説明

洗浄装置

【課題】従来の洗浄材はブラッシング材、研布材などに洗剤又は水等を含ませ洗浄するものである。このため洗浄性が悪く、また洗浄剤の寿命が短く頻繁なる交換が必要で、維持費が高価なものとなっている。また洗浄装置も、洗浄物の詰りなどが頻繁に発生していた。
【解決手段】入口シュート8から投入された被洗浄物7は洗浄用回転ドラム内にて、スパイラル状送りフイン3で移送されながら、小突起物4で攪拌、分離しつつ、ノズル6より噴射される高温高圧洗浄水にて洗浄される。洗浄された被洗浄物7は乾燥用回転ドラムにシュート18を介して投入され、スパイラル状送りフイン13にて移送されながら小突起物14にて分離、攪拌された被洗浄物7は、遠心分離にて脱水乾燥される。蒸気はフアンFにより冷却器Cに送られて冷却され液と乾き空気に分けられる。液は洗浄液として再利用し、乾き空気は装置外に排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術の分野】
【0001】
本発明は、例えばゲーム機用コイン、金属ボール、プラスチック部品及び食器などの被洗浄物を洗浄するために用いられる洗浄に関する。
【0002】
一般に人間が手先などで保持し使用した部品には、脂肪分、有害な細菌及び塵埃などが付着している。これを除去するために各種洗浄装置が用いられる。
【0003】
従来の洗浄装置は、ブラッシング材あるいは研布材などで摩擦して被洗浄物を洗浄している。このため汚物除去性の効率が悪く、滅菌性もなくかつブラッシング材および研布材の寿命も短いため頻繁なる交換が必要である。
【0004】
また本出願の発明者(出願人)は、洗浄用回転ドラムとこれに連接して水切り用回転ドラムとを備え、水切り用回転ドラムを先細状に縮径化して形成すると共に、内周面にスパイラル状送りフインを形成し、同様に内周面にスパイラル状送りフインを形成した乾燥用回転ドラムをも構成し、これら洗浄用回転ドラム及び水切り用回転ドラムと乾燥用回転ドラムを水平共軸そって配置したことを特徴とした洗浄装置を開発している。(特許第3446029号公報)
【0005】
この従来の洗浄装置によれば、一体的に構成された洗浄用回転ドラム、水切り用回転ドラム及び乾燥用回転ドラム内を、洗浄物が順次送られる際、洗浄物はドラム内周面に設けた小突起物により攪拌、分離を繰り返しながら搬送される間に洗浄が行われる。これによりコンパクトな構成でありながら一連の工程が効率よく一括処理されるだけでなく高い洗浄性が発揮できる。
【0006】
【特許文献】特許3446029号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
従来の洗浄に用いられる洗浄材はブラッシング材、研布材などに洗剤又は水などを含ませ洗浄するものである。このため洗浄性が悪く、またブラッシング材、研布材などの寿命が短く頻繁なる交換が必要で、維持費が高価なものとなっている。
【0008】
また洗浄装置も洗浄方式の特性から、洗浄物の詰りなどが頻繁に発生していた。
【0009】
従来の例[特許文献2]は、優れたインライン方式の洗浄装置であるが、主に鉱物加工油除去を主たる目的としたものである。したがって人脂肪分などの汚れを除去には効率が良くないなどの課題がある。
【0010】
本発明は上記の課題を解決しようとするものである。被洗浄物に、高温、高圧水を照射して、油分、人脂肪分、塵埃及び細菌を効率よく除去する洗浄装置を提供することを目的とする。
【0011】
本発明の洗浄装置は、洗浄用回転ドラムとこれに連接して水切り用回転ドラムを形成し、内周面にスパイラル状送りフインを形成する。これを共軸に沿って回転させる。内部に、外部から供給された洗浄水を昇温させる加熱器と、前記加熱器によって昇温された高温水を高圧に加圧して、前記洗浄容器内の被洗浄物に噴射させる複数のノズルとを備える。高温水を高圧により噴射させて、洗浄物に付着した油分、人脂肪分、細菌及び塵埃などを効率よく除去する。乾燥用回転ドラムとこの内周面にもスパイラル状送りフインを形成する。これを共軸にそって高速回転して水分を除去する。洗浄物に付着した水分は、高温による自己保有熱、遠心力及び高温による洗浄水の表面張力低下などにより、効率よく除去され乾燥する。この乾燥用回転ドラムはシュートあるいは直結などで洗浄用回転ドラムに連接される。また洗浄水内に香料を付加すれば、洗浄物の洗浄後の清浄感向上などの付加価値が高まる。本洗浄装置をほぼ密閉なる容器に納めて、蒸気を冷却して液化し洗浄水として再利用する。排出される空気はほぼ乾燥状態にあり、外部機器に悪影響を及ぼさないことを特徴としたものである。
【0012】
前記乾燥用回転ドラムドラム材料に穴あき材を使用しても良い。
【0013】
前記乾燥用回転ドラムは高速回転とし、被洗浄物の移動をスムースにするため高速回転、低速回転を繰り返しても良い。また高速回転のみでも良い。
【0014】
本発明によれば、洗浄用回転ドラムと乾燥用回転ドラムが別設置なので、設置自由度が高く、装置の小型化が図れる。
【0015】
また洗浄水を、洗浄物に付着した油分、人脂肪分などを除去可能なまでに粘度を低下させるまでに昇温させ、洗浄物に高圧で噴射させるので、洗浄物に付着した汚れは、確実に洗浄され且つ細菌なども除去される。健康的で衛生的な洗浄物が提供できる。
【0016】
またブラッシング材あるいは研布材など消耗品がないので、低コストで保守の必要がない洗浄装置とすることが出来る。
【0017】
洗浄液は市水のみを使用できるので安価である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態の例として図面を参照して説明する。図1は本発明の第1の実施形態例に係わる洗浄装置の構成を示す説明図である。
【0019】
図1に示すように、本発明の第1の実施形態例に係わる洗浄装置は、洗浄物7の入り口シュート8と出口シュート25、洗浄用回転ドラム1、水切り用回転ドラム2、連結シュート18、及び乾燥用回転ドラム11より構成する。
【0020】
洗浄用回転ドラム1これと連接する水切り用回転ドラム2、これらに内接してスパイラル状送りフイン3を形成し、これら内部に小突起物4を有する。また内部に高温、高圧洗浄水を噴射するノズル筒5及びノズル6を構成する。
【0021】
乾燥用回転ドラム11とこれに内接してスパイラル状送りフイン13形成し、これら内部に小突起物13を有する。また蒸気を乾燥蒸気として噴射する、ノズル筒16およびノズル17を構成する。
【0022】
洗浄用回転ドラム1及び水切り用回転ドラム2と乾燥用回転ドラム11はシュート18で連結される。
【0023】
洗浄用回転ドラム1は歯車10A及び10Bを介してモータ9で回転される。洗浄物7はスパイラル状送りフイン3にて移送中に、小突起物4により洗浄物攪拌、分離される。
【0024】
洗浄水24はタンク29内の加熱器Hで昇温され、ポンプPで高圧移送中に加熱装置HWでさらに高温に加熱されて、ノズル筒5を介してノズル6から高温、高圧洗浄液として噴射、洗浄物7を洗浄する。
【0025】
洗浄された洗浄物7は、シュート18により乾燥用回転ドラムに移送される。
【0026】
乾燥用回転ドラム11は、歯車28A、28Bを介してモータ27で高速に回転される。回転は高速回転のみでも良く、またさらに高速化されて被洗浄物7が、ドラムに押し付けられて移送できないときは、高速回転、低速回転を交互に繰り返すし被洗浄物7を移送する。洗浄物7は遠心分離乾燥される。
【0027】
蒸気の一部は送風機F2で加熱器HAにて加熱され、乾燥蒸気として、ノズル17から噴射されて、被洗浄物7の乾燥に供給される。
【0028】
また蒸気の一部は、送風機F1で冷却装置Cに送られて冷却され、液化され水に還元されてタンク29に戻されて、洗浄水として再利用される。乾燥した空気は大気中に放出される。乾燥空気として放出されるので、周辺電子機器に影響を及ぼさない。
【0029】
洗浄した洗浄液26は、フィルター20で濾過されてタンク29に戻される。
【0030】
洗浄液24は、市水などの水でよいため、環境汚染防止に寄与するばかりでなく、消耗品がないので、低コスト洗浄が出来る。
【0031】
洗浄水の温度は好ましくは120℃であるが、80℃以上でも差し支えがない。圧力は0.1メガパスカル以上である。
【0032】
洗浄水は、高温高圧なので、滅菌作用があり、洗浄後の被洗浄物の衛生状態が良く、さらに洗浄水に香料を付加すれば、さらに清浄感がます。香料は、例えばジャスミン、ラベンダーなどユーザ好みの香料を付加する。
【0033】
本発明は、上記の実施形態に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された技術的事項の範囲内で、種々変更が可能である。
【0034】
例1 洗浄用回転ドラム1及び水切り用回転ドラム2に穴あき材料を使用する。また水切り用回転ドラムは先細状でなく円筒状でも良い。
【0035】
例2 洗浄用回転ドラム1を傾斜台に設置しても良い。
【0036】
例3 乾燥用回転ドラム11を先細状に縮径する。
【0037】
例3 洗浄用回転ドラム1とこれに連接する水切り用回転ドラム2と乾燥用回転ドラム11は同一軸上にシュートを介して配置しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の第1の実施形態例に係わる洗浄装置を示す説明図である。
【図2】洗浄用回転ドラム、水切り用回転ドラム及び乾燥用回転ドラムを直結させた洗浄装置の変形例図である。
【図3】洗浄用回転ドラムとこれに連接した水切り用回転ドラムと乾燥用回転ドラムをシュートで結合した洗浄装置の変形例である。
【符号の簡単な説明】
【0039】
1. 洗浄用回転ドラム
2. 水切り用回転ドラム
3. スパイラル状送りフイン
4. 小突起物
5. ノズル筒
6. ノズル
7. 被洗浄物
8. 入口シュート
9. 洗浄筒回転モータ
10A. 歯車
10B. 歯車
11. 乾燥用回転ドラム
13. スパイラル状送りフイン
14. 小突起物
16. ノズル筒 乾燥用
17. ノズル
18. シュート
20. フィルター
21 全体容器
24. 洗浄水
25. 出口シュート
26. 洗浄用回転ドラム内洗浄液
27. 乾燥筒回転モータ
28A. 歯車
28B 歯車
29. タンク
P. ポンプ
HW. 洗浄水加熱器
F1 送風機
F2 送風機
HA. 蒸気加熱器
C. 蒸気冷却器
H. 加熱器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1つの回転共軸を軸とする、ほぼ円筒状の洗浄用回転ドラムと、これに連接して、先端部を先細状に縮径した水切り用回転ドラムを形成すると共に、内周面に連続するスパイラル状送りフインを形成する。回転軸上で洗浄用回転ドラムと水切り用回転ドラムを回転させ、スパイラル状送りフインによって被洗浄物を移動させる駆動装置を有し、内面に洗浄液噴射用ノズルを構成する。またほぼ円筒状の乾燥用回転ドラムの内周面にスパイラル状送りフインを形成する。回転軸上で乾燥用回転ドラムを、洗浄液を遠心分離可能なまでに、高速に回転させ、スパイラル状送りフインにて、洗浄物を移動させながら水分を除去して乾燥させる乾燥用回転ドラム。これら洗浄用回転ドラムと乾燥用ドラムをシュート又は直接に結合させて、洗浄及び乾燥を行う洗浄装置
【請求項2】
乾燥用回転ドラムは、高速回転及び低速回転を繰り返して、洗浄物の遠心分離乾燥を行うことを特徴とする請求項1記載の洗浄装置。
【請求項3】
乾燥用回転ドラムに穴あき材を使用して、乾燥性を高めたことを特徴とする請求項1記載の洗浄装置。
【請求項4】
洗浄用回転ドラム内部に、洗浄物付着の汚れ除去及び滅菌作用可能な、高温高圧水を洗浄液とし、これらを噴射させるノズルを形成することを特徴とした請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項5】
洗浄液に香料を付加して、洗浄後の製品の清浄性、品格を高めることを特徴とすることを特徴とした請求項1に記載の洗浄装置。
【請求項6】
洗浄時に発生する蒸気を、集合させて冷却し、水と乾燥空気に分離し、水を洗浄装置に戻し、洗浄液として再利用し、乾燥空気のみを装置外に排出する。洗浄液のリサイクル性を高めると時に、装置外機器に湿度による悪影響を及ぼさなくしたことを特徴とする請求項1記載の洗浄装置。
【請求項7】
洗浄用回転ドラム及び乾燥用回転ドラムの、内周面およびにスパイラル状送りフインの一部に、小突起部を設けて、被洗浄物の攪拌及び分離を容易にして、洗浄性及び乾燥性を向上させることを特徴とした請求項1記載の洗浄装置。
【請求項8】
洗浄時に発生する蒸気を、加熱して乾き蒸気として、乾燥用回転ドラム内に構成するノズルから噴射させて、洗浄物を乾燥させると同時に、蒸気を外部に排出させないことを特徴とする請求項1記載の洗浄装置。
【請求項9】
洗浄後の洗浄水の戻り口に、濾材をおき、洗浄水の汚れを除去することな特徴とした請求項1記載の洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2008−253973(P2008−253973A)
【公開日】平成20年10月23日(2008.10.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−122852(P2007−122852)
【出願日】平成19年4月6日(2007.4.6)
【出願人】(598037765)
【Fターム(参考)】