説明

治療装置

【課題】超音波探触子を用いたリニア画像とコンベックス画像等の表示装置を有する前立腺癌の小線源治療等の治療装置に関し、術者の熟練を必要とすることなく、治療の大幅な効率化を図った治療装置の提供する。
【解決手段】表示装置と治療冶具を有し、該治療冶具は、該表示装置にリニア画像とコンベックス画像を表示させる超音波探触子と、該コンベックス画像の位置情報と対応付けた位置に針挿入孔を有するグリッドテンプレートとを備え、該リニア画像は前記超音波探触子の周側面に並設される超音波振動子群により得られ、該グリッドテンプレートの針挿入孔位置情報の入力手段と、現在のリニア画像の画像面に相当する角度に対し前記入力情報から導かれる画像面であって前記針を含む画像面に相当する角度を算出する演算手段と、演算手段から算出される角度に前記超音波振動子群を超音波探触子の軸周りに回転させる回転機構とを備えることを特徴とする治療装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は治療装置に係り、たとえば前立腺癌の小線源治療等を行う治療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
たとえば前立腺癌の小線源治療に用いられる治療装置は、それを扱う術者において次のような作業がなされるようになっている。
【0003】
術者は、治療装置に備えられる超音波探触子を被検体内に挿入し、該超音波探触子の先端部において周方向に沿って並設される超音波振動子群から得られるコンベックス画像を表示装置に表示させる。
【0004】
表示装置のコンベックス画像にはその位置を特定できる情報が重ねて表示され、この情報から判断された位置情報に基づいて、術者は、前記超音波探触子に備えられたグリッドテンプレートの前記位置情報に対応する位置の針挿入孔を通して針を挿入する。
【0005】
該針はたとえばその先端部にて放射性物質を内包するカプセル等が配置され、このカプセル等は該針の先端部が臓器の所定の箇所に位置づけられた際に、臓器内に放出されるようになっている。
【0006】
また、超音波探触子には、前記コンベックス画像を表示させる超音波振動子群とは別に、リニア画像を表示させるものであって、その周側面の一部に長手方向に沿って並設される超音波振動子群を備えて構成され、この超音波振動子群を超音波探触子の軸に対して回転させることにより、前記針を含む平面と一致するリニア画像を得るようにしている。
【0007】
これにより、コンベックス画像に映像される針はそれが点として表示されるのに対し、リニア画像に映像される針は線として表示されるようになる。
【0008】
したがって、リニア画像を観察することにより、該針の深さ方向に該針がどれだけ入っているか、また、該針自身が真っ直ぐに刺さっているか否か、さらに、針の先端から臓器内にカプセルを所定間隔で離して残存させる場合にそれが正確にできているか否か等を容易に把握できるようになる。
【0009】
なお、術者による上述した作業は一例を示すもので、たとえば、グリッドテンプレートの針挿入孔に針を挿入する場合、予め設定されたいわゆる治療計画ソフトからの情報によって行う場合もあり、また、挿入する針も一個のみならず複数である場合もある。
【0010】
しかし、特定される針を含む平面と一致するリニア画像を得ようとする操作は、上述した効果を有することから、いずれにおいてもなされるのが通常である。
【0011】
なお、このような治療装置に関連する先行技術についてはたとえば特許文献1に開示されている。
【特許文献1】特表2002−509517号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、このような構成からなる治療装置は、上記リニア画像を得るための操作であって、超音波振動子群の超音波探触子の軸に対する回転を、術者が表示装置を観察しながら針が現出するまで行うものであったため、術者にその熟練を要するものであった。
【0013】
そして、上記特許文献1は、これらの事情を反映するもとなってはおらず、したがって、所望のリニア画像を得るための操作に比較的長い時間を要し、治療の効率化の上でさらなる短縮が望まれていた。
【0014】
本発明は、このような事情に基づいてなされたものであり、その目的は、術者の熟練を必要とすることなく、また、治療の大幅な効率化を図った治療装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
本願において開示される発明のうち、代表的なものの概要を簡単に説明すれば、以下のとおりである。
【0016】
(1)本発明による治療装置は、たとえば、少なくとも表示装置と治療冶具を有し、
前記治療冶具は、前記表示装置にリニア画像とコンベックス画像を必要に応じて表示させる超音波探触子と、前記コンベックス画像の位置情報と対応付けた位置に針挿入孔を有するグリッドテンプレートとを備え、
前記リニア画像は前記超音波探触子の周側面の一部に長手方向に沿って並設される超音波振動子群によって得られるとともに、
前記グリッドテンプレートに針が挿入された針挿入孔の位置に相当する情報を入力させる入力手段と、
現在のリニア画像の画像面に相当する角度に対し前記入力手段から入力された情報から導かれる画像面であって前記針を含む画像面に相当する角度を算出する演算手段と、
この演算手段から算出される角度に相当する角度に前記超音波振動子群を超音波探触子の軸周りに回転させる回転機構と、を備えることを特徴とする。
【0017】
(2)本発明による治療装置は、たとえば、(1)の構成を前提として、グリッドテンプレートに針が挿入された針挿入孔の位置に相当する情報を入力させる入力手段として、操作パネルとしたことを特徴とする。
【0018】
(3)本発明による治療装置は、たとえば、(1)の構成を前提として、グリッドテンプレートに針が挿入された針挿入孔の位置に相当する情報を入力させる入力手段として、グリッドテンプレートの針挿入孔に針を挿入した際にそれを検知する検知手段としたことを特徴とする。
【0019】
(4)本発明による治療装置は、たとえば、(1)の構成を前提として、グリッドテンプレートの針挿入孔に針を挿入した際にそれを検知する検知手段と、この検知手段によって前記表示装置に表示されているコンベックス画像の前記針が挿入された針挿入孔に対応する位置に針が挿入されていない針挿入孔に対応する位置とは区別された表示を行う表示処理部と、を備えることを特徴とする。
【0020】
(5)本発明による治療装置は、たとえば、(3)あるいは(4)の構成を前提として、グリッドテンプレートの針挿入穴に針を挿入した際にそれを検知する検知手段は、挿入される針を介して前記針挿入孔の側面に設けた一対の電極が導通したことによって検知する手段からなることを特徴とする。
【0021】
(6)本発明による治療装置は、たとえば、(3)あるいは(4)の構成を前提として、グリッドテンプレートの針挿入穴に針を挿入した際にそれを検知する検知手段は、挿入される針を介して前記針挿入孔の側面に設けた一対の電極が導通したことによって検知する手段からなることを特徴とする。
【0022】
なお、本発明は以上の構成に限定されず、本発明の技術思想を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明による治療装置の実施例を図面を用いて説明をする。
【0024】
まず、図2は、本発明に係る治療装置の一実施例の概略を示す構成図である。この治療装置は、たとえば前立腺癌の小線源治療等を行う治療装置を例に挙げて示している。
【0025】
図2において、治療装置は、その装置本体11と、この装置本体11に取り付けられる表示装置12と、前記装置本体11からケーブル13を介して引き出される治療冶具14とを少なくとも備えて構成されている。
【0026】
治療冶具14は、超音波探触子15とグリッドテンプレート16とを少なくも備えて構成されている。
【0027】
超音波探触子15は、その周側面の一部に長手方向に沿って並設される超音波振動子群からなる第1超音波振動子15Aと、先端部において周方向に沿って並設される超音波振動子群からなる第2超音波振動子15Bとが備えられている。
【0028】
第1超音波振動子15Aはその駆動によっていわゆるリニア画像(図中、超音波探触子15に対して得られる画像範囲を符号Lで示している)と称される画像情報を、また、第2超音波振動子15Bはその駆動によっていわゆるコンベックス画像(図中、超音波探触子15に対して得られる画像範囲を符号Cで示している)と称される画像情報を得ることができ、これら各画素情報は前記装置本体11を通して表示装置12に表示されるようになっている。
【0029】
超音波探触子15はその軸方向に延在する延在部17が取り付けられ、この延在部17は探触子固定台18に支持されるようになっている。また、この探触子固定台18に対して該超音波探触子15はその軸方向に移動でき、また、該軸に対して所定の範囲の回転ができるようになっている。さらに、前記超音波探触子15の軸方向の移動に伴って同方向の移動がなされるグリッドテンプレート16が備えられ、このグリッドテンプレート16は超音波探触子15が回転してもそれに追随して回転しないようになっている。
【0030】
すなわち、超音波探触子15の延在部を支持するサブ固定台19を有し、該超音波探触子15は探触子回転部25を介して回転可能にサブ固定台19に取り付けられている。また、サブ固定台19には前記グリッドテンプレート16が固定されている。さらにサブ固定台19は探触子固定台18に対し、該サブ固定台19が超音波探触子15の軸方向と一致する方向に移動可能に取り付けられている。
【0031】
なお、超音波探触子15の延在部17の末端部からは該超音波探触子15に設けられた第1超音波振動子15Aおよび第2超音波振動子15Bに接続されるケーブル13が引き出され、装置本体11に接続されている。
【0032】
また、グリッドテンプレート16は、このグリッドテンプレート16に取り付けた接続コネクタ16aを介してサブ固定台19に取り付けられ、たとえばグリッドテンプレート16内の配線が該接続コネクタ16aを通してサブ固定台19側に引き出され、ケーブル13を介して装置本体11に接続されている。
【0033】
グリッドテンプレート16は、その平面図(超音波探触子15の軸方向に直交する面)である図2(b)に示すように、主表面にマトリックス状に配置されたたとえば7×7の針挿入孔20が設けられ、その列方向の針挿入孔群には下側から1〜7のラベリング20aが、その行方向の針挿入孔群には左側からA〜Gのラベリング20bが付されている。これにより、各針挿入孔20のそれぞれをたとえば(2,C)、(5,F)等によって示される位置によって特定することができるようになっている。
【0034】
グリッドテンプレート16には、その所定の針挿入孔20に針21を挿入することができ、該針21はグリッドテンプレート16をガイドとして超音波探触子15の軸方向に移動することができるようになっている。なお、この針21の先端には放射物質を内包するカプセルが配置されるように構成されている。該カプセルを被検体の所定の臓器内に残存させるためである。
【0035】
針21をグリッドテンプレート16上のどの針挿入孔20に挿入するかは、たとえば超音波探触子15によって得られる表示装置12の画像に基づいてなされるようになっている。図3は、該表示装置12の表示部に表示されている被検体の臓器を示す画像で、超音波探触子15の第2超音波振動子15Bによって得られるコンベックス画像100を示すもので、このコンベックス画像にはマトリックス状に配置された7×7のドット29、その列方向のドット群には下側から1〜7のラベリング30aが、その行方向のドット群には左側からA〜Gのラベリング30bが重ねて表示されている。
【0036】
すなわち、これらのドット29、ラベリング30a、30bは、前記グリッドテンプレート16の針挿入孔20、ラベリング20a、20bに対応するものとなっている。
【0037】
治療冶具14を扱う術者は、たとえば表示装置12を観察する補助者からのドット位置をたとえば口頭によるラベリング指定を認識することにより、グリッドテンプレート16の該位置に対応した針挿入孔20に針21を挿入するようになっている。
【0038】
なお、図3では、グリッドテンプレート16に既に針が挿入された針挿入孔に相当するドット(図中、Pで示す)はたとえば比較的その径が大きく、現在針が挿入されている段階の針挿入孔に相当するドット(図中、Qで示し、その座標は(E,3)となっている)も比較的その径が大きく、かつ前者のドットと区別されるようにたとえば色分けされて表示されるようになっている。このようにした場合、たとえば、既に挿入されている針はもちろんのこと、現在挿入中の針に関しても、その存在が明確に把握できるようになり、それらの針を含むリニア画像を誤りなく得ることができるようになる。
【0039】
この場合、グリッドテンプレート16の所定の針挿入孔20に針を挿入した際に、該針を含む平面を映像するリニア画像が自動的に得られる場合、それが極めて便利であることはいうまでもなく、その後の針の挿入過程あるいは抜き出し過程を精度よく認識でき、治療の確実性を期することができる。
【0040】
図4は、表示装置12に表示される前記リニア画像200で、グリッドテンプレート16上の針挿入位置の情報RであるE3(E,3)とともに、現在挿入中の針位置がガイドライン表示(図中、Sで示す)されていることを示している。上述したように、このリニア画像200はグリッドテンプレート16に挿入された針を含む面に相当する画像であるため、該針の深さ方向に該針がどれだけ入っているかを容易に把握でき、また、該針自体が真っ直ぐに刺さっているか否かを容易に把握でき、さらに、針の先端から臓器内にカプセルを所定間隔で離して残存させる場合にそれが正確にできているか否かを容易に把握できるようになる。
【0041】
以下、このリニア画像を自動的に得られる構成を図1(a)、(b)を用いて説明をする。
【0042】
上述したように、グリッドテンプレート16の所定の針挿入孔20を通して針を挿入の際に、術者は該針挿入孔20の位置を示す情報をたとえば図示しないキーボートを用いて入力させる。このキーボードからの位置情報は装置本体11の演算部(図示せず)に入力されるようになっている。
【0043】
この針挿入孔20の位置を示す情報の入力は、グリッドテンプレート16の各針挿入孔20に針が挿入されていることを自動的に検知するような手段を組み込ませたような場合には、この検知手段から入力させるように構成してもよいことはいうまでもない。各針挿入孔20に針が挿入されていることを検知する手段としては、具体的には、各針挿入孔20の周側面に一対の電極を形成し針が挿入されることによりこれら各電極が針を介して導通することを検知する構成、各針挿入孔20の周側面に該針挿入孔を間にしてフォトカプラを設け針が挿入されることにより該フォトカプラの光検知が遮断される構成、あるいは、各針挿入孔20の周側面にローラを針の挿入によって回転するように内蔵させ該ローラの回転を検知する構成等が採用される。なお、このような検知手段を以下の説明においてグリッドテンプレート針挿入センサ103と称する場合がある。
【0044】
そして、前記演算部では、図1(a)のフローチャートに示すように、現在のリニア面の角度θ1を取得する(ステップST1)。この角度θ1の値は基準となる角度θに対しての角度をいい、該角度θは任意であってよい。
【0045】
次に、たとえば前記キーボードからの前記位置情報に基づき、針が挿入されている位置を算出する(ステップST2)。この位置は、次のステップで、該位置を角度として算出するのに都合のいい値とするものである。この実施例の場合、たとえば、グリッドテンプレート16の中心座標に対して針が挿入された針挿入孔の座標(x,y)(例えば(A,3)、(F,4))を算出するようにしている。そして、ステップST2で算出した位置から角度θ2を演算する(ステップST3)。この角度は前記基準となる角度θに対して前記針挿入孔を含む平面の角度に相当するものである。
【0046】
そして、前記θ1の値とθ2の値を加算し、基準となる前記角度θに対して(θ1+θ2)の角度におけるリニア面の表示を行う。これにより、これまでのリニア面に対し(θ1+θ2)の角度分だけ回転し、その表示がなされ、挿入された針が表示されるようになる。
【0047】
上記では、針挿入孔の座標(x,y)を入力したが、角度を入力してもよい。超音波探触子15を時計回りに回転させた場合+θ(例えば+30°)と入力し、反時計回りに回転させたい場合−θ(たとえば−45°)と入力する。探触子回転部111は、±θの角度分だけ任意に回転させる。
【0048】
また、特に図示はしないが、タッチパネルを用いて位置を検出してもよい。スタイラスペンと、画像表示部108に重ね合わさせられる透明タッチパネルと、スタイラスペンの位置を検出する位置検出部とを備え、スタイラスペンとタッチパネルと位置検出部は、タッチパネルの上においてスタイラスペンを押し当てた場所の位置情報を位置検出部により得ることができるものである。
【0049】
タッチパネル上にスタイラスペンを針挿入口の位置に対応した(x,y)の位置に押し当てる。位置検出部は(x,y)座標を読み取る。そして、上記と同様の方式で、回転角度演算部110は角度θ2を演算する。探触子回転部111は、(θ1+θ2)の角度分だけ超音波探触子15を回転する。
【0050】
図1(b)は、図1(a)に示した動作を容易に把握するために示した説明図で、図中、下側は第1超音波振動子の超音波探触子15の軸方向に対する回転角度を示し、この回転角度は上側に示すグリッドテンプレート16の針挿入孔20の位置との関係で示したものとなっている。
【0051】
ここで、基準となる角度θは、グリッドテンプレート16面で+y方向となっており、前記現在のリニア面の方向は該方向に対して(−)θ1の角度を有している。
【0052】
また、針が挿入された針挿入孔20の位置における角度は前記方向に対して(+)θ2の角度を有しており、この角度θ2は針が挿入された針挿入孔20のxy座標から算出できるようになっている。
【0053】
このことから、グリッドテンプレート16に挿入した針21を含む面に一致づけてリニア画像を得たい場合、それまでのリニア画像(現在のリニア画像)に対して(θ1+θ2)の角度だけ回転させたリニア画像を得ればよく、このことは、第1超音波振動子を超音波探触子15の軸方向に対して(θ1+θ2)の角度だけ回転することによって達成することができる。
【0054】
なお、図2に示す治療装置の装置本体11には、スピーカ27からなる音声出力部が備えられている。このスピーカ27は、たとえば術者がグリッドテンプレート16に針を挿入した際に、その挿入箇所が音声によって知らしめるように構成され、該術者は針の挿入箇所の位置の確認が促され、これにより、治療の確実性を期することができるようになっている。なお、この音声の出力は後述する針挿入位置管理部によってなされるようになっている。
【0055】
図5は、本発明に係る治療装置の一実施例の概略を示すブロック図を示している。
【0056】
まず、治療を受ける被検体114があり、この被検体114における前立腺およびその近傍の超音波画像は超音波探触子15によって得られるようになっている。
【0057】
超音波探触子15は、超音波送受信回路105によって超音波を体内に発信させ、さらにその反射波に相当する情報を該超音波送受信回路105が受け、該情報は表示情報構成部107を経て画像表示部108に表示されるようになっている。この画像表示部108は前記表示装置12における表示部である。
【0058】
なお、前記超音波探触子15は、図5には示されていないが、上述したように、その軸方向に沿って配置されいわゆるリニア画像と称される画像を得るための超音波振動子群15Bと、その先端部にて周方向に沿って配置されいわゆるコンベックス画像と称される画像を得るための超音波振動子群15Aが備えられて構成されている。
【0059】
そして、該超音波探触子15は、探触子固定台18に支持されて構成され、その軸方向に移動できるとともに、該軸方向を中心軸として回転できるようになっている。図5では、これらの各動作のうち後者における動作を行うための回転機構、すなわち、探触子回転部111のみを示している。
【0060】
術者は、画像表示部108を通して被検体14の前立腺をたとえば前記コンベックス画像100によって認識できるようになっており、また、該コンベックス画像100の各位置に対応する箇所に針挿入孔が設けられたグリッドテンプレート16を通して針を挿入できるようになっている。
【0061】
この場合、上述した例のように、術者等が操作パネル109からなるキーボードによって針を挿入した針挿入孔の位置情報を入力した場合、この情報は針挿入位置管理部104において管理されるようになっている。この場合の針挿入位置の情報は、図1(b)で示した角度θ2に相当するようになっている。
【0062】
なお、グリッドテンプレート16の針挿入孔に針が挿入された際に、それを検出するセンサ(グリッドテンプレート針挿入センサ103)が組み込まれている場合は、該センサからの針挿入位置の情報が針挿入位置管理部104において管理されるようになっている。
【0063】
さらに、他の態様として、針挿入予定位置管理部104によって管理される針挿入予定位置は、予め治療計画により定められた情報が格納された治療計画ソフト部112によって定められるようにしてもよいことはいうまでもない。
【0064】
また、針挿入位置管理部104における前記情報は音声情報作成部112および音声出力部113(前記スピーカ27に相当する)に出力されるようになっており、該情報が音声で出力されるようになっている。術者はこの音声を感知することにより、針挿入位置の再確認が促されることになり、確実な治療を行うことができるようになる。
【0065】
また、前記針挿入位置管理部104からの情報は回転角度演算部110に入力され、この回転角度演算部110によって超音波探触子15の軸方向の周りの回転角度を自動的に演算させるようになっている。
【0066】
この演算は、上述したように、予め検出されている現在のリニア画像の角度情報(上述の角度θ1に相当する)に前記針挿入位置管理部104からの角度情報(上述の角度θ2に相当する)を加算することによってなされる。
【0067】
そして、その演算結果の情報(上述の角度(θ1+θ2)に相当する)に基づき探触子固定台18に支持されている該超音波探触子15をその軸方向の周りに回転させるように前記探触子回転部111を駆動させるようになっている。
【0068】
これにより、画像表示部108において切り替わって表示されるリニア画像200は、挿入された針を含む平面と一致する画像となり、この画像に基づいて、その後の治療がなされるようになる。
【0069】
なお、表示情報構成部107には、超音波送受信回路105からの信号の他に、針挿入位置管理部104からの情報に基づいて、グリッド表示情報作成部106によって作成されるグリッド(ドット)表示情報およびリニア画像ガイドライン作成部105によって作成されるリニア画像ガイドライン情報が入力されるようになっている。画像表示部8において超音波送受信回路5からの情報の他に上記各情報を重ねて表示させるためである。
【0070】
この場合、図3に関する説明において、挿入されている針の位置の表示と挿入されていない針の位置の表示を異ならしめていることを示したが、これは、針挿入位置管理部104において、挿入されている針の位置が判明していることから、グリッド表示情報作成部106において、挿入されている針の位置の表示を挿入されていない針の位置の表示と異なるように構成すればよいことになる。
【0071】
上述した実施例の説明において、表示装置12に表示される画像はたとえばコンベックス画像100からリニア画像200に切り替える際に、該コンベックス画像100を全て消去した状態でリニア画像200を表示させるようにしたものである。
【0072】
しかし、この態様に限定されることはなく、たとえば図6に示すように、リニア画像200に切り替える際に、いままで表示されていたコンベックス画像100を小さくかつたとえば左上にリニア画像200に重ねて表示させるようにしてもよいことはいうまでもない。
【0073】
また、たとえば図7に示すように、リニア画像200に切り替える際に、いままで表示されていたコンベックス画像100を表示画面の二分割された一方の領域に表示し、他方の領域にリニア画像200を表示するようにしてもよいことはいうまでもない。
【0074】
さらに、図7の場合、当初から表示画面を二分割しておき、その一方の領域にコンベックス画像100を、他方の領域にリニア画像200を切り替えることなく表示するようにしてもよいことはいうまでもない。
【0075】
また、上述した実施例では、治療に用いる針21は、その先端から放射性物質を内包するカプセルが放出される構造となっていることは上述した通りである。しかし、該針はこのような構成からなることに限定されないことはいうまでもない。他の方法による治療にあってはこのような構成からなる針を用いる必要がない場合もあり、このような場合であっても本発明が適用できるからである。
【0076】
上述した各実施例はそれぞれ単独に、あるいは組み合わせて用いても良い。それぞれの実施例での効果を単独であるいは相乗して奏することができるからである。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明による治療装置の一実施例における要部の構成を示す説明図である。
【図2】本発明による治療装置の一実施例を示す概略構成図である。
【図3】本発明による治療装置の表示装置に表示されるコンベックス画像を示す平面図である。
【図4】本発明による治療装置の表示装置に表示されるリニア画像を示す平面図である。
【図5】本発明による治療装置の一実施例を示すブロック図である。
【図6】本発明による治療装置の表示装置に表示される画像の他の実施例を示す平面図である。
【図7】本発明による治療装置の表示装置に表示される画像の他の実施例を示す平面図である。
【符号の説明】
【0078】
11……装置本体、12……表示装置、13……ケーブル、27……スピーカ、14……治療冶具、15……超音波探触子、15A、15B……超音波振動子群、16……グリッドテンプレート、18……探触子固定台、19……サブ固定台、20……針挿入孔、20a、20b……ラベリング、21……針、104……針挿入位置管理部、110……回転角度演算部、111……探触子回転部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも表示装置と治療冶具を有し、
前記治療冶具は、前記表示装置にリニア画像とコンベックス画像を必要に応じて表示させる超音波探触子と、前記コンベックス画像の位置情報と対応付けた位置に針挿入孔を有するグリッドテンプレートとを備え、
前記リニア画像は前記超音波探触子の周側面の一部に長手方向に沿って並設される超音波振動子群によって得られるとともに、
前記グリッドテンプレートに針が挿入された針挿入孔の位置に相当する情報を入力させる入力手段と、
現在のリニア画像の画像面に相当する角度に対し前記入力手段から入力された情報から導かれる画像面であって前記針を含む画像面に相当する角度を算出する演算手段と、
この演算手段から算出される角度に相当する角度に前記超音波振動子群を超音波探触子の軸周りに回転させる回転機構と、を備えることを特徴とする治療装置。
【請求項2】
グリッドテンプレートに針が挿入された針挿入孔の位置に相当する情報を入力させる入力手段として、操作パネルとしたことを特徴とする請求項1に記載の治療装置。
【請求項3】
グリッドテンプレートに針が挿入された針挿入孔の位置に相当する情報を入力させる入力手段として、グリッドテンプレートの針挿入孔に針を挿入した際にそれを検知する検知手段としたことを特徴とする請求項1に記載の治療装置。
【請求項4】
グリッドテンプレートの針挿入孔に針を挿入した際にそれを検知する検知手段と、この検知手段によって前記表示装置に表示されているコンベックス画像の前記針が挿入された針挿入孔に対応する位置に針が挿入されていない針挿入孔に対応する位置とは区別された表示を行う表示処理部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の治療装置。
【請求項5】
グリッドテンプレートの針挿入穴に針を挿入した際にそれを検知する検知手段は、挿入される針を介して前記針挿入孔の側面に設けた一対の電極が導通したことによって検知する手段からなることを特徴とする請求項3あるいは4に記載の治療装置。
【請求項6】
グリッドテンプレートの針挿入穴に針を挿入した際にそれを検知する検知手段は、挿入される針を介して前記針挿入孔の側面に設けた一対の電極が導通したことによって検知する手段からなることを特徴とする請求項3あるいは4に記載の治療装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−320590(P2006−320590A)
【公開日】平成18年11月30日(2006.11.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−147477(P2005−147477)
【出願日】平成17年5月20日(2005.5.20)
【出願人】(000153498)株式会社日立メディコ (1,613)
【Fターム(参考)】