説明

核酸を鋳型とする化学による生物学的検出のための組成物および方法

本発明は、一部において、核酸を鋳型とする化学が、複数の生物学的標的の同時検出において適用できるという発見に基づく。本発明は、一部において、ポリメチン色素が、核酸を鋳型とする化学によって合成することができるという発見に基づく。本発明のアッセイは、体外、原位置、または体内において行うことができる。本発明は、核酸を鋳型とする化学、例えば、蛍光ポリメチン色素を生成することによる生物学的標的(例えば、核酸およびタンパク質)の検出のための組成物および方法を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願
本出願は、2006年9月28日出願の米国特許出願第60/847,859号、2007年3月7日出願の同第60/905,364号、および2007年3月14日出願の同第60/918,023号、および米国受理官庁における2007年9月18日出願のLandsmanらによる、「Receptor Family Profiling」という名称のPCT国際出願第PCT/US07/ 号の利点および優先権を主張するものであり、参照することにより、各特許出願の開示の全体は、あらゆる目的のために本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、概して、生物学的検出および診断法におけるプローブおよびその使用に関する。より具体的には、本発明は、核酸を鋳型とする化学(例えば、核酸またはタンパク質の多重検出における所望の蛍光、化学発光もしくは発色特性を有する化合物の合成)を使用する生物学的検出のための組成物および方法に関する。
【背景技術】
【0003】
蛍光および着色化合物は、生体分子の存在、不在、状態、量、および組成を検出するために、生物学的研究および医学の分野において使用されている。蛍光および着色化合物を使用するアッセイは、体外、原位置、もしくは体内において行うことができる。DNAおよびRNAの検出のための一般的に使用される体外アッセイの例としては、リアルタイムおよびエンドポイントポリメラーゼ連鎖反応(PCR)、DNA基配列決定法、およびDNAミクロアレイ技術が挙げられる。
【0004】
近年、多検体の検出方法に関して公開された文献の量が増加しているが、それらのほとんどは遺伝分析に関与し、タンパク質検出に関するものもある。例えば、特許文献1を参照
【0005】
診断および分子生物学研究に使用される典型的核酸検出方法では、対象遺伝子に相補的な同義遺伝子プローブは、分光的、電気化学的、生化学的もしくは免疫化学的手段によって検出することができる小分子で標識される。PCRは、概して、標的化遺伝子配列の増幅のために組み込まれる。多検体を検出するためには、すぐに利用可能な蛍光色素により、蛍光ベースの技術がしばしば使用されている。例えば、プライマーは、異なる蛍光色素で標識され、蛍光の変化は、それらの相補体とのハイブリタイゼーションの後、モニタされる(例えば、特許文献2)。他の場合は、多重検出は、DNA制限断片分析、および周波数領域蛍光寿命検出方法によるキャピラリー電気泳動において、挿入色素を標識として使用することによって行われる(非特許文献1)。これらの方法では、あらかじめ標識された蛍光色素を使用するため、検出感度は、標的結合および非結合蛍光標識プローブの分離に大きく依存する。標的遺伝子の固相固定化(例えば、蛍光の原位置でのハイブリタイゼーション)は、単に非結合蛍光標識プローブを洗浄することによって分離効率を改善することができるが、これによって、余分な工程が増える。しかしながら、潜在的背景は依然として高く、手順は困難である可能性がある。この問題に対処するためには、蛍光シグナルが、ハイブリタイゼーションの後のみに生じるように、非蛍光ラベル部分を、プローブに付着することができる。近年、DNAプログラム化学の発展により、原位置での蛍光色素の生成に対する新規の手法がもたらされた。例えば、非特許文献2;特許文献3を参照
【0006】
ポリメチン色素は、その優れた蛍光および光化学特性のために、色素レーザ、写真増感剤、および蛍光プローブとして広く使用されている。しかしながら、ポリメチン色素は、概して、無水条件下での酸/塩基触媒縮合によって合成されるが、核酸を鋳型とする化学と同等ではない(非特許文献3)。近年、文献は、ルイス酸(非特許文献4)およびエナミンベースの有機触媒(非特許文献5)を使用した水における改善されたアルドール縮合を報告した。しかしながら、アルデヒドで縮合するために使用されるポリメチン前駆体(活性水素成分)の第四級塩は、従来のアルドール縮合における前駆体(アルデヒドのアルファ炭素)とは本質的に異なる。
【0007】
そのため、上述の生物学的検出方法に内在する欠点の多くに対処する新しい蛍光および測色技術の必要性が存在する。例えば、核酸を鋳型とする化学による、検出不能な前駆体からのポリメチン色素合成の方法、およびそのような化学の生物学的検出への適応の必要性が存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】米国特許第6,890,741号明細書
【特許文献2】国際公開第2002/057479号パンフレット
【特許文献3】米国特許第7,070,928号明細書
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Mclntosh,et al.,Electrophoresis,2002,23,1473−1479
【非特許文献2】Li,X.;Liu,D.R.Angew.Chem.Int.Ed.2004,43,4848−4870
【非特許文献3】Jedrzejewska,et al.Dyes and Pigments 2003,58,47−58
【非特許文献4】Kobayashi,et al.,J.Am.Chem.Soc.1998,120,8287−8288
【非特許文献5】Mase,et al.J.Am.Chem.Soc.2006,128,734−735
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、一部において、核酸を鋳型とする化学が、複数の生物学的標的の同時検出において適用できるという発見に基づく。本発明は、一部において、ポリメチン色素が、核酸を鋳型とする化学によって合成することができるという発見に基づく。本発明のアッセイは、体外、原位置、または体内において行うことができる。
【0011】
一態様において、本発明は、有機触媒の存在下で水性条件においてアルデヒドと活性水素成分との間でアルドール縮合を行うステップを含む、ポリメチン色素を作製するための方法に関する。
【0012】
一部の実施形態において、縮合反応は以下のものであり、
【0013】
【化1】

【0014】
式中、
Z’=O、S、Se、P、NH、NR、C(CHであり、Rはアルキル基であり、
n=0、1、2...であり、
R=H、アルキルであり、
R’’=H、アルキル、アルキルカルボン酸であり、
R’=PhまたはN−複素環、H、アルキル、SOH、OH、CN、Cl、Br、NO、NH、N(R)、ORであり、Rはアルキル基であり、
有機触媒は、第二級アミン、第一級アミン、二官能性アミン−酸触媒、またはジアミンである。第二級アミンは、例えば、ピロリジン、ピペリジン、ノルニコチン、またはその類似体であり得る。第一級アミンは、例えば、3つ未満のアミノ酸単位を有するバリンまたはペプチドであってもよい。二官能性アミン−酸触媒は、例えば、ピロリジン/AcOHであり得る。ジアミン触媒は、例えば、N1,N1−ジメチルエタン−1,2−ジアミン、プロパン−1,2−ジアミン、1−(2−アミノエチル)−ピペリジン、またはその類似体であり得る。
【0015】
他の態様では、本発明は、概して、例えば、本明細書で開示される方法によって調製される(I)、(II)、または(III)の化学構造を有するヘミシアニン色素に関し、
【0016】
【化2】

【0017】
式中、
Z’=O、S、Se、P、NH、NR、C(CHであり、Rはアルキル基であり、
n=0、1、2...であり、
R=H、アルキルであり、
R’’=H、アルキル、アルキルカルボン酸であり、
R’=PHまたはN−複素環、H、アルキル、SOH、OH、CN、Cl、Br、NO、NH、N(R)、ORであり、Rはアルキル基である。
【0018】
【化3】

【0019】
さらに他の態様では、本発明は、概して、IVもしくはVの化学構造を有するアルデヒドに関し、
【0020】
【化4】

【0021】
【化5】

【0022】
さらに他の態様では、本発明は、概して、VIもしくはVIIの化学構造を有する第四級塩に関し、
【0023】
【化6】

【0024】
さらに他の態様では、本発明は、概して、以下の化学構造を有する第四級塩−核酸抱合体に関し、
【0025】
【化7】

【0026】
n=0から16であり、
Z1=O、S、Se、P、NH、NR、C(CHであり、Rは、アルキル基であり、
R=任意の置換ベンジルもしくは高縮合ベンジル環、H、アルキル、SOH、OH、CN、Cl、Br、NO、NH、N(R、ORであり、Rは、アルキル基であり、
=ベンゼンまたは任意のN−複素環である。
【0027】
さらに他の態様では、本発明は、概して、以下の化学構造を有するアルデヒド−核酸抱合体に関し、
【0028】
【化8】

【0029】
式中、
n1=1、2、3、4、5であり、
n2=0から16であり、
R1=H、アルキルであり、
=PhまたはN−複素環、H、アルキル、SOH、OH、CN、Cl、Br、NO、NH、N(R、ORであり、Rは、アルキル基である。
【0030】
さらに他の態様では、本発明は、概して、以下の化学構造を有するヘミシアニン色素−核酸抱合体に関し、
【0031】
【化9】

【0032】
さらに他の態様では、本発明は、概して、本明細書で開示されるヘミシアニンを作製するために、本明細書で開示されるアルデヒドと第四級塩との間で核酸を鋳型とする反応を行うステップを含む、ヘミシアニン−核酸抱合体を作製することに関する。
【0033】
一部の実施形態において、核酸を鋳型とする反応は、螺旋構造の端部にある。一部の他の実施形態において、核酸を鋳型とする反応は、螺旋構造の中部にある。
【0034】
さらに他の態様では、本発明は、概して、所望の蛍光特性を有する色素を選択するための方法に関する。該方法は、(a)核酸を鋳型とする合成を介してオリゴヌクレオチドコード化色素のライブラリを調製するステップと、(b)オリゴヌクレオチドコード化色素を、固体支持体上で固定化された空間的に整列した相補的オリゴヌクレオチドプローブとハイブリタイズするステップと、(c)固体支持体上で直接オリゴヌクレオチドコード化色素の吸収および蛍光特性を測定するステップと、(d)固定化された相補的オリゴヌクレオチドプローブの位置に基づいて、所望の蛍光特性を有する色素をコード化するオリゴヌクレオチドを特定するステップと、(e)所望の蛍光特性を有する色素の化学構造を特定し、特徴付けるステップと、を含む。
【0035】
さらに他の態様では、本発明は、概して、複数の標的ヌクレオチド配列を検出する方法に関する。該方法は、(a)多数のプローブ対を提供するステップであって、その数は、標的ヌクレオチド配列と同じ数であり、各プローブ対は、(1)(i)第1のオリゴヌクレオチド配列、および(ii)第1のオリゴヌクレオチド配列と連結した第1の反応基を含む第1のプローブと、(2)(i)第2のオリゴヌクレオチド配列、および(ii)第2のオリゴヌクレオチド配列と連結した第2の反応基を含む、対応する第2のプローブと、を含み、第1のオリゴヌクレオチド配列および第2のオリゴヌクレオチド配列は、対応する標的ヌクレオチド配列の2つの個別の領域に相補的である、ステップと、(b)プローブ対を、サンプルに存在する場合、第1のプローブおよび第2のプローブが標的ヌクレオチド配列のそれらのそれぞれの相補的領域とハイブリタイズするという条件の下、標的ヌクレオチド配列の存在について検査されるサンプルと組み合わせることによって、第1の反応基および対応する第2の反応基を反応するように近接させるステップと、(c)第1の反応基と対応する第2の反応基との間の1つ以上の反応を検出することによって、標的ヌクレオチド配列の存在を判定するステップと、を含む。
【0036】
標的ヌクレオチド配列の数は、約2から約20、例えば、2から6であり得る。標的ヌクレオチド配列は、液相であり得る。標的ヌクレオチド配列は、固体支持体に付着し得る。一部の実施形態において、第1の反応基と対応する第2の反応基との間の1つ以上の反応は、検出され得る蛍光化合物を生成する。一部の実施形態において、第1の反応基と対応する第2の反応基との間の1つ以上の反応によって、検出され得る化学発光化合物が生成される。
【0037】
第1の反応基と対応する第2の反応基との間の1つ以上の反応は、例えば、アルドール縮合反応を含み得る。第1の反応基と対応する第2の反応基との間の1つ以上の反応は、ウィッティヒ反応を含み得る。
【0038】
本発明は、本明細書に記載されるプローブの1つ、2つ、もしくはそれ以上を提供するキットを包含する。より具体的には、本発明は、生物学的標的の存在を検出するための方法として、検出可能なシグナルの生成のために核酸を鋳型とする化学を使用するプローブの1つ、2つ、もしくはそれ以上を提供するキットを包含する。
【0039】
本発明の前述の態様および実施形態は、以下の図面、発明を実施するための形態、および特許請求の範囲を参照することにより、さらに十分に理解することができる。
【0040】
定義
本明細書で使用される「DNAプログラム化学」または「DPC」という用語は、核酸を鋳型とする化学、例えば、(1)関連反応基を有する1つ以上の鋳型を提供すること、(2)鋳型とのハイブリタイゼーションを可能にする条件の下で、アンチコドン(例えば、1つ以上の鋳型を有する相補的配列)を有する1つ以上の転移基(試薬)および反応基を接触させること、および(3)生成物を得るための反応基の反応、によって行われる、特定の生成物を得るための化学反応体の配列特異的制御を指す。例えば、一段階の核酸を鋳型とする反応では、「鋳型」および「相補的」オリゴヌクレオチドのハイブリタイゼーションによって、反応基が結び付き、その後、所望の生成物をもたらす化学反応が生じる。反応物および生成物の構造は、鋳型および転移基オリゴヌクレオチドを含有する核酸のそれらと関連しなくてもよい。例えば、それらは全て、それらの存在において参照することにより本明細書に明確に取り込まれる、Liuらによる、米国特許第7,070,928号および米国特許公報第2004/0180412A1号、Gartner,et al.,2004,Science,vol.305,pp.1601−1605;Doyon,et al.,2003,JACS,vol.125,pp.12372−12373を参照。また、2006年5月3日出願のPCT国際特許出願第PCT/US06/16999号、Coullらによる、「Turn Over Probes and Use Thereof」、および2006年5月26日出願の米国特許出願第11/441,804号、Coull et al.による、「Biodetection by Nucleic Acid−Templated Chemistry」を参照。
【0041】
本明細書で使用される「核酸」、「オリゴヌクレオチド」(単に「オリゴ」と言及される場合もある)または「ポリヌクレオチド」という用語は、ヌクレオチドのポリマーを指す。ポリマーは、天然ヌクレオシド(すなわち、アデノシン、チミジン、グアノシン、シチジン、ウリジン、デオキシアデノシン、デオキシチミジン、デオキシグアノシン、およびデオキシシチジン)、ヌクレオシド類似体(例えば、2−アミノアデノシン、2−チオチミジン、イノシン、ピロロ−ピリミジン、3−メチルアデノシン、5−メチルシチジン、C5−ブロモウリジン、C5−フルオロウリジン、C5−ヨードウリジン、C5−プロピニル−ウリジン、C5−プロピニル−シチジン、C5−メチルシチジン、7−デアザアデノシン、7−デアザグアノシン、8−オキソアデノシン、8−オキソグアノシン、O(6)−メチルグアニン、および2−チオシチジン)、化学修飾塩基、生物学的修飾塩基(例えば、メチル化塩基)、挿入塩基、修飾糖類(例えば、2’−フルオロリボース、リボース、2’−デオキシリボース、アラビノース、およびヘキソース)、または修飾リン酸基(例えば、ホスホロチオエートおよび5’−N−ホスホラミダイト連結)を含み得る。核酸およびオリゴヌクレオチドは、固定核酸(LNA)、ペプチド核酸(PNA)、トレオース核酸(TNA)等の、修飾骨格を有する塩基の他のポリマーも含み得るが、これらに限定されない。
【0042】
本説明全体にわたって、組成物が特定の成分を有する、含む、もしくは含有すると記載される、または工程が特定の工程ステップを有する、含む、もしくは含有すると記載される場合、本発明の組成物が、記載される成分で本質的に構成される、もしくは記載される成分で構成もされ、本発明の工程が、記載される工程ステップで本質的に構成され、もしくは記載される工程ステップで構成もされることを意図する。さらに、ステップの順序またはある動作を行うための順序は、本発明が使用可能である限り重要ではないことを理解されるべきである。また、2つ以上のステップまたは動作は、同時に行われ得る。
【図面の簡単な説明】
【0043】
本発明は、以下の図面によってさらに理解することができる。
【図1】ポリメチン、シアニン、およびヘミシアニン色素の一般化学構造を示す図である。
【図2】重合化に有用なヘミシアニン色素、およびそれらのアルデヒドおよび第四級塩前駆体の一般化学構造を示す図である。
【図3】4重ヘミシアニン−DNA染色システムの化学構造、およびそれらの分光特性を示す図である。
【図4】多検体に対する液相ベースのDPC蛍光アッセイの略図である。
【図5】多検体に対する固相ベースのDPC蛍光アッセイの略図である。
【図6】非ジップコード形式の構造における、多重ファミリー受容体二量体に対する免疫組織化学検査の略図である。
【図7】ジップコード形式の構造における、多重ファミリー受容体二量体に対する免疫組織化学検査の略図である。
【図8】本発明の一実施形態における生物学的標的の検出のための方法の略図である。
【図9】本発明の一実施形態における生物学的標的の検出のための方法の略図である。
【図10】濃度、温度、および単一塩基対のミスマッチの有無によって影響されるハイブリタイゼーションの例を示す図である。
【図11】ある融解曲線実験において使用される例示的なオリゴヌクレオチドを示す図である。
【図12】本発明の一実施形態における生物学的標的の検出のための方法の略図である。
【図13】本発明の一実施形態における血小板由来成長因子(PDGF)の検出のための方法の略図である。
【図14】アプタマーを標的結合部とするスプリント付き、ジップコード形式の検出システムの例示的な実施形態を示す図である。
【図15】抗体を標的結合部とするスプリント付き、ジップコード形式の検出システムの例示的な実施形態を示す図である。
【図16】抗体を標的結合部とするスプリント付き、ジップコード形式の検出システムの例示的な実施形態を示す図である。
【図17】は、DPC反応混合物(螺旋端部)の吸収および蛍光発光スペクトルを示す図である。
【図18】DPC反応混合物(螺旋端部)の吸収および蛍光発光スペクトルを示す図である。
【図19】粗DPC反応混合物のLC−MSデータを示す図である。
【図20】DPC反応生成物のLC−MSデータを示す図である。
【図21】DPC反応混合物の吸収および蛍光発光スペクトルを示す図である。
【図22】DPC反応生成物のLC−MSデータを示す図である。
【図23】DPC反応の、ある蛍光強度データを示す図である。
【図24】DPC反応の、ある蛍光強度データを示す図である。
【図25】4つのヘミシアニン色素の蛍光励起および発光スペクトルを示す図である。
【図26】4重ヘミシアニン色素生成に対して有用な例示的なDNA配列を示す図である。
【図27】螺旋中部DPC反応のからの4つのDNA抱合ヘミシアニン色素の正規化蛍光発光スペクトルを示す図である。
【図28】螺旋構造の端部における2つのDPC反応の蛍光動態解析を示す図である。
【図29】トリフェニルホスフィン(TPP)およびアジドクマリン(AzC)レポータ化学による蛍光シグナルの生成および生物学的標的検出の実施例を示す図である。
【図30】TPPおよびAzCレポータ化学を介する蛍光シグナルの生成および生物学的標的検出の実施例を示す図である。
【図31】オリゴヌクレオチド濃度のTに及ぼす影響を示す融解曲線の特定の実施例を示す図である。
【図32】アビジンの存在下および不在下におけるビオチン化オリゴヌクレオチドのDNAハイブリタイゼーション融解曲線の特定の実施例を示す図である。
【図33】アビジンとの結合時における、相補的ビオチン化オリゴのT変化の、ある例を示す図である。
【図34】オリゴヌクレオチド+/−ビオチンのTに対する、塩およびマグネシウム濃度の影響の、ある例を示す図である。
【図35】アビジン対オリゴヌクレオチドの異なる比率におけるビオチン化オリゴヌクレオチドの融解温度挙動の、ある例を示す図である。
【図36】アビジンの存在下および不在下におけるビオチン−5’(+)鎖オリゴで二重になった5’および3’(−)ビオチン−鎖オリゴの融解曲線の、ある例を示す図である。
【図37】アビジンの存在下および不在下におけるATリッチビオチン化オリゴ二量体の融解曲線の、ある例を示す図である。
【図38】本発明の一実施形態における生物学的標的の検出のための方法の略図である。
【図39】本発明の一実施形態における生物学的標的の検出に関する実験結果の例を示す図である。
【図40】図40Aは、本発明の一実施形態における生物学的標的の検出に関する実験結果(反応混合物におけるホルムアミドの影響)の例を示す図である。図40Bは、本発明の一実施形態における生物学的標的の検出に関する実験結果(反応混合物におけるホルムアミドの影響)の例を示す図である。
【図41】図41Aは、本発明の一実施形態における生物学的標的の検出に関する実験結果(反応混合物におけるホルムアミドの影響)の例を示す図である。図41Bは、本発明の一実施形態における生物学的標的の検出に関する実験結果(反応混合物におけるホルムアミドの影響)の例を示す図である。
【図42】本発明の一実施形態における生物学的標的の検出に関する実験結果(反応混合物におけるホルムアミドの影響)の例を示す図である。
【図43】本発明の一実施形態における生物学的標的の検出に関する実験結果(反応混合物の経時変化)の例を示す図である。
【図44】本発明の一実施形態における生物学的標的の検出に関する実験結果(反応混合物の経時変化)の例を示す図である。
【図45】本発明の一実施形態における生物学的標的の検出に関する実験結果(プローブ比率)の例を示す図である。
【図46】ジップコード形式の検出システムによるPDGFの検出の実施例を示す図である。
【図47】アプタマーおよびレポータの比率に関する実験を示す図である。
【図48】PDGFの検出のための「一体化」の検出システムの実施形態を示す図である。
【図49】図式1である。
【図50】図式2である。
【図51】図式3である。
【図52】図式4である。
【図53】図式5である。
【図54】図式6である。
【図55】図式7である。
【図56】図式8である。
【図57】図式9である。
【図58】図式10である。
【発明を実施するための形態】
【0044】
最も簡単な意味において、本発明は、例えば、標的核酸またはタンパク質を鋳型とする核酸を鋳型とする反応によって生成されたポリメチン色素の蛍光の測定による核酸を鋳型とする化学で標的分析物の存在を検出するためのものである。本発明は、好都合、正確、かつ高精度な方法において、多検体の分析方法を提供する。例えば、核酸の検出において、該方法は、非蛍光前駆体(例えば、アルデヒドおよびメチル第四級塩)に抱合された核酸プローブを使用して、ポリメチン多重色素を、標的核酸のハイブリタイゼーション時におけるプローブの化学反応により生成する。さらに、本発明は、ポリメチン色素の新規化学組成物、および、水性条件の下での従来の反応において、および核酸を鋳型とする化学により、ポリメチン色素を合成する方法を提供する。
【0045】
ポリメチン染料化学
ポリメチン色素は、それらのポリエン鎖の反対端に電子供与体(D)および電子受容体(A)を有するメチン(−CH=)基の鎖によって特徴付けられる(図1、Zollinger,Color Chemistry:Synthesis,Properties,and Applications of Organic Dyes and Pigments,3nd Edn.,Verlag Helvetica Chimica Acta,Postfach,Switzerland,2003)。ポリメチン色素の典型的AおよびD末端(図1に示すように)は、チアゾール、ピロール、ピロリン、インドール、1,3,3−トリメチルインドリン、テトラゾール、ピリミジン、ピリジン、キノリン、および高縮合N−複素環もしくは任意の置換ベンジル環を含む。末端が両方とも複素環を含有するN−原子である場合、化合物は、シアニンと称される。1つのN−原子のみが環系の一部である場合、化合物は、ヘミシアニンと称される。ポリエン鎖におけるビニル基の数を変更することにより、ポリメチン色素の蛍光発光波長は、近紫外線から近赤外線へ調整することができる。末端基は、さらなる微調整の手段も提供できる。
【0046】
図式1は、水性緩衝液における有機触媒アルドール縮合によるヘミシアニン形成を図示する。ピロリジン類似体等の一般有機触媒の一部がここに掲載されている。触媒を使用することによって、ヘミシアニン形成に対する反応条件は、無水から水性条件へ切り替えることができる。使用される水分含量の割合は、出発物質の溶解度のみに依存する。
【0047】
図式2は、有機触媒の存在下におけるDPCによるヘミシアニン色素生成の略図である。成分A(アルデヒド_DNA)、成分B(活性水素成分を担持する第四級塩)、およびヘミシアニン_DNA抱合体の一般化学構造も記載されている。ヘミシアニン色素の蛍光発光波長は、ポリエン鎖(n)におけるビニル基の数を変更することにより、もしくは成分Bにおける異なる置換基(R’)および末端基を使用することにより、調整することができる。
【0048】
図2は、重合化に有用なヘミシアニン色素、およびそれらのアルデヒドおよび第四級塩前駆体の一般化学構造を示す。一般構造から得られる、4重ヘミシアニン_DNA色素、およびそれらの最大紫外線吸収および蛍光の発光波長の実施例が図3に記載される。
【0049】
【化10】

【0050】
Z’=O、S、Se、P、NH、NR、C(CHであり、Rは、アルキル基であり、
n=0、1、2...であり、
R=H、アルキルであり、
R’’=H、アルキル、アルキルカルボン酸であり、
R’=PhまたはN−複素環、H、アルキル、SOH、OH、CN、Cl、Br、NO、NH、N(R)、ORであり、Rは、アルキル基である。
【0051】
有機触媒:
1)ピロリジン、ピペリジン類似体
2)バリンまたは小ペプチド等のアミノ酸
3)ピロリジン/AcOH等の二官能性アミン−酸触媒
4)ジメチルエチレン−1,2−ジアミン、プロパン−1,2−ジアミン等のジアミン
【0052】
【化11】

【0053】
図4は、多検体が関与した多重検出のための液相ベースのDPC蛍光アッセイの略図である。各対は、PCR増幅生成物であり得るウイルスの感染の診断判定における、特定の多形性部位もしくは遺伝子型を示す配列に相補的な非蛍光前駆体で標識される。ハイブリタイゼーションの後、DPC蛍光生成物が形成される。塩および温度等のハイブリタイゼーション条件を変更することにより、マッチした対のみが蛍光シグナルを生成する。任意の非蛍光前駆体を除去するための洗浄工程は必要としない。この方法は、ポリヌクレオチド配列を分析または検出するために有用であるだけではなく、例えば、核酸抱合抗体を使用する抗体ベースのアッセイにおいても使用することができる。
【0054】
図5は、多検体に対する固相ベースのDPC蛍光アッセイの略図である。ガラス板、ポリマー、または金めっき等の異なる固体支持体を、対象遺伝子を固定するために使用することができる。ハイブリタイゼーション、および触媒DPCによる蛍光化合物形成の後、固体支持体は、洗浄の必要性なしに、蛍光顕微鏡検査により直接可視化、または蛍光リーダにより検出することができる。
【0055】
図6は、多重ファミリー受容体二量体に対する多重免疫組織化学(IHC)検査を示す。各対は特定のホモもしくはヘテロ二量体を対象にし、固有のDPC生成物(例えば、示されるように各対からの固有の蛍光シグナル)を有する、プローブの複数の対は、多重受容体二量体の同時検出およびプロファイリングを提供することができる。図7に示されるように、ジップコード形式の、および非ジップコード形式のプローブ対の両方は、重合化試験において使用することができる。例えば、米国受理官庁における2007年9月18日出願のLandsmanらによる、「Receptor Family Profiling」という名称のPCT国際出願第PCT/US07/____号を参照。
【0056】
ここで開示される検出方法には多数の利点がある。1)ゼロ背景。ポリメチン生成物の励起波長で励起される場合、アルデヒドおよび第四級塩前駆体に対して背景蛍光シグナルはない。DPC反応は、触媒の存在下のみで生じ、アルデヒドおよび第四級塩前駆体は、非常に安定しているため、前駆体の分解は見られず、そのため、分解生成物の背景蛍光はない。2)簡素。蛍光生成は、ワンポットで行われ、生成物の単離せずに原位置で検出される。3)特異性。蛍光生成は、配列に特異的な核酸相互作用に基づくため、シグナル生成は、核酸配列に特異的である。4)従来の方法と比較して、多数の分析物を検出することができる。ポリメチン色素の蛍光発光波長は、遠紫外線から近赤外線へ簡単に調整することができるため、多重波長色素は、多重コドンDNAを使用することによりワンポットで生成することができる。検出可能な分析物の数は、DPCおよび染料化学によって制限されない。
【0057】
核酸を鋳型とする化学の様々な、および一般的な態様は、以下で詳細に議論される。追加情報は、全てそれらの存在において参照することにより本明細書に明確に取り込まれる、Liuらによる、米国特許第7,070,928号、および7,223,545号、欧州特許第1,423,400B1号、および米国特許公報第2004/0180412A1号(USSN10/643,752号)、Gartner,et al.,2004,Science,vol.305,pp.1601−1605;Doyon,et al.,2003,JACS,vol.125,pp.12372−12373、において見ることができる。また、2006年5月3日出願の第PCTWO07/008276A2号、Coull et al.による、「Turn Over Probes and Use Thereof」を参照。
【0058】
DPC塩基のタンパク質検出
核酸を鋳型とする化学ベースのプローブを使用する生物学的検出の方法および組成物は、それらの存在において参照することにより本明細書に明確に取り込まれる、Coullらによる、WO06128138A2号において記載される。
【0059】
図8および図9は、タンパク質標的の検出のための本発明の一実施形態を示す。
【0060】
図8は、DPC塩基のプローブによるタンパク質標的の検出の実施形態を示す。2つのプローブは、標的結合部、相補的オリゴヌクレオチド、および化学反応性の高いXおよびYをそれぞれ含有する。ハイブリタイゼーションの際、XおよびYは反応し、両プローブを共有連結し得る、またはし得ない(例えば、蛍光)化合物を生成するシグナルを作成する。XおよびYの反応生成物は、非結合可溶性化合物として水溶液へ放出される場合がある。タンパク質標的は、ビーズ、スライドガラス(マイクロアレイ)等の表面等の固相に付着、または水溶液中にあってもよい。標的結合部は、例えば、アプタマー、抗体、抗体断片(すなわち、Fab)、受容体タンパク質、もしくは小分子であり得る。
【0061】
図9には、より具体的に2つのプローブを有するデュアルプローブ法の実施例が示され、それぞれ、「プレフルオロフォア」前駆体(R1およびR2)を持ち、互いにアニールするように設計された標的およびオリゴヌクレオチド配列に対する結合部を含有する。この実施形態では、検出は、プレフルオロフォアオリゴが、標的の不在下で互いにアニールしないような条件の下で行われる。これらの条件は、概して、周囲温度が、標的の不在下でのオリゴヌクレオチド対のTより高くなるように選択される(オリゴ対が、目的の標的分析物の不在下でアニールしないように)。しかしながら目的の標的の存在下では、オリゴの局所的高濃度により、ハイブリタイゼーションが生じるように、それらの二本鎖複合体のTが上昇し、シグナル生成核酸を鋳型とする反応(R1とR2との間の反応)が続く。シグナル生成核酸を鋳型とする反応は、プレフルオロフォアの局所的高濃度のために、上昇するが、互いに対するプレフルオロフォア基の近接および配向によっても促進される場合がある。シグナル生成のこの構成は、様々な生体分子、細胞、表面の検出、および原位置でのアッセイの設計のためのキットの作成を可能にする潜在能力を有する。シグナル生成は酵素を必要とせず、一様な形式は、サンプル操作の必要がない。
【0062】
図9に2つのオリゴヌクレオチドが示され、それぞれ、任意のスペーサアームにより、この場合は抗体として示されるように個別の結合剤に連結されるが、アプタマーまたは小分子等の他の結合剤であり得る。各抗体は、タンパク質等の一般的な標的分析物上にある個別のエピトープを認識する。スペーサアームは、オリゴと結合剤との間の一方、もしくは両方のオリゴヌクレオチドに追加することができる。場合により、このスペーサアームは、所望の反応性を得るために、近接要件を満たすように要求される場合がある。原則として、スペーサアームは、任意の適切な群、例えば、線状もしくは分岐脂肪族炭素鎖C3からC5、Cl0、C15、C20、C25、C30、C35、C40、もしくはCl00基、1から10、15、20、30、50もしくは100塩基長のDNA配列、または適切な長さのポリエチレングリコールオリゴマーであり得る。
【0063】
プレフルオロフォアは、「螺旋端部」構成(図9上)で存在し得、一方はオリゴの5’端部に付着し、他方は3’端部に付着する(例えば、配列内に2つのプレフルオロフォアを配置する、または一方のオリゴを部分的ヘアピン構造(例えば、100オングストローム長)にハイブリタイズさせる等を含む、他の構成を適用することができる)。第1の例では、一方のオリゴヌクレオチドは、5’からスペーサアームおよび標的結合剤に付着し、他方の3’は、スペーサアームおよび標的結合剤に付着する。非相補的DNA配列から成り得るスペーサアーム、もしくはエチレングリコールのオリゴマー等の合成スペーサアームは、近接要件を満たすために追加することができる。そのようなスペーサアームは、非常に柔軟であることが可能であり、剛性スペーサで生じる可能性がある結合に関する、いかなる立体障害をも克服する利点を有する。適度に長いスペーサアームの設計によって、オリゴヌクレオチドが、逆平行構成でアニールすることができ、反応基が互いに反応できるようにする限り、両方のオリゴヌクレオチドは、5’からそれらの結合剤(図9下)、もしくは3’と連結することができる。最適スペーサアーム長は、各標的に対して設計され得る。過度に長いスペーサアームは、システムにおける特異性を低減、またはT増加の効果を低減させる場合があるため、避けるべきである。
【0064】
オリゴヌクレオチドの対を繋ぐことによって生じる近接効果は、水溶液において遊離した2つのオリゴヌクレオチドと比較して、2つの相補的オリゴヌクレオチド配列のアニールの動力学に影響を与える場合がある。さらに重要なことに、局所的高濃度によって、遊離複合体と比較して、融解曲線が上昇し、すなわち、複合体のTが増加する。バルク水溶液では、以下の方程式で示されるように、Tは、総オリゴヌクレオチド濃度に依存することが周知である。Wetmur,Criti.Rev.in Biochem.And Mol.Biol.,1991,26,227−259。
=(1000*ΔH)/(A+ΔS+R1n(C/4)−273.15+16.6log Na
式中、ΔHおよびΔSは、螺旋形成に対するエンタルピーおよびエントロピーであり、Rは、モル気体定数であり、Cは、総オリゴマー濃度であり、Naは、水溶液におけるナトリウムイオンのモル濃度である。
【0065】
図10は、0.1Mの塩における短オリゴヌクレオチドの範囲内でのTに対する濃度の傾斜は、上記の方程式に基づいて、オリゴヌクレオチド(図11の配列)の濃度の10倍の増加に対して、約+7℃の依存性を有することを示す。そのため、例えば、局所濃度の1000倍の増加は、約+21℃、Tを上昇させると考えられる。
【0066】
R1およびR2の反応生成物は、化学転換の結果として、ハイブリタイゼーション複合体から放出され得る。そのため、フルオロフォアまたは発色団は、ハイブリタイゼーション複合体から分離され、独立して分析され得るか、フルオロフォアまたは発色団およびアニールされたオリゴヌクレオチドは、サンプルのさらなる一連の調査を行うことができるように、一旦検出されたら除去され得る。R1とR2のとの間の反応は、生成物が形成されると、2つのプローブと共有連結され得る、またはされ得ない。
【0067】
図12は、核酸鋳型ベースの生物学的検出に対する「ジップコード形式」のスプリント構造を使用する本発明の他の実施形態を示す。この実施形態では、核酸を鋳型とする反応をハイブリタイズし、設定する相補的オリゴヌクレオチドに直接連結されている(任意でスペーサ基を介して)標的結合部の代わりに、標的結合部は、「ジップコード」オリゴヌクレオチド配列に連結される。各対応するレポータオリゴヌクレオチドは、(核酸を鋳型とする反応を設定する「レポータ」配列に加えて)相補的な「抗ジップコード」配列を有する。核酸を鋳型とする化学反応は、反応し、検出可能なシグナルを生成する反応基と連結されるレポータオリゴのハイブリタイゼーションによって引き起こされる。プローブの各オリゴヌクレオチド配列は、検出システムにおいて、その目的のハイブリタイゼーションパートナーとのみ相補的であり、他のオリゴヌクレオチドに相補的ではないことが重要である。
【0068】
このジップコード形式の構造は、抗ジップコード配列によって異なる下流レポータオリゴヌクレオチドで集合する、単一レポータ−オリゴヌクレオチド抱合体を作成することを支持する。固有の抗ジップコードと連結した異なるレポータのライブラリは、単に、その相補的ジップコードを有する結合剤−ジップコードオリゴヌクレオチド抱合体の化学量で互いに混合することによって、試験され得る。
【0069】
図13は、標的結合部が2つのアプタマーである、ジップコード形式のスプリント付き構造法の説明図である。実例となるオリゴ配列およびレポータ化学(例えば、トリフェニルホスフィン、TPP、7−アジドクマリン、およびAzC)を使用しての血小板由来成長因子(PDGF)の検出に対するこの例では、TPPレポータオリゴヌクレオチドは、TPPレポータオリゴヌクレオチド上でのジップコード配列(NNN.....)に相補的抗ジップコード配列(N’N’N’.....)のハイブリタイゼーションにより、PDGFアプタマーオリゴヌクレオチドへ自己集合する。レポータオリゴヌクレオチドは、例示的な10塩基のレポータ配列および5’−TPP基で終了する。異なるジップコードおよび抗ジップコード(対で互いに相補的)を有するオリゴヌクレオチドの別の対も、自己集合して、AzCレポータ配列および3’−AzC基を提供する。AzCオリゴヌクレオチドは、TPPオリゴヌクレオチドに相補的であり、逆平行であるため、TPPおよびAzC基は、TPPおよびAzCオリゴヌクレオチドが互いにアニールする場合、末端間で終了する。
【0070】
図14は、実例となるオリゴ配列およびレポータ化学(TPPおよびAzC)を使用してのPDGFの検出のためのジップコード形式のスプリント付き構造法をより詳細に示す。TPP対は、まず、5’−末端上にあるPDGF−アプタマー、C18ポリエチレン−グリコールベースのスペーサ、および18−merジップコード配列を含む。TPPレポータ配列は、その3’末端上にある相補的抗ジップコード配列、C18PEGスペーサ、および5’TPP基で終了する10塩基対レポータ配列を含む。オリゴヌクレオチドのAzC対は、C18PEGスペーサによって別のジップコード、5’抗ジップコードと連結した検出オリゴヌクレオチド、C18PEGスペーサ、および3’AzC基で終了するレポータオリゴヌクレオチド(TPPオリゴヌクレオチドに相補的)を介して3’アプタマー連結を含む。
【0071】
図15は、標的結合部として、アプタマーの代わりに抗体が使用される、対応する構造の例を示す。
【0072】
「ジップコード形式」法の1つの利点は、レポータオリゴヌクレオチドを個別に作成し、結合剤および核酸鋳型活性化化学の両方の活性を維持する条件の下で結合剤によって、それらを互いに集合させる能力である。
【0073】
ジップコード形式のシステムはオリゴヌクレオチドの2つの対に基づき、各対は、固有のジップコードと抗ジップコード対との塩基対合によって互いに結合される。「ジップコード」は、それらの相補的配列と特異的に結合するオリゴヌクレオチド配列であり、好ましくは、周知のゲノム配列(サンプルが、ゲノムDNAを含有し得る場合、関連する)に相補的ではなく、同様なT値を有し、重要な二次構造を有さず、検出システムにおいて他のジップコードもしくは抗ジップコード配列にアニールしないように設計される。
【0074】
本発明の方法は、第1および/または第2のオリゴヌクレオチド配列の酵素的もしくは化学的連結反応を必要としないことを指摘すべきである。
【0075】
ジップコード形式の構造の設計を最適化する際に考慮され得る因子としては、例えば、(1)任意の立体障害を防ぐために、例えば、ハイブリタイゼーションパートナーが互いに到達することができるようにする、アプタマー/抗体とジップコードとの間のスペーサ基(例えば、オリゴヌクレオチドおよび/または非塩基群)(スペーサ1)、(2)複合体を形成するための抗ジップコード配列に対する十分安定したアニールを形成するためのジップコード配列の長さ、および(3)例えば、任意の立体障害を防ぐための、抗ジップコードとレポータ配列との間のスペーサ基(スペーサ2)を含む。
【0076】
オリゴヌクレオチドに付着した結合剤(標的結合部)は、標的分子に特異的に結合し、本発明の設計が作用するようにする任意の化学的部分であり得る。例として、(1)抗体、例えば、IgG、IgM、IgA、IgE、Fab’s、Fab’、F(ab)、Dab、Fv、もしくはScFv断片、(2)小分子結合剤、例えば、抑制剤、薬剤、共同因子、(3)タンパク質検出のための受容体、および、受容体検出のためのタンパク質、(4)DNA、RNA、PNAアプタマー、(5)DNA結合および調節タンパク質に対するDNA配列、(6)タンパク質結合モチーフを表すペプチド、(7)ファージ提示法、ランダム合成、突然変異生成により発見されたペプチド、(8)自然結合タンパク質対および複合体、(9)抗原(抗体検出のための)、および(10)異なる特異性の2つの個別の結合剤として作用し得る2つのオリゴヌクレオチドに個別に付着した単一ポリクローナル抗体、等の広範囲の官能基を含む。
【0077】
オリゴヌクレオチドに付着した標的結合部は、同標的内にある異なる部位を対象にした異種型であり得る。例えば、2つの結合剤は、2つの異なる抗体、抗体および受容体、抗体および小分子結合剤、受容体およびペプチド、アプタマーおよび共同因子、もしくは任意の他の組み合わせであり得る。
【0078】
標的分析物は、標的が2つの(またはそれ以上の)結合部位を提供するのであれば、任意の形であることが可能である。単量体型およびホモ二量体もしくは高次重合相にあって、平衡状態で存在する分子は、同結合剤であるが異なる相補的DNA配列を含有する一対のプローブによって検出され得る。適切な標的としては、タンパク質、細胞表面、抗体、抗原、ウイルス、バクテリア、有機表面、膜、細胞小器官、固定された細胞の原位置での分析、タンパク質複合体が挙げられる。本発明は、特に、融合タンパク質(例えば、BCRおよびABLの存在下でのBCR−ABL)の検出に適切であり得る。
【0079】
プローブの設計において、考慮すべき一事柄は、反応基を持つ2つのレポータ配列のTである。二本鎖のTは、標的の不在下で室温未満でなければならないため、この配列は、通常、短い、例えば、6〜15塩基および/またはA−Tリッチであるべきである。典型的レポータ長の10塩基対は、低塩濃度で約30℃のTを有する可能性がある。したがって、短配列に対しても、温度をさらにアッセイ温度未満に下げる、もしくはアッセイ温度を上げるために10%から40%v/vのホルムアミドを追加することが、しばしば必要となる。非常に短いレポータオリゴヌクレオチドは、特異性の欠如で損害を受け、望ましくないジップコード配列(これらが使用されている場合)との一部の結合を提示する場合がある。
【0080】
プローブの設計における他の因子は、任意のジップコード配列を含む、結合部とレポータ配列との間にあるオリゴヌクレオチドの長さである。これらは、レポータオリゴヌクレオチドが互いに到達し、アニールするために十分な長さでなければならない。配列は、柔軟なポリエチレングリコール(PEG)リンカーが組み入れられ得、任意の立体障害に対するさらなる保護を提供することができる。例えば、オリゴヌクレオチドの全長は、約35塩基の長さであり得る。0、1つ、もしくは2つのC18PEGスペーサ、またはホモポリマー経路を含有するオリゴヌクレオチドを使用することができる(すなわち、C10)。
【0081】
第3の考慮すべき事柄は、ジップおよび抗ジップ配列が使用されている場合、これらの長さである(すなわち、図13および図16)。各ジップコードが、任意の他のジップコード、抗ジップコード、またはレポータ配列ではなく、その抗ジップコードのみにアニールする必要性に加えて、重要なパラメータは、ジップコードと抗ジップコードとの間の二本鎖のTである。Tは、レポータオリゴヌクレオチドが結合部にしっかりと付着した状態でいるために、アッセイにおいて使用される最高温度より実質的に高くなければならない。実際には、レポータ配列の約2倍の長さのジップコード(すなわち、全長15〜30塩基)が、望ましく、一般的にこれらの基準を満たす。
【0082】
シグナル生成に関して、核酸を鋳型とする化学は、例えば、蛍光、化学発光、もしくは比色分子の作成または破壊等、光シグナルをもたらす標識を作成または破壊するために使用され得る。また、検出反応は、検出可能な標識、例えば、光標識を作成する反応を触媒する、光標識を作成する反応を抑制する、蛍光消光剤である、蛍光エネルギー移動分子である、Ramen標識を作成する、電気化学的発光標識(すなわちルテルニウムビピリジル)を作成する、電子スピン標識分子を製造する、等の生成物を直接または間接的に作成する生成物を作成または破壊するように設計され得る。
【0083】
以下の実施例は、その様々な実施形態における本発明の履行に採用することができる重要な追加情報、例示およびガイダンス、およびその同等物を含む。本発明の履行は、例示のみを目的として、本明細書で提示されるこれらの以下の実施例からさらに十分に理解され、いかなる方法においても制限するものとして解釈されるべきではない。
【実施例】
【0084】
実施例1から4は、DNAプローブ調製に関連する。活性水素成分を担持するアルデヒドおよび複素環式前駆体の両方は、アミド結合形成によってDNAと抱合することができる。まず、酸複素環式もしくは芳香族前駆体を合成する。その後、酸を、アミン機能性を担持するDNAと容易に反応する活性N−ヒドロキシスクシンイミドエステル(NHSエステル)に変換する。
【0085】
オリゴヌクレオチドは、標準ホスホラミダイト化学を使用して調製し、逆相C18カラム(Glen Research,Sterling VA,USA)によって精製した。5’−アミノ基を担持するオリゴヌクレオチドは、5’−アミノ−修飾因子5を使用して調製し、3’−アミノ基を担持するオリゴヌクレオチドは、3’−アミノ−修飾因子C7CPG(Glen Research,Sterling VA,USA)を使用して調製した。DNAおよび複素環式抱合DNAの濃度は、紫外線吸光度により260nmで判定した。複素環式抱合DNAにおける複素環式部分からの260nmでの紫外線吸光度の寄与は、ごくわずかであり、考慮しなかった。
【0086】
【表2】

【0087】
実施例1 DNA抱合第四級塩
図式3は、活性水素成分(インドリニウム_DNA)を担持するDNA抱合第四級塩を合成する一実施例を示す。2,3,3−トリメチルインドレニンは、市販されている。酸性官能基は、N−四級化によってインドリン環に導入した。
【0088】
【化12】

【0089】
化合物1の合成:5−ブロモ吉草酸(2.435g、13.45mmole)に、2,3,3−トリメチルインドレニン(2.141g、13.45mmole)を加えた。反応混合物を、一晩、110℃で厳密に撹拌しながら加熱した。得られた濃紅な粘着性のある油をグレガー抽出器に移動し、一晩、EtOAcで抽出した。明るい赤の固体を得た。固体を、30mLのMeOHで再溶解した。MeOHは減圧下で除去し、残渣は10mLのEtOAcで処理した。褐色の固体が沈殿し、ろ過した。固体を、2×50mLのアセトンおよび2×100mLのEtOAcで洗浄した。合計1.590gの明褐色の固体を得た(収率35%)。H NMR(DMSO)δppm:7.98(m、1H)、7.84(m、1H)、7.61(m、2H)、4.49(t、2H)、2.84(s、3H)、2.30(t、2H)、1.84(m、2H)、1.63(m、2H)、1.53(s、6H)。MALDI−MS(陽性モード):260.2419。
【0090】
化合物2の合成:化合物1(0.1g、0.294mmole)、N−ヒドロキシサクシミド(0.068g、0.588mmole)およびN,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)(0.085g、0.411mmole)を、1.5mLのジメチルホルムアミド(DMF)に溶解した。反応混合物を、37℃で1時間撹拌した。沈殿したジシクロヘキシル尿素(DCU)を、ろ過によって除去し、ろ液を15mLのエーテルで処理した。明るい橙色の固体を、10mLのエーテルので3回洗浄し、数時間、真空下で乾燥させた。得られた固体は、直接次の反応のために使用した。MALDI−MS(陽性モード):357.1590。
【0091】
インドリニウム化合物でのDNAの標識化:20nmoleのDNAを含有する1.5mLの遠心分離バイアルに、pH7.8の41.6μLの0.1Mのナトリウムリン酸緩衝液(NaPi)、N−メチル2−ピロリドン(NMP)(96mM)中の41.6μLの化合物2、および41.6μLのNMPを加えた。バイアルを、撹拌器に入れ、37℃で4時間振とうした。反応混合物を、セファデックスG−25を使用してゲルろ過によって脱塩し、その後、逆相C8カラムによって精製した。インドリニウム_EDC2(DNA:配列番号75):収率15%。LC−MS(陰性モード):C163212579015に対する計算(モノアイソトピック):1216.7379[M−5H]−4、結果:1216.9552[M−5H]4−、インドリニウム_EDC4(DNA:配列番号77):収率22%。LC−MS(陰性モード):C172221609615に対する計算(モノアイソトピック):1280.5002[M−5H]−4、結果:1280.7356[M−5H]−4、インドリニウム_EDC5(DNA:配列番号78):収率15%。LC−MS(陰性モード):C166220519515に対する計算(モノアイソトピック):1226.7426[M−5H]−4、結果:1226.9657[M−5H]−4。インドリニウム_抗ジップ5(DNA:配列番号72):収率10%。LC−MS(陰性モード):C30740110818029に対する計算(平均):1340.2614[M−8H]7−、結果:1340.2705[M−8H]7−。インドリニウム_抗ジップ5m(DNA:配列番号71):収率10%。LC−MS(陰性モード):C30840410917729に対する計算(モノアイソトピック):1336.4969[M−8H]7−、結果:1336.673[M−8H]7−。インドリニウム_抗ジップ3(DNA:配列番号70):収率5%。LC−MS(陰性モード):C307H404N107O178P29に対する計算(モノアイソトピック):1332.4034[M−8H]7−、結果:1332.6293[M−8H]7−。
【0092】
実施例2 DNA抱合第四級塩
図式4は、インドリニウム_DNAと同様の経路をたどる、活性水素成分(ベンゾインドリニウム_DNA)を担持するDNA抱合第四級塩を合成する他の実施例を提供する。
【0093】
【化13】

【0094】
化合物3の合成:(化合物1の合成と同手順):1,1,2−トリメチル−1H−ベンゾインドール(2.73g、13mmole)および5−ブロモ吉草酸(2.36g、13mmole)を、一晩、110℃で厳密に撹拌しながら加熱した。オフホワイトの固体として合計3.016gの4を加工後に得た(収率59%)。H NMR(CDOD)δppm:8.30(m)、8.15(m)、8.05(d)、7.7(m)、4.66(t、2H)、2.45(t、2H)、2.1(m、2H)、1.85(m、2H)、1.85(s、3H)、1.83(s、6H)。MALDI−MS(陽性モード):310.209.
化合物4の合成:化合物4は、化合物2の合成と同手順に従い合成し、エーテル沈殿後のDNAの標識化のために直接使用した。
【0095】
ベンゾインドリニウム化合物でのDNAの標識化:インドリニウム_DNAの合成と同手順に従い、50nmoleのEDC7から、合計11.2nmoleのベンゾインドリニウム_EDC7(DNA:配列番号79)を得た:収率22%。LC−MS(陰性モード):C168216569215に対する計算(モノアイソトピック):1650.0003[M−4H]−3;結果:1650.0359[M−4H]3−
【0096】
実施例3 DNA抱合アルデヒド
図式5は、DNA抱合アルデヒドの合成の一実施例を提供する。アルデヒド前駆体における酸性官能基は、過酸化水素によるシアノ基の加水分解によって導入される(Brady,J.D.;Robins,S.P.J.Bio.Chem.2001,276,18812−18818)。
【0097】
【化14】

【0098】
化合物5の合成:N−メチル−N−シアノエチル−4−アミノベンズアルデヒド(1.024g、5.44mmole)を含有する50mLの円形フラスコに、27.2mLの5NのNaOH水溶液および6.8mLの30%Hを加えた。反応混合物を、2時間還流した。冷却後、反応混合物は、濃縮HCl(37重量%)を追加することにより中性化し、2×100mLのEtOAcおよび1×100mLのCHClで抽出した。有機層を混合し、50mLのブラインで1回洗浄し、蒸発濃縮した。粗生成物は、CombiFlashCompanionクロマトグラフィシステムの40gのRediSepシリカゲルカラム(EtOAc/MeOH)によって精製した。合計0.702gの明るいピンク色の固体を得た(62%)。エレクトロスプレーMS:M+H208.0735(Brady,et al.,J.Biol.Chem.2001,276,18812−18818)。
【0099】
アルデヒドでのDNAの標識化:5のNHSエステルを、化合物2と同手順に従い合成した。ろ過によりDCUを除去した後、ろ液は、DNA抱合(DMFにおける0.2M生成物として計算)のために直接使用した。50nmoleのDNAを含有する1.5mLの遠心分離バイアルに、pH8.6の104μLの0.1MのNaPi、125μLの上記のろ液、および83μLのNMPを加えた。バイアルを、撹拌器に入れ、37℃で一晩、振とうした。反応混合物を、セファデックスG−25を使用してゲルろ過によって脱塩し、その後、逆相C8カラムによって精製した。アルデヒド_EDC2(DNA:配列番号75)(収率44%)。LC−MS:C159204579115に対する計算(モノアイソトピック):1203.9710[M−4H]4−;1605.6306[M−3H]3−結果:1203.9664[M−4H]4−;1605.6305[M−3H]3−;アルデヒド_EDC3(DNA:配列番号76):(収率49%)。LC−MS:C159204599115に対する計算(モノアイソトピック):1213.9725[M−4H]4−;1618.9660[M−3H]3−結果:1213.9620[M−4H]4−;1618.9590[M−3H]。アルデヒド_抗ジップ2受容体1(DNA:配列番号69)(収率30%)。LC−MS:C30339611017729に対する計算(モノアイソトピック):1328.2458[M−7H]7−;結果:1328.3051[M−7H]7−
【0100】
実施例4 DNA標識α,β−不飽和アルデヒド
図式6は、DNA標識α,β−不飽和アルデヒド1を合成する実施例を提供する。ウィッティヒ試薬を、アルデヒドの対応するα,β−エナルへの二炭素ホモログ化のために使用した(Eitel,M.;Pindur,U.Synthesis 1989,364−367)。アルデヒド前駆体における酸性官能基は、濃縮HClによるシアノ基の加水分解によって導入した(Bratenko,M.K.;Chornous,V.A.;Vovk,M.V.Chemistry of Heterocyclic Compounds 2004,40,1279−1282)。
【0101】
【化15】

【0102】
化合物6の合成:N−メチル−N−シアノエチル−4−アミノベンズアルデヒド(1.116g、5.9mmole)およびイリド(2.71g、8.9mmole)を含有する100mLの円形フラスコに、57mLの乾燥トルエンを加えた。反応混合物を、一晩、還流させながら加熱し、冷却し、ろ過紙でろ過した。溶媒をろ液から除去した後、残留物を、まず、CombiFlashCompanionクロマトグラフィシステムの40gのRediSepシリカゲルカラム(トルエン/エーテル)、その後、分取HPLC C18カラム(Agiliend Prep−C18、30×100mm、10um)によって精製し、0.27gの純生成物を得た(21%)。MALDI−MS(陽性モード):215.226。
【0103】
化合物7の合成:化合物6(0.1g、0.47mmole)を含有する50mLの円形フラスコに、30mLの濃縮HClを加えた。反応混合物を、沸騰させ、1時間、室温(RT)で放置した。HPLC分析によって、1つの生成物のみが形成され、出発物質は反応混合物に残らなかったことが示された。HClのほとんどを除去した後、化合物を、水に溶解し、凍結乾燥させて生成物を得た。
【0104】
α,β−不飽和アルデヒドでのDNAの標識化:化合物7のNHSエステルは、化合物2と同手順に従い合成したが、代わりにシリカゲルクロマトグラフィ(EtOAc/ヘキサン)によって精製した。数時間、真空下で乾燥した後、化合物7のNHSエステルを、NMP(96mM)で溶解し、アルデヒド_DNAの標識化と同手順に従いDNAを標識化するために使用した。アルデヒド1_EDC8(DNA:配列番号80):収率46%。C163215489915に対する計算(モノアイソトピック):1629.9698[M−3H]−3;結果:1629.9995[M−3H]3−。アルデヒド1_抗ジップ2レポータ1(DNA:配列番号69):収率40%。C30539811017729に対する計算(モノアイソトピック):1331.96239[M−7H]−7;結果:1332.0778[M−7H]−7
【0105】
実施例5から8は、DNA抱合に対するインドールおよびインドリニウム類似体の調製に関連する。
【0106】
インドール類似体は、酸性条件の下でアリールヒドラゾンをインドールに変換することによって、一般的なFischer−インドール合成に従って合成することができる(図式7)。まず、第一級芳香族アミンおよび亜硝酸を、反応させ、ジアゾニウム塩を得る。その後、ジアゾニウム塩を、ヒドラジンに還元する(Hunsberger et al.J.Org.Chem.1956,21,394−399)。最後に、ヒドラジンは、3−メチルブタン−2−オンと反応させ、アリールヒドラゾンを形成し、NHの異性化および除去によりインドールが形成される(Lindsey et. al.Tetrahedron 1989,45,4845−4866)。
【0107】
図式7:インドールおよびインドリニウム類似体への一般合成経路
【0108】
【化16】

【0109】
実施例5:5−メトキシ−2,3,3−トリメチル−3H−インドールの合成
60mLの濃縮HCl中の4−メトキシアニリン(2.46g、20mmol)の水溶液に、滴下で、0℃の35mLのHO中のNaNO(1.38g、20mmol)の水溶液に加えた。0℃で0.5時間撹拌した後、反応混合物を滴下で、0℃の35mLの濃縮HCl中のSnCl(9.03g、40mmol)の水溶液に加え、その後、0℃で1.5時間撹拌し続けた。その後、2NのNaOHを、pHが9から10になるまで加え、反応を止めた。水層をDCM(50mL×3)で抽出し、有機層をNaSO上で乾燥させた。ろ過および濃縮の後、所望の生成物、(4−メトキシフェニル)ヒドラジンを得(0.98g、収率35%)、次のステップで直接使用した。
【0110】
20mLのHOAc中の(4−メトキシフェニル)ヒドラジン(0.98g、7.1mmol)および3−メチルブタン−2−オン(1.53g、17.8mmol)の混合物を、一晩、100℃で加熱した。混合物は、濃縮し、pHが9から10になるまで、1NのNaOHを加えた。水溶液を酢酸エチル(50mL×3)で抽出した。混合した有機層をNaSO上で乾燥させた。ろ過および濃縮の後、残留物をフラッシュカラムクロマトグラフィによって精製し、610mgの5−メトキシ−2,3,3−トリメチル−3H−インドールを得た(45%)。H NMR(CDCl)δppm:7.43(dd、1H)、6.81(m、2H)、3.83(s、3H)、2.26(s、3H)、1.28(s、6H)。LC−MS(M+H):190.16。
【0111】
実施例6:4(6)−ニトロ−2,3,3−トリメチル−3H−インドールの合成
(3−ニトロフェニル)ヒドラジン(MW=189.6、685mg、3.6mmol)および0.75mlの3−メチル−2−ブタノンを、10分間室温で、その後、15分間40℃で、8mLのEtOHにおいて撹拌した。エタノールを減圧下で除去した。残留物を20mLの濃縮HClに取り、2時間、100℃で加熱した。その後、HCl水溶液を減圧下で除去した。固体を2mLの氷水で粉末にし、ろ過し、2mLの氷水で洗浄した。空気中で乾燥させた後、固体の重さは、300mgであった。しかしながら、TLCは、それが2つの生成物の混合物を含有することを示した。水層を1NのNaOHでpH約8.0まで中性化し、EtOAcで抽出した(50mL×3)。有機層および前もって得られた固体を混合し、一晩、NaSO上で乾燥させた。有機溶液をろ過し、EtOAcで洗浄し、減圧下で濃縮した。残留物をフラッシュクロマトグラフィ(SiO、70g)によって精製し、ヘキサンにおいて8−15%EtOAcで溶出し、2つの留分を得た。第1の留分は、淡黄色油として、217mg得たが(収率30%)、1H NMRによって化合物4−ニトロ−2,3,3−トリメチル−3H−インドールと同定された。H NMR(CDCl)δppm:8.0(dd、1H)、7.89(dd、1H)、7.50(t、1H)、2.73(s、3H)、1.50(s、6H)。第2の留分は、黄色固体として、245mg得たが(収率33%)、1H NMRによって6−ニトロ−2,3,3−トリメチル−3H−インドールと同定された。H NMR(CDCl)δppm:8.33(d、1H)、8.12(dd、1H)、7.50(t、1H)、7.38(d、1H)、2.33(s、3H)、1.27(s、6H)。
【0112】
実施例7:2,3,3−トリメチル−3H−ベンゾ[g]インドール−5−スルホン酸の合成
O(15mL)中のナトリウム4−アミノナフタレン−1−スルホン酸塩(2.45g、10mmol)の水溶液に、10〜15℃でHO(2mL)中のNaNO(0.70g、10mmol)の水溶液を加えた。その後、水溶液を0.5mLのHO中の濃縮HSO(0.54g、5.5mmol)の冷水溶液に加えた。温度を10℃未満に維持し、混合物は、追加が完了した後、1.5時間撹拌した。その後、混合物は、2.5mLの濃縮HClおよび1.5mLのHO中のSnCl2(3.8g、17mmol)の冷水溶液に滴下で加えた。反応温度は、10℃未満に維持し、一晩、放置した。それをろ過し、HOで十分に洗浄した。固体をブフナー漏斗で2回除去し、HOに懸濁し、ろ過した。得られた固体を真空下で乾燥させ、1.4gの4−ヒドラジニルナフタレン−1−スルホン酸(59%)を得た。該物質は、次のステップで直接使用した。3mLのHOAc中の4−ヒドラジニルナフタレン−1−スルホン酸(0.7g、2.9mmol)の水溶液を、3−メチルブタン−2−オン(0.5mL、1.5eq.)、NaOAc(0.47g、2.0eq.)に加えた。混合物を3.5時間、110℃で撹拌した。冷却し、エーテルを追加した後、沈殿物をろ過し、700mgを得た。固体をDCMに溶解し、DCM中の10%MeOHを使用して、SiO上でフラッシュクロマトグラフィによって精製し、273mgの生成物を得た。母液も濃縮し、シリカゲル上でフラッシュクロマトグラフィによって精製し、372mgの追加生成物を得た。全体の収率は、77%であった。H NMR(DMSO)δppm:8.8(dd、1H)、8.4(dd、1H)、8.0(s、1H)、7.5(m、2H)、3.1(s、5H)、2.3(s、4H)、1.3(s、6H)。LC−MS:288.2[M−H]。
【0113】
実施例8:3−(4−カルボキシブチル)−1,1,2−トリメチル−1H−ベンゾ[e]インドリウム−7−スルホン酸塩の合成
15mlのHO中の6−アミノナフタレン−2−スルホン酸(2.23g、10mmol)の水溶液に、2NのNaOH(0.75ml)を加えた。混合物を室温で5分間撹拌し、濃縮HSO(0.68g、6.9mmol)を、滴下で0℃で加えた。2mlの凍ったH2Oの後、2mlのHO中のNaNO(1.04g、15mmol)の水溶液を加えた。水溶液を2時間0℃で撹拌した後、ジアゾニウム塩を、ろ過により除去し、冷水で洗浄した。その後、塩を3.2mlの濃縮HClおよび1.8mlのHO中のSnCl2(4.9g、22mmol)の冷(<0℃)水溶液に少しずつ加えた。混合物を一晩、撹拌した。固体をろ過し、水で2回洗浄し、真空下で乾燥させ、1.84gの6−ヒドラジニルナフタレン−2−スルホン酸(77%)を得、それを次のステップで直接使用した。
【0114】
3mlのHOAc中の6−ヒドラジニルナフタレン−2−スルホン酸(0.7g、2.9mmol)の溶液に、3−メチルブタン−2−オン(0.5ml、1.5eq.)、NaOAc(0.47g、2.0eq.)を加えた。混合物を3.5時間、110℃で撹拌した。冷却した後、溶媒を減圧下で除去した。残留物をMeOHで溶解し、3.0gのSiOを加えた。MeOHを除去し、シリカゲルを、シリカゲルカラムに搭載し、DCM中の10%MeOHで溶出し、所望の生成物、1,1,2−トリメチル−1H−ベンゾ[e]インドール−7−スルホン酸を得た(874mg、収率>95%)。LC−MS:288.2[M−H]。
【0115】
メタノール(5mL)中の1,1,2−トリメチル−1H−ベンゾ[e]インドール−7−スルホン酸(723mg、2.5mmol)の溶液に、イソプロパノール(3.134%、4.913g、1.1eq.)中の水酸化カリウムの飽和溶液を加え、得られた懸濁液を2時間還流で加熱した。その後、混合物を濃縮し、対応するカリウム塩を得た。窒素雰囲気下において、3−メチル−2−ブタノン(5mL)中のカリウム1,1,2−トリメチル−1H−ベンゾ[e]インドール−7−スルホン酸塩および5−ブロモ吉草酸(585mg、3mmol)の混合物を、20時間140℃で加熱した。溶媒の除去およびクロマトグラフィ(ジクロロメタン/メタノール)による精製によって、3−(4−カルボキシブチル)−1,1,2−トリメチル−1H−ベンゾ[e]インドリウム−7−スルホン酸塩(70mg、単離収率7.2%)を得た。LC−MS:390.18[M+]。
【0116】
実施例9 水性緩衝液における有機触媒ヘミシアニン合成
図式8は、様々な触媒の存在下での水性緩衝液におけるヘミシアニン8を合成する実施例を提供する。ヘミシアニン形成の程度は、解析逆相HPLC(545nmでの紫外線)によって容易にモニタされた。ヘミシアニン8の最大蛍光励起波長は535nmであり、発光最大は580nmである。生成物のMALDI−MS分析によって、構造(M+:449.1992)を確認した。実験データは、(S)−ピロリジンメチルピロリジン((S)−PMP)は、他の触媒より優れた触媒能力を有することを示した。
【0117】
【化17】

【0118】
触媒:
(1)L−バリン(0.3水当量)、(2)L−プロリン(0.3水当量)、(3)(S)−ピロリジンメチルピロリジン(0.3 50mMのナトリウム緩衝液当量、pH8.5)、(4)(S)−2−ピロリジンメタノール(0.3水当量)、(5)亜鉛−プロリンまたはZn(Pro)2(0.1 20Mのナトリウムリン酸緩衝液当量、pH8.5)、(6)ピロリジン/酢酸(0.4/0.2水当量)、(7)ピロリジン/10−カンファースルホン酸(0.4/0.2水当量)
反応条件:それぞれ25mMの出発物質、水またはナトリウムリン酸緩衝液中の20%NMPおよび必要な触媒、室温で16時間
実施例10〜13は、ヘミシアニン形成のDPCに関連する。
【0119】
実施例10 DPCヘミシアニン形成(螺旋構造の端部)
図式9は、螺旋構造の端部によるDPCヘミシアニン形成の実施例を提供する。アニール時には、2つのヘミシアニン前駆体は、反応するように螺旋端部に近接させ、縮合の後、両方のDNAと連結したヘミシアニンを形成した。
【0120】
【化18】

【0121】
DPC反応の進行を蛍光分光によってモニタした。図17は、様々な条件における、インドリニウムおよびアルデヒドDNA(I_EDC2およびA_EDC4)(DNA:配列番号75;配列番号77)のDPC反応混合物の蛍光発光を示す。まず、反応緩衝液においてヘミシアニン前駆体I_EDC2(DNA:配列番号75)およびA_EDC4単独の背景蛍光発光はない(図17の2および3)。次に、DPC反応は触媒依存性であるが、pH依存性ではない。(S)−PMPの追加なしでは、蛍光シグナルはない。反応条件のpHを単にpH8.4から10.0へ増加させても、シグナルは生成されなかった(図17の5および6)。最後に、DPC反応は、ワトソン−クリック配列に特異的である(核酸依存性)。EDC4を、3つのミスマッチ核酸塩基DNA(EDC3、DNA:配列番号76)と切り替えたが、140分後でも蛍光シグナルは生成されなかった。微量の蛍光シグナルのみが、16時間後に検出された(図18)。16時間後、LC−MSは、反応1に対して、生成物の約90%の変換を示した(図19)。図20は、構造を確認する、精製されたDPC生成物(EDC4_H_EDC2)(DNA:配列番号77;配列番号75)のエレクトロスプレーのマスデータを示す。EDC2_H_EDC4(DNA:配列番号75;配列番号77)に対して測定された相対量子収率は、蛍光標準としてスルホローダミン101を使用して、水中で約0.1であった。550nmでのEDC2_H_EDC4(DNA:配列番号75;配列番号77)の消散係数は、水中で約87000であった。
【0122】
DPC反応:反応は、特別の定めのない限り、室温で10mMの(S)−PMP、pH8.4の50mMのナトリウムリン酸緩衝液、1MのNaClにおいて、200nMの各試薬で行った。触媒(S)−PMPは、両方の試薬を反応緩衝液に混合した後、加えた。
【0123】
実施例11 DPCヘミシアニン形成(螺旋構造の中部)
図式10は、反応物が、単一鋳型に相補的であり得る2つのプローブに標識化された螺旋中部構造を介するDPCヘミシアニン形成の他の実施例を提供する。アニール時には、2つのヘミシアニン前駆体は、反応するように螺旋端部に近接させ、両方のDNAと連結したヘミシアニンを形成した。実験データによって、鋳型が存在する場合にのみ、蛍光シグナルが生成されることが示された(図21)。EDC2_H_EDC5(DNA:配列番号75;配列番号78)は、精製し、その構造は、マスデータによって確認した(図22)。EDC2_H_EDC5(DNA:配列番号75;配列番号78)単独に対して測定された相対量子収率は、EDC2_H_EDC4(DNA:配列番号75;配列番号77)と同様であった(水中で0.1)。550nmでのEDC2_H_EDC5(DNA:配列番号75;配列番号78)の消散係数は、水中で約75000であった。
【0124】
【化19】

【0125】
DPC反応:10mMの(R)−PMP、pH8.4の50mMのナトリウムリン酸緩衝液、1MのNaClにおいて、温室で、各200nMのインドリニウム_EDC5(DNA:配列番号78)、アルデヒド_EDC5(DNA:配列番号78)、EDC1(DNA:配列番号74)で、反応を行った。(S)−PMPは、試薬および鋳型の両方を反応緩衝液に混合した後、加えた。
【0126】
実施例12 ヘミシアニンDPCの動態検査
螺旋端部(実施例10)および螺旋中部(実施例11)DPCの両方に対する反応率を、蛍光分光によって調査した(図23および図24)。両反応に対する動態プロファイルは、非常に類似していた。約16時間後、蛍光シグナルは、反応の完了を示す停滞期に達した。
【0127】
実施例13 螺旋中部DPCを介しての4つの蛍光ヘミシアニン色素の生成
図3は、DPCによって生成することができる4重ヘミシアニン_DNA色素の実施例を提供する。この実施例では、合計2つの第四級塩前駆体(インドリニウムIおよびベンゾインドリニウムBI)および2つのアルデヒド(A0、A1)が、4つのDNAヘミシアニン色素を生成するために必要である。これらの前駆体は、構造的類似性を共有するため、第四級塩およびアルデヒドに対するDPC条件は、類似しているはずである。文献データによると、ベンゾインドリニウム化合物は、概して、20nmの赤方偏移を与えるが、一方、1つの追加の二重結合抱合が、可視範囲(ヘミシアニン色素に対しては約80nm)に向かって、蛍光発光波長をシフトさせる。図3には、これらの4つのヘミシアニン_DNA色素の分光特性が掲載される。
【0128】
小分子ヘミシアニン色素(9から12)を、まず合成し、それらの蛍光励起および発光スペクトルを記録した(図25)。予測したように、1つの追加のフェニル置換は、蛍光発光を、赤の方向に、20nmシフトさせたが(化合物9および10)、ポリエン鎖における各追加ビニル基は、約80nmシフトした(9および11、10および12)。DNAコドンの有用性およびDNAプローブ調製の簡便性を最大限にするために、IおよびBIを標識化するために2つのDNA鎖のみが使用され、4つの鋳型鎖を有するアルデヒドに対して2つのDNA鎖を使用した(図26)。各鋳型は、1つのヘミシアニン色素を生成するために、1セットのアルデヒドおよび第四級塩前駆体とワトソン−クリック塩基対合のみを行うことができる2つの固有のコドンを有した。DPCは、ワンポットにおける組み合わせ法で行った。図27は、上述のDNAコドンを使用する、インドリニウム/アルデヒド(a)、ベンゾインドリニウム/アルデヒド(b)、インドリニウム/α,β−不飽和アルデヒド1(c)、およびベンゾインドリニウム/α,β−不飽和アルデヒド1(d)との間の4つの個別のDPC反応の正規化蛍光発光スペクトルを示す(図26)。これらのDPC反応から4色が生成された。小分子ヘミシアニン色素からの蛍光データと同様に(図25)、約15nmの蛍光発光波長差が、1つの追加のフェニル置換に対して見られた(化合物13および14、15および16)。ポリエン鎖における1つの追加ビニル基は、約80nmの蛍光発光波長でシフトした(化合物13および15、14および16)。
【0129】
DPC反応:反応は、室温で、10mMのN,N−ジメチルエチレンジアミン(DMEDA)、pH8.4の50mMのナトリウムリン酸緩衝液、150mMのNaClにおいて200nMの各鎖および鋳型を使用して行った。触媒は、両方の試薬と鋳型を反応緩衝液に混合した後、加えた。
【0130】
実施例15 螺旋端部DPCを介する2つの蛍光ヘミシアニン色素の生成
2つのヘミシアニン生成物は、抗ジップ3_インドリニウムと、それぞれ抗ジップ2レポータ1_A0および抗ジップ2レポータ1_A1を混合することによって形成した(DNA:配列番号69)。抗ジップ3_インドリニウム(DNA:配列番号70)と抗ジップ2レポータ1_A0(DNA:配列番号69)の間で形成された生成物(17)は、540nmの最大励起および600nmの最大発光を有したが、抗ジップ3_インドリニウム(DNA:配列番号70)と抗ジップ2レポータ1_A1(DNA:配列番号69)との間で形成された生成物(18)は、600nmの最大励起および670nmの最大発光を有した(図28)。
【0131】
DPC反応:反応は、30℃で、15mMのDMEDA、pH8.0の50mMのナトリウムリン酸緩衝液、2.5mMのMgClにおいて200nMの各試薬を使用して行った。総反応体積は50μLであった。触媒DMEDAは、両方の試薬を反応緩衝液に混合した後、加えた。蛍光は、触媒DMEDAを追加した直後に記録した。
【0132】
DPC塩基のタンパク質検出に関する一般例
実施例16 ハイブリタイゼーション誘導のアジドクマリン還元による蛍光の作成
5つのオリゴヌクレオチドは、標準ホスホラミダイト化学(Glen Research,Sterling VA,USA)を使用して調製した。5’−アミノ基(オリゴ2およびオリゴ6)を担持するオリゴヌクレオチドは、5’−アミノ−修飾因子5を使用した調製し、3’−アミノ基(オリゴ4およびオリゴ5)を担持するオリゴヌクレオチドは、3’−アミノ−修飾因子C7 CPG(Glen Research,Sterling VA,USA)を使用して調製した。
【0133】
【化20】

【0134】
【化21】

【0135】
オリゴ1、オリゴ4、およびオリゴ5は、合成担体から除去し、逆相HPLCによって精製した。オリゴ2およびオリゴ6のアミノ基は、それらのトリフェニルホスフィン誘導体と樹脂結合する間に変換し、これらを精製、単離し(Sakurai,et al.,J.Amer.Chem,Soc.,2005,127,pp1660−1667)、それぞれオリゴ2−TPPおよびオリゴ−6TPPを得た。
【0136】
オリゴ4およびオリゴ5を担持するアミノ基は、7−アジド−4−メチルクマリン−3−酢酸のN−ヒドロキシスクシンイミドエステルとの各オリゴの反応によって、それらのアジドクマリン誘導体(それぞれ、オリゴ4−AzCおよびオリゴ5−AzC)に変換した(Thevenin,et al.,Eur.J.Biochem.(1992)Vol.206,pp−471−477)。反応は、1μLのトリフルオロ酢酸を5μLのN−メチルモルホリンに加えることによって行い、6.6nmolのオリゴ4もしくはオリゴ5を含有する10μLの水を加え、その後、ジメチルホルムアミド中のクマリンNHS−エステルの30μLの0.16Mの水溶液を追加した緩衝液を調製した。各反応は、室温で2時間、継続し、その後、50μLの0.1Mの含水酢酸トリエチルアンモニウムを加えた。混合物をNAP−5脱塩カラム(Amersham Bioscience,Piscataway NJ USA)に加え、取扱説明書に従い溶出し、溶出液をRP−HPLCによって精製し、それぞれ77%および70%の収率でオリゴ4−AzCおよびオリゴ5−AzCを得た。生成物の同一性は、Maldi−ToF質量分析によって確認した。
【0137】
蛍光のハイブリタイゼーションに特異的な作成を証明するために、アジド−クマリンおよびトリフェニルホスフィン部分を担持する相補的および非相補的オリゴヌクレオチドの様々な組み合わせを、30%含水ホルムアミド、50mMのNaCl、およびpH7.2の10mMのナトリウムから成る緩衝液において、室温で反応させた。反応進行は、サンプルを360nmで励起し、455nmで光の放射をモニタするように設定したVictor Multilable蛍光光度計(EG&G Wallach,Turku Finland)を使用して経時的にモニタした。
【0138】
図29は、オリゴ4−AzCおよびオリゴ2−TPPを、それぞれ200nMおよび400nMの最終濃度に混合する場合、蛍光の急速な増加が見られることを示す。この図において、004は、オリゴ4−AzCを意味し、002は、オリゴ2−TPPを意味し、006は、オリゴ6−TPPを意味する。オリゴ6−TPPがオリゴ2−TPPに置換した場合、蛍光は生じない。オリゴ2−TPPは、オリゴ4−AzCに対するその塩基対合能力において完全に相補的であるが、オリゴ6−TPPは、3つのミスマッチのヌクレオチドを含有するため、相補的ではない。結果は、蛍光の作成が、オリゴ2−TPPのオリゴ4−AzCとハイブリダイズする能力によること、従って、得られたハイブリッドにおいてTPPとアジドクマリン部分との間の反応を促進するという結論が裏付ける。オリゴ6−TPPとオリゴ4−AzCの反応の場合におけるシグナルの欠如は、これらの2つのオリゴヌクレオチドの二本鎖を形成する能力がないことに一致し、したがって、反応は促進されない。各単一オリゴヌクレオチドを含む対照反応は、いかなる非特異的効果をも排除するために行った。
【0139】
三重複合体に関与する追加実験の結果を図30に示す。これらの実験において、オリゴ1は、ハイブリタイゼーションによって、2つの完全に相補的なオリゴヌクレオチド(オリゴ5−AzCおよびオリゴ−2TPP)を結合させるその能力と、1つの完全に相補的なオリゴヌクレオチド(オリゴ5−AzC)および1つの部分的に相補的なオリゴヌクレオチド(オリゴ6−TPP)を結合させるその能力を比較するために試験した。オリゴ1およびオリゴ5−AzCは、200nMの最終濃度で、オリゴ2−TPPおよびオリゴ6−TPPは、400nMの最終濃度で使用した。図30において、001は、オリゴ1を意味し、002は、オリゴ2−TPPを意味し、005は、オリゴ5−AzCを意味し、006は、オリゴ6−TPPを意味する。結果として、蛍光は、完全に相補的なオリゴヌクレオチド(オリゴ1、オリゴ5−AzCおよびオリゴ2−TPP)の組み合わせが存在する場合にのみ生成された。
【0140】
実施例17 オリゴヌクレオチドのハイブリタイゼーション、濃縮、および融解温度
10塩基の相補的領域および10塩基の一本鎖のスペーサアームを有し、さらに6炭素スペーサアームと連結した2つの20merオリゴヌクレオチドを含むモデルシステムを調製した。これらのオリゴは、5’−ビオチン(6炭素スペーサアームを有する)の存在および不在の両方で合成した。以下に示されるように、相補的領域には、下線が引かれている。第3のオリゴは、(−)鎖オリゴと同一であるが、(+)鎖に対して4つの塩基ミスマッチ(イタリック体)がある。
【0141】
【化22】

【0142】
10塩基対オリゴヌクレオチド対(オリゴ26+オリゴ27)の融解曲線は、Bio−Rad iCyclerにおいて、二本鎖DNAと結合するSYBR色素の蛍光を測定することによって調べた(Lipsky,et al.,Clinical Chemistry 2001,47[4],635−44)。最大値が、曲線の屈曲点を表すように、結合曲線は、融解曲線の傾斜の第1の誘導体として表した(T、または二本鎖の部位の混合群の場合、「局部」T)。結合曲線は、アビジンが、70℃以上までビオチン結合活性を保持するため、少なくともこの温度まで得た。
【0143】
この特定の対のオリゴヌクレオチドの濃度に対する依存性を調べるために、融解曲線を、500から20nMの範囲で変化したオリゴヌクレオチド対に対して生成した(図31)(例えば、Lipsky,et al.,Clinical Chemistry 2001,47[4],635−44を参照)。得られたTは、図31のグラフにおける予測と同様に、オリゴヌクレオチド対の濃度が10分の1になるごとに、約10℃の割合で低下した(RFUは、相対蛍光単位を示す)。融解曲線は、ビオチン化および非ビオチン化オリゴヌクレオチド対に対して本質的に同一であった。4塩基のミスマッチ対は、本質的に、二本鎖構造を示さなかった。
【0144】
(+)および(−)鎖をタンパク質標的に結合することが、Tを増加させるかどうかを試験するために、ビオチン化したこれらのオリゴヌクレオチドを、アビジンの存在下でインキュベートした。アビジンは、比較的互いに近く配置され、非常に堅く(Ka約<10−15M)、非協力的にビオチンと結合する、4つの同等物結合部位を含有する。
【0145】
ビオチン化した形でのオリゴヌクレオチド#26および#27の等モル濃度を見ると、ビオチン結合部位の約半分がオリゴヌクレオチドの相補的な対によって占められ、約半分が、同オリゴヌクレオチド(非相補的な対)で示されることが予想される。アビジンの存在下で2つの融解曲線ピークが見られることが予測される。1つのピークは、いずれかがアビジン(水溶液中で遊離)と非結合である、もしくはTに対して近接効果を提示しないはずであるアビジンとの2つの結合のうちの1つのパートナーのみを有する、任意の対のオリゴヌクレオチドの結果である。有意に高いTの第2のピークは、近接効果を提示するはずである両方がアビジンと結合した一対のビオチン化オリゴを提示する。
【0146】
そのような実験は、図32で示されるように行われた。オリゴヌクレオチドは、60℃に維持された、いわゆるホットスタートで、アビジンの存在下または不在下の水溶液に加えた。「ホットスタート」において、オリゴヌクレオチドは、水溶液におけるそれらのTをはるかに上回る温度で、ビオチン結合部位と結合し、それらが一本鎖であることを確実にする。その後、水溶液を10℃に下げ、70℃に上昇させて、融解曲線分析を行なった。図32に示されるように、アビジンの存在下または不在下における非ビオチン化オリゴ対の融解曲線は、30〜32℃のTを示した(RFUは、相対蛍光単位を示す)。しかしながら、アビジンの存在下では、2つの十分に離れたTピークが、33℃および52℃のT値で生成された。上昇温度ピーク(ほぼ20℃に上昇したT)は、アビジンの存在下における2つの相補的ビオチン化オリゴヌクレオチドの存在下でのみ見られた。ビオチン存在下と不在下のTの差は、低塩濃度で最も高い傾向を示し(図33)、10mMの塩化マグネシウムの存在下においてわずかに高い(図34)(RFUは、相対蛍光単位を示す)。ビオチン化オリゴヌクレオチド対アビジンの最適モル比は、約3.5:1であることがわかり(オリゴ+アビジンの総濃度=0.7μM)、4つの同等物結合部位を有するアビジンに一致した(図35)(RFUは、相対蛍光単位を示す)。これは、オリゴヌクレオチドは、アビジンの同分子と結合するという、T効果を得るための要件を実証するため重要なことである。5’ビオチン化鎖オリゴヌクレオチドに対する3’ビオチン化(−)鎖オリゴへの置換は、両方のオリゴヌクレオチドが、5’ビオチン化であった過去の結果に対し、T値の差はほとんど示さなかった(図36)(RFUは、相対蛍光単位を示す)。
【0147】
室温で両方のオリゴヌクレオチドの等モル量を加え、60℃に上昇し、その後、融解曲線を得ることによって実験を行ったが、結果は本質的に同一であった。この方法(およびホットスタート法)では、適切な融解曲線は、必要に応じて、各オリゴのアビジンに対する過剰モルを加えることによって生成することができる(しかしながら、予測されるように、オリゴ対の大過剰によって、低Tピークの大きさが増加する)。オリゴ対は、等モル量で一緒に加える限り、ビオチン結合部位を得るために同等に競合したため、これは、高TハイブリッドDNAを形成する際に有害ではなかった。オリゴを、一度に1つずつ加えた場合、第1のオリゴ対アビジンの約2:1のモル比、その後、第2のオリゴ対アビジンを2:1で加えることが重要であった。逐次追加では、いずれかのオリゴのアビジンに対する過剰モル量を加えることによって、第1のオリゴによりアビジンの全ての結合部位が占領され、第2の相補的オリゴは、隣接する部位の占領できなくなり、T効果上昇が提示されない。これらの観察は、Tピークの上昇を提示するハイブリッドを得るための、相補的オリゴの隣接する対の2つの隣接するビオチン結合部位との結合であるメカニズムに一致する。
【0148】
実験は、全体がAおよびTから成る10塩基の自己相補的オリゴヌクレオチドでも行った(オリゴ31:5’−ビオチン−スペーサアーム−TTTTTTTTTTTTTAATTAAA)(配列番号27)。このオリゴヌクレオチドは、塩基組成において均一であり、全体がATから成るため、上に記載のモデルシステムより低いTで融解し、相当急な融解曲線を形成した。アビジンの存在下では、そのTは、30.5℃から61.5℃に増加した(図37)(RFUは、相対蛍光単位を示す)。このオリゴヌクレオチドは自己相補的であるため、全ての結合は、結合の2分の1のみではなく、相補的鎖に至る。そのため、Tの増加の単一ピークのみが見られた。
【0149】
これらの実験は、アビジンではなく、抗ビオチン抗体を標的として使用して繰り返された。抗ビオチン抗体は、抗体のFab部分の端部の近くに位置する2つのビオチン結合部位を含有するが、結合部位は、アビジン上のビオチン結合部位よりさらに離れている。
【0150】
実施例18 アプタマーを標的結合剤とする、タンパク質標的の検出
ここで、2つの相補的DNAプローブのアプタマー結合およびアニール時におけるタンパク質標的を検出するために、核酸を鋳型とするアジドクマリン(AzC)−トリフェニルホスフィン(TPP)化学を使用する例示的なシステムを設計した。
【0151】
材料
ヒトPDGF−BBおよびPDGF−AAは、R&D Systems(それぞれ、220−BBおよび220−AA)から得た。抗ヒトPDGF−Bサブユニットモノクローナル抗体は、R&D Systems(MAB2201)から得た。緩衝液は、pH8.0の50mMのトリス/HCl、10mMのMgClで、トリス/Mg緩衝液を含んだ。以下のオリゴヌクレオチドを使用した。
【0152】
【化23】

【0153】
【化24】

【0154】
方法
DPC反応条件 指定のない限り、100μlの総体積において、各100マイクロリットルの反応物は、1×トリス/Mg緩衝液、40ピコモルのTPPおよびAzC反応プローブ、40ピコモルの標的オリゴヌクレオチドもしくは標的タンパク質、および典型的に25〜30%v/vのホルムアミドを含有した。サンプルは、Wallac Victor1420分光光度計において25℃でインキュベートし、蛍光の増加を、355nmの励起および460nmの発光でモニタした。
【0155】

結果:アプタマー−DPCプローブによるPDGF−BBの検出
図38に示されるように、血小板由来増殖因子(PDGF)B−サブユニットに対して標的されたアプタマー配列を選択した(Fang,et al.,Chem.BioChem.2003,4,829−34)。これは、PDGF−Bサブユニット(約10−9M)に対する高い親和性、およびPDGF−Aサブユニットに対して約10分の1の低い親和性を有する一群のアプタマーに属する(Green,et al.,Biochemistry 35,14413−24,1996)。プローブ配列を合成し、それぞれ、相補的10−merDNA配列、C10スペーサ配列、および同35−merアプタマー配列を含有した(オリゴ#201、#202)。各配列は、それぞれ3’もしくは5’と連結したアプタマーを有する5’−TPPもしくは3’−AZC基を含有した。第2のAzCプローブであるオリゴ#203は、そのアニール配列が、完全に、TPPオリゴ(#201)とミスマッチしたこと以外は、オリゴ#202と同じであった。
【0156】
図39に示されるように、30%(体積)ホルムアミドの存在下では、TPPおよびAzCプローブの互いの反応は、完全に、プローブ上のPDGF−BBおよび相補的DNA配列の存在に依存した。反応は、いずれかのプローブの不在下においては不成功に終わった。
【0157】
反応のDNA依存性は、アッセイ温度に対するDNAの融解温度に非常に依存した。0%ホルムアミドの存在下では(計算され、観測されたT>Tアッセイで)、反応は、標的タンパク質PDGF−BBの存在または不在下において行った(図40A)。実際には、これらの条件の下、PDGF−BBの追加によって、反応率が、約50%増加ではなく減少した。10%ホルムアミドでは、PDGF−BBは、それほど抑制的ではなかった(図40B)。20%ホルムアミド(図41A)では、状況は完全に逆であり、反応率は、PDGF−BBの存在下を除いて、弱くなかった。30%ホルムアミド(図41B)では、反応は、完全に、PDGF−BBの存在に依存した。40%ホルムアミドでは、反応は、いかなるセットの反応物でも非常に遅かった(図42)。全ての場合において、ミスマッチのプローブは、反応をほとんど、または全く生じなかった。
【0158】
SYBR Greenてモニタされた、相補的配でのDNA融解実験は、ホルムアミドの不在下におけるトリス/Mg緩衝液において配列のTは約30℃、およびホルムアミドの10%の増加ごとに配列のTが約7℃低下することを示した。検出アッセイに対する最適ホルムアミド濃度30%に対するTは、10℃であった。
【0159】
0%ホルムアミドでは、オリゴヌクレオチドは、PDGF−BBの不在下においても、少なくとも部分的二本鎖を形成することができる(Tは、Tアッセイよりわずかに高い)。20%および30%ホルムアミドにおける反応のDNA標的依存性は、タンパク質標的の不在下においてTより高い温度で行ったアッセイによって説明される。反応は、複合体のTが、2つのプローブのPDGF−BB標的との結合によって増加しない限り、起こらない。40%ホルムアミドでは、反応は、いかなる反応物のセットでも起こらない。可能性として、Tが減少しすぎたため、PDGF−BBとの結合によって、それをTアッセイ上に上昇させることができなかった、または、ホルムアミドが、PDGF−BBのアプタマーへの結合を抑制したと説明できる。より複雑な状況は、ホルムアミドの不在下でのPDGF−BBの追加時における反応率の観測された抑制である。PDGF−BBによって形成された二本鎖の半分は、非生産的であるため(50%は、ホモ二本鎖)、率の低下は、恐らく、PDGF−BB結合によって、これらのホモ二本鎖が、ヘテロ二本鎖を形成する相補的対と、水溶液において解離そして再連結しないようになることによる可能性が高い。この状況は、特にヘテロ二量体標的における異なる結合部位を標的にするプローブ対の使用によって生じないはずである。
【0160】
当該アッセイの感度(図43)は、PDGF−BB濃度の希釈系列から生成された反応率を測定することによって計算した。Wallac機器での最小検出レベルは、アッセイの背景雑音の標準偏差の3倍の計算値に基づいて、100マイクロリットルアッセイ体積において0.8ピコモルと予想した。
【0161】
アッセイ感度も、PDGF−AAを標的として使用して判定された。アプタマーモノマーは、PDGF−BBに対する親和性の約10倍弱いPDGF−AAに対する親和性を有すると考えた。しかしながら、アッセイは、2つのアプタマー二量体といずれかの型のPDGFとの複合性の形成に関与するため、二量体の結合の親和力は、モノマーの親和性より堅いと考えられ、その親和性は、標的PDGFの試験された濃度より(約1ナノモノマー低下)実質的に堅い(低K)べきである。図44に示されるように、低もしくは高濃度(0、1.25、2.5、5、10、20、および40ピコモルのPDGF−AA)でのPDGF−AAとのアプタマーDPCプローブの反応率は、PDGF−BBとの反応率と実質的に異ならない。これは、二量体として結合し、親和力の増加を提示するアプタマー対のモデルに一致する。
【0162】
AzCプローブに対するTPPの比率 反応メカニズムのモデルを確認するために(図8、TPP対AzCプローブの最適比率は、1:1と予測される)、図45は、2つのプローブの比率は変化するが、2つのプローブの総量は、800nmoleのプローブ/反応で一定にした実験である。最高反応率を生じる比率は、約1:1であり、予測されたメカニズムに一致した。
【0163】
そのため、このモデルシステムでは、アプタマーが結合し、2つのプローブにおける相補的配列が互いにアニールしない限り、蛍光は生成されなかった。
【0164】
実施例19 アプタマー結合剤での核酸を鋳型とする化学ベースの生物学的検出に対するジップコード形式の構造
図14[15×]は、例示的なジップコード構造をより詳細に示す。TPP対は、まず、5’−末端上のPDGF−アプタマー、C18ポリエチレン−グリコールベースのスペーサ、および18−merジップコード配列を含有した。TPPレポータ配列は、その3’末端上の相補的抗ジップコード配列、C18PEGスペーサ、および5’TPP基で終了する10塩基対レポータ配列を含有した。AzC検出プローブを含むオリゴヌクレオチド対は、C18PEGスペーサによって別のジップコードと連結した3’−アプタマー、および5’抗ジップコード、C18PEGスペーサ、および3’AzC基で終了するレポータオリゴヌクレオチド(TPPオリゴヌクレオチドに相補的)と連結する検出オリゴヌクレオチドを含有した。
【0165】
22℃の35%ホルムアミドでは、反応は、両方のレポータオリゴヌクレオチド、両方のアプタマーオリゴヌクレオチド、および標的PDGF−BBの存在に依存した(図46)。22℃でのホルムアミドの不在下では、反応は、PDGFの存在とは関係なく進行した。これは、上に記載の「一体化」構造の性質に一致し、35%ホルムアミドにおける蛍光生成のメカニズムが、PDGFの追加時における、ホルムアミドにおけるレポータ配列二本鎖熱安定性の増加に依存することを反映する。22℃でのホルムアミドの不在下において、レポータオリゴヌクレオチド二本鎖は、PDGFの存在または不在下の両方において安定した。
【0166】
モデルの正確さは、TPP対AzCアプタマーオリゴの比率を変えた実験によって確認した(図47)。これらの実験は、アプタマーオリゴの最適比は、予測された1:1の比率(すなわち、0.4μMのPDGFおよびアプタマーオリゴの総濃度で、50%TPPオリゴ)であったことを示した。総レポータオリゴヌクレオチド対総アプタマーオリゴの最適比も、1:1であった。PDGF依存性反応は、受容体もしくはアプタマーオリゴヌクレオチドのいずれか1つの完全不在下では生じなかった。レポータオリゴヌクレオチドの化学量論的濃度以上では、PDGF非依存性シグナルは増加したが(背景)、PDGF依存性シグナルは、ほぼ一定であった。これらの観察の両方は、複合体が、各アプタマーオリゴ、各レポータオリゴ、およびPDGFに対して、1:1:1の比率で集合するモデルに一致した。
【0167】
これらの実験は、各ジップコードおよびその抗ジップコードが、レポータ配列またはアプタマー配列との最小の干渉の中で互いにアニールするように、複合体は、水溶液において自己集合することを示した。
【0168】
追加の順序、したがって、アプタマーおよびレポータプローブの集合の様態が、重要であったかどうかを判定するためにも、実験を行った。全てのプローブを混合物に一度に加えることと比較して、レポータオリゴヌクレオチドを加える前に、アプタマーオリゴヌクレオチドを、まずPDGFでインキュベートした場合、わずかに遅い反応率が得られた。アプタマーオリゴヌクレオチドおよびレポータオリゴヌクレオチドの各対を、混合し、PDGFでインキュベートする前に、2つのセットを、まずインキュベートし、互いに集合できるようにした場合、幾分高い反応率が得られた。この理由は、アプタマープローブが、既に標的と結合している場合、アプタマープローブにアニールするジップコードと抗ジップコードに対して多少の立体障害があるからである可能性がある。
【0169】
対照として、ジップコード−抗ジップコード配列ではなく、ジップコード配列のみを含有する、1セットの一体化TPPおよびAzCプローブを比較した(図48)。この一体化システムの反応率は、PDGFの追加による率の改善が、典型的に、二体化システムよりもわずかに良好であることを除いて、二体化システムのそれと同様であった。
【0170】
アプタマー含有TPPおよびAzCプローブの配列も、設計に対する任意の制約を判定するために、体系的に変化させた。アプタマー含有TPPおよびAzCオリゴを合成し、両方とも、図14に記載されるように同じ配列を有したが、次の変更があった。(1)C18−PEGスペーサの省略(オリゴ119および122)、(2)C18−PEGスペーサの配列C10−での置換(オリゴ120および123)、(3)C18−PEGスペーサの配列C20−での置換(オリゴ121および124)、(4)C18−PEGスペーサの省略、およびジップコード領域における3つの3’塩基の省略(15塩基への長さの減少)(オリゴ127および129)、および(5)C18−PEGスペーサの省略、およびジップコード領域における6つの3’塩基の省略(12塩基への長さの減少)(オリゴ128および130)。
【0171】
この実施例で使用したオリゴヌクレオチドは、以下を含む。
【0172】
【化25】

【0173】
【化26】

【0174】
これらの、いずれの変更によっても、システムの性能に有意差は生じなかった。実験4)および5)も、レポータオリゴヌクレオチドにおけるC18スペーサのすぐ上流で3および6塩基の一本鎖(ジップコードにアニールしない)構造をもたらした。
【0175】
これらの実験の結果は、アプタマーベースのPDGF検出システムは、結合およびDPC機能を2つの個別のオリゴヌクレオチドに分離することによって構成できることを示す。適切なジップコード配列の選択によって、図13に記載される検出形式は、一体形成で合成されたオリゴヌクレオチドと同様に機能する、アニールされたオリゴヌクレオチドの対に自己集合した。レポータおよびアプタマーオリゴヌクレオチドは、標的の導入前に、個別に集合され得るか、もしくは、全ての種は、ほぼ任意の順序で、一緒に追加され得る。この工程は、例えば、複数の標的を検出するために、アニールされた検出オリゴの1つ以上の対の溶液相集合に拡張し得る。複数の標的の検出は、個別で認識できるシグナル(例えば、放射光の異なる波長)を生成する異なるレポータオリゴヌクレオチドの使用を必要とする場合がある。
【0176】
これらの結果は、例えば、アプタマー含有オリゴヌクレオチドを使用して、ジップコード形式の報告法を、効果的に設計することができることを示す。
【0177】
アプタマーシステムでの結果が、結合とレポータ配列との間の安定複合体は、単に、ジップコードおよび抗ジップコード領域をアニールすることによって形成することができることを示したが、レポータ反応基の活性を高い可能性で保持する、共有結合的および不可逆的に2つのオリゴヌクレオチドを互いに連結する技術があることに注意するべきである。例えば、オリゴヌクレオチドは、ジップコードおよび抗ジップコードがほとんど二本鎖であり、残りの配列は一本鎖である温度において、対(核酸を鋳型とする化学に対する結合剤オリゴヌクレオチドおよび反応性オリゴヌクレオチド)でインキュベートすることができる。Trioxalen等の光活性化可能な挿入架橋剤を加え、その後、紫外線を照射することによって、2つの鎖を不可逆的にクロスリンクすることができる。同様に、紫外線照射によって、アニールされた配列の個別の鎖の間にチミジン二量体を導入し得る。別様に、配列は、後にDNAリガーゼと結紮し得る、短標的(接合)DNA、隣接した3’および5’に相補的に導入し得る。接合オリゴヌクレオチドは、別様に、RNAから成ってもよく、DNAにアニールされたRNAを加水分解するRNaseHとの結紮の後に除去してもよい。これによって、2つのオリゴヌクレオチドを、単一の一本鎖DNAに変換することができる。これらの方法により、特定の標的に対する検出キットにおけるオリゴヌクレオチド試薬を、費用効率良く製造することができる。
【0178】
この実施例に関連する参照文献は、Capaldi,et al.,Nucleic Acid Res.,2000,28[7],e21.;Castiglioni,et al.,Appl.and Exper.Microbio.,2004,7161−72;Fang,et al.,Chem.Biochem.,2003,4,829−34.;Gerry,et al.,J.Mol.Biol.,1999,292,251−62を含む。
【0179】
実施例20 DPC塩基の生物学的検出に対するジップコード形式の構造−抗体結合剤
他の実施形態において、アプタマー配列は、抗体等の非DNA結合剤と置き換えられる。PDGFおよび他のタンパク質標的に対して、アプタマー配列は、アルデヒド等の化学的活性基と置き換え、タンパク質標的に対する抗体または受容体等の非DNA結合剤配と反応させる(図16)。結合剤およびレポータオリゴヌクレオチドに対する最適設計は、結合剤の大きさおよび形状、および標的の結合部位の大きさおよび形状に配慮して得ることができる。例えば、より長い、もしくはより短いスペーサアームを、標的上の結合部位の間の距離を最適に補い、結合剤自体による立体障害を回避するために使用され得る。
【0180】
図16を参照すると、TPPレポータ分子とハイブリタイズするように設計されたジップコード形式のオリゴヌクレオチドを5’−アミノ基を含有するように合成した。AzCレポータ分子とハイブリタイズするように設計されたジップコード形式のオリゴヌクレオチドは、3’−アミノ基を含有した。オリゴヌクレオチドと抗PDGF−BB抗体との抱合体の合成は、SoluLink Biosciences(San Diego,CA)によって行われた。
【0181】
抗体およびオリゴヌクレオチドの抱合のためのSoluLink技術は、まず、アセトンヒドラゾンを抗体上に取り込むために、スクシンイミジル2−ヒドラジノニコチネートアセトンヒドラゾンによる抗体の第一級アミノ基の修飾が必要である。オリゴヌクレオチドの第一級アミンは、スクシンイミジル4−安息香酸ホルミルで個別に活性化した。2つの活性分子は、所望の比率(典型的に、6:1)で混合し、安定したヒドラゾン連結を形成するために、弱酸性のpHで反応させた。この化学の詳細は、www.SoluLink.comで閲覧可能である。2つの抱合体を調製し、一方は、AzC含有レポータオリゴヌクレオチドにアニールするためのジップコードを含有し、他方は、TPP含有レポータオリゴヌクレオチドにアニールするためのジップコードを含有した。
【0182】
SoluLinkから入手した抗体−オリゴヌクレオチド抱合体は、PBS緩衝液(pH7.4の0.01Mのカリウムリン酸塩−0.138Mの塩化ナトリウム)においてSuperdexS−200(Amersham Biosciences)の1.6×60cmカラムのゲルクロマトグラフィによってさらに精製した。カラム体積の約0.6倍で溶出する主要抗体ピークを採取し、汚染している非抱合オリゴヌクレオチドの後の溶出ピークは、処分した。抗体抱合体は、Pierce Concentrating Solutionを使用して、Pierce(Rockford,IL)30K分画分子量Slide−A−Lyzerによる逆透析で濃縮した。タンパク質含有量は、Bio−Rad Micro BCA Reagent Kitを使用して測定し、オリゴヌクレオチド含有量は、SYBR Gold DNA結合色素(Molecular Probes(Eugene,OR)を使用して測定した。抱合体は、両方とも、タンパク質分子当たり平均約3オリゴヌクレオチドを含有することが判定された。
【0183】
組み換えヒトPDGF−BB(220−BB)およびマウスモノクローナル抗PDGF−BB(MAB220)は、R&D Systems(Minneapolis MN)から入手した。
【0184】
本研究において使用した配列は、以下のものを含む(AzCは、アジドクマリンを示し、TPPは、トリフェニルホスフィンを示す)。
【0185】
【化27】

【0186】
なお、5’アミノ修飾因子C6は、Glen Research(Glen Research、ホスホラミダイト110−1906)から入手した。3’−アミノ修飾因子C7は、Glen Research(Glen Research、CPG20−2957)から入手した。C18PEGは、Glen Research(Glen Research、ホスホラミダイト10−1918)から入手した。
【0187】
抗体−オリゴ抱合体とレポータオリゴヌクレオチドとの集合
それらのレポータを有する2つの抗体−オリゴ抱合体は、まず、10μlの体積において個別に集合させた。各集合体は、pH8の0.05Mのトリス/HCl−0.01Mの塩化マグネシウムにおいて、0.5μM(5ピコモル)の抗体−オリゴヌクレオチド抱合体、および0.15μM(15ピコモル)の相補的レポータオリゴヌクレオチドを含有した。それぞれ、検出反応混合物における使用の前に、少なくとも15分、4℃でインキュベートした。
【0188】
PDGF−BBでの抗PDGF−BB DPC抱合体/レポータの検出反応
検出反応を行うために、各反応物は、50μlの体積中に、上のように調製された各10μlの抱合集合体、および、可変量のPDGF−BBを、pH8の0.05Mのトリス/HCl、0.01Mの塩化マグネシウム、40%v/vホルムアミドの緩衝液において、含み得る。抱合体は、0.2μMでこの反応混合物に存在する。サンプルは、25℃のWallac Victor照度計内の黒い96ウェルのマイクロプレートのウェルでインキュベートする。蛍光は、355nmの励起および460nmの発光で、時間に対して追求することができる。
【0189】
反応は、典型的に、25℃で行い、反応生成物である7−アミノクマリンの波長の最適条件で蛍光生成をモニタし得る。
【0190】
参照による援用
本明細書で言及される各出版物および特許文献の開示の全体は、各個別の出版物もしくは特許文献が、そのように個別で示されるのと同じ程度で、あらゆる目的のために、全体として参照することにより援用される。
【0191】
同等物
本発明は、その精神もしくは本質的な特徴から逸脱することなく、他の特定の形で具体化されてもよい。したがって、前述の実施形態は、あらゆる点で、本明細書に記載される本発明への制限ではなく、実例となるものとみなされる。そのため、本発明の範囲は、前述の説明ではなく、添付の請求項の範囲によって示され、特許請求の同等の意味および範囲内に入る全ての変更は、本明細書に包含されることを意図する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有機触媒の存在下で水性条件においてアルデヒドと活性水素成分との間でアルドール縮合を行うステップを含む、ポリメチン色素を作製するための方法。
【請求項2】
前記縮合反応は以下の通りであり、
【化28】

式中、
Z’=O、S、Se、P、NH、NR、C(CHであり、Rはアルキル基であり、
n=0、1、2...であり、
R=H、アルキルであり、
R’’=H、アルキル、アルキルカルボン酸であり、
R’=PhまたはN−複素環、H、アルキル、SOH、OH、CN、Cl、Br、NO、NH、N(R)、ORであり、Rはアルキル基であり、
前記有機触媒は、第二級アミン、第一級アミン、または二官能性アミン−酸触媒である、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第二級アミンは、ピロリジン、ピペリジン、ノルニコチン、またはその類似体である、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記第一級アミンは、3つより少ないアミノ酸単位を有するバリンまたはペプチドである、請求項2に記載の方法。
【請求項5】
前記二官能性アミン−酸触媒は、ピロリジン/AcOHである、請求項2に記載の方法。
【請求項6】
前記有機触媒は、ピロリジニルメチル−ピロリジン、アミノメチルピロリジン、ジメチルエタン−1,2−ジアミン、プロパン−1,2−ジアミン、1−(2−アミノエチル)−ピペリジン、またはジメチルエチレン−1,2−ジアミンである、請求項2に記載の方法。
【請求項7】
請求項2の方法によって調製される(I)の化学構造を有するヘミシアニン色素であって、
【化29】

式中、
Z’=O、S、Se、P、NH、NR、C(CHであり、Rはアルキル基であり、
n=0、1、2...であり、
R=H、アルキルであり、
R’’=H、アルキル、アルキルカルボン酸であり、
R’=PhまたはN−複素環、H、アルキル、SOH、OH、CN、Cl、Br、NO、NH、N(R)、ORであり、Rはアルキル基である、
ヘミシアニン色素。

【請求項8】
IIもしくはIIIの化学構造を有するヘミシアニン色素であって、
【化30】

式中、
n1=1、2、3、4、5であり、
n2、n3=0から16であり、
R1=アルキルであり、
R2=Ph、H、アルキル、SOH、OH、CN、Cl、Br、NO、NH、N(R、ORであり、Rは、アルキル基であり、
=Ph、H、アルキル、SOH、OH、CN、Cl、Br、NO、NH、N(R、ORであり、Rは、アルキル基であり、
(II)
【化31】

式中、
n1=1、2、3、4、5であり、
n2、n3=0から16であり、
R1=アルキルであり、
R2=Ph、H、アルキル、SOH、OH、CN、Cl、Br、NO、NH、N(R、ORであり、Rは、アルキル基であり、
=Ph、H、アルキル、SOH、OH、CN、Cl、Br、NO、NH、N(R、ORであり、Rは、アルキル基である、
(III)

ヘミシアニン色素。
【請求項9】
IVもしくはVの化学構造を有するアルデヒドであって、
【化32】

式中、
n1=1、2、3、4、5であり、
n2=0から16であり、
R1=アルキルであり、
R2=Ph、H、アルキル、SOH、OH、CN、Cl、Br、NO、NH、N(R、ORであり、Rは、アルキル基であり、
(IV)
【化33】

式中、
n1=1、2、3、4、5であり、
n2=0から16であり、
R1=アルキルであり、
R2=Ph、H、アルキル、SOH、OH、CN、Cl、Br、NO、NH、N(R、ORであり、Rは、アルキル基である、
(V)
アルデヒド。
【請求項10】
VIもしくはVIIの化学構造物を有する第四級塩であって、
【化34】

第四級塩。
【請求項11】
以下の化学構造を有する第四級塩−核酸抱合体であって、
【化35】

式中、
n=0から16であり、
Z1=O、S、Se、P、NH、NR、C(CHであり、Rは、アルキル基であり、
R=任意の置換ベンジルもしくは高融合ベンジル環、H、アルキル、SOH、OH、CN、Cl、Br、NO、NH、N(R、ORであり、Rは、アルキル基であり、
=ベンゼンまたは任意のN−複素環である、
第四級塩−核酸抱合体。
【請求項12】
以下の化学構造を有するアルデヒド−核酸抱合体であって、
【化36】

式中、
n1=1、2、3、4、5であり、
n2=0から16であり、
R1=H、アルキルであり、
=PhまたはN−複素環、H、アルキル、SOH、OH、CN、Cl、Br、NO、NH、N(R、ORであり、Rは、アルキル基である、
アルデヒド−核酸抱合体。
【請求項13】
以下の化学構造を有するヘミシアニン色素−核酸抱合体であって、
【化37】

【請求項14】
ヘミシアニン−核酸抱合体を作製するための方法であって、請求項13に記載のヘミシアニンを作製するための、請求項12に記載のアルデヒドと請求項11に記載の第四級塩との間で核酸を鋳型とする反応を行うステップを含む、方法。
【請求項15】
前記核酸を鋳型とする反応は、螺旋構造の端部にある、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記核酸を鋳型とする反応は、螺旋構造の中部にある、請求項14に記載の方法。
【請求項17】
所望の蛍光特性を有する色素を選択するための方法であって、
(a)核酸を鋳型とする合成を介してオリゴヌクレオチドコード化色素のライブラリを調製するステップと、
(b)前記オリゴヌクレオチドコード化色素を、固体支持体上で固定化された空間的に整列した相補的オリゴヌクレオチドプローブとハイブリタイズするステップと、
(c)前記固体支持体上で直接前記オリゴヌクレオチドコード化色素の吸収および蛍光特性を測定するステップと、
(d)前記固定化された相補的オリゴヌクレオチドプローブの位置に基づいて、前記所望の蛍光特性を有する前記色素をコード化する前記オリゴヌクレオチドを特定するステップと、
(e)前記所望の蛍光特性を有する前記色素の化学構造を特定し、特徴付けるステップと、
を含む、方法。
【請求項18】
複数の標的ヌクレオチド配列を検出するための方法であって、
(a)多数のプローブ対を提供するステップであって、前記数は、標的ヌクレオチド配列の数と同じであり、各プローブ対は、(1)(i)第1のオリゴヌクレオチド配列、および(ii)前記第1のオリゴヌクレオチド配列と連結した第1の反応基を含む第1のプローブと、(2)(i)第2のオリゴヌクレオチド配列、および(ii)前記第2のオリゴヌクレオチド配列と連結した第2の反応基を含む、対応する第2のプローブと、を含み、前記第1のオリゴヌクレオチド配列および前記第2のオリゴヌクレオチド配列は、対応する標的ヌクレオチド配列の2つの個別の領域に相補的である、ステップと、
(b)前記プローブ対を、サンプルに存在する場合、前記第1のプローブおよび前記第2のプローブが前記標的ヌクレオチド配列のそれらのそれぞれの相補的領域とハイブリタイズするという条件の下、前記標的ヌクレオチド配列の存在について検査されるサンプルと組み合わせることによって、前記第1の反応基および前記対応する第2の反応基を反応するように近接させるステップと、
(c)前記第1の反応基と前記対応する第2の反応基との間の1つ以上の反応を検出することによって、前記標的ヌクレオチド配列の存在を判定するステップと、
を含む、方法。
【請求項19】
前記標的ヌクレオチド配列の数は、2から20である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記標的ヌクレオチド配列の数は、2から6である、請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記標的ヌクレオチド配列は、液相にある、請求項18に記載の方法。
【請求項22】
前記標的ヌクレオチド配列は、固体支持体に付着している、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記第1の反応基と前記対応する第2の反応基との間の前記1つ以上の反応は、検出され得る蛍光化合物を生成する、請求項18に記載の方法。
【請求項24】
前記第1の反応基と前記対応する第2の反応基との間の前記1つ以上の反応は、検出され得る化学発光化合物を生成する、請求項18に記載の方法。
【請求項25】
前記第1の反応基と前記対応する第2の反応基との間の前記1つ以上の反応は、アルドール縮合反応を含む、請求項18に記載の方法。
【請求項26】
前記第1の反応基と前記対応する第2の反応基との間の前記1つ以上の反応は、ウィッティヒ反応を含む、請求項18に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【図28】
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【図29】
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【図30】
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【図31】
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【図32】
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【図33】
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【図34】
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【図35】
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【図36】
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【図37】
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【図38】
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【図39】
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【図40】
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【図41】
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【図42】
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【図43】
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【図44】
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【図45】
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【図46】
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【図47】
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【図48】
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【図49】
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【図50】
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【図51】
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【図52】
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【図53】
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【図54】
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【図55】
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【図56】
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【図57】
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【図58】
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【公表番号】特表2010−504983(P2010−504983A)
【公表日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−530463(P2009−530463)
【出願日】平成19年9月28日(2007.9.28)
【国際出願番号】PCT/US2007/021094
【国際公開番号】WO2008/054600
【国際公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【出願人】(507358424)アンサンブル ディスカバリー コーポレイション (5)
【Fターム(参考)】