説明

有機カーボネートの製造方法

好ましくは、表面ヒドロキシル基を有する多孔質材料表面に担持された周期表のIV、V及びVl族からの2つ〜4つの元素の酸化物、水酸化物、オキシヒドロキシドまたはアルコキシドからなる群から選択される固体触媒組成物の存在下で、二重蒸気/液相態様で、エステル交換反応及び不均化反応を実行することによる様々な有機カーボネートの製造方法、並びに、失活した触媒を、ベンゼンまたはTHFのような溶媒中のヒドロキシ含有化合物の溶液と接触させることによる、ポリマー堆積によって失活した触媒を再活性化する方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、平衡によって制限される化学反応を実行することと、含まれる様々な化合物を分離することとによる、様々な有機カーボネートの製造方法に関する。平衡条件よりも高い転化を実現することは、より良好な経済的報酬のために非常に望ましい。本発明は、化学反応の平衡位置を移動させて、より高い転化を実現する方法を開示する。
【背景技術】
【0002】
ジアリールカーボネート、例えば炭酸ジフェニル(DPC)、は、ポリカーボネートの製造のための重要な原料である。該当技術の現在の状態は、多数の反応器及び均一系触媒の例えばチタンアルコキシドを用いることによって、DPCを炭酸ジメチル(DMC)及びフェノールから2段階で製造する。以下の3つの反応が、DPCを製造する際に関与する。
【0003】
【化1】

【0004】
上記の反応の各々の場合に、平衡ははるかに左側にあるが、本発明の目的は、平衡を右に移動させることにある。
J. L. R. Williams et al. (J. Org. Chem., 24 (1 ) pp. 64-68, 1959)は、非対称のカーボネートの例えばメチルフェニルカーボネート(MPC)及び対称のカーボネートの例えばジベンジルカーボネートの不均化を、適切な均一系触媒、特に金属アルコキシドの存在下で実行できることを発見した。しかしながら、反応は、多数の望ましくない副反応の例えばカーボネート化合物から二酸化炭素への分解、重合、オレフィン、及びエーテルの形成を伴う。著者らは、反応のコースは、カーボネートの構造及び触媒に依存し、より多くのアルカリ性触媒は、アルキルフェニルカーボネートの不均化の場合、穏やかに酸性の触媒の例えばチタンブトキシドよりも多くの副反応を助長すると結論している。アルキルフェニルエーテルは、主要な望ましくない副産物である。
【0005】
米国特許第4,045,464号(1977)は、式:AlX、TiX、UX、TiX、VOX、VX、及びSnX[式中、Xは、ハロゲン、アセトキシ、アルコキシまたはアリールオキシ基である。]の均一なルイス酸触媒の存在下での、反応(3)を経るフェニルアルキルカーボネートからのジアリールカーボネートの製造方法を開示している。エチルフェニル(EPC)またはMPCの不均化を、180℃で95%選択率で均一なチタン触媒の存在下で実行することによって、DPCを製造した。
【0006】
米国特許第4,554,110号(1985)は、高分子スズ化合物を含む触媒の存在下での、炭酸ジアルキル及びフェノールからの芳香族カーボネートの改良された製造方法を開示している。ジアリールカーボネートを、アルキアリールカーボネートの不均化を実行することによって製造する。
【0007】
米国特許第5,210,268号(1993)は、2つの反応帯域において様々なエステル交換反応を実行することによるジアリールカーボネートの製造方法を開示している。芳香族カーボネート混合物を、第1の段階において、炭酸ジアルキル、アルキルアリールカーボネート及びこれらの混合物、及び芳香族ヒドロキシ化合物の間のエステル交換反応によって製造する。ジアリールカーボネートを主に、第2の段階において、アルキルアリールカーボネートの不均化を実行することによって製造する。この特許は、好ましくない平衡を解決する方法を開示している。均一系触媒または固体触媒の存在下で反応物を連続多段蒸留塔に供給し、同時に、生成した芳香族カーボネート混合物を高沸点生成物として蒸留塔の下部から連続的に取り出し、軽質副産物の例えば脂肪族アルコールまたは炭酸ジアルキルを蒸気流れとして蒸留塔の上部から連続的に取り出すことによって、エステル交換反応を反応性蒸留態様で実行する。アルキルアリールカーボネートからジアリールカーボネート及び炭酸ジアルキルへの不均化も同様に実行する。ジアリールカーボネートを、多数の多段蒸留塔を利用してエステル交換反応及び不均化を順次実行することによって連続的に製造する。
【0008】
米国特許第5,872,275号(1999)及び同第6,262,210号(2001)は、液体均一系触媒の存在下での、炭酸ジアルキル及び芳香族ヒドロキシ化合物からのジアリカーボネートの製造方法、並びに、重質高沸点副産物を除去し、再循環のために触媒を再生する方法を開示している。
【0009】
米国特許第6,093,842号(2000)は、触媒の存在下で3つの反応物流れを抽出/反応性蒸留塔中に導入することによる、炭酸ジアルキル、芳香族ヒドロキシ化合物及びアルキルアリールカーボネートを含む混合溶液からのジアリールカーボネートの製造方法を開示している。触媒の例は、鉛化合物、銅化合物、アルカリ金属化合物、ニッケル化合物、ジルコニウム化合物、チタン化合物、バナジウム化合物等である。副産物は、CO2、アニソール、ベンゾアート及び重質材料である。
【0010】
米国特許第5,426,207号(1995)は、3つの連続した反応帯域において、均一系触媒の存在下で芳香族ヒドロキシ化合物を用いたDMCのエステル交換反応及びアルキルアリールカーボネートの不均化を行うことによる、ジアリールカーボネートの例えばDPCの製造方法を開示している。第1及び第2の反応帯域においてアルキルアリールカーボネートの形成を最大にし、同時に、不均化が第3の反応帯域において好ましいように、条件を選択する。
【0011】
米国特許第6,767,517号(2004)は、ジアリールカーボネートの連続製造方法を開示している。この方法は、3つの反応性蒸留塔反応器並びに中間反応生成物及び最終生成物の分離のための2つの精留塔を使用する。
【0012】
ジアリールカーボネートの製造のために均一系触媒を使用することに関連する欠点を軽減するために、米国特許第5,354,923号(1994)及び同第5,565,605号(1996)、及びWO 03/066569(2003)は、不均一系触媒を開示している。
【0013】
WO 03/066569は、2段階で酸化チタンをシリカ(直径3mm)表面に担持することによって製造された不均一系触媒の存在下で、芳香族カーボネートの例えばDPCを連続的に製造する方法を開示している。
【0014】
JP 79,125,617(1979)及びJP出願NO HEI 07[1995]-6682は、無機担体の例えばシリカ、ジルコニアまたはチタニア表面に担持されたMoOまたはVの存在下でのDMCからMPCへのフェノールを用いたエステル交換反応及びMPCからDPCへの不均化による炭酸ジフェニルの製造のための不均一系触媒を開示している。エステル交換反応及び不均化を、反応器及び蒸留塔からなる反応器−蒸留塔において、蒸留による副産物の除去と共に実行する。
【0015】
Z.-H. Fu et al.による発表(J Mol. Catal. A: Chemical 118, (1997) pp. 293-299)は、様々な不均一系金属酸化物触媒の存在下での、DMC及びフェノールからの炭酸ジフェニルの合成を報告している。最高の選択率は、シリカ表面に担持されたMoO(20重量%の最適負荷)触媒の場合に報告されている。
【0016】
現在のDPC方法の多くの欠点が理由となって、改良された方法は、材料を節約すること、より廉価な構成コスト、より少ないエネルギーを消費すること、及びプラント稼働コストのために非常に望ましい。従来技術は触媒寿命に対処していないが、全ての不均一系触媒は最終的には失活し、役に立たなくなる。不均一系触媒は、そのサイクル及び運用時間が十分に長いかまたは触媒をインシトゥで深刻な財政上のコスト無しに若返らせることができるならば、工業用に実際的であるのみである。従って、触媒失活及び再生方法の問題は、従来技術の工業的適用を阻むかなりの障害であるままである。
【発明の開示】
【0017】
本発明は、二重相反応器(dual phase reactor)中で固体触媒の存在下でエステル交換反応及び不均化反応を実行することによる様々な有機カーボネートの製造方法に関する。本方法は、有機カーボネートを含む平衡制限化学反応(equilibrium limited chemical reaction)を実行するために有益であり、ここで、気相及び液相の両方が平衡位置を平衡反応の右側に移動させるために共存しなければならず、それによって高い転化をもたらす。化学反応を1つまたは多数の不均一系触媒の存在下で実行する。
【0018】
本発明において開示する好ましい固体触媒は、表面ヒドロキシル基を有する多孔質材料の例えばシリカ表面に担持された周期表のIV、V及びVl族からの2つ〜4つの異なる元素、好ましくはTi、Zr、Hf、Nb、Ta、Mo、V、Bi及びSiで構成される混合酸化物触媒である。IV及びV族金属アルコキシド、例えばチタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、バナジウムアルコキシド、ニオブアルコキシド、VO(OR)またはオキソアルコキシドのオリゴマー、及びその他同様なものの担持型金属アルコキシドまたは混合金属アルコキシド触媒は、好ましい触媒群を構成する。本方法において利用するエステル交換反応触媒及び不均化触媒は、同一または異なってよい。
【0019】
一般に、不均一系触媒は、均一系触媒を再循環する際に伴う困難が理由となって均一系触媒と比較してより望ましい。しかしながら、全ての不均一系触媒は最終的には失活する。失活した触媒は、過度に多い困難無しに新しい触媒と交換するかまたはインシトゥで再生しなければならない。
【0020】
本発明のためには、“二重相態様”という用語は、“反応性蒸留”、“接触蒸留”、沸騰及び同時反応並びに塔中の分別蒸留を含む蒸気及び液相を実現する手段にかかわらず、反応帯域において存在する液相及び蒸気相の両方を有する任意の方法を意味する。“処理済み担体(treated support)”または“処理済みシリカ”という用語は、本明細書において説明する触媒の製造のために、与えられた表面積に対して表面ヒドロキシル基の最適化された占有数を有する担体を意味すると理解される。
【0021】
好適な具体例においては、ジアリールカーボネートの製造方法は;
(a)一次及び二次反応帯域を含む複数の反応帯域と;
(b)前記一次反応帯域に炭酸ジアルキル及び芳香族ヒドロキシ化合物を供給することと;
(c)一次反応帯域を、アルキルアリールカーボネートの形成に役立つ二重相及び反応条件下で維持することと;
(d)表面ヒドロキシル基を有する多孔質材料表面に担持された周期表のIV、V及びVl族からの2つ〜4つの元素からなる群から選択される固体触媒の存在下で、芳香族ヒドロキシ化合物を用いて炭酸ジアルキルにエステル交換反応を行うことと;
(e)二重相生成物流れを一次反応帯域から回収することと;
(f)二重相生成物流れを(e)から分離して、蒸気状アルキルアルコール及び液体アルキルアリールカーボネートを回収することと;
(g)二次反応帯域を、アルキルアリールカーボネートから炭酸ジアルキルへの不均化に役立つ二重相及び反応条件下で維持することと;
(h)表面ヒドロキシル基を有する多孔質材料表面に担持された周期表のIV、V及びVl族からの2つ〜4つの元素からなる群から選択される固体触媒の存在下で、アルキルアリールカーボネートに不均化を行うことと;
(i)二重相生成物流れを二次反応帯域から回収することと;
(j)二重相生成物流れを(i)から分離して、アリールアルキルカーボネートを含む蒸気状成分及びジアリールカーボネートを含む液体生成物を回収することと;を含む。
【0022】
より好ましくは、以下の追加の工程を実行する:
(k)蒸留によってジアリールカーボネートを分離することと、
(I)アリールアルキルカーボネートを二次反応帯域に再循環すること。
【0023】
担体は表面ヒドロキシル基を有するべきであることは重要である。シリカは好ましい担体である。好ましくは担体は処理済み担体である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
方法の改良は、二重相反応器を導入して、エステル交換反応及び不均化を実行してDPCの製造のための以下のプロセス条件を確立することによってなされた:
(1)本質的にエタノールを含まない流れをエステル交換反応反応器に供給する;
(2)不均化反応器への供給物流れ中のDECを最小にする;
(3)フェノール対EPCのモル比は0.2を超え、好ましくは約0.3を超え、最も好ましくは約0.35を超えるように、フェノールの存在下でエステル交換反応を実行する;
(4)フェノールの存在下で、フェノール対DPCのモル比0.05〜10、好ましくは0.1〜6の範囲内で及びフェノール対EPCのモル比0.01〜6で、不均化を実行する;
(5)所望により、微量の水を、最高0.3重量%まで、好ましくは最高0.1重量%までの量で不均化触媒反応帯域中に導入する、
(6)DEC/エタノール共沸混合物の無いことを利用して、DECをエタノールから分離する;
(7)触媒反応帯域においてコールドスポットを本質的に無くす;
(8)触媒再循環、触媒分離、及び補給触媒の連続的な添加を無くす;
(9)反応物及び生成物の有効な混合;及び
(10)好ましくは、反応帯域において蒸気及び液相の両方の存在を維持して、低沸点反応生成物を気相中に除去して、平衡定数によって制限されない高い転化を得る。
【0025】
固定床反応器は二重相態様で稼働し、これは、二重相反応器の触媒反応帯域において沸騰条件を生じる反応帯域における蒸気及び液体の両方の共存は望ましいことを意味する。しかし、沸騰条件下で二重相反応器を稼働することは、気相及び液相の両方が反応帯域において共存する限りは必要ではない。
【0026】
二重相反応器中の流れの方向は、下降流または上昇流とすることができる。下降流が好ましい。また、固定床二重相反応器は再循環ループを有する。下降流沸点反応器は、好ましくは、触媒床の頂部よりも触媒床の底部でのより低い圧力を意味する負の圧力低下(negative pressure drop)を有するように稼働する。負の圧力低下は、触媒反応帯域において固定不均一系触媒床を通る蒸気−液体混合物の高い質量流量によって生じる。負の圧力低下は望ましいが、必要ではない。約0.2psi/ft以上の圧力低下は好ましい。
【0027】
沸点条件下での二重相反応器の稼働は、従来の固定床反応器の稼働にまさる幾つかの利点を有し、すなわち:
−触媒反応帯域においてバルク相から触媒粒子中への反応物の物質輸送及び成形済み触媒パレットの内側細孔からの反応生成物の輸送、
−バルク相における反応物及び生成物の横方向の混合、
−吸熱または発熱反応の場合に、触媒反応帯域において全く無いかまたは無視できる温度低下またはホットスポットの現れ、
−軽質反応生成物を液体反応媒質から気相中に除去し、これは好都合な平衡方向をもたらす。
【0028】
触媒反応帯域において与えられた反応温度及び流量で、触媒反応帯域における沸騰反応条件は圧力を制御することによって生じ、これは、反応媒質の組成によって決定される。反応物または生成物の沸点が意図した反応温度に近いかまたはより高い場合、所望により、触媒反応帯域においてより良好な沸騰条件を生じるためにより低沸点の溶媒を使用することを選択してよい。
【0029】
本発明は、反応生成物の沸点が反応温度よりも高いかまたは反応温度に近すぎ、その結果、反応帯域において反応条件下で、全く無いかまたは不十分な気相体積が存在するであろう反応のために特に有用である。このような反応の例は、エチルフェニルカーボネート若しくはメチルフェニルカーボネートの不均化によって炭酸ジフェニルを製造すること、または、2−エチル−1−ヘキサノールを用いたアルキルカーボネートのエステル交換反応によってビス−(2−エチル−1−ヘキシル)カーボネートを製造することを含む。好ましい反応温度は、約200〜400°Fである。DMC及びDECは約305°Fよりも高い温度で沸騰するので、大型の市販の固定床反応器中で蒸気相を生じることは、比較的に高い液体流量では困難になる。本発明において開示するように二重相反応器中で液体反応混合物の与えられた流量で反応器への蒸気体積の流れを制御することによって、反応帯域において与えられた反応条件で気相の適切な体積を生成し、定常状態反応器稼働を維持することは比較的に容易になる。従来技術にまさって得られたかなりの利点は:
(a)所望の生成物の高い生産性、
(b)所望の生成物の高い選択率、
(c)反応生成物流れからの触媒の分離がないこと、
(d)優れた触媒寿命、
(e)より少ないエネルギー消費及び
(f)失活した触媒の容易な再生。
【0030】
エステル交換反応反応器への供給物は、好ましくは、新しいフェノール及びDEC、並びにDEC、PhOH及びEPCを含む混合再循環流れを含む。エステル交換反応反応器への本質的にエタノールを含まない供給物流れは、フェノールの転化及び高い反応速度のための好都合な条件を生じる。これはまた、不均化反応器への本質的にDECを含まない供給物流れにも当てはまる。触媒反応帯域において事実上コールドスポットが存在せず、これは、一定の反応速度を維持するために重要である。二重相反応器中、エステル交換反応及び不均化反応帯域において蒸気及び液相の両方が存在するので、軽質反応生成物(各反応帯域においてエタノール及びDEC)は蒸発して気相になり、これは、意図した生成物の高い生産性のための好都合な条件を生じる。触媒の存在下で反応物または生成物を不必要に高い温度にさらすことがないので、より少ない望ましくない副産物が存在し、これは、未精製DPC生成物流れを精製するのをより容易に及びより廉価にする。不均化反応帯域への供給物流れは、かなり高沸点の化合物、例えばEPCまたはMPCで構成されることがあるので、窒素、低沸点成分または両方を反応帯域中に導入して、反応帯域において気相の十分な体積を生じる。このような低沸点成分の例は、エチルエーテル、プロピルエーテル、ジメチルエーテル、メタン、エタン、プロパン、ブタン、ヘキサン、ヘプタン、トルエン、及びキシレンである。
【0031】
好ましくは、低沸点成分の全てまたは少なくともかなりの部分を、過熱ガスとして反応帯域中に導入する。エタノール及びDECは共沸混合物を形成しないので、再循環のためのDEC分離は、DPCはDMC及びフェノールから製造される既存の工業的な方法と比較して、より低いエネルギー消費及びより低い構成コストをもたらす。
【0032】
2つまたは3つの反応帯域が存在する。第1の反応帯域において、アルキルアリールカーボネートの例えばEPCを、フェノールを用いたDECのエステル交換反応によって製造する。第2の反応帯域において、DPCを、EPCの不均化を実行することによって製造する。反応帯域は2つの固定床反応器を含む。所望により、3つの反応帯域は、3つの固定床反応器または2つの固定床反応器及び1つの接触蒸留塔反応器を含んでよい。反応器に、1つまたは2つの異なる不均一系触媒を装填する。
【0033】
本発明によって製造される有機カーボネートの例は、DPC、EPC、MPC、DEC、DMC、ビス−(2−エチルヘキシル)カーボネート;及び脂肪酸モノグリセリドカーボネートである。本発明は、炭酸ジフェニル(DPC)をDEC及びフェノールから製造する際に特に有用である。DECは、DPCの製造のための好ましい炭酸ジアルキルであるが、本方法は、DMCまたは任意の他のアルキルカーボネートまたはアルキルアリールカーボネートを使用することによるDPCの製造のためにも有用であることは理解される。
【0034】
接触蒸留塔反応器中でエステル交換反応及び不均化を行う間のリボイラーの過度の加熱を避けるために、低沸点成分または低沸点成分の混合物を直接にリボイラー中にポンプで送ってよい。従って、この技術は、方法において使用される固体触媒及び均一系触媒の両方の場合に、様々な有機カーボネートを製造するための本発明の部分である。この技術は、有機カーボネートの例えばDPC、DEM、及びDECの製造に関して従来技術において開示されていない。
【0035】
好ましい不均一系触媒は、多孔質担体表面に堆積したIV、V及びVl族元素の担持型混合酸化物、水酸化物、オキシヒドロキシド及びアルコキシドである。混合酸化物触媒は、Mo、Nb、Ti、VZr、Bi、及びSiから選択される2つ、3つまたは4つの元素の組合せとしてよい。こうした元素は、酸化物または水酸化物またはオキシヒドロキシド形態で多孔質担体の例えばシリカ、ジルコニア、及びチタニア表面に堆積する。担体は、サイズ約1〜約5mmのペレット、顆粒、押出物、球、及びその他同様なものとすることができる。堆積を単一の段階または多段階で実行することができる。混合酸化物触媒の例は、NbO3−TiO、V2O−TiO、MoO−TiO、TiO−ZrO、Nb−V2O、MoO−V、MoO−ZrO、TiO−ZrO−SiO、TiO−Nb−SiO、MoO−Nb−TiO、V−Nb−TiO、MoO−Nb−SiO、TiO−Bi−SiO、MoO−NbO−ZrO、TiO−Nb−BiO3、MoO−VOs−TiO、TiO−Bi−SiO、MoO−Bi−SiO、TiO−ZrO−Bi−SiO、及びTiO−ZrO−NbO5−Bi−SiOである。
【0036】
こうした混合酸化物触媒を製造するための一般的な手順は、含浸及び共沈またはこうした2つの組合せであり、これを、単一の段階または多段階で実行する。多孔質担体表面または共沈によって製造された混合酸化物担体表面への1つ、2つまたは3つの金属成分の含浸を実行してよい。含浸は、1段階または多段階で実行することができる。
【0037】
粉状形態で得られた共沈生成物及び含浸生成物を、約150〜約600℃の温度で適切な熱処理にさらす。粉状材料を、約1〜5mmの、固定床反応器にとって適切なサイズに成形する。成形済み材料を、200〜約750℃、好ましくは約250〜約600℃の温度で空気中でか焼する。所望により、1つまたは2つの金属成分を、共沈または含浸方法によって粉末形態でまたは成形済み形態で製造された成形済み材料表面に堆積し、次に200〜約750℃、好ましくは約250〜約600℃で空気中でか焼することができる。共沈及び含浸は、水性相中または有機相中、例えば炭化水素、エーテル、ケトン、アルコール、及びこうしたものの混合物中で実行できる。
【0038】
沈殿を有機相中で実行する場合、有機金属化合物を好ましくは使用する。例えば、異なる有機金属化合物の2つの異なる溶液を、沈殿条件下で適切な温度で激しく撹拌すると同時に適切な有機溶媒に加える。時々、ゲル化または沈殿を引き起こすために、加える最中かまたは後に第3の溶液が必要である。第3の溶液の例は、適切な有機溶媒の例えばアルコール、エーテル、ケトン、有機エステル、またはこうしたものの混合物中の、水、塩基性のまたは酸性の水溶液である。別の任意の方法は、激しく撹拌しながら第1の有機金属溶液及び第3の溶液を第2の有機金属溶液に同時に加えることである。必要ならば、沈殿物を、適切な温度形態で約25〜約200℃で30分間〜約30時間、適切な媒質中でエージングさせる。時々、水性媒質中の共沈した生成物を、中性の、穏やかに酸性のまたは塩基性の有機媒質中でエージングさせる。
【0039】
エージング媒質は、エージングされる材料の性質に依存して、少量の水を含んでも含まなくてもよい。エージング媒質は、穏やかに酸性、穏やかに塩基性または中性である可能性がある。エージング済み生成物を、約100〜約400℃の温度で乾燥し、次に約250〜約750℃の温度でか焼する。必要ならば、適切な担体表面への1つまたは2つの元素の含浸を、1つ若しくは2つの有機金属化合物を含む有機溶液または1つ若しくは2つの化合物を含む水溶液を使用することによって実行する。所望により、異なる溶液を使用することによって、多数の含浸を実行することができる。
【0040】
しかしながら、触媒が大型の市販の反応器の稼働のための固定床反応器に適している限りは、従来技術において開示する任意の不均一系触媒を使用することを選択してよい。従来技術において開示する外来の触媒の例は、適切に、酸化チタン、TS−1、Ti−MCM−41、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化ニオブ、酸化鉛、及びMgLa混合酸化物であり、好ましくは本明細書において説明するように担持されている。
【0041】
担体は表面ヒドロキシル基を有するべきであることは重要である。シリカは好ましい担体である。“処理済み担体”または“処理済みシリカ”という用語は、本明細書において説明する触媒の製造のために、与えられた表面積に対して表面ヒドロキシル基の最適化された占有数を有する担体を意味すると理解される。どのようにしてシリカを製造したかに依存して、シリカは、与えられた表面積において十分な数の表面ヒドロキシル基を有しないかもしれない。このようなシリカの場合、シリカを、水性塩基溶液を用いて処理して、さらなる表面ヒドロキシル基を導入し、次に水を用いて十分に洗浄し、続いて使用の前に280〜650℃の温度でか焼する。所望により市販のシリカ担体を再水和することを試みてよい。再水和したシリカを280〜650℃の温度でか焼して、使用の前に表面ヒドロキシル基の占有数密度を最適化する。従って、固体触媒の製造のために使用される好ましいシリカ担体は、“処理済みシリカ”である。好ましい担体、特にシリカ担体のクラスは、担体の物理的健全性(physical integrity)及び強度の劣化無しに最大数のヒドロキシル基を得るように説明するような塩基溶液を用いた処理によって表面ヒドロキシル基を増大させたものである。シリカ担体表面のナトリウム含量を制御することは、芳香族カーボネートの例えばEPC及びDPCの製造のために非常に重要であり、というのは、シリカ表面の塩基性不純物の例えばアルカリ金属酸化物は、望まれていない副反応を引き起こし、触媒不安定性を引き起こす傾向があるからである。シリカ担体表面のアルカリ金属は、触媒性能の不安定性並びにエステル交換反応及び不均化の場合の望ましくない副反応を引き起こし、これは、アルキルアリールカーボネート及びジアリカーボネートを生成する。好ましい“処理済みシリカ”担体は、約0.05重量%未満のNa、好ましくは約0.03重量%未満のNaを有しよう。シリカを、水性アルカリ金属溶液を用いて処理することは、細孔を広げるという追加の利益を有する。しかしながら、アルカリ金属溶液を用いた処理の最中にシリカ担体から多すぎるシリカが浸出することは、物理的健全性及び強度を維持する問題を引き起こし得る。
【0042】
本発明において開示する他の触媒は、担持型金属アルコキシドまたは混合金属アルコキシド触媒であり、これは、金属アルコキシドを酸素架橋結合によって多孔質担持材料に結合することによって製造される。多孔質担持材料は、酸素架橋結合の形成のためにアルコキシ基と反応する表面ヒドロキシル基を有しなければならない。好ましい担体は処理済みシリカであり、これは、約0.05重量%未満のNa、好ましくは約0.03重量%未満のNaを有する。シリカ担体表面の表面ヒドロキシル基の占有数を最適化することは、安定な強く固定された金属アルコキシド活性部位を生じるために非常に重要であり、というのは、活性金属原子をM−O−Si架橋結合によってシリカの表面に結合するために高温か焼は含まれていないからである。M−O−Si架橋結合の数を最大にすることは非常に望ましい。
【0043】
従って、与えられた表面に対するヒドロキシル基の最適化された占有数は、上記に説明したようにアルカリ金属含量及び担体強度の束縛の範囲内で、与えられた表面積に対して得ることができる最大数のヒドロキシ基を含む。
【0044】
好ましい金属アルコキシドは、IV及びV族金属アルコキシドの例えばチタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシド、バナジウムアルコキシド、ニオブアルコキシド、及びその他同様なものである。V族金属アルコキシドは、より低い原子価のアルコキシドの例えばテトラアルコキシド及びオキシトリアルコキシドの例えばVO(OR)またはオキソアルコキシドのオリゴマーを含む。好ましい担体の例は、シリカ、ジルコニア、チタニア、チタニア−シリカ、シリカ−アルミナ、及びシリカ−ジルコニアである。処理済みシリカを使用することは、担持型金属アルコキシド触媒の製造のために特に重要である。担体表面のアルコキシド触媒は、1つまたは2つの異なる金属アルコキシドを有することができる。
【0045】
約20〜約400°F、好ましくは約40〜約300°Fの温度で、金属アルコキシド溶液または2つの異なる金属アルコキシドの混合溶液を担体の例えばシリカと接触させることによって、不均一系金属アルコキシド触媒を製造する。1つまたは2つの異なる金属アルコキシドを溶媒中に溶解させることによって、アルコキシド溶液を作製する。溶媒は酸素架橋形成反応をいかなる方法でも妨げてはいけない。このような溶媒の例は、炭化水素、エーテル、ケトン、アルコール及びこれらの混合物である。2つの異なる金属アルコキシドが担体表面に担持される場合、所望により2つの異なる金属アルコキシド溶液を作製し、順次担体と反応させる。
M(OR)+xOH(担体表面)=>(RO)n−x(O−)(触媒表面)+xROH
[式中、n=4または5、x=1、2、3または4、R=アルキルまたはアリール基]
担持型チタンアルコキシドは酸性触媒である。均一系触媒中のチタンアルコキシドと比較して、シリカ表面の担持型チタンアルコキシド触媒のより高い活性は、担持されているTi+4のより高い酸度に帰する。触媒酸度は、芳香族カーボネートを製造する際に酸触媒エステル交換反応及び不均化反応のために重要な役割を果たす。
【0046】
任意の方法として担持型金属アルコキシド触媒をインシトゥで製造することが可能である。反応器に処理済み担体を装填する。金属アルコキシド溶液を、反応器を通して雰囲気〜約400°Fの温度で循環させる。担持型金属アルコキシド触媒の形成の後に、いかなる残存している溶媒も反応器から排出する。反応器を、適切な溶媒の例えばエタノール、ペンタン、またはトルエンを用いて洗浄し、所望により不活性ガスの例えば窒素の流れ中、約80〜約400°F、好ましくは約100〜約350°Fの温度での触媒の熱処理の後に、触媒は、エステル交換反応及び不均化の準備ができている。担持型金属または混合金属アルコキシド触媒の製造のために、“処理済み担体”を使用することは特に重要である。処理済み担体の例は、上記に説明した処理済みシリカである。
【0047】
本発明において、不均一系触媒の失活が観察された。これは、アルキルアリールカーボネートの例えばMPC、EPC等の不均化反応に特に当てはまる。触媒失活の原因は、固体触媒表面への重質ポリマー堆積であり、これは、触媒活性部位をふさぎ、触媒細孔を埋めることが観察された。失活した触媒は、ポリマー堆積の程度に依存して暗い茶色または黒色である。与えられた不均一系触媒の場合、失活速度は、不均化反応の場合エステル交換反応よりもはるかに速い。失活した触媒を、ヒドロキシル基を含む化合物、例えば蒸気、メタノール、エタノール、フェノール、またはヒドロキシ化合物の混合物と高温で接触させることによって、触媒表面に堆積したポリマーを解重合することによって、失活した触媒をインシトゥで再生できることが発見された。所望により、溶媒中のヒドロキシ化合物の溶液を使用できる。好ましい溶媒は、ベンゼン、トルエン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、オクタン、デカン、THFまたは溶媒の任意の混合物である。失活した触媒表面に堆積したポリマーの解重合のための溶媒の使用は任意であるのみであり、必要ではない。再生した触媒を好ましくは、使用の前に200〜約500°Fの温度で不活性ガス(例えば窒素)流れ中で乾燥する。ヒドロキシ含有化合物を用いた触媒再生を、失活した触媒をインシトゥでアルコールまたは水−アルコール溶液の流れ中でまたは蒸気を用いて250〜600°F、優先的に270〜450°Fの温度で処理することによって実行した。失活した触媒の処理を、アルコール性溶液及び蒸気の両方を用いて実行してよい。例えば、失活した触媒を、最初にアルコール若しくはアルコール溶液を用いて、次に蒸気を用いてまたは逆の順序で処理してよい。触媒再生を、少なくとも若干の液相が触媒床中に存在するような十分な圧力下で実行することは好ましい。好ましいアルコールは、メタノール、エタノールまたはこうした2つの混合物である。所望により、アルコール溶液は、最高80重量%まで、好ましくは最高20重量%まで、最も好ましくは最高5%までの量で水を含んでよい。解重合反応器からの流れは、フェノール、DEC、EPC及び微量のフェネトール及び重質成分を解重合反応生成物として含む。
【0048】
触媒表面のポリマーを洗い去り、選択率を改良するためにグリコールエーテルを使用するために、上記に説明した溶媒を反応混合物の成分として触媒反応帯域に導入し、再循環のために反応混合物から分離する。このようなエーテル溶媒の例は、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等である。
【0049】
本発明において開示する触媒再生技術を、均一系触媒を使用する芳香族カーボネートの任意の製造方法においても使用できる。均一系触媒系の再生の場合、水分が約0.2重量%を超えないようにアルコール溶液はかなり無水でなければならない。従って、本発明において開示する触媒再生技術は、有機カーボネートの任意の製造方法のために適用可能である。
【0050】
驚くべきことに、この触媒失活は、芳香族ヒドロキシ化合物の例えばフェノールの存在下で不均化反応を実行することによって軽減できることが発見された。その上、触媒反応帯域において最高0.3重量%まで、好ましくは最高0.10%までの量の微量の水の存在下で不均化を実行することによる追加の利益が存在する。触媒表面に堆積した重質ポリマーのかなりの部分は、ポリカーボネートであるようである。触媒反応帯域において芳香族ヒドロキシル化合物または芳香族ヒドロキシル化合物及び微量の水の両方の存在下で不均化を実行することは、許容可能な安定な触媒性能をもたらす。しかしながら、多すぎる芳香族ヒドロキシ化合物は、エステル交換反応の平衡の性質が理由となって、DPCを生成する許容不可能な程に低い速度をもたらすことは理解される。従って、不均化反応帯域において芳香族ヒドロキシ化合物対DPCのモル比0.05〜10、好ましくは0.1〜6を維持することは、長い許容可能な触媒サイクル時間及びDPCの良好な生産性の両方を確実にするために不可欠である。エステル交換反応の場合、フェノール対DECのモル比を、0.2より高く、好ましくは約0.3より高く、最も好ましくは約0.35より高く維持する。
【0051】
DPCの製造のための概略プロセス流れ図の例を図に示す。2つの固定床、二重相反応器及び5つの蒸留塔がある。第1の二重相反応器38は主に、DEC及びフェノールからEPCを製造するためのエステル交換反応のためである。第2の二重相反応器37は主に、EPCからDPCを製造するための不均化反応のためである。二重相反応器38及び37の両方に、本発明において開示する1つの不均一系触媒または所望により2つの異なる不均一系触媒を装填する。所望により、38と37との間に直列で追加の固定床反応器(図示せず)を導入してよい。この追加の反応器の主要な目的は、追加のEPCを生成することである。新しいフェノール供給物流れ1及び新しいDEC供給物流れ2を再循環流れ11及び25と混合し、次にライン3を通して二重相反応器38に導入する。所望により、窒素ガス流れをライン4を経て38に導入する。生成物EPC及び副産物エタノールを、38においてエステル交換反応を実行することによって生成する。反応器38中で、副産物エタノールは蒸発して気相になる。反応器流出液流れ5を、ライン5、6及び7を経て第1の蒸留塔30に導入する。エタノールを塔30中で取り除いて、少量のDECを有するオーバーヘッド流れ8にする。流れ8を部分的に冷却し、次に気体−液体分離ドラム36に導入し、気体流れ9を反応器38及び37に再循環する。36からの液体流れ10(エタノール)をDECプラントに再循環して、DECを生成する。塔30からの側流抜き出し流れ11、これは、DEC、フェノール及びEPCで構成される、を、ライン3を通して再循環して反応器38に戻す。所望により、フェノールからEPCへの追加の転化のために、側流抜き出し箇所よりも下の塔30の底部区画に触媒床101を置くことを選択してよい。蒸留塔30は、側流抜き出し流れ11はエタノールを本質的に含まないように設計され、稼働する。二重相反応器38のための再循環ループは、ライン5、6及び7、塔30、並びにライン11及び3を含む。塔30からのボトムス流れ12を、ライン13及び14を経て第2の二重相反応器37に導入する。流れ12はEPC及びフェノールを含む。しかしこれはまた、少量のDPC及び副産物フェネトールも含む。塔30はまた、ボトムス流れ12中のDECを最小にするように設計され、稼働する。流れ12を再循環流れ19と合わせて流れ13にする。流れ13を窒素ガス流れ15と合わせて流れ14にし、これを37に導入する。生成物DPC及び副産物DECを、EPCの不均化を実行することによって反応器37中で生成する。反応器37中のDECは蒸発して気相になる。反応器流出液蒸気16を、第2の蒸留塔32に導入する。流れ16は主に、DEC、EPC、フェノール、DPC、及び少量のエタノール及び副産物で構成される。流れ16中のエタノール及びDECを、塔32中の蒸気と共にオーバーヘッド流れ17として取り除き、これを、ライン7を経て第1の塔30に導入する。塔32からのボトムス流れ18を、2つの流れ19及び20に分割する。流れ19をライン13及び14を経て再循環して第2の反応器37に戻す。第2の二重相反応器37のための再循環ループは、ライン16、塔32、並びにライン18、19、13及び14を含む。他の流れ20を第3の蒸留塔34に導入し、ここで、流れ中の残存しているDECをオーバーヘッド流れ21として回収し、これをライン6及び7を経て第1の塔30に送る。34からの側流抜き出し流れ22を第4の蒸留塔35に導入して、副産物フェネトールをオーバーヘッド流れ24として除去する。塔35からのボトムス流れ25を38に再循環する。所望により、35からのボトムス流れ25を、ライン31、21、5、6、及び7を経て第1の塔30に再循環してよい。34からのボトムス流れ23を蒸留塔33に導入して、生成物DPCを回収する。主にEPCで構成されるオーバーヘッド流れ26を、ライン14を経て不均化反応器37に再循環する。塔33は大気圧未満で稼働する。33からのボトムス流れ27は、未精製DPC流れである。2つの二重相反応器、38及び37の稼働のために、窒素ガスの代わりに、他の材料、このようなジエチルエーテル、ジメチルエーテル、イソペンタン若しくはブタンを使用すること、または窒素ガスを部分的に置き換えることを選択してよい。
【実施例】
【0052】
対照実施例1
シリカ表面に担持された酸化チタン(9.2重量%)触媒を、従来技術(WO 03/066569)に従って製造した。3.839のTi(OCHg−n)を、90mlの無水トルエン中に溶解させた。顆粒状シリカ(+8メッシュ、重量で655ppmのNa、300m2/gのBET SA及び1cc/gのPV)を、330℃で2hr、空気中で予備乾燥した。チタンブトキシド溶液を、25ml(9.159)の乾燥したシリカ顆粒と共に、沸騰しているトルエン溶液中で、凝縮器を有する200mlのフラスコ中で還流した。約6時間の還流の後、フラスコ中の過剰のトルエンをフラスコから沸騰除去した。チタンブトキシドを担持したシリカをフラスコから回収し、120℃で真空オーブン中で1.5時間乾燥した。乾燥したシリカを500℃で2時間か焼した。か焼した生成物は紙のように白い顆粒だった。総触媒重量は9.67gだった。これは触媒Aである。
実施例2
シリカ表面に担持された混合ニオブ/酸化チタン触媒を本発明に従って製造した。0.592gのNb(OC9−nを、80mlのトルエン中に溶解させた。対照実施例1において使用した顆粒状シリカを、320℃で2時間、空気中で乾燥した。25ml(9.27g)のこの乾燥したシリカを、上記のニオブブトキシド溶液と共に還流する。対照実施例1と同じように5.5時間還流した後、過剰のトルエンをフラスコから排出した。0.209gの水を120mlのメタノールと混合することによって作製したメタノール中の水溶液をフラスコ中に注ぎ、次に溶液を、沸騰しているメタノール中で1時間還流した。過剰のメタノールをフラスコから排出した。3.56gのチタンブトキシドを90mlのトルエン中に溶解させることによって作製したチタンテトラブトキシド溶液をフラスコ中に注ぎ、次にフラスコ中の内容物を、沸騰しているトルエン中で5.5時間還流した。フラスコ中の過剰のトルエンをフラスコから沸騰除去した。フラスコ中の材料をフラスコから回収し、120℃で真空オーブン中で1.5時間乾燥した。乾燥したシリカを500℃で2時間か焼した。か焼した生成物の外観は、対照実施例1における触媒と異なった。これは、対照実施例1における紙のように白い触媒よりも、顆粒状シリカ担体のように見えた。総触媒重量は10.28gだった。これは触媒Bである。
実施例3
この実施例においては、処理済みシリカを使用して、シリカ表面に担持された混合チタン/酸化ニオブ触媒を製造した。処理済みシリカ表面に担持された混合ニオブ/酸化チタン触媒を、本発明に従って製造した。対照実施例1の同じ顆粒状シリカを使用して、この実施例の処理済みシリカを製造した。226gの水中の8.059のNaOHを室温で7分間撹拌しながら溶解させることによって作製した水酸化ナトリウム溶液を用いて、顆粒状シリカ(40.56g)を処理した。処理済みシリカを、冷水を用いて十分に、次に熱水(約65℃)を用いて数回洗浄して、シリカ表面の微量のナトリウムを除去した。処理済みシリカを150℃で2時間乾燥し、次に325℃で2時間か焼した。このか焼したシリカは、重量で300ppmのNaを含んだ。ニオブアルコキシド溶液を、0.844gのNb(OC9−nを80mlのトルエン中に溶解させることによって作製した。8.46gの処理済みシリカを、上記のニオブブトキシド溶液中、3時間、水冷した凝縮器を有するフラスコ中で還流した。冷却後、フラスコ中の過剰の溶液をフラスコから排出した。水−メタノール混合物を、0.645gの水を90mlのメタノールと混合することによって作製した。この水−メタノール混合物をフラスコ中に注ぎ、フラスコ中の内容物を再度還流した。1時間の還流の後、フラスコ中の過剰の溶液を排出した。3.67gのチタンブトキシドを80mlのトルエン中に溶解させることによって作製したチタンテトラブトキシド溶液をフラスコ中に注ぎ、次にフラスコ中の内容物を1時間45分間還流した。フラスコ中の過剰のトルエンを、フラスコから蒸留して除去した。フラスコ中の材料をフラスコから回収し、120℃で真空オーブンで1時間乾燥した。乾燥したシリカを500℃で2時間か焼した。触媒の外観は、より顆粒状シリカ担体のようだった。これは触媒Cである。
実施例4
処理済みシリカ表面に担持されたチタンアルコキシド触媒を、本発明に従って製造した。580mlの脱イオン水中の8.3gのNaOHを室温で8分間撹拌しながら溶解させることによって作製した水酸化ナトリウム溶液を用いて、対照実施例1において使用したのと同じ顆粒状シリカ(80.55g)を処理した。処理済みシリカを、冷水、次に熱水を用いて洗浄した。洗浄したシリカを、99gの硝酸アンモニウムを2リットルの脱イオン水中に80℃で2時間溶解させることによって作製した硝酸アンモニウム溶液を用いて処理した。硝酸アンモニウム溶液を用いたシリカの処理を13回繰り返した。最後に、シリカを、雰囲気温度で脱イオン水を用いて洗浄した。洗浄したシリカを110℃で1時間乾燥し、続いて370で1.5時間、次に375℃で30minか焼した。か焼したシリカは、550℃でか焼して、重量で23ppmのNa及び2.9重量%の重量損失を含んだ。チタンテトラブトキシドを、4.74gのチタンテトラブトキシドを70mlのトルエン中に溶解させることによって製造した。10.44g(31ml)の処理済みシリカを、チタンテトラブトキシド溶液中で6時間還流し、次にフラスコ中の過剰のチタン溶液を排出した。排出されたチタン溶液は、0.50重量%のTiを含んだ。シリカを、90mlのトルエンを用いて室温で洗浄した。洗浄した生成物を、170℃で3時間、真空オーブン中で乾燥した。完成した触媒の外観は、処理済みシリカ顆粒のように見えた。少量のこの完成した触媒を500℃で2hr空気中でか焼して、触媒表面のTi含量を決定した。か焼した触媒のTi含量は、3.25%である。か焼した触媒の外観は、処理済みシリカ顆粒のように見えた。この実験は、処理済みシリカ表面のチタンアルコキシドの成功裏の担持を示す。
エステル交換反応及び不均化を実行する
触媒を、1つの固定床反応器、1つの蒸留塔及び1つの還流ドラムを有するユニット中で試験した。固定床反応器の寸法は、直径1/2インチ及び長さ15インチだった。これは、触媒床の直ぐ上、触媒床の中央、及び触媒床の直ぐ下の3つの位置で温度を監視するために3つの熱電対を有した。反応器温度の頂部半分及び底部半分を独立して制御する。ユニットはまた、温度を別個に制御される供給物予熱器を固定触媒床の頂部において有した。固定床反応器は、下降流態様で稼働した。蒸留塔は、2リットルの容量のリボイラー及び42インチ×1インチOD(0.870インチID)の塔からなる。塔オーバーヘッド圧力、触媒床の頂部及び底部を制御し、記録するために、3つの圧力伝送器があった。またリボイラーは、液体レベル伝送器を有した。固定床は再循環ループを有し;リボイラー中の液体媒質からの反応器への流れを反応器を通して下降流でポンプで送り、次にリボイラーに戻した。新しい供給物DECを、反応器の前に、再循環ループ中にポンプで送った。新しいフェノール供給物溶液を、反応器の前に、別個に再循環ループ中にポンプで送った。窒素ガスを必要に応じて系中に導入した。蒸留塔からの蒸気を凝縮し、オーバーヘッド液体流れとして除去した。凝縮できない気体を凝縮器から放出した。
【0053】
エステル交換反応のための連続ランの場合、フェノール供給物溶液を与えられた速度で連続的に供給し、同時に、生成物流れをリボイラーから予め定められた一定の速度で連続的に除去し、オーバーヘッド生成物を連続的に除去した。DEC供給速度は、リボイラー中の一定の液体レベルを維持するためにカスケードだった。
試験1
このランの目的は、エステル交換反応のための二重相固定床反応器の性能を証明することである。触媒反応帯域における二重相は、触媒反応帯域における蒸気相及び液相の沸騰している混合物によって生じた。
【0054】
触媒A(25ml;9.67g)を反応器中に装填した。167.6gのフェノール及び737.4gのDECをリボイラー中に充填した。
試験を以下の条件で実行した:
オーバーヘッド塔圧力:18psig
リボイラー温度:335°F
蒸留塔温度:300〜310°F
再循環速度:66ml/min
固定床反応器の頂部の圧力:24.6psig
固定床反応器の底部の圧力:20.5psig
固定床反応器温度:338〜342°F
リボイラーへの窒素流量;60ml/min
還流ドラムからの0還流
ラン時間を、固定床反応器温度が340°Fの目標温度に達した時に開始した。ランの最中、DECを連続的にポンプで送り込んで、一定の液体レベルを維持した。45時間作動させた後、23gのフェノールを、20.92重量%のフェノール溶液として55分の時間にわたって2ml/minの流量で系中に充填した。ランを77時間の運転時間続けた。平均オーバーヘッド液体流量は約0.3ml/minだった。オーバーヘッド流れは主に、DEC及び少量のエタノールで構成された。分析のために、試料をリボイラー及びオーバーヘッド流れから取った。77時間のラン時間の終りに、ユニットに充填したフェノールの64.8モル%が転化されていた。収率は、系中に充填したフェノールの全量を基準として、63.1モル%のEPC;1.52モル%のDPC及び0.26モル%の副産物だった。フェネトールは主要な副産物であり、これは、副産物の33.6モル%を占めた。平均生産性は、EPCの場合に1.81m/h/kgの触媒;DPCの場合に0.041m/h/kgの触媒及び副産物の場合に0.01m/h/kgの触媒だった。この実施例におけるEPCの生産性は、従来技術において開示するものより優れており、本発明において開示する方法の優れた生産性を証明する。
試験2
このランの目的は、エステル交換反応のための、本発明に従う二重相固定床反応器及び混合ニオブ及び酸化チタン触媒の性能を証明することである。触媒反応帯域における二重相は、触媒反応帯域における蒸気相及び液相の沸騰している混合物によって生じた。
【0055】
触媒B(24ml;9.172g)を反応器中に装填した。この試験を、試験1と同一の条件下で実行した。167.6gのフェノール及び737.4gのDECをリボイラー中に充填した。ラン時間を、固定床反応器温度が340°Fの目標温度に達した時に開始した。ランの最中、DECを連続的にポンプで送り込んで、一定の液体レベルを維持した。22時間作動させた後、91.62gのフェノールを、31.38重量%のフェノール溶液として2時間20分の時間にわたって2ml/minの流量で系中に充填した。ランを73時間の運転時間続けた。平均オーバーヘッド液体流量は約0.3ml/minだった。オーバーヘッド流れは主に、DEC及び少量のエタノールで構成された。分析のために、試料をリボイラー及びオーバーヘッド流れから取った。73時間のランの終りに、ユニットに充填したフェノールの64.6モル%が転化されていた。収率は、系中に充填したフェノールの全量を基準として、63.1モル%のEPC;1.4モル%のDPC;及び0.27モル%の副産物だった。フェネトールは主要な副産物であり、これは、副産物の55.9モル%を占めた。平均生産性は、EPCの場合に2.567m/h/kgの触媒;DPCの場合に0.059m/h/kgの触媒及び副産物の場合に0.022m/h/kgの触媒だった。主要な副産物はフェネトールであり、これは、総副産物の33.6モル%を占めた。この実施例におけるEPCの生産性は、従来技術及び試験1において開示する触媒より優れている。
試験3
この試験は、バッチ稼働でのEPCからDPCへの不均化を証明するために実行した。固定床反応器を、説明したものと同じ装置を使用することによって、沸点態様で稼働した。
【0056】
未精製供給物を、試験2におけるように製造し、次に未精製供給物中の過剰のDECを蒸留して除去して、EPCを濃縮し、次にトルエンをこれに加えた。濃縮未精製供給物にトルエンを加えた目的は、二重相態様下で下降流反応器中で不均化を実行することだった。蒸気相及び液相の沸騰している反応混合物が、反応帯域において生じた。ラン時間を、固定床反応器温度が340°Fの目標温度に達した時に開始した。試験を、試験2において使用したのと同じ触媒を用いて実行した。ランの最中、トルエンを連続的にポンプで送り込んで、一定の液体レベルを維持し、オーバーヘッド流量は約7ml/minだった。オーバーヘッド流れは主に、トルエン、少量のDEC及び微量のエタノールで構成された。リボイラー中の供給物の総重量は635.3gだった。供給物の組成は、44.19重量%のトルエン;8.42重量%のDEC;0.07重量%のフェネトール;0.29重量%の副産物;11.21重量%のフェノール;31.88重量%のEPC及び3.94重量%のDPCだった。試験を以下の条件で実行した:
オーバーヘッド塔圧力:16.3psig
リボイラー温度:311°F
蒸留塔温度:295〜305°F
再循環速度:67ml/min
固定床反応器の頂部の圧力:32.8psig
固定床反応器の底部の圧力:18.5psig
固定床反応器温度:327〜330°F
リボイラーへの窒素流量:50ml/min
還流ドラムからの0還流
6時間の稼働の後、リボイラーからの生成物の分析は、EPCの5.8モル%の転化とDPCに対する95.2モル%の選択率を示した。DPCの生産性は0.614m/h/kgの触媒だった。
試験4
この試験は、定常状態条件下、沸点反応器態様で固定床反応器を用いるEPCの製造のための連続ランを証明するために実行した。
【0057】
実施例2における触媒Bと同一の触媒の別のバッチを製造した。9.04g(約25ml)のこの触媒を反応器中に装填した。連続ランのために、200gのフェノール及び610gのDECをリボイラー中に充填した。ラン時間を、固定床反応器温度が340°Fの目標温度に達した時に開始した。ランの最中、DECを連続的にポンプで送り込んで、一定の液体レベルを維持した。23.25時間作動させた後、85.58gのフェノールを、31.38重量%のフェノール溶液として2時間15分の時間にわたって2ml/minの流量で系中に充填した。定常状態条件での連続ランを、DEC中の32.2重量%のフェノール溶液を0.18ml/minで連続的にポンプで送り込み、生成物流れを0.15ml/minで連続的に除去することによって実行した。DECをポンプで送り込んで、リボイラー中の一定の液体レベル81%を維持した。242.5hrの運転時間で、定常状態稼働条件下で、以下の結果が得られた:
運転時間:242.5hr
オーバーヘッド塔圧力:19.6psig
リボイラー温度:354°F
蒸留塔温度:330°F
再循環速度:67ml/min
固定床反応器の頂部の圧力:20.8psig
固定床反応器の底部の圧力:19.2psig
固定床反応器温度:341°F
リボイラーへの窒素流量:60ml/min
還流ドラムからの還流:0
リボイラー中の液体レベル:81.04%
32.2重量%のPhOH/DEC溶液の供給速度:0.15ml/min
DEC流量:0.28ml/min
オーバーヘッド流量:0.269ml/min
ボトムス生成物流量:0.185ml/min
流れの組成(重量%):
成分 OVHD BTM
エタノール 3.5793 0.0448
DEC 96.1344 62.5443
フェネトール − 0.0176
フェノール 0.2208 17.5226
EPC 0.0655 19.2401
DPC − 0.6306
フェノール転化(モル%)39.5
EPC収率:37.6モル% EPC選択率:95.04モル%
DPC収率:1.9モル% DPC選択率:4.87モル%
フェネトール選択率:0.05%
EPC生産性:1.50m/h/kgの触媒
フェネトールは、gc及びgc−msによって生成物流れにおいて検出された唯一の副産物だった。これは、従来技術より優れた結果である。触媒の失活が観察された。
試験5
この試験は、沸点態様で稼働する固定床反応器を使用することによってDEC及びプロピレングリコール副産物を生成するための、プロピレンカーボネートとエタノールとの間のエステル交換反応のための連続ランを証明するために実行した。
【0058】
実施例2における触媒Bと同一の触媒の別のバッチを製造した。9.6g(約25ml)のこの触媒を反応器中に装填した。連続ランのために、280gのプロピレンカーボネート及び635gのエタノールをリボイラー中に充填した。ラン時間を、固定床反応器温度が335°Fの目標温度に達した時に開始した。ランの最中、生成物流れをリボイラーから一定速度0.14ml/minで連続的に除去した。一定の液体レベル85%を維持するために、エタノール中の23.1重量%のプロピレンカーボネート溶液を、反応器カスケード態様で連続的にポンプで送り込んだ。ランを162時間続けた。ランの最中、プロピレンカーボネートの転化はかなり一定だった。ランの最中のプロピレンの平均転化は、14.5モル%だった。平均DEC生産性は1.81モル/h/kgの触媒だった。
試験6
この実験の目的は、処理済みシリカ表面に担持された混合酸化物触媒の、従来技術において開示する従来の触媒よりも優れた性能を証明することである。触媒Cのより遅い失活速度、より高い活性及び失活した触媒Cの解重合による触媒再生を証明した。シリカ表面に担持された従来の酸化チタン触媒(対照実施例1)の試験を、試験6Aにおいて実行した。処理済みシリカ表面に担持された混合Ti/Nb酸化物触媒(実施例3における触媒C)の試験を、試験6Bにおいて実行した。
試験6A
対照実施例1における触媒Aと同様の別のTi酸化物触媒を製造した。対照実施例1との唯一の相違は、同じシリカの、340℃で4時間、空気中でのか焼だった。25ml(9.0g)の触媒を、説明した固定床反応器中に装填した。この触媒の外観は、対照実施例1の触媒と同じ白砂糖をコーティングしたシリカ顆粒である。285gのフェノール及び530gのDECをリボイラー中に充填した。試験を以下の条件で実行した:
オーバーヘッド塔圧力:19〜21psig
リボイラー温度:345〜347°F
蒸留塔温度:270〜285°F
再循環速度:66〜67ml/min
固定床反応器の頂部の圧力:20〜22psig
固定床反応器の底部の圧力:19〜22psig
固定床反応器温度:332〜337°F
リボイラーへの窒素流量:60ml/min
還流ドラムからの0還流
PhOH/DEC溶液流量:0.17〜0.18ml/min
ボトムス流量:0.18〜0.19ml/min
ランの最中、DECの流れを、液体レベル88%(任意のスケール)にカスケードにして、一定の液体レベルを維持した。ランを、リボイラー中の反応混合物を連続的に排出し、同時に、DEC中の40.4重量%のフェノール溶液を一定速度約0.19ml/minでポンプで送り込むことによって実行した。ランを中断することなく115時間続けた。オーバーヘッド流れは主に、DEC、エタノール及び少量のフェノール及びEPCで構成された。分析のために、試料をリボイラー及びオーバーヘッド流れから取った。フェネトールは、リボイラーからのボトムス生成物流れ中の唯一の副産物だった。結果を表1に列記する。
【0059】
【表1】

【0060】
試験6B
実施例3において製造した触媒Cの性能を、フェノールを用いたDECのエステル交換反応に関して試験した。8.4g(25ml)の触媒Cを固定床反応器中に装填した。287gのフェノール及び530gのDECをリボイラー中に充填した。試験を以下の条件で実行した:
オーバーヘッド塔圧力:17〜19psig
リボイラー温度:345〜348°F
蒸留塔温度:270〜285°F
再循環速度:66〜67ml/min
固定床反応器の頂部の圧力:19〜21psig
固定床反応器の底部の圧力:19〜22psig
固定床反応器温度:331〜335°F
リボイラーへの窒素流量:60ml/min
還流ドラムからの0還流
PhOH/DEC溶液流量:0.18〜0.19ml/min
ボトムス流量:0.18〜0.20ml/min
ランの最中、DECの流れを、液体レベル88%(任意のスケール)にカスケードにして、一定の液体レベルを維持した。ランを、リボイラー中の反応混合物を連続的に排出し、同時に、DEC中の36.5重量%のフェノール溶液をポンプで送り込むことによって実行した。234時間の運転時間の結果を表2に列記する。オーバーヘッド流れは主に、DEC、エタノール及び少量のフェノール及びEPCで構成された。分析のために、試料をリボイラー及びオーバーヘッド流れから取った。フェネトールは、リボイラーからのボトムス流れ中の唯一の副産物だった。表2におけるこのランの結果は明らかに、試験6Aの触媒Aよりも遅い失活及びより高い活性を示す。
【0061】
表2におけるこのランの結果は明らかに、触媒Cの、触媒Aよりも遅い失活及びより高い活性を示す。
ランを360時間の運転時間続けた。継続した触媒失活が観察された。360時間の運転時間で、芳香族カーボネートの合成のための反応器稼働を中止して、触媒再生を実行した。エタノールを反応器を通して17時間循環することによって触媒表面のポリマーを解重合することによって、触媒再生を340°F及び230psigで実行した。エタノールを用いた解重合反応の主要な生成物は、フェノール、DEC及び未確認の副産物だった。ランを、再生した触媒を用いて再び続けた。再生した触媒の試験結果を表3に列記する。
【0062】
表3における結果は明らかに、触媒表面に堆積したポリマーの解重合を実行することによって触媒を再生できることを証明する。
【0063】
【表2】

【0064】
【表3】

【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1】本発明の方法の1具体例の略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジアリールカーボネートの製造方法であって;
(a)一次及び二次反応帯域を含む複数の反応帯域と;
(b)前記一次反応帯域に炭酸ジアルキル及び芳香族ヒドロキシ化合物を供給することと;
(c)前記一次反応帯域を、アルキルアリールカーボネートの形成に役立つ二重相及び反応条件下で維持することと;
(d)表面ヒドロキシル基を有する多孔質材料表面に担持された周期表のIV、V及びVl族からの2つ〜4つの元素からなる群から選択される固体触媒の存在下で、前記芳香族ヒドロキシ化合物を用いて前記炭酸ジアルキルにエステル交換反応を行うことと;
(e)二重相生成物流れを前記一次反応帯域から回収することと;
(f)前記二重相生成物流れを(e)から分離して、蒸気状アルキルアルコール及び液体アルキルアリールカーボネートを回収することと;
(g)前記二次反応帯域を、アルキルアリールカーボネートから炭酸ジアルキルへの不均化に役立つ二重相及び反応条件下で維持することと;
(h)表面ヒドロキシル基を有する多孔質材料表面の周期表のIV、V及びVl族からの2つ〜4つの元素からなる群から選択される固体触媒の存在下で、前記アルキルアリールカーボネートに不均化を行うことと;
(i)二重相生成物流れを前記二次反応帯域から回収することと;
(j)前記二重相生成物流れを(i)から分離して、アリールアルキルカーボネートを含む蒸気状成分及びジアリールカーボネートを含む液体生成物を回収することと;を含む方法。
【請求項2】
前記炭酸ジアルキルはDECであり、前記芳香族ヒドロキシ化合物はフェノールであり、前記アルキルアリールカーボネートはEPCであり、炭酸ジアルキルはDPCである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
アルキルカーボネートはDECであり、前記アルキルアリールカーボネートはEPCであり、前記芳香族ヒドロキシ化合物はフェノールである、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
(h)において、フェノール対DPCのモル比は0.05〜10の範囲内である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
(d)の前記固体触媒は、IV、V及びVl族からの元素の酸化物、水酸化物、オキシヒドロキシド、アルコキシドまたはこれらの混合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
担体は処理済みシリカを含む、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
(h)の前記固体触媒は、IV、V及びVl族からの元素の酸化物、水酸化物、オキシヒドロキシド、アルコキシドまたはこれらの混合物である、請求項5に記載の方法。
【請求項8】
(d)の前記固体触媒は、IV及びV族の金属アルコキシド及び混合金属アルコキシドからなる群から選択される、請求項6に記載の方法。
【請求項9】
(d)の前記固体触媒は、処理済みシリカ表面に担持されたTiO/Nbであり、前記処理済みシリカは0.05重量%未満のNaを有する、請求項5に記載の方法。
【請求項10】
(h)の前記固体触媒は、IV、V及びVl族からの元素の酸化物、水酸化物、オキシヒドロキシド、アルコキシドまたはこれらの混合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項11】
前記担体は処理済みシリカを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
(h)の前記固体触媒は、IV、V及びVl族からの元素の酸化物、水酸化物、オキシヒドロキシド、アルコキシドまたはこれらの混合物である、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
(h)の前記固体触媒は、IV及びV族の金属アルコキシド及び混合金属アルコキシドからなる群から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
(h)の前記固体触媒は、処理済みシリカ表面に担持されたTiO/Nbであり、前記処理済みシリカは0.05重量%未満のNaを有する、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
(h)は、芳香族ヒドロキシ化合物の存在下で、芳香族ヒドロキシ化合物対DPCのモル比0.05:1〜10:1の範囲内で実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項16】
(h)は、最高0.3重量%までの量の微量の水の存在下で実行される、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
(d)は、芳香族ヒドロキシ化合物の存在下で、0.2を超える芳香族ヒドロキシ化合物対DPCのモル比で実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項18】
表面ヒドロキシル基を有する多孔質材料表面に担持された周期表のIV、V及びVl族からの2つ〜4つの元素の酸化物、水酸化物、オキシヒドロキシドまたはアルコキシドからなる群から選択される、表面に堆積したポリマーによって失活した固体触媒組成物を再活性化する方法であって、失活した触媒を、250〜600°Fの範囲内の温度で、ベンゼン、トルエン、キシレン、ペンタン、ヘキサン、オクタン、デカン、THF及びこれらの混合物からなる群から選択される溶媒中のヒドロキシ含有化合物を含む流体と接触させることを含む、方法。
【請求項19】
前記ヒドロキシ含有化合物は、水、アルコール、フェノール及びこれらの混合物から選択される群から選択される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記担体は、前記担体の物理的健全性及び強度の劣化無しに最大数のヒドロキシル基を得るように塩基溶液を用いた処理によって前記表面ヒドロキシル基を増大させた、請求項1に記載の方法。
【請求項21】
表面ヒドロキシル基を有する多孔質材料表面に担持された周期表のIV、V及びVl族からの2つ〜4つの元素の酸化物、水酸化物、オキシヒドロキシド及びアルコキシドからなる群から選択される固体触媒組成物。
【請求項22】
前記担体は、その表面のヒドロキシル基の数を増大させるための処理にさらされている、請求項21に記載の固体触媒組成物。
【請求項23】
前記処理は、前記担体を塩基性溶液と接触させることを含む、請求項22に記載の固体触媒組成物。
【請求項24】
前記担体はシリカを含む、請求項23に記載の固体触媒組成物。

【図1】
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【公表番号】特表2009−512689(P2009−512689A)
【公表日】平成21年3月26日(2009.3.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−536578(P2008−536578)
【出願日】平成18年8月30日(2006.8.30)
【国際出願番号】PCT/US2006/033943
【国際公開番号】WO2007/050190
【国際公開日】平成19年5月3日(2007.5.3)
【出願人】(599003073)キャタリティック・ディスティレイション・テクノロジーズ (28)
【Fターム(参考)】