説明

有機ランタン化合物及び該化合物を用いたランタン含有膜の製造方法

【課題】成長速度が高く、かつ形成した膜の平坦性に優れた有機ランタン化合物及び溶液原料、ランタン含有膜の製造方法を提供する。
【解決手段】本発明の有機ランタン化合物は、有機金属化学気相成長法用原料であって、官能基としてシクロペンタジエニル基及びその置換体からなる群より選ばれた1種ないし3種のみがランタン元素に配位してなるか、又はシクロペンタジエニル基及びその置換体からなる群から選ばれた官能基とアミノ基及びその置換体からなる群から選ばれた官能基の双方のみがランタン元素に配位してなるか、或いは官能基としてアミノ基及びその置換体からなる群より選ばれた1種ないし3種のみがランタン元素に配位したことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機金属化学気相成長法(Metal Organic Chemical Vapor Deposition、以下、MOCVD法という。)を用いてゲート酸化膜、キャパシタ膜等として有用な酸化ランタン薄膜等のランタン含有薄膜を作製するための原料として好適な有機ランタン化合物及び該化合物を用いたランタン含有膜の製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の有機ランタン化合物は、誘電率の高い強誘電体膜であるチタン酸ジルコン酸ランタン鉛(PLZT)や、チタン酸ビスマスランタン(BLT)を形成するための有機金属化合物として知られている。
PLZTを形成するための有機ランタン化合物として、トリス(ジイソブチリルメタナート)ランタンが開示されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。特許文献1及び2に示される化合物は、溶液気化方式のCVD法でBLTやBLnTV薄膜を成膜する場合は基板温度450〜600℃の低温で成膜でき、PLZT薄膜を成膜する場合は基板温度400〜500℃の低温で成膜できる。
また、BLTを形成するための有機ランタン化合物として、La(tmhd)3A(tmhdはテトラメチルヘプタンジオネートであり、Aはペンタメチルジエチレントリアミン又はトリエトキシトリエチレンアミンである。)で示されるランタン錯体が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。特許文献3に示されるランタン錯体は、熱安定性、揮発性、有機溶媒に対する溶解度等の側面においていずれも優れた特性を有し、BLT薄膜を穏やかな条件下で蒸着させるMOCVD用La前駆体として有用である。
【0003】
一方、希土類元素を含む機能性セラミックスは優れた特性を有するため、半導体や電子部品、光学部品等に応用が期待されている。この希土類元素を含む機能性セラミックスを製造するための原料として、M(βジケトネート)3(Mは希土類元素を表し、βジケトネートは末端にR1及びR2を有し、このR1及びR2は、一方が炭素数1〜8のアルキル基を表し、他方が鎖中に1〜3この酸素原子を含んでもよい炭素数6〜10のアルキル基を表す。)で表される金属化合物を含有してなる化学気相成長用原料が開示されている(例えば、特許文献4参照。)。この特許文献4に示される金属化合物はCVD法による希土類元素を含む機能性セラミックスの製造に適する。
【特許文献1】特開2003−321417号公報(請求項2、段落[0043])
【特許文献2】特開2003−321475号公報(請求項1、段落[0039])
【特許文献3】特開2003−119171号公報(請求項1、段落[0030])
【特許文献4】特開2002−309373号公報(請求項1、段落[0002]及び段落[0053])
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献1〜4に示される化合物は、ゲート酸化膜、キャパシタ膜等として有用なLa23膜を成膜する場合、熱安定性が悪く配管内に固体分解物が析出するなどの不具合を有していた。
本発明の目的は、成長速度が高く、かつ形成した膜の平坦性に優れた有機ランタン化合物及び溶液原料、ランタン含有膜の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
請求項1に係る発明は、MOCVD法用原料であって、官能基としてシクロペンタジエニル基(以下、Cp基という。)及びその置換体からなる群より選ばれた1種ないし3種のみがランタン元素に配位したことを特徴とする有機ランタン化合物である。
請求項1に係る発明では、Cp基及びその置換体からなる群より選ばれた1種ないし3種のみがランタン元素に配位した有機ランタン化合物は、π共役配位子を配位したため気相安定性が良く、成長速度が高く、またこのような有機ランタン化合物を用いて形成したランタン含有膜は平坦性に優れる。特にゲート酸化膜として有用な酸化ランタン薄膜に好適である。
【0006】
請求項2に係る発明は、MOCVD法用原料であって、Cp基及びその置換体からなる群から選ばれた官能基とアミノ基及びその置換体からなる群から選ばれた官能基の双方のみがランタン元素に配位したことを特徴とする有機ランタン化合物である。
請求項2に係る発明では、Cp基及びその置換体からなる群から選ばれた官能基とアミノ基及びその置換体からなる群から選ばれた官能基の双方のみがランタン元素に配位した有機ランタン化合物は、アミンの電子供与性から気相安定性が良く、成長速度が高く、またこのような有機ランタン化合物を用いて形成したランタン含有膜は平坦性に優れる。特にゲート酸化膜として有用な酸化ランタン薄膜に好適である。
【0007】
請求項3に係る発明は、MOCVD法用原料であって、官能基としてアミノ基及びその置換体からなる群より選ばれた1種ないし3種のみがランタン元素に配位したことを特徴とする有機ランタン化合物である。
請求項3に係る発明では、アミノ基及びその置換体からなる群より選ばれた1種ないし3種のみがランタン元素に配位した有機ランタン化合物は、アミノ電子供与性効果と安定性により、成長速度が高く、またこのような有機ランタン化合物を用いて形成したランタン含有膜は平坦性に優れる。特にゲート酸化膜として有用な酸化ランタン薄膜に好適である。
【0008】
請求項4に係る発明は、請求項1ないし3いずれか1項に記載の有機ランタン化合物を有機溶媒に溶解したことを特徴とする溶液原料である。
請求項5に係る発明は、請求項1ないし3いずれか1項に記載の有機ランタン化合物、又は請求項4記載の溶液原料を用いてMOCVD法によりランタン含有膜を製造することを特徴とするランタン含有膜の製造方法である。
【発明の効果】
【0009】
本発明の有機ランタン化合物は、有機金属化学気相成長法用原料であって、官能基としてシクロペンタジエニル基及びその置換体からなる群より選ばれた1種ないし3種のみがランタン元素に配位することで、π共役配位子を配位したため気相安定性が良くなり、シクロペンタジエニル基及びその置換体からなる群から選ばれた官能基とアミノ基及びその置換体からなる群から選ばれた官能基の双方のみがランタン元素に配位することで、アミンの電子供与性から気相安定性が良くなり、官能基としてアミノ基及びその置換体からなる群より選ばれた1種ないし3種のみがランタン元素に配位することで、アミノ電子供与性効果と安定性により、それぞれ成長速度が高く、またこのような有機ランタン化合物を用いて形成したランタン含有膜は平坦性に優れる。特にゲート酸化膜として有用な酸化ランタン薄膜に好適である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
次に本発明を実施するための最良の形態を説明する。
本発明の第1の有機ランタン化合物は、MOCVD法用原料であって、官能基としてCp基及びその置換体からなる群より選ばれた1種ないし3種のみがランタン元素に配位したことを特徴とする有機ランタン化合物である。Cp基及びその置換体からなる群より選ばれた1種ないし3種のみがランタン元素に配位した有機ランタン化合物は、π共役配位子を配位したため気相安定性が良く、成長速度が高く、またこのような有機ランタン化合物を用いて形成したランタン含有膜は平坦性に優れる。特にゲート酸化膜として有用な酸化ランタン薄膜に好適である。
具体的には、本発明の第1の有機ランタン化合物は次の一般式(1)に示される構造が好適である。
La(CpR1)(CpR2)(CpR3) ……(1)
但し、式中のR1、R2及びR3は、水素、炭素数1〜4の直鎖又は分岐状アルキル基であり、R1、R2及びR3はそれぞれ同一でも一部が同一でも全てが異なっていてもよい。式(1)に示されるR1、R2及びR3としては、H、Me、Et、n-Pr、i-Pr、n-Bu、i-Bu、t-Buが挙げられる。
【0011】
本発明の第1の有機ランタン化合物の製造方法を説明する。
先ず、四塩化ランタンを無水ジエチルエーテル等の有機溶媒に懸濁させ、この懸濁液に氷冷下で30分間〜1時間程度かけてゆっくりリチウムシクロペンタジエンを添加する。次に、リチウムシクロペンタジエンを添加した懸濁液をろ過し、得られたろ液を減圧濃縮することによりLaCp3が得られる。
リチウムシクロペンタジエンの代わりにアルキルリチウムシクロペンタジエンを用いることで、所望の有機タンタル化合物が得られる。具体的にはアルキルリチウムシクロペンタジエンのアルキル基がメチル基であればLa(MeCp)3が、アルキルリチウムシクロペンタジエンのアルキル基がエチル基であればLa(EtCp)3が、アルキルリチウムシクロペンタジエンのアルキル基がn-プロピル基であればLa(n-PrCp)3が得られる。
【0012】
本発明の第2の有機ランタン化合物は、MOCVD法用原料であって、Cp基及びその置換体からなる群から選ばれた官能基とアミノ基及びその置換体からなる群から選ばれた官能基の双方のみがランタン元素に配位したことを特徴とする有機ランタン化合物である。Cp基及びその置換体からなる群から選ばれた官能基とアミノ基及びその置換体からなる群から選ばれた官能基の双方のみがランタン元素に配位した有機ランタン化合物は、アミンの電子供与性から気相安定性が良く、成長速度が高く、またこのような有機ランタン化合物を用いて形成したランタン含有膜は平坦性に優れる。特にゲート酸化膜として有用な酸化ランタン薄膜に好適である。
具体的には、本発明の第2の有機ランタン化合物は次の一般式(2)又は一般式(3)に示される構造が好適である。
La(CpR4)(CpR5)(NR67) ……(2)
但し、式中のR4、R5、R6及びR7は、水素、炭素数1〜4の直鎖又は分岐状アルキル基であり、R4、R5、R6及びR7はそれぞれ同一でも一部が同一でも全てが異なっていてもよい。式(2)に示されるR4、R5、R6及びR7としては、H、Me、Et、n-Pr、i-Pr、n-Bu、i-Bu、t-Buが挙げられる。
La(CpR8)(NR910)(NR1112) ……(3)
但し、式中のR8、R9、R10、R11及びR12は、水素、炭素数1〜4の直鎖又は分岐状アルキル基であり、R8、R9、R10、R11及びR12はそれぞれ同一でも一部が同一でも全てが異なっていてもよい。式(3)に示されるR8、R9、R10、R11及びR12としては、H、Me、Et、n-Pr、i-Pr、n-Bu、i-Bu、t-Buが挙げられる。
【0013】
次に本発明の第2の有機ランタン化合物の一例としてLaCp2(NMe2)の製造方法を説明する。
先ず、四塩化ランタンを無水ジエチルエーテル等の有機溶媒に懸濁させ、この懸濁液を−40℃程度の氷冷下で30分間〜1時間程度かけてゆっくりリチウムシクロペンタジエンを2モル当量添加する。続けて懸濁液にジメチルアミノリチウムを1モル当量添加し、懸濁液を24時間程度冷却しながら攪拌する。次に、リチウムシクロペンタジエン及びジメチルアミノリチウムをそれぞれ添加した懸濁液をろ過し、得られたろ液を減圧濃縮することによりLaCp2(NMe2)が得られる。
なお、リチウムシクロペンタジエンの代わりにアルキルリチウムシクロペンタジエンを、ジメチルアミノリチウムの代わりにアルキルアミノリチウムをそれぞれ用いることで、所望の有機タンタル化合物が得られる。具体的にはアルキルリチウムシクロペンタジエンのアルキル基がメチル基であればLa(MeCp)2(NMe2)が、アルキルリチウムシクロペンタジエンのアルキル基がエチル基であればLa(EtCp)2(NMe2)が、アルキルリチウムシクロペンタジエンのアルキル基がn-プロピル基であればLa(n-PrCp)2(NMe2)が得られる。また、アルキルアミノリチウムのアルキル基がエチル基であればLaCp2(NEt2)が、アルキルアミノリチウムのアルキル基がメチル基とエチル基であればLaCp2[N(Me)(Et)]が得られる。
更にアルキルリチウムシクロペンタジエンを1モル当量、アルキルアミノリチウムを2モル当量の添加割合とすることで上記式(3)に示される構造の有機ランタン化合物が得られる。
【0014】
本発明の第3の有機ランタン化合物は、MOCVD法用原料であって、官能基としてアミノ基及びその置換体からなる群より選ばれた1種ないし3種のみがランタン元素に配位したことを特徴とする有機ランタン化合物である。アミノ基及びその置換体からなる群より選ばれた1種ないし3種のみがランタン元素に配位した有機ランタン化合物は、アミノ電子供与性効果と安定性により、成長速度が高く、またこのような有機ランタン化合物を用いて形成したランタン含有膜は平坦性に優れる。特にゲート酸化膜として有用な酸化ランタン薄膜に好適である。
具体的には、本発明の第3の有機ランタン化合物は次の一般式(4)に示される構造が好適である。
La(NR1314)3 ……(4)
但し、式中のR13及びR14は、水素、炭素数1〜4の直鎖又は分岐状アルキル基であり、R13とR14は互いに同一でも異なっていてもよい。式(4)に示されるR13及びR14としては、H、Me、Et、n-Pr、i-Pr、n-Bu、i-Bu、t-Buが挙げられる。
【0015】
次に本発明の第3の有機ランタン化合物の一例としてLa(NMe2)3の製造方法を説明する。
先ず、四塩化ランタンを無水ジエチルエーテル等の有機溶媒に懸濁させ、この懸濁液を氷冷下で30分間〜1時間程度かけてゆっくりジメチルアミノリチウムを添加する。次に、ジメチルアミノリチウムを添加した懸濁液をろ過し、得られたろ液を減圧濃縮することによりLa(NMe2)3が得られる。
なお、ジメチルアミノリチウムの代わりにアルキルアミノリチウムを用いることで、所望の有機タンタル化合物が得られる。具体的にはアルキルアミノリチウムのアルキル基がエチル基であればLa(NEt2)3が、アルキルアミノリチウムのアルキル基がメチル基とエチル基であればLa[N(Me)(Et)]3が、アルキルアミノリチウムのアルキル基がメチル基とi-ブチル基であればLa[N(Me)(i-Bu)]3が、それぞれ得られる。
【0016】
なお、本発明の第3の有機ランタン化合物の構造として、次の式(5)に示すような構造も考えられるが、異なる種類のアミノ基を配位させた有機ランタン化合物を作製することは難しく、仮に作製できたとしても単離し難く、また作製コストがかかりすぎるため実用的ではない。
La(NRAB)(NRCD)(NREF) ……(5)
但し、RA、RB、RC、RD、RE及びRFは、水素、炭素数1〜4の直鎖又は分岐状アルキル基であり、RA、RB、RC、RD、RE及びRFは一部が同一でも全てが異なっていてもよい。
【0017】
また、本発明の溶液原料は、前述した本発明の第1〜第3の有機ランタン化合物を、有機溶媒に溶解したことを特徴とする溶液原料である。この有機ランタン化合物と有機溶媒の配合比は任意であり、その使用用途や、有機溶媒の種類によって適宜調製することが好ましい。
本発明の溶液原料には、テトラヒドロフラン、メチルテトラヒドロフラン、n-オクタン、イソオクタン、ヘキサン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ピリジン、ルチジン、酢酸ブチル、酢酸アミル、酢酸メチル及び酢酸エチルからなる群より選ばれた1種又は2種以上の化合物が有機溶媒として好適である。
【0018】
本発明のランタン含有膜の製造方法は、前述した本発明の有機ランタン化合物、又は前述した本発明の溶液原料を用いてMOCVD法によりランタン含有膜を製造することを特徴とする。本発明の有機ランタン化合物を用い、MOCVD法により酸化ランタン薄膜を形成する方法を説明する。
図1に示すように、MOCVD装置は、成膜室10と蒸気発生装置11を備える。成膜室10の内部にはヒータ12が設けられ、ヒータ12上には基板13が保持される。この成膜室10の内部は圧力センサー14、コールドトラップ15及びニードルバルブ16を備える配管17により真空引きされる。成膜室10にはニードルバルブ36、ガス流量調節装置34を介して酸素源導入管37が接続される。蒸気発生装置11には、本発明の有機ランタン化合物を原料として貯留する原料容器18が備えられる。また酸素源としてO2ガスを用いる。なお酸素源にはO3ガスやN2Oガスを使用することもできる。原料容器18にはガス流量調節装置19を介して加圧用不活性ガス導入管21が接続され、また原料容器18には供給管22が接続される。供給管22にはニードルバルブ23及び流量調節装置24が設けられ、供給管22は気化室26に接続される。気化室26にはニードルバルブ31、ガス流量調節装置28を介してキャリアガス導入管29が接続される。気化室26は更に配管27により成膜室10に接続される。また気化室26には、ガスドレイン32及びドレイン33がそれぞれ接続される。
この装置では、加圧用不活性ガスが導入管21から原料容器18内に導入され、原料容器18に貯蔵されている原料液を供給管22により気化室26に搬送する。気化室26で気化されて蒸気となった有機ランタン化合物は、更にキャリアガス導入管29から気化室26へ導入されたキャリアガスにより配管27を経て成膜室10内に供給される。成膜室10内において、有機ランタン化合物の蒸気を熱分解させ、酸素源導入管37より導入されたO2ガスと反応させることにより、生成した酸化ランタンを加熱された基板13上に堆積させて酸化ランタン薄膜を形成する。加圧用不活性ガス、キャリアガスには、アルゴン、ヘリウム、窒素等が挙げられる。
本発明の有機ランタン化合物は、成長速度が高く、またこのような有機ランタン化合物を用いて形成したランタン含有膜は平坦性に優れる。得られた酸化ランタン薄膜は3nm以下であるため、優れた特性を有するゲート酸化膜やキャパシタ膜として機能する。
【実施例】
【0019】
次に本発明の実施例を比較例とともに詳しく説明する。
<実施例1>
先ず、四塩化ランタン50gを無水ジエチルエーテル100mlに懸濁させ、この懸濁液を−40℃の氷冷下で30分間かけてゆっくりリチウムシクロペンタジエンを添加し、懸濁液を24時間冷却しながら攪拌した。次に、リチウムシクロペンタジエンを添加した懸濁液をろ過し、得られたろ液を約399Pa(30torr)、40℃で減圧濃縮することにより有機ランタン化合物を20g得た。得られた有機ランタン化合物を1H-NMR(C66)により測定した結果、測定値はδ=3.8ppm(C−H)、δ=4.5ppm(C−H)及びδ=6.2ppm(C−H)であった。上記分析結果より得られた化合物はLaCp3であると同定された。
【0020】
<実施例2>
リチウムシクロペンタジエンの代わりにメチルリチウムシクロペンタジエンを用いた以外は実施例1と同様にして合成を行い、有機ランタン化合物を得た。得られた有機ランタン化合物を1H-NMR(C66)により測定した結果、測定値はδ=3.6ppm(C−H)、δ=4.2ppm(C−H)及びδ=5.9ppm(C−H)であった。上記分析結果より得られた化合物はLa(MeCp)3であると同定された。
<実施例3>
リチウムシクロペンタジエンの代わりにエチルリチウムシクロペンタジエンを用いた以外は実施例1と同様にして合成を行い、有機ランタン化合物を得た。得られた有機ランタン化合物を1H-NMR(C66)により測定した結果、測定値はδ=3.2ppm(C−H)、δ=4.0ppm(C−H)、δ=5.8ppm(C−H)及びδ=3.0ppm(C−H)であった。上記分析結果より得られた化合物はLa(EtCp)3であると同定された。
<実施例4>
リチウムシクロペンタジエンの代わりにイソプロピルリチウムシクロペンタジエンを用いた以外は実施例1と同様にして合成を行い、有機ランタン化合物を得た。得られた有機ランタン化合物を1H-NMR(C66)により測定した結果、測定値はδ=3.2ppm(C−H)、δ=4.1ppm(C−H)、δ=5.0ppm(C−H)及びδ=2.8ppm(C−H)であった。上記分析結果より得られた化合物はLa(i-PrCp)3であると同定された。
【0021】
<実施例5>
リチウムシクロペンタジエンの代わりにリチウムシクロペンタジエン1モル当量及びメチルリチウムシクロペンタジエン2モル当量を用いた以外は実施例1と同様にして合成を行い、有機ランタン化合物を得た。得られた有機ランタン化合物を1H-NMR(C66)により測定した結果、測定値はδ=3.6ppm(C−H)、δ=4.0ppm(C−H)、5.8ppm(C−H)及びδ=5.9ppm(C−H)であった。上記分析結果より得られた化合物はLaCp(MeCp)2であると同定された。
<実施例6>
リチウムシクロペンタジエンの代わりにリチウムシクロペンタジエン2モル当量及びメチルリチウムシクロペンタジエン1モル当量を用いた以外は実施例1と同様にして合成を行い、有機ランタン化合物を得た。得られた有機ランタン化合物を1H-NMR(C66)により測定した結果、測定値はδ=3.7ppm(C−H)、δ=4.4ppm(C−H)、δ=6.0ppm(C−H)及びδ=5.9ppm(C−H)であった。上記分析結果より得られた化合物はLaCp2(MeCp)であると同定された。
<実施例7>
リチウムシクロペンタジエンの代わりにリチウムシクロペンタジエン1モル当量及びエチルリチウムシクロペンタジエン2モル当量を用いた以外は実施例1と同様にして合成を行い、有機ランタン化合物を得た。得られた有機ランタン化合物を1H-NMR(C66)により測定した結果、測定値はδ=3.5ppm(C−H)、δ=4.0ppm(C−H)、6.0ppm(C−H)及びδ=3.2ppm(C−H)であった。上記分析結果より得られた化合物はLaCp(EtCp)2であると同定された。
<実施例8>
リチウムシクロペンタジエンの代わりにメチルリチウムシクロペンタジエン1モル当量及びエチルリチウムシクロペンタジエン2モル当量を用いた以外は実施例1と同様にして合成を行い、有機ランタン化合物を得た。得られた有機ランタン化合物を1H-NMR(C66)により測定した結果、測定値はδ=3.5ppm(C−H)、δ=4.1ppm(C−H)、2.9ppm(C−H)及びδ=5.5ppm(C−H)であった。上記分析結果より得られた化合物はLa(MeCp)(EtCp)2であると同定された。
【0022】
<実施例9>
先ず、四塩化ランタン50gを無水ジエチルエーテル100mlに懸濁させ、この懸濁液を−40℃の氷冷下で30分間かけてゆっくりメチルリチウムシクロペンタジエンを2モル当量添加した。続けて懸濁液にジメチルアミノリチウムを1モル当量添加し、懸濁液を24時間冷却しながら攪拌した。次に、メチルリチウムシクロペンタジエン及びジメチルアミノリチウムをそれぞれ添加した懸濁液をろ過し、得られたろ液を約399Pa(30torr)、40℃で減圧濃縮することにより有機ランタン化合物を20g得た。得られた有機ランタン化合物を1H-NMR(C66)により測定した結果、測定値はδ=1.2ppm(C−H)、δ=1.3ppm(C−H)及びδ=5.3ppm(C−H)であった。上記分析結果より得られた化合物はLa(MeCp)2(NMe2)であると同定された。
【0023】
<実施例10>
メチルリチウムシクロペンタジエンの代わりにエチルリチウムシクロペンタジエンを用いた以外は実施例9と同様にして合成を行い、有機ランタン化合物を得た。得られた有機ランタン化合物を1H-NMR(C66)により測定した結果、測定値はδ=1.2ppm(C−H)、δ=4.2ppm(C−H)、3.1ppm(C−H)及びδ=5.3ppm(C−H)であった。上記分析結果より得られた化合物はLa(EtCp)2(NMe2)であると同定された。
<実施例11>
メチルリチウムシクロペンタジエンの代わりにリチウムシクロペンタジエンを、ジメチルアミノリチウムの代わりにジエチルアミノリチウムをそれぞれ用いた以外は実施例9と同様にして合成を行い、有機ランタン化合物を得た。得られた有機ランタン化合物を1H-NMR(C66)により測定した結果、測定値はδ=4.1ppm(C−H)、δ=3.5ppm(C−H)及びδ=5.1ppm(C−H)であった。上記分析結果より得られた化合物はLaCp2(NEt2)であると同定された。
<実施例12>
ジメチルアミノリチウムの代わりにジエチルアミノリチウムを用いた以外は実施例9と同様にして合成を行い、有機ランタン化合物を得た。得られた有機ランタン化合物を1H-NMR(C66)により測定した結果、測定値はδ=1.1ppm(C−H)、δ=4.0ppm(C−H)、δ=3.5ppm(C−H)及びδ=5.3ppm(C−H)であった。上記分析結果より得られた化合物はLa(MeCp)2(NEt2)であると同定された。
<実施例13>
メチルリチウムシクロペンタジエンの代わりにエチルリチウムシクロペンタジエンを、ジメチルアミノリチウムの代わりにジエチルアミノリチウムをそれぞれ用いた以外は実施例9と同様にして合成を行い、有機ランタン化合物を得た。得られた有機ランタン化合物を1H-NMR(C66)により測定した結果、測定値はδ=1.0ppm(C−H)、δ=4.2ppm(C−H)、δ=3.1ppm(C−H)及びδ=5.3ppm(C−H)であった。上記分析結果より得られた化合物はLa(EtCp)2(NEt2)であると同定された。
【0024】
<実施例14>
先ず、四塩化ランタン50gを無水ジエチルエーテル100mlに懸濁させ、この懸濁液を−40℃の氷冷下で30分間かけてゆっくりリチウムシクロペンタジエンを1モル当量添加した。続けて懸濁液にジメチルアミノリチウムを2モル当量添加し、懸濁液を24時間冷却しながら攪拌した。次に、リチウムシクロペンタジエン及びジメチルアミノリチウムをそれぞれ添加した懸濁液をろ過し、得られたろ液を約399Pa(30torr)、40℃で減圧濃縮することにより有機ランタン化合物を20g得た。得られた有機ランタン化合物を1H-NMR(C66)により測定した結果、測定値はδ=4.1ppm(C−H)、δ=3.5ppm(C−H)及びδ=5.5ppm(C−H)であった。上記分析結果より得られた化合物はLaCp(NMe2)2であると同定された。
【0025】
<実施例15>
リチウムシクロペンタジエンの代わりにメチルリチウムシクロペンタジエンを用いた以外は実施例14と同様にして合成を行い、有機ランタン化合物を得た。得られた有機ランタン化合物を1H-NMR(C66)により測定した結果、測定値はδ=1.0ppm(C−H)、δ=1.3ppm(C−H)、δ=3.1ppm(C−H)及びδ=5.1ppm(C−H)であった。上記分析結果より得られた化合物はLa(MeCp)(NMe2)2であると同定された。
<実施例16>
リチウムシクロペンタジエンの代わりにエチルリチウムシクロペンタジエンを、ジメチルアミノリチウムの代わりにジメチルアミノリチウム及びジエチルアミノリチウムをそれぞれ用いた以外は実施例14と同様にして合成を行い、有機ランタン化合物を得た。得られた有機ランタン化合物を1H-NMR(C66)により測定した結果、測定値はδ=1.1ppm(C−H)、δ=4.4ppm(C−H)、δ=3.0ppm(C−H)及びδ=5.3ppm(C−H)であった。上記分析結果より得られた化合物はLa(EtCp)(NMe2)(NEt2)であると同定された。
<実施例17>
ジメチルアミノリチウムの代わりにジエチルアミノリチウムを用いた以外は実施例14と同様にして合成を行い、有機ランタン化合物を得た。得られた有機ランタン化合物を1H-NMR(C66)により測定した結果、測定値はδ=4.0ppm(C−H)、δ=3.7ppm(C−H)及びδ=5.4ppm(C−H)であった。上記分析結果より得られた化合物はLaCp(NEt2)2であると同定された。
<実施例18>
リチウムシクロペンタジエンの代わりにメチルリチウムシクロペンタジエンを、ジメチルアミノリチウムの代わりにジエチルアミノリチウムを用いた以外は実施例14と同様にして合成を行い、有機ランタン化合物を得た。得られた有機ランタン化合物を1H-NMR(C66)により測定した結果、測定値はδ=1.0ppm(C−H)、δ=4.8ppm(C−H)、δ=3.2ppm(C−H)及びδ=5.6ppm(C−H)であった。上記分析結果より得られた化合物はLa(MeCp)(NEt2)2であると同定された。
<実施例19>
リチウムシクロペンタジエンの代わりにエチルリチウムシクロペンタジエンを、ジメチルアミノリチウムの代わりにジエチルアミノリチウムをそれぞれ用いた以外は実施例14と同様にして合成を行い、有機ランタン化合物を得た。得られた有機ランタン化合物を1H-NMR(C66)により測定した結果、測定値はδ=4.0ppm(C−H)、δ=3.5ppm(C−H)及びδ=5.4ppm(C−H)であった。上記分析結果より得られた化合物はLa(EtCp)(NEt2)2であると同定された。
【0026】
<実施例20>
先ず、四塩化ランタン50gを無水ジエチルエーテル100mlに懸濁させ、この懸濁液を氷冷下で20分間かけてゆっくりメチルエチルアミノリチウムを添加した。メチルエチルアミノリチウムを添加した懸濁液をろ過し、得られたろ液を約399Pa(30torr)、40℃で減圧濃縮することにより有機ランタン化合物を20g得た。得られた有機ランタン化合物を1H-NMR(C66)により測定した結果、測定値はδ=1.3ppm(C−H)、δ=2.5ppm(C−H)及びδ=3.6ppm(C−H)であった。上記分析結果より得られた化合物はLa(NMeEt)3であると同定された。
【0027】
<実施例21>
メチルエチルアミノリチウムの代わりにジメチルアミノリチウムを用いた以外は実施例20と同様にして合成を行い、有機ランタン化合物を得た。得られた有機ランタン化合物を1H-NMR(C66)により測定した結果、測定値はδ=1.5ppm(C−H)及びδ=1.2ppm(C−H)であった。上記分析結果より得られた化合物はLa(NMe2)3であると同定された。
<実施例22>
メチルエチルアミノリチウムの代わりにジエチルアミノリチウムを用いた以外は実施例20と同様にして合成を行い、有機ランタン化合物を得た。得られた有機ランタン化合物を1H-NMR(C66)により測定した結果、測定値はδ=3.8ppm(C−H)及びδ=1.6ppm(C−H)であった。上記分析結果より得られた化合物はLa(NEt2)3であると同定された。
<実施例23>
メチルエチルアミノリチウムの代わりにメチルイソプロピルアミノリチウムを用いた以外は実施例20と同様にして合成を行い、有機ランタン化合物を得た。得られた有機ランタン化合物を1H-NMR(C66)により測定した結果、測定値はδ=1.1ppm(C−H)、δ=5.2ppm(C−H)、δ=4.1ppm(C−H)及びδ=1.3ppm(C−H)であった。上記分析結果より得られた化合物はLa[N(Me)(i-Pr)]3であると同定された。
【0028】
<実施例24>
メチルエチルアミノリチウムの代わりにエチルイソプロピルアミノリチウムを用いた以外は実施例20と同様にして合成を行い、有機ランタン化合物を得た。得られた有機ランタン化合物を1H-NMR(C66)により測定した結果、測定値はδ=3.3ppm(C−H)、δ=1.4ppm(C−H)、δ=5.1ppm(C−H)、δ=4.2ppm(C−H)及びδ=1.2ppm(C−H)であった。上記分析結果より得られた化合物はLa[N(Et)(i-Pr)]3であると同定された。
<実施例25>
メチルエチルアミノリチウムの代わりにメチルノルマルプロピルアミノリチウムを用いた以外は実施例20と同様にして合成を行い、有機ランタン化合物を得た。得られた有機ランタン化合物を1H-NMR(C66)により測定した結果、測定値はδ=1.3ppm(C−H)、δ=5.0ppm(C−H)、δ=4.1ppm(C−H)及びδ=1.1ppm(C−H)であった。上記分析結果より得られた化合物はLa[N(Me)(n-Pr)]3であると同定された。
<実施例26>
メチルエチルアミノリチウムの代わりにジノルマルプロピルアミノリチウムを用いた以外は実施例20と同様にして合成を行い、有機ランタン化合物を得た。得られた有機ランタン化合物を1H-NMR(C66)により測定した結果、測定値はδ=5.2ppm(C−H)、δ=3.9ppm(C−H)及びδ=1.1ppm(C−H)であった。上記分析結果より得られた化合物はLa[N(n-Pr)2]3であると同定された。
<実施例27>
メチルエチルアミノリチウムの代わりにジイソプロピルアミノリチウムを用いた以外は実施例20と同様にして合成を行い、有機ランタン化合物を得た。得られた有機ランタン化合物を1H-NMR(C66)により測定した結果、測定値はδ=5.1ppm(C−H)、δ=4.1ppm(C−H)及びδ=1.0ppm(C−H)であった。上記分析結果より得られた化合物はLa[N(i-Pr)2]3であると同定された。
【0029】
<比較例1>
先ず、四塩化ランタン50gを無水ジエチルエーテル100mlに懸濁させ、この懸濁液に室温下でジピバロイルメタンのナトリウム塩40gを添加した。ジピバロイルメタンのナトリウム塩を添加した懸濁液を30分間室温で攪拌した後、攪拌後の懸濁液をろ過し、得られたろ液を約399Pa(30torr)、50℃で減圧濃縮することによりLa(DPM)3を10g得た。
<比較例2>
先ず、四塩化ランタン50gを無水ジエチルエーテル100mlに懸濁させ、この懸濁液に室温下でn-ブチルリチウム30g及びブチルアルコール100gを添加した。n-ブチルリチウム及びブチルアルコールを添加した懸濁液を30分間室温で攪拌した後、攪拌後の懸濁液をろ過し、得られたろ液を約399Pa(30torr)、50℃で減圧濃縮することによりLa(O-n-Bu)3を25g得た。
【0030】
<比較試験1>
実施例1〜27及び比較例1,2でそれぞれ得られた有機ランタン化合物を用いて成膜時間当たりの膜厚試験及び段差被覆性試験を行った。
先ず、基板として基板表面にSiO2膜(厚さ5000Å)を形成したシリコン基板を5枚ずつ用意し、基板を図1に示すMOCVD装置の成膜室に設置した。次いで、基板温度を500℃、気化温度を100℃、圧力を約1.33kPa(10torr)にそれぞれ設定した。反応ガスとしてO2ガスを、キャリアガスとしてArガスを用い、その分圧を1000ccmの割合でそれぞれ供給し、成膜時間が1分、5分、10分、20分及び30分となったときにそれぞれ1枚ずつ成膜室より取出した。
(1)成膜時間あたりの膜厚試験
成膜を終えた基板上の酸化ランタン薄膜を断面SEM(走査型電子顕微鏡)像から膜厚を測定した。
(2)段差被覆性試験
成膜を終えた基板上の酸化ランタン薄膜を断面SEM(走査型電子顕微鏡)像から段差被覆性を測定した。段差被覆性とは図2に示される溝等の段差のある基板41に薄膜42を成膜したときのa/bの数値で表現される。a/bが1.0であれば、基板の平坦部分と同様に溝の奥まで均一に成膜されているため、段差被覆性は良好であるといえる。逆にa/bが1.0未満の数値であれば、溝の奥まで成膜し難く、a/bが1.0を越える数値であれば、基板の平坦部分よりも溝の奥の方が成膜度合いが大きく、それぞれ段差被覆性は悪いとされる。
<評価>
実施例1〜27及び比較例1,2でそれぞれ得られた有機ランタン化合物の結果を表1及び表2にそれぞれ示す。
【0031】
【表1】

【0032】
【表2】

【0033】
表1及び表2より明らかなように、比較例1及び2の有機ランタン化合物を用いて得られた薄膜は、時間が進んでも膜厚が厚くならず、成膜の安定性が悪いことが判る。また段差被覆性も非常に悪い結果となっており、この比較例1及び2の有機ランタン化合物を用いてランタン含有膜を形成した場合、ボイドを生じるおそれがある。これに対して実施例1〜27の有機ランタン化合物を用いて得られた薄膜は、比較例1及び2の有機ランタン化合物を用いた場合に比べて非常に成膜速度が高く、成膜安定性が高い結果が得られた。更に、段差被覆性も1.0に近い数値が得られており、基板の平坦部分と同様に溝の奥まで均一に成膜されていることが判った。このような成膜特性を有する本発明の有機ランタン化合物は、ゲート酸化膜として有用な酸化ランタン薄膜の製造に好適であることが判る。
【産業上の利用可能性】
【0034】
本発明の有機ランタン化合物及び溶液原料は、ゲート酸化膜、キャパシタ膜等として有用な酸化ランタン薄膜等のランタン含有薄膜を作製するための原料としてだけでなく、PLZTやBLT膜等の強誘電体膜を作製するための原料としても適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】MOCVD装置の概略図。
【図2】MOCVD法により成膜したときの段差被覆率の求め方を説明するための基板断面図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機金属化学気相成長法用原料であって、官能基としてシクロペンタジエニル基及びその置換体からなる群より選ばれた1種ないし3種のみがランタン元素に配位したことを特徴とする有機ランタン化合物。
【請求項2】
有機金属化学気相成長法用原料であって、シクロペンタジエニル基及びその置換体からなる群から選ばれた官能基とアミノ基及びその置換体からなる群から選ばれた官能基の双方のみがランタン元素に配位したことを特徴とする有機ランタン化合物。
【請求項3】
有機金属化学気相成長法用原料であって、官能基としてアミノ基及びその置換体からなる群より選ばれた1種ないし3種のみがランタン元素に配位したことを特徴とする有機ランタン化合物。
【請求項4】
請求項1ないし3いずれか1項に記載の有機ランタン化合物を有機溶媒に溶解したことを特徴とする溶液原料。
【請求項5】
請求項1ないし3いずれか1項に記載の有機ランタン化合物、又は請求項4記載の溶液原料を用いて有機金属化学気相成長法によりランタン含有膜を製造することを特徴とするランタン含有膜の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−13267(P2006−13267A)
【公開日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−190577(P2004−190577)
【出願日】平成16年6月29日(2004.6.29)
【出願人】(000006264)三菱マテリアル株式会社 (4,417)
【Fターム(参考)】