説明

波長掃引光源

【課題】広い波長範囲に亘ってシングルモードの高速な連続波長掃引が可能であり、且つ複数の出力光を出射できる波長掃引光源を提供する。
【解決手段】回動ミラー30の反射面32aの角度変化に応じて共振器長を変化させ、半導体発光素子22が出射する光の波長を所定範囲内で連続的に変化させるリトマン方式外部共振器型の波長掃引光源において、半導体発光素子22から出射された光の一部を回折格子25の所定入射位置Gに向けて反射させるとともに、回折格子25から逆光路で戻された光の一部を半導体発光素子22の低反射率面22aに向けて反射させ、残りの少なくとも一部を透過させるハーフミラー240と、回折格子25から逆光路で戻されてハーフミラー240を透過した光を回動ミラー30に対して非交差となる方向に反射させることにより第1の出力光L1を外部に出射する第1の出力ミラー241を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、外部共振器型の波長掃引光源に関し、特に、製造が容易で、高速に波長掃引できる波長掃引光源に関する。
【背景技術】
【0002】
波長掃引光源は、光通信回線や光通信機器の試験用の光源あるいはFBG(Fiber Bragg Grating)センサなどの光ファイバセンシング用光源として広く用いられている。現在、広い波長範囲に亘ってシングルモードの高速な連続波長掃引が可能といった極めて高性能な光源は、リトマン型と呼ばれる外部共振器型の波長掃引光源として実現されている。
【0003】
このような波長掃引光源の例としては、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)技術によって従来よりも大幅に小型化された回動ミラーを備えた光源が挙げられる(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
このような波長掃引光源においてモードホップフリーの連続波長掃引を実現するためには、該光源が適用される装置用の少なくとも1つの光出力の他に、その光出力の波長情報をモニタリングするための光出力が別途必要となる。このため、一般に波長掃引光源には複数の出力光を出射可能であることが求められる。
【0005】
例えば、波長掃引光源内の共振器において共振する光を複数の光出力ポートを介して外部に取り出す方法として、共振器内に光分波器を配置することが従来から行われてきた(例えば、特許文献2参照)。この方法は、従来型のように大型で共振器長が十分に長く、共振器内部に光分波器を配置するための十分なスペースを有する光源では有用な技術である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特許第4073886号明細書
【特許文献2】特開平9−102645号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に開示された光源においては、その共振器長が非常に短いため、内部に前述の光分波器を配置する空間的なスペースを確保することは非常に困難である。
【0008】
ここで、共振器が真空もしくは空気中において構成されている場合を考える。自由空間の屈折率は1であるのに対して、例えば光学ガラスなどは屈折率が1.5程度である。従って、仮に光学ガラス製の光分波器を共振器内に配置できたとしても、共振器長のうち光分波器の長さの1.5倍分の光路長が同光分波器によって占められるため、モードホップフリーの連続波長掃引が保証される共振器長を実現できなくなってしまう。
【0009】
さらに、このような光源は、小型化を実現するために高密度実装されているため、単に光分波器を配置しただけでは他の光学部品によって光が遮られて、光を外部に出力することができない。
【0010】
本発明は、このような従来の課題を解決するためになされたものであって、広い波長範囲に亘ってシングルモードの高速な連続波長掃引が可能であり、且つ複数の出力光を出射できる波長掃引光源を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の波長掃引光源は、基台と、前記基台上に固定され、2つの端面のうち一方の端面が他方の端面に比べ低反射率面である半導体発光素子と、前記基台上に固定され、前記半導体発光素子の前記低反射率面からの出射光を平行光に変換するコリメートレンズと、光を回折するための回折溝が平行に形成されている回折面を有し、前記コリメートレンズから出射された光が、前記回折溝と直交し且つ前記回折面に対して非直交となる所定入射角で所定入射位置に入射される状態で前記基台上に固定された回折格子と、前記基台上に固定され、前記回折格子の前記回折面と対向する反射板を有し、前記回折格子の前記回折溝と平行な特定位置の軸を中心にして前記回折面と直交する平面内で回動可能に形成され、前記コリメートレンズから出射されて前記回折格子の前記回折面に入射した光に対する回折光のうち前記反射板の反射面に直交する光路に沿った光を反射させて逆光路で前記回折格子に戻し、該戻された光を入射光路と同じ光路で前記コリメートレンズを介して前記半導体発光素子へ戻す回動ミラーと、を備え、前記回動ミラーの前記反射面の角度変化に応じて前記半導体発光素子から前記コリメートレンズおよび前記回折格子の前記回折面を経て前記回動ミラーの前記反射面に至る共振器長を変化させ、前記半導体発光素子が出射する光の波長を所定範囲内で連続的に変化させるリトマン方式外部共振器型の波長掃引光源において、前記基台上に固定され、前記コリメートレンズから出射された光の一部を前記回折格子の前記所定入射位置に向けて反射させるとともに、前記回折格子から逆光路で戻された光の一部を前記半導体発光素子の前記低反射率面に向けて反射させ、残りの少なくとも一部を透過させる固定ミラーを備え、前記半導体発光素子、前記コリメートレンズ、前記固定ミラーおよび前記回折格子が前記回動ミラーの一面側に配置され、前記半導体発光素子から前記固定ミラーを介して前記回折格子に至る光路が、前記回動ミラーと非交差であり、前記回動ミラーの回動中心位置から前記回折格子の前記所定入射位置までの距離r、前記回動中心位置から前記反射面を延長した平面までの距離L2、前記半導体発光素子の実効共振端面から前記固定ミラーまでの光路長L3、該固定ミラーから前記回折格子の前記回折面の前記所定入射位置までの光路長L4および前記固定ミラーから前記回折格子の前記回折面への光入射角αとの間に、r=(L3+L4−L2)/sin αの関係が成立し、前記回動ミラーは、前記基台に固定されたフレームと、前記フレームの内側に配置され一面側に前記反射面が形成された前記反射板と、前記反射板の外縁と前記フレームの内縁との間を連結する捩れ変形可能で前記回折格子の前記回折溝と平行な一直線上に並ぶ一対の連結部と、で一体的に形成され、前記反射板に往復回動するための力を周期的に付与する回動駆動手段により、前記連結部を中心に前記反射板を往復回動させる構造を有しており、さらに、前記回折格子から逆光路で戻されて前記固定ミラーを透過した光を前記回動ミラーに対して非交差となる方向に反射させる第1の出力ミラーを備え、該第1の出力ミラーから第1の出力光を出射する構成を有している。
【0012】
この構成により、広い波長範囲に亘ってシングルモードの高速な連続波長掃引が可能であり、且つ半導体発光素子の他方の端面からの出力光、回折格子の0次回折光に加え、第1の出力ミラーからの第1の出力光を出射することができる。
【0013】
また、本発明の波長掃引光源は、前記回折格子から逆光路で戻されて前記固定ミラーを透過した光を前記回動ミラーに対して非交差となる方向に反射させるとともに前記第1の出力ミラーに向かって透過させる第nの出力ミラー(n≧2)を備え、該第nの出力ミラーから第nの出力光を出射する構成を有している。
【0014】
この構成により、さらに第nの出力ミラー(n≧2)からの第nの出力光を出射することができる。
【0015】
また、本発明の波長掃引光源は、前記固定ミラーと前記出力ミラーとが一体的に形成されてなる反射部材を備える構成を有していてもよい。
【0016】
また、本発明の波長掃引光源は、前記半導体発光素子から前記コリメートレンズを経て前記固定ミラーに至る光路が前記回折格子の前記回折溝と平行となり、且つ前記固定ミラーから該回折格子に至る光路が該回折溝に対して垂直となるように前記固定ミラーが配置され、前記回折格子から逆光路で戻されて前記固定ミラーを透過した光を前記回折格子の前記回折溝と平行な方向に反射させるように前記第1の出力ミラーが配置された構成を有していてもよい。
【0017】
また、本発明の波長掃引光源は、基台と、前記基台上に固定され、2つの端面のうち一方の端面が他方の端面に比べ低反射率面である半導体発光素子と、前記基台上に固定され、前記半導体発光素子の前記低反射率面からの出射光を平行光に変換するコリメートレンズと、光を回折するための回折溝が平行に形成されている回折面を有し、前記コリメートレンズから出射された光が、前記回折溝と直交し且つ前記回折面に対して非直交となる所定入射角で所定入射位置に入射される状態で前記基台上に固定された回折格子と、前記基台上に固定され、前記回折格子の前記回折面と対向する反射板を有し、前記回折格子の前記回折溝と平行な特定位置の軸を中心にして前記回折面と直交する平面内で回動可能に形成され、前記コリメートレンズから出射されて前記回折格子の前記回折面に入射した光に対する回折光のうち前記反射板の反射面に直交する光路に沿った光を反射させて逆光路で前記回折格子に戻し、該戻された光を入射光路と同じ光路で前記コリメートレンズを介して前記半導体発光素子へ戻す回動ミラーと、を備え、前記回動ミラーの前記反射面の角度変化に応じて前記半導体発光素子から前記コリメートレンズおよび前記回折格子の前記回折面を経て前記回動ミラーの前記反射面に至る共振器長を変化させ、前記半導体発光素子が出射する光の波長を所定範囲内で連続的に変化させるリトマン方式外部共振器型の波長掃引光源において、前記基台上に固定され、前記コリメートレンズから出射された光の一部を前記回折格子の前記所定入射位置に向けて反射させるとともに、前記回折格子から逆光路で戻された光の一部を前記半導体発光素子の前記低反射率面に向けて反射させ、残りの少なくとも一部を透過させる固定ミラーを備え、前記半導体発光素子、前記コリメートレンズ、前記固定ミラーおよび前記回折格子が前記回動ミラーの一面側に配置され、前記半導体発光素子から前記固定ミラーを介して前記回折格子に至る光路が、前記回動ミラーと非交差であり、前記回動ミラーの回動中心位置から前記回折格子の前記所定入射位置までの距離r、前記回動中心位置から前記反射面を延長した平面までの距離L2、前記半導体発光素子の実効共振端面から前記固定ミラーまでの光路長L3、該固定ミラーから前記回折格子の前記回折面の前記所定入射位置までの光路長L4および前記固定ミラーから前記回折格子の前記回折面への光入射角αとの間に、r=(L3+L4−L2)/sin αの関係が成立し、前記回動ミラーは、前記基台に固定されたフレームと、前記フレームの内側に配置され一面側に前記反射面が形成された前記反射板と、前記反射板の外縁と前記フレームの内縁との間を連結する捩れ変形可能で前記回折格子の前記回折溝と平行な一直線上に並ぶ一対の連結部と、で一体的に形成され、前記反射板に往復回動するための力を周期的に付与する回動駆動手段により、前記連結部を中心に前記反射板を往復回動させる構造を有しており、前記半導体発光素子から前記コリメートレンズを経て前記固定ミラーに至る光路が前記回折格子の前記回折溝と平行となり、且つ前記固定ミラーから該回折格子に至る光路が該回折溝に対して垂直となるように前記固定ミラーが配置され、前記回折格子から逆光路で戻されて前記固定ミラーを透過した光を出力光として出射する構成を有していてもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、広い波長範囲に亘ってシングルモードの高速な連続波長掃引が可能であり、且つ複数の出力光を出射できる波長掃引光源を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施形態の波長掃引光源の構成を示す斜視図
【図2】本発明の第1の実施形態の波長掃引光源の構成を示す平面図
【図3】本発明の第1の実施形態の波長掃引光源が備える半導体発光素子の構成を示す断面図
【図4】本発明の第1の実施形態の波長掃引光源が備える回動ミラーの分解斜視図
【図5】駆動信号と波長変化の関係を示すグラフ
【図6】本発明の第1の実施形態の波長掃引光源が波長を連続的に掃引するための条件を説明するための模式図
【図7】本発明の第2の実施形態の波長掃引光源の構成を示す斜視図
【図8】本発明の第3の実施形態の波長掃引光源の構成を示す斜視図
【図9】本発明の第3の実施形態の波長掃引光源の要部の構成を示す断面図
【図10】本発明の第3の実施形態の波長掃引光源の要部の他の構成例を示す断面図
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明に係る波長掃引光源の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0021】
(第1の実施形態)
以下、本発明に係る波長掃引光源の実施形態について図面を用いて説明する。図1は波長掃引光源20の斜視図、図2は平面図である。
【0022】
即ち、波長掃引光源20は、上面が互いに平行な高段部21aと低段部21bとを有する基台21と、高段部21a上に固定され、2つの端面22a、22bのうち一方の端面22aが他方の端面に比べ低反射率面である半導体発光素子22と、半導体発光素子22の低反射率面22aからの出射光を平行光に変換する高段部21a上に固定されたコリメートレンズ23と、光を回折するための回折溝25bが平行に形成されている回折面25aを有し、コリメートレンズ23から出射された光が、回折溝25bと直交し且つ回折面25aに対して非直交となる所定の入射角αで所定入射位置Gに入射される状態で基台21の低段部21bに垂直に固定された回折格子25と、を備える。
【0023】
また、波長掃引光源20は、回折格子25の回折面25aと対向する反射板32を有し、回折格子25の回折溝25bと平行な特定位置の軸を中心にして回折面25aと直交する平面内で回動可能に形成され、コリメートレンズ23から出射されて回折格子25の回折面25aに入射した光に対する回折光のうち反射板32の反射面32aに直交する光路に沿った光を反射させて逆光路で回折格子25に戻し、該戻された光を入射光路と同じ光路でコリメートレンズ23を介して半導体発光素子22へ戻すMEMS(Micro Electro Mechanical Systems)構造の回動ミラー30と、コリメートレンズ23から出射された平行光を高段部21aの上面に垂直な反射面240aで受け、その一部を回折格子25の回折面25aに向けて反射させるとともに、回折格子25から逆光路で戻された光の一部を半導体発光素子22の低反射率面22aに向けて反射させ、残りの少なくとも一部を透過させる固定ミラーとしてのハーフミラー240と、を備える。
【0024】
この回折格子25の回折面25aに対する反射面32aの角度を所定角度範囲で周期的に変化させることで、半導体発光素子22からコリメートレンズ23、ハーフミラー240の反射面240aおよび回折格子25の回折面25aを経て回動ミラー30の反射面32aに至る共振器長が連続的且つ周期的に変化し、これによって波長掃引光源20から出射される光の波長も連続的且つ周期的に変化する。
【0025】
さらに、波長掃引光源20は、回折格子25から逆光路で戻されてハーフミラー240を透過した光を回動ミラー30に対して非交差となる方向に反射させることにより、第1の出力光L1を外部に出射する第1の出力ミラー241を備える。
【0026】
なお、ハーフミラー240と第1の出力ミラー241との間には、ハーフミラー240からの出射光を第1の出力ミラー241に向けて透過させるとともに、該出射光を回動ミラー30に対して非交差となる方向に反射させることにより、第2の出力光L2および第Nの出力光LN(N≧3)(図示せず)を外部に出射する第2の出力ミラー242および第Nの出力ミラー(N≧3)(図示せず)が配置されていてもよい。
【0027】
なお、ハーフミラー240、第2の出力ミラー242および第Nの出力ミラー(N≧3)の透過率は、半導体発光素子22の端面22bからの出力光LA、第1の出力光L1および第nの出力光Ln(n≧2)のそれぞれについて所望の光強度を得られる値とすればよい。
【0028】
なお、ハーフミラー240から出射され第1の出力ミラー241、第2の出力ミラー242または第Nの出力ミラー(N≧3)で反射される光の光路は、波長掃引光源20の共振器の光路に含まれない。従って、ハーフミラー240から第1の出力ミラー241、第2の出力ミラー242または第Nの出力ミラー(N≧3)に至る光路長は共振器長と無関係であるため、これらのミラーが他の光学部品と接触しない限り各光路長は任意の長さであってよい。
【0029】
なお、回動ミラー30は図示しない回動ミラーホルダに固定され、該回動ミラーホルダは基台21の低段部21b上に固定されている。半導体発光素子22は図示しないチップキャリアに固定され、該チップキャリアが基台21の高段部21a上に固定されている。また、コリメートレンズ23、ハーフミラー240、第1の出力ミラー241、第2の出力ミラー242および第Nの出力ミラー(N≧3)は基台21の高段部21a上に、回折格子25は基台21の低段部21b上にそれぞれ半田、溶接もしくは接着剤で固定されている。ただし、いずれの場合でも別部材(例えば、レンズの場合であればレンズホルダ)を介して間接的に基台21に固定してもよい。
【0030】
半導体発光素子22は、図3の光の伝搬方向に沿って切断した断面図に示すように、例えば、n型InP(インジウム・リン)からなるn型半導体基板101の上に、InGaAsP(インジウム・ガリウム・砒素・リン)からなる活性層102(なお、ここで言う活性層102は、MQWとそれを挟むSCH層を含む)、p型InPクラッド層103、InGaAs(インジウム・ガリウム・砒素)からなるコンタクト層104が順次積層されて構成される半導体レーザである。
【0031】
さらに、n型半導体基板101の下面には下部電極105、コンタクト層104上には上部電極106が蒸着形成されている。また、既に述べたように2つの端面22a、22bのうちの一方の端面22aの反射率が他方の端面22bの反射率より低く形成されている。
【0032】
回動ミラー30は、図4の分解斜視図に示すように、導電性を有する基板(例えばシリコン基板)に対するエッチング処理等によって形成され、上板31a、下板31b、横板31c、31dで横長矩形枠状に形成されたフレーム31と、フレーム31の内側に同心状に配置され、少なくとも一面側に光を反射させるための反射面32aが形成された横長矩形の反射板32と、フレーム31の上板31a、下板31bの互いに対向する内縁中央から反射板32の上縁中央および下縁中央まで上下に一直線上に並ぶようにそれぞれ延びてフレーム31の上板31a、下板31bと反射板32との間を連結し、捩れ変形して反射板32を回動させる一対の連結部33、34と、を有する。
【0033】
反射板32の反射面32aとしては、例えば素材表面に対する鏡面仕上げ、高い反射率を示す金属膜の蒸着、あるいは誘電体多層膜で形成することができる。また、回動ミラー30がレーザ光に対して高い反射率を示す材質である場合には、反射膜や反射シートを設けなくても、その素材表面を反射面とすることができる。
【0034】
ただし、回動ミラー30が導電性を持たない場合には、静電駆動力確保のため、ミラー材として導電性の金属膜を蒸着する必要がある。
【0035】
連結部33、34の幅および長さは、連結部33、34自体がその長方向に沿って捩じれ変形でき、その変形に対して自ら元の状態に戻るための復帰力を生じるように設定されている。
【0036】
また、回動ミラー30のフレーム31の横板31c、31dの一方(ここでは横板31c)の両面には、反射板32に静電的に外力を与えるための電極板35、36がそれぞれ絶縁性を有するスペーサ37を介して取り付けられている。電極板35、36は、反射板32の一端側(ここでは左端側)の両面にスペーサ37の厚み分の隙間を開けた状態でオーバラップしている。なお、ここではスペーサ37を縦長矩形状にしているが、フレーム31全体の補強のために、スペーサ37をフレーム31と重なり合う矩形枠状に形成してもよい。
【0037】
この回動ミラー30は、反射板32の回動中心位置(連結部33、34の中心を結ぶ線)が、回折格子25の回折面25aを延長した面上で且つ回折溝25bと平行となる状態で、基台21上に固定されている。
【0038】
なお、回動ミラー30は、電極板35、36およびスペーサ37を含めて上述のようにシリコン基板のエッチング処理等で形成されるが、その製造方法は任意である。
【0039】
例えば、単層基板で回動ミラー30のフレーム31、反射板32および連結部33、34をエッチング形成し、別の基板でスペーサ37と、電極板35、36を形成して、これらを貼り合わせて構成する方法、あるいは、SOI基板等の3層基板を用い、その上層基板に、回動ミラー30のフレーム31、反射板32、連結部33、34をエッチング形成し、その下層基板にスペーサ37をエッチング形成し、別の工程で製造された電極板35を貼り付けて一方の電極を形成すること等、種々の方法で製造可能である。
【0040】
さらに、回動ミラー30は、図2に示すように、反射板32に外力を与え、一対の連結部33、34の中心を結ぶ線である上記回動中心位置Oを中心に反射板32を所定角度範囲で往復回動させる回動駆動手段としてのミラー駆動装置40を有する。
【0041】
ミラー駆動装置40は、回動ミラー30のフレーム31を基準電位として2つの電極板35、36に対して、例えば図5(a)、(b)に示すような位相が180度ずれた駆動信号V1、V2を印加して、電極板35、36と反射板32の端部との間に静電的な吸引力を交互に生じさせ、反射板32を往復回動させる。
【0042】
この駆動信号V1、V2の周波数は、回動ミラー30の反射板32の形状、重さおよび連結部33、34の捩れバネ定数等によって決まる反射板32の固有振動数に等しくなるように設定されているので、少ない駆動電力で反射板32を大きな角度で往復回動させることができる。
【0043】
この反射板32の往復回動により、波長掃引光源20内の実効光路長、および、回折格子25の回折面25aに対する反射板32の反射面32aの角度が変化して、半導体発光素子22から出力されるレーザ光の波長が図5(c)に示すように連続的且つ周期的に変化する。
【0044】
ただし、この波長掃引光源20のように、一面側に反射面32aが形成されている反射板32自体を回動させるという単純化された構造の場合、その回動中心は、連結部33、34の中心を結ぶ線上、即ち、反射板32の内部にあって反射面32aを延長した面上にはなく、上記の従来のリトマン方式の条件を満たさない。
【0045】
そこで、この実施形態の波長掃引光源20では、特許第3069643号明細書に開示された技術を適用して波長を連続的に可変している。
【0046】
即ち、波長掃引光源20は、図6の点線で示すようにハーフミラー240、第1の出力ミラー241、第2の出力ミラー242および第Nの出力ミラー(N≧3)(図示せず)を用いずにレーザ光が反射板32を透過するとした仮想的な配置において、回折格子25の回折面25aを延長した平面をH1、半導体発光素子22の内部の屈折率を考慮した実効共振端面22cを延長した平面をH2、反射板32の反射面32aを延長した平面をH3とし、反射板32の回動中心位置Oと回折格子25との間の位置で平面H1と平面H3とが交わる場合、回動中心位置Oから回折格子25の所定入射位置Gまでの距離をr、所定入射位置Gから半導体発光素子22の実効共振端面22cまでの実効光路長をL1、回動中心位置Oから平面H3までの距離をL2、回折格子25に対する光の入射角をαとするとき、下の式が成り立つようにすることで、モードホップを発生することなく、シングルモードで波長を連続的に可変できるというものである。
r=(L1−L2)/sin α ・・・・・・(1)
【0047】
ただし、本実施形態のように半導体発光素子22から回折格子25に至る光路をハーフミラー240を介して折り曲げた場合、所定入射位置Gから半導体発光素子22の実効共振端面22cまでの実効光路長L1は、半導体発光素子22の実効共振端面22cとハーフミラー240までの光路長L3と、ハーフミラー240から所定入射位置Gまでの光路長L4との和で表わされる(L1=L3+L4)。
【0048】
よって、次の式が成り立つように各部を配置することで、図5(c)に示したようにモードホップのない連続波長掃引が可能となる。
r=(L3+L4−L2)/sin α ・・・・・・(2)
【0049】
即ち、波長掃引光源20は、ハーフミラー240を介して回折格子25に光を入射して、半導体発光素子22、コリメートレンズ23、ハーフミラー240、第1の出力ミラー241、第2の出力ミラー242、第Nの出力ミラー(N≧3)および回折格子25を反射板32の一面側に配置させ、反射板32と光路とを交差させない構成であるため、反射板32に光通過用の穴などを設ける必要がない。このため、剛性低下による変形が起こらず、薄い板であっても安定で再現性の高い高速な波長掃引を行うことができる。
【0050】
このように本実施形態の波長掃引光源20では、反射板32の反射面32aを延長した平面と回折面25aを回動中心位置O方向に延長した面で挟まれた空間内で、且つ回動中心位置Oと回折面25aの所定入射位置Gとの間にハーフミラー240を配置し、回動ミラー30の反射板32の反射面32aを延長した面で区切られてなる2つの空間のうち、回折格子25が含まれる方の空間に半導体発光素子22、コリメートレンズ23、ハーフミラー240、第1の出力ミラー241、第2の出力ミラー242および第Nの出力ミラー(N≧3)を配置し、半導体発光素子22からコリメートレンズ23を介してハーフミラー240に光を入射して、その反射光を回折格子25の回折面25aの所定入射位置Gに入射している。
【0051】
このため、光路とは無関係に、反射面32aを有する反射板32自体を往復回動させるという極めて単純な構造で回動ミラーを構成することができ、高速で精度の高い波長可変が行える。
【0052】
以上のように構成された本実施形態の波長掃引光源20は、従来の光分波器に代わる光分波手段としてハーフミラー240、第1の出力ミラー241、第2の出力ミラー242および第Nの出力ミラー(N≧3)を備えるため、共振器長が非常に短い微小な構造であっても、式(2)を満たすモードホップフリーの波長掃引が可能になるだけでなく、他の光学部品に遮られることなく複数の出力光(半導体発光素子22の端面22bからの出力光LA、回折格子25の0次回折光としての出力光LB、第1の出力ミラー241からの第1の出力光L1、第2の出力ミラー242からの第2の出力光L2および第Nの出力ミラー(N≧3)からの第Nの出力光LN)を外部に出射することができる。
【0053】
また、本実施形態の波長掃引光源20では、全ての光学部品が固定されているため、外部からの振動などの影響を受けにくく、さらに従来の光源のような複雑なモードホップ抑止の制御手段を用いなくても非常に安定したモードホップフリーの波長掃引を実現することができる。
【0054】
(第2の実施形態)
本発明に係る波長掃引光源の第2の実施形態について図面を用いて説明する。第1の実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0055】
本実施形態の波長掃引光源50は、図7に示すように、ハーフミラー240および第1の出力ミラー241が一体的に形成されてなる反射部材24を備える。このような反射部材24は、例えば互いに平行な2つの端面を有する光学ガラスを準備し、それぞれの端面に誘電体多層膜のコーティングまたはミラーコーティングを施すことにより実現できる。また、反射部材24の内部にさらに第nの出力ミラー(n≧2)(図示せず)が形成されていてもよい。
【0056】
なお、ハーフミラー240から出射され反射部材24の内部を透過して第1の出力ミラー241で反射される光の光路は波長掃引光源50の共振器の光路に含まれない。従って、従来の光分波器と異なり、反射部材24の光導波方向の長さは共振器長と無関係であるため、反射部材24が他の光学部品と接触しない限り任意の長さであってよい。
【0057】
以上のように構成された本実施形態の波長掃引光源は、ハーフミラー240および第1の出力ミラー241が一体的に形成されているため、製造工程における光学部品間の光軸合わせが簡易となる。
【0058】
(第3の実施形態)
本発明に係る波長掃引光源の第3の実施形態について図面を用いて説明する。第1および第2の実施形態と同様の構成については説明を省略する。
【0059】
第1および第2の実施形態では、ハーフミラー240の反射面240aが回折格子25の回折溝25bと平行で、半導体発光素子22から、コリメートレンズ23、ハーフミラー240、回折格子25を経て反射板32に至る光路が同一平面上となるように構成されていたが、これは本発明を限定するものではなく、半導体発光素子22とコリメートレンズ23は、反射板32の反射面32aを延長した平面で隔成される2つの空間のうち回折格子25が含まれる方の空間であれば任意の位置に配置することができ、その位置に合わせてハーフミラー240の反射面240aの向きを設定すればよい。
【0060】
例えば、図8およびそのA−A線断面図である図9に示すように、半導体発光素子22とコリメートレンズ23を、その光軸が回折格子25の回折溝25bと平行となるよう基台21に対して上下に並ぶように配置し、コリメートレンズ23からの光を、基台21の上面に対して45度の角度をなすハーフミラー240を有する反射部材44で受けて、回折格子25の回折面25aに入射してもよい。
【0061】
反射部材44は、図9に示すように、ハーフミラー240と第1の出力ミラー241とが互いに90度の角度をなして交わるように一体的に形成されてなる。
【0062】
なお、半導体発光素子22、コリメートレンズ23および反射部材44は基台21上に固定された支持部材41に支持されている。第1の実施形態と同様に、半導体発光素子22は図示しないチップキャリアに固定され、該チップキャリアが支持部材41の側面に固定されている。また、コリメートレンズ23および反射部材44は支持部材41の側面に、回折格子25は基台21上にそれぞれ半田、溶接もしくは接着剤で固定されている。ただし、いずれの場合でも別部材(例えば、レンズの場合であればレンズホルダ)を介して間接的に支持部材41または基台21に固定してもよい。
【0063】
支持部材41および基台21には第1の出力ミラー241からの第1の出力光L1を外部に出力するための貫通孔41a、21cがそれぞれ形成されている。
【0064】
以上のように構成された本実施形態の波長掃引光源60は、従来の光分波器に代えてハーフミラー240および第1の出力ミラー241を有する反射部材44を備えるため、他の光学部品に遮られることなく計3個の出力光(半導体発光素子22の端面22bからの出力光LA、回折格子25の0次回折光としての出力光LB、第1の出力ミラー241からの第1の出力光L1)を基台21に垂直な2方向、基台21に平行な1方向へ出力することができる。
【0065】
また、図10の断面図に示すように、本発明の波長掃引光源は、反射ミラー240を有する反射部材54を備え、回折格子25から逆光路で戻されてハーフミラー240を透過した光L0を外部に出力するための貫通孔41bが支持部材41に形成されたものであってもよい。このように構成された波長掃引光源は、他の光学部品に遮られることなく計3個の出力光(半導体発光素子22の端面22bからの出力光LA、回折格子25の0次回折光としての出力光LB、ハーフミラー240からの透過光L0)を基台21に垂直な1方向、基台21に平行な2方向へ出力することができる。また、透過光L0の進行方向、つまり透過光L0の取り出し方向は、必要に応じて反射板などで任意の方向に変えることもできる。
【符号の説明】
【0066】
20、50、60 波長掃引光源
21 基台
21a 高段部
21b 低段部
22 半導体発光素子
22a 端面(低反射率面)
22b 端面
22c 実効共振端面
23 コリメートレンズ
24、44、54 反射部材
25 回折格子
25a 回折面
25b 回折溝
30 回動ミラー
31 フレーム
32 反射板
32a 反射面
33、34 連結部
40 ミラー駆動装置(回動駆動手段)
240 ハーフミラー(固定ミラー)
240a 反射面
241 第1の出力ミラー
242 第2の出力ミラー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基台(21)と、
前記基台上に固定され、2つの端面(22a、22b)のうち一方の端面が他方の端面に比べ低反射率面である半導体発光素子(22)と、
前記基台上に固定され、前記半導体発光素子の前記低反射率面からの出射光を平行光に変換するコリメートレンズ(23)と、
光を回折するための回折溝(25b)が平行に形成されている回折面(25a)を有し、前記コリメートレンズから出射された光が、前記回折溝と直交し且つ前記回折面に対して非直交となる所定入射角で所定入射位置に入射される状態で前記基台上に固定された回折格子(25)と、
前記基台上に固定され、前記回折格子の前記回折面と対向する反射板(32)を有し、前記回折格子の前記回折溝と平行な特定位置の軸を中心にして前記回折面と直交する平面内で回動可能に形成され、前記コリメートレンズから出射されて前記回折格子の前記回折面に入射した光に対する回折光のうち前記反射板の反射面(32a)に直交する光路に沿った光を反射させて逆光路で前記回折格子に戻し、該戻された光を入射光路と同じ光路で前記コリメートレンズを介して前記半導体発光素子へ戻す回動ミラー(30)と、を備え、
前記回動ミラーの前記反射面の角度変化に応じて前記半導体発光素子から前記コリメートレンズおよび前記回折格子の前記回折面を経て前記回動ミラーの前記反射面に至る共振器長を変化させ、前記半導体発光素子が出射する光の波長を所定範囲内で連続的に変化させるリトマン方式外部共振器型の波長掃引光源において、
前記基台上に固定され、前記コリメートレンズから出射された光の一部を前記回折格子の前記所定入射位置に向けて反射させるとともに、前記回折格子から逆光路で戻された光の一部を前記半導体発光素子の前記低反射率面に向けて反射させ、残りの少なくとも一部を透過させる固定ミラー(240)を備え、
前記半導体発光素子、前記コリメートレンズ、前記固定ミラーおよび前記回折格子が前記回動ミラーの一面側に配置され、前記半導体発光素子から前記固定ミラーを介して前記回折格子に至る光路が、前記回動ミラーと非交差であり、
前記回動ミラーの回動中心位置から前記回折格子の前記所定入射位置までの距離r、前記回動中心位置から前記反射面を延長した平面までの距離L2、前記半導体発光素子の実効共振端面(22c)から前記固定ミラーまでの光路長L3、該固定ミラーから前記回折格子の前記回折面の前記所定入射位置までの光路長L4および前記固定ミラーから前記回折格子の前記回折面への光入射角αとの間に、
r=(L3+L4−L2)/sin αの関係が成立し、
前記回動ミラーは、
前記基台に固定されたフレーム(31)と、
前記フレームの内側に配置され一面側に前記反射面が形成された前記反射板と、
前記反射板の外縁と前記フレームの内縁との間を連結する捩れ変形可能で前記回折格子の前記回折溝と平行な一直線上に並ぶ一対の連結部(33、34)と、で一体的に形成され、
前記反射板に往復回動するための力を周期的に付与する回動駆動手段(40)により、前記連結部を中心に前記反射板を往復回動させる構造を有しており、
さらに、
前記回折格子から逆光路で戻されて前記固定ミラーを透過した光を前記回動ミラーに対して非交差となる方向に反射させる第1の出力ミラー(241)を備え、該第1の出力ミラーから第1の出力光を出射することを特徴とする波長掃引光源。
【請求項2】
前記回折格子から逆光路で戻されて前記固定ミラーを透過した光を前記回動ミラーに対して非交差となる方向に反射させるとともに前記第1の出力ミラーに向かって透過させる第nの出力ミラー(n≧2)(242)を備え、該第nの出力ミラーから第nの出力光を出射することを特徴とする請求項1に記載の波長掃引光源。
【請求項3】
前記固定ミラーと前記出力ミラーとが一体的に形成されてなる反射部材を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の波長掃引光源。
【請求項4】
前記半導体発光素子から前記コリメートレンズを経て前記固定ミラーに至る光路が前記回折格子の前記回折溝と平行となり、且つ前記固定ミラーから該回折格子に至る光路が該回折溝に対して垂直となるように前記固定ミラーが配置され、
前記回折格子から逆光路で戻されて前記固定ミラーを透過した光を前記回折格子の前記回折溝と平行な方向に反射させるように前記第1の出力ミラーが配置されたことを特徴とする請求項3に記載の波長掃引光源。
【請求項5】
基台(21)と、
前記基台上に固定され、2つの端面(22a、22b)のうち一方の端面が他方の端面に比べ低反射率面である半導体発光素子(22)と、
前記基台上に固定され、前記半導体発光素子の前記低反射率面からの出射光を平行光に変換するコリメートレンズ(23)と、
光を回折するための回折溝(25b)が平行に形成されている回折面(25a)を有し、前記コリメートレンズから出射された光が、前記回折溝と直交し且つ前記回折面に対して非直交となる所定入射角で所定入射位置に入射される状態で前記基台上に固定された回折格子(25)と、
前記基台上に固定され、前記回折格子の前記回折面と対向する反射板(32)を有し、前記回折格子の前記回折溝と平行な特定位置の軸を中心にして前記回折面と直交する平面内で回動可能に形成され、前記コリメートレンズから出射されて前記回折格子の前記回折面に入射した光に対する回折光のうち前記反射板の反射面(32a)に直交する光路に沿った光を反射させて逆光路で前記回折格子に戻し、該戻された光を入射光路と同じ光路で前記コリメートレンズを介して前記半導体発光素子へ戻す回動ミラー(30)と、を備え、
前記回動ミラーの前記反射面の角度変化に応じて前記半導体発光素子から前記コリメートレンズおよび前記回折格子の前記回折面を経て前記回動ミラーの前記反射面に至る共振器長を変化させ、前記半導体発光素子が出射する光の波長を所定範囲内で連続的に変化させるリトマン方式外部共振器型の波長掃引光源において、
前記基台上に固定され、前記コリメートレンズから出射された光の一部を前記回折格子の前記所定入射位置に向けて反射させるとともに、前記回折格子から逆光路で戻された光の一部を前記半導体発光素子の前記低反射率面に向けて反射させ、残りの少なくとも一部を透過させる固定ミラー(240)を備え、
前記半導体発光素子、前記コリメートレンズ、前記固定ミラーおよび前記回折格子が前記回動ミラーの一面側に配置され、前記半導体発光素子から前記固定ミラーを介して前記回折格子に至る光路が、前記回動ミラーと非交差であり、
前記回動ミラーの回動中心位置から前記回折格子の前記所定入射位置までの距離r、前記回動中心位置から前記反射面を延長した平面までの距離L2、前記半導体発光素子の実効共振端面(22c)から前記固定ミラーまでの光路長L3、該固定ミラーから前記回折格子の前記回折面の前記所定入射位置までの光路長L4および前記固定ミラーから前記回折格子の前記回折面への光入射角αとの間に、
r=(L3+L4−L2)/sin αの関係が成立し、
前記回動ミラーは、
前記基台に固定されたフレーム(31)と、
前記フレームの内側に配置され一面側に前記反射面が形成された前記反射板と、
前記反射板の外縁と前記フレームの内縁との間を連結する捩れ変形可能で前記回折格子の前記回折溝と平行な一直線上に並ぶ一対の連結部(33、34)と、で一体的に形成され、
前記反射板に往復回動するための力を周期的に付与する回動駆動手段(40)により、前記連結部を中心に前記反射板を往復回動させる構造を有しており、
前記半導体発光素子から前記コリメートレンズを経て前記固定ミラーに至る光路が前記回折格子の前記回折溝と平行となり、且つ前記固定ミラーから該回折格子に至る光路が該回折溝に対して垂直となるように前記固定ミラーが配置され、
前記回折格子から逆光路で戻されて前記固定ミラーを透過した光を出力光として出射することを特徴とする波長掃引光源。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2010−219315(P2010−219315A)
【公開日】平成22年9月30日(2010.9.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−64585(P2009−64585)
【出願日】平成21年3月17日(2009.3.17)
【出願人】(000000572)アンリツ株式会社 (838)
【Fターム(参考)】