説明

樹脂粒子、分散液およびその用途

【課題】有機溶剤への再分散性に優れた樹脂粒子を提供することを課題とする。
【解決手段】ビニル系単量体100重量部と、エーテル基と水酸基またはエステル基と水酸基とを含む(メタ)アクリレート系単量体0.1〜30重量部と、リン酸部分エステル系単量体0.01〜1重量部とを含む混合物の重合体であることを特徴とする樹脂粒子により課題を解決する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、樹脂粒子、分散液およびその用途に関する。さらに詳しくは、本発明は、有機溶剤への再分散性に優れた樹脂粒子、並びに分散液およびその用途に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、樹脂粒子が液晶用スペーサー、クロマトグラフィー用充填剤、診断試薬等として使用されている。また、その優れた光学特性から液晶分野においても、光拡散板、光拡散フィルム、防眩フィルム等の用途に樹脂粒子が用いられている。
【0003】
一般にこれらの用途においては、バインダー樹脂等の成分を含む有機溶剤中に樹脂粒子を再分散させることによって混合物を調液し(塗料の場合は塗料そのもの、光拡散フィルムの場合は塗工液)、次いで塗布、乾燥することにより塗膜を形成し、所望の用途に応じてこれらを適宜使用する。
【0004】
例えば特開2009−256625号公報(特許文献1)には、塗布性、脱落防止性、光学特性に優れた樹脂粒子として、特定のビニル系単量体を用いた樹脂粒子が記載されている。また、特開2008−239785号公報(特許文献2)には、触感、耐脱落性、溶剤中での分散性、再分散性に優れた樹脂粒子として、特定の架橋性単量体と(メタ)アクリル酸エステルに由来する樹脂成分を含む樹脂粒子が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−256625号公報
【特許文献2】特開2008−239785号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
他方、所望の光学特性や美麗な樹脂フィルム、成形板等を得るためには、塗料および塗工液に配合した樹脂粒子は塗布前に容易かつ均一に再分散されていることが好ましい。再分散性に劣る場合、有機溶剤中で樹脂粒子同士が二次凝集した凝集体が認められることがあり、外観、品質面で問題となることがある。他方、樹脂粒子が有機溶剤に溶解してしまった場合、樹脂粒子として所望の物性を得ることができず、品質面で問題となることがある。
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の発明については、塗布性、脱落防止性、光学特性の向上が認められるものの、樹脂粒子の有機溶剤への再分散性の向上については十分には認められず、なお満足のいくものではなかった。また、特許文献2に記載の発明については、樹脂粒子を特定の架橋剤を用いて架橋重合することによって樹脂粒子内に3次元的な網目構造を構築することにより、耐溶剤性に優れるとともに再分散性についてもある程度の向上が認められた。しかしながら、一般に高度に架橋された樹脂粒子は有機溶剤中で沈降しやすく、一度樹脂粒子が沈降してしまうと再度凝集物を形成し、再分散させるのが困難であった。このため、この場合も樹脂粒子の再分散性の観点からは満足のいくものではなかった。
【0008】
これらの問題点に鑑みて、有機溶剤へ素早くかつ均一に分散するような、再分散性に優れた樹脂粒子の提供が望まれている。また、これらの樹脂粒子から得られる分散性に優れた分散液の提供も望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かくして本発明によれば、ビニル系単量体100重量部と、エーテル基と水酸基またはエステル基と水酸基とを含む(メタ)アクリレート系単量体0.1〜30重量部と、リン酸部分エステル系単量体0.01〜1重量部とを含む混合物の重合体であることを特徴とする樹脂粒子が提供される。
【0010】
また本発明によれば、前記樹脂粒子と有機溶剤とを含む分散液も提供される。
本発明の樹脂粒子は、媒体への優れた再分散性を示し、塗料や光拡散フィルムの塗工液の原料として用いることができる。
【0011】
また本発明によれば、前記樹脂粒子を含む塗料も提供される。
【0012】
また本発明によれば、前記樹脂粒子を含む外用剤も提供される。
【0013】
また本発明によれば、前記樹脂粒子を含む光学シートも提供される。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、有機溶剤中での再分散性に優れた樹脂粒子を得ることができる。
【0015】
また本発明によれば、(メタ)アクリレート系単量体が下記式
CH2=CR-COO[(C24O)l−(C36O)m]−H (式1)
(式中、RはHまたはCH3、lは1〜50、mは1〜50)または
CH2=CR−COOCH2CH2O(CO(CH25O)p−H (式2)
(式中、RはHまたはCH3、pは1〜50)で表される化合物である場合、(メタ)アクリレート系単量体の有する立体的に大きな側鎖によって樹脂粒子が有機溶剤と親和性を有することにより、より再分散性に優れた樹脂粒子を得ることができる。
【0016】
また本発明によれば、リン酸部分エステル系単量体が下記式:
【化1】

(式中、nは1〜5であり、aが1のとき、bは2であり、aが2のとき、bは1である)
で表される化合物を含む場合、リン酸部分エステル部分の界面活性効果等によって、より再分散性に優れた樹脂粒子を得ることができる。
【0017】
また、本発明によれば、nが1である場合、同様に、さらにより再分散性に優れた樹脂粒子を得ることができる。
【0018】
また、本発明によれば、ビニル系単量体が単官能性単量体である場合、樹脂粒子が適度に溶剤を吸収、膨潤することにより、溶剤との親和性が高くなり、さらに再分散性に優れた樹脂粒子を得ることができる。
【0019】
また本発明によれば、ビニル系単量体が脂肪族(メタ)アクリレート系単量体である場合、樹脂成分の濡れ性等の向上を図ることによって、より再分散性に優れた樹脂粒子を得ることができる。
【0020】
本発明によれば、樹脂粒子の再分散性に優れた分散液を得ることもできる。
【0021】
本発明によれば、樹脂粒子を均一に分散させた塗料を得ることもできる。
【0022】
本発明によれば、樹脂粒子を均一に分散させた外用剤を得ることもできる。
【0023】
本発明によれば、樹脂粒子を均一に分散させた光学シートを得ることもできる。
【発明を実施するための形態】
【0024】
本発明の特徴は、樹脂粒子がビニル系単量体100重量部と、エーテル基と水酸基またはエステル基と水酸基とを含む(メタ)アクリレート系単量体0.1〜30重量部と、リン酸部分エステル系単量体0.01〜1重量部とを含む混合物の重合体であることである。本発明において、(メタ)アクリレートとは、アクリレートまたはメタクリレートのいずれかを意味する。
【0025】
本発明の樹脂粒子は、樹脂成分としてビニル系単量体と、比較的側鎖の大きいエーテル基と水酸基またはエステル基と水酸基とを含む(メタ)アクリレート系単量体とリン酸部分エステル系単量体とを所定の割合で含む単量体混合物に由来する重合体であるため、有機溶剤への濡れ性が良好であり、樹脂粒子同士が凝集しにくく、樹脂粒子が有機溶剤に溶解することなく、有機溶剤中での再分散性に優れている。
以下、本発明の樹脂粒子について詳説する。
【0026】
(樹脂粒子)
本発明の樹脂粒子は、ビニル系単量体と、エーテル基と水酸基またはエステル基と水酸基とを含む(メタ)アクリレート系単量体と、リン酸部分エステル系単量体とに由来する樹脂成分を所定の割合で含むため、有機溶剤への再分散性に優れた樹脂粒子である。
【0027】
なお、本発明で使用する単量体成分の定量、定性等はガスクロマトグラフィ、液体クロマトグラフィ、IR、NMRのような公知の測定方法を用いることにより確認することができる。また、樹脂粒子中の組成の質量比と使用する単量体成分等の原材料の質量比とは略同一である。さらに、所望の物性を得ることができる限り、本発明で使用する様々な単量体種は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
【0028】
(エーテル基と水酸基またはエステル基と水酸基とを含む(メタ)アクリレート系単量体)
本発明の樹脂粒子は樹脂成分としてエーテル基と水酸基またはエステル基と水酸基とを含む(メタ)アクリレート系単量体に由来する重合体成分を含む。本発明においては、有機溶剤との比較的親和性の強いエーテル基と水酸基またはエステル基と水酸基とを含む(メタ)アクリレート系単量体に由来する重合体成分を含むため、有機溶剤への高い再分散性を得ることができる。
【0029】
本発明の(メタ)アクリレート系単量体は、所望の再分散性に影響を与えない限り、エーテル基と水酸基またはエステル基と水酸基とを含有する公知の(メタ)アクリレート系単量体を使用することができる。本発明においては、より有機溶剤との親和性を確保することができるため、エーテル基としては、エチレングリコール、プロピレングリコールに由来する基が挙げることができ、エステル基としては、ラクトンに由来する基を挙げることができる。
【0030】
前記の観点から、特に好ましい(メタ)アクリレート系単量体は下記式
CH2=CR-COO[(C24O)l−(C36O)m]−H (式1)
(式中、RはHまたはCH3、lは1〜50、mは1〜50)または
CH2=CR−COOCH2CH2O(CO(CH25O)p−H (式2)
(式中、RはHまたはCH3、pは1〜50)で表される化合物である。
【0031】
式1の化合物において、lが50より大きい場合、重合安定性が低下して合着粒子が発生することがあり、またmが50より大きい場合も重合安定性が低下して合着粒子が発生することがある。好ましいlおよびmの範囲は1〜30である。さらに好ましいlおよびmの範囲は1〜7である。式2の化合物において、pが50より大きい場合、重合安定性が低下して合着粒子が発生することがある。好ましいpの範囲は1〜30である。l、mおよびpが前記の範囲にある場合、合着粒子の発生を抑制し、その結果樹脂粒子の再分散性を向上させることができる。また、所望の物性に影響を与えない限り、式1中のオキシエチレン基、オキシプロピレン基はブロック状であっても、任意に組み合わさっていてもよい。さらに式1の単量体と式2の単量体を単独で使用してよく、併用してもよい。
【0032】
前記(メタ)アクリレート系単量体には、市販品を利用できる。例えば、日本油脂社製のブレンマーシリーズ、ダイセル化学社製のプラクセルFMシリーズが挙げられる。さらに、ブレンマーシリーズの中で、ブレンマー50PEP−300、ブレンマー70PEP−350B等が、プラクセルFMシリーズの中で、プラクセルFM2Dが本発明に好適である。
【0033】
(メタ)アクリレート系単量体は、以下で説明するビニル系単量体100重量部に対して、0.1〜30重量部、好ましくは1〜25重量部、より好ましくは1〜20重量部の範囲で使用される。使用量が0.1重量部未満の場合、樹脂粒子の分散性が低下し塗布ムラが発生しやすく、さらに塗膜から樹脂粒子が脱落しやすくなり、30重量部より多い場合、粒子表面で多重膜を形成し粒子間で凝集を引き起こすことがある。
【0034】
(ビニル系単量体)
本発明のビニル系単量体は、所望の再分散性に影響を与えない限り、公知のビニル系単量体を使用することができる。
【0035】
この中でも樹脂粒子が適度に溶剤を吸収、膨潤することにより、溶剤との親和性が高くなることから、単官能性単量体であることがさらに好ましい。
【0036】
ビニル系単量体としては、樹脂成分の濡れ性等の向上を図ることができるため、アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル等のアクリル酸エステル;
メタクリル酸n−ブチル、メタクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸イソボルニル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−メトキシエチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸テトラヒドロフルフリル、メタクリル酸ジエチルアミノエチル、メタクリル酸トリフルオロエチル、メタクリル酸ヘプタデカフルオロデシル等のメタクリル酸エステル等の脂肪族(メタ)アクリレート系単量体を含むことが好ましい。これらのビニル系単量体は、それぞれ単独で、または2種類以上を組み合わせて用いることができる。また、より再分散性に優れた樹脂粒子を得ることができるため、ビニル系単量体はメタクリル酸メチル(メチルメタクリレート)を含むことが好ましい。なお、本発明においては、ビニル基を2以上含む架橋性単量体を使用することもできるが、濡れ性向上等の観点から架橋性単量体を含まないことが好ましい。
【0037】
また、脂肪族(メタ)アクリレート系単量体に含まれるアルキル基としては、好ましくは炭素数1〜8、より好ましくは炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。また、アルキル基は直鎖状であってよく、分枝状であってもよい。
【0038】
(リン酸部分エステル系単量体)
本発明の樹脂粒子はリン酸部分エステル系単量体に由来する重合体成分も含む。本発明においては、前記の重合体成分を含むため、リン酸部分エステルの界面活性効果を利用しつつ有機溶剤への高い再分散性を得ることができる。
【0039】
リン酸部分エステル系単量体は、リン酸のモノエステルあるいはジエステルであって、そのエステル部にビニル基を1つ以上有する油溶性の化合物である。リン酸モノエステル系単量体としては、例えば、(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、カプロラクトンEO変性リン酸モノ(メタ)アクリレート、リン酸ジエステル系単量体としては、カプロラクトンEO変性リン酸ジ(メタ)アクリレート等を挙げることができ、これらは単独で使用してよく、2種以上の混合物として使用してもよい。
【0040】
さらに、リン酸部分エステル系単量体が、下記式:
【化2】

(式中、nは1〜5であり、aが1のとき、bは2であり、aが2のとき、bは1である)で表されるカプロラクトンEO変性リン酸(ジ)メタクリレートである場合、その構造内に有機溶剤と親和性の高い部位を多く含むため好ましい。また、単量体への溶解性の観点からnは1であることが好ましい。なお、これらリン酸部分エステル系単量体は混合物であってもよい。具体的には、前記化合物としては、日本化薬社製のカヤマーPM−21(n=1、a=1、b=2とn=1、a=2、b=1の1対1の混合物)が挙げられる。
【0041】
本発明においては、リン酸部分エステル系単量体は、ビニル系単量体100重量部に対し0.01〜1重量部、好ましくは0.05〜0.4重量部、より好ましくは0.1〜0.2重量部使用する。リン酸部分エステル系単量体が1重量部を超えて多くなると、乳化物が出来やすい場合があり、粒子径の制御が困難になることがある。他方、リン酸部分エステル系単量体が0.01重量部未満になると、重合過程で分散粒子が合着するおそれや重合した樹脂粒子が有機溶剤に溶解するおそれがある。
【0042】
また、本発明の樹脂粒子は、好ましくは0.3〜100μm、より好ましくは0.8〜50μmの平均粒子径を有する。前記の範囲内である場合、本発明の樹脂粒子は十分な表面積を確保することができ、その結果十分な再分散性を確保することができる。
【0043】
本発明の樹脂粒子は、再分散性等の所望の物性に影響を与えない限り、その他の樹脂成分を少量含んでいてもよい。具体的には、塩化ビニル重合体、塩化ビニル−塩化ビニリデン共重合体等の塩化ビニル系樹脂;
酢酸ビニル重合体、酢酸ビニル−エチレン共重合体等のビニルエステル系樹脂;
スチレン重合体、スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−ブタジエンブロック共重合体、スチレン−イソプレンブロック共重合体、スチレン−メタクリル酸メチル共重合体等のスチレン系樹脂;
(メタ)アクリル系樹脂、(メタ)アクリル酸エステル−アクリロニトリル共重合体、(メタ)アクリル酸エステル−スチレン共重合体等の(メタ)アクリル酸エステル系樹脂が挙げられる。
【0044】
同様に、本発明の樹脂粒子は、カルボキシ基、アルキル基、ビニル基、芳香族基、アルデヒド基、アミノ基、ニトリル基、ニトロ基、アルキレンオキシド基等のその他の官能基を含んでいてもよく、これらの官能基を含むその他の単量体成分を含んでいてもよい。
【0045】
また同様に、本発明の樹脂粒子および以下の分散液は、他に油剤、粉体(顔料、色素、樹脂)、フッ素化合物、樹脂、界面活性剤、粘剤、防腐剤、香料、紫外線防御剤(有機系、無機系を含む。UV−A、Bのいずれに対応していても構わない)、塩類、溶剤、酸化防止剤、キレート剤、中和剤、pH調整剤、昆虫忌避剤、薬効成分、顔料等の各種成分を含むこともできる。
【0046】
(樹脂粒子の製造方法)
本発明の樹脂粒子の製造方法は、特に限定されず、懸濁重合、乳化重合、シード重合、分散重合等の公知の方法が挙げられる。なお、これらの製造方法を用いることにより単量体成分と重合体成分の重量部、比率等は略同一となる。
【0047】
本発明においては、より安定に所望の樹脂粒子を製造することができるため、無機分散剤を用いた懸濁重合が好ましい。無機分散剤としてはシリカ、酸化ジルコニウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、第3燐酸カルシウム、ピロリン酸マグネシウム、硫酸カルシウム等の水に難溶性の塩類、タルク、ベントナイト、珪酸、珪藻土、粘土等の無機高分子物質を用いることができる。そのうちでは、難溶性の塩類を用いることが好ましい。これらの無機化合物は、0.01〜10μmの微粉末として用いるが、とりわけ、0.01〜1μmの微粉末として用いることが好ましい。
【0048】
無機分散剤の添加量はビニル系単量体100重量部に対し0.1〜20重量部とするのが好ましく、0.5〜10重量部とするのがより好ましい。無機化合物が20重量部を越えて多くなると、溶液中の粘度が上がり過ぎて系全体が流れなくなることがある。他方、0.1重量部未満になると微粒子を保護できなくなり、合着を起こすことがある。本発明の樹脂粒子は樹脂粒子表面に無機分散剤が付着している場合であっても優れた再分散性を示す。
【0049】
(分散液)
本発明の樹脂粒子は再分散性に優れるため、本発明の樹脂粒子と有機溶剤を含む分散液は樹脂粒子の沈降等を抑制した分散性に優れた分散液である。
【0050】
本発明においては十分な再分散性を得ることができるため、有機溶剤を用いることが好ましい。本発明の分散液に使用し得る有機溶剤としては特に限定されない。例えば、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤;
メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;
酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;
ジオキサン、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル等のエーテル系溶剤等が挙げられる。これら溶剤は、単独で使用してもよく、2種以上混合して使用してもよい。分散液中の有機溶剤含有量は、分散液100重量部中、通常20〜90重量部程度である。
【0051】
この中でも、芳香族系有機溶剤、ケトン系有機溶剤を使用した場合に樹脂粒子の再分散性はさらに向上する。
【0052】
(塗料)
塗料用として、使用される分散液は、必要に応じて、バインダー樹脂を含むことができる。バインダー樹脂としては、有機溶剤に可溶な樹脂もしくは分散できるエマルション型のバインダー樹脂を使用することができる。
【0053】
そのようなバインダー樹脂としては、アクリル樹脂、アルキド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、塩素化ポリオレフィン樹脂、アモルファスポリオレフィン樹脂等が挙げられる。これらバインダー樹脂は、塗装される基材への塗料の密着性や使用される環境等によって適宜選択され得る。
【0054】
バインダー樹脂の添加量は、形成される塗膜の膜厚、樹脂粒子の平均粒子径、塗装方法等によっても異なる。バインダー樹脂の添加量は、バインダー樹脂(エマルジョン型の樹脂を使用する場合は固形分)と樹脂粒子との合計に対して5〜50重量%が好ましく、10〜50重量%がより好ましく、20〜40重量%がさらにより好ましい。
【0055】
樹脂粒子の含有量が5重量%未満では、艶消し効果が十分得られないことがある。また、含有量が50重量%を越える場合には、塗料組成物の粘度が大きくなりすぎるため、樹脂粒子の分散不良が起こることがある。そのため得られる塗膜にマイクロクラックが発生したり、塗膜表面にザラツキが生じる等の外観不良が起こることもある。
【0056】
塗料組成物には、必要に応じて、公知の塗面調整剤、流動性調整剤、紫外線吸収剤、光安定剤、硬化触媒、体質顔料、着色顔料、金属顔料、マイカ粉顔料、染料、有機溶剤等が含まれていてもよい。
【0057】
本発明の樹脂粒子は再分散性に優れるため、公知のミキサー、分散機等の分散手段を用いた穏やかな混合等により均一な分散液を容易に得ることができる。具体的には、本発明の分散液の溶剤浸漬後の沈降容積は、下記の評価方法において好ましくは1.6ml以上、より好ましくは2.0〜5.0mlである。また、再分散性試験においては容易に分散する。前記の評価結果は、本発明の樹脂粒子が優れた再分散性を有することを示している。
【0058】
塗料組成物を使用した塗膜の形成方法は、特に限定されず、公知の方法をいずれも使用できる。例えば、スプレー塗装法、ロール塗装法、ハケ塗り法等の方法が挙げられる。塗料組成物は、必要に応じて粘度を調整するために、希釈してもよい。希釈剤としては、トルエン、キシレン等の炭化水素系溶剤;メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系溶剤;ジオキサン、エチレングリコールジエチルエーテル等のエーテル系溶剤;水;アルコール系溶剤等が挙げられる。これら希釈剤は、単独で使用してもよく、2種以上の混合して使用してもよい。
【0059】
このため、本発明の樹脂粒子は、有機溶剤への再分散性に優れるため、光拡散板、光拡散フィルム、防眩フィルム等の光学シート用途に好適に使用することができる。
【0060】
(外用剤)
本発明の外用剤は、有機溶剤中での再分散性に優れるため、粒子が容器底部に沈降していても、使用時に軽く振るだけで使用できる。また、溶液中での粒子の分散性が良好なため皮膚への塗布性、伸びにも優れる。また、製造時に粒子の分散が容易であるという製造上の利点がある。
【0061】
外用剤における樹脂粒子の含有量は、外用剤の種類に応じて適宜設定できるが、1〜80重量%の範囲内であることが好ましく、5〜70重量%の範囲内であることがより好ましい。外用剤全量に対する樹脂粒子の含有量が1重量%を下回ると、樹脂粒子の含有による明確な効果が認められないことがある。また、樹脂粒子の含有量が80重量%を上回ると、含有量の増加に見合った顕著な効果が認められないことがあるため、生産コスト上好ましくない。
【0062】
有機溶剤を使用する外用剤としては化粧乳液、ボディーローション、液状制汗剤などのスキンケア剤が例示される。また、リキッドファンデーション、乳化型ファンデーションなど液状のメイクアップ化粧料などにも使用することができる。
【0063】
(光学シート)
本発明の光学シートは、本発明の塗料組成物を基材フィルム上にコーティングして得られるものである。本発明の光学シートは、防眩フィルム、光拡散フィルム等として利用できる。
【0064】
前記基材フィルムの材質としては、透明性を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル系樹脂、トリアセチルセルロース樹脂、ポリスチレン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、シクロオレフィン系樹脂等が挙げられる。
【0065】
前記基材フィルムの厚さは、5〜300μmの範囲内であることが好ましい。前記基材フィルムの厚さが5μmより薄い場合、塗工、印刷、二次加工時の取り扱いが困難となり、作業性が低下することがある。一方、前記基材フィルムの厚さが300μmより厚い場合には、基材フィルムそのものの可視光透過率が低下してしまうことがある。
【0066】
本発明の光学シートは、基材フィルムの少なくとも一方の面に、本発明の塗料組成物の層を塗布等の手段により形成することにより得られる。塗布方法としては、ロールコート法、スプレーコーティング法等が挙げられる。
【実施例】
【0067】
以下、実施例及び比較例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0068】
(樹脂粒子の溶剤浸漬後の沈降容積)
実施例、比較例の粒子の0.5gを目盛り付き試験管(マルエム社製、製品名ねじ口試験管NR−10)に秤りとり、有機溶剤としてトルエン、MEK(メチルエチルケトン)を10ml加えた後粒子が完全に分散するまでタッチミキサーで分散させる(溶液全体が白濁状態となる。容積約10ml。)。
次いで試験管を12時間静置し、粒子の沈降高さを目視測定する。溶液は白濁部分(下部)と透明部分(上部)とに分離している。次いで白濁部分の容積を測定する。ここで相溶性の悪い樹脂粒子は下部に沈殿する。また、この評価で粒子の沈降容積が大きいものほど粒子が溶剤で膨潤しており粒子と溶剤とが相溶している。
【0069】
本発明においては、
(1)沈降容積が1.6ml以上である場合:合格(○)
(2)沈降容積が1.6ml未満である高い場合:不合格(×)
と判定する。
【0070】
(樹脂粒子の再分散性評価)
沈降高さの評価後、試験管を手で振り、粒子を再分散させる。再分散するまでに要した試験管を振る回数を記録し、再分散のし易さを評価する。
本発明においては、試験管を手で振り混ぜ、沈降した樹脂粒子全てが均一に分散するまでの振り混ぜた回数を樹脂粒子の再分散性評価の指標とする。また、約10cmの振幅で往復させた時を振り混ぜ回数1回とカウントする。振り混ぜ回数5回毎に樹脂粒子の分散状態を目視で確認し、樹脂粒子全てが均一に分散するまでの振り混ぜ回数を求める。
【0071】
本発明においては、
(1)回数が30回以内である場合:合格(○)
(2)回数が30回を超える場合:不合格(×)
と判定する。
【0072】
(樹脂粒子の平均粒子径)
樹脂粒子の体積平均粒子径(体積基準の粒度分布における算術平均径)は、コールターマルチサイザーII(ベックマンコールター社製:測定装置)により、測定する。なお、本測定に際しては、Coulter Electronics Limited発行のReference MANUAL FOR THE COULTER MULTISIZER(1987)に従って、50μmアパチャーを用いてキャリブレーションを行い、測定する。
【0073】
具体的には、樹脂粒子0.1gを0.1%ノニオン系界面活性剤10ml中にタッチミキサー(ヤマト科学株式会社製、「TOUCHMIXER MT−31」)および超音波洗浄器(ヴェルボクリーア社製、「ULTRASONIC CLEANER VS−150」)を用いて予備分散させ、分散液を得る。次いで、コールターマルチサイザーII本体に備え付けのISOTON(登録商標)II(ベックマンコールター社:測定用電解液)を満たしたビーカー中に、前記分散液を緩く撹拌しながらスポイドで滴下して、コールターマルチサイザーII本体画面の濃度計の示度を10%前後に合わせる。次にコールターマルチサイザーII本体に、アパチャーサイズ(径)を50μm、Current(アパチャー電流)を800μA、Gain(ゲイン)を4、Polarity(内側電極の極性)を+と入力してmanual(手動モード)で測定を行う。測定中はビーカー内を気泡が入らない程度に緩く撹拌しておき、粒子を10万個測定した時点で測定を終了する。体積平均粒子径(体積基準の粒度分布における算術平均径)は、10万個の粒子径の平均値である。
【0074】
実施例1
攪拌機および温度計を備えた容量5Lの反応容器に水2500gを入れ、そこへ第三リン酸カルシウム150gを分散させた。これに予め調製しておいたメタクリル酸メチル990gと、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノメタクリレート(ブレンマー50PEP−300:日本油脂社製、lが約3.5、mが約2.5)10gと過酸化ベンゾイル4.0gと2,2アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)4.0g、カプロラクトンEO変性燐酸ジメタクリレート(日本化薬社製カヤマーPM21)2gとを溶解させた混合液を入れて、T.Kホモミキサーにて攪拌することで液滴径を8μm程度に調製した。次に、反応容器を50℃に加温して攪拌しながら懸濁重合を行い、引き続いて105℃で2時間加温処理を行い、平均粒子径7.8μmの樹脂粒子を得た。
【0075】
実施例2
メタクリル酸メチルを950g、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノメタクリレート(ブレンマー50PEP−300:日本油脂社製、mが約3.5、nが約2.5)50gとした以外は実施例1と同様に樹脂粒子を得た(平均粒子径8.2μm)。
【0076】
実施例3
メタクリル酸メチルを900g、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノメタクリレート(ブレンマー50PEP−300:日本油脂社製、mが約3.5、nが約2.5)100g、とした以外は実施例1と同様に樹脂粒子を得た(平均粒子径7.3μm)。
【0077】
実施例4
メタクリル酸メチルを850g、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノメタクリレート(ブレンマー50PEP−300:日本油脂社製、mが約3.5、nが約2.5)150gとした以外は実施例1と同様に樹脂粒子を得た(平均粒子径8.0μm)。
【0078】
実施例5
メタクリル酸メチルを800g、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノメタクリレート(ブレンマー50PEP−300:日本油脂社製、mが約3.5、nが約2.5)200g、カプロラクトンEO変性燐酸ジメタクリレート(日本化薬社製カヤマーPM21)3gとした以外は実施例1と同様に樹脂粒子を得た(平均粒子径7.7μm)。
【0079】
実施例6
(艶消し塗料の製造)
バインダー樹脂:バイロン200(東洋紡績社製ポリエステル)50重量部
実施例4の樹脂粒子:7重量部
トルエン:100重量部
メチルエチルケトン:20重量部
前記の配合量に秤量した原料を遠心攪拌機により3分間攪拌する。得られた溶液を3時間放置した後、再び遠心攪拌機により3分間攪拌することによって塗料を得た。
【0080】
得られた塗料は、12時間経過後も、振り混ぜるだけで樹脂粒子が再分散する再分散性に優れたものであった。
【0081】
(アクリル板の塗装)
厚さ3mmのアクリル板に前記塗料を吹き付け塗装することで厚さ50μmの艶消し塗膜を作成した。塗膜にはブツも見られず、良好な艶消し性を有していた。
【0082】
実施例7
(光学シート用塗料の製造)
アクリディックA−801(アクリルポリオール;大日本インキ化学工業製、固形分50%、水酸基価100) 180重量部
タケネートD110N(ポリイソシアネート;三井化学ポリウレタン製、固形分60%) 50重量部
トルエン 300重量部
メチルエチルケトン(MEK) 330重量部
実施例4の樹脂粒子 250重量部
【0083】
前記の原料を遠心攪拌機により3分間攪拌して混合した。得られた溶液を3時間放置後、再び遠心攪拌機により3分間攪拌して光学シート用塗料を得た。
【0084】
得られた塗料は、12時間経過後も、振り混ぜるだけで樹脂粒子が再分散する再分散性に優れたものであった。
【0085】
(光学シートの製造)
厚さ100μmのPETフィルム上に前記塗料をダイコート法によりコーティングすることで厚さ12μmの光拡散層を備えた光学シートを作製した。得られた光学シートは、ブツも見られず、粒子が均一に塗布されていた。
【0086】
実施例8
(乳化型ファンデーションの製造)
以下の手順にて乳化型ファンデーションを製造した。
(A相)
実施例4で得られた樹脂粒子 5.0重量部
ステアリン酸 2.0重量部
スクワラン 1.5重量部
ステアリルアルコール 2.0重量部
2−オクチルドデシルミリステート 4.0重量部
活性剤 5.0重量部
着色顔料ペースト 18.0重量部
ブチルパラベン 0.1重量部
BHT 0.05重量部
(B相)
プロピレングリコール 5.0重量部
メチルパラベン 0.2重量部
トリエタノールアミン 0.7重量部
精製水 55.95重量部
(C相)
調合香料 0.5重量部
【0087】
(製法)
1.A相を75℃で攪拌しながら加熱溶解し、均一に混合した。
2.B相を混合後、80℃に加温した。
3.加温したB相をA相に徐々に加えながら乳化し、45℃まで冷却した。
4.次にC相を加え攪拌しながら35℃まで冷却し、乳化型ファンデーションを得た。
【0088】
得られた乳化型ファンデーションは、皮膚への塗布性、伸びに優れ滑らかで、使用感に優れたものであった。
【0089】
実施例9
(化粧下地の製造)
以下の手順にて化粧下地を製造した。
(A相)
1.実施例4で得られた樹脂粒子 5重量部
2.シクロメチコン 20重量部
3.イソノナン酸イソトリデシル 2重量部
4.メトキシケイヒ酸オクチル 1重量部
5.ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル) 1重量部
6.ジメチコン 3重量部
7.ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2 2重量部
8.ジメチコンコポリオール/ジメチコン 4重量部
9.フェノキシエタノール 0.4重量部
10.酢酸トコフェロール 0.1重量部
(B相)
11.クオタニウム-18ベントナイト 1.3重量部
12.酸化チタン 5重量部
(C相)
13.EDTA-2Na 0.05重量部
14.グルタミン酸Na 2重量部
15.精製水 46.65重量部
16.メチルパラベン10%、BG90% 2重量部
17.BG 3重量部
【0090】
(製法)
1.B相を室温で撹拌溶解した。
2.B相にA相を加え50℃で撹拌溶解した。(D相)
3.C相を55℃で撹拌溶解した。
4.D相をホモミキサーでかき混ぜながらC相を加え乳化し(3000〜5000rpm、4分間)その後パドルでかき混ぜながら30℃まで冷却した。
【0091】
得られた化粧下地は、皮膚への塗布性、伸びに優れ滑らかで、使用感に優れたものであった。
【0092】
実施例10
(化粧クリームの製造)
以下の手順にて化粧クリームを製造した。
(A相)
実施例4で得られた樹脂粒子 2重量部
オリーブ油脂肪酸セテアリル、オリーブ油脂肪酸ソルビタン) 2.5重量部
パルミチン酸セチル、パルミチン酸ソルビタン、オリーブ油脂肪酸ソルビタン 0.5重量部
ホホバ種子油 1重量部
炭酸ジカプリリル 2重量部
セテアリルアルコール 0.5重量部
アーモンド油 1重量部
(B相)
水 全量で 100重量部
グリセリン 2重量部
キサンタンガム 0.3重量部
(C相)
安息香酸Na、ソルビン酸K 1重量部
香料 適量
【0093】
(製法)
1.A相とB相をそれぞれ調製し、75℃に加温した。
2.キサンタンガムを分散機を使って分散した。
3.分散機で撹拌しながら75℃でA相をB相に加え、数分間ホモジナイズした。
4.ゆっくりかき混ぜながら40℃まで冷却し、C相を加えた。
【0094】
得られた化粧クリームは、皮膚への塗布性、伸びに優れ滑らかで、使用感に優れたものであった。
【0095】
実施例11
(サンスクリーンローションの製造)
以下の手順にてサンスクリーンローションを製造した。
(A相)
1.シクロメチコン 21.9重量部
2.クオタニウム-18ベントナイト 1重量部
3.ミリストイルメチルアミノプロピオン酸ヘキシルデシル 5重量部
4.ジメチコン 5重量部
5.メトキシケイヒ酸オクチル 5重量部
6.(ジメチコンコポリオール/ジメチコン 1重量部
7.ジイソステアリン酸ポリグリセリル-2) 1重量部
8.フェノキシエタノール 0.1重量部
9.(50%AI)(酸化チタン/シクロメチコン) 10重量部
10.(60%AI)(酸化亜鉛/シクロメチコン)5重量部
11.実施例4で得られた樹脂粒子 3重量部
(B相)
12.精製水 40重量部
13.1、3−Butylene Glycol(BG) 3重量部
(C相)
14.エタノール 1重量部
15.メチルパラベン 0.1重量部
【0096】
(製法)
1.A相を撹拌しながら順番に加え室温で分散した。
2.B相を室温で撹拌溶解した。
3.C相を室温で撹拌溶解した。
4. ディスパーでかき混ぜながらA相にB相とC相を加え乳化した。(1000rpm、3分間)
【0097】
得られたサンスクリーンローションは、皮膚への塗布性、伸びに優れ滑らかで、使用感に優れたものであった。
【0098】
比較例1
メタクリル酸メチルを1000g、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノメタクリレート(ブレンマー50PEP−300:日本油脂社製、mが約3.5、nが約2.5)無添加とした以外は実施例1と同様に樹脂粒子を得た(平均粒子径8.1μm)。
【0099】
比較例2
リン酸部分エステル系単量体を用いず、水相に水に対して300ppmのラウリル硫酸ナトリウムを添加した以外は比較例1と同様に樹脂粒子を得た(平均粒子径7.5μm)。
【0100】
比較例3
リン酸部分エステル系単量体を用いず、水相に水に対して300ppmのラウリル硫酸ナトリウムを添加した以外は実施例1と同様に樹脂粒子を得た(平均粒子径7.9μm)。
【0101】
比較例4
メタクリル酸メチルを950g、エチレングリコールジメタクリレート50g、ポリ(エチレングリコール−プロピレングリコール)モノメタクリレート(ブレンマー50PEP−300:日本油脂社製、mが約3.5、nが約2.5)無添加、リン酸部分エステル系単量体を用いず、水相に水に対して300ppmのラウリル硫酸ナトリウムを添加した以外は実施例1と同様に樹脂粒子を得た(平均粒子径8.3μm)。
【0102】
表1において、実施例および比較例の原料種、評価結果を詳説する。
【0103】
【表1】

【0104】
実施例の分散液は溶剤浸漬後の沈降高さおよび再分散性評価において良好な結果を示している。前記の評価結果より、本発明の樹脂粒子は再分散性に優れていることを示している。よって、本発明の樹脂粒子は光拡散板、光拡散フィルム、防眩フィルム等の用途として好適に使用することができる。
【0105】
また、実施例より本発明の樹脂粒子は有機溶剤への再分散性に優れた樹脂粒子であるたため、塗料、外用剤および光学シートとして好適に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビニル系単量体100重量部と、エーテル基と水酸基またはエステル基と水酸基とを含む(メタ)アクリレート系単量体0.1〜30重量部と、リン酸部分エステル系単量体0.01〜1重量部とを含む混合物の重合体であることを特徴とする樹脂粒子。
【請求項2】
前記(メタ)アクリレート系単量体が、下記式:
CH2=CR-COO[(C24O)l−(C36O)m]−H (式1)
(式中、RはHまたはCH3、lは1〜50、mは1〜50)または
CH2=CR−COOCH2CH2O(CO(CH25O)p−H (式2)
(式中、RはHまたはCH3、pは1〜50)で表される化合物である請求項1に記載の樹脂粒子。
【請求項3】
前記リン酸部分エステル系単量体が、下記式:
【化1】

(式中、nは1〜5であり、aが1のとき、bは2であり、aが2のとき、bは1である)
で表される化合物を含む請求項1または2に記載の樹脂粒子。
【請求項4】
前記nが1である、請求項3に記載の樹脂粒子。
【請求項5】
前記ビニル系単量体が、単官能性単量体である請求項1〜4のいずれか1つに記載の樹脂粒子。
【請求項6】
前記ビニル系単量体が、脂肪族(メタ)アクリレート系単量体である請求項1〜5のいずれか1つに記載の樹脂粒子。
【請求項7】
請求項1〜6のいずれか1つに記載の樹脂粒子と有機溶剤とを含む分散液。
【請求項8】
請求項1〜6いずれか1つに記載の樹脂粒子を含む塗料。
【請求項9】
請求項1〜6いずれか1つに記載の樹脂粒子を含む外用剤。
【請求項10】
請求項1〜6いずれか1つに記載の樹脂粒子を含む光学シート。

【公開番号】特開2012−92327(P2012−92327A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−215241(P2011−215241)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000002440)積水化成品工業株式会社 (1,335)
【Fターム(参考)】