説明

有機シラン化合物及びそれを用いて得られる有機シリカ

【課題】化学的な安定性が高く、メソ構造の有機シリカの合成に有用な化合物の提供。
【解決手段】一般式(1)の有機シラン化合物。


(Arは2価の芳香族有機基を、Rは水素原子等を示し、Xは反応性置換基を示す。)

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、 有機シラン化合物並びにそれを用いて得られる有機シリカに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から種々の有機シラン化合物及びそれを用いて得られる有機シリカの研究がされてきた。例えば、The Journal of Organic Chemistry,2002年発行,Vol67,P5279−5283(非特許文献1)においては、表面処理剤の用途に利用することが可能な有機シリカとして、オリゴフェニレン系の有機シランが開示されている。また、このような非特許文献1においては、オリゴフェニレン系の有機シランを製造するための有機シラン化合物として、ハロゲン置換基若しくはボラニル置換基を有するトリアリルシリルベンゼン誘導体が開示されている。
【0003】
また、特開2006−89588号公報(特許文献1)においては、溶媒中でトリアリルシリル基を有するものを含む特定の有機シラン化合物を加水分解及び重縮合反応せしめて得られる有機シリカが開示されている。
【0004】
しかしながら、上記非特許文献1に記載の有機シラン化合物は、加水分解による有機シリカの合成検討がなされていなかった。また、通常用いられるトリアルコキシシリル基を有する有機シラン化合物は、化学的安定性が低く、合成する際に精製工程において用いられるシリカゲルや空気中の微量の水分と容易に反応を起こしてしまうため、精製時に禁水条件下におけるろ過や蒸留等を採用する必要があり、合成工程が限られたものとなっていた。更に、トリアリルシリル基を有する有機シラン化合物を用いた場合には、メソ構造を有する有機シリカを比較的温和な条件で製造することが困難であった。また、非特許文献1及び特許文献1に記載の有機シラン化合物においては、屈折率制御機能、光吸収機能、発光機能、電荷輸送機能等の機能を有する有機シリカを製造する際の原料化合物として利用することが困難であった。
【特許文献1】特開2006−89588号公報
【非特許文献1】The Journal of Organic Chemistry,2002年発行,Vol67,P5279−5283
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、化学的な安定性が十分に高く、メソ構造を有する有機シリカの合成に有用であるとともに、屈折率制御機能、光吸収機能、発光機能又は電荷輸送機能等の機能を有する有機シリカの合成に有用な有機シラン化合物及びそれを用いて得られる有機シリカを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは、上記目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、先ず、有機シラン化合物を、フェニレン基、ビフェニリレン基、ナフチレン基、ピリジレン基、ビニレン基又はエチニレン基を含む所定の有機基と、ジアリルアルコキシシリル基とからなるものとすることによって、空気中の水分等に対する化学的な安定性が十分に高くできることを見出すとともに、かかる有機シラン化合物により、一般に用いられる有機合成反応、例えば、鈴木、薗頭、根岸、熊田−玉尾、小杉−右田−スティル、檜山、アミノ化等のカップリング反応を利用して有機シリカの合成に有用な有機シラン化合物の誘導化を容易に行うことができ、屈折率制御機能、光吸収機能、発光機能又は電荷輸送機能等の機能を有する様々な有機シリカやメソ構造を有する有機シリカを容易に合成することが可能となることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0007】
すなわち、本発明の第一の有機シラン化合物は、下記一般式(1):
【0008】
【化1】

【0009】
(式(1)中、Arはフェニレン基、ビフェニリレン基、ナフチレン基及びピリジレン基からなる群から選択されるいずれか1種の2価の芳香族有機基を示し、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R〜Rは同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、ペンチル基、ヘキシル基又はシクロヘキシル基を示し、Xはハロゲン原子、ハロゲン化マグネシウム、ハロゲン化亜鉛、置換基を有していてもよいスタニル基、置換基を有していてもよいボラニル基及びトリフラート基からなる群から選択されるいずれか1種の反応性置換基を示す。)
で表されることを特徴とするものである。
【0010】
また、本発明の第二の有機シラン化合物は、下記一般式(2):
【0011】
【化2】

【0012】
(式(2)中、Arはフェニレン基、ビフェニリレン基、ナフチレン基及びピリジレン基からなる群から選択されるいずれか1種の2価の芳香族有機基を示し、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R〜Rは同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、ペンチル基、ヘキシル基又はシクロヘキシル基を示し、kは1〜6の整数を示し、Ar’はベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ピリジン環、カルバゾール環及びフルオレン環からなる群から選択される少なくとも1種の芳香環を有するk価の芳香族有機基を示す。)
で表されることを特徴とするものである。
【0013】
さらに、本発明の有機シリカは、上記本発明の第一及び第二の有機シラン化合物のうちの少なくとも1種を重合せしめて得られたものであることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、化学的な安定性が十分に高く、メソ構造を有する有機シリカの合成に有用であるとともに、屈折率制御機能、光吸収機能、発光機能又は電荷輸送機能等の機能を有する有機シリカの合成に有用な有機シラン化合物及びそれを用いて得られる有機シリカを提供することが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明をその好適な実施形態に即して詳細に説明する。
【0016】
[第一の有機シラン化合物]
本発明の第一の有機シラン化合物は、下記一般式(1):
【0017】
【化3】

【0018】
で表されることを特徴とするものである。
【0019】
上記一般式(1)中、Arはフェニレン基、ビフェニリレン基、ナフチレン基及びピリジレン基からなる群から選択されるいずれか1種の2価の芳香族有機基を示す。このようなArで表される2価の芳香族有機基としては、光学的機能材料への応用の観点からは、フェニレン基、ビフェニリレン基、ナフチレン基が好ましく、触媒への応用や金属との複合化の観点からは、ピリジレン基が好ましい。
【0020】
また、上記一般式(1)〜(7)中、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。このようなRとして選択され得る炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等が挙げられ、加水分解、重縮合による効率的な有機シリカの合成という観点から、メチル基及びエチル基が好ましい。
【0021】
さらに、上記一般式(1)中、R〜Rで表される置換基は、同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、ペンチル基、ヘキシル基又はシクロヘキシル基を示す。R〜Rが前述の置換基以外では、有機シリカを合成する際に、R〜Rで表される置換基を有するアリル基がシリカ骨格から脱離し難くなるため、安定なシロキサン結合(Si−O−Si)を十分に形成させることが困難となる傾向にある。
【0022】
また、上記一般式(1)中、Xは、ハロゲン原子、ハロゲン化マグネシウム、ハロゲン化亜鉛、置換基を有していてもよいスタニル基、置換基を有していてもよいボラニル基及びトリフラート基からなる群から選択されるいずれか1種の反応性置換基を示す。このような置換基を有するスタニル基としては特に制限されず、例えば、トリメチルスズ基、トリエチルスズ基、トリ−i−プロピルスズ基、トリ−n−ブチルスズ基、トリフェニルスズ基、トリシクロヘキシルスズ基、トリアリルスズ基等が挙げられ、化学的安定性の観点から、トリメチルスズ基、トリエチルスズ基、トリ−n−ブチルスズ基が好ましい。また、置換基を有するボラニル基としては、例えば、ジメシチルボラニル基、ジ(2、6−ジエチルフェニル)ボラニル基、ジ(2、6−ジイソプロピルフェニル)ボラニル基、9−ボラビシクロ[3,3,1]ノナン基、カテコールボラニル基、ピナコールボラニル基が挙げられ、化学的安定性の観点から、カテコールボラニル基、ピナコールボラニル基がより好ましい。
【0023】
また、このようなXで表される置換基としては、化学的安定性の観点から、ハロゲン原子、ボラニル基、トリフラート基が好ましい。
【0024】
次に、このような本発明の第一の有機シラン化合物を製造するための方法として好適な方法を説明する。
【0025】
このような第一の有機シラン化合物の好適な製造方法としては、例えば、下記一般式(3):
A−Ar−A (3)
(式(3)中、Arはフェニレン基、ビフェニリレン基、ナフチレン基及びピリジレン基からなる群から選択されるいずれか1種の2価の芳香族有機基を示し、Aは同一でも異なっていてもよく、それぞれハロゲン原子を示す。)
で表される原料化合物と、下記一般式(4):
H−Si(OR (4)
で表される化合物を反応せしめて、下記一般式(5):
A−Ar−Si(OR (5)
(式(5)中、Arはフェニレン基、ビフェニリレン基、ナフチレン基及びピリジレン基からなる群から選択されるいずれか1種の2価の芳香族有機基を示し、Aはハロゲン原子を示し、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
で表される前駆体化合物を得た後、前記一般式(5)で表される化合物中の式:−ORで表される置換基のうちの2つをアリル基に置換するように前記前駆体化合物をアリル化することにより、上記一般式(1)中のXがハロゲンである第一の有機シラン化合物を得る方法が挙げられる。
【0026】
このような一般式(3)〜(5)中のR、Arは、前記一般式(1)中のそれらと同義である。また、前記一般式(3)、(5)中のAは、ハロゲン原子を示し、反応の起こり易さの観点から、臭素原子、ヨウ素原子が好ましい。
【0027】
また、上記一般式(5)で表される前駆体化合物を得る工程は、上記一般式(3)で表される原料化合物と上記一般式(4)で表されるシラン化合物とを反応させて前記前駆体化合物を得ることが可能な方法であればよく、特に制限されないが、例えば、以下のような方法が挙げられる。すなわち、先ず、窒素雰囲気下、室温の温度条件において、上記一般式(3)で表される原料化合物と[Rh(CHCN)(cod)]BF錯体とBuNIとを混合し、これに溶媒を加えて混合液とする。そして、前記混合液にトリエチルアミンとDMFとを加えて混合溶液を得る。次いで、0℃の温度条件下、上記一般式(4)で表されるシラン化合物を滴下した後、80℃の温度条件下において1〜2時間程度十分に攪拌することにより粗生成物を得た後、溶媒を除去して前記前駆体化合物を得る方法が挙げられる。
【0028】
また、上記一般式(3)で表される原料化合物を混合する前記溶媒としては、ジメチルホルムアミド(DMF)、アセトニトリル、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)、ジオキサン等が挙げられる。
【0029】
また、前記前駆体化合物をアリル化する方法としては特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができ、例えば、以下のような方法が挙げられる。すなわち、先ず、前述のようにして前駆体化合物を得た後、窒素雰囲気下、−10〜0℃程度の温度条件において、前記前駆体化合物に対して、アリルマグネシウムブロマイド[CH=CH−CHMgBr]等のアリル化剤を加えて混合物を得る。次に、得られた混合物を室温(25℃程度)の温度条件下において、5〜20時間程度十分に攪拌した後、−10〜0℃程度の温度条件下に冷却し、有機層を分離した後、洗浄液(例えばNaHCO、NaCl)を用いて洗浄し、乾燥させて前記前駆体化合物をアリル化する方法が挙げられる。
【0030】
また、本発明の第一の有機シラン化合物を製造するのに好適な他の製造方法としては、例えば、前述のようにして上記一般式(1)中のXがハロゲンである第一の有機シラン化合物を得た後、前記有機シラン化合物中のハロゲン基を、置換基を有していてもよいスタニル基又は置換基を有していてもよいボラニル基に置換して、上記一般式(1)中のXが置換基を有していてもよいスタニル基又は置換基を有していてもよいボラニル基である第一の有機シラン化合物を得る方法が挙げられる。
【0031】
このようにしてハロゲン原子と、置換基を有していてもよいスタニル基又は置換基を有していてもよいボラニル基とを置換する方法としては、これらの置換が可能な方法であればよく、特に制限されず、グリニャール反応等公知の方法を適宜採用することができる。
【0032】
次に、本発明の第一の有機シラン化合物を製造するのに好適な他の製造方法について説明する。本発明の第一の有機シラン化合物を製造するのに好適な他の製造方法としては、例えば、下記一般式(6):
HO−Ar−A (6)
(式(3)中、Arはフェニレン基、ビフェニリレン基、ナフチレン基及びピリジレン基からなる群から選択されるいずれか1種の2価の芳香族有機基を示し、Aは同一でも異なっていてもよく、それぞれハロゲン原子を示す。)
で表される原料化合物と、上記一般式(4)で表される化合物とを反応せしめて、下記一般式(7):
HO−Ar−Si(OR (7)
(式(7)中、Arはフェニレン基、ビフェニリレン基、ナフチレン基及びピリジレン基からなる群から選択されるいずれか1種の2価の芳香族有機基を示し、Aはハロゲン原子を示し、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
で表される前駆体化合物を得た後、前記一般式(7)で表される前駆体化合物中の式:−ORで表される置換基のうちの2つをアリル基に置換し、その後、前記化合物中の水酸基と、トリフラート基とを置換することにより、上記一般式(1)中のXがトリフラート基である第一の有機シラン化合物を得る方法が挙げられる。
【0033】
このような一般式(4)、(6)、(7)中のR、Arは、前記一般式(1)中のそれらと同義である。また、前記一般式(6)中のAは、ハロゲン原子を示し、反応の起こり易さの観点から、臭素原子、ヨウ素原子が好ましい。
【0034】
また、前記アリル化後の化合物中の水酸基とトリフラート基とを置換する方法は特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができる。
【0035】
以上、前記一般式(1)で表される有機シラン化合物の好適な製造方法について説明したが、これらの製造方法は前述の方法に制限されず、このような一般式(1)で表される有機シラン化合物を製造することが可能な方法を適宜採用することができる。
【0036】
[第二の有機シラン化合物]
本発明の第二の有機シラン化合物は、下記一般式(2):
【0037】
【化4】

【0038】
(式(2)中、Arはフェニレン基、ビフェニリレン基、ナフチレン基及びピリジレン基からなる群から選択されるいずれか1種の2価の芳香族有機基を示し、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R〜Rは同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、ペンチル基、ヘキシル基又はシクロヘキシル基を示し、kは1〜6の整数を示し、Ar’はベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ピリジン環、カルバゾール環及びフルオレン環からなる群から選択される少なくとも1種の芳香環を有するk価の芳香族有機基を示す。)
で表されることを特徴とするものである。
【0039】
上記一般式(2)中、Ar、R〜Rは、上記本発明の第一の有機シラン化合物において説明したそれらと同義である。
【0040】
また、上記一般式(2)中、kは1〜6の整数を示す。このようなkの値としては、適度な架橋度を有する有機シリカを合成するための材料として用いるという観点から、2〜6であることが好ましい。
【0041】
また、上記一般式(2)中、Ar’はベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ピリジン環、カルバゾール環及びフルオレン環からなる群から選択される少なくとも1種の芳香環を有するk価の芳香族有機基を示す。このようなAr’で表されるk価の芳香族有機基としては、ベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ピリジン環、カルバゾール環及びフルオレン環から選択される少なくとも1種の芳香環を有していればよく、特に制限されない。このようなk価の芳香族有機基としては、例えば、それぞれ置換基を有していてもよい、フェニル基、ビフェニル基、アントリル基、ピリジル基、カルバゾール基、フルオレン基、フェニレン基、ビフェニレン基、ターフェニル基、トリフェニレン基、トリフェニルベンゼン基、テトラフェニルピレン基、ヘキサフェニルベンゼン基等のk価の芳香族有機基が挙げられる。また、上記芳香族基が有していてもよい前記置換基としては、メチル基、エチル基、メトキシ基、エトキシ基、シアノ基、ニトロ基、ヒドロキシ基、ハロゲン基等が挙げられる。
【0042】
また、このようなAr’で表されるk価の芳香族有機基の中でも、化学的に安定な光・電子機能材料の合成の観点から、フェニル基、メトキシフェニル基、ビフェニル基、メトキシビフェニル基が好ましい。
【0043】
次に、このような本発明の第二の有機シラン化合物を製造するための方法として好適な方法を説明する。
【0044】
このような第二の有機シラン化合物の好適な製造方法としては、例えば、上記一般式(1)で表される第一の有機シラン化合物と、下記一般式(8):
【0045】
【化5】

【0046】
(式(8)中、kは1〜6の整数を示し、Ar’はベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ピリジン環、カルバゾール環及びフルオレン環から選択される少なくとも1種の芳香環を有するk価の芳香族有機基を示し、Zはボロン酸基、ハロゲン原子、スタニル基、トリフラート基、ハロゲン化マグネシウム基、ハロゲン化亜鉛基等の官能基を示す。)
で表される化合物とを反応せしめて、上記一般式(1)で表される第一の有機シラン化合物中の式−Xで表される置換基を、上記一般式(8)中の式:−Ar’で表される置換基に置換して、第二の有機シラン化合物を得る方法が挙げられる。
【0047】
このような一般式(8)中のAr’及びkは前記一般式(2)中のそれらと同義である。また、一般式(8)中のZはボロン酸基、ハロゲン原子、スタニル基、トリフラート基、ハロゲン化マグネシウム基、ハロゲン化亜鉛基等の官能基を示し、アリールカップリング反応への適用のし易さの観点から、ボロン酸、ハロゲン原子、スタニル基が好ましい。
【0048】
また、上記本発明の第一の有機シラン化合物と、上記一般式(8)で表される化合物とを反応させる方法は、上記一般式(1)で表される第一の有機シラン化合物中の式−Xで表される置換基を、上記一般式(8)中の式:−Ar’で表される置換基に置換できる方法であればよく、特に制限されず、公知の方法を適宜採用することができる。
【0049】
以上、前記一般式(2)で表される有機シラン化合物の好適な製造方法について説明したが、これらの製造方法は前述の方法に制限されず、このような一般式(2)で表される有機シラン化合物を製造することが可能な方法を適宜採用することができる。
【0050】
[有機シリカ]
本発明の有機シリカは、上記本発明の第一及び第二の有機シラン化合物のうちの少なくとも1種を重合せしめて得られたものであることを特徴とするものである。
【0051】
上記本発明の第一及び第二の有機シラン化合物のうちの少なくとも1種を重合(加水分解及び重縮合反応)せしめると、基本的に上記本発明の第一及び第二の有機シラン化合物中のアリル基と、ORで表される基とが脱離し、その部分において加水分解とその後の縮合反応によりシロキサン結合(Si−O−Si)が形成される。
【0052】
このように、上記本発明の第一及び第二の有機シラン化合物を重合せしめて得られる有機シリカは、Ar及び/又はAr’を含む有機基と、ケイ素原子(Si)と酸素原子(O)とを主成分として骨格が形成されており、高度に架橋した網目構造が形成される。
【0053】
上記本発明の第一及び第二の有機シラン化合物を重合せしめる方法は特に制限されないが、水又は水と有機溶媒との混合溶媒を溶媒として使用し、酸又は塩基触媒の存在下で上記本発明の第一及び第二の有機シラン化合物を加水分解及び重縮合反応せしめることが好ましい。ここで好適に用いられる有機溶媒としてはアルコール、アセトン等が挙げられ、混合溶媒とする場合の有機溶媒の含有量は5〜90重量%程度であることが好ましい。また、使用される酸触媒としては、塩酸、硝酸、硫酸といった鉱酸等が挙げられ、酸触媒を使用する場合の溶液はpHが6以下(より好ましくは2〜5)の酸性であることが好ましい。さらに、使用される塩基触媒としては、水酸化ナトリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カリウム等が挙げられ、塩基触媒を使用する場合の溶液はpHが8以上(より好ましくは9〜11)の塩基性であることが好ましい。
【0054】
また、このような重合工程における上記本発明の第一及び第二の有機シラン化合物の含有量は、ケイ素濃度換算で0.0055〜0.33mol/L程度であることが好ましい。また、上記重合工程における諸条件(温度、時間、等)は特に制限されず、用いる第一及び第二の有機シラン化合物の種類や目的とする有機シリカの種類等に応じて適宜選択されるが、一般的には0〜100℃程度の温度で1〜48時間程度の時間、上記本発明の第一及び第二の有機シラン化合物を加水分解及び縮合反応せしめることが好ましい。
【0055】
さらに、上記本発明の第一及び第二の有機シラン化合物を重合せしめてなる有機シリカは、通常はアモルファス構造であるが、合成条件により前記有機基(Ar及び/又はAr’)の規則的な配列に起因する周期構造を有するものとすることが可能である。このような周期性は使用する上記本発明の第一及び第二の有機シラン化合物の分子長に依存するが、5nm以下の周期構造であることが好ましい。この周期構造は上記本発明の第一及び第二の有機シラン化合物が重合した後も保持される。そして、この周期構造の形成は、X線回折(XRD)測定によりd=5nm以下の領域にピークが出現することにより確認することができる。なお、X線回折測定においてこのようなピークが確認されない場合であっても、部分的に周期構造が形成されている場合がある。このような周期構造は、後述する層状構造に伴って形成されるのが一般的であるが、その場合に限定されるものではない。
【0056】
このような有機基の規則的な配列に起因する周期構造を形成するための好適な合成条件としては、以下の諸条件が挙げられる。
(i)前記周期構造は上記本発明の第一及び第二の有機シラン化合物間に働く相互作用により形成されるため、上記本発明の第一及び第二の有機シラン化合物間の相互作用が大きくなるように、上記本発明の第一及び第二の有機シラン化合物の中でも、Ar及び/又はAr’で表される有機基がより大きな分子量を有する有機基である有機シラン化合物を用いることが好ましい。
(ii)溶液のpHが1〜3(酸性)又は10〜12(塩基性)であることが好ましく、10〜12(塩基性)であることがより好ましい。
【0057】
さらに、本発明の有機シリカの製造方法においては、上記本発明の第一及び第二の有機シラン化合物を重合(加水分解及び重縮合反応)せしめる際に界面活性剤を混合することにより、得られる有機シリカに細孔を形成させることが可能である。すなわち、界面活性剤のミセル又は液晶構造が鋳型となり、細孔を有する多孔体が形成される。
【0058】
このように上記本発明の第一及び第二の有機シラン化合物と共に界面活性剤を用いると、細孔径分布曲線における中心細孔直径が1〜30nmのメソ孔を有するメソ多孔体が得られるので好ましい。なお、前記中心細孔直径とは、細孔容積(V)を細孔直径(D)で微分した値(dV/dD)を細孔直径(D)に対してプロットした曲線(細孔径分布曲線)の最大ピークにおける細孔直径であり、次に述べる方法により求めることができる。すなわち、多孔体を液体窒素温度(−196℃)に冷却して窒素ガスを導入し、定容量法あるいは重量法によりその吸着量を求め、次いで、導入する窒素ガスの圧力を徐々に増加させ、各平衡圧に対する窒素ガスの吸着量をプロットし、吸着等温線を得る。この吸着等温線を用い、Cranston−Inklay法、Pollimore−Heal法、BJH法等の計算法により細孔径分布曲線を求めることができる。
【0059】
このようなメソ多孔体は、細孔径分布曲線における中心細孔直径の±40%の範囲に全細孔容積の60%以上が含まれることが好ましい。この条件を満たすメソ多孔体は、細孔の直径が非常に均一であることを意味する。また、メソ多孔体の比表面積については特に制限はないが、700m/g以上であることが好ましい。比表面積は、吸着等温線からBET等温吸着式を用いてBET比表面積として算出することができる。
【0060】
さらに、このようなメソ多孔体は、そのX線回折(XRD)パターンにおいて1.5〜30.5nmのd値に相当する回折角度に1本以上のピークを有することが好ましい。X線回折ピークはそのピーク角度に相当するd値の周期構造が試料中にあることを意味する。したがって、1.5〜30.5nmのd値に相当する回折角度に1本以上のピークがあることは、細孔が1.5〜30.5nmの間隔で規則的に配列していることを意味する。
【0061】
また、このようなメソ多孔体が有する細孔は、多孔体の表面のみならず内部にも形成される。かかる多孔体における細孔の配列状態(細孔配列構造又は構造)は特に制限されないが、2d−ヘキサゴナル構造、3d−ヘキサゴナル構造又はキュービック構造であることが好ましい。また、このような細孔配列構造は、ディスオーダの細孔配列構造を有するものであってもよい。
【0062】
ここで、多孔体がヘキサゴナルの細孔配列構造を有するとは、細孔の配置が六方構造であることを意味する(S.Inagaki et al., J.Chem.Soc.,Chem.Commun., p.680(1993)、S.Inagaki et al., Bull.Chem.Soc.Jpn., 69,p.1449(1996)、Q.Huo et al., Science, 268,p.1324(1995)参照)。また、多孔体がキュービックの細孔配列構造を有するとは、細孔の配置が立方構造であることを意味する(J.C.Vartuli et al., Chem.Mater., 6,p.2317(1994)、Q.Huo et al., Nature, 368,p.317(1994)参照)。また、多孔体がディスオーダの細孔配列構造を有するとは、細孔の配置が不規則であることを意味する(P.T.Tanev et al., Science, 267,p.865(1995)、S.A.Bagshaw et al., Science, 269,p.1242(1995)、R.Ryoo et al., J.Phys.Chem., 100,p.17718(1996)参照)。また、前記キュービック構造は、Pm−3n、Ia−3d、Im−3m又はFm−3m対称性であることが好ましい。前記対称性とは、空間群の表記法に基づいて決定されるものである。
【0063】
このように本発明の有機シリカ中に細孔がある場合、その多孔体に触媒作用を奏する他の金属や、他の発光性化合物や色素等の機能性成分を吸着(物理的吸着及び/又は化学的結合)させることが可能となる。
【0064】
前記メソ多孔体を得る際に用いられる界面活性剤は、特に限定されるものではなく、陽イオン性、陰イオン性、非イオン性のうちのいずれであってもよく、具体的には、アルキルトリメチルアンモニウム、アルキルトリエチルアンモニウム、ジアルキルジメチルアンモニウム、ベンジルアンモニウム等の塩化物、臭化物、ヨウ化物あるいは水酸化物;脂肪酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルリン酸塩、ポリエチレンオキサイド系非イオン性界面活性剤、一級アルキルアミン等が挙げられる。これらの界面活性剤は、単独で又は二種以上混合して用いられる。
【0065】
上記の界面活性剤のうち、ポリエチレンオキサイド系非イオン性界面活性剤としては、疎水性成分として炭化水素基、親水性部分としてポリエチレンオキサイドをそれぞれ有するポリエチレンオキサイド系非イオン性界面活性剤等が挙げられる。このような界面活性剤としては、例えば、一般式C2n+1(OCHCHOHで表され、nが10〜30、mが1〜30であるものが好適に使用できる。また、このような界面活性剤としては、オレイン酸、ラウリン酸、ステアリン酸、パルミチン酸等の脂肪酸とソルビタンとのエステル、あるいはこれらのエステルにポリエチレンオキサイドが付加した化合物を用いることもできる。
【0066】
さらに、このような界面活性剤としては、トリブロックコポリマー型のポリアルキレンオキサイドを用いることもできる。このような界面活性剤としては、ポリエチレンオキサイド(EO)とポリプロピレンオキサイド(PO)からなり、一般式(EO)(PO)(EO)で表されるものが挙げられる。x、yはそれぞれEO、POの繰り返し数を表すが、xは5〜110、yは15〜70であることが好ましく、xは13〜106、yは29〜70であることがより好ましい。上記のトリブロックコポリマーとしては、(EO)19(PO)29(EO)19、(EO)13(PO)70(EO)13、(EO)(PO)70(EO)、(EO)13(PO)30(EO)13、(EO)20(PO)30(EO)20、(EO)26(PO)39(EO)26、(EO)17(PO)56(EO)17、(EO)17(PO)58(EO)17、(EO)20(PO)70(EO)20、(EO)80(PO)30(EO)80、(EO)106(PO)70(EO)106、(EO)100(PO)39(EO)100、(EO)19(PO)33(EO)19、(EO)26(PO)36(EO)26が挙げられる。これらのトリブロックコポリマーはBASF社、アルドリッチ社等から入手可能であり、また、小規模製造レベルで所望のx値とy値を有するトリブロックコポリマーを得ることができる。
【0067】
また、エチレンジアミンの2個の窒素原子にそれぞれ2本のポリエチレンオキサイド(EO)鎖−ポリプロピレンオキサイド(PO)鎖が結合したスターダイブロックコポリマーも使用することができる。このようなスターダイブロックコポリマーとしては、一般式((EO)(PO)NCHCHN((PO)(EO)で表されるものが挙げられる。ここでx、yはそれぞれEO、POの繰り返し数を表すが、xは5〜110、yは15〜70であることが好ましく、xは13〜106、yは29〜70であることがより好ましい。
【0068】
このような界面活性剤の中では、結晶性の高いメソ多孔体を得ることができることから、アルキルトリメチルアンモニウム[C2p+1N(CH]の塩(好ましくはハロゲン化物塩)を用いることが好ましい。また、その場合は、アルキルトリメチルアンモニウム中のアルキル基の炭素数は8〜22であることがより好ましい。このようなものとしては、塩化オクタデシルトリメチルアンモニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、塩化テトラデシルトリメチルアンモニウム、臭化ドデシルトリメチルアンモニウム、臭化デシルトリメチルアンモニウム、臭化オクチルトリメチルアンモニウム、塩化ドコシルトリメチルアンモニウム等が挙げられる。
【0069】
上述のような界面活性剤を用いて本発明の有機シリカを製造する場合においては、先ず、前記界面活性剤を含有する前記溶媒中で上記本発明の第一及び第二の有機シラン化合物を加水分解及び重縮合反応せしめて有機シリカ中に前記界面活性剤が導入されてなる多孔体前駆体を得る。このような工程において、前記溶液中の界面活性剤の濃度は0.05〜1mol/Lであることが好ましい。前記界面活性剤の濃度が前記下限未満であると細孔の形成が不完全となる傾向にあり、他方、前記上限を超えると未反応で溶液中に残留する界面活性剤の量が増大して細孔の均一性が低下する傾向にある。
【0070】
次に、このようにして得られた多孔体前駆体に含まれる界面活性剤を除去することによって多孔体である有機シリカを得る。このような工程において、前記界面活性剤を除去する方法としては以下の方法が挙げられる。すなわち、例えば、(i)界面活性剤に対する溶解度が高い有機溶媒(例えば、エタノール)中に前記多孔体前駆体を浸漬して界面活性剤を除去する方法、(ii)前記多孔体前駆体を250〜550℃で焼成して界面活性剤を除去する方法、(iii)前記多孔体前駆体を酸性溶液に浸漬して加熱し、界面活性剤を水素イオンに交換せしめるイオン交換法、等を挙げることができる。
【0071】
また、このようにして得られる本発明の有機シリカは、用いる有機シラン化合物の種類(特にAr又はAr’で表される有機基の種類)を適宜選択することによって、屈折率制御機能、光吸収機能、発光機能又は電荷輸送機能等の機能を発揮することが可能となる。従って、本発明の有機シリカは、発光材料、電荷輸送材料、薄膜等として好適に利用することが可能である。
【0072】
また、本発明の有機シリカは、粉末のまま使用してもよいが、必要に応じて成形して使用してもよい。成形する手段はどのようなものでも良いが、押出成形、打錠成形、転動造粒、圧縮成形、CIP等が好ましい。その形状は使用箇所、方法に応じて決めることができ、例えば円柱状、破砕状、球状、ハニカム状、凹凸状、波板状等が挙げられる。
【0073】
また、本発明の有機シリカは、例えば以下の方法により、薄膜状とすることも可能である。このような薄膜状の有機シリカを得る場合、先ず、上記本発明の第一及び第二の有機シラン化合物を酸性溶液(塩酸、硝酸等の水溶液又はアルコール溶液等)中で攪拌することにより反応(部分加水分解及び部分縮合反応)せしめてその部分重合体を含むゾル溶液を製造する。このような上記本発明の第一及び第二の有機シラン化合物の加水分解反応はpHが低い領域で起こりやすいことから、系のpHを低くすることにより部分重合を促進することができる。このとき、pHは2以下であることが好ましく、1.5以下であることがより好ましい。また、その際の反応温度は15〜25℃程度とすることができ、反応時間は30〜90分程度とすることができる。
【0074】
次に、前述のようにして得られたゾル溶液を基板に塗布することにより、薄膜状の有機シリカを作製することができる。このようなゾル溶液を基板に塗布する方法としては特に制限されず、各種コーティング方法を適宜採用することができる。このようなコーティング方法としては、例えば、バーコーター、ロールコーター、グラビアコーター等を用いて塗布する方法や、ディップコーティング、スピンコーティング、スプレーコーティング等を利用する方法等が挙げられる。さらに、ゾル溶液をインクジェット法により塗布することにより、基板にパターン状の有機シリカを形成することも可能である。
【0075】
次いで、得られた薄膜を70〜150℃程度に加熱して乾燥せしめ、前記部分重合体の重縮合反応を進めて三次元的な架橋構造を形成させることが好ましい。なお、前記ゾル溶液に前述の界面活性剤を添加することにより、薄膜状の有機シリカ中に規則的な細孔構造を形成することが可能となる。
【実施例】
【0076】
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
【0077】
(合成例1)
以下のようにして、4-bromo-triethoxysiliybenzeneを調製した。
【0078】
【化6】

【0079】
先ず、4-iodo-bromobenzene(2.60g、9.19mmol)、テトラブチルアンモニウムヨージド(t-buthylammoniumiodido:3.39g、9.18mmol)及び[Rh(cod)(CH3CN)2](105mg、0.277mmol)の混合物に、ジメチルホルムアミド(DMF:26mL)とトリエチルアミン(triethylamine:2.56mL、18.4mmol)とを加えた後、0℃でトリエトキシシラン(triethoxysilane:1.87mL、10.1mmol)を滴下し、窒素雰囲気下、80℃で1時間攪拌して反応混合物を得た。次に、前記反応混合物中の溶媒を真空ポンプで留去し、窒素雰囲気下、残渣をエーテルで抽出してセライトろ過、濃縮して粗生成物を得た。そして、得られた粗生成物をクーゲルにより精製して、4-bromo-triethoxysiliybenzeneを得た(2.38g、収率81%)。
【0080】
このようにして得られた化合物に対して、H NMR測定を行った。得られたNMRのグラフを図1に示す。図1に示すNMR測定の結果から、得られた化合物は、4-bromo-triethoxysiliybenzeneであることが確認された。
【0081】
(実施例1)
以下のようにして、4-bromo-diallylethoxysilylbenzeneを調製した。
【0082】
【化7】

【0083】
先ず、合成例1で得られた4-bromo-triethoxysiliybenzene(4.74g、14.8mmol)に、0℃で1Mのアリルマグネシウムブロマイド(allylmagnesium bromide:59.4mmol(溶媒:エーテル)、59.4mL)を滴下し、窒素雰囲気下、室温で一晩攪拌して反応混合物を得た。次に、得られた反応混合物を10質量%HCl水溶液で中和した後、有機層をエーテルで抽出し、集めた有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液(sat.NaHCO3)と飽和塩化ナトリウム水溶液(sat.NaCl)で洗浄した。その後、得られた有機層を無水硫酸マグネシウム(MgSO4)で乾燥させた後、ろ過・濃縮し、粗生成物を得た。得られた粗生成物は、クーゲルにより精製し、4-bromo-diallylethoxysilylbenzeneを得た(4.20g、収率90.7%)。
【0084】
このようにして得られた化合物に対して、H NMR及び13C NMRの測定を行った。得られたNMRのグラフを図2及び図3に示す。図2及び図3に示すNMR測定の結果から、得られた化合物は4-bromo-diallylethoxysilylbenzeneであることが確認された。
【0085】
(合成例2)
以下のようにして、4-(triethoxysilyl)iodobenzeneを調製した。
【0086】
【化8】

【0087】
先ず、1,4-diiodobenzene(15g、45.6mmol)と蒸留テトラヒドロフラン溶液(dist.THF:114mL)とからなる混合液に、−30℃の温度条件下において2Mのi-PrMgCl(24mL(溶媒:THF)、48mmol)を滴下した後、窒素雰囲気下、−30℃で5.5時間撹拌し、反応液を得た。次に、前記反応液を、−30℃に冷却したテトラエトキシシラン(TEOS:60.6mL、272mmol)とdist.THF(90mL)とからなる混合液中にキャヌラーを用いて滴下した後(3滴/1秒)、−30℃で1時間撹拌し、その後、更に室温にて44時間撹拌して反応混合物を得た。次いで、得られた反応混合液にエーテル(100mL)を加え、蒸留水(dist.H2O)で洗浄した後、水層をエーテルで抽出し、集めた有機層をsat.NaClで洗浄し、MgSO4で乾燥させた後、ろ過、濃縮し、粗生成物を得た。そして、得られた粗生成物を減圧蒸留(1.5mmHg、120℃)により精製し、4-(triethoxysilyl)iodobenzeneを得た(10.2g、収率61%)。
【0088】
このようにして得られた化合物に対して、H NMR及び13C NMRの測定を行った。得られた結果を以下に示す。
H NMR (CDCl) δ7.73(dd,J=7.8Hz,1.4Hz,2H),7.39(d,J=7.8Hz,1.4Hz,2H),3.88(q,J=7.3Hz,6H),1.24(t,J=7.3Hz,9H).
13C NMR (CDCl) δ137.0, 136.3, 130.4, 97.8, 58.8, 18.1.
このようなNMR測定の結果から、得られた化合物は4-(triethoxysilyl)iodobenzeneであることが確認された。
【0089】
(実施例2)
以下のようにして、4-(diallylethoxysilyl)iodobenzeneを調製した。
【0090】
【化9】

【0091】
先ず、合成例2で得られた4-(triethoxysilyl)iodobenzene(9.4g,25.7mmol)に、0℃にて1Mのallylmagnesium bromide(77mL(溶媒:エーテル)、77mmol)を滴下し、窒素雰囲気下、室温で13時間撹拌して混合物を得た。次に、前記混合物を10質量%のHCl水溶液を加えて反応を停止させ、10質量%のHCl水溶液を用いて水層のpHを4に調節した後、有機層を分離し、水層をエーテルで抽出した。次いで、このようにして集めた有機層をsat.NaHCO3とsat.NaClで洗浄し、MgSO4で乾燥させた後、ろ過、濃縮し、粗生成物を得た。そして、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(hexane/EtOAc=20/1)により分離、精製し、4-(diallylethoxysilyl)iodobenzeneを得た(9.0g、98%)。
【0092】
このようにして得られた化合物に対して、H NMR及び13C NMRの測定を行った。得られた結果を以下に示す。
H NMR (CDCl) δ7.72(d,J=8.1Hz,2H),7.29(d,J=8.1Hz,2H),5.87−5.71(m,2H),4.98−−4.89(m,4H),3.75(q,J=6.8Hz,4H),1.91(d,J=8.1Hz,4H),1.20(t,J=6.8Hz,3H).
13C NMR (CDCl) δ136.9, 135.6, 134.5, 132.7, 115.0, 97.1, 59.4, 21.1, 18.4.
このようなNMR測定の結果から、得られた化合物は4-(diallylethoxysilyl)iodobenzeneであることが確認された。
【0093】
(合成例3)
以下のようにして、4-(diallylethoxysilyl)phenolを調製した。
【0094】
【化10】

【0095】
先ず、4−ヨードフェノール(4-iodophenol:6g、27.3mmol)、[Rh(CH3CN)2(cod)]BF4(104mg、0.27mmol)及びテトラブチルアンモニウムヨージド(n-Bu4NI:10.0g、27.3mmol)の混合物に、dist.DMF(180mL)、蒸留トリエチルアミン(dist.Et3N:11.4mL、81.8mmol)及びトリエトキシシラン((EtO)3SiH:15.1mL、81.8mmol)を滴下し、窒素雰囲気下、80℃で3時間撹拌し、反応混合物を得た。次に、前記反応混合物中の溶媒を真空ポンプで留去し、残渣を得た。そして、得られた残渣をエーテルで抽出し、生じた塩をセライトろ過により除去し、有機層からエバポレータにより溶媒を留去して粗生成物(I)を得た。
【0096】
次いで、粗生成物(I)に、直接、0℃にて1Mのallylmagnesium bromide(136mL(溶媒:エーテル)、136mmol)を滴下し、混合物を得た後、窒素雰囲気下、室温で19時間撹拌した。その後、得られた混合物に10質量%の塩酸(HCl)を加えて反応を停止させ、塩がなくなる寸前まで10質量%のHClを加えた。そして、前記混合物から有機層を分離し、水層をエーテルで抽出した後、集めた有機層をsat.NaHCO3と、sat.NaClとで洗浄し、MgSO4で乾燥させた後、ろ過、濃縮し、粗生成物(II)を得た。次いで、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(hexane/EtOAc=5/1)により分離、精製し、4-(diallylethoxysilyl)phenolを得た(5.30g、収率78%(in two steps))。
【0097】
このようにして得られた化合物に対して、H NMR及び13C NMRの測定を行った。得られた結果を以下に示す。
H NMR (CDCl) δ7.46(d,J=8.6Hz,2H),6.85(d,J=8.6Hz,2H),5.90−5.74(m,2H),5.57(br,1H),4.99−4.88(m,4H),3.75(q,J=6.8Hz,4H),1.92(d,J=8.4Hz,4H),1.20(t,J=6.8Hz,3H).
13C NMR (CDCl) δ157.2, 135.8, 133.2, 125.9, 115.0, 114.7, 59.3, 21.2, 18.3.
このようなNMR測定の結果から、得られた化合物は4-(diallylethoxysilyl)phenolであることが確認された。
【0098】
(実施例3)
以下のようにして、4-(diallylethoxysilyl)phenyltriflateを調製した。
【0099】
【化11】

【0100】
先ず、合成例3で得られた4-(diallylethoxysilyl)phenol(102mg、0.41mmol)に、蒸留ジクロロメタン(dist.CH2Cl2:1.9mL)を加え溶解させて溶液を得た。次に、前記溶液に、−78℃にてピリジン(pyridine:133μL、1.64mmol)とトリフルオロ酢酸無水物(Tf2O:76μL、0.45mmol)を滴下し、窒素雰囲気下、室温にて25時間撹拌した後、更に、蒸留エタノール(dist.EtOH:3mL)を加えて30分間撹拌し、反応混合物を得た。次いで、得られた反応混合物をsat.NaHCO3、sat.NaClで洗浄し、MgSO4で乾燥させた後、ろ過、濃縮し、粗生成物を得た。そして、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(hexane/EtOAc=5/1)により分離、精製し、4-(diallylethoxysilyl)phenyltriflateを得た(73.3mg、収率47%)。
【0101】
このようにして得られた化合物に対して、H NMR及び13C NMRの測定を行った。得られた結果を以下に示す。
H NMR (CDCl) δ7.67(d,J=8.1Hz,2H),7.28(d,J=8.1Hz,2H),5.87−5.71(m,2H),4.99−4.91(m,4H),3.79(q,J=7.0Hz,2H),1.93(d,J=7.8Hz,4H),1.23(t,J=7.0Hz,3H).
13C NMR (CDCl) δ150.9, 136.5, 136.0, 132.4, 132.4, 120.6, 115.2, 59.4, 21.1, 18.3.
このようなNMR測定の結果から、得られた化合物は4-(diallylethoxysilyl)phenyltriflateであることが確認された。
【0102】
(実施例4)
以下のようにして、4-(diallylethoxysilyl)phenyltriflateを調製した。
【0103】
【化12】

【0104】
窒素雰囲気下、pyridine(521μL、6.4mmol)のdist.CH2Cl2溶液(10mL)を−78℃に冷却し、さらにTf2O(298μL、1.76mmol)を滴下し、窒素雰囲気下、−78℃で15分間撹拌して混合液を得た。次に、前記混合液に、−78℃にて、合成例3で得られた4-(diallylethoxysilyl)phenol(400mg、1.61mmol)のdist.CH2Cl2溶液(20mL)を滴下して反応混合物を得た。次いで、前記反応混合物を−78℃から徐々に室温になるまで昇温し、窒素雰囲気下、室温にて19時間撹拌した後、前記反応混合物中にdist.EtOH(4mL)を加え、更に30分間撹拌した。その後、前記反応混合物をsat.NaHCO3と、sat.NaClで洗浄し、MgSO4で乾燥させた後、ろ過、濃縮し、粗生成物を得た。そして、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(hexane/EtOAc=10/1)により分離、精製し、4-(diallylethoxysilyl)phenyltriflateを得た(485mg,収率79%)。
【0105】
このようにして得られた化合物に対して、H NMR及び13C NMRの測定を行った。得られた結果を以下に示す。
H NMR (CDCl) δ7.67(d,J=8.1Hz,2H),7.28(d,J=8.1Hz,2H),5.87−5.71(m,2H),4.99−4.91(m,4H),3.79(q,J=7.0Hz,2H),1.93(d,J=7.8Hz,4H),1.23(t,J=7.0Hz,3H).
13C NMR (CDCl) δ150.9, 136.5, 136.0, 132.4, 132.4, 120.6, 115.2, 59.4, 21.1, 18.3.
このようなNMR測定の結果から、得られた化合物は4-(diallylethoxysilyl)phenyltriflateであることが確認された。
【0106】
(実施例5)
以下のようにして、4-(diallylethoxysilyl)phenyltriflateを調製した。
【0107】
【化13】

【0108】
先ず、合成例3で得られた4-(diallylethoxysilyl)phenol(197mg、0.79mmol)、2-[N,N-bis(trifluoromethylsulfonyl)amino]-5-chloropyridine(343mg、0.87mmol)の混合物に、dist.CH2Cl2(5mL)を加え溶解させて溶液を得た。次に、室温にて、前記溶液にN,N−ジイソプロピルエチルアミン(iPr2NEt:553μL、3.17mmol)を滴下し、窒素雰囲気下、室温にて19時間撹拌して反応混合物を得た。その後、得られた反応混合物中の有機層を濃縮することにより、粗生成物を得た。得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(hexane/EtOAc=10/1)により分離、精製し、4-(diallylethoxysilyl)phenyltriflateを得た(253mg,収率84%)。
【0109】
このようにして得られた化合物に対して、H NMR及び13C NMRの測定を行った。得られた結果を以下に示す。
H NMR (CDCl) δ7.67(d,J=8.1Hz,2H),7.28(d,J=8.1Hz,2H),5.87−5.71(m,2H),4.99−4.91(m,4H),3.79(q,J=7.0Hz,2H),1.93(d,J=7.8Hz,4H),1.23(t,J=7.0Hz,3H).
13C NMR (CDCl) δ150.9, 136.5, 136.0, 132.4, 132.4, 120.6, 115.2, 59.4, 21.1, 18.3.
このようなNMR測定の結果から、得られた化合物は4-(diallylethoxysilyl)phenyltriflateであることが確認された。
【0110】
(実施例6)
以下のようにして、1-(diallylethoxysilyl)-4-(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)benzeneを調製した。
【0111】
【化14】

【0112】
実施例2で得られた4-(diallylethoxysilyl)iodobenzene(171mg、0.48mmol)のTHF溶液(2mL)に、−30℃にて2Mのi-PrMgCl(0.50mL(溶媒:THF)、1.0mmol)を滴下し、窒素雰囲気下、−30℃で1.5時間撹拌し、4-(diallylethoxysilyl)phenylmagnesium chlorideを含有するTHF溶液(Grignrad溶液)を得た。次に、得られたGrignrad溶液を−78℃に冷却した後、前記Grignrad溶液に2−イソプロポキシ−4,4,5,5−テトラメチル−1,3,2−ジオキサボロラン(2-isopropoxy-4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolane:204μL、1.0mmol)を滴下し、反応混合物を得た。次いで、得られた反応混合物を窒素雰囲気下、−78℃で1時間撹拌した後、更に室温で14時間撹拌した。その後、前記反応混合物に蒸留水を加えて反応を停止させ、生じた塩がなくなるまで10質量%のHCl水溶液を加えた後、有機層を分離し、水層をエーテルで抽出して有機層を集めた。次に、このようにして集めた有機層をsat.NaHCO3と、sat.NaClで洗浄し、MgSO4で乾燥させた後、ろ過、濃縮し、粗生成物を得た。そして、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(hexane/EtOAc=5/1)により分離、精製し、1-(diallylethoxysilyl)-4-(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)benzeneを得た(128.3mg、収率75%)。
【0113】
このようにして得られた化合物に対して、H NMR及び13C NMRの測定を行った。得られた結果を以下に示す。
H NMR (CDCl) δ7.81(d,J=8.4Hz,2H),7.58(d,J=8.4Hz,2H),5.89−5.73(m,2H),4.98−4.87(m,4H),3.75(q,J=7.0Hz,2H),1.94(d,J=7.8Hz,4H),1.34(s,12H),1.20(t,J=7.0Hz,3H).
13C NMR (CDCl) δ138.5, 133.8, 133.2, 132.9, 127.7, 114.8, 83.8, 59.3, 24.8, 21.1, 18.3.
このようなNMR測定の結果から、得られた化合物は1-(diallylethoxysilyl)-4-(4,4,5,5-tetramethyl-1,3,2-dioxaborolan-2-yl)benzeneであることが確認された。
【0114】
(実施例7)
以下のようにして、4-(diallylethoxysilyl)phenyl-trimethyltinを調製した。
【0115】
【化15】

【0116】
先ず、実施例2で得られた4-(diallylethoxysilyl)iodobenzene(202mg、0.56mmol)のTHF溶液(2mL)に、−30℃にて2Mのi-PrMgCl(0.59mL(溶媒:THF)、1.18mmol)を滴下した後、窒素雰囲気下−30℃で1.5時間撹拌して4-(diallylethoxysilyl)phenylmagnesium chlorideのTHF溶液(Grignrad溶液)を得た。次に、得られたGrignrad溶液に、−30℃にて、1Mのトリメチルスズクロリド(Me3SnCl:1.18mL(溶媒:THF)、1.18mmol)を滴下して、反応混合物を得た。次いで、前記反応混合物を窒素雰囲気下、室温で13時間撹拌した後、蒸留水を加えて反応を停止させた。その後、前記反応混合物の有機層を分離し、水層をエーテルで抽出して有機層を集めた。次に、このようにして集めた有機層をsat.NaHCO3と、sat.NaClで洗浄し、MgSO4で乾燥させた後、ろ過、濃縮し、粗生成物を得た。そして、得られた粗生成物はシリカゲルカラムクロマトグラフィー(hexane/EtOAc=5/1)により分離、精製し、4-(diallylethoxysilyl)phenyl-trimethyltinを得た(214mg、収率96%)。
【0117】
このようにして得られた化合物に対して、H NMR及び13C NMRの測定を行った。得られた結果を以下に示す。
H NMR (CDCl) δ7.52(d,J=1.62Hz,4H),5.89−5.79(m,2H),5.00−4.89(m,4H),3.76(q,J=6.8Hz,2H),1.93(d,J=8.1Hz,4H),1.21(t,J=6.8Hz,3H),0.29(s,9H,J(Sn−CH=54.5Hz)).
13C NMR (CDCl) δ144.6, 135.3, 134.8, 133.4, 133.2, 114.7, 59.3, 21.2, 18.4. −9.63(J(119Sn−CH)=348.6Hz, J(117Sn−CH)=333.0Hz).
このようなNMR測定の結果から、得られた化合物は4-(diallylethoxysilyl)phenyl-trimethyltinであることが確認された。
【0118】
(実施例8)
以下のようにして、4-(diallylethoxysilyl)biphenylを調製した。
【0119】
【化16】

【0120】
先ず、実施例2で得られた4-(diallylethoxysilyl)iodobenzene(148mg、0.41mmol)、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウム(Pd(PPh3)4:14.3mg、0.012mmol)、炭酸カリウム(K2CO3:85.1mg、0.62mmol)及びフェニルボロン酸(phenyl boronic acid:60mg、0.49mmol)の混合物に、蒸留トルエン(dist.toluene:5mL)を加えた後、窒素雰囲気下、80℃で13時間撹拌して反応混合物を得た。次に、前記反応混合物をエーテルで希釈し、生じた塩をセライトろ過により除去した後、エバポレータにより有機層から溶媒を留去し、粗生成物を得た。そして、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(hexane/EtOAc=10/1)により分離、精製し、4-(diallylethoxysilyl)biphenyl(本発明の第二の有機シランを得た(99.6mg、収率78%)。
【0121】
このようにして得られた化合物に対して、H NMR及び13C NMRの測定を行った。得られた結果を以下に示す。
H NMR (CDCl) δ7.68−7.60(m,6H),7.45(t,J=7.0Hz,2H),7.36(t,J=7.0Hz,1H),5.94−5.78(m,2H),5.02−4.91(m,4H),3.80(q,J=6.8Hz,2H),1.97(d,J=7.8Hz,2H),1.23(t,J=6.8Hz,3H).
13C NMR(CDCl)δ142.4, 140.8, 134.5, 133.7, 133.1, 128.7, 127.4, 127.1, 126.4, 114.8, 59.3, 21.2, 18.4.
このようなNMR測定の結果から、得られた化合物は得られた化合物は上記一般式(2)中のAr’がフェニル基である4-(diallylethoxysilyl)biphenylであることが確認された。
【0122】
(実施例9)
以下のようにして、4-(diallylethoxysilyl)biphenylの調製した。
【0123】
【化17】

【0124】
実施例1で得られた4-(diallylethoxysilyl)bromobenzene(152mg、0.49mmol)、Pd(PPh3)4(16.9mg、0.015mmol)、K2CO3(101mg、0.73mmol)及びフェニルボロン酸(71.4mg、0.59mmol)の混合物に、dist.toluene(5mL)を加え、窒素雰囲気下、80℃で13時間撹拌して反応混合物を得た。その後、反応混合物中に生じた塩をセライトろ過により除去し、エバポレータにより有機層から溶媒を留去し、粗生成物を得た。そして、得られた粗生成物はシリカゲルカラムクロマトグラフィー(hexane/EtOAc=10/1)により分離、精製し、4-(diallylethoxysilyl)biphenylを得た(91.2mg、収率61%)。
【0125】
このようにして得られた化合物に対して、H NMR及び13C NMRの測定を行った。得られた結果を以下に示す。
H NMR (CDCl) δ7.68−7.60(m,6H),7.45(t,J=7.0Hz,2H),7.36(t,J=7.0Hz,1H),5.94−5.78(m,2H),5.02−4.91(m,4H),3.80(q,J=6.8Hz,2H),1.97(d,J=7.8Hz,2H),1.23(t,J=6.8Hz,3H).
13C NMR (CDCl) δ142.4, 140.8, 134.5, 133.7, 133.1, 128.7, 127.4, 127.1, 126.4, 114.8, 59.3, 21.2, 18.4.
このようなNMR測定の結果から、得られた化合物は上記一般式(2)中のAr’がフェニル基である4-(diallylethoxysilyl)biphenylであることが確認された。
【0126】
(実施例10)
以下のようにして、4-(diallylethoxysilyl)-4’-methoxybiphenylを調製した。
【0127】
【化18】

【0128】
先ず、実施例2で得られた4-(diallylethoxysilyl)iodobenzene(187mg、0.52mmol)、Pd(PPh3)4(18.1mg、0.016mmol)、K2CO3(108mg、0.78mmol)及び4−メトキシフェニルボロン酸(4-methoxyphenyl boronic acid:95.2mg、0.63mmol)の混合物に、dist.toluene(5mL)を加え、窒素雰囲気下、80℃で13時間撹拌して、反応混合物を得た。次に、反応混合物中に生じた塩をセライトろ過により除去し、エバポレータにより有機層から溶媒を留去して粗生成物を得た。そして、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(hexane/EtOAc=10/1)により分離、精製し、4-(diallylethoxysilyl)-4’-methoxybiphenylを得た(157.3mg、収率89%)。
【0129】
このようにして得られた化合物に対して、H NMR及び13C NMRの測定を行った。得られた結果を以下に示す。
H NMR (CDCl) δ7.63(d,J=7.6Hz,2H),7.57(d,J=7.6Hz,2H),7.55(d,J=8.4Hz,2H),6.99(d,J=8.4Hz,2H),5.94−5.78(m,2H),5.02−4.91(m,4H),3.86(s,3H),3.79(q,J=6.8Hz,2H),1.97(d,J=8.1Hz,2H),1.23(t,J=6.8Hz,3H).
13C NMR (CDCl) δ159.3, 142.0, 134.4, 133.3, 133.1, 132.9, 128.1, 126.0, 114.7, 114.2, 59.3, 55.2, 21.2, 18.4.
このようなNMR測定の結果から、得られた化合物は上記一般式(2)中のAr’がメトキシフェニル基である4-(diallylethoxysilyl)-4’-methoxybiphenylであることが確認された。
【0130】
(実施例11)
以下のようにして、4-(diallylethoxysilyl)-4’-methoxybiphenylを調製した。
【0131】
【化19】

【0132】
先ず、実施例1で得られた4-(diallylethoxysilyl)bromobenzene(191mg、0.61mmol)、Pd(PPh3)4(21.3mg、0.018mmol)、K2CO3(127mg、0.92mmol)及び4-methoxyphenyl boronic acid(112mg、0.74mmol)の混合物にdist.toluene(5mL)を加え、窒素雰囲気下、80℃で13時間撹拌して反応混合物を得た。次に、反応混合物中に生じた塩をセライトろ過により除去し、エバポレータにより有機層から溶媒を留去して粗生成物を得た。そして得られた粗生成物をPTLC(hexane/EtOAc=10/1)により分離、精製し、4-(diallylethoxysilyl)-4’-methoxybiphenylを得た(125.4mg、収率60%)。
【0133】
このようにして得られた化合物に対して、H NMR及び13C NMRの測定を行った。得られた結果を以下に示す。
H NMR (CDCl) δ7.63(d,J=7.6Hz,2H),7.57(d,J=7.6Hz,2H),7.55(d,J=8.4Hz,2H),6.99(d,J=8.4Hz,2H),5.94−5.78(m,2H),5.02−4.91(m,4H),3.86(s,3H),3.79(q,J=6.8Hz,2H),1.97(d,J=8.1Hz,2H),1.23(t,J=6.8Hz,3H).
13C NMR (CDCl) δ159.3, 142.0, 134.4, 133.3, 133.1, 132.9, 128.1, 126.0, 114.7, 114.2, 59.3, 55.2, 21.2, 18.4.
このようなNMR測定の結果から、得られた化合物は上記一般式(2)中のAr’がメトキシフェニル基である4-(diallylethoxysilyl)-4’-methoxybiphenylであることが確認された。
【0134】
(実施例12)
以下のようにして、4-(diallylethoxysilyl)-4’-methoxybiphenylを調製した。
【0135】
【化20】

【0136】
先ず、実施例4で得られた4-(diallylethoxysilyl)phenyltriflate(150mg、0.39mmol)、Pd(PPh3)4(13.6mg、0.012mmol)、K2CO3(81.7mg、0.59mmol)及び4-methoxyphenyl boronic acid(71.9mg、0.47mmol)の混合物にdist.toluene(5mL)を加え、窒素雰囲気下80℃で16時間撹拌して反応混合物を得た。次に、前記反応混合物中に生じた塩をセライトろ過により除去し、エバポレータにより有機層から溶媒を留去して粗生成物を得た。そして、得られた粗生成物はシリカゲルカラムクロマトグラフィー(hexane/EtOAc=10/1)により分離、精製し、4-(diallylethoxy-silyl)-4’-methoxybiphenylを得た(101.7mg,収率76%)。
【0137】
このようにして得られた化合物に対して、H NMR及び13C NMRの測定を行った。得られた結果を以下に示す。
H NMR (CDCl) δ7.63(d,J=7.6Hz,2H),7.57(d,J=7.6Hz,2H),7.55(d,J=8.4Hz,2H),6.99(d,J=8.4Hz,2H),5.94−5.78(m,2H),5.02−4.91(m,4H),3.86(s,3H),3.79(q,J=6.8Hz,2H),1.97(d,J=8.1Hz,2H),1.23(t,J=6.8Hz,3H).
13C NMR (CDCl) δ159.3, 142.0, 134.4, 133.3, 133.1, 132.9, 128.1, 126.0, 114.7, 114.2, 59.3, 55.2, 21.2, 18.4.
このようなNMR測定の結果から、得られた化合物は上記一般式(2)中のAr’がメトキシフェニル基である4-(diallylethoxysilyl)-4’-methoxybiphenylであることが確認された。
【0138】
(実施例13)
以下のようにして、有機シリカを合成した。
【0139】
【化21】

【0140】
先ず、トリメチルステアリルアンモニウムクロリド(20mg)、水(1.1g)および6Mの水酸化ナトリウム水溶液(20μL)の混合物に、実施例12で得られた4-diallylethoxysilyl-4’-methoxybiphenyl(25mg)を加え、室温(25℃)で一晩(24時間)激しく攪拌した後、攪拌を停止し、得られた懸濁液を90℃で24時間加熱した。次に、前記懸濁液中に生成した白色沈澱を吸引ろ過により回収し、水で洗浄した後、減圧下で乾燥させることにより、メトキシビフェニリル基を有する有機シリカを得た(白色粉末:収量19.6mg)。
【0141】
このようにして得られた有機シリカ粉末に対して励起スペクトル及び蛍光スペクトルの測定を行った。得られた励起スペクトル(破線)と蛍光スペクトル(実線)のグラフを図4に示す。図4に示す結果からも明らかなように、得られた有機シリカの粉末は327nmの光を吸収し、365nmの蛍光を発することが確認された。
【0142】
このような結果から、得られた有機シリカは光学的機能材料として好適に用いることができることが分かった。また、本発明の第二の有機シラン化合物(実施例12)を用いることにより、塩基性条件下において、比較的温和な加熱温度の条件下で、光吸収機能及び発光機能を有する有機シリカを効率よく合成できることが分かった。
【0143】
(実施例14)
以下のようにして、有機シリカを合成した。
【0144】
【化22】

【0145】
先ず、実施例12で得られた4-diallylethoxysilyl-4’-methoxybiphenyl(25mg)をエタノール(1.0g)に溶解させた後、水(0.1g)及び6Mの水酸化ナトリウム水溶液(20μL)を加え、室温(25℃)で一晩(24時間)攪拌した後、攪拌を停止し、得られた反応溶液を70℃で24時間加熱した。次に、前記反応溶液中に生成した白色沈澱を吸引ろ過により回収し、エタノールで洗浄した後、減圧下で乾燥することにより、メトキシビフェニリル基を有する有機シリカを得た(白色粉末:収量14.7mg)。
【0146】
このようにして得られた有機シリカ粉末に対して励起スペクトル及び蛍光スペクトルの測定を行った。得られた励起スペクトル(破線)と蛍光スペクトル(実線)のグラフを図5に示す。図5に示す結果からも明らかなように、得られた有機シリカの粉末は、316nmの光を吸収し、また366nmの蛍光を発することが確認された。
【0147】
このような結果から、得られた有機シリカは光学的機能材料として好適に用いることができることが分かった。また、本発明の第二の有機シラン化合物(実施例12)を用いることにより、塩基性条件下において、比較的温和な撹拌及び加熱温度の条件下で、光吸収機能及び発光機能を有する有機シリカを効率よく合成できることが分かった。
【0148】
(実施例15)
以下のようにして、有機シリカを合成した。
【0149】
【化23】

【0150】
先ず、トリメチルステアリルアンモニウムクロリド(25mg)、水(1.0g)及び2Mの塩酸(1.0g)の混合物に、実施例12で得られた4-diallylethoxysilyl-4’-methoxybiphenyl(25mg)を加え、室温(25℃)で一晩(24時間)激しく攪拌した後、攪拌を停止し、得られた懸濁液を90℃で24時間加熱した。次に、前記懸濁液中に生成した白色沈澱を吸引ろ過により回収し、水で洗浄した後、減圧下で乾燥することにより、メトキシビフェニリル基を有する有機シリカを得た(白色粉末:収量14.0mg)。
【0151】
このようにして得られた有機シリカ粉末に対して励起スペクトル及び蛍光スペクトルの測定を行った。得られた励起スペクトル(破線)と蛍光スペクトル(実線)のグラフを図6に示す。図6に示す結果からも明らかなように、得られた有機シリカの粉末は、314nmの光を吸収し、367nmの蛍光を発することが確認された。
【0152】
このような結果から、得られた有機シリカは光学的機能材料として好適に用いることができることが分かった。また、本発明の第二の有機シラン化合物(実施例12)を用いることにより、酸性条件下において、比較的温和な加熱温度の条件下で、光吸収機能及び発光機能を有する有機シリカを効率よく合成できることが分かった。
【0153】
(実施例16)
以下のようにして、有機シリカを合成した。
【0154】
【化24】

【0155】
先ず、実施例12で得られた4-diallylethoxysilyl-4’-methoxybiphenyl(25mg)をエタノール(2.0g)に溶解させた後、2Mの塩酸(0.7g)を加え、室温(25℃)で一晩(24時間)攪拌した後、攪拌を停止し、得られた反応溶液を70℃で24時間加熱した。次に、前記反応溶液中に生成した白色沈澱を吸引ろ過により回収し、エタノールで洗浄した後、減圧下で乾燥することにより、メトキシビフェニリル基を有する有機シリカを得た(白色粉末:収量10.5mg)。
【0156】
このようにして得られた有機シリカ粉末に対して励起スペクトル及び蛍光スペクトルの測定を行った。得られた励起スペクトル(破線)と蛍光スペクトル(実線)のグラフを図7に示す。図7に示す結果からも明らかなように、得られた有機シリカの粉末は、318nmの光を吸収し、374nmの蛍光を発することが確認された。
【0157】
このような結果から、得られた有機シリカは光学的機能材料として好適に用いることができることが分かった。また、本発明の第二の有機シラン化合物(実施例12)を用いることで、酸性条件下において、比較的温和な撹拌及び加熱温度の条件下で、光吸収機能と発光機能とを有する有機シリカを効率よく合成できることが分かった。
【0158】
(実施例17)
以下のようにして、4-(diallylhydroxysilyl)iodobenzeneを調製した。
【0159】
【化25】

【0160】
4-(diallylethoxysilyl)iodobenzene(1.19g、3.32mmol)をジエチルエ−テル(Et2O:20mL)に溶解させ、よく撹拌しながらpHが3程度になるまで10質量%のHCl水溶液を加え、反応溶液を得た。その後、反応溶液中において進行する加水分解反応をTLCにより追跡し、反応が終わったところで有機層をsat.NaHCO3とsat.NaClで洗浄した。次いで、得られた有機層をMgSO4で乾燥させた後、ろ過、濃縮して粗生成物を得た。そして、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(hexane/EtOAc=3/1)により分離、精製し、4-(diallylhydroxysilyl)iodobenzeneを得た(1.09g,収率100%)。
【0161】
このようにして得られた化合物に対して、H NMR測定を行った。得られた結果を以下に示す。
H NMR (CDCl) δ1.89(d,J=7.8Hz,4H),2.19(s,1H),4.92−4.99(m,4H),5.78(ddt,J=16.2Hz,10.3Hz,7.8Hz,2H),7.30(d,J=8.1Hz,2H),7.73(d,J=8.1Hz,2H).
このようなNMR測定の結果から、得られた化合物は4-(diallylhydroxysilyl)iodobenzeneであることが確認された。
【0162】
(実施例18)
以下のようにして、4-(diallylhydroxysilyl)-4’-methoxybiphenylを調製した(シラノールヨード体を用いた鈴木カップリング反応)。
【0163】
【化26】

【0164】
実施例17で得られた4-(diallylhydroxysilyl)iodobenzene(151mg、0.46mmol)、Pd(PPh3)4(15.9mg,0.014mmol)、K2CO3(94.8mg、0.69mmol)及び4-methoxyphenyl boronic acid(83.4mg、0.55mmol)の混合物にdist.toluene(5mL)を加えた後、窒素雰囲気下80℃で38時間撹拌して反応混合物を得た。次に、反応混合物中に生じた塩をセライトろ過により除去し、エバポレータにより有機層から溶媒を留去して粗生成物を得た。そして、得られた粗生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(hexane/EtOAc=3/1)により分離、精製し、4-(diallylhydroxysilyl)-4’-methoxybiphenylを得た(76.1mg、収率54%)。
【0165】
このようにして得られた化合物に対して、H NMR測定を行った。得られた結果を以下に示す。
H NMR (CDCl) δ1.97(d,J=8.1Hz,4H),2.18(s,1H),3.85(s,3H),4.95(dd,J=9.5Hz,1.6Hz,2H),5.00(dd,J=16.5Hz,1.6Hz,2H),5.85(ddt,J=16.5Hz,9.5Hz,8.1Hz,2H),6.98(d,J=8.9Hz,2H),7.55(d,J=8.9Hz,2H),7.57(d,J=8.1Hz,2H),7.64(d,J=8.1Hz,2H)。
このようなNMR測定の結果から、得られた化合物は4-(diallylhydroxysilyl)-4’-methoxybiphenylであることが確認された。
【産業上の利用可能性】
【0166】
以上説明したように、本発明によれば、化学的な安定性が十分に高く、メソ構造を有する有機シリカの合成に有用であるとともに、屈折率制御機能、光吸収機能、発光機能又は電荷輸送機能等の機能を有する有機シリカの合成に有用な有機シラン化合物及びそれを用いて得られる有機シリカを提供することが可能となる。
【0167】
したがって、本発明の有機シラン化合物は、屈折率制御機能、光吸収機能、発光機能又は電荷輸送機能等の機能を有する有機シリカの製造材料として特に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0168】
【図1】合成例1で得られた4-bromo-triethoxysiliybenzeneのH NMRのグラフである。
【図2】実施例1で得られた4-bromo-diallylethoxysilylbenzeneのH NMRのグラフである。
【図3】実施例1で得られた4-bromo-diallylethoxysilylbenzeneの13C NMRのグラフである。
【図4】実施例13で得られた有機シリカの励起スペクトル(破線)と蛍光スペクトル(実線)のグラフである
【図5】実施例14で得られた有機シリカの励起スペクトル(破線)と蛍光スペクトル(実線)のグラフである
【図6】実施例15で得られた有機シリカの励起スペクトル(破線)と蛍光スペクトル(実線)のグラフである
【図7】実施例16で得られた有機シリカの励起スペクトル(破線)と蛍光スペクトル(実線)のグラフである

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記一般式(1):
【化1】

(式(1)中、Arはフェニレン基、ビフェニリレン基、ナフチレン基及びピリジレン基からなる群から選択されるいずれか1種の2価の芳香族有機基を示し、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R〜Rは同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、ペンチル基、ヘキシル基又はシクロヘキシル基を示し、Xはハロゲン原子、ハロゲン化マグネシウム、ハロゲン化亜鉛、置換基を有していてもよいスタニル基、置換基を有していてもよいボラニル基及びトリフラート基からなる群から選択されるいずれか1種の反応性置換基を示す。)
で表されることを特徴とする有機シラン化合物。
【請求項2】
下記一般式(2):
【化2】

(式(2)中、Arはフェニレン基、ビフェニリレン基、ナフチレン基及びピリジレン基からなる群から選択されるいずれか1種の2価の芳香族有機基を示し、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を示し、R〜Rは同一でも異なっていてもよく、それぞれ水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、イソプロピル基、ペンチル基、ヘキシル基又はシクロヘキシル基を示し、kは1〜6の整数を示し、Ar’はベンゼン環、ナフタレン環、アントラセン環、ピリジン環、カルバゾール環及びフルオレン環からなる群から選択される少なくとも1種の芳香環を有するk価の芳香族有機基を示す。)
で表されることを特徴とする有機シラン化合物。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の有機シラン化合物のうちの少なくとも1種を重合せしめて得られたものであることを特徴とする有機シリカ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−214314(P2008−214314A)
【公開日】平成20年9月18日(2008.9.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−57342(P2007−57342)
【出願日】平成19年3月7日(2007.3.7)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成18年度、独立行政法人科学技術振興機構「有機シリカハイブリッド材料の合成と機能設計」委託研究、産業活力再生特別措置法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000003609)株式会社豊田中央研究所 (4,200)
【出願人】(503446121)
【Fターム(参考)】