歯車列の調整方法、現像装置および画像形成装置
【課題】歯車の速度変動を低減しつつ設計の自由度を高めること。
【解決手段】伝達歯車(38)の駆動を被伝達歯車(32)に伝達する中間歯車(33〜36)であって、伝達歯車(38)側に噛み合う第1の調整歯車(36c)と、被伝達歯車(32)側に噛み合い且つ前記第1の調整歯車(36c)と同軸に支持された第2の調整歯車(36b)と、を少なくとも有する前記中間歯車(33〜36)と、を備えた歯車列(31)の調整方法であって、第1の調整歯車(36c)および第2の調整歯車(36b)の回転方向に対して、第1の調整歯車(36c)に対する第2の調整歯車(36b)の相対的な位相の差をずらしながら被伝達歯車(32)の回転ムラを測定して、回転ムラが小さくなる位相の差に基づいて、第1の調整歯車(36c)と第2の調整歯車(36b)との位相の差を設定することを特徴とする歯車列の調整方法。
【解決手段】伝達歯車(38)の駆動を被伝達歯車(32)に伝達する中間歯車(33〜36)であって、伝達歯車(38)側に噛み合う第1の調整歯車(36c)と、被伝達歯車(32)側に噛み合い且つ前記第1の調整歯車(36c)と同軸に支持された第2の調整歯車(36b)と、を少なくとも有する前記中間歯車(33〜36)と、を備えた歯車列(31)の調整方法であって、第1の調整歯車(36c)および第2の調整歯車(36b)の回転方向に対して、第1の調整歯車(36c)に対する第2の調整歯車(36b)の相対的な位相の差をずらしながら被伝達歯車(32)の回転ムラを測定して、回転ムラが小さくなる位相の差に基づいて、第1の調整歯車(36c)と第2の調整歯車(36b)との位相の差を設定することを特徴とする歯車列の調整方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯車列の調整方法、現像装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の複写機やプリンタ等の画像形成装置において、駆動を伝達する歯車列に関して、以下の特許文献1に記載の技術が従来公知である。
【0003】
特許文献1としての特開2003−240065号公報には、モータ軸に切った駆動ギア(101)から駆動が伝達される平歯車により構成された第1ギア(111)と、第1ギア(111)に噛み合う平歯車により構成された第2ギア(112)と、第2ギア(112)に噛み合い且つ駆動ギア(101)に対して同速または減速駆動される平歯車により構成された第3ギア(113)と、を有する多連ギア列(2)において、大径ギア(111a)と同軸に小径ギア(111b)とを固定した2段ギアで第1ギア(111)を構成し、小径ギア(111b)と第2ギア(112)とが噛み合う入力側噛合箇所(A)で、第2ギア(112)のギア歯(121)の山(または谷)が噛み合っていれば、第3ギア(113)と第2ギア(112)とが噛み合う出力側噛合箇所(B)で、第2ギア(112)のギア歯(121)の谷(または山)が噛み合うように、歯数や噛合箇所の位置を設定する技術が記載されている。
【0004】
また、特許文献1には、第3ギア(113)が駆動ギア(101)に対して増速される場合には、入力側噛合箇所(A)と出力側噛合箇所(B)で、山どうしまたは谷どうしで噛み合うように設定する技術も記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−240065号公報(「0018」〜「0022」、「0037」〜「0039」、図2〜図8、図15〜図16)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、歯車の速度変動を低減しつつ設計の自由度を高めることを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記技術的課題を解決するために、請求項1記載の発明の歯車列の調整方法は、
駆動源からの駆動が伝達され且つ斜歯歯車で構成された伝達歯車と、
被駆動体に駆動を伝達し且つ斜歯歯車で構成された被伝達歯車と、
前記伝達歯車の駆動を前記被伝達歯車に伝達する中間歯車であって、前記伝達歯車側に噛み合う第1の調整歯車と、前記被伝達歯車側に噛み合い且つ前記第1の調整歯車と同軸に支持された第2の調整歯車と、を少なくとも有する前記中間歯車と、
を備えた歯車列の調整方法であって、
前記第1の調整歯車および第2の調整歯車の回転方向に対して、前記第1の調整歯車に対する前記第2の調整歯車の相対的な位相の差をずらしながら前記被伝達歯車の回転ムラを測定して、前記回転ムラが小さくなる位相の差に基づいて、前記第1の調整歯車と前記第2の調整歯車との位相の差を設定する
ことを特徴とする。
【0008】
前記技術的課題を解決するために、請求項2記載の発明の現像装置は、
表面に潜像が形成された像保持体に対向して回転し且つ前記潜像を可視像に現像する現像剤保持体と、
前記現像剤保持体に駆動を伝達する前記被伝達歯車を有する前記歯車列であって、請求項1に記載の歯車列の調整方法で調整された前記歯車列と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
前記技術的課題を解決するために、請求項3記載の発明の画像形成装置は、
回転する像保持体と、
前記像保持体表面に潜像を形成する潜像形成装置と、
前記像保持体表面の潜像を可視像に現像する請求項2に記載の現像装置と、
前記像保持体表面の可視像を媒体に転写する転写装置と、
前記媒体表面の可視像を定着する定着装置と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、第1の調整歯車と第2の調整歯車の位相の差を設定しない構成に比べて、歯車の速度変動を低減しつつ設計の自由度を高めることができる。
請求項2に記載の発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べて、現像剤保持体の回転速度の変動を低減することができ、現像された画像の画質を向上できる。
請求項3に記載の発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べて、現像剤保持体の回転速度の変動を低減することができ、形成される画像の画質を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は本発明の実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
【図2】図2は実施例1の画像形成装置の要部拡大説明図である。
【図3】図3は本発明の実施例1の現像装置の説明図であり、図3Aは現像容器カバーが除去された状態の要部断面斜視説明図、図3Bは供給オーガの説明図、図3Cは撹拌オーガの説明図である。
【図4】図4は図3AのIV−IV線断面図である。
【図5】図5は図3AのV−V線断面図である。
【図6】図6は実施例1の供給オーガの上流端部の説明図であり、図6Aは要部拡大図、図6Bは羽根による現像剤の搬送の説明図、図6Cは羽根を挟んだ現像剤の量の説明図である。
【図7】図7は実施例1の供給オーガの下流端部の要部拡大図である。
【図8】図8は実施例1の現像装置の駆動系および歯車列の斜視説明図である。
【図9】図9は図8の歯車列の要部説明図である。
【図10】図10は従来の現像剤搬送部材の説明図であり、図10Aは隙間が形成されていない構成の説明図、図10Bは図10Aに示す状態から90°回転した状態の説明図、図10Cは位相が揃っていない構成の説明図、図10Dは図10Cに示す状態から90°回転した状態の説明図である。
【図11】図11は従来技術におけるギア列の説明図であり、図11Aはギアどうしの噛合位置の成す角度と歯数との関係を説明する説明図、図11Bは斜歯歯車の歯の山について軸方向一端から他端まで移動した場合に他端が隣の歯の山の一端の位置と一致する場合の説明図、図11Cは斜歯歯車の歯の山について軸方向一端から他端まで移動した場合に他端が隣の歯の山の一端の位置と一致しない場合の説明図である。
【図12】図12は実施例1の二段ギアに関する説明図であり、図12Aは二段ギアの軸方向の繋ぎ目が連続している場合の説明図、図12Bは二段ギアの繋ぎ目部分が軸方向に離れ且つ繋ぎ目の両端で同位相の場合の説明図、図12Cは二段ギアの繋ぎ目部分が軸方向に離れ且つ繋ぎ目を跨いで歯が連続して形成されている場合の説明図である。
【図13】図13は実施例1の実験結果の説明図であり、横軸に位相差を取り縦軸に濃度変動を取ったグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例としての実施例を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0013】
図1は本発明の実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
図1において、画像形成装置の一例としての複写機Uは、自動原稿搬送装置U1と、これを支持し且つ上端に透明な原稿読取り面PGを有する装置本体U2とを備えている。
前記自動原稿搬送装置U1は、複写しようとする複数の原稿Giが重ねて収容される原稿給紙部TG1と、原稿給紙部TG1から給紙され前記原稿読取り面PG上の原稿読取位置を通過した原稿Giが排出される原稿排紙部TG2とを有している。
前記装置本体U2は、利用者が画像形成動作開始等の作動指令信号を入力操作する操作部UIと、露光光学系A等を有している。
【0014】
前記自動原稿搬送装置U1で原稿読取り面PG上を搬送される原稿または手動で原稿読取り面PG上に置かれた原稿からの反射光は、前記露光光学系Aを介して、固体撮像素子CCDで赤:R、緑:G、青:Bの電気信号に変換される。
情報変換部IPSは、固体撮像素子CCDから入力される前記RGBの電気信号を黒:K、イエロー:Y、マゼンタ:M、シアン:Cの画像情報に変換して一時的に記憶し、前記画像情報を予め設定された時期に潜像形成用の画像情報として潜像形成回路DLに出力する。
なお、原稿画像が単色画像、いわゆる、モノクロの場合は、黒:Kのみの画像情報が潜像形成回路DLに入力される。
前記潜像形成回路DLは、図示しない各色Y,M,C,Kの各駆動回路を有し、入力された画像情報に応じた信号を予め設定された時期に、各色毎に配置された潜像形成装置LHy,LHm,LHc,LHkに出力する。
【0015】
図2は実施例1の画像形成装置の要部拡大説明図である。
前記複写機Uの重力方向中央部に配置された可視像形成装置Uy,Um,Uc,Ukはそれぞれ、Y,M,C、およびKの各色の可視像を形成する装置である。
潜像形成装置LHy〜LHkの各光源から出射したY,M,C,Kの潜像書込光Ly,Lm,Lc,Lkは、それぞれ、像保持体の一例としての感光体PRy,PRm,PRc,PRkに入射する。なお、実施例1では、前記潜像形成装置LHy〜LHkは、書込素子であるLED:Light Emission Diodeが直線上に並べて配置された装置、いわゆる、LEDアレイにより構成されている。
前記Yの可視像形成装置Uyは、回転する感光体PRy、帯電器CRy,潜像形成装置LHy、現像装置Gy、1次転写器T1y、像保持体清掃器の一例としての感光体クリーナCLyを有している。なお、実施例1では、前記感光体PRy、帯電器CRy、感光体クリーナCLyが、装置本体U2に対して一体的に着脱可能な像保持体ユニットとして構成されている。
前記可視像形成装置Um,Uc,Ukはいずれも前記Yの可視像形成装置Uyと同様に構成されている。
【0016】
図1,図2において、前記各感光体PRy,PRm,PRc,PRkはそれぞれの帯電器CRy,CRm,CRc,CRkにより帯電された後、画像書込位置Q1y,Q1m,Q1c,Q1kにおいて、前記潜像書込光Ly,Lm,Lc,Lkにより、その表面に静電潜像が形成される。前記感光体PRy,PRm,PRc,PRk表面の静電潜像は、現像領域Q2y,Q2m,Q2c,Q2kにおいて、現像装置Gy,Gm,Gc,Gkの現像剤保持体の一例としての現像ロールR0y,R0m,R0c,R0kに保持された現像剤により可視像の一例としてのトナー像に現像される。
現像されたトナー像は、中間転写体の一例としての中間転写ベルトBに接触する1次転写領域Q3y,Q3m,Q3c,Q3kに搬送される。前記1次転写領域Q3y,Q3m,Q3c,Q3kにおいて中間転写ベルトBの裏面側に配置された1次転写器T1y,T1m,T1c,T1kには、制御部Cにより制御される電源回路Eから予め設定された時期にトナーの帯電極性と逆極性の1次転写電圧が印加される。
【0017】
前記各感光体PRy〜PRk上のトナー像は、前記1次転写器T1y,T1m,T1c,T1kにより、中間転写体の一例としての中間転写ベルトBに1次転写される。1次転写後の感光体PRy,PRm,PRc,PRk表面の残留物、付着物は、感光体クリーナCLy,CLm,CLc,CLkにより清掃される。清掃された前記感光体PRy,PRm,PRc,PRk表面は、帯電器CRy,CRm,CRc,CRkにより再帯電される。
【0018】
前記感光体PRy〜PRkの上方には、中間転写装置の一例としてのベルトモジュールBMが配置されている。前記ベルトモジュールBMは、前記中間転写ベルトBと、中間転写体駆動部材の一例としてのベルト駆動ロールRd、張力付与部材の一例としてのテンションロールRt、蛇行防止部材の一例としてのウォーキングロールRw、従動部材の一例としてのアイドラロールRfおよび二次転写対向部材の一例としてのバックアップロールT2aと、前記1次転写器T1y,T1m,T1c,T1kとを有している。そして、前記中間転写ベルトBは、前記各ロールRd,Rt,Rw,Rf,T2aにより回転移動可能に支持されている。
【0019】
前記バックアップロールT2aに接する中間転写ベルトBの表面に対向して、2次転写部材の一例としての2次転写ロールT2bが配置されている。前記バックアップロールT2aと2次転写ロールT2bにより2次転写器T2が構成されている。また、2次転写ロールT2bおよび中間転写ベルトBの対向する領域により2次転写領域Q4が形成される。
前記1次転写領域Q3y,Q3m,Q3c,Q3kで一次転写器T1y,T1m,T1c,T1kにより中間転写ベルトB上に順次重ねて転写された単色または多色のトナー像は、前記2次転写領域Q4に搬送される。
前記一次転写器T1y〜T1k、中間転写ベルトBおよび二次転写器T2等により、感光体PRy〜PRkに形成された画像を媒体に転写する実施例1の転写装置T1+T2+Bが構成されている。
【0020】
前記可視像形成装置Uy〜Ukの下方には、案内部材の一例としての左右一対のガイドレールGRが3段設けられており、前記ガイドレールGRには、給紙部の一例としての給紙トレイTR1〜TR3が前後方向に出入可能に支持されている。給紙トレイTR1〜TR3に収容された媒体の一例としての記録シートSは、媒体取出し部材の一例としてのピックアップロールRpにより取り出され、媒体捌き部材の一例としてのさばきロールRsにより1枚ずつ分離される。そして、記録シートSは、媒体搬送路の一例であるシート搬送路SHに沿って媒体搬送部材の一例としての複数の搬送ロールRaにより搬送され、2次転写領域Q4のシート搬送方向上流側に配置された時期調節部材の一例としてのレジロールRrに送られる。前記シート搬送路SH、シート搬送ロールRa、レジロールRr等によりシート搬送装置SH+Ra+Rrが構成されている。
【0021】
レジロールRrは、前記中間転写ベルトBに形成されたトナー像が2次転写領域Q4に搬送されるのに時期を合わせて、前記記録シートSを2次転写領域Q4に搬送する。記録シートSが前記2次転写領域Q4を通過する際、前記バックアップロールT2aは接地され、2次転写器T2bには前記制御部Cにより制御される電源回路Eからトナーの帯電極性と逆極性の2次転写電圧が印加される。このとき、前記中間転写ベルトB上のトナー像は、前記2次転写器T2により記録シートSに転写される。
2次転写後の前記中間転写ベルトBは、中間転写体清掃器の一例としてのベルトクリーナCLbにより清掃される。
【0022】
前記トナー像が2次転写された記録シートSは、定着装置Fの加熱用定着部材の一例としての加熱ロールFhおよび加圧用定着部材の一例としての加圧ロールFpの接触領域である定着領域Q5に搬送され、前記定着領域を通過する際に加熱定着される。加熱定着された記録シートSは、媒体排出部材の一例としての排出ローラRhから媒体排出部の一例としての排紙トレイTRhに排出される。
なお、前記加熱ロールFh表面には、記録シートSの前記加熱ロールからの離型性を良くするための離型剤が離型剤塗布装置Faにより塗布されている。
【0023】
前記ベルトモジュールBMの上方にはイエローY,マゼンタM,シアンC,黒Kの各現像剤を収容する現像剤収容容器の一例としての現像剤カートリッジKy,Km,Kc,Kkが配置されている。各現像剤カートリッジKy,Km,Kc,Kkに収容された現像剤は、前記現像装置Gy,Gm,Gc,Gkの現像剤の消費に応じて前記各現像装置Gy,Gm,Gc,Gkに補給される。なお、実施例1では、現像装置Gy〜Gkに収容される現像剤として、磁性のキャリアと、外添剤が付与されたトナーとを含む二成分現像剤により構成されており、現像剤カートリッジKy〜Kkからは、現像装置Gy〜Gk内の現像剤に比べてキャリアに対するトナーの割合が多い、いわゆる高濃度トナーが補給される。
【0024】
(現像装置の説明)
図3は本発明の実施例1の現像装置の説明図であり、図3Aは現像容器カバーが除去された状態の要部断面斜視説明図、図3Bは供給オーガの説明図、図3Cは撹拌オーガの説明図である。
図4は図3AのIV−IV線断面図である。
図5は図3AのV−V線断面図である。
次に、前記本発明の実施例1の現像装置Gy,Gm,Gc,Gkの説明をするが、各色の現像装置Gy,Gm,Gc,Gkは同様に構成されているため、Y色の現像装置Gyについてのみ詳細な説明をし、その他の色の現像装置Gm,Gc,Gkについては、詳細な説明を省略する。
図2〜図5において、感光体PRyに対向して配置された現像装置Gyは、トナー及びキャリアとを含む2成分現像剤を収容する現像容器Vを有している。前記現像容器Vは、現像容器本体1と、図4に示すように現像容器本体1の上端を塞ぐ蓋部材の一例としての現像容器カバー2と、図3に示すように現像容器本体1の前端に連結された給廃棄部の一例としての給廃棄筒3とを有している。図4において、実施例1の現像容器Vは、感光体PRyに対向する現像領域Q2yに対応して、開口V1が形成されており、開放されている。
【0025】
図2〜図4において、現像容器本体1はその内側に、保持体収容部の一例としての現像ロール室4と、前記現像ロール室4に隣接する第1収容室の一例としての第1撹拌室6と、現像容器Vの横方向および縦方向の大きさを小型化するために前記第1撹拌室6の右斜め下方に隣接して配置された第2収容室の一例としての第2撹拌室7とを有している。前記現像ロール室4内には、現像剤保持体の一例としての現像ロールR0yが収容されており、前記現像ロールR0yは外表面の一部が開口V1で感光体PRy側に露出しており、感光体PRyに対向して配置されている。前記現像ロールR0yの回転方向上流側には、現像ロールR0y表面の現像剤の層厚を規制するための層厚規制部材8が設けられている。
なお、図4において、前記現像容器Vの前後両端部には、感光体PRyに対向する側に、現像ロールR0yと感光体PRyとの間隔を所定の間隔にするための突き当て部材Va、いわゆるトラッキング部材が支持されている。
【0026】
図3において、前記第1撹拌室6の前側には、給廃棄筒3内部の給廃棄室6aが接続されており、第2撹拌室7の前側には、給廃棄筒3内部の補給室7aが接続されている。図3において、前記給廃棄室6aの前端部の上面には、現像剤カートリッジKy,Km,Kc,Kkからの現像剤が補給される新規現像剤流入部の一例としての現像剤補給口3aが形成されている。また、図3、図5において、給廃棄室6aの後部の下面には、現像剤排出部の一例としての現像剤排出口3bが形成されており、現像剤排出口3bから内部の劣化した現像剤が排出されることで、内部のキャリアを少しずつ交換している。
【0027】
図3に示すように、前記現像容器本体1において、前記第1撹拌室6と第2撹拌室7との間には、両端部以外の部分に仕切壁9が形成されている。図3、図4において、前記第1撹拌室6及び第2撹拌室7は、後端部に配置された第1流入部の一例としての上昇流入部E1と、前側に配置された第2流入部の一例としての下降流入部E2において通じており、現像剤が循環可能に構成されている。前記下降流入部E2には、流入量を調整するための開口が形成された開口形成部材11が装着されている。
図3Aにおいて、実施例1では、現像ロールR0yによって現像が行われる現像領域Q2yの幅L1に対して、上昇流入部E1が重複する位置に配置されると共に、下降流入部E2は一部が重複して配置されている。
【0028】
また、前記現像剤給廃棄筒3において、給廃棄室6aと補給室7aとの間には、仕切壁12が形成されている。したがって、図3に示すように、給廃棄室6aと補給室7aとは、第3流入部の一例としての補給流入部E3により通じており、給廃棄室6aから補給室7aへ現像剤が流入可能に構成されている。
前記第1撹拌室6及び第2撹拌室7とによって循環撹拌室6+7が構成されている。
【0029】
図3、図4において、前記第1撹拌室6内には、現像剤を撹拌しながら搬送する第1搬送部材の一例であって現像ロールR0yに供給する供給部材の一例としての供給オーガ21が配置されている。
図3A、図3Bにおいて、前記供給オーガ21は、前記現像ロールR0yの軸方向に平行に伸びる第1回転軸22と、前記第1回転軸22の外周に支持された螺旋状の第1搬送羽根23とを有する。第1搬送羽根23は、給廃棄室6aの前端部に対応して配置された搬送羽根の一例としての第1の補給搬送羽根23aと、給廃棄室6aの中央部から後部に対応して配置された第4搬送部の一例としての廃棄搬送羽根23bと、給廃棄室3aの後端部から下降流入部E2の前側までに対応して配置された循環用の逆搬送部の一例としての循環搬送羽根23cと、下降流入部E2から第1撹拌室6の後端に対応して配置された第1搬送部の一例としての第1の主搬送羽根23dとを有する。
【0030】
実施例1の各搬送羽根23a〜23dは、それぞれ、螺旋状に形成されており、第1の補給搬送羽根23aと廃棄搬送羽根23b、廃棄搬送羽根23bと循環搬送羽根23c、循環搬送羽根23cと第1の主搬送羽根23dは、それぞれ、互いに逆巻きの螺旋で構成されている。
また、第1主搬送羽根23dの一回転で現像剤が移動する距離、すなわち、軸方向に隣接する羽根どうしの間隔、いわゆる、ピッチは、各搬送羽根23a〜23cよりも大きく設定されている。さらに、図4、図5において、実施例1では、第1撹拌室6に比べて、給廃棄室6aの断面積が小さく形成されており、これに伴って、図3Bに示すように、第1撹拌室6内に配置される循環搬送羽根23cと第1の主搬送羽根23dの外径に比べて、給廃棄室6a内に配置される補給搬送羽根23aと廃棄搬送羽根23bの外径が小さくなっている。
また、実施例1の供給オーガ21は、図4に示すように上昇流入部E1において、重力方向上方、第2現像剤収容室側、重力方向下方の順に移動し、後述する図5で示す前記補給流入部E3においても同様に移動する。
【0031】
図6は実施例1の供給オーガの上流端部の説明図であり、図6Aは要部拡大図、図6Bは羽根による現像剤の搬送の説明図、図6Cは羽根を挟んだ現像剤の量の説明図である。
図3B、図6において、第1の主搬送羽根23dによる現像剤搬送方向である第1搬送方向Ybに対して、上流端である後端では、螺旋状の第1の主搬送羽根23dの1巻き分の後端羽根23d1は、ピッチがその他の部分に比べて大きくなっている。したがって、第1の主搬送羽根23dの後端羽根23d1は、その他の部分に比べて、第1回転軸22側に傾斜、いわゆる寝た状態となっている。したがって、後端羽根23d1は、その他の部分に比べて、軸方向に現像剤を搬送する能力が低下すると共に、現像ロールR0y側に現像剤を送る能力が高くなっている。
【0032】
図3B、図6において、供給オーガ21の後端部には、端部送り羽根の一例として、上流端パドル23eが設けられている。実施例1の上流端パドル23eは、第1回転軸22の軸方向に沿って延びる板状に形成されている。また、上流端パドル23eは、上流端が後端羽根23d1に連結されると共に、下流端面23e1は、下流側の第1の主搬送羽根23dとの間に隙間SP1をあけて形成されている。さらに、実施例1では、上流端パドル23eの下流端面23e1は、上流側である後側に行くに連れて、径方向の外端が第1回転軸22から離れる方向に傾斜して形成されている。
なお、実施例1の上流端パドル23eは、傾斜している下流端面23e1を除く部分の上流端パドル23eの外径は、第1の主搬送羽根23dと同一の外径に設定されている。また、上流端パドル23eは、上昇流入部E1に対応して配置されており、上流端パドル23eと上昇流入部E1とが部分的に重複するように配置されている。
【0033】
図3B、図6において、上流端パドル23eの前方には、補助羽根の一例として、小羽根23fが設けられている。実施例1の小羽根23fは、第1回転軸22の軸方向に沿って延びる板状に形成されている。また、小羽根23fは、下流端が第1の主搬送羽根23dに連結されると共に、上流端面23f1は、上流側の第1の主搬送羽根23dとの間に隙間SP2をあけて形成されている。さらに、実施例1では、小羽根23fの上流端面23f1は、下流側である前側に行くに連れて、径方向の外端が第1回転軸22から離れる方向に傾斜して形成されている。
なお、実施例1の小羽根23fは、傾斜している上流端面23f1を除く部分の小羽根23fの外径は、第1の主搬送羽根23dや上流端パドル23eに比べて小径に形成されている。
【0034】
また、小羽根23fは、上昇流入部E1よりも下流側に配置されており、小羽根23fの上流端面23f1の先端が上昇流入部E1の下流端近傍に配置されている。なお、小羽根23fの上流端面23f1の一部が、上昇流入部E1に重複する配置とすることも、上昇流入部E1と小羽根23fが重複しない配置とすることも可能である。
さらに、実施例1の供給オーガ21では、小羽根23fは、第1回転軸22の回転方向に対して、180°位相が異なる位置に2つ配置されている。
【0035】
図7は実施例1の供給オーガの下流端部の要部拡大図である。
図3B、図7において、実施例1の供給オーガ21では、第1の主搬送羽根23dの下流端である前端23d2と、循環搬送羽根23cの上流端である後端23c1とは、第1回転軸22の軸方向に離れた位置に配置されており、前端23d2と後端23c1との間には隙間SP3が形成されている。そして、第1の主搬送羽根23dの前端23d2と、循環搬送羽根23cの後端23c1とは、第1回転軸22の回転方向に対して、同位相に形成されている。
なお、実施例1では、循環搬送部材23cは、第1回転軸22を2周する2巻き分形成されている。すなわち、巻き数が2巻きに設定されている。
【0036】
同様にして、循環搬送羽根23bの前端23c2と、廃棄搬送羽根23bの上流端である後端23b1とが、軸方向に離れた位置に配置され、隙間SP4が形成されている。そして、循環搬送羽根23bの前端23c2と廃棄搬送羽根23bの後端23b1とが、第1回転軸22の回転方向に対して、同位相に形成されている。
また、実施例1では、前記供給オーガ21は、第1回転軸22と第1搬送羽根23は樹脂により一体形成されているが、軸と搬送羽根を別体で構成して組み立てることも可能である。さらに、実施例1では、前記各搬送羽根23a〜23dは、1つの第1回転軸22に設けられているが、この構成に限定されず、例えば、第1の補給搬送羽根23aとその回転軸、廃棄搬送羽根23bとその回転軸、循環搬送羽根23cとその回転軸、第1主撹拌搬送羽根23dとその回転軸、というように別体に構成することが可能である。
【0037】
図3A、図3Cにおいて、前記第2撹拌室7内には、現像剤を撹拌しながら搬送する第2搬送部材の一例であって現像剤を撹拌する撹拌部材の一例としての撹拌オーガ26が配置されている。前記撹拌オーガ26は、前記現像ロールR0yの軸方向に沿って延びる第2回転軸27と、前記第2回転軸27の外周に支持された螺旋状の第2搬送羽根28とを有する。第2搬送羽根28は、補給室7aに対応して配置された第2の補給搬送羽根28aと、下降流入部E2から上昇流入部E1の前側までに対応して配置された第2の主搬送羽根28bと、第2撹拌室7の後端部に配置された逆搬送羽根28cとを有する。
【0038】
なお、実施例1では、各羽根28a〜28cは、螺旋状に形成されており、第2の主搬送羽根28bのピッチは、各搬送羽根23a〜23cのピッチよりも大きく設定されている。また、図3に示すように、第2の主搬送羽根28bの設けられている領域には、予め設定された間隔をあけて、複数の平板状の撹拌部材28dが第2回転軸28に支持されている。図3Cにおいて、前記逆搬送羽根28cの左側には、撹拌部の一例としての撹拌パドル28eが第2回転軸28に支持されている。前記撹拌部材28dおよび撹拌パドル28eは、第2回転軸28の軸方向に沿った搬送力に比べて、周方向への搬送力が大きくなっており、特に、実施例1では、第2回転軸28に沿った板状の部材により構成されており、前記撹拌部材28dおよび撹拌パドル28eによる軸方向の搬送力はほとんどない。
【0039】
また、実施例1の撹拌オーガ26も、供給オーガ21と同様に、一体形成されている。さらに、実施例1では、前記各羽根28a〜28cは、1つの第2回転軸27に設けられているが、この構成に限定されず、例えば、第2の補給搬送羽根28aとその回転軸、第2の主搬送羽根28bとその回転軸、逆搬送羽根28cとその回転軸、というように別体に構成することが可能である。
【0040】
前記各搬送部材21,26が回転すると、現像剤補給口3aから補給された現像剤は、第1の補給搬送羽根23aと廃棄搬送羽根23bにより、補給流入部E3に流入し、補給室7aに搬送される。補給室7aに搬送された現像剤は、第2の補給搬送羽根28aにより現像容器本体1内の第2撹拌室7に搬送され、第2の主搬送羽根28bにより、第2搬送方向Yaに搬送される。上昇流入部E1まで搬送された現像剤は、第2の主搬送羽根28bと、第2搬送方向とは逆方向に搬送する逆搬送羽根28cとにより、滞留して現像剤量が増加し、斜め上方の第1撹拌室6に流入する。このとき、実施例1では、第2撹拌室7が前記第1撹拌室6の右斜め下方に隣接して配置されているので、第2撹拌室7に配置された撹拌オーガ26の回転方向が、図4において時計回りの方向、つまり重力方向下方、第1撹拌室6に対向する側、重力方向上方の順に回転する方向に設定されており、回転時に第2の主搬送羽根28bや逆搬送羽根28cにより左上方、すなわち、第1撹拌室6側に寄せて持上げるように搬送され、第1撹拌室6への流入が補助されている。
【0041】
第1撹拌室6に流入した現像剤は、第1の主搬送羽根23dにより、第2現像剤搬送方向Yaとは逆方向の第1現像剤搬送方向Ybに搬送される。第1撹拌室6を搬送される現像剤は、搬送中に現像ロールR0y表面に磁力により付着し、現像に使用される。下降流入部E2まで搬送された現像剤は、第1現像剤搬送方向Ybとは逆方向に現像剤を搬送しようとする循環搬送羽根23cにより、下降流入部E2に滞留し、重力により下降流入部E2を通じて第2撹拌室7に流入する。この結果、撹拌部材21,26により撹拌室6,7内の現像剤が撹拌されながら循環、搬送される。
また、下降流入部E2の現像剤が多くなると、その一部は、循環搬送羽根23cにより逆方向に搬送しきれず、給廃棄室7a側の廃棄搬送羽根23bまで流入する場合がある。この場合、循環搬送羽根23cを越えて廃棄搬送羽根23b側に流入した現像剤は、廃棄搬送羽根23bにより現像剤排出口3bに搬送されて廃棄される。したがって、現像時に負荷を受けて劣化した現像剤が少しずつ現像剤排出口3bから廃棄される。
【0042】
(駆動系および歯車列の説明)
図8は実施例1の現像装置の駆動系および歯車列の斜視説明図である。
図9は図8の歯車列の要部説明図である。
図8において、現像装置Gyの後端には、歯車列の一例としてのギア列31が配置されている。図8、図9において、前記ギア列31は、現像ロールR0yの駆動軸32aに支持されて、被駆動体の一例としての現像ロールR0yを駆動する現像歯車の一例であって被伝達歯車の一例としての現像ロールギア32を有する。
現像ロールギア32には、第1の中間歯車の一例としての第1中間ギア33が噛み合っており、現像容器Vの後端壁に支持された軸33aに回転可能に支持されている。
第1中間ギア33には、第2の中間歯車の一例としての供給ギア34が噛み合っており、供給ギア34は、被駆動体の一例としての供給オーガ21の第1回転軸22の後端に支持されている。
【0043】
供給ギア34には、第3の中間歯車の一例としての2段ギア36が噛み合っており、現像容器Vの後端壁に支持された軸36aに対し、回転可能に支持されている。実施例1の2段ギア36は、被伝達歯車側である供給ギア34に直接噛み合う第2の調整歯車の一例としての前側調整ギア36bと、前側調整ギア36bと同一の軸36aに支持された第1の調整歯車の一例としての後側調整ギア36cとを有する。
また、実施例1の各調整ギア36b,36cは、同一の歯数を有する斜歯歯車により構成されている。
【0044】
また、実施例1の各調整ギア36b,36cは圧入によって互いを固定しており、圧入時に互いの回転位置を調整することで、前側調整ギア36bと後側調整ギア36cの位相を調整することが可能に構成されている。
なお、実施例1では、前側調整ギア36bに対する後側調整ギア36cの位相をずらしながら、ギアの個体差やギアどうしの噛み合わせ等に起因する現像ロールR0yの回転速度の変動、いわゆる回転ムラを測定して、回転ムラが小さくなるように、前側調整ギア36bに対する後側調整ギア36cの位相を設定する。なお、設定方法は後述する。
【0045】
2段ギア36の前側中間ギア36bには、前側中間ギア36bと供給ギア34の噛合位置よりも上流側で、被伝達歯車の一例としての撹拌ギア37に噛み合っている。撹拌ギア37は、被駆動体の一例としての撹拌オーガ26の第2回転軸27の後端に支持されている。
2段ギア36の後側中間ギア36cには、装置本体U2から延び且つ図示しない駆動源からの駆動が伝達される伝達歯車の一例としての駆動ギア38が噛み合っている。
なお、実施例1では、前記各ギア32〜38は、斜歯歯車で構成されている。また、第1中間ギア33、供給ギア34、2段ギア36により実施例1の中間ギア33〜36が構成されており、前記各ギア32〜38により、実施例1のギア列31が構成されている。
【0046】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1の複写機Uでは、現像装置Gy〜Gkにおいて循環される現像剤は、上昇流入部E1では、重力方向とは逆方向に現像剤が持ち上げ、汲み上げられると共に、汲み上げられた現像剤が供給オーガ21で下流側に搬送される。したがって、上昇流入部E1が現像領域Q2y〜Q2kの幅L1内にある現像装置Gy〜Gkでは、汲み上げられた現像剤が供給オーガ21で速やかに搬送されすぎると、現像ロールR0yの後端部で、現像剤が不足して、現像ロールR0y〜R0kへの供給不足が発生し、画像形成不良が発生する恐れがある。ここで、実施例1では、現像ロールR0y〜R0kの端部に対応して、現像剤を搬送する能力が無い上流端パドル23eが配置されており、第1撹拌室6に汲み上げられた現像剤の搬送性能、搬送能力、搬送速度が低下すると共に、上流端パドル23eが現像剤を現像ロールR0y〜R0kに向けて送る。したがって、現像ロールR0y〜R0kの端部における現像剤の供給不足が低減され、現像ロールR0y〜R0kの軸方向における現像むら、濃度むらが低減される。
【0047】
また、実施例1では、第1の主撹拌羽根23dの後端羽根23d1は、他の部分に比べて、傾斜角度が小さく、上流端パドル23eに近づいており、搬送能力が低下している。したがって、現像ロールR0y〜R0kの端部に、現像剤が供給されやすく、現像剤の供給不足が低減されている。
さらに、実施例1では、上流端パドル23eの下流端面23e1と、下流側の第1の主搬送羽根23dとの間に隙間SP1が形成されている。したがって、隙間SP1が形成されていない場合に比べて、現像剤の搬送能力が低下しすぎることが防止されており、上流端パドル23eの下流側で、現像剤が不足することが低減されている。
【0048】
また、実施例1では、上流端パドル23eの下流端面23e1は、後方に行くに連れて、径が大きくなるように傾斜して形成されている。したがって、下流端面23e1が傾斜せずに、第1回転軸22に対して、直交する径方向に延びている場合には、下流端23e1を境に、現像剤の搬送力が不連続に変化し、現像ロールR0y〜R0kの端部において、濃度むらが発生することがあったが、下流端面23e1が傾斜する実施例1の供給オーガ21では、搬送力が少しずつ変化しており、現像ロールR0y〜R0kの端部における濃度むらの発生が低減されている。
【0049】
さらに、実施例1では、上流端パドル23eの下流側に小羽根23fが形成されており、現像剤の搬送力が低下されている。したがって、上流端パドル23eが搬送能力を低下させており、上流端パドル23eを有しない構成に比べて、小羽根23fが配置された下流側に搬送される現像剤が少なくなっている。例えば、現像剤カートリッジKy〜Kcが空になった状態で現像が継続される等して、現像装置Gy〜Gk内の現像剤の総量が低下すると、上流端パドル23eの下流側で、現像剤の供給不足になる可能性がある。これに対して、実施例1では、上流端パドル23eの下流側に、現像剤の搬送能力が小さい小羽根23fが配置されており、搬送能力が低減され、現像剤が溜まりやすくなっており、供給不足が低減されている。特に、実施例1の小羽根23fは、径方向の長さが短く形成されており、上流端パドル23eよりも搬送能力を低下させる機能は小さく、搬送能力を低下しすぎず、小羽根23fの下流側で供給不足が発生しにくいように設定されている。
【0050】
また、実施例1の小羽根23fは、第1の主搬送羽根23dから上流側に延びている。すなわち、螺旋状の第1の主搬送羽根23dが現像剤を搬送する際には、図6Bに示すように第1の主搬送羽根23dの下流側の面で現像剤を下流側に押すことで搬送されており、第1の主搬送羽根23dの下流側には、比較的多くの現像剤が存在するが、上流側には、現像剤が少なく、図6Cに示すような現像剤の分布となりやすい。これに対応して、実施例1では、現像剤が少なくなりやすい第1の主搬送羽根23dの上流側に小羽根23fを設けて現像剤を滞留し易くしており、現像剤の分布のばらつき、むらが低減されている。
さらに、実施例1の小羽根23fは、第1の主搬送羽根23dとの間に隙間SP2が形成されており、上流端パドル23eと同様に、搬送力が低下しすぎることが低減されている。また、実施例1の小羽根23fの上流端面23f1が、下流側に行くに連れて半径が大きくなるように傾斜して構成されており、上流端パドル23eと同様に、搬送能力が不連続に変化することが防止され、濃度むらの発生が低減されている。
【0051】
図10は従来の現像剤搬送部材の説明図であり、図10Aは隙間が形成されていない構成の説明図、図10Bは図10Aに示す状態から90°回転した状態の説明図、図10Cは位相が揃っていない構成の説明図、図10Dは図10Cに示す状態から90°回転した状態の説明図である。
図10において、従来の現像剤搬送部材では、互いに逆方向に現像剤を搬送する搬送羽根01、02の端部は、図10A、図10Bに示すように、軸方向に沿って一部が重複していたり、図10C、図10Dに示すように端部の位相が揃えられていなかったり、あるいはその両方となるように形成されていた。
図10A、図10Bにおいて、第1の主搬送羽根01の前端01aが、循環搬送羽根02の後端02aよりも前方まで設けられている場合、図7に示す実施例1の隙間SP3のように、軸方向に沿って羽根が配置されていない隙間が設けられていない。したがって、第1の主搬送羽根01により第1搬送方向03に搬送される現像剤は、搬送速度が低下することなく、循環搬送羽根02により逆方向04に搬送される現像剤と衝突し、滞留する。したがって、現像剤が負荷を受け、劣化が早まる恐れがある。
【0052】
これに対して、図7に示す実施例1の供給オーガ21では、第1の主搬送羽根23dの前端23d2と、循環搬送羽根23cとの間には、軸方向に沿って羽根が配置されていない隙間SP3が形成されており、第1の主搬送羽根23dで搬送された現像剤は、隙間SP3で搬送速度が低下した状態で、下流側の循環搬送羽根23cからの現像剤と衝突する。よって、実施例1では、隙間SP3を有しない供給オーガに比べて、下降流入部E2における現像剤の劣化が低減されている。また、隙間SP3を有しない供給オーガに比べて、第1の主搬送羽根23dにより搬送されてきた現像剤が隙間SP3で滞留しやすく、現像剤を下降流入部E2に流入させる性能が向上している。
【0053】
また、図10C、図10Dにおいて、位相が揃えられていない場合や、図10A、図10Bに示すように、第1の主搬送羽根01の前端01aが、循環搬送羽根02の後端02aよりも前方まで設けられている場合では、循環搬送羽根02の後端02aで逆方向04に送られた現像剤は、第1の主搬送羽根01に押されて、循環搬送羽根02の上流側に潜り込むように戻される。したがって、第1の主搬送羽根01と循環搬送羽根02との境界部分で、現像剤を十分に滞留させられにくくなると共に、現像剤が同じ所を往復するように移動し、下降流入部E2から流出しにくく、現像剤の入れ替えが円滑に進まず、劣化しやすくなる。
【0054】
これに対して、図7に示す実施例1の供給オーガ21では、第1の主搬送羽根23dの前端23d2と、循環搬送羽根23cの後端23c1とは、同位相に設定されており、図10A〜図10Dに示す場合に比べて、現像剤が反対側に戻されることが防止されている。したがって、隙間SP3において、現像剤が滞留しやすくなって、下降流入部E2に現像剤が流入する性能が向上している。また、現像剤が同じ所を往復することが防止されており、現像剤の入れ替えが円滑に行われ、劣化が低減されている。特に、供給オーガ21の現像剤の搬送速度が高くなっても、第1の主搬送羽根23dで搬送されてくる現像剤を戻して、滞留、流入させる能力が十分維持されると共に、現像剤の入れ替え、循環がされ、劣化が低減される。
【0055】
図7において、実施例1の供給オーガ21では、第1の主搬送羽根23dの前端23d2および循環搬送羽根23cの後端23c1と同様に、循環搬送羽根23bの前端23c2と、廃棄搬送羽根23bの上流端である後端23b1との間に、隙間SP4が形成されると共に、循環搬送羽根23bの前端23c2と廃棄搬送羽根23bの後端23b1とが、同位相に形成されている。したがって、隙間SP4に対応する領域でも、現像剤の搬送速度が低下すると共に、入れ替えが円滑に行われ、現像剤の劣化が低減されている。
【0056】
また、図7において、実施例1の供給オーガ21では、循環搬送部材23cの巻き数を2巻きにしており、1巻きや1.5巻きの場合に比べて、現像剤を下降流入部E2側に送る能力が高くなっている。したがって、複写機Uの画像形成速度、いわゆる生産性が高くなって、第1の主搬送羽根23dによる搬送速度が高くなっても、現像剤が下降流入部E2に送られ、循環搬送部材23cを越えて排出口3bから排出される現像剤が過多になることが低減されている。
【0057】
図11は従来技術におけるギア列の説明図であり、図11Aはギアどうしの噛合位置の成す角度と歯数との関係を説明する説明図、図11Bは斜歯歯車の歯の山について軸方向一端から他端まで移動した場合に他端が隣の歯の山の一端の位置と一致する場合の説明図、図11Cは斜歯歯車の歯の山について軸方向一端から他端まで移動した場合に他端が隣の歯の山の一端の位置と一致しない場合の説明図である。
なお、図11において、説明および理解の容易のため、斜歯歯車の歯は2つのみ記載し、その他の歯の記載は省略している。
次に、ギア列のギアの噛み合いの位相差について検討する。
【0058】
図11Aに示すように、平歯車で構成された従来のギア列の調整方法では、入力ギア011、中間ギア012、出力ギア013を有するギア列において、増速する場合には、入力ギア011と中間ギア012との噛合位置Aから、中間ギア012と出力ギア013との噛合位置Bまでが、中間ギア012の回転方向に沿って角度αだけ傾斜している場合に、角度αが、360°を中間ギア012の歯数で割った値である基準角度γの整数倍の時に、噛合位置Aと噛合位置Bとが同じ噛合位相となる。すなわち、噛合位置Aで中間ギア012の歯が山であれば、噛合位置Bでも中間ギア012の歯も山となる。一方、角度αが角度γの整数倍でないときは噛合位置Aと噛合位置Bとが位相差を生じる。ここで、角度αを基準角度γで割った余りを、ギアの配列、いわゆるレイアウトによる位相差δとする。
【0059】
図11Bにおいて、斜歯歯車021の歯の山022について、山022の一端022aから山022の他端022bまで移動した場合に、他端022bの位置が、隣の歯の山023の一端023aの位置と一致する場合を考える。この斜歯歯車021では、噛み合いの位相は、両端022a,022bの断面形状の平歯車分だけずれたものとみなすことができ、1歯分、すなわち、基準角度γ分だけ位相がずれたものとみなすことができる。なお、噛合位置Bにおける位置022bが、整数n個だけ隣の歯である場合は、n×γ分だけ位相がずれたものとみなすことができる。
【0060】
図11Cにおいて、斜歯歯車021′の歯の山022′について、山022′の一端022a′から他端022b′まで移動した場合に、一端022b′の位置が、隣の歯の山023′の一端023a′の位置と一致しない場合を考える。この斜歯歯車021′では、図11Bに示す1歯分だけずれる場合の斜歯歯車021の軸方向の長さをLとし、図11Cに示す斜歯歯車021′の軸方向の長さをL′=L+ΔLとし、歯のねじれ角をβとし、斜歯歯車021の歯数をNとし、斜歯歯車021のピッチ円の直径をDとし、1歯分の位相のズレを360°と仮定し、360°=0°、すなわち、歯数の整数倍ずれた場合に平歯車と同位相とした場合に、噛み合いの位相差ΔSは、以下の式(1)で表される。
(噛合の位相差ΔS)
=360°×ΔL/L
=360°×(L′−L)/L
=360°×{L′−π×D/(N×tanβ)}/{π×D/(N×tanβ)}
…式(1)
【0061】
図12は実施例1の二段ギアに関する説明図であり、図12Aは二段ギアの軸方向の繋ぎ目が連続している場合の説明図、図12Bは二段ギアの繋ぎ目部分が軸方向に離れ且つ繋ぎ目の両端で同位相の場合の説明図、図12Cは二段ギアの繋ぎ目部分が軸方向に離れ且つ繋ぎ目を跨いで歯が連続して形成されている場合の説明図である。
図12において、実施例1の二段ギア36の場合では、図12Aに示すように、2つの調整ギア36b,36cの繋ぎ目が無い状態では、図11Cに示すように、式(1)の関係が成立する。図12Bにおいて、2つの調整ギア36b,36cの間に、軸方向に離れた隙間や、いわゆるスペーサ等の隙間形成部材により繋ぎ目41が発生する場合、繋ぎ目41の両端41a,41bにおいて、歯の位相が一致する場合には、図12Aに示す状態と一致し、式(1)の関係が成立する。
【0062】
図12B、図12Cにおいて、図12Bに示す繋ぎ目41の両端41a,41bで歯の山が一致した状態から、図12Cに示すように繋ぎ目41の両端41a,41bで歯の山がずれた状態になると、位相がそれだけ分ずれたことになり、補正が必要となる。なお、繋ぎ目41を跨いで歯の山が連続した状態の方が、実験者にとって確認しやすいため、後述する実験例では、図12Bではなく、図12Cに示す状態を位相0°として実験を行っている。
【0063】
(実験例)
実験例では、従来技術の平歯車における振動を低減する技術を、斜歯歯車に適用した場合について計算を行った。
実験は、一例として、実施例1の駆動ギア38、二段ギア36、現像ギア32を使用して、同速で回転する場合について行った。このとき、駆動ギア38と後側調整ギア36cとが噛み合う噛合位置Aから、前側調整ギア36bと供給ギア34とが噛み合う噛合位置Bまでの角度αが、α=194.785°であった。このとき歯数が17であったため、基準角度γが、γ=360°/17=21.176°であった。したがって、基準角度γの整数倍に対するαの差分は、9×γ−α=4.19676°であった。この差分の基準角度γに対する割合は、4.19676/21.176=0.19818であり、基準角度γ分のズレを360°の位相のズレと定義した場合に、レイアウトによる位相差δは、δ=360°×0.19818=71.34°となる。
【0064】
次に、ギアの位相差ΔSについて計算する。実施例1では、後側調整ギア36cが、ピッチ円の円周長さが50.539[mm]、歯数が17、ねじれ角βがβ=18°(右)、噛合歯幅L′=11[mm]であり、基準歯幅LがL=9.149591であった。したがって、後側調整ギア36cの位相差ΔS1=72.80623°であった。
また、前側調整ギア36bが、ピッチ円の円周長さが45.468[mm]、歯数が17、ねじれ角βがβ=20°(右)、噛合歯幅L′=12.5[mm]であり、基準歯幅LがL=7.348371であった。したがって、前側調整ギア36bの位相差ΔS2=252.3806°であった。
使用時の二段ギア36の回転方向は、二段ギア36の後側調整ギア36cの側から見たとき時計回りであり、二段ギア36を構成する前側調整ギア36および後側調整ギア36cのねじれ方向はどちらも右であったので、前側調整ギア36bの位相差を「+」、後側調整ギア36cの位相差を「−」として、ギアの位相差ΔS=ΔS1+ΔS2=+179.5744°であった。
【0065】
次に、繋ぎ目における補正を行う。繋ぎ目の隙間の長さを、各調整ギア36b,36cの基準歯幅Lに応じて分配した長さが、前側調整ギア36b側が1.75[mm]、後側調整ギア36c側が2.2[mm]であった。それぞれ、この長さを、各基準歯幅Lで割った割合について、基準歯幅Lにおける位相差を360°と定義して換算すると、前側の繋ぎ目で、85.73329°、後側で86.56125°であった。したがって、繋ぎ目における補正値は、両者を加算して、172.2945°であった。
したがって、レイアウトによる位相差δ、ギアの歯による位相差ΔS、繋ぎ目による補正値を加算すると、423°=63°となった。ここで、同速で回転するため、噛合位置Aと噛合位置Bとで逆位相とするためには、180°−63°=117°となり、前側調整ギア36bを、後側調整ギア36cに対して、117°戻した位置に移動させれば良いことが計算上は導出される。
【0066】
これに対して、実施例1において、前側調整ギア36bと後側調整ギア36cとが組まれて一体となった二段ギア36の試作品を位相差を規定せずに発注し、納品された様々な位相差を持つギアの中から位相差が、0°、45°、101°、124°、146°、203°、259°、293°、315°であるものを選んで実験を行った。このとき、現像ロールR0y〜R0kの回転ムラ、すなわち速度変動に起因して、画像に発生する濃度が筋状に濃い部分や薄い部分、いわゆるバンディングを濃度変動の大きさで評価した。測定結果を図13に示す。
【0067】
図13は実施例1の実験結果の説明図であり、横軸に位相差を取り縦軸に濃度変動を取ったグラフである。
図13において、傾向としては、正弦波状の分布となっており、45°〜90°の範囲がバンディングが最も目立たず、250°程度がバンディングが最も目立つ結果となった。したがって、実施例1では、45°〜90°となるように調整ギア36b,36cの間の位相差を設定する。
【0068】
したがって、実験結果から、平歯車に関する従来技術を単純に斜歯歯車の実施例1に適用したとしても、回転ムラが低減されないことが確認された。すなわち、平歯車は、回転に伴って、相手のギアの歯に接触する歯が切り替わっていくのに対して、斜歯歯車では、接触する点が軸方向に連続的に変化しており、単純に適用はできない。また、従来の技術では、回転ムラをなくすためには、平歯車の歯数や噛合位置の角度、すなわち、3つのギアの回転軸の位置が制限され、設計の自由度が厳しく制限される。
これに対して、実施例1では、各ギア32〜38を配列した状態で、2段ギア36における調整ギア36b,36cの位相差をずらしていって、回転ムラを測定し、回転ムラが小さくなる位相差に調整することが可能である。したがって、設計を自由に行った後に、位相差で回転ムラを調整することが可能な構成になっており、設計の自由度が向上しつつ、回転ムラが低減されている。
【0069】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H015)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、画像形成装置の一例としての複写機を例示したが、これに限定されず、例えば、プリンタ、FAX、あるいはこれらの複数または全ての機能を有する複合機等により構成することも可能である。
(H02)前記実施例において、複写機Uは、4色の現像剤が使用される構成を例示したが、これに限定されず、例えば、単色の画像形成装置や、5色以上または3色以下の多色の画像形成装置にも適用可能である。
【0070】
(H03)前記実施例において、上流端パドル23eや小羽根23fと第1の主搬送羽根23dとの間に隙間SP1、SP2を設けることが望ましいが、隙間を無くして、第1の主搬送羽根23dに連結することも可能である。逆に、一方の端を主搬送羽根23dに対して連結したが、両方の端を主搬送羽根23dから離れた構成とすることも可能である。
(H04)前記実施例において、上流端パドル23eや小羽根23fの端面23e1,23f1を傾斜させることが望ましいが、傾斜させず、径方向に延びる端面とすることも可能である。
【0071】
(H05)前記実施例において、小羽根23fを設けることが望ましいが、省略することも可能である。
(H06)前記実施例において、上流端パドル23eや小羽根23fを軸方向に延びる板状の形状としたが、この構成に限定されず、軸方向に対して、傾斜した板状や、複数の板により構成することも可能である。
(H07)前記実施例において、第1撹拌室6と第2撹拌室7とが斜めに配置された現像装置Gy〜Gkを例示したが、この構成に限定されず、第1撹拌室6と第2撹拌室7とが水平方向または重力方向に並べて配置された現像装置にも適用可能である。
【0072】
(H08)前記実施例において、第1の主搬送羽根23dの後端羽根23d1の形状を、その他の部分の形状よりも、第1回転軸22側に寝た形状とすることが望ましいが、この構成に限定されず、その他の部分の形状と同一にすることも可能である。
(H09)前記実施例において、第1の主搬送羽根23dとして、螺旋状の螺旋羽根を例示したが、この構成に限定されず、例えば、半円状の板を第1回転軸22に傾斜した状態で支持する構成とすることも可能である。
(H010)前記実施例において、各螺旋羽根23a〜23d、28a〜28cの巻き数やピッチ等は、実施例に例示した構成に限定されず、設計や仕様等に応じて任意に変更可能である。
【0073】
(H011)前記実施例において、循環搬送羽根23cの後端23c1と第1の主搬送羽根23dの前端23d1や、循環搬送羽根23c1の前端23c2と廃棄搬送羽根23bの後端23b1の位相を揃えることが望ましいが、いずれか一方または両方の位相をずれたものとすることも可能である。逆に、第1の補給搬送羽根23aの後端と廃棄搬送羽根23bの前端の位相も揃えることも可能である。
(H012)前記実施例において、循環搬送羽根23cと第1の主搬送羽根23dとの間や循環搬送羽根23cと廃棄搬送羽根23bとの間に隙間SP3,SP4を設けることが望ましいが、いずれか一方または両方を省略することも可能である。
(H013)前記実施例において、上流端パドル23eを設けることが望ましいが、省略することも可能である。
【0074】
(H014)前記実施例において、ギア列31の2段ギア36は、駆動ギア38に噛み合うギアとすることが望ましいが、この構成に限定されず、例えば、供給ギア34や第1中間ギア33を2段ギアとすることも可能である。あるいは、現像ロールギア32を2段ギアとすることも可能である。すなわち、ギア列31のいずれかのギアを2段ギアとして、位相差を調整して、回転ムラを低減させることが可能である。
(H015)前記実施例において、2段ギア36だけで位相差を調整する方が、調整が容易であり、望ましいが、この構成に限定されず、供給ギア34や第1中間ギア33も2段ギアとして、各2段ギアで位相差を調整可能な構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0075】
31…歯車列、
32,34,37…被伝達歯車、
33,34,36…中間歯車、
36b…第2の調整歯車、
36c…第1の調整歯車、
38…伝達歯車、
F…定着装置、
Gy,Gm,Gc,Gk…現像装置、
LHy,LHm,LHc,LHk…潜像形成装置、
PRy,PRm,PRc,PRk…像保持体、
R0y,R0m,R0c,R0k…現像剤保持体、
R0y,R0m,R0c,R0k,21,26…被駆動体、
T1+T2+B…転写装置、
U…画像形成装置。
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯車列の調整方法、現像装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の複写機やプリンタ等の画像形成装置において、駆動を伝達する歯車列に関して、以下の特許文献1に記載の技術が従来公知である。
【0003】
特許文献1としての特開2003−240065号公報には、モータ軸に切った駆動ギア(101)から駆動が伝達される平歯車により構成された第1ギア(111)と、第1ギア(111)に噛み合う平歯車により構成された第2ギア(112)と、第2ギア(112)に噛み合い且つ駆動ギア(101)に対して同速または減速駆動される平歯車により構成された第3ギア(113)と、を有する多連ギア列(2)において、大径ギア(111a)と同軸に小径ギア(111b)とを固定した2段ギアで第1ギア(111)を構成し、小径ギア(111b)と第2ギア(112)とが噛み合う入力側噛合箇所(A)で、第2ギア(112)のギア歯(121)の山(または谷)が噛み合っていれば、第3ギア(113)と第2ギア(112)とが噛み合う出力側噛合箇所(B)で、第2ギア(112)のギア歯(121)の谷(または山)が噛み合うように、歯数や噛合箇所の位置を設定する技術が記載されている。
【0004】
また、特許文献1には、第3ギア(113)が駆動ギア(101)に対して増速される場合には、入力側噛合箇所(A)と出力側噛合箇所(B)で、山どうしまたは谷どうしで噛み合うように設定する技術も記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−240065号公報(「0018」〜「0022」、「0037」〜「0039」、図2〜図8、図15〜図16)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、歯車の速度変動を低減しつつ設計の自由度を高めることを技術的課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記技術的課題を解決するために、請求項1記載の発明の歯車列の調整方法は、
駆動源からの駆動が伝達され且つ斜歯歯車で構成された伝達歯車と、
被駆動体に駆動を伝達し且つ斜歯歯車で構成された被伝達歯車と、
前記伝達歯車の駆動を前記被伝達歯車に伝達する中間歯車であって、前記伝達歯車側に噛み合う第1の調整歯車と、前記被伝達歯車側に噛み合い且つ前記第1の調整歯車と同軸に支持された第2の調整歯車と、を少なくとも有する前記中間歯車と、
を備えた歯車列の調整方法であって、
前記第1の調整歯車および第2の調整歯車の回転方向に対して、前記第1の調整歯車に対する前記第2の調整歯車の相対的な位相の差をずらしながら前記被伝達歯車の回転ムラを測定して、前記回転ムラが小さくなる位相の差に基づいて、前記第1の調整歯車と前記第2の調整歯車との位相の差を設定する
ことを特徴とする。
【0008】
前記技術的課題を解決するために、請求項2記載の発明の現像装置は、
表面に潜像が形成された像保持体に対向して回転し且つ前記潜像を可視像に現像する現像剤保持体と、
前記現像剤保持体に駆動を伝達する前記被伝達歯車を有する前記歯車列であって、請求項1に記載の歯車列の調整方法で調整された前記歯車列と、
を備えたことを特徴とする。
【0009】
前記技術的課題を解決するために、請求項3記載の発明の画像形成装置は、
回転する像保持体と、
前記像保持体表面に潜像を形成する潜像形成装置と、
前記像保持体表面の潜像を可視像に現像する請求項2に記載の現像装置と、
前記像保持体表面の可視像を媒体に転写する転写装置と、
前記媒体表面の可視像を定着する定着装置と、
を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1に記載の発明によれば、第1の調整歯車と第2の調整歯車の位相の差を設定しない構成に比べて、歯車の速度変動を低減しつつ設計の自由度を高めることができる。
請求項2に記載の発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べて、現像剤保持体の回転速度の変動を低減することができ、現像された画像の画質を向上できる。
請求項3に記載の発明によれば、本発明の構成を有しない場合に比べて、現像剤保持体の回転速度の変動を低減することができ、形成される画像の画質を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】図1は本発明の実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
【図2】図2は実施例1の画像形成装置の要部拡大説明図である。
【図3】図3は本発明の実施例1の現像装置の説明図であり、図3Aは現像容器カバーが除去された状態の要部断面斜視説明図、図3Bは供給オーガの説明図、図3Cは撹拌オーガの説明図である。
【図4】図4は図3AのIV−IV線断面図である。
【図5】図5は図3AのV−V線断面図である。
【図6】図6は実施例1の供給オーガの上流端部の説明図であり、図6Aは要部拡大図、図6Bは羽根による現像剤の搬送の説明図、図6Cは羽根を挟んだ現像剤の量の説明図である。
【図7】図7は実施例1の供給オーガの下流端部の要部拡大図である。
【図8】図8は実施例1の現像装置の駆動系および歯車列の斜視説明図である。
【図9】図9は図8の歯車列の要部説明図である。
【図10】図10は従来の現像剤搬送部材の説明図であり、図10Aは隙間が形成されていない構成の説明図、図10Bは図10Aに示す状態から90°回転した状態の説明図、図10Cは位相が揃っていない構成の説明図、図10Dは図10Cに示す状態から90°回転した状態の説明図である。
【図11】図11は従来技術におけるギア列の説明図であり、図11Aはギアどうしの噛合位置の成す角度と歯数との関係を説明する説明図、図11Bは斜歯歯車の歯の山について軸方向一端から他端まで移動した場合に他端が隣の歯の山の一端の位置と一致する場合の説明図、図11Cは斜歯歯車の歯の山について軸方向一端から他端まで移動した場合に他端が隣の歯の山の一端の位置と一致しない場合の説明図である。
【図12】図12は実施例1の二段ギアに関する説明図であり、図12Aは二段ギアの軸方向の繋ぎ目が連続している場合の説明図、図12Bは二段ギアの繋ぎ目部分が軸方向に離れ且つ繋ぎ目の両端で同位相の場合の説明図、図12Cは二段ギアの繋ぎ目部分が軸方向に離れ且つ繋ぎ目を跨いで歯が連続して形成されている場合の説明図である。
【図13】図13は実施例1の実験結果の説明図であり、横軸に位相差を取り縦軸に濃度変動を取ったグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
次に図面を参照しながら、本発明の実施の形態の具体例としての実施例を説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
なお、以後の説明の理解を容易にするために、図面において、前後方向をX軸方向、左右方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とし、矢印X,−X,Y,−Y,Z,−Zで示す方向または示す側をそれぞれ、前方、後方、右方、左方、上方、下方、または、前側、後側、右側、左側、上側、下側とする。
また、図中、「○」の中に「・」が記載されたものは紙面の裏から表に向かう矢印を意味し、「○」の中に「×」が記載されたものは紙面の表から裏に向かう矢印を意味するものとする。
なお、以下の図面を使用した説明において、理解の容易のために説明に必要な部材以外の図示は適宜省略されている。
【実施例1】
【0013】
図1は本発明の実施例1の画像形成装置の全体説明図である。
図1において、画像形成装置の一例としての複写機Uは、自動原稿搬送装置U1と、これを支持し且つ上端に透明な原稿読取り面PGを有する装置本体U2とを備えている。
前記自動原稿搬送装置U1は、複写しようとする複数の原稿Giが重ねて収容される原稿給紙部TG1と、原稿給紙部TG1から給紙され前記原稿読取り面PG上の原稿読取位置を通過した原稿Giが排出される原稿排紙部TG2とを有している。
前記装置本体U2は、利用者が画像形成動作開始等の作動指令信号を入力操作する操作部UIと、露光光学系A等を有している。
【0014】
前記自動原稿搬送装置U1で原稿読取り面PG上を搬送される原稿または手動で原稿読取り面PG上に置かれた原稿からの反射光は、前記露光光学系Aを介して、固体撮像素子CCDで赤:R、緑:G、青:Bの電気信号に変換される。
情報変換部IPSは、固体撮像素子CCDから入力される前記RGBの電気信号を黒:K、イエロー:Y、マゼンタ:M、シアン:Cの画像情報に変換して一時的に記憶し、前記画像情報を予め設定された時期に潜像形成用の画像情報として潜像形成回路DLに出力する。
なお、原稿画像が単色画像、いわゆる、モノクロの場合は、黒:Kのみの画像情報が潜像形成回路DLに入力される。
前記潜像形成回路DLは、図示しない各色Y,M,C,Kの各駆動回路を有し、入力された画像情報に応じた信号を予め設定された時期に、各色毎に配置された潜像形成装置LHy,LHm,LHc,LHkに出力する。
【0015】
図2は実施例1の画像形成装置の要部拡大説明図である。
前記複写機Uの重力方向中央部に配置された可視像形成装置Uy,Um,Uc,Ukはそれぞれ、Y,M,C、およびKの各色の可視像を形成する装置である。
潜像形成装置LHy〜LHkの各光源から出射したY,M,C,Kの潜像書込光Ly,Lm,Lc,Lkは、それぞれ、像保持体の一例としての感光体PRy,PRm,PRc,PRkに入射する。なお、実施例1では、前記潜像形成装置LHy〜LHkは、書込素子であるLED:Light Emission Diodeが直線上に並べて配置された装置、いわゆる、LEDアレイにより構成されている。
前記Yの可視像形成装置Uyは、回転する感光体PRy、帯電器CRy,潜像形成装置LHy、現像装置Gy、1次転写器T1y、像保持体清掃器の一例としての感光体クリーナCLyを有している。なお、実施例1では、前記感光体PRy、帯電器CRy、感光体クリーナCLyが、装置本体U2に対して一体的に着脱可能な像保持体ユニットとして構成されている。
前記可視像形成装置Um,Uc,Ukはいずれも前記Yの可視像形成装置Uyと同様に構成されている。
【0016】
図1,図2において、前記各感光体PRy,PRm,PRc,PRkはそれぞれの帯電器CRy,CRm,CRc,CRkにより帯電された後、画像書込位置Q1y,Q1m,Q1c,Q1kにおいて、前記潜像書込光Ly,Lm,Lc,Lkにより、その表面に静電潜像が形成される。前記感光体PRy,PRm,PRc,PRk表面の静電潜像は、現像領域Q2y,Q2m,Q2c,Q2kにおいて、現像装置Gy,Gm,Gc,Gkの現像剤保持体の一例としての現像ロールR0y,R0m,R0c,R0kに保持された現像剤により可視像の一例としてのトナー像に現像される。
現像されたトナー像は、中間転写体の一例としての中間転写ベルトBに接触する1次転写領域Q3y,Q3m,Q3c,Q3kに搬送される。前記1次転写領域Q3y,Q3m,Q3c,Q3kにおいて中間転写ベルトBの裏面側に配置された1次転写器T1y,T1m,T1c,T1kには、制御部Cにより制御される電源回路Eから予め設定された時期にトナーの帯電極性と逆極性の1次転写電圧が印加される。
【0017】
前記各感光体PRy〜PRk上のトナー像は、前記1次転写器T1y,T1m,T1c,T1kにより、中間転写体の一例としての中間転写ベルトBに1次転写される。1次転写後の感光体PRy,PRm,PRc,PRk表面の残留物、付着物は、感光体クリーナCLy,CLm,CLc,CLkにより清掃される。清掃された前記感光体PRy,PRm,PRc,PRk表面は、帯電器CRy,CRm,CRc,CRkにより再帯電される。
【0018】
前記感光体PRy〜PRkの上方には、中間転写装置の一例としてのベルトモジュールBMが配置されている。前記ベルトモジュールBMは、前記中間転写ベルトBと、中間転写体駆動部材の一例としてのベルト駆動ロールRd、張力付与部材の一例としてのテンションロールRt、蛇行防止部材の一例としてのウォーキングロールRw、従動部材の一例としてのアイドラロールRfおよび二次転写対向部材の一例としてのバックアップロールT2aと、前記1次転写器T1y,T1m,T1c,T1kとを有している。そして、前記中間転写ベルトBは、前記各ロールRd,Rt,Rw,Rf,T2aにより回転移動可能に支持されている。
【0019】
前記バックアップロールT2aに接する中間転写ベルトBの表面に対向して、2次転写部材の一例としての2次転写ロールT2bが配置されている。前記バックアップロールT2aと2次転写ロールT2bにより2次転写器T2が構成されている。また、2次転写ロールT2bおよび中間転写ベルトBの対向する領域により2次転写領域Q4が形成される。
前記1次転写領域Q3y,Q3m,Q3c,Q3kで一次転写器T1y,T1m,T1c,T1kにより中間転写ベルトB上に順次重ねて転写された単色または多色のトナー像は、前記2次転写領域Q4に搬送される。
前記一次転写器T1y〜T1k、中間転写ベルトBおよび二次転写器T2等により、感光体PRy〜PRkに形成された画像を媒体に転写する実施例1の転写装置T1+T2+Bが構成されている。
【0020】
前記可視像形成装置Uy〜Ukの下方には、案内部材の一例としての左右一対のガイドレールGRが3段設けられており、前記ガイドレールGRには、給紙部の一例としての給紙トレイTR1〜TR3が前後方向に出入可能に支持されている。給紙トレイTR1〜TR3に収容された媒体の一例としての記録シートSは、媒体取出し部材の一例としてのピックアップロールRpにより取り出され、媒体捌き部材の一例としてのさばきロールRsにより1枚ずつ分離される。そして、記録シートSは、媒体搬送路の一例であるシート搬送路SHに沿って媒体搬送部材の一例としての複数の搬送ロールRaにより搬送され、2次転写領域Q4のシート搬送方向上流側に配置された時期調節部材の一例としてのレジロールRrに送られる。前記シート搬送路SH、シート搬送ロールRa、レジロールRr等によりシート搬送装置SH+Ra+Rrが構成されている。
【0021】
レジロールRrは、前記中間転写ベルトBに形成されたトナー像が2次転写領域Q4に搬送されるのに時期を合わせて、前記記録シートSを2次転写領域Q4に搬送する。記録シートSが前記2次転写領域Q4を通過する際、前記バックアップロールT2aは接地され、2次転写器T2bには前記制御部Cにより制御される電源回路Eからトナーの帯電極性と逆極性の2次転写電圧が印加される。このとき、前記中間転写ベルトB上のトナー像は、前記2次転写器T2により記録シートSに転写される。
2次転写後の前記中間転写ベルトBは、中間転写体清掃器の一例としてのベルトクリーナCLbにより清掃される。
【0022】
前記トナー像が2次転写された記録シートSは、定着装置Fの加熱用定着部材の一例としての加熱ロールFhおよび加圧用定着部材の一例としての加圧ロールFpの接触領域である定着領域Q5に搬送され、前記定着領域を通過する際に加熱定着される。加熱定着された記録シートSは、媒体排出部材の一例としての排出ローラRhから媒体排出部の一例としての排紙トレイTRhに排出される。
なお、前記加熱ロールFh表面には、記録シートSの前記加熱ロールからの離型性を良くするための離型剤が離型剤塗布装置Faにより塗布されている。
【0023】
前記ベルトモジュールBMの上方にはイエローY,マゼンタM,シアンC,黒Kの各現像剤を収容する現像剤収容容器の一例としての現像剤カートリッジKy,Km,Kc,Kkが配置されている。各現像剤カートリッジKy,Km,Kc,Kkに収容された現像剤は、前記現像装置Gy,Gm,Gc,Gkの現像剤の消費に応じて前記各現像装置Gy,Gm,Gc,Gkに補給される。なお、実施例1では、現像装置Gy〜Gkに収容される現像剤として、磁性のキャリアと、外添剤が付与されたトナーとを含む二成分現像剤により構成されており、現像剤カートリッジKy〜Kkからは、現像装置Gy〜Gk内の現像剤に比べてキャリアに対するトナーの割合が多い、いわゆる高濃度トナーが補給される。
【0024】
(現像装置の説明)
図3は本発明の実施例1の現像装置の説明図であり、図3Aは現像容器カバーが除去された状態の要部断面斜視説明図、図3Bは供給オーガの説明図、図3Cは撹拌オーガの説明図である。
図4は図3AのIV−IV線断面図である。
図5は図3AのV−V線断面図である。
次に、前記本発明の実施例1の現像装置Gy,Gm,Gc,Gkの説明をするが、各色の現像装置Gy,Gm,Gc,Gkは同様に構成されているため、Y色の現像装置Gyについてのみ詳細な説明をし、その他の色の現像装置Gm,Gc,Gkについては、詳細な説明を省略する。
図2〜図5において、感光体PRyに対向して配置された現像装置Gyは、トナー及びキャリアとを含む2成分現像剤を収容する現像容器Vを有している。前記現像容器Vは、現像容器本体1と、図4に示すように現像容器本体1の上端を塞ぐ蓋部材の一例としての現像容器カバー2と、図3に示すように現像容器本体1の前端に連結された給廃棄部の一例としての給廃棄筒3とを有している。図4において、実施例1の現像容器Vは、感光体PRyに対向する現像領域Q2yに対応して、開口V1が形成されており、開放されている。
【0025】
図2〜図4において、現像容器本体1はその内側に、保持体収容部の一例としての現像ロール室4と、前記現像ロール室4に隣接する第1収容室の一例としての第1撹拌室6と、現像容器Vの横方向および縦方向の大きさを小型化するために前記第1撹拌室6の右斜め下方に隣接して配置された第2収容室の一例としての第2撹拌室7とを有している。前記現像ロール室4内には、現像剤保持体の一例としての現像ロールR0yが収容されており、前記現像ロールR0yは外表面の一部が開口V1で感光体PRy側に露出しており、感光体PRyに対向して配置されている。前記現像ロールR0yの回転方向上流側には、現像ロールR0y表面の現像剤の層厚を規制するための層厚規制部材8が設けられている。
なお、図4において、前記現像容器Vの前後両端部には、感光体PRyに対向する側に、現像ロールR0yと感光体PRyとの間隔を所定の間隔にするための突き当て部材Va、いわゆるトラッキング部材が支持されている。
【0026】
図3において、前記第1撹拌室6の前側には、給廃棄筒3内部の給廃棄室6aが接続されており、第2撹拌室7の前側には、給廃棄筒3内部の補給室7aが接続されている。図3において、前記給廃棄室6aの前端部の上面には、現像剤カートリッジKy,Km,Kc,Kkからの現像剤が補給される新規現像剤流入部の一例としての現像剤補給口3aが形成されている。また、図3、図5において、給廃棄室6aの後部の下面には、現像剤排出部の一例としての現像剤排出口3bが形成されており、現像剤排出口3bから内部の劣化した現像剤が排出されることで、内部のキャリアを少しずつ交換している。
【0027】
図3に示すように、前記現像容器本体1において、前記第1撹拌室6と第2撹拌室7との間には、両端部以外の部分に仕切壁9が形成されている。図3、図4において、前記第1撹拌室6及び第2撹拌室7は、後端部に配置された第1流入部の一例としての上昇流入部E1と、前側に配置された第2流入部の一例としての下降流入部E2において通じており、現像剤が循環可能に構成されている。前記下降流入部E2には、流入量を調整するための開口が形成された開口形成部材11が装着されている。
図3Aにおいて、実施例1では、現像ロールR0yによって現像が行われる現像領域Q2yの幅L1に対して、上昇流入部E1が重複する位置に配置されると共に、下降流入部E2は一部が重複して配置されている。
【0028】
また、前記現像剤給廃棄筒3において、給廃棄室6aと補給室7aとの間には、仕切壁12が形成されている。したがって、図3に示すように、給廃棄室6aと補給室7aとは、第3流入部の一例としての補給流入部E3により通じており、給廃棄室6aから補給室7aへ現像剤が流入可能に構成されている。
前記第1撹拌室6及び第2撹拌室7とによって循環撹拌室6+7が構成されている。
【0029】
図3、図4において、前記第1撹拌室6内には、現像剤を撹拌しながら搬送する第1搬送部材の一例であって現像ロールR0yに供給する供給部材の一例としての供給オーガ21が配置されている。
図3A、図3Bにおいて、前記供給オーガ21は、前記現像ロールR0yの軸方向に平行に伸びる第1回転軸22と、前記第1回転軸22の外周に支持された螺旋状の第1搬送羽根23とを有する。第1搬送羽根23は、給廃棄室6aの前端部に対応して配置された搬送羽根の一例としての第1の補給搬送羽根23aと、給廃棄室6aの中央部から後部に対応して配置された第4搬送部の一例としての廃棄搬送羽根23bと、給廃棄室3aの後端部から下降流入部E2の前側までに対応して配置された循環用の逆搬送部の一例としての循環搬送羽根23cと、下降流入部E2から第1撹拌室6の後端に対応して配置された第1搬送部の一例としての第1の主搬送羽根23dとを有する。
【0030】
実施例1の各搬送羽根23a〜23dは、それぞれ、螺旋状に形成されており、第1の補給搬送羽根23aと廃棄搬送羽根23b、廃棄搬送羽根23bと循環搬送羽根23c、循環搬送羽根23cと第1の主搬送羽根23dは、それぞれ、互いに逆巻きの螺旋で構成されている。
また、第1主搬送羽根23dの一回転で現像剤が移動する距離、すなわち、軸方向に隣接する羽根どうしの間隔、いわゆる、ピッチは、各搬送羽根23a〜23cよりも大きく設定されている。さらに、図4、図5において、実施例1では、第1撹拌室6に比べて、給廃棄室6aの断面積が小さく形成されており、これに伴って、図3Bに示すように、第1撹拌室6内に配置される循環搬送羽根23cと第1の主搬送羽根23dの外径に比べて、給廃棄室6a内に配置される補給搬送羽根23aと廃棄搬送羽根23bの外径が小さくなっている。
また、実施例1の供給オーガ21は、図4に示すように上昇流入部E1において、重力方向上方、第2現像剤収容室側、重力方向下方の順に移動し、後述する図5で示す前記補給流入部E3においても同様に移動する。
【0031】
図6は実施例1の供給オーガの上流端部の説明図であり、図6Aは要部拡大図、図6Bは羽根による現像剤の搬送の説明図、図6Cは羽根を挟んだ現像剤の量の説明図である。
図3B、図6において、第1の主搬送羽根23dによる現像剤搬送方向である第1搬送方向Ybに対して、上流端である後端では、螺旋状の第1の主搬送羽根23dの1巻き分の後端羽根23d1は、ピッチがその他の部分に比べて大きくなっている。したがって、第1の主搬送羽根23dの後端羽根23d1は、その他の部分に比べて、第1回転軸22側に傾斜、いわゆる寝た状態となっている。したがって、後端羽根23d1は、その他の部分に比べて、軸方向に現像剤を搬送する能力が低下すると共に、現像ロールR0y側に現像剤を送る能力が高くなっている。
【0032】
図3B、図6において、供給オーガ21の後端部には、端部送り羽根の一例として、上流端パドル23eが設けられている。実施例1の上流端パドル23eは、第1回転軸22の軸方向に沿って延びる板状に形成されている。また、上流端パドル23eは、上流端が後端羽根23d1に連結されると共に、下流端面23e1は、下流側の第1の主搬送羽根23dとの間に隙間SP1をあけて形成されている。さらに、実施例1では、上流端パドル23eの下流端面23e1は、上流側である後側に行くに連れて、径方向の外端が第1回転軸22から離れる方向に傾斜して形成されている。
なお、実施例1の上流端パドル23eは、傾斜している下流端面23e1を除く部分の上流端パドル23eの外径は、第1の主搬送羽根23dと同一の外径に設定されている。また、上流端パドル23eは、上昇流入部E1に対応して配置されており、上流端パドル23eと上昇流入部E1とが部分的に重複するように配置されている。
【0033】
図3B、図6において、上流端パドル23eの前方には、補助羽根の一例として、小羽根23fが設けられている。実施例1の小羽根23fは、第1回転軸22の軸方向に沿って延びる板状に形成されている。また、小羽根23fは、下流端が第1の主搬送羽根23dに連結されると共に、上流端面23f1は、上流側の第1の主搬送羽根23dとの間に隙間SP2をあけて形成されている。さらに、実施例1では、小羽根23fの上流端面23f1は、下流側である前側に行くに連れて、径方向の外端が第1回転軸22から離れる方向に傾斜して形成されている。
なお、実施例1の小羽根23fは、傾斜している上流端面23f1を除く部分の小羽根23fの外径は、第1の主搬送羽根23dや上流端パドル23eに比べて小径に形成されている。
【0034】
また、小羽根23fは、上昇流入部E1よりも下流側に配置されており、小羽根23fの上流端面23f1の先端が上昇流入部E1の下流端近傍に配置されている。なお、小羽根23fの上流端面23f1の一部が、上昇流入部E1に重複する配置とすることも、上昇流入部E1と小羽根23fが重複しない配置とすることも可能である。
さらに、実施例1の供給オーガ21では、小羽根23fは、第1回転軸22の回転方向に対して、180°位相が異なる位置に2つ配置されている。
【0035】
図7は実施例1の供給オーガの下流端部の要部拡大図である。
図3B、図7において、実施例1の供給オーガ21では、第1の主搬送羽根23dの下流端である前端23d2と、循環搬送羽根23cの上流端である後端23c1とは、第1回転軸22の軸方向に離れた位置に配置されており、前端23d2と後端23c1との間には隙間SP3が形成されている。そして、第1の主搬送羽根23dの前端23d2と、循環搬送羽根23cの後端23c1とは、第1回転軸22の回転方向に対して、同位相に形成されている。
なお、実施例1では、循環搬送部材23cは、第1回転軸22を2周する2巻き分形成されている。すなわち、巻き数が2巻きに設定されている。
【0036】
同様にして、循環搬送羽根23bの前端23c2と、廃棄搬送羽根23bの上流端である後端23b1とが、軸方向に離れた位置に配置され、隙間SP4が形成されている。そして、循環搬送羽根23bの前端23c2と廃棄搬送羽根23bの後端23b1とが、第1回転軸22の回転方向に対して、同位相に形成されている。
また、実施例1では、前記供給オーガ21は、第1回転軸22と第1搬送羽根23は樹脂により一体形成されているが、軸と搬送羽根を別体で構成して組み立てることも可能である。さらに、実施例1では、前記各搬送羽根23a〜23dは、1つの第1回転軸22に設けられているが、この構成に限定されず、例えば、第1の補給搬送羽根23aとその回転軸、廃棄搬送羽根23bとその回転軸、循環搬送羽根23cとその回転軸、第1主撹拌搬送羽根23dとその回転軸、というように別体に構成することが可能である。
【0037】
図3A、図3Cにおいて、前記第2撹拌室7内には、現像剤を撹拌しながら搬送する第2搬送部材の一例であって現像剤を撹拌する撹拌部材の一例としての撹拌オーガ26が配置されている。前記撹拌オーガ26は、前記現像ロールR0yの軸方向に沿って延びる第2回転軸27と、前記第2回転軸27の外周に支持された螺旋状の第2搬送羽根28とを有する。第2搬送羽根28は、補給室7aに対応して配置された第2の補給搬送羽根28aと、下降流入部E2から上昇流入部E1の前側までに対応して配置された第2の主搬送羽根28bと、第2撹拌室7の後端部に配置された逆搬送羽根28cとを有する。
【0038】
なお、実施例1では、各羽根28a〜28cは、螺旋状に形成されており、第2の主搬送羽根28bのピッチは、各搬送羽根23a〜23cのピッチよりも大きく設定されている。また、図3に示すように、第2の主搬送羽根28bの設けられている領域には、予め設定された間隔をあけて、複数の平板状の撹拌部材28dが第2回転軸28に支持されている。図3Cにおいて、前記逆搬送羽根28cの左側には、撹拌部の一例としての撹拌パドル28eが第2回転軸28に支持されている。前記撹拌部材28dおよび撹拌パドル28eは、第2回転軸28の軸方向に沿った搬送力に比べて、周方向への搬送力が大きくなっており、特に、実施例1では、第2回転軸28に沿った板状の部材により構成されており、前記撹拌部材28dおよび撹拌パドル28eによる軸方向の搬送力はほとんどない。
【0039】
また、実施例1の撹拌オーガ26も、供給オーガ21と同様に、一体形成されている。さらに、実施例1では、前記各羽根28a〜28cは、1つの第2回転軸27に設けられているが、この構成に限定されず、例えば、第2の補給搬送羽根28aとその回転軸、第2の主搬送羽根28bとその回転軸、逆搬送羽根28cとその回転軸、というように別体に構成することが可能である。
【0040】
前記各搬送部材21,26が回転すると、現像剤補給口3aから補給された現像剤は、第1の補給搬送羽根23aと廃棄搬送羽根23bにより、補給流入部E3に流入し、補給室7aに搬送される。補給室7aに搬送された現像剤は、第2の補給搬送羽根28aにより現像容器本体1内の第2撹拌室7に搬送され、第2の主搬送羽根28bにより、第2搬送方向Yaに搬送される。上昇流入部E1まで搬送された現像剤は、第2の主搬送羽根28bと、第2搬送方向とは逆方向に搬送する逆搬送羽根28cとにより、滞留して現像剤量が増加し、斜め上方の第1撹拌室6に流入する。このとき、実施例1では、第2撹拌室7が前記第1撹拌室6の右斜め下方に隣接して配置されているので、第2撹拌室7に配置された撹拌オーガ26の回転方向が、図4において時計回りの方向、つまり重力方向下方、第1撹拌室6に対向する側、重力方向上方の順に回転する方向に設定されており、回転時に第2の主搬送羽根28bや逆搬送羽根28cにより左上方、すなわち、第1撹拌室6側に寄せて持上げるように搬送され、第1撹拌室6への流入が補助されている。
【0041】
第1撹拌室6に流入した現像剤は、第1の主搬送羽根23dにより、第2現像剤搬送方向Yaとは逆方向の第1現像剤搬送方向Ybに搬送される。第1撹拌室6を搬送される現像剤は、搬送中に現像ロールR0y表面に磁力により付着し、現像に使用される。下降流入部E2まで搬送された現像剤は、第1現像剤搬送方向Ybとは逆方向に現像剤を搬送しようとする循環搬送羽根23cにより、下降流入部E2に滞留し、重力により下降流入部E2を通じて第2撹拌室7に流入する。この結果、撹拌部材21,26により撹拌室6,7内の現像剤が撹拌されながら循環、搬送される。
また、下降流入部E2の現像剤が多くなると、その一部は、循環搬送羽根23cにより逆方向に搬送しきれず、給廃棄室7a側の廃棄搬送羽根23bまで流入する場合がある。この場合、循環搬送羽根23cを越えて廃棄搬送羽根23b側に流入した現像剤は、廃棄搬送羽根23bにより現像剤排出口3bに搬送されて廃棄される。したがって、現像時に負荷を受けて劣化した現像剤が少しずつ現像剤排出口3bから廃棄される。
【0042】
(駆動系および歯車列の説明)
図8は実施例1の現像装置の駆動系および歯車列の斜視説明図である。
図9は図8の歯車列の要部説明図である。
図8において、現像装置Gyの後端には、歯車列の一例としてのギア列31が配置されている。図8、図9において、前記ギア列31は、現像ロールR0yの駆動軸32aに支持されて、被駆動体の一例としての現像ロールR0yを駆動する現像歯車の一例であって被伝達歯車の一例としての現像ロールギア32を有する。
現像ロールギア32には、第1の中間歯車の一例としての第1中間ギア33が噛み合っており、現像容器Vの後端壁に支持された軸33aに回転可能に支持されている。
第1中間ギア33には、第2の中間歯車の一例としての供給ギア34が噛み合っており、供給ギア34は、被駆動体の一例としての供給オーガ21の第1回転軸22の後端に支持されている。
【0043】
供給ギア34には、第3の中間歯車の一例としての2段ギア36が噛み合っており、現像容器Vの後端壁に支持された軸36aに対し、回転可能に支持されている。実施例1の2段ギア36は、被伝達歯車側である供給ギア34に直接噛み合う第2の調整歯車の一例としての前側調整ギア36bと、前側調整ギア36bと同一の軸36aに支持された第1の調整歯車の一例としての後側調整ギア36cとを有する。
また、実施例1の各調整ギア36b,36cは、同一の歯数を有する斜歯歯車により構成されている。
【0044】
また、実施例1の各調整ギア36b,36cは圧入によって互いを固定しており、圧入時に互いの回転位置を調整することで、前側調整ギア36bと後側調整ギア36cの位相を調整することが可能に構成されている。
なお、実施例1では、前側調整ギア36bに対する後側調整ギア36cの位相をずらしながら、ギアの個体差やギアどうしの噛み合わせ等に起因する現像ロールR0yの回転速度の変動、いわゆる回転ムラを測定して、回転ムラが小さくなるように、前側調整ギア36bに対する後側調整ギア36cの位相を設定する。なお、設定方法は後述する。
【0045】
2段ギア36の前側中間ギア36bには、前側中間ギア36bと供給ギア34の噛合位置よりも上流側で、被伝達歯車の一例としての撹拌ギア37に噛み合っている。撹拌ギア37は、被駆動体の一例としての撹拌オーガ26の第2回転軸27の後端に支持されている。
2段ギア36の後側中間ギア36cには、装置本体U2から延び且つ図示しない駆動源からの駆動が伝達される伝達歯車の一例としての駆動ギア38が噛み合っている。
なお、実施例1では、前記各ギア32〜38は、斜歯歯車で構成されている。また、第1中間ギア33、供給ギア34、2段ギア36により実施例1の中間ギア33〜36が構成されており、前記各ギア32〜38により、実施例1のギア列31が構成されている。
【0046】
(実施例1の作用)
前記構成を備えた実施例1の複写機Uでは、現像装置Gy〜Gkにおいて循環される現像剤は、上昇流入部E1では、重力方向とは逆方向に現像剤が持ち上げ、汲み上げられると共に、汲み上げられた現像剤が供給オーガ21で下流側に搬送される。したがって、上昇流入部E1が現像領域Q2y〜Q2kの幅L1内にある現像装置Gy〜Gkでは、汲み上げられた現像剤が供給オーガ21で速やかに搬送されすぎると、現像ロールR0yの後端部で、現像剤が不足して、現像ロールR0y〜R0kへの供給不足が発生し、画像形成不良が発生する恐れがある。ここで、実施例1では、現像ロールR0y〜R0kの端部に対応して、現像剤を搬送する能力が無い上流端パドル23eが配置されており、第1撹拌室6に汲み上げられた現像剤の搬送性能、搬送能力、搬送速度が低下すると共に、上流端パドル23eが現像剤を現像ロールR0y〜R0kに向けて送る。したがって、現像ロールR0y〜R0kの端部における現像剤の供給不足が低減され、現像ロールR0y〜R0kの軸方向における現像むら、濃度むらが低減される。
【0047】
また、実施例1では、第1の主撹拌羽根23dの後端羽根23d1は、他の部分に比べて、傾斜角度が小さく、上流端パドル23eに近づいており、搬送能力が低下している。したがって、現像ロールR0y〜R0kの端部に、現像剤が供給されやすく、現像剤の供給不足が低減されている。
さらに、実施例1では、上流端パドル23eの下流端面23e1と、下流側の第1の主搬送羽根23dとの間に隙間SP1が形成されている。したがって、隙間SP1が形成されていない場合に比べて、現像剤の搬送能力が低下しすぎることが防止されており、上流端パドル23eの下流側で、現像剤が不足することが低減されている。
【0048】
また、実施例1では、上流端パドル23eの下流端面23e1は、後方に行くに連れて、径が大きくなるように傾斜して形成されている。したがって、下流端面23e1が傾斜せずに、第1回転軸22に対して、直交する径方向に延びている場合には、下流端23e1を境に、現像剤の搬送力が不連続に変化し、現像ロールR0y〜R0kの端部において、濃度むらが発生することがあったが、下流端面23e1が傾斜する実施例1の供給オーガ21では、搬送力が少しずつ変化しており、現像ロールR0y〜R0kの端部における濃度むらの発生が低減されている。
【0049】
さらに、実施例1では、上流端パドル23eの下流側に小羽根23fが形成されており、現像剤の搬送力が低下されている。したがって、上流端パドル23eが搬送能力を低下させており、上流端パドル23eを有しない構成に比べて、小羽根23fが配置された下流側に搬送される現像剤が少なくなっている。例えば、現像剤カートリッジKy〜Kcが空になった状態で現像が継続される等して、現像装置Gy〜Gk内の現像剤の総量が低下すると、上流端パドル23eの下流側で、現像剤の供給不足になる可能性がある。これに対して、実施例1では、上流端パドル23eの下流側に、現像剤の搬送能力が小さい小羽根23fが配置されており、搬送能力が低減され、現像剤が溜まりやすくなっており、供給不足が低減されている。特に、実施例1の小羽根23fは、径方向の長さが短く形成されており、上流端パドル23eよりも搬送能力を低下させる機能は小さく、搬送能力を低下しすぎず、小羽根23fの下流側で供給不足が発生しにくいように設定されている。
【0050】
また、実施例1の小羽根23fは、第1の主搬送羽根23dから上流側に延びている。すなわち、螺旋状の第1の主搬送羽根23dが現像剤を搬送する際には、図6Bに示すように第1の主搬送羽根23dの下流側の面で現像剤を下流側に押すことで搬送されており、第1の主搬送羽根23dの下流側には、比較的多くの現像剤が存在するが、上流側には、現像剤が少なく、図6Cに示すような現像剤の分布となりやすい。これに対応して、実施例1では、現像剤が少なくなりやすい第1の主搬送羽根23dの上流側に小羽根23fを設けて現像剤を滞留し易くしており、現像剤の分布のばらつき、むらが低減されている。
さらに、実施例1の小羽根23fは、第1の主搬送羽根23dとの間に隙間SP2が形成されており、上流端パドル23eと同様に、搬送力が低下しすぎることが低減されている。また、実施例1の小羽根23fの上流端面23f1が、下流側に行くに連れて半径が大きくなるように傾斜して構成されており、上流端パドル23eと同様に、搬送能力が不連続に変化することが防止され、濃度むらの発生が低減されている。
【0051】
図10は従来の現像剤搬送部材の説明図であり、図10Aは隙間が形成されていない構成の説明図、図10Bは図10Aに示す状態から90°回転した状態の説明図、図10Cは位相が揃っていない構成の説明図、図10Dは図10Cに示す状態から90°回転した状態の説明図である。
図10において、従来の現像剤搬送部材では、互いに逆方向に現像剤を搬送する搬送羽根01、02の端部は、図10A、図10Bに示すように、軸方向に沿って一部が重複していたり、図10C、図10Dに示すように端部の位相が揃えられていなかったり、あるいはその両方となるように形成されていた。
図10A、図10Bにおいて、第1の主搬送羽根01の前端01aが、循環搬送羽根02の後端02aよりも前方まで設けられている場合、図7に示す実施例1の隙間SP3のように、軸方向に沿って羽根が配置されていない隙間が設けられていない。したがって、第1の主搬送羽根01により第1搬送方向03に搬送される現像剤は、搬送速度が低下することなく、循環搬送羽根02により逆方向04に搬送される現像剤と衝突し、滞留する。したがって、現像剤が負荷を受け、劣化が早まる恐れがある。
【0052】
これに対して、図7に示す実施例1の供給オーガ21では、第1の主搬送羽根23dの前端23d2と、循環搬送羽根23cとの間には、軸方向に沿って羽根が配置されていない隙間SP3が形成されており、第1の主搬送羽根23dで搬送された現像剤は、隙間SP3で搬送速度が低下した状態で、下流側の循環搬送羽根23cからの現像剤と衝突する。よって、実施例1では、隙間SP3を有しない供給オーガに比べて、下降流入部E2における現像剤の劣化が低減されている。また、隙間SP3を有しない供給オーガに比べて、第1の主搬送羽根23dにより搬送されてきた現像剤が隙間SP3で滞留しやすく、現像剤を下降流入部E2に流入させる性能が向上している。
【0053】
また、図10C、図10Dにおいて、位相が揃えられていない場合や、図10A、図10Bに示すように、第1の主搬送羽根01の前端01aが、循環搬送羽根02の後端02aよりも前方まで設けられている場合では、循環搬送羽根02の後端02aで逆方向04に送られた現像剤は、第1の主搬送羽根01に押されて、循環搬送羽根02の上流側に潜り込むように戻される。したがって、第1の主搬送羽根01と循環搬送羽根02との境界部分で、現像剤を十分に滞留させられにくくなると共に、現像剤が同じ所を往復するように移動し、下降流入部E2から流出しにくく、現像剤の入れ替えが円滑に進まず、劣化しやすくなる。
【0054】
これに対して、図7に示す実施例1の供給オーガ21では、第1の主搬送羽根23dの前端23d2と、循環搬送羽根23cの後端23c1とは、同位相に設定されており、図10A〜図10Dに示す場合に比べて、現像剤が反対側に戻されることが防止されている。したがって、隙間SP3において、現像剤が滞留しやすくなって、下降流入部E2に現像剤が流入する性能が向上している。また、現像剤が同じ所を往復することが防止されており、現像剤の入れ替えが円滑に行われ、劣化が低減されている。特に、供給オーガ21の現像剤の搬送速度が高くなっても、第1の主搬送羽根23dで搬送されてくる現像剤を戻して、滞留、流入させる能力が十分維持されると共に、現像剤の入れ替え、循環がされ、劣化が低減される。
【0055】
図7において、実施例1の供給オーガ21では、第1の主搬送羽根23dの前端23d2および循環搬送羽根23cの後端23c1と同様に、循環搬送羽根23bの前端23c2と、廃棄搬送羽根23bの上流端である後端23b1との間に、隙間SP4が形成されると共に、循環搬送羽根23bの前端23c2と廃棄搬送羽根23bの後端23b1とが、同位相に形成されている。したがって、隙間SP4に対応する領域でも、現像剤の搬送速度が低下すると共に、入れ替えが円滑に行われ、現像剤の劣化が低減されている。
【0056】
また、図7において、実施例1の供給オーガ21では、循環搬送部材23cの巻き数を2巻きにしており、1巻きや1.5巻きの場合に比べて、現像剤を下降流入部E2側に送る能力が高くなっている。したがって、複写機Uの画像形成速度、いわゆる生産性が高くなって、第1の主搬送羽根23dによる搬送速度が高くなっても、現像剤が下降流入部E2に送られ、循環搬送部材23cを越えて排出口3bから排出される現像剤が過多になることが低減されている。
【0057】
図11は従来技術におけるギア列の説明図であり、図11Aはギアどうしの噛合位置の成す角度と歯数との関係を説明する説明図、図11Bは斜歯歯車の歯の山について軸方向一端から他端まで移動した場合に他端が隣の歯の山の一端の位置と一致する場合の説明図、図11Cは斜歯歯車の歯の山について軸方向一端から他端まで移動した場合に他端が隣の歯の山の一端の位置と一致しない場合の説明図である。
なお、図11において、説明および理解の容易のため、斜歯歯車の歯は2つのみ記載し、その他の歯の記載は省略している。
次に、ギア列のギアの噛み合いの位相差について検討する。
【0058】
図11Aに示すように、平歯車で構成された従来のギア列の調整方法では、入力ギア011、中間ギア012、出力ギア013を有するギア列において、増速する場合には、入力ギア011と中間ギア012との噛合位置Aから、中間ギア012と出力ギア013との噛合位置Bまでが、中間ギア012の回転方向に沿って角度αだけ傾斜している場合に、角度αが、360°を中間ギア012の歯数で割った値である基準角度γの整数倍の時に、噛合位置Aと噛合位置Bとが同じ噛合位相となる。すなわち、噛合位置Aで中間ギア012の歯が山であれば、噛合位置Bでも中間ギア012の歯も山となる。一方、角度αが角度γの整数倍でないときは噛合位置Aと噛合位置Bとが位相差を生じる。ここで、角度αを基準角度γで割った余りを、ギアの配列、いわゆるレイアウトによる位相差δとする。
【0059】
図11Bにおいて、斜歯歯車021の歯の山022について、山022の一端022aから山022の他端022bまで移動した場合に、他端022bの位置が、隣の歯の山023の一端023aの位置と一致する場合を考える。この斜歯歯車021では、噛み合いの位相は、両端022a,022bの断面形状の平歯車分だけずれたものとみなすことができ、1歯分、すなわち、基準角度γ分だけ位相がずれたものとみなすことができる。なお、噛合位置Bにおける位置022bが、整数n個だけ隣の歯である場合は、n×γ分だけ位相がずれたものとみなすことができる。
【0060】
図11Cにおいて、斜歯歯車021′の歯の山022′について、山022′の一端022a′から他端022b′まで移動した場合に、一端022b′の位置が、隣の歯の山023′の一端023a′の位置と一致しない場合を考える。この斜歯歯車021′では、図11Bに示す1歯分だけずれる場合の斜歯歯車021の軸方向の長さをLとし、図11Cに示す斜歯歯車021′の軸方向の長さをL′=L+ΔLとし、歯のねじれ角をβとし、斜歯歯車021の歯数をNとし、斜歯歯車021のピッチ円の直径をDとし、1歯分の位相のズレを360°と仮定し、360°=0°、すなわち、歯数の整数倍ずれた場合に平歯車と同位相とした場合に、噛み合いの位相差ΔSは、以下の式(1)で表される。
(噛合の位相差ΔS)
=360°×ΔL/L
=360°×(L′−L)/L
=360°×{L′−π×D/(N×tanβ)}/{π×D/(N×tanβ)}
…式(1)
【0061】
図12は実施例1の二段ギアに関する説明図であり、図12Aは二段ギアの軸方向の繋ぎ目が連続している場合の説明図、図12Bは二段ギアの繋ぎ目部分が軸方向に離れ且つ繋ぎ目の両端で同位相の場合の説明図、図12Cは二段ギアの繋ぎ目部分が軸方向に離れ且つ繋ぎ目を跨いで歯が連続して形成されている場合の説明図である。
図12において、実施例1の二段ギア36の場合では、図12Aに示すように、2つの調整ギア36b,36cの繋ぎ目が無い状態では、図11Cに示すように、式(1)の関係が成立する。図12Bにおいて、2つの調整ギア36b,36cの間に、軸方向に離れた隙間や、いわゆるスペーサ等の隙間形成部材により繋ぎ目41が発生する場合、繋ぎ目41の両端41a,41bにおいて、歯の位相が一致する場合には、図12Aに示す状態と一致し、式(1)の関係が成立する。
【0062】
図12B、図12Cにおいて、図12Bに示す繋ぎ目41の両端41a,41bで歯の山が一致した状態から、図12Cに示すように繋ぎ目41の両端41a,41bで歯の山がずれた状態になると、位相がそれだけ分ずれたことになり、補正が必要となる。なお、繋ぎ目41を跨いで歯の山が連続した状態の方が、実験者にとって確認しやすいため、後述する実験例では、図12Bではなく、図12Cに示す状態を位相0°として実験を行っている。
【0063】
(実験例)
実験例では、従来技術の平歯車における振動を低減する技術を、斜歯歯車に適用した場合について計算を行った。
実験は、一例として、実施例1の駆動ギア38、二段ギア36、現像ギア32を使用して、同速で回転する場合について行った。このとき、駆動ギア38と後側調整ギア36cとが噛み合う噛合位置Aから、前側調整ギア36bと供給ギア34とが噛み合う噛合位置Bまでの角度αが、α=194.785°であった。このとき歯数が17であったため、基準角度γが、γ=360°/17=21.176°であった。したがって、基準角度γの整数倍に対するαの差分は、9×γ−α=4.19676°であった。この差分の基準角度γに対する割合は、4.19676/21.176=0.19818であり、基準角度γ分のズレを360°の位相のズレと定義した場合に、レイアウトによる位相差δは、δ=360°×0.19818=71.34°となる。
【0064】
次に、ギアの位相差ΔSについて計算する。実施例1では、後側調整ギア36cが、ピッチ円の円周長さが50.539[mm]、歯数が17、ねじれ角βがβ=18°(右)、噛合歯幅L′=11[mm]であり、基準歯幅LがL=9.149591であった。したがって、後側調整ギア36cの位相差ΔS1=72.80623°であった。
また、前側調整ギア36bが、ピッチ円の円周長さが45.468[mm]、歯数が17、ねじれ角βがβ=20°(右)、噛合歯幅L′=12.5[mm]であり、基準歯幅LがL=7.348371であった。したがって、前側調整ギア36bの位相差ΔS2=252.3806°であった。
使用時の二段ギア36の回転方向は、二段ギア36の後側調整ギア36cの側から見たとき時計回りであり、二段ギア36を構成する前側調整ギア36および後側調整ギア36cのねじれ方向はどちらも右であったので、前側調整ギア36bの位相差を「+」、後側調整ギア36cの位相差を「−」として、ギアの位相差ΔS=ΔS1+ΔS2=+179.5744°であった。
【0065】
次に、繋ぎ目における補正を行う。繋ぎ目の隙間の長さを、各調整ギア36b,36cの基準歯幅Lに応じて分配した長さが、前側調整ギア36b側が1.75[mm]、後側調整ギア36c側が2.2[mm]であった。それぞれ、この長さを、各基準歯幅Lで割った割合について、基準歯幅Lにおける位相差を360°と定義して換算すると、前側の繋ぎ目で、85.73329°、後側で86.56125°であった。したがって、繋ぎ目における補正値は、両者を加算して、172.2945°であった。
したがって、レイアウトによる位相差δ、ギアの歯による位相差ΔS、繋ぎ目による補正値を加算すると、423°=63°となった。ここで、同速で回転するため、噛合位置Aと噛合位置Bとで逆位相とするためには、180°−63°=117°となり、前側調整ギア36bを、後側調整ギア36cに対して、117°戻した位置に移動させれば良いことが計算上は導出される。
【0066】
これに対して、実施例1において、前側調整ギア36bと後側調整ギア36cとが組まれて一体となった二段ギア36の試作品を位相差を規定せずに発注し、納品された様々な位相差を持つギアの中から位相差が、0°、45°、101°、124°、146°、203°、259°、293°、315°であるものを選んで実験を行った。このとき、現像ロールR0y〜R0kの回転ムラ、すなわち速度変動に起因して、画像に発生する濃度が筋状に濃い部分や薄い部分、いわゆるバンディングを濃度変動の大きさで評価した。測定結果を図13に示す。
【0067】
図13は実施例1の実験結果の説明図であり、横軸に位相差を取り縦軸に濃度変動を取ったグラフである。
図13において、傾向としては、正弦波状の分布となっており、45°〜90°の範囲がバンディングが最も目立たず、250°程度がバンディングが最も目立つ結果となった。したがって、実施例1では、45°〜90°となるように調整ギア36b,36cの間の位相差を設定する。
【0068】
したがって、実験結果から、平歯車に関する従来技術を単純に斜歯歯車の実施例1に適用したとしても、回転ムラが低減されないことが確認された。すなわち、平歯車は、回転に伴って、相手のギアの歯に接触する歯が切り替わっていくのに対して、斜歯歯車では、接触する点が軸方向に連続的に変化しており、単純に適用はできない。また、従来の技術では、回転ムラをなくすためには、平歯車の歯数や噛合位置の角度、すなわち、3つのギアの回転軸の位置が制限され、設計の自由度が厳しく制限される。
これに対して、実施例1では、各ギア32〜38を配列した状態で、2段ギア36における調整ギア36b,36cの位相差をずらしていって、回転ムラを測定し、回転ムラが小さくなる位相差に調整することが可能である。したがって、設計を自由に行った後に、位相差で回転ムラを調整することが可能な構成になっており、設計の自由度が向上しつつ、回転ムラが低減されている。
【0069】
(変更例)
以上、本発明の実施例を詳述したが、本発明は、前記実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内で、種々の変更を行うことが可能である。本発明の変更例(H01)〜(H015)を下記に例示する。
(H01)前記実施例において、画像形成装置の一例としての複写機を例示したが、これに限定されず、例えば、プリンタ、FAX、あるいはこれらの複数または全ての機能を有する複合機等により構成することも可能である。
(H02)前記実施例において、複写機Uは、4色の現像剤が使用される構成を例示したが、これに限定されず、例えば、単色の画像形成装置や、5色以上または3色以下の多色の画像形成装置にも適用可能である。
【0070】
(H03)前記実施例において、上流端パドル23eや小羽根23fと第1の主搬送羽根23dとの間に隙間SP1、SP2を設けることが望ましいが、隙間を無くして、第1の主搬送羽根23dに連結することも可能である。逆に、一方の端を主搬送羽根23dに対して連結したが、両方の端を主搬送羽根23dから離れた構成とすることも可能である。
(H04)前記実施例において、上流端パドル23eや小羽根23fの端面23e1,23f1を傾斜させることが望ましいが、傾斜させず、径方向に延びる端面とすることも可能である。
【0071】
(H05)前記実施例において、小羽根23fを設けることが望ましいが、省略することも可能である。
(H06)前記実施例において、上流端パドル23eや小羽根23fを軸方向に延びる板状の形状としたが、この構成に限定されず、軸方向に対して、傾斜した板状や、複数の板により構成することも可能である。
(H07)前記実施例において、第1撹拌室6と第2撹拌室7とが斜めに配置された現像装置Gy〜Gkを例示したが、この構成に限定されず、第1撹拌室6と第2撹拌室7とが水平方向または重力方向に並べて配置された現像装置にも適用可能である。
【0072】
(H08)前記実施例において、第1の主搬送羽根23dの後端羽根23d1の形状を、その他の部分の形状よりも、第1回転軸22側に寝た形状とすることが望ましいが、この構成に限定されず、その他の部分の形状と同一にすることも可能である。
(H09)前記実施例において、第1の主搬送羽根23dとして、螺旋状の螺旋羽根を例示したが、この構成に限定されず、例えば、半円状の板を第1回転軸22に傾斜した状態で支持する構成とすることも可能である。
(H010)前記実施例において、各螺旋羽根23a〜23d、28a〜28cの巻き数やピッチ等は、実施例に例示した構成に限定されず、設計や仕様等に応じて任意に変更可能である。
【0073】
(H011)前記実施例において、循環搬送羽根23cの後端23c1と第1の主搬送羽根23dの前端23d1や、循環搬送羽根23c1の前端23c2と廃棄搬送羽根23bの後端23b1の位相を揃えることが望ましいが、いずれか一方または両方の位相をずれたものとすることも可能である。逆に、第1の補給搬送羽根23aの後端と廃棄搬送羽根23bの前端の位相も揃えることも可能である。
(H012)前記実施例において、循環搬送羽根23cと第1の主搬送羽根23dとの間や循環搬送羽根23cと廃棄搬送羽根23bとの間に隙間SP3,SP4を設けることが望ましいが、いずれか一方または両方を省略することも可能である。
(H013)前記実施例において、上流端パドル23eを設けることが望ましいが、省略することも可能である。
【0074】
(H014)前記実施例において、ギア列31の2段ギア36は、駆動ギア38に噛み合うギアとすることが望ましいが、この構成に限定されず、例えば、供給ギア34や第1中間ギア33を2段ギアとすることも可能である。あるいは、現像ロールギア32を2段ギアとすることも可能である。すなわち、ギア列31のいずれかのギアを2段ギアとして、位相差を調整して、回転ムラを低減させることが可能である。
(H015)前記実施例において、2段ギア36だけで位相差を調整する方が、調整が容易であり、望ましいが、この構成に限定されず、供給ギア34や第1中間ギア33も2段ギアとして、各2段ギアで位相差を調整可能な構成とすることも可能である。
【符号の説明】
【0075】
31…歯車列、
32,34,37…被伝達歯車、
33,34,36…中間歯車、
36b…第2の調整歯車、
36c…第1の調整歯車、
38…伝達歯車、
F…定着装置、
Gy,Gm,Gc,Gk…現像装置、
LHy,LHm,LHc,LHk…潜像形成装置、
PRy,PRm,PRc,PRk…像保持体、
R0y,R0m,R0c,R0k…現像剤保持体、
R0y,R0m,R0c,R0k,21,26…被駆動体、
T1+T2+B…転写装置、
U…画像形成装置。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源からの駆動が伝達され且つ斜歯歯車で構成された伝達歯車と、
被駆動体に駆動を伝達し且つ斜歯歯車で構成された被伝達歯車と、
前記伝達歯車の駆動を前記被伝達歯車に伝達する中間歯車であって、前記伝達歯車側に噛み合う第1の調整歯車と、前記被伝達歯車側に噛み合い且つ前記第1の調整歯車と同軸に支持された第2の調整歯車と、を少なくとも有する前記中間歯車と、
を備えた歯車列の調整方法であって、
前記第1の調整歯車および第2の調整歯車の回転方向に対して、前記第1の調整歯車に対する前記第2の調整歯車の相対的な位相の差をずらしながら前記被伝達歯車の回転ムラを測定して、前記回転ムラが小さくなる位相の差に基づいて、前記第1の調整歯車と前記第2の調整歯車との位相の差を設定する
ことを特徴とする前記歯車列の調整方法。
【請求項2】
表面に潜像が形成された像保持体に対向して回転し且つ前記潜像を可視像に現像する現像剤保持体と、
前記現像剤保持体に駆動を伝達する前記被伝達歯車を有する前記歯車列であって、請求項1に記載の歯車列の調整方法で調整された前記歯車列と、
を備えたことを特徴とする現像装置。
【請求項3】
回転する像保持体と、
前記像保持体表面に潜像を形成する潜像形成装置と、
前記像保持体表面の潜像を可視像に現像する請求項2に記載の現像装置と、
前記像保持体表面の可視像を媒体に転写する転写装置と、
前記媒体表面の可視像を定着する定着装置と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
駆動源からの駆動が伝達され且つ斜歯歯車で構成された伝達歯車と、
被駆動体に駆動を伝達し且つ斜歯歯車で構成された被伝達歯車と、
前記伝達歯車の駆動を前記被伝達歯車に伝達する中間歯車であって、前記伝達歯車側に噛み合う第1の調整歯車と、前記被伝達歯車側に噛み合い且つ前記第1の調整歯車と同軸に支持された第2の調整歯車と、を少なくとも有する前記中間歯車と、
を備えた歯車列の調整方法であって、
前記第1の調整歯車および第2の調整歯車の回転方向に対して、前記第1の調整歯車に対する前記第2の調整歯車の相対的な位相の差をずらしながら前記被伝達歯車の回転ムラを測定して、前記回転ムラが小さくなる位相の差に基づいて、前記第1の調整歯車と前記第2の調整歯車との位相の差を設定する
ことを特徴とする前記歯車列の調整方法。
【請求項2】
表面に潜像が形成された像保持体に対向して回転し且つ前記潜像を可視像に現像する現像剤保持体と、
前記現像剤保持体に駆動を伝達する前記被伝達歯車を有する前記歯車列であって、請求項1に記載の歯車列の調整方法で調整された前記歯車列と、
を備えたことを特徴とする現像装置。
【請求項3】
回転する像保持体と、
前記像保持体表面に潜像を形成する潜像形成装置と、
前記像保持体表面の潜像を可視像に現像する請求項2に記載の現像装置と、
前記像保持体表面の可視像を媒体に転写する転写装置と、
前記媒体表面の可視像を定着する定着装置と、
を備えたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−22215(P2011−22215A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−165057(P2009−165057)
【出願日】平成21年7月13日(2009.7.13)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年7月13日(2009.7.13)
【出願人】(000005496)富士ゼロックス株式会社 (21,908)
【Fターム(参考)】
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