説明

検査装置及び欠陥分類方法

【課題】炭化珪素基板又は炭化珪素基板に形成されたエピタキシャル層に存在する欠陥を検出し、検出された欠陥を分類する検査装置を実現する。
【解決手段】本発明では、微分干渉光学系を含む走査装置を用いて、炭化珪素基板の表面又はエピタキシャル層の表面を走査する。炭化珪素基板からの反射光はリニアイメージセンサ(23)により受光され、その出力信号は信号処理装置(11)に供給する。信号処理装置は、炭化珪素基板表面の微分干渉画像を形成する2次元画像生成手段(32)を有する。基板表面の微分干渉画像は欠陥検出手段(34)に供給されて欠陥が検出される。検出された欠陥の画像は、欠陥分類手段(36)に供給され、欠陥画像の形状及び輝度分布に基づいて欠陥が分類される。欠陥分類手段は、特有の形状を有する欠陥像を識別する第1の分類手段(50)と、点状の低輝度欠陥像や明暗輝度の欠陥像を識別する第2の分類手段(51)とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微分干渉光学系を含む走査装置を用いて、炭化珪素基板(SiC基板)又は炭化珪素基板上に形成されたエピタキシャル層に存在する欠陥を光学的に検出し、検出された欠陥を分類する検査装置に関するものである。
また、本発明は、炭化珪素基板又はエピタキシャル層の表面の微分干渉画像を撮像し、得られた微分干渉画像に基づいて欠陥を判別する欠陥分類方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
単結晶基板上にエピタキシャル成長法により単結晶層を形成し、形成された単結晶層にデバイスを形成する半導体デバイスの製造方法が開発されている。この半導体デバイスの製造方法では、単結晶基板として炭化珪素基板が用いられ、炭化珪素基板上にエピタキシャル成長法により炭化珪素の単結晶層が形成されている。また、単結晶基板としてシリコン基板が用いられ、シリコン基板上に窒化ガリウムの単結晶層が形成されている。炭化珪素は、シリコンと比較して、優れた物理的及び熱的特性を有するため、炭化珪素基板上に炭化珪素のエピタキシャル層が形成された半導体基体を用いたデバイスの製造方法は、高電力で低損失の半導体デバイスの製造に極めて有用である。
【0003】
上述した半導体デバイスの製造方法において、製造上の歩留りを改良しデバイスの信頼性を改善するためには、炭化珪素基板及びエピタキシャル層に存在する欠陥を検出すること、及び検出された欠陥の種類を分類することが極めて重要である。従来、炭化珪素基板(SiC基板)に存在する欠陥を検出する方法として、X線トポグラフィーによる欠陥検出が既知である(例えば、特許文献1参照)。このX線トポグラフィーによる欠陥検出方法では、SiC基板やSiCのエピタキシャル層中に存在する結晶欠陥を非破壊的に検出することができる利点がある。
【0004】
SiC基板に形成された欠陥を光学的に検出する方法として、レーザ散乱方式の欠陥検査装置が既知である(例えば、特許文献2参照)。このレーザ散乱方式の欠陥検査装置では、レーザダイオードから放出されたレーザ光を基板表面に対して斜めに入射させ、基板表面で発生した散乱光を光検出器により検出している。そして、検出された散乱光に基づいて欠陥検出が行われ、検出された欠陥の判別が行われている。
【0005】
さらに、SiC基板の表面を微分干渉顕微鏡を用いて撮像し、欠陥の微分干渉画像から欠陥の種別を判定することも報告されている。微分干渉顕微鏡は、試料表面の高さ変化を位相差情報として検出するため、SiC基板表面に出現した微少な凹凸変化を輝度画像として検出できる利点がある。
【特許文献1】特開2009−44083号公報
【特許文献2】米国特許第7201799号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述したX線トポグラフィーによる欠陥検出方法では、基板内部の結晶欠陥を検出することができ、基板のバルクに形成された貫通螺旋転位や基底面内欠陥が検出されている。しかし、基板及びエピタキシャル層の欠陥として、バルク内欠陥だけでなく、基板表面に形成されるスクラッチや異物付着による欠陥も存在し、これらの欠陥も製造の歩留りに影響する。従って、研磨処理等の各種処理中に発生するスクラッチや異物付着による欠陥も検出できることも重要である。しかしながら、X線トポグラフィでは、バルク内の格子欠陥を検出できるが、スチラッチや異物付着等の基板表面及びエピタキシャル層の表面に形成された欠陥を検出できない欠点がある。さらに、X線トポグラフィでは、キャロット欠陥やコメット欠陥等の特有の形状を有する欠陥を検出ないし判別できない欠点もある。従って、欠陥検査の観点より、X線トポグラフィによる検査方法は、基板上に形成されるエピタキシャル層の品質を改良する点において限界がある。また、X線トポグラフィ法による欠陥検出では、X線を照射するための大掛かりな装置が必要となるだけでなく、欠陥検出に長時間かかり、検査コストが高価になる欠点もある。
【0007】
レーザ散乱方式の欠陥検査装置は、基板表面で発生した散乱光を検出しているので、基板表面に出現した欠陥を検出することが可能である。しかしながら、不所望な散乱光が光検出器に入射するため、欠陥検出の解像度が低く、微細な欠陥を検出しにくい欠点がある。特に、レーザ散乱方式の検査装置は、試料表面の高さ方向の検出感度が低いため、SiC基板の表面に形成された数nm〜数10nm程度の微少な凹凸状の欠陥を明瞭に検出しにくい欠点がある。すなわち、SiC基板のバルクに形成された格子欠陥は、基板表面上において数nm〜数10nm程度の凹凸として出現する。従って、レーザ散乱光方式の欠陥検出では、SiC基板に存在する微細な欠陥を検出するには限界があり、欠陥の種別判定にも限界がある。さらに、SiC基板は可視域において透明であるため、照射されたレーザ光が基板の内部を通過し、基板の裏面で反射して基板表面から出射する。よって、基板の裏面からの反射光の影響を除去する必要がある。このため、特殊な空間フィルタを必要するため構造が複雑化する欠点も指摘されている。
【0008】
微分干渉顕微鏡を用いて欠陥を検出する方法は、基板表面の微少な凹凸形状を輝度画像として検出できる利点がある。しかしながら、基板表面にはステップバンチング等による微少な凹凸が存在し、不所望な散乱光が発生して光検出手段に入射するため、解像度が低くなる欠点があり、さらに、基板裏面からの反射光が光検出手段に入射するため、解像度が一層低下する問題点も指摘されている。
【0009】
SiC基板上に形成したエピタキシャル層にデバイスを形成する際に問題となる重要な欠陥として、マイクロパイプ欠陥が挙げられる。エピタキシャル層中にマイクロパイプ欠陥が形成されると、製造されるデバイスのリーク電流が増大するだけでなく、耐電圧が低下する問題が発生する。従って、SiC基板を用いてデバイスを製造するに当たって、製造上の歩留りを改良するためには、マイクロパイプ欠陥を他の欠陥から区別して検出できることが急務の課題である。しかしながら、マイクロパイプ欠陥は、顕微鏡で撮像した場合、点状の低輝度画像として検出されるだけであり、デバイスの製造に重要な問題とならない刃状転位欠陥や螺旋転位欠陥と区別できない問題がある。
【0010】
さらに、デバイスを形成する際に問題となる欠陥として、基底面内欠陥がある。エピタキシャル層中に基底面内欠陥が形成されると、製造されるデバスのリーク電流が増大する不具合が発生する。
【0011】
本発明の目的は、検出感度が高く且つ数nm程度の微細な凹状又は凸状の欠陥を検出できると共に、基板の裏面からの反射光による影響を受けない検査装置を実現することにある。
本発明の別の目的は、SiC基板及びエピタキシャル層に形成されたマイクロパイプ欠陥を他の欠陥から区別して検出できる検査装置を実現することにある。
本発明の別の目的は、マイクロパイプ欠陥及び基底面内欠陥を他の欠陥から区別して分類できる欠陥分類方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明による検査装置は、炭化珪素基板又はエピタキシャル層が形成された炭化珪素基板について欠陥検査を行う検査装置であって、
照明ビームを発生する光源装置と、検査すべき炭化珪素基板を支持すると共に第1の方向及び第1の方向と直交する第2の方向に移動可能なステージと、前記照明ビームを、ステージ上に配置した炭化珪素基板に向けて投射する対物レンズと、前記炭化珪素基板又はエピタキシャル層の表面で反射した反射光を受光する光検出手段とを有し、前記ステージを第1及び第2の方向に移動させることにより炭化珪素基板又はエピタキシャル層の表面を照明ビームにより走査する走査装置、
前記光学装置の対物レンズと光検出手段との間の光路中に選択的に配置され、入射した照明ビームを、互いに干渉性を有する第1及び第2のサブビームに変換すると共に、前記炭化珪素基板又はエピタキシャル層の表面で反射したサブビーム同士を合成し、炭化珪素基板又はエピタキシャル層の表面高さと関連する位相差情報を含む干渉ビームを出射させる微分干渉光学系、及び、
前記光検出手段からの出力信号を受け取り、前記炭化珪素基板又はエピタキシャル層表面の微分干渉画像を形成する画像形成手段と、形成された微分干渉画像に基づいて欠陥検出を行う欠陥検出手段と、検出された欠陥の微分干渉画像の形状及び輝度分布に基づいて欠陥を分類する欠陥分類手段とを有する信号処理装置を具えることを特徴とする。
【0013】
本発明による検査装置では、単結晶基板表面の共焦点微分干渉画像を撮像しているので、単結晶基板表面及び単結晶基板に形成したエピタキシャル層表面に出現した高さが数nm程度の微小な凹凸状の欠陥を輝度分布画像として撮像することが可能である。しかも、単結晶基板の表面を共焦点走査装置により走査しているので、微分干渉顕微鏡により撮像される微分干渉画像よりも一層高い解像度の2次元画像が撮像される。単結晶基板、特にSiC基板の内部に存在する格子欠陥及びエピタキシャル層に存在する格子欠陥は、基板表面又はエピタキシャル層の表面に数nm程度の微少な凹凸変化として出現するので、微分干渉画像を撮像することにより、各種結晶欠陥及び物理的要因により発生した欠陥を明暗の輝度分布画像として検出することが可能である。しかも、共焦点走査装置は、基板及びエピタキシャル層表面の3次元形状情報や表面輪郭形状情報を取得することが可能であるため、共焦点微分干渉画像において点状の低輝度画像として検出されるマイクロパイプ欠陥について、同一の検査装置を用いて表面輪郭形状情報を取得することにより、他の欠陥から区別して検出することが可能である。また、明暗画像として検出される基底面内欠陥については、エピタキシャル層の形成前後の座標比較を行うことにより、他の欠陥から区別して検出することが可能である。尚、本明細書において、表面輪郭形状情報とは、単結晶基板表面又はエピタキシャル層の表面輪郭を示す3次元画像情報及びこれらの表面と直交する面で切って示す2次元画像情報(断面形状情報)を含むものとする。
【0014】
共焦点走査装置として、単一の照明ビームを走査装置により走査し、単結晶基板表面からの反射光をピンホールを介して光検出手段により受光する共焦点走査装置、ライン状の照明ビームを走査装置又はステージ移動により走査し、単結晶基板からの反射光をリニアイメージセンサにより受光する共焦点走査装置、及び、ライン状に配列されたマルチビームを用いて単結晶基板を走査し、基板表面からの反射光をリニアイメージセンサにより受光する共焦点走査装置を用いることが可能である。
【0015】
微分干渉光学系として、ノマルスキープリズム、ロッションプリズム、ウォルストンプリズム等の各種微分干渉光学系を用いることができる。尚、微分干渉光学系は、単結晶基板の共焦点微分干渉画像を撮像する場合光路中に挿入され、共焦点画像を撮像する場合は光路から外される。尚、本明細書において、共焦点画像とは、微分干渉光学系が光路から外された状態で撮像された共焦点画像を意味するものとする。
【0016】
本発明による欠陥分類方法は、炭化珪素基板又は炭化珪素上に形成されたエピタキシャル層に存在する欠陥を検出し、検出された欠陥を分類する欠陥分類方法であって、
微分干渉光学系を含む走査装置を用い、炭化珪素基板又はエピタキシャル層の表面の微分干渉画像を撮像する工程と、
撮像された微分干渉画像に基づいて欠陥を検出する欠陥検出工程と、
検出された欠陥の微分干渉画像の形状及び輝度分布に基づいて欠陥を分類する欠陥分類工程とを有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
微分干渉光学系を含む走査装置を用いて、炭化珪素基板の表面又はエピタキシャル層に欠陥が存在すると、基板表面又はエピタキシャル層の表面に数nm〜数10nm程度の凹凸が形成される。従って、基板表面又はエピタキシャル層の表面を照明ビームで走査すると、炭化珪素基板又はエピタキシャル層の表面に存在する微細な凹凸変化に応じて、特有の形状の輝度画像又は輝度分布画像として検出される。よって、本発明の検査装置によれば、検出された欠陥の種別が自動的に判別することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明による検査装置の一例を示す図である。
【図2】本発明による信号処理装置の一例を示す図である。
【図3】本発明による欠陥分類方法を示す図である。
【図4】本発明による検査装置の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
図1は本発明による検査装置の一例を示す線図である。本例では、検査すべき単結晶基板として炭化珪素基板(SiC基板)又はエピタキシャル層が形成された炭化珪素基板を用いる。勿論、単結晶基板として、SiC基板だけでなく、シリコンの単結晶基板上にGaNのエピタキシャル層(単結晶層)が形成された単結晶基板も用いることができる。検査装置として、微分干渉光学系を有する共焦点走査装置を用い、共焦点走査装置により炭化珪素基板の全面を走査して基板全面の共焦点微分干渉画像を撮像する。得られた共焦点微分干渉画像について種々の画像処理を行って欠陥及びその座標(アドレス)を検出する。また、検出された欠陥のアドレス情報を用いて、欠陥の共焦点微分干渉画像をレビューし、検出された欠陥を分類することができる。さらに、本発明による検査装置は、微分干渉光学系を光路中に選択的に挿入することにより、単結晶基板の共焦点微分干渉画像を撮像するモードと、単結晶基板の共焦点画像を撮像するモードとの2つのモードを有する。微分干渉光学系は、試料表面の高さの変化を走査光の位相差の変化として検出するので、数nm〜数10nm程度の凹状及び凸状の欠陥を輝度変化として検出することが可能である。さらに、共焦点走査装置の特性としてZ軸方向(光軸方向)にスキャンが可能であるため、本発明による検査装置は、炭化珪素基板の共焦点微分干渉画像を撮像するだけでなく、検出された欠陥の共焦点画像を撮像し、共焦点画像から欠陥の3次元形状情報を取得することもでき、さらに、検出された欠陥の断面形状情報(表面輪郭情報)も取得することができる。従って、欠陥の種別を判定するに際し、欠陥の共焦点微分干渉画像、3次元形状、及び断面形状を用いることができ、さらに欠陥座標についての座標比較により欠陥の種別判定を行うことができる。
【0020】
図1を参照するに、照明光源1として、水銀ランプを用いる。尚、キセノンランプ等の水銀ランプ以外の種々の照明光源も用いることができる。照明光源1から出射した照明ビームは、複数の光ファイバが円形に積層された光ファイババンドル2に入射し、光ファイバを伝搬して、断面がほぼ円形の発散性ビームとして出射し、フィルタ3に入射する。フィルタ3は、入射した光ビームから緑の波長光(e線:波長546nm)を出射させる。フィルタから出射した光ビームは、集束性レンズ4により平行ビームに変換されてスリット5に入射する。スリット5は、集束性レンズ4の瞳位置に配置され、第1の方向(紙面と直交する方向)に延在する細長い開口部を有する。ここで、第1の方向は、X方向と称する。スリット5の開口部の幅は、例えば10〜20μmに設定する。従って、スリット5から第1の方向に延在する細長いライン状の光ビームが出射する。スリット5から出射したライン状の光ビームは、偏光子6に入射し、単一の振動面を持つ偏光した光に変換される。このライン状の偏光ビームは、ビームスプリッタとして機能するハーフミラー7で反射し、リレーレンズ8を経て走査装置として機能する振動ミラー9に入射する。
【0021】
振動ミラー9には、駆動回路10が接続され、駆動回路10は信号処理装置11から供給される制御信号に基づき振動ミラーを駆動する。振動ミラー9は、入射するライン状の光ビームを第1の方向と直交する第2の方向(Y方向)に偏向するビーム走査装置として機能する。信号処理装置11は、振動ミラーの角度情報に基づいて、光ビームのY方向の位置情報を有する。尚、振動ミラーの代りに、ポリゴンミラー等の他の走査装置を用いることも可能である。また、ステージ移動により走査する場合、振動ミラーは必ずしも必要ではない。振動ミラー9から出射したライン状の光ビームは、リレーレンズ12及び13を経て微分干渉光学系14に入射する。本例では、微分干渉光学系としてノマルスキープリズムを用いる。ノマルスキープリズム14に入射したライン状の偏光ビームは、振動面が互いに直交する2本のサブビームに変換される。これら2本のサブビーム間には、mを自然数とした場合に、(2m+1)π/2の位相差が与えられる。従って、SiC基板表面に形成された数nmの高さ変化を有する欠陥を輝度画像として検出することが可能である。また、ノマルスキープリズムのシャーリング量は、例えば2μmに設定する。尚、ノマルスキープリズム14は、光路に挿脱可能に配置され、SiC基板の共焦点微分干渉画像を撮像する場合光路中に挿入され、それ以外の場合、例えば試料の3次元共焦点画像を撮像する場合及び試料の表面輪郭像を撮像する場合、光路から外される。
【0022】
ノマルスキープリズム14から出射した2本のサブビームは、対物レンズ15に入射する。対物レンズ15は、入射した2本のライン状のサブビームを集束し、ステージ16上に配置された観察すべき炭化珪素基板17に向けて投射する。従って、SiC基板17の表面は、第1の方向(X方向)に延在するライン状の2本のサブビームにより、直交する第2の方向(Y方向)に走査される。尚、検査すべき基板として、エピタキシャル層が形成されていないSiC基板及びエピタキシャル層が形成されているSiC基板の両方が用いられる。ステージ16は、XYステージにより構成され、その位置情報は、位置センサ(図示せず)により検出され、ステージの位置情報が信号処理装置11に供給される。SiC基板17の全面を走査して欠陥を検出する場合、振動ミラー9を静止状態に維持し、ステージ16をY方向及びX方向にジッグザッグ状に移動させてSiC基板の全面を走査することができる。或いは、ステージ16を第1の方向に連続的に移動させ、振動ミラー9による第2の方向の走査と組み合わされて、SiC基板の全面について欠陥検査を行うこともできる。また、検出された欠陥のアドレスを用いてレビューする場合、欠陥の座標情報に基づいてステージをX及びY方向に移動させて欠陥を視野内に位置させ、振動ミラーを第2の方向にスキャンすることにより欠陥及びその付近の共焦点微分干渉画像を撮像することができる。
【0023】
対物レンズ15にはモータ18及びモータ駆動回路19が接続され、信号処理装置11から供給される駆動制御信号により光軸方向に沿って移動することができる。対物レンズの光軸方向の位置は位置センサ20により検出され、信号処理装置11に供給される。ここで、モータ18は、対物レンズとステージ上のSiC基板との間の光軸方向の相対距離、すなわち、基板表面を走査する光ビームの集束点と基板表面との間の相対距離を変化させる手段として機能する。尚、対物レンズは、10nmの分解能で光軸方向に移動することができる。
【0024】
共焦点走査装置の特性より、対物レンズ15を光軸方向に移動させながら振動ミラー9を駆動してSiC基板の表面の2次元共焦点画像を複数回撮像し、各画素毎に最大輝度値を発生する光軸方向の位置を検出することにより、SiC基板表面の3次元形状情報(3次元形状画像)を取得することができる。また、取得した3次元形状情報に基づき、SiC基板表面を断面として示す2次元形状情報(断面形状情報)を取得することができる。従って、エピタキシャル層に形成されたマイクロパイプ欠陥のように、中空孔の欠陥は、3次元形状情報又は断面形状情報を含む表面輪郭形状情報を取得することにより他の欠陥から区別して検出することが可能である。尚、2次元共焦点画像を撮像する場合、ノマルスキープリズム14は光路から外して撮像する。
【0025】
SiC基板の表面で反射した2本の反射ビームは、対物レンズ15により集光され、微分干渉光学系14に入射する。2本の反射サブビームは、微分干渉光学系14により合成され、SiC基板表面の高さ変化を位相差情報として含む干渉ビームが形成される。例えば、SiC基板の表面に数nm程度の凹状又は凸状の欠陥が存在する場合、SiC基板表面に入射した2本のサブビームのうち1本のサブビームが欠陥上を走査し、他方のサブビームは正常な表面部分を走査するので、2本のサブビーム間には欠陥の高さに応じた位相差が導入される。この結果、微分干渉光学系14から出射する干渉ビームは、結晶欠陥に起因してSiC基板の表面に出現した数nm程度の凹凸変化を位相差情報として含むことになる。
【0026】
ノマルスキープリズム14から出射した干渉ビームは、元の光路を反対方向に伝搬し、リレーレンズ13及び12を経て振動ミラー9に入射し、振動ミラーによりデスキャンされる。振動ミラー9から出射した干渉ビームは、結像レンズとして作用するレンズ8を通過し、ハーフミラー7を透過し、検光子21に入射する。検光子21は、偏光子6に対して直交ニコルの関係に配置する。従って、ノマルスキープリズム14において合成された偏光以外の光は遮断され、微分干渉画像を構成する光だけが検光子21を透過する。
【0027】
検光子21を透過したライン状の干渉ビームは、ポジショナ22を経てリニアイメージセンサ23に入射する。リニアイメージセンサ23は、第1の方向と対応する方向に配列された複数の受光素子を有し、入射したライン状の干渉ビームを受光する。リニアイメージセンサの各受光素子は、干渉ビームに含まれる位相差情報を輝度情報に変換する。従って、SiC基板の表面又はエピタキシャル層の表面に形成された数nm程度の凹凸は輝度画像として表示される。リニアイメージセンサのライン状に配列された受光素子列は、枠により入射開口が制限されているから、各受光素子の前面にピンホールが配置されているものとほぼ同等である。従って、SiC基板表面からの反射光をリニアイメージセンサにより受光することにより、微分干渉光学系を有する共焦点光学系が構成される。
【0028】
リニアイメージセンサの各受光素子に蓄積された電荷は、信号処理装置11から供給される読出制御信号により順次読み出され、SiC基板表面の1次元画像信号として出力される。リニアイメージセンサから出力される1次元画像信号は、増幅器24で増幅され、カメラリンクを介して信号処理装置11に供給される。信号処理装置11は、画像処理ボードを有し、受け取った1次元画像信号、振動ミラーの位置情報、及びステージの位置情報等を用いてSiC基板表面の2次元画像を生成する。また、生成された2次元画像についてフィルタリング処理、2値化処理及び閾値比較処理を含む種々の画像処理を行って欠陥を検出すると共にその座標を取得する。
【0029】
SiC基板は、可視光の波長域において透明である。このため、SiC基板の表面を光ビームにより走査すると、入射した光ビームがSiC基板の内部を透過し、SiC基板の裏面で反射した反射光が検出器に入射し、解像度が低下する不都合がある。このため、微分干渉顕微鏡によりSiC基板を撮像する場合及びレーザ散乱方式により欠陥を検出する場合共に解像度が低く、欠陥検出の精度が低下する欠点がある。これに対して、本発明による共焦点型の検査装置では、リニアイメージセンサの前面にピンホールが配置されたものとほぼ等価な構成を有するので、SiC基板を透過し裏面で反射した光は、光路から外れリニアイメージセンサの受光素子に入射せず、SiC基板の表面で反射した反射光だけがリニアイメージセンサに入射する。この結果、本発明による検査装置を用いることにより、微分干渉顕微鏡により得られる微分干渉画像よりも高い解像度の共焦点微分干渉画像を撮像することができ、一層高い検出精度で欠陥検出を行うことが可能である。
【0030】
微分干渉光学系は、試料表面に形成された数nm程度の微少な凹凸を位相差として検出するので、刃状転位欠陥や基底面内転位等の基板に存在する結晶欠陥に起因してSiC基板表面に数nm程度の凹凸が形成されている場合、これらの凹凸を輝度画像として検出することが可能である。さらに、突起欠陥や凹状欠陥に関して、微分干渉画像上において、上向きの斜面及び下向きの斜面は低輝度画像又は高輝度画像として検出されるので、撮像された微分干渉画像に表示された明暗の輝度変化に基づいて凹状欠陥であるか又は凸状欠陥であるかも判別することが可能である。従って、撮像された明暗の微分干渉画像に基づいて、ピット欠陥であるか又はバンプ欠陥であるかも容易に判別することができる。
【0031】
図1に示す検査装置は微分干渉光学系を有する共焦点走査装置を構成するから、SiC基板表面の共焦点微分干渉画像を撮像することができ、さらに、SiC基板表面の3次元輪郭形状情報及びSiC基板表面の輪郭を断面画像として示す表面輪郭形状情報も取得することができる。すなわち、共焦点光学系の特性として、走査ビームの集束点が試料表面に位置したとき、最大輝度の反射光がリニアイメージセンサに入射し、走査ビームの集束点が試料表面から変位するにしたがってリニアイメージセンサに入射する反射ビームの光量が低下する。従って、対物レンズを光軸方向に沿って移動させながら、すなわちライン状の走査ビームの集束点を光軸方向に沿って移動させながら、振動ミラーにより走査して複数の2次元共焦点画像を撮像し、リニアイメージセンサの最大輝度信号を発生する対物レンズの光軸方向の位置を各画素ごとに検出することにより、SiC基板表面の輪郭を示す3次元形状情報が取得される。また、取得した3次元形状情報から、SiC基板を任意の面で切って示す表面輪郭を断面として示す表面輪郭情報も取得することが可能である。従って、検出された欠陥の3次元画像を撮像することにより、欠陥の形状を立体的に表示することが可能であり、欠陥の種別判定に有益な情報を得ることができる。また、SiC基板表面の2次元輪郭形状情報及び3次元表面輪郭形状情報に基づいてマイクロパイプ欠陥を判別することもできる。
【0032】
次に、SiC基板及びエピタキシャル層に形成される欠陥が、本発明による検査装置により撮像される共焦点微分干渉画像においていかなる形態のものとして撮像されるかについて説明する。
[マイクロパイプ欠陥]
マイクロパイプは中空孔の形態をした欠陥である。従って、走査ビームがマイクロパイプ欠陥上を走査した際、孔の底面からの反射光がリニアイメージセンサに入射せず又は微少光量の反射光しか入射しないため、点状の低輝度画像として検出される。
[異物付着]
表面に異物が付着した場合、金属等の反射率の高い異物が付着した場合点状の高輝度画像として検出され、反射率の低い異物が付着した場合点状の暗い低輝度画像として検出される。
[ダウンフォール]
ダウンフォールは、エピタキシャル層の成長中に塊がエピタキシャル層上に付着することにより形成され、上向き及び下向きの2つの傾斜面を有する形態をとる。よって、微分干渉画像として撮像した場合、明るい画像部分と暗い画像部分とが結合した明暗の輝度画像として検出される。
[刃状転位欠陥]
刃状転位欠陥は、SiC基板又はエピタキシャル層の表面上においてピット構造として出現する。従って、下向き及び上向きの2つの傾斜面を有する形態であり、微分干渉画像においては低輝度の画像部分と高輝度の画像部分とが結合した明暗の輝度画像として検出される。
[螺旋転位欠陥]
螺旋転位は、刃状転位欠陥と同様にSiC基板及びエピタキシャル層の表面においてピット構造として出現し、明暗の輝度画像として検出される。
[基底面内欠陥]
基底面内欠陥は、SiC基板の表面及びエピタキシャル層の表面において、ピット構造として出現する。従って、微分干渉画像において、明暗の輝度画像として検出される。
[バンプ]
バンプは、突起状の欠陥であり、下向きの斜面と上向きの斜面を有するので、明暗の輝度画像として検出される。
[スクラッチ]
基板の研磨処理中にスクラッチが形成される場合がある。このスクラッチは、線状の凹部構造であるので、共焦点微分干渉画像上線状の明暗の輝度画像として検出される。
【0033】
次に、デバイスの製造歩留りに強い影響を与えるマイクロパイプ欠陥及び基底面内欠陥の検出方法について説明する。初めに、マイクロパイプ欠陥の検出方法について説明する。SiC基板及びエピタキシャル層に形成されるマイクロパイプ欠陥は、点状の低輝度画像として観察され、異物付着による欠陥等の他の欠陥から区別するのが困難である。そこで、本発明では、共焦点光学系の特性を利用して、SiC基板表面又はエピタキシャル層表面の表面輪郭情報を取得して、マイクロパイプ欠陥か否かの判別を行う。点状の低輝度画像が検出された場合、そのアドレス位置にステージを移動させて、検出された点状欠陥を視野内に位置させる。続いて、対物レンズを光軸方向に移動させながら複数の2次元共焦点画像を撮像して当該欠陥の3次元画像を形成すると共に表面輪郭情報を取得する。マイクロパイプは直径が数μm程度の中空孔であるため、表面輪郭形状を取得すると、底面の深い孔の画像として表示され、又は、底面が検出されない中空孔画像として表示される。従って、点状の低輝度画像として検出された欠陥について表面輪郭形状情報を取得することにより、検出された欠陥がマイクロパイプ欠陥であるか否かの判別が可能である。
【0034】
次に、基底面内欠陥の検出方法について説明する。SiC基板に形成された基底面内欠陥は、基板表面上にピット構造として出現する。よって、微分干渉光学系を用いて撮像した場合、明暗の輝度画像として検出され、エピタキシャル層に形成された基底面内欠陥もエピタキシャル層表面に出現した明暗の輝度画像として検出される。一方、エピタキシャル層中に形成される基底面内欠陥は、SiC基板に形成された基底面内欠陥がエピタキシャル層中に伝搬することにより形成される。よって、エピタキシャル層に形成された基底面内欠陥は、起点となるSiC基板表面の欠陥位置からステップフロー方向に沿ってエピタキシャル層の厚さとオフ角により規定される距離だけ離間した位置に出現する。従って、エピタキシャル層に形成された基底面内欠陥は、エピタキシャル層の形成前後の欠陥座標を比較することにより基底面内欠陥であるか否かが判別される。すなわち、エピタキシャル層形成前のSiC基板の欠陥検査により明暗画像として検出された欠陥の座標情報を欠陥メモリに記憶する。また、エピタキシャル層が形成された後に明暗画像として検出された欠陥の座標を検出する。そして、座標比較を行い、2つの欠陥座標がエピタキシャル層の厚さとオフ角により規定される距離だけ離間した位置関係にある場合、エピタキシャル層の欠陥検査において検出されたピット欠陥は基底面内欠陥であると判定する。このように、エピタキシャル層の形成前後に検出された欠陥の座標比較を行うことにより、エピタキシャル層中に形成された基底面内欠陥を他の欠陥から区別して検出することが可能である。
【0035】
次に、欠陥検査方法について説明する。SiC基板の特性として、SiC基板に転位欠陥が存在する場合、その後エピタキシャル層を形成すると、SiC基板の表面に存在する転位欠陥がエピタキシャル層中に伝搬する特性がある。例えば、エピタキシャル層が形成される前のSiC基板に基底面内転位が形成されている場合、当該SiC基板にエピタキシャル層が形成されると、当該基底面内転位はエピタキシャル層において刃状転位欠陥となり、或いは基底面内転位欠陥となる。また、エピタキシャル層に形成されるキャロット欠陥やハーフムーン欠陥等の特有な形状を有する欠陥は、SiC基板の螺旋転位に起因して形成される場合が多い。これらSiC基板の特性を鑑み、本発明による欠陥検査方法として、以下の2つの手法を用いることができる。第1の検査方法は、エピタキシャル層形成前にSiC基板の全面について走査を行い、SiC基板表面の全面にわたる共焦点微分干渉画像を取得し、共焦点微分干渉画像から欠陥及びその座標を検出する。その後、当該SiC基板についてエピタキシャル層を形成する。そして、エピタキシャル層が形成された後のエピタキシャル層の全面について走査を行い、エピタキシャル層全面の共焦点微分干渉画像を撮像する。そして、エピタキシャル層が形成された後のSiC基板について欠陥検出を行う。この方法では、エピタキシャル層の形成前後の共焦点微分干渉画像が得られるので、エピタキシャル層の形成前後の欠陥画像比較を行うことが可能である。また、エピタキシャル層の成長中に形成されたエピ欠陥も検出することができる。
【0036】
第2の検査方法は、図1に示す本発明による検査装置を用いて、エピタキシャル層が形成される前のSiC基板表面の全面にわたって共焦点微分干渉画像を撮像し、取得した共焦点微分干渉画像について画像処理を行って欠陥及びそのアドレス(座標情報)を取得する。次に、検査後のSiC基板についてエピタキシャル層を形成する。続いて、エピタキシャル層が形成されたSiC基板を検査装置に再度装着し、エピタキシャル層の表面について、先の欠陥検査により検出された欠陥アドレスにより指定された部位を検査装置の視野内に位置決めして、エピタキシャル層表面の共焦点微分干渉画像を撮像する。そして、エピタキシャル層表面の欠陥の共焦点微分干渉画像について、欠陥の形状、大きさ、輝度分布の観点から欠陥を分類する。この検査方法によれば、エピタキシャル層が形成された後の基板の全面について共焦点微分干渉画像を撮像せず、基板に一部についてだけ撮像するため、検査時間が短縮される利点がある。
【0037】
図2は、欠陥検出及び欠陥分類を行う信号処理装置11の一例を示す線図である。本例では、エピタキシャル層が形成される前のSiC基板の全面を走査して欠陥検出を行うと共に、エピタキシャル層が形成された後のSiC基板の全面について欠陥検出を行い、これらの結果に基づいて欠陥分類を行う。リニアイメージセンサ23から出力され、増幅器24により増幅された1次元画像信号は、A/D変換器30によりデジタル信号に変換され、信号処理装置11に供給される。また、基板を支持するステージ16の位置を示すステージ位置信号(デジタル信号)も信号処理装置11に供給する。さらに、対物レンズの光軸方向の位置を示す位置センサ20から出力される対物レンズ位置信号(デジタル信号)も信号処理装置11に供給する。本例では、信号処理装置11は、コンピュータにより実行されるソフトウェアで構成され、各種の手段は、制御手段31の制御のもとで動作するものとする。尚、制御手段31からの信号線は図面が交錯するため、図示しないものとする。
【0038】
信号処理装置11に入力した1次元画像信号は、2次元画像生成手段32に送られて2次元画像、すなわち2次元共焦点微分干渉画像が形成される。この2次元画像信号は第1の画像メモリ33に供給され、エピタキシャル層が形成される前のSiC基板表面の共焦点微分干渉画像が第1の画像メモリ33に蓄積される。2次元画像生成手段32により形成された2次元画像信号は欠陥検出手段34に供給される。欠陥検出手段34には、ステージ位置信号及びリニアイメージセンサの各受光素子の位置情報も供給される。欠陥検出手段34は、フィルタリング手段、2値化手段及び閾値比較手段を含み、入力した2次元画像について画像処理を行って欠陥を検出する。同時に、ステージ位置信号及びリニアイメージセンサの各受光素子の位置情報を用いて、検出された欠陥の座標も取得する。検出された欠陥の座標は、第1の欠陥メモリ35に記憶する。
【0039】
SiC基板に形成された欠陥を観察する場合、制御手段31の制御のもとで、第1の欠陥メモリ35に記憶されている欠陥座標情報を用いて第1の画像メモリ33にアクセスし、指定された欠陥を含む所定のサイズの画像を取り出し、SiC基板の欠陥画像として出力し、モニタ上に表示することができる。また、SiC基板の欠陥を分類する場合、制御手段31の制御のもとで、欠陥メモリに記憶されている欠陥の座標情報を用いて第1の画像メモリから欠陥画像を取り出して欠陥画像を欠陥分類手段36に供給する。そして、欠陥分類手段36において、欠陥の種別を判定して欠陥の種別を出力する。
【0040】
2次元画像生成手段32により形成された2次元画像及び対物レンズの位置信号は、3次元形状情報取得手段37に供給する。3次元形状情報取得手段37は、対物レンズを光軸方向に移動させながら撮像された複数の2次元共焦点画像の各画素について最大輝度値を発生する光軸方向の位置を検出し、SiC基板表面の3次元画像を表す3次元形状情報を取得する。得られた3次元形状情報は、欠陥分類手段36に供給されて欠陥分類に用いられる。また、3次元画像出力として出力し、モニタ上に欠陥の3次元画像を表示することもできる。
【0041】
3次元形状情報取得手段37により取得された3次元形状情報は、断面形状情報取得手段38にも供給する。断面形状情報取得手段38は、3次元形状情報に基づいて、指定されたラインに沿うSiC基板表面を特定の面で切って示す2次元輪郭形状、すなわちSiC基板の表面の輪郭形状を断面画像として示す断面形状情報を生成する。取得した断面形状情報は欠陥分類手段36に供給されてマイクロパイプ欠陥の検出に用いられる。また、断面形状を画像出力として出力し、モニタ上に表示してマイクロパイプ欠陥を含む部位を基板表面と直交する面で切って示す断面形状をモニタ上に表示することも可能である。尚、マイクロパイプ欠陥の検出に際し、3次元形状情報に基づいてマイクロパイプ欠陥か否かを判別することも可能である。
【0042】
SiC基板についての欠陥検査が終了した後、当該SiC基板は、エピタキシャル層成長装置に送られ、SiC基板上にエピタキシャル層(単結晶層)が形成される。
【0043】
エピタキシャル層が形成された基板は、欠陥検査を行った検査装置に再度装着されて前述した欠陥検査が行われ、エピタキシャル層表面について欠陥の検出及び欠陥座標の取得が行われる。すなわち、2次元画像生成手段32によりエピタキシャル層表面の2次元共焦点微分干渉画像が生成され、生成された2次元画像は第2の画像メモリ39に蓄積する。また、生成された2次元共焦点微分干渉画像は欠陥検出手段34に送られ、エピタキシャル層表面に形成された欠陥が検出され、欠陥座標は第2の欠陥メモリ40に蓄積される。
【0044】
エピタキシャル層について欠陥検査が終了した後、検出された欠陥について欠陥分類が行われる。図3は本発明による欠陥分類方法の一例を示す図である。ステップ1において、欠陥画像の形状に基づいて欠陥を分類する。エピタキシャル層に形成された欠陥として、キャロット欠陥、トライアングル欠陥、コメット欠陥、ハーフムーン欠陥、スクラッチ等の欠陥は、微分干渉画像として撮像された場合、特有の形状を有する輝度画像として検出される。そこで、本例では、初めに、欠陥画像の形状に基づき、特有の形状の輝度画像を抽出する。そして、輝度画像の形状に基づき、キャロット欠陥、トライアングル欠陥、コメット欠陥等を分類する(ステップ1)。
【0045】
続いて、特有の形状を有しない輝度分布画像について、欠陥画像の輝度分布に基づいて分類を行う(ステップ2)。欠陥画像の輝度分布による分類として、点状の低輝度画像、点状の高輝度画像、低輝度画像部分と高輝度画像部分とが結合した明暗の輝度分布画像が抽出される。例えば、マイクロパイプ欠陥及び低反射率の異物付着による欠陥は、微分干渉画像として撮像した場合、点状の低輝度画像として検出される。この場合、断面形状情報を用いてマイクロパイプ欠陥が抽出される。また、高輝度画像として検出された欠陥は、金属等の高反射率の異物付着による欠陥であると判定される。さらに、明暗の輝度分布画像として検出された欠陥には、ピット欠陥やバンプ欠陥等が含まれる。尚、明暗画像欠陥については、明の画像部分と暗の画像部分の走査方向の発生順序に基づいて、検出された欠陥が凸状欠陥か又は凹状欠陥であるかが判定される。従って、明の画像部分と暗の画像部分の発生順序に基づいて、バンプ等の突起欠陥及びピット等の凹状欠陥が分類される。また、明と暗との発生順序に基づき、凹状の欠陥(ピット欠陥)であると判定された場合、刃状転位欠陥、螺旋転位欠陥、基底面内欠陥が含まれる。この場合、後述する座標比較により基底面内欠陥が抽出される。
【0046】
輝度分布による分類結果として、点状の低輝度画像として検出された欠陥については、欠陥部位の3次元形状情報を取得し、3次元形状情報に基づいて断面形状を取得し、欠陥部位の断面形状に基づいてマイクロパイプ欠陥であるか異物付着による欠陥であるかを判定する(ステップ3)。すなわち、欠陥部位の断面形状が、エピタキシャル層の厚さ程度の深さの底面を有する中空孔又は底面のない中空孔を含む画像である場合、当該低輝度画像はマイクロパイプ欠陥による欠陥像であると判定する。
【0047】
輝度分布による分類結果として、明暗画像として検出されたピット欠陥については、エピタキシャル層の形成前後の欠陥座標の座標比較による分類が行われ、基底面内欠陥が抽出される(ステップ4)。すなわち、エピタキシャル層表面の欠陥検出においてピット欠陥が検出された場合、明暗画像の座標を基準として、エピタキシャル層形成前のSiC基板の欠陥検査において検出されたピット欠陥をサーチし、エピタキシャル層の厚さとオフ角で規定される距離だけステップフロー方向と反対の方向に離間した位置にピット欠陥が存在するか否かを検索する。そして、SiC基板表面のエピタキシャル層の厚さとオフ角で規定される距離だけ離間した位置にピット欠陥が存在する場合、エピタキシャル層の欠陥検出において検出された明暗画像は、基底面内欠陥による画像であると判定する。
【0048】
尚、エピタキシャル層が形成される前のSiC基板表面についての欠陥分類も、上述した欠陥分類手法を適用することができる。尚、SiC基板においては、キャロット欠陥、トライアングル欠陥、コメット欠陥は存在しないが、スクラッチ等の欠陥を形状情報により判別する。また、基底面内欠陥については、座標比較ができないため、ステップ3までの分類工程が実行される。
【0049】
図2を参照して、本発明による検査装置の欠陥分類手段36の処理内容について説明する。欠陥検出処理が終了した後、欠陥分類が行われる。初めに、制御手段31の制御のもとで、第2の画像メモリ39にアクセスし、第2の欠陥メモリ40に記憶された欠陥座標を用いて欠陥であると判定された部位の所定のサイズの共焦点微分干渉画像(欠陥画像)を取り出し、欠陥分類手段36に供給する。入力した欠陥画像は第1の欠陥分類手段50に供給される。第1の欠陥分類手段50は、入力した画像について形状に基づいて分類を行う。すなわち、第1の欠陥分類手段50は、キャロット欠陥やコメット欠陥等の特有の画像に関する形状情報を有し、受け取った画像が特有の形状に類似するか否か判定する。この形状判定により、特有の形状を有する欠陥画像について、キャロット欠陥やコメット欠陥等の欠陥分類が行われる。
【0050】
欠陥であると判定された部位の所定のサイズの欠陥画像は、第2の欠陥分類手段51にも供給される。第2の分類手段52は、受け取った欠陥画像について、輝度分布に基づき、点状の高輝度画像、点状の低輝度画像、又は明暗画像に分類する。さらに、明暗画像については、凸状の欠陥か凹状の欠陥かを判別する。明暗画像の場合、明の画像部分と暗の画像部分の発生順序に基づいて、バンプ等の突起欠陥かピット欠陥かが判別される。
【0051】
第2の分類手段により点状の低輝度画像であると判定された場合、第3の欠陥部分手段52が作動してマイクロパイプ欠陥の検出処理が行われる。この場合、当該欠陥画像の座標情報に基づいて、ステージが移動し、当該欠陥座標を視野内に位置させて3次元形状情報及び断面形状情報が取得される。そして、断面形状情報取得38により形成された断面形状情報が第3の欠陥分類手段52に供給される。第2の欠陥分類手段52は、受け取った断面形状情報に基づいて、エピタキシャル層の表面に中空孔が形成されているか否かを判別し、中空孔が形成されていると判定した場合、当該欠陥画像はマイクロパイプ欠陥によるものと判定し、マイクロパイプ欠陥を出力する。一方、中空孔が形成されていないと判定した場合、当該欠陥画像は、低反射率の異物付着であると判定する。
【0052】
第2の欠陥分類手段51によりピット欠陥であると判定された場合、第4の欠陥分類手段53が作動する。第4の欠陥分類手段53は、エピタキシャル層の厚さ情報及びオフ角情報を有する。そして、第2の欠陥メモリにアクセスして受け取った欠陥画像の座標情報を取得する。取得した座標情報をもとにして、第1の欠陥メモリをサーチし、エピタキシャル層の厚さとオフ角により規定される距離だけ離間したSiC基板表面の位置にピット欠陥が存在するか否かを判定する。エピタキシャル層形成前のSiC基板表面にピット欠陥が存在すると判定した場合、受け取った欠陥画像は、基底面内欠陥に起因する画像であると判定し、その旨を出力する。一方、対応する距離だけ離間した位置にピット欠陥が存在しないと判定した場合、基底面内欠陥以外の欠陥、例えば刃状転位欠陥やスクラッチに起因する欠陥画像であると判定する。
【0053】
このように、本発明の検査装置によれば、エピタキシャル層に形成された欠陥が検出されると共に、検出された欠陥の種別が自動的に判別することが可能である。特にエピタキシャル層に形成されるデバイスの性能に強い影響を与えるマイクロパイプ欠陥及び基底面内欠陥を自動的に判別して出力することが可能である。
【0054】
図4は本発明による検査装置の変形例を示す図である。本例では、第1の方向に沿って配列された複数の走査ビームを用いてSiC基板表面を装置する検査装置について説明する。尚、図1で用いた構成要素と同一の構成要素には同一符号を付して説明する。照明光源としてレーザ光源60を用いる。レーザ光源60から出射したレーザビームは、回折格子61に入射し、第1の方向にそって配列された複数の光ビーム(マルチビーム)に変換される。このマルチビームは、第1及び第2のリレーレンズ62及び63を経て偏光ビームスプリッタ64に入射し、偏光ビームスプリッタ64を透過して振動ミラー9に入射する。振動ミラー9は、入射した複数の光ビームを第1の方向と直交する第2の方向にそって偏向する。振動ミラー9で反射した複数の光ビームは、第3及び第4のリレーレンズ65及び66並びに1/4波長板67を経てノマルスキープリズム14に入射する。ノマルスキープリズム14に入射した各光ビームは、振動面が互いに直交する2本のサブビームに変換される。これら2本のサブビーム間には、mを自然数とした場合に、(2m+1)π/2の位相差が与えられる。
【0055】
ノマルスキープリズム14から出射した2本のサブビームは、対物レンズ15に入射する。対物レンズ15は、入射したサブビームを集束し、ステージ16上に配置された観察すべき炭化珪素基板17に向けて投射する。従って、SiC基板17の表面は、第1の方向にそって配列された2列のサブビームにより、光ビームの配列方向と直交する第2の方向に走査される。
【0056】
SiC基板17の表面で反射したサブビームは、対物レンズ15により集光され、ノマルスキープリズム14に入射する。ノマルスキープリズムにおいて、互いに関連する反射ビーム同士が合成され、SiC基板表面の高さ変化を位相差として含む複数の干渉ビームが発生する。これら複数の干渉ビームは、1/4波長板67、第4及び第3のリレーレンズ66及び65を経て振動ミラー9に入射する。そして、振動ミラーによりデスキャンされて偏光ビームスプリッタ64に入射する。入射した複数の干渉ビームは、1/4波長板を2回通過しているので、偏光ビームスプリッタの偏光面で反射し、結像レンズ68を介してリニアイメージセンサ69に入射する。リニアイメージセンサ69は、複数のフォトダイオードが第1の方向と対応する方向にライン状に配列された1次元ラインセンサで構成する。そして、各干渉ビームは、対応するフォトダイオードにそれぞれ入射する。各フォトダイオードに蓄積された電荷は、信号処理装置11から供給される駆動信号により順次読み出され、信号処理装置11に供給される。信号処理装置においては、図2及び図3に基づき、欠陥検出及び検出された欠陥の分類が行われる。
【0057】
本発明は上述した実施例だけに限定されず種々の変形や変更が可能である。例えば、上述した実施例では、対物レンズを光軸方向に移動させることにより走査ビームの集束点と基板表面との間の相対距離を変化させたが、対物レンズを固定し、SiC基板を支持するステージを光軸方向に移動させることにより走査ビームの集束点と基板表面との間の相対距離を変化させることも可能である。
【0058】
さらに、上述した実施例では、共焦点走査装置として、ライン状の走査ビームを用いる共焦点走査装置及びマルチビームにより試料表面を走査する共焦点走査装置について説明したが、勿論1本の走査ビームで基板表面を走査する共焦点走査装置を用いることも可能である。
【0059】
さらに、上述した実施例では、SiC基板の欠陥を検出する手段として、エピタキシャル層の欠陥を検出する微分干渉光学系を含む共焦点走査装置を用いたが、SiC基板の欠陥を検出する手段として別の検査装置を用い、検出された欠陥座標を用いてエピタキシャル層の欠陥検査を行うことも可能である。
【0060】
さらに、上述した実施例では、微分干渉光学系としてノマルスキープリズムを用いたが、ロッションプリズムやウォルストンプリズム等の他の微分干渉光学系を用いることも可能である。
【符号の説明】
【0061】
1 照明光源
2 光ファイバ
3 フィルタ
4 集束性レンズ
5 スリット
6 偏光子
7 ハーフミラー
8,12,13 リレーレンズ
9 振動ミラー
10 駆動回路
11 信号処理装置
14 ノマルスキープリズム
15 対物レンズ
16 ステージ
17 SiC基板
18 モータ
19 駆動回路
20 位置検出センサ
21 検光子
22 ポジショナ
23 リニアイメージセンサ
24 増幅器
30 A/D変換器
31 制御手段
32 2次元画像生成手段
33 第1の画像メモリ
34 欠陥検出手段
35 第1の欠陥メモリ
36 欠陥分類手段
37 3次元形状情報取得手段
38 断面形状情報取得手段



【特許請求の範囲】
【請求項1】
炭化珪素基板又はエピタキシャル層が形成された炭化珪素基板について欠陥検査を行う検査装置であって、
照明ビームを発生する光源装置と、検査すべき炭化珪素基板を支持すると共に第1の方向及び第1の方向と直交する第2の方向に移動可能なステージと、前記照明ビームを、ステージ上に配置した炭化珪素基板に向けて投射する対物レンズと、前記炭化珪素基板又はエピタキシャル層の表面で反射した反射光を受光する光検出手段とを有し、前記ステージを第1及び第2の方向に移動させることにより炭化珪素基板又はエピタキシャル層の表面を照明ビームにより走査する走査装置、
前記光学装置の対物レンズと光検出手段との間の光路中に選択的に配置され、入射した照明ビームを、互いに干渉性を有する第1及び第2のサブビームに変換すると共に、前記炭化珪素基板又はエピタキシャル層の表面で反射したサブビーム同士を合成し、炭化珪素基板又はエピタキシャル層の表面高さと関連する位相差情報を含む干渉ビームを出射させる微分干渉光学系、及び、
前記光検出手段からの出力信号を受け取り、前記炭化珪素基板又はエピタキシャル層表面の微分干渉画像を形成する画像形成手段と、形成された微分干渉画像に基づいて欠陥検出を行う欠陥検出手段と、検出された欠陥の微分干渉画像の形状及び輝度分布に基づいて欠陥を分類する欠陥分類手段とを有する信号処理装置を具えることを特徴とする検査装置。
【請求項2】
請求項1に記載の検査装置において、前記欠陥分類手段は、検出された欠陥の微分干渉画像の形状に基づき、特有の形状を有する欠陥像を識別する第1の分類手段と、微分干渉画像の輝度分布に基づき、点状の低輝度欠陥像、点状の高輝度欠陥像及び明暗輝度の欠陥像を識別する第2の分類手段とを有することを特徴とする検査装置。
【請求項3】
請求項2に記載の検査装置において、前記第1の分類手段は、特有の形状を有する欠陥像として識別された欠陥を、キャロット欠陥、トライアングル欠陥、コメット欠陥、ハーフムーン欠陥、スクラッチを含む形状欠陥として分類し、
前記第2の分類手段は、点状の低輝度欠陥像、点状の高輝度欠陥像及び明暗輝度の欠陥像として識別された欠陥を、マイクロパイプ欠陥、異物付着欠陥、突起欠陥、又はピット欠陥として分類することを特徴とする検査装置。
【請求項4】
請求項1から3までのいずれか1項に記載の検査装置において、前記信号処理装置は、さらに、前記画像形成手段により形成された微分干渉画像を記憶する画像メモリ、及び、検出された欠陥のアドレスを記憶するアドレスメモリを有し、検出された欠陥の微分干渉画像を欠陥画像情報として出力することを特徴とする検査装置。
【請求項5】
請求項4に記載の検査装置において、前記信号処理装置は、エピタキシャル層が形成される前の炭化珪素基板の検査において撮像された欠陥の微分干渉画像を記憶する第1の画像メモリと、同一の炭化珪素基板についてエピタキシャル層が形成された後の検査において撮像された欠陥の微分干渉画像を記憶する第2の画像メモリと、エピタキシャル層が形成される前の炭化珪素基板の検査において検出された欠陥のアドレスを記憶する第1のアドレスメモリと、同一の単結晶についてエピタキシャル層が形成された後の検査において検出された欠陥のアドレスを記憶する第2のアドレスメモリとを有し、エピタキシャル層が形成される前後の欠陥の微分干渉画像を欠陥画像情報として出力することを特徴とする検査装置。
【請求項6】
請求項5に記載の検査装置において、前記信号処理装置は、さらに、エピタキシャル層が形成される前の検査において検出された欠陥のアドレスとエピタキシャル層が形成された後の検査において検出された欠陥のアドレスとを用いて、ピット欠陥として検出された欠陥が基底面内欠陥であるか否かを判別する分類手段を有することを特徴とする検査装置。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項に記載の検査装置において、前記光源装置は、一方向に延在するライン状の照明ビーム又はライン状に配列された複数の照明ビームを発生し、前記光検出手段は、ライン状に配列された複数の受光素子を有するリニアイメージセンサにより構成され、前記走査装置は共焦点走査装置として構成されていることを特徴とする検査装置。
【請求項8】
炭化珪素基板又は単結晶上に形成されたエピタキシャル層に存在する欠陥を検出し、検出された欠陥を分類する欠陥分類方法であって、
微分干渉光学系を含む走査装置を用い、炭化珪素基板又はエピタキシャル層の表面の微分干渉画像を撮像する工程と、
撮像された微分干渉画像に基づいて欠陥を検出する欠陥検出工程と、
検出された欠陥の微分干渉画像の形状及び輝度分布に基づいて欠陥を分類する欠陥分類工程とを有することを特徴とする欠陥分類方法。
【請求項9】
請求項8に記載の欠陥分類方法において、前記欠陥分類工程は、検出された欠陥の微分干渉画像の形状に基づき、特有の形状を有する欠陥像を識別する第1の分類工程と、
検出された欠陥の微分干渉画像の輝度分布に基づき、点状の低輝度欠陥像、点状の高輝度欠陥像及び明暗輝度の欠陥像を識別する第2の分類工程とを含むことを特徴とする欠陥分類方法。
【請求項10】
請求項9に記載の欠陥分類方法において、前記第1の分類工程において、特有の形状を有する欠陥像として識別された欠陥は、キャロット欠陥、トライアングル欠陥、コメット欠陥、ハーフムーン欠陥、スクラッチを含む形状欠陥として分類され、
前記第2の欠陥分類工程において、点状の低輝度欠陥像、点状の高輝度欠陥像及び明暗輝度の欠陥像として識別された欠陥は、マイクロパイプ欠陥、異物付着欠陥、突起欠陥、又はピット欠陥として分類されることを特徴とする欠陥分類方法。
【請求項11】
請求項8から10までのいずれか1項に記載の欠陥分類方法において、前記欠陥検出工程は、エピタキシャル層が形成される前の炭化珪素基板に存在する欠陥及びそのアドレスを取得する第1の検出工程と、
前記炭化珪素基板にエピタキシャル層を形成し、形成されたエピタキシャル層に存在する欠陥を検出する第2の検出工程とを含むことを特徴とする欠陥分類方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−209271(P2011−209271A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−8436(P2011−8436)
【出願日】平成23年1月19日(2011.1.19)
【分割の表示】特願2010−78511(P2010−78511)の分割
【原出願日】平成22年3月30日(2010.3.30)
【出願人】(000115902)レーザーテック株式会社 (184)
【Fターム(参考)】