説明

気道疾患の治療のためのフェニルエタノールアミン

本発明は、式(I)の化合物、その製造方法、これを含む組成物、ならびに特に気道疾患の予防および治療でのその使用に関する:
【化1】


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フェネタノールアミン(phenethanolamine)誘導体、その製造方法、これを含む組成物、ならびに特に気道疾患の予防および治療での医薬としての使用に関する。
【背景技術】
【0002】
ある種のフェネタノールアミン化合物は、β2-アドレナリン受容体位置での選択的刺激剤作用を持ち、したがって気管支喘息および関連疾患の治療用途があることが、当分野で知られている。例えば、GB2140800には、4-ヒドロキシ-α1-[[[6-(4-フェニルブトキシ)ヘキシル]アミノ]メチル]-1,3-ベンゼンジメタノール1-ヒドロキシ-2-ナフタレンカルボキシラート(サルメテロール・キシナフォエート(salmeterolxinafoate))を含むフェネタノールアミン化合物が記載されている。これは現在こうした医学的症状の治療に臨床的に使用されている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
サルメテロールおよびその他の市販のβ2-アドレナリン受容体アゴニストは有効な気管支拡張薬であるが、作用の期間は約12時間であるので、1日に2回の投与が必要なことが多い。したがって、β2-アドレナリン受容体位置での強力で選択的な刺激剤作用を持ち、有益な作用プロフィルを持つ化合物について臨床上の要請がある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
本発明によれば、式(I):
【化1】

【0005】
[式中、
mは2〜8の整数;
nは3〜11、好ましくは3〜7の整数;
ただし、m+nは5〜19、好ましくは5〜12;
R1は-XNR6C(O)NR7R8であって;ここで、
Xは-(CH2)p-およびC2-6アルケニレンから選択され;
R6およびR8は独立して水素、C1-6アルキルおよびC3-7シクロアルキルから選択され;ここで、前記C1-6アルキルおよびC3-7シクロアルキル部分は場合によって-CO2Hもしくは-CO2(C1-4)アルキルで置換されていてもよく;
R7は水素、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、-C(O)R9、フェニル、ナフチル、ヘタリール、およびフェニル(C1-4アルキル)-から選択され、そしてR7は場合によって独立してハロ、ヒドロキシ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、-NHC(O)(C1-6アルキル)、-SO2(C1-6アルキル)、-SO2(フェニル)、-CO2H、-CO2(C1-4アルキル)およびCONR10R11から選択される1または2個の基で置換され;
R9はC1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、-CO2H、CO2(C1-4アルキル)、フェニル、ナフチル、ヘタリール、およびフェニル(C1-4アルキル)-から選択され、そしてR9は場合によって独立してハロ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、-NHC(O)(C1-6アルキル)、-SO2(C1-6アルキル)、-SO2(フェニル)、-CO2H、および-CO2(C1-4アルキル)から選択される1または2個の基で置換され;
R10およびR11はそれぞれ独立して水素、C1-4アルキルもしくはC3-7シクロアルキルであり、そして、
pは0〜6、好ましくは0〜4の整数である;か、
あるいは、
R1に隣接する環内炭素原子を介して、R1が結合されているフェニル環とR8が結合を形成することで、R1が環化して次式部分を形成し:
【化2】

【0006】
R2は水素、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、フェニル、ハロ、およびC1-6ハロアルキルから選択され;
R3は水素、ヒドロキシ、C1-6アルキル、ハロ、C1-6アルコキシ、フェニル、C1-6ハロアルキル、および-SO2NR12R13から選択され;
ここで、前記R12およびR13は独立して水素、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、フェニル、およびフェニル(C1-4アルキル)から選択されるか、またはR12およびR13が、これらが結合している窒素と一緒になって窒素含有5-、6-、もしくは7-員環を形成し;
そしてR12およびR13はそれぞれ場合によってハロ、C1-6アルキル、およびC1-6ハロアルキルから選択される1もしくは2個の基で置換され;
R4およびR5は独立して水素およびC1-4アルキルから選択され、ただしR4およびR5における炭素原子の総数は4以下であり;
そして、Ar1は以下の基から選択され:
【化3】

【0007】
及び
【化4】

【0008】
ここで、R14は水素、ハロゲン、-(CH2)qOR18、-NR18C(O)R19、-NR18SO2R19、-SO2NR18R19、-NR18R19、-OC(O)R20もしくはOC(O)NR18R19であり、
そして、R15は水素、ハロゲンもしくはC1-4アルキルである;か、
あるいは、R14は-NHR21であって、R15と-NHR21が一緒になって5-もしくは6-員へテロ環を形成し;
R16は水素、ハロゲン、-OR18もしくは-NR18R19であり;
R17は水素、ハロゲン、ハロC1-4アルキル、-OR18、-NR18R19、-OC(O)R20もしくはOC(O)NR18R19であり;
R18およびR19はそれぞれ独立して水素もしくはC1-4アルキルであるか、あるいは基-NR18R19、-SO2NR18R19および-OC(O)NR18R19においては、R18およびR19は独立して水素もしくはC1-4アルキルであるか、これらが結合している窒素原子と一緒になって窒素含有5-、6-もしくは7-員環を形成し、
R20はアリール(例えばフェニルもしくはナフチル)基であって、これらは非置換またはハロゲン、C1-4アルキル、ヒドロキシ、C1-4アルコキシもしくはハロC1-4アルキルから選択される1以上の置換基で置換されていてもよく;そして
qは0または1〜4の整数であり;
ただし、基(a)において、R14が-(CH2)qOR18かつqが1の場合、R16はOHでない。]
の化合物、またはその塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能的な誘導体が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明の特定の1実施形態中:
R14は水素、ハロゲン、-NR18C(O)R19、-NR18SO2R19、-SO2NR18R19、-NR18R19、-OC(O)R20もしくはOC(O)NR18R19;そして
R16は水素、ハロゲン、-OR18もしくは-NR18R19である。
【0010】
本発明の別の実施形態中:
R14は水素、ハロゲン、-(CH2)qOR18、-NR18C(O)R19、-NR18SO2R19、-SO2NR18R19、-NR18R19、-OC(O)R20もしくはOC(O)NR18R19;そして
R16は水素、ハロゲン、もしくは-NR18R19である。
【0011】
本発明の別の実施形態中:
R6およびR8は独立して水素、C1-6アルキルおよびC3-7シクロアルキルから選択され;
R7は水素、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、-C(O)R9、フェニル、ナフチル、ヘタリール、およびフェニル(C1-4アルキル)-から選択され、またR7は場合によって、ハロ、ヒドロキシ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、-NHC(O)(C1-6アルキル)、-SO2(C1-6アルキル)、-SO2(フェニル)、-CO2H、および-CO2(C1-4アルキル)から独立して選択される1もしくは2個の基で置換され;
R14は上記定義の通り、ただし、R14は水素以外であり;そして
その他の全置換基は式(I)についての定義の通りである。
【0012】
R7の定義中、用語「ヘタリール(hetaryl)」は5-もしくは6-員のヘテロ芳香族環を意味し、チエニル、ピリミジン、もしくはピリジルなどである。
【0013】
R12およびR13の定義中、ならびにR18およびR19の定義中、用語「5-、6-、もしくは7-員の窒素含有環」は、窒素原子1個と、場合によって窒素、硫黄、および酸素から独立して選択される1もしくは2個のその他のヘテロ原子を含有する5-、6-、もしくは7-員の飽和もしくは不飽和環を意味する。こうした環の好適な例として、ピペリジニル、モルホリニル、およびピペラジニルが含まれる。
【0014】
Xの定義中、用語「アルケニレン」にはシスおよびトランス構造の両方が含まれる。アルケニレン基の好適な例は-CH=CH-である。
【0015】
式(I)の化合物中、R1は好ましくはこれ以後に定義される通りである。
【0016】
R2は好ましくは水素である。
【0017】
R3は好ましくは水素もしくはC1-6アルキルである。
【0018】
式(I)の化合物中、R4およびR5は好ましくは独立して水素およびメチルから選択され、さらに好ましくはR4およびR5の両方が水素である。
【0019】
基R1中、置換基R6およびR8は、好ましくはそれぞれ独立して水素である。
【0020】
R7は好ましくは以下から選択される:水素、C1-6アルキル;CO2H、CO2(C1-4アルキル)、CONH2、およびCONH(C3-7シクロアルキル)から選択される基で置換されたC1-6アルキル;フェニル;ハロ、C1-6アルキル、ハロC1-6アルキルおよびヒドロキシから選択される基で置換されたフェニル;ヘテロアリール(例えばピリジルもしくはピリミジニル);C3-7シクロアルキル;COPhならびにCOCO2H。
【0021】
式(I)の化合物中、mは好適には3、4もしくは5、また好ましくはmは5、そしてnは好適には3〜6、また好ましくは、nは3もしくは4である。さらに好ましくは、nは5もしくは6、かつnは3もしくは4であって、m+nの合計が8、9もしくは10、最も好ましくは9である。
【0022】
式(I)の化合物中、基Ar1は、好ましくは上記の基(a)および(b)から選択される。
【0023】
前記の基(a)および(b)中、R14がハロゲンの場合、それは好ましくは塩素もしくはフッ素である。
【0024】
R18およびR19は、好ましくはそれぞれ独立して水素もしくはメチルである。
【0025】
R20は、好ましくは置換されたフェニルである。
【0026】
整数qは、好ましくは0もしくは1である。
【0027】
こうして、例えば-(CH2)qOR18は、好ましくはOHもしくは-CH2OH;
NR18C(O)R19は、好ましくは-NHC(O)H;
-SO2NR18R19は、好ましくは-SO2NH2もしくはSO2NHCH3;
-NR18SO2R19は、好ましくはNHSO2CH3;
NR18R19は、好ましくは-NH2;
-OC(O)R20は、好ましくは置換ベンゾイルオキシ、例えばOC(O)-C6H4-(p-CH3);そして
-OC(O)NR18R19は、好ましくはOC(O)N(CH3)2である。
【0028】
R14がNHR21であって、R15と一緒になって5-もしくは6-員ヘテロ環を形成している場合、-NHR21-R15-は、好ましくは以下の基であり:
-NH-CO-R22-、式中R22はアルキル、アルケニルもしくはアルコキシ基または部分;
-NH-SO2R23-、式中R23はアルコキシ基または部分;
-NH-R24-、式中R24は、場合によってCOOR25(式中、R25はC1-4アルキル)で置換されたアルキルもしくはアルケニル基または部分;あるいは
-NH-CO-S-;
前記アルキル、アルケニルおよびアルコキシ基ならびに部分は1もしくは2個の炭素原子を含有する。
【0029】
特に好ましい基(a)および(b)は以下の基(i)〜(xxi)から選択される:
【化5】



【0030】
式中、(xv)および(xviii)の点線は場合により二重結合を表す。
【0031】
本発明の好ましい1態様中、式(Ia)の化合物またはその塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能的な誘導体が提供される:
【化6】

【0032】
式中、R1およびR3は上記式(I)について定義された通りである。
【0033】
本発明の別の好ましい1態様中、式(Ib)の化合物またはその塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能的な誘導体が提供される:
【化7】

【0034】
式中、R1およびR3は上記式(I)について定義された通りである。
【0035】
式(I)、(Ia)および(Ib)の化合物中、基R1は、好ましくはそれぞれ-O-(CH2)n-、-O-(CH2)4-もしくは-O-(CH2)3-に対してメタ位に結合される。
【0036】
式(I)、(Ia)および(Ib)の化合物中、基R1は、好ましくは-(CH2)p-NHC(O)NHR7、かつR7は好ましくは水素である。
【0037】
式(I)、(Ia)および(Ib)の化合物中、pは好ましくは0、1、もしくは2である。
【0038】
式(I)、(Ia)および(Ib)の化合物中、R3は好ましくは水素もしくはC1-6アルキル、例えばメチルである。
【0039】
本発明は上記の特定のおよび好ましい基のすべての組み合わせを網羅するものと理解されたい。
【0040】
式(I)、(Ia)及び(Ib)の化合物は、2つの不斉中心、すなわち、基:
【化8】

【0041】
の炭素原子を含む。本発明は、実質的に純粋な形態または任意の比率で混合された形態で(S)および(R)鏡像異性体の両方を含む。
【0042】
同様に、R4およびR5が異なる基である場合、それらが結合している炭素原子は不斉中心であり、本発明は実質的に純粋な形態または任意の比率で混合された形態において、この中心での(S)および(R)鏡像異性体の両方を含む。
【0043】
従って、式(I)、(Ia)及び(Ib)の化合物は、すべての鏡像異性体およびジアステレオマーならびに任意の比率でのその混合物を含む。
【0044】
本発明の好ましい化合物としては:
N-[3-(4-{[6-({(2R)-2-[3-(ホルミルアミノ)-4-ヒドロキシフェニル]-2-ヒドロキシエチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)フェニル]尿素;
N-[3-(4-{[6-({(2R)-2-[3-(ホルミルアミノ)-4-ヒドロキシフェニル]-2-ヒドロキシエチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)フェニル]-N'-フェニル尿素;
N-[3-(4-{[6-({(2R)-2-[3-(ホルミルアミノ)-4-ヒドロキシフェニル]-2-ヒドロキシエチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)フェニル]-N'-ピリジン-3-イル尿素;
N-[3-(4-{[6-({2-ヒドロキシ-2-[5-ヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)ピリジン-2-イル]エチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)-5-メチルフェニル]尿素
並びに、その塩、溶媒和物、及び生理学的に機能的な誘導体
が包含される。
【0045】
医学における使用に好適な式(I)、(Ia)及び(Ib)の化合物の塩および溶媒和物は、対イオンまたは会合溶媒が薬学的に許容されるものである。しかしながら、薬学的に許容されない対イオンまたは会合溶媒を有する塩および溶媒和物は、例えば、式(I)、(Ia)及び(Ib)の他の化合物ならびにその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、および生理学的に機能的な誘導体の製造における中間体としての使用に関して、本発明の範囲内にある。
【0046】
用語「生理学的に機能的な誘導体(physiologically functional derivatives)」とは、例えば、体内で変換可能であることにより、式(I)、(Ia)又は(Ib)の親化合物と同じ生理学的機能を有する式(I)、(Ia)又は(Ib)の化学的誘導体を意味する。本発明に従えば、生理学的に機能的な誘導体の例としてはエステルが挙げられる。
【0047】
本発明に従う好適な塩としては、有機および無機の酸または塩基と共に形成されるものが挙げられる。薬学的に許容し得る酸付加塩としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、クエン酸、酒石酸、リン酸、乳酸、ピルビン酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、トリフェニル酢酸、スルファミン酸、スルファニル酸、コハク酸、オキサロ酸、フマル酸、マレイン酸、リンゴ酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、オキサロ酢酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、アリールスルホン酸(例えば、p-トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸またはナフタレンジスルホン酸)、サリチル酸、グルタル酸、グルコン酸、トリカルバリン酸(tricarballic)、桂皮酸、置換桂皮酸(例えば、メチル、メトキシまたはハロ置換桂皮酸、例えば、4-メチルおよび4-メトキシ桂皮酸)、アスコルビン酸、オレイン酸、ナフトエ酸、ヒドロキシナフトエ酸(例えば、1-または3-ヒドロキシ-2-ナフトエ酸)、ナフタレンアクリル酸(例えば、ナフタレン-2-アクリル酸)、安息香酸、4-メトキシ安息香酸、2-または4-ヒドロキシ安息香酸、4-クロロ安息香酸、4-フェニル安息香酸、ベンゼンアクリル酸(例えば、1,4-ベンゼンジアクリル酸)およびイセチオン酸から形成されるものが挙げられる。薬学的に許容し得る塩基塩としては、アンモニウム塩、ナトリウムおよびカリウムのものなどのアルカリ金属塩、カルシウムおよびマグネシウムのものなどのアルカリ土類金属塩ならびにジシクロヘキシルおよびN-メチル-D-グルカミンなどの有機塩基との塩が挙げられる。
【0048】
式(I)、(Ia)及び(Ib)の化合物の薬学的に許容し得るエステルはC1-6アルキル、アリール、アリールC1-6アルキル、またはアミノ酸エステルに変換されたヒドロキシル基を有してもよい。
【0049】
上述のように、式(I)、(Ia)及び(Ib)の化合物は、以下に記載のヒトβ-アドレナリン受容体を用いてトランスフェクトした細胞系から読み出される機能的遺伝子またはリポーター遺伝子を用いて証明されるように、選択的β2-アドレナリン受容体アゴニストである。本発明による化合物はまた、迅速な作用開始と長い効果期間とを組み合わせる能力をも有する。さらに、特定の化合物(例えば、上記に示された特に好ましい化合物)は、現存する長時間作用β2-アゴニスト気管支拡張剤と比較して、動物モデルにおいて肺の保持力の改善および経口吸収の低下をもたらす薬物動態特性を示した。そのようなものとして、本発明の化合物は1日1回の投与に好適である。
【0050】
従って、式(I)、(Ia)及び(Ib)の化合物並びにその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、および生理学的に機能的な誘導体は、選択的β2-アドレナリン受容体アゴニストが適応となる臨床症状の予防および治療において有用である。そのような症状としては、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)(例えば、慢性および呼吸困難性気管支炎、肺気腫)、気道感染および上気道疾患(例えば、季節性およびアレルギー性鼻炎などの鼻炎)などの可逆性気道閉塞に関連する疾患が挙げられる。
【0051】
治療し得る他の症状としては、早産、抑鬱症、鬱血性心疾患、皮膚疾患(例えば、炎症性、アレルギー性、乾癬性、および増殖性皮膚疾患)、ペプシン酸度の低下が望ましい症状(例えば、消化性潰瘍および胃潰瘍)ならびに筋肉消耗性疾患が挙げられる。
【0052】
従って、本発明は、選択的β2-アドレナリン受容体アゴニストが適応となる、ヒトなどの哺乳動物における臨床症状の予防または治療のための方法であって、治療上有効量の式(I)、(Ia)又は(Ib)の化合物またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能的な誘導体の投与を含む前記方法を提供する。特に、本発明は、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気道感染もしくは上気道疾患などの可逆性気道閉塞に関連する疾患の予防または治療のためのそのような方法を提供する。さらなる態様において、本発明は早産、抑鬱症、鬱血性心疾患、皮膚疾患(例えば、炎症性、アレルギー性、乾癬性、および増殖性皮膚疾患)、ペプシン酸度の低下が望ましい症状(例えば、消化性潰瘍および胃潰瘍)もしくは筋肉消耗性疾患から選択される臨床症状の予防または治療のためのそのような方法を提供する。
【0053】
また、医学的治療における使用、特に、選択的β2-アドレナリン受容体アゴニストが適応となる、ヒトなどの哺乳動物における臨床症状の予防または治療における使用のための式(I)、(Ia)又は(Ib)の化合物またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能的な誘導体も提供される。特に、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気道感染もしくは上気道疾患などの可逆性気道閉塞に関連する疾患の予防または治療のための式(I)、(Ia)又は(Ib)の化合物またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能的な誘導体が提供される。さらなる態様において、早産、抑鬱症、鬱血性心疾患、皮膚疾患(例えば、炎症性、アレルギー性、乾癬性、および増殖性皮膚疾患)、ペプシン酸度の低下が望ましい症状(例えば、消化性潰瘍および胃潰瘍)もしくは筋肉消耗性疾患から選択される臨床症状の予防または治療のための式(I)、(Ia)又は(Ib)の化合物またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能的な誘導体が提供される。
【0054】
本発明はまた、選択的β2-アドレナリン受容体アゴニストが適応となる臨床症状、例えば、喘息、慢性閉塞性肺疾患(COPD)、気道感染もしくは上気道疾患などの可逆性気道閉塞に関連する疾患の予防または治療のための薬剤の製造における、式(I)、(Ia)又は(Ib)の化合物またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能的な誘導体の使用も提供する。さらなる態様においては、早産、抑鬱症、鬱血性心疾患、皮膚疾患(例えば、炎症性、アレルギー性、乾癬性、および増殖性皮膚疾患)、ペプシン酸度の低下が望ましい症状(例えば、消化性潰瘍および胃潰瘍)もしくは筋肉消耗性疾患から選択される臨床症状の予防または治療のための薬剤の製造における、式(I)、(Ia)又は(Ib)の化合物またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能的な誘導体が提供される。
【0055】
治療効果を達成するのに必要とされる式(I)、(Ia)又は(Ib)の化合物またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能的な誘導体の量は勿論、特定の化合物、投与経路、治療下の被験体、および治療しようとする特定の障害または疾患に応じて変化するであろう。本発明の化合物を、0.0005mg〜10mg、好ましくは0.005mg〜0.5mg、例えば0.05mg〜0.5mgの用量での吸入により投与することができる。成人のヒトのための用量範囲は、一般的には1日あたり0.0005mg〜10mg、好ましくは1日あたり0.01mg〜1mgであり、最も好ましくは0.05mg〜0.5mgである。
【0056】
式(I)、(Ia)又は(Ib)の化合物またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能的な誘導体を単独で投与することも可能であるが、医薬製剤としてそれを存在させるのが好ましい。
【0057】
従って、本発明はさらに、式(I)、(Ia)又は(Ib)の化合物またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能的な誘導体、および薬学的に許容し得る担体もしくは賦形剤、および必要に応じて1種以上の他の治療成分を含む医薬製剤を提供する。
【0058】
本明細書においては以後、用語「活性成分」とは式(I)、(Ia)又は(Ib)の化合物またはその薬学的に許容し得る塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能的な誘導体を意味するものとする。
【0059】
前記製剤としては、経口、非経口(皮下、皮内、筋肉内、静脈内および関節内など)、吸入(様々な型の定量圧式エアロゾル、ネブライザーもしくはインサフレーターの手段により作製することができる微粒子の粉末または霧)、直腸および局所(真皮、頬、舌下および眼内など)投与に好適なものが挙げられるが、最も好適な経路は、例えば、レシピエントの症状および障害に依存する。前記製剤は、単位投与剤形中で提供することが都合がよく、製薬業界で公知の任意の方法により製造することができる。全ての方法は前記活性成分を、1種以上の補助成分を構成する担体と結合させる工程を含む。一般的には、前記製剤を、前記活性成分と液体担体もしくは微細に分割した固体担体またはその両方とを均一かつ密接に結合させた後、必要に応じて、生成物を所望の製剤に形状化することにより製造する。
【0060】
経口投与に好適な本発明の製剤を、各々所定量の活性成分を含有するカプセル剤、カシェ剤または錠剤などの別々の単位;粉末または顆粒;水性液体もしくは非水性液体中での溶液または懸濁液;または水中油液体乳濁液もしくは油中水液体乳濁液として提供することができる。前記活性成分をボーラス剤、舐剤またはペースト剤として提供することもできる。
【0061】
錠剤は、必要に応じて1種以上の補助成分と共に圧縮または成型することにより作製することができる。圧縮錠剤は、好適な機械中で、粉末または顆粒などの自由流動形態の活性成分と、必要に応じて結合剤、潤滑剤、不活性希釈剤、潤滑化剤、界面活性剤または分散剤とを混合して圧縮することにより製造することができる。成型錠剤は、好適な機械中で、不活性液体希釈剤で湿潤させた粉末化化合物の混合物を成型することにより作製することができる。錠剤は、必要に応じて被覆するか、または切り目を入れてもよく、活性成分のゆっくりした、または制御された放出を提供するように製剤化することができる。
【0062】
非経口投与のための製剤としては、酸化防止剤、バッファー、静菌剤、および製剤を意図されるレシピエントの血液と等張性にさせる溶質を含んでもよい水性および非水性滅菌注入溶液;ならびに懸濁剤および増ちょう剤を含んでもよい水性および非水性滅菌懸濁液が挙げられる。この製剤を、例えば、密封されたアンプルおよびバイアルなどの単回投与または複数回投与用容器中で提供し、使用直前に、例えば、生理食塩水または注入用水などの滅菌液体担体の添加のみを要する凍結乾燥状態で保存することができる。即席注入溶液および懸濁液を、先に記載された種類の滅菌粉末、顆粒および錠剤から製造することができる。
【0063】
吸入による肺への局所送達のための乾燥粉末組成物は、吸入器または絶縁体における使用のために、例えば、ゼラチンのカプセルおよびカートリッジ、または、例えば、薄層化アルミニウムホイルのブリスター中で提供することができる。粉末ブレンド製剤は、一般的には本発明の化合物の吸入のための粉末混合物および単糖、二糖もしくは多糖(例えばラクトースまたはスターチ)などの好適な粉末基剤(担体/希釈剤/賦形剤物質)を含む。ラクトースの使用が好ましい。
【0064】
各カプセルまたはカートリッジは、一般的には、別の治療上の活性成分と組合せてもよい20μg〜10mgの式(I)の化合物を含んでもよい。あるいは、本発明の化合物を、賦形剤を用いずに提供することができる。製剤の包装は、単回投与または複数回投与送達に好適なものであってよい。複数回投与送達の場合、製剤を予め定量する(例えば、Diskus、GB2242134、米国特許第6,632,666号、5,860,419号、5,873,360号および5,590,645号もしくはDiskhaler、GB2178965、2129691および2169265、米国特許第4,778,054号、4,811,731号、5,035,237号を参照。その開示内容は参照により本明細書に組み入れられる)か、または使用時に定量する(例えば、Turbuhaler、EP69715または米国特許第6,321,747号に記載されたデバイスを参照。これらの開示内容は参照により本明細書に組み入れられる)ことができる。単回投与用デバイスの例はRotahaler(GB2064336および米国特許第4,353,656号を参照。これらの開示内容は参照により本明細書に組み入れられる)である。Diskusの吸入デバイスは、その長さに沿って配置された複数の凹部を有する基部シートおよび複数の容器を規定する気密的であるが剥がれるように密封された蓋シートから形成された長いストリップを含み、各容器はその中に、好ましくはラクトースと混合された式(I)の化合物を含む吸入可能製剤を有する。このストリップはロールに巻き取れるように十分に可撓性であるのが好ましい。蓋シートおよび基本シートは、好ましくは互いに密封されていない先導末端部分を有し、該先導末端部分の少なくとも一方は巻き取り手段に取り付けられるように構築される。また、基本シートと蓋シートの間の気密シートはその全体の幅に渡って伸びているのが好ましい。蓋シートは、前記基本シートの最初の末端から長軸方向に基本シートから剥がすことができるのが好ましい。
【0065】
吸入による肺への局所送達のためのスプレー組成物を、例えば、定量噴霧式吸入器などの加圧した包装から送達される水性溶液もしくは懸濁液として、またはエアロゾルとして、好適な液体推進剤を用いて製剤化することができる。吸入に好適なエアロゾル組成物は懸濁液であっても溶液であってもよく、一般的には、必要に応じて別の治療上の活性成分およびフルオロカーボンもしくは水素含有クロロフルオロカーボンまたはその混合物、特に、ヒドロフルオロアルカン、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、特に1,1,1,2-テトラフルオロエタン、1,1,1,2,3,3,3-ヘプタフルオロ-n-プロパンまたはその混合物などの好適な推進剤と組合せた式(I)の化合物を含む。二酸化炭素または他の好適な気体を推進剤として用いることもできる。エアロゾル組成物は賦形剤を含まなくてもよく、必要に応じてオレイン酸またはレシチンなどの界面活性剤およびエタノールなどの共溶媒などの当業界で公知のさらなる製剤賦形剤を含んでもよい。加圧製剤は一般的には、バルブ(例えば、定量用バルブ)を用いて閉じられ、マウスピースを備えた作動装置中に固定されたキャニスター(例えば、アルミニウムキャニスター)中で保持することができる。
【0066】
吸入による投与のための薬剤は制御された粒子径を有するのが望ましい。気管支系への吸入のための最適な粒子径は通常1〜10μm、好ましくは2〜5μmである。20μmを超える径を有する粒子は、吸入された場合には小さい気道に到達するには一般的には大きすぎる。これらの粒子径を達成するために、製造する活性成分の粒子を、例えば微粉状化などの従来の手段により径を減少させることができる。所望の画分を、空気分類または篩により分離することができる。この粒子は結晶であるのが好ましい。ラクトースなどの賦形剤を用いる場合、一般的には、賦形剤の粒子径は本発明内の吸入される薬剤よりも大きいであろう。賦形剤がラクトースである場合、それは典型的には粉砕されたラクトースとして存在し、85%を超えるラクトース粒子が60〜90μmのMNDを有し、15%未満が15μm未満のMNDを有するであろう。
【0067】
経鼻スプレーは、増ちょう剤、pHを調整するためのバッファー塩もしくは酸もしくはアルカリ、等張性調整剤または酸化防止剤などの薬剤を添加した水性または非水性ビヒクルを用いて製剤化することができる。
【0068】
本発明の化合物及びラクトースやデンプン等の適当なパウダー基剤のパウダー混合物を含み、吸入器又はインシュレーター(insulator)に使用するための、カプセル及びカートリッジ又は、例えばゼラチン、若しくは例えばラミネートしたアルミニウム箔のブリスターに製剤化してもよい。
【0069】
噴霧による吸入のための溶液は、酸もしくはアルカリ、バッファー塩、等張性調整剤または抗微生物剤などの薬剤を添加した水性ビヒクルを用いて製剤化することができる。これらを、濾過もしくはオートクレーブ中での加熱により滅菌するか、または非滅菌製品として提供することができる。
【0070】
直腸投与のための製剤は、ココアバターまたはポリエチレングリコールなどの通常の担体を含む坐剤として提供することができる。
【0071】
例えば、頬または舌下などの口中での局所投与のための製剤としては、スクロースおよびアカシアもしくはトラガカントなどの香料基剤中に活性成分を含むロゼンジ剤、ならびにゼラチンおよびグリセリンもしくはスクロースおよびアカシアなどの基剤中に活性成分を含むトローチ剤が挙げられる。
【0072】
好ましい単位投与製剤は、前記の有効量、またはその好適な画分の活性成分を含むものである。
【0073】
特に上記した成分に加えて、本発明の製剤は目的の製剤のタイプに応じて当業界で従来的な他の薬剤を含んでもよく、例えば、経口投与に好適なものは香料を含んでもよいことを理解すべきである。
【0074】
本発明による化合物および医薬製剤を1種以上の他の治療剤、例えば、抗炎症剤、抗コリン剤(特にM1、M2、M1/M2もしくはM3受容体アンタゴニスト)、他のβ2-アドレナリン受容体アゴニスト、抗感染剤(例えば、抗生物質、抗ウイルス剤)、または抗ヒスタミン剤と組合せて用いるか、またはこれを含んでもよい。かくして、本発明は、さらなる態様において、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能的な誘導体と、1種以上の他の治療的に活性な薬剤、例えば、抗炎症剤(例えば、コルチコステロイドもしくはNSAID)、抗コリン剤、別のβ2-アドレナリン受容体アゴニスト、抗感染剤(例えば、抗生物質もしくは抗ウイルス剤)、または抗ヒスタミン剤とを含む組合せ物を提供する。好ましいものは、式(I)の化合物または薬学的に許容し得るその塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能的な誘導体と、コルチコステロイド、および/または抗コリン剤、および/またはPDE-4阻害剤とを含む組合せ物である。好ましい組合せ物は1または2種の他の治療剤を含むものである。
【0075】
当業者にとっては、好適には、他の治療成分を、塩(例えば、アルカリ金属もしくはアミン塩として、または酸付加塩として)、またはプロドラッグの形態で、またはエステル(例えば、低級アルキルエステル)として、または溶媒和物(例えば、水和物)として用いて、該治療成分の活性および/または安定性および/または物理的特徴(例えば、溶解性)を最適化することができることが明らかであろう。また、好適には、前記治療成分を光学的に純粋な形態で用いることができることも明らかであろう。
【0076】
好適な抗炎症剤としてはコルチコステロイドおよびNSAIDが挙げられる。本発明の化合物と組み合わせて用いることができる好適なコルチコステロイドは、経口用および吸入用コルチコステロイドならびに抗炎症活性を有するそのプロドラッグである。例としては、メチルプレドニゾロン、プレドニゾロン、デキサメタゾン、プロピオン酸フルチカゾン、6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-フルオロメチルエステル、6α,9α-ジフルオロ-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-17α-プロピオニルオキシ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-(2-オキソ-テトラヒドロ-フラン-3S-イル)エステル、ベクロメタゾンエステル(例えば、17-プロピオン酸エステルまたは17,21-ジプロピオン酸エステル)、ブデソニド、フルニソリド、モメタゾンエステル(例えば、フロエートエステル)、トリアムシノロンアセトニド、ロフレポニド、シクレソニド、プロピオン酸ブチキソコート、RPR-106541、およびST-126が挙げられる。好ましいコルチコステロイドとしては、プロピオン酸フルチカゾン、および6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-フルオロメチルエステルが挙げられるが、より好ましくは、6α,9α-ジフルオロ-17α-[(2-フラニルカルボニル)オキシ]-11β-ヒドロキシ-16α-メチル-3-オキソ-アンドロスタ-1,4-ジエン-17β-カルボチオン酸S-フルオロメチルエステルである。
【0077】
好適なNSAIDとしては、クロモグリケートナトリウム、ネドクロミルナトリウム、ホスホジエステラーゼ(PDE)阻害剤(例えば、テオフィリン、PDE4阻害剤もしくは混合PDE3/PDE4阻害剤)、ロイコトリエンアンタゴニスト、ロイコトリエン合成の阻害剤、iNOS阻害剤、トリプターゼおよびエラスターゼ阻害剤、β-2インテグリンアンタゴニストおよびアデノシン受容体アゴニストもしくはアンタゴニスト(例えば、アデノシン2aアゴニスト)、サイトカインアンタゴニスト(例えば、ケモカインアンタゴニスト)またはサイトカイン合成の阻害剤が挙げられる。好適な他のβ2-アドレナリン受容体アゴニストとしては、サルメテロール(例えば、キシナフォエートとして)、サルブタモール(例えば、硫酸塩もしくは遊離塩基として)、ホルモテロール(例えば、フマル酸塩として)、フェノテロールまたはテルブタリンおよびその塩が挙げられる。
【0078】
特に興味深いのは、ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害剤または混合PDE3/PDE4阻害剤と組合せた式(I)の化合物の使用である。本発明のこの態様において有用なPDE4-特異的阻害剤は、PDE4酵素を阻害することが知られているか、またはPDE4阻害剤として作用することが発見されており、PDEファミリーの他のメンバーを阻害する化合物ではなく、PDE4阻害剤のみである任意の化合物ならびにPDE4であってよい。一般的には、高い親和性でロリプラムに結合するPDE4触媒形態のIC50を低い親和性でロリプラムに結合する形態のIC50で割ったものとみなされる、約0.1以上のIC50比を有するPDE4阻害剤を使用するのが好ましい。本発明の開示のために、低い親和性でRおよびSロリプラムに結合するcAMP触媒部位を「低親和性」結合部位(LPDE4)と命名し、高い親和性でロリプラムに結合するこの触媒部位の他の形態を「高親和性」結合部位(HPDE4)を命名する。この用語「HPDE4」を、ヒトPDE4を指すのに用いる「hPDE4」と混同してはならない。
【0079】
IC50比を決定するための方法は参照により本明細書に組み入れられる米国特許第5,998,428号に説明されている。また、前記アッセイの別の記載についてはPCT出願WO00/51599を参照されたい。
【0080】
本発明における使用の好ましいPDE4阻害剤は、有益な治療比を有する化合物、すなわち、酵素が低い親和性でロリプラムに結合する形態にあり、それによって高い親和性でロリプラムに結合する形態の阻害に関連することが明らかである副作用を低減する、cAMP触媒活性を優先的に阻害する化合物である。これを記述する別の方法は、好ましい化合物は高い親和性でロリプラムに結合するPDE4触媒形態のIC50を低い親和性でロリプラムに結合する形態のIC50で割ったものとみなされる、約0.1以上のIC50比を有するであろうということである。
【0081】
この基準のさらなる改良版(refinement)は、PDE4阻害剤は約0.1以上のIC50比を有し;該比は、基質として1μM[3H]-cAMPを用いて低い親和性でロリプラムに結合する形態のPDE4触媒活性を阻害するIC50値に対する、高い親和性でロリプラムに結合するPDE4の形態への1nMの[3H]R-ロリプラムの結合と競合するIC50値の比である。
【0082】
最も好ましいものは、0.5を超えるIC50比を有するPDE4阻害剤、および特に1.0を超える比を有する化合物である。好ましい化合物はシス4-シアノ-4-(3-シクロペンチルオキシ-4-メトキシフェニル)シクロヘキサン-1-カルボン酸、2-カルボメトキシ-4-シアノ-4-(3-シクロプロピルメトキシ-4-ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン-1-オンおよびシス-[4-シアノ-4-(3-シクロプロピルメトキシ-4-ジフルオロメトキシフェニル)シクロヘキサン-1-オール]であり;これらは低親和性結合部位に優先的に結合し、0.1以上のIC50比を有する化合物の例である。
【0083】
目的の他の化合物としては、
1996年9月3日発行の米国特許第5,552,438号に記載の化合物が挙げられ、この特許および化合物は参照によりその開示全体が本明細書に組み入れられるものとする。米国特許第5,552,438号に開示されている、特定の目的の化合物は、シス-4-シアノ-4-[3-(シクロペンチルオキシ)-4-メトキシフェニル]シクロヘキサン-1-カルボン酸(シロマラストとしても知られる)およびその塩、エステル、プロドラッグまたは物理的形態;
Asta MedicaからのAWD-12-281(Hofgen,N.ら、15版EFMC Int Symp Med Chem(Sept6-10,Edinburgh)1998,Abst P.98;CAS参照番号247584020-9);NCS-613と命名された9-ベンジルアデニン誘導体(INSERM);ChiroscienceおよびSchering-PloughからのD-4418;CI-1018(PD-168787)として同定され、Pfizerに属するベンゾジアゼピンPDE4阻害剤;WO99/16766中でKyowa Hakkoにより開示されたベンゾジオキソール誘導体;Kyowa HakkoからのK-34;NappからのV-11294A(Landells,L.J.ら、Eur Resp J[Annu Cong Eur Resp Soc(Sept19-23,Geneva)1998]1998,12(Suppl.28):Abst P2393);Byk-Guldenからのロフルミラスト(CAS参照番号162401-32-3)およびフタラジノン(WO99/47505、その開示は参照により本明細書に組み入れられるものとする);Byk-Gulden、現在はAltanaにより製造および公開された混合PDE3/PDE4阻害剤であるプマフェントリン、(-)-p-[(4aR*,10bS*)-9-エトキシ-1,2,3,4,4a,10b-ヘキサヒドロ-8-メトキシ-2-メチルベンゾ[c][1,6]ナフチリジン-6-イル]-N,N-ジイソプロピルベンズアミド;Almirall-Prodesfarmaにより開発中のアロフィリン;VernalisからのVM554/UM565;またはT-440(Tanabe Seiyaku;Fuji,K.ら、J Pharmacol Exp Ther,1998,284(1):162)およびT2585である。
【0084】
他の可能性のあるPDE-4および混合PDE3/PDE4阻害剤としては、WO01/13953に列挙されたものが挙げられ、その開示は参照により本明細書に組み入れられるものとする。
【0085】
好適な抗コリン剤は、ムスカリン受容体に対するアンタゴニストとして働く化合物、特にM1およびM2受容体のアンタゴニストである化合物である。例示的な化合物としては、アトロピン、スコポラミン、ホマトロピン、ヒヨスチアミンなどにより示されるベラドンナ植物のアルカロイドが挙げられる;これらの化合物は通常は4級アミンである塩として投与される。これらの薬剤、特にその塩形態は、いくつかの市販の起源から容易に入手可能であり、または文献データ、すなわち、アトロピン-CAS-51-55-8もしくはCAS-51-48-1(無水形態)、硫酸アトロピン-CAS-5908-99-6;酸化アトロピン-CAS-4438-22-6もしくはそのHCl塩-CAS-4574-60-1および硝酸メチルアトロピン-CAS-52-88-0、ホマトロピン-CAS-87-00-3、臭化水素塩-CAS-51-56-9、臭化メチル塩-CAS-80-49-9、ヒヨスチアミン(d,l)-CAS-101-31-5、臭化水素塩-CAS-306-03-6および硫酸塩-CAS-6835-16-1、スコピラミン-CAS-51-34-3、臭化水素塩-CAS-6533-68-2、臭化メチル塩-CAS-155-41-9から製造もしくは調製することができる。
【0086】
好ましい抗コリン剤としては、Atroventの名で販売されているイプラトロピウム(例えば、臭化物として)、オキシトロピウム(例えば、臭化物として)およびチオトロピウム(例えば、臭化物として)(CAS-139404-48-1)が挙げられる。また興味深いのは、メタンテリン(CAS-53-46-3)、臭化プロパンテリン(CAS-50-34-9)、アニソトロピンメチルブロミドまたはValpin50(CAS-80-50-2)、臭化クリジニウム(Quarzan,CAS-3485-62-9)、コピロレート(Robinul)、ヨウ化イソプロパミド(CAS-71-81-8)、臭化メペンゾレート(米国特許第2,918,408号)、塩化トリジヘキセチル(Pathilオン,CAS-4310-35-4)、およびヘキソシクリウムメチルサルフェート(Tral,CAS-115-63-9)である。また、塩酸シクロペントレート(CAS-5870-29-1)、トロピカミド(CAS-1508-75-4)、塩酸トリヘキシフェニジル(CAS-144-11-6)、ピペンゼピン(CAS-29868-97-1)、テレンゼピン(CAS-80880-90-9)、AF-DX116、またはメトクトラミン、およびWO01/04118に開示された化合物(この開示は参照により本明細書に組み入れられるものとする)も参照されたい。
【0087】
好適な抗ヒスタミン剤(H1-受容体アンタゴニストとも呼ばれる)としては、H1-受容体を阻害し、ヒトへの使用にとって安全であることが知られている任意の1種以上のアンタゴニストが挙げられる。全てはH1-受容体とヒスタミンとの相互作用の可逆的、競合的な阻害剤である。これらの阻害剤の大部分、ほとんど第1世代のアンタゴニストは、下記式:
【化9】

【0088】
により表されるコア構造を有する。
【0089】
この一般化された構造は、一般的に利用可能な、エタノールアミン、エチレンジアミン、およびアルキルアミンの3つの型の抗ヒスタミン剤を表す。さらに、他の第1世代の抗ヒスタミン剤としては、ピペリジンおよびフェノチアジンに基づくものとして特徴付けることができるものが挙げられる。非鎮静性である第2世代のアンタゴニストは、それらがコアエチレン基(アルキルアミン)を保持し、ピペラジンまたはピペリジンを有する第3アミン基を模倣するという点で類似した構造活性相関を有する。例示的なアンタゴニストとしては以下のもの:
エタノールアミン:マレイン酸カルビノキサミン、フマル酸クレマスチン、塩酸ジフェニルヒドラミン、およびジメンヒドリネート、エチレンジアミン:ピリルアミンアムレエート、トリペレナミンHCl、およびクエン酸トリペレナミン、アルキルアミン:クロロフェニラミンおよびマレイン酸塩などのその塩、ならびにアクリバスタチン、ピペラジン:ヒドロキシジンHCl、パモ酸ヒドロキシジン、シクリジンHCl、乳酸シクリジン、メクリジンHCl、およびセトリジンHCl、ピペリジン:アステミゾール、レボカバスチンHCl、ロラタジンまたはそのデスカルボエトキシ類似体、ならびに塩酸テルフェナジンおよび塩酸フェキソフェナジンまたは別の薬学的に許容し得る塩、
が挙げられる。
【0090】
塩酸アゼラスチンは、PDE4阻害剤と組み合わせて用いることができるさらに別のH1受容体アンタゴニストである。
【0091】
好ましい抗ヒスタミン剤の例としては、メタピリレンおよびロラタジンが挙げられる。
【0092】
こうして本発明は別の態様中、式(I)の化合物、その薬学的に許容される塩、溶媒和物または生理学的に機能的な誘導体をPDE4阻害薬と共に含む組合せ物(combination)を提供する。
【0093】
こうして本発明は別の態様中、式(I)の化合物、その薬学的に許容される塩、溶媒和物または生理学的に機能的な誘導体をコルチコステロイドと共に含む組合せ物を提供する。
【0094】
こうして本発明は別の態様中、式(I)の化合物、その薬学的に許容される塩、溶媒和物または生理学的に機能的な誘導体を抗コリン作動薬と共に含む組合せ物を提供する。
【0095】
こうして本発明は別の態様中、式(I)の化合物、その薬学的に許容される塩、溶媒和物または生理学的に機能的な誘導体を抗ヒスタミンと共に含む組合せ物を提供する。
【0096】
こうして本発明は別の態様中、式(I)の化合物、その薬学的に許容される塩、溶媒和物または生理学的に機能的な誘導体をPDE4阻害薬およびコルチコステロイドと共に含む組合せ物を提供する。
【0097】
こうして本発明は別の態様中、式(I)の化合物、その薬学的に許容される塩、溶媒和物または生理学的に機能的な誘導体を抗コリン作動薬およびPDE4阻害薬と共に含む組合せ物を提供する。
【0098】
上述の組合せ物は使用のためには医薬製剤の形態で提供されるのが好都合であり、したがって、上記定義の組合せ物を生理学的に許容される希釈剤もしくは担体と共に含有する医薬製剤は、本発明の別の態様である。
【0099】
こうした組合せ物の個々の化合物は、別々のまたは組み合わせた医薬製剤として、順次にまたは同時に投与することができる。既知の治療薬の適切な用量は当業者にとって容易に決定され得るものである。
【0100】
本発明の別の態様中、式(I)、(Ia)もしくは(Ib)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能的な誘導体の製造方法であって、以下に定義する工程(a)または(b)と、その後、任意の順序で以下のステップを含む方法が提供される:
(i)保護基があれば、場合により除去;
(ii)場合により、鏡像体の混合物からの1鏡像体の分離;
(iii)場合により、生成物から対応する塩、溶媒和物または生理学的に機能的な誘導体への転換。
【0101】
一般的工程(a)中、式(I)、(Ia)もしくは(Ib)の化合物は、保護された中間体、例えば式(II)またはその塩もしくは溶媒和物の脱保護によって取得することができる:
【化10】

【0102】
[式中、R1、R2、R3、R4、R5、m、およびnは式(I)、(Ia)もしくは(Ib)の化合物についての定義の通り、Ar1aは場合によって保護された形態のAr1;そしてP1およびP2はそれぞれ独立して水素、または式(II)の化合物が少なくとも1個の保護基を含有している場合は保護基である。]
好ましい基Ar1の保護された形態は以下から選択される:
【化11】


【0103】
[式中、P3およびP4はそれぞれ独立して水素、または(P3およびP4の少なくとも1つが保護基である場合は)保護基であり、(xva)および(xviiia)中の点線は任意の二重結合を表す。]
Ar1が基(vi)、(x)、(xi)、(xii)もしくは(xiii)の場合は、保護は必要でないと理解すべきである。
【0104】
好適な保護基は、以下に記載されているものなどのあらゆる常用の保護基でよい:“Protective Groupsin Organic Synthesis”Theodora W Greene and Peter G M Wuts著、第3版(John Wiley & Sons,1999)。P3およびP4で示される好適なヒドロキシル保護基の例は以下のものである:酢酸エステルなどのエステル、ベンジル、ジフェニルメチル、もしくはトリフェニルメチルなどのアラルキル基、およびテトラヒドロピラニル。P2で示される好適なアミノ保護基には以下が含まれる:ベンジル、α-メチルベンジル、ジフェニルメチル、トリフェニルメチル、ベンジルオキシカルボニル、tert-ブトキシカルボニル、およびトリクロロアセチルもしくはトリフルオロアセチルなどのアシル基。
【0105】
当業者には理解されるように、こうした保護基の使用には、式(II)の化合物中の基の直交保護(orthogonal protection)を含んでいてもよく、別に存在する1つの基の選択的除去を容易にし、それによって単一のアミノもしくはヒドロキシル官能基の選択的官能基化が可能になる。例えば、-CH(OH)基を、例えばトリエチルシリルなどのトリアルキルシリル基を使用して、-CH(OP1)として直交保護することができる。また、当業者はTheodora W Greene and Peter G M Wuts(上記参照)に記載されているものなどの常用の手段によって獲得し得るその他の直交保護戦略も理解し得るであろう。
【0106】
式(I)、(Ia)もしくは(Ib)の化合物を生成させるための脱保護は、常用の技術を使用して達成することができる。例えば、P2、P3、および/またはP4がアラルキル基の場合、金属触媒(例えば木炭上のパラジウム)の存在中で、これを水素化分解によって切断することができる。
【0107】
P3および/またはP4がテトラヒドロピラニルの場合、酸性条件下での加水分解によって、これを切断することができる。P2で表されるアシル基は、例えば水酸化ナトリウムなどの塩基での加水分解によって除去することができる。あるいは、トリクロロエトキシカルボニルなどの基は、例えば亜鉛および酢酸での還元によって除去することができる。その他の脱保護方法はTheodora W Greene and Peter G M Wuts(上記参照)から得られる。工程(a)の特定の1実施形態中、Ar1が基(iiia)の場合、P3およびP4はともに式(III)の化合物またはその塩もしくは溶媒和物中などの保護基である:
【化12】

【0108】
[式中、R1、R2、R3、R4、R5、R14、P1、P2、m、およびnは式(I)、(Ia)もしくは(Ib)の化合物についての定義の通り、R26およびR27は独立して水素、C1-6アルキル、もしくはアリールから選択されるか、R26とR27が一緒になってC3-7シクロアルキル環を形成している。]
好ましい1態様中、R26およびR27の両方がメチル、あるいはR26が水素、R27がフェニルである。
【0109】
式(III)の化合物は、好適な溶媒中の希釈した酸水溶液、例えば酢酸もしくは塩酸での加水分解によるか、常温もしくは加温下で、酸(例えば、トルエンスルホン酸もしくはスルホン酸イオン交換カラム、SCX-2など)または塩(トシル酸ピリジニウムなど)などの触媒の存在中、アルコール、例えばエタノール中でのケタール転移によって、式(I)、(Ia)もしくは(Ib)の化合物に転換することができる。
【0110】
P2が水素である場合の式(II)および(III)の化合物は、対応する式(IV):
【化13】

【0111】
[式中、R1、R2、R3、R4、R5、Ar1a、m、およびnは式(II)もしくは(III)の化合物についての定義の通りである。]
の化合物またはその塩もしくは溶媒和物から調製することができる。
【0112】
式(IV)の化合物の式(II)もしくは(III)の化合物への転換は、テトラヒドロフランなどの好適な溶媒中、塩基、例えば非水性塩基、トリメチルシラノール酸カリウムなど、または水性塩基、水性水酸化ナトリウムなど、での処理によって、達成することができる。
【0113】
式(IV)の化合物は、対応する式(V):
【化14】

【0114】
[式中、R4、R5、Ar1a、mおよびnは、式(IV)の化合物についての定義の通り。]
の化合物またはその塩もしくは溶媒和物から、式(VI):
【化15】

【0115】
[式中、R1、R2、およびR3は、式(IV)の化合物についての定義の通り、そしてLは脱離基、例えばハロ基(典型的にはブロモもしくはヨード)またはスルホン酸エステル、例えばハロアルキルスルホン酸エステル(典型的にはトリフルオロメタンスルホン酸エステル)などである。]
の化合物もしくはその前駆体とのカップリングによって調製することができる。
【0116】
好適な式(VI)の化合物の前駆体は、置換基R1、R2、およびR3の1個以上が所望の基R1、R2、および/もしくはR3に転換し得る、式(VI)の化合物となる。例えば、R1を-(CH2)pNR6C(O)NR7R8としたい場合、式(VI)の化合物の好適な前駆体は、置換基R1の代わりに一級アミン-(CH2)pNH2を持ち、式(V)の化合物とのカップリング後、適切なイソシアナート(すなわちR7NCO)との反応によって、所望の置換基R1が形成するようにしたものである。あるいは、R1が-XNCO(式中、Xは前記定義の通り)であって、標準的手順を使用して、これをアミンR7NH2とカップリングさせる。
【0117】
式(V)の化合物の式(VI)の化合物もしくはその前駆体とのカップリングは、二塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムおよび銅触媒、例えばヨウ化銅、などの触媒系の存在中で、好適な溶媒、例えばアセトニトリルもしくはジメチルホルムアミド中のトリアルキルアミン、例えばトリエチルアミンもしくはジイソプロピルエチルアミン、などの有機塩基によって、都合よく達成することができる。次に生成したアルキンを、単離するかまたはしないで還元して、式(IV)の化合物を形成させることができる。還元は触媒、例えばパラジウム/木炭または酸化白金の存在中での水素化などの、どんな好適な方法でも達成することができる。
【0118】
別法として、式(V)の化合物の式(VI)の化合物とのカップリング後、生成した化合物をテトラヒドロフランなどの好適な溶媒中、塩基、例えば非水性塩基、トリメチルシラノール酸カリウムなど、または水性塩基、水性水酸化ナトリウムなど、で処理し、その後アルキン基を還元して、P2が水素である式(II)の化合物を形成させることができる。
【0119】
式(VI)の化合物は市販されており、また当業者に周知の方法によって調製することができる。
【0120】
式(V)の化合物は、対応する式(VII):
【化16】

【0121】
[式中、Ar1a,は、式(V)の化合物についての定義の通り。]
の化合物またはその塩もしくは溶媒和物と式(VIII):
【化17】

【0122】
[式中、R4、R5、mおよびnは、式(V)の化合物についての定義の通り、そしてL1は脱離基、例えばハロ基(典型的にはブロモもしくはヨード)またはスルホン酸、例えばアルキルスルホン酸(典型的にはメタンスルホン酸)、アリールスルホン酸(典型的にはトルエンスルホン酸)、もしくはハロアルキルスルホン酸(典型的にはトリフルオロメタンスルホン酸)である。]
の化合物とのカップリングによって調製することができる。
【0123】
式(VII)の化合物と式(VIII)の化合物のカップリングは、非プロトン性溶媒、例えばジメチルホルムアミド中の塩基、例えば水素化ナトリウムなどの金属水素化物、または炭酸セシウムなど無機塩基、の存在中で達成することができる。
【0124】
式(VIII)の化合物は、対応するジハロアルカンおよびヒドロキシアルキンから、常用の化学的方法によって、典型的には臭素化テトラアルキルアンモニウムなどのアンモニウム塩の存在中の相間移動条件下、水性水酸化ナトリウムなどの無機塩基の存在中で、調製することができる。
【0125】
式(VII)の化合物は、例えばWO02/066422に記載されたようにして、調製することができる。
【0126】
別の工程(b)中、式(I)、(Ia)もしくは(Ib)の化合物は、式(IX):
【化18】

【0127】
[式中、Ar1aおよびP2は前記定義の通り。]
のアミンの、式(X):
【化19】

【0128】
[式中、R1、R2、R3、R4、R5、m、およびnは、式(I)、(Ia)もしくは(Ib)の化合物についての定義の通り、そしてL1は脱離基、ハロ(典型的にはブロモ)など、である。]
の化合物でのアルキル化と、その後の、式(II)の化合物の脱保護について上述したものなどの、常用の方法での、存在する保護基の除去によって取得することができる。
【0129】
式(IX)と(X)の化合物の反応は、場合によって、トリアルキルアミン、例えばジイソプロピルエチルアミンなどの有機塩基の存在中、および好適な溶媒、例えばジメチルホルムアミド中で、達成することができる。
【0130】
式(IX)の化合物は当分野で知られており(例えばEP-A0947498)、また当業者が容易に調製することができる。
【0131】
さらに詳細が以下に記載されている:Ar1aが基(iv)である場合の化合物(IX)の調製[DE3524990];Ar1aが基(i)、(vii)、および(xv)である場合の化合物(IX)の調製[EP-A-162576];Ar1aが基(iii)である場合の化合物(IX)の調製[EP-A-220054];Ar1aが基(x)である場合の化合物(IX)の調製[GB2165542];ならびにAr1aが基(c)である場合の化合物(IX)の調製[GB2230523]。
【0132】
式(X)の化合物は、上記定義の式(VI)の化合物もしくはその前駆体(置換基R1、R2もしくはR3の中の1個以上が所望の基R1、R2、もしくはR3に転換し得る基であるもの)と上記の式(VIII)の化合物(R4、R5、m、およびnが式(X)の化合物についての定義の通りで、L1が上記定義の脱離基であるもの)とのカップリングによって、調製することができる。
【0133】
この目的のために好適な式(VI)の化合物の前駆体は、式(VI)の化合物と式(V)の化合物のカップリングに関して上述したものと同一の原理を使用して、設計することができる。
【0134】
式(VIII)の化合物と化合物(VI)とのカップリングは、式(V)の化合物と式(VI)の化合物のカップリングについて上述したものに類似の方法と、やはり上述した、生成したアルキンのその後の還元によって、達成することができる。前駆体が存在する場合、必要ならば、置換基R1、R2、および/またはR3を常用の転換によって形成させることができる。
【0135】
別法として、式(X)の化合物を、式(XI):
【化20】

【0136】
[式中、L1、R4、R5、mおよびnは式(VIII)についての定義の通りである。]
のオレフィンと上記定義の式(VI):
【化21】

【0137】
の化合物とを反応させることによって調製することができる。
【0138】
この方法中、式(XI)の化合物を最初に立体障害があるボラン化合物、例えば環式ボラン誘導体、9-ボラビシクロ[3.3.1]ノナン、テキシルボラン、カテコールボランもしくはジシアミルボランなど、と反応させた後、以下の存在中で化合物(VI)とカップリングさせる:触媒、例えば酢酸パラジウム、PdCl2、Pd(PPh3)4、もしくはPd2(dba)3など;およびホスフィン、例えばトリフェニルホスフィン、(ジ-tert-ブチルホスフィノ)ビフェニル、トリシクロヘキシルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン、トリシクロペンチルホスフィン,もしくはトリ-tert-ブチルホスフィンなど;および塩基、水性リン酸カリウムもしくはナトリウム、炭酸カリウムもしくはナトリウム、または酢酸ナトリウムなど。
【0139】
式(XI)の化合物は、当業者に周知の標準的方法、例えば式(VIII)の化合物の調製について上述したものと類似の手法で調製することができる。
【0140】
さらに別の工程(c)中、式(I)、(Ia)もしくは(Ib)の化合物は、式(XII):
【化22】

【0141】
[式中、R1、R2、R3、R4、R5、mおよびnは式(I)についての定義の通り、そしてAr1a、P1、およびP2は式(II)について定義された通りである。]
の化合物の還元によって取得することができる。
【0142】
還元は、触媒、例えば、水酸化パラジウム、パラジウム/木炭もしくはこれらの混合物または酸化白金の存在中での水素化などの任意の好適な方法によって達成することができる。好適には、この反応はP2の除去の効果のため、大気圧、さらに好ましくは加圧下で達成する。
【0143】
Ar1aがAr1、かつP1およびP2がそれぞれ水素の場合は、還元で式(I)の化合物が生成するが、Ar1a、P2およびP2の中の1個以上が保護基であるか、またはこれを含む場合、還元で式(II)もしくは(III)の化合物が生成し、その後これを脱保護して式(I)の化合物が得られることが理解されるであろう。
【0144】
式(XII)の化合物は、前記定義の式(IX)の化合物を式(XIII):
【化23】

【0145】
[式中、R1、R2、R3、R4、R5、m、およびnは式(I)、(Ia)もしくは(Ib)の化合物についての定義の通り、そしてL2は上記LおよびL1についての定義の通りである。]
の化合物と反応させることによって調製することができる。
【0146】
式(IX)の化合物と式(XIII)の化合物の反応は、場合によって有機塩基、トリアルキルアミンなど、例えばジイソプロピルエチルアミンの存在中、かつ好適な溶媒、例えばN,N-ジメチルホルムアミド中で達成される。
【0147】
式(XIII)の化合物は、化合物(X)の調製の第1段階の記載通りの、上記定義の式(VI)の化合物と上記定義の式(VIII)の化合物のカップリングによって、還元工程を除外して、調製することができる。
【0148】
式(XIII)のアルキンは、常用の方法を使用して、例えば化合物(VIII)の調製についての記載通りに、式(XIV):
【化24】

【0149】
[式中、R4、R5およびnは上記定義の通り、そしてL2およびL3はそれぞれ脱離基であって、それらの基は例えばLおよびL1についての上記定義のものから独立して選択することができる。]
の化合物を式(XV):
【化25】

【0150】
の化合物と反応させることによっても調製することができる。
【0151】
式(XV)の化合物は、化合物(V)と化合物(VI)のカップリングについての上記のものと類似の方法を使用して、ヒドロキシアルキン:
【化26】

【0152】
と式(VI)の化合物とを反応させることによって調製することができる。
【0153】
別の工程(d)中、式(l)、(la)もしくは(lb)の化合物は、式(XVI):
【化27】

【0154】
[式中、Ar1aおよびP1は前記定義の通り、そしてL4は基L-L3についての上記定義の脱離基である。]
の化合物または式(XVII):
【化28】

【0155】
[式中、Ar1aは前記定義の通りである。]
の化合物と式(XVIII):
【化29】

【0156】
のアミンとを反応させ、次いで、保護基があれば、式(II)の化合物の脱保護について上述した常用の方法によって除去することによって調製することができる。
【0157】
この反応はこうした置換反応について常用の条件を使用して、達成することができる。
【0158】
式(XVI)および(XVII)の化合物は、当分野で既知の方法によって調製することができる。
【0159】
式(XVIII)の化合物は、式(X)の化合物をアミンP2NH2と反応させることによって、調製することができる。
【0160】
別の工程(e)中、式(I)、(Ia)もしくは(Ib)の化合物を、式(IIa):
【化30】

【0161】
[式中、R1-R5、mおよびnは式(I)についての定義の通り、Ar1aおよびP1は式(II)についての定義の通り、そしてR28はキラル補助基である。]
の化合物からキラル補助基を除去することによって調製することができる。
【0162】
「キラル補助基(chiral auxiliary)」は、形成された生成物の立体化学性に影響を与えるために分子内に導入され、後に全部または一部が除去される部分である。
【0163】
キラル補助基は同時に保護基として機能することもある。
【0164】
多くのキラル補助基が市販されており、当業者は所望の特性、すなわち所望の完全な立体化学性および使用する工程との適合性に基づいて、その1つを選択することとなる。この工程での使用に好適なキラル補助基として、限定するわけではないが、フェニルグリシノールのS-異性体および/またはR-異性体ならびにこれらの置換誘導体が含まれる。
【0165】
キラル補助基は好ましくは次式の部分:
【化31】

【0166】
またはその単一の鏡像体、好ましくは:
【化32】

【0167】
[式中、R29はC1-6アルキルまたは場合によって置換されたフェニルもしくはベンジルであって、その中の任意の置換基は独立して1以上のC1-6アルキル、ハロゲン、ヒドロキシ、C1-6アルコキシもしくはニトロから選択され、例えばパラ-ヒドロキシフェニルである。]
である。
【0168】
好ましくはR29は場合によって上記のように置換されたフェニルである。最も好ましくは、R29は非置換フェニルである。
【0169】
この工程中のキラル補助基は典型的には、例えば炭素担持パラジウム触媒を使用するか、好ましくは水酸化パラジウム(Pearlman触媒)を使用する、水素化分解によって除去することができる。Pearlman触媒を有益に使用したとき、キラル補助基の除去がもっとも効率的である。この除去方法は、R28がフェニルもしくは置換フェニルである場合に、特に好適である。あるいは、補助基が結合された窒素を酸化条件下で誘導体化して、N-オキシドを形成させた後、加熱によって除去して、第二級アミンを生成させることができる。
【0170】
式(IIa)の化合物は、上記のもの、例えば工程(c)に類似の方法によって、調製することができる。
【0171】
経路(e)に類似の工程の詳細が、国際公開出願番号WO/0196278に記載されている。
【0172】
上記の経路(a)〜(e)のいずれにおいても、各種の基および部分分子を分子中に導入するための合成ステップの的確な順番は変更する場合があるものと理解すべきである。各工程の1段階で導入される基もしくは部分分子がその後の転移および反応によって影響されないことを確実にすること、したがってそのために合成ステップの順番を選択することは、当分野の実務者の技術範囲内のものである。
【0173】
本発明の鏡像異性体化合物は、(i)例えば、キラルクロマトグラフィーカラムによるか、酵素的分割方法によるか、好適なジアステレオ異性体の調製および分離による、対応するラセミ混合物からのその成分の分離、または(ii)適切なキラル中間体から上記の方法による、直接の合成、によって、取得することができる。
【0174】
式(I)、(Ia)もしくは(Ib)の化合物の対応する塩への任意の転換は、適切な酸もしくは塩基との反応によって、都合よく達成することができる。式(I)、(Ia)もしくは(Ib)の化合物から対応する溶媒和物または生理学的に機能的な誘導体への任意の転換は、当業者に知られた方法によって達成することができる。
【0175】
別の態様中、本発明は、式(I)、(Ia)もしくは(Ib)の化合物の調製用の、例えば以下のような新規な中間体を提供する:
上記定義の式(II)および(III)の化合物、もしくは光学異性体、塩、またはそれらの保護された誘導体。
【0176】
本発明をさらによく理解するため、以下に実施例により説明する。
【実施例】
【0177】
合成例
全実施例中、以下の略語を使用する:
LCMS:液体クロマトグラフィー質量分析
MS:マススペクトル
TSP+ve:サーモスプレーマススペクトル陽性モード
RT:保持時間
THF:テトラヒドロフラン
DMF:N,N-ジメチルホルムアミド
EtOAc:酢酸エチル
EtOH:エタノール
MeOH:メタノール
bp:沸点
ca:およそ
h:時間
min:分
全温度を摂氏度で示す。
【0178】
シリカゲルはMerckシリカゲル60 Artnumber 7734である。
【0179】
フラッシュシリカゲルはMerckシリカゲル60 Artnumber 9385である。
【0180】
Biotageは、フラッシュ12iクロマトグラフィーモジュール上で適用する、KP-Silを含むプレパックシリカゲルカートリッジである。
【0181】
Bond Elutは、通常真空下でのパラレル精製に使用するプレパックカートリッジである。これらはVarianから市販されている。
【0182】
SCX-2はInternational Sorbent Technologyから入手可能な、ベンゼンスルホン酸樹脂がプレパックされている固相抽出カラムである。
【0183】
LCMSは、Supelcosil LCABZ+PLUSカラム(3.3cmx4.6mmID)上、水中0.1%HCO2Hおよび0.01M酢酸アンモニウム(溶媒A)、ならびにアセトニトリル中0.05%HCO2Hおよび5%水(溶媒B)で、以下の溶出勾配を使用して溶出させて実施した:0-0.7min0%B、0.7-4.2min100%B、4.2-5.3min0%B、5.3-5.5min0%B;流速3ml/min。Fisons VGPlatform分光計で、エレクトロスプレー陽性および陰性モード(ES+veおよびES-ve)を使用して、マススペクトルを記録した。
【0184】
質量分析連結分取HPLCは、延長ポンプヘッドを持つWaters 600ポンプ、Waters 2700オートサンプラー、Waters 996ダイオードアレイおよびGilson 202フラクションコレクターを含むWaters Fraction Lynxシステムで、10cm X 2.54cm IDABZ+カラム上、水中0.1%ギ酸(溶媒A)およびアセトニトリル中0.1%ギ酸(溶媒B)で、以下の溶出勾配を使用して溶出させて、実施した:0.0-1.0min15%B、1.0-10.0min55%B、10.0-14.5min99%B、14.5-14.9min99%B、14.9-15.0min15%B;流速20ml/min、ならびに室温で200-320nmで検出した。Micromass ZMD分光計で、エレクトロスプレー陽性および陰性モード、交互スキャンを使用して、マススペクトルを記録した。使用したソフトウェアはOpen LynxおよびFraction LynxオプションつきのMass Lynx 3.5である。
【0185】
(実施例1)
N-[3-(4-{[6-({(2R)-2-[3-(ホルミルアミノ)-4-ヒドロキシフェニル]-2-ヒドロキシエチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)フェニル]尿素
i)N-[3-(4-{[6-(ベンジル{(2R)-2-[4-(ベンジルオキシ)-3-(ホルミルアミノ)フェニル]-2-ヒドロキシエチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブト-1-イニル)フェニル]尿素
アセトニトリル(5ml)およびトリエチルアミン(2.2ml)中の5-((1R)-2-{ベンジル[6-(ブト-3-イニルオキシ)ヘキシル]アミノ}-1-ヒドロキシエチル)-2-(ベンジルオキシ)フェニルホルムアミド(WO0276933)(0.67g)および3-ヨードフェニル尿素(0.41g)の溶液を二塩化ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(109mg)およびヨウ化銅(I)(54mg)で処理し、混合物を窒素下で4.5h撹拌した。溶媒を減圧下で除去し、残渣をBond Elutシリカカートリッジ(10g)で、酢酸エチル-シクロヘキサン(1:4)〜純酢酸エチルで溶出させ、その後Biotageカートリッジ(12g)で、純酢酸エチルで溶出させて、クロマトグラフィーにかけ、表記化合物を取得した(239mg)。LCMS RT=2.69min。
【0186】
ii)N-[3-(4-{[6-({(2R)-2-[3-(ホルミルアミノ)-4-ヒドロキシフェニル]-2-ヒドロキシエチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)フェニル]尿素
N-[3-(4-{[6-(ベンジル{(2R)-2-[4-(ベンジルオキシ)-3-(ホルミルアミノ)フェニル]-2-ヒドロキシエチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブト-1-イニル)フェニル]尿素(232mg)の溶液を、エタノール(10ml)中の炭素担持10%パラジウム(35mg)および水酸化パラジウム(35mg)で、圧力100psiで一晩、水素化した。触媒をろ過によって除去し、エタノールで洗浄した。まとめたろ液および洗浄液を減圧下で蒸発させ、残渣を質量分析連結HPLCによって精製して、表記化合物をトリフルオロ酢酸塩として取得した。遊離塩基を、SCX-2カートリッジ(10g)上のイオン交換クロマトグラフィーで、最初にメタノールで、次にメタノール中2%水性アンモニアで溶出させて取得して、表記化合物を取得した(77.7mg)。LCMS RT=2.18min, ES+vem/z487(MH)+
【0187】
(実施例2)
N-[3-(4-{[6-({(2R)-2-[3-(ホルミルアミノ)-4-ヒドロキシフェニル]-2-ヒドロキシエチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)フェニル]-N'-フェニル尿素
i)N-[3-(4-{[6-(ベンジル{(2R)-2-[4-(ベンジルオキシ)-3-(ホルミルアミノ)フェニル]-2-ヒドロキシエチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブト-1-イニル)フェニル]-N'-フェニル尿素
実施例1i)に記載したものと同様の方法を使用して調製した。LCMS RT=2.93min。
【0188】
ii)N-[3-(4-{[6-({(2R)-2-[3-(ホルミルアミノ)-4-ヒドロキシフェニル]-2-ヒドロキシエチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)フェニル]-N'-フェニル尿素
実施例1 ii)に記載したものと同様の方法を使用して調製した。LCMS RT=2.59min, ES+vem/z563(MH)+
【0189】
(実施例3)
N-[3-(4-{[6-({(2R)-2-[3-(ホルミルアミノ)-4-ヒドロキシフェニル]-2-ヒドロキシエチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)フェニル]-N'-ピリジン-3-イル尿素および(2E)-ブト-2-エンジオン酸(1:1)
i)N-[3-(4-{[6-(ベンジル{(2R)-2-[4-(ベンジルオキシ)-3-(ホルミルアミノ)フェニル]-2-ヒドロキシエチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブト-1-イニル)フェニル]-N'-ピリジン-3-イル尿素
実施例1 i)に記載したものと同様の方法を使用して調製した。LCMS RT=3.15min。
【0190】
ii)N-[3-(4-{[6-({(2R)-2-[3-(ホルミルアミノ)-4-ヒドロキシフェニル]-2-ヒドロキシエチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)フェニル]-N'-ピリジン-3-イル尿素
実施例1 ii)に記載したものと同様の方法を使用して調製した。LCMS RT=2.42min,ES+vem/z564(MH)+
【0191】
iii)N-[3-(4-{[6-({(2R)-2-[3-(ホルミルアミノ)-4-ヒドロキシフェニル]-2-ヒドロキシエチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)フェニル]-N'-ピリジン-3-イル尿素および(2E)-ブト-2-エンジオン酸(1:1)
N-[3-(4-{[6-({(2R)-2-[3-(ホルミルアミノ)-4-ヒドロキシフェニル]-2-ヒドロキシエチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)フェニル]-N'-ピリジン-3-イル尿素(74mg)をメタノール(2ml)に溶解させ、(2E)-ブト-2-エンジオン酸(7.7mg)を添加した。溶媒を減圧下で除去し、残渣をジエチルエーテル中で磨砕して、表記化合物を取得した(76mg)。LCMS RT=上記の通り。
【0192】
(実施例4)
N-[3-(4-{[6-({2-ヒドロキシ2-[5-ヒドロキシ6-(ヒドロキシメチル)ピリジン-2-イル]エチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)-5-メチルフェニル]尿素ギ酸塩
i)N-(3-ブロモ-5-メチルフェニル)尿素
窒素パージした水素化用容器中の氷酢酸(11l)中の3-ブロモ-5-ニトロトルエン(1500g)の溶液に、炭素担持5%白金(およそ50%の含水ペースト)を添加し、混合物を室温、4bar水素圧下で水素化した。水素の取り込みが完了したとき、触媒をろ過によって除去し、ろ液を2等分した。各部分を別々に撹拌し、それぞれに15分かけて水(1.25l)中のシアン酸カリウム(500g)の溶液を添加した。さらに15分撹拌した後、水(10l)を添加し、沈殿した固体をろ過によって単離し、水で洗浄した。含水ケーキをまとめて、熱EtOAc(3l)中に溶解させ、水性相を分離した。有機相を撹拌しながら冷却し、生成物を結晶化させ、これをろ過によって単離し、新たなEtOAc(2l)で洗浄し、一晩風乾した。EtOH(2.7l)からの再結晶化で、表記化合物が得られた(565g)。LCRT=3.9min。
【0193】
ii)6-ブロモヘキシルブト-3-エニルエーテル
水(750ml)中、水酸化ナトリウム(375g)の撹拌溶液に、1,6-ジブロモヘキサン(750g)を添加した。臭素化テトラブチルアンモニウム(6.5g)を添加し、2相混合物を50-55℃に加温した。3-ブテン-1-オール(150g)を約30minかけて添加し、撹拌を50-55℃で4-6h継続した。混合物を冷却し、tert-ブチルメチルエーテルで希釈し、層を分離した。有機層を水で2回、その後ブラインで洗浄し、真空下で蒸発させて、生成物を液体として取得した。これをシリカカラムクロマトグラフィーで、最初はヘキサンで、その後ヘキサン中の2.5%EtOAcで溶出させて、精製した。生成物画分をまとめて蒸発させて表記化合物を取得した(237g)。GCRT=10.1min。
【0194】
iii)N-(3-{4-[(6-ブロモヘキシル)オキシ]ブチル}-5-メチルフェニル)尿素
6-ブロモヘキシルブト-3-エニルエーテル(80g)を窒素パージしたフラスコ中に秤量し、撹拌しながら1-2分かけてTHF(800ml)中の9-BBNの0.5M溶液を添加した。生成した溶液を室温で3h撹拌し続けた後、水(204ml)中のリン酸カリウム溶液(144g)を添加した。N-(3-ブロモ-5-メチルフェニル)尿素)(74g)を、その後すぐに酢酸パラジウム(0.8g)およびトリフェニルホスフィン(1.8g)を添加した。混合物を60℃に加熱し、反応が完結するまでこの温度に1-4h維持した。混合物を室温まで冷却して層を分離した。有機層を水およびブラインで洗浄し、蒸発させて、表記化合物を取得し(196g)、これを次の段階で直接使用した。LCRT6.0min。
【0195】
iv)N-(3-{4-[(6-{[2-ヒドロキシ2-(2-フェニル-4H-[1,3]ジオキシノ[5,4-b]ピリジン-6-イル)エチル]アミノ}ヘキシル)オキシ]ブチル}-5-メチルフェニル)尿素
DMF(2ml)中の2-アミノ-1-(2-フェニル-4H-[1,3]ジオキシノ[5,4-b]ピリジン-6-イル)エタノール(EP220054A2,100mg)、N,N-ジイソプロピルエチルアミン(0.08ml)およびN-(3-{4-[(6-ブロモヘキシル)オキシ]ブチル}-5-メチルフェニル)尿素(118mg)の溶液を窒素下で、50℃に23h加熱した。混合物を20℃に冷却し、溶媒を真空蒸発させて、表記化合物を取得した(378.9mg)。LCMS RT2.85min。
【0196】
v)N-[3-(4-{[6-({2-ヒドロキシ-2-[5-ヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)ピリジン-2-イル]エチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)-5-メチルフェニル]尿素ギ酸塩
酢酸(3ml)および水(1.5ml)中のN-(3-{4-[(6-{[2-ヒドロキシ-2-(2-フェニル-4H-[1,3]ジオキシノ[5,4-b]ピリジン-6-イル)エチル]アミノ}ヘキシル)オキシ]ブチル}-5-メチルフェニル)尿素(378.9mg)の溶液を70℃に1.5h加熱した。混合物を20℃に冷却し、溶媒を真空蒸発させて、残渣を取得した。これを質量分析連結自動分取HPLCで精製して、表記化合物を取得した(27mg)。LCMS RT2.33min,ES+ve489(MH+)。
【0197】
生物学的活性
ヒトベータ1、2および3受容体の位置での化合物の有効性および固有の活性のin vitro測定
方法1
実施例1-3の化合物の能力を、ヒトベータ2アドレナリン受容体をトランスフェクトしたカエル黒色素胞を使用して、判定した。細胞をメラトニンとともにインキュベートし、色素凝集を誘発させた。ヒトベータ2アドレナリン受容体に作用する化合物によって、色素拡散が誘発された。試験化合物のベータ2アゴニスト活性を、これらが黒色素胞単層の透過光の変化(色素拡散の結果)を誘発する能力によって、評価した。ヒトベータ2アドレナリン受容体の位置で、前記実施例の化合物のIC501値は、1μM未満だった。
【0198】
方法2
ヒト受容体をレポーター遺伝子とともに同時発現するモルモット卵巣細胞を使用して、ヒトベータ2、1および3受容体位置での本発明の化合物の能力も、判定した。細胞全体またはこれらの細胞から誘導した膜のいずれかを使用して、研究を実施した。
【0199】
3つのベータ-受容体を、アデニル酸シクラーゼの刺激が発生するように、GsG-プロテインを介して連結させて、その結果細胞内のcAMP値が上昇するようにした。cAMPの直接測定のため、膜もしくは細胞のいずれかと、HitHunter酵素断片相補キット(DiscoveRx)またはFP2蛍光偏光キット(Perkin Elmer)のいずれかとともに使用して、存在するcAMP値を定量した。これらのアッセイは、各種の受容体位置での化合物のアゴニスト能力および固有の活性の尺度を提供する。
【0200】
細胞内のレポーター遺伝子も、ベータ1および3受容体位置での能力を定量するのに使用した。これはホタルルシフェラーゼ遺伝子の上流にあるcAMP応答エレメントを使用する、cAMP値のレポーターである。この受容体のアゴニストによる刺激後、ルシフェラーゼ値の増加を、細胞内のcAMP値の定量値として測定する。
【0201】
このアッセイでは、ヒトベータ-2受容体位置での化合物の能力は、pEC50値として表現される。実施例4の化合物は、pEC50>6であった。
【0202】
この詳細な説明および特許請求の範囲で形成される本出願は、後続出願について優先権の基礎として使用される場合がある。そうした後続出願の特許請求の範囲は、本明細書に記載されたあらゆる態様または態様の組み合わせに関するものである。それらの請求の範囲は、生成物、組成物、製造方法もしくは使用の形態をとるものであって、限定することなく例示により、以下の特許請求の範囲を包含する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

[式中、
mは2〜8の整数;
nは3〜11、好ましくは3〜7の整数;
ただし、m+nは5〜19、好ましくは5〜12;
R1は-XNR6C(O)NR7R8であって;ここで、
Xは-(CH2)p-およびC2-6アルケニレンから選択され;
R6およびR8は独立して水素、C1-6アルキルおよびC3-7シクロアルキルから選択され;ここで、前記C1-6アルキルおよびC3-7シクロアルキル部分は場合によって-CO2Hもしくは-CO2(C1-4)アルキルで置換されていてもよく;
R7は水素、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、-C(O)R9、フェニル、ナフチル、ヘタリール、およびフェニル(C1-4アルキル)-から選択され、そしてR7は場合によって独立してハロ、ヒドロキシ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、-NHC(O)(C1-6アルキル)、-SO2(C1-6アルキル)、-SO2(フェニル)、-CO2H、-CO2(C1-4アルキル)およびCONR10R11から選択される1または2個の基で置換され;
R9はC1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、-CO2H、CO2(C1-4アルキル)、フェニル、ナフチル、ヘタリール、およびフェニル(C1-4アルキル)-から選択され、そしてR9は場合によって独立してハロ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、-NHC(O)(C1-6アルキル)、-SO2(C1-6アルキル)、-SO2(フェニル)、-CO2H、および-CO2(C1-4アルキル)から選択される1または2個の基で置換され;
R10およびR11はそれぞれ独立して水素、C1-4アルキルもしくはC3-7シクロアルキルであり、そして、
pは0〜6、好ましくは0〜4の整数である;か、
あるいは、
R1に隣接する環内炭素原子を介して、R1が結合されているフェニル環とR8が結合を形成することで、R1が環化して次式部分を形成し:
【化2】

R2は水素、C1-6アルキル、C1-6アルコキシ、フェニル、ハロ、およびC1-6ハロアルキルから選択され;
R3は水素、ヒドロキシ、C1-6アルキル、ハロ、C1-6アルコキシ、フェニル、C1-6ハロアルキル、および-SO2NR12R13から選択され;
ここで、前記R12およびR13は独立して水素、C1-6アルキル、C3-6シクロアルキル、フェニル、およびフェニル(C1-4アルキル)から選択されるか、またはR12およびR13が、これらが結合している窒素と一緒になって窒素含有5-、6-、もしくは7-員環を形成し;
そしてR12およびR13はそれぞれ場合によってハロ、C1-6アルキル、およびC1-6ハロアルキルから選択される1もしくは2個の基で置換され;
R4およびR5は独立して水素およびC1-4アルキルから選択され、ただしR4およびR5における炭素原子の総数は4以下であり;
そして、Ar1は以下の基から選択され:
【化3】

及び
【化4】

ここで、R14は水素、ハロゲン、-(CH2)qOR18、-NR18C(O)R19、-NR18SO2R19、-SO2NR18R19、-NR18R19、-OC(O)R20もしくはOC(O)NR18R19であり、
そして、R15は水素、ハロゲンもしくはC1-4アルキルである;か、
あるいは、R14は-NHR21であって、R15と-NHR21が一緒になって5-もしくは6-員へテロ環を形成し;
R16は水素、ハロゲン、-OR18もしくは-NR18R19であり;
R17は水素、ハロゲン、ハロC1-4アルキル、-OR18、-NR18R19、-OC(O)R20もしくはOC(O)NR18R19であり;
R18およびR19はそれぞれ独立して水素もしくはC1-4アルキルであるか、あるいは基-NR18R19、-SO2NR18R19および-OC(O)NR18R19においては、R18およびR19は独立して水素もしくはC1-4アルキルであるか、これらが結合している窒素原子と一緒になって窒素含有5-、6-もしくは7-員環を形成し、
R20はアリール(例えばフェニルもしくはナフチル)基であって、これらは非置換またはハロゲン、C1-4アルキル、ヒドロキシ、C1-4アルコキシもしくはハロC1-4アルキルから選択される1以上の置換基で置換されていてもよく;そして
qは0または1〜4の整数であり;
ただし、基(a)において、R14が-(CH2)qOR18かつqが1の場合、R16はOHでない。]
の化合物、またはその塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能的な誘導体。
【請求項2】
R6およびR8は独立して、水素、C1-6アルキルおよびC3-7シクロアルキルから選択され;
R7は水素、C1-6アルキル、C3-7シクロアルキル、-C(O)R9、フェニル、ナフチル、ヘタリール、およびフェニル(C1-4アルキル)-から選択され、またR7は場合によって、独立してハロ、ヒドロキシ、C1-6アルキル、C1-6ハロアルキル、C1-6アルコキシ、-NHC(O)(C1-6アルキル)、-SO2(C1-6アルキル)、-SO2(フェニル)、-CO2H、および-CO2(C1-4アルキル)から選択される1もしくは2個の基で置換され;
R14は、R14は水素ではないということを除いては、上記定義の通りであり;そして
その他の全置換基は式(I)の定義の通りである;
の請求項1に記載の式(I)の化合物、またはその塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能的な誘導体。
【請求項3】
R14は水素、ハロゲン、-NR18C(O)R19、-NR18SO2R19、-SO2NR18R19、-NR18R19、-OC(O)R20もしくはOC(O)NR18R19であり;そして、
R16は水素、ハロゲン、-OR18もしくは-NR18R19である;
の請求項1または2に記載の化合物。
【請求項4】
R14は水素、ハロゲン、-(CH2)qOR18、-NR18C(O)R19、-NR18SO2R19、-SO2NR18R19、-NR18R19、-OC(O)R20もしくはOC(O)NR18R19であり;そして、
R16は水素、ハロゲン、もしくは-NR18R19である;
の請求項1または2に記載の化合物。
【請求項5】
R1が-(CH2)pNHC(O)NHR7である請求項1〜4のいずれか1項に記載の式(I)の化合物。
【請求項6】
pが0、1もしくは2である、請求項1〜5のいずれか1項に記載の式(I)の化合物。
【請求項7】
以下の群から選択される、式(I)の化合物、ならびにその塩、溶媒和物および生理学的に機能的な誘導体:
N-[3-(4-{[6-({(2R)-2-[3-(ホルミルアミノ)-4-ヒドロキシフェニル]-2-ヒドロキシエチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)フェニル]尿素;
N-[3-(4-{[6-({(2R)-2-[3-(ホルミルアミノ)-4-ヒドロキシフェニル]-2-ヒドロキシエチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)フェニル]-N'-フェニル尿素;
N-[3-(4-{[6-({(2R)-2-[3-(ホルミルアミノ)-4-ヒドロキシフェニル]-2-ヒドロキシエチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)フェニル]-N'-ピリジン-3-イル尿素;
N-[3-(4-{[6-({2-ヒドロキシ-2-[5-ヒドロキシ-6-(ヒドロキシメチル)ピリジン-2-イル]エチル}アミノ)ヘキシル]オキシ}ブチル)-5-メチルフェニル]尿素。
【請求項8】
選択的β2-アドレナリン受容体アゴニストが適応される、ヒトなどの哺乳動物の臨床症状の予防もしくは治療方法であって、治療上有効な量の、請求項1〜7のいずれか1項に記載の式(I)、(Ia)もしくは(Ib)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能的な誘導体の投与を含む方法。
【請求項9】
医療での使用のための、請求項1〜7のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能的な誘導体。
【請求項10】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能的な誘導体つ、薬学的に許容される担体もしくは賦形剤と、場合によって1以上のその他の治療用成分とを含む医薬製剤。
【請求項11】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能的な誘導体と、1以上のその他の治療用成分とを含む組合せ物。
【請求項12】
その他の治療用成分が、コルチコステロイド、抗コリン作動薬またはPDE4阻害薬である請求項11に記載の組合せ物。
【請求項13】
選択的β2-アドレナリン受容体アゴニストが適応される臨床症状の予防もしくは治療のための医薬の製造における、請求項1〜7のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能的な誘導体の使用。
【請求項14】
請求項1〜7のいずれか1項に記載の式(I)の化合物、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、もしくは生理学的に機能的な誘導体の製造方法であって:
(a)保護中間体、例えば式(II):
【化5】

[式中、R1、R2、R3、R4、R5、m、およびnは式(I)の化合物についての定義の通り、Ar1aは場合によって保護された形態のAr1であり;そしてP1およびP2はそれぞれ独立して水素または保護基である(ただし、式(II)の化合物は少なくとも1個の保護基を含有する。)。]
の化合物またはその塩もしくは溶媒和物の脱保護;か、
(b)式(IX):
【化6】

[式中、Ar1aは場合によって保護された形態のAr1、そしてP2は水素もしくは保護基のいずれかである。]
のアミンの、式(X):
【化7】

[式中、R1、R2、R3、R4、R5、m、およびnは式(I)もしくは式(Ia)の化合物についての定義の通り、そしてL1は脱離基である。]
の化合物を用いるアルキル化;か、
(c)式(XII):
【化8】

[式中、R1、R2、R3、R4、R5、m、およびnは式(I)についての定義の通り、Ar1aは場合によって保護された形態のAr1、そしてP1およびP2は独立して水素もしくは上記定義の保護基である。]
の化合物の還元;か、
(d)式(XVI):
【化9】

[式中、Ar1aは場合によって保護された形態のAr1、P1は水素もしくは保護基、そしてL4は基L-L3について定義された通りの脱離基である。]
の化合物、または式(XVII):
【化10】

[式中、Ar1aは前記定義の通りである。]
の化合物と、式(XVIII):
【化11】

[式中、R1、R2、R3、R4、R5、m、およびnは式(II)についての定義の通りである。]
のアミンとの反応;か、あるいは、
(e)式(IIa):
【化12】

[式中、R1-R5、mおよびnは式(I)についての定義の通り、Ar1aおよびP1は式(II)についての定義の通りであって、それぞれ独立して水素もしくは保護基であり、そしてR28はキラル補助基である。]
の化合物からのキラル補助基の除去;
次いで、任意の順序での以下:
(i)場合により、保護基があれば保護基の除去;
(ii)場合により、鏡像体混合物からの1鏡像体の分離;
(iii)場合により、該生成物から対応する塩、溶媒和物もしくは生理学的に機能的な誘導体への転換。
の工程;
を含む前記方法。

【公表番号】特表2006−504766(P2006−504766A)
【公表日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−547637(P2004−547637)
【出願日】平成15年10月30日(2003.10.30)
【国際出願番号】PCT/EP2003/012161
【国際公開番号】WO2004/039766
【国際公開日】平成16年5月13日(2004.5.13)
【出願人】(397009934)グラクソ グループ リミテッド (832)
【氏名又は名称原語表記】GLAXO GROUP LIMITED
【住所又は居所原語表記】Glaxo Wellcome House,Berkeley Avenue Greenford,Middlesex UB6 0NN,Great Britain
【Fターム(参考)】