説明

検査方法および検査装置

【課題】 アモルファスシリコンを固相結晶化した際に結晶化が充分進行したかどうかを簡単かつ確実に判定する。
【解決手段】 基板上の検査領域の画像を撮像し、前記画像から明度を基にグレースケール画像を作成し、前記グレースケール画像の明度の閾値を下記の式により定め、 閾値(Th) = 最小値 +(最大値 − 最小値)× A (ただし、A=0〜1) 前記グレースケール画像から前記明度の閾値を基に二値画像を作成し、前記二値画像を基に前記検査領域の良・不良を判定することを特徴とする。特に基板上の検査領域に固相結晶化によりアモルファス領域と多結晶領域が存在する場合において、固相結晶化の進行度を判定することができる。また、この判定結果をネットワークを通じて他の製造工程に反映させ、製品の品質を高いものにする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、結晶性薄膜の検査方法および検査装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、高精細度が要求される液晶パネルや有機ELパネルにはアモルファスシリコンではなく多結晶シリコンを用いた薄膜トランジスタ(TFT)が採用されることが多い。多結晶シリコンは、製造が比較的容易なアモルファスシリコンを固相結晶化することにより製造することができるが、良質なパネルを製造するためにはアモルファスシリコンの結晶化が充分進行したかどうかを検査する必要がある。従来、この固相結晶化後の検査は検査員の目視によって行われていた。
【0003】
しかし、上述のような検査員の目視による検査には長い時間を要するため、製品の製造時間が増大してしまう。また、検査員に多大な負担をかける、判定に個人差が生じる等の問題がある。そのため近年、固相結晶化後の検査を画像処理によって行う方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
前記特許文献1に記載の画像処理方法では、検査基板を撮像した光学顕微鏡像をアモルファス領域または多結晶領域のいずれかに分類し二値化することで結晶化の進行度を判断しているが、この二値化方法は直感的にわかりづらく検査員の経験を反映させることが難しい。しかし、検査員の経験的な判断を画像処理に反映させやすいほうが目視による検査に近い判定結果を出すことができるため望ましい。
【0005】
【特許文献1】特許公開 2004−179190号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、本発明では、アモルファスシリコンを固相結晶化した際に結晶化が充分進行したかどうかを簡単かつ確実に判定することができ、また検査員の経験を反映させ目視の場合に近い判定結果を出すことができる検査方法および検査装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明の構成は、基板上の検査領域の画像を撮像し、前記画像から明度を基にグレースケール画像を作成し、前記グレースケール画像の明度の閾値を下記の式により定め、
閾値(Th) = 最小値 +(最大値 − 最小値)× A
(ただし、A=0〜1)
前記グレースケール画像から前記明度の閾値を基に二値画像を作成し、前記二値画像を基に前記検査領域の良・不良を判定することを特徴とする。特に基板上の検査領域に固相結晶化によりアモルファス領域と多結晶領域が存在する場合において、固相結晶化の進行度を判定することができる。
【0008】
また、本発明において、検査領域の画像を撮像し、前記画像から明度を基にグレースケール画像を作成し、前記グレースケール画像を基にヒストグラムを作成し、前記ヒストグラムから歪度を算出し、前記歪度から前記検査領域の良・不良を判定することを特徴とする。特に基板上の検査領域に固相結晶化によりアモルファス領域と多結晶領域が存在する場合において、歪度が一定基準値よりも小さい場合には、検査領域における固相結晶化が十分に進んでいないとし、歪度が一定基準値よりも大きい場合には、検査領域における固相結晶化が十分に進んでいると判定することができる。なお、歪度により固相結晶化が十分に進んでいないと判断された基板は、次の検査工程に進めることなく検査からはずしても良い。
【0009】
また、本発明は、アモルファス領域と多結晶領域を含む検査領域の画像を撮像し、前記画像から明度を基にグレースケール画像を作成し、前記グレースケール画像を基にヒストグラムを作成し、前記ヒストグラムから歪度を算出し、前記歪度から前記検査領域におけるアモルファスから多結晶への結晶化の進行度を判断し前記検査領域の良・不良を判定することを特徴とする。
【0010】
また、本発明において、アモルファス領域と多結晶領域を含む検査領域の画像を撮像し、前記画像から明度を基にグレースケール画像を作成し、前記グレースケール画像の明度の閾値を下記の式により定め、
閾値(Th) = 最小値 +(最大値 − 最小値)× A
(ただし、A=0〜1)
前記グレースケール画像から明度の閾値を基に二値画像を作成し、前記二値画像中の連結領域を検出し、前記二値画像の全画素に対する前記連結領域の割合から前記検査領域の良・不良を判定することを特徴とする。なお、この場合において、二値画像の全画素に対する前記アモルファス領域の割合によってアモルファスから多結晶への結晶化が十分進行したかどうかを判断することができる。
【0011】
また、本発明において、アモルファス領域と多結晶領域を含む検査領域の画像を撮像し、前記画像から明度を基にグレースケール画像を作成し、前記グレースケール画像の明度の閾値を下記の式により定め、
閾値(Th) = 最小値 +(最大値 − 最小値)× A
(ただし、A=0〜1)
前記グレースケール画像から明度の閾値を基に二値画像を作成し、前記二値画像中の連結領域を検出し、前記連結領域の数または大きさから前記検査領域の良・不良を判定することを特徴とする。なお、この場合において、二値画像から得られる連結領域の数または大きさによって、固相結晶化の状態が所望の状態にあるか否かを判定することができる。
【0012】
また、本発明において、アモルファス領域と多結晶領域を含む検査領域の画像を撮像し、前記画像から明度を基にグレースケール画像を作成し、前記グレースケール画像を基にヒストグラムを作成し、前記ヒストグラムから歪度を算出し、前記歪度から前記検査領域におけるアモルファスから多結晶への結晶化の進行度を判断し前記検査領域の良・不良を判定し、前記グレースケール画像の明度の閾値を下記の式により定め、
閾値(Th) = 最小値 +(最大値 − 最小値)× A
(ただし、A=0〜1)
前記グレースケール画像から明度の閾値を基に二値画像を作成し、前記二値画像中の連結領域を検出し、前記二値画像の全画素に対する前記連結領域の割合から前記検査領域の良・不良を判定し、前記連結領域の数または大きさから前記検査領域の良・不良を判定することを特徴とする。
【0013】
また、本発明において、前記グレースケール画像の明度の最大値・最小値を測定する際にヒストグラムを用いてノイズの影響を軽減することを特徴とする。
【0014】
また、本発明では、上記判定結果をネットワークを通じてサーバー等の他のコンピュータに伝え、判定結果を他の製造工程に反映させることを特徴とする。その結果、製品の品質を高いものにすることができる。
【0015】
さらに、本発明は、上記検査方法を手段として備えることを特徴とする検査装置である。
【発明の効果】
【0016】
上述のように、固相結晶化後の検査は従来検査員の目視によって行われていたが、本発明が提供する検査方法を用いれば検査の自動化が可能となり、製造時間短縮・省力化・コスト削減につながる。また検査員の負担を軽減することができ、検査員の個人差による判定のばらつきを抑えることができる。また本発明においては検査員の経験を画像処理に反映させやすいため、目視で判定した場合に近い判定結果を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本実施の形態では、本発明を適用したアモルファスシリコンの固相結晶化後における検査方法について説明する。
【0018】
本発明の検査方法では基板上に形成されたアモルファスシリコンが多結晶シリコンへ固相結晶化した場合にその結晶化の程度を検査することが可能であるが、本実施の形態の場合には、多結晶シリコンだけでなくアモルファスシリコンがある基準値の範囲内で存在する基板を自動的に選出する場合について説明する。なお、これから説明する実施の形態は、本発明の一つの具体例であるため種々の制限が付されているが、本発明はこれらの態様に限定されないものとする。
【0019】
また、本実施の形態における半導体膜はシリコンであるが、半導体膜がゲルマニウムやシリコンゲルマニウム化合物であっても同様の手順によって固相結晶化後の検査を行うことができる。
【0020】
図1は本実施の形態の検査装置の模式図である。検査基板110を白色光源103によって照射し、光学顕微鏡102およびデジタルカメラ101により透過光を撮像する。なお、この撮影時の白色光源103を検査基板110の上に配置し照射して反射光を撮像してもよい。撮像された画像はパーソナルコンピュータ(PC)104に転送され、PC104において画像処理が行われる。各種画像はモニター105にて確認することができる。また、PC104はネットワーク106によって他のコンピュータと接続されている。
【0021】
モニター105は、撮像画像等を表示し検査員が目視で確認するためのものであるが、画像処理はPC104において行われるため、モニター105は検査員が補助的に使用するだけのものである。
【0022】
次に、本実施の形態の検査方法に関して図1、および図2のフローチャートを用いて説明する。
【0023】
本実施の形態では、基板上のアモルファスシリコンを固相結晶化した基板を検査基板とし、検査基板を白色光源103で照射し、検査基板上の検査領域を光学顕微鏡102およびデジタルカメラ101によって撮像する(ステップ1)。なお、検査基板に白色光を照射し透過光を撮像した場合、固相結晶化されずにアモルファスシリコンの残っている領域(以下、アモルファス領域と呼ぶ)は黄色を、固相結晶化が進み多結晶シリコンが形成された領域(以下、多結晶領域と呼ぶ)は白色を呈している。この色の違いは、多結晶シリコンは白色光をほぼそのまま透過するのに対し、アモルファスシリコンは白色光のうち青色光を吸収することによる。
【0024】
次に、ステップ1において撮像した画像(光学顕微鏡像)から明度のグレースケール画像を作成する(ステップ2)。明度は明るさを表す要素である。本実施の形態において明度は0〜255の256階調とした。アモルファスシリコンが青色光を吸収することによりアモルファス領域における明度は多結晶領域よりも低くなるため、グレースケール画像においてアモルファス領域は暗く見える。
【0025】
次に、ステップ2で作成したグレースケール画像から公知の手法を用いてノイズを除去し、ノイズが除去されたグレースケール画像のヒストグラムを作成する(ステップ3)。なお、ヒストグラムを作成することにより、各検査基板に存在するアモルファス領域と多結晶領域の分布を歪度で表すことができる。歪度とはヒストグラムの偏りを表す値であり、ヒストグラムの形状が左寄りのときには正の値を、右寄りのときには負の値をとる。本実施の形態の場合には、ヒストグラムの横軸を明度で表していることから、ヒストグラムの形状が左寄り(歪度が正の値)の時には固相結晶化があまり進まずアモルファス領域が多い場合を示し、ヒストグラムの形状が右寄り(歪度が負の値)の時には固相結晶化が進み多結晶領域が多い場合を示している。
【0026】
なお、図3(A)〜(F)には、本実施の形態における固相結晶化の各段階におけるグレースケール画像を示す。なお、固相結晶化は、(A)→(B)→(C)→(D)→(E)→(F)の順に進行している。また、図4には、図3(A)〜(F)のグレースケール画像から得られるヒストグラムを示す。なお、図4に示す(A)〜(F)は、図3の(A)〜(F)に対応している。
【0027】
図4において、(A)→(B)→(C)→(D)→(E)→(F)の順に固相結晶化が進行するにつれてヒストグラムの形状が左寄りから右寄りに変化していく様子がわかる。これは、結晶化があまり進んでおらずアモルファス領域が多いときには明度が低い画素が多く、結晶化が進行し多結晶領域が多くなると明度が高い画素が多くなるためである。
【0028】
また、図4((A)〜(F))の各ヒストグラムから算出される歪度を表1に示す。
【0029】
【表1】

【0030】
ヒストグラムの歪度は固相結晶化が進行するにつれて((A)から(F)へ固相結晶化が進むにつれて)正の値から負の値に変化する。そこで、本実施の形態では、固相結晶化の進行度を評価するパラメータとして歪度を用いることとする。すなわち、検査基板における固相結晶化が検査基準に達しているかどうかを歪度の基準値を基に判定することができる。検査基板上の結晶状態が基準値よりも大きい歪度を示す場合には、検査基準に達していないとして不良(NG)と判定し、その検査基板を検査工程からはずすこととなり、また、基準値よりも小さい歪度を示す場合には、検査基準に達しているとして良品(OK)と判定し、その検査基板は次に検査工程に進むこととなる(ステップ4)。
【0031】
表1に示す歪度が各検査基板から得られて、例えば、歪度の基準値として0.2を設定する場合には、固相結晶化がほとんど進んでいない(A)や(B)は、検査基準に達していないとして不良品(NG)と判定され、検査工程からはずされ、固相結晶化が進んでいる(C)、(D)、(E)、(F)は、検査基準に達しているとして良品(OK)と判定され、次の検査工程に進むこととなる。
【0032】
次に、ステップ3でヒストグラムを作成する際に用いたグレースケール画像の各画素を多結晶領域またはアモルファス領域のいずれかに分類し、多結晶領域を白、アモルファス領域を黒で表した二値画像を作成する(ステップ5)。
【0033】
なお、本実施の形態では、予め明度の閾値を決めておき、グレースケール画像の各画素の明度の値が明度の閾値よりも大きければ多結晶領域と判定して白、小さければアモルファス領域と判定して黒として表し、二値画像を作成する。
【0034】
本実施の形態で用いる明度の閾値は、以下の方法で求めることとする。例えば、図5(A)に示すグレースケール画像中の直線X−X’部分における明度を測定すると図5(B)のようなデータが得られる。図5(A)のグレースケール画像は横400ピクセル、縦300ピクセルの画像であり、直線X−X’のY座標は215である。前述したように明度の値が小さい場合には、その領域がアモルファス領域であることを示し、明度の値が大きい場合には、その領域が多結晶領域であることを示すものであることから、図5(B)中の明度の最大値(H)と最小値(L)を用いることにより、以下に示す式(1)により明度の閾値(Th)を求めることとする。
閾値(Th) = 最小値 +(最大値 − 最小値)× A (式1)
(ただし、A=0〜1)
【0035】
なお、同一の固相結晶化状態にある検査基板を評価した場合、式(1)におけるAの値を1に近づけるとアモルファス領域とみなされる領域が増えるのに対し、Aの値を0に近づけると多結晶領域と見なされる領域が増えることがわかる。従って、検査員が目視で検査した場合の検査基準に見合うようにAの値を調節することにより、目視で検査した場合と同様の検査基準で多結晶領域とアモルファス領域とを区別することができる。なお、式(1)における最大値と最小値は検査環境の変化(照明が変動して画像全体が明るくなったり暗くなったりした場合等)に対応して変化するため、検査環境の変化による影響を軽減して検査することが可能である。
【0036】
しかし、測定により得られた明度の最大値(H)と最小値(L)は画像中のノイズによって変化してしまうことがあるため、そのままの値を式(1)で用いると、式(1)で得られる明度の閾値(Th)もノイズの影響を受けてしまう場合がある。このようなノイズが含まれていると多結晶領域とアモルファス領域とを区別が十分に行えなくなることから、ノイズの影響を軽減して得られる最大値(H’)と最小値(L’)を式(1)に用いて明度の閾値(Th’)を求めるのが好ましい。
【0037】
本実施の形態では、ノイズの影響を軽減して得られる最大値(H’)と最小値(L’)を式(1)に用いて明度の閾値(Th’)を求めることとする。
【0038】
図5(A)のグレースケール画像の場合には、図6(A)に示すヒストグラムが得られ、測定により明度の最大値(H)と最小値(L)が得られる。ここでは、ヒストグラムの度数がF以下で検出されるものはノイズとみなす。すなわち、ヒストグラムにおいて度数がFの場合における明度が最大となる値を最大値(H’)とし、度数がFの場合における明度が最小となる値を最小値(L’)とし、式(1)よりノイズの影響を軽減した明度の閾値(Th’)を求める。
【0039】
本実施の形態で求めた明度の閾値(Th’)を基に作成した二値画像を図6(B)に示す。式(1)におけるAの値は0.40、ノイズ軽減のためのHの値は5とした。図6(B)に示す二値画像はノイズによる影響を軽減していることから、検査基板中に含まれるアモルファス領域をより正確に検出している。なお、以降の記述において式(1)を用いている場合、Aは0.40、Fは5として閾値を求めているものとする。
【0040】
次に、作成した二値画像中においてアモルファス領域を表す黒画素の領域(以下、連結領域と呼ぶ)を検出し、その数と大きさを保存する。(ステップ6)。
【0041】
測定した連結領域が二値画像中にどの程度存在するかを調べることで、検査基板における固相結晶化の進み具合を調べることができる。そこで、本実施の形態では、ステップ6において検出した全ての連結領域の画素数の総和を求め、二値画像中の連結領域の割合を算出する。この二値画像中の連結領域の割合とあらかじめ設定した連結領域の割合の基準値と比較し、連結領域の割合が基準値よりも低ければ、検査基準の範囲で固相結晶化が進行していることから良品(OK)とみなして次の検査工程に進み、高ければ、検査基準の範囲で固相結晶化が進行していないことから不良品(NG)と判定され、検査工程からはずされる。(ステップ7)。
【0042】
ステップ4において歪度の基準値を0.2としステップ7に進んだ画像図3(C)〜(F)を式(1)によって二値化した場合の連結領域の割合を表2に示す。
【0043】
【表2】

【0044】
図3(C)に示す画像は結晶化が十分進んでおらずNGと判定されるべき画像であるが、ステップ6においてアモルファス領域の割合の基準値を0.25程度に設定しておけば図3(C)に示す画像にNGの判定を出すことができる。
【0045】
また、ステップ6において検出される連結領域は複数存在し、その形状は大小様々である。ステップ7において連結領域の割合から検査基準の範囲内で固相結晶化が進行しており良品と判断された検査基板であっても、その固相結晶化の状態に問題がある場合がある。例えば、アモルファス領域を表す複数の連結領域のうちにある基準よりも大きい連結領域が多く含まれる場合には、後の工程を経てこれらの基板を用いたTFT(薄膜トランジスタ)を完成させた場合にその性能が低下するといった問題が生じることがある。
【0046】
そこで次に、ステップ6において検出した連結領域の大きさと数を、予め設定した大きさと数の基準値と比較する(ステップ8)。そして、連結領域のうち、その形状が基準値よりも大きいものの数が基準値よりも多ければ結晶化状態が悪いとみなして不良品(NG)と判定し検査工程からはずすものとし、基準値よりも少なければ結晶化状態が良いとして良品(OK)と判定する。
【0047】
例えば、連結領域の大きさの基準値を300ピクセルとした場合、図3(D)、(E)、(F)に示す画像を式(1)によって二値化したときの各二値画像中の300ピクセル以上の連結領域の数は表3に示す数となる。
【0048】
【表3】

【0049】
従って、もし図3(D)に示す画像を不良と判定したければ、連結領域の大きさの基準値を300ピクセル、数の基準値を1に設定しておけばよい。
【0050】
なお、本実施の形態で示す検査基板の検査工程は以上で終了する為、ステップ8で良品(OK)と判定された基板は、以降の作製工程に進めることができる。
【0051】
以上のように固相結晶化後の検査に本発明を適用することにより、検査の自動化・高速化が可能となり、TFT基板の製造コストを削減することができる。また検査員の負担を軽減することができ、個人差による判定のばらつきを抑えることができる。また本発明においては検査員の経験を画像処理に反映させやすくしていることから、目視検査の場合に近い判定結果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明における検査装置の概略図。
【図2】本発明における検査方法の作業手順を示すフローチャート。
【図3】本発明に用いた結晶化の各段階のグレースケール画像。
【図4】図3における各グレースケール画像のヒストグラム。
【図5】(A)閾値の算出に用いるグレースケール画像。(B)図5(A)中の直線X―X’における明度を示すグラフ。
【図6】(A)図5(A)に示す画像のヒストグラム。(B)図5(A)を二値化した画像。
【符号の説明】
【0053】
101 デジタルカメラ
102 光学顕微鏡
103 白色光源
104 パーソナルコンピュータ(PC)
105 モニター
106 ネットワーク
110 検査基板


【特許請求の範囲】
【請求項1】
検査領域の画像を撮像し、
前記画像から明度を基にグレースケール画像を作成し、
前記グレースケール画像中の明度の最大値・最小値を測定し、
前記グレースケール画像の明度の閾値を下記の式により定め、
閾値(Th) = 最小値 +(最大値 − 最小値)× A
(ただし、A=0〜1)
前記グレースケール画像から前記明度の閾値を用いて二値画像を作成し、
前記二値画像を基に前記検査領域の良・不良を判定することを特徴とする検査方法。
【請求項2】
検査領域の画像を撮像し、
前記画像から明度を基にグレースケール画像を作成し、
前記グレースケール画像を基にヒストグラムを作成し、
前記ヒストグラムから歪度を算出し、
前記歪度から前記検査領域の良・不良を判定することを特徴とする検査方法。
【請求項3】
アモルファス領域と多結晶領域を含む検査領域の画像を撮像し、
前記画像から明度を基にグレースケール画像を作成し、
前記グレースケール画像を基にヒストグラムを作成し、
前記ヒストグラムから歪度を算出し、
前記歪度によってアモルファスから多結晶への結晶化の進行度を判断し前記検査領域の良・不良を判定することを特徴とする検査方法。
【請求項4】
アモルファス領域と多結晶領域を含む検査領域の画像を撮像し、
前記画像から明度を基にグレースケール画像を作成し、
前記グレースケール画像中の明度の最大値・最小値を測定し、
前記グレースケール画像の明度の閾値を下記の式により定め、
閾値(Th) = 最小値 +(最大値 − 最小値)× A
(ただし、A=0〜1)
前記グレースケール画像から前記明度の閾値を基に二値画像を作成し、
前記二値画像中の連結領域を検出し、
前記二値画像の全画素に対する前記連結領域の割合から前記検査領域の良・不良を判定することを特徴とする検査方法。
【請求項5】
アモルファス領域と多結晶領域を含む検査領域の画像を撮像し、
前記画像から明度を基にグレースケール画像を作成し、
前記グレースケール画像中の明度の最大値・最小値を測定し、
前記グレースケール画像の明度の閾値を下記の式により定め、
閾値(Th) = 最小値 +(最大値 − 最小値)× A
(ただし、A=0〜1)
前記グレースケール画像から前記明度の閾値を基に二値画像を作成し、
前記二値画像中の連結領域を検出し、
前記連結領域の数または大きさから前記検査領域の良・不良を判定することを特徴とする検査方法。
【請求項6】
アモルファス領域と多結晶領域を含む検査領域の画像を撮像し、
前記画像から明度を基にグレースケール画像を作成し、
前記グレースケール画像を基にヒストグラムを作成し、
前記ヒストグラムから歪度を算出し、
前記歪度によってアモルファスから多結晶への結晶化の進行度を判断し前記検査領域の良・不良を判定する第1の工程と、
前記グレースケール画像の明度の閾値を下記の式により定め、
前記グレースケール画像中の明度の最大値・最小値を測定し、
閾値(Th) = 最小値 +(最大値 − 最小値)× A
(ただし、A=0〜1)
前記グレースケール画像から前記明度の閾値を基に二値画像を作成し、
前記二値画像中の連結領域を検出し、
前記二値画像の全画素に対する前記連結領域の割合を算出し前記検査領域の良・不良を判定する第2の工程と、
前記連結領域の数または大きさから前記検査領域の良・不良を判定する第3の工程を含むことを特徴とする検査方法。
【請求項7】
請求項1、または請求項4乃至請求項6のいずれか一において、
前記最大値および前記最小値は、前記ヒストグラムから得られる最大値・最小値よりノイズを除去した値であることを特徴とする検査方法。
【請求項8】
検査領域の画像を撮像する手段と、
前記画像から明度を基にグレースケール画像を作成する手段と、
前記グレースケール画像中の明度の最大値・最小値を測定する手段と、
前記グレースケール画像の明度の閾値を下記の式により定める手段と、
閾値(Th) = 最小値 +(最大値 − 最小値)× A
(ただし、A=0〜1)
前記グレースケール画像から前記明度の閾値を用いて二値画像を作成する手段と、
前記二値画像を基に前記検査領域の良・不良を判定する手段とを有することを特徴とする検査装置。
【請求項9】
検査領域の画像を撮像する手段と、
前記画像から明度を基にグレースケール画像を作成する手段と、
前記グレースケール画像を基にヒストグラムを作成する手段と、
前記ヒストグラムから歪度を算出する手段と、
前記歪度から前記検査領域の良・不良を判定する手段とを有することを特徴とする検査装置。
【請求項10】
アモルファス領域と多結晶領域を含む検査領域の画像を撮像する手段と、
前記画像から明度を基にグレースケール画像を作成する手段と、
前記グレースケール画像を基にヒストグラムを作成する手段と、
前記ヒストグラムから歪度を算出する手段と、
前記歪度によってアモルファスから多結晶への結晶化の進行度を判断し前記検査領域の良・不良を判定する手段とを有することを特徴とする検査装置。
【請求項11】
アモルファス領域と多結晶領域を含む検査領域の画像を撮像する手段と、
前記画像から明度を基にグレースケール画像を作成する手段と、
前記グレースケール画像中の明度の最大値・最小値を測定する手段と、
前記グレースケール画像の明度の閾値を下記の式により定める手段と、
閾値(Th) = 最小値 +(最大値 − 最小値)× A
(ただし、A=0〜1)
前記グレースケール画像から前記明度の閾値を基に二値画像を作成する手段と、
前記二値画像中の連結領域を検出する手段と、
前記二値画像の全画素に対する前記連結領域の割合から前記検査領域の良・不良を判定する手段とを有することを特徴とする検査装置。
【請求項12】
アモルファス領域と多結晶領域を含む検査領域の画像を撮像する手段と、
前記画像から明度を基にグレースケール画像を作成する手段と、
前記グレースケール画像中の明度の最大値・最小値を測定する手段と、
前記グレースケール画像の明度の閾値を下記の式により定める手段と、
閾値(Th) = 最小値 +(最大値 − 最小値)× A
(ただし、A=0〜1)
前記グレースケール画像から前記明度の閾値を基に二値画像を作成する手段と、
前記二値画像中の連結領域を検出する手段と、
前記連結領域の数または大きさから前記検査領域の良・不良を判定する手段とを有することを特徴とする検査装置。
【請求項13】
アモルファス領域と多結晶領域を含む検査領域の画像を撮像する手段と、
前記画像から明度を基にグレースケール画像を作成する手段と、
前記グレースケール画像を基にヒストグラムを作成する手段と、
前記ヒストグラムから歪度を算出する手段と、
前記歪度によってアモルファスから多結晶への結晶化の進行度を判断する手段と、
前記グレースケール画像中の明度の最大値・最小値を測定する手段と、
前記グレースケール画像の明度の閾値を下記の式により定める手段と、
閾値(Th) = 最小値 +(最大値 − 最小値)× A
(ただし、A=0〜1)
前記グレースケール画像から前記明度の閾値を基に二値画像を作成する手段と、
前記二値画像中の連結領域を検出する手段と、
前記二値画像の全画素に対する前記連結領域の割合を算出する手段と、
前記連結領域の数または大きさを算出する手段とを有することを特徴とする検査装置。
【請求項14】
請求項8、または請求項11乃至請求項13のいずれか一において、
前記最大値および前記最小値は、前記ヒストグラムから得られる最大値・最小値よりノイズを除去した値であることを特徴とする検査装置。


【図1】
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【図2】
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【図4】
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【図6】
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【図3】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−275691(P2006−275691A)
【公開日】平成18年10月12日(2006.10.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−93749(P2005−93749)
【出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】