説明

水素供給方法及び水素供給装置

【課題】200℃以下の低温でも効率よく他の装置に水素を供給することのできる水素供給装置を提供する。
【解決手段】水素供給装置1は、化学的に水素を貯蔵することのできる水素貯蔵体を触媒と接触させて脱水素反応させることにより水素と水素貯蔵体の脱水素体を生成し、生成した水素を他の装置に供給する装置であって、水素貯蔵体を気化する気化部11と、気化部11で気化した水素貯蔵体が供給されて脱水素反応を行うことにより水素と脱水素体を生成させつつ、水素との吸着力、脱水素体との吸着力、及び脱水素反応で未反応であった水素貯蔵体との吸着力が異なる触媒を有する触媒部13と、気化部11と触媒部13の間に設けられ、少なくとも脱水素体が触媒部13から取り除かれる時間間隔をもって、気化部11で気化した水素貯蔵体を触媒部13に供給する供給部12とを備え、触媒部13を200℃以下で加熱することを特徴としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、化学的に水素を貯蔵することのできる水素貯蔵体を触媒と接触させて脱水素反応させることにより水素と水素貯蔵体の脱水素体を生成し、生成した水素を他の装置に供給する水素供給方法及び水素供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
二酸化炭素などによる地球温暖化が深刻になる中で、化石燃料に代わって次世代を担うエネルギー源として水素が注目されている。
例えば、水素を利用して発電を行う燃料電池発電システムや、エネルギーを有効活用してCO2排出を削減する省エネルギー化を推進するための水素供給燃料電池コージェネレーションシステム、水素供給装置とマイクロタービンを組み合わせた発電機や水素供給装置とマイクロエンジンを組み合わせた発電機などの開発も進んでいる(以下、これらを総称して「水素利用発電システム」という。)。また、水素を直接燃料として用いる水素燃料エンジンの開発も進んでいる。
【0003】
水素利用発電システムは、自動車、家庭用発電設備、自動販売機、携帯機器などの電源として技術開発が急速に進んでおり、中でも燃料電池発電システムは、水素と酸素を反応させ水になる際に電気を発生し、同時に発生する熱エネルギーを利用して給湯及び空調を行うことができるため、家庭用分散電源に好適である。
【0004】
ここで、水素利用発電システムや水素燃料エンジンは、水素を燃料として用いるため、水素の輸送、貯蔵、供給システムが大きな課題となっている。
つまり、水素は常温で気体であるために液体や固体に比べて貯蔵や輸送が難しいだけでなく、水素は可燃性物質であり、空気と所定の混合比で混合されると爆発の危険性もある。
【0005】
このような問題を解決する技術が特許文献1〜3及び非特許文献1に記載されている。
これらのうち特許文献1,2及び非特許文献1には、シクロヘキサンやデカリンのような炭化水素を用いた、いわゆる有機ハイドライドシステムに関する技術が記載されている。
シクロヘキサンを用いた例をとってこの有機ハイドライドシステムについて説明すると、シクロヘキサンとベンゼンは同じ炭素数を有する環状炭化水素であるが、シクロヘキサンは二重結合を有しない飽和炭化水素であるのに対し、ベンゼンは炭素同士が二重結合で結合する部分を有する不飽和炭化水素である。つまり、シクロヘキサンの脱水素反応によりベンゼンが得られ、ベンゼンの水素付加反応によりシクロヘキサンが得られるため、かかる有機ハイドライドシステムは、これらの炭化水素の脱水素反応及び水素付加反応を利用することによって水素の供給及び貯蔵を可能とするものである。
また、特許文献1,2には、シクロヘキサンやデカリンのような炭化水素から水素を生成するために、反応装置内の高温の触媒に液体の炭化水素を直接噴霧して脱水素反応を行わせること、及び水素分離膜を用いて水素を分離することなどが記載されている。
【0006】
これらの有機ハイドライドシステムによれば、安全性、貯蔵能力、低コスト化に優れ、また、これらの炭化水素は常温で液体であるため、運搬性に優れた水素貯蔵・供給方法を具現することができる。
【0007】
また、特許文献3には、脱水素触媒および水素分離膜を備えた流通式反応系内で炭化水素を脱水素反応させながら、生成した水素を該水素分離膜により連続的に透過分離し、得られた水素流の少なくとも一部を水素吸蔵合金に吸蔵させて、該水素分離膜の水素透過側の圧力を非透過側の圧力よりも低くすることを特徴とする水素の製造方法が記載されており、有機ハイドライドシステムにおける水素の分離、反応温度の低温化、及び水素回収率の向上を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2002−274801号公報
【特許文献2】特開2002−184436号公報
【特許文献3】特開2005−281103号公報
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】Nobuko Kariya, Atsushi Fukuoka and Masaru Ichikawa, “Efficient evolution of hydrogen from liquid cycloalkanes over Pt-containing catalysts supported on active carbons under “wet-dry multiphase conditions””, Applied Catalysis A: General, Volume 233, Issues 1-2, 10 July 2002, p.91-102.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1,2及び非特許文献1には、実用化に際して課題も多い。例えば、シクロヘキサンとベンゼンとの反応に代表される脱水素反応を利用した水素供給装置を実用化するには、触媒での反応温度をさらに低温化する必要がある。
【0011】
特許文献1〜3及び非特許文献1では、水素分離膜を使用することによって反応系における水素分圧を低下させることで反応温度の低温化を図っているが、特許文献1〜3及び非特許文献1に記載された構成では、250℃程度までは高い転化率で脱水素反応を行うことができても、これよりも低温で行うと水素分離膜の耐久性が急激に低下してしまうため、実用性に問題がある。
【0012】
本発明は前記問題を解決するためになされたものであり、200℃以下の低温でも効率よく他の装置に水素を供給することのできる水素供給方法及び水素供給装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明に係る水素供給方法は、化学的に水素を貯蔵することのできる水素貯蔵体を触媒と接触させて脱水素反応させることにより水素と水素貯蔵体の脱水素体を生成し、前記生成した水素を他の装置に供給する水素供給方法であって、前記水素貯蔵体を気化し、少なくとも前記脱水素体が前記触媒から取り除かれる時間間隔をもって、気化した前記水素貯蔵体を200℃以下に加熱された前記触媒と接触させて前記脱水素反応を行わせることにより前記水素と前記脱水素体を生成させつつ、前記生成された水素と、前記生成された脱水素体と、前記脱水素反応で未反応であった水素貯蔵体と、を前記触媒の作用により異なるタイミングで系外へ送出させることを特徴としている。
【0014】
また、本発明に係る水素供給装置は、化学的に水素を貯蔵することのできる水素貯蔵体を触媒と接触させて脱水素反応させることにより水素と水素貯蔵体の脱水素体を生成し、前記生成した水素を他の装置に供給する水素供給装置であって、前記水素貯蔵体を気化する気化部と、前記気化部で気化した前記水素貯蔵体が供給されて前記脱水素反応を行うことにより前記水素と前記脱水素体を生成させつつ、前記水素との吸着力、前記脱水素体との吸着力、及び前記脱水素反応で未反応であった水素貯蔵体との吸着力が異なる触媒を有する触媒部と、前記気化部と前記触媒部の間に設けられ、少なくとも前記脱水素体が前記触媒部から取り除かれる時間間隔をもって、前記気化部で気化した前記水素貯蔵体を前記触媒部に供給する供給部と、を備え、前記触媒部を200℃以下で加熱することを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る水素供給方法及び水素供給装置は、水素貯蔵体を気化器で気化した後、当該気化した水素貯蔵体を供給部によって特定の時間間隔で触媒部に供給することにより、水素貯蔵体を脱水素反応させて水素を生成させることができる。本発明で用いている触媒は、水素との吸着力、脱水素体との吸着力、水素貯蔵体との吸着力が異なるため、触媒と接触させることにより、これらを異なるタイミングで系外に送出させることができる。また、かかる触媒により、水素と脱水素体と水素貯蔵体とが含まれる反応系から、水素と脱水素体を早期に取り除くことができるため、触媒内での化学平衡状態をずらして脱水素反応を促進させるようにすることができる。その結果、200℃以下の低温であっても効率よく水素を生成し、他の装置に供給することが可能となる。
そのため、本発明に係る水素供給方法及び水素供給装置によれば、水素を貯蔵して運搬することが容易となるだけでなく、自動車や分散電源に水素を供給するために200℃を超える温度で加熱するような熱源を設けることなく、既存のガソリンインフラなどを用いて水素を供給することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る水素供給装置の基本的な構成例を示すブロック図である。
【図2】(a)〜(d)は、触媒における脱水素反応の様子を説明する説明図である。
【図3】本発明に係る水素供給装置の他の構成例を示すブロック図である。
【図4】本発明に係る水素供給装置の他の構成例を示すブロック図である。
【図5】本発明に係る水素供給装置と固体高分子形燃料電池を組み合わせた発電システムの構成例を示したブロック図である。
【図6】本発明に係る水素供給装置とエンジンを組み合わせたエンジンシステムの構成例を示したブロック図である。
【図7】本発明に係る水素供給装置と圧縮機を組み合わせた水素貯蔵システムの構成例を示したブロック図である。
【図8】本発明に係る水素供給装置を使用した水素コミュニティの構成例を示したブロック図である。
【図9】(a)は、実施例と従来例における水素発生温度[℃]と反応転化率[%]を示したグラフであり、(b)は、メチルシクロヘキサン中のトルエン混合率[%]と反応転化率[%]を示したグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に、本発明に係る水素供給方法及び水素供給装置を実施するための形態について説明する。
本発明に係る水素供給方法は、化学的に水素を貯蔵することのできる水素貯蔵体を触媒と接触させて脱水素反応させることにより水素と水素貯蔵体の脱水素体とを生成し、生成した水素を他の装置に供給する方法であって、水素貯蔵体を気化し、少なくとも水素貯蔵体の脱水素体が触媒から取り除かれる時間間隔をもって、気化した水素貯蔵体を200℃以下に加熱された触媒と接触させて脱水素反応を行わせることにより水素と脱水素体を生成させつつ、生成した水素と、生成した脱水素体と、脱水素反応で未反応であった水素貯蔵体と、を触媒の作用により異なるタイミングで系外に送出させるというものである。
このような処理を行うことによって200℃以下の温度であっても効率よく水素貯蔵体から水素を生成させることができ、他の装置に生成した水素を供給することが可能となる。
【0018】
この水素供給方法を具現する装置が、次に説明する水素供給装置である。水素供給方法は、水素供給装置の詳細を説明することによって詳細を明らかにすることができるので、以下に水素供給装置について説明することとする。
【0019】
図1に示すように、本発明に係る水素供給装置1は、主として気化部11と、触媒部13と、供給部12とを備えて構成される。
ここで、水素貯蔵体は、室温で液体の状態を保ち、沸点が室温から200℃以下、好ましくは室温から150℃以下であって、分子構造内に脱水素反応によって水素を生成することのできる鎖式飽和炭化水素、環式飽和炭化水素、複素環式飽和炭化水素、アンモニア水溶液、ヒドラジン水溶液、ホウ酸ナトリウムまたは、アンモニアあるいはヒドラジン水溶液と過酸化水素水を混合したものを使用することができる。
【0020】
鎖式飽和炭化水素としては、例えば、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ノナン、デカン、ウンデカン、ドデカン及びこれらの構造異性体並びにこれらの置換体を用いることができる。
【0021】
環式飽和炭化水素としては、例えば、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン、シクロオクタン、シクロノナン及びこれらのアルキル置換体を用いることができる。環式飽和炭化水素のアルキル置換体としては、例えば、メチルシクロヘキサンなどが挙げられる。また、環式飽和炭化水素は、これを複数個単結合したものも用いることができる。このような化合物としては、例えば、ビフェニルなどを挙げることができる。
【0022】
複素環式飽和炭化水素としては、例えば、デカリン、テトラリン及びこれのアルキル置換体を用いることができる。複素環式飽和炭化水素のアルキル置換体としては、例えば、メチルデカリンなどが挙げられる。
【0023】
なお、水素貯蔵体は、後記する触媒部13で水素と水素貯蔵体の脱水素体と未反応の水素貯蔵体とが分離できるものであれば、前記した化合物の中から選択されるいずれか1種のみを用いることもでき、2種以上を混合して用いることもできる。またさらに、触媒部13における脱水素反応に支障のない限り、適宜に他の化合物、たとえばシクロヘキサン環を持たない炭化水素や安定化剤などの添加剤を含んでいてもよい。
【0024】
気化部11は、水素貯蔵体を気化する装置であって、好ましくは、水素貯蔵体の蒸気を得る装置である。
このような気化部11としては、例えば、キャブレター、スプレーガンなどが挙げられる。また、例えば、電気ヒータや反応器の余熱を利用した熱交換型の流路内に、粒状、ハニカム上など充填物を詰めたものや、微細流路を形成したもの、あるいは熱交換用のフィンを設けるなどにより構成することができる。
【0025】
触媒部13は、気化部11で気化した水素貯蔵体が供給されて脱水素反応を行うことにより水素と脱水素体を生成させつつ、水素との吸着力、脱水素体との吸着力、及び脱水素反応で未反応であった水素貯蔵体との吸着力が異なる触媒を有している。そのため、当該触媒によって水素と脱水素体と水素貯蔵体とを異なるタイミングで得ることができる。
なお、かかる吸着力の強さは、水素<脱水素体<未反応の水素貯蔵体であるのが好ましい。このような吸着力を有する触媒を用いれば、水素と脱水素体と水素貯蔵体とを異なるタイミングで得ることが可能となる。
【0026】
触媒は、金属触媒と、金属触媒を担持する担体とを含んで形成され、好ましくは担体を保持するための保持体を含んで形成される。
金属触媒としては、例えば、Ni、Pd、Pt、Rh、Ir、Re、Ru、Mo、W、V、Os、Cr、Co、Feから選択される一種以上の遷移金属又はこれらの合金で形成される粒子を用いるのが好ましい。金属触媒の粒子の大きさは、例えば粒径分布が直径2nm程度のものを使用することができるがこれに限定されるものではなく、水素貯蔵体の脱水素反応を行わせることができればどのような大きさでもよい。
【0027】
担体としては、例えば、活性炭、カーボンナノチューブ、シリカ、アルミナ、ゼオライトなどのアルミナシリケート、多孔質ポリイミド、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、珪藻土、酸化ニオブ、酸化バナジウムなどを用いることができる。かかる担体は、触媒の固定態様に合わせて任意の形態とすることができる。
例えば、触媒部13が、直管型や箱型、マイクロリアクタ型などのように内部に触媒を充填して固定する型式のものである場合は、前記担体の形態を多孔質体、ハニカム体、又は粒子体とすることができる。
また、触媒部13が、細管体の内面やマイクロリアクタ型の筐体の内面に触媒を固定する型式のものである場合は、当該細管体の内面や筐体の内面を被覆するように担体を設けることができる。
さらに、触媒部13が、平板の表面を切削加工、プレス加工などの機械加工や、エッチング、めっきプロセス、ナノプリントなどのソフトリソグラフィの技術、蒸着、スパッタ法などのドライプロセスの技術を用いて形成した水素貯蔵体を通流させるための流路部や凹凸部を設け、この上に触媒を固定する型式のものである場合は、流路部や凹凸部を設けた平板の表面を被覆するように担体を設けることができる。
なお、前記した平板には、任意の箇所に任意の個数で、気化した水素貯蔵体を供給するための供給口や反応生成物などを排出するための排出口を設けることができることはいうまでもない。
【0028】
前記した金属触媒と担体を用いた触媒は、次のようにして形成させることができる。
触媒部13が、内部に触媒を充填して固定する型式である場合は、金属触媒を担体に担持させて固定するようにするのが好ましい。例えば、金属触媒と担体を用いて、常法により共沈法や熱分解法によって得ることができる。
また、触媒部13が、流路部や凹凸部を設けた平板の表面を被覆するように触媒を設ける場合は、ゾルゲル法やCVD法により担体層を形成し、この担体層に金属触媒を担持させることによって触媒を触媒層として形成することができる。
さらに、触媒部13が、アルミニウム、ジルコニウム、ニオブ、バナジウムなどの金属又はこれらを主体とする合金を用いた細管体やマイクロリアクタ型の筐体の内面、或いは流路部や凹凸部を設けた平板の表面に触媒を固定する型式である場合は、細管体等の内面や平板の表面を陽極酸化することによって当該細管体等の内面や平板の表面に酸化物系の担体層を直接形成し、当該担体層に金属触媒を担持させることによって触媒を触媒層として形成することができる。
そして、多孔質体又はハニカム体の触媒として形成する場合は、アルミナ、ゼオライト、多孔質ポリイミドなどが有する空孔内に金属触媒を担持させることで形成することができる。
【0029】
触媒部13は、外部刺激による触媒の破壊防止のため、堅牢な筐体内に触媒を固定するのが好ましい。本発明においては水素貯蔵体の脱水素反応を200℃以下で行うため、かかる筐体は、各種金属、セラミックス、ガラス、プラスチックなどを用いて形成することができる。もちろん、水素ガスの漏れが生じないように形成するのが好ましい。
【0030】
かかる触媒部13は、前記した材料で形成した担体と触媒とを有していることによって、水素貯蔵体を脱水素反応させて水素と水素貯蔵体の脱水素体とを生成させることができるとともに、生成した水素との吸着力、脱水素体との吸着力、脱水素反応で未反応であった水素貯蔵体との吸着力を異ならしめることが可能となり、触媒部からこれらを異なったタイミングで送出させることが可能となる。そのため、生成した水素等を個別に回収したり使用したりすることが可能となる。
【0031】
供給部12は、気化部11と触媒部13の間に設けられ、少なくとも脱水素体が触媒部13から取り除かれる時間間隔をもって、気化部11で気化した水素貯蔵体を触媒部13に供給する装置である。
かかる供給部12は、気化した水素貯蔵体を触媒部13に供給するために、当該水素貯蔵体に圧力を付与する圧力付与装置121と、この圧力付与装置121を適切なタイミングで作動させて、気化した水素貯蔵体を触媒部13に供給するように制御する供給タイミング制御装置123とを含んで構成することができる。
【0032】
圧力付与装置121は、気化した水素貯蔵体を昇圧するための昇圧ポンプと、気化した水素貯蔵体を供給する時間間隔や流量を制御するための制御バルブ122とを備えることにより、気化した水素貯蔵体に適切な圧力を付与して触媒部13に供給することができる。
昇圧ポンプとしては、例えば、プランジャータイプ、ピストンタイプ、などを用いることができるがこれに限定されるものではなく、水素貯蔵体を昇圧できるものであればどのようなものでも使用することができる。
また、気化した水素貯蔵体を供給する時間間隔や流量を制御する制御バルブ122は、例えば、空気弁や電磁弁などの一般的に用いられているものや自動車用のインジェクションバルブなどにより行うことができる。
【0033】
供給タイミング制御装置123は、圧力付与装置121を適切なタイミングで作動させることのできるプログラムを実行可能なCPUである。なお、かかるプログラムは、例えばROMやRAMなどに記憶させておくことができる。
適切なタイミングで作動させるための制御手法としては、例えば、(1)圧力付与装置121の運転環境における温度と圧力の条件で規定される供給時間及び供給休止間隔に基づく制御、(2)予め指定した時間間隔による制御、或いは、(3)各種センサで検知した信号によるフィードバック制御などを単独又は複数組み合わせて制御することができる。
【0034】
前記(1)の制御は、圧力付与装置121の運転環境における温度を検知する温度センサと、圧力を検知する圧力センサとを備え、検知した温度及び圧力に基づいてプログラムを実行させることにより具現でき、(2)の制御は、触媒部13の温度や圧力と触媒の性能を予め把握しておき、指定した時間でプログラムを実行させることにより具現でき、(3)の制御は、触媒部13の圧力を検知する圧力センサ、温度を検知する温度センサ、気化した水素貯蔵体の流量を検知する流量センサ、生成した水素の濃度を検知する水素センサなどを備え、これらのセンサから得られた情報から反応転化率を算出し、反応転化率の変動を最小限にするように制御することにより具現できる。
【0035】
発生した水素を回収する回収部14は、気液分離し水素ガスを高純度で回収する。気液分離には冷却器、分離膜、それらの組み合わせなどを用いることができる。また、反応物の排出タイミングが異なることから、それぞれの排出時間にバルブを切り替え別々の容器に回収することもできる。さらに回収部14には吸引システムを設け、反応物を吸い出すこともできる。吸引システムには、排気ポンプを用いることが有効であり、排気ポンプとしては、圧力付与装置121内の水素貯蔵体の圧力を減圧することのできるものであればどのようなものでもよく、例えば、ピストン、タービン、市販の空気ポンプ、真空ポンプ、マイクロタービン、自動車の過吸気用のタービンなどを用いることができる。また、エンジンの場合はエンジンの動力を直接ポンプの動力に利用してもよく、自動車に適用した場合は、自動車の車軸の動力をポンプ動力として利用することもできる。さらに、水素を高圧ガスにする場合は圧縮機を用いて直接吸引することにより行うことができる。
【0036】
従来の水素供給装置では、水素貯蔵体から水素を生成させるために水素分離膜を使用して水素を優先的に反応系から取り除き、平衡をずらすことによって脱水素反応が促進されるようにしているが、この場合であっても220〜400℃必要である(特許文献1〜3及び非特許文献1参照)。
従って、これよりも脱水素反応の促進し難い200℃以下の低温で水素貯蔵体から水素を生成させようとした場合、水素分離膜によって水素をさらに優先的且つ強制的に取り除き、さらに平衡をずらして脱水素反応を促進させる必要があるが、これは前記したように水素分離膜が劣化することもあり、非常に困難なことである。
【0037】
本発明に係る水素供給装置1においては、既に詳述したように、触媒部13内の触媒で水素貯蔵体を脱水素反応させて生成した水素及び水素貯蔵体の脱水素体と、脱水素反応で未反応であった水素貯蔵体とを得ることができる。そして、既に述べているように、触媒の有する水素との吸着力、脱水素体との吸着力、及び水素貯蔵体との吸着力の強さの違いによってこれらを異なるタイミングで触媒部13から送出させることが可能である。
かかる吸着力の強さの違いは、主に触媒に用いられている担体の有する吸着力や極性によって付与される。本発明においては、水素、脱水素体、及び水素貯蔵体のうち、脱水素反応によって生成される水素と脱水素体を優先的に反応系から取り除きたいので、選択する担体の有する吸着力の強さが概ね水素<脱水素体<水素貯蔵体の関係を満たすものであるのが好ましい。前記した担体の材料はいずれもこの関係を満たす。もっとも、水素は前記した担体に吸着しないので、担体を選択する場合は、実質的に脱水素体と水素貯蔵体の吸着力の強さに注目して選択すればよい。なお、用いる水素貯蔵体によって好適な担体は異なり得るため、予め実験等を行って用いようとする水素貯蔵体に適する担体を選択するようにするとよい。
【0038】
水素貯蔵体と触媒の選択の一例としては、水素貯蔵体としてメチルシクロヘキサンを用い、触媒の担体として活性炭を用い、触媒の金属触媒としてPtを用いることを挙げることができる。この場合、触媒でメチルシクロヘキサンを脱水素反応することによって水素と脱水素体であるトルエンとを生成することができる。
【0039】
ここで、図1を参照して水素供給装置1の動作について説明する。
図1に示すように、水素供給装置1の気化部11に水素貯蔵体が供給されると、気化部11によって水素貯蔵体が加熱されて気化する。次いで、気化した水素貯蔵体は、供給部12に送られ、供給部12の圧力付与装置121によって圧力が付与される。平時、制御バルブ122が閉状態となっているため、気化されて圧力が付与された水素貯蔵体は、この制御バルブ122によって触媒部13への供給が制限されている。しかし、供給タイミング制御装置123によって適切な時間間隔をもって、所定の時間だけ制御バルブ122を開状態とする旨の信号が送信されると、この制御バルブ122は所定の時間だけ開状態となり、気化されて圧力が付与された水素貯蔵体を触媒部13に供給する。触媒部13は、供給された水素貯蔵体を脱水素反応して水素と脱水素体を生成して、これらを順次、水素供給装置1外へ排出する。また、水素と脱水素体の排出後、前記した脱水素反応で未反応であった水素貯蔵体を水素供給装置1外へ排出する。
【0040】
このときの触媒部13内における脱水素反応の様子を、図2を参照して説明する。図2(a)に示すように、触媒部13内の触媒は、供給部12が接続されている上流側から気化したメチルシクロヘキサンが供給されると、メチルシクロヘキサンと触媒が接触する。これによりメチルシクロヘキサンの脱水素反応が行われ、水素とトルエンを生成する。次いで同図(b)に示すように、生成した水素は触媒に吸着しないので早期に反応系から取り除かれ、触媒部13から送出される。これにより平衡がずれるので脱水素反応を促進させることができる。次いで同図(c)に示すように、生成したトルエンの方が未反応のメチルシクロヘキサンよりも触媒に対する吸着力が弱いので、メチルシクロヘキサンよりも早く触媒部13の下流側に移動することとなる。これによりさらに平衡をずらすことができるので、さらに脱水素反応を促進させることが可能となる。そのため、触媒によって未反応のメチルシクロヘキサンの脱水素反応が促進されて新たに水素とトルエンを生成させることが可能となる。生成した水素は前記と同様、早期に反応系から取り除かれ、触媒部13から送出される。次いで同図(d)に示すように、生成物である水素とトルエンが早期に反応系から取り除かれて平衡がずれる。そのため、残ったメチルシクロヘキサンの脱水素反応が促進されて新たに水素とトルエンを生成することが可能となる。
【0041】
このように、本発明の水素供給装置1は、メチルシクロヘキサンの脱水素反応を行うと早期にその場から生成物である水素とトルエンを取り除くことができるので、極端な平衡のずれを実現することができ、脱水素反応を強く促進させることが可能となる。そのため、200℃以下という低温でも高い反応転化率で水素貯蔵体を脱水素体に転化し、水素を生成させることが可能となる。この点については後述する。
また、本発明の水素供給装置1は、水素貯蔵体と脱水素体が混合した状態の燃料であって、水素貯蔵体の純度が低く、脱水素体が多く含有されている場合であっても高い反応転化率で水素貯蔵体を脱水素体に転化して水素を生成させることが可能である。この点についても後述する。
従って、本発明に係る水素供給装置1によれば、未反応の水素貯蔵体を回収して再度燃料として利用することも可能でありこのような場合であっても水素の生成効率を高く維持することが可能である。
【0042】
なお、水素を燃料として用いるPEFC(固体高分子形燃料電池)やDMFC(ダイレクトメタノール型燃料電池)の運転温度は70〜100℃程度であり、PAFC(りん酸形燃料電池)の運転温度は約200℃程度であるので、本発明の水素供給装置とこれらの燃料電池とを組み合わせて使用する場合は、これらの燃料電池と隣接又は近接して設けることによりこれらを熱源として利用することができる。また、水素供給装置1と水素燃料エンジンなどを組み合わせて使用する場合も、当該水素燃料エンジンから排出される排ガスの熱を熱源として利用することができる。
しかしながら、熱源がこれらのみでは、水素供給装置1の運転開始時や気温が低い場合などは、触媒部13の温度が低いために水素貯蔵体の脱水素反応がスムーズに行われないおそれがある。
【0043】
そのため、本発明に係る水素供給装置1においては、図3に示すように、気化部11及び触媒部13のうちの少なくとも一方を200℃以下の温度で加熱する加熱部14をさらに備えるのが好ましく、気化部11、供給部12及び触媒部13の全てを200℃以下の温度で加熱する加熱部14を備えるのがより好ましい。
加熱部14は、例えば、触媒部13の温度が低く、水素貯蔵体の脱水素反応がスムーズに行われないおそれがある場合でも、当該触媒部13を加熱することによって水素貯蔵体の脱水素反応をスムーズに行うことを可能にする。
かかる加熱部14としては、これらを200℃以下に加熱することができるように制御された電熱ヒータや可燃性燃料を燃焼させて加熱するヒータ等を用いることができる。
【0044】
また、加熱部14は、熱エネルギーを電気に変換する発電装置又は熱エネルギーを機械的エネルギーに変換する熱機関を冷却する200℃以下の冷却媒体の熱を利用して触媒部13を加熱するようにしたものであってもよい。
熱エネルギーを電気に変換する発電装置としては、例えば、発電機や原子炉などが挙げられる。また、熱エネルギーを機械的エネルギーに変換する熱機関としては、例えば、エンジンが挙げられる。このような熱を発する装置(発熱装置)と本発明の水素供給装置1とを併用する場合は、これらの発熱装置を冷却するための冷却媒体によって触媒部13を200℃以下で加熱するようにしてもよい。かかる冷却媒体としては、例えば、エンジンを冷却するための冷却水やエンジンから排出された排ガス、原子炉の二次冷却水などを挙げることができる。
【0045】
また、本発明に係る水素供給装置1は、図4に示すように、触媒部13から送出された水素、脱水素体及び水素貯蔵体のうち少なくとも水素を個別に回収する回収部15をさらに備えるのが好ましい。このようにすれば、少なくとも水素を高純度に得て、これを貯蔵することが可能となる。なお、脱水素体と水素貯蔵体も個別に回収できるようにするのが好ましい。
本発明の水素供給装置1は、供給部12によって、少なくとも脱水素体が触媒部13から取り除かれる時間間隔をもって、気化部11で気化した水素貯蔵体を触媒部13に供給して脱水素反応を行わせるため、生成した水素や脱水素体、水素貯蔵体は、それぞれ異なったタイミングで触媒部13から送出されてくる。従って、それぞれの送出タイミングに応じて作動する作動弁を設けて個々に回収できるようにするとよい。
【0046】
また、水素供給装置に排気ポンプを接続し、この排気ポンプによって水素を吸引するようにしてもよい。水素供給装置から回収された水素は、例えば、予備タンク内に数気圧から数十気圧で貯蔵することができる。水素を貯蔵した予備タンクを備えることにより、燃料電池等の次回の始動を即座に行うことができるようになる。また、予備タンクに水素を貯蔵させることにより、燃料電池等へ安定して水素を供給することができるようになる。
【0047】
また、脱水素体や脱水素反応で未反応であった水素貯蔵体も個別に或いは同時に回収することができる。回収した脱水素体や水素貯蔵体は適宜廃液タンクなどの回収部(図4には図示せず)に貯蔵したり、燃料タンクに戻したりすることができる。
【0048】
以上に述べたように、本発明に係る水素供給装置によれば、200℃以下の低温であっても効率よく水素を生成し、他の装置に供給することが可能となる。また、自動車や分散電源に水素を供給するために200℃を超える温度で加熱するような熱源を設けることなく、既存のガソリンインフラなどを用いて水素を供給することが可能となる。
よって、本発明に係る水素供給装置は以下のようにして用いることができる。以下に、本発明に係る水素供給装置を用いた例について説明する。
【0049】
まず、図5を参照して、本発明の水素供給装置1と固体高分子形燃料電池101を組み合わせて一体化した発電システム100について説明する。
図5に示すとおり、この発電システム100は、固体高分子形燃料電池101と当接するように固体高分子形燃料電池101の上に、気化部11、供給部12、及び触媒部13を備えた水素供給装置1を装着している。このようにすれば、固体高分子形燃料電池101の運転温度が80〜100℃であるため、この運転温度をそのまま利用して水素供給装置1全体を、延いては気化部11及び触媒部13のうちの少なくとも一方、好ましくは両方を加熱することができる。そのため、触媒部13で水素貯蔵体の脱水素反応を好適に行うことが可能となる。
【0050】
そして、この発電システム100は、水素貯蔵体を貯蔵しておくための貯蔵タンク102と、貯蔵タンク102に貯蔵された水素貯蔵体を水素供給装置1に送液するための送液ライン104と、この送液ライン104上に設けられ、貯蔵タンク102から水素貯蔵体を水素供給装置1に送液する圧力を発生する送液ポンプ105と、水素供給装置1で生成された水素を固体高分子形燃料電池101に供給するための水素供給ライン108と、水素供給装置1で生成されて排出された水素貯蔵体の脱水素体と、水素供給装置1の脱水素反応で未反応であった水素貯蔵体を冷却して凝縮し、当該水素貯蔵体を気化した状態から液化した状態に戻してこれを廃液として回収する廃液回収ライン106と、廃液回収ライン106で送液されてきた脱水素体と水素貯蔵体を廃液として回収しておくための廃液タンク103とを備えている。なお、水素供給ライン108上には、水素供給装置1で生成した水素を吸引して固体高分子形燃料電池101に供給するための水素供給ポンプ107が設けられており、水素供給装置1で生成された水素を強制的に固体高分子形燃料電池101に供給できるようになっている。この水素供給ポンプ107としては、例えば、タービン型排気ポンプを用いることができる。
【0051】
また、水素供給装置1の気化部11及び触媒部13の温度が低いと水素貯蔵体の脱水素反応が進み難く、水素を好適に生成できないおそれがある。そのため、図5に示すように、例えば、気化部11及び触媒部13を加熱して早期に好適な水素貯蔵体の脱水素反応を行うことができるよう、気化部11や触媒部13に近接して設けた加熱部14(図5には図示せず、図3参照。)に、図示しないタンク等から都市ガス、灯油、重油または、反応後の脱水素化物などの燃料を図示しない加熱用燃料ポンプと図示しない加熱用燃料ラインにより供給し、気化部11及び触媒部13、好ましくは水素供給装置1全体を200℃以下で加熱するようにしてもよい。
【0052】
そして、固体高分子形燃料電池101は、電解質膜Eとこれを挟み込むアノードA及びカソードCで形成された単セルSを複数スタックして構成されるセルスタック(図示せず)を備えている。そして、水素供給装置1で生成した水素が水素供給ライン108を介してアノードAに供給される。他方、空気ポンプ109から送気され、必要に応じて加湿器(図示せず)等で処理された空気(酸素)がカソードCに供給されるようになっている。そして、アノードAの水素とカソードCの酸素とが前記した電解質膜Eを介して反応することで電子(電気)と水が生成される。生成した水は発電システム100外に排出され、電気はモータや二次電池などを含む電気システムに供給される。なお、固体高分子形燃料電池101が排出する排ガスは、水素供給ポンプ107で吸引され、排ガスライン110から排出される。
【0053】
かかる発電システム100においては、水素貯蔵体を使用した結果、貯蔵タンク102内に水素貯蔵体がなくなり、廃液タンク103内に脱水素体が満たされたら、例えば、タンクローリの水素貯蔵体供給口と貯蔵タンク102を配管により接続して水素貯蔵体の供給を行い、タンクローリの廃液流通口と廃液タンク103を配管により接続して廃液の回収を行うことにより新たに水素を供給することができるようになる。
【0054】
また、この発電システム100は、貯蔵タンク102と気化部11の間に図示しない熱交換器を設け、水素供給装置1から回収した高温の脱水素体をこの熱交換器に供してから廃液タンクに103に回収すると、熱交換器で回収した脱水素体の熱を利用して貯蔵タンク102から送液されてくる水素貯蔵体を予め加熱することができるようになり、より効率的に水素貯蔵体を気化することが可能となる。
さらに、固体高分子形燃料電池101から排出された排気ガスは、その排気圧を利用することで発電システム100に装着した水素供給ポンプ107の動力として再利用することが可能である。このように脱水素体の廃熱や固体高分子形燃料電池101の排気ガスなどをエネルギー源として利用する装置を設けることで、発電システム100のエネルギー効率を向上させることが可能である。このような発電システム100とすれば、水素供給装置1と固体高分子形燃料電池101とを当接して組み合わせているのでコンパクトで高効率なものとすることができることから、自動車や家庭用分散型発電機として好適である。
【0055】
次に、図6を参照して、本発明に係る水素供給装置1とエンジン201を組み合わせたエンジンシステム200について説明する。
図6に示すように、このエンジンシステム200は、前記した発電システム100と同様の機能及び構成を有する貯蔵タンク202と、廃液タンク203と、送液ライン204と、送液ポンプ205と、廃液回収ライン206と、水素供給ポンプ207とを有している。なお、これらについては既に詳細に説明しているのでここではその説明を省略する。
そして、このエンジンシステム200は、水素供給装置1と、水素を燃料として燃焼することのできる水素燃料エンジンなどのエンジン201と、水素供給装置1で生成した水素をエンジン201に供給するための水素供給ライン208と、エンジン201からの排ガスを排気するための排ガスライン210とを有しており、この排ガスライン210の後段で水素供給装置1と当接するようにしている。これは、固体高分子形燃料電池101と比較してエンジン201の方が運転温度が高く、排ガス温度も高いため、排ガスライン210の後段で水素供給装置1と当接させることによって当該水素供給装置1全体を、延いては、延いては気化部11及び触媒部13のうちの少なくとも一方、好ましくは両方を200℃以下に加熱することができる。なお、エンジン201の冷却水やオイルの廃熱を利用して水素供給装置1を加熱するようにしてもよい。なお、エンジンシステム200における水素供給ポンプ207が特許請求の範囲の水素供給システムに相当し、エンジン201が特許請求の範囲の他の装置に相当する。
【0056】
また、エンジン201と固体高分子形燃料電池101とで大きく異なるのが、水素供給装置1から供給される水素ガスの純度である。水素供給装置1から水素供給ポンプ207で吸引するときに、蒸気圧分の脱水素体が水素と共に吸引される可能性があるが、そのような場合であっても次の理由により特に問題なくこれを燃焼することができる。このエンジンシステム200で用いるエンジン201は水素燃料エンジンであるため、不純物として若干の炭化水素、つまり脱水素体や水素貯蔵体が混入していたとしても、これを燃焼することができる。また、場合によっては水素ガスに若干の炭化水素が混入すると比較的制御が容易になることもある。従って、水素供給装置1で生成された水素と脱水素体を分離する際に、水素中に若干の脱水素体や水素貯蔵体が混入してもよい。このように、水素の分離を緩やかに行ってもよいので、発電システム100よりも構成の簡素化を図ることができる。
【0057】
図6に示すように、このエンジンシステム200は、貯蔵タンク202から送液ライン204を介して送液ポンプ205によって昇圧されて水素供給装置1に送液されてきた水素貯蔵体を気化部11によって気化し、供給部12によって前記した適切な時間間隔をもって触媒部13に供給して脱水素反応を行い、水素と脱水素体を生成させる。脱水素体と脱水素反応で未反応であった水素貯蔵体は、廃液回収ライン206によって廃液タンク203に回収される。そして、触媒部13で生成された水素は、水素供給ライン208を介して水素供給ポンプ207によってエンジン201に送られ、当該エンジン201が吸気した空気とともに燃焼されて駆動力を生ずる。エンジン201における燃焼で生じた排気ガスは、排ガスライン210によって水素供給装置1に当接して設けられた加熱部14に供給され、これを200℃以下で加熱した後、排ガスライン210の排出口から排出される。
【0058】
次に、図7を参照して、本発明に係る水素供給装置1と圧縮機301を組み合わせた水素貯蔵システム300について説明する。
図7に示すように、この水素貯蔵システム300は、前記した発電システム100と同様の機能及び構成を有する貯蔵タンク302と、廃液タンク303と、送液ライン304と、送液ポンプ305と、水素供給ライン308と、廃液回収ライン306とを有している。なお、これらについては既に詳細に説明しているのでここではその説明を省略する。
そして、この水素貯蔵システム300は、水素供給装置1と、水素供給装置1で生成した水素を圧縮機301に供給する水素供給ライン308と、供給された水素を圧縮する圧縮機301と、圧縮した水素を貯蔵する水素タンク307とを有している。この水素タンク307は、高圧条件下で水素を気体又は液体の状態で貯蔵するものであってもよいし、AB2型やAB5型、鉄−チタン系、マグネシウム系、バナジウム系、パラジウム系、カルシウム系などの水素吸蔵合金を内蔵したものであってもよい。なお、水素貯蔵システム300における圧縮機301が特許請求の範囲の水素供給システムに相当し、水素タンク307が特許請求の範囲の他の装置に相当する。
【0059】
図7に示すように、この水素貯蔵システム300は、貯蔵タンク302から送液ライン304を介して送液ポンプ305によって昇圧されて水素供給装置1に送液されてきた水素貯蔵体を気化部11によって気化し、供給部12によって前記した適切な時間間隔をもって触媒部13に供給して脱水素反応を行い、水素と脱水素体を生成させる。脱水素体と脱水素反応で未反応であった水素貯蔵体は、廃液回収ライン306によって廃液タンク303に回収される。そして、触媒部13で生成された水素は、水素供給ライン308によって圧縮機301に送られて圧縮され、水素タンク307に貯蔵される。
【0060】
次に、図8を参照して、本発明に係る水素供給装置1を使用した水素コミュニティ400について説明する。
図8は、系統電力や、風力又は太陽光などの再生可能エネルギーを利用する分散電源及び水素自動車を例にしたコミュニティを模式的に示している。
【0061】
図8に示すように、この水素コミュニティ400には風力発電411、太陽電池412、系統電力413、及びこれらと接続されたインバータ414と、電気を消費する電気機器416とが含まれている。また、この水素コミュニティ400は、水を電気分解して水素を生成する水電解装置420と、水電解装置420で生成した水素を用いて水素貯蔵体の脱水素体に水素を付加して再度水素貯蔵体を製造する水素貯蔵体製造装置421と、水素貯蔵体製造装置421で製造した水素貯蔵体を貯蔵する水素貯蔵体タンク422を備え、既存のガソリンインフラを利用した水素貯蔵体ステーション423とが含まれている。
そして、この水素コミュニティ400は、水素貯蔵体ステーション423から供給される水素貯蔵体が供給される発電システム100、エンジンシステム200及び水素貯蔵システム300を含んでおり、本発明の水素供給装置1は、この水素コミュニティ400の一部として使用される。
【0062】
具体的には、本発明の水素供給装置1は、発電システム100、エンジンシステム200及び水素貯蔵システム300内に設けられて使用される。
例えば、発電システム100に含まれる水素供給装置1は、水素貯蔵体ステーション423から供給された水素貯蔵体を用いて水素を生成し、生成した水素を用いて固体高分子形燃料電池101により電気を発電する。
また例えば、水素自動車417のエンジンシステム200に含まれる水素供給装置1は、水素貯蔵体ステーション423から供給された水素貯蔵体を用いて水素を生成し、生成した水素をエンジン201で直接燃焼して駆動力を得て、当該水素自動車417を走行させる。
さらに例えば、水素貯蔵システム300に含まれる水素供給装置1は、水素貯蔵体ステーション423から供給された水素貯蔵体を用いて水素を生成し、生成した水素を圧縮機301によって水素タンク307内に高圧で貯蔵される。
【0063】
このような水素コミュニティ400は、例えば、風力発電411や太陽電池412のような再生可能エネルギーによって発電された直流の電気は、インバータ414によって交流の電気に変換することができる。交流に変換された電気は通常、家庭用の電気機器416に使用される。また、交流に変換された電気は、水電解装置420に供給されることによって水を電気分解し、水素と酸素を生成する。そして、水電解装置420で生成した水素を水素貯蔵体製造装置421に供給して水素貯蔵体の脱水素体に水素を付加することによってこれを再び水素貯蔵体とする。
【0064】
ここで、電気(電力)は昼間の負荷変動に対応したピーク電力と昼夜一定の基本電力を供給するベース電力に分けられる。従って、図5に示した発電システム100は、昼間の負荷変動に対応したピーク電力を家庭用分散電源418や電気機器416に供給するようにするのが好ましい。発電システム100は、ベース電力として電力会社などの系統電力413を利用し得るが、この系統電力413もCO2削減のためには前記した再生可能エネルギーを利用することが好ましい。
また、前記した水電解装置420も余剰電力で稼動させるのが、水素コミュニティ400の効率の観点及びCO2削減の観点から好ましい。
【0065】
再生可能エネルギーとしては、前記した風力発電411や太陽電池412のほか、地熱、海洋温度差、潮力、バイオマスなどを用いることもできる。なお、これらの再生可能エネルギーは夜間も発電でき、余剰電力を生み出せるため、前記した水電解装置420を稼動させて水素貯蔵体を製造し、水素貯蔵体タンク422に大量に貯蔵させるのに好適である。もちろん、昼間の再生可能エネルギーによる発電は積極的に系統電力413のピーク電力として供給するようにするのが好ましい。
【0066】
なお、水素自動車417に水電解装置420と同様の水電解装置(図示せず)を備えさせることもできる。このようにすれば、昼間水素貯蔵体を使用して走行し、廃液として回収された脱水素体を、夜間の余剰電力を利用して水素貯蔵体にすることが可能となり、より利便性が向上する。
【実施例】
【0067】
次に、本発明の効果を確認した実施例について説明する。
水素貯蔵体を200℃以下の低温で脱水素反応させて水素を生成するために用いられる触媒は、金属触媒と担体で作製することができる。本実施例は特に担体材料について検討した結果を示す。
【0068】
(担体)
担体の材料には活性炭、Al23、ZrO2、Nb25、V25、SnO2を用いた。
これらのうち、ZrO2、Nb25、V25、SnO2は、高純度科学社製のものを使用した。活性炭は、Cabot社製バルカンを使用した。Al23については、和光純薬社製アルミニウムイソプロポキシド20gを80℃の熱水80gに溶解し、5mLの硝酸を滴下してゲル化した後、120℃で5時間乾燥後、450℃で2時間処理したものを担体として使用した。
【0069】
また、複合化した担体としてAl23系複合担体とNb25系複合担体を作製した。
Al23系複合担体は、硝酸ジルコニル水溶液、ニオビウムエトキシドのアルコール溶液を所定量添加し、120℃で5時間乾燥後、450℃で2時間処理することにより、2質量%Nb25−Al23と、2質量%のZrO2−Al23を作製した。
Nb25系複合担体は、硝酸ジルコニル水溶液、タングステン酸アンモニウム水溶液を所定量含浸添加し、120℃で5時間乾燥後、450℃で2時間処理することにより、2質量%ZrO2−V25と、2質量%WO3−V25を作製した。
【0070】
(金属触媒の担持)
金属触媒には、田中貴金属社製Ptコロイド(粒子径2nm、濃度4質量%)を使用した。
金属触媒を担体に担持させる操作は次のようにして行った。金属触媒の担持量が触媒に対して5質量%となるように所定量のPtコロイドと前記で作製した担体、すなわち、活性炭、前記所定の処理を行ったAl23、2質量%Nb25−Al23、2質量%のZrO2−Al23、2質量%ZrO2−V25、2質量%WO3−V25の合計6種類についてそれぞれ2gを秤量した。次いで、Ptコロイドを水で希釈し、各担体の材料に含浸した。次いで、80℃で20分乾燥後、He気流中で400℃、2時間処理することにより金属触媒を担体に担持させた。
【0071】
(触媒の性能評価試験)
触媒の性能評価試験は、水素貯蔵体としてメチルシクロヘキサンを用い、当該水素貯蔵体の脱水素体であるトルエンへの反応転化率(%)を測定することにより行った。
触媒の性能評価試験を行うための装置として、図1に示す水素供給装置1を利用した。気化部11としては微細流路を形成したマイクロリアクタ型熱交換器を用い、供給部12の圧力付与装置121としては圧力調整弁を用いて3気圧に保持した。なお、図示していないが触媒部13としては1/8インチSUS製反応管を用い、この反応管内に前記金属触媒を担持させた担体0.3gを充填してメチルシクロヘキサンの脱水素反応を行わせることとした。なお、この試験では、触媒を150℃に加熱するため、触媒部13にヒータを装着してこれを加熱した。
【0072】
メチルシクロヘキサンからトルエンへの反応転化率は、次のようにして測定した。
前記したように150℃の条件下、図示していないが、触媒部13と制御バルブ122の間にキャリアガスラインを設け、Heを別途触媒部13へ連続的に流量10mL/min供給した。
一方で、気化部11と触媒部13に相当する反応管との間にガソリン用のインジェクタで構成した制御バルブ122を設け、メチルシクロヘキサンを前記した流量でコンマ数秒注入することを20秒間隔でメチルシクロヘキサン10μL/minで(パルスで)供給した。
【0073】
反応転化率は、GC−mass(SHIMAZU製GC6500)を用いて98(メチルシクロヘキサン)、92(トルエン)のピーク面積比よりメチルシクロヘキサンのトルエン転化率を調べた。その結果、金属触媒として5質量%のPtコロイドを担持させた活性炭、前記所定の処理を行ったAl23、2質量%Nb25−Al23、2質量%のZrO2−Al23、2質量%ZrO2−V25、2質量%WO3−V25のいずれにおいても150℃で60〜90%の反応転化率を得ることができた。
【0074】
次に、本発明の実施例に係る水素供給装置と従来例に係る水素供給装置における水素発生温度[℃]と反応転化率[%]について測定した。
本発明の実施例に係る水素供給装置としては、上述の装置を用い、2質量%Nb25−Al23にPtを担持させた触媒を充填した反応管を用いて行った。なお、He及びメチルシクロヘキサンは前記同様、Heを連続的に、メチルシクロヘキサンはパルスで供給した。
従来例に係る水素供給装置としては、1/4インチSUS管に、2質量%Nb25−Al23にPtを担持させた触媒を充填した反応管を用い、Heを流量10mL/min、メチルシクロヘキサンを10μL/minになるようマスフローコントローラーにより連続的に反応管に供給した。
【0075】
本発明の実施例に係る水素供給装置及び従来例に係る水素供給装置の触媒部をヒータによって150℃、200℃、250℃で加熱し、その際のメチルシクロヘキサンのトルエンへの反応転化率を前記と同様にして測定した。
その結果を図9(a)に示す。図9(a)に示すとおり、本発明の実施例に係る水素供給装置はいずれの水素発生温度であっても反応転化率が90%以上であったのに対し、従来例に係る水素供給装置は、250℃で80%程度、200℃で60%程度、150℃では20%程度であった。
【0076】
次に、本発明の実施例に係る水素供給装置と従来例に係る水素供給装置におけるメチルシクロヘキサン中のトルエン混合率[%]と反応転化率[%]について測定した。
なお、本発明の実施例に係る水素供給装置、及び従来例に係る水素供給装置いずれも前記装置及び反応管を用いて行った。
【0077】
トルエンの混合率を0%、10%、20%、50%に調製したメチルシクロヘキサンを調製し、触媒部をヒータによって200℃で加熱した本発明の実施例に係る水素供給装置と従来例に係る水素供給装置に注入した。そして、トルエンへの反応転化率を前記と同様にして測定した。
その結果を図9(b)に示す。図9(b)に示すように、本発明の実施例に係る水素供給装置においては、シクロメチルヘキサン中のトルエンの混合率が多くなっても、シクロメチルヘキサンのトルエンへの反応転化率は90%以上であったのに対し、従来例に係る水素供給装置においては、シクロメチルヘキサン中のトルエンの混合率が10%を超えるとトルエンへの反応転化率が低下した。従来例に係る水素供給装置は、シクロメチルヘキサン中のトルエンの混合率が20%のときは反応転化率が80%程度となり、シクロメチルヘキサン中のトルエンの混合率が50%のときは65%程度となった。
【0078】
以上に示したように、本発明に係る水素供給装置は、200℃以下であってもシクロメチルヘキサンに対して高い反応転化率を有すること、及びシクロメチルヘキサン中のトルエンの混合率が多くなっても高い反応転化率を有することがわかった。
つまり、本発明に係る水素供給装置は、200℃以下の低温であっても水素を多く安定して供給することが可能であり、水素貯蔵体の混合率が低くても水素を多く安定して供給することが可能であることがわかった。
【符号の説明】
【0079】
1 水素供給装置
11 気化部
12 供給部
13 触媒部
14 加熱部
15 回収部
100 発電システム
101 固体高分子形燃料電池
102 貯蔵タンク
103 廃液タンク
104 送液ライン
105 送液ポンプ
106 廃液回収ライン
107 水素供給ポンプ
108 水素供給ライン
109 空気ポンプ
110 排ガスライン
121 圧力付与装置
122 制御バルブ
123 供給タイミング制御装置
200 エンジンシステム
201 エンジン
202 貯蔵タンク
203 廃液タンク
204 送液ライン
205 送液ポンプ
206 廃液回収ライン
207 水素供給ポンプ
208 水素供給ライン
210 排ガスライン
300 水素貯蔵システム
301 圧縮機
302 貯蔵タンク
303 廃液タンク
304 送液ライン
305 送液ポンプ
306 廃液回収ライン
307 水素タンク
308 水素供給ライン
400 水素コミュニティ
411 風力発電
412 太陽電池
413 系統電力
414 インバータ
416 電気機器
417 水素自動車
418 家庭用分散電源
420 水電解装置
421 水素貯蔵体製造装置
422 水素貯蔵体タンク
423 水素貯蔵体ステーション
0 担体
A アノード
C カソード
E 電解質膜

【特許請求の範囲】
【請求項1】
化学的に水素を貯蔵することのできる水素貯蔵体を触媒と接触させて脱水素反応させることにより水素と水素貯蔵体の脱水素体を生成し、前記生成した水素を他の装置に供給する水素供給方法であって、
前記水素貯蔵体を気化し、少なくとも前記脱水素体が前記触媒から取り除かれる時間間隔をもって、気化した前記水素貯蔵体を200℃以下に加熱された前記触媒と接触させて前記脱水素反応を行わせることにより前記水素と前記脱水素体を生成させつつ、前記生成された水素と、前記生成された脱水素体と、前記脱水素反応で未反応であった水素貯蔵体と、を前記触媒の作用により異なるタイミングで系外へ送出させる
ことを特徴とする水素供給方法。
【請求項2】
化学的に水素を貯蔵することのできる水素貯蔵体を触媒と接触させて脱水素反応させることにより水素と水素貯蔵体の脱水素体を生成し、前記生成した水素を他の装置に供給する水素供給装置であって、
前記水素貯蔵体を気化する気化部と、
前記気化部で気化した前記水素貯蔵体が供給されて前記脱水素反応を行うことにより前記水素と前記脱水素体を生成させつつ、前記水素との吸着力、前記脱水素体との吸着力、及び前記脱水素反応で未反応であった水素貯蔵体との吸着力が異なる触媒を有する触媒部と、
前記気化部と前記触媒部の間に設けられ、少なくとも前記脱水素体が前記触媒部から取り除かれる時間間隔をもって、前記気化部で気化した前記水素貯蔵体を前記触媒部に供給する供給部と、を備え、
前記触媒部を200℃以下で加熱する
ことを特徴とする水素供給装置。
【請求項3】
前記吸着力の強さが、前記水素<前記脱水素体<前記水素貯蔵体の関係を満たすことを特徴とする請求項2に記載の水素供給装置。
【請求項4】
前記触媒が、一種以上の遷移金属からなる金属触媒と、当該金属触媒を担持する担体と、を含んでなることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の水素供給装置。
【請求項5】
前記気化部及び前記触媒部のうちの少なくとも一方を200℃以下の温度で加熱する加熱部をさらに備えたことを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の水素供給装置。
【請求項6】
前記触媒部が、熱エネルギーを電気に変換する発電装置又は熱エネルギーを機械的エネルギーに変換する熱機関を冷却する200℃以下の冷却媒体によって加熱されることを特徴とする請求項2から請求項4のいずれか1項に記載の水素供給装置。
【請求項7】
前記触媒部から送出された前記水素、前記脱水素体及び前記水素貯蔵体のうち少なくとも前記水素を個別に回収する回収部をさらに備えたことを特徴とする請求項2から請求項6のいずれか1項に記載の水素供給装置。
【請求項8】
前記触媒部に、前記触媒部で生成した水素を吸引して前記他の装置に供給するための水素吸気システムをさらに備えたことを特徴とする請求項7に記載の水素供給装置。
【請求項9】
前記水素貯蔵体の沸点が200℃以下であることを特徴とする請求項2から請求項8のいずれか1項に記載の水素供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−235359(P2010−235359A)
【公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−83722(P2009−83722)
【出願日】平成21年3月30日(2009.3.30)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】