説明

板取得装置及び板取得方法

【課題】ウェハの2枚取りが防止できるウェハ取得装置を提供したい。
【解決手段】ウェハ取得装置100は、複数のウェハ10を重ねて載せる置き台20と、置き台20に重ねて載せた複数のウェハ10のうち1枚目のウェハ11を保持する吸着パッド32(保持機構30)と、保持機構30が1枚目のウェハ11を保持してから、1枚目のウェハから2枚目以下のウェハを離隔させる離隔用エアノズル52と昇降機構80(離隔機構50)と、離隔機構50が1枚目のウェハ11から2枚目以下のウェハを離隔させる場合に、1枚目のウェハ11の表面にエアを噴き付けて1枚目のウェハ11の中央を下方に湾曲させる撓み用エアノズル42(湾曲機構40)とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、板の2枚取りを防止することができる板取得装置及び板取得方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の2枚取り防止装置には、突起ローラを設け、突起ローラをシート吸着部の吸着面から退避可能に突出させて、シート吸着部に吸着されたシートを変形させるものがあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平07−097092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の2枚取り防止装置は、突起ローラを用いているので、突起ローラにより板を物理的に変形あるいは破壊してしまう恐れがあった。
【0005】
この発明は、積層された複数の板から、2枚取りすることなく、かつ、変形あるいは破壊することなく、1枚目の板を取得しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明の板取得装置は、
剛性のある複数の板を重ねて載せる置き台と、
置き台に重ねて載せた複数の板のうち1枚目の板を保持する保持機構と、
保持機構が1枚目の板を保持してから、1枚目の板から2枚目以下の板を離隔させる離隔機構と、
離隔機構が1枚目の板から2枚目以下の板を離隔させる場合に、1枚目の板の表面の流体を流動させて1枚目の板を湾曲させる湾曲機構と
を備えたことを特徴とする。
【0007】
上記保持機構は、1枚目の板の上面を吸着する吸着パッドを有し、
上記湾曲機構は、1枚目の板の上面の一部に対するエアの噴射または吸引により1枚目の板をたわませる撓み用エアノズルを有することを特徴とする。
【0008】
上記置き台は、複数の板を重ねたまま上昇させ、保持機構が1枚目の板を保持した場合に、2枚目以下の板を下降させる昇降機構を有し、
上記離隔機構は、1枚目の板と2枚目の板との間にエアを噴き込む離隔用エアノズルを備えたことを特徴とする。
【0009】
この発明の板取得方法は、
剛性のある複数の板を重ねて載せた置き台から1枚目の板を保持する保持工程と、
保持工程が1枚目の板を保持してから、1枚目の板から2枚目以下の板を離隔させる離隔工程と、
離隔工程により1枚目の板から2枚目以下の板を離隔させる場合に、1枚目の板の表面の流体を流動させて1枚目の板を湾曲させる湾曲工程とを備えたことを特徴とする。
【0010】
上記保持工程は、複数の板を重ねたまま上昇させ、1枚目の板の周辺部を複数の吸着パッドで吸着し、
上記離隔工程は、1枚目の板と2枚目の板との間に、離隔用エアノズルでエアを噴き込むとともに、2枚目以下の板を下降させ、
上記湾曲工程は、撓み用エアノズルにより、エアの噴射または吸引を行って1枚目の板をたわませることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
この発明は、1枚目の板の表面の流体(たとえば、エア)を流動させて板に正または負の圧力を加えることにより板を湾曲させるので、1枚目の板を2枚目の板から確実に離隔するとともに、1枚目の板の恒久的変形あるいは破壊が防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】実施の形態1のウェハ取得装置100を示す斜視図である。
【図2】実施の形態1のウェハ取得装置100の動作説明フローである。
【図3】実施の形態1のウェハ取得装置100の動作説明図である。
【図4】実施の形態2のウェハ取得装置100の動作説明図である。
【図5】実施の形態3のウェハ取得装置100の動作説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
実施の形態1.
板取得装置が扱う板とは、半導体基板(ウェハ)やセラミック基板やガラス基板やプリント基板や回路基板などの薄板あるいは平板である。板は、金属板や木板や樹脂板や石板や合板や積層板や複合板でも構わない。板は、圧力が印加されることにより湾曲し、圧力から解放されることにより元の形状に戻る材質でできている。即ち、板は、剛性があり、弾力性があるものであり、撓むものである。
【0014】
以下、この実施の形態1では、板取得装置と板取得方法の一例として、板がウェハであるウェハ取得装置とウェハ取得方法を説明する。
図1は、ウェハ取得装置100を示す斜視図である。
図2は、ウェハ取得装置100の動作説明フローである。
図3は、ウェハ取得装置100の動作説明図である。
【0015】
この実施の形態のウェハ取得装置100は、図1に示すように、
複数のウェハ10を重ねて載せる置き台20と、
置き台20に重ねて載せた複数のウェハ10のうち1枚目のウェハ11を保持する保持機構30と、
保持機構30が1枚目のウェハ11を保持してから、1枚目のウェハから2枚目以下のウェハを離隔させる離隔機構50と、
離隔機構50が1枚目のウェハ11から2枚目以下のウェハを離隔させる場合に、1枚目のウェハ11の表面の流体を流動させて1枚目のウェハ11を湾曲させる湾曲機構40と
を備えたことを特徴とする。
【0016】
上記保持機構30は、1枚目のウェハ11の上面を吸着する吸着パッド32を有し、
上記湾曲機構40は、1枚目のウェハ11の上面の一部に対するエアの噴射または吸引により1枚目のウェハ11をたわませる撓み用エアノズルを有することを特徴とする。
【0017】
上記置き台20は、複数のウェハ10を重ねたまま上昇させ、保持機構30が1枚目のウェハ11を保持した場合に、2枚目以下のウェハを下降させる昇降機構80を有し、
上記離隔機構50は、1枚目のウェハ11と2枚目のウェハ12との間にエアを噴き込む離隔用エアノズル52を備えたことを特徴とする。
【0018】
この実施の形態1のウェハ取得方法は、図2に示すように、
複数のウェハ10を重ねて載せた置き台20から1枚目のウェハ11を保持する保持工程S1、S2、S3と、
保持工程が1枚目のウェハ11を保持してから、1枚目のウェハ11から2枚目以下のウェハを離隔させる離隔工程S4、S5と、
離隔工程により1枚目のウェハ11から2枚目以下のウェハを離隔させる場合に、1枚目のウェハ11の表面の流体を流動させてウェハを湾曲させる湾曲工程S6とを備えたことを特徴とする。
【0019】
上記保持工程は、複数のウェハ10を重ねたまま上昇させ、1枚目のウェハ11の周辺部を複数の吸着パッド32で吸着し、
上記離隔工程は、1枚目のウェハ11と2枚目のウェハとの間に、離隔用エアノズル52でエアを噴き込むとともに、2枚目以下のウェハを下降させ、
上記湾曲工程は、撓み用エアノズル42により、エアの噴射または吸引を行って1枚目のウェハ11をたわませることを特徴とする。
【0020】
ウェハ取得装置100が取り出すウェハ10とは、一般的に半導体基板のことであるが、セラミック基板やガラス基板を含む場合もある。ウェハ10は薄板である。ウェハ10は、圧力が印加されることにより湾曲し、圧力から解放されることにより元の形状に戻る材質でできている。即ち、ウェハ10は、剛性や弾力性があるものであり、撓むものである。
ウェハ10の形状は、図1では、四角形であるが、その他の多角形でもよいし、円形でもよく、ウェハ10の形状は問わない。
【0021】
以下、図1を用いて、ウェハ取得装置100の構成を詳細に説明する。
ウェハ取得装置100は、置き台20、保持機構30、湾曲機構40、離隔機構50,搬出機構60、エアコントローラ70,昇降機構80、制御部90を備えている。
【0022】
置き台20は、テーブル24にウェハラック26を固定している。ウェハラック26には、ウェハ10の四角のコーナーを支持する4本の柱がある。ウェハラック26に、複数のウェハ10を重ねて積層する。テーブル24とウェハラック26の底には孔(穴)があり、昇降機構80が昇降できる。昇降機構80の昇降によりウェハ10が積層されたまま、ウェハラック26を上下する。
【0023】
保持機構30は、吸着パッド32、センサ34、ピックユニット36を有している。
吸着パッド32は、ピックユニット36に固定され、ウェハ10のコーナーのほぼ周縁部(周辺部または端部)に対応する位置に4個ある。撓みを大きくするために、吸着パッド32の位置は、なるべくウェハ10の端部が望ましい。
吸着パッド32には、エアコントローラ70からエアパイプ72が接続され、エアコントローラ70がエアを吸引することにより、吸着パッド32がウェハ10を吸着する。
センサ34は、積層された複数のウェハ10の1枚目のウェハ11が吸着パッド32に吸着される吸着位置まで上昇したか否かを判定する。センサ34のセンサ信号により、制御部90が昇降機構80により1枚目のウェハ11を吸着位置まで上昇させる。
センサ34は、テーブル24に固定されているが、ピックユニット36に固定されていてもよい。また、センサ34は、上下方向に、センス位置を変更調節できるようにしておくことが望ましい。
【0024】
湾曲機構40は、撓み用エアノズル42を有している。撓み用エアノズル42は、ピックユニット36に固定され、4本の吸着パッド32のほぼ中央部に1個ある。撓みを大きくするために、撓み用エアノズル42の位置は、なるべくウェハ10の中央部が望ましい。撓み用エアノズル42の上下の長さは、吸着パッド32の上下の長さよりも短い。
撓み用エアノズル42には、エアコントローラ70からエアパイプ72が接続され、エアコントローラ70が圧縮エアを出力することにより、撓み用エアノズル42から1枚目のウェハ11の中央表面にエアが噴出し、1枚目のウェハ11の中央表面が下方に湾曲する。
撓み用エアノズル42から噴出するエアの圧力は、1枚目のウェハ11(ウェハ10)の持つ合成や弾力性を破壊しない範囲のものであり、撓み用エアノズル42からのエアの噴出をやめれば、1枚目のウェハ11(ウェハ10)は剛性あるいは弾力性により元通り平板に復帰する。
従来のように突起物を用いてウェハ10を湾曲させると、ウェハ10の一部分を変形させたり、ウェハ10を傷つけたり、ウェハ10を破壊したりする恐れがあるが、エアを用いれば、ウェハ10にかかる圧力が分散され、ウェハ10に傷がつくことはない、また、ウェハ10を変形・破壊する恐れが減少する。
【0025】
離隔機構50は、離隔用エアノズル52を有している。
離隔用エアノズル52は、置き台20に固定され、1枚目のウェハ11と2枚目のウェハ12の側面(即ち、ほぼ吸着位置の高さ)に2個ある。離隔作用を大きくするために、離隔用エアノズル52の噴き出し口は、1枚目のウェハ11と2枚目のウェハ12の間にエアを噴き込みやすいように、がま口状あるいは鰐口状あるいはスリット状に横広になっている。また、噴き出し口の方向を変えることができ、エア吹き出し方向が調整できる。撓み用エアノズル42の位置は、なるべく1枚目のウェハ11の側面中央部が望ましい。
離隔用エアノズル52には、エアコントローラ70からエアパイプ72が接続され、エアコントローラ70が圧縮エアを出力することにより、離隔用エアノズル52から、1枚目のウェハ11と2枚目のウェハ12の側面の隙間にエアが噴き込まれ、1枚目のウェハ11と2枚目のウェハ12の離隔を促進する。
【0026】
搬出機構60は、上下スライド溝62と左右スライド溝64とを有している。上下スライド溝62は、ピックユニット36の上下移動をガイドする。左右スライド溝64は、ピックユニット36の左右移動をガイドする。搬出機構60には、リニアモータやリニアガイドがあり、ピックユニット36を、上下スライド溝62と左右スライド溝64に沿って、移動させる。
【0027】
エアコントローラ70は、エア圧縮機と真空ポンプなどを有し、エアパイプ72を介して、吸着パッド32からエアを吸引させ、撓み用エアノズル42と離隔用エアノズル52からエアを噴出させる。また、1枚目のウェハ11の剛性、即ち、曲げや反りやねじれなどに対して破壊に耐えうる強度により、エアの圧力を制御する。エアコントローラ70は、置き台20に設けられている。エアコントローラ70の一部が、ピックユニット36に設けられていてもよい。
【0028】
昇降機構80は、ピストンシリンダなどを有し、上昇機構と下降機構とを備えている。昇降機構80の昇降により、置き台20に対して、ウェハ10を上下させる。昇降機構80の上昇機構は、ウェハ10を上昇させ保持機構30の機能を果たす。昇降機構80の下降機構は、ウェハ10を下降させ離隔機構50の機能を果たす。
【0029】
制御部90には、置き台20に収納された中央処理装置(CPU)、メモリ、プログラムなどの電子計算機処理が可能なハードウエア・ソフトウエアがある。また、制御部90は、置き台20に設けられており、操作卓や表示画面を備え、操作者に対して、キー入力操作や画面表示などのインターフェース提供している。制御部90からは、搬出機構60、エアコントローラ70、昇降機構80に対して制御信号92、94、96が出力され、センサ34からセンサ信号98が入力され、保持機構30、湾曲機構40、離隔機構50の動作を制御する。エアコントローラ70のエアの吸引力や噴出力は、操作者からのキー入力操作により設定あるいは変更される。
【0030】
以下、図2と図3を用いて、ウェハ取得装置100の動作を詳細に説明する。
以下に述べる動作は、すべて、制御部90で動作するCPUとプログラムから出力された制御信号92,94,96により行われるものである。
【0031】
**保持工程(S1、S2、S3)
*パッド下降工程S1
吸着パッド32が所定の吸着位置になるまで、搬出機構60がピックユニット36を上下スライド溝62に沿って下降させる。
*ウェハ上昇工程S2
制御部90が、複数のウェハ10を重ねたまま、1枚目のウェハ11をセンサ34が検出できるまで、昇降機構80を上昇させる。1枚目のウェハ11をセンサ34が検出する位置は、吸着位置であり、吸着位置は、吸着パッド32が1枚目のウェハ11を吸着することができる位置である。吸着位置で、1枚目のウェハ11と吸着パッド32がほぼ接することになる。吸着位置で、吸着パッド32が1枚目のウェハ11と衝突しないようにするためにセンサ34で1枚目のウェハ11の上昇位置を監視する。
【0032】
*1枚目のウェハ吸着工程S3
エアコントローラ70が4本の吸着パッド32の吸引を同時に開始し、4本の吸着パッド32が、1枚目のウェハ11の周辺部を吸着して、1枚目のウェハ11を吸着位置に保持する。
【0033】
**離隔工程(S4、S5)
*2枚目以下のウェハ下降工程S4
吸着パッド32が1枚目のウェハ11を保持してから、制御部90が、昇降機構80を下降させ、1枚目のウェハ11から2枚目以下のウェハを重力により下方に離隔させる。
*横エアブロー工程S5
制御部90が昇降機構80を下降させると同時に、制御部90が、エアコントローラ70により、1枚目のウェハ11と2枚目のウェハとの間に、離隔用エアノズル52でエアを噴き込む。
【0034】
**湾曲工程(S6、S7)
*上エアブロー工程S6
吸着パッド32が1枚目のウェハ11を保持してから、制御部90が昇降機構80を下降させると同時あるいはその直後に、制御部90が、エアコントローラ70により撓み用エアノズル42のエア噴出を開始する。撓み用エアノズル42からは360度方向にエアが噴出する。1枚目のウェハ11の表面中央において下方にエア圧力がかかるので、1枚目のウェハ11の中央が下方に押し下げられ、1枚目のウェハ11が球面状にたわみ、1枚目のウェハ11の断面が弧状あるいは弓状を呈するように、1枚目のウェハ11が湾曲する。
その際、2枚目以下のウェハが重力により下方に離れていくので、1枚目のウェハ11と2枚目のウェハ12の間に隙間が発生し、1枚目のウェハ11の中央部は下方に湾曲することができる。逆に、1枚目のウェハ11の中央部が下方に下がるので、2枚目のウェハ12を下方におすことになり、2枚目のウェハ12が下方に離れていくのを促進する。
1枚目のウェハ11の中央部が下方に湾曲すれば、吸着パッド32を支点として、1枚目のウェハ11の周囲が上方に持ちあがり、1枚目のウェハ11の縁側部分は1枚目のウェハ11の中央部分に比べて2枚目のウェハ12と離れることになる。こうして、1枚目のウェハ11と2枚目のウェハ12との間に、離隔用エアノズル52からのエアが容易に吹き込まれ離隔作用が増進される。
離隔用エアノズル52からのエアが1枚目のウェハ11と2枚目のウェハ12との間に、吹き込まれ始めたら、制御部90が、エアコントローラ70による撓み用エアノズル42からのエアの噴出を、すぐに終了する。撓み用エアノズル42からのエアの噴出が終了すれば、1枚目のウェハ11は剛性・弾力により元の平板に復元する。この復元により、1枚目のウェハ11の中央部が上昇して、1枚目のウェハ11と2枚目のウェハ12との間にエアが積極的に吸引される。
エアコントローラ70による離隔用エアノズル52からのエアの噴出は、2枚目のウェハ12の下降により1枚目のウェハ11と2枚目のウェハ12とが所定の距離だけ離れた後に終了する。
【0035】
**搬出工程(S7)
*パッド上昇工程S7
制御部90が、搬出機構60によりピックユニット36を上下スライド溝62に沿って上昇させる。一緒に、吸着パッド32に保持された1枚目のウェハ11も上昇する。搬出機構60は、ピックユニット36を左右スライド溝64に沿って搬出する。搬出後に、制御部90がエアコントローラ70による吸着パッド32の吸着を終了させて、1枚目のウェハ11を吸着パッド32からリリースする。
【0036】
制御部90による動作開始タイミングは以下の通り、同時刻である。
吸着パッド32の吸着開始時刻
=撓み用エアノズル42の噴射開始時刻
=離隔用エアノズル52の噴射開始時刻
なお、1枚目のウェハ11の上面のゴミを吹き払うために、撓み用エアノズル42の噴射開始時刻を吸着パッド32の吸着開始時刻の前にしてもよい。1枚目のウェハ11の表面がきれいになるので、吸着パッド32が1枚目のウェハ11を確実に吸着することができる。
【0037】
制御部90による動作終了タイミングは以下の通り、差がある。
撓み用エアノズル42の噴射終了時刻
<離隔用エアノズル52の噴射終了時刻
<吸着パッド32の吸着終了時刻
【0038】
実施の形態2.
図4は、実施の形態2のウェハ取得装置100の動作説明図である。
【0039】
(a)に示すように、撓み用エアノズル42からエアを吸引して、1枚目のウェハ11の中央を上方に持ち上げてもよい。この場合には、1枚目のウェハ11の中央部が上昇するので、1枚目のウェハ11と2枚目のウェハ12との間にエアが積極的に吸引される。
【0040】
(b)に示すように、吸着パッド32を1個だけ、中央に配置して、4個の撓み用エアノズル42を1枚目のウェハ11の4角に配置して、1枚目のウェハ11のコーナーを下方に反らせてもよい。撓み用エアノズル42は、離隔用エアノズル52の近傍にあることが望ましい。
【0041】
(c)に示すように、吸着パッド32を1個だけ、中央に配置して、4個の撓み用エアノズル42を1枚目のウェハ11の4角に配置して、1枚目のウェハ11のコーナーを上方に反らせてもよい。撓み用エアノズル42は、離隔用エアノズル52の近傍にあることが望ましい。
【0042】
実施の形態3.
図5に示すように、撓み用エアノズル42の噴射口を所定の方向に切り裂いて、エアを180度(直線)方向に噴き出してもよい。この場合、1枚目のウェハ11の180度(直線)方向と直交する方向の断面が弧状・弓状になりやすい。360度方向にエアを噴くよりも1枚目のウェハ11が弧状・弓状になりやすく、1枚目のウェハ11の両側から離隔用エアノズル52によりエアを噴き込み易い。
【0043】
実施の形態4.
以下、主として実施の形態1〜3の相違部分について説明する。
【0044】
エア(空気)の代わりに、撓み用エアノズル42から窒素ガスや二酸化炭素ガスなどの気体を噴出してもよい。また、水中にある場合や洗浄中の場合は、撓み用エアノズル42から水や洗浄液を噴出してもよい。撓み用エアノズル42からは、気体や液体などの流体が噴出できればよい。
湾曲機構40は、撓み用エアノズル42の代わりに1枚目のウェハ11に上から下への正の圧力または下から上への負の圧力をかけることができるものであればよい。湾曲機構40は、1枚目のウェハ11の表面に気体や液体などの流体を吹き付けることにより、あるいは、1枚目のウェハ11の表面から気体や液体などの流体を吸引することにより、1枚目のウェハ11の表面の流体を流動させて1枚目のウェハ11を湾曲させることができればよい。
【0045】
吸着パッド32の代わりに、磁石や電磁石や粘着剤などの吸着材や吸着具を用いてもよい。
吸着パッド32は、エアの吸引により吸着するものではなく、単にウェハに押し付けられることにより真空吸着する椀状のパッドでも構わない。
【0046】
離隔用エアノズル52は、離隔を補助するものであり、2枚目のウェハ12以下が自重により降下するのであれば、離隔用エアノズル52はなくてもよい。
【0047】
吸着パッド32、センサ34、撓み用エアノズル42、離隔用エアノズル52の数と位置とは、ウェハ10のサイズと厚さと重さと剛性・弾力性とに応じて適宜変更して用いればよい。
【符号の説明】
【0048】
10 ウェハ、11 1枚目のウェハ、12 2枚目のウェハ、20 置き台、24 テーブル、26 ウェハラック、30 保持機構、32 吸着パッド、34 センサ、36 ピックユニット、40 湾曲機構、42 撓み用エアノズル、50 離隔機構、52 離隔用エアノズル、60 搬出機構、62 上下スライド溝、64 左右スライド溝、70 エアコントローラ、72 エアパイプ、80 昇降機構、82 制御信号、90 制御部、100 ウェハ取得装置。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
剛性のある複数の板を重ねて載せる置き台と、
置き台に重ねて載せた複数の板のうち1枚目の板を保持する保持機構と、
保持機構が1枚目の板を保持してから、1枚目の板から2枚目以下の板を離隔させる離隔機構と、
離隔機構が1枚目の板から2枚目以下の板を離隔させる場合に、1枚目の板の表面の流体を流動させて1枚目の板を湾曲させる湾曲機構と
を備えたことを特徴とする板取得装置。
【請求項2】
上記保持機構は、1枚目の板の上面を吸着する吸着パッドを有し、
上記湾曲機構は、1枚目の板の上面の一部に対するエアの噴射または吸引により1枚目の板をたわませる撓み用エアノズルを有することを特徴とする請求項1記載の板取得装置。
【請求項3】
上記置き台は、複数の板を重ねたまま上昇させ、保持機構が1枚目の板を保持した場合に、2枚目以下の板を下降させる昇降機構を有し、
上記離隔機構は、1枚目の板と2枚目の板との間にエアを噴き込む離隔用エアノズルを備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の板取得装置。
【請求項4】
剛性のある複数の板を重ねて載せた置き台から1枚目の板を保持する保持工程と、
保持工程が1枚目の板を保持してから、1枚目の板から2枚目以下の板を離隔させる離隔工程と、
離隔工程により1枚目の板から2枚目以下の板を離隔させる場合に、1枚目の板の表面の流体を流動させて1枚目の板を湾曲させる湾曲工程と
を備えたことを特徴とする板取得方法。
【請求項5】
上記保持工程は、複数の板を重ねたまま上昇させ、1枚目の板の周辺部を複数の吸着パッドで吸着し、
上記離隔工程は、1枚目の板と2枚目の板との間に、離隔用エアノズルでエアを噴き込むとともに、2枚目以下の板を下降させ、
上記湾曲工程は、撓み用エアノズルにより、エアの噴射または吸引を行って1枚目の板をたわませる
ことを特徴とする請求項4記載の板取得方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−168138(P2010−168138A)
【公開日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−10239(P2009−10239)
【出願日】平成21年1月20日(2009.1.20)
【出願人】(593039856)マイクロ・テック株式会社 (21)
【Fターム(参考)】