説明

構造物の補強と地震エネルギー分散のための座屈拘束ブレース

座屈拘束ブレースは、外側のケース内に収容された変形可能コアを備える。コアの各端部は、フレーム又は他の構造体に連結するためにケースから突き出している。各端部間の変形可能コアの所定部分は、ゲージ又は降伏部と称され、地震又は爆風の負荷の間、変形可能となっている。ゲージ部は、ゲージ部が端部よりも降伏強度が低下するように両端部から温度偏差熱処理が施されている。ケースは、コアを座屈から防止するためのコア収容部を規定する。金属箔中間層又は非接着層が、変形可能なコアがケースに接着しないように、変形可能コアとケースとの間に設けられている。座屈拘束ブレースは、簡易な構成で、従来のBRBを凌ぐ際立った性能の向上をもたらす。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、構造物の補強と地震エネルギー分散のための座屈拘束ブレースに関するものである。
【0002】
関連出願との相互参照
なし
【0003】
連邦補助金研究開発に関する申告
本発明は、陸軍のSBIR契約DACA#42−02−C−0008の下になされた。政府は、本発明に所定の権利を有する。
【0004】
[発明の背景]
地震又は爆発からの爆風がある間、建物は引張と圧縮力の態様で繰り返される負荷にさらされる。座屈拘束ブレース(BRB)は、非接着ブレースとしても知られ、鋼製フレームの建物に、強度補強と共にエネルギー分散を付加して建物を地震や爆発による爆風などにより生ずる大きな変形から保護する建設部材として、利用が見いだされている。ブレースは、座屈に抗しつつ引張又は圧縮に降伏するように設計されている。
【0005】
従来のBRBは、鋼製コアと鋼製ケースを採用している。鋼製コアは、典型的には細った部分又はネック付き領域が設けられた、降伏部材を有する。ケースは、コアの座屈を防止する。コンクリート又はモルタルは、コアとケースとの間の隙間に充填される。コアはケースに接着してはならず、そのため、テフロン(登録商標)層等の非接着層がコア上に設けられるのでもよい。
【0006】
座屈拘束ブレースは、階間の揺れを緩和しながら地震エネルギーを吸収する。性能主眼の座屈拘束ブレースの設計は、階間の揺れと床の加速を同時に最小化可能な技術を必要とする。階間の揺れは設計技術者によって常に考慮されるが、その一方で床の加速に関する保護はしばしば見過ごされる。階間の揺れは、建物の枠組み、外壁及び窓に損傷を生じさせる。床の加速は、一般に天井、電気系、エレベーター及び建物収容物に損傷を起こす。粘性及びヒステリシスを有するダンパーは、階間の揺れを大幅に削減するが床の加速の削減に関しては最小限の効果で、エネルギー分散を起こさせる技術である。BRBは、他方、エネルギー分散と付加された強度に塑性変形能力を付与し、もって階間の揺れと床の加速の両方を削減する。地震が強くなればなるほど、受け止めるために必要な階間の揺れ(それゆえブレースの変位)が大きくなる。床の加速が緩和可能な範囲は、ブレースの降伏強度に依存する。
【0007】
BRBが従来の固定部材で止められたフレームより勝る利点は、より小規模な梁及び基礎の設計、部材強度の優れた調節性、大きなエネルギー分散性、及び地震後の削減された保守を含む。BRBの付加コスト(例えば、付加的な工事、材料及び輸送)は、それゆえ、基礎及び全建物枠の費用が節約されることによって還元されるであろう。現状の市場動向は、ダンプ技術を離れて、下限の200kipから1000kip超までの高強度で高い支持能力のBRBに移りつつあるように思われる。
【0008】
[発明の概要]
極高変形性能と、それゆえ強い地震を、階間の大きな揺れを受け止めると共に吸収して緩和する能力と、特定の応用に向けて降伏強度を調節可能な能力とを有する、座屈拘束ブレース(BRB)が提供されている。従来の鋼製BRBと比較すると、本願の各BRBは、非常に高い揺れ特性と、アルミニウムの変形コアの使用による優れた加速特性とを示した。BRBの製造法も、記載されている。
【0009】
座屈拘束ブレースの一実施例は、ケース内に入る、固体のロッドやバー等の変形可能なコアを備える。コアの両外側の端部はケースから突き出して、ブレースがフレーム又は他の構造体に連結可能となっている。変形可能なコアの両端部間の所定部分は、ゲージ部又は変形部と称されるが、地震又は爆風の負荷の間、塑性変形可能となっている。ゲージ部は、端部よりも低い降伏強度となるように、各端部よりも強度が弱くなっている。これは、両方の端部を熱的に絶縁しつつゲージ部を温度勾配付きで温度偏差熱処理(軟化又はオーバーエージング)し、又はゲージ部を熱的に絶縁しつつ変形可能なコアの両方の端部を温度偏差熱処理(エージング強化)することによって、達成可能である。さらに、ゲージ部の端部に対する断面積は削減されているのでもよい。強化されて構造体に連結された端部は地震又は爆風の間壊れないが、ゲージ部は変形する。変形可能なコア上でスライドできる一体形シリンダ等のケース又はカバーは、コアの座屈を防止するためのコア収容部分をなす。変形可能なコアと外側のケースとの間の金属箔中間層又は非接着層は、変形可能なコアが外側カバーに接着せず、それゆえ、なお座屈を防止するように十分に限定しつつ外側カバーへ軸方向負荷が移動しないように、設けられている。もし望ましければ、選択によって充填材料がコアとケースとの間に設けられるのでもよい。
【0010】
本発明は、付随の図面を参照して、以下の詳細な記載からより十分に理解され、各図は以下のとおりである。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明による座屈拘束ブレースの一実施例を示す分解図である。
【図2】図1の座屈拘束ブレースを組み立てた構成での断面図である。
【図3】BRBが対角の方杖として又は山型ブレース配置で組み込まれた建物のフレームの模式図である。
【図4】正方形断面を有するコアを備えたBRBの断面図である。
【図5】六角形断面を有するコアを備えたBRBの断面図である。
【図6】十字形断面を有するコアを備えたBRBの断面図である。
【図7】円形断面を有するコアを備えたBRBの断面図である。
【図8】断面が削減されたゲージ部を有するBRBコアの平面図である。
【図9】ブレースが対角方向に1つの場合におけるフレームの変形の模式図である。
【図10】本発明による2024アルミニウムコアを備えるBRBに、一連の引張−圧縮サイクルを課したときの、変位又は階間の揺れ−力の特性を表す負荷変位ヒステリシス曲線を示す説明図である。
【図11】本発明による6061アルミニウムコアを有するBRBに、一連の引張−圧縮サイクルを課したときの、変位又は階間の揺れ−力の特性を表す負荷変位ヒステリシス曲線を示す説明図である。
【図12】本発明によるブレースへの最大要求を従来のブレースに比較して表す負荷変位履歴曲線を示す図である。
【0012】
[本発明の詳細な説明]
図1及び図2を参照する。本発明による座屈拘束部レース10は、固体のロッド又はバー等の変形可能なコア12を備える。コアの両方の端部14は他の構造体に連結可能となっている。両方の端部間の変形可能な中間部は、ゲージ部又は降伏部16と称され、地震又は爆風による負荷中に塑性変形可能である。ゲージ部は、両方の端部を含めたコアの全長の少なくとも80〜90%であることが好ましいが、より短いゲージ部が設けられるのでもよい。推移部18が、ゲージ部と両方の端部又は連結部との間に存在するのでもよい。各端部は、構造体への連結が地震又は爆風の間に損なわれないようにゲージ部よりも強度が高くなっている。変形可能なコア上をスライドできる一体型シリンダ等のケース又はカバー20は、コアを座屈から防止するためのコア収容体を規定する。ケースは、好ましくは鋼材からなる。変形コアと外側ケースとの間の中間層又は非接着層22は、変形可能なコアが外側ケースに接着しないように設けられている。
【0013】
図3に示すように、コアの各端部14は、ケースから突き出してブレースは構造体のフレーム又は他の構造体30に連結可能となっている。端部は、ネジ溝付き取付部(図1に示す)、ボルト、ピン、溶接式取付部、ネジ、リベット、嵌合取付部、摩擦取付部、加工取付部、又はその他の基地の固定機構等からなる、いずれかの適切な態様で連結可能となっている。図3を参照して、1つ又は複数のブレース10は、幅Wの梁と高さHの柱からなる壁格間32に対角状の方杖34として又は山型ブレース構成36を介して、筋交いをなすのででもよい。
【0014】
非接着層22は、外側の保護用のケース20と内側の変形可能なコア12との間の干渉を防止し、その一方で圧縮負荷が加わったときにコアが座屈し、樽状化し、又は他のいずれの非線形変形を起こすことから、保護することも可能である。一実施例において、金属箔が内側の変形可能なコアの周りに巻き付けられてコアと外側ケースとの間の1つ又は複数の層をなし、もって対応する隙間を適切な割合で占める。金属箔は、本目的、特に時間的安定性のために、従来使用されていたグリースその他の材料よりも効果的であることが分かった。例示的な一実施例において、12milの厚さのアルミニウム箔からなる層が、コアの周りに巻き付けられた。PTFE(テフロン(登録商標)等)、その他の固体の滑層等のシート又は箔の構造が、利用されるのでもよい。
【0015】
コア12は、ケース内の全体積を異なる割合で充填するのでもよい。コアの外側表面及び端部のうちのいずれか1つ以上が、ケース内壁に近接して広がっているのでも、いなくてもよい。他の実施例において、コアとケースとの間の空間24は、選択可能に、コンクリート、グラウト、発泡部材、複合材料等の充填材料で充填されるのでもよい。充填材料は、外側ケースの厚さの低減を可能にし、その結果、使用される鋼材等のケース用の材料がより少なくなることによるコストの節約につながる。
【0016】
コア12のゲージ部14は、円形(図2)、正方形(図4)、矩形(図示せず)、五角形(図示せず)、六角形(図5)、十字形(図6)、又は環状形状(図示せず)等のいずれの所望の断面を有するのでもよい。ゲージ部の断面は端部の断面と異なるのでもよいが、この場合、ゲージ部と両方の端部との間に適切な推移が設けられるのでもよい。端部は、建物の構造体に取り付けるために適したいずれの構成を有するのでもよい。
【0017】
他の実施例において、複数のコアが1つのケース内に設けられるのでもよい。図7は、それぞれが非接着層によって取り囲まれた2つの円筒固体コアであって、矩形断面を有する1つのケース内に格納されているものを図示する。非接着層とケースとの間の空間は、好ましくは、上記のように充填剤によって占められている。各コアの端部と構造体への接続部との間に適切な推移部(図示せず)が設けられている。
【0018】
図8は、関節又は砂時計のこぶ状の部分を有するコアの実施例を示す。細くなったゲージ部を有するコアは、好ましくは引張又は圧縮の負荷の下にゲージ部が変形する、なぜならば、その点で支持される応力は構造部材の断面積に逆比例するからである。それゆえ、低い降伏強度を有する中間部を高い強度の両端部間に形成するという目的を達成するために、断面積の物理的な削減を上記の温度偏差熱処理に加えるのでもよい。
【0019】
他の実施例において、内部変形コアの組成は、その端部がゲージ部よりも長さ方向に沿って強化されるように構造上の観点で変更されるのでもよい。例えば、異なる材料又は異なる組成の合金からなるコアを有する、作用上の勾配構造が設けられ、又は、長さ方向に沿って補強程度の変化する複合構造が設けられるのでもよい。また、座屈制限ケースが例えばガラス繊維とビニルエステルの複合体の殻の繊維巻付複合体となるように、ハイブリッド金属コア/複合ケースBRBが、提供されるのでもよい。外側ケースと非接着層との間の隙間は、射出成型可能な材料で充填されるのでもよい。
【0020】
図9は、長さLのブレースが斜方向に設けられた高さH、幅Wのフレームの模式図である。フレームが変形Uを受けたとき、階間の揺れδは、

として定義され、対応する対角方向の変形は、

として定義され、全対角方向の歪は、

として定義される。
【0021】
ブレースの重要な設計パラメータには、最大耐性強度と最大緩和振幅(負荷サイクルにおけるピーク−ピーク値)が含まれる。ブレースの緩和振幅容量が大きければ大きいほど、それが収容可能な階間の揺れが大きく、もってより大きな地震も緩和可能となる。変形がその降伏強度を超したときは、ブレースは、例えば以下に記載の図10、図11、及び図12に示す曲線のような応力−歪履歴曲線に沿って歪が戻る。履歴曲線形状は、ブレースの機械的特性に依存し、最大負荷と振幅容量によって制限を受ける。
【0022】
BRBの製造のために、コアに温度偏差熱処理が施されて強度の高い端部と端部の降伏強度よりも降伏強度が低いゲージ部とが提供される。構造体に機械的に接続される端部の強度の増大は、ゲージ部に変形が集中することを可能にしつつ、機械的接続による強度の低下を補償する。
【0023】
温度偏差熱処理は、降伏強度の低い中間ゲージ部とより高い強度の両方の端部との間に作用上の傾斜をなす材料的性質の推移を形成し、この推移部分では、ゲージ部が端部とは異なるマイクロストラクチャーを有する。作用上の傾斜(作用勾配ともいう)をなす材料的性質は、温度偏差熱処理の間にコアの加熱部と冷却部との間に自動的に存在する温度勾配に由来し、この勾配はコアの軟化領域と強化領域との間でマイクロストラクチャーの緩やかな推移を形成する。緩やかな作用上の傾斜を有する推移をもたせることは、変形する材料内での応力集中を最小化して、ブレースの性能向上を可能とする。降伏強度の勾配は、実質的に、断面積の物理的な減少を介することよりも、むしろこの領域内のマイクロストラクチャーの変化を介して達成されている。緩やかな作用上の勾配を有する推移は、また、ゲージ部の変形長が最大となるようにすることができる。
【0024】
例えば、合金の加熱中に第2の相が融解し、冷却中に析出する。第2の相からなる粒の寸法は、得られる材料の降伏強度に影響する。従来から知られているように、熱処理は、最適な粒寸法又は最適な機械的特性を得るための第2相粒の寸法を得るために、最適化可能である。長時間熱処理は、それゆえ、材料をエージングし過ぎ、もって本発明におけるように、降伏強度等の機械的特性を低下させることとなる。
【0025】
熱処理可能なアルミ材、鋼材等の熱処理可能な合金は、コア用に使用可能である。熱処理は、コア材と、ゲージ部及び端部に要求される降伏強度とに応じて決定される。当業者は、特定の合金に対して、例えば容易に利用可能なデータを用いて、特定の熱処理を容易に決定できる。
【0026】
一実施例において、例えば2024アルミニウム合金の使用に適するように、両方の端部が高い降伏強度に保持されるように冷却されつつ、ゲージ部がオーバーエージング処理によって軟化される。両方の端部は、液体に浸され又はヒートシンクが取り付けられて低温に保持されるのでもよい。
【0027】
他の実施例において、両方の端部は適切な温度でエージング処理される一方、ゲージ部は冷却され続けて低い降伏強度に維持される。この方法は、例えば6061アルミニウム合金が使用される場合に、適している。この場合、各端部は例えば帯状のヒータが取り付けられて加熱され、その一方、ゲージ部は例えば液体に浸されて冷却され続けるのでもよい。
【0028】
アルミニウム等の材料の熱処理は、一般には、小さい振幅かつ多数サイクルの金属疲労用には適さない。アルミニウム等の積層欠陥エネルギーが高い材料は、欠陥移動度が高く相対スリップが起こりやすい。それゆえ、そのような材料は、欠陥構造を成長させて最初の強度と欠陥構造に依存しない繰り返し応力−歪曲線を生じさせる繰り返し「履歴独立性」を有する。それゆえ、本発明は、地震や爆風等の、サイクルの回数が限定されかつ歪振幅が大きい用途への応用に、より利点を有する。
【0029】
[例1]
高容量2024アルミニウムコアと鋼製ケースを備えるブレースが、本発明による温度偏差熱処理によって製造された。2024−T3アルミニウムからなるコアが用いられ、中央部が華氏550〜770度で7〜8時間熱処理された。ブレースは、全引張−圧縮サイクルについてテストされた。テストシーケンスは、低印加変位から始まり徐々に極高変形(±3.5%階間の揺れに相当)まで増加する複数サイクルからなる。図10を参照されたい。このテストは、本発明のBRBが大きな震度の地震によって加えられる変形に耐える能力を有することを示す。図10は、本発明によるBRBが、最終的な破壊の前に+2.5%の階間の揺れに相当するサイクルが複数回繰り返されても実質的に壊れなかったことを示している。
【0030】
[例2]
高容量6061アルミニウムコアと鋼製ケースを備えるブレースが、例1におけるように温度偏差熱処理によって製造された。ブレースは、極高歪(±3.5%の階間の揺れに相当)までの全復帰引張−圧縮サイクルとこれに追加された±2.5%の階間の揺れに相当する歪でのサイクルとについて、最終的に壊れるまで試験された。図11を参照されたい。
【0031】
[例3]
他の例において、高容量6061アルミニウムコアを備えるブレースが製造され、そのコアの両方の端部は華氏約370度で約7時間熱処理されたものである。ゲージ部は、冷却温度に保持された。ブレースは、全復帰引張−圧縮サイクルについて、試験された。
【0032】
図12は、異なる設計の耐震ブレース間での、全復帰引張−圧縮荷重試験について示された性能の比較を示す。最大ブレース性能は、各ブレースの取付全長、即ち、変形コア(ゲージ長)に、全推移部、端部の接続部及び構造物の鉄フレームへの接続部を含む長さによって規格化された変形%として、プロットされている。図12は、本発明によるブレースが従来のものよりも50〜100%規模で高い歪性能を有することを示す。ここで、従来のブレースは、商用ブレースの代表であり、十字状断面の鋼製変形コアとコンクリートが充填された鋼製ケースを有する。
【0033】
本発明によるエネルギー分散ブレースは、既存の鋼製フレーム構造物への追加工事が容易であり、中層階の(3〜20階)の建物に最も適している。
【0034】
本発明は、ゲージ部に全変形を集中させるために断面積の削減が必要でないため、好ましい。その後の断面積を削減するための機械加工工程では、低コストでより簡易に製造されるブレースが実現される。しかしながら、ゲージ部の断面積の削減は、もし望ましければ、ゲージ部を端部に対して軟化させる偏差熱処理と組み合わせて、用いられるのでもよいことが分かるであろう。
【0035】
本発明は、付随の特許請求の範囲に示されたものを除き、特に図示され記載されてきたものによっては限定されない。
【符号の説明】
【0036】
10 座屈拘束部レース
12 コア
14 コアの端部
16 ゲージ部(降伏部)
18 推移部
20 カバー
22 非接着層
24 コアとケースとの間の空間
30 構造体のフレーム(他の構造体)
32 壁格間
34 方杖
36 山型ブレース構成
H 柱の高さ
L ブレースの長さ
ΔL ブレースの変形量
U フレームの変形
W 梁の幅
δ 階間の揺れ
θ 壁格間の対角方向角度

【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属ケースと、
前記金属ケース内に配置されたコアであって、前記ケースから突き出た端部を有し、各前記端部が構造物と連結するように構成され、さらに端部間にゲージ部を有するコアと、を備えた座屈拘束ブレースにおいて、
前記ゲージ部と前記端部が同一系材料からなり、前記ゲージ部の材料が前記端部の材料の降伏強度よりも小さい降伏強度を有し、
前記コアと前記ケースと間に非接着層を備えることを特徴とする、座屈拘束ブレース。
【請求項2】
前記コアが熱処理可能な金属からなることを特徴とする、請求項1に記載の座屈拘束ブレース。
【請求項3】
前記コアがアルミニウム合金からなることを特徴とする、請求項1に記載の座屈拘束ブレース。
【請求項4】
前記コアが鉄合金からなることを特徴とする、請求項1に記載の座屈拘束ブレース。
【請求項5】
前記ゲージ部が前記端部よりも伸びうることを特徴とする、請求項1に記載の座屈拘束ブレース。
【請求項6】
前記ゲージ部が前記端部と異なるマイクロストラクチャーを有することを特徴とする、請求項1に記載の座屈拘束ブレース。
【請求項7】
前記ゲージ部が、前記端部よりも高い温度で熱処理されることによって前記端部よりも軟化していることを特徴とする、請求項1に記載の座屈拘束ブレース。
【請求項8】
前記コアの端部が、前記ゲージ部よりも高い温度に加熱されて強度が高められていることを特徴とする、請求項1に記載の座屈拘束ブレース。
【請求項9】
前記ゲージ部が、丸められた断面を有することを特徴とする、請求項1に記載の座屈拘束ブレース。
【請求項10】
前記ゲージ部が、円形、正方形、矩形、五角形、六角形、十字形、又は環状の断面を有することを特徴とする、請求項1に記載の座屈拘束ブレース。
【請求項11】
前記コアが、さらに、前記ゲージ部と両方の前記端部との間に推移部を有することを特徴とする、請求項1に記載の座屈拘束ブレース。
【請求項12】
前記ゲージ部が、前記端部を含む前記コアの長さの少なくとも80%を占めることを特徴とする、請求項1に記載の座屈拘束ブレース。
【請求項13】
前記非接着層が、前記ケース内で、前記コアの周りを取り巻く少なくとも1層の金属箔又は金属シートからなることを特徴とする、請求項1に記載の座屈拘束ブレース。
【請求項14】
前記金属箔が、アルミ箔からなることを特徴とする、請求項13に記載の座屈拘束ブレース。
【請求項15】
前記非接着層が、固体の滑層をなすことを特徴とする、請求項1に記載の座屈拘束ブレース。
【請求項16】
前記固体の滑層が、PTFEからなることを特徴とする、請求項15に記載の座屈拘束ブレース。
【請求項17】
前記ケースが鋼材からなることを特徴とする、請求項1に記載の座屈拘束ブレース。
【請求項18】
前記ケースが複合材料からなることを特徴とする、請求項1に記載の座屈拘束ブレース。
【請求項19】
前記ケースと前記非接着層との間に、さらに充填材料を備えることを特徴とする、請求項1に記載の座屈拘束ブレース。
【請求項20】
前記充填材料がコンクリート又は複合材からなることを特徴とする、請求項19に記載の座屈拘束ブレース。
【請求項21】
2つの端部間に中間部を有する長尺のコアを配置する工程と、
前記中間部に前記端部と差異を設けた温度偏差熱処理を行い、前記端部の降伏強度よりも小さい降伏強度を有するゲージ部を前記中間部内に形成する工程と、
前記コアの前記端部間を非接着層で覆う工程と、
前記コアを、前記端部が前記ケースの端部からそれぞれ突き出すように前記ケース内に挿入する工程と、を備えることを特徴とする、座屈拘束ブレースの製造方法。
【請求項22】
各前記端部が冷却温度に保持されつつ、前記中間部が加熱されてゲージ部をなすことを特徴とする、請求項21に記載の座屈拘束ブレースの製造方法。
【請求項23】
前記中間部が、少なくとも華氏500度で少なくとも5時間熱処理されることを特徴とする、請求項22に記載の座屈拘束ブレースの製造方法。
【請求項24】
前記中間部が冷却温度に保持されつつ、両方の前記端部が加熱されて前記ゲージ部が形成されることを特徴とする、請求項21に記載の座屈拘束ブレースの製造方法。
【請求項25】
両方の前記端部が、少なくとも華氏350度で少なくとも5時間熱処理されることを特徴とする、請求項24に記載の座屈拘束ブレースの製造方法。
【請求項26】
前記コアが、金属箔の層でこれを取り巻く非接着層で覆われていることを特徴とする、請求項21に記載の座屈拘束ブレースの製造方法。
【請求項27】
前記金属箔がアルミ箔からなることを特徴とする、請求項21に記載の座屈拘束ブレースの製造方法。
【請求項28】
さらに、前記コアと前記非接着層との間の空間を充填材料で充填する工程を有することを特徴とする、請求項21に記載の座屈拘束ブレースの製造方法。
【請求項29】
前記充填材料が、コンクリート又は複合材料からなることを特徴とする、請求項28に記載の座屈拘束ブレースの製造方法。
【請求項30】
さらに、前記コアの両方の前記端部に構造物への取付部を形成する工程を有することを特徴とする、請求項21に記載の座屈拘束ブレースの製造方法。
【請求項31】
前記取付部が、ネジ溝付き取付部、嵌合取付部、加工取付部、溶接式取付部、摩擦取付部、ボルト、又はピンからなることを特徴とする、請求項30に記載の座屈拘束ブレースの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2010−522292(P2010−522292A)
【公表日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−554548(P2009−554548)
【出願日】平成20年3月18日(2008.3.18)
【国際出願番号】PCT/US2008/003515
【国際公開番号】WO2008/115480
【国際公開日】平成20年9月25日(2008.9.25)
【出願人】(509262666)カザック コンポジッツ,インコーポレイテッド (1)
【氏名又は名称原語表記】KAZAK COMPOSITES,INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】10F Gill Street,Woburn,MA 01801 (US)
【Fターム(参考)】