説明

極低温液体貯蔵タンク

極低温液体貯蔵タンクであって、基底板2、5及び側壁3と、底部断熱層7と、を備えている。基底板2及び側壁3は、内側薄板3aを包む外側薄板3bを含み、両方が遷移部を形成し、基底板2の外側薄板3b部分が底板5を含み、底板5が外側薄板補強コンクリート層50と連続し、底板5及び外側薄板補強コンクリート層50の内部表面が、外側薄板金属膜6、51で内張りされている。底部断熱層7は、外側薄板金属膜6の上に形成され、壁断熱材14iと連続して形成され、内側薄板3aが底部層8を含み、底部層8が内側薄板壁外側コンクリート層11と連続し、底部層8と内側薄板壁外側コンクリート層11の両方が内側薄板金属膜9、12で内張りされ、内側薄板金属膜9、12が内側薄板内側コンクリート層10、13で内張りされ、外側コンクリート壁50が断熱されたドーム構造4を支持している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大容量の液体貯蔵タンクに関し、詳細には、液体酸素及び窒素、並びに主にメタン、エタン、及びプロパンを含む液化天然ガス(LNG)などの極低温液体を貯蔵するタンクに関するものである。
【背景技術】
【0002】
液化天然ガスは、大気圧又は大気圧に近い圧力下で、極低温度で大型のタンク内に貯蔵されており、タンク内の液体は、液体の一部が沸騰して気体としてなくなることによって液体のエネルギーが失われるにつれて冷却される。国際公開第2004/001280号は、そのようなタンクについて記載している。気体の損失を最小に低減するために、貯蔵タンクの壁、基底、及び上部は断熱されている。
【0003】
上記で述べたタンクに基いて開発されたタンクの基底は、コンクリートの基礎を備え、その上に外側金属板が置かれる。外側金属板上には、発泡ガラス・ブロックの断熱層が置かれる。次いで、この断熱層上にはコンクリートの基底が置かれ、内側タンクの底部を形成する。その後、溶接された板から金属基底が構築され、コンクリートの基底を覆って延びる。この発明の一実施例では、金属基底の外縁部は厚くされた領域を有し、その領域上に、内側タンク側壁の少なくとも一部が立っている。内側タンクの金属基底は、内側タンク内に液体を収容するように、タンクの側壁内の金属層に接合される。
【0004】
極低温液体タンクは従来、LNGを収容するために金属基底に接合された金属層を含む側壁を有する内側タンクと、内側タンクを取り囲み、内側タンクから離隔された外側タンクとを備える。
【0005】
したがって、底部及び側壁を備える本発明によるタンクは、内側タンクの底部及び側壁を形成する内側薄板と、外側タンクの底部及び側壁を形成する外側薄板とを備える空胴壁であると考えることができる。側壁の内側薄板と外側薄板の間の空間には、パーライトなどの断熱材料が充填される。
【0006】
液体によってタンク側壁の内側薄板に作用する静水圧に最適に対処するために、そしてタンクの製作を最も容易にするために、LNG貯蔵タンクは従来、平面形状が円形で垂直の壁を有する円筒形の形状を呈している。タンクの側壁の外側薄板の上縁部は、側壁の外側薄板上に載るようにタンクの上部を覆って配置される鋼鉄及びコンクリートのドーム構造によって作用する力を受けるように、環状梁構造によって補強される。ドームの鋼鉄構造は、一体として予め製作し、そのまま持ち上げて定位置に置くことができる。別法として、特にスリップ・フォーム工法を使用してタンクの側壁を構築するときには、ドームの鋼鉄構造は、一連の扇形部分として予め製作し、タンクの側壁の外側薄板を所望の高さまで高くした後に組み立てることができる。ドームの鋼鉄構造は、それほどの重量ではなく、タンク側壁の外側薄板上に簡単に載せることができる。壁の上部の周りに設置された環状梁構造は、ドームをコンクリート層で仕上げるときに生じる周方向応力に耐えるように円周方向に補強される。
【0007】
内側タンク上の断熱層は通常、タンク内に貯蔵された液化ガスの表面内へ熱が流入するのを低減させながら、液体表面から沸騰してなくなる気体を透過できるように、ドームからつるされた比較的軽い蓋構造上に構成される。
【0008】
従来技術では、貯蔵タンク側壁の内側薄板は、強度及び液密性を提供するために、厚板金属から製作されていた。本発明者の知識によれば、そのような背景技術の極低温タンク内でそのような目的で使用される鋼鉄板は、厚さが最高38mmになることもある。厚板金属の内側薄板は、溶接によって基底の金属層に接合される。しかし、厚い金属板は、作製及び成形するのが高価であり、ともに接合するのに時間がかかり、そのためこの形式の構造は高価になる。
【0009】
上記で言及した従来技術では、タンク壁の内側薄板は、内側薄板に対して小型のサンドイッチ構造を使用することによって構築されてきた。この内側薄板は、スリップ・フォーム工法で建設される最初に直立させたコンクリートの内側層を含み、この内側層が薄い金属層によって取り囲まれ、次にこの薄い金属層が、後のスリップ・フォーム工法で建設されるコンクリートの外側層によって取り囲まれる。このサンドイッチ構造では、内側薄板は、より古いタンクの「全金属」の内側薄板よりも薄い金属層にすることができる。さらにサンドイッチ構造によれば、タンク内に液化ガスを入れたとき、極低温度によって内張り内張りが収縮して外側コンクリート層から離れて、鋼鉄製の内張り内張りをコンクリートに固定する取付け具に応力をかけるという欠点がなくなる。
【0010】
金属層の下縁部では、薄い金属層は、内側薄板の基底を形成している水平の環状形状の金属基底板に溶接され、この環状形状の金属基底板は、流体密性を提供するように、その内周縁部に沿って基底の金属層の外周縁部に溶接される。
【0011】
このサンドイッチ構造を使用するタンク壁の内側薄板は通常、スリップ注型プロセスによって作られる。スリップ注型プロセスでは、平面の基底構造が形成され、初めは基底構造上に内側コンクリート構造に対するスリップ型が組み立てられ、そして内側コンクリート構造がタンクの所望の高さまでスリップ・フォーム工法で建設される。続いて、内側コンクリート構造の外側表面上に金属層が配置され、次いで内側薄板の外側コンクリート構造に対するスリップ・フォーム(滑動型枠)が配置され、そして内側薄板のこの外側コンクリート構造のスリップ・フォーム工法が、内側薄板の所望の高さに到達するまで実施される。金属層は、重ね合せて溶接された鋼鉄板から構築され、これらの鉄鋼板は、内側薄板の内側コンクリート層が高くなるにつれて直立させることができる。このように、従来技術によれば、壁の内側薄板の内側コンクリート層、金属層、及び外側コンクリート層は順次形成される。
【0012】
しかし、以前の技法のすべてにおいて、タンクの壁は、水平横断面が円形の垂直方向に向いた円筒であり、垂直の側壁をもつ。
【0013】
そのようなタンクの建造における1つの制約要因は、ドームの寸法である。主な制約要因は、ドームの寸法、及びドームの重量によって側壁の上部に引き起こされる概ね水平の力である。別の制約要因は、スパンの広いドーム内に引き起こされる内部の曲げモーメントである。
【0014】
通常、円筒形の(壁が垂直の)タンク上にドームを形成するためには、選択対象として2つの方法がある。第1の方法は、まずタンク側壁の外側薄板を形成し、次いで外側薄板の底部内にドームの鋼鉄構造を構築し、鋼鉄構造を外側薄板の上部の最終位置まで持ち上げてそこに鋼鉄構造を取り付け、次いでドームの鋼鉄構造をコンクリート層で覆ってタンクの屋根を完成させる。次に、タンク側壁の内側薄板が形成される。外側薄板上の定位置に屋根を持ち上げた後でなければ内側薄板を形成できないことは、明らかである。
【0015】
別法として、屋根は、少なくとも外側薄板をスリップ・フォーム工法で建設し、次いで屋根の鋼鉄構造を部分ごとに外側薄板上の定位置につり上げ、次いでコンクリート層を形成して屋根を完成させることができる。ドームの鋼鉄部分は、天候条件が穏やかなときでなければ定位置に持ち上げることができないため、構築工程は容易に中断される。実際には、これらの制約要因によってタンクの直径が決められる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0016】
【特許文献1】国際公開第2004/001280号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は、従来の円筒形のタンクと同じ高さ及び底面積又は同じ屋根スパンを有するタンク内に、体積を増大させたLNGを貯蔵できるLNG貯蔵タンクのための構造を提供することを目的とする。
【0018】
第2の目的は、従来のタンクと同じ高さ及び底面積を有する一方、同じ又はさらにはより大きい体積のLNGをタンク内に貯蔵できるが、屋根スパンは低減できるLNG貯蔵タンクを提供することである。
【0019】
さらなる目的は、従来技術の基底構造と比較すると機械的強度及び断熱性が改善された貯蔵タンクのための基底構造を提供することである。本発明の基底構造は、内側薄板がサンドイッチ型である側壁構造と一緒に使用することができる。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の第1の観点によれば、主にコンクリートで形成される内側タンクを形成するいわゆる内側薄板と、同じく主にコンクリートで形成される外側タンクを形成するいわゆる外側薄板とを含む2重のコンクリートタンクを提供することによって、極低温液体貯蔵タンクが構築される。外側薄板は、概ね平面の基底と、基底の周りに直立している外側薄板側壁とを含む。基底は、円形であることが好ましい。極低温貯蔵タンク上には、屋根が構築される。極低温タンクは、内側薄板と外側薄板の間に構成された断熱材料を含むことが好ましい。有利な実施例では、内側薄板はサンドイッチ構造であり、内側コンクリート層、金属中心層、及び外側コンクリート層を含む。好ましい実施例では、外側薄板は、蒸発した気体が極低温タンクから逃げるのを防止するために、金属層によって内張りされた外側コンクリート層を含む。タンクは、平面又は水平横断面で見ると円形の輪郭を有することが好ましい。
【0021】
より具体的には、本発明の第1の態様による極低温液体貯蔵タンクは、次のような特徴を含んでいる。すなわち、
平面の基底板(2、5)及び前記基底板(2、5)の周りを上方へ延びる側壁(3)であって、
前記基底板(2)及び前記側壁(3)が、内側薄板(3a)を全体として包む外側薄板(3b)を含み、前記内側薄板(3a)と前記外側薄板(3b)の両方が、前記基底板(2)から前記側壁(3)へと構造上連続する遷移部を全体として形成し、
前記基底板(2)の前記外側薄板(3b)部分が、下部の外側薄板コンクリート底板(5)を基板上に含み、
前記外側薄板コンクリート底板(5)が、前記外側側壁(3b)の外側薄板補強コンクリート層(50)と連続して形成され、前記外側薄板コンクリート層(50)が周方向応力で補強され、
前記外側薄板(3b)の前記外側薄板コンクリート底板(5)及び前記外側薄板周方向応力補強コンクリート層(50)の内部表面が、金属製の連続する外側薄板金属膜(6、51)で内張りされる、基底板(2、5)及び側壁(3)、並びに
前記下部コンクリート底板(5)上の前記外側薄板金属膜(6)の上に構成された底部断熱層(7)であって、
前記底部断熱層(7)が、前記外側薄板(3b)の内面と前記内側薄板(3a)の外面の間の環状空胴(14)内に充填された壁断熱材(14i)と概ね連続して形成され、
前記内側薄板(3a)が、前記水平断熱部分(7)上に内側薄板コンクリート底部層(8)を含み、前記内側薄板コンクリート底部層(8)が、周方向応力補強内側薄板壁外側コンクリート層(11)と構造上連続して形成され、前記内側薄板コンクリート底部層(8)と内側薄板壁外側コンクリート層(11)の両方が、金属製の連続する内側薄板金属膜(9、12)で内張りされ、
前記内側薄板金属膜(9、12)が、内側薄板内側コンクリート層(10、13)で内張りされ、
前記外側薄板周方向応力補強外側コンクリート壁(50)が、断熱されたドーム構造(4)を支持する、底部断熱層(7)という特徴を含む。
【0022】
この有利な実施例では、内側薄板はサンドイッチ構造であり、内側コンクリート層、金属中心層、及び外側コンクリート層を含む。
【0023】
タンクは、平面又は水平横断面で見ると円形の輪郭を有することが好ましい。
【0024】
本発明の一実施例では、側壁は、概ね垂直の円筒などのように、垂直方向にまっすぐにすることができ、そして水平方向に湾曲する。本発明の別の実施例では、側壁は、垂直面と水平面の両方で凸状の湾曲を有する。基底は、円形であることが好ましい。
【0025】
側壁は、タンクの下部部分でタンクから外方へ傾斜させ、タンクの上部部分で内方へ傾斜させることができる。別法として、側壁は、側壁の下部部分で垂直になり、側壁の上部部分で内方へ湾曲することができる。
【0026】
垂直面における側壁の湾曲は、部分的に円形とすることができ、その結果、タンクの内部体積は部分球に近似する。さらなる代替実施例では、垂直面における側壁の湾曲は、少なくとも部分的に放物線状とすることができる。しかし、タンク壁は、垂直面において任意の他の適切な凸状の湾曲形状をとることができる。
【0027】
タンクの側壁は、壁の上部部分の周方向応力を補強された部分で終わることが好ましい。一実施例では、この周方向応力を補強された部分は、上縁部に組み込まれた環状梁構造であり、タンクの上部を覆ってドームを配置し、周方向応力を補強された上部部分上で支持することができる。好ましい実施例では、外側薄板は、外側薄板の上部部分で内方へ傾斜され、したがって径方向の力と垂直の力が組み合わさった力を受け取るように改善された能力を有し、外側薄板の周方向応力を補強された上部部分内に環状梁の機能を組み込むことができる。
【0028】
ドームの鋼鉄構造は、部分ごとに予め製作することができる。これらの部分はそれぞれ、ドームの扇形部分とすることができる。
【0029】
側壁の外側薄板には、ドームの外縁部の傾斜とは異なる角度で、外側薄板の上縁部で垂直に角度を付けることができ、それによって側壁とドームの接合部でタンクを取り囲んで目に見える「縁部」を生じさせる。
【0030】
本発明の第2の観点によれば、コンクリートの基礎(フーチング)に、外側タンクの一部を形成する上にある金属層と、金属層の上にある断熱層と、断熱層上の内側タンクの封止基底層とを提供することによって、液体貯蔵タンクのための基底が構築される。内側タンクの封止基底層は、下にあるコンクリート層と、金属封止層と、内側コンクリート層とを含む。封止基底層はサンドイッチ構造であり、同様に積層されたサンドイッチ構造を、側壁の内側薄板に使用することができる。そのような場合、内側タンクの基底層の金属封止層は、溶接によって、又は底部から壁への遷移部で嵌合するように形成された連続する金属によって構成されることによって、側壁の内側薄板の金属層に固定され、LNGを収容するための流体密性の構造を提供する。
【0031】
第2の態様の基底構造はまた、単純金属層又は金属で内張りされたコンクリート層から構成される内側薄板を有する側壁構造と共に使用することができる。
【0032】
一実施例では、第2の態様による基底構造は、水平及び垂直方向で凸状に湾曲する側壁と共に使用することができる。他の実施例では、基底構造は、垂直の円筒形構造の側壁と共に使用することができる。
【発明の効果】
【0033】
本発明の利点は、内側薄板の内側及び外側コンクリート層を含むサンドイッチ構造内に金属障壁を組み込むことによって、従来技術で使用されるものと比較すると金属障壁の厚さを低減できることである。金属障壁の厚さを著しく低減させることで、LNGの充填中にタンクが冷却されるときの熱収縮に追従及び適合できるより高品質の金属膜、たとえば延性の大きいステンレス鋼を選択することができる。
【0034】
本発明の別の利点は、基底のサンドイッチ構造と壁のサンドイッチ構造との間で連続する遷移部が得られ、構造上の観点から、構造上の弱点を形成しないことである。地震の安全上の観点から、これは有利である。これは、補強を望ましくない形で終わらせることなく、外側薄板と内側薄板の両方に対して底部コンクリート層から壁層まで補強を継続できるため、建設作業上の観点からも有利である。
【0035】
さらに、連続する金属膜が形成され、この金属膜の位置が床と壁の間の遷移部内のコンクリート層間で乱されないため、漏れ防止の観点から、著しい利点となる。背景技術によって構築された大型のコンクリート極低温タンクに伴って一般的に問題となるのは、極低温度まで冷却されるよりも前に漏れ試験される可能性があることである。しかし、背景技術のタンクでは、極低温冷却後に流体密性を保証することはできない。内側薄板のコンクリート層内に連続する金属膜を提供する本発明では、周囲温度から冷却する前に流体密性を試験することができ、内側薄板の封入された金属膜と封入するコンクリート層の間で相対的な移動は生じない。
【0036】
一実施例では、連続する遷移部と下部側壁が外方へ傾斜する凸状の実施例とを組み合わせて、そのような床から壁への遷移部に対する角度が低減されると有利であることがわかる。構造上の安定性、特に熱収縮中又は熱膨張中の水平方向の力の伝達は、垂直の円筒形の壁構造と比較すると、一層向上する。
【0037】
本発明の凸状の実施例の利点は、本発明によるタンクの表面積が、同じ体積の円筒形のタンクの表面積と比較すると著しく低減されることである。凸状のタンクは、側壁の中央で底部より大きい直径を有することができ、また側壁の中央と底部の両方と比較しても低減された上部の直径を有することもできる。本発明によるタンクの表面積は、基底の相対的な直径並びに屋根の形状及び相対的な直径によって画定される面積を考えると、所与の体積に対して可能な限り最小の表面積である球の表面積に近づく。対応する球のより小さい表面積に近づく結果、極低温タンクへの熱の流入、したがってこの熱の流入に比例する蒸発を低減させる。
【0038】
その実施例の別の利点は、経済的な観点から、同じ質量の構造材料に対してより大きな貯蔵体積を得られることである。
【0039】
本発明のその実施例の第3の利点は、側壁の凸状の形状を考えると、内容物を含むとタンク全体の質量中心が下がることである。これにより、地震時に水平加速度によって受けるモーメントが低減する。
【0040】
その実施例の第4の利点は、幾何形状、及びその結果として屋根構造によって引き起こされる力の水平成分を受ける能力のため、補強された環状梁構造が外側薄板自体の上部部分の強度によって部分的又は完全に置き換えられることである。外側薄板の上部部分は、所望であれば、さらに補強し且つ/又は厚くすることができる。
【0041】
外壁の上部を補強する周方向応力の必要性は、ドーム屋根の直径が小さくなるとともに低減する。ケーブルに予め圧縮応力(プレストレス)をかけることによってしっかりと補強され、非常に大型のタンクでは場合により高さ3メートル及び幅2メートル、並びに直径100メートル近くを有することがある環状梁が非常に大きな質量を有することを不要にし、又は低減させることによって、環状梁を構築する単なるコスト及び時間を低減できるという別の利点がある。これにより、構造体としてのタンクの質量中心をさらに下げることにもなる。この同じ利点は別の観点から、すなわち地震学上の観点からいうと、ドーム及び環状梁の質量によってタンク全体にわたって引き起こされる水平慣性せん断力、具体的には環状梁と外側薄板の上部部分の間のせん断力を低減させることになる。
【0042】
本発明の凸状の実施例のさらなる利点は、上部の直径が小さくされ、液位が高くなることを考えると、液体表面の面積を低減でき、それによって地震中の激しいスロッシング(容器内の液体の共振現象)のリスクを低減させることができることである。さらに、必要な円形の断熱天井の面積、したがって天井及びその断熱層の重量が低減され、それによってドームに対する構築コストを低減させることができる。
【0043】
本発明の凸状形状の実施例の別の利点は、ドームの直径を著しく小さくし、これによりドームと外側薄板の上部部分の間の遷移部を補強する必要性を低減することができることである。これにより、ドームの構造部品の寸法が低減されるため、ドームを構築するコストが減少し、風条件に関する障害も少なくなる。
【0044】
本発明の実施例について、添付の図面を参照して次に詳細に記載する。
【図面の簡単な説明】
【0045】
【図1】本発明の一実施例による貯蔵タンクの概略切欠図である。
【図2】図1の貯蔵タンクの直径方向の垂直断面図である。
【図3】外側薄板の底板及び外側コンクリート壁並びに内側薄板の底部及び壁サンドイッチ構造を示す、図1の円A内の領域の縮尺のより大きい詳細図である。
【図4】本発明の第2の実施例による貯蔵タンクの図1に類似の図である。
【図5】本発明のさらに別の実施例による貯蔵タンクの図1に類似の図である。
【図6】図5の円B内の領域の縮尺のより大きい詳細図である。
【図7】本発明の一実施例による外壁の上部部分と貯蔵タンクのドームの間の遷移部の部分断面及び部分立面図を示す、図2の円C内の領域のより大きい縮尺の詳細図である。
【図8】側壁が、まっすぐな垂直の下部壁部分と内方へ傾斜した凸状の上部部分とを有する、本発明の一実施例による貯蔵タンクの図1に類似の図である。図面の左部分には、底部構造と壁の間の遷移部で内側薄板及び外側薄板の金属膜が連続している、底板と壁の下部部分の間の遷移部の一実施例をより大きい縮尺で示す。
【図9】本発明の垂直壁の実施例による貯蔵タンクの図1に類似の図である。
【図10】図9の円C内の領域のより大きい縮尺の詳細図である。図10では、外側薄板の底板と外側の構造上のコンクリート壁の間の連続する遷移部を示す。
【図11A】側壁上へのドーム構成物の配置及びドームの形成を示す図である。
【図11B】側壁上へのドーム構成物の配置及びドームの形成を示す図である。
【図12】側壁の外側薄板に対して連続する構造をもつ好ましい実施例の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0046】
図面を次に参照すると、図1〜図3は、本発明による貯蔵タンク1の一実施例を示す。貯蔵タンク1は、本明細書では内側薄板3a及び外側薄板3bと呼ぶ内側タンク部分及び外側タンク部分を備える。円形基底2上にタンク壁3が形成される。ドーム4がタンク1の上部を閉じる。
【0047】
図1及び図2から明らかにわかるように、タンクの側壁3は、平面形状が概ね円形であるが、本発明の一実施例では、垂直断面で側壁がまっすぐではなく、タンクの外側に凸状の面を提示するように湾曲するという点で、従来のタンクとは異なる。側壁の下縁部で、側壁は、基底から外方へ傾斜する。側壁3は、基底から側壁の上縁部まで内方へ湾曲し、その結果、タンクは外方へ凸状の形状を有する。
【0048】
図示の実施例では、基底2は、基底板5の形態で、たとえばコンクリートの硬い基礎を備える。側壁3の外側薄板部分3bは、外側薄板部分3bの外縁部に隣接する外側薄板部分3bの基底板5から上方へ延びる。基底板5の上には、外側薄板の金属内張り6が位置する。金属内張り6は、基底板5を覆って連続する金属層を形成し、上方へ延びて側壁3の外側薄板部分3bの内側表面を形成する。金属内張り6は、側壁3の外側薄板3bの一部だけに延びることができ、又は本発明の好ましい実施例では、外側薄板3bの上縁部まで延びることができる。
【0049】
基底板5の上にある外側金属内張り6上には、たとえば発泡ガラス・ブロックの断熱層7が置かれる。
【0050】
断熱層7上には、まずコンクリートの下層8を形成し、下層8上に金属内側内張り9を置くことによって、内側薄板の「サンドイッチ」基底が形成される。基底は、内側内張り9上にあるさらなるコンクリート層10によって仕上げられる。内側薄板底部構造のサンドイッチ構造のこのコンクリート層10の著しい利点は、金属内張り9がこのように、構築期間中に工具、ボルト、ナット、又は他の品目などの何らかの落下した物体によって損傷されないようにコンクリート層によって保護されることである。さらに、コンクリート層は、金属内張りを定位置に保持する。
【0051】
次いで、側壁3の内側薄板部分3aが、「サンドイッチ」構造として形成される。内側薄板部分3aは、外側コンクリート層11及び内側コンクリート層13を有し、これらのコンクリート槽間に金属内張り12をもつ。内側薄板3aの外側コンクリート層11は、基底の下層8と連続する層として形成されることが好ましく、内側薄板3aの金属内張り12は、基底の内側薄板内張り9に連続して形成され、したがって内張り9に封止される。内側薄板3aの内側コンクリート層13は、基底のコンクリート層10と連続する層として形成されることが好ましい。このようにして、2重極低温タンクは、漏れない、耐久性がある、構築するのが簡単で、且つ構造上強い「バケツ・イン・ア・バケツ(bucket in a bucket)」構造を形成する。
【0052】
側壁3の内側薄板部分3a及び外側薄板部分3bは、スリップ注型によって形成することができる。内側薄板を形成するとき、外側コンクリート層11を金属内張り12と同時に高くすることができ、また内側コンクリート層13は、内側薄板3aを完成させるための最終ステップとして形成することができる。タンクの凸状形状が望ましい場合、現在のスリップ注型技法により、側壁3の内側及び外側薄板を垂直に対して最高30°の角度で形成することができる。したがって側壁3は、側壁3の下部部分で基底から外方へ傾くことができ、また側壁の上部部分で内側及び外側薄板が基底から内方へ傾斜するように垂直方向に湾曲することができる。内側及び外側薄板は別個の構造であり、タンクの断熱性を提供するために、粒状又は粉末状のパーライトなどの断熱材料14iを使用して、薄板3aの外壁部分と薄板3bの内壁部分の間の空胴14を充填することができる。
【0053】
側壁の湾曲した形状は、側壁の所与の基底直径及び高さに対してタンク内に貯蔵できる液体の量を増大させることができ、タンク内の側壁表面積と体積の比を低減させる。こうして表面積と体積の比が低減することで、タンク内への熱の流入を低減させ、したがって沸騰で失われる気体の量を低減させる。
【0054】
タンクの上部は、従来のドーム構造4によって閉じることができる。ドーム4は、現在慣習であるように、複数の扇形形状の部分から形成することができ、複数の扇形形状の部分を個別に定位置に持ち上げてともに固定し、完成したコンクリートのドーム構造を形成するための型を形成する。
【0055】
本発明によるタンクは、約20mの最小直径を有することができ、また最大直径約200mで非常に大きく構築することができる。実際の最小高さは約12mとすることができるが、最大高さは、壁高さ約120m、場合によってはドームと併せて高さ150mとすることができる。したがって、本発明によるタンクの体積は、約5000m3〜数百万立方メートルとすることができる。
【0056】
図4a、図4b、及び図4cは、コンクリート壁をスリップ・フォーム工法で建設しながら下方へ送られるスリップ・フォーム上のヨーク上に金属膜材料のロールを配置できる本発明の一実施例を示す。図4aは、ヨーク上のロールから金属膜を解きながらスリップ・フォーム工法で建設したサンドイッチ状のコンクリート壁の断面図である。図4bは、作業デッキを覆って配置されたロールをもつヨークを有するスリップ・フォームの平面図であり、図4cは、ヨーク棒及び膜ロールをもつヨーク並びに外側スリップ・フォームを示す拡大詳細平面図である。外側スリップ・フォームと同心円状の破線の曲線で、内側スリップ・フォームを示す。
【0057】
図5は、図1に類似の図であり、貯蔵タンクの基底に対する代替構造を示している。この基底を示す拡大詳細図を図6に示す。この実施例では、タンクの基底2は、基底板5の形で、たとえばコンクリートなどの硬い基礎上に形成される。側壁3の外側薄板3bは、外側薄板3bの外縁部に隣接する基底板5から上方へ延びる。基底板5の上には、外側金属内張り6が位置する。金属内張り6は、基底板5を覆って連続する金属層を形成し、上方へ延びて側壁3の外側薄板3bの内側表面を形成する。金属内張り6は、側壁3の外側薄板3bの一部だけに延びることができ、又は好ましくは、蒸発してなくなるメタンを収容できるように外側薄板全体を気密性にしなければならないため、外側薄板3bの上縁部まで延びることができる。
【0058】
基底板5の上にある外側金属内張り6上には、たとえば発泡ガラス・ブロックの断熱層7が置かれる。
【0059】
この基底構造では、断熱層7上に金属基底板20が重なる。一実施例では、基底板20の外縁部は、同じく金属から作られた環状壁板21に溶接される。この実施例では、側壁3の内側薄板3aは、壁板21上に立っている。この実施例では、前述のように、内側薄板3aは「サンドイッチ」構造であり、外側コンクリート層11、金属内張り12、及び内側コンクリート層13を含む。金属内張り12は、タンク内にLNGを収容するために流体密性の封止を提供するように、内側タンクの底部上の金属基底板20に直接溶接することができ、又は壁板21に溶接して壁板21を再び金属基底板20に溶接することによって間接的に溶接することができる。この場合も、内側薄板3aと外側薄板3bの間の空胴には、発泡ガラスである断熱材(7)及び低密度の粉末又は粒状の材料であるパーライトなどの断熱材料(14i)が充填される。外壁の底部コンクリート板及び外側コンクリート層は、基底から壁までの遷移部内で連続することが好ましい。
【0060】
本発明のすべての実施例で、図6に示す任意選択の断熱構成層3biを使用することができる。層3biは、前記極低温流体が内側薄板から漏れた場合に外側薄板の外側コンクリート層又は底板の熱による亀裂を防止するために、外側薄板金属膜と連通する外側又は内側のタンク底部の隅部付近に構成することができる。層3biには、外側薄板の外側コンクリート壁の下部部分の亀裂を防止するということと、内側薄板から突然漏れが生じた場合に同じ領域内の金属膜の熱収縮を防止するということの両方の点で利点がある。
【0061】
図7は、図2の円C内の領域の詳細図である。図7では、外側薄板3bの金属内張り6が、側壁の上縁部Eまで延びている。ドーム4は、側壁の外側薄板3bの上縁部上に支持される。側壁の外側薄板3bの構造上の重量及び内部傾斜により、横方向の内向きの力成分を提供して、ドーム構造によって作用する外向きの圧力を打ち消し、したがって、側壁の外側薄板の上縁部における別個の補強構造22に対する必要性が著しく減少する。
【0062】
図1、図2、図4、図5、及び図7に見られる構造では、側壁の外側薄板には、ドームの外縁部の角度とは異なる角度で、外側薄板の上縁部で垂直に角度が付けられ、それによって側壁とドームの接合部でタンクを取り囲んで目に見える縁部「E」が生じる。
【0063】
本発明の一実施例を図8に示す。図8に示す貯蔵タンクでは、タンクの側壁3は、図1〜図3に示すものと同じ構造である。しかし、図8の実施例では、タンクの側壁3は、はじめのうちは垂直壁構造として基底から構築され、次いで側壁を凸状に丸く湾曲させて、側壁の上縁部で内方へ傾斜させる。言い換えれば、側壁3は、垂直の内側薄板30a及び外側薄板30bをもつ垂直下部部分30を有する。次いで側壁は、上部部分32で内方へ傾斜し、部分32は、垂直面内で連続して湾曲して凸状の壁構造を与える。この構造により、タンクに平滑な凸状の外部表面を提供し、かつ、垂直の下部部分30により、スリップ注型プロセスを従来どおり開始することができる。タンクの上部は、前述のように、ドーム構造4によって閉じられる。側壁の上部及びドームの直径を低減させることで、より高い側壁を直立させてからドームを取り付けることができる。
【0064】
図9及び図10は、図1〜図3に関連して記載したような「サンドイッチ」構造の基底上に垂直の円筒形の側壁が立っている、いっそう従来的な外見を有する本発明による貯蔵タンクを示す。図10は、図3に類似した図であり、図9の円D内の基底構造の要素を示している。対応する部分には、対応する参照番号を付している。図10に示す実施例では、基底2は基底板5を含む。側壁3の外側薄板3bは、外側薄板3bの外縁部に隣接する基底板5から上方へ延びる。基底板5の上には、外側金属内張り6が位置する。金属内張り6は、基底板5を覆って連続する金属層を形成し、金属内張り6の外縁部には、側壁3の外側薄板3bの内側表面を形成する直立した部分を有する。前述のように、基底板5の上にある外側金属内張り6上には、断熱層7が置かれる。断熱層7上には、まずコンクリートの下層8を置き、下層8上に金属内側内張り9を置くことによって、「サンドイッチ」基底が形成される。基底は、内側内張り9上にあるさらなるコンクリート層10によって仕上げられる。
【0065】
側壁の内側薄板3a及び外側薄板3bは、垂直に上方へ延びて円形の円筒形構造を形成し、タンクの上部を覆ってタンクを閉じるように、従来のドーム上部構造が配置される。
【0066】
したがって図9及び図10のLNGタンクは、従来のタンクと類似した垂直側壁をもつ外見を有するが、「サンドイッチ」基底構造により、金属封止層9の厚さを低減することができ、したがってタンクの構築において相当な費用を節約することができる。さらに、内側薄板の底部部分のコンクリート層8及び10は、側壁の内側薄板のコンクリート層11及び13と容易に一体形成されるため、側壁の下縁部の構造上の強度が増大し、金属膜9、12の漏れない設計がいっそう単純になる。
【0067】
図11A及び図11Bは、中心塔40を一時的に使用して貯蔵タンクのドーム4のための鋼鉄構造部分を組み立てる手法を概略的に示している。貯蔵タンクの側壁3の外側薄板3bが形成されたときに、中心塔40が直立して、タンクの基底の中心から側壁3の上縁部より上の一点へ、垂直上方へ延びる。次いで、ドーム4の鋼鉄構造の扇形形状部分41を定位置まで持ち上げると、各部分は側壁3の外側薄板3bの上縁部から塔40の上部へ放射状に内方へ延びることになる。扇形形状部分41すべてが定位置に持ち上げられ、中心で一括して固定されると、扇形形状部分41は、ドームのために自己支持できる鋼構造を形成する。その後に、塔40は、場合によってはドーム4の鋼構造内の開口を通って、分解して取り出すことができる。次いでドームは、鋼構造上にコンクリート層を形成してタンクの上部に全体に連続するコンクリート・カバーを形成することによって完成される。
【0068】
図12は、貯蔵タンクの基底と側壁の間の接合部に対する代替構造を示す詳細図である。この図は、図3に見られるものに類似しているが、側壁の外側薄板3bの構造内の追加のコンクリート層を備える点で異なっている。このコンクリート層は、貯蔵タンクの基底全体にわたって延設されている。
【0069】
図3に示す実施例では、側壁の外側薄板は、金属内側層及びコンクリート外側層を含み、側壁の金属内側層は金属内張り6に接合され、金属内張り6は、基底板5全体にわたって延び、基底板5上に直接位置する。図3と図12の間で対応する部分には、同じ参照番号を使用する。
【0070】
図12に示す実施例では、外側薄板3bはサンドイッチ構造であり、外側コンクリート層50、金属封止層51、及び内側コンクリート層52を有している。金属封止層51は、基底板5全体にわたって延びる金属内張り6に接合される。側壁3の外側薄板3bの内側コンクリート層52は、基底板5と金属内張り6の間に延びるコンクリート層53と連続している。断熱層7は、金属内張り6の上に位置し、側壁の外側薄板まで放射状に外方へ延びる。側壁の内側薄板と外側薄板の間の空胴14には、前述のように、断熱材料が充填される。金属封止層51は、内側薄板の漏れ若しくは破断の場合に少なくとも2次的な緊急流体障壁を形成するように、側壁の外側薄板の一部だけに延ばしてもよいし、又は好ましくは、外側薄板を気密性にするように側壁の外側薄板の上縁部まで延ばしてもよい。図12では側壁の内側及び外側薄板が基底板5の平面まで斜めの角度で上方へ延ばすことを示すが、図12に見られる基底構造は、図8に示すタンク構造とともに使用することができ、その場合、側壁は初めに基底から垂直に延び、次いで側壁が上方へ進むにつれて、凸状の輪郭で湾曲する。さらに、図12に見られる基底構造はまた、図9に示す垂直側壁をもつタンク構造とともに使用することもできる。
【0071】
内側薄板及び/又は外側薄板の内側コンクリート層は、繊維補強するだけでもよいし、多孔質材料(「LECA若しくはパーライト材料又は発泡ガラス粒子」)を含むことで、通常の動作状態中また外側タンクへの流体漏れの場合に断熱効果を提供することもできる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面の基底板(2、5)及び前記基底板(2、5)の周りで上方へ延びる側壁(3)と、底部断熱層(7)と、を備える極低温液体貯蔵タンクであって、
前記基底板(2)及び側壁(3)が、内側薄板(3a)を全体として包む外側薄板(3b)を含み、両方が、前記基底板(2)から前記側壁(3)へと構造的に連続する遷移部を全体として形成し、
前記基底板(2)の前記外側薄板(3b)部分が、下部の外側薄板コンクリート底板(5)を基板上に含み、
前記外側薄板コンクリート底板(5)が、前記外側側壁(3b)の周方向応力を補強された外側薄板補強コンクリート層(50)と連続して形成され、
前記外側薄板(3b)を構成する前記外側薄板コンクリート底板(5)及び周方向応力を補強された前記外側薄板補強コンクリート層(50)の内部表面が、金属製の連続する外側薄板金属膜(6、51)で内張りされ、
前記底部断熱層(7)が、前記下部の外側薄板コンクリート底板(5)上の前記外側薄板金属膜(6)の上に配置され、
前記底部断熱層(7)が、前記外側薄板(3b)の内面と前記内側薄板(3a)の外面の間の環状空胴(14)内に充填された壁断熱材(14i)と全体として連続して形成され、
前記内側薄板(3a)が、前記水平の断熱部分(7)上に内側薄板コンクリート底部層(8)を含み、前記内側薄板コンクリート底部層(8)が、周方向応力を補強された内側薄板壁外側コンクリート層(11)と構造的に連続して形成され、前記内側薄板コンクリート底部層(8)と前記内側薄板壁外側コンクリート層(11)との両方が、金属製の連続する内側薄板金属膜(9、12)で内張りされ、
前記内側薄板金属膜(9、12)が、内側薄板内側コンクリート層(10、13)で内張りされ、
周方向に応力補強された前記外側薄板外側コンクリート壁(50)が、断熱されたドーム構造(4)を支持する、ことを特徴とする極低温液体貯蔵タンク。
【請求項2】
前記外側薄板(3b)がサンドイッチ構造を含み、前記外側薄板底板(5)及び周方向応力を補強された前記外側薄板補強コンクリート層(50)に接して形成された前記外側薄板金属層(6、51)に接して、外側薄板内側コンクリート層(52、53)が形成され、前記外側薄板内側コンクリート層(53)が、前記底部断熱層(7)の下に位置している、請求項1に記載の極低温液体貯蔵タンク。
【請求項3】
前記内側薄板内側コンクリート層(10、13)が、前記内側薄板金属膜(12)の熱収縮を防止するために、前記内側薄板金属膜(12)を機械的に安定させるように配置されている、請求項1に記載の極低温液体貯蔵タンク。
【請求項4】
前記外側薄板内側コンクリート層(53、52)が、前記極低温流体が漏れた場合に前記外側薄板膜(6、51)の熱収縮を防止するために、前記外側薄板金属膜(6、51)を機械的に安定させるように配置されている、請求項1に記載の極低温液体貯蔵タンク。
【請求項5】
垂直面における前記側壁(3)の湾曲が、垂直面と水平面の両方において凸状になっている、請求項1に記載の極低温液体貯蔵タンク。
【請求項6】
前記側壁が、前記側壁の下部部分(30)において概ね垂直であり、前記側壁の上部部分(32)において内方へ湾曲している、請求項5に記載の極低温液体貯蔵タンク。
【請求項7】
前記外側薄板コンクリート壁(50)が上縁部(E)で終わり、前記上縁部(E)上に前記ドーム構造(4)が置かれている、請求項1に記載の極低温液体貯蔵タンク。
【請求項8】
極低温液体貯蔵タンクを構築する方法であって、
外側薄板(3b)の底部部分として基板上に基底板(2、5)を形成するステップと、
前記基底板(2、5)の上に置かれる外側薄板金属膜(6、51)を形成するステップと、
スリップ・フォームを使用して、前記基底板(2、5)の周辺部近傍に外側薄板コンクリート壁(50)をスリップ・フォーム工法で構築し、引き続いて前記外側薄板コンクリート壁(50)の内面に沿って上方へ延びる前記外側薄板金属膜(6、51)を形成するステップと、
スリップ・フォームを使用することによって、外側薄板内側コンクリート層(53、52)をスリップ・フォーム工法で構築するステップであって、−前記外側薄板内側コンクリート層(53、52)を、好ましくは前記外側薄板外側コンクリート層(50)をスリップ・フォーム工法で建設している間に、前記外側薄板金属膜(6、51)の内側表面に沿って形成する、ステップと、
前記基底板(2、5)の前記周辺部近傍で上方へ延びる内側薄板(3a)及び外側薄板(3b)を含む側壁(3)を全体としてスリップ・フォーム工法で建設するステップであって、
前記基底板(2)及び側壁(3)が、内側薄板(3a)を全体として包む外側薄板(3b)を含み、両方が、前記基底板(2)から前記側壁(3)へ連続する遷移部を形成し、
前記基底板(2)の前記外側薄板(3b)部分が、基板上に下部コンクリート底部層(5)を含み、前記コンクリート底部層(5)を、前記外側側壁(3b)の外側薄板補強コンクリート層(50)と連続して形成し、前記外側薄板コンクリート層(50)を周方向応力で補強し、
前記外側側壁(3b)を構成する前記外側薄板コンクリート底部層(5)及び周方向応力を補強した前記外側薄板補強コンクリート層(50)の内部表面を、金属製の連続する外側薄板金属膜(6、51)で内張りする、ステップと、
外側薄板内側コンクリート層(53)を形成するステップと、
前記下部コンクリート底部層(5)上の前記外側薄板内側コンクリート層(53)及び外側薄板金属膜(6、51)に接して配置された底部断熱層部分(7)を有する断熱層(7、14i)を形成するステップであって、
前記断熱層(7)を、前記外側薄板(3b)の内面と前記内側薄板(3a)の外面の間の壁断熱材で充填された環状空胴(14)と全体として連続して形成し、
前記内側薄板(3a)が、前記水平の断熱部分(7)上に内側薄板コンクリート底部層(8)を含み、前記内側薄板コンクリート底部層(8)を、周方向応力を補強した内側薄板壁外側コンクリート層(11)と構造的に連続して形成し、
前記内側薄板コンクリート底部層(8)及び周方向応力を補強した前記内側薄板壁外側コンクリート層(11)を、内側薄板金属膜(9、12)で内張りし、
前記内側薄板金属膜(9、12)を、内側薄板内側コンクリート層(10、13)で内張りし、
周方向応力を補強された前記外側薄板コンクリート壁(50)が、断熱されたドーム構造(4)を支持するようにする、ステップと
を含む、極低温液体貯蔵タンクを構築する方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4a】
image rotate

【図4b】
image rotate

【図4c】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11A】
image rotate

【図11B】
image rotate

【図12】
image rotate


【公表番号】特表2012−515316(P2012−515316A)
【公表日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−546221(P2011−546221)
【出願日】平成22年1月15日(2010.1.15)
【国際出願番号】PCT/NO2010/000016
【国際公開番号】WO2010/082833
【国際公開日】平成22年7月22日(2010.7.22)
【出願人】(511171899)
【Fターム(参考)】