説明

昇降機の非常停止装置

【課題】停電などの非常時においても電源を昇降機に供給するとともに、停電時の昇降機の逸走を防止する昇降機を提供する。
【解決手段】
昇降機は、停電時において、交流電源からAC/DC変換部を介してチャージしたバッテリから直流電圧の供給を受けることができる。また、昇降機には非常停止装置を備えているので、もし、昇降機が逸走しても、非常停止装置により停止することができる。したがって、停電時に万が一、減速電動機の電磁ブレーキが故障して昇降機が逸走しても、非常停止装置によりその逸走を防止することができる。これにより、非常時の安全性が確保される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モノレールに沿って上下に昇降可能とする昇降機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の昇降機としては、例えば、特許文献1に記載の昇降機が開示されている。その従来の昇降機は、例えば、商用のAC200V電源から昇降機を昇降させる交流電圧の供給を受けている。そして、供給された交流電圧により減速機を直結した電動機、すなわち、減速電動機を駆動して昇降機を昇降可能に設けている。
【0003】
ところで、上記昇降機は昇降機の減速電動機に取り付けられた電磁ブレーキを備えているので、停電時などの非常時においては、昇降用の交流電源の供給が断たれると、電磁ブレーキが作動して昇降機はその位置で停止する。
【特許文献1】特開2000−310261号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、減速電動機の電磁ブレーキが故障してしまうと、電磁ブレーキが作動しないので昇降機が逸走するおそれがある。それを放置すると、重大な事故につながり昇降機内の人に危害を及ぼすおそれがある。
【0005】
この発明は、上記問題を解決するためになされたもので、非常時において昇降機が逸走するのを防止する昇降機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)そこで、本発明では、減速電動機に連動連結したピニオンとラックとの機構を介してレール上を昇降自在に構成し、非常時にその昇降を停止させる非常停止装置を備えた昇降機において、上記非常停止装置は、昇降機の昇降時の速度を監視・制御するシーケンサと、上記昇降機が所定の昇降速度以上となったときに、上記シーケンサの指令により駆動する駆動モータと、上記駆動モータの駆動により、上記レールを挟み込むことにより昇降機を非常停止させるレール挟持手段とを備えたことを特徴とする。
【0007】
(2)また、本発明では、(1)において、上記シーケンサ及び上記駆動モータは、停電時においてはバッテリに蓄電された直流電源により駆動すべく構成してなることを特徴とする。すなわち、上記シーケンサ及び上記駆動モータは、通常時には交流/直流(AC/DC)変換器から供給される直流電源により駆動するが、交流電源が断たれ停電時においては、バッテリに蓄電された直流電源により駆動するようにしている。
【発明の効果】
【0008】
(1)本発明では、減速電動機に連動連結したピニオンとラックとの機構を介してレール上を昇降自在に構成し、非常時にその昇降を停止させる非常停止装置を備えた昇降機において、上記非常停止装置は、昇降機の昇降時の速度を監視・制御するシーケンサと、上記昇降機が所定の昇降速度以上となったときに、上記シーケンサの指令により駆動する駆動モータと、上記駆動モータの駆動により、上記レールを挟み込むことにより昇降機を非常停止させるレール挟持手段とを備えている。
【0009】
このように、昇降機は、減速電動機の電磁ブレーキが損なわれて逸走して所定の昇降速度以上になったときでも、シーケンサが昇降機の速度を監視・制御しているので、そのシーケンサの指令により非常停止装置を駆動して逸走を停止することができる。これにより、昇降機の非常時での安全性が向上する。
【0010】
(2)また、本発明では、上記シーケンサ及び上記駆動モータは、通常時には交流/直流(AC/DC)変換器から供給される直流電源により駆動するが、停電時であって交流電源が断たれた時にはバッテリに蓄電された直流電源により駆動すべく構成しているので、停電になってもシーケンサ及び駆動モータを駆動することができ、停電時での昇降機の逸走を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明に係る昇降機は、減速電動機に連動連結したピニオンとラックとの機構を介してレール上を昇降自在に構成し、非常時にその昇降を停止させる非常停止装置を備えている。
【0012】
そして、特徴的構造として、上記非常停止装置は、昇降機の昇降時の速度を監視・制御するシーケンサと、上記昇降機が所定の昇降速度以上となったときに、上記シーケンサの指令により駆動する駆動モータと、上記駆動モータの駆動により、上記レールを挟み込むことにより昇降機を非常停止させるレール挟持手段とを備えている。
【0013】
また、上記シーケンサ及び上記駆動モータは、通常時には交流/直流(AC/DC)変換器から供給される直流電源により駆動するが、交流電源が断たれ停電したときはバッテリに蓄電された直流電源により駆動すべく構成してなる。
【実施例】
【0014】
以下に、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【0015】
本発明に係る昇降機は、例えば、斜面上に敷設されたモノレール上を走行するモノレールカー10である。本実施形態におけるモノレールカー10は、図1及び図2に示すように、上部車両51と下部車両52とから構成される。上部車両51は、人員を搭乗させるキャビン53を備えた車両である。下部車両52は、傾斜面に沿って上下方向に伸延させたレール24に沿って昇降自在とする走行駆動部27を有している。
【0016】
レール24は、走行方向に伸延した略正方形断面の上下角パイプを所定の上下間隔を保持して配置されており、走行方向に伸延されている。図2に示すように、また、レール24の上角パイプの下面には、歯を下方向に突出させたラック15が付設されている。また、レール24の上角パイプ24aには、導体よりなる給電レール29が長手方向に伸延させて配置されている。
【0017】
また、モノレールカー10の走行駆動部27にはそのラック15に噛合したピニオン14を減速電動機13の動力を受けて回転自在に設けている。また、レール24の上方から走行駆動部27を当接するように走行ローラ45が配設され、また、レール24の側方から走行駆動部27を当接するようにガイドローラ28が配設されている。このようにして、モノレールカー10は、ピニオン14とラック15との機構を介して、レール24上に沿って斜面上を昇降自在に設けられている。
【0018】
次に、図3は、本実施例におけるモノレールカー10の概要を示すブロック図である。図3に示すように、モノレールカー10は、そのモノレールカー10に交流電圧(三相200V)を供給する交流電源11と、ラック15に噛合したピニオン14に動力を伝達する減速電動機13と、非常時にモノレールカー10を停止する非常停止装置23と、減速電動機13と非常停止装置23との間に介設したシーケンサ21(PLC:プログラマブル・ロジック・コントローラ)とを設けている。
【0019】
交流電源11は、インバータ12を介して、減速電動機13に駆動用の交流電圧を供給している。
【0020】
インバータ12は、後述するシーケンサ21から出力される信号を受けて、2つの減速電動機13の駆動用の電源(三相200V)を制御している。このようにして、減速電動機13で、ピニオン14を回転駆動して、ラック15に沿ってモノレールカー10を斜面上で昇降可能としている。
【0021】
減速電動機13は、スプリングクローズ式の電磁ブレーキ16を備えたものである。すなわち、減速電動機13は、図示しないコイルに電圧を加えると、スプリングによって抑制されたアーマチュアが吸入されて、スプリングを押してアーマチュアとディスクプレートとの間に隙間を形成して、制動力を解除する構造を備えたものである。また、コイルへの電圧の供給が無くなると、スプリングの付勢が解除されて、アーマチュアがディスクプレートに押え付けられ、制動力が与えられるものである。
【0022】
また、減速電動機13は、エンコーダ信号を発生させるエンコーダ17を備え、そのエンコーダ情報に基づきモノレールカー10の速度を検出可能としている。
【0023】
シーケンサ21は、モノレールカー10の制御装置となるもので、同シーケンサ21は、インバータ12を介して交流電源と減速電動機13内のブレーキ機能を作動するブレーキ信号とを減速電動機13に供給すると共に、減速電動機13からのエンコーダ信号を受けることにより、非常停止装置23の駆動モータ22を制御するように構成している。
【0024】
すなわち、シーケンサ21は、減速電動機13からのエンコーダ信号を取り込んでモノレールカー10の速度を判定している。このように、エンコーダ17付きの減速電動機13を設けているので、エンコーダ17からの情報をシーケンサ21へ直に入力して、モノレールカー10の具体的な速度を判定することができる。また、従来(図4に示す)に比べて後述する速度検出器61などの部品点数を低減することができる。
【0025】
また、シーケンサ21は、インバータ制御信号をインバータ12に出力して、インバータ12が減速電動機13の駆動用の交流電圧を制御している。さらに、シーケンサ21は、減速電動機13に電磁ブレーキの制御信号を出力して、減速電動機13のブレーキ機能を制御している。
【0026】
非常停止装置23は、図4〜図6に示すように、モノレールカー10の下部車両52側の支持フレーム26の上端部に配設され、以下のように構成される。
【0027】
すなわち、支持フレーム26の左上端部に、非常停止装置23の駆動モータ22が載置され、その駆動モータ22のモータ軸部30の先端には第1ベベルギヤ31が配設されている。また、支持フレーム26の中央に保持体44を設け、その保持体44に設けた2つのベアリング34,36に第2ベベルギヤ軸35が垂直に軸支されている。また、その第2ベベルギヤ軸35の上端部に第2ベベルギヤ32を設け、その第2ベベルギヤ32の一側端部が第1ベベルギヤ31に噛合されている。
【0028】
また、第2ベベルギヤ32の他側端部には第3ベベルギヤ33が噛合されている。さらに、支持フレーム26の上端部に並設した2つの軸受37により第3ベベルギヤ軸38が水平に軸支されており、第3ベベルギヤ軸38に一端部に上記第3ベベルギヤ33を配設し、他端部に第4ベベルギヤ39を配設している。さらに、保持体44内に軸支されて第5ベベルギヤ軸43が垂直に配設され、その第5ベベルギヤ軸43の上端部に第5ベベルギヤ40を設け、第5ベベルギヤ40の一側端部が第4ベベルギヤ39に噛合されている。
【0029】
そして、図7に示すように、第2ベベルギヤ軸35の下端部および第5ベベルギヤ軸43の下端部には、平面視で外周を歯切形状とし半径を漸次拡大したカム形状の偏心歯車20,20を取付けている。
【0030】
非常停止装置23は、駆動モータ22の回転動により、その動力が第1ベベルギヤ31→第2ベベルギヤ32→第3ベベルギヤ33→第4ベベルギヤ39→第5ベベルギヤ40に伝達される。これにより、第2ベベルギヤ軸35および第5ベベルギヤ軸43が垂直周りに回動自在となる。
【0031】
このように、駆動モータ22を駆動すれば、両偏心歯車20,20が回動し、両偏心歯車20,20の間隔が縮小し、両偏心歯車20,20の外周面25,25によってレール24の側面部を挟持して、モノレールカー10を強制的に停止させるようにしている(レールキャッチ方式)。
【0032】
また、図7に示すように、偏心歯車20,20が平面視で外周を歯切形状とし半径を漸次拡大した形状としているため、偏心歯車20,20の外周面25,25がレール24の側面部に接触すると、偏心歯車20,20の外周面25,25とレール24の側面部との間の摩擦力によって、偏心歯車20,20がより強固にレール24の側面部を挟持する方向に回動することになり、モノレールカー10を確実に停止させることができる。
【0033】
さらに、図4及び図5に示すように、支持フレームの右側端部には、その基端部が43と同軸に回動自在に設けられ、その先端部が第5ベベルギヤ40の他側端部に突出した係止部材41が配設されている。また、係止部材41の先端部側にリミットスイッチ42を設けている。そして、係止部材41の先端部によりリミットスイッチ42の先端部を係止することによってリミットスイッチ42をON状態として、シーケンサ21がそのON状態を検出して駆動モータ22を停止するようにしている。
【0034】
次に、図3に示すように、シーケンサ21及び駆動モータ22は、通常運転時においては、交流電源11の交流からAC/DC変換器18を介して直流電源に変換された直流電源を駆動用の電源として使用している。したがって、上記シーケンサ21及び駆動モータ22は、直流電源で駆動できるものを使用している。
【0035】
さらに、モノレールカー10は、減速電動機13のエンコーダ17で発生するパルス数により、走行速度を検出可能としている。すなわち、図8に示すように、パルス数により走行速度が例えば定格速度の105%を越えると、減速電動機13に設けられた電磁ブレーキ16が作動するようにしている。さらに、走行速度が例えば定格速度の110%を超えると、減速電動機13に取り付けている電磁ブレーキ16が作動すると共に、非常停止装置23が作動するようにしている。ここで、定格速度とは最大傾斜部において負荷率100%状態で通常下降する速度をいう。
【0036】
具体的には、図9に示すフローチャートのように、制動処理が行われる。すなわち、図9に示すように、走行処理中(S101工程)であって、昇降機が降下中に上昇指示または上昇中に降下指示の逆走入力があると(S102工程)、ブレーキ作動処理が行われる(S106工程)。上記逆走入力がない場合には、昇降速度が通常走行時の定格速度に比べて105%を越えているか否かの判定(S103工程)がシーケンサ21により行われる。
【0037】
もし、定格速度を越えてモノレールカー10が降下すると、シーケンサ21が降下速度の異常を判定し、降下速度が定格速度の例えば105%を超えれば、減速電動機13の電磁ブレーキ16が作動し(S104工程)、それでも加速して例えば110%を超えた場合(S105工程)には、非常停止装置23の駆動モータ22を駆動して、両偏心歯車20,20を回動させ、両偏心歯車20,20でレール24の側面部を挟持することにより、モノレールカー10を強制的に停止させるようにしている。
【0038】
図10は、従来における昇降機60の概要を示すブロック図である。図10に示すように、従来の昇降機60では、交流電源11となる商用のAC200V電源から、インバータ12に交流電圧を供給すると共に、そのインバータ12から2つの減速電動機13,13に供給していた。このようにして、2つの減速電動機13,13を動作させて、昇降機60を上下に昇降していた。
【0039】
また、シーケンサ21よりインバータ制御信号をインバータ12に出力していた。また、このシーケンサ21は、減速電動機13に配設された速度検出器61の回転動を近接スイッチ62で取り込んでパルス検出器63でパルス信号を発生させて、そのパルス信号を取り込むことにより、昇降機60の昇降速度を判定していた。
【0040】
さらに、シーケンサ21は駆動モータ22に連動連結しており、また、同駆動モータ22は偏心歯車20,20に連動連結していた。このシーケンサ21からの指令により、上記偏心歯車20,20に連動連結した駆動モータ22を駆動していた。そして、駆動モータ22の駆動により、両偏心歯車20,20が回動し、両偏心歯車20,20の間隔が縮小し、両偏心歯車20,20の外周面25,25によってレール24の側面部を挟持して、昇降機60を強制的に停止するように構成していた。
【0041】
しかし、従来の昇降機60にあっては、その昇降機60への交流電源11の供給が停止してしまうと、昇降機60はその場で停止するが、何らかの理由により減速電動機の電動ブレーキが故障することにより、昇降機60が停止せずに急降下するおそれがあった。そして、上記故障が停電と重なって発生すると、シーケンサ21は降下時の異常を判断することができず、上記非常停止装置23の駆動モータ22にも電源の供給が行われないので非常停止装置23を作動させることができず、重大な事故を発生させるおそれがあった。
【0042】
そこで、本実施例におけるモノレールカー10は、交流電源11からの交流電圧をAC/DC変換器18を介して変換された直流電圧をチャージ可能とするバッテリBTを有している。また、AC/DC変換器18とバッテリBTとの間に、停電になって交流電源11の供給が断たれたことを検出する停電検出器19を備えている。この停電検出器19は、例えば、リレースイッチなどを使用している。
【0043】
すなわち、交流電源11のAC200V電源から供給される交流電圧を、AC/DC変換器18を介して交流から直流電源に変換し、その変換した直流電源をバッテリBTに供給可能としている。そして、直流電源が供給されたバッテリBTには、所定の直流電圧(例えば24Vの直流電圧)が蓄電されている。
【0044】
このようにして、モノレールカー10は、停電になって交流電源11の供給が断たれたときでも、バッテリBTから直流電圧をシーケンサ21及び非常停止装置23の駆動モータ22に供給可能としている。すなわち、停電時には、モノレールカー10は、上記停電検出器19が停電を検出し、バッテリBTによりシーケンサ21および非常停止装置23の駆動モータ22を駆動可能としている。
【0045】
そして、停電などにより、上記交流電源11となる商用のAC200V電源の供給が断たれたとしても、予備のバッテリBTから直流電圧を非常停止装置23の駆動モータ22にも供給できるので、万が一、減速電動機13の電磁ブレーキが故障しても非常停止装置23によりモノレールカー10の逸走を防止し、安全に停止できるようにしている。
【0046】
次に、停電時におけるモノレールカー10の非常停止装置23の動作について説明する。
【0047】
図3に示すように、通常運転時、モノレールカー10は、減速電動機13を駆動することにより、減速電動機13の動力がピニオン14に伝達され、ピニオン14がラック15に沿って走行し、それによって、ラック15が付設されたレール24に沿ってモノレールカー10が昇降可能としている。
【0048】
そして、停電になると、交流電源11となるAC200V電源の供給が停止され、上記減速電動機13の交流電圧の供給が断たれる。これにより、減速電動機13内のスプリング付勢が解除されて、電磁式ブレーキが作動状態になる。そして、減速電動機13からピニオン14に駆動力が伝達されず、モノレールカー10はその位置で停止する。
【0049】
また、本実施例におけるモノレールカー10は、停電検出器19がAC/DC変換器18から直流電源の供給が断たれたことを検出し、バッテリBTによりシーケンサ21と非常停止装置23の駆動モータ22とを駆動可能としている。そして、万が一停電時に、モノレールカー10が降下するような非常事態が発生した場合でも、シーケンサ21は、減速電動機13に取り付けたエンコーダ17のエンコーダ信号を読み取り、降下時の速度を監視・制御するので、定格速度を超えてオーバ速度になると、非常停止装置23の駆動モータ22を駆動し、非常停止装置23が作動するようにしている。
【0050】
このように、図4〜図6に示すように、駆動モータ22の回転動により、その動力が第1ベベルギヤ31→第2ベベルギヤ32→第3ベベルギヤ33→第4ベベルギヤ39→第5ベベルギヤ40に伝達される。これにより、第2ベベルギヤ軸35および第5ベベルギヤ軸43が垂直周りに回動自在となる。そして、第2ベベルギヤ軸35および第5ベベルギヤ軸43の下端部に取り付けてある偏心歯車20,20が回動自在となる。
【0051】
そして、図7に示すように、両偏心歯車20,20の間隔が縮小し、両偏心歯車20,20の外周面25,25によってレール24の側面部を挟持して、昇降機60を強制的に停止させるようにしている。
【0052】
このようにして、停電時において、減速電動機13の電磁ブレーキが故障してモノレールカー10が逸走し、その降下する速度が所定速度を超えても、バッテリBTからの電力により非常停止装置23の駆動モータ22を駆動可能しているので、その非常時にモノレールカー10を停止することができる。
【0053】
以上のように、停電時にモノレールカー10が逸走しても、非常停止装置23によりモノレールカー10を安全に停止することができる。これにより、モノレールカー10の非常時での安全性が確保される。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本実施形態における昇降機の主要な構成を示す側面図である。
【図2】本実施形態における昇降機の主要な構成を示す正面図である。
【図3】本実施形態における昇降機の主要な構成を示すブロック図である。
【図4】本実施形態における昇降機の非常停止装置の構成を示す正面図である。
【図5】本実施形態における昇降機の非常停止装置の構成を示す平面図である。
【図6】本実施形態における昇降機の非常停止装置の構成を示す側面図である。
【図7】本実施形態における昇降機の偏心歯車の動作状態を示す平面図である。
【図8】本実施形態における昇降機の走行速度とエンコーダのパルス数との関係を示すグラフである。
【図9】本実施形態における昇降機の走行時のブレーキ操作を示すフローチャートである。
【図10】従来における昇降機の主要な構成を示すブロック図である。
【符号の説明】
【0055】
BT バッテリ
10 昇降機
11 交流電源
12 インバータ
13 減速電動機
14 ピニオン
15 ラック
18 交流/直流(AC/DC)変換器
21 シーケンサ
23 非常停止装置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
減速電動機に連動連結したピニオンとラックとの機構を介してレール上を昇降自在に構成し、非常時にその昇降を停止させる非常停止装置を備えた昇降機において、
上記非常停止装置は、昇降機の昇降時の速度を監視・制御するシーケンサと、
上記昇降機が所定の昇降速度以上となったときに、上記シーケンサの指令により駆動する駆動モータと、
上記駆動モータの駆動により、上記レールを挟み込むことにより昇降機を非常停止させるレール挟持手段とを備えたことを特徴とする昇降機。
【請求項2】
上記シーケンサ及び上記駆動モータは、停電時においてはバッテリに蓄電された直流電源により駆動すべく構成してなることを特徴とする請求項1に記載の昇降機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−23590(P2010−23590A)
【公開日】平成22年2月4日(2010.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−185237(P2008−185237)
【出願日】平成20年7月16日(2008.7.16)
【出願人】(000140731)株式会社嘉穂製作所 (12)
【Fターム(参考)】