説明

有機物質の乾燥設備

菓子、食物の廃棄物又は包材、ナプキン、ストローのようなバイオマスなどの有機物質の乾燥設備であって、a)有機物を投入する開閉可能な充填口及び下面又は側面下方に備えられた開閉可能な乾燥物の排出口を有するミキサー(M)、b)空気を吸引してミキサー(M)の内部を減圧にするために、前記ミキサーのハウジングの最高充填高さの上方に取り付けられた少なくとも1つの接続用配管に連結された少なくとも1つの真空ポンプ(VP)、c)有機物を加熱する加熱装置(H)、d)吸引された空気を冷却するために、真空ポンプ(VP)の排気菅(AL)に連結され、冷却設備(KA)に連結された少なくとも1つの凝縮器(K)、e)凝縮器(K)の冷却により、吸引された空気を凝縮器(K)内おける冷却により得られた凝縮物を導く排水菅(AW)、を備えていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、菓子、食物の廃棄物又は包材、ナプキン、ストローのようなバイオマスなどの有機物質を乾燥する設備に関する。
【背景技術】
【0002】
乾燥したバイオマスの、例えば廃水の浄化の際に発生する汚泥、液肥、発酵後とか乾燥炉内において圧搾後のその他の微生物及び残ったバイオマスなどの残留物を発電所において燃焼することを周知である。更に、特許文献1には、固形の都市ゴミ、農産物、食品及び紙などの廃棄物、破砕木材、木材からのバイオマス又は水、汚泥、化学廃水、タール凝縮オイル、糖蜜の残留物又は澱粉を含む廃棄物からのセルロース系素材からの廃棄物を互いに混合し、ブリケットに成形することが開示されている。
【0003】
特許文献2には、少なくとも15〜30%の乾燥重量を含む脱水汚泥を乾燥して燃料を生成する方法が開示されている。脱水された汚泥は、乾燥前に汚泥よりも含水率の低い可燃材料と共に複合生成物へと混合される。加熱乾燥装置を用いて、混合物は所望の可燃性の塊へと乾燥される。乾燥装置は、一端に加熱装置を有する円筒状装置である。複合生成物は直ちに加熱装置へ送られ、通常は機械的又は圧力空気により燃料へと成形される。燃料は、例えばペレットの形状で扱われる。
【0004】
特許文献3には、注入及び/又は混練塊を攪拌する歯科技術を応用した減圧ミキサーが開示されている。更に、有機物、無機物又はパン生地をそれぞれ異なった方法で攪拌及び混練する装置が特許文献4に開示されている。この装置は、外側の攪拌翼及び内側の攪拌板を備えている。特許文献5には、閉じた円筒内を貫通した螺旋状の攪拌翼を備えたコーヒー豆を混合するミキサーが開示されている。
【0005】
現在知られている有機物を乾燥する装置は大型である。廃棄物は臭気を発生しない乾燥物として燃焼させる必要があるので、この装置は、菓子の廃棄物、残飯並びにレストラン、食堂及び食品業において発生する廃棄物などを衛生的に処理するか、又は廃棄物を活用するのには適していない。従来、このような廃棄物は悪臭発生源として日毎又は週毎に容器に集められ、家庭ごみとしてか、又は費用のかかる滅菌処理をした後に廃棄されていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】独国特許出願公開第2833731A1号明細書
【特許文献2】独国特許発明第69222135T2号明細書
【特許文献3】独国特許出願公開第1607783号明細書
【特許文献4】米国特許第3194504号明細書
【特許文献5】米国特許第1825261号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の問題点を解決するために為されたものであり、有機物、特に、ナプキン、ストロー、残留包装材を含む菓子及び食品廃棄物などのバイオマスをほぼ無臭の乾燥物へと処理する設備を提供することにある。この乾燥物は加熱装置又は別の装置に供給されるか、そのまま廃棄処理される。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題は、請求項1に記載の設備により解決される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明による設備のブロック図
【図2】混合ドラムの部分断面並びに駆動装置を有する外側及び内側の攪拌翼を示すミキサーの模式図
【図3】舞カッターを用いた別の実施例における攪拌翼の配置を示す模式図
【図4】ミキサーの排出口の扉の開閉装置を示す模式図
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明による設備は、種々の処理能力を有する小型のユニットとして実現される。ミキサーは20、50、100、150、200、500又は1000リットルの容量であり、他の構成部材と共にプラットホーム上に載置されるか、一つも構造物として纏めてもよい。このように小型の設備は、レストランとか食堂の廃棄物室に設置できる。大容量のミキサー又は異なった容量のミキサーも使用できる。設計及び寸法はそれぞれの用途に応じて変更する。例えば、電気的に駆動される冷却ユニットの代わりに、ミキサーの凝縮工程で用いる凝縮器に使用する配管の冷却水又は別の冷却された用水を真空ポンプで吸引して水と空気の混合物を用いることもできる。しかし、凝縮器内の凝縮菅の周りに冷却された冷媒を流して冷却するには、電気的に駆動される冷却ユニットを用いるとより効果が高い。有機物からの排気、すなわち腐敗ガスを吸引するのに、設備内に通常の真空ポンプが設置される。湿気を含んだ空気又は蒸気は、凝縮器において凝縮され、凝縮物は廃水として下水道に流される。
【0011】
乾燥工程及び蒸発工程を加速するように、ミキサーのハウジングの底面、及び/又は側面及び正面壁が投入された有機物を加熱するように加熱装置が備えられている。そのために、それぞれの構成部材の溝に電気的加熱素子が嵌めこまれている。しかし、構造部材内の加熱水を供給する加熱配管によっても加熱が可能である。この場合、加熱水回路を開閉できるように、構造部材に導水路を設けるか構造部材を中空とするか、又はコレクターを有する給水管、分配器及び排水管を備える必要がある。この場合、中空の攪拌翼又は導水溝を備えた攪拌翼の使用も可能で、管状軸により給水並びに排水が行なわれる。この場合、ミキサーの両端の壁の分配器により攪拌翼が軸支されるのが適切である。
【0012】
上述の加熱装置の代わり又は補うためにマイクロ波加熱装置を用いてもよい。例えば、円蓋部にマイクロ波発生器を導入し、2.5GHzのマイクロ波を発生させ、しかも攪拌翼が金属製の場合には、ミキサー内の混合物の内部加熱が効率的に行なわれることが明らかとなった。更に、赤外線加熱装置を用いた試みでも、混合物の迅速で集中的な加熱ができることが明らかとなった。最も効率的な赤外線の波長は2〜6μmであった。マイクロ波発生器又は赤外線加熱源の出力は、ミキサーの大きさに対応して適合させるべきである。上記熱発生源を用いる際に、金属製の円蓋部によりミキサーを閉じることにより、ミキサーは、外部からより確実に遮断される。
【0013】
実験では、独国特許発明第19507181C2号明細書及び4341569C2号明細書に記載のミキサーが特に効果的であった。またミキサーを本発明のような設備において使用するのがよいことが判明した。これらのミキサーの撹拌翼を緩やかに回転させると、有機物の湿分が効率よく蒸発する。また、既に述べたように大きな設備では、撹拌翼を直接に加熱してもよい。このミキサーを用いれば、前もって操作を終了させずに、いつでも乾燥工程を中断して有機物を追加することが可能となる。このことは、例えば夕方までに、真空工程を中断して、残飯、菓子廃棄物などをミキサー内に投入し、夜間に乾燥を完了できる利点がある。翌朝、混合工程により破砕され且つガス及び湿分を含んだ空気が除去された乾燥された有機物をミキサーの排出口から取り出しミキサーを空にする。このプロセスでは、凝縮物は直接に排水溝へと送られて実質的には無臭で操作される。乾燥物はミキサーから、(可動式又は固定式)収納容器、コンベアの容器又は充填設備の容器内へと排出され、以後、袋に充填して減圧し封止した袋詰めとしてもよい。更に凝縮物は容器に送られて、例えば選択的切り換え操作弁により排出溝網へと排出される。このため、廃水の脈動的に放出できるので排出溝を開放したままにしなくてもよくなる。これにより、排出溝からの悪臭を防止できる。日中は連続的な投入及び工程の操業が可能なため、腐敗バクテリアが増殖せず悪臭が生じない。
【0014】
次いでミキサー及び設備の構成の特徴について詳細に説明する。
【0015】
中心軸の周りへ配置した2つの撹拌翼用の又は1つは舞カッター用の2つの駆動機構のそれぞれが、外側の撹拌翼は混合物を混合ドラムの一端へ搬送し続け、内側の撹拌翼又は舞いカッターは外側の撹拌翼内の混合物を逆方向へ搬送するように作動するので、混合物は混合ドラムの一端から他端を循環するように搬送される。これにより、短時間の混合でも最適な混合及び水分の放出が実行される。一端に向かう渦流が得られように舞カッターを用いると混合物が細かく破砕される。螺旋状の撹拌翼を使用する場合と同様に、カッターをスクリュー状に設置することにより、渦流及び圧力が生じる。外側の螺旋状撹拌翼が混合物を逆方向に搬送する場合には、更に圧力が高くなる。これにより混合効果が生じる。
【0016】
本発明では、内側の撹拌翼又は舞カッターを外側の撹拌翼と同じ方向に作用するように回転させても、撹拌翼の配置による混合効果が得られる。しかし、外側と内側の撹拌翼を逆方向に回転させると、より強く混合され混合時間が短縮されるので、上述の循環する渦流が得られると同時に混合されている部分がこの渦流に引き込まれる。更に、撹拌翼の作動間隔を切り換えると撹拌効果が促進されることが判明した。その場合、外側と内側の撹拌翼の切り換えを時間的にずらす方が目的に適っている。更に、撹拌翼並びに逆回転により混合物の搬送が交差するように、作動間隔の切り換えと同時に外側又は内側の撹拌翼の回転方向を他の撹拌翼とは独立して変更することが好ましい。同一回転方向、すなわち同一搬送方向でも混合効果は促進される。更に、多量の混合物に作用するように、外側の撹拌翼を広くするか又は内側に向いた櫛を備えることが有効であることが判明した。撹拌翼を中空にして、そこに加熱素子又は水の分配器及び回収器を設置して、熱水路を通してもよい。更に、内側の撹拌翼が簡単に回転するように、単に円弧状部材から構成しても完全に機能を果たすことが判明した。内側の撹拌翼は、1本の螺旋でも2本の螺旋でもよい。舞カッターを用いる場合には、複数の舞カッターが外側の撹拌翼の内部に配置され両端が軸支された1本の中心軸に固定される。この舞カッターの配置によっても、渦流が得られる。混合物の破砕及び混合効果を促進するために、異なった渦流を生成する舞カッターを並列に配置するか、又は逆回転する異なった軸に舞カッターを互いに重なり合うように配置してもよい。本発明では、最適化するのに種々の形態が考えられる。
【0017】
本発明の設備用のミキサーは、従来のように単一ミキサーとしても用いられる。しかし、単一のカッター又は例えば1つの軸に混合ドラムの全長に渉って配列された複数のカッターから構成される舞カッターを併用する場合には、このミキサーを破砕用ミキサーとしてもよい。更に、外側の撹拌翼及び内側の撹拌翼の駆動を調整することにより、大きな設備では搬送ミキサーとして使用することも可能である。搬送ミキサーとして用いる場合には、外側の撹拌翼が混合し且つ乾燥又は部分的に乾燥した混合物を隣接するミキサーに搬送する前にミキサー内部で有効に混合させるためには、ミキサーが円筒形状で且つ極めて長い撹拌翼を備えることが必要である。当然のことながら、搬送ミキサーは、混合工程又は乾燥工程の終了に伴い、混合物が自動的に投入され、撹拌されて再度排出されるように調整されている。
【0018】
ミキサーから混合物を排出させる際には、内側の撹拌翼又は舞カッターの駆動を停止するか又は搬送方向と同じ方向に駆動させてことが必要である。そのため、外側の撹拌翼は、混合物が排出口から迅速に排出されるように、制御される。更に、排出工程中に内側の攪拌翼又はカッターを脈動的に迅速に回転させて、付着した混合物を外方へ飛ばし外側の攪拌翼の除去機構に捕捉させることが可能である。同様に、排出工程の終了に際して外側の攪拌翼の回転数を増加させ、付着した混合物を外側の攪拌翼の外縁に沿って滑らすことも可能である。これにより、排出後にはミキサー内から混合物をほぼ完全に排出できる。すなわち、確実に最適な自己清掃が実行される。更に、攪拌翼を駆動軸から上方へ取外せば、消毒洗浄もできる。
【0019】
複数の攪拌翼の端部を対毎に連結するか、端部全体を互いに同じ間隔を保って連結することにより、攪拌翼の端部が安定し且つ強さが高まる。この連結が混合室内を横切るスクリュー状の翼により構成されていると、攪拌且つ乾燥された混合物は混合室から迅速に排出される。内側の攪拌翼の端部を連結してもよい。一対の攪拌翼の代りに、同じく加熱機構が装着された3つ以上の翼を備えてもよい。
【0020】
混合ドラム及び攪拌翼を水平に配置することにより、攪拌時には、外側の攪拌翼により混合物は端部から端部まで押出され、内側の攪拌翼により吸い込まれると同時に循環される。この過程において、攪拌翼により上方へ搬送された混合物は内部の空間へと落下するので、混合物の流れに加えて、攪拌翼に付着している物体にも定常的な混合効果が付与される。攪拌翼の上方の供給部が開放されていると最適な混合となることは明らかである。この際、ハウジング壁を混合ドラムの上方に張り出させると、混合物は外側には飛び出さない。これにより、外側の攪拌翼の直径よりも高い高さまで混合物を充填することが可能となる。混合ドラム並びに攪拌翼は、その長さ及び/又は高さを所望の大きさに調整することができる。従って、寸法を拡大することにより、100〜1000リットルの容量のミキサーが簡単に実現できる。
【0021】
混合物が粗さ又は細かさに応じて、モータを制御することにより攪拌翼の回転速度を調整できる。ハウジングが台に対して垂直方向に可動であることにより、所望の作業高さに調整できる。この高さ調整は、手動又は他の機械により自動的に実行できる。作業高さを低くして、比較的低い機械により混合物を自動的に投入するか、又は手動でも可能である。作業高さを高くすれば、ミキサーの排出口を備えた側部の下方に運搬車を押し込むこともできる。外側の攪拌翼の回転方向により、その螺旋形状のため、混合物は開放された排出口から押出され、コンベア及び/又はスクリューコンベア付の搬送設備、搬送車又は袋、小袋、ダンボール箱、又は閉鎖可能及び/又は減圧可能及び/又は溶接可能な容器へと落下する。
【0022】
排出口を開閉する開閉部材は、単純な形状で、旋回可能な扉、又は上方の壁の外側に固定された水平軸の周りを旋回可能なゴムシールを有する翼板でもよい。一端が扉に旋回可能に固定され、他端がハウジングの軸受の周りに旋回可能に固定された操作レバーに連結されたトグル式機構を用いることは目的に適っている。このレバーを操作すると、軸受を介して伸張される。この形態は、2つのレバーの寸法を選べば、連結レバーは上死点の下方に調整できることが特徴である。すなわち、2つのレバーの連結部を、一方のレバーの扉の連結点と他方のレバーのハウジングとの連結点を結ぶ線の下方に位置するように調整すると、他の補助手段を用いなくても、扉を閉じると気密が保たれる。
【0023】
止め具を用いて、掻取りブレードを外側の攪拌翼に簡単にネジ止めできる。掻取りブレードは、外縁の凹部に押し込まれた管形状でもよい。この場合、掻取りブレードは凹部から突出し且つ例えば管状の開口部を有している。このことは製造上、有利であり簡単に実現できる。更に、気密に嵌合できるように、掻取りブレードの後方の断面が、管状の凹部を備えてもよい。このことは、攪拌翼及び封止部材並びにその連結部に有機物が沈着せず、蒸気を吹き付けることにより簡単に除去できるので、特に有機物を扱う場合には有利である。
【0024】
以下、本発明の利点、特徴及び詳細について、図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0025】
図1は本発明による設備のブロック図である。ミキサーMは減圧ミキサーとして形成されている。ミキサーは、例えば、上から材料を投入でき、以後の図で示されるように、気密を保つように円蓋部により閉鎖されている。該円蓋部は、真空ポンプVPに接続された排気管ALと連結している。設備には、投入された混合物を約80℃まで加熱する加熱装置Hが備えられている。真空ポンプVPにより、ミキサーは、例えば、100〜2ミリバールに減圧される。排気された空気は排気管ALを通って2つの凝縮器Kへと送られ、排気中の蒸気が凝縮されて廃水AWとなる。廃水AWは廃水管に直接送られるか又は容器に集められた後に弁を操作して廃水管に送られる。凝縮器は、市販の凝縮器を用い、冷媒を生成する冷却設備KAに連結され、その冷媒により凝縮器Kの冷却管の周りが冷却される。
【0026】
図2に、本発明に適しミキサーを示す。ミキサーは、台1を備え、車輪2により床面上を移動できる。この車輪に、別のユニットの担板を載置することができる。台1には、垂直方向に高さが調整できるミキサーのハウジングが備えられている。これにより、ミキサーのハウジングの床面に対する高さ又は台1に対する高さが変更可能となる。この高さの変更は、台1に備えられた昇降機23、24により行なわれる。昇降機としては、例えば、油圧シリンダ、パンタグラフなどをモータ又は手動により駆動してもよい。簡略化のため、図では加熱管及び加熱媒体の供給配管を省略した。同様に、排気管を介して凝縮器に連結された真空ポンプに接続されている排出系も図示されていない。
【0027】
ミキサーの主要部材である混合ドラム25はハウジングの構成要素であり、下部は、半円状の底部5及び上方に向かってV字状又は軽微な円錐状の壁を備えている。これにより、外側の撹拌翼17、17′の外方から混合物を投入できる。混合ドラムの前・後端は、例えば特殊鋼製の壁3、4により閉鎖されている。混合ドラム内には、壁3、4に回転可能に取り付けられた外周が円形の螺旋状の外側の撹拌翼17、17′が備えられ、撹拌翼は混合ドラムの半円状の底部5の上方に僅かに隔たっているか又は沿っているので、例えば、付加された掻取り装置を壁面沿って滑らすことができる。外側の撹拌翼17、17′のそれぞれの両端は、中心を通るフランジ19、22に固定されている。フランジ19の中心に、例えば管状軸など軸が連結され、その軸はギア装置を介するか又は直結されたモータ11により駆動される。この管状軸の一端より中空の撹拌翼内に加熱用水を導入し他端より排水することができる。両端の側壁3、4に取り付けられた外側の翼17、17′は、モータにより回転運動する。これらの撹拌翼は螺旋状に形成され、その長さは混合ドラムの収容能力に応じて調整される。回転する螺旋状の撹拌翼の回転方向に応じて、混合ドラム25に投入された混合物は、例えば右回転の場合には左から右に搬送され、逆の回転では搬送されない。この場合、撹拌翼は、例えば肉片など混合物を投げ上げ、その混合物が外側の撹拌翼17、17′の内部へ落下する。図2に示すように、螺旋状の撹拌翼18、18′が2つの撹拌翼17、17′の内部を貫通している。撹拌翼18、18′は2倍の回転ピッチを有し、平らな材料を斜めにした状態となっている。内側に備えられた撹拌翼18、18′の端部はそれぞれ、環状フランジ20、21に連結、固定されている。環状フランジ20、21は中心の周りを回転可能に取り付けられ、加熱用水の分配器又は回収器を備えてもよい。環状フランジ20と連結された内側の撹拌翼の左端は、外側の撹拌翼のフランジ19に回転可能に取り付けられるか又は外側の撹拌翼を駆動する軸に取り付けられ、又一方では環状フランジ21と連結された内側の撹拌翼の右端は、外側の撹拌翼のフランジ22を貫通している軸に固定され、この軸により内側の攪拌翼が回転駆動される。この軸は側面に取り付けられたモータ12の一部を構成している。このモータは制御可能であり、側壁4に固定されたハウジング10内に収納されている。
【0028】
混合物に応じて、外側の攪拌翼は5〜40回転/分、内側の攪拌翼は10〜80に設定することが好ましい。内側の攪拌翼18、18′は外側の攪拌翼よりも速く回転させ、且つ外側の攪拌翼により混合物が左から右へと搬送される場合に内側の攪拌翼により混合物は右から左へと搬送されるか又は反対方向に回転させて混合物の搬送方向が逆になるようにすべきである。これにより、混合物が正方向及び逆方向に流れても、確実に水分が放出される。脱水された混合物を混合ドラムから排出するために、内側の攪拌翼は逆方向に回転させる必要はなく、同一の回転方向に設定すると、混合物は排出口13から緩やかに流出する。排出口13は、ハウジング8の内部の側壁3に取り付けられた収納部に回転可能に配置されレバー9により作動する扉14により閉鎖される。閉鎖するには、図2の矢印によって示されるようにレバー9を下方に押して排出口13を閉鎖する。レバー9を上方に動かすと、図示された状態となり排出口が開放され、外側の攪拌翼17、17′を左回転させることにより混合物が排出される。案内板15は、混合物がハウジング8の下部の開口部16を通って落下するように考慮されている。ここに述べた実施例では、平らであるか又は鉢状の容器を開口部16の下へと押し込めばよいことは明らかである。混合ドラム25の内容物全てが収納されるように、混合ドラム25を、昇降機23、24により持上げて、食肉業及び大規模なケータリングで使われている大型車両を下に入れる。内容物を排出した後に、開口部から上述の投入が簡単にできるように、ハウジングは降下される。
【0029】
ハウジングには、円蓋部6を旋回可能に係止するピボット軸受7が備えられている。円蓋部6には、例えば真空計並びに排気菅用の連結部材を備えてもよい。混合ドラム内の混合、乾燥過程が観察できるように窓を設けてもよい。また、混合物を注入する際に通過させる保護格子を備えてもよい。この格子は円蓋部と共に折り畳まれる方式でもよい。円蓋部6を開いて材料が投入される。更に、回転する回転翼への手出しができないように、制御装置を制御して円蓋部6が閉じた状態にありモータが始動して初めて電気的に開閉されるようにすることできる。真空ポンプ、加熱装置及び場合によっては冷却装置をこの制御装置に連結してもよい。付加的か単独の加熱装置として、マイクロ波生成装置を円蓋部内に備えてもよい。この加熱装置は、側壁に組み込んでもよい。この装置により2.5GHz域のマイクロ波を生成させると混合物が迅速に加熱されることが判明している。特に、攪拌翼又は軸が金属製の場合に、加熱が最適となる。
【0030】
そのような加熱装置の代わりか又は更に追加して、円蓋部6又はハウジングの別の部分に赤外線発生源を組み込こんでもよい。特に、2〜6μmの波長の赤外線が、混合物へ熱を良く伝えることが判明している。
【実施例2】
【0031】
図3にハウジングの一方の側面にモータが備えられた例を模式的に示す。この図には、別の側面及び基部は図示されていない。外側の攪拌翼17、17′は図2の例と同様に作動する。この例では、内部攪拌翼はより高速で回転する舞いカッターであり、図2に示す内部攪拌翼18、18′と同様に材料を吸引することができるが、上記の実施例では詳細には述べなかった攪拌翼17、17′の外端部の吸引作用は小さくなる。混合ドラムが短い場合には外端部の吸引作用は必要ではなく、また、注入口を備えた円筒状の回転するハウジング内に設置された攪拌翼では必要ではない。混合ドラムを空にするには、本実施例でも、舞カッター26の回転を停止し、攪拌翼17、17′の回転はそのまま持続するか、又は回転数を落として、混合物が排出口から流出する。舞カッター26が迅速に交換できるように、更に交換ホルダー27を備え、必要な場合には、異なった構成のカッター又は攪拌翼が差し込み可能となっている。同様に、攪拌翼を迅速に交換する交換装置も提供できる。攪拌翼17、17′並びに舞カッター26を回転駆動させる中心の軸受が模式的に図示されている。図3に示す実施例では、舞カッター26の軸38がドラムを貫通して装着されている。この軸には幾つかの舞カッターが配置されている。左の舞カッターは反対方向を向いて配置されている。舞カッターは流れ方向に作用するのみではなく、例えば、混合物が破砕できるように渦流が得られるように逆に配置してもよい。
【実施例3】
【0032】
図4は図2の混合域の部分断面図であり、混合ドラム25の側壁3に排出口13が備えられている。この図から、混合ドラム25の底部5が延長されて案内板15が備えられていることがわかる。排出口13の前には、閉じられた状態の扉14が図示されている。この扉は、上方の水平に備えられた旋回軸受37の周りを左方向に旋回可能に装着されている。図2の実施例とは異なり、扉14はトグル式開閉機構により実行される。トグル式開閉機構は、第1のレバー31、アーム33及び操作ロッド34から構成されている。第1のレバーは一端が扉14に固定され且つ他端がアーム33の軸受32に連結され、旋回軸受30の周りを旋回可能となっている。操作ロッド34はハウジング8の外壁の内側に装着された旋回軸受35の周りを旋回可能に連結されている。パンタグラフ状に形成された操作用ロッド又は操作用パンタグラフでは、2つのロッドが備えられ外壁の空隙36通って噛合っている。レバー31とアーム33の長さは、連結用の軸受32が、旋回軸受30と35を結ぶ線よりも下かその線上にあるように調整されるので、破線又は実線で示される鈍角の配置により扉14が自動的に開閉される。排出口13を開放するために、扉14を左の図の14′の位置へと旋回するには、操作用ロッド34又はパンタグラフ34に図の矢印で示される力を加える必要があり、これによりロッド34は図の34′の位置へと移動する。その際、アーム33は、33′の位置へと移動し、軸受32を介してレバー31が共動するので、扉14は自動的に14′の位置を占める。この状態において、ドラム内の混合物が排出されるように外側の攪拌翼(不図示)が制御される。混合物は、混合ドラム25から排出口13を通って押出され案内板15を介してハウジング8の開口部16の下の貨物車又は搬送車へと落下する。ここに図示された、排出口13を閉鎖するのに扉14の代わりに、同様の機構で作動する翼板を備えてもよい。更に、例えば円形の排出口13には、回転機構により作動する旋回翼板を備えてもよい。更に、上記の搬送車又は貨物車の代わりに、充填装置又は包装装置の収納容器を排出口の下方に置いてもよい。また、排出物を直接に袋に充填して減圧下で溶接して気密に封止することも可能である。乾燥した物体の充填及び/又はそれに続く搬送及び加工も種々の方法が明らかになっている。
【0033】
加熱工程、真空ポンプ及び凝縮物を制御し且つ例えば真空室の蓋が開放されると工程が中断され、蓋を閉じると工程が継続するか又は、排出工程が加工工程で終えるように本発明による設備を設計して制御することができる。
【符号の説明】
【0034】
1 台
2 車輪
3、4 側壁
5 底部
6 円蓋部
7 ピボット軸受
8 ハウジング
9 レバー
10 ハウジング
11 モータ
12 モータ
13 排出口
14 扉
15 案内板
16 開口部
17、17′ 外側の攪拌翼
18、18′ 内側の攪拌翼
19 フランジ
20 環状フランジ
21 環状フランジ
22 フランジ
23 昇降機
24 昇降機
25 混合ドラム
26 舞カッター
27 交換ホルダー
30 旋回軸受
31 レバー
32 軸受
33 アーム
34 操作ロッド
35 旋回軸受
36 空隙
37 旋回軸受
38 軸
AL 排気管
AW 廃水
H 加熱装置
K 凝縮器
KA 冷却設備
M ミキサー
VP 真空ポンプ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
菓子、食物の廃棄物又は包材、ナプキン、ストローのようなバイオマスなどの有機物質の乾燥設備であって、
a)有機物を投入する開閉可能な充填口及び下面又は側面下方に備えられた開閉可能な乾燥物の排出口を有するミキサー(M)、
b)空気を吸引してミキサー(M)の内部を減圧にするために、前記ミキサーのハウジングの最高充填高さの上方に取り付けられた少なくとも1つの接続用配管に連結された少なくとも1つの真空ポンプ(VP)、
c)有機物を加熱する加熱装置(H)、
d)吸引された空気を冷却するために、真空ポンプ(VP)の排気菅(AL)に連結され、冷却設備(KA)に連結された少なくとも1つの凝縮器(K)、
e)凝縮器(K)の冷却により、吸引された空気を凝縮器(K)内おける冷却により得られた凝縮物を導く排水菅(AW)、
を備えていることを特徴とする有機物の乾燥設備。
【請求項2】
ミキサー(M)は、水平方向に長く、下部が円形状の槽として形成され、両端には上方に伸張した側壁(3、4)を備え且つ該側面の上方には覆い又は円蓋部(6)により気密に封鎖可能な充填用開口部を備えたハウジングを有し、
前記ハウジングの下部には少なくとも1つの排出口(13)を備え、
前記ハウジング内には、少なくとも1方の側壁(3、4)に取り付けられ共通の軸上にそれぞれ独立してか又は連動して駆動される少なくとも1つの外側の攪拌翼(17、17′)及び少なくとも1つの内側の攪拌翼(18、18′;26)を備え、
外側の攪拌翼(17、17′)はハウジング内の所定の方向に混合物を搬送し且つ内側の攪拌翼(18、18′;26)は混合物を外側の攪拌翼(17、17′)と同一方向か又は逆の方向に搬送することを特徴とする請求項1に記載の有機物の乾燥設備。
【請求項3】
排出口(13)は、ハウジングの側壁(3)又はハウジング又は混合ドラム(25)の側壁域の底部(5)に備えられ、該混合ドラムは台(1)上に載置され且つ/又は貨物車又は排出用容器又はコンベア又は充填装置の上方に配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機物の乾燥設備。
【請求項4】
排出口(13)は、旋回可能か又は可動の開閉部材により開閉されることを特徴とする請求項3に記載の有機物の乾燥設備。
【請求項5】
前記開閉装置は、上方の水平な旋回軸受(37)の周りを旋回しトグル式開閉装置(31、32、33、34)により開閉される旋回可能な扉(14)であることを特徴とする請求項4に記載の有機物の乾燥設備。
【請求項6】
外側の攪拌翼(17)は1翼、2翼又は多翼であり、部分的又は全体が螺旋状に形成され、円形状に形成された混合ドラム(25)の境界を擦るように旋回されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機物の乾燥設備。
【請求項7】
少なくとも1つの外側の攪拌翼(17)には、その外縁に掻取りブレードとして樹脂製のブレードを備え且つ/又は少なくとも部分的に中空に成形され、その中空部には加熱装置が挿入されるか又は中心に菅継手を有する分配器を介して中空部に加熱装置からの温水が入・排出可能であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機物の乾燥設備。
【請求項8】
内側の攪拌翼(18)は、1翼、2翼又は多翼であり、螺旋状又は渦巻き状であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機物の乾燥設備。
【請求項9】
前記螺旋は、部分的な螺旋、全体的な螺旋又は多重螺旋であることを特徴とする請求項6に記載の有機物の乾燥設備。
【請求項10】
内側の攪拌翼(18)は、軸に固定された複数の舞カッター(26)の少なくとも1つの回転する舞カッター(26)により代替されることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機物の乾燥設備。
【請求項11】
前記内側の攪拌翼又は前記舞カッターは、混合ドラム(25)の内部の一端又は両端の交換ホルダー(27)の前面の軸受部に備えられ、外側の攪拌翼(17、17′)の内部において回転することを特徴とする請求項9又は請求項10に記載の有機物の乾燥設備。
【請求項12】
内側の攪拌翼(18)又は前記舞カッター及び/又は外側の攪拌翼(17)は1つ又は複数のモータ(11、12)により、同一又は異なった回転数で、同一又は逆の回転方向に一様か又は間欠的に回転制御できることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機物の乾燥設備。
【請求項13】
混合物を排出するために、内側の攪拌翼(18)又は舞カッター(26)は、回転させずに外側の攪拌翼(17、17′)のみ回転させるか、又は攪拌翼(18、17、17′)を同一回転数で同一方向に回転させて、混合物を螺旋状の攪拌翼(17)から排出口(13)へと移動させることを特徴とする請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載の有機物の乾燥設備。
【請求項14】
排出工程中に、内側の攪拌翼(18)を短時間、外側の攪拌翼に対して極めて迅速に回転させることを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の有機物の乾燥設備。
【請求項15】
内側の攪拌翼(18)又は舞カッター(26)の駆動機構は、一方向クラッチにより外側の攪拌翼(17、17′)の駆動機構に連結され、共通の駆動機構はハウジング(5)の側壁に備えられていることを特徴とする請求項6ないし請求項14のいずれか1項に記載の有機物の乾燥設備。
【請求項16】
攪拌翼を一様又は間欠的な回転させる駆動機構を有するモータが備えられていることを特徴とする請求項12又は請求項13に記載の有機物の乾燥設備。
【請求項17】
内側の攪拌翼(18)又は舞カッター(26)の攪拌中の回転数は、外側の攪拌翼(17、17′)の回転数よりも高回転であることを特徴とする請求項8、請求項15又は請求項16に記載の有機物の乾燥設備。
【請求項18】
外側の攪拌翼(17、17′)の端部は、ハウジングの側壁(3、4)の中心軸又は軸受に備えられたフランジ(22)により連結されていることを特徴とする請求項2又は請求項8に記載の有機物の乾燥設備。
【請求項19】
前記フランジは中空に形成され、温水の給・排水配管の連結部を介して加熱装置に連結されていることを特徴とする請求項18に記載の有機物の乾燥設備。
【請求項20】
内側の攪拌翼(18、18′)の一方は、全長に渉って伸張し、攪拌翼の端部は少なくとも駆動装置(12)が作用する回転フランジに固定されるか、又は前記内側の攪拌翼は軸(38)上に固定され充填された物体の破砕と同時に所定の方向又は一部を逆の方向へ搬送する舞カッター(26)より構成されていることを特徴とする請求項2に記載の有機物の乾燥設備。
【請求項21】
ミキサーは、攪拌翼の作用する充填域を備え且つ末端に排出口を有する円筒状の部分が隣接されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機物の乾燥設備。
【請求項22】
攪拌翼は、鉢状の攪拌ドラム内に配置され、第2の鉢状のカバーに覆われていることを特徴とする請求項2ないし請求項21のいずれか1項に記載の有機物の乾燥設備。
【請求項23】
加熱装置は、少なくともミキサー(M)のハウジングの底部又は側壁、カバー又は円蓋部(6)及び/又は少なくとも攪拌翼に備えられていることを特徴とする請求項1に記載の有機物の乾燥設備。
【請求項24】
前記加熱装置は、マイクロ波加熱装置であることを特徴とする請求項1ないし請求項23のいずれか1項に記載の有機物の乾燥設備。
【請求項25】
前記加熱装置は、赤外線発生源を含んでいることを特徴とする請求項1ないし請求項23のいずれか1項に記載の有機物の乾燥設備。
【請求項26】
円蓋部(6)に真空度表示器が固定されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機物の乾燥設備。
【請求項27】
ミキサー(M)に真空ポンプのスイッチ及び空気吸い込み用の弁が備えられ且つ真空ポンプのスイッチが切られた時のみに弁を作動させる制御装置が備えられていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の有機物の乾燥設備。
【請求項28】
排出口が開放されている間は、真空ポンプ、凝縮器の排水、加熱装置を制御又は停止するロック・スイッチ機構が備えられていることを特徴とする請求項1に記載の有機物の乾燥設備。
【請求項29】
真空ポンプ(VP)及び凝縮器の冷却設備(KA)は並行的に開閉されることを特徴とする請求項1に記載の有機物の乾燥設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−516454(P2010−516454A)
【公表日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−546678(P2009−546678)
【出願日】平成20年1月21日(2008.1.21)
【国際出願番号】PCT/EP2008/000411
【国際公開番号】WO2008/089931
【国際公開日】平成20年7月31日(2008.7.31)
【出願人】(507137368)イノテック ゲーエムベーハー&コー ホールディング ウント ハンデルス カーゲー (2)
【Fターム(参考)】