説明

案内システム

【課題】 広幅な交差点を右折しようとする運転者に対して、右折後に停止すべき交差点なのかを案内するシステムを提供することを課題とする。
【解決手段】 広幅な交差点であって、右折後に停止線が存在する第1の特定交差点及び右折後に停止線の存在しない第2の特定交差点の位置情報を含む地図データと、前記第1の特定交差点に関する第1の案内データと、前記第2の特定交差点に関する第2の案内データとを記憶する記憶手段と、車両が前記第1の特定交差点を右折しようとするとき前記第1の案内データの内容を案内し、前記車両が前記第2の特定交差点を右折しようとするとき前記第2の案内データの内容を案内する案内手段と、を備えることを特徴とする案内システムである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、案内システムに関する。詳しくは、右折時に停止すべき交差点を案内する案内システムに関する。
【背景技術】
【0002】
車両が交差点を右折する場合には、その車両の前方及び右側から対向車が衝突するおそれがある。そのため、運転者は交差点を右折するときは、左折するときよりも多くの注意を要する。このような問題を解決するために、交差点の右折時の運転を支援する発明が開示されている。
例えば、交差点の右折時に信号状態の変化を検出して、その信号状態を運転者に提示する発明が開示されている(特許文献1)。これにより、運転者は信号の状態を確認しながら右折することができるため、右折行動をスムーズに行うことができる。
【特許文献1】特開2005−216086号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで、広幅な交差点において右折した後、車両の前方に信号機が設置されている交差点がある。このような交差点には、信号機が赤信号であれば停止を求める交差点(以下、第1の特定交差点とする)と、赤信号であっても停止を求めない交差点(以下、第2の特定交差点とする)とがある。そのため、交差点を右折しようとする運転者は右折後に停止すべきなのかの判断を要する。しかし、運転者は交差点に進入する前にはその交差点が停止すべき交差点かどうかを判断できない。従って、右折後に赤信号を確認し、更に停止線の有無を確認して、初めて停止すべきか否かの判断を行うことになる。そのため、交差点を右折した運転者は迷いを生じることがあり、交通事故を引き起こすおそれもある。
そこで、本発明は、広幅な交差点を右折しようとする運転者に対して、右折後に停止すべき交差点なのかを案内するシステムを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明は以上の課題を解決するために、次の構成からなる。即ち、本発明の第1の構成は、広幅な交差点であって、右折後に停止線が存在する第1の特定交差点及び右折後に停止線の存在しない第2の特定交差点の位置情報を含む地図データと、前記第1の特定交差点に関する第1の案内データと、前記第2の特定交差点に関する第2の案内データとを記憶する記憶手段と、車両が前記第1の特定交差点を右折しようとするとき前記第1の案内データの内容を案内し、前記車両が前記第2の特定交差点を右折しようとするとき前記第2の案内データの内容を案内する案内手段と、を備えることを特徴とする案内システムである。
【0005】
上記第1の構成によれば、広幅な交差点に対して、右折後に停止線が存在する第1の特定交差点に関する位置情報を有しており、その第1の特定交差点を右折しようとするときに、第1の案内がなされる。また、右折後に停止線の存在しない第2の特定交差点に関する位置情報を有しており、その第2の特定交差点を右折しようとするときに、第2の案内がなされる。ここで、例えば、第1の案内として、特定交差点の右折後に停止線が存在する旨の案内がされる。第2の案内として、特定交差点の右折後に停止線が存在しない旨の案内がされる。すなわち、運転者はその交差点が右折後に停止線が存在するかどうかを右折動作に入った段階で把握することができる。従って、右折したときに停止線の有無に対応した運転を行うことができる。
【0006】
本発明の第2の構成は、第1の構成において、案内は音声により行なわれる。
これにより、右折動作を開始したときでも、信号から視線を離さずに運転動作を行うことができる。
【実施例1】
【0007】
図1は本発明の実施例である案内システム10のブロック図である。図2は案内システム10の動作を説明するフローチャートである。図3(A)は表示部25に表示された第1の案内、図3(B)は表示部25に表示された第2の案内を示す図である。
図4は広幅な交差点であって、右折後に停止線のある交差点(第1の特定交差点)の配置を示す図である。第1の特定交差点100は右折後に停止線106が存在し、信号機103が赤信号のとき、車両105は停止しなければならない。
図5は広幅な交差点であって、右折後に停止線のない交差点(第2の特定交差点)の配置を示す図である。第2の特定交差点200は右折後に停止線は存在せず、信号機203が赤信号のときでも矢印A方向へ走行することができる。なお、このとき、信号機204は青信号であることがあるため、車両206は矢印B方向へ走行することがある。
【0008】
図1において、案内システム10は制御部11、ナビゲーション部20、案内部31、車両信号検出部32、記憶部40を備える。
制御部11はCPU12を備える。運転支援システム10を構成する各要素はこのCPU12にバスを介して接続され、その制御を受ける。CPU12は記憶部の制御プログラム記憶領域41に記憶された制御プログラムを読み出して、実行することにより、各要素の制御を行うこととなる。
【0009】
ナビゲーション部20は、ナビゲーションシステム21、GPS受信機22、ビーコン受信機23及びFM多重受信機24、表示部25、操作部26、スピーカ部27、各種センサ(ジャイロセンサなど)28等を備える。ナビゲーションシステム21はナビゲーション部20に備えられる他の要素を統括制御する。GPS受信機22はGPSアンテナを介してGPS衛星が出力する信号を受信して、現在の車両位置及び車両方位をナビゲーションに供給する。表示部25はナビゲーションの内容を表示する装置であり、液晶モニターなどが用いられる。操作部26はナビゲーションを操作するための装置である。スピーカ部27はナビゲーションの案内や警告等の音声を用いて伝える装置である。なお、特定交差点を右折するときに案内されるデータ(第1の案内データ、第2の案内データ)も音声として出力することができる。
【0010】
案内部31は車両が特定交差点を右折しようとするときに、特定交差点に関連付けられた案内データを案内データ記憶領域43から読み出して運転者に案内する。車両が第1の特定交差点を右折するときは、第1の案内データ431を読み出して、運転者に案内する。車両が第2の特定交差点を右折するときは、第2の案内データ432を読み出して運転者に案内する。
車両信号検出部32は運転者の運転操作の信号(車両が右折するかどうかを判断する信号)を検出する。検出される信号は車両が右折することを示す信号であれば特に限定されず、例えば、右ウインカーの信号を検出してもよい。
【0011】
記憶部40は一般的なDVD、CD−ROMなどの記憶媒体、ハードディスクなどの記憶装置等が用いられる。記憶部40は制御プログラム記憶領域41、地図データ記憶領域42、案内データ記憶領域43を備える。
制御プログラム記憶領域41はCPU12を動作させるための制御プログラムが記憶されている。
地図データ記憶領域42はナビゲーションに用いられる地図データが記憶されている。この地図データは一般的な地図データからなるものであって、例えば、道路の距離及び幅員、交差点や踏切地点の座標、路面標示の座標等が含まれる。
【0012】
地図データ記憶領域42は第1の特定交差点データ421、第2の特定交差点データ422を備える。第1の特定交差点データ421は広幅な交差点であって、右折後に停止線が存在する交差点に関するデータであり、その位置情報が含まれる。第2の特定交差点データ422は広幅な交差点であって、右折後に停止線が存在しない交差点に関するデータであり、その位置情報が含まれる。
【0013】
案内データ記憶領域43は第1の案内データ、第2の案内データが記憶されている。第1の案内データは第1の特定交差点に関連付けられており、第1の特定交差点を右折するときに運転者に案内されるデータとして用いられる。案内データの内容は右折後に停止線が存在する旨を通知する内容であればよく、例えば、ディスプレイ上に表示させたり、音声で通知させてもよい。第2の案内データは第2の特定交差点に関連付けられており、第2の交差点を右折するときに運転者に案内されるデータとして用いられる。案内データの内容は右折後に停止線が存在しない旨を通知する内容であればよく、同様に、ディスプレイ上に表示させたり、音声で通知させてもよい。
【0014】
所定の距離データ記憶領域44は第1の特定交差点及び第2の特定交差点に関連付けられる距離である。この所定距離に車両の現在位置が達したときに、いずれかの特定交差点に近づいている旨の案内が通知される。特定交差点側に関連付けられる所定の距離の始点の位置は任意であり、例えば、特定交差点に進入する道路上にペイントされた停止線を始点としてもよい。また、所定の距離は任意であり、例えば、50mと設定することができる。
【0015】
次に、図2のフローチャートを用いて、ナビゲーションが案内モードであるときの案内システム10の動作を説明する。
車両が走行を開始した後(ステップ1)、ナビゲーションで指定されたルート上に特定交差点があるかを確認する(ステップ3)。そして、確認された特定交差点に関連付けられた所定の距離を所定の距離データ記憶領域44から読み出す(ステップ5)。
そして、車両の現在位置が所定の距離に達したとき(ステップ7:Y)、確認された特定交差点が第1の特定交差点であれば(ステップ9:Y)、案内データ記憶領域43から第1の案内を読み出して、表示部25に第1の案内を表示する(ステップ11)。一方、確認された特定交差点が第2の交差点であれば(ステップ9:N)、案内データ記憶領域43から第2の案内を読み出して、表示部25に第2の案内を表示する(ステップ13)。
その後、車両信号検出部32が右ウインカーの信号を検出したとき(ステップ15:Y)、選択された案内を音声によって通知されることになる(ステップ17)。一方、特定交差点上で指定されたルートを変更して右折せず、右ウインカーの信号を検出しなかったとき(ステップ15:N)、表示部25に表示された案内を閉じることになる(ステップ19)。
【0016】
図3(A)は表示部25に表示された第1の案内、(B)は表示部25に表示された第2の案内である。第1の交差点を右折する運転者には第1の案内が表示される。この案内を受けた運転者は交差点を右折した後に停止線があることが認識できるため、交差点の規制標示に合わせた運転操作を行うことができる。第2の交差点を右折する運転者には第2の案内が表示される。この案内を受けた運転者は交差点を右折した後に、左側(図6の矢印B方向)から対向車が来ることを想定して運転操作を行うことができる。
【実施例2】
【0017】
図6は他の実施例である案内システム50のブロック図である。図1と同一の要素には同一の符号を付して、その説明を省略する。
案内システム50は特定交差点検出部33を備える。特定交差点検出部33は車両が特定交差点へ特定の方向から近づいたことを検出する。車両が特定交差点を検出できる距離は操作部26から任意に設定することができ、例えば、50mとすることができる。ここで、特定の方向は車両が特定交差点に接近する方向、すなわち、車両と特定交差点との距離が縮まる方向をいう。これにより、ナビゲーションが案内モードでないときでも、車両が特定交差点に接近したタイミングで案内を通知することが可能となる。
【0018】
次に、図7のフローチャートを用いて、ナビゲーションが案内モードでないときの案内システム50の動作を説明する。
車両が走行を開始して(ステップ21)、車両が特定交差点を検出できる距離に近づいたとき(ステップ23:Y)、特定の方向から近づいたかどうかを判断する。車両が特定の方向から特定交差点へ近づいたとき(ステップ25:Y)、近づいた特定交差点が第1の特定交差点か否かを地図データ記憶領域42に記憶された地図データを用いて判断する(ステップ27)。第1の特定交差点であり(ステップ27:Y)、次に、右ウインカーの信号を検出したとき(ステップ29:Y)、案内データ記憶領域43から第1の案内データを読み出して、表示部25に第1の案内データを表示する(ステップ31)。一方、第1の特定交差点でなく(ステップ27:N)、次に、右ウインカーの信号を検出したとき(ステップ33:Y),案内データ記憶領域43から第2の案内データを読み出して、表示部25に第2の案内データを表示する(ステップ35)。なお、特定交差点を通過するが、右ウインカーの信号を検出しないとき(例えば、特定交差点を右折しようとしていたが、直進することになったとき)、案内は表示されることなく、次の特定交差点への接近に備えることになる(ステップ29:N、ステップ33:N)。
表示部25に案内データが表示された後、第1又は第2の案内データをスピーカー部27から音声させることになる(ステップ37)。
このように、ナビゲーションが案内モードでないときでも、車両が特定交差点に接近したタイミングで案内を通知することが可能となる。
【0019】
この発明は上記発明の実施の態様及び実施例の説明に何ら限定されるものではない。特許請求の範囲を逸脱せず、当業者が容易に想到できる範囲で種々の変形態様もこの発明に含まれる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】図1は本発明の実施例である案内システムのブロック図である。
【図2】図2は案内システムの動作を説明するフローチャートである。
【図3】図3は(A)は表示部に表示された第1の案内、図3(B)は表示部に表示された第2の案内を示す図である。
【図4】図4は右折後に停止線のある交差点(第1の特定交差点)の配置を示す図である。
【図5】図5は右折後に停止線のない交差点(第2の特定交差点)の配置を示す図である。
【図6】図6は他の実施例である案内システムのブロック図である。
【図7】図7は他の実施例である案内システムの動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0021】
10 50 案内システム、31 案内部、40 記憶部、100 第1の交差点、200 第2の交差点

【特許請求の範囲】
【請求項1】
広幅な交差点であって、右折後に停止線が存在する第1の特定交差点及び右折後に停止線の存在しない第2の特定交差点の位置情報を含む地図データと、前記第1の特定交差点に関する第1の案内データと、前記第2の特定交差点に関する第2の案内データとを記憶する記憶手段と、
車両が前記第1の特定交差点を右折しようとするとき前記第1の案内データの内容を案内し、前記車両が前記第2の特定交差点を右折しようとするとき前記第2の案内データの内容を案内する案内手段と、
を備えることを特徴とする案内システム。
【請求項2】
前記案内は音声により行なわれる、ことを特徴とする請求項1に記載の案内システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−271274(P2007−271274A)
【公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−93545(P2006−93545)
【出願日】平成18年3月30日(2006.3.30)
【出願人】(501271479)株式会社トヨタマップマスター (56)
【Fターム(参考)】