説明

樹脂、レジスト組成物及びレジストパターンの製造方法

【課題】優れたCD均一性(CDU)のレジストパターンを製造することができるレジスト組成物を提供する。
【解決手段】式(aa)で表される構造単位と、式(ab)で表される構造単位とを有する樹脂及びこの樹脂と酸発生剤とを含有するレジスト組成物。


[式中、Raa1、Rab1は、水素原子又はメチル基;Raa2は、水素原子又はフッ化アルキル基;Raa3はフッ化アルキル基;Raa4は、酸の作用により酸素原子との結合〔O−Raa4〕が切断されない1価の基;naa1、nab1は1又は2;Aaa1は炭化水素基;Aab1は炭化水素基又は単結合;Wは脂環式炭化水素基;Aab2は脂肪族炭化水素基;Rab2はフッ化アルキル基等を表す。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂、レジスト組成物及び該レジスト組成物を用いるレジストパターンの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、半導体の微細加工技術として、ArFエキシマレーザー(波長:193nm)等の短波長光を露光源とする光リソグラフィ技術が活発に検討されている。このような光リソグラフィ技術に用いられるレジスト組成物としては、式(u−A)で表される構造単位と、式(u−B)で表される構造単位とからなる樹脂を含むレジスト組成物、及び、式(u−C)で表される構造単位と、式(u−D)で表される構造単位と、式(u−E)で表される構造単位と、式(u−F)で表される構造単位とからなる樹脂を含むレジスト組成物が知られている(特許文献1)。

【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−191151号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来から知られる上記樹脂を含有するレジスト組成物から製造されるレジストパターンは、CD均一性(CDU)が必ずしも満足できない場合があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、以下の発明を含む。
〔1〕式(aa)で表される構造単位と、式(ab)で表される構造単位とを有する樹脂。

[式(aa)中、
aa1は、水素原子又はメチル基を表す。
aa2は、水素原子又は炭素数1〜6のフッ化アルキル基を表す。
aa3は、炭素数1〜6のフッ化アルキル基を表す。
aa4は、酸の作用により、酸素原子との結合〔O−Raa4〕が切断されない1価の基を表す。
aa1は、1又は2を表す。naa1が2の場合、2つのRaa2は同一でも異なっていてもよく、2つのRaa3は同一でも異なっていてもよく、2つのRaa4は同一でも異なっていてもよい。
aa1は、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の炭化水素基を表し、該炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。]

[式(ab)中、
ab1は、水素原子又はメチル基を表す。
ab1は、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基又は単結合を表し、該脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
は、置換基を有していてもよい炭素数4〜36の脂環式炭化水素基を表し、該脂環式炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
ab2は、置換基を有していてもよい炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
ab2は、ヒドロキシ基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を有していてもよい炭素数1〜12のフッ化アルキル基を表す。
ab1は、1又は2を表す。nab1が2の場合、2つのAab2は同一でも異なっていてもよく、2つのRab2は同一でも異なっていてもよい。]
〔2〕上記〔1〕記載の樹脂と、酸発生剤とを含有するレジスト組成物。
〔3〕前記酸発生剤が、式(B1)で表される酸発生剤である〔2〕記載のレジスト組成物。

[式(B1)中、
1及びQ2は、それぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
b1は、炭素数1〜17の2価の脂肪族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
Yは、置換基を有していてもよい炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子、スルホニル基又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
+は、有機カチオンを表す。]
〔4〕前記式(B1)のYが、置換基を有していてもよい炭素数3〜18の脂環式炭化水素基である〔3〕記載のレジスト組成物。
〔5〕さらに、アルカリ水溶液に不溶又は難溶であり、酸の作用によりアルカリ水溶液に可溶となる樹脂を含有する〔2〕〜〔4〕のいずれか一項記載のレジスト組成物。
〔6〕さらに、溶剤を含有する〔2〕〜〔5〕のいずれか一項記載のレジスト組成物。
〔7〕(1)上記〔2〕〜〔6〕のいずれか一項記載のレジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程、
(3)組成物層を露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程及び
(5)加熱後の組成物層を現像する工程を含むレジストパターンの製造方法。
【0006】
本発明は、さらに以下の発明を含む。
〔8〕前記式(aa)のRaa4が、水素原子である〔1〕記載の樹脂。
〔9〕前記式(aa)のRaa4が、置換基を有していてもよい炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基である〔1〕記載の樹脂。
〔10〕前記式(aa)のRaa4が、以下の式(R−1)で表される基である〔1〕記載の樹脂。

[式(R−1)中、
44、R45及びR46(R44〜R46)は、それぞれ独立に、炭素数1〜6の脂肪族飽和炭化水素基を表すか、R44〜R46のうちの2つは互いに結合して環を形成していてもよい。]
〔11〕前記式(aa)のRaa4が、以下の式(B2−1)又は式(B2−2)で表される基である〔1〕記載の樹脂。

[式(B2−1)及び式(B2−2)中、
は、単結合又は炭素数1〜6のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
lは、0〜5の整数を表す。
は、炭素数1〜20の炭化水素基を表し、該炭化水素基にメチレン基が含まれる場合、そのメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。lが2以上のとき、複数のRは同一でも異なっていてもよく、複数のRのうち、2つのRが互いに結合して、それらが結合する炭素原子とともに、炭素数3〜20の環を形成していてもよい。
l’は、0〜3の整数を表す。
は、カルボキシル基、シアノ基又は炭素数1〜20の炭化水素基を表し、該炭化水素基にメチレン基が含まれる場合、そのメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。l’が2以上のとき、複数のRは同一でも異なっていてもよく、複数のRのうち、2つのRが互いに結合して、それらが結合する炭素原子とともに、炭素数3〜20の環を形成していてもよい。]
〔12〕前記式(ab)のWが、アダマンタン環又はシクロヘキサン環を含む脂環式炭化水素基である〔1〕〜〔6〕のいずれか記載の樹脂。
【発明の効果】
【0007】
本発明の樹脂を含有するレジスト組成物によれば、優れたCD均一性(CDU)のレジストパターンを製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<定義>
本明細書では、特に断りのない限り、炭素数を適宜選択しながら、以下の置換基の例示は、同様の置換基を有するいずれの化学構造式においても適用される。直鎖状、分岐状又は環状をとることができるものは、そのいずれをも含み、かつそれらが混在していてもよい。立体異性体が存在する場合は、全ての立体異性体を包含する。また、*は結合てを表す。以下の置換基の例示において、「C」に付して記載した数値は、各々の基の炭素数を示すものである。
【0009】
本明細書において、「炭化水素基」とは、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基を包含する。該脂肪族炭化水素基はさらに鎖式及び脂環式に分類される。本明細書でいう脂肪族炭化水素基とは、特に定義しない限り、鎖式及び脂環式の脂肪族炭化水素基が組み合わさった脂肪族炭化水素基を含む。
【0010】
鎖式の脂肪族炭化水素基(鎖式炭化水素基)のうち1価のものは、典型的にはアルキル基であり、当該アルキル基としては、メチル基(C)、エチル基(C)、プロピル基(C)、ブチル基(C)、ペンチル基(C)、ヘキシル基(C)、ヘプチル基(C)、オクチル基(C)、デシル基(C10)、ドデシル基(C12)、ヘキサデシル基(C14)、ペンタデシル基(C15)、ヘキシルデシル基(C16)、ヘプタデシル基(C17)及びオクタデシル基(C18)などが挙げられ、これらは直鎖でも分岐していてもよい。この鎖式炭化水素基は特に限定しない限り、ここに例示したアルキル基の一部に炭素炭素二重結合を含んでいてもよいが、このような炭素炭素二重結合などを有さない、飽和の鎖式炭化水素基、特に飽和のアルキル基が好ましい。2価の鎖式炭化水素基は、ここに示したアルキル基から水素原子を1個取り去ったアルカンジイル基が該当する。
【0011】
脂環式の脂肪族炭化水素基(以下、場合により「脂環式炭化水素基」という。)のうち1価のものは、典型的には、脂環式炭化水素から水素原子1個を取り去った基である。当該脂環式炭化水素基には、炭素炭素不飽和結合1個程度を含む不飽和脂環式炭化水素基でもよく、このような炭素炭素不飽和結合を含まない脂環式飽和炭化水素基でもよいが、本明細書でいう脂環式炭化水素基は飽和であると好ましい。また、脂環式炭化水素基は単環式のものであっても、多環式のものであってもよい。単環式の脂環式炭化水素は典型的にはシクロアルカンであり、その具体例を示すと、
式(KA−1)で表されるシクロプロパン(C)、式(KA−2)で表されるシクロブタン(C)、式(KA−3)で表されるシクロペンタン(C)、式(KA−4)で表されるシクロヘキサン(C)、式(KA−5)で表されるシクロヘプタン(C)、式(KA−6)で表されるシクロオクタン(C8)、及び、式(KA−7)で表されるシクロドデカン(C12)などが挙げられる。

多環式の脂環式炭化水素は例えば、式(KA−8)ビシクロ〔2.2.1〕ヘプタン(以下「ノルボルナン」という場合がある。)(C)、式(KA−9)で示されるアダマンタン(C10)、式(KA−10)で示される脂環式炭化水素(C10)、式(KA−11)で示される脂環式炭化水素(C14)、式(KA−12)で示される脂環式炭化水素(C17)、式(KA−13)で示される脂環式炭化水素(C10)、式(KA−14)で示される脂環式炭化水素(C11)、式(KA−15)で示される脂環式炭化水素(C15)、式(KA−16)で示される脂環式炭化水素(C12)、式(KA−17)で示される脂環式炭化水素(C14)、式(KA−18)で示される脂環式炭化水素(C15)、式(KA−19)で示される脂環式炭化水素(C17)、式(KA−20)で示される脂環式炭化水素(C9)、式(KA−21)で示される脂環式炭化水素(C8)及び、式(KA−22)で示される脂環式炭化水素(C10)などが挙げられる。

2価の脂環式炭化水素基とは、式(KA−1)〜式(KA−22)の脂環式炭化水素から水素原子を2個取り去った基が該当する。
【0012】
本明細書において、芳香族炭化水素基は1価の芳香族炭化水素基であり、典型的にはアリール基である。具体的にいえば、フェニル基(C)、ナフチル基(C10)、アントリル基(C14)、ビフェニル基(C12)、フェナントリル基(C14)及びフルオレニル基(C13)などである。
【0013】
脂肪族炭化水素基は置換基を有することがある。当該置換基の代表例としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシル基、アリール基、アラルキル基及びアリールオキシ基を挙げることができる。
【0014】
ハロゲン原子は特に限定のない限り、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子である。
アルコキシ基としては、メトキシ基(C)、エトキシ基(C)、プロポキシ基(C)、ブトキシ基(C)、ペンチルオキシ基(C)、ヘキシルオキシ基(C)、ヘプチルオキシ基(C7)、オクチルオキシ基(C8)、デシルオキシ基(C10)及びドデシルオキシ基(C12)などが挙げられ、該アルコキシ基は直鎖でも分岐していてもよい。
アシル基としては、アセチル基(C)、プロピオニル基(C)、ブチリル基(C)、バレイル基(C)、ヘキサノイル基(C)、ヘプタノイル基(C7)、オクタノイル基(C8)、デカノイル基(C10)及びドデカノイル基(C12)などのアルキル基とカルボニル基とが結合したもの、ベンゾイル基(C7)などのようにアリール基とカルボニル基とが結合したものが挙げられる。該アシル基のうち、アルキル基とカルボニル基とが結合したものの該アルキル基は直鎖でも分岐でもよい。
アリール基の具体例は、上述の芳香族炭化水素基のアリール基として例示したものと同じであり、アリールオキシ基の具体例は、当該アリール基と酸素原子とが結合したものである。
アラルキル基の具体例は、ベンジル基(C7)、フェネチル基(C8)、フェニルプロピル基(C9)、ナフチルメチル基(C11)及びナフチルエチル基(C12)などである。
【0015】
芳香族炭化水素基も置換基を有することがある。このような置換基はそのつど定義するが、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシル基、アルキル基及びアリールオキシ基を挙げることができる。これらのうち、アルキル基は、鎖式脂肪族炭化水素基として例示したものと同じであり、芳香族炭化水素基に任意に有する置換基のうち、アルキル基以外のものは、脂肪族炭化水素基の置換基として例示したものと同じものを含む。
【0016】
<樹脂(X)>
本発明の樹脂は、式(aa)で表される構造単位(以下「構造単位(aa)」という場合がある。)と、式(ab)で表される構造単位(以下「構造単位(ab)」という場合がある。)とを有する。この樹脂を「樹脂(X)」という場合がある。

[式(aa)中、
aa1は、水素原子又はメチル基を表す。
aa2は、水素原子又は炭素数1〜6のフッ化アルキル基を表す。
aa3は、炭素数1〜6のフッ化アルキル基を表す。
aa4は、酸の作用により、酸素原子との結合〔O−Raa4〕が切断されない1価の基を表す。
aa1は、1又は2を表す。naa1が2の場合、2つのRaa2は同一でも異なっていてもよく、2つのRaa3は同一でも異なっていてもよく、2つのRaa4は同一でも異なっていてもよい。
aa1は、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の炭化水素基を表し、該炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。]

[式(ab)中、
ab1は、水素原子又はメチル基を表す。
ab1は、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基又は単結合を表し、該脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
は、置換基を有していてもよい炭素数4〜36の脂環式炭化水素基を表し、該脂環式炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
ab2は、置換基を有していてもよい炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
ab2は、ヒドロキシ基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を有していてもよい炭素数1〜12のフッ化アルキル基を表す。
ab1は、1又は2を表す。nab1が2の場合、2つのAab2は同一でも異なっていてもよく、2つのRab2は同一でも異なっていてもよい。]
【0017】
〈構造単位(aa)〉
構造単位(aa)において、Aaa1は、炭素数1〜10の炭化水素基を表し、該炭化水素基は脂肪族炭化水素基であっても、芳香族炭化水素基であっても、これらを組み合わせた炭化水素基であってもよい。さらに、脂肪族炭化水素基は、鎖式炭化水素基であっても、脂環式炭化水素基であっても、鎖式炭化水素基及び脂環式炭化水素基の組み合わせであってもよい。また、該脂肪族炭化水素基は、その一部に炭素炭素多重結合を有していても、このような炭素炭素二重結合を有しない飽和脂肪族炭化水素基であってもよい。
また、該炭化水素基が脂肪族炭化水素基であり、この脂肪族炭化水素基にメチレン基が含まれる場合、そのメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。ただし、Aaa1中のカルボニルオキシ基側に結合している基は、メチレン基であっても、そのメチレン基は酸素原子又はカルボニル基に置き換わることはない。
【0018】
なかでも、Aaa1は、脂肪族炭化水素基が好ましく、脂肪族飽和炭化水素基がより好ましい。naa1が1である場合のAaa1は典型的には、アルカンジイル基又は2価の脂環式炭化水素基であり、その具体例は炭素数10以下の範囲において、すでに例示したものを含む。
aa1が2である場合のAaa1は典型的には、naa1が1である場合で挙げたアルカンジイル基又は2価の脂環式炭化水素基から、さらに水素原子を1個取り去った基が該当する。naa1が2である場合のAaa1についての具体例としては、メチン基、エタン−1,1,1−トリイル基、エタン−1,1,2−トリイル基、プロパン−1,1,3−トリイル基、プロパン−1,2,3−トリイル基、シクロヘキサン−1,3,5−トリイル基及びアダマンタン−1,3,5−トリイル基などが挙げられる。
【0019】
aa1の炭化水素基は、置換基を有していてもよい。Aaa1の炭化水素基が置換基を有する場合、この置換基は、ヒドロキシ基又は炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましい。ただし、この置換基にある炭素原子の数は、Aaa1の炭素数には含まれない。後述する構造単位(aa)を誘導する化合物の製造上の容易さを考慮すれば、置換基を有さない炭化水素基がAaa1として特に好ましい。
【0020】
aa1が鎖式脂肪族炭化水素基である場合、この脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよく、この場合のAaa1の具体例(naa1が1であるもの)を以下に示す。なお、この具体例において、*は、C(Raa2)(Raa3)との結合手を示す。
【0021】
メチレン基の1つ又は2つが酸素原子に置き換わった場合のAaa1としては、

などが挙げられる。
【0022】
メチレン基の1つ又は2つがカルボニル基に置き換わった場合のAaa1としては、

などが挙げられる。
【0023】
メチレン基の2つがそれぞれ、酸素原子及びカルボニル基に置き換わった場合のAaa1としては好ましくは、カルボニルオキシ基を含むものであり、その具体例は、



などが挙げられる。
【0024】
3つのメチレン基が、酸素原子及び/又はカルボニル基に置き換わった場合のAaa1としては、

などが挙げられる。
【0025】
これらの具体例に含まれる水素原子の1つが、C(Raa2)(Raa3)との結合手に置き換わったものは、naa1が2である場合の、メチレン基が酸素原子又はカルボニル基に置き換わった脂肪族炭化水素基の具体例に該当する。
【0026】
なかでも、Aaa1は炭素数2〜10の分岐した鎖式炭化水素基又は炭素数3〜10の脂環式炭化水素基が好ましく、1−アミル−1,2−エチレン基、シクロヘキサン−1,3,5−トリイル基及びアダマンタン−1,3,5−トリイル基がより好ましい。また、この鎖式炭化水素基は炭素炭素多重結合を含まない脂肪族飽和炭化水素基であることが好ましい。
【0027】
aa2及びRaa3の炭素数1〜6のフッ化アルキル基とは、すでに例示した炭素数1〜6のアルキル基において、該アルキル基に含まれる水素原子の一部又は全部がフッ素原子に置換されたものをいう。該フッ化アルキル基の具体例としては、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基、1,1−ジフルオロエチル基、2,2−ジフルオロエチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、ペルフルオロエチル基、1,1,2,2−テトラフルオロプロピル基、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロプロピル基、ペルフルオロエチルメチル基、1−(トリフルオロメチル)−1,2,2,2−テトラフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、1,1,2,2−テトラフルオロブチル基、1,1,2,2,3,3−ヘキサフルオロブチル基、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロブチル基、3−(トリフルオロメチル)−2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチル基、ペルフルオロブチル基、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,2−トリフルオロエチル基、2−(ペルフルオロプロピル)エチル基、1,1,2,2,3,3,4,4−オクタフルオロペンチル基、パーフルオロペンチル基、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−デカフルオロペンチル基、1,1−ビス(トリフルオロメチル)−2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、ペルフルオロペンチル基、2−(ペルフルオロブチル)エチル基、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5−デカフルオロヘキシル基、1,1,2,2,3,3,4,4,5,5,6,6−ドデカフルオロヘキシル基、ペルフルオロペンチルメチル基及びペルフルオロヘキシル基などが挙げられ、これらの中でも、トリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、3−(トリフルオロメチル)−2,2,3,4,4,4−ヘキサフルオロブチル基が好ましい。
【0028】
aa4は、酸の作用により、酸素原子との間の結合〔O−Raa4〕が切断されない1価の基を表す。ここで、酸の作用によりO−Raa4結合が切断されないとは、後述するレジスト組成物において、樹脂(X)中の構造単位(aa)が酸発生剤が露光エネルギーを受けて発生する酸と接触しても、O−Raa4結合が切断されない特性を意味する。
【0029】
aa4は、好ましくは、水素原子、炭素数1〜20の炭化水素基又は炭素数2〜20のアシル基であり、該炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子、硫黄原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
炭素数1〜20の炭化水素基は、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基が好ましく、炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基がより好ましい。
aa4が水素原子である場合、−O−Raa4で表される基はヒドロキシ基となる。
aa4が水素原子である場合の構造単位(aa)の具体例は以下のとおりである。


式(aa−1)〜式(aa−20)のいずれかで表される構造単位(aa)において、以下に示す部分構造Mを、以下に示す部分構造Aに置き換えたものも構造単位(aa)の具体例として挙げることができる。


前記の具体例の中でも、式(aa−11)、式(aa−12)、式(aa−13)、式(aa−14)、式(aa−15)又は式(aa−19)で表されるものが好ましい。
【0030】
aa4が水素原子である構造単位(aa)は、以下に示す式(aa1)で表される化合物(以下、場合により「化合物(aa1)」という。)から誘導される。



(式(aa1)中の符号はいずれも、前記と同義である。)
かかる化合物(aa1)は、例えば、特開2008−122932号公報に記載の方法などの公知の方法により製造することができる。
また、例えば、前記特許文献1記載の化合物を用いてもよい。
【0031】
aa4が炭化水素基、特に脂肪族炭化水素基である場合の具体例は以下のとおりである。



式(aa−21)〜式(aa−25)のいずれかで表される構造単位(aa)の具体例において、式(aa−1)で表される構造単位(aa)などと同様に、部分構造Mを部分構造Aに置き換えたものも構造単位(aa)の具体例として挙げることができる。
【0032】
aa4が炭素数2〜20のアシル基である場合、該炭素数は1〜12の範囲であるとさらに好ましい。かかるアシル基としては、典型的には、以下の式(R4−0)で表されるものであり、その具体例としては、アセチル基、プロパノイル基、ブチリル基、イソブチリル基、ピバロイル基、シクロヘキサノイル基及びアダマンタンカルボニル基等の脂肪族炭化水素基とカルボニル基とが連結したもの、ベンゾイル基のような芳香族基とカルボニル基とが連結したものが挙げられる。

[式(R−0)中、
41は、置換基を有していてもよい炭素数1〜18の炭化水素基を表す。]
【0033】
aa4のアシル基として、好ましいものは、以下の式(R−1)で表される。

[式(R−1)中、
44、R45及びR46は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜6の飽和脂肪族炭化水素基を表すか、あるいは、R44及びR45は、一緒になってこれらが結合する炭素原子とともに環を形成し、かつR46は、水素原子又は置換基を有していてもよい炭素数1〜6の脂肪族飽和炭化水素基を表す。]
【0034】
式(R−1)で表されるアシル基のうち、R44〜R46が、いずれも炭素数1〜6の脂肪族飽和炭化水素基である好ましいアシル基としては、ピバロイル基及び以下に示す基などが挙げられる。
【0035】
44〜R46のうちの2つが互いに結合して環を形成していており、残りの1つは水素原子又は炭素数1〜6の脂肪族飽和炭化水素基であるアシル基としては、シクロヘキサノイル基及びアダマンチルカルボニル基などに加え、かかるアシル基にある環に含まれるメチレン基が、酸素原子又はカルボニル基に置き換わった基などが挙げられる。
【0036】
また、Raa4のアシル基として、前記式(R−0)のR41がラクトン環を含む基であるものも好ましい。該ラクトン環はその炭素数4〜18の範囲であると好ましく、炭素数4〜12の範囲がより好ましい。ここでいう「ラクトン環の炭素数」は、当該ラクトン環を構成している炭素原子の数をいう。該ラクトン環は、γ‐ラクトン環及びδ‐ラクトン環などの単環式ラクトン環や、γ‐ラクトン環又はδ‐ラクトン環と他の脂環とが縮環した多環式ラクトン環を含む。また、該ラクトン環に含まれる水素原子は、水素原子以外の置換基に置換されていてもよい。該置換基は好ましくは、カルボキシル基、シアノ基又はメチル基などである。ただし、ここに示す置換基をラクトン環が有している場合、その置換基に含まれる炭素原子の合計数(炭素数)は、上述のラクトン環の炭素数(環原子の炭素数)に含まれない。
【0037】
このようなRaa4は例えば、以下の式(B2−1)、式(B2−2)及び式(B2−3)のいずれかで表される基〔式(B2−1)〜式(B2−3)で表される基〕などが挙げられる。

[式(B2−1)、式(B2−2)、式(B2−3)中、
は、単結合又は炭素数1〜6のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。*は結合手を表す。
lは、0〜5の整数を表し、Rは、炭素数1〜20の炭化水素基を表し、該炭化水素基にメチレン基が含まれる場合、そのメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。lが2以上のとき、複数のRは同一でも異なっていてもよく、複数のRのうち、2つのRが互いに結合して、それらが結合する炭素原子とともに、炭素数3〜20の環を形成していてもよい。
l’は、0〜3の整数を表し、Rは、カルボキシ基、シアノ基又は炭素数1〜20の炭化水素基を表し、該炭化水素基にメチレン基が含まれる場合、そのメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。l’が2以上のとき、複数のRは同一でも異なっていてもよく、複数のRのうち、2つのRが互いに結合して、それらが結合する炭素原子とともに、炭素数3〜20の環を形成していてもよい。
l’’は、0〜3の整数を表し、R6は、カルボキシ基、シアノ基又は炭素数1〜20の炭化水素基を表し、該炭化水素基にメチレン基が含まれる場合、そのメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。l’’が2以上のとき、複数のRは同一でも異なっていてもよく、複数のRのうち、2つのRが互いに結合して、それらが結合する炭素原子とともに、炭素数3〜20の環を形成していてもよい。]
【0038】
式(B2−1)〜式(B2−3)中のR、R及びRのうち炭化水素基は、炭素数が上記の範囲において、すでに例示したものを含む。Bのアルカンジイル基も、その炭素数が1〜6の範囲において、すでに例示したものを含む。また、該アルカンジイル基に含まれるメチレン基が、酸素原子(−O−、該酸素原子を、本明細書では「−O−」で示すことがある。)又はカルボニル基(−CO−、該カルボニル基を、本明細書では「−CO−」で示すことがある。)に置き換わった基は例えば、*−O−CO−CH−O−、*−O−CO−CH−O−CO−、*−CH−O−CO−又は*−CH−CO−O−である。
中でも、Bは単結合が好ましい。
【0039】
aa4のアシル基である場合の構造単位(aa)の具体例は以下のとおりである。

【0040】

【0041】

【0042】
式(aa−26)〜式(aa−66)のいずれかで表される構造単位において、式(aa−1)で表される構造単位(aa)などと同様に、部分構造Mを部分構造Aに置き換えたものも構造単位(aa)の具体例として挙げることができる。
【0043】
構造単位(aa)は、好ましくは構造単位(aaa)である。

[式(aaa)中、
aa11は、水素原子又はメチル基を表す。
aa12は、水素原子又は炭素数1〜6のフッ化アルキル基を表す。
aa13は、炭素数1〜6のフッ化アルキル基を表す。
aa14は、水素原子又は−CO−Raa15を表す。
aa15は、炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数3〜10の脂環式炭化水素基を表し、該脂環式炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置き換わっていてもよい。
aa11は、1又は2を表す。
aa1は、炭素数1〜10の炭化水素基を表す。]
【0044】
aa12は、好ましくは、水素原子又はトリフルオロメチル基である。
aa13は、好ましくは、トリフルオロメチル基又は炭素数3〜6の分枝鎖状フッ化アルキル基である。
aa14は、好ましくは、−CO−Raa15である。Raa14が−CO−Raa15であると、本レジスト組成物から得られるレジストパターンは、欠陥の発生が少ない傾向がある。
aa15は、好ましくは、分枝鎖状アルキル基又は炭素数3〜6の脂環式炭化水素基を表し、該脂環式炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置き換わっていてもよい。
aa1は、好ましくは、炭素数1〜10のアルカンジイル基又は炭素数3〜10のシクロアルカンジイル基である。
【0045】
aa4が炭化水素基又はアシル基である構造単位(aa)は、以下に示す式(aa2)で表される化合物(以下、場合により「化合物(aa2)」という。)から誘導される。

(式(aa2)中、
aa5は、炭素数1〜20の炭化水素基又は炭素数2〜20のアシル基を表す。その他の符号はいずれも、前記と同義である。)
【0046】
化合物(aa2)は、前記化合物(aa1)から容易に製造できる。その一例を挙げると、以下の反応式で表される。

反応剤であるカルボン酸(Raa5−COOH)は、所望のRaa5の種類に応じて、例えば市場から容易に入手できるものを選択したり、公知の方法により製造したりすることにより入手すればよい。この反応は通常、溶媒の存在下で行われる。この溶媒は例えば、アセトニトリルなどである。なお、カルボニルジイミダゾールなどを触媒として用いることもできる。
【0047】
〈構造単位(ab)〉
構造単位(ab)において、Aab1は、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基又は単結合を表し、該脂肪族炭化水素基の具体例は、その炭素数が1〜10の範囲において、すでに例示したものを含む。該脂肪族炭化水素基が有することもある置換基は、前記式(aa)のAaa1と同じく、ヒドロキシ基及び炭素数1〜6のアルコキシ基などが好ましい。また、前記式(aa)のAaa1と同じく、該脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。この具体例は、すでにAaa1で説明したものと同様であり、Aaa1の説明において、「Aaa1」を「Aab1」に、「naa1」を「nab1」に、「*は、カルボニルオキシ基との結合手」を「*は、Wとの結合手」に、「C(Raa2)(Raa3)との結合手」を「Aab2との結合手」に、読み替えればよい。
【0048】
ab1としては、置換基を有していてもよいアルカンジイル基又は単結合が好ましく、置換基を有さないアルカンジイル基又は単結合がより好ましく、単結合がさらに好ましい。
【0049】
は、炭素数4〜36の脂環式炭化水素基である。
の脂環式炭化水素基としては、上述した式(KA−1)〜式(KA−22)で表される脂環式炭化水素から水素原子を(nab1+1)個取り去った基が挙げられ、好ましくは炭素数5〜24の脂環式炭化水素基、炭素数は5〜18の脂環式炭化水素基が好ましく、6〜12の脂環式炭化水素基がより好ましい。該脂環式炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換えられることもあるが、ここでいう総炭素数とは、メチレン基を置き換える前の炭素数をいう。該脂環式炭化水素基としては、アダマンタン、シクロヘキサン、ノルボルナン又はノルボルネンから水素原子を(nab1+1)個取り去った基が好ましく、アダマンタン又はシクロヘキサンから水素原子を(nab1+1)個取り去った基がより好ましい。なお、これらの脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、置換基で置換されていてもよい。
【0050】
がアダマンタンから水素原子を(nab1+1)個取り去った基である場合、−W−(Aab2−Rab2)nab1は、式(W−1)で表される。

式(W−1)中、
ab2、Rab2及びnab1は、上記と同じ意味を表す。
アダマンタン環に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。アダマンタン環に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数3〜12の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基に置換されていてもよい。*はAab1との結合手を表す。なお、アダマンタン環に含まれるメチレン基が、酸素原子又はカルボニル基に置き換わる場合、置き換えられるメチレン基の個数は最大2個程度である。
【0051】
がシクロヘキサンから水素原子を(nab1+1)個取り去った基である場合、−W−(Aab2−Rab2)nab1は、式(W−1)で表される。

式(W−2)中、
ab2、Rab2及びnab1は、上記と同じ意味を表す。
シクロヘキサン環に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。シクロヘキサン環に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数3〜12の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基に置換されていてもよい。*はAab1との結合手を表す。なお、シクロヘキサン環に含まれるメチレン基が、酸素原子又はカルボニル基に置き換わる場合、置き換えられるメチレン基の個数は最大2個程度である。
【0052】
式(W−1)のアダマンタン環に含まれる水素原子が、アルキル基、アルコキシ基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基からなる群より選ばれる基に置換されている場合、その置換数は最大3個程度であり、この置換数が2以上の場合、置き換えられた複数の基は同一でも異なっていてもよい。
同様に、式(W−2)のシクロヘキサン環に含まれる水素原子が、アルキル基、アルコキシ基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基からなる群より選ばれる基に置換されている場合、その置換数は最大3個程度であり、この置換数が2以上の場合、置き換えられた複数の基は同一でも異なっていてもよい。
【0053】
式(W−1)のアダマンタン環又は式(W−2)のシクロヘキサン環に含まれる水素原子が置換されることもある基(置換基)の具体例は、各々の炭素数が上述の範囲において、すでに例示したものを含む。
【0054】
ab1は1が好ましく、よって、Wは2価の基であることが好ましい。nab1が1である場合、好ましいWはアダマンタンジイル基又はシクロヘキサンジイル基である。
【0055】
ab2は炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基を示す。当該脂肪族炭化水素基は部分的に、炭素炭素不飽和結合を含んでもよいが、このような不飽和結合を有さない、飽和の脂肪族炭化水素基(脂肪族飽和炭化水素基)が好ましく、アルカンジイル基がより好ましい。該アルカンジイル基の具体例は、すでに例示したものを含む。また、該アルカンジイル基に含まれるメチレン基が、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよく、このような基としては、Aab1の場合と同じものが例示される。ただし、かかる具体例において、*は、「Wとの結合手」から「Rab2との結合手」に読み替える。
【0056】
ab2は、ヒドロキシ基又はアルコキシ基を有していてもよい炭素数1〜12のフッ化アルキル基を示す。ここでいう「フッ化アルキル基」とは、炭素数1〜12のアルキル基に含まれる水素原子の一部又は全部がフッ素原子に置換された基を意味する。なお、炭素数1〜12のアルキル基は、炭素数12以下である範囲において、すでに例示したものを含む。また、フッ素原子に置換された水素原子以外の水素原子は、ヒドロキシ基又はアルコキシ基に置換されることもある。Rab2としては、ヒドロキシ基及びアルコキシ基を有さず、アルキル基に含まれる水素原子の全部がフッ素原子に置換されたもの(ペルフルオロアルキル基)が好ましい。このペルフルオロアルキル基の具体例は、トリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基、ペルフルオロヘプチル基及びペルフルオロオクチル基などである。また、このペルフルオロアルキル基は直鎖でも分岐していてもよいが、直鎖のペルフルオロアルキル基が好ましい。
ab2における置換基としては、ヒドロキシ基又はメトキシ基が挙げられる。
【0057】
構造単位(ab)は、好ましくは構造単位(aba)又は構造単位(abb)であり、より好ましくは構造単位(aba)である。

[式(aba)及び式(abb)中、
ab11及びRab21は、水素原子又はメチル基を表す。
ab11及びAab21は、単結合又は炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基を表す。
ab12及びAab22は、炭素数1〜6のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
ab12及びRab22は、炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
ab11及びnab21は、1又は2を表す。]
【0058】
ab11は、好ましくは、単結合である。
ab12は、好ましくは、*−O−CO−(*はW11との結合手を表す。)である。
ab12は、好ましくは、トリフルオロメチル基である。
ab11は、好ましくは、1である。
【0059】
構造単位(ab)の具体例を示す。なお、この具体例では、Wがアダマンタン環を含む基である構造単位(ab)を示すことにするが、Wがシクロヘキサン環を含む脂環式炭化水素基である構造単位(ab)としては、以下に示す具体例の各々に含まれるアダマンタン環をシクロヘキサン環に置き換えたものを挙げることができる。また、nab1が2である場合は、以下に示す構造単位(ab)の具体例の各々において、アダマンタン環を構成する水素原子1個を、−Aab2−Rab2に置き換えればよい。

【0060】


式(ab−1)〜式(ab−11)のいずれかで表される構造単位(ab)の具体例において、構造単位(aa)の具体例と同様に、部分構造Mを部分構造Aに置き換えたものも構造単位(ab)の具体例として挙げることができる。
【0061】
構造単位(ab)は、以下の式(ab1)で表される化合物(以下、場合により「化合物(ab1)」という。)により誘導される。

(式(ab1)中の符号はいずれも、前記と同義である。)
かかる化合物(ab1)は例えば、国際公開第2008/015876号パンフレットに記載された方法に準拠して製造することができる。
【0062】
樹脂(X)において、構造単位(aa)と構造単位(ab)とは、各々一種ずつ有していてもよいし、一方が複数種であり、他方が一種であってもよいし、構造単位(aa)及び構造単位(ab)をともに複数種有していてもよい。これらのうち、樹脂(X)を容易に製造できる点では、構造単位(aa)と構造単位(ab)とは、各々一種ずつ有しているものが好ましい。
【0063】
樹脂(X)における構造単位(aa)と、構造単位(ab)との具体的な組み合わせを、以下の表1に示す。なお、表1では、式(aa−1)で表される構造単位(aa)などを、その式番号に応じて、「(aa−1)」などと表記し、同様に式(ab−1)で表される構造単位(ab)などを、その式番号に応じて、「(ab−1)」などと表記する。また、例えば「(aa−19)/(aa−41)」の表記は、構造単位(aa)として、式(aa−19)で表される構造単位と、式(aa−41)で表される構造単位とをともに有することを意味する。
【0064】
【表1】

【0065】
樹脂(X)の全構造単位(100モル%)に対する構造単位(aa)及び構造単位(ab)の合計含有割合は10モル%以上であればよいが、50モル%以上が好ましく、実質的に100モル%、すなわち、樹脂(X)は構造単位(aa)及び構造単位(ab)のみからなるものがより好ましい。樹脂(X)の全構造単位に対する構造単位(aa)及び構造単位(ab)の各々の含有割合は、5〜95モル%の範囲が好ましく、10〜90モル%の範囲がより好ましい。
樹脂(X)において、構造単位(aa)と構造単位(ab)との含有量の比は、好ましくは1:99〜99:1(質量)が挙げられ、3:97〜97:3が好ましく、10:90〜90:10がより好ましい。
このような含有割合で構造単位(aa)や構造単位(ab)を有する樹脂(X)は、樹脂(X)製造時に用いる全モノマーの総モル量に対する、構造単位(aa)を誘導し得る化合物(aa1)及び/又は化合物(aa2)と、構造単位(ab)を誘導し得る化合物(ab1)の使用モル量を調節することで製造できる。
【0066】
また、樹脂(X)は、構造単位(aa)及び構造単位(ab)以外の構造単位を有していてもよい。このような構造単位としては、後述する樹脂(A)を構成する構造単位及びモノマーから誘導される構造単位が挙げられる。例えば、後述する構造単位(a1)、酸安定性構造単位等が好ましい。
例えば、樹脂(X)が、後述する酸安定モノマー(a4)に由来する構造単位を有する場合、式(3)で表される基を有する酸安定モノマー(a4−6)及び/又は式(4)で表される基を有する酸安定モノマー(a4−7)に由来する構造単位が好ましく、酸安定モノマー(a4−6)に由来する構造単位がより好ましい。
【0067】
樹脂(X)は、上述した酸作用特性を有するものであっても、有しないものであってもよい。酸作用特性を有する樹脂(X)としては、例えば、酸の作用により切断されるO−Aaa1結合を有する構造単位(aa)及び/又は酸の作用により切断されるO−Aab1結合を有する構造単位(ab)を樹脂(X)が含有するものが挙げられる。
【0068】
また、樹脂(X)は、構造単位(aa)及び構造単位(ab)の一部又は全部が異なる樹脂(X)の混合物であってもよい。
【0069】
<樹脂(X)の製造方法>
樹脂(X)を製造するためには、構造単位(aa)を誘導し得る化合物(aa1)及び/又は化合物(aa2)と、構造単位(ab)を誘導し得る化合物(ab1)をモノマーとして用いる。また、これらの化合物(aa1)、化合物(aa2)及び化合物(ab1)以外に、他の構造単位を誘導するモノマーを用いることもある。
樹脂(X)は、ここに示すモノマーを、公知の重合法(例えばラジカル重合法)に供することにより重合(共重合)させる方法により製造することができる。
樹脂(X)が後述する構造単位(a1)を含有する場合、構造単位(a1)の含有量と後述する酸安定性構造単位の含有量との比は、〔構造単位(a1)〕/〔酸安定構造単位〕で表して、好ましくは10〜80モル%/90〜20モル%であり、より好ましくは20〜60モル%/80〜40モル%である。酸安定構造単位の含有量は、構造単位(aa)及び構造単位(ab)の含有量を含めて算出することが好ましい。
【0070】
樹脂(X)の重量平均分子量は、8,000以上80,000以下が好ましく、10,000以上60,000以下がさらに好ましい。なお、ここでいう重量平均分子量は、ゲルパーミュエーションクロマトグラフィー分析により、標準ポリスチレン基準の換算値として求められるものである。この分析の詳細な分析条件は、本願の実施例に記載する。
【0071】
<レジスト組成物>
本発明のレジスト組成物(以下「本レジスト組成物」という場合がある。)は、樹脂(X)と、酸発生剤とを含有する。本レジスト組成物は、樹脂(X)を含有することにより、酸発生剤の作用と相まって、優れたCD均一性のレジストパターンを製造できる。
本レジスト組成物は、さらに、アルカリ水溶液に不溶又は難溶であり、酸の作用によりアルカリ水溶液に可溶となる特性(以下、場合により「酸作用特性」という。)を有する樹脂(ただし、構造単位(aa)及び構造単位(ab)をともに有さない。)(以下「樹脂(A)」という場合がある。)、溶剤(D)並びに塩基性化合物(C)からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有することが好ましい。
<樹脂(A)>
樹脂(A)は、分子内に酸不安定基を有すること、すなわち、酸不安定基を含む構造単位(以下「構造単位(a1)」という場合がある。)を有することが好ましい。ここでいう「酸不安定基」とは、酸との接触により脱離し得る保護基により保護されている親水性基を意味し、かかる親水性基としては、ヒドロキシ基又はカルボキシ基が挙げられ、カルボキシ基が好ましい。
【0072】
〈酸不安定基〉
親水性基がカルボキシ基である場合の酸不安定基は、該カルボキシ基の水素原子が、有機残基に置き換わり、カルボキシ基の−O−と結合する該有機残基の原子が第三級炭素原子である基(すなわち第三アルコールのエステル)が挙げられる。このような酸不安定基のうち、好ましい酸不安定基は例えば、以下の式(1)で表されるもの(以下、場合により「酸不安定基(1)」という。)である。

式(1)中、Ra1、Ra2及びRa3は、それぞれ独立に、炭素数1〜8の脂肪族炭化水素基を表すか、Ra1及びRa2が結合して、それらが結合する炭素原子とともに炭素数3〜20の環を形成する。Ra1及びRa2が結合して形成される環及び該脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子、硫黄原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。*は結合手を表す。
【0073】
a1〜Ra3の脂肪族炭化水素基は、アルキル基又は脂環式炭化水素基である。このアルキル基の具体例は、すでに例示したアルキル基のうち、炭素数が1〜8の範囲において、すでに例示したものを含む。脂環式炭化水素基も、炭素数が8以下の範囲において、すでに例示したものを含む。
【0074】
a1及びRa2が結合して環を形成するとは、−C(Ra1)(Ra2)(Ra3)で表される基が、下記に示すいずれかのものとなることをいう。このような環の炭素数は、好ましくは3〜12の範囲である。

【0075】
酸不安定基(1)としては、1,1−ジアルキルアルコキシカルボニル基(式(1)中、Ra1〜Ra3が全てアルキル基である基、このアルキル基のうち、1つはtert−ブチル基であると好ましい。)、2−アルキルアダマンタン−2−イルオキシカルボニル基(式(1)中、Ra1及びRa2が結合し、これらが結合する炭素原子とともにアダマンタン環を形成し、Ra3がアルキル基である基)及び1−(アダマンタン−1−イル)−1−アルキルアルコキシカルボニル基(式(1)中、Ra1及びRa2がアルキル基であり、Ra3がアダマンチル基である基)などが挙げられる。
【0076】
一方、親水性基がヒドロキシ基である場合の酸不安定基は、該ヒドロキシ基の水素原子が、有機残基に置き換わり、アセタール構造又はケタール構造を含む基となったものが挙げられる。このような酸不安定基のうち、好ましい酸不安定基は例えば、以下の式(2)で表されるもの(以下、場合により「酸不安定基(2)」という。)である。

式(2)中、Rb1及びRb2は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜20の炭化水素基を表し、Rb3は、炭素数1〜20の炭化水素基を表すか、或いは、Rb2及びRb3が結合して、それらが各々結合する炭素原子及び酸素原子とともに炭素数3〜20の環を形成する。該炭化水素基がメチレン基を含む場合、そのメチレン基は、酸素原子、硫黄原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよく、Rb2及びRb3が結合して形成される環に含まれるメチレン基も、酸素原子、硫黄原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。*は結合手を表す。
【0077】
b1〜Rb3の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基及び芳香族炭化水素基のいずれでもよく、その具体例も炭素数の上限が20以下である範囲において、すでに例示したものを含むが、Rb1及びRb2のうち、少なくとも1つは水素原子であると好ましい。
【0078】
酸不安定基(2)の具体例としては、以下の基が挙げられる。

【0079】
構造単位(a1)は、酸不安定基と炭素−炭素二重結合とを有するモノマーから誘導されるものが好ましく、酸不安定基を有する(メタ)アクリル系モノマーから誘導されるものがさらに好ましい。
構造単位(a1)は好ましくは、酸不安定基(1)又は酸不安定基(2)を有するものであり、これらの酸不安定基をともに有していてもよい。より好ましくは酸不安定基(1)を有する構造単位(a1)である。
【0080】
酸不安定基(1)を有する構造単位(a1)の中でも、酸不安定基(1)が、炭素数5〜20の脂肪族環を部分構造とするものが好ましい。このような立体的に嵩高い基の構造単位(a1)を有する樹脂(A)は、樹脂(A)を含有する本レジスト組成物を用いてレジストパターンを製造したとき、より良好な解像度でレジストパターンを製造することができる。
【0081】
脂肪族環を部分構造とする酸不安定基(1)を有する構造単位(a1)の中でも、式(a1−1)で表される構造単位(以下、場合により「構造単位(a1−1)」という。)及び式(a1−2)で表される構造単位(以下、場合により「構造単位(a1−2)」という。)が好ましい。

式(a1−1)中、
a1は、酸素原子又は−O−(CH2k1−CO−O−(k1は1〜7の整数を表し、*はカルボニル基との結合手を表す。)で表される基を表す。
a4は、水素原子又はメチル基を表す。
a6は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基を表す。
m1は0〜14の整数を表す。
式(a1−2)中、
a2は、酸素原子又は−O−(CH2k1−CO−O−(k1は前記と同義である。)で表される基を表す。
a5は、水素原子又はメチル基を表す。
a7は、炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基を表す。
n1は0〜10の整数を表す。
n1’は0〜3の整数を表す。
【0082】
a1及びLa2は、好ましくは、酸素原子又は、k1が1〜4の整数である*−O−(CH2k1−CO−O−で表される基であり、より好ましくは酸素原子又は*−O−CH2−CO−O−であり、さらに好ましくは酸素原子である。
a4及びRa5は、好ましくはメチル基である。
a6及びRa7の脂肪族炭化水素基のうち、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数3〜10の脂環式炭化水素基であり、この炭素数の上限以下の範囲で、すでに例示したものと同じものを含む。Ra6及びRa7の脂肪族炭化水素基はそれぞれ独立に、好ましくは炭素数8以下のアルキル基又は炭素数8以下の脂環式炭化水素基であり、より好ましくは炭素数6以下のアルキル基又は炭素数6以下の脂環式炭化水素基である。
m1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
n1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
n1’は好ましくは0又は1である。
【0083】
ここで、構造単位(a1−1)の具体例を挙げる。

【0084】

【0085】

【0086】

【0087】

【0088】


式(a1−1−1)〜式(a1−1−38)のいずれかで表される構造単位(a1−1)の具体例において、構造単位(aa)の具体例と同様に、部分構造Mを部分構造Aに置き換えたものも構造単位(a1−1)の具体例として挙げることができる。
【0089】
以上の構造単位(a1−1)の例示の中では、式(a1−1−1)、式(a1−1−2)及び式(a1−1−3)のいずれかで表される構造単位(a1−1)並びにこれらの構造単位(a1−1)の部分構造Mが部分構造Aに置き換えられたものが好ましく、式(a1−1−1)、式(a1−1−2)及び式(a1−1−3)のいずれかで表される構造単位(a1−1)がより好ましく、式(a1−1−1)及び式(a1−1−2)のいずれかで表される構造単位(a1−1)がさらに好ましい。なお、これら好ましい構造単位(a1−1)を有する樹脂(A)は、該樹脂(A)を製造する際に、2−メチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレート、2−エチルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレート又は2−イソプロピルアダマンタン−2−イル(メタ)アクリレートなどを製造用原料(モノマー)として用いればよい。
【0090】
構造単位(a1−2)の具体例を示す。


式(a1−2−1)〜式(a1−2−12)のいずれかで表される構造単位(a1−2)の具体例において、構造単位(aa)の具体例と同様に、部分構造Mを部分構造Aに置き換えたものも構造単位(a1−2)の具体例として挙げることができる。
【0091】
以上の具体例の中では、式(a1−2−1)、式(a1−2−2)、式(a1−2−4)及び式(a1−2−5)のいずれかで表される構造単位(a1−2)、あるいは、これらの構造単位(a1−2)の部分構造Mが部分構造Aに置き換えられたものがより好ましく、式(a1−2−4)及び式(a1−2−5)のいずれかで表される構造単位、あるいは、これらの構造単位(a1−2)の部分構造Mが部分構造Aに置き換えられたものがさらに好ましい。このような構造単位(a1−2)を有する樹脂(A)を製造するためには、1−メチルシクロヘキサン−1−イル(メタ)アクリレートなどをモノマーとして用いればよい。
【0092】
構造単位(a1−1)及び/又は構造単位(a1−2)を有する樹脂(A)を製造する場合、樹脂(A)の全構造単位を100モル%としたとき、構造単位(a1−1)及び/又は構造単位(a1−2)の合計含有割合は、10〜95モル%の範囲が好ましく、15〜90モル%の範囲がより好ましく、20〜85モル%の範囲がさらに好ましい。
樹脂(X)が構造単位(a1−1)及び/又は構造単位(a1−2)を有する場合、その合計含有量は、樹脂(X)の全構造単位(100モル%)に対して、5〜50モル%の範囲が好ましく、10〜45モル%の範囲がより好ましく、15〜40モル%の範囲がさらに好ましい。
構造単位(a1−1)及び/又は構造単位(a1−2)の合計含有割合を、このような範囲にするためには、樹脂(A)を製造する際に、全モノマーの使用量に対する、構造単位(a1−1)及び/又は構造単位(a1−2)を誘導するモノマーの使用量を調整すればよい。また、構造単位(a1−1)及び/又は構造単位(a1−2)を有する樹脂(X)を製造する場合には、構造単位(a1−1)及び/又は構造単位(a1−2)を誘導するモノマーの使用量と、化合物(aa1)及び/又は化合物(aa2)及び化合物(ab1)の合計使用量との割合を調整すればよい。
【0093】
〈酸不安定モノマー〉
酸不安定基(1)を有する構造単位(a1)として、以下の式(a1−3)で表されるノルボルネン環を有するモノマー(以下、場合により「モノマー(a1−3)」という。)から誘導されるものが挙げられる。

式(a1−3)中、
a9は、水素原子、ヒドロキシ基を有していてもよい炭素数1〜3のアルキル基、カルボキシル基、シアノ基又は−COORa13(Ra13は、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基に置換されていてもよく、該脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。)を表す。
a10、Ra11及びRa12は、それぞれ独立に、炭素数1〜20の脂肪族炭化水素基を表すか、或いは、Ra10及びRa11が結合して、これらが結合している炭素原子とともに、炭素数3〜20の環を形成する。なお、この脂肪族炭化水素基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基などに置換されていてもよく、該脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
【0094】
a9のヒドロキシ基を有するアルキル基は例えば、ヒドロキシメチル基及び2−ヒドロキシエチル基などが挙げられる。
a10〜Ra12の脂肪族炭化水素基は、鎖式炭化水素基(例えば、アルキル基)及び脂環式炭化水素基のいずれでもよく、その具体例は、炭素数20以下の範囲において、すでに例示したものを含む。
a10及びRa11が結合して形成される環は脂肪族環が好ましく、具体的には、シクロへキサン環及びアダマンタン環などがより好ましい。
【0095】
a9のアルコキシカルボニル基は例えば、メトキシカルボニル基(C)及びエトキシカルボニル基(C)など、すでに例示したアルコキシ基にカルボニル基がさらに結合した基が挙げられる。
【0096】
モノマー(a1−3)を具体的に例示すると、5−ノルボルネン−2−カルボン酸−tert−ブチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−シクロヘキシル−1−メチルエチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−メチルシクロヘキシル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸2−メチル−2−アダマンチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸2−エチル−2−アダマンチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−(4−メチルシクロヘキシル)−1−メチルエチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−(4−ヒドロキシシクロヘキシル)−1−メチルエチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−メチル−1−(4−オキソシクロヘキシル)エチル及び5−ノルボルネン−2−カルボン酸1−(1−アダマンチル)−1−メチルエチルなどが挙げられる。
【0097】
モノマー(a1−3)を用いて樹脂(A)を製造した場合、この樹脂(A)にはモノマー(a1−3)に由来する、立体的に嵩高い構造単位が含まれることになる。このように立体的に嵩高い構造単位を有する樹脂(A)を含有する本レジスト組成物により、レジストパターンを製造すれば、より良好な解像度でレジストパターンを得ることができる。さらにモノマー(a1−3)を用いることにより、樹脂(A)の主鎖に剛直なノルボルナン環を導入できるため、該樹脂(A)を含有する本レジスト組成物は、ドライエッチング耐性に優れたレジストパターンが得られ易いという傾向がある。
【0098】
樹脂(A)が、モノマー(a1−3)に由来する構造単位を有する場合、上述のように、良好な解像度でレジストパターンを製造できる点や、ドライエッチング耐性に優れたレジストパターンが得られ易いという点から、その含有量は、樹脂(A)の全構造単位(100モル%)に対して、10〜95モル%の範囲が好ましく、15〜90モル%の範囲がより好ましく、20〜85モル%の範囲がさらに好ましい。
樹脂(X)が、モノマー(a1−3)に由来する構造単位を有する場合、その含有量は、樹脂(X)の全構造単位(100モル%)に対して、5〜50モル%の範囲が好ましく、10〜45モル%の範囲がより好ましく、15〜40モル%の範囲がさらに好ましい。
【0099】
酸不安定基(2)を有する構造単位(a1)としては、例えば、以下の式(a1−4)で表されるモノマー(以下、場合により「モノマー(a1−4)」という。)に由来する構造単位が挙げられる。

式(a1−4)中、
a32は、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基(ハロアルキル基)、水素原子又はハロゲン原子を表す。
a33は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基、炭素数2〜4のアシルオキシ基、アクリロイル基又はメタクリロイル基を表す。
laは0〜4の整数を表す。laが2以上である場合、複数のRa33はそれぞれ独立である。
a34及びRa35はそれぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜12の炭化水素基を表す。
a2は、単結合又は炭素数1〜17の脂肪族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基に含まれる水素原子は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基及び炭素数2〜4のアシルオキシ基からなる群より選ばれる基に置換されていてもよい。ここに示す置換基の具体例は、炭素数が各々の上限である範囲において、すでに例示したものを含む。Xa2の脂肪族炭化水素基は、鎖式炭化水素基であると好ましく、アルキル基であるとより好ましい。なお、該脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又は−N(R)−で示される基に置き換わっていてもよい。ここで、Rは、水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基を表す。
a3は、炭素数1〜18の炭化水素基であり、好ましくは、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基であり、該炭化水素基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基又は炭素数2〜4のアシルオキシ基を有していてもよい。
【0100】
a32の「ハロゲン原子を有してもよいアルキル基」のうち、アルキル基の具体例としては、炭素数1〜6の範囲において、すでに例示したものを含む。ハロアルキル基としては、アルキル基を構成する水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子に置換されたものである。具体的にハロアルキル基を挙げると、例えば、トリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基、ペルフルオロイソプロピル基、ペルフルオロブチル基、ペルフルオロsec−ブチル基、ペルフルオロtert−ブチル基、ペルフルオロペンチル基、ペルフルオロヘキシル基、トリクロロメチル基、トリブロモメチル基及びトリヨードメチル基などである。
a32及びRa33のハロゲン原子、アルコキシ基及びアシル基の具体例は、すでに例示したものを含む。
a34及びRa35の炭化水素基は、鎖式炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基のいずれであってもよい。その具体例は、各々の炭素数の範囲において、すでに例示したものを含む。これらのうち、該鎖式炭化水素基としては、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基及び2−エチルヘキシル基が好ましく、該脂環式炭化水素基としては、シクロヘキシル基、アダマンチル基、2−アルキルアダマンタン−2−イル基、1−(アダマンタン−1−イル)アルカン−1−イル基及びイソボルニル基が好ましい。該芳香族炭化水素基は、フェニル基、ナフチル基、p−メチルフェニル基、p−tert−ブチルフェニル基、p−アダマンチルフェニル基、トリル基、キシリル基、クメニル基、メシチル基、ビフェニル基、アントリル基、フェナントリル基、2,6−ジエチルフェニル基及び2−メチル−6−エチルフェニルが好ましい。
【0101】
a32及びRa33がアルキル基である場合、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基及びエチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
a33のアルコキシ基としては、メトキシ基及びエトキシ基がより好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
【0102】
上述したように、Xa2及びYa3は、これらに含まれる水素原子が、ハロゲン原子及びヒドロキシ基などの置換基に置換されていてもよいが、このように水素原子が置換されている場合、該置換基は好ましくはヒドロキシ基である。
【0103】
モノマー(a1−4)としては、以下のモノマーが挙げられる。

【0104】

【0105】

ここに示すモノマー(a1−4)において、Ra32に相当する水素原子がハロゲン原子、ハロゲン原子を有していてもよいアルキル基等に置き換えたものもモノマー(a1−4)の具体例として挙げることができる。
【0106】
樹脂(A)が、モノマー(a1−4)に由来する構造単位を有する場合、その含有割合は、樹脂(A)の全構造単位(100モル%)に対して、10〜95モル%の範囲が好ましく、15〜90モル%の範囲がより好ましく、20〜85モル%の範囲がさらに好ましい。
樹脂(X)が、モノマー(a1−4)に由来する構造単位を有する場合、その含有量は、樹脂(X)の全構造単位(100モル%)に対して、5〜50モル%の範囲が好ましく、10〜45モル%の範囲がより好ましく、15〜40モル%の範囲がさらに好ましい。
【0107】
酸不安定基(2)を有する構造単位として、例えば、式(a1−5)で表されるモノマー(以下、場合により「モノマー(a1−5)」という。)に由来する構造単位を用いることができる。

式(a1−5)中、
31は、水素原子、ハロゲン原子又はハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基を表す。
〜Lは、酸素原子又は硫黄原子又は−O−(CH2k1−CO−O−で表される基を表す。ここで、k1は1〜7の整数を表し、*はカルボニル基(−CO−)との結合手である。
は、単結合又は炭素数1〜6のアルカンジイル基であり、該アルカンジイル基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
s1及びs1’は、それぞれ独立して、0〜4の整数を表す。
【0108】
式(a1−5)においては、R31は、水素原子及びメチル基が好ましい。
は、酸素原子が好ましい。
及びLは、それぞれ独立に酸素原子又は硫黄原子である。L及びLは、一方が酸素原子、他方が硫黄原子であると好ましい。
s1は、1が好ましい。
s1’は、0〜2の整数が好ましい。
は、単結合又は炭素数1〜6のアルカンジイル基であり、該アルカンジイル基を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。Zとしては、単結合又は−CH−CO−O−が好ましい。
【0109】
モノマー(a1−5)としては、以下のモノマーが挙げられる。

【0110】


上記モノマーにおいて、R31に相当するメチル基が水素原子に置き換わったモノマーも、モノマー(a1−5)の具体例として挙げることができる。
【0111】
樹脂(A)が、モノマー(a1−5)に由来する構造単位を有する場合、その含有割合は、樹脂(A)の全構造単位(100モル%)に対して、10〜95モル%の範囲が好ましく、15〜90モル%の範囲がより好ましく、20〜85モル%の範囲がさらに好ましい。
樹脂(X)が、モノマー(a1−5)に由来する構造単位を有する場合、その含有割合は、樹脂(X)の全構造単位(100モル%)に対して、5〜50モル%の範囲が好ましく、10〜45モル%の範囲がより好ましく、15〜40モル%の範囲がさらに好ましい。
【0112】
〈酸安定構造単位〉
本レジスト組成物に用いる樹脂(A)としては、構造単位(a1)に加えて、酸不安定基を有さない構造単位(以下、場合により「酸安定構造単位」という。)を有していることが好ましい。
樹脂(X)が、構造単位(aa)及び構造単位(ab)以外に、酸安定構造単位を有していてもよい。
【0113】
酸安定構造単位は、ヒドロキシ基又はラクトン環を有する構造単位が好ましい。ヒドロキシ基を有する酸安定構造単位(以下「酸安定構造単位(a2)」という場合がある。)及び/又はラクトン環を有する酸安定構造単位(以下「酸安定構造単位(a3)」という場合がある。)を有する樹脂(A)は、当該樹脂(A)を含有する本レジスト組成物を基板に塗布したとき、基板上に形成される塗布膜又は塗布膜から得られる組成物層が基板との間に優れた密着性を発現し易くなり、この本レジスト組成物は良好な解像度で、レジストパターンを製造することができる。
【0114】
〈酸安定構造単位(a2)〉
酸安定構造単位(a2)を樹脂(A)に導入する場合、当該樹脂(A)を含有する本レジスト組成物からレジストパターンを製造する際の露光源の種類によって、各々、好適な酸安定構造単位(a2)を選択することができる。すなわち、本レジスト組成物を、KrFエキシマレーザ(波長:248nm)を露光源とする露光、電子線あるいはEUV光などの高エネルギー線を露光源とする露光に用いる場合には、酸安定構造単位(a2)として、フェノール性ヒドロキシ基を有する酸安定構造単位(a2−0)を樹脂(A)に導入することが好ましい。短波長のArFエキシマレーザ(波長:193nm)を露光源とする露光を用いる場合は、酸安定構造単位(a2)として、後述の式(a2−1)で表される酸安定構造単位を樹脂(A)に導入することが好ましい。このように、樹脂(A)が有する酸安定構造単位(a2)は各々、レジストパターンを製造する際の露光源によって好ましいものを選ぶことができるが、樹脂(A)が有する酸安定構造単位(a2)は、露光源の種類に応じて好適な酸安定構造単位(a2)1種のみを有していてもよく、露光源の種類に応じて好適な酸安定構造単位(a2)2種以上を有していてもよく、或いは、露光源の種類に応じて好適な酸安定構造単位(a2)と、それ以外の酸安定構造単位(a2)とを組み合わせて有していてもよい。
【0115】
〈酸安定構造単位(a2−1)〉
酸安定構造単位(a2−1)としては、以下の式(a2−1)で示される構造単位などが挙げられる。

式(a2−1)中、
a3は、酸素原子又は−O−(CH2k2−CO−O−(k2は1〜7の整数を表す。)を表し、*はカルボニル基(−CO−)との結合手を表す。
a14は、水素原子又はメチル基を表す。
a15及びRa16は、それぞれ独立に、水素原子、メチル基又はヒドロキシ基を表す。
o1は、0〜10の整数を表す。
【0116】
a3は、好ましくは、酸素原子又は、k2が1〜4の整数である−O−(CH2k2−CO−O−で表される基であり、より好ましくは、酸素原子又は、−O−CH2−CO−O−であり、さらに好ましくは酸素原子である。
a14は、好ましくはメチル基である。
a15は、好ましくは水素原子である。
a16は、好ましくは水素原子又はヒドロキシ基である。
o1は、好ましくは0〜3の整数、より好ましくは0又は1である。
【0117】
酸安定構造単位(a2−1)としては、例えば、以下のものが挙げられる。

【0118】

【0119】


式(a2−1−1)〜式(a2−1−17)のいずれかで表される酸安定構造単位(a2−1)の具体例において、構造単位(aa)の具体例と同様に、部分構造Mを部分構造Aに置き換えたものも酸安定構造単位(a2−1)の具体例として挙げることができる。
【0120】
例示した酸安定構造単位(a2−1)の中でも、式(a2−1−1)、式(a2−1−2)、式(a2−1−13)及び式(a2−1−15)のいずれかで表される酸安定構造単位(a2−1)並びにこれらの酸安定構造単位(a2−1)の部分構造Mが部分構造Aに置き換わったものが好ましく、式(a2−1−1)、式(a2−1−2)、式(a2−1−13)及び式(a2−1−15)のいずれかで表される酸安定構造単位(a2−1)がより好ましい。これらの酸安定構造単位(a2−1)を有する樹脂(A)は、3−ヒドロキシアダマンタン−1−イル(メタ)アクリレート、3,5−ジヒドロキシアダマンタン−1−イル(メタ)アクリレート又は(メタ)アクリル酸1−(3,5−ジヒドロキシアダマンタン−1−イルオキシカルボニル)メチルなどを、該樹脂(A)製造用のモノマーとして用いればよい。
【0121】
樹脂(A)が、酸安定構造単位(a2−1)を有する場合、その含有割合は、樹脂(A)の全構造単位(100モル%)に対して、3〜45モル%の範囲から選ばれ、5〜40モル%の範囲がより好ましく、5〜35モル%の範囲がさらに好ましい。
樹脂(X)が酸安定構造単位(a2−1)を有用いて樹脂(X)を製造する場合、その含有割合は、樹脂(X)の全構造単位(100モル%)に対して、通常、1〜90モル%であり、10〜80モル%が好ましく、20〜70モル%がより好ましい。
【0122】
〈酸安定構造単位(a2−0)〉
酸安定構造単位(a2)は、以下の式(a2−0)で表されるもの(以下、「酸安定構造単位(a2−0)」という。)も挙げることができる。

式(a2−0)中、
a30は、ハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基、水素原子又はハロゲン原子を表す。
a31は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数2〜4のアシル基、炭素数2〜4のアシルオキシ基、アクリロイル基又はメタクリロイル基を表す。
maは0〜4の整数を表す。maが2以上の整数である場合、複数のRa31はそれぞれ独立である。
【0123】
a30のハロゲン原子を有してもよい炭素数1〜6のアルキル基及びハロゲン原子の具体例は、式(a1−4)のRa32で例示したものと同じである。これらのうち、Ra30は、炭素数1〜4のアルキル基が好ましく、メチル基又はエチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。
a31のアルコキシ基の具体例は、すでに例示したものを含む。これらのうち、Ra31は、炭素数1〜4のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基及びエトキシ基がより好ましく、メトキシ基が特に好ましい。
maは0、1又は2が好ましく、0又は1がより好ましく、0が特に好ましい。
【0124】
酸安定構造単位(a2−0)の具体例を、該酸安定構造単位(a2−0)を誘導するモノマー(以下、「酸安定モノマー(a2−0)」という。)を挙げることで例示する。



ここに例示する具体例において、ベンゼン環に結合しているメチル基やエチル基を、Ra31として例示したその他の置換基に置き換えたものも、酸安定モノマー(a2−0)の具体例である。
【0125】
このような酸安定モノマー(a2−0)を用いて、樹脂(A)を製造する場合は、該酸安定モノマー(a2−0)にあるフェノール性ヒドロキシ基が適当な保護基で保護されているモノマーを用いることもできる。保護基としては例えば、酸又は塩基で脱離する保護基などが好ましい。酸又は塩基で脱離する保護基で保護されたフェノール性ヒドロキシ基は、酸又は塩基との接触により脱保護することができる。ただし、樹脂(A)は、酸不安定基を持つ構造単位(a1)を有しているので、保護基で保護されたフェノール性ヒドロキシ基を脱保護する際には、構造単位(a1)の酸不安定基を著しく損なわないよう、塩基との接触により、脱保護することが好ましい。保護基としては、例えば、保護基としては、例えば、アセチル基、ベンゾイル基などが好ましい。塩基としては、例えば、4−ジメチルアミノビリジン、トリエチルアミン等が挙げられる。
【0126】
上述の酸安定モノマー(a2−0)の例示の中では、4−ヒドロキシスチレン又は4−ヒドロキシ−α−メチルスチレンが特に好ましい。これらの化合物は、フェノール性ヒドロキシ基が適当な保護基で保護したものであってもよい。
【0127】
樹脂(A)が、酸安定構造単位(a2−0)を有する場合、その含有割合は、樹脂(A)の全構造単位(100モル%)に対して、5〜95モル%の範囲から選ばれ、10〜80モル%の範囲がより好ましく、15〜80モル%の範囲がさらに好ましい。
樹脂(X)が酸安定構造単位(a2−0)を有用いて樹脂(X)を製造する場合、その含有割合は、樹脂(X)の全構造単位(100モル%)に対して、通常、0〜90モル%であり、10〜80モル%が好ましく、20〜70モル%がより好ましい。
【0128】
〈酸安定構造単位(a3)〉
酸安定構造単位(a3)が有するラクトン環は例えば、β−プロピオラクトン環、γ−ブチロラクトン環及びδ−バレロラクトン環のような単環式でもよく、単環式のラクトン環と他の環との縮合環でもよい。これらラクトン環の中で、γ−ブチロラクトン環及びγ−ブチロラクトン環と他の環との縮合環が好ましい。
【0129】
酸安定構造単位(a3)は好ましくは、以下の式(a3−1)、式(a3−2)又は式(a3−3)で表されるものである。樹脂(A)は、これらのうち1種のみを有していてもよく、2種以上を有していてもよい。なお、以下の説明においては、式(a3−1)で示されるものを「酸安定構造単位(a3−1)」といい、式(a3−2)で示されるものを「酸安定構造単位(a3−2)」といい、式(a3−3)で示されるものを「酸安定構造単位(a3−3)」という。

[式(a3−1)中、
a4は、酸素原子又は−O−(CH2k3−CO−O−(k3は1〜7の整数を表す。)を表す。*はカルボニル基との結合手を表す。
a18は、水素原子又はメチル基を表す。
p1は0〜5の整数を表す。
a21は炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表し、p1が2以上の場合、複数のRa21はそれぞれ独立である。
式(a3−2)中、
a5は、酸素原子又は−O−(CH2k3−CO−O−(k3は1〜7の整数を表す。)を表す。*はカルボニル基との結合手を表す。
q1は、0〜3の整数を表す。
a22は、カルボキシ基、シアノ基又は炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表し、q1が2以上の場合、複数のRa22は、それぞれ独立である。
式(a3−3)中、
a6は、酸素原子又は−O−(CH2k3−CO−O−(k3は1〜7の整数を表す。)を表す。*はカルボニル基との結合手を表す。
a20は、水素原子又はメチル基を表す。
r1は、0〜3の整数を表す。
a23は、カルボキシ基、シアノ基又は炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基を表し、r1が2以上の場合、複数のRa23は、それぞれ独立である。]
【0130】
式(a3−1)〜式(a3−3)において、La4〜La6は、それぞれ独立に、酸素原子又は、k3が1〜4の整数である*−O−(CH2k3−CO−O−で表される基が好ましく、酸素原子又は、*−O−CH2−CO−O−がより好ましく、さらに好ましくは酸素原子である。
a18〜Ra21は、好ましくはメチル基である。
a22及びRa23は、それぞれ独立に、好ましくはカルボキシ基、シアノ基又はメチル基である。
p1、q1及びr1は、好ましくは0〜2の整数であり、より好ましくは0又は1である。
【0131】
γ−ブチロラクトン環を有する酸安定構造単位(a3−1)としては、例えば、以下のものが挙げられる。

【0132】

【0133】
γ−ブチロラクトン環とノルボルナン環との縮合環を有する酸安定構造単位(a3−2)としては、例えば以下のものが挙げられる。

【0134】

【0135】
γ−ブチロラクトン環とシクロヘキサン環との縮合環を有する酸安定構造単位(a3−3)は例えば、以下のものが挙げられる。

式(a3−1−1)〜式(a3−1−11)のいずれかで表される酸安定構造単位(a3−1)、式(a3−2−1)〜式(a3−2−11)のいずれかで表される酸安定構造単位(a3−2)及び式(a3−3−1)〜式(a3−3−6)のいずれかで表される酸安定構造単位(a3−3)において、構造単位(aa)の例示と同様に、部分構造Mを部分構造Aに置き換えたものも、各々酸安定構造単位(a3−1)、酸安定構造単位(a3−2)及び酸安定構造単位(a3−3)の具体例として挙げることができる。また、この例示において、ラクトン環が有する置換基(Ra21〜Ra23)としてメチル基を有するものも例示したが、このメチル基を上述のような基に置き換えたものも、酸安定構造単位(a3)の具体例として挙げられる。
【0136】
酸安定構造単位(a3)の中でも、α−(メタ)アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトン、β−(メタ)アクリロイロキシ−γ−ブチロラクトン、α−(メタ)アクリロイロキシ−β,β−ジメチル−γ−ブチロラクトン、α−(メタ)アクリロイロキシ−α−メチル−γ−ブチロラクトン、β−(メタ)アクリロイロキシ−α−メチル−γ−ブチロラクトン、(メタ)アクリル酸(5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イル、(メタ)アクリル酸テトラヒドロ−2−オキソ−3−フリル及び(メタ)アクリル酸2−(5−オキソ−4−オキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−2−イルオキシ)−2−オキソエチルなどから誘導される酸安定構造単位(a3)が好ましい。
【0137】
樹脂(A)が、酸安定構造単位(a3−1)、酸安定構造単位(a3−2)及び酸安定構造単位(a3−3)からなる群より選ばれる酸安定構造単位(a3)を有する場合、その合計含有割合は、樹脂(A)の全構造単位(100モル%)に対して、5〜70モル%の範囲から選ばれ、10〜65モル%の範囲が好ましく、10〜60モル%の範囲がさらに好ましい。また、酸安定構造単位(a3−1)、酸安定構造単位(a3−2)及び酸安定構造単位(a3−3)それぞれの含有量は、樹脂(A)の全構造単位(100モル%)に対して、5〜60モル%の範囲が好ましく、10〜55モル%の範囲がより好ましく、20〜50モル%の範囲がさらに好ましく、20〜45モル%の範囲が一層好ましい。
樹脂(X)が、酸安定構造単位(a3−1)、酸安定構造単位(a3−2)及び酸安定構造単位(a3−3)からなる群より選ばれる酸安定構造単位(a3)を有する場合、その含有割合は、樹脂(X)の全構造単位(100モル%)に対して、通常、0〜90モル%であり、好ましくは10〜80モル%であり、より好ましくは20〜70モル%である。
【0138】
〈酸安定モノマー(a4)〉
樹脂(A)は、酸安定構造単位(a2)及び酸安定構造単位(a3)以外の酸安定構造単位を含有していてもよい、酸安定構造単位を誘導するモノマー(酸安定モノマー)を挙げることで示すことにする。なお、以下の説明において、他の酸安定構造単位を誘導するモノマーを「酸安定モノマー(a4)」という。
酸安定モノマー(a4)に由来する構造単位は、樹脂(X)が、構造単位(aa)及び構造単位(ab)以外に有することもある構造単位のうち、好ましいものである。
【0139】
酸安定モノマー(a4)としては、以下の式(a4−1)で表される無水マレイン酸、式(a4−2)で表される無水イタコン酸、及び、式(a4−3)で表されるノルボルネン環を有する酸安定モノマー(以下、場合により「酸安定モノマー(a4−3)」という。)などを挙げることができる。

[式(a4−3)中、
a25及びRa26は、それぞれ独立に、水素原子、ヒドロキシ基を有していてもよい炭素数1〜3のアルキル基、シアノ基、カルボキシ基又は−COORa27〔Ra27は、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。但し−COORa27が酸不安定基となるものは除く(すなわち、Ra27は、3級炭素原子が−O−と結合するものを含まない)〕を表すか、或いはRa25及びRa26が結合して−CO−O−CO−を形成する。]
【0140】
式(a4−3)のRa25及びRa26において、ヒドロキシ基を有していてもよいアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ヒドロキシメチル基及び2−ヒドロキシエチル基などが好ましい。
a27の脂肪族炭化水素基は、好ましくは炭素数1〜8のアルキル基及び炭素数4〜18の脂環式炭化水素基であり、より好ましくは炭素数1〜6のアルキル基及び炭素数4〜12の脂環式炭化水素基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、2−オキソ−オキソラン−3−イル基及び2−オキソ−オキソラン−4−イル基などがさらに好ましい。
【0141】
酸安定モノマー(a4−3)としては、例えば、2−ノルボルネン、2−ヒドロキシ−5−ノルボルネン、5−ノルボルネン−2−カルボン酸、5−ノルボルネン−2−カルボン酸メチル、5−ノルボルネン−2−カルボン酸2−ヒドロキシ−1−エチル、5−ノルボルネン−2−メタノール及び5−ノルボルネン−2,3−ジカルボン酸無水物などが挙げられる。
【0142】
樹脂(A)が、式(a4−1)で表される無水マレイン酸に由来する構造単位、式(a4−2)で表される無水イタコン酸に由来する構造単位及びモノマー(a4−3)に由来する構造単位からなる群より選ばれる構造単位を有する場合、その合計含有割合は、樹脂(A)の全構造単位(100モル%)に対して、2〜40モル%の範囲が好ましく、3〜30モル%の範囲がより好ましく、5〜20モル%の範囲がさらに好ましい。
樹脂(X)が、式(a4−1)で表される無水マレイン酸に由来する構造単位、式(a4−2)で表される無水イタコン酸に由来する構造単位及びモノマー(a4−3)に由来する構造単位からなる群より選ばれる構造単位を有する場合、その合計含有割合は、好ましくは、樹脂(X)の全構造単位に対して、5〜20モル%である。
【0143】
さらに、酸安定モノマー(a4)としては、例えば、式(a4−4)で表されるスルトン環を有するもの(以下、場合により「酸安定モノマー(a4−4)」という。)が挙げられる。

[式(a4−4)中、
a7は、酸素原子又は−T−(CH2k2−CO−O−を(k2は1〜7の整数を表す。Tは酸素原子又はNHである。)表し、*はカルボニル基との結合手を表す。
a28は、水素原子又はメチル基を表す。
10は、置換基を有していてもよいスルトン環基を表す。]
【0144】
スルトン環基のスルトン環は、脂環式炭化水素を構成するメチレン基のうち、隣り合うメチレン基2つが、一方が酸素原子、他方がスルホニル基に置き換わったもの、すなわち環骨格中に−O−SO−を有する環であり、下記に示すものなどが挙げられる。前記スルトン環基の具体例は、下記スルトン環にある水素原子の1つが、結合手に置き換わったものであり、式(a4−4)においてはLa7との結合手が該当する。

置換基を有していてもよいスルトン環基とは、上述の結合手に置き換わった水素原子以外の水素原子がさらに置換基(水素原子以外の1価の基)に置換されたものであり、該置換基は、ヒドロキシ基、シアノ基、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のフッ化アルキル基、炭素数1〜6のヒドロキシアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数1〜7のアルコキシカルボニル基、炭素数1〜7のアシル基及び炭素数1〜8のアシルオキシ基からなる群より選ばれる。
【0145】
酸安定モノマー(a4−4)の具体例を示す。

【0146】

【0147】

【0148】

【0149】

【0150】

【0151】

【0152】

【0153】

【0154】

【0155】

【0156】

ここに示した酸安定モノマー(a4−4)の具体例において、以下に示す部分構造M’を、以下に示す部分構造A’に置き換えたものも、酸安定モノマー(a4−4)の具体例として挙げることができる。

【0157】
樹脂(A)が、酸安定モノマー(a4−4)に由来する構造単位を有する場合、その含有割合は、樹脂(A)の全構造単位(100モル%)に対して、2〜40モル%の範囲から選ばれ、3〜35モル%の範囲が好ましく、5〜30モル%の範囲がさらに好ましい。
樹脂(X)がモノマー(a4−4)に由来する構造単位を有する場合、その含有割合は、樹脂(X)の全構造単位(100モル%)に対して、通常0〜90モル%であり、好ましくは10〜80モル%であり、より好ましくは20〜70モル%である。
【0158】
また、酸安定モノマー(a4)としては、例えば、以下に示すようなフッ素原子を有するモノマー〔以下「酸安定モノマー(a4−5)」という場合がある。〕も用いることができる。

【0159】
このような酸安定モノマー(a4−5)の中でも、単環式又は多環式の脂肪族環を有する(メタ)アクリル酸5−(3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−[トリフルオロメチル]プロピル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル、(メタ)アクリル酸6−(3,3,3−トリフルオロ−2−ヒドロキシ−2−[トリフルオロメチル]プロピル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−イル、(メタ)アクリル酸4,4−ビス(トリフルオロメチル)−3−オキサトリシクロ[4.2.1.02,5]ノニルが好ましい。
【0160】
樹脂(A)が、酸安定モノマー(a4−5)に由来する構造単位を有する場合、その合計含有割合は、樹脂(A)の全構造単位(100モル%)に対して、1〜20モル%の範囲から選ばれ、2〜15モル%の範囲が好ましく、3〜10モル%の範囲がさらに好ましい。
樹脂(X)がモノマー(a4−5)に由来する構造単位を有する場合、その含有割合は、樹脂(X)の全構造単位(100モル%)に対して、好ましくは、樹脂(X)の全構造単位に対して、5〜40モル%である。
【0161】
樹脂(A)は、以下の示す式(3)で表される基を有する酸安定モノマー(a4)に由来する構造単位を含有することができる。
【0162】
式(3)で表される基を有する酸安定モノマー(a4)[以下、式(3)で表される基を有する酸安定モノマー(a4)を場合により、「酸安定モノマー(a4−6)」という。]について示す。式(3)で表される基は以下のとおりである。

[式(3)中、R10は、炭素数1〜6のフッ化アルキル基を表す。*は結合手を表す。]
【0163】
10のフッ化アルキル基は、その炭素数の範囲が異なる以外は、構造単位(ab)のRab2の具体例と同じものが例示される。
10のフッ化アルキル基は、その炭素数が1〜4であると好ましく、トリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基及びペルフルオロプロピル基がより好ましく、トリフルオロメチル基がさらに好ましい。
【0164】
酸安定モノマー(a4−6)としては、例えば、以下で表されるものが挙げられる。


ここに示した酸安定モノマー(a4−6)の具体例において、酸安定モノマー(a4−4)の例示と同様に、部分構造M’を部分構造A’に置き換えたものも、酸安定モノマー(a4−6)の具体例として挙げることができる。
【0165】
また、酸安定モノマー(a4−6)としては、以下のものも挙げることができる。

【0166】
樹脂(A)が、酸安定モノマー(a4−6)に由来する構造単位を有する場合、その含有割合は、樹脂(A)の全構造単位(100モル%)に対して、5〜90モル%の範囲から選ばれ、10〜80モル%の範囲が好ましく、20〜70モル%の範囲がさらに好ましい。
樹脂(X)がモノマー(a4−6)に由来する構造単位を有する場合、その含有割合は、樹脂(X)の全構造単位(100モル%)に対して、通常0〜90モル%であり、好ましくは10〜80モル%であり、より好ましくは20〜70モル%である。
【0167】
樹脂(A)は、以下に示す式(4)で表される基を有する酸安定モノマー(a4)に由来する構造単位を含有することができる。

[式(4)中、
11は置換基を有してもよい炭素数6〜12の芳香族炭化水素基を表す。
12は、置換基を有してもよい炭素数1〜12の炭化水素基を表し、該炭化水素基は、ヘテロ原子を含んでいてもよい。
は、単結合、−(CHm10−SO−O−*又は−(CHm10-CO-O-*を表し、ここに示すアルカンジイル基のアルキレン鎖〔-(CHm10−〕に含まれるメチレン基は、酸素原子、カルボニル基又はスルホニル基に置き換わっていてもよく、当該アルキレン鎖に含まれる水素原子は、フッ素原子に置き換わっていてもよい。
m10は、1〜12の整数を表す。]
【0168】
11における炭素数6〜12の芳香族炭化水素基の具体例は、炭素数がこの範囲において、すでに例示したものを含む。これら芳香族炭化水素基が置換基を有する場合、その置換基は、炭素数1〜4のアルキル基、ハロゲン原子、フェニル基、ニトロ基、シアノ基、ヒドロキシ基、フェニルオキシ基及びtert−ブチルフェニル基などである。
【0169】
11としては、以下の基が挙げられる。なお、*は炭素原子との結合手である。

【0170】
12における炭素数1〜12の炭化水素基は、鎖式炭化水素基、脂環式炭化水素基及び芳香族炭化水素基のいずれでもよい。
脂肪族炭化水素基としては、典型的にはアルキル基であり、その具体例は炭素数が1〜12の範囲において、すでに例示したものを含む。脂環式炭化水素基としては、炭素数が12以下の範囲において、すでに例示したものを含む。
なお、R12が脂肪族炭化水素基である場合、該脂肪族炭化水素基はヘテロ原子を含んでいてもよい。ヘテロ原子としては、ハロゲン原子、硫黄原子、酸素原子及び窒素原子などである〔連結基として、スルホニル基、カルボニル基を含む形態でもよい〕。
このようなヘテロ原子を含むR12としては、以下の基が挙げられる。

【0171】
12が芳香族炭化水素基である場合、その具体例は、R11の場合と同じである。
【0172】
としては、下記に示す基が挙げられる。

【0173】
式(4)で表される基を含む酸安定モノマー(a4)としては、例えば、式(a4−7)で表されるもの[以下、場合により「酸安定モノマー(a4−7)」という。]が挙げられる。

[式(a4−7)中、
13は、水素原子又はメチル基を表す。
11、R12及びAは、前記と同義である。]
【0174】
酸安定モノマー(a4−7)としては、例えば、以下のものが挙げられる。

ここに示した酸安定モノマー(a4−7)の具体例において、酸安定モノマー(a4−4)の具体例と同様に、部分構造M’を部分構造A’に置き換えたものも、酸安定モノマー(a4−7)の具体例として挙げることができる。
【0175】
樹脂(A)が、酸安定モノマー(a4−7)に由来する構造単位を有する場合、その含有割合は、樹脂(A)の全構造単位(100モル%)に対して、5〜90モル%の範囲から選ばれ、10〜80モル%の範囲が好ましく、20〜70モル%の範囲がさらに好ましい。
樹脂(X)がモノマー(a4−7)に由来する構造単位を有する場合、その含有割合は、その含有量は、樹脂(X)の全構造単位(100モル%)に対して、通常0〜90モル%であり、好ましくは10〜80モル%、より好ましくは20〜70モル%である。
【0176】
酸安定モノマー(a4)としては、以下の式(a4−8)で示されるモノマー[以下、場合により、「酸安定モノマー(a4−8)」という。]も挙げることができる。

[式(a4−8)中、
環Wは、炭素数3〜36の脂肪族環を表す。
は、単結合又は炭素数1〜17の脂肪族炭化水素基を表す。該脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよいが、Aのうち、酸素原子に結合している原子は炭素原子である。
14は、水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のハロアルキル基を表す。
15及びR16は、それぞれ独立に、炭素数1〜6のアルキル基又は炭素数1〜6のハロアルキル基を表す。]
【0177】
環Wは、単環式又は多環式の炭素数3〜36の脂肪族環であり、その炭素数は5〜18の範囲が好ましく、6〜12の範囲がより好ましい。より具体的には、すでに脂環式炭化水素基の説明において、式(KA−1)〜式(KA−22)で示した脂環式炭化水素の形式で示した脂肪族環を挙げることができる。すなわち、式(a4−8)において

で示される部分構造は、式(KA−1)〜式(KA−22)の脂環式炭化水素を構成する水素原子の1個がAとの結合手に、脂環式炭化水素環に含まれる炭素原子の1つに結合している2つの水素原子が、−O−CO−R15及び−O−CO−R16との結合手に置き換わったものを挙げることができる。
環Wの脂肪族環は、シクロヘキサン環、アダマンタン環、ノルボルナン環及びノルボルネン環が特に好ましい。
【0178】
の脂肪族炭化水素基は、炭素数が17以下の範囲において、すでに例示したアルカンジイル基及び2価の脂環式炭化水素基を挙げることができ、炭素数が17以下の範囲であれば、アルカンジイル基と脂環式炭化水素基とを組み合わせた脂肪族炭化水素基であってもよい。また、Aの脂肪族炭化水素基は置換基を有していてもよい。
ここで、アルカンジイル基と脂環式炭化水素基とを組み合わせた脂肪族炭化水素基の代表例を示しておく。かかる脂肪族炭化水素基としては、以下の式(X−A)、式(X−B)及び式(X−C)で表される基などが挙げられる。

式中、
X1及びXX2は、それぞれ独立に、単結合又は置換基を有していてもよい炭素数1〜6のアルキレン基を表し、XX1及びXX2がともに単結合であることはなく、式(X−A)、式(X−B)及び式(X−C)で表される基の総炭素数は17以下である。
【0179】
また、すでに述べたように、Aの脂肪族炭化水素基は、該脂肪族炭化水素基を構成するメチレン基が、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。このような基の代表例としては、例えば、式(aa)のAaa1で例示したものを含む。
【0180】
は、単結合又は*−(CHs1−CO−O−(*は−O−との結合手を表し、s1は1〜6の整数を表す。)で表される基が好ましく、単結合又は*−CH−CO−O−(*は−O−との結合手を表す。)で表される基がより好ましい。
【0181】
14は、水素原子又はメチル基が好ましい。
【0182】
14、R15及びR16のアルキル基としては、炭素数が1〜6の範囲において、その具体例は、すでに例示したものを含む。ハロゲン化アルキル基としては、フッ素原子を有するアルキル基が特に好ましい。R15及びR16のハロゲン化アルキル基のうち、好ましいものとしては、トリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基、ペルフルオロプロピル基及びペルフルオロブチル基などが挙げられ、中でも、トリフルオロメチル基、ペルフルオロエチル基及びペルフルオロプロピル基が挙げられる。
【0183】
酸安定モノマー(a4−8)の好適例は、以下に示すものである。なお、R14〜R16及びAは、前記と同義である。

これらの中でも、

で示される酸安定モノマー(a4−8)がより好ましい。
【0184】
酸安定モノマー(a4−8)として、より具体的には、以下で表されるものが挙げられる。

ここに示した酸安定モノマー(a4−8)の具体例において、酸安定モノマー(a4−4)の具体例と同様に、部分構造M’を部分構造A’に置き換えたものも、酸安定モノマー(a4−8)の具体例として挙げられる。
【0185】
好ましい酸安定モノマー(a4−8)は例えば、式(a4−8−a)で表される化合物と、式(a4−8−b)で表される化合物とを反応させることにより製造することができる。式(a4−8−a)で表される化合物は例えば、特開2002−226436号公報に記載されている1−メタクリロイルオキシ−4−オキソアダマンタンなどが挙げられる。また、式(a4−8−b)で表される化合物としては例えば、ペンタフルオロプロピオン酸無水物、ヘプタフルオロ酪酸無水物及びトリフルオロ酢酸無水物などが挙げられる。この反応は、用いる式(a4−8−b)で表される化合物の沸点温度付近で加温することにより、実施することが好ましい。

[式(a4−8−a)及び式(a4−8−b)中の符号はいずれも、前記と同義である。]
【0186】
樹脂(A)が、酸安定モノマー(a4−8)に由来する構造単位を有する場合、その含有割合は、樹脂(AA)の全構造単位(100モル%)に対して、5〜90モル%の範囲から選ばれ、10〜80モル%の範囲が好ましく、20〜70モル%の範囲がさらに好ましい。
樹脂(X)がモノマー(a4−8)に由来する構造単位を有する場合、その含有割合は、樹脂(X)の全構造単位(100モル%)に対して、通常0〜90モル%であり、好ましくは10〜80モル%であり、より好ましくは20〜70モル%の範囲である。
【0187】
<樹脂(A)の製造方法>
樹脂(A)は、構造単位(a1)を誘導するモノマー[好ましくは、構造単位(a1−1)又は構造単位(a1−2)を誘導するモノマー]を共重合させたものであり、好ましくは構造単位(a1)を誘導するモノマーと、酸安定構造単位を誘導するモノマーとを共重合させたものであり、より好ましくは、構造単位(a1−1)及び/又は構造単位(a1−2)を誘導するモノマー、酸安定構造単位(a2)及び/又は酸安定構造単位(a3)を誘導するモノマーとを共重合させたものである。
樹脂(A)は、構造単位(a1)として、アダマンチル基を有する構造単位(a1−1)及びシクロへキシル基を有する構造単位(a1−2)のうち、少なくとも1種を有することが好ましく、アダマンチル基を有する構造単位(a1−1)を有することがさらに好ましい。酸安定構造単位(a2)としては、ヒドロキシアダマンチル基を有する構造単位(a2−1)を用いることが好ましい。酸安定構造単位(a3)としては、γ−ブチロラクトン環を有する酸安定構造単位(a3−1)及びγ−ブチロラクトン環とノルボルナン環との縮合環を有する酸安定構造単位(a3−2)の少なくとも1種を有することが好ましい。樹脂(A)は、上述したようなモノマーを公知の重合法(例えばラジカル重合法)に供することにより重合(共重合)させればよい。
【0188】
樹脂(A)が酸安定構造単位を有する場合、構造単位(a1)の含有割合を基準にして、酸安定性構造単位の含有割合を定めることができる。構造単位(a1)の含有割合と酸安定性構造単位の含有割合との比は、〔構造単位(a1)〕/〔酸安定構造単位〕で表して、好ましくは10〜80モル%/90〜20モル%であり、より好ましくは20〜60モル%/80〜40モル%である。
また、構造単位(a1)がアダマンタン環を有する構造単位、特に構造単位(a1−1)を含む場合、構造単位(a1)の総量(100モル%)に対して、構造単位(a1−1)の割合を15モル%以上とすることが好ましい。このようにすると、樹脂(A)を含有する本発明のレジスト組成物から得られるレジストパターンのドライエッチング耐性がより良好になる傾向がある。
【0189】
樹脂(A)の重量平均分子量は、2,500以上50,000以下であると好ましく、3,000以上30,000以下がさらに好ましい。なお、ここでいう重量平均分子量の定義及びその測定手段は、樹脂(X)の場合と同じである。
【0190】
<樹脂(X)及び樹脂(A)の組み合わせ>
本発明のレジスト組成物は、樹脂(X)と樹脂(A)とを組み合わせて用いることが好ましく、酸不安定基(a1)を有さない樹脂(X)と樹脂(A)とを組み合わせて用いることがより好ましい。
本レジスト組成物において、樹脂(X)及び樹脂(A)を組み合わせて用いる場合、両樹脂の混合質量比は、樹脂と後述する酸発生剤との相互作用により、本発明のレジスト組成物によってレジストパターンが製造できるように適宜調整する。
樹脂(X)が酸不安定基(a1)を有する場合、樹脂(A)10質量部に対して、樹脂(X)は、0.1〜100質量部が好ましく、1〜50質量部がより好ましい。樹脂(X)が酸不安定基(a1)を有さない場合、樹脂(A)10質量部に対して、樹脂(X)は、0.01〜2質量部が好ましく、0.1〜1質量部がより好ましい。
【0191】
<酸発生剤>
酸発生剤は、非イオン系とイオン系とに分類される。本レジスト組成物に含有される酸発生剤は、非イオン系酸発生剤であっても、イオン系酸発生剤であっても、これらの組み合わせでもよい。非イオン系酸発生剤には、有機ハロゲン化物、スルホネートエステル類(例えば2−ニトロベンジルエステル、芳香族スルホネート、オキシムスルホネート、N−スルホニルオキシイミド、N−スルホニルオキシイミド、スルホニルオキシケトン、ジアゾナフトキノン 4−スルホネート)、スルホン類(例えばジスルホン、ケトスルホン、スルホニルジアゾメタン)等が含まれる。イオン系酸発生剤は、オニウムカチオンを含むオニウム塩(例えば、ジアゾニウム塩、ホスホニウム塩、スルホニウム塩及びヨードニウム塩など)が代表的である。オニウム塩のアニオンとしては、スルホン酸アニオン、スルホニルイミドアニオン及びスルホニルメチドアニオンなどがある。
【0192】
酸発生剤としては、例えば特開昭63−26653号、特開昭55−164824号、特開昭62−69263号、特開昭63−146038号、特開昭63−163452号、特開昭62−153853号、特開昭63−146029号、米国特許第3,779,778号、米国特許第3,849,137号、独国特許第3914407号、欧州特許第126,712号等に記載の放射線によって酸を発生する化合物を使用できる。
【0193】
本レジスト組成物に含有される酸発生剤は、以下の式(B1)で表される酸発生剤(以下、場合により「酸発生剤(B1)」という。)が好ましい。なお、以下の説明において、この酸発生剤(B1)のうち、正電荷を有するZは「有機カチオン」といい、該有機カチオンを除去してなる負電荷を有するものを「スルホン酸アニオン」ということがある。

式(B1)中、
1及びQ2は、それぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
b1は、置換基を有していてもよい炭素数1〜17の2価の脂肪族炭化水素基を表す。該脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
Yは、置換基を有していてもよい炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子、カルボニル基又はスルホニル基に置き換わっていてもよい。
+は、有機カチオンを表す。
【0194】
1及びQ2のペルフルオロアルキル基の具体例は、すでに例示したアルキル基のうち、炭素数1〜6のアルキル基において、該アルキル基を構成する水素原子の全部がフッ素原子に置き換わったものが該当する。
酸発生剤(B1)としては、Q1及びQ2は、それぞれ独立に、トリフルオロメチル基又はフッ素原子の酸発生剤(B1)が好ましく、Q1及びQ2がともにフッ素原子である酸発生剤(B1)がより好ましい。
【0195】
b1の脂肪族炭化水素基の具体例は、すでに例示したアルカンジイル基、及び、上述の式(KA−1)〜式(KA−22)の脂環式炭化水素から水素原子を2個取り去った基などである。
【0196】
b1の脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基が、酸素原子又はカルボニル基に置き換わったものとしては、例えば、以下の式(b1−1)、式(b1−2)、式(b1−3)、式(b1−4)、式(b1−5)及び式(b1−6)のいずれかで示される基が挙げられる。なお、式(b1−1)〜式(b1−6)は、その左右を式(B1)に合わせて記載しており、左側の結合手は、C(Q1)(Q2)と結合し、右側の結合手はYと結合している。以下の式(b1−1)〜式(b1−6)の具体例も同様である。なお、*は結合手を表し、一方はYと、他方はCQの炭素原子と結合している。

式(b1−1)〜式(b1−6)中、
b2は、単結合又は炭素数1〜15の2価の脂肪族炭化水素基を表し、この脂肪族炭化水素基は脂肪族飽和炭化水素基が好ましい。
b3は、単結合又は炭素数1〜12の2価の脂肪族炭化水素基を表し、この脂肪族炭化水素基は脂肪族飽和炭化水素基が好ましい。
b4は、炭素数1〜13の2価の脂肪族炭化水素基を表し、この脂肪族炭化水素基は脂肪族飽和炭化水素基が好ましい。但しLb3及びLb4の合計炭素数の上限は13である。
b5は、炭素数1〜15の2価の脂肪族炭化水素基を表し、この脂肪族炭化水素基は脂肪族飽和炭化水素基が好ましい。
b6及びLb7は、それぞれ独立に、炭素数1〜15の2価の脂肪族炭化水素基を表し、これらの脂肪族炭化水素基は脂肪族飽和炭化水素基が好ましい。但しLb6及びLb7の合計炭素数の上限は16である。
b8は、炭素数1〜14の2価の脂肪族炭化水素基を表し、この脂肪族炭化水素基は脂肪族飽和炭化水素基が好ましい。
b9及びLb10は、それぞれ独立に、炭素数1〜11の2価の脂肪族炭化水素基を表し、これらの脂肪族炭化水素基は脂肪族飽和炭化水素基が好ましい。但しLb9及びLb10の合計炭素数の上限は12である。
本レジスト組成物に用いる酸発生剤(B1)としては、これらの中でも、式(b1−1)で表される2価の基をLb1として有する酸発生剤(B1)が好ましく、Lb2が単結合又はメチレン基である式(b1−1)で表される2価の基を、Lb1として有する酸発生剤(B1)がより好ましい。
【0197】
b1は、好ましくは式(b1−1)〜式(b1−4)のいずれかで表される基であり、さらに好ましくは式(b1−1)〜式(b1−3)のいずれかで表される基であり、さらに好ましくは式(b1−1)又は式(b1−2)であり、一層好ましくは式(b1−1)で表される2価の基である。なかでも、Lb2が単結合又はメチレン基である式(b1−1)で表される2価の基がより好ましい。
【0198】
式(b1−1)で表される2価の基は例えば、以下のものが挙げられる。

【0199】
式(b1−2)で表される2価の基は例えば、以下のものが挙げられる。

【0200】
式(b1−3)で表される2価の基は例えば、以下のものが挙げられる。

【0201】
式(b1−4)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。

【0202】
式(b1−5)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。

【0203】
式(b1−6)で表される2価の基としては、例えば以下のものが挙げられる。

【0204】
b1の脂肪族炭化水素基における置換基は、例えば、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、カルボキシ基、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基、炭素数7〜21のアラルキル基、炭素数2〜4のアシル基及びグリシジルオキシ基等が挙げられる。芳香族炭化水素基、アラルキル基及びアシル基の具体例はすでに説明したとおりである。
【0205】
Yは置換基を有していてもよい炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基を表す。該脂肪族炭化水素基のうち、Yはアルキル基及び脂環式炭化水素基が好ましい。
アルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、1−メチルエチル基(イソプロピル基)、1,1−ジメチルエチル基(tert−ブチル基)、2,2−ジメチルエチル基、プロピル基、1−メチルプロピル基、2,2−ジメチルプロピル基、1−エチルプロピル基、ブチル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−プロピルブチル基、ペンチル基、1−メチルペンチル基、ヘキシル基、1,4−ジメチルヘキシル基、ヘプチル基、1−メチルヘプチル基、オクチル基、メチルオクチル基、メチルノニル基、2−エチルヘキシル基、ノニル基、デシル基、ウンデシル基、ドデシル基等の直鎖又は分岐のアルキル基等が挙げられる。
脂環式炭化水素基としては、式(KA−1)〜式(KA−22)で表される基から水素原子を2個取り去った基等が挙げられる。
なかでも、Yは、炭素数1〜6のアルキル基及び炭素数3〜12の脂環式炭化水素基が好ましく、炭素数3〜12の脂環式炭化水素基がより好ましい。
Yの脂肪族炭化水素基が置換基を有する場合、該置換基は例えば、ハロゲン原子(但し、フッ素原子を除く)、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基、炭素数7〜21のアラルキル基、炭素数2〜4のアシル基、グリシジルオキシ基又は−(CH2j2−O−CO−Rb1で表される基(式中、Rb1は、炭素数1〜16の炭化水素基を表す。j2は、0〜4の整数を表す。)などが挙げられる。ここでいう芳香族炭化水素基及びアラルキル基には、例えば、アルキル基、ハロゲン原子又はヒドロキシ基をさらに有していてもよい。
Yの脂肪族炭化水素基を構成するメチレン基は、酸素原子、スルホニル基及びカルボニル基からなる群より選ばれる基(2価の基)に置き換わっていてもよい。脂環式炭化水素基を構成するメチレン基が、酸素原子、スルホニル基又はカルボニル基に置き換わった基としては例えば、環状エーテル基(脂環式炭化水素基を構成するメチレン基の1つ又は2つが酸素原子に置き換わった基)、環状ケトン基(脂環式炭化水素基を構成するメチレン基の1つ又は2つがカルボニル基に置き換わった基)、スルトン環基(酸安定モノマー(a4−4)で説明したとおり、脂環式炭化水素基を構成するメチレン基のうち隣り合う2つのメチレン基が、それぞれ、酸素原子及びスルホニル基に置き換わった基)及びラクトン環基(脂環式炭化水素基を構成するメチレン基のうち隣り合う2つのメチレン基が、それぞれ、酸素原子及びカルボニル基に置き換わった基)などが挙げられる。
【0206】
Yの脂環式炭化水素基の好ましい基は、以下に示す式(Y1)、式(Y2)、式(Y3)、式(Y4)及び式(Y5)のいずれかで表される脂環式炭化水素基であり、これらのうち、式(Y1)、式(Y2)、式(Y3)及び式(Y5)のいずれかで表される脂環式炭化水素基が、より好ましく、式(Y1)及び式(Y2)のいずれかで表される脂環式炭化水素基がさらに好ましい。該脂環式炭化水素基を構成する水素原子は、置換基に置換されていてもよい。

【0207】
置換基を有する脂環式炭化水素基の具体例は例えば、以下のものである。

【0208】
なお、Yがアルキル基であり、かつLb1が炭素数1〜17の2価の脂肪族炭化水素基である場合、Yと結合する該2価の脂肪族炭化水素基のメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置き換わっていることが好ましい。この場合、Yのアルキル基を構成するメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基で置き換わらない。
【0209】
Yの脂環式炭化水素基は、置換基を有していてもよい炭素数3〜18の脂環式炭化水素基であると好ましく、式(Y1)及び式(Y2)で示したようにアダマンタン環を有する基であるとより好ましい。置換基を有する場合、該置換基はヒドロキシ基が好ましい。すなわち、置換基を有する脂環式炭化水素基としては、ヒドロキシアダマンチル基がYとして好ましい。
【0210】
スルホン酸アニオンの好適例を具体的に示すと、式(b1−1−1)、式(b1−1−2)、式(b1−1−3)、式(b1−1−4)、式(b1−1−5)、式(b1−1−6)、式(b1−1−7)、式(b1−1−8)及び式(b1−1−9)〔以下、「式(b1−1−1)〜式(b1−1−1−9)」のように表記する。〕で表されるスルホン酸アニオンを挙げることができる。この式(b1−1−1)〜式(b1−1−9)のいずれかで表されるスルホン酸アニオンにおいて、Lb1は式(b1−1)で表される基が好ましい。また、Rb2及びRb3は、それぞれ独立に、Yの脂肪族炭化水素基に任意に有することもある置換基として定義したものであり、炭素数1〜4の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチル基がより好ましい。

【0211】
式(b1−1−1)〜式(b1−1−9)のいずれかで表されるスルホン酸アニオンの具体例は例えば、特開2010−204646号公報に記載されているスルホン酸アニオンを挙げることができる。
【0212】
好ましいスルホン酸アニオンとして、Lb1が、式(b1−1)で表される基であり、Yが、式(Y1)又は式(Y2)で表される脂環式炭化水素基であるスルホン酸アニオンである。Yが無置換の脂環式炭化水素基であるスルホン酸アニオンとしては、以下の式(b1−s−0)〜式(b1−s−9)のいずれかで表されるものが挙げられる。

【0213】
Yがヒドロキシ基を有する脂環式炭化水素基であるスルホン酸アニオンとしては、以下の式(b1−s−10)〜式(b1−s−18)のいずれかで表されるものが挙げられる。

【0214】
Yが環状ケトン基であるスルホン酸アニオンとしては、以下の式(b1−s−19)〜式(b1−s−29)のいずれかで表されるものが挙げられる。



【0215】
Yが芳香族基を有する脂環式炭化水素基であるスルホン酸アニオンとしては、以下の式(b1−s−30)〜式(b1−s−35)のいずれかで表されるものが挙げられる。

【0216】
Yが、前記ラクトン環基又は前記スルホン酸環基であるスルホン酸アニオンとしては、以下の式(b1−s−36)〜式(b1−s−41)のいずれかで表されるものが挙げられる。

【0217】
酸発生剤(B1)中の有機カチオン(Z+)は例えば、有機スルホニウムカチオン、有機ヨードニウムカチオン、有機アンモニウムカチオン、有機ベンゾチアゾリウムカチオン及び有機ホスホニウムカチオンなどの有機オニウムカチオンが挙げられる。これらの中でも、有機スルホニウムカチオン及び有機ヨードニウムカチオンが好ましく、有機スルホニウムカチオンがより好ましく、さらに好ましくは、以下の式(b2−1)、式(b2−2)、式(b2−3)及び式(b2−4)〔以下、「式(b2−1)〜式(b2−4)」のように表記する。〕のいずれかで表される有機カチオンである。有機ヨードニウムカチオンは、好ましくは式(b2−2)で表される有機カチオンである。

【0218】
式(b2−1)〜式(b2−4)において、
b4、Rb5及びRb6は、それぞれ独立に、炭素数1〜30の炭化水素基を表し、この炭化水素基のうちでは、炭素数1〜30のアルキル基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基及び炭素数6〜18の芳香族炭化水素基が好ましい。前記アルキル基は、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルコキシ基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を有していてもよく、前記脂環式炭化水素基は、ハロゲン原子、炭素数2〜4のアシル基又はグリシジルオキシ基を有していてもよく、前記芳香族炭化水素基は、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜18の飽和環状炭化水素基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を有していてもよい。
b7及びRb8は、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表す。
m2及びn2は、それぞれ独立に0〜5の整数を表す。
b9及びRb10は、それぞれ独立に、炭素数1〜18のアルキル基又は炭素数3〜18の脂環式炭化水素基を表す。
b11は、水素原子、炭素数1〜18のアルキル基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜18の芳香族炭化水素基を表す。
b9、Rb10及びRb11は、それぞれ独立に、脂肪族炭化水素基であり、この脂肪族炭化水素基がアルキル基である場合、その炭素数は1〜12であると好ましく、この脂肪族炭化水素基が脂環式炭化水素基である場合、その炭素数は3〜18であると好ましく、4〜12であるとさらに好ましい。
b12は、炭素数1〜18の炭化水素基を表す。この炭化水素基のうち、芳香族炭化水素基は、炭素数1〜12のアルキル基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数3〜18の脂環式炭化水素基又は炭素数1〜12のアルキルカルボニルオキシ基を有していてもよい。
b9とRb10とは、互いに結合して3員環〜12員環(好ましくは3員環〜7員環)を形成していてもよく、これらの3員環〜12員環(好ましくは3員環〜7員環)は脂肪族環又は、該脂肪族環に含まれるメチレン基が、酸素原子、硫黄原子又はカルボニル基に置き換わっている環である。
b9とRb10とが結合して形成する環としては例えば、チオラン−1−イウム環(テトラヒドロチオフェニウム環)、チアン−1−イウム環及び1,4−オキサチアン−4−イウム環などが挙げられる。
b11とRb12とは、互いに結合して3員環〜12員環(好ましくは3員環〜7員環)を形成していてもよく、これらの3員環〜12員環(好ましくは3員環〜7員環)は脂肪族環又は、該脂肪族環に含まれるメチレン基が、酸素原子、硫黄原子又はカルボニル基に置き換わっている環である。
b11とRb12とが結合して形成する環としては例えば、オキソシクロヘプタン環、オキソシクロヘキサン環、オキソノルボルナン環及びオキソアダマンタン環などが挙げられる。
【0219】
b13、Rb14、Rb15、Rb16、Rb17及びRb18は、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表す。
b11は、酸素原子又は硫黄原子を表す。
o2、p2、s2及びt2は、それぞれ独立に、0〜5の整数を表す。
q2及びr2は、それぞれ独立に、0〜4の整数を表す。
u2は0又は1を表す。
o2が2以上であるとき、複数のRb13は同一でも異なっていてもよく、p2が2以上であるとき、複数のRb14は同一でも異なっていてもよく、s2が2以上であるとき、複数のRb15は同一でも異なっていてもよく、t2が2以上であるとき、複数のRb18は同一でも異なっていてもよい。
【0220】
b12のアルキルカルボニルオキシ基としては、すでに例示したアシル基と酸素原子とが結合したものである。
【0221】
b9〜Rb12のアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基及び2−エチルヘキシル基などである。
b9〜Rb11の脂環式炭化水素基としては、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロデシル基、2−アルキルアダマンタン−2−イル基、1−(アダマンタン−1−イル)−1−アルキル基及びイソボルニル基などである。
b12の芳香族炭化水素基の好適例は、フェニル基、4−メチルフェニル基、4−エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−シクロへキシルフェニル基、4−メトキシフェニル基、ビフェニリル基及びナフチル基などである。
b12の芳香族炭化水素基とアルキル基が結合したものは、典型的にはアラルキル基である。
【0222】
式(b2−1)〜式(b2−4)で表される有機カチオンの具体例は、特開2010−204646号公報に記載されたものを挙げることができる。
【0223】
例示した有機カチオンの中でも、カチオン(b2−1)が好ましく、以下の式(b2−1−1)で表される有機カチオン〔以下、「カチオン(b2−1−1)」という。〕がより好ましく、トリフェニルスルホニウムカチオン(式(b2−1−1)中、v2=w2=x2=0である。)又はトリトリルスルホニウムカチオン(式(b2−1−1)中、v2=w2=x2=1であり、Rb19、Rb20及びRb21がいずれもメチル基である。)がさらに好ましい。

式(b2−1−1)中、
b19、Rb20及びRb21は、それぞれ独立に、ハロゲン原子(より好ましくはフッ素原子)、ヒドロキシ基、炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基又は炭素数1〜12のアルコキシ基を表す。
v2、w2及びx2は、それぞれ独立に0〜5の整数(好ましくは0又は1)を表す。
v2が2以上のとき、複数のRb19は同一又は相異なり、w2が2以上のとき、複数のRb20は同一又は相異なり、x2が2以上のとき、複数のRb21は同一又は相異なる。
この脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜12のアルキル基及び炭素数4〜18の脂環式炭化水素基が好ましい。該脂肪族炭化水素基は、置換基として、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルコキシ基、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基、炭素数2〜4のアシル基又はグリシジルオキシ基を有していてもよい。
v2、w2及びx2は、それぞれ独立に0〜5の整数(好ましくは0又は1)を表す。
v2が2以上のとき、複数のRb19は同一でも異なっていてもよく、w2が2以上のとき、複数のRb20は同一でも異なっていてもよく、x2が2以上のとき、複数のRb21は同一でも異なっていてもよく。
なかでも、Rb19、Rb20及びRb21は、それぞれ独立に、好ましくは、ハロゲン原子(より好ましくはフッ素原子)、ヒドロキシ基、炭素数1〜12のアルキル基、又は炭素数1〜12のアルコキシ基である。
【0224】
好適な有機カチオンであるカチオン(b2−1−1)の具体例を示す。

【0225】

【0226】

【0227】

【0228】
また、有機カチオンとしては、式(b2−3)で表される有機カチオンのうち、以下の有機カチオンも好適なものとして挙げることができる。

【0229】
酸発生剤(B1)は該スルホン酸アニオン及び該有機カチオンの組合せである。該スルホン酸アニオンと該有機カチオンとは任意に組み合わせることができる。該スルホン酸アニオン及び該有機カチオンの組み合わせを表2に示す。なお、表2において、式(b1−s−1)で表されるスルホン酸アニオンなどを、その式番号に応じて、「(b1−s−1)」などと表し、式(b2−c−1)で表される有機カチオンなどを、その式番号に応じて、「(b2−c−1)」などと表す。
【0230】
【表2】

【0231】
酸発生剤(B1)としては、さらに好ましくは、以下の式(B1−1)、式(B1−2)、式(B1−3)、式(B1−4)、式(B1−5)、式(B1−6)、式(B1−7)、式(B1−8)、式(B1−9)、式(B1−10)、式(B1−11)、式(B1−12)、式(B1−13)、式(B1−14)、式(B1−15)、式(B1−16)及び式(B1−17)のいずれかで表されるものである。中でも、式(B1−2)、式(B1−3)、式(B1−6)、式(B1−7)、式(B1−11)、式(B1−12)、式(B1−13)及び(B1−14)のいずれかで表されるものがより好ましい。また、すでに述べたように、Yが置換基を有していてもよい脂環式炭化水素基が好ましいので、この点では、式(B1−2)、式(B1−3)、(B1−6)、式(B1−7)及び式(B1−11)のいずれかで表されるものがより好ましい。
【0232】

【0233】

【0234】

【0235】

【0236】
酸発生剤(B)は、酸発生剤(B1)とは異なる酸発生剤を含んでいてもよい。この場合は、酸発生剤(B)の総量における酸発生剤(B1)の含有割合は、70質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましい。ただし、本発明のレジスト組成物における酸発生剤(B)は、実質的に酸発生剤(B1)のみであることがさらに好ましい。
【0237】
<塩基性化合物(C)>
「塩基性化合物」とは、酸を捕捉するという特性を有する化合物、特に、既に説明した酸発生剤から発生する酸を捕捉するという特性を有する化合物を意味する。
【0238】
塩基性化合物(C)は、好ましくは塩基性の含窒素有機化合物であり、例えばアミン及び、塩基性のアンモニウム塩が挙げられる。アミンとしては、脂肪族アミン及び芳香族アミンのいずれでもよい。脂肪族アミンとしては、第一級アミン、第二級アミン及び第三級アミンが挙げられる。塩基性化合物(C)として、好ましくは、式(C1)で表される化合物〜式(C8)で表される化合物が挙げられ、より好ましくは式(C1−1)で表される化合物が挙げられる。

[式(C1)中、
c1、Rc2及びRc3は、それぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素基又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表し、該アルキル基及び該脂環式炭化水素基に含まれる水素原子は、ヒドロキシ基、アミノ基又は炭素数1〜6のアルコキシ基で置換されていてもよく、該芳香族炭化水素基に含まれる水素原子は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基で置換されていてもよい。]
【0239】

[式(C1−1)中、
c2及びRc3は、前記と同義である。
c4は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシ基、炭素数5〜10の脂環式炭化水素又は炭素数6〜10の芳香族炭化水素基を表す。
m3は0〜3の整数を表し、m3が2以上のとき、複数のRc4は、それぞれ独立である。]
【0240】

[式(C2)、式(C3)及び式(C4)中、
c5、Rc6、Rc7及びRc8は、それぞれ独立に、Rc1と同じ意味を表す。
c9は、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数3〜6の脂環式炭化水素基又は炭素数2〜6のアルカノイル基を表す。
n3は0〜8の整数を表し、n3が2以上のとき、複数のRc9は、それぞれ独立である。]
アルカノイル基としては、アセチル基、2−メチルアセチル基、2,2−ジメチルアセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、ペンタノイル基、2,2−ジメチルプロピオニル基等が挙げられる。
【0241】

[式(C5)及び式(C6)中、
c10、Rc11、Rc12、Rc13及びRc16は、それぞれ独立に、Rc1と同じ意味を表す。
c14、Rc15及びRc17は、それぞれ独立に、Rc4と同じ意味を表す。
o3及びp3は、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、o3が2以上であるとき、複数のRc14は同一又は相異なり、p3が2以上であるとき、複数のRc15は同一又は相異なる。
c1は、炭素数1〜6のアルカンジイル基、−CO−、−C(=NH)−、−S−又はこれらを組合せた2価の基を表す。]
【0242】

[式(C7)及び式(C8)中、
c18、Rc19及びRc20は、それぞれ独立に、Rc4と同じ意味を表す。
q3、r3及びs3は、それぞれ独立に0〜3の整数を表し、q3が2以上であるとき、複数のRc18は同一又は相異なり、r3が2以上であるとき、複数のRc19は同一又は相異なり、s3が2以上であるとき、複数のRc20は同一又は相異なる。
c2は、単結合又は炭素数1〜6のアルカンジイル基、−CO−、−C(=NH)−、−S−又はこれらを組合せた2価の基を表す。]
【0243】
式(C1)で表される化合物としては、1−ナフチルアミン、2−ナフチルアミン、アニリン、ジイソプロピルアニリン、2−,3−又は4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、N−メチルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、ジフェニルアミン、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、メチルジブチルアミン、メチルジペンチルアミン、メチルジヘキシルアミン、メチルジシクロヘキシルアミン、メチルジヘプチルアミン、メチルジオクチルアミン、メチルジノニルアミン、メチルジデシルアミン、エチルジブチルアミン、エチルジペンチルアミン、エチルジヘキシルアミン、エチルジヘプチルアミン、エチルジオクチルアミン、エチルジノニルアミン、エチルジデシルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリス〔2−(2−メトキシエトキシ)エチル〕アミン、トリイソプロパノールアミン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン及び4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタンなどが挙げられ、
これらの中でも、ジイソプロピルアニリンが好ましく、2,6−ジイソプロピルアニリン特に好ましい。
【0244】
式(C2)で表される化合物としては、ピペラジンなどが挙げられる。
式(C3)で表される化合物としては、モルホリンなどが挙げられる。
式(C4)で表される化合物としては、ピペリジン及び特開平11−52575号公報に記載されているピペリジン骨格を有するヒンダードアミン化合物などが挙げられる。
式(C5)で表される化合物としては、2,2’−メチレンビスアニリンなどが挙げられる。
式(C6)で表される化合物としては、イミダゾール、4−メチルイミダゾールなどが挙げられる。
式(C7)で表される化合物としては、ピリジン、4−メチルピリジンなどが挙げられる。
式(C8)で表される化合物としては、1,2−ジ(2−ピリジル)エタン、1,2−ジ(4−ピリジル)エタン、1,2−ジ(2−ピリジル)エテン、1,2−ジ(4−ピリジル)エテン、1,3−ジ(4−ピリジル)プロパン、1,2−ジ(4−ピリジルオキシ)エタン、ジ(2−ピリジル)ケトン、4,4’−ジピリジルスルフィド、4,4’−ジピリジルジスルフィド、2,2’−ジピリジルアミン、2,2’−ジピコリルアミン及びビピリジンなどが挙げられる。
【0245】
アンモニウム塩としては、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトライソプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラヘキシルアンモニウムヒドロキシド、テトラオクチルアンモニウムヒドロキシド、フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、3−(トリフルオロメチル)フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ブチルアンモニウムサリチラート及びコリンなどが挙げられる。
【0246】
<溶剤(D)>
溶剤(D)は、用いる樹脂(X)などの種類及びその量と、酸発生剤の種類及びその量などに応じ、さらに後述するレジストパターンの製造において、基板上に本レジスト組成物を塗布する際の塗布性が良好となるという点から適宜、最適なものを選ぶことができる。
【0247】
好適な溶剤(D)の例としては、エチルセロソルブアセテート、メチルセロソルブアセテート及びプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなどのグリコールエーテルエステル類;プロピレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテル類;乳酸エチル、酢酸ブチル、酢酸アミル及びピルビン酸エチルなどのエステル類;アセトン、メチルイソブチルケトン、2−ヘプタノン及びシクロヘキサノンなどのケトン類;γ−ブチロラクトンなどの環状エステル類を挙げることができる。溶剤(D)は、1種のみを使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0248】
<その他の成分>
本レジスト組成物は、必要に応じて、上記以外の構成成分(以下「成分(F)」という場合がある。)を含有していてもよい。成分(F)としては、本技術分野で広く用いられている添加剤、例えば、増感剤、溶解抑止剤、界面活性剤、安定剤及び染料などが挙げられる。
【0249】
<レジスト組成物の調製方法>
本レジスト組成物は、樹脂〔特に、樹脂(A)及び樹脂(X)の組み合わせ〕及び酸発生剤、並びに、必要に応じて用いられる塩基性化合物(C)、溶剤(D)及び成分(F)を混合することにより製造することが出来る。混合順は任意であり、特に限定されるものではない。混合する際の温度は、10〜40℃の範囲から、樹脂(X)などの種類や樹脂(X)などの溶剤(D)に対する溶解度等に応じて適切な温度範囲を選ぶことができる。混合時間は、混合温度に応じて、0.5〜24時間の中から適切な時間を選ぶことができる。なお、混合手段も特に制限はなく、攪拌混合などを用いることができる。
上記のように混合した後は、孔径0.01〜0.2μm程度のフィルターを用いてろ過することが好ましい。
【0250】
本発明のレジスト組成物に溶剤(D)を用いる場合、その含有割合は、樹脂(X)の種類などに応じて適宜調節できる。溶剤(D)の含有量は、本レジスト組成物総質量に対して、好ましくは90質量%以上、より好ましくは92質量%以上であり、さらに好ましくは94質量%以上であり、好ましくは99.9質量%以下であり、より好ましくは99質量%以下である。溶剤(D)の含有割合が90質量%である場合、該本レジスト組成物総質量に対する固形分の含有量は10質量%に該当する。「固形分」とは、本レジスト組成物全量から溶剤(D)を除いたものをいう。この固形分は、液体クロマトグラフィー及びガスクロマトグラフィーなどの公知の分析手段で測定できる。このような含有割合で溶剤(D)を含有する本レジスト組成物は、例えば後述するレジストパターンの製造方法において、厚み30〜300nm程度の組成物層を形成可能な薄膜レジストとして適している。
この溶剤(D)の含有割合は、本レジスト組成物を調製する際の溶剤(D)の使用量により制御可能であり、本レジスト組成物を調製した後には、該本レジスト組成物を、例えば液体クロマトグラフィー又はガスクロマトグラフィーなどの公知の分析手段に供して求めることもできる。
【0251】
本レジスト組成物では、樹脂(樹脂(A)及び樹脂(X))の合計含有割合は、本レジスト組成物の固形分の総質量に対して、80質量%以上、99質量%以下であると好ましい。
【0252】
本レジスト組成物に対する酸発生剤の含有質量は、樹脂の合計含有量100質量部に対して、好ましくは1質量部以上であり、より好ましくは3質量部以上、好ましくは30質量部以下であり、より好ましくは25質量部以下である。
【0253】
本レジスト組成物に塩基性化合物(C)を用いる場合、その含有割合は、該本レジスト組成物の固形分の総質量に対して、0.01〜1質量%程度であると好ましい。
【0254】
これらの樹脂〔樹脂(A)及び樹脂(X)、又は樹脂(X)〕、酸発生剤及び溶剤(D)、並びに必要に応じて用いられる塩基性化合物(C)の各々の好適な含有割合も、本レジスト組成物を調製する際の各々の使用量により制御可能である。本レジスト組成物を調製した後には、該本レジスト組成物を、例えばガスクロマトグラフィー、液体クロマトグラフィー等の公知の分析手段に供して求めることができる。
【0255】
なお、成分(F)を本レジスト組成物に用いる場合には、当該成分(F)の種類に応じて、適切な含有割合を調節することもできる。
【0256】
<レジストパターンの製造方法>
本発明のレジストパターンの製造方法は、
(1)本レジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程、
(3)組成物層を露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程及び
(5)加熱後の組成物層を現像する工程を含む。以下、ここに示す工程の各々を、「工程(1)」〜「工程(5)」のようにいう。
【0257】
工程(1)における本レジスト組成物の基板上への塗布は、スピンコーターなど、半導体の微細加工のレジスト材料塗布用として広く用いられている塗布装置によって行うことができる。塗布装置の条件(塗布条件)を種々調節することで、該塗布膜の膜厚は調整可能であり、適切な予備実験などを行うことにより、所望の膜厚の塗布膜になるように塗布条件を選ぶことができる。本レジスト組成物を塗布する前の基板は、微細加工を実施しようとする種々のものを選ぶことができる。なお、本レジスト組成物を塗布する前に、基板を洗浄したり、反射防止膜を形成してもよい。反射防止膜の形成には例えば、市販の有機反射防止膜用組成物を用いることができる。
【0258】
乾燥は、例えば、ホットプレートなどの加熱装置を用いた加熱手段、又は減圧装置を用いた減圧手段により、或いはこれらの手段を組み合わせて、該塗布膜から溶剤(D)を蒸発させることにより行われる(いわゆるプリベーク)。加熱手段や減圧手段の条件は、本レジスト組成物に含有される溶剤(D)の種類等に応じて調整されるが、例えばホットプレートを用いる加熱手段(ホットプレート加熱)では、該ホットプレートの表面温度を50〜200℃程度の範囲にしておけばよい。また、減圧手段では、適当な減圧機の中に、塗布膜が形成された基板を封入した後、該減圧機の内部圧力を1〜1.0×10Pa程度にすればよい。塗布膜から溶剤(D)を除去することにより、該基板上には組成物層が形成される。
【0259】
得られた組成物層を、好ましくは、露光機を用いて露光する。この際には、微細加工を実施しようとする所望のパターンに応じたマスクを介して露光が行われる。露光機の露光光源としては、KrFエキシマレーザ(波長248nm)、ArFエキシマレーザ(波長193nm)、F2レーザ(波長157nm)のような紫外域のレーザ光を放射するもの、固体レーザ光源(YAG又は半導体レーザ等)からのレーザ光を波長変換して遠紫外域または真空紫外域の高調波レーザ光を放射するものなど、種々のものを用いることができる。また、該露光機は液浸露光機であってもよい。
上述のとおり、マスクを介して露光することにより、該組成物層には露光された部分(露光部)及び露光されていない部分(未露光部)が生じる。露光部の組成物層では該組成物層に含まれる酸発生剤が露光エネルギーを受けて酸を発生し、さらに発生した酸の作用により、樹脂(A)〔又は樹脂(X)〕にある酸不安定基が脱保護反応を生じ、結果として露光部の組成物層にある樹脂(A)〔又は樹脂(X)〕はアルカリ水溶液に可溶なものとなる。一方、未露光部では露光エネルギーを受けていないため、樹脂(A)〔又は樹脂(X)〕はアルカリ水溶液に対して不溶又は難溶のままとなる。このように、露光部にある組成物層と未露光部にある組成物層とは、アルカリ水溶液に対する溶解性が著しく相違することとなる。
【0260】
露光後の組成物層を、露光部で生じうる脱保護基反応を促進するために加熱処理(いわゆるポストエキスポージャーベーク)する。加熱処理はホットプレートを用いる加熱手段などが採用される。ホットプレートの表面温度は50〜200℃程度が好ましく、70〜150℃程度がより好ましい。
【0261】
加熱後の組成物層を、好ましくは、現像装置により現像する。ここでいう現像とは、加熱後の組成物層をアルカリ水溶液と接触させることにより、露光部の組成物層を該アルカリ水溶液に溶解させ、未露光部の組成物層を基板上に残すことにより、当該基板上にレジストパターンが製造される。
ここで用いられるアルカリ水溶液は、「アルカリ現像液」と称されて、本技術分野で用いられるものを用いることができる。該アルカリ水溶液としては例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの水溶液や(2−ヒドロキシエチル)トリメチルアンモニウムヒドロキシド(通称コリン)の水溶液などが挙げられる。
【0262】
現像後、好ましくは超純水等でリンス処理を行い、さらに基板及びレジストパターン上に残存している水分を除去する。
【0263】
以上のような工程(1)〜工程(5)を含むレジストパターン製造方法によれば、本レジスト組成物は、優れたCD均一性(CDU)のレジストパターンを製造できる。
【0264】
<用途>
本レジスト組成物は、KrFエキシマレーザ露光用のレジスト組成物、ArFエキシマレーザ露光用のレジスト組成物、電子線(EB)用のレジスト組成物又はEUV露光用のレジスト組成物、さらに液浸露光用のレジスト組成物として好適である。
工に利用できる。
【実施例】
【0265】
実施例を挙げて、本発明をさらに具体的に説明する。例中、含有量ないし使用量を表す「%」及び「部」は、特記しないかぎり質量基準である。なお、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーの分析条件は下記のとおりである。
カラム:TSKgel Multipore HXL-M x 3+guardcolumn(東ソー社製)
溶離液:テトラヒドロフラン
流量:1.0mL/min
検出器:RI検出器
カラム温度:40℃
注入量:100μl
分子量標準:標準ポリスチレン(東ソー社製)
【0266】
樹脂の合成
樹脂の合成において使用した化合物(モノマー)を下記に示す。

以下、これらのモノマーをその式番号に応じて、「モノマー(M−A)」〜「モノマー(M−Q)」という。
【0267】
合成例1〔樹脂X1の合成〕
モノマーとして、モノマー(M−G)及びモノマー(M−F)を用い、そのモル比(モノマー(M−E):モノマー(M−G))が70:30となるように混合し、全モノマー量の1.2質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、0.9mol%及び2.7mol%添加し、72℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のn−ヘプタンに注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過し、重量平均分子量1.2×10の樹脂X1(共重合体)を収率78%で得た。この樹脂X1は、以下の構造単位を有するものである。

【0268】
合成例2〔樹脂X2の合成〕
モノマーとして、モノマー(M−G)及びモノマー(M−A)を用い、そのモル比(モノマー(M−G):モノマー(M−A))が70:30となるように混合し、全モノマー量の1.2質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、0.9mol%及び2.7mol%添加し、これらを72℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のn−ヘプタンに注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過し、重量平均分子量1.1×10の樹脂X2(共重合体)を収率80%で得た。この樹脂X2は、以下の構造単位を有するものである。

【0269】
合成例3〔樹脂X3の合成〕
モノマーとして、モノマー(M−G)及びモノマー(M−I)を用い、そのモル比(モノマー(M−G):モノマー(M−I))が70:30となるように混合し、全モノマー量の1.2質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、0.9mol%及び2.7mol%添加し、これらを72℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のn−ヘプタンに注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過し、重量平均分子量1.2×10の樹脂X3(共重合体)を収率78%で得た。この樹脂X3は、以下の構造単位を有するものである。

【0270】
合成例4〔樹脂X4の合成〕
モノマーとして、モノマー(M−G)及びモノマー(M−J)を用い、そのモル比(モノマー(M−G):モノマー(M−J))が70:30となるように混合し、全モノマー量の1.2質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、0.9mol%及び2.7mol%添加し、これらを72℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のn−ヘプタンに注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過し、重量平均分子量1.2×10の樹脂X4(共重合体)を収率78%で得た。この樹脂X4は、以下の構造単位を有するものである。

【0271】
合成例5〔樹脂X5の合成〕
モノマーとして、モノマー(M−G)及びモノマー(M−K)を用い、そのモル比(モノマー(M−G):モノマー(M−K))が70:30となるように混合し、全モノマー量の1.2質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、0.9mol%及び2.7mol%添加し、これらを72℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のn−ヘプタンに注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過し、重量平均分子量1.4×10の樹脂X5(共重合体)を収率80%で得た。この樹脂X5は、以下の構造単位を有するものである。

【0272】
合成例6〔樹脂X6の合成〕
モノマーとして、モノマー(M−G)及びモノマー(M−L)を用い、そのモル比(モノマー(M−G):モノマー(M−L))が70:30となるように混合し、全モノマー量の1.2質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、0.9mol%及び2.7mol%添加し、これらを72℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のn−ヘプタンに注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過し、重量平均分子量1.5×10の樹脂X6(共重合体)を収率75%で得た。この樹脂X6は、以下の構造単位を有するものである。

【0273】
合成例7〔樹脂X7の合成〕
モノマーとして、モノマー(M−G)及びモノマー(M−I)を用い、そのモル比(モノマー(M−G):モノマー(M−I))が50:50となるように混合し、全モノマー量の1.2質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、0.9mol%及び2.7mol%添加し、これらを72℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のn−ヘプタンに注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過し、重量平均分子量1.4×10の樹脂X7(共重合体)を収率80%で得た。この樹脂X7は、以下の構造単位を有するものである。

【0274】
合成例8〔樹脂X8の合成〕
モノマーとして、モノマー(M−G)及びモノマー(M−L)を用い、そのモル比(モノマー(M−G):モノマー(M−L))が50:50となるように混合し、全モノマー量の1.2質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、0.9mol%及び2.7mol%添加し、これらを72℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のn−ヘプタンに注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過し、重量平均分子量1.8×10の樹脂X8(共重合体)を収率80%で得た。この樹脂X8は、以下の構造単位を有するものである。

【0275】
合成例9〔樹脂A1の合成〕
モノマーとして、モノマー(M−M)、モノマー(M−N)、モノマー(M−D)、モノマー(M−O)及びモノマー(M−P)を用い、そのモル比(モノマー(M−M):モノマー(M−N):モノマー(M−D):モノマー(M−O):モノマー(M−P))が50:5:4:33:8となるように混合し、全モノマー量の1.2質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1.8mol%及び5.4mol%添加し、これらを75℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量4.7×10の樹脂A1(共重合体)を収率71%で得た。この樹脂A1は、以下の構造単位を有するものである。

【0276】
合成例10〔樹脂A2の合成〕
モノマーとして、モノマー(M−C)、モノマー(M−D)、モノマー(M−E)及びモノマー(M−F)を用い、そのモル比(モノマー(M−C):モノマー(M−D):モノマー(M−E):モノマー(M−F))が、25:25:40:10となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1mol%及び3mol%添加し、これらを77℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量7.6×10の樹脂A2(共重合体)を収率71%で得た。この樹脂A2は、以下の構造単位を有するものである。

【0277】
合成例11〔樹脂A3の合成〕
モノマー(M)、モノマー(N)、モノマー(D)、モノマー(P)及びモノマー(O)を、そのモル比〔モノマー(M):モノマー(N):モノマー(D):モノマー(P):モノマー(O)〕が、30:14:6:30:20の割合となるように混合し、さらに、このモノマー混合物に、全モノマーの合計質量に対して、1.5質量倍のジオキサンを混合した。得られた混合物に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルとアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)とを全モノマーの合計モル数に対して、それぞれ、1mol%と3mol%となるように添加し、これを73℃で約5時間加熱することで重合を行った。その後、重合反応液を、大量のメタノールと水との混合溶媒(質量比メタノール:水=4:1)に注いで、樹脂を沈殿させた。この樹脂をろ過・回収し、再度、ジオキサンに溶解させ、大量のメタノールと水との混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、沈殿した樹脂をろ過・回収するという操作を2回行うことにより再沈殿精製し、重量平均分子量が約7.9×10の樹脂A2(共重合体)を収率60%で得た。この樹脂A3は、以下の構造単位を有するものである。

【0278】
合成例12〔樹脂A4の合成〕
モノマー(M)、モノマー(N)、モノマー(D)、モノマー(P)及びモノマー(O)を、そのモル比〔モノマー(M):モノマー(N):モノマー(D):モノマー(P):モノマー(O)〕が、30:14:6:30:20の割合となるように混合し、さらに、このモノマー混合物に、全モノマーの合計質量に対して、1.5質量倍のジオキサンを混合した。得られた混合物に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリルとアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)とを全モノマーの合計モル数に対して、それぞれ、1mol%と3mol%となるように添加し、これを73℃で約5時間加熱することで重合を行った。その後、重合反応液を、大量のメタノールと水との混合溶媒(質量比メタノール:水=4:1)に注いで、樹脂を沈殿させた。この樹脂をろ過・回収し、再度、ジオキサンに溶解させ、大量のメタノールと水との混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、沈殿した樹脂をろ過・回収するという操作を2回行うことにより再沈殿精製し、重量平均分子量が約7.8×10の樹脂A4(共重合体)を収率62%で得た。この樹脂A4は、以下の構造単位を有するものである。

【0279】
合成例13〔樹脂Z1の合成〕
モノマーとして、モノマー(M−A)及びモノマー(M−B)を用い、そのモル比(モノマー(M−A):モノマー(M−B))が50:50となるように混合し、全モノマー量の1.5質量倍のジオキサンを加えて溶液とした。この溶液に、開始剤としてアゾビスイソブチロニトリル及びアゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)を全モノマー量に対して各々、1mol%及び3mol%添加し、これらを80℃で約5時間加熱した。得られた反応混合物を、大量のメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過した。得られた樹脂を再び、ジオキサンに溶解させて得られる溶解液をメタノール/水混合溶媒に注いで樹脂を沈殿させ、この樹脂をろ過するという再沈殿操作を2回行い、重量平均分子量9.3×10の樹脂Z1(共重合体)を収率55%で得た。この樹脂Z1は、以下の構造単位を有するものである。

【0280】
実施例1〜11及び比較例1
<レジスト組成物の調製>
合成例1〜合成例13で得られた樹脂;
以下に示す酸発生剤B1;
以下に示す塩基性化合物C1;
の各々を表3に示す質量部で、以下に示す溶剤に溶解し、さらに孔径0.2μmのフッ素樹脂製フィルターで濾過して、レジスト組成物を調製した。
【0281】
【表3】

【0282】
<酸発生剤>
B1:特開2010−152341号公報の実施例に従って合成

【0283】
<塩基性化合物:クエンチャー>
C1:2,6−ジイソプロピルアニリン(東京化成製)
<溶剤>
プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート 265.0部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 20.0部
2−ヘプタノン 20.0部
γ−ブチロラクトン 3.5部
【0284】
<欠陥評価>
12インチのシリコン製ウェハ(基板)に、レジスト組成物を、乾燥後の膜厚が0.15μmとなるように塗布(スピンコート)した。塗布後、ダイレクトホットプレート上にて、表3のPB欄に示す温度で60秒間プリベーク(PB)し、ウェハー上に組成物層を形成した。
このようにして組成物層を形成したウェハーに、現像機[ACT−12;東京エレクトロン(株)製]を用いて、60秒間、水リンスを行った。
その後、欠陥検査装置[KLA−2360;KLAテンコール製]を用いて、ウェハ上の欠陥数を測定した。結果を表4に示す。
【0285】
<液浸露光によるレジストパターンの製造>
シリコンウェハに、有機反射防止膜用組成物(ARC−29;日産化学(株)製)を塗布して、205℃、60秒の条件でベークすることによって、ウェハー上に膜厚780Åの有機反射防止膜を形成した。次いで、この有機反射防止膜の上に、上記のレジスト組成物を乾燥(プリベーク)後の膜厚が85nmとなるように塗布(スピンコート)した。塗布後、シリコンウェハをダイレクトホットプレート上にて、表3の「PB」欄に記載された温度で60秒間プリベークし、組成物層を形成した。組成物層が形成されたシリコンウェハに、液浸露光用ArFエキシマステッパー(XT:1900Gi;ASML社製、NA=1.35、3/4Annular X−Y偏光)で、コンタクトホールパターン(ホールピッチ100nm/ホール径70nm)を形成するためのマスクを用いて、露光量を段階的に変化させて露光した。尚、液浸媒体としては超純水を使用した。
露光後、前記シリコンウェハを、ホットプレート上にて、表3の「PEB」欄に記載された温度で60秒間、加熱(ポストエキスポジャーベーク処理)した。次いでこのシリコンウェハを、2.38%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液で60秒間のパドル現像を行い、レジストパターンを得た。
【0286】
現像後に得られたレジストパターンにおいて、前記マスクを用いて形成したレジストパターンのホール径が55nmとなる露光量を実効感度とした。
【0287】
<CD均一性(CDU)評価>
実効感度において、前記マスクを用いて形成したレジストパターンを以下のようにして評価した。一つのホールにつき24箇所ホール径を測定し、その平均値を一つのホールの平均ホール径とした。同一レジストパターン内について、同様の平均ホール径測定を400箇所測定し、それらを母集団として標準偏差を求めた。
CDU評価は、走査型電子顕微鏡(CD SEM Hitachi:CG−4000)を用いて行った。
この結果を表4に示す。
【0288】
【表4】

【0289】
本レジスト組成物(実施例1〜実施例11)から得られるレジストパターンは、優れたCD均一性のレジストパターンを製造することができた。一方、比較例1のレジスト組成物では、得られるレジストパターンのCD均一性は不良であった。また、本レジスト組成物から得られるレジストパターンは欠陥の発生数も、比較例1のレジスト組成物に比して少なく、良好であった。
【産業上の利用可能性】
【0290】
本発明のレジスト組成物によれば、CD均一性(CDU)に優れるレジストパターンを製造することができる。また、得られるレジストパターンは欠陥の発生数も少ない。そのため、本発明のレジスト組成物は、半導体の微細加工に有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(aa)で表される構造単位と、式(ab)で表される構造単位とを有する樹脂。

[式(aa)中、
aa1は、水素原子又はメチル基を表す。
aa2は、水素原子又は炭素数1〜6のフッ化アルキル基を表す。
aa3は、炭素数1〜6のフッ化アルキル基を表す。
aa4は、酸の作用により、酸素原子との結合〔O−Raa4〕が切断されない1価の基を表す。
aa1は、1又は2を表す。naa1が2の場合、2つのRaa2は同一でも異なっていてもよく、2つのRaa3は同一でも異なっていてもよく、2つのRaa4は同一でも異なっていてもよい。
aa1は、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の炭化水素基を表し、該炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。]

[式(ab)中、
ab1は、水素原子又はメチル基を表す。
ab1は、置換基を有していてもよい炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基又は単結合を表し、該脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
は、置換基を有していてもよい炭素数4〜36の脂環式炭化水素基を表し、該脂環式炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
ab2は、置換基を有していてもよい炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
ab2は、ヒドロキシ基又は炭素数1〜6のアルコキシ基を有していてもよい炭素数1〜12のフッ化アルキル基を表す。
ab1は、1又は2を表す。nab1が2の場合、2つのAab2は同一でも異なっていてもよく、2つのRab2は同一でも異なっていてもよい。]
【請求項2】
請求項1記載の樹脂と、酸発生剤とを含有するレジスト組成物。
【請求項3】
前記酸発生剤が、式(B1)で表される酸発生剤である請求項2記載のレジスト組成物。

[式(B1)中、
1及びQ2は、それぞれ独立に、フッ素原子又は炭素数1〜6のペルフルオロアルキル基を表す。
b1は、炭素数1〜17の2価の脂肪族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
Yは、置換基を有していてもよい炭素数1〜18の脂肪族炭化水素基を表し、該脂肪族炭化水素基に含まれるメチレン基は、酸素原子、スルホニル基又はカルボニル基に置き換わっていてもよい。
+は、有機カチオンを表す。]
【請求項4】
前記式(B1)のYが、置換基を有していてもよい炭素数3〜18の脂環式炭化水素基である請求項3記載のレジスト組成物。
【請求項5】
さらに、アルカリ水溶液に不溶又は難溶であり、酸の作用によりアルカリ水溶液に可溶となる樹脂を含有する請求項2〜4のいずれか一項記載のレジスト組成物。
【請求項6】
さらに、溶剤を含有する請求項2〜5のいずれか一項記載のレジスト組成物。
【請求項7】
(1)請求項2〜6のいずれか一項記載のレジスト組成物を基板上に塗布する工程、
(2)塗布後の組成物を乾燥させて組成物層を形成する工程、
(3)組成物層を露光する工程、
(4)露光後の組成物層を加熱する工程、及び
(5)加熱後の組成物層を現像する工程
を含むレジストパターンの製造方法。

【公開番号】特開2012−144699(P2012−144699A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257188(P2011−257188)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】