説明

気体浄化装置

気体浄化装置Zは空気通路Qを有している。空気通路Q内に、非清浄空気W′中の化学的汚染物質を吸着するとともに、再生処理により吸着した汚染物質を離脱する再生可能な吸着部材
9を有する吸着除去装置Bと、多孔質膜を介して気液接触を行うことにより非清浄空気W′中の汚染物質を液体中に分離除去する気体浄化ユニットAが配設されている。水溶性の汚染物質は気体浄化ユニットAにおいて分離除去され、化学的汚染物質は吸着除去装置Bにおいて吸着除去される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体浄化装置に関し、さらに詳しくは、クリーンルームに供給される清浄空気を得るための気体浄化装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
LCD基板や半導体ウエーハ等のような基板には清浄空気中において液処理や熱処理が施される。このため、クリーンルーム内の空気が気体浄化装置で清浄化された後、クリーンルームに還流される。
【0003】
一般的に、気体浄化装置はアンモニア成分等の汚染物質を吸着するケミカルフィルタを備える。しかし、ケミカルフィルタ内には時間が経過するにしたがって汚染物質が蓄積される。このため、ケミカルフィルタはその汚染物質を除去する能力が低下するため、一般的に使用寿命が短い。よって、気体浄化装置ではケミカルフィルタの交換が必要となり、ランニングコストの高騰を招く。また、ケミカルフィルタの交換時には、システム全体を停止させねばならないという不具合もある。
【0004】
上記のような不具合に対処するために、特開2001−230196号公報は多孔質膜を介して気液を接触させることにより、気体中の水溶性汚染物質を液体(例えば、純水)中に分離除去する連続使用可能な気体浄化装置を開示する。ところが、この気液接触型の気体浄化装置は、連続使用は可能であるが、非水溶性の有機汚染物質の除去ができない。また、この装置では多孔質膜を介して純水が気化し、湿度が上昇してしまう。
【0005】
また、特開2002−93688号公報は疎水性ゼオライトからなるハニカムロータを用いた気体浄化装置を開示する。この気体浄化装置は、化学物質を効率よく除去できるが、吸着部材の再生に高温(例えば、150℃以上)の清浄気体が必要であり、必要以上にエネルギーを要し、経済的に不利である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は省エネ効果と汚染物質除去効率の向上を図ることができる気体浄化装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明の気体浄化装置は、汚染物質を含む気体を浄化するための気体浄化装置であって、空気の通路内に、非清浄空気中の汚染物質を吸着するとともに、再生処理により吸着した汚染物質を離脱する再生可能な吸着部材を有する吸着除去装置と、多孔質膜を介して気液接触を行うことにより非清浄空気中の汚染物質を液体中に分離除去する気体浄化ユニットとが配設されていることを特徴とする。
【0008】
このように構成することにより、気体浄化ユニットにおいて、非清浄空気中の汚染物質が多孔質膜を介して気液接触する液体中に分離除去されるとともに、吸着除去装置において、空気中の有機汚染物質が吸着部材に吸着されて清浄空気となる。従って、水溶性の汚染物質は気体浄化ユニットにおいて分離除去されるとともに、有機汚染物質は吸着除去装置において吸着除去されることとなり、空気の清浄化効率が著しく向上する。また、気体浄化ユニットおよび吸着除去装置は、共に連続使用が可能なところから、交換の必要がなくなり、操業性も向上する。
【0009】
また、気体浄化ユニットを、該吸着除去装置の上流側において、該吸着除去装置と直列に配置することができる。このように構成することにより、気体浄化ユニットにおいて、非清浄空気中の汚染物質が多孔質膜を介して気液接触する液体中に分離除去され、その後吸着除去装置において、気体浄化ユニットを通過した空気中の汚染物質が吸着部材に吸着されて清浄空気となる。従って、水溶性の汚染物質は気体浄化ユニットにおいて分離除去され、気体浄化ユニットを通過した汚染物質は吸着除去装置において吸着除去されることとなり、空気の清浄化効率が著しく向上し、且つ吸着除去装置Bでの汚染物質の吸着量が大幅に減少するため、再生に要するエネルギーを節減できる。また、気体浄化ユニットおよび吸着除去装置は、共に連続使用が可能なところから、交換の必要がなくなり、操業性も向上する。
【0010】
また、気体浄化ユニットを、該吸着除去装置の下流側において、該吸着除去装置と直列に配置することができる。このように構成することにより、非清浄空気が吸着除去装置を通過する過程において、空気中の有機汚染物質が吸着部材に吸着され、その後気体浄化ユニットにおいて、吸着除去装置を通過した空気中の汚染物質が多孔質膜を介して気液接触する液体中に分離除去されて清浄空気となる。従って、有機汚染物質は、吸着除去装置において吸着除去され、吸着除去装置を通過した水溶性の汚染物質は気体浄化ユニットにおいて分離除去されることとなり、空気の清浄化効率が著しく向上する。また、気体浄化ユニットおよび吸着除去装置は、共に連続使用が可能なところから、交換の必要がなくなり、操業性も向上する。また、特に、極性有機汚染物質を高効率で除去する場合、気体浄化ユニットの加湿機能が吸着除去装置Bの除去効率を損なうということがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
[図1]本発明の第1の実施の形態にかかる気体浄化装置の概略構成を示す断面図。
[図2]本発明の第1の実施の形態にかかる気体浄化装置における気体浄化ユニットの一部を断面とした斜視図。
[図3]本発明の第1の実施の形態にかかる気体浄化装置における気体浄化ユニットの説明図。
[図4]本発明の第1の実施の形態にかかる気体浄化装置における気体浄化ユニットの他の例を示す断面図。
[図5]本発明の第1の実施の形態にかかる気体浄化装置における吸着除去装置を示す図。
[図6]本発明の第2の実施の形態にかかる気体浄化装置の概略構成を示す断面図。
[図7]本発明の第3の実施の形態にかかる気体浄化装置の概略構成を示す断面図。
[図8]本発明の第4の実施の形態にかかる気体浄化装置の概略構成を示す図。
[図9]本発明の第4の実施の形態にかかる気体浄化装置における気体浄化ユニットの排水制御の内容を示すフローチャート。
[図10]本発明の第4の実施の形態にかかる気体浄化装置における吸着除去装置の排気制御の内容を示すフローチャート。
[図11]本発明の第4の実施の形態にかかる気体浄化装置における吸着除去装置を構成するハニカムロータの概略構成を示す正面図。
[図12]本発明の第4の実施の形態にかかる気体浄化装置における温湿度制御の態様を説明するための特性図。
[図13]本発明の第5の実施の形態にかかる気体浄化装置の概略構成を示す断面図。
[図14]本発明の第5の実施の形態にかかる気体浄化装置における気体浄化ユニットの一部を断面とした斜視図。
[図15]本発明の第5の実施の形態にかかる気体浄化装置における気体浄化ユニットの他の例を示す断面図。
[図16]本発明の第6の実施の形態にかかる気体浄化装置の概略構成を示す断面図。
[図17]本発明の第7の実施の形態にかかる気体浄化装置の概略構成を示す断面図。
[図18]本発明の第8の実施の形態にかかる気体浄化装置の概略構成を示す断面図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明を具体化した第1〜第8実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、第2〜第8実施形態においては、第1実施形態との相違点についてのみ説明し、同一または相当部材には同じ符号を付して説明を省略する。
【0013】
先ず、第1実施形態について、図1〜図5を参照して説明する。
図1に示すように、気体浄化装置Zは、半導体ウエーハの洗浄装置Xに付設されている。該洗浄装置XからダクトDを介して排出された非清浄空気W′は浄化装置Xにて清浄化され、再生空気Wとなる。この再生空気Wは、ダクトDを介して再び洗浄装置Xへ供給される。なお、符号Fは洗浄装置Xへの空気供給部となる天井部に配設された高性能フィルタを備えたファンフィルタユニットを示す。
【0014】
前記気体浄化装置Zは、内部にダクトDからダクトDに至る空気通路Qを有する。該空気通路Q内には、吸着除去装置Bと、気体浄化ユニットAとが配設されている。吸着除去装置Bは非清浄空気W′中の汚染物質を吸着するとともに、再生処理により吸着した汚染物質を離脱する再生可能な吸着部材9を有する。気体浄化ユニットAは吸着除去装置Bの前段側に直列に配置され、多孔質膜を介して気液接触を行うことにより非清浄空気中W′の汚染物質を液体中に分離除去する。本実施の形態においては、浄化ユニットAおよび除去装置Bを全空気が通過するように構成されている。なお、符号Cは清浄空気Wを圧送するためのファンを示す。
【0015】
図2に示すように、前記浄化ユニットAは、純水を貯留するタンク1と、該タンク1内に架設された多孔質膜(例えば、PTEF多孔膜)からなる多数のパイプ2とにより構成されている。そして、前記パイプ2内に非清浄空気W′が供給される。なお、本実施形態においては、この浄化ユニットAは、パイプ2を上下方向に向けた状態で2段に配置される。
【0016】
また、前記タンク1には、純水を循環させる通路3と、該循環通路3に新たな純水を供給する給水通路4と、該循環通路3から使用済み純水を排水する排水路5とが付設されている。なお、符号6は純水循環用のポンプである。そして、この循環通路3の途中には、純水の温度を制御する機構として作用する熱交換器7が配設されている。純水の温度は熱交換器7への冷水供給量を制御することにより制御される。その結果、気体浄化ユニットAを通過する空気の温度並びに湿度の調整が行われる。
【0017】
図3に示すように、浄化ユニットAにおいては、パイプ2の微小孔8より非清浄空気W′に含まれる水溶性ガス(例えば、アンモニア等)Gの流出と水蒸気Sの流入とが許容されるが、水滴の通過は阻止される。従って、非清浄空気W′中の汚染物質である水溶性ガスGが分離除去されて清浄空気Wが得られる。また、この清浄空気Wは微小孔8から導入される水蒸気により加湿される。
【0018】
また、前記浄化ユニットAは、純水を貯留するタンク1と、該タンク1内に架設された多孔質膜からなる多数のパイプ2とを多段配置にてコンパクトに構成したため、低圧損で効率的な空気清浄化を図ることができる。
【0019】
図4は浄化ユニットAの別例を示す。この浄化ユニットAは多孔質膜(例えば、PTEF多孔膜)からなる複数の膜エレメント29を積層したものであり、これらの膜エレメント29を介して純水と非清浄空気W′とが気液接触する。各膜エレメント29は、樹脂材で一体形成された薄肉で且つ長矩形形状の支持枠30の開口部31に平面形状の多孔質膜32を張設して構成されている。そして、上下に積層された一対の膜エレメント29より膜ユニットUが構成されている。各膜ユニットUにおける膜エレメント29間には、純水通路33と、多孔質膜32と直交する方向に非清浄空気W′が流通する空気通路がそれぞれ形成されている。また、隣接する膜ユニットUの多孔質膜32間はスペーサ34により間隔が保持され、空間35が形成されている。なお、符号36は、純水の流通口、37は純水の入口、38は純水の出口である。
【0020】
上記の浄化ユニットAにおいては、下方の入口37から導入された純水は、純水通路33を下方から上方にジグザグ状に流れ、上方の出口38から排出される。この流通過程において、純水は空気通路を流れる非清浄空気W′と膜エレメント29を介して気液接触し、非清浄空気W′中の汚染物質が純水中に分離除去される。(従って、純水中の濃度分布に変更が生じ、結果として純水は通路33内を蛇行するように流れる。)従って、通路33の経路長さが大きくなるため、純水の流れの進行とともにその流れ状態が次第に乱流状態となる。これにより純水通路33の中央部分のみを流れる水量が減少するのに対応して、通路33の外周部を構成する多孔質膜32の近傍を流れる水量が増加する。
【0021】
その結果、単位流量当たりの循環水量が同一と仮定すると、純水と接触する多孔質膜32の面積が増加する。従って、非清浄空気W′中における汚染物質の純水への溶解作用が促進され、ひいては浄化ユニットAの汚染物質除去効率が向上する。このため、コンパクトで作業効率が高い浄化ユニットAが得られる。
【0022】
また、この浄化ユニットAの場合にも、図2の場合と同様に純水の循環路3並びに循環路3に接続された吸水路4及び排水路5、更には純水循環用のポンプ6、熱交換器7が付設されている。
【0023】
図5に示すように、吸着除去装置Bにおける吸着部材は、気体が流通可能な多孔質構造の物質(例えば、疎水性ゼオライト)からなるハニカムロータ9を含む。ハニカムロータ9は、その周面とモータ10の出力軸との間にベルト11が掛け渡たされ、軸心Jを中心に回転される。
【0024】
除去装置B内には空気W,W‘の流通に対応して、非清浄空気W′を清浄化する清浄化処理位置Pと、ハニカムロータ9に吸着した汚染物質を離脱させる再生処理位置Pと、ハニカムロータ9を冷却する冷却処理位置Pとが予め設定されている。ハニカムロータ9は、その軸心Jが、これら3つの位置P,P,Pの中心になるように配置されている。ハニカムロータ9が低速度で連続的に回転することにより、ハニカムロータ9が各位置P,P,Pを順に通過する。
【0025】
このように、ハニカムロータ9をモータ10により回転駆動することにより、ハニカムロータ9を、清浄化処理位置P、再生処理位置Pおよび冷却処理位置Pへと連続的に変位させることができるため、浄化装置の操業性がより向上する。
【0026】
ハニカムロータ9は、セラミック紙などの耐水性、耐水蒸気性を有する材料に疎水性ゼオライトを水性ディスパーションの含浸により付着して、加熱乾燥することによって得られる。この処理により壁面から多数の通気孔が軸心方向へと平行貫通して延びるハニカム形状に形成される。ハニカムロータ9の通気孔の内周壁面は疎水性ゼオライトを主成分とし、通気孔内を流通する気流に対して疎水性ゼオライトが有効に接触することができる。ゼオライトはアンモニアなどに対して優れた吸着性能を有している。なお、ハニカムロータ9は、2種類以上の吸着材を空気流通方向において多段に積層して構成してもよい。
【0027】
洗浄装置XからダクトD(図1)を介して送られる非清浄空気W′の流路Lは、清浄化処理位置Pに臨んで開口されている。取出流路Lはハニカムロータ9を挟んで該流路Lと対向する位置に開口されている。ハニカムロータ9通過した空気は取出流路Lに設けられた処理ファン12に助勢されて下流側に送られ、フィルタ類13により空気中の塵埃が粗取りされる。フィルタ類13を介して得られた清浄空気WはダクトDを介して洗浄装置X(図1参照)に送られる。また、処理ファン12とフィルタ類13との間から分岐された案内路Lを介してハニカムロータ9を通過した空気の一部が冷却用空気として冷却処理位置Pに案内される。
【0028】
また、前記案内路Lの開口に対してハニカムロータ9を挟んで対向する位置には、冷却処理位置Pを出た空気を再生処理位置Pに導く流路Lが開口している。案内路Lよりハニカムロータ9を経て送られた空気は、流路Lを介してヒータ14に送られる。ヒータ14で加熱された空気は、流路Lを介して再生処理位置Pへ送られる。
【0029】
ハニカムロータ9を挟んで流路Lの開口と対向する位置に開口する流路Lには、排気ファン15が設けられている。また、流路Lを流れる非清浄空気W′の一部は、分岐流路Lを介して流路Lに送られ、排気が円滑に行われる。なお、再生処理位置Pでハニカムロータ9を通過した熱風は、通常外部へ排気されるが、図1に仮想線で示すように、再生排気の一部又は全部を前記気体浄化ユニットAの給気部へリターンさせる通路16を設けるようにしてもよい。このようにすると、高価で高品質な空気(即ち、清浄空気)を排気せずに済むところから、さらなる省エネを図ることができる。
【0030】
上記構成の本実施形態においては、次のような作用効果を奏する。
本実施形態においては、空気が流通する空気通路Q内に、非清浄空気W′中の汚染物質を吸着するとともに、再生処理により吸着した汚染物質を離脱する再生可能な吸着部材9を有する吸着除去装置Bと、多孔質膜を介して気液接触を行うことにより非清浄空気W′中の汚染物質を液体中に分離除去する気体浄化ユニットAとが配設されている。
【0031】
従って、気体浄化ユニットAにおいて、非清浄空気W′中の汚染物質が多孔質膜を介して気液接触する液体中に分離除去されるとともに、吸着除去装置Bにおいて、空気中の有機汚染物質が吸着部材9に吸着されて清浄空気Wとなる。よって、水溶性の汚染物質は気体浄化ユニットAにおいて分離除去されるとともに、有機汚染物質は吸着除去装置Bにおいて吸着除去されて、空気の清浄化効率が著しく向上する。また、気体浄化ユニットAおよび吸着除去装置Bは、共に連続使用が可能なところから、交換の必要がなくなり、浄化ユニットAの操業性も向上する。
【0032】
本実施形態においては、浄化ユニットAを吸着除去装置Bの上流側に同装置Bと直列に配置している。このため、洗浄装置XからダクトDを介して送られた非清浄空気W′中の汚染物質が、浄化ユニットAの多孔質膜からなるパイプ2を介して純水中に分離除去される。その後、除去装置Bにおいて、空気中の化学的汚染物質がハニカムロータ9に吸着されて清浄空気Wとなり、洗浄装置Xに送られる。従って、上述の効果に加え、除去装置Bでの汚染物質の吸着量が大幅に減少するため、再生に要するエネルギーを節減できる。
【0033】
また、除去装置Bにおいて、非清浄空気W′を清浄化する位置Pと、吸着した汚染物質を離脱させる位置Pとに吸着部材9を変位させ、位置Pにおいて吸着部材9から汚染物質を離脱させる。従って、吸着部材9への汚染物質の吸着、吸着部材9からの汚染物質の離脱が吸着部材9の変位により円滑に行えることとなり、操業性が向上する。なお、本実施形態では、吸着部材は疎水性ゼオライトからなるハニカムロータ9を含み、モータ10がこのハニカムロータ9を回転させて変位させる。
【0034】
また、吸着部材9を通過して得られた清浄空気Wの一部を吸着部材9の再生処理用空気として利用するとともに、該再生処理により得られる再生排気の一部又は全部を前記気体浄化ユニットAの給気部へリターンさせる通路16を設けた。従って、高価で高品質な清浄空気を排気することなく、さらなる省エネを図ることができる。
【0035】
また、浄化ユニットAを、純水を貯留するタンク1、及び該タンク1内に架設された多孔質膜からなる多数のパイプ2より構成している。従って、多段配置によるコンパクトな浄化ユニットAとなり、低圧損で効率的な空気清浄化を図ることができる。
【0036】
また、浄化ユニット(A)を、多孔質膜からなる膜エレメント29を積層してなり、これらの膜エレメント29を介して純水と非清浄空気Wとを接触させる。従って、積層された膜エレメント29を介する気液接触により非清浄空気W′中の汚染物質が純水中に分離除去されることとなり、コンパクトで高効率な気体浄化ユニットAが得られる。
【0037】
また、純水の温度を制御する温度制御機構7を付設する構成としているため、気体浄化ユニットAを通過する空気の温湿度調整を行うことができる。
次に、第2実施形態について、図6を参照して説明する。
【0038】
本実施形態においては、洗浄装置Xの洗浄排水を浄化ユニットAのタンク1内に供給する水通路17を設けている。水通路17には逆浸透膜モジュール18と、同モジュール18で得られた濃縮水を除去装置Bの再生排気で気化させて排気する機構19とが配置されている。このようにすると、洗浄装置Xの洗浄排水を浄化ユニットAのタンク1内に貯留する純水として使用でき、省資源となる。
【0039】
次に、第3実施形態について、図7を参照して説明する。
本実施形態においては、第2実施形態と同様に洗浄装置Xの洗浄排水を浄化ユニットAのタンク1内に供給する水通路17を設けたものである。水通路17には洗浄装置Xの最終洗浄時にのみ水通路17をタンク1に対して連通させる三方弁20が配置されている。このようにすると、洗浄装置Xの最終洗浄排水(即ち、リンス水)のみが浄化ユニットAのタンク1内に純水として貯留されるため、省資源化を図ることができる。
【0040】
次に、第4実施形態について、図8〜図12を参照して説明する。
本実施形態においては、除去装置Bにおいてハニカムロータ9の回転角度(あるいは回転速度)はモータ10の出力軸に配置した回転角度センサ(あるいは速度センサ)21にて検出される。前記ハニカムロータ9の再生排気中の有機物濃度は有機物濃度センサ22にて検出される。浄化ユニットAにおける純水中のイオン濃度はイオン濃度センサ23にて検出される。清浄空気Wの温度は温度センサ24にて、清浄空気Wの湿度は湿度センサ25にてそれぞれ検出される。そして、これらのセンサ21〜25により検出された値に基づき制御装置26が所定の演算処理を行う。制御装置26は演算結果に基づいて浄化ユニットAにおける循環路3のポンプ6、除去装置Bにおけるモータ10、除去装置Bにおける冷却処理位置Pに冷却風を供給するダンパ27を駆動制御する。なお、符号28は除去装置Bの出口側において清浄空気Wを再加熱するための再熱ヒータである。
【0041】
再生排気中の有機物濃度には基準値1と、これより低い基準値2が設定されている。基準値1とは再生排気中の有機物濃度が許容範囲を上回り、有機物をより積極的に除去する必要がある臨界値である。有機物濃度センサ22の検出値が基準値1を上回ると、制御装置26はモータ10、即ちハニカムロータ9をより高速で回転させて、再生排気中の有機物の吸着を一層促進した後、再生処理又は冷却処理に移行する。
【0042】
一方、基準値2とは再生排気が再生処理、冷却処理に使用されるにあたり、有機物濃度が支障とならない値に近いことを示す。有機物濃度センサ22の検出値が基準値2に達しないと、制御装置26はモータ10、即ちハニカムロータ9の回転速度を低下させて省エネモードで運転して、再生処理又は冷却処理に移行する。
【0043】
なお、有機物濃度センサ22の検出値が基準値1と基準値2との間にあるときは、ハニカムロータ9はその回転速度を維持したままで再生処理又は冷却処理に移行する。制御装置26は図9に示すフローチャートに従って排水制御を実行する。
【0044】
ステップS1においてイオン濃度センサ23による検出値と設定値との比較がなされる。ステップS1においてイオン濃度≦設定値と判定された場合には、ステップS2においてタンク1内の純水は循環路3を介して循環される。ステップS1において、イオン濃度>設定値と判定されると、ステップS3において排水路5より使用済み純水が排出され、給水路4より新たな純水が供給されて、純水の再生が行われる。換言すると、イオン濃度センサ23の検出値に基づいて純水の循環量および給排水量が制御される。その結果、純水内の汚染物質の蓄積度に応じて、純水の循環利用や給排水制御が行われて効率的な空気清浄化を行うことができる。
【0045】
また、制御装置26は図10に示すフローチャートに従って排気制御を実行する。
ステップS10において、回転角度センサ(回転速度センサ)21の検出値に基づいてハニカムロータ9の回転インターバル(あるいは回転速度)の初期設定が行われ、ステップS12において、再生排気の排出が開始される。この後、ステップS13において、有機物濃度センサ22の検出値と基準値1との比較がなされ、ここで、検出値>基準値1と判定されると、ステップS14において、ハニカムロータ9の回転インターバルを小さくするかあるいは回転速度が大きくされる。その後、ステップS17にて、ハニカムロータ9が設定インターバルで角度θ回転されるかあるいは設定速度で回転された後、ステップS12にリターンされる。図11に示すように、前記角度θは、ハニカムロータ9における再生処理位置Pおよび冷却処理位置Pの形成角度である。
【0046】
ステップS13において、検出値≦基準値1と判定されると、ステップS15において、検出値と基準値2との比較がなされる。ここで、検出値<基準値2と判定されると、ステップS16において、ハニカムロータ9の回転インターバルを大きくするかあるいは回転速度を小さくする制御がなされた後にステップS17に進む。
【0047】
ステップS15において、検出値≧基準値2と判定されると、ステップS17に進む。ここで、基準値1>基準値2とされる。
つまり、有機物濃度が基準値1と基準値2の間にあるときは、ハニカムロータ9は、設定された回転インターバルあるいは回転速度で回転駆動されるが、基準値1を超えるか、基準値2未満となると、その状態に対応した回転インターバルあるいは回転速度で回転駆動される。このように、本実施形態においては、ハニカムロータ9の回転角度あるいは回転速度を検出する回転角度センサ(あるいは速度センサ)21の検出値に基づいてハニカムロータ9の回転速度を制御する。従って、ハニカムロータ9による汚染物質の吸着および汚染物質の離脱を効率よく行うことができる。
【0048】
また、有機物濃度センサ22の検出値に基づいてハニカムロータ9の回転インターバルあるいは回転速度を制御するようにしているので、ハニカムロータ9への汚染物質の蓄積度に応じた頻度でハニカムロータ9の再生処理を行うことができ、さらなる省エネ運転が可能となる。
【0049】
次に、清浄空気Wの温湿度を一定に保つ制御について、図12を参照して説明する。
浄化ユニットAを通過する空気の状態Kは、近似的に湿球温度一定の状態変化(即ち、状態Kに向かって変化)を示し、ハニカムロータ9を通過する直前の状態Kとなる。ハニカムロータ9での吸着反応(水分や化学物質を吸着)により、温度が若干上がり(Tb→Tc)、湿度が若干下がる(Hb→Ha)。さらに、再生用ヒータ14の熱により顕熱が上昇(Tc→Ta)し、状態K′となる。つまり、ハニカムロータ9での湿度低下分(Hb→Ha)をキャンセルするように、浄化ユニットAの水温を状態Kの空気の露点温度To〜湿球温度Trの間で制御し、浄化ユニットAでの冷却とハニカムロータ9での吸着発熱の差分(Ta−Tc)を再生ヒータ14から得られるように、ダンパ27により冷却風量を制御する(場合によっては、冷却を行わず、再熱ヒータ28でさらに加熱する)。上記のようすることにより、状態Kと状態K′とを同じにできる。これらの制御量を適当に変えれば、清浄空気Wの温湿度を任意に制御できる。
【0050】
即ち、本実施形態においては、ハニカムロータ9を冷却する冷却風の風量を制御する風量制御機構を設けたことにより、得られる清浄空気Wの温湿度調整を行うことができる。
次に、第5実施形態について、図13〜図15を参照して説明する。
【0051】
本実施形態においては、浄化装置Zが付設される装置Xとして、半導体ウエーハを搬送する搬送ロボットRを具備したウエーハ移載機が採用されている。ウエーハ移載機Xの底部には、移載機X内において汚染された非清浄空気W′の一部を排出する排気口40が形成されている。
【0052】
この浄化装置Zは、内部に空気が流通するダクトDからダクトDに至る空気通路Qを有している。空気通路Q内には、非清浄空気W′中の汚染物質を吸着するとともに、再生処理により吸着した汚染物質を離脱する再生可能な吸着部材9を有する吸着除去装置Bと、除去装置Bの上流側に同装置Bと直列に配置され、かつ多孔質膜により非清浄空気中の汚染物質を液体中に分離除去する浄化ユニットAとが配設されている。
【0053】
ここで、本実施形態においては、前記浄化ユニットAは、前記空気通路Qを流通する空気の一部(例えば、略半量)が通過し得るように構成されている。従って、浄化ユニットAの過度の加湿を抑制することができることとなり、温湿度調整が容易に行える。なお、符号41は浄化装置Zの底部に形成された給気口、Cは清浄空気Wを圧送するためのファンである。
【0054】
また、図13に仮想線で示すように、再生排気の一部又は全部を気体浄化ユニットAの前記給気口41等へリターンさせる通路16を設け、清浄空気の排気を回避して省エネを図ることも可能である。
【0055】
本実施例の浄化ユニットAは第1の実施形態の浄化ユニットに対して若干の変更を加えたものである。即ち、図14,15に示すように、気体浄化ユニットAにおいて、純水の循環路3には、循環水を再生すべく紫外線ランプや逆浸透膜よりなる水再生機構42が配置されている。このようにすると、純水を排水せずに循環利用でき、エネルギーの有効利用が図られる。
【0056】
次に、第6実施形態について、図16を参照して説明する。
本実施形態においては、この実施形態は第5の実施形態おける浄化装置Zに変更を加えたものである。即ち、空気通路Qにおいて、気体浄化ユニットAを、該吸着除去装置(B)の下流側に該吸着除去装置と直列に配置したものである。このようにすると、給気に含まれる外部由来のNOx、SOx、アンモニア等の水溶性ガスが上流側の浄化ユニットAで処理される。従って、コンパクトで効率の良い汚染物質除去が可能となる。なお、浄化ユニットAは、給気のみが通過し得るように構成してもよいが、給気と循環空気との両方が通過し得るように構成してもよい。
【0057】
上記の構成においても前記実施の形態と同様の効果を発揮する。
また、除去装置Bは、吸着部材9の組成によっては極性物質(例えば、有機汚染物質)を効率よく吸着できるが、処理空気の湿度が高いと、湿分を優先的に吸着して吸着除去効率が低下する場合がある。しかし、本実施形態においては、除去装置Bの下流側に多孔質膜を介して気液接触を行う浄化ユニットAを配置しているため、特に、極性有機汚染物質を高効率で除去する場合、浄化ユニットAの加湿機能により除去装置Bの除去効率が損なわれることがない。
【0058】
また、本実施形態においても、上述の第5の実施形態の場合と同様に、再生排気の一部又は全部を浄化ユニットAへリターンさせる通路16を設け、清浄空気の排気を回避すれば、省エネを図ることができる。
【0059】
次に、第7実施形態について、図17を参照して説明する。
本実施形態は、第6実施形態の一部を変更したものである。即ち、吸着除去装置Bは空気通路Qを流通する空気の一部(例えば、略半量)が通過し得るように形成されている。
【0060】
上記したように、通路Qを流通する空気一部が除去装置Bを通過し得るため、非清浄空気W′中に含まれる汚染物質の組成において、有機汚染物質が水溶性ガスよりも少ない場合に有効となる。
【0061】
次に、第8実施形態について、図18を参照して説明する。
本実施形態においては、吸着除去装置Bは空気通路Qを流通する空気の全部が、また気体浄化ユニットAは空気の一部(略半量)が通過するように構成されている。従って、第5の実施形態と同様に、浄化ユニットAの過度の加湿を抑制することができることとなり、温湿度調整が容易に行える。
【0062】
また、本実施形態においても、除去装置Bの下流側に浄化ユニットAを配置しているため、第6の実施形態と同様の効果を奏する。
以上、本発明を実施形態に即して説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下のように変更してもよい。
【0063】
上記各実施形態においては、気体浄化装置Zが付設される装置Xを洗浄装置あるいはウエーハ移載機を例に説明したが、これに限定されるものではなく、フォトレジスト塗布現像装置等の基板処理装置やミニエンバイロメント(EFEM)などを採用することも可能である。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】

【図6】

【図7】

【図8】

【図9】

【図10】

【図11】

【図12】

【図13】

【図14】

【図15】

【図16】

【図17】

【図18】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
汚染物質を含む気体を浄化するための気体浄化装置であって、
空気の通路(Q)内に、非清浄空気(W′)中の汚染物質を吸着するとともに、再生処理により吸着した汚染物質を離脱する再生可能な吸着部材(9)を有する吸着除去装置(B)と、多孔質膜を介して気液接触を行うことにより非清浄空気(W′)中の汚染物質を液体中に分離除去する気体浄化ユニット(A)とが配設されていることを特徴とする気体浄化装置。
【請求項2】
前記気体浄化ユニット(A)は、前記吸着除去装置(B)の上流側において、該吸着除去装置と直列に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の気体浄化装置。
【請求項3】
前記気体浄化ユニット(A)は、前記吸着除去装置(B)の下流側において、該吸着除去装置と直列に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の気体浄化装置。
【請求項4】
前記気体浄化ユニット(A)を、前記空気の通路(Q)内を流通する空気の一部が通過し得るように構成したことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の気体浄化装置。
【請求項5】
前記吸着除去装置(B)を、前記空気の通路(Q)内を流通する空気の一部が通過し得るように構成したことを特徴とする請求項3に記載の気体浄化装置。
【請求項6】
前記吸着除去装置(B)は、非清浄空気(W′)を清浄化する清浄化処理位置(P)と、吸着した汚染物質を離脱させる再生処理位置(P)とに吸着部材(9)を変位させる変位手段と、再生処理位置(P)において吸着部材(9)から汚染物質を離脱させる再生処理手段とを含むことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載の気体浄化装置。
【請求項7】
前記吸着部材は、疎水性ゼオライトからなるハニカムロータ(9)によりなり、前記変位手段は該ハニカムロータ(9)を回転駆動するモータ(10)によりなることを特徴とする請求項6に記載の気体浄化装置。
【請求項8】
前記吸着部材(9)を通過して得られた清浄空気(W)の一部を吸着部材(9)の再生処理用空気として利用するとともに、該再生処理により得られる再生排気の一部又は全部を前記気体浄化ユニット(A)の給気部へリターンさせる通路(16)を設けたことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の気体浄化装置。
【請求項9】
前記ハニカムロータ(9)を冷却する冷却風の風量を制御する風量制御機構を設けたことを特徴とする請求項7または8に記載の気体浄化装置。
【請求項10】
前記ハニカムロータ(9)の回転角度または回転速度を検出するセンサ(21)を有し、該センサ(21)の検出値に基づいてハニカムロータ(9)の回転速度を制御することを特徴とする請求項7乃至9のいずれか1項に記載の気体浄化装置。
【請求項11】
前記ハニカムロータ(9)の再生排気中の有機物濃度を検出する有機物濃度センサ(22)を有し該有機物濃度センサ(22)の検出値に基づいてハニカムロータ(9)の回転速度を制御することを特徴とする請求項10に記載の気体浄化装置。
【請求項12】
前記気体浄化ユニット(A)は、純水を貯留するタンク(1)と、該タンク(1)内に架設された多孔質膜からなる多数のパイプ(2)とからなることを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の気体浄化装置。
【請求項13】
前記気体浄化ユニット(A)を、多孔質膜からなる膜エレメント(29)を積層してなり、これらの膜エレメント(29)を介して純水と非清浄空気(W′)とが接触することを特徴とする請求項1乃至11のいずれか1項に記載の気体浄化装置。
【請求項14】
前記純水の温度を制御する温度制御機構(7)を有することを特徴とする請求項12または13に記載の気体浄化装置。
【請求項15】
前記気体浄化ユニット(A)を循環する水を再生する水再生機構(42)を有することを特徴とする請求項12乃至14のいずれか1項に記載の気体浄化装置。
【請求項16】
前記純水として、この気体浄化装置で得られた清浄空気(W)が供給される装置(X)の排水を使用したことを特徴とする請求項12乃至15のいずれか1項に記載の気体浄化装置。
【請求項17】
前記純水を循環させる純水循環手段(3)と、該純水循環手段(3)に新たな純水を給水する純水供給手段(4)と、該純水循環手段(3)から使用済み純水を排水する純水排出手段(5)とを付設するとともに、前記純水中のイオン濃度を検出するイオン濃度センサー(23)を付設し、該イオン濃度センサー(23)の検出値に基づいて前記純水の循環量および給排水量を制御することを特徴とする請求項12乃至16のいずれか1項に記載の気体浄化装置。

【国際公開番号】WO2005/094971
【国際公開日】平成17年10月13日(2005.10.13)
【発行日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−515322(P2006−515322)
【国際出願番号】PCT/JP2005/005860
【国際出願日】平成17年3月29日(2005.3.29)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】