3−ピリジル)チオフェン−2−イル}アダマンタン−1−カルボキサミドの合成
実施例17<工程1>と同様の方法で、実施例16<工程1>で得られた化合物(150mg)および3−ピリジルホウ酸(37mg)から、標記化合物(124mg)を黄色アモルファスとして得た。
<工程2>N−[3−(2−ジメチルアミノアセチル)−5−(3−ピリジル)チオフェ
ン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミドの合成
実施例16<工程2>と同様の方法で、工程1で得られた化合物(124mg)から、標記化合物(87mg)を黄色アモルファスとして得た。
<工程3>N−[3−(2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシエチル)−5−(3−ピリジル)チオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミドの合成
実施例1<工程3>と同様の方法で、工程2で得られた化合物(67mg)から、標記化合物(49mg)を淡黄色アモルファスとして得た。
【0096】
(実施例19)
N−[3−(2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシエチル)−5−(2−ヒドロキシフェニル)チオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミドの合成
<工程1>N−[3−(2−ジメチルアミノアセチル)−5−(2−ヒドロキシフェニル
)チオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミドの合成
実施例17<工程1>と同様の方法で、実施例16<工程2>で得られた化合物(760mg)および2−(4,4,5,5,−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン−2−イル)フェノール(472mg)から、標記化合物(462mg)を橙黄色固体として得た。
<工程2>N−[3−(2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシエチル)−5−(2−ヒドロキシフェニル)チオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミドの合成
実施例1<工程3>と同様の方法で、工程1で得られた化合物(450mg)から、標記化合物(306mg)を白色粉末として得た。
【0097】
(実施例20)
N−[3−(2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシエチル)−5−(8−キノリル)チオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミドの合成
<工程1>N−[3−(2−ジメチルアミノアセチル)−5−(8−キノリル)チオフェ
ン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミドの合成
実施例17<工程1>と同様の方法で、実施例16<工程2>で得られた化合物(100mg)および8−キノリルホウ酸(49mg)から、標記化合物(35mg)を黄色結晶として得た。
<工程2>N−[3−(2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシエチル)−5−(8−キノリル)チオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミドの合成
実施例1<工程3>と同様の方法で、工程1で得られた化合物(30mg)から、標記化合物(25mg)を黄色粉末として得た。
【0098】
(実施例21)
N−[5−(1−ブチル)−3−(2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシエチル)チオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミドの合成
<工程1>2−アミノ−3−[2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)アセチル]−5−(1−ブチル)チオフェンの合成
実施例5<工程2>と同様の方法で、実施例5<工程1>で得られた化合物(400mg)、ヘキサナール(0.24mL)、および硫黄粉末(83mg)から標記化合物(153mg)を褐色アモルファスとして得た。
<工程2>N−{3−[2−(tert−ブトキシカルボニルアミノ)アセチル]−5−
(1−ブチル)チオフェン−2−イル}3−フルオロアダマンタン−1−カルボキサミドの合成
実施例5<工程3>と同様の方法で、工程1で得られた化合物(153mg)および1−アダマンタンカルボニルクロリド(146mg)を用いて、標記化合物(142mg)を黄色アモルファスとして得た。
<工程3>N−[5−(1−ブチル)−3−(2−ジメチルアミノアセチル)チオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミドの合成
実施例16<工程2>と同様の方法で、工程2で得られた化合物(93mg)から、標記化合物(54mg)を淡橙色アモルファスとして得た。
<工程4>N−[5−(1−ブチル)−3−(2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシエチル)チオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミドの合成
実施例1<工程3>と同様の方法で、工程3で得られた化合物(51mg)から、標記化合物(42mg)を黄色アモルファスとして得た。
【0099】
(実施例22)
N−{3−[ヒドロキシ(N−メチル−(S)−ピロリジン−2−イル)メチル]−5−フェニルチオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミドの合成
<工程1>N−tert−ブトキシカルボニル−2−(2−シアノアセチル)−(S)−ピロリジンの合成
実施例5<工程1>と同様の方法で、N−tert−ブトキシカルボニル−(S)−プロリンメチルエステル(9.00g)から標記化合物(5.46g)を黄色油状物として得た。
<工程2>2−アミノ−3−(N−tert−ブトキシカルボニル−(S)−ピロリジン−2−イル)アセチル−5−フェニルチオフェンの合成
実施例5<工程2>と同様の方法で、工程1で得られた化合物(1.0g)、フェニルアセトアルデヒド(0.55mL)、および硫黄粉末(134mg)から標記化合物(1.43g)を黄土色固体として得た。
<工程3>N−[3−(N−tert−ブトキシカルボニル−(S)−ピロリジン−2−
イル)カルボニル−5−フェニルチオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサ
ミドの合成
実施例5<工程3>と同様の方法で、工程2で得られた化合物(1.0g)および1−アダマンタンカルボニルクロリド(800mg)を用いて、標記化合物(1.26g)を黄色固体として得た。
【0100】
<工程4>N−[5−フェニル−3−((S)−ピロリジン−2−イル)カルボニルチオ
フェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミドの合成
工程3で得られた化合物(1.0g)のジクロロメタン(25mL)溶液に、トリフルオロ酢酸(1.44mL)を加え、室温で終夜撹拌した。反応液に25%アンモニア水を加えアルカリ性とした後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去して、標記化合物(810mg)を淡黄色固体として得た。
<工程5>N−[3−(N−メチル−(S)−ピロリジン−2−イル)カルボニル−5−
フェニルチオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミドの合成
工程4で得られた化合物(120mg)の1,2−ジクロロエタン(5mL)溶液に、37%ホルムアルデヒド液(136μL)、トリアセトキシ水素化ほう素ナトリウム(88mg)を順次加え、氷冷下で30分間撹拌した。反応液に水を加え、ジクロロメタンで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸ナトリウムで乾燥した。減圧下溶媒を留去して得られた残渣を、n−ヘキサン−ジエチルエーテル混合溶媒で洗浄して、標記化合物(107mg)を淡黄色固体として得た。
<工程6>N−{3−[ヒドロキシ(N−メチル−(S)−ピロリジン−2−イル)メチル]−5−フェニルチオフェン−2−イル}アダマンタン−1−カルボキサミドの合成
実施例1<工程3>と同様の方法で、工程5で得られた化合物(100mg)から、標記化合物の低極性ジアステレオマー(30mg)と高極性ジアステレオマー(38mg)をそれぞれ無色固体として得た。
【0101】
以下の実施例23から実施例61までの化合物を、上記記載と同様の方法もしくは、これに準ずる方法で合成した。

(実施例23)
N−{5−(tert−ブチル)−3−[2−(メチルスルホニルアミノ)アセチル]チオフェン−2−イル}アダマンタン−1−カルボキサミド
(実施例24)
N−{3−[2−(S)−メチル−2−(メチルスルホニルアミノ)アセチル]チオフェン−2−イル}アダマンタン−1−カルボキサミド
(実施例25)
N−{3−[2−(S)−ヒドロキシメチル−2−(メチルスルホニルアミノ)アセチル]チオフェン−2−イル}アダマンタン−1−カルボキサミド
(実施例26)
N−[3−(N−メチルスルホニル−(S)−アジリジン−2−イル)カルボニルチオフ
ェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミド
(実施例27)
N−{3−[2−(メチルスルホニルアミノ)アセチル]チオフェン−2−イル}3−フルオロアダマンタン−1−カルボキサミド
(実施例28)
N−{3−[2−(メチルスルホニルアミノ)アセチル]チオフェン−2−イル}4,4−ジフルオロシクロヘキサン−1−カルボキサミド
(実施例29)
N−{3−[1−ヒドロキシ−2−(メチルスルホニル)エチル]−5−メチルチオフェン−2−イル}アダマンタン−1−カルボキサミド
(実施例30)
N−{3−[1−ヒドロキシ−2−(メチルスルホニル)エチル]チオフェン−2−イル}3−クロロアダマンタン−1−カルボキサミド
(実施例31)
N−{3−[1−ヒドロキシ−2−(メチルスルホニル)エチル]−4−イソプロピルチオフェン−2−イル}アダマンタン−1−カルボキサミド
(実施例32)
N−{3−[1−ヒドロキシ−2−メチル−2−(メチルスルホニル)エチル]チオフェン−2−イル}アダマンタン−1−カルボキサミド
【0102】
(実施例33)
N−{3−[1−ヒドロキシ−3−(メチルスルホニル)プロピル]チオフェン−2−イル}アダマンタン−1−カルボキサミド
(実施例34)
N−{5−クロロ−3−[1−ヒドロキシ−2−(メチルスルホニル)エチル]チオフェン−2−イル}3−フルオロアダマンタン−1−カルボキサミド
(実施例35)
N−{3−[1−ヒドロキシ−2−(メチルスルホニル)エチル]−5−メチルチオフェン−2−イル}3−フルオロアダマンタン−1−カルボキサミド
(実施例36)
N−{3−[1−ヒドロキシ−2−(メチルスルホニル)エチル]−4−メチルチオフェン−2−イル}3−フルオロアダマンタン−1−カルボキサミド
(実施例37)
N−{3−[1−ヒドロキシ−2−(メチルスルホニル)エチル]−5−(トリフルオロメチル)チオフェン−2−イル}3−フルオロアダマンタン−1−カルボキサミド
(実施例38)
N−{5−クロロ−3−[1−ヒドロキシ−2−(メチルスルホニル)エチル]−4−メチルチオフェン−2−イル}3−フルオロアダマンタン−1−カルボキサミド
(実施例39)
N−{3−[1−ヒドロキシ−2−(メチルスルホニル)エチル]チオフェン−2−イル}3,5−ジフルオロアダマンタン−1−カルボキサミド
(実施例40)
N−{3−[1−ヒドロキシ−2−(メチルスルホニル)エチル]−5−メチルチオフェン−2−イル}3,5,7−トリフルオロアダマンタン−1−カルボキサミド
(実施例41)
N−{3−[1−ヒドロキシ−2−(メチルスルホニル)エチル]−4−イソプロピルチオフェン−2−イル}3,5,7−トリフルオロアダマンタン−1−カルボキサミド
(実施例42)
N−{5−クロロ−3−[1−ヒドロキシ−2−(メチルスルホニル)エチル]チオフェン−2−イル}3,5,7−トリフルオロアダマンタン−1−カルボキサミド
【0103】
(実施例43)
N−{3−[1−ヒドロキシ−2−(メチルスルホニル)エチル]−5−(トリフルオロメチル)チオフェン−2−イル}3,5,7−トリフルオロアダマンタン−1−カルボキサミド
(実施例44)
N−{3−[1−ヒドロキシ−2−(メチルスルホニル)エチル]−4−(トリフルオロメチル)チオフェン−2−イル}3,5,7−トリフルオロアダマンタン−1−カルボキサミド
(実施例45)
N−{3−[1−ヒドロキシ−2−(メチルスルホニル)エチル]−4−メチルチオフェン−2−イル}3,5,7−トリフルオロアダマンタン−1−カルボキサミド
(実施例46)
N−{3−[ヒドロキシ(N−メチルスルホニル−(S)−アジリジン−2−イル)メチル]チオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミ
(実施例47)
N−{3−[1−ヒドロキシ−2−(メチルスルホニルアミノ)エチル]チオフェン−2−イル}3−フルオロアダマンタン−1−カルボキサミド
(実施例48)
N−{5−ブロモ−3−[ヒドロキシ(N−メチルスルホニル−(S)−ピロリジン−2−イル)メチル]チオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミ
(実施例49)
N−[5−クロロ−3−(2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシエチル)チオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミド
(実施例50)
N−[3−(2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシエチル)−5−(4−フルオロフェニル)チオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミド
(実施例51)
N−[3−(2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシエチル)−5−(3−ヒドロキシフェニル)チオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミド
(実施例52)
N−[5−(3−アミノフェニル)−3−(2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシエチル)チオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミド
【0104】
(実施例53)
N−[3−(2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシエチル)−5−(2−プロポキシフェニル)チオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミド
(実施例54)
N−[3−(2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシエチル)−5−(3−プロポキシフェニル)チオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミド
(実施例55)
N−[3−(2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシエチル)−5−(4−プロポキシフェ
ニル)チオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミド
(実施例56)
N−[3−(2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシエチル)−5−(1−ナフチル)チオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミド
(実施例57)
N−[3−(2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシエチル)−5−(2−ナフチル)チオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミド
(実施例58)
N−[5−(2−ビフェニル)−3−(2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシエチル)チオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミド
(実施例59)
N−[5−(3−ビフェニル)−3−(2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシエチル)チオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミド
(実施例60)
N−[5−(4−ビフェニル)−3−(2−ジメチルアミノ−1−ヒドロキシエチル)チオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミド
(実施例61)
N−[3−(2−ジエチルアミノ−1−ヒドロキシエチル)−5−フェニルチオフェン−2−イル]アダマンタン−1−カルボキサミド
【0105】
上記の実施例1から実施例61で合成した化合物の構造を表2に示す。
また、これら実施例1〜22のNMRスペクトルデータを表3に示す。尚、表1の中で用いた置換基の略号において、Meはメチル基、Etはエチル基、Prはn−プロピル基、Buはn−ブチル基、Phはフェニル基を表す。
【0106】
【表2】

【0107】
【表3】

【0108】
【表4】

【0109】
【表5】

【0110】
【表6】

【0111】
【表7】

【産業上の利用可能性】
【0112】
本発明が供給するCB2リガンドは、各種疼痛、炎症性疾患(慢性関節リウマチ、変形性膝関節症など)、自己免疫疾患(強皮症、クローン病、全身性エリテマトーデスなど)、アレルギー性疾患(喘息、アトピー性皮膚炎、蕁麻疹など)、神経疾患(多発性硬化症、筋萎縮性側索硬化症、アルツハイマー病、パーキンソン病、ハンチントン病など)、心血管系疾患、腎疾患、骨粗鬆症の治療薬として使用できる。
本発明が供給するCB2リガンドのうち特にインバースアゴニストはアレルギー性喘息、
アトピー性皮膚炎および蕁麻疹などのアレルギー疾患に対する治療薬として使用できる。
一方、本発明が供給するCB2リガンドのうち特にアゴニストは、神経因性疼痛(帯状疱疹後神経痛、有痛性糖尿病性ニューロパシー等)および炎症性疼痛(慢性関節リウマチ、変形性膝関節症など)に対する鎮痛薬として使用できる。また、気道過敏性亢進に基づく咳嗽(気管支炎、かぜ症候群、喘息、閉塞性肺疾患等)に対する鎮咳薬として使用できる。また、動脈硬化に基づく心血管系疾患(不安定狭心症、心筋梗塞や脳卒中)および骨粗鬆症の予防薬として使用できる。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】実施例化合物16のGTP結合反応に及ぼす影響を示すグラフである。
【図2】実施例化合物19のGTP結合反応に及ぼす影響を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

(式中、
Vは、酸素原子(オキソ基)または水酸基を表し、実線と破線で表される結合は単結合若しくは二重結合を表し、

1は、
水素原子、トリハロメチル基、水酸基で置換されていてもよい直鎖若しくは分枝鎖のC1−C6脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、アリール基、カルボキシル基、C1−C6アルキルカルボニル基、C1−C6アルコキシカルボニル基、カルバモイル基であり、

2は、R2a),R2b),R2c)から選ばれ、
R2a)は、
水素原子、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、アミノ基・水酸基・オキソ基・ハロゲン原子から任意に選ばれる基で1−3個置換されていてもよい直鎖若しくは分枝鎖のC1−C3脂肪族炭化水素基若しくはC3脂環式炭化水素基であり、
R2b)は、
アミノ基・水酸基・オキソ基・ハロゲン原子から任意に選ばれる基で1−3個置換されていてもよい直鎖若しくは分枝鎖のC4脂肪族炭化水素基であり、
R2c)は、
アミノ基・水酸基・ハロゲン原子・C1−C6アルキル基・C1−C6アルコキシ基・カルボキシル基・C1−C6アルコキシカルボニル基・アリール基から任意に選ばれる基で1−3個置換されていてもよいアリール基、アミノ基・水酸基・ハロゲン原子・C1−C6アルキル基・C1−C6アルコキシ基・カルボキシル基・C1−C6アルコキシカルボニル基・アリール基から任意に選ばれる基で1−3個置換されていてもよいヘテロアリール基、アミノ基・水酸基・ハロゲン原子・C1−C6アルキル基・C1−C6アルコキシ基・カルボキシル基・C1−C6アルコキシカルボニル基・アリール基から任意に選ばれる基で1−3個置換されていてもよいアリールC1−C6アルキル基、アリールチオ基、アリールスルホニル基、アミノ基・水酸基・オキソ基・ハロゲン原子から任意に選ばれる基で1−3個置換されていてもよい直鎖若しくは分枝鎖のC5−C6脂肪族炭化水素基、アミノ基・水酸基・オキソ基・ハロゲン原子から任意に選ばれる基で1−3個置換されていてもよいC4−C6員の脂環式炭化水素基であり、

3は、
C3−C10の単環・二環(縮合またはスピロ環)・三環式(縮合またはスピロ環)炭素環、
酸素原子・窒素原子・硫黄原子から任意に選択される1−4個のヘテロ原子を含む3−10員の単環・二環(縮合またはスピロ環)・三環式(縮合またはスピロ環)ヘテロ環、アリールC1−C2アルキル基であり、当該環状基はハロゲン原子・水酸基・トリフルオロメチル基・C1−C3アルキル基から任意に選ばれる基で1−3個置換されていてもよく、

Wは窒素原子或いは硫黄原子を表し、
Wが窒素原子であるとき、
nは0−2の整数を表し、
4、R4'は同一若しくは異なって、
水素原子、水酸基で置換されていてもよい直鎖若しくは分枝鎖のC1−C3脂肪族炭化水素基であり、
5、R6は同一若しくは異なって、
水素原子、トリハロメタンスルホニル基、C1−C3アルキルスルホニル基、または
水酸基若しくはオキソ基で置換されていてもよい直鎖若しくは分枝鎖のC1−C3脂肪族炭化水素基であり、
ただし、R5とR6は同時にトリハロメタンスルホニル基またはC1−C3アルキルスルホニル基であることはなく、
或いはR4、R5、Wを構成要素として含む環Pとして脂環式複素炭化水素基、若しくはヘテロアリール基を形成し、
或いはR5、R6、Wを構成要素として含む環Qとして脂環式複素炭化水素基若しくはヘテロアリール基を形成し、
ここで環Pがヘテロアリール基であるときは、R4'及びR6は置換基を形成せず、若しく
はR6は酸素原子(N−オキシド)を表すことがあり、
ただし環Pと環Qは同時には環を形成せず、

Wが硫黄原子であるとき、
nは0−2の整数を表し、
4、R4'は同一若しくは異なって、
水素原子、水酸基で置換されていてもよい直鎖若しくは分枝鎖のC1−C3脂肪族炭化水素基であり、
5は、
水酸基で置換されていてもよい直鎖若しくは分枝鎖のC1−C3脂肪族炭化水素基、トリハロメチル基、C1−C3アルキル基でモノ若しくはジ置換されていてもよいアミノ基であり、
或いはR4、R5、Wを構成要素として含む環Pとして3−6員の脂環式複素炭化水素基を形成し、
6は、
W−R6としてスルフィニル基若しくはスルホニル基である。)
で示される化合物もしくはその製薬学上許容される塩、又はそれらの溶媒和物。
【請求項2】
請求項1記載の化合物若しくはその製薬学上許容される塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含有することを特徴とする、医薬組成物。
【請求項3】
請求項1記載の化合物若しくはその製薬学上許容される塩、又はそれらの溶媒和物を有効成分として含有することを特徴とするカンナビノイド2受容体(CB2)が関与する疾患の予防及び/または治療剤。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2007−262022(P2007−262022A)
【公開日】平成19年10月11日(2007.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−92008(P2006−92008)
【出願日】平成18年3月29日(2006.3.29)
【出願人】(000181147)持田製薬株式会社 (62)
【Fターム(参考)】