説明

架橋超高分子量ポリエチレン(UHMW−PE)

α−トコフェロールによって安定化された、架橋超高分子量ポリエチレン(UHMW−PE)が開示されている。このようなUHMW−PEは、架橋超高分子量ポリエチレンにα−トコフェロールを拡散させることにより得られる。α−トコフェロールを含む上記UHMW−PEでできた成形体は、酸化に対する耐性が高い。したがって、上記成形体は、特に人工骨頭に適している。

【発明の詳細な説明】
【発明の詳細な説明】
【0001】
〔架橋超高分子量ポリエチレン(UHMW−PE)〕
本発明は、新規な架橋超高分子量ポリエチレン(UHMW−PE)に関する。さらに、本発明は、UHMW−PEでできた成形体、および、UHMW−PEを得る方法に関する。
【0002】
世界中で使用されている股および膝の人工骨頭の約70%は、UHMW−PEでできたスライド面を有している。これらの人工骨頭は、30年以上、臨床で効果的に使用されているが、これらの人工骨頭の寿命は、多くの場合、10〜15年に制限されている。寿命が制限されている理由は、人体において、UHMW−PEが酸化されて破損されるメカニズムである。この破損メカニズムにより、PE磨耗が劇的に増加する可能性があり、補填物の周囲に炎症が起こる。その結果、多くの場合は、高価な補正手術が必要となる。
【0003】
広範囲の研究(C. Wolf et al., J. Mat. Sci. : Mat. in Med. 13 (2002), 185-189 ; C. Wolf et al., J. Mat. Sci. : Mat. in Med. 13 (2002),701-705))により、酸化によるUHMW−PEスライド面の破損は、天然の抗酸化剤α−トコフェロール(ビタミンE)を添加することにより、著しく遅延され、その結果、この種の人工骨頭の寿命が因数2.5だけ延びることが期待できる、ということが分かった。
【0004】
EP0995449Aに、液体中に溶けた、または、分散されたビタミンEを粉末状の原料物質(Ausgangsmaterial)上に堆積することによりドープされるUHMW−ポリエチレンが記載されている。
【0005】
WO00/49079Aでは、α−トコフェロールのような抗酸化剤によってドープされたUHMW−PEが、以下のように製造される。すなわち、超臨界混合物を形成するために、超臨界液体条件下で、温度および圧力を上げて、ポリエチレン粒子を、抗酸化剤およびCOに混合し、その後、これを膨張させることによりCOを蒸発させることによって製造される。
【0006】
上記方法の双方では、ドープされたUHMW−PEは、続いて、押出成形、加圧成形などによって、さらなる加工(Bearbeitung)のための棒およびブロックに成形される。
【0007】
最近では、放射線架橋された(strahlenvernetztem)UHMW−PEは、人工骨頭のスライド面用のさらなる原料(Werkstoff)として重要となってきている。高エネルギー放射線による処置(Behandlung)によって、UHMW−PEの磨耗特性を著しく改善できる。照射過程(Bestrahlungsvorgang)に続いて、特別なアニール工程(Temperschritt)が行われる。アニール工程は、照射によって生じるフリーラジカルをさらに架橋および飽和(Absaettigung)する。フリーラジカルを酸化の開始点とするので、その結果、材料(Materials)の酸化耐性が高まる。しかしながら、架橋されたUHMW−PEの化学的な構造について考察すると、架橋されたUHMW−PEは、従来使用されている標準的なUHMW−PEと化学的にはほぼ同じであることが分かる(ただし、架橋されたUHMW−PEは、主鎖の第2次C原子よりもよりもいっそう酸化されやすい第3次C原子を架橋点として有している)。したがって、α−トコフェロールを添加して、架橋されたUHMW−PEの酸化耐性を著しく高めることが好ましい。
【0008】
従来のUHMW−PEとは異なり、放射線架橋されたPEでは、実際の処理(Verarbeitung)の前にα−トコフェロールをPE粉末に混合できない。なぜなら、α−トコフェロールは、照射過程およびアニールプロセス(Temperprozesses)中に架橋を妨げ、それ自身が大量に分解するからである。
【0009】
本発明の目的は、酸化耐性の高められた、すなわち、安定化された架橋超高分子量ポリエチレンを提供することである。これによって、特に人工骨頭として形成されているUHMW−PEでできた成形体の寿命を延ばすことができる。さらに、本発明の目的は、本発明のUHMW−PEを得られる方法を提供することである。
【0010】
第1の目的は、α−トコフェロールを安定剤として含む架橋超高分子量ポリエチレンによって本発明に基づいて解決される。
【0011】
α−トコフェロールを含むUHMW−PEを得られる本発明の方法は、α−トコフェロールを架橋超高分子量ポリエチレンに拡散させることを特徴とする。
【0012】
α−トコフェロールはポリエチレンの架橋を妨げ、α−トコフェロール自身が分解するのでUHMW−PEへのα−トコフェロールの導入(Einbringung)は、照射された半製品または完成された最終品の製造工程後にしか行えない。拡散の物理的な輸送現象は、α−トコフェロールを架橋UHMW−PEに導入するために、目的を絞って行えることが分かった。この場合、α−トコフェロールの濃度は、プロセスパラメータ(温度、拡散時間)の変化によって影響される。
【0013】
本方法の好ましい実施形態では、上記α−トコフェロールの上記ポリエチレンへの拡散を、不活性ガス雰囲気下で行う。
【0014】
上記α−トコフェロールの上記ポリエチレンへの拡散を、100℃から200℃までの範囲の温度で行うことが好ましい。
【0015】
不活性ガス雰囲気下での、上記α−トコフェロールの上記ポリエチレンへの拡散の後、上記ポリエチレンをアニールすることが好ましい。その結果、まず架橋UHMW−PEのほぼ周辺および表面領域にだけ吸収および拡散によって導入されたα−トコフェロールが、上記ポリエチレンに均等に分散する。
【0016】
上記ポリエチレンのアニールは、160℃から200℃までの範囲の温度で行うことが好ましい。
【0017】
本発明の好ましい実施形態では、α−トコフェロールを、130℃で60分間、上記ポリエチレンへ拡散し、続いて、このポリエチレンを、200℃で24時間アニールする。
【0018】
さらに、本発明の架橋超高分子量ポリエチレンは、α−トコフェロールを超臨界COの存在下で上記ポリエチレンに拡散させることによって得られる。
【0019】
COは、比較的簡単に超臨界状態に移行し、分子寸法が小さいので、ポリマーに迅速に拡散する。さらに、COは、毒性がなく、不可燃性であり、環境にやさしく、価格効率が良い。ビタミンEは、以下の相関(W. Chrastil, J. Phys. Chem. 86 (15), 1982, 3016-3021)によれば、超臨界COに溶ける。
【0020】
c=d8.231・e(−17353.5/T+0.646)
ただし、cはCO中のα−トコフェロールの濃度[g/l]であり、d[g/l]はCOの密度であり、TはKで表される温度である。
【0021】
α−トコフェロールの上記ポリエチレンへの拡散は、100℃から180℃までの範囲の温度で行うことが好ましい。
【0022】
α−トコフェロールの上記ポリエチレンへの拡散は、150barから300barまでの範囲の圧力で行うことが好ましい。
【0023】
α−トコフェロールの上記ポリエチレンへの拡散の間に調節された温度は、UHMW−PEの構造的変化を防止するため、膨張過程の間維持しておくことが好ましい。
【0024】
他の観点では、本発明は、本発明のUHMW−PEでできた成形体、特に、人工骨頭として形成された成形体に関する。
【0025】
以下で、実施例および図1〜9を参照して本発明をさらに詳しく説明する。図5は、本発明の成形体の酸化特性を示す。図1〜4および図6〜9は、それぞれ、本発明の成形体の断面上にプロットしたα−トコフェロールの濃度を示すグラフである。
【0026】
〔材料および一般的測定方法〕
アッセイで使用した、照射されたUHMW−PEは、センターパルス(Centerpulse)社、ヴィンタートゥーア、スイスのDurasul(登録商標)である。検体(Probekoerper)用の形状として、1辺の長さが20mmの立方体を選択した。
【0027】
α−トコフェロールの分散を決定するために、実験後、立方体を中央で切断し、切断面から、マイクロトーム切断機を用いて、約200μmの厚みを有する薄片をスライスした。次に、この薄片を、一縁辺部から他方の縁辺部への中間で(in der Mitte)、FTIR顕微鏡を用いて、300μmの測定点間隔で線スキャンした。各測定点におけるα−トコフェロール濃度を、α−トコフェロールにより引き起こされる1230〜1279cm−1でのピークの2020cm−1でのPEピークに対する比率によって決定した。この濃度は、薄片の側辺からの間隔についてグラフにプロットされており、それゆえ、濃度特性を示す。濃度表示の単位は、UHMW−PEの質量に対するα−トコフェロールの質量をパーセントで示す。さらに、実験の前後で立方体の重さを量り、α−トコフェロールの合計濃度を決定した。
【0028】
〔拡散によるα−トコフェロールの架橋UHMW−PEへの導入〕
α−トコフェロールを、簡単な上記ポリエチレンへの拡散によってDurasul立方体に導入することを試みた。このため、立方体を、オートクレーブに導入し、オートクレーブを純粋なα−トコフェロールによって満たした。続いて、不活性ガス雰囲気を生成するため、オートクレーブを10分間、窒素で洗浄した。洗浄段階の終了後、オートクレーブを閉鎖し、窒素流入部を介して約15barの圧力を調節した。オートクレーブ容器の圧力の変化は、拡散速度にほぼ影響を及ぼさなかった。複数回の実験では、主要な影響パラメータである温度および拡散時間を変化させた。
【0029】
〔結果〕
一連の実験の第1部では、最大温度を100℃に固定した。その理由は、架橋UHMW−PEは、この温度までは十分に形状が安定している、すなわち、更なる後加工工程を必要とすることなく、出来上がった最終製品にα−トコフェロールを導入できるからである。したがって、実験時間すなわち拡散時間だけを変化させた。
【0030】
選択された実験パラメータを表1に記載し、これに関連する濃度特性を図1に示す。
【0031】
【表1】

【0032】
妥当な時間内で大きすぎる浸透深度は実現されなかった(図1参照)が、まず最初に酸化の影響を受ける縁辺層では、安定剤濃度を変更することができ、酸化による分解に対する保護を形成した。この方法は、したがって、特に完成した製品に適している。
【0033】
第2の実験では、温度を上げて実験を行った。特に結晶溶解領域に到達したときに、α−トコフェロールの拡散速度と吸収量とが著しく上昇することを観察できた。
【0034】
PEの結晶領域は、α−トコフェロール用の拡散バリヤとなる。分子の移動は、ほぼ非晶質位相(amorphen Phase)以外で生じる。したがって、結晶領域の溶解によって、上昇された温度の効果を加速することに加えて、拡散速度が大幅に上がることが観察された。
【0035】
さらに、温度の上昇によって、UHMW−PEへのα−トコフェロールの溶解度がいっそう高まる。200℃では、40%w/wのα−トコフェロールを上記ポリエチレンに導入できた。しかしながら、この値は、室温では、飽和濃度(Saettigungskonzentration)を著しく上回っている。したがって、室温では、材料はα−トコフェロールで強く「過充填」されていたことになる。その結果、冷却後は、ビタミンEの外部への拡散が強まり、立方体は、非常に強く「発汗」した。
【0036】
図1および上記の実験から、温度は、縁辺濃度および飽和濃度ならびに浸透深度に著しく影響し、これに対し、拡散時間によって、まず最初に、浸透深度を調節できる、ということが分かる。
【0037】
温度の上昇は、拡散過程を、上述のように、著しく加速するが、約0.2〜最大で1%の妥当な安定剤濃度の範囲を著しく上回って、縁辺部濃度をも上昇させる。α−トコフェロールを希釈しなければ、つまり、ほかの成分を取り入れなければ、妥当な時間内および濃度領域で、簡単な拡散によって、ビタミンEを均一に拡散できない。しかしながら、補填物の原料としての使用に鑑みて、何らかの新しい成分を取り入れることは避けたほうがよい。なぜなら、このことは、必要な認可プロセスを著しく困難にする可能性があるからである。
【0038】
したがって、分散を均一にするため、拡散後、アニールプロセスを行った。このため、上述のように、まずオートクレーブ内で、サンプル(Proben)にα−トコフェロールを入れた。次に、α−トコフェロールの入ったサンプルをオートクレーブから取り出し、続いて、窒素雰囲気下で、異なる温度で、異なる間隔でフラスコに入れた。したがって、オートクレーブでは、拡散時間に応じて密度の異なる、α−トコフェロール濃度の高い縁辺層が、温度によって生成され、次に、この縁辺層は、後続のアニールプロセスで、立方体に分散される。表2および図2、3、4に、実験パラメータおよびこの実験パラメータで得られる、アニールされたサンプルの濃度を示す。
【0039】
【表2】

【0040】
さらに、アニールプロセス中に生じる材料の実際の損傷を検出するため、CO数を決定した。図5に、実験DIFF11_T200_6のPE立方体の酸化特性を示す。不活性ガスが注意深く保持されていれば、酸化による材料の損傷は検出されなかった。
【0041】
得られた結果から、パラメータすなわち拡散時間、拡散中の温度、アニールプロセスの時間および温度によって、UHMW−PE中のα−トコフェロールの濃度特性を広範囲で任意に設定できる、ということが分かる。
【0042】
図4の濃度特性DIFF10_T200_24は、例えば、UHMW−PE立方体を、約0.4%w/wの安定剤濃度でほぼ均一に浸潤したものを示す。約0.4%w/wの安定剤濃度は、多くのアプリケーションのための最適な量であると考えられる。
【0043】
〔0.4%w/wのα−トコフェロールの濃度で均一に浸潤された立方体の製造〕
オートクレーブには、冷えた状態で、α−トコフェロールを充填し、立方体を、α−トコフェロールによって完全に取り囲まれるように入れる。次に、オートクレーブを閉鎖し、15分間窒素で洗浄する。洗浄段階の終了後、15barの圧力をかけて、オートクレーブを130℃に加熱する。130℃に達したら、その温度を60分間維持し、その後、室温に冷却する。
【0044】
立方体をオートクレーブから取り出し、ガラス容器に入れる。このガラス容器を15分間窒素で洗浄する。容器を閉鎖し、200℃で24時間置く。この時間が経過したら、室温に冷却し、立方体を容器から取り出す。
【0045】
〔超臨界COを用いる、架橋されたUHMW−PEへのα−トコフェロールの導入〕
実験のために、300mlの容量を有する実験室用オートクレーブを使用した。実験室用オートクレーブは、加熱のためにオーブンに入っている。温度は、オートクレーブ外壁に取り付けられていたセンサーによって測定した。オートクレーブには、CO高圧ポンプおよび機械的な出口弁を接続した。
【0046】
UHMW−PE立方体を、検量した量のα−トコフェロールとともに、オートクレーブ中の格子枠上に入れた。続いて、オートクレーブをオーブンに入れ、ゆっくりと所望の温度に加熱した。このとき、同時にCOの圧力をかけた。所望の温度に達してから、時間を計り始めた。所望の実験時間が経過してから、膨張過程を開始した。
【0047】
膨張は、UHMW−PE成形体が「裂け」ず、結晶構造が変化しない速度および温度で行われる。
【0048】
膨張プロセスは以下のように行われた。上記実験時間が経過した後、オートクレーブをCOポンプから取り外した。このことは、冷たい二酸化炭素の更なるフローを防止する機能を果たす。利用できるのは機械的な弁だけなので、必要とされるゆっくりとした圧力低減を継続的に行うことはできなかった。したがって、圧力を、不連続に段階的に低減した。24時間の間に、圧力を、ほぼ1時間毎に、30秒間で20barだけ低減した(夜間は比較的長い間隔をあけた)。この間、温度は、常に実験温度に保たれていた。なぜなら、一方では、こうすることによって、拡散速度が上がるからである。他方では、COの濃度が高い場合に材料の結晶化による構造変化を回避するためである。温度を、膨張過程の後、ゆっくりと(約3時間の範囲内で)室温に下げた。
【0049】
出力弁を制御することにより、膨張過程が時間的に最適化される。この場合、ある程度の最低限の時間は、いずれの場合にも必要である。
【0050】
〔結果〕
従来の拡散による実験と同じように、実験温度および実験時間は、架橋UHMW−PEへのα−トコフェロールの拡散速度および浸透深度の決定に深く関与している。結晶溶解領域を上回れば、既述のように、速度が著しく上昇する。
【0051】
図6に、架橋されたUHMW−PEへのα−トコフェロールの導入に及ぼす温度の影響を示す。表3に、各実験パラメータを記載する。
【0052】
【表3】

【0053】
実験時間を変化させることにより、図7および表4に示すように、まず浸透深度が変化する。
【0054】
【表4】

【0055】
異なっているのは圧力の影響である。圧力は、COを用いてα−トコフェロールを導入する場合に重要な役割を果たす。圧力は、COの密度に影響を及ぼし、したがって、上記の式によれば、CO中のα−トコフェロールの溶解度および拡散速度に影響を及ぼす。図8から分かるように、圧力の低下により、ビタミンEの拡散の量が著しく下がる。したがって、全てのほかの実験のための圧力を、300barに保持した。表5に、図8の実験パラメータを示す。
【0056】
【表5】

【0057】
従来の拡散による導入と最も大きく異なる点は、COにα−トコフェロールを予め入れておくことにより、原料の最大濃度を調節できる点である。COは、いわゆる、希釈剤として作用する。図9(各実験パラメータを表6に示す)に、異なるα−トコフェロールを予め入れておいた実験の結果を示す。CO中のα−トコフェロール濃度が低下すると、UHMW−PE中の平均的なα−トコフェロール濃度が低下する。
【0058】
【表6】

【0059】
得られた結果から、超臨界COを用いて、架橋されたUHMW−PEに安定剤としてα−トコフェロールを導入できる、ということが分かる。4つの主要影響変数(すなわち、実験時間、圧力、温度およびCO中のα−トコフェロール濃度)を変化させることにより、UHMW−PE中のα−トコフェロールの濃度特性を広範囲に任意に調節できる。
【0060】
濃度分布の最大値は、温度によってではなく、まず、CO中に予め入れられるα−トコフェロールによって調節されるので、プロセス時間を短縮するには、高い温度およびCO圧力を使用してもよい。辺の長さが2cmのUHMW−PE立方体を均一に浸潤するには、170℃で300barのCO圧力では、依然として12時間かかる。
【0061】
膨張が速すぎると材料が破損する可能性があるので、膨張プロセスに特に注意すべきである。
【0062】
〔0.4%w/wの濃度のα−トコフェロールで均一に浸潤された立方体の製造〕
立方体を、α−トコフェロールとともに、冷えたオートクレーブに入れる。ビタミンEの量は、CO中の濃度が0.75g/lになるように検量する。その後、温度および圧力をゆっくりと(約1時間の範囲内で)それぞれ170℃および300barに上げる。170℃および300barで12時間経ったら、膨張過程を開始する。このため、170℃の定温で、圧力を24時間かけて低下させる。その後、温度を、3時間かけて室温に下げる。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明の成形体の断面上にプロットしたα−トコフェロールの濃度を示すグラフである。
【図2】本発明の成形体の断面上にプロットしたα−トコフェロールの濃度を示すグラフである。
【図3】本発明の成形体の断面上にプロットしたα−トコフェロールの濃度を示すグラフである。
【図4】本発明の成形体の断面上にプロットしたα−トコフェロールの濃度を示すグラフである。
【図5】本発明の成形体の酸化特性を示すグラフである。
【図6】本発明の成形体の断面上にプロットしたα−トコフェロールの濃度を示すグラフである。
【図7】本発明の成形体の断面上にプロットしたα−トコフェロールの濃度を示すグラフである。
【図8】本発明の成形体の断面上にプロットしたα−トコフェロールの濃度を示すグラフである。
【図9】本発明の成形体の断面上にプロットしたα−トコフェロールの濃度を示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋超高分子量ポリエチレンをα−トコフェロールによって安定化する方法であって、
上記α−トコフェロールを上記ポリエチレンに拡散させることを特徴とする方法。
【請求項2】
上記α−トコフェロールの上記ポリエチレンへの拡散を不活性ガス雰囲気下で行うことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
上記α−トコフェロールの上記ポリエチレンへの拡散を、100℃から200℃までの範囲の温度で行うことを特徴とする、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
上記ポリエチレンを、上記α−トコフェロールの上記ポリエチレンへの拡散の後、不活性ガス雰囲気下でアニールすることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
上記ポリエチレンのアニールを、160℃から200℃までの範囲の温度で行うことを特徴とする、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
上記α−トコフェロールを、130℃で60分間上記ポリエチレンに拡散し、
続いて、このポリエチレンを、200℃で24時間アニールすることを特徴とする請求項4または5に記載の方法。
【請求項7】
上記α−トコフェロールを、超臨界COの存在下で、上記ポリエチレンに拡散することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項8】
上記α−トコフェロールの上記ポリエチレンへの拡散を、100℃から180℃までの範囲の温度で行うことを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
上記α−トコフェロールの上記ポリエチレンへの拡散を、150barから300barまでの範囲の圧力で行うことを特徴とする、請求項7または8に記載の方法。
【請求項10】
上記α−トコフェロールの上記ポリエチレンへの拡散の間に調節された温度を、膨張過程の間維持することを特徴とする請求項7〜9のいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
α−トコフェロールを安定化剤として含むことを特徴とする架橋超高分子量ポリエチレン。
【請求項12】
請求項11の架橋超高分子量ポリエチレンでできた成形体。
【請求項13】
人工骨頭として形成された請求項12に記載の成形体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2007−500773(P2007−500773A)
【公表日】平成19年1月18日(2007.1.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−529416(P2006−529416)
【出願日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【国際出願番号】PCT/AT2004/000133
【国際公開番号】WO2004/101009
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(505430078)
【Fターム(参考)】