易開封性袋及びその縦形製袋充填包装機
【課題】 強度的に強く、しかも、その開封が容易な袋及びその縦形製袋充填包装機を提供する。
【解決手段】 袋2はそのトップシール部6の下側に左右一対の開封ノッチ12,14と、そのフィンシール部4の根元を横断する中間スリット16とを備え、袋2を製造する縦形製袋充填包装機はその横シール装置36に開封ノッチ12,14及び中間スリット16を形成するノッチカッタ52及びスリットカッタ54を備えている。
【解決手段】 袋2はそのトップシール部6の下側に左右一対の開封ノッチ12,14と、そのフィンシール部4の根元を横断する中間スリット16とを備え、袋2を製造する縦形製袋充填包装機はその横シール装置36に開封ノッチ12,14及び中間スリット16を形成するノッチカッタ52及びスリットカッタ54を備えている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填物品を収容した易開封性袋及びこの袋を製造する縦形製袋充填包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
充填物品を気密に収容するため、上下の横シール部及び中央の縦シール部を備えた袋が知られており、この種の袋は例えば、特許文献1,2に開示されている。
また、上記文献の袋はその縦シール部に一対のノッチ(特許文献1)や、袋自体に一対の切り目線(特許文献2)を有しており、これらノッチ又は切り目線の存在により、袋の開封を容易に行えるようになっている。
【特許文献1】特開平10-86948号公報
【特許文献2】特開2003-246332号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の袋の場合、その開封を確実になすにはその縦シール部のシール強度を弱くする必要があるが、シール強度が弱すぎると、袋の強度不足を招き易いばかりでなく、袋自体の製造も不安定になる虞がある。
また、特許文献2の袋にあっては、その一対の切り目線が袋の幅方向全域に亘って延びているため、これら切り目線から袋が破れ易く、また、切り目線の存在は袋内の気密性を確保するうえでも不利となる。
【0004】
本発明は、上述の事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、破れに対する強度が高く、しかも、容易に開封することができる易開封性袋及びその縦形製袋充填包装機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明の易開封性袋(以下、単に袋と称する)は、その横断方向に延びる開封予定線の始端として、袋の一側縁に設けられた開封ノッチと、袋の中央に設けられ、少なくとも一部が縦シール部の一側縁を斜めに横断し且つ開封予定線と交差する中間スリットとを備えている(請求項1)。
上述の袋によれば、開封ノッチから袋が引き裂かれると、この引き裂きは開封予定線に沿って中間スリットまで伝播した後、中間スリットの終端又は折曲端から更に進行する。そして、引き裂きが袋の他側縁に到達したとき、袋は開封予定線から分離され、開封される。
【0006】
好ましくは、袋は、開封ノッチ及び中間スリットに対して袋内の気密性を確保するシール域を更に備えることができ(請求項2)、このシール域は袋が開封されるまでの間、開封ノッチ及び中間スリットの存在に拘わらず、袋内を気密に保持する。
具体的には、縦シール部はフィンシール部であり、そして、中間スリットは、フィンシール部の根元を横切った状態で袋を貫通して形成されている(請求項3)。
【0007】
この場合、開封予定線は、上下の横シール部間に配置されており(請求項4)、より具体的には、上側の横シールの直下に位置付けられている。
上述したシール域は、開封ノッチを囲むサイド融着部と、袋とフィンシール部との間の融着を避け、中間スリットを囲むセンタ融着部とを含むことができ(請求項5)、これらサイド及びセンタ融着部は、袋内が開封ノッチや中間スリットを通じて外部に連通するのを阻止する。
【0008】
更に、上述のシール域は、サイド及びセンタ融着部に加えて開閉可能なジッパーを含むことができ(請求項6)、このジッパーは開封予定線と下側の横シール部との間に配置され、開封予定線に沿って延びている。このようなジッパーは、サイド及びセンタ融着部によるシールを助けるばかりでなく、袋が開封予定線から引き裂かれた後にあっても、袋の開閉を可能にする。
【0009】
上述した袋は縦形製袋充填包装機により製造され、この包装機の横シール装置は、袋の横断方向に延びる開封予定線の始端として、袋一側縁に開封ノッチを形成するノッチカッタと、袋の中央に、少なくとも一部が縦シール部の一側縁を斜めに横断し且つ開封予定線と交差する中間スリットを形成するスリットカッタとを更に含んでいる(請求項7)。
包装機は、縦シールとしてのフィンシール部を形成する縦シール装置を備えており、そして、横シール装置は横シール部の形成時、フィンシール部を袋の外面に折り返し、この際、スリットカッタは、その一部がフィンシール部の根元を横切るような中間スリットを形成する(請求項8)。
【0010】
更に、包装機は、開封ノッチ及び中間スリットに対して袋内の気密性を確保するシール域形成手段を更に備えることができる(請求項9)。具体的には、シール域形成手段は、横シール装置にそれぞれ設けられ、開封ノッチの周囲を融着させるサイドスポットシーラ部と、袋とフィンシール部との間の融着を避け、中間スリットの周囲を融着させるセンタスポットシーラ部とを含む(請求項10)。
【0011】
更に、シール域形成手段は、前記袋の前記開封予定線と下側の横シール部との間に前記開封予定線に沿って延びる開閉可能なジッパーを装着するジッパ取付け装置を含むことも可能である(請求項11)。
上述の包装機によれば、横シール部の形成と同時に、袋に対して開封ノッチ及び中間スリットが形成され、また、これら開封ノッチ及び中間スリットとともにサイド及びセンタ融着部もまた形成される。
【発明の効果】
【0012】
請求項1〜5の袋は、開封ノッチ及び中間スリットが袋の幅方向に互いに離間して配置されているので、破れに対する耐性は高く、また、袋の縦シール部がフィンシール部であっても、袋が開封ノッチから引き裂かれると、その引き裂きはフィンシール部の存在に拘わりなく、開封ノッチから開封予定線に沿って袋の他側縁まで確実に伝播し、袋の開封を容易に行うことができる。また、開封ノッチ及び中間スリットを囲むサイド及びセンタ融着部は袋内の気密に保持する。請求項6の袋は引き裂きによる開封後にあっても、ジッパーを介して開閉可能である。
【0013】
請求項7〜10の縦形製袋充填包装機は、その横シール装置にノッチカッタやスリットカッタ等を付加するだけで、請求項1〜5の袋を容易に製造することができ、請求項11の包装機は、請求項6の袋を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1及び図2は、一実施例の易開封性を備えた袋を示す。
一実施例の袋2は、焙煎処理されたコーヒー豆やその粉末等の収容に好適し、その包材には横1軸延伸フィルムが使用されている。
より詳しくは、袋2はチューブ形状をなし、その中央に縦シール部としてのフィンシール部4と、上下に横シール部としてのトップシール部6及びボトムシール部8とを有する。これらトップ及びボトムシール部6,8の形成に伴い、フィンシール部4は袋2の外面側に折り込まれるが、しかしながら、袋2の外面に溶着されることはない。また、一実施例の袋2はその内部に開閉可能なジッパー10を備えており、このジッパー10はトップシール部6の下側に配置され、袋2の幅方向に延びている。より詳しくは、ジッパー10は互いに噛み合う凹凸のジッパテープからなり、これらジッパテープが袋2の内面にそれぞれヒートシールを介して貼り付けられている。
【0015】
更に、一実施例の袋2は、トップシール部6とジッパー10との間に開封予定線を有し、この開封予定線は袋2の横軸方向、つまり、その幅方向に延びている。具体的には、袋2の両側縁にはV字状の開封ノッチ12,14がそれぞれ形成され、これら開封ノッチ12,14は開封予定線の始端を形成する。また、袋2の中央には中間スリット16が形成されており、この中間スリット16は、フィンシール部4の根元を斜めに横切っている。
【0016】
更に詳しくは、中間スリット16はその下端部にて、開封ノッチ12から延びる開封予定線と交差し、また、上端部にて開封ノッチ14から延びる開封予定線と交差すべく、その長さが設定されているが、中間スリット16の上端部がフィンシール部4の先端縁に到達することはない。それ故、図2から明らかなように開封ノッチ12,14は袋2の縦方向に互いにずれて配置されている。
【0017】
更に、開封ノッチ12,14の周囲にはシール域としてのサイド融着部18がそれぞれ形成され、そして、中間スリット16の周囲にもシール域としてのセンタ融着部20が形成されている。なお、図中、サイド及びセンタ融着部18,20は斜線を施して示され、図2中、フィンシール部はその一部を切り欠いて示してある。
サイド及びセンタ融着部18,20は袋2の表裏の内面を互いに溶着し、袋2内が開封ノッチ12,14や中間スリット16を通じて外部に連通するのを阻止する。しかしながら、サイド及びセンタ融着部18,20のシール強度は、フィンシール部4やトップ及びボトムシール部6,8のシール強度に比べて弱く、前述した横1軸延伸フィルムの引き裂き性を阻害することはない。
【0018】
更に、中間スリット16及びセンタ融着部20に関して更に詳述すると、中間スリット16はフィンシール部4が袋2の外面に折り込まれた状態で形成されるため、中間スリット16の一部は、図3に示されるようにフィンシール部4及び袋2の双方を貫通して形成される。そして、センタ融着部20は、袋2を貫通する中間スリット16の周囲のみに形成され、センタ融着部20がフィンシール部4を袋2の外面に溶着することはない。
【0019】
上述した袋2によれば、例えば、袋2の一側縁側に位置した開封ノッチ12から袋2を引き裂くと、この引き裂きAは図4中の矢印に示されるように開封予定線に沿い中間スリット16まで伝播する。この後、引き裂きAは、フィンシール部4及び袋2の双方に存在する中間スリット16の部位の上端、つまり、その終端から開封予定線に沿って更に進行し、図3から明らかなように、一方にてフィンシール部4を分断するともに、他方にて袋2の他側縁に向けて更に伝播し、袋2の他側縁に至る。
【0020】
この結果、袋2のトップシール部6側の部位はフィンシール部4の存在に拘わらず、図5に示されるように開封予定線から分離され、これにより、袋2の開封を容易に行うことができる。この場合、実際の袋2の開封縁は、開封ノッチ12、引き裂きA及び中間スリット16の片側の縁12a,a,16aにて形成される。
また、袋2が開封ノッチ14から引き裂かれる場合、その引き裂きBは図4中の2点鎖線で示すように中間スリット16まで伝播する。そして、前述したようにセンタ融着部20はフィンシール部4と袋2の外面とを溶着していないので(図3参照)、中間スリット16まで伝播した引き裂きBは中間スリット16からフィンシール部4の先端縁及び開封ノッチ12側のそれぞれに向けて更に進行し、これにより、袋2を同様にして開封することができる。
【0021】
なお、図6中の(a)(b)は、左右の開封ノッチ12,14の何れからでも、袋2の開封が可能であることを矢印により示している。
袋2の開封ノッチ12と中間スリット16との間、また、開封ノッチ14と中間スリット16との間には切込み線が存在していないので、袋2の強度は高く、開封ノッチ12又は14から袋2が不用意に裂けてしまうことはない。
【0022】
また、袋2の開封前には、開封ノッチ12,14及び中間スリット16はサイド融着部18及びセンタ融着部20により囲まれ、しかも、袋2内にはジッパー10が装着されているので、袋2内が開封ノッチ12,14や中間スリット16を通じて外部に連通することはなく、また、袋2が引き裂いて開封された後にも、袋2内の充填物はジッパー10を通じて取出し可能であるから、袋2内の充填物を湿気等から確実且つ長期に亘って保護することができる。
【0023】
更に、サイド及びセンタ融着部18,20は、開封ノッチ12,14からの不用意な裂けを防止するのにも有効となる。
更にまた、一実施例の袋2はその両側縁に開封ノッチ12,14を有し、そして、フィンシール部4が袋2の外面に溶着されていないことから、左右の何れの方向からでも、その開封を容易に行うことができる。
【0024】
本発明は、図1及び図2に示した一実施例の袋2に限らず、種々の変形が可能である。
図7は、変形例の袋2を示す。図7の袋2の場合、中間スリット16はその下端から延びる延長スリット部22を有し、延長スリット部22は中間スリット16を略V字形に形成する。このようなV字状の中間スリット16にあっても、一実施例の中間スリット16と同様な機能を発揮する。なお、図7の場合にも、フィンシール部4はその一部を切り欠いた状態で示されている。
【0025】
更に、中間スリット16は図8〜図11に示す形状のものであってもよい。
図8〜図11の中間スリット16はそれぞれ、一部が開いた菱形、扇形、星形及び毬栗形をなし、各図の(a),(b)は、その形状の開口部が上側又は下側に位置付けられている。
図8〜図11の中間スリット16の何れにあっても、その一部がフィンシール部4の根元を斜めに横断し、そして、開封予定線と交差して配置されている。この場合、中間スリット16まで伝播した引き裂きは、中間スリット16の何れかの折曲端から更に進行することになる。
【0026】
図12は、図1及び図2の袋2を製造する縦形製袋充填包装機を概略的に示す。
この包装機は充填チューブ24を備え、この充填チューブ24の上端は漏斗形状をなしている。充填チューブ24の上部にはフォーマ26が取付けられ、このフォーマ26はフィルムロールRから繰り出される横1軸延伸フィルムFが通過する際、このフィルムFを充填チューフ24の回りに円筒状に成形し、そして、円筒状フィルムFは充填チューブ24に沿って下方に導かれている。また、フォーマ26の直下にはフィルムガイド(図示しない)が配置され、このフィルムガイドは円筒状フィルムFの両側縁を合掌形態、即ち、フィン形態にして重ね合わせる。
【0027】
充填チューブ24とフィルムロールRとの間のフィルム繰出し経路には、前述したジッパー10となるジッパテープGTの供給装置28が配置され、この供給装置28はフィルムFの繰出し方向に所定の間隔を存してジッパテープGTをフィルムFに仮止め接着する。
一方、フォーマ26の下方には、充填チューブ24の両側に一対のフィルムフィーダ30が配置され、これらフィルムフィーダ30はそのサクションベルトに円筒状フィルムFを吸着し、充填チューブ24に沿って繰り出す(図1には片側のフィルムフィーダ30のみを図示)。
【0028】
また、充填チューブ24の周方向でみて、一対のフィルムフィーダ30間に縦シール装置32が配置され、この縦シール装置32は開閉可能な一対のヒータブロック34を有する。これらヒータブロック34は充填チューブ24の軸線方向に延び、円筒状フィルムFにおけるフィン形態の両側縁を挟持し、この両側縁をヒートシールすることでフィンシール部を形成する。従って、円筒状フィルムFの繰出しに伴い、円筒状フィルムFの両側縁が縦シール装置32を通過すれば、円筒状フィルムFに袋2のフィンシール部4となるフィンシール帯が連続的に形成される。
【0029】
充填チューブ24の下側には横シール装置36が配置され、この横シール装置36もまた開閉可能な一対のヒータブロック38a,38bを有する。これらヒータブロック38は水平方向に延び、互いに接離する方向に移動することで、円筒状フィルムFをそのジッパーテープGTの上側にて挟み付ける。この際、横シール装置36は円筒状フィルムFをヒートシールし、円筒状フィルムFに袋2のボトム及びトップシール部8,6となる横シール帯を上下に形成する。
【0030】
ここで、横シール帯の形成に先立ち、フィンシール帯は折込みガイド(図示しない)により円筒フィルムFに向けて折り込まれ、円筒フィルムFは一対のヒータブロック38間にフィンシール帯とともに挟み付けられる。
また、横シール帯の形成と同時に、円筒状フィルムF内には充填チューブ24内を通じて充填物品が充填される。このため、図12には示されていないが、充填チューブ24の上方には充填物品の調量供給装置が配置されている。
【0031】
更に、図13に示されるように一方のヒータブロック38bには切断ナイフ40が突没可能に収容され、他方のヒータブロック38bには切断ナイフ40を受け入れるナイフ溝42が形成されている。切断ナイフ40は上下の横シール帯を形成するヒータブロック38bの加熱挟持面44間に配置されている。なお、ヒータブロック38aにも、加熱挟持面44に対応する加熱挟持面がそれぞれ形成されていることは言うまでもない。
【0032】
横シール帯の形成後、切断ナイフ40は図14に示されるようにヒータブロック38bからヒータブロック38aのナイフ溝42内に突出し、横シール帯、即ち、ボトムシール部8とトップシール部6との間にて円筒状フィルムFを切断する。
また、ヒータブロック38bには、トップシール部6を形成する加熱挟持面44の下側に、一対のノッチカッタ46及びスリットカッタ48がそれぞれ突没可能に収容されている。一対のノッチカッタ46はヒータブロック36bの両側に配置され、スリットカッタ48はヒータブロック36bの中央に配置されている。
【0033】
一方、ヒータブロック38aには、ノッチカッタ46及びスリットカッタ48をそれぞれ受け入れ可能なカッタ溝が形成されている。なお、図13中には、片側のノッチカッタ46に対するカッタ溝50のみが示されている。
更に、ヒータブロック38bには、ノッチカッタ46及びスリットカッタ48の突没を許容する収納口を囲むようにして、シール域形成手段、つまり、サイドスポットシーラ部52及びセンタスポットシーラ部54がそれぞれ形成されており、また、ヒータブロック38aにも、シーラ部52,54に対応したシーラ部(図示しない)がそれぞれ形成されている。
一対のヒータブロック38のサイドスポットシーラ部52及びセンタスポットシーラ部54は、横シール装置3が閉じられたとき、円筒状フィルムFを横シール帯の下側にて部分的に挟持し、前述した袋2のサイド融着部16及びセンタ融着部18をそれぞれ形成する。
【0034】
また、サイド及びセンタ融着部16,18の形成後、ノッチカッタ46及びスリットカッタ48は切断ナイフ40に連動してヒータブロック38bから突出し、円筒状フィルムFに開封ノッチ12,14及び中間スリット16を形成する。
更に、図12に示されているように、横シール装置36の直下にはジッパー取付け装置56が配置され、このジッパー取付け装置56もまた一対のヒータブロック58を有する。これらヒータブロック58は横シール装置36の作動と同時に、円筒状フィルムFを介してジッパテープGTを挟持し、ジッパテープGTを円筒フィルムFの内面にヒートシールして本付けする。
【0035】
なお、図15は、横シール装置36の上下の加熱挟持面44、サイド及びセンタスポットシーラ部52,54並びにジッパー取付け装置56により、円筒状フィルムFに対して形成されるヒートシール域60,62,64,66,68にそれぞれ斜線を施して示す。図15から明らかなように、ジッパテープGTに対するヒートシール域68は円筒状フィルムFの繰出し方向でみて下流側に位置したジッパテープGTのフランジ及びその両端部に設定されている。なお、上流側のジッパテープGTのフランジは前述した供給装置28にて既に仮止めされた状態にある。
【0036】
上述の説明から既に明らかなように、円筒状フィルムFの繰出しに伴い、横シール装置36及びジッパー取付け装置56の作動と充填物品の充填とが交互に繰り返されることで、図1,2に示した袋2が連続的に製造され、この製造は横シール装置36にノッチカッタ46、スリットカッタ48及びスポットシーラ部52,54を付加するだけで可能であり、包装機の大幅な変更を伴うことはない。
【0037】
袋2に図7〜図11に示すような形状の中間スリット16を形成するには、スリットカッタ48をその中間スリット16に応じた形状のスリットカッタに交換すればよい。
また、図14に示す切断ナイフ40はその刃先がストレートであるが、図16に示すように、その刃先は波形をなしていてもよい。
更に、開封ノッチ12,14はその一方のみが袋2に備えてられていてもよいし、また、縦シール部はフィンシール部4に限らず、いわゆる封筒貼り(ラップ貼り)の形態であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】一実施例の袋を示した斜視図である。
【図2】図1の袋を一部切り欠いて示した正面図である。
【図3】図1の袋の一部を拡大して示した斜視図である。
【図4】図2の袋を開封する手順を示した図である。
【図5】開封後の袋の一部を示した図である。
【図6】袋の開封方向を示す図であり、(a)は左から右に開封される場合、(b)は右から左に開封される場合を示す。
【図7】変形例の袋を一部切り欠いて示した正面図である。
【図8】一部が開いた菱形の中間スリットを示し、(a)は上向きに開いた中間スリット、(b)は下向きに開いた中間スリットをそれぞれ示す。
【図9】一部が開いた扇形の中間スリットを示し、(a)は上向きに開いた中間スリット、(b)は下向きに開いた中間スリットをそれぞれ示す。
【図10】一部が開いた星形の中間スリットを示し、(a)は上向きに開いた中間スリット、(b)は下向きに開いた中間スリットをそれぞれ示す。
【図11】一部が開いた毬栗形の中間スリットを示し、(a)は上向きに開いた中間スリット、(b)は下向きに開いた中間スリットをそれぞれ示す。
【図12】図2の袋を製造する縦形製袋充填包装機を示した概略斜視図である。
【図13】図1の包装機の横シール装置を示した斜視図である。
【図14】図13の一方のヒータブロックをその切断ナイフが突出した状態で示す斜視図である。
【図15】図13の横シール装置及びジッパシール装置のヒートシール域を示した図である。
【図16】変形例の切断ナイフの一部を示した図である。
【符号の説明】
【0039】
2 袋
4 フィンシール部(縦シール部)
6 トップシール部(横シール部)
8 ボトムシール部(横シール部)
10 ジッパー
12,14 開封ノッチ
16 中間スリット
18 サイド融着部(シール域)
20 センタ融着部(シール域)
36 横シール装置
46 ノッチカッタ
48 スリットカッタ
52 サイドスポットシーラ部
54 センタスポットシーラ部
56 ジッパー取付け装置
【技術分野】
【0001】
本発明は、充填物品を収容した易開封性袋及びこの袋を製造する縦形製袋充填包装機に関する。
【背景技術】
【0002】
充填物品を気密に収容するため、上下の横シール部及び中央の縦シール部を備えた袋が知られており、この種の袋は例えば、特許文献1,2に開示されている。
また、上記文献の袋はその縦シール部に一対のノッチ(特許文献1)や、袋自体に一対の切り目線(特許文献2)を有しており、これらノッチ又は切り目線の存在により、袋の開封を容易に行えるようになっている。
【特許文献1】特開平10-86948号公報
【特許文献2】特開2003-246332号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の袋の場合、その開封を確実になすにはその縦シール部のシール強度を弱くする必要があるが、シール強度が弱すぎると、袋の強度不足を招き易いばかりでなく、袋自体の製造も不安定になる虞がある。
また、特許文献2の袋にあっては、その一対の切り目線が袋の幅方向全域に亘って延びているため、これら切り目線から袋が破れ易く、また、切り目線の存在は袋内の気密性を確保するうえでも不利となる。
【0004】
本発明は、上述の事情に基づいてなされたもので、その目的とするところは、破れに対する強度が高く、しかも、容易に開封することができる易開封性袋及びその縦形製袋充填包装機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するため、本発明の易開封性袋(以下、単に袋と称する)は、その横断方向に延びる開封予定線の始端として、袋の一側縁に設けられた開封ノッチと、袋の中央に設けられ、少なくとも一部が縦シール部の一側縁を斜めに横断し且つ開封予定線と交差する中間スリットとを備えている(請求項1)。
上述の袋によれば、開封ノッチから袋が引き裂かれると、この引き裂きは開封予定線に沿って中間スリットまで伝播した後、中間スリットの終端又は折曲端から更に進行する。そして、引き裂きが袋の他側縁に到達したとき、袋は開封予定線から分離され、開封される。
【0006】
好ましくは、袋は、開封ノッチ及び中間スリットに対して袋内の気密性を確保するシール域を更に備えることができ(請求項2)、このシール域は袋が開封されるまでの間、開封ノッチ及び中間スリットの存在に拘わらず、袋内を気密に保持する。
具体的には、縦シール部はフィンシール部であり、そして、中間スリットは、フィンシール部の根元を横切った状態で袋を貫通して形成されている(請求項3)。
【0007】
この場合、開封予定線は、上下の横シール部間に配置されており(請求項4)、より具体的には、上側の横シールの直下に位置付けられている。
上述したシール域は、開封ノッチを囲むサイド融着部と、袋とフィンシール部との間の融着を避け、中間スリットを囲むセンタ融着部とを含むことができ(請求項5)、これらサイド及びセンタ融着部は、袋内が開封ノッチや中間スリットを通じて外部に連通するのを阻止する。
【0008】
更に、上述のシール域は、サイド及びセンタ融着部に加えて開閉可能なジッパーを含むことができ(請求項6)、このジッパーは開封予定線と下側の横シール部との間に配置され、開封予定線に沿って延びている。このようなジッパーは、サイド及びセンタ融着部によるシールを助けるばかりでなく、袋が開封予定線から引き裂かれた後にあっても、袋の開閉を可能にする。
【0009】
上述した袋は縦形製袋充填包装機により製造され、この包装機の横シール装置は、袋の横断方向に延びる開封予定線の始端として、袋一側縁に開封ノッチを形成するノッチカッタと、袋の中央に、少なくとも一部が縦シール部の一側縁を斜めに横断し且つ開封予定線と交差する中間スリットを形成するスリットカッタとを更に含んでいる(請求項7)。
包装機は、縦シールとしてのフィンシール部を形成する縦シール装置を備えており、そして、横シール装置は横シール部の形成時、フィンシール部を袋の外面に折り返し、この際、スリットカッタは、その一部がフィンシール部の根元を横切るような中間スリットを形成する(請求項8)。
【0010】
更に、包装機は、開封ノッチ及び中間スリットに対して袋内の気密性を確保するシール域形成手段を更に備えることができる(請求項9)。具体的には、シール域形成手段は、横シール装置にそれぞれ設けられ、開封ノッチの周囲を融着させるサイドスポットシーラ部と、袋とフィンシール部との間の融着を避け、中間スリットの周囲を融着させるセンタスポットシーラ部とを含む(請求項10)。
【0011】
更に、シール域形成手段は、前記袋の前記開封予定線と下側の横シール部との間に前記開封予定線に沿って延びる開閉可能なジッパーを装着するジッパ取付け装置を含むことも可能である(請求項11)。
上述の包装機によれば、横シール部の形成と同時に、袋に対して開封ノッチ及び中間スリットが形成され、また、これら開封ノッチ及び中間スリットとともにサイド及びセンタ融着部もまた形成される。
【発明の効果】
【0012】
請求項1〜5の袋は、開封ノッチ及び中間スリットが袋の幅方向に互いに離間して配置されているので、破れに対する耐性は高く、また、袋の縦シール部がフィンシール部であっても、袋が開封ノッチから引き裂かれると、その引き裂きはフィンシール部の存在に拘わりなく、開封ノッチから開封予定線に沿って袋の他側縁まで確実に伝播し、袋の開封を容易に行うことができる。また、開封ノッチ及び中間スリットを囲むサイド及びセンタ融着部は袋内の気密に保持する。請求項6の袋は引き裂きによる開封後にあっても、ジッパーを介して開閉可能である。
【0013】
請求項7〜10の縦形製袋充填包装機は、その横シール装置にノッチカッタやスリットカッタ等を付加するだけで、請求項1〜5の袋を容易に製造することができ、請求項11の包装機は、請求項6の袋を製造することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1及び図2は、一実施例の易開封性を備えた袋を示す。
一実施例の袋2は、焙煎処理されたコーヒー豆やその粉末等の収容に好適し、その包材には横1軸延伸フィルムが使用されている。
より詳しくは、袋2はチューブ形状をなし、その中央に縦シール部としてのフィンシール部4と、上下に横シール部としてのトップシール部6及びボトムシール部8とを有する。これらトップ及びボトムシール部6,8の形成に伴い、フィンシール部4は袋2の外面側に折り込まれるが、しかしながら、袋2の外面に溶着されることはない。また、一実施例の袋2はその内部に開閉可能なジッパー10を備えており、このジッパー10はトップシール部6の下側に配置され、袋2の幅方向に延びている。より詳しくは、ジッパー10は互いに噛み合う凹凸のジッパテープからなり、これらジッパテープが袋2の内面にそれぞれヒートシールを介して貼り付けられている。
【0015】
更に、一実施例の袋2は、トップシール部6とジッパー10との間に開封予定線を有し、この開封予定線は袋2の横軸方向、つまり、その幅方向に延びている。具体的には、袋2の両側縁にはV字状の開封ノッチ12,14がそれぞれ形成され、これら開封ノッチ12,14は開封予定線の始端を形成する。また、袋2の中央には中間スリット16が形成されており、この中間スリット16は、フィンシール部4の根元を斜めに横切っている。
【0016】
更に詳しくは、中間スリット16はその下端部にて、開封ノッチ12から延びる開封予定線と交差し、また、上端部にて開封ノッチ14から延びる開封予定線と交差すべく、その長さが設定されているが、中間スリット16の上端部がフィンシール部4の先端縁に到達することはない。それ故、図2から明らかなように開封ノッチ12,14は袋2の縦方向に互いにずれて配置されている。
【0017】
更に、開封ノッチ12,14の周囲にはシール域としてのサイド融着部18がそれぞれ形成され、そして、中間スリット16の周囲にもシール域としてのセンタ融着部20が形成されている。なお、図中、サイド及びセンタ融着部18,20は斜線を施して示され、図2中、フィンシール部はその一部を切り欠いて示してある。
サイド及びセンタ融着部18,20は袋2の表裏の内面を互いに溶着し、袋2内が開封ノッチ12,14や中間スリット16を通じて外部に連通するのを阻止する。しかしながら、サイド及びセンタ融着部18,20のシール強度は、フィンシール部4やトップ及びボトムシール部6,8のシール強度に比べて弱く、前述した横1軸延伸フィルムの引き裂き性を阻害することはない。
【0018】
更に、中間スリット16及びセンタ融着部20に関して更に詳述すると、中間スリット16はフィンシール部4が袋2の外面に折り込まれた状態で形成されるため、中間スリット16の一部は、図3に示されるようにフィンシール部4及び袋2の双方を貫通して形成される。そして、センタ融着部20は、袋2を貫通する中間スリット16の周囲のみに形成され、センタ融着部20がフィンシール部4を袋2の外面に溶着することはない。
【0019】
上述した袋2によれば、例えば、袋2の一側縁側に位置した開封ノッチ12から袋2を引き裂くと、この引き裂きAは図4中の矢印に示されるように開封予定線に沿い中間スリット16まで伝播する。この後、引き裂きAは、フィンシール部4及び袋2の双方に存在する中間スリット16の部位の上端、つまり、その終端から開封予定線に沿って更に進行し、図3から明らかなように、一方にてフィンシール部4を分断するともに、他方にて袋2の他側縁に向けて更に伝播し、袋2の他側縁に至る。
【0020】
この結果、袋2のトップシール部6側の部位はフィンシール部4の存在に拘わらず、図5に示されるように開封予定線から分離され、これにより、袋2の開封を容易に行うことができる。この場合、実際の袋2の開封縁は、開封ノッチ12、引き裂きA及び中間スリット16の片側の縁12a,a,16aにて形成される。
また、袋2が開封ノッチ14から引き裂かれる場合、その引き裂きBは図4中の2点鎖線で示すように中間スリット16まで伝播する。そして、前述したようにセンタ融着部20はフィンシール部4と袋2の外面とを溶着していないので(図3参照)、中間スリット16まで伝播した引き裂きBは中間スリット16からフィンシール部4の先端縁及び開封ノッチ12側のそれぞれに向けて更に進行し、これにより、袋2を同様にして開封することができる。
【0021】
なお、図6中の(a)(b)は、左右の開封ノッチ12,14の何れからでも、袋2の開封が可能であることを矢印により示している。
袋2の開封ノッチ12と中間スリット16との間、また、開封ノッチ14と中間スリット16との間には切込み線が存在していないので、袋2の強度は高く、開封ノッチ12又は14から袋2が不用意に裂けてしまうことはない。
【0022】
また、袋2の開封前には、開封ノッチ12,14及び中間スリット16はサイド融着部18及びセンタ融着部20により囲まれ、しかも、袋2内にはジッパー10が装着されているので、袋2内が開封ノッチ12,14や中間スリット16を通じて外部に連通することはなく、また、袋2が引き裂いて開封された後にも、袋2内の充填物はジッパー10を通じて取出し可能であるから、袋2内の充填物を湿気等から確実且つ長期に亘って保護することができる。
【0023】
更に、サイド及びセンタ融着部18,20は、開封ノッチ12,14からの不用意な裂けを防止するのにも有効となる。
更にまた、一実施例の袋2はその両側縁に開封ノッチ12,14を有し、そして、フィンシール部4が袋2の外面に溶着されていないことから、左右の何れの方向からでも、その開封を容易に行うことができる。
【0024】
本発明は、図1及び図2に示した一実施例の袋2に限らず、種々の変形が可能である。
図7は、変形例の袋2を示す。図7の袋2の場合、中間スリット16はその下端から延びる延長スリット部22を有し、延長スリット部22は中間スリット16を略V字形に形成する。このようなV字状の中間スリット16にあっても、一実施例の中間スリット16と同様な機能を発揮する。なお、図7の場合にも、フィンシール部4はその一部を切り欠いた状態で示されている。
【0025】
更に、中間スリット16は図8〜図11に示す形状のものであってもよい。
図8〜図11の中間スリット16はそれぞれ、一部が開いた菱形、扇形、星形及び毬栗形をなし、各図の(a),(b)は、その形状の開口部が上側又は下側に位置付けられている。
図8〜図11の中間スリット16の何れにあっても、その一部がフィンシール部4の根元を斜めに横断し、そして、開封予定線と交差して配置されている。この場合、中間スリット16まで伝播した引き裂きは、中間スリット16の何れかの折曲端から更に進行することになる。
【0026】
図12は、図1及び図2の袋2を製造する縦形製袋充填包装機を概略的に示す。
この包装機は充填チューブ24を備え、この充填チューブ24の上端は漏斗形状をなしている。充填チューブ24の上部にはフォーマ26が取付けられ、このフォーマ26はフィルムロールRから繰り出される横1軸延伸フィルムFが通過する際、このフィルムFを充填チューフ24の回りに円筒状に成形し、そして、円筒状フィルムFは充填チューブ24に沿って下方に導かれている。また、フォーマ26の直下にはフィルムガイド(図示しない)が配置され、このフィルムガイドは円筒状フィルムFの両側縁を合掌形態、即ち、フィン形態にして重ね合わせる。
【0027】
充填チューブ24とフィルムロールRとの間のフィルム繰出し経路には、前述したジッパー10となるジッパテープGTの供給装置28が配置され、この供給装置28はフィルムFの繰出し方向に所定の間隔を存してジッパテープGTをフィルムFに仮止め接着する。
一方、フォーマ26の下方には、充填チューブ24の両側に一対のフィルムフィーダ30が配置され、これらフィルムフィーダ30はそのサクションベルトに円筒状フィルムFを吸着し、充填チューブ24に沿って繰り出す(図1には片側のフィルムフィーダ30のみを図示)。
【0028】
また、充填チューブ24の周方向でみて、一対のフィルムフィーダ30間に縦シール装置32が配置され、この縦シール装置32は開閉可能な一対のヒータブロック34を有する。これらヒータブロック34は充填チューブ24の軸線方向に延び、円筒状フィルムFにおけるフィン形態の両側縁を挟持し、この両側縁をヒートシールすることでフィンシール部を形成する。従って、円筒状フィルムFの繰出しに伴い、円筒状フィルムFの両側縁が縦シール装置32を通過すれば、円筒状フィルムFに袋2のフィンシール部4となるフィンシール帯が連続的に形成される。
【0029】
充填チューブ24の下側には横シール装置36が配置され、この横シール装置36もまた開閉可能な一対のヒータブロック38a,38bを有する。これらヒータブロック38は水平方向に延び、互いに接離する方向に移動することで、円筒状フィルムFをそのジッパーテープGTの上側にて挟み付ける。この際、横シール装置36は円筒状フィルムFをヒートシールし、円筒状フィルムFに袋2のボトム及びトップシール部8,6となる横シール帯を上下に形成する。
【0030】
ここで、横シール帯の形成に先立ち、フィンシール帯は折込みガイド(図示しない)により円筒フィルムFに向けて折り込まれ、円筒フィルムFは一対のヒータブロック38間にフィンシール帯とともに挟み付けられる。
また、横シール帯の形成と同時に、円筒状フィルムF内には充填チューブ24内を通じて充填物品が充填される。このため、図12には示されていないが、充填チューブ24の上方には充填物品の調量供給装置が配置されている。
【0031】
更に、図13に示されるように一方のヒータブロック38bには切断ナイフ40が突没可能に収容され、他方のヒータブロック38bには切断ナイフ40を受け入れるナイフ溝42が形成されている。切断ナイフ40は上下の横シール帯を形成するヒータブロック38bの加熱挟持面44間に配置されている。なお、ヒータブロック38aにも、加熱挟持面44に対応する加熱挟持面がそれぞれ形成されていることは言うまでもない。
【0032】
横シール帯の形成後、切断ナイフ40は図14に示されるようにヒータブロック38bからヒータブロック38aのナイフ溝42内に突出し、横シール帯、即ち、ボトムシール部8とトップシール部6との間にて円筒状フィルムFを切断する。
また、ヒータブロック38bには、トップシール部6を形成する加熱挟持面44の下側に、一対のノッチカッタ46及びスリットカッタ48がそれぞれ突没可能に収容されている。一対のノッチカッタ46はヒータブロック36bの両側に配置され、スリットカッタ48はヒータブロック36bの中央に配置されている。
【0033】
一方、ヒータブロック38aには、ノッチカッタ46及びスリットカッタ48をそれぞれ受け入れ可能なカッタ溝が形成されている。なお、図13中には、片側のノッチカッタ46に対するカッタ溝50のみが示されている。
更に、ヒータブロック38bには、ノッチカッタ46及びスリットカッタ48の突没を許容する収納口を囲むようにして、シール域形成手段、つまり、サイドスポットシーラ部52及びセンタスポットシーラ部54がそれぞれ形成されており、また、ヒータブロック38aにも、シーラ部52,54に対応したシーラ部(図示しない)がそれぞれ形成されている。
一対のヒータブロック38のサイドスポットシーラ部52及びセンタスポットシーラ部54は、横シール装置3が閉じられたとき、円筒状フィルムFを横シール帯の下側にて部分的に挟持し、前述した袋2のサイド融着部16及びセンタ融着部18をそれぞれ形成する。
【0034】
また、サイド及びセンタ融着部16,18の形成後、ノッチカッタ46及びスリットカッタ48は切断ナイフ40に連動してヒータブロック38bから突出し、円筒状フィルムFに開封ノッチ12,14及び中間スリット16を形成する。
更に、図12に示されているように、横シール装置36の直下にはジッパー取付け装置56が配置され、このジッパー取付け装置56もまた一対のヒータブロック58を有する。これらヒータブロック58は横シール装置36の作動と同時に、円筒状フィルムFを介してジッパテープGTを挟持し、ジッパテープGTを円筒フィルムFの内面にヒートシールして本付けする。
【0035】
なお、図15は、横シール装置36の上下の加熱挟持面44、サイド及びセンタスポットシーラ部52,54並びにジッパー取付け装置56により、円筒状フィルムFに対して形成されるヒートシール域60,62,64,66,68にそれぞれ斜線を施して示す。図15から明らかなように、ジッパテープGTに対するヒートシール域68は円筒状フィルムFの繰出し方向でみて下流側に位置したジッパテープGTのフランジ及びその両端部に設定されている。なお、上流側のジッパテープGTのフランジは前述した供給装置28にて既に仮止めされた状態にある。
【0036】
上述の説明から既に明らかなように、円筒状フィルムFの繰出しに伴い、横シール装置36及びジッパー取付け装置56の作動と充填物品の充填とが交互に繰り返されることで、図1,2に示した袋2が連続的に製造され、この製造は横シール装置36にノッチカッタ46、スリットカッタ48及びスポットシーラ部52,54を付加するだけで可能であり、包装機の大幅な変更を伴うことはない。
【0037】
袋2に図7〜図11に示すような形状の中間スリット16を形成するには、スリットカッタ48をその中間スリット16に応じた形状のスリットカッタに交換すればよい。
また、図14に示す切断ナイフ40はその刃先がストレートであるが、図16に示すように、その刃先は波形をなしていてもよい。
更に、開封ノッチ12,14はその一方のみが袋2に備えてられていてもよいし、また、縦シール部はフィンシール部4に限らず、いわゆる封筒貼り(ラップ貼り)の形態であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】一実施例の袋を示した斜視図である。
【図2】図1の袋を一部切り欠いて示した正面図である。
【図3】図1の袋の一部を拡大して示した斜視図である。
【図4】図2の袋を開封する手順を示した図である。
【図5】開封後の袋の一部を示した図である。
【図6】袋の開封方向を示す図であり、(a)は左から右に開封される場合、(b)は右から左に開封される場合を示す。
【図7】変形例の袋を一部切り欠いて示した正面図である。
【図8】一部が開いた菱形の中間スリットを示し、(a)は上向きに開いた中間スリット、(b)は下向きに開いた中間スリットをそれぞれ示す。
【図9】一部が開いた扇形の中間スリットを示し、(a)は上向きに開いた中間スリット、(b)は下向きに開いた中間スリットをそれぞれ示す。
【図10】一部が開いた星形の中間スリットを示し、(a)は上向きに開いた中間スリット、(b)は下向きに開いた中間スリットをそれぞれ示す。
【図11】一部が開いた毬栗形の中間スリットを示し、(a)は上向きに開いた中間スリット、(b)は下向きに開いた中間スリットをそれぞれ示す。
【図12】図2の袋を製造する縦形製袋充填包装機を示した概略斜視図である。
【図13】図1の包装機の横シール装置を示した斜視図である。
【図14】図13の一方のヒータブロックをその切断ナイフが突出した状態で示す斜視図である。
【図15】図13の横シール装置及びジッパシール装置のヒートシール域を示した図である。
【図16】変形例の切断ナイフの一部を示した図である。
【符号の説明】
【0039】
2 袋
4 フィンシール部(縦シール部)
6 トップシール部(横シール部)
8 ボトムシール部(横シール部)
10 ジッパー
12,14 開封ノッチ
16 中間スリット
18 サイド融着部(シール域)
20 センタ融着部(シール域)
36 横シール装置
46 ノッチカッタ
48 スリットカッタ
52 サイドスポットシーラ部
54 センタスポットシーラ部
56 ジッパー取付け装置
【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填物を収容するために、上下の横シール部及び中央の縦シール部を備えた袋において、
前記袋の横断方向に延びる開封予定線の始端として、前記袋の一側縁に設けられた開封ノッチと、
前記袋の中央に設けられ、少なくとも一部が前記縦シール部の一側縁を斜めに横断し且つ前記開封予定線と交差する中間スリットと
を具備したことを特徴とする易開封性袋。
【請求項2】
前記開封ノッチ及び前記中間スリットに対し、前記袋内の気密性を確保するシール域を更に具備したことを特徴とする請求項1に記載の易開封性袋。
【請求項3】
前記縦シール部はフィンシール部であり、
前記中間スリットは、前記フィンシール部の根元を横切った状態で前記袋を貫通して形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の易開封性袋。
【請求項4】
前記開封予定線は、前記上下の横シール部間に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の易開封性袋。
【請求項5】
前記シール域は、
前記開封ノッチを囲むサイド融着部と、
前記袋と前記フィンシール部との間の融着を避けて、前記中間スリットを囲むセンタ融着部と
を含むことを特徴とする請求項2に記載の易開封性袋。
【請求項6】
前記シール域は、前記開封予定線と前記下側の横シール部との間に配置され、前記開封予定線に沿って延びる開閉可能なジッパーを含んでいることを特徴とする請求項2又5に記載の易開封性袋。
【請求項7】
中央の縦シール部及び上下の横シール部を備えた袋を包材フィルムから成形する過程にて、前記袋内に充填物を充填する縦形製袋充填包装機において、
前記横シール部を形成する横シール装置を備え、
前記横シール装置は、
前記袋の横断方向に延びる開封予定線の始端として、前記袋一側縁に開封ノッチを形成するノッチカッタと、
前記袋の中央に、少なくとも一部が前記縦シール部の一側縁を斜めに横断し且つ前記開封予定線と交差する中間スリットを形成するスリットカッタと
を含むことを特徴とする縦形製袋充填包装機。
【請求項8】
前記縦シールとしてのフィンシール部を形成する縦シール装置を備え、
前記横シール装置は前記横シール部の形成時、前記フィンシール部を前記袋の外面に折り返し、この際、前記スリットカッタは、その一部が前記フィンシール部の根元を横切るような中間スリットを形成することを特徴とする請求項7に記載の縦形製袋充填包装機。
【請求項9】
前記開封ノッチ及び前記中間スリットに対し、前記袋内の気密性を確保するシール域形成手段を更に具備したことを特徴とする請求項8に記載の縦形製袋充填包装機。
【請求項10】
前記シール域形成手段は、
前記横シール装置にそれぞれ設けられ、前記開封ノッチの周囲を融着させるサイドスポットシーラ部と、前記袋と前記フィンシール部との間の融着を避け、前記中間スリットの周囲を融着させるセンタスポットシーラ部とを含むことを特徴とする請求項9に記載の縦形製袋充填包装機。
【請求項11】
前記シール域形成手段は、前記袋の前記開封予定線と下側の横シール部との間に前記開封予定線に沿って延びる開閉可能なジッパーを装着するジッパ取付け装置を含む請求項9又は10に記載の縦形製袋充填包装機。
【請求項1】
充填物を収容するために、上下の横シール部及び中央の縦シール部を備えた袋において、
前記袋の横断方向に延びる開封予定線の始端として、前記袋の一側縁に設けられた開封ノッチと、
前記袋の中央に設けられ、少なくとも一部が前記縦シール部の一側縁を斜めに横断し且つ前記開封予定線と交差する中間スリットと
を具備したことを特徴とする易開封性袋。
【請求項2】
前記開封ノッチ及び前記中間スリットに対し、前記袋内の気密性を確保するシール域を更に具備したことを特徴とする請求項1に記載の易開封性袋。
【請求項3】
前記縦シール部はフィンシール部であり、
前記中間スリットは、前記フィンシール部の根元を横切った状態で前記袋を貫通して形成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の易開封性袋。
【請求項4】
前記開封予定線は、前記上下の横シール部間に配置されていることを特徴とする請求項3に記載の易開封性袋。
【請求項5】
前記シール域は、
前記開封ノッチを囲むサイド融着部と、
前記袋と前記フィンシール部との間の融着を避けて、前記中間スリットを囲むセンタ融着部と
を含むことを特徴とする請求項2に記載の易開封性袋。
【請求項6】
前記シール域は、前記開封予定線と前記下側の横シール部との間に配置され、前記開封予定線に沿って延びる開閉可能なジッパーを含んでいることを特徴とする請求項2又5に記載の易開封性袋。
【請求項7】
中央の縦シール部及び上下の横シール部を備えた袋を包材フィルムから成形する過程にて、前記袋内に充填物を充填する縦形製袋充填包装機において、
前記横シール部を形成する横シール装置を備え、
前記横シール装置は、
前記袋の横断方向に延びる開封予定線の始端として、前記袋一側縁に開封ノッチを形成するノッチカッタと、
前記袋の中央に、少なくとも一部が前記縦シール部の一側縁を斜めに横断し且つ前記開封予定線と交差する中間スリットを形成するスリットカッタと
を含むことを特徴とする縦形製袋充填包装機。
【請求項8】
前記縦シールとしてのフィンシール部を形成する縦シール装置を備え、
前記横シール装置は前記横シール部の形成時、前記フィンシール部を前記袋の外面に折り返し、この際、前記スリットカッタは、その一部が前記フィンシール部の根元を横切るような中間スリットを形成することを特徴とする請求項7に記載の縦形製袋充填包装機。
【請求項9】
前記開封ノッチ及び前記中間スリットに対し、前記袋内の気密性を確保するシール域形成手段を更に具備したことを特徴とする請求項8に記載の縦形製袋充填包装機。
【請求項10】
前記シール域形成手段は、
前記横シール装置にそれぞれ設けられ、前記開封ノッチの周囲を融着させるサイドスポットシーラ部と、前記袋と前記フィンシール部との間の融着を避け、前記中間スリットの周囲を融着させるセンタスポットシーラ部とを含むことを特徴とする請求項9に記載の縦形製袋充填包装機。
【請求項11】
前記シール域形成手段は、前記袋の前記開封予定線と下側の横シール部との間に前記開封予定線に沿って延びる開閉可能なジッパーを装着するジッパ取付け装置を含む請求項9又は10に記載の縦形製袋充填包装機。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2006−36286(P2006−36286A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−220194(P2004−220194)
【出願日】平成16年7月28日(2004.7.28)
【出願人】(000151461)株式会社東京自働機械製作所 (106)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月28日(2004.7.28)
【出願人】(000151461)株式会社東京自働機械製作所 (106)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]