有機ELデバイスの製造方法及び製造装置
【課題】品質の低下が抑制された有機ELデバイスを製造し得る有機ELデバイスの製造方法及び製造装置を提供する。
【解決手段】帯状の基材を長手方向に移動させつつ蒸着により該基材に有機EL素子の構成層を形成する有機ELデバイスの製造方法であって、前記基材を長手方向に移動させつつ、該基材の移動方向に沿って設けられた第1及び第2蒸着部にて、前記基材の一面に蒸着源から気化材料を吐出して順次蒸着を行う構成層形成工程を備え、該構成層形成工程は、複数の上向き蒸着工程と、方向変換工程とを備えている有機ELデバイスの製造方法。
【解決手段】帯状の基材を長手方向に移動させつつ蒸着により該基材に有機EL素子の構成層を形成する有機ELデバイスの製造方法であって、前記基材を長手方向に移動させつつ、該基材の移動方向に沿って設けられた第1及び第2蒸着部にて、前記基材の一面に蒸着源から気化材料を吐出して順次蒸着を行う構成層形成工程を備え、該構成層形成工程は、複数の上向き蒸着工程と、方向変換工程とを備えている有機ELデバイスの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機ELデバイスの製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、次世代の低消費電力の発光表示装置に用いられるデバイスとして有機EL(エレクトロルミネッセンス)デバイスが注目されている。有機ELデバイスは、基本的には、基材と、その上に設けられた有機EL層と一対の電極層とを有する有機EL素子とによって構成されており、有機EL層は、有機発光材料から成る発光層を含む少なくとも1層から構成されている。かかる有機ELデバイスは、有機発光材料に由来して多彩な色の発光が得られ、また、自発光デバイスであるため、テレビジョン(TV)等のディスプレイ用途として注目されている。
【0003】
有機ELデバイスは、より具体的には、基材上に、有機EL素子の構成層たる陽極層、有機EL層及び陰極層がこの順に積層されることによって、形成されるようになっている。
【0004】
このような有機ELデバイスの製造方法において、基材上に有機EL素子の構成層(以下、単に構成層という場合がある。)を形成(成膜)する方法としては、一般的に真空蒸着法や塗布法が知られているが、これらのうち、特に構成層形成材料の純度を高めることができ、高寿命が得られ易いことから、真空蒸着法が主として用いられている。
【0005】
上記した真空蒸着法では、真空チャンバー内において基材と対向する位置に設けられた蒸着源を用いて蒸着を行うことにより、構成層を形成している。具体的には、各蒸着源に配置された加熱部で構成層形成材料を加熱してこれを気化させ、気化された構成層形成材料(気化材料)を蒸着源から吐出して、基材上に構成層を蒸着することにより該構成層を形成している。
【0006】
かかる真空蒸着法においては、低コスト化等の観点から、ロールプロセスが採用されている。ロールプロセスとは、ロール状に巻き取られた帯状の基材を連続的に繰り出し、繰り出された基材を移動させつつ、基材上に連続的に構成層を蒸着し、該構成層が蒸着された基材をロール状に巻き取るプロセスである(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−287996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記ロールプロセスにおいて、基材よりも上方に蒸着源を配置し、該蒸着源から下方に基材へと向かって気化材料を吐出して構成層を形成すると、蒸着源からゴミ等の異物が落下して基材に付着し、有機EL素子中に混入する場合がある。かかる有機EL素子への異物の混入が生じると、その発光に悪影響が及ぼされることになる。
【0009】
そこで、かかる異物の混入を抑制すべく、基材よりも下方に蒸着源を配置し、該蒸着源から上方に基材へと向かって上記気化材料を吐出して構成層を形成することが考えられる。
【0010】
しかし、上記の通り、有機ELデバイスは複数の構成層が積層されて形成されているため、全ての構成層を順次下方からの蒸着によって形成しようとすると、蒸着源を基材の下方に順次並べ、基材を全ての蒸着源の上方を通過するように移動させる必要がある。
【0011】
この場合、基材における蒸着源を通過する領域が非常に長くなるため、基材に十分な張力を付与することが困難となり、基材が撓んだり振動したりし易くなる。そして、基材の撓みや振動により、基材の蒸着面と蒸着源とが接触すると、基材や基材上に形成された構成層が損傷するおそれがある。また、基材と蒸着源との距離が変化すると、構成層の厚みを適切に制御することが困難となり、所望の発光特性を有する構成層が得られなくなるおそれがある。
【0012】
一方、基材の撓みや振動を防止すべく基材を下方からローラ部材等で支持すると、ローラ部材と基材の蒸着面とが接触し、形成された構成層が損傷するおそれがある。
【0013】
このように、異物の混入や厚みの制御困難による発光不良や、蒸着源やローラ部材等との接触による基材の蒸着面の損傷が生じると、有機ELデバイスの品質が低下することになる。
【0014】
本発明は、上記問題点に鑑み、品質の低下が抑制された有機ELデバイスを製造し得る有機ELデバイスの製造方法及び製造装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る有機ELデバイスの製造方法は、
帯状の基材を長手方向に移動させつつ蒸着により該基材に有機EL素子の構成層を形成する有機ELデバイスの製造方法であって、
前記基材を前記長手方向に移動させつつ、該基材の移動方向に沿って配置された少なくとも第1及び第2蒸着部にて、前記基材の一面に蒸着源から気化材料を吐出して順次蒸着を行う構成層形成工程を備え、
前記構成層形成工程は、
前記第1及び第2蒸着部にて、前記基材を蒸着面が下方を向いた状態で移動させつつ該基材の下方に配置された前記蒸着源から前記蒸着面に前記気化材料を吐出して蒸着を行う上向き蒸着工程と、
前記第1蒸着部と前記第2蒸着部との間に設けられたガイド機構によって、前記第1蒸着部から送られた前記基材を、該基材の非蒸着面が内周面となるように該非蒸着面側から支持しながら前記蒸着面が上方を向いた後、下方を向くように回転させ、前記第2蒸着部へと案内する方向変換工程と、
を備えていることを特徴とする。
【0016】
この方法によれば、第1蒸着部において、基材の下方を向いた蒸着面に、蒸着源から上方へと気化材料を吐出して構成層を形成した後、該構成層が形成された基材を、ガイド機構によって非蒸着面が内周面となるように該非蒸着面側から支持しながら蒸着面が上方を向いた後下方を向くように回転させ、蒸着面が下方を向いた状態で基材を第2蒸着部に案内することができる。そして、該第2蒸着部において、基材の下方を向いた蒸着面に、蒸着源によって下方から気化材料を吐出して引き続き構成層を形成することができる。
【0017】
このように、上向き蒸着工程により、蒸着源から上方に向かって気化材料を吐出することによって、蒸着源から落下した異物が混入することを防止することができるため、かかる異物の混入による発光不良を防止することができる。
また、第1蒸着部と第2蒸着部との間で基材を支持することによって、基材に所望の張力を付与することが可能となり、基材の撓みや振動を抑制することができるため、蒸着源との接触によって基材の蒸着面が損傷することを抑制できる。さらに、基材と蒸着源との距離の変化を抑制して構成層の厚みを適切に制御することができ、これにより、発光特性の低下を抑制することができる。
しかも、基材の非蒸着面を支持することにより、基材の蒸着面が損傷することを抑制することができる。
従って、品質の低下が抑制された有機ELデバイスを製造することが可能となる。
【0018】
また、上記製造方法においては、前記ガイド機構が、前記非蒸着面を支持する複数のローラ部材を有しており、該ローラ部材の少なくとも1つが、前記基材の幅方向に対し傾斜した方向に沿って配置されていることが好ましい。
【0019】
このように、ガイド機構が、非蒸着面を支持する複数のローラ部材を有し、該ローラ部材の少なくとも1つが、上記幅方向に対し傾斜した方向に沿って配置されていることにより、ローラ部材を組み合わせるといった簡単な構成で、基材の蒸着面を上記のように回転させ易くすることができるため、より効率的となる。
【0020】
また、上記製造方法においては、前記ローラ部材の少なくとも1つが、前記幅方向に対し45°傾斜した方向に沿って配置されていることが好ましい。
【0021】
このように、ローラ部材の少なくとも1つが、上記幅方向に対し45°傾斜した方向に沿って配置されていることにより、ローラ部材の組み合わせの複雑化を防止することができ、しかも、装置の大型化を防止することができる。
【0022】
本発明に係る有機ELデバイスの製造装置は、
帯状の基材を長手方向に移動させつつ蒸着により該基材に有機EL素子の構成層を形成する有機ELデバイスの製造装置であって、
前記基材の移動方向に沿って配置され、移動する前記基材の下方に配置された蒸着源を備え、前記基材を蒸着面が下方を向いた状態で移動させつつ、該蒸着源から前記蒸着面に前記気化材料を吐出させて蒸着を行う少なくとも第1及び第2蒸着部と、
前記第1蒸着部と前記第2蒸着部との間に設けられており、前記第1蒸着部から送られた前記基材を、該基材の非蒸着面が内周面となるように該非蒸着面側から支持しながら前記蒸着面が上方を向いた後、下方を向くように回転させ、前記第2蒸着部へと案内するガイド機構を備えた方向変換部と、
を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
以上の通り、本発明によれば、品質の低下が抑制された有機ELデバイスを製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係る有機ELデバイスの製造装置を模式的に示す概略斜視図
【図2】図1の一のガイド機構におけるローラ部材の構成を上方から見た図
【図3】図1の一のガイド機構を移動する基材の非蒸着面におけるローラ部材との当接位置を模式的に示す概略平面図
【図4】図1の他のガイド機構におけるローラ部材の構成を上方から見た図
【図5】図4のガイド機構を移動する基材の非蒸着面におけるローラ部材との当接位置を模式的に示す概略平面図
【図6】有機EL素子の層構成を模式的に示す概略断面図
【図7】比較例で用いた製造装置を模式的に示す概略側面図
【図8】実施例及び比較例の試験サンプルにおける印加電圧と発光輝度との関係を示すグラフ
【図9】実施例及び比較例の試験サンプルを有機EL素子側から見た写真
【図10】ローラ部材の一実施形態を示す概略側面図
【図11】ローラ部材の一実施形態を示す概略側面図
【図12】ローラ部材の一実施形態を示す概略側面図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に本発明に係る有機ELデバイスの製造方法及び製造装置の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0026】
まず、本発明に係る有機ELデバイスの製造装置の実施形態について説明する。
【0027】
有機ELデバイスの製造装置1は、帯状の基材21を長手方向に移動させつつ、蒸着により該基材21に有機EL素子19を形成するようになっている。図1に示すように、製造装置1は、基材21の移動方向に沿って配置された蒸着部A〜Dと、ガイド機構31a、31b、31cを有する方向変換部30a、30b、30cとを備えている。
【0028】
蒸着部A〜Dは、それぞれ、基材21の移動方向(白抜き矢印参照)に沿って配置されており、かかる蒸着部A〜Dは、基材移動方向上流側から下流側に向かって、蒸着部A、B、C、Dの順に配置されている。また、蒸着部A〜Dは、それぞれ、移動する基材21の下方に配置された蒸着源9a〜9lを備え、基材21を蒸着面21aが下方を向くように移動させ、該蒸着源9a〜9lから基材21の蒸着面21aに気化材料を吐出させて蒸着を行うようになっている。
【0029】
方向変換部30aは、図1及び図4に示すように、蒸着部Aと蒸着部Bとの間に配置され、方向変換部30bは、蒸着部Bと蒸着部Cとの間に配置され、方向変換部30cは、蒸着部Cと蒸着部Dとの間に配置されている。方向変換部30a〜30cの詳細については後述する。
【0030】
なお、本実施形態では、方向変換部30bを挟んだ蒸着部Aと蒸着源Bとの関係においては、蒸着源A及び蒸着源Bがそれぞれ本発明の第1蒸着部及び第2蒸着部に相当し、方向変換部30bを挟んだ蒸着部Bと蒸着部Cとの関係においては、蒸着源B及び蒸着源Cがそれぞれ本発明の第1蒸着部及び第2蒸着部に相当し、方向変換部30cを挟んだ蒸着部Cと蒸着部Dとの関係においては、蒸着部C及び蒸着部Dがそれぞれ本発明の第1蒸着部及び第2蒸着部に相当する。
【0031】
製造装置1は、基材21を供給する基材供給装置を備えた基材供給部5を備えており、基材供給部5から供給された基材21は、蒸着部A〜Dに順次供給され、これらを通って移動するようになっている。また、製造装置1は、基材21を回収する基材回収装置を備えた基材回収部6を備えており、蒸着部Dを移動した基材21は、基材回収部6によって回収されるようになっている。
【0032】
製造装置1は、複数の真空チャンバー3を備えており、各真空チャンバー3内にはそれぞれ、基材供給部5、蒸着部A、蒸着部B、蒸着部C、蒸着部D、方向変換部30a、方向変換部30b、方向変換部30c及び基材回収部6が配置されている。
【0033】
各真空チャンバー3は、不図示の真空発生装置により、その内部が減圧状態にされ、その内部に真空領域を形成するようになっている。また、隣接する真空チャンバー3同士は、真空状態が保たれながら不図示の開口部を介して連通されている。さらに、これら開口部を介して、基材21が基材供給部5から基材回収部6まで順次下流側へと移動できるようになっており、具体的には、基材供給部5から繰り出された基材21は、蒸着部A、方向変換部30a、蒸着部B、方向変換部30b、蒸着部C、方向変換部30c、蒸着部Dを移動した後、基材回収部6で回収されるようになっている。
【0034】
基材供給部5は、ロール状に巻き取られた帯状の基材21を繰り出して蒸着部A〜Dに供給するようになっている。また、基材回収部6は、基材供給部5から繰り出され、蒸着部A〜Dを移動した基材21を、ロール状に巻き取って回収するようになっている。すなわち、基材供給部5及び基材回収部6によって、基材21が繰り出され且つ巻き取られるようになっている。
【0035】
基材21の形成材料としては、後述するようにガイド機構31a〜31cで案内されたとき損傷しないような可撓性を有する材料が用いられ、このような材料として、例えば、金属材料、非金属無機材料や樹脂材料を挙げることができる。
【0036】
かかる金属材料としては、例えば、ステンレス、鉄−ニッケル合金等の合金、銅、ニッケル、鉄、アルミニウム、チタン等を挙げることができる。また、上記した鉄−ニッケル合金としては、例えば36アロイや42アロイ等を挙げることができる。これらのうち、ロールプロセスに適用し易いという観点から、上記金属材料は、ステンレス、銅、アルミニウムまたはチタンであることが好ましい。
【0037】
上記非金属無機材料としては、例えば、ガラスを挙げることができる。この場合、非金属無機材料から形成された基材として、フレキシブル性を持たせた薄膜ガラスを用いることができる。
【0038】
上記樹脂材料としては、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂などの合成樹脂を挙げることができ、かかる合成樹脂として、例えば、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリアミド樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)共重合体樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等を挙げることができる。また、かかる樹脂材料から形成された基材として、例えば、上記合成樹脂のフィルムを用いることができる。
【0039】
基材21の幅、厚みや長さは、基材21に形成される有機EL素子19の大きさ、ガイド機構31a〜31cのローラ部材構成等に応じて適宜設定することができ、特に限定されるものではない。なお、後述するように基材21の長手方向に対して後述するローラ部材を傾斜させたとき、ローラ部材の長尺化を抑制し得るという観点から、基材21の幅は狭い方が好ましい。
【0040】
蒸着部A〜Dに備えられた蒸着源9a〜9lは、基材21の下方に配置されている。より詳細には、蒸着部A〜Dでは、基材21がその蒸着面21aを下方に向けて略水平方向に移動するようになっている。また、蒸着部A〜Dに配置された蒸着源9a〜9lは、真空チャンバー3の底面を外側(図1の下側)から内側(図1の上側)に向かって設けられており、且つ、各蒸着源9a〜9lの開口が真空チャンバー3内において基材21の蒸着面21aと対向するように配置されている。なお、図1では、蒸着部B、C、Dに配置された各蒸着源における真空チャンバー3内部に貫通されている部分を省略して示す。さらに、各蒸着源9a〜9lは、それぞれ加熱部(不図示)を有しており、各加熱部は各蒸着源に収容された上記材料を加熱して気化させ、各気化された材料(気化材料)を開口から上方に向かって吐出するようになっている。
【0041】
なお、真空チャンバー3は、蒸着源9a〜9lが上記のように貫通していても、内部の真空状態が維持されるようになっている。また、本実施形態では、各蒸着部A〜Dには、基材21の非蒸着面21bに当接して該基材21に所定の張力を付与するテンションローラ51が配置されているが、該テンションローラ51は必須構成要素ではなく、これらテンションローラが配置されていなくてもよい。
【0042】
各蒸着部A〜Dにおいて蒸着源は、形成すべき層に応じて1つ以上設けられていればよい。本実施形態では、蒸着部Aに蒸着源9a、9b、9kが配置され、蒸着部Bに蒸着源9c、9d、9eが配置され、蒸着部Cに蒸着源9f、9g、9lが配置され、蒸着部Dに蒸着源9h、9i、9jが配置されている。また、蒸着源9a〜9lは、基材21の下側にて基材21に近接した位置に配置されている。すなわち、蒸着源9a〜9lの開口端(ノズル)と基材21との間の距離(最短距離)が10mm以下であるような位置に配置されている。
【0043】
蒸着部Aに配置された蒸着源9aは、陽極層形成材料を気化させて吐出することにより、図6に示すように、基材21上の蒸着面21aに陽極層23を形成するようになっている。また、該蒸着部Aに配置された蒸着源9bは、エッジカバー形成材料を気化させて吐出することにより陽極層23の周縁を覆うエッジカバー24を形成するようになっている。かかるエッジカバーにより陽極層23の周囲が覆われることによって、陽極層23と陰極層27とが接触することを防止できるようになっている。
【0044】
また、蒸着部Bに配置された蒸着源9c、9d、9eは、有機EL層25を構成する5層の有機EL層構成層のうち3つを形成するようになっており、蒸着部Cに配置された蒸着源9f、9gは、残りの2つの有機EL層構成層を形成するようになっている。
【0045】
さらに、蒸着部Dに配置された蒸着源9h及び蒸着源9iは、陰極層27を構成する2つの陰極層構成層を形成するようになっている。また、該蒸着部Dに配置された蒸着源9jは、封止層29を形成するようになっている。かかる封止層29により陽極層23、有機EL層25及び陰極層27が覆われることによって、これら各層が空気と接触することを防止できるようになっている。また、本実施形態では、蒸着部Aに配置された蒸着源9kと、蒸着部Cに配置された蒸着源9lは、いずれも予備として配置されているが、これら蒸着源を用いて他の構成層を形成することも可能である。
【0046】
陽極層23は、1つ以上の陽極層構成層から形成されていればよく、かかる陽極層構成層を形成するための材料としては、金、銀、アルミニウムなどを挙げることができる。図1に示す装置構成では、例えば、陽極層23は、1つのAl層として形成されるようになっている。
【0047】
有機EL層25は、1つ以上の有機EL層構成層から構成されていればよく、図1に示す装置構成では、有機EL層25は、5つの有機EL層構成層から構成された5層積層体として形成されるようになっている。これら有機EL層構成層として、例えば図6(a)に示すように、陽極層23側から順に積層された正孔注入層25a、正孔輸送層25b、発光層25c、電子輸送層25d及び電子注入層25eが挙げられる。なお、有機EL層25は、有機EL層構成層として少なくとも発光層25cを有していれば、その層構成は特に限定されるものではない。その他、例えば、図6(c)に示すように、有機EL層は、正孔注入層25a、発光層25c及び電子注入層25eがこの順に積層された3層積層体であってもよい。また、その他、必要に応じて、上記図6(a)の5層から正孔輸送層25bや電子輸送層25dを除いた4層積層体であってもよい。さらに、図6(b)に示すように、有機EL層は、発光層25cのみの1層から構成されてもよい。
【0048】
正孔注入層25aを形成するための材料としては、例えば、銅フタロシアニン(CuPc)、4,4’−ビス[N−4−(N,N−ジ−m−トリルアミノ)フェニル]−N−フェニルアミノ]ビフェニル(DNTPD)、HAT−CN等を用いることができる。
【0049】
正孔輸送層25bを形成するための材料としては、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(α−NPD)、N,N’−ジフェニル−N,N’―ビス(3−メチルフェニル)−1,1’ビフェニル−4,4’ジアミン(TPD)等を用いることができる。
【0050】
発光層25cを形成するための材料としては、例えば、トリス(8−ハイドロキシキノリン)アルミニウム(Alq3)、イリジウム錯体(Ir(ppy)3)をドープした4,4’−N,N’−ジカルバゾニルビフェニル(CBP)等を用いることができる。
【0051】
電子注入層25dを形成するための材料としては、例えば、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、酸化リチウム(Li2O)等を用いることができる。
【0052】
電子輸送層25eを形成するための材料としては、例えば、トリス(8−ハイドロキシキノリン)アルミニウム(Alq3)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(BAlq)、OXD−7(1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル])ベンゼン、フッ化リチウム(LiF)等を用いることができる。
【0053】
陰極層27は、1以上の陰極層構成層から形成されていればよい。陰極層構成層を形成するための材料としては、フッ化リチウム(LiF)を用いたり、マグネシウム(Mg)、銀(Ag)等を含む合金等を用いたりすることができる。図1に示す装置構成では、例えば陰極層27は、有機EL層上に、LiF層とMg−Ag合金層の2層積層体として形成されるようになっている。
【0054】
エッジカバー24を形成する材料としては酸化ケイ素(SiOx)、三酸化モリブデン(MoO3)、五酸化バナジウム(V2O5)等が挙げられ、封止層29を形成する材料としては、三酸化モリブデン(MoO3)、酸化窒化ケイ素(SiNOx)、酸素含有炭化ケイ素(SiOC)等が挙げられる。SiOxとしては、例えばSiO2等が挙げられ、SiNOxとしては、例えばSiNO等が挙げられる。
【0055】
上記した陽極層23、有機EL層25及び陰極層27等をそれぞれ構成する各層の厚みは、通常、数nm〜数十nm程度になるように設計されるが、かかる厚みは、用いる構成層形成材料や、発光特性等に応じて適宜設計されるものであり、特に限定されない。また、上記したエッジカバー24や封止層29の厚みも、特に限定されるものではなく、これらの目的が達成され得ることができ、上記陽極層23、有機EL層25及び陰極層27の形成や有機ELデバイスの発光を妨げないように適宜設定されればよい。
【0056】
方向変換部30a〜30cは、ガイド機構31a、31b、31cを備えており、ガイド機構31a〜31cは、基材21の移動方向上流側の蒸着部A〜Cから送られた基材21を、該基材21の非蒸着面21bが内周面となるように該非蒸着面21b側から支持しながら蒸着面21aが上方を向いた後下方を向くように回転させ、上記移動方向下流側の蒸着部B〜Dへと案内するように構成されている。
【0057】
これらガイド機構31a〜31cのうち、まず、ガイド機構31aについて説明する。
【0058】
図1〜3に示すように、ガイド機構31aは、複数のローラ部材33a、33b、33cを有している。ローラ部材33a、33bは、略水平方向であって、且つ、基材21の幅方向(長手方向に対し垂直方向)に沿って配置されており、ローラ部材33cは、略水平方向であって、且つ、基材21の幅方向に対し角度θ(ここでは45°)傾斜して配置されている。ここで、基材21の幅方向に対するローラ部材の角度θは、基材21の非蒸着面21bにおける基材21の幅方向(図3の左右方向)に対し該基材21の上流側(図3の下方向)に向かって傾斜する角度をいう。
【0059】
また、ローラ部材33aは、ガイド機構31aにおいて下方に配置され、ローラ部材33bは、ローラ部材33aの上方に該ローラ部材33aと平行に配置され、ローラ部材33cは、ローラ部材33bと略同じ高さで、ローラ部材33bの側方に配置されている。
【0060】
蒸着部Aから送られた基材21は、その非蒸着面21bがローラ部材33a、ローラ部材33b及びローラ部材33cと当接するようにこれらローラ部材に架け渡されており、これらローラ部材に非蒸着面21bが支持されながら下流側へと案内される。
【0061】
具体的には、まず、蒸着部Aから送られた基材21は、ローラ部材33aを支軸として上方に略垂直に曲げられてローラ部材33bへと移動する。続いて基材21は、ローラ部材33bを支軸として側方(図1の左方)に略垂直に曲げられてローラ部材33cへと移動する。これらローラ部材33a、33bを支軸として曲げられることにより、基材21の蒸着面21aは、ローラ部材33aに支持される前の状態から反転して上方を向くことになる。
【0062】
引き続き、基材21は、基材21の蒸着面21aがローラ部材33cを支軸として略180°反転するように且つ側方(図の奥側)に曲げられて蒸着部Bへと移動する。かかるローラ部材33cを支軸として曲げられることにより、基材21の蒸着面21aは下方を向くことになる。
【0063】
このように、ガイド機構31aに案内される前には蒸着面21aが下方を向いていた基材21は、ローラ部材33a〜33cによって非蒸着面21bが内周面となるように該非蒸着面21b側から支持されながら、蒸着面21aが上方を向いた後下方を向くように回転し、蒸着面21aが下方を向いた状態で蒸着部Bに送られる。
【0064】
次に、ガイド機構31bについて説明する。
【0065】
図4、5に示すように、ガイド機構31bは、複数のローラ部材33d、33e、33f、33g、33h、33iを有している。ローラ部材33d、33iは、略水平方向であって、且つ、基材21の幅方向に沿って配置されており、ローラ部材33e、33f、33hは、略水平方向であって、且つ、基材21の幅方向に対し角度θ(ここでは例えば45°)傾斜して配置されており、ローラ部材33gは、略水平方向であって、且つ、基材21の幅方向に対し角度−θ(ここでは例えば−45°)傾斜して配置されている。
【0066】
また、ローラ部材33dは、ガイド機構31bにおいて下方に配置され、ローラ部材30eは、ローラ部材33dの上方に配置され、ローラ部材33fは、ローラ部材33eの側方(図3の左方)において該ローラ部材33eと平行に配置されている。ローラ部材33gは、ローラ部材33fの上方に配置され、ローラ部材33hは、ローラ部材33gの側方(図3の右方)に配置され、ローラ部材33iは、ローラ部材33hの下方であって上記ローラ部材33dの上方に配置されている。
【0067】
蒸着部Bから送られた基材21は、その非蒸着面21bがローラ部材33d、ローラ部材33e、ローラ部材33f、ローラ部材33g、ローラ部材33h、ローラ部材33iに当接するようにこれらローラ部材に架け渡され、これらローラ部材に支持されながら下流側へと案内されるようになっている。
【0068】
具体的には、蒸着部Bから送られた基材21は、ローラ部材33dを支軸として上方に略垂直に曲げられてローラ部材33eへと移動する。続いて基材21は、ローラ部材33eを支軸として側方(図3の左側)に略垂直に曲げられてローラ部材33fへと移動する。これらローラ部材33d、33eを支軸として曲げられることにより、基材21の蒸着面21aは、ローラ部材33dに支持される前の状態から反転して上方を向くことになる。
【0069】
続いて基材21は、ローラ部材33fを支軸としてこれに巻き架けられるように上方に曲げられてローラ部材33gへと移動する。かかるローラ部材33fを支軸として曲げられることにより、基材21の蒸着面21aは、下方を向いた後、側方を向くことになる。このとき、蒸着面21aは、上記ローラ部材33dに支持される前の状態から1回転以上回転している。すなわち、蒸着面21aの2回転目の回転が始まっている。
【0070】
続いて基材21は、ローラ部材33gを支軸として側方(図4の右方)に略垂直に曲げられてローラ部材33hへと移動する。かかるローラ部材33gを支軸として曲げられることにより、蒸着面21aは上方を向くことになる。
【0071】
続いて基材21は、ローラ部材33hを支軸として下方に略垂直に曲げられてローラ部材33iへと移動し、さらに、ローラ部材33iを支軸として側方に略垂直に曲げられて蒸着部Cへと移動する。これらローラ部材33h、33iを支軸として曲げられることにより、基材21の蒸着面21aは、ローラ33hに支持される前の状態から反転して下方を向くことになる。
【0072】
このように、ガイド機構31bに案内される前には蒸着面21aが下方を向いていた基材21は、ローラ部材33d〜33iによって非蒸着面21bが内周面となるように該非蒸着面21b側から支持されながら、蒸着面21aが上方を向いた後下方を向くように回転(2回転)し、蒸着面21aが下方を向いた状態で蒸着部Cに送られる。
【0073】
次に、ガイド機構31cについて説明する。
【0074】
図1に示すように、ガイド機構31cは、ガイド機構31aと同様のローラ部材構成を有している。すなわち、ガイド機構31cは、ローラ部材33j、33k、33lを有しており、これらローラ部材33j、33k、33lはそれぞれ、ガイド機構31aのローラ部材33c、33b、33aに対応している。また、ガイド機構31cでは、ガイド機構31aと同様に、基材21がローラ部材33j〜33lに架け渡されているが、ローラ部材33j〜33lを通過する基材21の移動方向が、ガイド機構31aと逆方向となっている。その他の構成はガイド機構31aと同様であるため、説明を省略する。
【0075】
かかるガイド機構31cにおいては、蒸着部Cから送られた基材21は、その非蒸着面21bがローラ部材33j、ローラ部材33k及びローラ部材33lに支持されながら下流側へと案内される。
【0076】
具体的には、蒸着部Cから送られた基材21は、まず、ローラ部材33jを支軸として略180°反転するように且つ側方(図の右側)に曲げられてローラ部材33kへと移動する。かかるローラ部材33jを支軸として曲げられることにより、基材21の蒸着面21aは、ローラ部材33jに支持される前の状態から反転して上方を向くことになる。
【0077】
続いて基材21は、ローラ部材33kを支軸として下方に略垂直に曲げられてローラ部材33lへと移動し、さらに、ローラ部材33lで略垂直に曲げられて蒸着部Dへと移動する。これらローラ部材33k、33lを支軸として曲げられることにより、基材21の蒸着面21aは、下方を向くことになる。
【0078】
このように、ガイド機構31cに案内される前には蒸着面21aが下方を向いていた基材21は、ローラ部材33j〜33lによって非蒸着面21bが内周面となるように該非蒸着面21b側から支持されながら、蒸着面21aが上方を向いた後下方を向くように回転し、蒸着面21aが下方を向いた状態で蒸着部Dに送られる。
【0079】
なお、ローラ部材33c、33e〜33hおよび33jは、図10、図11及び図11に示すように、円柱状のローラ部材本体36と、該ローラ部材本体36の外表面部に回転可能に支持されつつ基材21を周面で支持できるように該ローラ部材本体36よりも外側に突出している複数の回転部材37とを備えていることが好ましい、すなわち、ローラ部材本体36と回転部材37とを有するベアリング構造を備えていることが好ましい。図10では、回転部材37が円柱状のニードルローラであり、ローラ部材33c、33e〜33hおよび33jは、ローラ部材本体36とニードルローラたる回転部材37とを有するニードルベアリング構造を備えている。また、図11では、回転部材37が球状のボールであり、ローラ部材33c、33e〜33hおよび33jは、ローラ部材本体36とボールたる回転部材37とを有するボールベアリング構造を備えている。図12では、図10と同様にニードルローラたる回転部材37を有し、回転部材37がローラ部材本体36に対してらせん状に配置された構造を備えている。
【0080】
ローラ部材33c、33e〜33hおよび33jがこのようなベアリング構造を備えていることによって、該ローラ部材を支軸として曲げられつつ基材21が移動する際に、該ローラ部材と基材21との間に生じる摩擦を低減することができ、該ローラ部材に対して基材21が接触している領域(接触領域)が該ローラ部材の長手方向にズレることを防止できるため、効果的である。更に、このように接触領域のズレを防止できるため、該ローラ部材を十分に長くし、基材21を該ローラ部材にらせん状に巻いた状態で移動させる構成を採用することも可能である。こうすることにより、該ロール部材における基材21との接触領域が増加するため、基材の移動(搬送)がより安定して行われるという利点がある。
【0081】
次に、上記製造装置を用いた有機ELデバイスの製造方法の実施形態について説明する。
【0082】
本実施形態に係る有機ELデバイスの製造方法は、帯状の基材21を長手方向に移動させつつ蒸着により該基材21に有機EL素子19の構成層を形成する。
かかる製造方法は、基材21を長手方向に移動させつつ、該基材21の移動方向に沿って配置された複数の蒸着部A〜D(第1及び第2蒸着部)にて、基材21の一面に蒸着源21aから気化材料を吐出して順次蒸着を行う構成層形成工程を備えている。
そして、該構成層形成工程は、蒸着部A〜D(第1及び第2蒸着部)にて、基材21を蒸着面21aが下方を向いた状態で移動させつつ該基材21の下方に配置された蒸着源9a〜9jから蒸着面21aに気化材料を吐出して蒸着を行う複数の上向き蒸着工程と、蒸着部A〜C(第1蒸着部)と蒸着部B〜D(第2蒸着部)との間に設けられたガイド機構31a〜31cによって、蒸着部A〜C(第1蒸着部)から送られた基材21を、該基材21の非蒸着面21bが内周面となるように該非蒸着面21b側から支持しながら蒸着面21aが上方を向いた後、下方を向くように回転させ、蒸着部B〜C(第2蒸着部)へと案内する方向変換工程と、を備えている。
【0083】
本実施形態においては、具体的には例えば、先ず、ロール状に巻き取られた基材21を基材供給部5から繰り出す。
【0084】
続いて、蒸着部Aにおいて、繰り出された基材21を移動させつつ、該基材21の下面(蒸着面)に、蒸着源9aから上方に陽極層形成材料を吐出して陽極層23(例えばAl層)を形成し、蒸着源9bからエッジカバー形成材料を吐出して陽極層23の周縁を覆うようにエッジカバー24を形成する(上向き蒸着工程)。
【0085】
続いて、ガイド機構31aにより、上流側の蒸着部A(第1蒸着部)から送られた蒸着面21aが下方を向いた基材21を、基材21の非蒸着面21bが内周面となるように該非蒸着面21b側から支持しながら、蒸着面21aが上方を向いた後、下方を向くように回転させ、蒸着面21aが下方を向いた状態で下流側の蒸着部B(第2蒸着部)へと案内する(方向変換工程)。
【0086】
蒸着部Bでは、ガイド機構31aから送られた基材21を移動させつつ、該基材21の蒸着面21aに、基材21の下方に配置された蒸着源9c〜9eから上方に有機EL層構成層形成材料を吐出して、5層の有機EL層構成層のうち3層(例えば正孔注入層、正孔輸送層、発光層)を形成する(上向き蒸着工程)。
【0087】
続いて、ガイド機構31bにより、上流側の蒸着部B(第1蒸着部)から送られた蒸着面21aが下方を向いた基材21を、基材21の非蒸着面21bが内周面となるように該非蒸着面21b側から支持しながら、蒸着面21aが上方を向いた後、下方を向くように回転させ、蒸着面21aが下方を向いた状態で下流側の蒸着部C(第2蒸着部)へと案内する(方向変換工程)。
【0088】
蒸着部Cでは、ガイド機構31bから送られた基材21を移動させつつ、該基材21の蒸着面21aに、基材21の下方に配置された蒸着源9f、9gから上方に有機EL層構成層形成材料を吐出して、5層の有機EL層構成層のうち残りの2層(例えば電子輸送層、電子注入層)を形成する(上向き蒸着工程)。
【0089】
続いて、ガイド機構31cにより、上流側の蒸着部C(第1蒸着部)から送られた蒸着面21aが下方を向いた基材21を、基材21の非蒸着面21b側から該非蒸着面21bが内周面となるように支持しながら、蒸着面21aが上方を向いた後下方を向くように回転させ、蒸着面21aが下方に向いた状態で下流側の蒸着部D(第2蒸着部)へと案内する(方向変換工程)。
【0090】
蒸着部Dでは、ガイド機構31cから送られた基材21を移動させつつ、該基材21の蒸着面21aに、基材21の下方に配置された蒸着源9h、9iから上方に陰極層形成材料を吐出して、2層の陰極層構成層から成る陰極層27(例えばLiF層、Mg−Ag合金層)を形成し、蒸着源9jから上方に封止層形成材料を吐出して封止層(例えばMoO3層)29を形成する(上向き蒸着工程)。
【0091】
以上のようにして、基材21上に有機EL素子19を形成することができる。また、このように基材21上に有機EL素子19を形成しつつ、該有機EL素子19が形成された基材21を基材回収部6によって巻き取る。
【0092】
このようにして有機ELデバイス20を製造することができる。なお、本実施形態では、有機ELデバイス20は、基材21、有機EL素子19、エッジカバー24及び封止層29を備えており、有機EL素子19は、陽極層23、有機EL層25及び陰極層27を備えている。
【0093】
かかる製造方法によれば、上流側の蒸着部A〜C(第1蒸着部)において、基材21の下方を向いた蒸着面21aに、蒸着源9a〜9gから上方へと気化材料を吐出して構成層を形成した後、該構成層が形成された基材21を、ガイド機構31a〜31cによって非蒸着面21b側から該非蒸着面21bが内周面となるように支持しながら、蒸着面21aが上方を向いた後、下方を向くように回転させ、蒸着面21aが下方に向いた状態で下流側の蒸着部B〜D(第2蒸着部)に案内することができる。そして、該下流側の蒸着部B〜Dにおいて、引き続き、基材21の下方を向いた蒸着面21aに、蒸着源9c〜9jから上方へと気化材料を吐出して構成層を形成することができる。なお、ここでは、蒸着源9a〜9jを用いて蒸着を行ったが、これらに加えて、蒸着源9k、9lを用いて蒸着を行ってもよい。
【0094】
このように、上向き蒸着工程により、蒸着源9a〜9j(または9a〜9l、以下同様。)から上方に向かって気化材料を吐出することによって、蒸着源9a〜9jから落下した異物が混入することを防止することができるため、かかる異物の混入による発光不良を防止することができる。
また、蒸着部A〜D間(第1蒸着部と第2蒸着部との間)で基材21を支持することによって、基材21に所望の張力を付与することが可能となり、基材21の撓みや振動を抑制することができるため、蒸着源9a〜9jとの接触によって基材21の蒸着面21aが損傷することを抑制することができる。さらに、基材21と蒸着源9a〜9jとの距離の変化を抑制して構成層の厚みを適切に制御することができ、これにより、発光特性の低下を抑制することができる。
しかも、基材21の非蒸着面21bを支持することにより、基材21の蒸着面21aが損傷することを抑制することができる。
従って、品質の低下が抑制された有機ELデバイス20を製造することが可能となる。
【0095】
さらに、各蒸着部A〜D間にガイド機構31a〜31cが配置されており、ガイド機構31a〜31cによって、ガイド機構31a〜31cに案内される前と案内された後とで、上方から見たときの基材21の移動方向を変化させることができる。これにより、各蒸着部A〜Dを所望の位置に配置することが可能となるため、蒸着部A〜Dのレイアウトの自由度を高めることが可能となる。また、製造場所のスペースを有効利用することも可能となる。
【0096】
また、本実施形態では、ガイド機構31a〜31cが、非蒸着面21bを支持する複数のローラ部材33a〜33lを有しており、該ローラ部材の少なくとも1つが、基材の幅方向に対し傾斜した方向に沿って配置されている。これにより、ローラ部材を組み合わせるといった簡単な構成で、基材21の蒸着面21aを上記のように回転させ易くすることができるため、より効率的となる。
【0097】
また、本実施形態では、上記ローラ部材の少なくとも1つが、基材21の幅方向に対し45°傾斜した方向に沿って配置されている。これにより、ローラ部材の組み合わせの複雑化を防止することができ、また、装置の大型化を防止することができる。
【0098】
本発明の有機ELデバイスの製造方法及び製造装置は、上記の通りであるが、本発明は上記実施形態に限定されず本発明の意図する範囲内において適宜設計変更可能である。例えば、ガイド機構の構成は、上記実施形態に特に限定されるものではなく、第1蒸着部から送られた蒸着面が下方を向いた基材を、該基材の非蒸着面が内周面となるように該非蒸着面側から支持しながら、蒸着面が上方を向いた後、下方を向くように回転させ、蒸着面が下方に向いた状態で基材を第2蒸着部へと案内することが可能であれば、その他のローラ部材の配置、数量及びこれらの組み合わせ等を採用することもできる。また、上記実施形態では、蒸着工程が終了した基材を巻き取ったが、かかる基材を巻き取ることなく、裁断等の工程に供することもできる。
【実施例】
【0099】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0100】
(実施例)
図1に示すような製造装置1と同様の製造装置を用い、陽極層が1層、有機EL層が5層、陰極層が1層から構成されることとした。また、各蒸着源と基材との最短距離を2mmに設定した。該製造装置を用い、基材(SUS)21上に、陽極層(Al)、エッジカバー(SiO2)、正孔注入層(HAT−CN)、正孔輸送層(α−NPD)、発光層(Alq3)、電子輸送層(LiF)、電子注入層(LiF)、陰極層(Mg−Ai合金)、封止層(MoO3)を、順に蒸着することにより、有機ELデバイスを作製した。
【0101】
得られた有機ELデバイスを30cm(基材の移動方向)×3.8cm(基材の幅方向)にカットして試験サンプルを作製し、得られた試験サンプルの陽極層及び陰極層に電圧を印加し、印加電圧(V)と発光輝度(cd/m2)との関係を調べた。発光輝度は、有機EL発光効率測定装置(EL−1003、プレサイスゲージ社製)により測定した。また、電圧印加後の試験サンプルを有機EL素子側から見た写真をデジタルマイクロスコープ(VHX−1000、キーエンス社製)により撮影した。得られた印加電圧と発光輝度との関係を図8に示し、電圧印加後の試験サンプルの写真を図9に示す。
【0102】
図8に示すように、得られた有機ELデバイスの陽極層及び陰極層に電圧を印可しても電流のリークは認められず、図9に示すように、電圧印加後、電流リークに起因する有機EL素子の破壊は認められなかった。
【0103】
(比較例)
図7に示す製造装置100と同様の製造装置を用いた。すなわち、製造装置として、直線状に配置された蒸着部A〜Dを備えており、蒸着部A〜D間にガイド機構が設けられていないこと以外は、図1と同様のものを用いた。なお、図7では、真空チャンバーを省略して製造装置を示した。
【0104】
そして、当該製造装置を用い、実施例と同様にして有機ELデバイスを作製したところ、基材が撓み、基材の蒸着面と蒸着源とが接触して、基材の蒸着面に擦れが生じた。また、実施例と同様にして得られた有機ELデバイスからの試験サンプルについて評価を行った。得られた印加電圧と発光輝度との関係を図8に示し、電圧印加後の試験サンプルの写真を図9に示す。図8に示すように、比較例では、基材の蒸着面に上記擦れが生じたことに起因して、電流のリークが認められた。また、かかる電流リークが生じたため、電圧印加後、図9に示すように有機EL素子の破壊が認められた。
【0105】
以上の結果、本発明に係る有機ELデバイスの製造方法及び製造装置により、品質の低下が抑制された有機ELデバイスを製造し得ることがわかった。
【符号の説明】
【0106】
1:有機ELデバイスの製造装置、3:真空チャンバー、9a〜9l:蒸着源、19:有機EL素子、21:基材、21a:蒸着面、21b:非蒸着面、23:陽極層、25:有機EL層、27:陰極層、30a、30b、30c:方向変換部、31a〜31c:ガイド機構、33a〜33l:ローラ部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機ELデバイスの製造方法及び製造装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、次世代の低消費電力の発光表示装置に用いられるデバイスとして有機EL(エレクトロルミネッセンス)デバイスが注目されている。有機ELデバイスは、基本的には、基材と、その上に設けられた有機EL層と一対の電極層とを有する有機EL素子とによって構成されており、有機EL層は、有機発光材料から成る発光層を含む少なくとも1層から構成されている。かかる有機ELデバイスは、有機発光材料に由来して多彩な色の発光が得られ、また、自発光デバイスであるため、テレビジョン(TV)等のディスプレイ用途として注目されている。
【0003】
有機ELデバイスは、より具体的には、基材上に、有機EL素子の構成層たる陽極層、有機EL層及び陰極層がこの順に積層されることによって、形成されるようになっている。
【0004】
このような有機ELデバイスの製造方法において、基材上に有機EL素子の構成層(以下、単に構成層という場合がある。)を形成(成膜)する方法としては、一般的に真空蒸着法や塗布法が知られているが、これらのうち、特に構成層形成材料の純度を高めることができ、高寿命が得られ易いことから、真空蒸着法が主として用いられている。
【0005】
上記した真空蒸着法では、真空チャンバー内において基材と対向する位置に設けられた蒸着源を用いて蒸着を行うことにより、構成層を形成している。具体的には、各蒸着源に配置された加熱部で構成層形成材料を加熱してこれを気化させ、気化された構成層形成材料(気化材料)を蒸着源から吐出して、基材上に構成層を蒸着することにより該構成層を形成している。
【0006】
かかる真空蒸着法においては、低コスト化等の観点から、ロールプロセスが採用されている。ロールプロセスとは、ロール状に巻き取られた帯状の基材を連続的に繰り出し、繰り出された基材を移動させつつ、基材上に連続的に構成層を蒸着し、該構成層が蒸着された基材をロール状に巻き取るプロセスである(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−287996号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかし、上記ロールプロセスにおいて、基材よりも上方に蒸着源を配置し、該蒸着源から下方に基材へと向かって気化材料を吐出して構成層を形成すると、蒸着源からゴミ等の異物が落下して基材に付着し、有機EL素子中に混入する場合がある。かかる有機EL素子への異物の混入が生じると、その発光に悪影響が及ぼされることになる。
【0009】
そこで、かかる異物の混入を抑制すべく、基材よりも下方に蒸着源を配置し、該蒸着源から上方に基材へと向かって上記気化材料を吐出して構成層を形成することが考えられる。
【0010】
しかし、上記の通り、有機ELデバイスは複数の構成層が積層されて形成されているため、全ての構成層を順次下方からの蒸着によって形成しようとすると、蒸着源を基材の下方に順次並べ、基材を全ての蒸着源の上方を通過するように移動させる必要がある。
【0011】
この場合、基材における蒸着源を通過する領域が非常に長くなるため、基材に十分な張力を付与することが困難となり、基材が撓んだり振動したりし易くなる。そして、基材の撓みや振動により、基材の蒸着面と蒸着源とが接触すると、基材や基材上に形成された構成層が損傷するおそれがある。また、基材と蒸着源との距離が変化すると、構成層の厚みを適切に制御することが困難となり、所望の発光特性を有する構成層が得られなくなるおそれがある。
【0012】
一方、基材の撓みや振動を防止すべく基材を下方からローラ部材等で支持すると、ローラ部材と基材の蒸着面とが接触し、形成された構成層が損傷するおそれがある。
【0013】
このように、異物の混入や厚みの制御困難による発光不良や、蒸着源やローラ部材等との接触による基材の蒸着面の損傷が生じると、有機ELデバイスの品質が低下することになる。
【0014】
本発明は、上記問題点に鑑み、品質の低下が抑制された有機ELデバイスを製造し得る有機ELデバイスの製造方法及び製造装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本発明に係る有機ELデバイスの製造方法は、
帯状の基材を長手方向に移動させつつ蒸着により該基材に有機EL素子の構成層を形成する有機ELデバイスの製造方法であって、
前記基材を前記長手方向に移動させつつ、該基材の移動方向に沿って配置された少なくとも第1及び第2蒸着部にて、前記基材の一面に蒸着源から気化材料を吐出して順次蒸着を行う構成層形成工程を備え、
前記構成層形成工程は、
前記第1及び第2蒸着部にて、前記基材を蒸着面が下方を向いた状態で移動させつつ該基材の下方に配置された前記蒸着源から前記蒸着面に前記気化材料を吐出して蒸着を行う上向き蒸着工程と、
前記第1蒸着部と前記第2蒸着部との間に設けられたガイド機構によって、前記第1蒸着部から送られた前記基材を、該基材の非蒸着面が内周面となるように該非蒸着面側から支持しながら前記蒸着面が上方を向いた後、下方を向くように回転させ、前記第2蒸着部へと案内する方向変換工程と、
を備えていることを特徴とする。
【0016】
この方法によれば、第1蒸着部において、基材の下方を向いた蒸着面に、蒸着源から上方へと気化材料を吐出して構成層を形成した後、該構成層が形成された基材を、ガイド機構によって非蒸着面が内周面となるように該非蒸着面側から支持しながら蒸着面が上方を向いた後下方を向くように回転させ、蒸着面が下方を向いた状態で基材を第2蒸着部に案内することができる。そして、該第2蒸着部において、基材の下方を向いた蒸着面に、蒸着源によって下方から気化材料を吐出して引き続き構成層を形成することができる。
【0017】
このように、上向き蒸着工程により、蒸着源から上方に向かって気化材料を吐出することによって、蒸着源から落下した異物が混入することを防止することができるため、かかる異物の混入による発光不良を防止することができる。
また、第1蒸着部と第2蒸着部との間で基材を支持することによって、基材に所望の張力を付与することが可能となり、基材の撓みや振動を抑制することができるため、蒸着源との接触によって基材の蒸着面が損傷することを抑制できる。さらに、基材と蒸着源との距離の変化を抑制して構成層の厚みを適切に制御することができ、これにより、発光特性の低下を抑制することができる。
しかも、基材の非蒸着面を支持することにより、基材の蒸着面が損傷することを抑制することができる。
従って、品質の低下が抑制された有機ELデバイスを製造することが可能となる。
【0018】
また、上記製造方法においては、前記ガイド機構が、前記非蒸着面を支持する複数のローラ部材を有しており、該ローラ部材の少なくとも1つが、前記基材の幅方向に対し傾斜した方向に沿って配置されていることが好ましい。
【0019】
このように、ガイド機構が、非蒸着面を支持する複数のローラ部材を有し、該ローラ部材の少なくとも1つが、上記幅方向に対し傾斜した方向に沿って配置されていることにより、ローラ部材を組み合わせるといった簡単な構成で、基材の蒸着面を上記のように回転させ易くすることができるため、より効率的となる。
【0020】
また、上記製造方法においては、前記ローラ部材の少なくとも1つが、前記幅方向に対し45°傾斜した方向に沿って配置されていることが好ましい。
【0021】
このように、ローラ部材の少なくとも1つが、上記幅方向に対し45°傾斜した方向に沿って配置されていることにより、ローラ部材の組み合わせの複雑化を防止することができ、しかも、装置の大型化を防止することができる。
【0022】
本発明に係る有機ELデバイスの製造装置は、
帯状の基材を長手方向に移動させつつ蒸着により該基材に有機EL素子の構成層を形成する有機ELデバイスの製造装置であって、
前記基材の移動方向に沿って配置され、移動する前記基材の下方に配置された蒸着源を備え、前記基材を蒸着面が下方を向いた状態で移動させつつ、該蒸着源から前記蒸着面に前記気化材料を吐出させて蒸着を行う少なくとも第1及び第2蒸着部と、
前記第1蒸着部と前記第2蒸着部との間に設けられており、前記第1蒸着部から送られた前記基材を、該基材の非蒸着面が内周面となるように該非蒸着面側から支持しながら前記蒸着面が上方を向いた後、下方を向くように回転させ、前記第2蒸着部へと案内するガイド機構を備えた方向変換部と、
を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0023】
以上の通り、本発明によれば、品質の低下が抑制された有機ELデバイスを製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施形態に係る有機ELデバイスの製造装置を模式的に示す概略斜視図
【図2】図1の一のガイド機構におけるローラ部材の構成を上方から見た図
【図3】図1の一のガイド機構を移動する基材の非蒸着面におけるローラ部材との当接位置を模式的に示す概略平面図
【図4】図1の他のガイド機構におけるローラ部材の構成を上方から見た図
【図5】図4のガイド機構を移動する基材の非蒸着面におけるローラ部材との当接位置を模式的に示す概略平面図
【図6】有機EL素子の層構成を模式的に示す概略断面図
【図7】比較例で用いた製造装置を模式的に示す概略側面図
【図8】実施例及び比較例の試験サンプルにおける印加電圧と発光輝度との関係を示すグラフ
【図9】実施例及び比較例の試験サンプルを有機EL素子側から見た写真
【図10】ローラ部材の一実施形態を示す概略側面図
【図11】ローラ部材の一実施形態を示す概略側面図
【図12】ローラ部材の一実施形態を示す概略側面図
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下に本発明に係る有機ELデバイスの製造方法及び製造装置の実施形態について図面を参照しつつ説明する。
【0026】
まず、本発明に係る有機ELデバイスの製造装置の実施形態について説明する。
【0027】
有機ELデバイスの製造装置1は、帯状の基材21を長手方向に移動させつつ、蒸着により該基材21に有機EL素子19を形成するようになっている。図1に示すように、製造装置1は、基材21の移動方向に沿って配置された蒸着部A〜Dと、ガイド機構31a、31b、31cを有する方向変換部30a、30b、30cとを備えている。
【0028】
蒸着部A〜Dは、それぞれ、基材21の移動方向(白抜き矢印参照)に沿って配置されており、かかる蒸着部A〜Dは、基材移動方向上流側から下流側に向かって、蒸着部A、B、C、Dの順に配置されている。また、蒸着部A〜Dは、それぞれ、移動する基材21の下方に配置された蒸着源9a〜9lを備え、基材21を蒸着面21aが下方を向くように移動させ、該蒸着源9a〜9lから基材21の蒸着面21aに気化材料を吐出させて蒸着を行うようになっている。
【0029】
方向変換部30aは、図1及び図4に示すように、蒸着部Aと蒸着部Bとの間に配置され、方向変換部30bは、蒸着部Bと蒸着部Cとの間に配置され、方向変換部30cは、蒸着部Cと蒸着部Dとの間に配置されている。方向変換部30a〜30cの詳細については後述する。
【0030】
なお、本実施形態では、方向変換部30bを挟んだ蒸着部Aと蒸着源Bとの関係においては、蒸着源A及び蒸着源Bがそれぞれ本発明の第1蒸着部及び第2蒸着部に相当し、方向変換部30bを挟んだ蒸着部Bと蒸着部Cとの関係においては、蒸着源B及び蒸着源Cがそれぞれ本発明の第1蒸着部及び第2蒸着部に相当し、方向変換部30cを挟んだ蒸着部Cと蒸着部Dとの関係においては、蒸着部C及び蒸着部Dがそれぞれ本発明の第1蒸着部及び第2蒸着部に相当する。
【0031】
製造装置1は、基材21を供給する基材供給装置を備えた基材供給部5を備えており、基材供給部5から供給された基材21は、蒸着部A〜Dに順次供給され、これらを通って移動するようになっている。また、製造装置1は、基材21を回収する基材回収装置を備えた基材回収部6を備えており、蒸着部Dを移動した基材21は、基材回収部6によって回収されるようになっている。
【0032】
製造装置1は、複数の真空チャンバー3を備えており、各真空チャンバー3内にはそれぞれ、基材供給部5、蒸着部A、蒸着部B、蒸着部C、蒸着部D、方向変換部30a、方向変換部30b、方向変換部30c及び基材回収部6が配置されている。
【0033】
各真空チャンバー3は、不図示の真空発生装置により、その内部が減圧状態にされ、その内部に真空領域を形成するようになっている。また、隣接する真空チャンバー3同士は、真空状態が保たれながら不図示の開口部を介して連通されている。さらに、これら開口部を介して、基材21が基材供給部5から基材回収部6まで順次下流側へと移動できるようになっており、具体的には、基材供給部5から繰り出された基材21は、蒸着部A、方向変換部30a、蒸着部B、方向変換部30b、蒸着部C、方向変換部30c、蒸着部Dを移動した後、基材回収部6で回収されるようになっている。
【0034】
基材供給部5は、ロール状に巻き取られた帯状の基材21を繰り出して蒸着部A〜Dに供給するようになっている。また、基材回収部6は、基材供給部5から繰り出され、蒸着部A〜Dを移動した基材21を、ロール状に巻き取って回収するようになっている。すなわち、基材供給部5及び基材回収部6によって、基材21が繰り出され且つ巻き取られるようになっている。
【0035】
基材21の形成材料としては、後述するようにガイド機構31a〜31cで案内されたとき損傷しないような可撓性を有する材料が用いられ、このような材料として、例えば、金属材料、非金属無機材料や樹脂材料を挙げることができる。
【0036】
かかる金属材料としては、例えば、ステンレス、鉄−ニッケル合金等の合金、銅、ニッケル、鉄、アルミニウム、チタン等を挙げることができる。また、上記した鉄−ニッケル合金としては、例えば36アロイや42アロイ等を挙げることができる。これらのうち、ロールプロセスに適用し易いという観点から、上記金属材料は、ステンレス、銅、アルミニウムまたはチタンであることが好ましい。
【0037】
上記非金属無機材料としては、例えば、ガラスを挙げることができる。この場合、非金属無機材料から形成された基材として、フレキシブル性を持たせた薄膜ガラスを用いることができる。
【0038】
上記樹脂材料としては、熱硬化性樹脂または熱可塑性樹脂などの合成樹脂を挙げることができ、かかる合成樹脂として、例えば、ポリイミド樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリアミド樹脂、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン(ABS)共重合体樹脂、ポリカーボネート樹脂、シリコーン樹脂、フッ素樹脂等を挙げることができる。また、かかる樹脂材料から形成された基材として、例えば、上記合成樹脂のフィルムを用いることができる。
【0039】
基材21の幅、厚みや長さは、基材21に形成される有機EL素子19の大きさ、ガイド機構31a〜31cのローラ部材構成等に応じて適宜設定することができ、特に限定されるものではない。なお、後述するように基材21の長手方向に対して後述するローラ部材を傾斜させたとき、ローラ部材の長尺化を抑制し得るという観点から、基材21の幅は狭い方が好ましい。
【0040】
蒸着部A〜Dに備えられた蒸着源9a〜9lは、基材21の下方に配置されている。より詳細には、蒸着部A〜Dでは、基材21がその蒸着面21aを下方に向けて略水平方向に移動するようになっている。また、蒸着部A〜Dに配置された蒸着源9a〜9lは、真空チャンバー3の底面を外側(図1の下側)から内側(図1の上側)に向かって設けられており、且つ、各蒸着源9a〜9lの開口が真空チャンバー3内において基材21の蒸着面21aと対向するように配置されている。なお、図1では、蒸着部B、C、Dに配置された各蒸着源における真空チャンバー3内部に貫通されている部分を省略して示す。さらに、各蒸着源9a〜9lは、それぞれ加熱部(不図示)を有しており、各加熱部は各蒸着源に収容された上記材料を加熱して気化させ、各気化された材料(気化材料)を開口から上方に向かって吐出するようになっている。
【0041】
なお、真空チャンバー3は、蒸着源9a〜9lが上記のように貫通していても、内部の真空状態が維持されるようになっている。また、本実施形態では、各蒸着部A〜Dには、基材21の非蒸着面21bに当接して該基材21に所定の張力を付与するテンションローラ51が配置されているが、該テンションローラ51は必須構成要素ではなく、これらテンションローラが配置されていなくてもよい。
【0042】
各蒸着部A〜Dにおいて蒸着源は、形成すべき層に応じて1つ以上設けられていればよい。本実施形態では、蒸着部Aに蒸着源9a、9b、9kが配置され、蒸着部Bに蒸着源9c、9d、9eが配置され、蒸着部Cに蒸着源9f、9g、9lが配置され、蒸着部Dに蒸着源9h、9i、9jが配置されている。また、蒸着源9a〜9lは、基材21の下側にて基材21に近接した位置に配置されている。すなわち、蒸着源9a〜9lの開口端(ノズル)と基材21との間の距離(最短距離)が10mm以下であるような位置に配置されている。
【0043】
蒸着部Aに配置された蒸着源9aは、陽極層形成材料を気化させて吐出することにより、図6に示すように、基材21上の蒸着面21aに陽極層23を形成するようになっている。また、該蒸着部Aに配置された蒸着源9bは、エッジカバー形成材料を気化させて吐出することにより陽極層23の周縁を覆うエッジカバー24を形成するようになっている。かかるエッジカバーにより陽極層23の周囲が覆われることによって、陽極層23と陰極層27とが接触することを防止できるようになっている。
【0044】
また、蒸着部Bに配置された蒸着源9c、9d、9eは、有機EL層25を構成する5層の有機EL層構成層のうち3つを形成するようになっており、蒸着部Cに配置された蒸着源9f、9gは、残りの2つの有機EL層構成層を形成するようになっている。
【0045】
さらに、蒸着部Dに配置された蒸着源9h及び蒸着源9iは、陰極層27を構成する2つの陰極層構成層を形成するようになっている。また、該蒸着部Dに配置された蒸着源9jは、封止層29を形成するようになっている。かかる封止層29により陽極層23、有機EL層25及び陰極層27が覆われることによって、これら各層が空気と接触することを防止できるようになっている。また、本実施形態では、蒸着部Aに配置された蒸着源9kと、蒸着部Cに配置された蒸着源9lは、いずれも予備として配置されているが、これら蒸着源を用いて他の構成層を形成することも可能である。
【0046】
陽極層23は、1つ以上の陽極層構成層から形成されていればよく、かかる陽極層構成層を形成するための材料としては、金、銀、アルミニウムなどを挙げることができる。図1に示す装置構成では、例えば、陽極層23は、1つのAl層として形成されるようになっている。
【0047】
有機EL層25は、1つ以上の有機EL層構成層から構成されていればよく、図1に示す装置構成では、有機EL層25は、5つの有機EL層構成層から構成された5層積層体として形成されるようになっている。これら有機EL層構成層として、例えば図6(a)に示すように、陽極層23側から順に積層された正孔注入層25a、正孔輸送層25b、発光層25c、電子輸送層25d及び電子注入層25eが挙げられる。なお、有機EL層25は、有機EL層構成層として少なくとも発光層25cを有していれば、その層構成は特に限定されるものではない。その他、例えば、図6(c)に示すように、有機EL層は、正孔注入層25a、発光層25c及び電子注入層25eがこの順に積層された3層積層体であってもよい。また、その他、必要に応じて、上記図6(a)の5層から正孔輸送層25bや電子輸送層25dを除いた4層積層体であってもよい。さらに、図6(b)に示すように、有機EL層は、発光層25cのみの1層から構成されてもよい。
【0048】
正孔注入層25aを形成するための材料としては、例えば、銅フタロシアニン(CuPc)、4,4’−ビス[N−4−(N,N−ジ−m−トリルアミノ)フェニル]−N−フェニルアミノ]ビフェニル(DNTPD)、HAT−CN等を用いることができる。
【0049】
正孔輸送層25bを形成するための材料としては、例えば、4,4’−ビス[N−(1−ナフチル)−N−フェニル−アミノ]ビフェニル(α−NPD)、N,N’−ジフェニル−N,N’―ビス(3−メチルフェニル)−1,1’ビフェニル−4,4’ジアミン(TPD)等を用いることができる。
【0050】
発光層25cを形成するための材料としては、例えば、トリス(8−ハイドロキシキノリン)アルミニウム(Alq3)、イリジウム錯体(Ir(ppy)3)をドープした4,4’−N,N’−ジカルバゾニルビフェニル(CBP)等を用いることができる。
【0051】
電子注入層25dを形成するための材料としては、例えば、フッ化リチウム(LiF)、フッ化セシウム(CsF)、酸化リチウム(Li2O)等を用いることができる。
【0052】
電子輸送層25eを形成するための材料としては、例えば、トリス(8−ハイドロキシキノリン)アルミニウム(Alq3)、ビス(2−メチル−8−キノリノラト)−4−フェニルフェノラト−アルミニウム(BAlq)、OXD−7(1,3−ビス[5−(p−tert−ブチルフェニル)−1,3,4−オキサジアゾール−2−イル])ベンゼン、フッ化リチウム(LiF)等を用いることができる。
【0053】
陰極層27は、1以上の陰極層構成層から形成されていればよい。陰極層構成層を形成するための材料としては、フッ化リチウム(LiF)を用いたり、マグネシウム(Mg)、銀(Ag)等を含む合金等を用いたりすることができる。図1に示す装置構成では、例えば陰極層27は、有機EL層上に、LiF層とMg−Ag合金層の2層積層体として形成されるようになっている。
【0054】
エッジカバー24を形成する材料としては酸化ケイ素(SiOx)、三酸化モリブデン(MoO3)、五酸化バナジウム(V2O5)等が挙げられ、封止層29を形成する材料としては、三酸化モリブデン(MoO3)、酸化窒化ケイ素(SiNOx)、酸素含有炭化ケイ素(SiOC)等が挙げられる。SiOxとしては、例えばSiO2等が挙げられ、SiNOxとしては、例えばSiNO等が挙げられる。
【0055】
上記した陽極層23、有機EL層25及び陰極層27等をそれぞれ構成する各層の厚みは、通常、数nm〜数十nm程度になるように設計されるが、かかる厚みは、用いる構成層形成材料や、発光特性等に応じて適宜設計されるものであり、特に限定されない。また、上記したエッジカバー24や封止層29の厚みも、特に限定されるものではなく、これらの目的が達成され得ることができ、上記陽極層23、有機EL層25及び陰極層27の形成や有機ELデバイスの発光を妨げないように適宜設定されればよい。
【0056】
方向変換部30a〜30cは、ガイド機構31a、31b、31cを備えており、ガイド機構31a〜31cは、基材21の移動方向上流側の蒸着部A〜Cから送られた基材21を、該基材21の非蒸着面21bが内周面となるように該非蒸着面21b側から支持しながら蒸着面21aが上方を向いた後下方を向くように回転させ、上記移動方向下流側の蒸着部B〜Dへと案内するように構成されている。
【0057】
これらガイド機構31a〜31cのうち、まず、ガイド機構31aについて説明する。
【0058】
図1〜3に示すように、ガイド機構31aは、複数のローラ部材33a、33b、33cを有している。ローラ部材33a、33bは、略水平方向であって、且つ、基材21の幅方向(長手方向に対し垂直方向)に沿って配置されており、ローラ部材33cは、略水平方向であって、且つ、基材21の幅方向に対し角度θ(ここでは45°)傾斜して配置されている。ここで、基材21の幅方向に対するローラ部材の角度θは、基材21の非蒸着面21bにおける基材21の幅方向(図3の左右方向)に対し該基材21の上流側(図3の下方向)に向かって傾斜する角度をいう。
【0059】
また、ローラ部材33aは、ガイド機構31aにおいて下方に配置され、ローラ部材33bは、ローラ部材33aの上方に該ローラ部材33aと平行に配置され、ローラ部材33cは、ローラ部材33bと略同じ高さで、ローラ部材33bの側方に配置されている。
【0060】
蒸着部Aから送られた基材21は、その非蒸着面21bがローラ部材33a、ローラ部材33b及びローラ部材33cと当接するようにこれらローラ部材に架け渡されており、これらローラ部材に非蒸着面21bが支持されながら下流側へと案内される。
【0061】
具体的には、まず、蒸着部Aから送られた基材21は、ローラ部材33aを支軸として上方に略垂直に曲げられてローラ部材33bへと移動する。続いて基材21は、ローラ部材33bを支軸として側方(図1の左方)に略垂直に曲げられてローラ部材33cへと移動する。これらローラ部材33a、33bを支軸として曲げられることにより、基材21の蒸着面21aは、ローラ部材33aに支持される前の状態から反転して上方を向くことになる。
【0062】
引き続き、基材21は、基材21の蒸着面21aがローラ部材33cを支軸として略180°反転するように且つ側方(図の奥側)に曲げられて蒸着部Bへと移動する。かかるローラ部材33cを支軸として曲げられることにより、基材21の蒸着面21aは下方を向くことになる。
【0063】
このように、ガイド機構31aに案内される前には蒸着面21aが下方を向いていた基材21は、ローラ部材33a〜33cによって非蒸着面21bが内周面となるように該非蒸着面21b側から支持されながら、蒸着面21aが上方を向いた後下方を向くように回転し、蒸着面21aが下方を向いた状態で蒸着部Bに送られる。
【0064】
次に、ガイド機構31bについて説明する。
【0065】
図4、5に示すように、ガイド機構31bは、複数のローラ部材33d、33e、33f、33g、33h、33iを有している。ローラ部材33d、33iは、略水平方向であって、且つ、基材21の幅方向に沿って配置されており、ローラ部材33e、33f、33hは、略水平方向であって、且つ、基材21の幅方向に対し角度θ(ここでは例えば45°)傾斜して配置されており、ローラ部材33gは、略水平方向であって、且つ、基材21の幅方向に対し角度−θ(ここでは例えば−45°)傾斜して配置されている。
【0066】
また、ローラ部材33dは、ガイド機構31bにおいて下方に配置され、ローラ部材30eは、ローラ部材33dの上方に配置され、ローラ部材33fは、ローラ部材33eの側方(図3の左方)において該ローラ部材33eと平行に配置されている。ローラ部材33gは、ローラ部材33fの上方に配置され、ローラ部材33hは、ローラ部材33gの側方(図3の右方)に配置され、ローラ部材33iは、ローラ部材33hの下方であって上記ローラ部材33dの上方に配置されている。
【0067】
蒸着部Bから送られた基材21は、その非蒸着面21bがローラ部材33d、ローラ部材33e、ローラ部材33f、ローラ部材33g、ローラ部材33h、ローラ部材33iに当接するようにこれらローラ部材に架け渡され、これらローラ部材に支持されながら下流側へと案内されるようになっている。
【0068】
具体的には、蒸着部Bから送られた基材21は、ローラ部材33dを支軸として上方に略垂直に曲げられてローラ部材33eへと移動する。続いて基材21は、ローラ部材33eを支軸として側方(図3の左側)に略垂直に曲げられてローラ部材33fへと移動する。これらローラ部材33d、33eを支軸として曲げられることにより、基材21の蒸着面21aは、ローラ部材33dに支持される前の状態から反転して上方を向くことになる。
【0069】
続いて基材21は、ローラ部材33fを支軸としてこれに巻き架けられるように上方に曲げられてローラ部材33gへと移動する。かかるローラ部材33fを支軸として曲げられることにより、基材21の蒸着面21aは、下方を向いた後、側方を向くことになる。このとき、蒸着面21aは、上記ローラ部材33dに支持される前の状態から1回転以上回転している。すなわち、蒸着面21aの2回転目の回転が始まっている。
【0070】
続いて基材21は、ローラ部材33gを支軸として側方(図4の右方)に略垂直に曲げられてローラ部材33hへと移動する。かかるローラ部材33gを支軸として曲げられることにより、蒸着面21aは上方を向くことになる。
【0071】
続いて基材21は、ローラ部材33hを支軸として下方に略垂直に曲げられてローラ部材33iへと移動し、さらに、ローラ部材33iを支軸として側方に略垂直に曲げられて蒸着部Cへと移動する。これらローラ部材33h、33iを支軸として曲げられることにより、基材21の蒸着面21aは、ローラ33hに支持される前の状態から反転して下方を向くことになる。
【0072】
このように、ガイド機構31bに案内される前には蒸着面21aが下方を向いていた基材21は、ローラ部材33d〜33iによって非蒸着面21bが内周面となるように該非蒸着面21b側から支持されながら、蒸着面21aが上方を向いた後下方を向くように回転(2回転)し、蒸着面21aが下方を向いた状態で蒸着部Cに送られる。
【0073】
次に、ガイド機構31cについて説明する。
【0074】
図1に示すように、ガイド機構31cは、ガイド機構31aと同様のローラ部材構成を有している。すなわち、ガイド機構31cは、ローラ部材33j、33k、33lを有しており、これらローラ部材33j、33k、33lはそれぞれ、ガイド機構31aのローラ部材33c、33b、33aに対応している。また、ガイド機構31cでは、ガイド機構31aと同様に、基材21がローラ部材33j〜33lに架け渡されているが、ローラ部材33j〜33lを通過する基材21の移動方向が、ガイド機構31aと逆方向となっている。その他の構成はガイド機構31aと同様であるため、説明を省略する。
【0075】
かかるガイド機構31cにおいては、蒸着部Cから送られた基材21は、その非蒸着面21bがローラ部材33j、ローラ部材33k及びローラ部材33lに支持されながら下流側へと案内される。
【0076】
具体的には、蒸着部Cから送られた基材21は、まず、ローラ部材33jを支軸として略180°反転するように且つ側方(図の右側)に曲げられてローラ部材33kへと移動する。かかるローラ部材33jを支軸として曲げられることにより、基材21の蒸着面21aは、ローラ部材33jに支持される前の状態から反転して上方を向くことになる。
【0077】
続いて基材21は、ローラ部材33kを支軸として下方に略垂直に曲げられてローラ部材33lへと移動し、さらに、ローラ部材33lで略垂直に曲げられて蒸着部Dへと移動する。これらローラ部材33k、33lを支軸として曲げられることにより、基材21の蒸着面21aは、下方を向くことになる。
【0078】
このように、ガイド機構31cに案内される前には蒸着面21aが下方を向いていた基材21は、ローラ部材33j〜33lによって非蒸着面21bが内周面となるように該非蒸着面21b側から支持されながら、蒸着面21aが上方を向いた後下方を向くように回転し、蒸着面21aが下方を向いた状態で蒸着部Dに送られる。
【0079】
なお、ローラ部材33c、33e〜33hおよび33jは、図10、図11及び図11に示すように、円柱状のローラ部材本体36と、該ローラ部材本体36の外表面部に回転可能に支持されつつ基材21を周面で支持できるように該ローラ部材本体36よりも外側に突出している複数の回転部材37とを備えていることが好ましい、すなわち、ローラ部材本体36と回転部材37とを有するベアリング構造を備えていることが好ましい。図10では、回転部材37が円柱状のニードルローラであり、ローラ部材33c、33e〜33hおよび33jは、ローラ部材本体36とニードルローラたる回転部材37とを有するニードルベアリング構造を備えている。また、図11では、回転部材37が球状のボールであり、ローラ部材33c、33e〜33hおよび33jは、ローラ部材本体36とボールたる回転部材37とを有するボールベアリング構造を備えている。図12では、図10と同様にニードルローラたる回転部材37を有し、回転部材37がローラ部材本体36に対してらせん状に配置された構造を備えている。
【0080】
ローラ部材33c、33e〜33hおよび33jがこのようなベアリング構造を備えていることによって、該ローラ部材を支軸として曲げられつつ基材21が移動する際に、該ローラ部材と基材21との間に生じる摩擦を低減することができ、該ローラ部材に対して基材21が接触している領域(接触領域)が該ローラ部材の長手方向にズレることを防止できるため、効果的である。更に、このように接触領域のズレを防止できるため、該ローラ部材を十分に長くし、基材21を該ローラ部材にらせん状に巻いた状態で移動させる構成を採用することも可能である。こうすることにより、該ロール部材における基材21との接触領域が増加するため、基材の移動(搬送)がより安定して行われるという利点がある。
【0081】
次に、上記製造装置を用いた有機ELデバイスの製造方法の実施形態について説明する。
【0082】
本実施形態に係る有機ELデバイスの製造方法は、帯状の基材21を長手方向に移動させつつ蒸着により該基材21に有機EL素子19の構成層を形成する。
かかる製造方法は、基材21を長手方向に移動させつつ、該基材21の移動方向に沿って配置された複数の蒸着部A〜D(第1及び第2蒸着部)にて、基材21の一面に蒸着源21aから気化材料を吐出して順次蒸着を行う構成層形成工程を備えている。
そして、該構成層形成工程は、蒸着部A〜D(第1及び第2蒸着部)にて、基材21を蒸着面21aが下方を向いた状態で移動させつつ該基材21の下方に配置された蒸着源9a〜9jから蒸着面21aに気化材料を吐出して蒸着を行う複数の上向き蒸着工程と、蒸着部A〜C(第1蒸着部)と蒸着部B〜D(第2蒸着部)との間に設けられたガイド機構31a〜31cによって、蒸着部A〜C(第1蒸着部)から送られた基材21を、該基材21の非蒸着面21bが内周面となるように該非蒸着面21b側から支持しながら蒸着面21aが上方を向いた後、下方を向くように回転させ、蒸着部B〜C(第2蒸着部)へと案内する方向変換工程と、を備えている。
【0083】
本実施形態においては、具体的には例えば、先ず、ロール状に巻き取られた基材21を基材供給部5から繰り出す。
【0084】
続いて、蒸着部Aにおいて、繰り出された基材21を移動させつつ、該基材21の下面(蒸着面)に、蒸着源9aから上方に陽極層形成材料を吐出して陽極層23(例えばAl層)を形成し、蒸着源9bからエッジカバー形成材料を吐出して陽極層23の周縁を覆うようにエッジカバー24を形成する(上向き蒸着工程)。
【0085】
続いて、ガイド機構31aにより、上流側の蒸着部A(第1蒸着部)から送られた蒸着面21aが下方を向いた基材21を、基材21の非蒸着面21bが内周面となるように該非蒸着面21b側から支持しながら、蒸着面21aが上方を向いた後、下方を向くように回転させ、蒸着面21aが下方を向いた状態で下流側の蒸着部B(第2蒸着部)へと案内する(方向変換工程)。
【0086】
蒸着部Bでは、ガイド機構31aから送られた基材21を移動させつつ、該基材21の蒸着面21aに、基材21の下方に配置された蒸着源9c〜9eから上方に有機EL層構成層形成材料を吐出して、5層の有機EL層構成層のうち3層(例えば正孔注入層、正孔輸送層、発光層)を形成する(上向き蒸着工程)。
【0087】
続いて、ガイド機構31bにより、上流側の蒸着部B(第1蒸着部)から送られた蒸着面21aが下方を向いた基材21を、基材21の非蒸着面21bが内周面となるように該非蒸着面21b側から支持しながら、蒸着面21aが上方を向いた後、下方を向くように回転させ、蒸着面21aが下方を向いた状態で下流側の蒸着部C(第2蒸着部)へと案内する(方向変換工程)。
【0088】
蒸着部Cでは、ガイド機構31bから送られた基材21を移動させつつ、該基材21の蒸着面21aに、基材21の下方に配置された蒸着源9f、9gから上方に有機EL層構成層形成材料を吐出して、5層の有機EL層構成層のうち残りの2層(例えば電子輸送層、電子注入層)を形成する(上向き蒸着工程)。
【0089】
続いて、ガイド機構31cにより、上流側の蒸着部C(第1蒸着部)から送られた蒸着面21aが下方を向いた基材21を、基材21の非蒸着面21b側から該非蒸着面21bが内周面となるように支持しながら、蒸着面21aが上方を向いた後下方を向くように回転させ、蒸着面21aが下方に向いた状態で下流側の蒸着部D(第2蒸着部)へと案内する(方向変換工程)。
【0090】
蒸着部Dでは、ガイド機構31cから送られた基材21を移動させつつ、該基材21の蒸着面21aに、基材21の下方に配置された蒸着源9h、9iから上方に陰極層形成材料を吐出して、2層の陰極層構成層から成る陰極層27(例えばLiF層、Mg−Ag合金層)を形成し、蒸着源9jから上方に封止層形成材料を吐出して封止層(例えばMoO3層)29を形成する(上向き蒸着工程)。
【0091】
以上のようにして、基材21上に有機EL素子19を形成することができる。また、このように基材21上に有機EL素子19を形成しつつ、該有機EL素子19が形成された基材21を基材回収部6によって巻き取る。
【0092】
このようにして有機ELデバイス20を製造することができる。なお、本実施形態では、有機ELデバイス20は、基材21、有機EL素子19、エッジカバー24及び封止層29を備えており、有機EL素子19は、陽極層23、有機EL層25及び陰極層27を備えている。
【0093】
かかる製造方法によれば、上流側の蒸着部A〜C(第1蒸着部)において、基材21の下方を向いた蒸着面21aに、蒸着源9a〜9gから上方へと気化材料を吐出して構成層を形成した後、該構成層が形成された基材21を、ガイド機構31a〜31cによって非蒸着面21b側から該非蒸着面21bが内周面となるように支持しながら、蒸着面21aが上方を向いた後、下方を向くように回転させ、蒸着面21aが下方に向いた状態で下流側の蒸着部B〜D(第2蒸着部)に案内することができる。そして、該下流側の蒸着部B〜Dにおいて、引き続き、基材21の下方を向いた蒸着面21aに、蒸着源9c〜9jから上方へと気化材料を吐出して構成層を形成することができる。なお、ここでは、蒸着源9a〜9jを用いて蒸着を行ったが、これらに加えて、蒸着源9k、9lを用いて蒸着を行ってもよい。
【0094】
このように、上向き蒸着工程により、蒸着源9a〜9j(または9a〜9l、以下同様。)から上方に向かって気化材料を吐出することによって、蒸着源9a〜9jから落下した異物が混入することを防止することができるため、かかる異物の混入による発光不良を防止することができる。
また、蒸着部A〜D間(第1蒸着部と第2蒸着部との間)で基材21を支持することによって、基材21に所望の張力を付与することが可能となり、基材21の撓みや振動を抑制することができるため、蒸着源9a〜9jとの接触によって基材21の蒸着面21aが損傷することを抑制することができる。さらに、基材21と蒸着源9a〜9jとの距離の変化を抑制して構成層の厚みを適切に制御することができ、これにより、発光特性の低下を抑制することができる。
しかも、基材21の非蒸着面21bを支持することにより、基材21の蒸着面21aが損傷することを抑制することができる。
従って、品質の低下が抑制された有機ELデバイス20を製造することが可能となる。
【0095】
さらに、各蒸着部A〜D間にガイド機構31a〜31cが配置されており、ガイド機構31a〜31cによって、ガイド機構31a〜31cに案内される前と案内された後とで、上方から見たときの基材21の移動方向を変化させることができる。これにより、各蒸着部A〜Dを所望の位置に配置することが可能となるため、蒸着部A〜Dのレイアウトの自由度を高めることが可能となる。また、製造場所のスペースを有効利用することも可能となる。
【0096】
また、本実施形態では、ガイド機構31a〜31cが、非蒸着面21bを支持する複数のローラ部材33a〜33lを有しており、該ローラ部材の少なくとも1つが、基材の幅方向に対し傾斜した方向に沿って配置されている。これにより、ローラ部材を組み合わせるといった簡単な構成で、基材21の蒸着面21aを上記のように回転させ易くすることができるため、より効率的となる。
【0097】
また、本実施形態では、上記ローラ部材の少なくとも1つが、基材21の幅方向に対し45°傾斜した方向に沿って配置されている。これにより、ローラ部材の組み合わせの複雑化を防止することができ、また、装置の大型化を防止することができる。
【0098】
本発明の有機ELデバイスの製造方法及び製造装置は、上記の通りであるが、本発明は上記実施形態に限定されず本発明の意図する範囲内において適宜設計変更可能である。例えば、ガイド機構の構成は、上記実施形態に特に限定されるものではなく、第1蒸着部から送られた蒸着面が下方を向いた基材を、該基材の非蒸着面が内周面となるように該非蒸着面側から支持しながら、蒸着面が上方を向いた後、下方を向くように回転させ、蒸着面が下方に向いた状態で基材を第2蒸着部へと案内することが可能であれば、その他のローラ部材の配置、数量及びこれらの組み合わせ等を採用することもできる。また、上記実施形態では、蒸着工程が終了した基材を巻き取ったが、かかる基材を巻き取ることなく、裁断等の工程に供することもできる。
【実施例】
【0099】
次に実施例を挙げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0100】
(実施例)
図1に示すような製造装置1と同様の製造装置を用い、陽極層が1層、有機EL層が5層、陰極層が1層から構成されることとした。また、各蒸着源と基材との最短距離を2mmに設定した。該製造装置を用い、基材(SUS)21上に、陽極層(Al)、エッジカバー(SiO2)、正孔注入層(HAT−CN)、正孔輸送層(α−NPD)、発光層(Alq3)、電子輸送層(LiF)、電子注入層(LiF)、陰極層(Mg−Ai合金)、封止層(MoO3)を、順に蒸着することにより、有機ELデバイスを作製した。
【0101】
得られた有機ELデバイスを30cm(基材の移動方向)×3.8cm(基材の幅方向)にカットして試験サンプルを作製し、得られた試験サンプルの陽極層及び陰極層に電圧を印加し、印加電圧(V)と発光輝度(cd/m2)との関係を調べた。発光輝度は、有機EL発光効率測定装置(EL−1003、プレサイスゲージ社製)により測定した。また、電圧印加後の試験サンプルを有機EL素子側から見た写真をデジタルマイクロスコープ(VHX−1000、キーエンス社製)により撮影した。得られた印加電圧と発光輝度との関係を図8に示し、電圧印加後の試験サンプルの写真を図9に示す。
【0102】
図8に示すように、得られた有機ELデバイスの陽極層及び陰極層に電圧を印可しても電流のリークは認められず、図9に示すように、電圧印加後、電流リークに起因する有機EL素子の破壊は認められなかった。
【0103】
(比較例)
図7に示す製造装置100と同様の製造装置を用いた。すなわち、製造装置として、直線状に配置された蒸着部A〜Dを備えており、蒸着部A〜D間にガイド機構が設けられていないこと以外は、図1と同様のものを用いた。なお、図7では、真空チャンバーを省略して製造装置を示した。
【0104】
そして、当該製造装置を用い、実施例と同様にして有機ELデバイスを作製したところ、基材が撓み、基材の蒸着面と蒸着源とが接触して、基材の蒸着面に擦れが生じた。また、実施例と同様にして得られた有機ELデバイスからの試験サンプルについて評価を行った。得られた印加電圧と発光輝度との関係を図8に示し、電圧印加後の試験サンプルの写真を図9に示す。図8に示すように、比較例では、基材の蒸着面に上記擦れが生じたことに起因して、電流のリークが認められた。また、かかる電流リークが生じたため、電圧印加後、図9に示すように有機EL素子の破壊が認められた。
【0105】
以上の結果、本発明に係る有機ELデバイスの製造方法及び製造装置により、品質の低下が抑制された有機ELデバイスを製造し得ることがわかった。
【符号の説明】
【0106】
1:有機ELデバイスの製造装置、3:真空チャンバー、9a〜9l:蒸着源、19:有機EL素子、21:基材、21a:蒸着面、21b:非蒸着面、23:陽極層、25:有機EL層、27:陰極層、30a、30b、30c:方向変換部、31a〜31c:ガイド機構、33a〜33l:ローラ部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状の基材を長手方向に移動させつつ蒸着により該基材に有機EL素子の構成層を形成する有機ELデバイスの製造方法であって、
前記基材を前記長手方向に移動させつつ、該基材の移動方向に沿って配置された少なくとも第1及び第2蒸着部にて、前記基材の一面に蒸着源から気化材料を吐出して順次蒸着を行う構成層形成工程を備え、
前記構成層形成工程は、
前記第1及び第2蒸着部にて、前記基材を蒸着面が下方を向いた状態で移動させつつ該基材の下方に配置された前記蒸着源から前記蒸着面に前記気化材料を吐出して蒸着を行う上向き蒸着工程と、
前記第1蒸着部と前記第2蒸着部との間に設けられたガイド機構によって、前記第1蒸着部から送られた前記基材を、該基材の非蒸着面が内周面となるように該非蒸着面側から支持しながら前記蒸着面が上方を向いた後、下方を向くように回転させ、前記第2蒸着部へと案内する方向変換工程と、
を備えていることを特徴とする有機ELデバイスの製造方法。
【請求項2】
前記ガイド機構は、前記非蒸着面を支持する複数のローラ部材を有しており、
該ローラ部材の少なくとも1つは、前記基材の幅方向に対し傾斜した方向に沿って配置されていることを特徴とする請求項1に記載の有機ELデバイスの製造方法。
【請求項3】
前記ローラ部材の少なくとも1つは、前記幅方向に対し45°傾斜した方向に沿って配置されていることを特徴とする請求項2に記載の有機ELデバイスの製造方法。
【請求項4】
帯状の基材を長手方向に移動させつつ蒸着により該基材に有機EL素子の構成層を形成する有機ELデバイスの製造装置であって、
前記基材の移動方向に沿って配置され、移動する前記基材の下方に配置された蒸着源を備え、前記基材を蒸着面が下方を向いた状態で移動させつつ、該蒸着源から前記蒸着面に前記気化材料を吐出させて蒸着を行う少なくとも第1及び第2蒸着部と、
前記第1蒸着部と前記第2蒸着部との間に設けられており、前記第1蒸着部から送られた前記基材を、該基材の非蒸着面が内周面となるように該非蒸着面側から支持しながら前記蒸着面が上方を向いた後、下方を向くように回転させ、前記第2蒸着部へと案内するガイド機構を備えた方向変換部と、
を備えていることを特徴とする有機ELデバイスの製造装置。
【請求項1】
帯状の基材を長手方向に移動させつつ蒸着により該基材に有機EL素子の構成層を形成する有機ELデバイスの製造方法であって、
前記基材を前記長手方向に移動させつつ、該基材の移動方向に沿って配置された少なくとも第1及び第2蒸着部にて、前記基材の一面に蒸着源から気化材料を吐出して順次蒸着を行う構成層形成工程を備え、
前記構成層形成工程は、
前記第1及び第2蒸着部にて、前記基材を蒸着面が下方を向いた状態で移動させつつ該基材の下方に配置された前記蒸着源から前記蒸着面に前記気化材料を吐出して蒸着を行う上向き蒸着工程と、
前記第1蒸着部と前記第2蒸着部との間に設けられたガイド機構によって、前記第1蒸着部から送られた前記基材を、該基材の非蒸着面が内周面となるように該非蒸着面側から支持しながら前記蒸着面が上方を向いた後、下方を向くように回転させ、前記第2蒸着部へと案内する方向変換工程と、
を備えていることを特徴とする有機ELデバイスの製造方法。
【請求項2】
前記ガイド機構は、前記非蒸着面を支持する複数のローラ部材を有しており、
該ローラ部材の少なくとも1つは、前記基材の幅方向に対し傾斜した方向に沿って配置されていることを特徴とする請求項1に記載の有機ELデバイスの製造方法。
【請求項3】
前記ローラ部材の少なくとも1つは、前記幅方向に対し45°傾斜した方向に沿って配置されていることを特徴とする請求項2に記載の有機ELデバイスの製造方法。
【請求項4】
帯状の基材を長手方向に移動させつつ蒸着により該基材に有機EL素子の構成層を形成する有機ELデバイスの製造装置であって、
前記基材の移動方向に沿って配置され、移動する前記基材の下方に配置された蒸着源を備え、前記基材を蒸着面が下方を向いた状態で移動させつつ、該蒸着源から前記蒸着面に前記気化材料を吐出させて蒸着を行う少なくとも第1及び第2蒸着部と、
前記第1蒸着部と前記第2蒸着部との間に設けられており、前記第1蒸着部から送られた前記基材を、該基材の非蒸着面が内周面となるように該非蒸着面側から支持しながら前記蒸着面が上方を向いた後、下方を向くように回転させ、前記第2蒸着部へと案内するガイド機構を備えた方向変換部と、
を備えていることを特徴とする有機ELデバイスの製造装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図9】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図10】
【図11】
【図12】
【図9】
【公開番号】特開2013−101880(P2013−101880A)
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−245844(P2011−245844)
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月23日(2013.5.23)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年11月9日(2011.11.9)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]