説明

洞口鼻道複合体へ活性薬剤を放出するための移植可能な持続性薬物送達装置

活性薬剤を持続的期間にわたって洞口鼻道複合体に局所的に送達することによって、副鼻腔炎および関連する呼吸状態を治療するための装置、方法、およびキットを本明細書に記述する。該装置は、該洞口鼻道複合体内に受動的固定されてもよく、および/またはそれを該洞口鼻道複合体内に能動的に固定する1つ以上の特徴を含んでもよい。該装置は、活性薬剤を送達するために、洞開口部、洞腔、および/または鼻腔内に延在する部分を任意に含んでもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願への相互参照
この出願は、2006年7月10日に出願された米国仮出願第60/819,825号および2007年7月9日に出願された米国特許出願第11/775,157号(これらの両方は、それらの全体が参考として本明細書に援用される)に対する優先権を主張する。
【0002】
分野
本明細書に記述する装置、方法、およびキットは、副鼻腔炎およびその関連する呼吸状態を治療するための医療装置および局所薬物送達の分野にある。具体的には、洞口鼻道複合体炎症の治療に関して記述する。
【背景技術】
【0003】
背景
洞口鼻道複合体(osteomeatal complex:OMC)は、副鼻腔炎の病変形成において重要な領域である。OMCは、中鼻道と、前篩骨、上顎、および前頭洞の粘液線毛クリアランスおよび換気のための経路を提供する狭チャネルとを含む。したがって、上気道感染症またはアレルギー性鼻炎と関連するこの領域の比較的軽微な腫脹は、これらの洞腔のいずれか1つまたは組み合わせの閉塞に繋がり得る。OMC内の妨害物の結果として、副鼻腔炎は、粘液、炎症細胞、および細菌の蓄積、低酸素分圧の存在、ならびにOMCや周囲組織中の損なわれた免疫応に起因して発達し得る。
【0004】
副鼻腔炎に使用される治療計画は、OMC炎症を治療するために使用されてもよい。典型的な治療計画は、経口抗生物質、局所もしくは経口うっ血除去薬、局所ステロイド鼻腔用スプレーもしくは点鼻液、またはプレドニゾン等の注入可能な経口ステロイドの組み合わせを含んでもよい。全身的な方法(例えば、経口および注入可能)は、全身の暴露から活性薬剤の効果までの副作用に関する著しい欠点を一般的に有する。局所的な方法(例えば、鼻腔用スプレーおよび他の点鼻液)は、経鼻的および炎症性OMC解剖学的形態(典型的に30パーセント未満、および恐らく特定のOMC解剖学的形態ではるかに少ない、送達された経鼻薬用量効率)の両方での限定された部位有効性と、粘液線毛クリアランス(典型的に、鼻腔内における30分未満の用量滞留時間)の効果に起因する炎症部位での短い薬物滞留時間とに関する欠点を一般的に有する。
【0005】
薬物療法が失敗した場合、機能的内視鏡洞手術(functional endoscopic sinus surgery:FESS)等の外科治療が代替であってもよい。概して、FESSおよび洞手術の目標は、上顎および前頭洞の入口部を拡大させることによって、ならびに直接可視化の下で、篩骨蜂巣を除去することにより篩骨洞領域を開口することによって、洞のドレナージを向上させることである。しかし、手術自体は、新しく開口した洞を頻繁に閉塞させる術後線維症、狭窄症、および/またはポリポーシスに繋がり得る炎症を生じさせ、外科医が、入口部を修正し、洞開口部の開放を維持するためにステント留置装置を挿入するように再手術する必要がある。切除された手術後の解剖学的形態においてさえも、多くのOMCの炎症領域へのアクセスは依然困難である。
【0006】
術後の補助薬送達の他の方法は、典型的に1回に1週間以下滞留する種々の薬物水和充填材料の必要な内視鏡的設置と、活性薬剤の急性かつ1回限りの点滴注入のみが可能であるため、恐らく充填材料滞留時間よりも短い期間の間薬物を送達するステップとを有する(非特許文献1に記載のもの等)。そのようなアプローチは、活性薬剤の一貫したまたは制御可能な徐放を可能にしそうにない。さらに他の記載されたアプローチは、周囲軟部組織内へのステロイド(例えば、Kenalog等のトリアムシノロンアセトニド懸濁液)の筋肉注射のような貯蔵物を放出する活性薬剤の急性内視鏡的注入を含む。これらのアプローチは、局所的な方法(例えば、一部位での筋肉注射)よりはむしろ侵略的な方法を必要とし、OMC領域を直接的に治療せず(主として、筋肉内貯蔵物に不適な骨腔上の薄い組織膜である)、著しい付随的な全身性および周囲組織暴露ならびに悪影響(例えば、副鼻および洞解剖学的形態におけるKenalogの使用は、全身性副腎抑制ならびに永久的な多くの例における同側性盲目の例の両方に関連している)を及ぼすことなく治療しない。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0007】
【非特許文献1】Shikani,AH,Use of Antibiotics for Expansion of the Merocel Packing Following Endoscopic Sinus Surgery,ENT Journal(1996)75(8):524−527
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
この結果として、副鼻腔炎およびその関連する呼吸状態を治療するためのOMCを対象にする活性薬剤を局所的に投与ならびに活性薬剤の徐放を提供するための新しい装置、方法、およびキットが所望される。
【課題を解決するための手段】
【0009】
要旨
本明細書に記述される装置、方法、およびキットは、副鼻腔炎および関連する呼吸状態を持つ患者を治療するために概して使用される。典型的に、治療される該関連する呼吸状態は、洞口鼻道複合体炎症である。本明細書では、語句「洞口鼻道複合体炎症」または「OMC炎症」は、洞口鼻道複合体および炎症反応を含むその構成物隣接解剖学的形態内の組織の任意の反応を言う。炎症は、アレルギー(過敏性)、気管支炎、ぜんそく、例えば、外傷、手術、細菌、ウイルス、もしくは真菌による感染、化学物質もしくは薬物に起因するOMC内の粘膜に対する損傷、嚢胞性線維症、ならびに良性もしくは悪性腫瘍等の過程によって生じ得る。
【0010】
該装置は固体または半固体材料で作られてもよく、または対象とする解剖学的形態でのそれらの設置時もしくは直後にそのような形態をとる材料で作られてもよく、1つ以上の活性薬剤をOMCに局所的に送達するような方法で概して形成される。該装置は、生分解性ポリマー、非生分解性ポリマー、金属、またはそれらの組み合わせで作られてもよい。送達されてもよい該活性薬剤は、抗コリン薬、抗ヒスタミン薬、抗感染症剤、抗炎症剤、抗瘢痕もしくは抗増殖剤、化学療法もしくは抗癌薬、サイトカイン、うっ血除去薬、治癒促進剤およびビタミン、高浸透圧剤、免疫調節もしくは免疫抑制剤、ロイコトリエン修飾因子、粘液溶解薬、麻薬性鎮痛薬、小分子、チロシンキナーゼ阻害剤、ペプチド、タンパク質、核酸、血管収縮薬、ならびにそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない。一変形例において、該活性薬剤は、生分解性ポリマーに含まれても、または該装置上のコーティングに含まれてもよい。別の変形例において、該活性薬剤は、該装置の構成要素であるミクロスフェアまたは他の微小粒子内に被包されてもよい。
【0011】
上記の薬物送達機能に加えて、該装置は、1つ以上の機械機能を任意に行ってもよく、また、それらの実用性を高めるように構成された特徴を有してもよい。任意の機械機能は、自然または手術後の解剖学的形態の安定化、OMC解剖学的形態および洞への、そこからの、その中のアクセス導管を提供する穿刺および/またはカニューレ挿入、物理的な接着性バリア、コーティングおよび/または組織分離スペーサとして皮膚接着性の予防、ならびに手術もしくは疾病過程によって除去される自然解剖学的特徴の交換を含んでもよい。本明細書に記述した該装置は、OMCの1つ以上の組織を能動的に固定するように、またはOMC内に受動的に設置もしくは展開するように構成された特徴を有してもよく、これらの特徴または粘膜接着等の他の材料性質を使用して、OMC内のそれらの位置を維持するように、またはOMC解剖学的形態の種々の局部の少なくとも一部との接触を維持するように構成されてもよい。他の装置は、空間を充填するように、またはOMC解剖学的形態の種々の局部間の分離、例えば、鉤状突起と中鼻甲介との間、篩骨胞と中鼻甲介との間もしくは外側鼻壁と中鼻甲介との間の分離を維持するように適合された特徴を有してもよい。該装置は、洞開口部、洞腔、および/または鼻腔内に延在し、そこへ活性薬剤を送達する部分を任意に含んでもよい。含まれる場合、該洞開口部、洞腔、および/または鼻腔に送達される該活性薬剤は、洞口鼻道複合体に送達される該活性薬剤と同一または異なってもよい。また、該洞開口部、洞腔、および/または鼻腔内に延在する該任意の部分自体は、薬物送達以外の機能、例えば、中鼻甲介の安定化または側性化、入口部または洞腔のカニューレ挿入等の機能を有するように構成されてもよい。また、該装置は、それらの挿入構成を変化されてもよく、設置後のそれらの最終的な対象の構成への展開、変形または自己集合を介して配置してもよい。また、キットは、1つ以上の送達導管、挿入装置、または配置装置とともに装置をパッケージングすることによって、またはアクセス、設置、調整、展開または配置、および装置の取り外しを支持または可能にする機能を含む1つ以上の種々のタイプの装置とともに一緒にパッケージングすることによって形成されてもよい。
【0012】
記述した該装置は、解剖学的機能を回復させ、副鼻腔炎および関連する呼吸状態を治療するために、OMCに関連している外科的、非外科的、および他の治療的介入において有用であってもよい。したがって、該装置は、洞および鼻手術を支持、外科的修正の必要性を減少、および/または副鼻腔炎および関連する呼吸状態の再発を予防、遅延、もしくは減少させるために使用されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】手術(FESS)前の洞およびOMC解剖学的形態の断面図を示す。
【図1B】手術(FESS)前の洞およびOMC解剖学的形態の断面図を示す。
【図1C】手術(FESS)前の洞およびOMC解剖学的形態の断面図を示す。
【図1D】手術(FESS)前の洞およびOMC解剖学的形態の断面図を示す。
【図1E】手術(FESS)前の洞およびOMC解剖学的形態の断面図を示す。
【図2】OMC内へのおよびからの粘液線毛フローを示すフローチャートである。
【図3】手術(FESS)後の洞およびOMC解剖学的形態の断面図を例証する。
【図4A】2つの引張部材を有するOMCクリップの複数の図を示す。図4Aは、クリップの斜視図である
【図4B】2つの引張部材を有するOMCクリップの複数の図を示す。図4Bは、OMC解剖学的形態内の図4Aのクリップの断面図である。
【図4C】2つの引張部材を有するOMCクリップの複数の図を示す。図4Cは、OMC解剖学的形態内の図4Aのクリップの内視鏡図を示す。
【図4D】1つの引張部材を有するOMCクリップの斜視図である。
【図5】「Y」型のOMCクリップを示す。図5Aは、クリップの斜視図である。図5Bは、OMC解剖学的形態内の5Aのクリップの内視鏡図を示す。
【図6】図6A〜6Bは、管状OMCクリップを図示する。図6Aは、クリップの一端の斜視図である。図6Bは、OMC解剖学的形態内の図6Aのクリップの内視鏡図である。図6Cは、鋭い先端を有する図6Aのクリップを示す。
【図7】OMCコイルの斜視図を示す。
【図8】図8A〜8Bは、OMC解剖学的形態内に設置された図7のコイルを示す。
【図9】図7のコイルとともに採用され得るロッキング機構の端面図を示す。図9Aは、圧縮ロッキング機構を示し、図9Bは、拡張ロッキング機構を図示する。
【図10】機能的内視鏡洞手術後の特定の使用のための、OMC解剖学的形態内の洞口鼻道クリップの別の変形例の斜視図を示す。
【図11】図11A〜11Eは、OMCに穿刺および/またはカニューレを挿入するためのマイクロカニューレの複数の図を示す。図11Aは斜視図、図11Bは正面図、図11Cは端面図、図11Dは側面図、および図11Eは側面断面図である。
【図12】図12A〜12Eは、OMCに穿刺および/またはカニューレを挿入するための極微針の複数の図を示す。図12Aは、斜視図であり、図12Bは、正面図であり、図12Cは、端面図であり、図12Dは、側面図であり、図12Eは、側面断面図である。図12F〜12Hは、図12Aの極微針で使用され得る種々の先端構成の斜視図。
【図13】図13A〜13Eは、OMCの組織を穿刺するための止め金の複数の図を示す。図13Aは、斜視図であり、図13Bは、正面図であり、図13Cは、端面図であり、図13Dは、側面図である。図13Eにおいて、逆とげ型の止め金端を示す。
【図14】図14A〜14Eは、OMCに穿刺および/またはカニューレを挿入するためのロッキング変形装置の複数の図を示す。図14Aは、斜視図であり、図14Bは、正面図であり、図14Cは、端面図であり、図14Dは、側面図であり、図14Eは、側面断面図であり、図14Fは、OMC解剖学的形態内の図14Aのロッキング変形ロッドを示す。
【図15】図15A〜15Cは、OMCに穿刺および/またはカニューレを挿入するためのロッキング変形装置の別の変形例の複数の図を示す。図15Aは、OMC解剖学的形態内の最初の挿入時の装置の側面断面図であり、図15B〜15Cは、OMC解剖学的形態内の装置のロッキングを示す。
【図16−1】図16A〜16Cは、種々の能動的固定要素の斜視図を示す。
【図16−2】図16D〜16Hは、種々の能動的固定要素の斜視図を示す。図16I〜16Lは、種々のリッジ構成の断面図を示す。
【図17】多数の篩骨蜂巣内に延在する任意の部分を有する装置の断面図を図示する。
【図18】上顎洞腔内に延在する任意の部分を有する別の装置の断面図を例証する。
【図19】洞腔内の装置を繋留する該洞腔内に延在する任意の部分を有する装置の斜視図を示す。
【図20】洞腔内に延在する複数の任意の柔軟な鎖を有する装置の斜視図を示す。
【図21】図21A〜21Bは、ビーズの形での自己集合装置を使用する洞開口部のカニューレ挿入を例証する。
【図22】図22A〜22Bは、三角箔の形での自己集合装置の別の変形例を例証する。
【図23】記述した装置に含まれてもよい特徴を通る種々のフローを示す。図23は、多孔質ビーズ、図24は、複数の端部および側面開口部を有する円筒形装置、および図25A〜25Bは、鶏卵箱様の表面設計を示す。
【図24】記述した装置に含まれてもよい特徴を通る種々のフローを示す。図23は、多孔質ビーズ、図24は、複数の端部および側面開口部を有する円筒形装置、および図25A〜25Bは、鶏卵箱様の表面設計を示す。
【図25】記述した装置に含まれてもよい特徴を通る種々のフローを示す。図23は、多孔質ビーズ、図24は、複数の端部および側面開口部を有する円筒形装置、および図25A〜25Bは、鶏卵箱様の表面設計を示す。
【図26】図21A〜21Bおよび図22A〜22Bの自己集合装置の送達のための装置の一変形例を図示する。
【図27】は、OMC解剖学的形態内の空間充填装置を示す。
【図28−1】図28A〜28Dは、OMCクリップの別の変形例を示す。図28Aは、2つのループクリップを示し、図28Bは、3つのループクリップを示し、図28Cは、集中的中心を有する4つのループクリップを示し、図28Dは、離間中心を有する4つのループクリップを図示する。
【図28−2】図28Eは、OMC解剖学的形態内の図28Aのクリップの断面図を示す。図28Fは、OMC解剖学的形態内の図28Aのクリップの内視鏡図を示す。
【図29】OMC解剖学的形態内、特に中鼻甲介上の例証的クリップに対する断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
詳細な説明
本明細書に記述した装置、方法、およびキットは、OMC炎症を治療するためのOMCへの活性薬剤の送達に関連する。OMCは、中鼻道と、前篩骨、上顎、および前頭洞の粘液線毛クリアランスおよび換気を提供する狭チャネルに隣接するおよびそれを含む領域とを含む。本明細書では、用語「洞口鼻道複合体」または「OMC」は、篩骨胞および前篩骨細胞の外側面である鼻壁によって外側を、中鼻甲介の外側面によって内側を、前面洞開口部に至るまでの前面陥凹によって(および含む)上方を、下鼻甲介の上面によって下方を、漏斗溝の終結および前篩骨細胞との基底ラメラの前面の接合部によって後方を、ならびに鉤状突起(その全体にもまた含まれる)の前側によって前方を境界された解剖学的空間を言う。篩骨蜂巣および胞が切除された場合、次いでOMCは、鼻壁によって外側を、残存中鼻甲介の外側面によって内側を境界される。また、中鼻甲介が切除された場合、次いでOMCは、鼻中隔によって内側を境界される。鉤状突起が切除された場合、次いでOMCは、中鼻甲介の前縁によって前方を境界される。
【0015】
図1A〜1Eに、洞解剖学的形態の手術(FESS)前の図を示す。具体的には、図1Aは、手術前の洞解剖学的形態の冠状洞図を図示し、図1Bは、OMCの分解冠状図であり、図1Cは、OMCの概略図であり、図1Dは、OMCの内視鏡図であり、図1Eは、洞OMCの矢状図である。
【0016】
具体的には、図1Aに示されるのは、前頭洞(100)、OMC(102)、および上顎洞(104)である。図1Bは、OMC(102)の部分分解冠状図である。上記のように、手術前(中鼻甲介と鉤状突起のどちらも切除されなかった場合)OMCは、篩骨胞(106)および前篩骨細胞(108)の鼻壁および外側面によって外側を、中鼻甲介の外側面によって内側を、前面洞開口部に至るまでの前面陥凹(110)によって(および含む)上方を、下鼻甲介(112)の上面によって下方を、漏斗溝(114)の終結および前篩骨細胞(108)との基底ラメラ(116)の前面の接合部によって後方を、ならびに鉤状突起(118)の前側によって前方を境界された解剖学的空間を言う。
【0017】
図2は、OMC(200)内へおよびからの粘液線毛フローを例証するフローチャートである。具体的には、粘液は、それぞれの入口部(210)を通ってOMCに入るために、篩骨胞(202)、前篩骨細胞(204)、前頭洞(206)、および上顎洞(208)から流れる。OMCからの粘液線毛フローは、中鼻道(212)に入り、順に、鼻腔(214)に入る。また、後篩骨蜂巣(216)からのフローは、鼻腔(214)にも入る。次いで、粘液は、鼻腔から、上咽頭、咽頭、下咽頭、および食道を介して消化管(218)に入る。
【0018】
図3は、手術(FESS)後の洞解剖学的形態の冠状図を提供する。そこに示されるのは、前頭洞(300)、手術後のOMC(302)、および上顎洞(304)である。上記のように、中鼻甲介が切除された場合、次いで、OMCは、鼻中隔によって内側を境界される。鉤状突起が切除された場合、次いで、OMCは、中鼻甲介の前縁によって前方を境界される。
【0019】
I.装置
副鼻腔炎およびその関連する呼吸状態を治療するための装置を本明細書に記述する。概して、装置は、局所徐放のためにOMC(その周囲解剖学的形態を含む)に送達される治療有効量の活性薬剤を含む。関連する呼吸状態は、前述のものに限定されることなく、OMCの炎症、機能的内視鏡洞手術(functional endoscopic sinus surgery:FESS)を含む手術に起因するOMCまたは洞腔炎症、呼吸器感染、副鼻腔炎(急性または慢性)、鼻炎、アレルギー性鼻炎、鼻副鼻腔炎(急性または慢性)、上気道感染症、中耳炎、気管支炎、細気管支炎、ぜんそく、扁桃炎ならびに扁桃腺およびアデノイドの他の慢性疾患、喉頭炎、気管炎、鼻ポリポーシスおよび洞ポリポーシス、大気道(large airway)および小気道(small airway)の新生物、ならびに鼻、洞、および鼻咽頭腫瘍からなる群より選択されてもよい。
【0020】
装置は、任意の寸法であってもよく、さらに後述するように、固体、半固体、生分解性、非生分解性、粘膜付着性、拡張性、多孔性またはフロースルー等であるように形成されてもよい。装置、または装置の任意の部分は、ゲル、発泡体、線形フィラメント、繊維、鎖、リボン、毛細管、管、織りおよび不織り網目もしくは骨格、シート、ミクロスフェア、微小粒子、マイクロカプセル、ナノ球体、ナノカプセル、ナノ粒子(例えば、多孔性シリコンナノ粒子)、疎水性薬物粒子等、原位置ゲル化製剤、原位置ボーラス形成組成物、パッチ、フィルム、微小錠剤、液体入りカプセル、リポソームおよび他の脂質ベースの組成物等(例えば、固体脂質ナノ粒子)、ペグ化化合物等、ハイドロゲル製剤、エマルジョン、マイクロエマルジョン、懸濁液、または他の任意の適切な薬物送達製剤を含んでもよいが、これらに限定されない。本明細書で使用されるようなゲルは、それら自体が結合されてもよく、またはされなくてもよい小さいマイクロまたはナノ粒子の多孔性ネットワークが液体培地容量に及ぶ、任意のコロイド系を言う。概して、ゲルは、明らかに固体のゼリー状物質である。重量および容量の両方で、ゲルは、液体培地の過剰分に暴露された場合、組成物において大部分が液体であるまたは液体となり、したがって、液体と同様の密度を呈するが、固体の構造的干渉性を有する。ゲルは、ゲルの液体成分が気体と交換されたエーロゲルを含み、これは、別名発泡体またはナノ発泡体としてよく分類される。エーロゲルまたはナノ発泡体を含む発泡体は、液体または固体中の気泡の多くを捕捉することによって形成される物質であり、したがってコロイドのタイプともみなされ得る。繊維は、任意の連続フィラメントまたは他の不連続の伸長断片から成り、これは、種々の工程(例えば、押出、紡績、鋳造、紡績、切断またはスライス)を使用して生成されてもよく、特に、フィラメント、糸、弦またはロープに紡がれた場合、ならびにそれらが複合材料の構成要素として使用された場合、シートまたはフェルトに固められた場合、網目または織物に編み上げられたまたは織られた場合等に、他の構造に順に組み合わされてもよい。
装置は、自然または手術後の解剖学的形態を安定化、穿刺またはカニューレ挿入すること(例えば、OMC解剖学的形態および洞への、そこからの、その中のアクセスおよび可能性として導管を提供すること)、皮膚接着性(例えば、物理的なバリアもしくはコーティングとしてまたは組織分離スペーサとして働くことによって)を予防すること、ならびに手術または疾患過程によって除去される自然解剖学的特徴を交換または置換すること等の機械機能に任意で役立ってもよい。装置は、洞開口部、洞腔、および/または鼻腔内に延在し、そこへ活性薬剤を送達する任意の部分を有してもよく、その部分は、薬物送達以外の機能を有してもよい(例えば、機械機構によって、洞開口部の狭窄症を予防することまたは減少させることを含む)。装置は、下記実施例でさらに説明されるような、それらの配置、展開または変形、および対象とする構成への自己集合、ならびにその構成のロッキングまたは安定化のために、OMC解剖学的形態の任意の部分にそれらの固定を提供する特徴を有してもよい。後述されるそれらの装置および特徴に加えて、装置は、2006年4月4日に出願された出願者の同時係属米国特許出願第11/398,342号、表題「Device and Methods for Treating Paranasal Sinus Conditions」に記載されたそれらの装置(またはそれらの部分)を含んでもよく、参照することによりその全体が本願明細書に組み込まれる。これらの変形例において、装置は、後述されるようにOMC解剖学的形態内に適合するようにサイズ決定および形作られる。
【0021】
能動的および受動的固定
装置は、OMC解剖学的形態の任意の部分に装置を設置、配置、または繋留するのに有用であり得る能動的または受動的固定のために構成されてもよい。本明細書では、語句「能動的固定」、「能動的に固定する」等は、何らかの方法(例えば、(例えば、穿孔、穿刺、締め付け、組織内方成長の刺激等)でOMC解剖学的形態を視覚的に変化させる装置および方法を言う。同様に、語句「受動的固定」、または「受動的に固定する」等は、OMC解剖学的形態(例えば、空間充填、空間適合、摩擦適合、張力適合、粘膜接着等)を視覚的に変化させない装置および方法を言う。当然ながら、受動的固定のために構成された装置は、OMC解剖学的形態を目に見えて変化させ始めた場合、能動的固定装置となってもよい。また、装置は、能動的および受動的固定の両方のために構成されてもよいことを理解すべきである。例えば、装置は、OMC解剖学的形態(能動的部分)の領域を穿刺するように設計された一部分と、OMC解剖学的形態(受動的部分)の一部の部分を充填するために展開するように設計された別の部分とを含んでもよい。
【0022】
装置は、それを洞粘膜に能動的に固定するのに役立つ1つ以上の要素を含んでもよい。例えば、図16A〜16Lに示すように、能動的固定要素は、1つ以上のスパイク(16A)、矢印(16B)、対向スパイク(16C)、逆とげ(16D)、フック(16E)、三角リッジ(16F)、螺旋(16G)、スプリング(16H)等であってもよい。また、リッジは、形状が三角形であるのに加えて、円形(16I),四角形(16J)、一方向に配向または配置(16Kこれは平面リッジとして挿入されることができ、挿入方向に対して後方または近位で装置を引いた後に一方向に配置することができる)、陥凹(16L等の場合、しかし、上記の凸面および隆起形状の陥凹バージョンが、有望な内方成長を介して、あるいは受動的固定機構を介して能動的固定属性を提供し得る以前の設計の他の変形例も含む)等であるように形成されてもよい。さらに、任意の数のまたは全ての上記の能動的および受動的固定要素の組み合わせは、同じ装置内で使用されてもよい。上記のように、装置は、任意の寸法であってもよく、上記の固定技術は、押出、成形、鋳造、およびリソグラフィ技術によって形成されたもの等の微細構造および微小粒子装置にまで及ぶ。
【0023】
クリップ
装置は、一般的に、それ自体を洞粘膜に向けてまたは対して下方に保持するために、あるいは解剖学的形態の任意の切片を所望の位置に保持するために(例えば、中鼻甲介を支持する場合等)設計された任意の構造である、クリップに構築されてもよい。図4Aおよび4Dは、本明細書に記述した方法とともに使用されてもよい例証的なクリップを提供する。例えば、図4Aに示されるのは、2つの引張部材(402)を有するクリップ(400)の斜視図である。図4Bは、OMC内に設置されたクリップ(400)の略図である。ここに示されるのは、鉤状突起(404)および中鼻甲介(408)に対してそれぞれ引張を受ける引張部材(402)である。これは、鉤状突起(404)および中鼻甲介(408)を横切るクリップ(400)が示される図4Cに内視鏡的に示される。図示したクリップは、鉤状突起と中鼻甲介との間に設置されるように構成されるが、そうである必要はない。例えば、装置は、鉤状突起、篩骨胞、中鼻甲介、および鼻壁のうちのいずれかの間に設置されるように構成されることができる。例えば、装置は、鉤状突起と中鼻甲介、篩骨胞と中鼻甲介、鉤状突起と篩骨胞、および中鼻甲介と鼻壁との間に設置されるように構成されてもよい。図4Dは、1つの引張部材(412)のみを有するクリップ(410)の斜視図を示す。図4Aおよび4Dに示す引張部材は、本質的に同様の形状を有することが図示されるが、一方で、引張部材は、クリップが適所に保持されるのに十分な引張を有することを可能にする任意の適切な形状であってもよい。同様に、クリップ(400)および(410)は、受動的固定装置として図示されるが、そうである必要はない。実際には、それらは、OMCの解剖学的形態を穿刺、穿孔、抑圧、またはその他変化させ得る上述のような能動的固定要素を含むように変更されてもよい。例えば、引張部材(402)および(412)は、鋭い縁を有するように、または本質上自己穿刺するように構成されることができる。同様に、図示したクリップは、概して本質的に長方形である部材を有するが、任意の適切なクリップ形状が使用されてもよい。かかる装置は、繊維、鎖、シート、支柱、織りもしくは不織り網目、または板構造に形成されてもよい、それらの部材(例えば、円形、楕円形、翼状、三角形、四角形、長方形等)に対して種々の横行特性を含んでもよい。
【0024】
図5Aは、概して本質的に「Y」型である、適切なクリップ(500)の別の変形例を示す。この変形例において、クリップ(500)は、3つの引張部材(502)で終結する3つの延長部材(504)を有する。図5Bは、OMC内に設置された装置の内視鏡図を示す。図4Cに示した装置設置と同様に、クリップ(500)は、鉤状突起(506)と中鼻甲介(510)との間に設置されるように構成され、篩骨胞(508)を横切る。再び、本明細書に記述したクリップは、任意の適切な形状であってもよく、能動的または受動的固定のために構成されてもよい。3つの延長部材を有するクリップ(500)が示されるが、任意の数の延長部材が実用的なものとして使用されてもよい。同様に、クリップは、図6A〜6Cに示すように、任意の引張部材を有さないように構成されてもよい。そこに示されるのは、クリップ本体(602)が、それを適所に維持するために適切な引張を適用させるように構成される、管状クリップ(600)である。図6Bは、クリップ設置の内視鏡図を示し、図6Cは、管状クリップが、クリップ本体(602)の端に位置付けられた鋭い先端(604)を介して能動的固定のために構成された、一変形例を示す。引張部材を有さないクリップは管状である必要はなく、図6A〜6Cに示した管状クリップは、単に、本明細書に記述した方法に従って使用され得る装置の例証的な実施例であることを理解すべきである。同様に、本明細書に記述したいずれかのクリップは、延長部材を外側または内側のいずれかに押圧するのに役立ち、場合によっては、それをOMC解剖学的形態内に固定するのに役立ち得る、拡張力(例えば、受動的固定装置)または圧縮力(例えば、能動的固定装置)を有するように構成されてもよい。
【0025】
図10は、手術後の処置のための例証的なクリップ(1000)を示す。図示されるように、クリップ(1000)は、クリップを手術後の解剖学的形態に、この場合には中鼻甲介(1004)に、能動的に固定するための一連の逆とげ(1002)または他の能動的固定要素を有する。また、この装置は、中鼻甲介を安定化させ、その側性化および外側鼻壁との接着形成を予防するのに、または部分的にもしくは完全に切除された手術後の鉤状突起の一部の機械機能の交換の機能を果たすのに役立ってよい。
【0026】
図28A〜28Dは、ループ繊維またはストリップで作られている適切なクリップ(2800)の別の変形例を示す。繊維またはストリップは、例えば平面または円形等の任意の特性であってもよい。クリップは、任意の数のループ(2802)を有するように構成されてもよい。クリップは、図28Aにおいて2つのループ(2802)、図28Bにおいて3つのループ(2802)、および図28C〜28Dにおいて4つのループ(2802)を有する。さらに、4つのループクリップは、図28Cに例証するような集中的中心(2804)、または図28Dに示すような離間中心(2806)を有するように構成されてもよい。図28Aのクリップの斜視図および内視鏡図をそれぞれ図28Eおよび28Fに示す。例えば、図28Eは、OMC解剖学的形態内に2つのループ(2802)を有するクリップ(2800)を示す。矢印で示すように、クリップを適所に受動的に固定するのに役立つように、ループの両端間に拡張張力があり得る。また、装置は、矢印で示すように、その中心点(2808)の周りを回転または巻き付いてもよい。図28Fは、鉤状突起(2810)および中鼻甲介(2812)を横切るおよびそれらに対して引張を受けるクリップ(2800)を示す。
【0027】
図29は、クリップが中鼻甲介に直接接続されるクリップの別の変形例を示す。図示するように、クリップ(2900)は、締め付けの方法で中鼻甲介(2902)を包囲および把持する。参照のために、前頭(2904)および上顎洞(2906)を示す。図29に示したクリップは、単純な円筒形装置として示すが、任意の適切なクリップ形状が使用されてもよい(例えば、「C型」または「U型」等)。一部の変形例において、「C型」または「U型」装置(つまり、開口溝またはスリットを有する)を有することは、鼻甲介のいずれかの側面から、または鼻甲介の下から鼻甲介上にクリップを滑り込ませるのに役立つように所望され得る。クリップは、帯のように鼻甲介の周りを完全に包む必要はないことを理解すべきである。クリップは、任意の数または組み合わせの受動的または能動的固定要素と、任意の数または組み合わせのフロースルー要素(例えば、空孔、溝等)とを有してもよい。
【0028】
コイル
また、装置は、一般的に一連のループであるコイルに構築されてもよい。コイルは、螺旋もしくはねじれ形、その他の形に構築されてもよく、あるいはその他、製造もしくは加工において支持部に対して繊維を巻くことによって形成されてもよい。図7は、OMC炎症を治療するために使用されてもよい別の装置を示す。ここに示されるのは、曲がり(702)および引張部材(704)を有するコイル(700)である。コイルは、任意の数の適切な曲がり(702)を有してもよい。上述したクリップと同様に、装置は、能動的または受動的固定のために(例えば、それらの端を鋭くさせるために引張部材を変化させることによって、あるいは、例えば、逆とげ等を含めることによって等、装置本体を変化させることによって)構成されてもよい。図8Aおよび8Bは、OMC解剖学的形態内に設置された図7のコイルを示す。これらの図に示したように、一方の引張部材(804)は、中鼻甲介(806)と篩骨胞(808)との間にあり、一方で、他方の引張部材(804)は、篩骨胞(808)および鉤状突起(810)の間にあり、曲がり部(802)でコイルがループを形成する。
【0029】
本明細書に記述したコイルは、例えば図9Aおよび9Bに示すようなロックまたはロッキング機構をさらに含んでもよい。図9Aに示されるのは、圧縮ロッキング機構(900)である。圧縮ロッキング機構(900)は、圧縮力がスプリングに印加された時に、スプリングの端が捕らえられるように、スプリングキャッチを含む。図9Bは、拡張ロッキング機構(902)の描写である。拡張ロッキング機構(902)は、一連の歯を含む。任意の数の適切な歯が使用されてもよい。ロッキング機構の歯は、拡張力がスプリングに印加された時に、スプリングが完全に開口するのを防ぐ。他のロッキング特徴は、後述のように使用されてもよい。
【0030】
穿刺およびカニューレ挿入
OMCの解剖学的形態に穿刺および/またはカニューレを挿入することができる装置に関しても本明細書において説明する。これらの装置は、鉤状突起上またはその中、前篩骨細胞上またはその中、あるいは中鼻甲介上またはその中に設置するように構成されてもよい。
【0031】
図11Aは、OMC解剖学的形態の一部を穿刺するために構成されたマイクロカニューレ(1100)の斜視図である。図11Bは、図11Aのマイクロカニューレ(1100)の正面図を示し、一方、図11Cは、マイクロカニューレ(1100)の端面図を示す。図11Dおよび11Eは、マイクロカニューレ(1100)の側面および断面側面図をそれぞれ示す。これらの図に示すように、マイクロカニューレ(1100)は、空間(1106)および管腔(1108)に接続するその遠位部分(1104)内の複数の開口部(1102)を含んでもよい。空間(1106)は、マイクロカニューレの先端(1110)と連通するように示されていないが、所望される場合はそのように設計されることができる。
【0032】
図12Aは、極微針(1200)の斜視図である。図12Bは、極微針(1200)の正面図であり、図12Cは、端面図である。同様に、図12Dおよび12Eは、極微針のそれぞれ側面および断面側面図である。極微針は、任意のゲージであることができ、管腔の有無に関わらず設計されることができる。極微針の遠位先端(1202)は、必要に応じて任意の構成であってもよい。例えば、遠位先端(1202)は、矢印(図12F)、逆とげ(図12G)、星形(図12H)等として構成されてもよい。
【0033】
図13Aは、止め金(1300)の斜視図を示し、一方、図13Bおよび13Cは、それぞれ正面および端面図を示す。図13Dは、止め金(1300)の上面図を示す。止め金(1300)は、植え込みの所望の領域、原料の種類、外科医の選好等のかかる要因に応じた任意のサイズおよび形であってもよい。また、止め金端(1302)および穿刺部材は、種々の構成であってもよい。例えば、図13Eに示すように、止め金端(1302)は、逆とげ(1304)を含んでもよい。また、止め金は、記憶材料、あるいは止め金端および穿刺部材をさらに固定する形状記憶もしくは粘膜付着性効果をもたらす種々の材料の組み合わせであってもよい。
【0034】
特定の装置に関して説明したが、それらは単に例証的な変形例にすぎないことを理解すべきである。実際には、OMC解剖学的形態の一部に穿刺またはカニューレを挿入するように構成された任意の装置は、本明細書に記述した方法での使用に適切であり得る。例えば、穿刺するように構成された装置の部分(例えば、装置先端)は、さまざまな構成を有してもよく、例えば、部分は、1つの穿刺縁または2つの穿刺縁を有することができる。さらに、装置は、ある期間にわたって、活性薬剤自体を局所的または全身的に放出するように形成されてもよく(例えば、薬物放出材料から構成、または薬物放出構成要素もしくは生分解性ポリマー等のコーティングを含む)、あるいは活性薬剤が送達され得る導管として構成されてもよい。
【0035】
ロッキングまたは変形
装置は、所望の構成もしくは解剖学的位置に装置を安定化もしくは固定するために、あるいはカニューレ等の別の機械機能を提供するために、図9Aおよび9Bに関してコイルに対して先に開示されたものに加えて、代替的なロッキングまたは変形特徴を利用してもよい。ロッキング特徴を有する穿刺およびカニューレ挿入装置の一変形例を図14A〜14Fに示す。図14Aに示されるのは、ロッキング−変形ロッド(1400)である。図14Bおよび14Cは、それぞれロッキング変形ロッド(1400)の正面および端面図である。図14Dおよび14Eは、それぞれ側面および断面側面図である。図14Fは、OMC解剖学的形態内に装置を挿入する例証的な方法を示す。図14Fに示すように、変形ロッド(1400)は、OMC解剖学的形態(1402)内にまたは介して遠位に移動し、次いで、変形ロッド(1400)の遠位先端(1404)が変形し、したがって装置を適所にロックできるように、近位に引き戻される。
【0036】
図15A〜15Cは、ロッキング変形部材(1500)の別の変形例を示す。図15Aに示すように、ロッキング変形部材(1500)は、摺動可能ロッド(1502)およびロッキング端(1504)を含む。摺動可能ロッド(1502)がロッキング変形部材(1500)内で近位に引かれるにつれ、ロッキング端(1504)は外側に変形し、部材(1500)をOMC解剖学的形態(1506)内の適所にロックする。図示した変形例において、摺動可能ロッド(1502)は、変形部材(1500)の変形後にのみ除去されてもよく、過程にあるOMC解剖学的形態を介して新しい管腔導管およびカニューレ挿入ポートを顕在化させる。
【0037】
幾つかの代替的な機械的ロッキング機構が使用されてもよい。実施例は、螺旋スリーブを締めること、方向性リッジ、同心管および内部摩擦(先細のまたはリッジ型管が使用される場合を含む)に対抗すること、ロックされた時に摩擦対抗を生じさせる非対称内部部材を回転させること(周囲の円形または楕円形部材の管腔内の回転する楕円形シリンダのように)、ロックされた時に装置の内側からまたは外側を介して(ポータルウィンドウを介するように)延在する隆起、または個々の部材変形(例えば、張力、展開を介してまたは圧縮を用いて)等を含む。かかるロッキング機構は、対象の構成または位置において装置を可逆的または不可逆的に保持してもよい。
【0038】
OMCの外側の装置延長
装置は、洞開口部、洞腔、鼻道、および/またはOMCの境界を越える他の領域内に存在する部分または部材を任意に含むように設計されてもよい。例えば、図17に示すように、装置(1700)は、OMC部分(1702)と、1つ以上の洞腔内に延在する洞部分(1704)とを有してもよい。図17において、装置(1700)は、粘液ドレナージのための付属開口部を作成ために、篩骨胞(1706)と前篩骨細胞(1710)との間で篩骨胞(1706)および中隔(1708)に穿刺およびカニューレを挿入する。別の変形例において、図18に示すように、図15A〜15Cの先の記述によるロッキング変形装置は、自然または外科的手術を介して洞開口部上へのその配置(変形)後、および摺動可能ロッド部材の除去し、残存する変形部材内の管腔が顕在化された後が示される。そのように配置されたロッキング変形装置(1800)は、開口部分(1802)と、OMC部分(1806)から延在する洞部分(1804)としてのロッキング端(1804)とを含む。この場合、開口部分(1802)は、自然入口部(1808)内に横臥する。さらなる変形例において、洞部分は、装置をOMC内に固定させる繋留部材を含んでもよい。例えば、図19は、OMC内の第1の端(1902)と、洞開口部(1906)から上顎洞(1908)へ通り抜ける第2の端(1904)とを有する装置(1900)を示す。装置(1900)が上顎洞(1908)から離脱されると、第2の端(1904)は、上顎洞(1908)内に第2の端(1904)を繋留できるように放射状に展開するように構成される。さらに別の変形例において、任意の部分は、薬剤溶出性の柔軟な鎖またはカニューレ管(穿孔されてもよく、またはされなくてもよい)を含んでもよい。例えば、図20に示すように、拡張ロッキング機構(2002)を有する装置(2000)は、洞開口部、洞腔、および/または関連漏斗(例えば、篩骨漏斗)もしくは陥凹内に延在するように構成された複数の柔軟な薬剤溶出性の鎖(2004)を含む。図17〜20に記述した延長部分または部材は、単に、本明細書に記述された方法に従って使用され得る延長部分および部材の例証的な実施例であり、任意の構成の延長部分または部材が用いられ得ることを理解すべきである。
【0039】
自己集合
装置は、洞腔内に自己集合し、複数のより小さな構成部品からより大きな対象の構成を作成するように構成されてもよく、それらの設計において対称的もしくは一様であっても、またはなくてもよい。図21Aに示すような、より大きな集合構成は、例えば、注入、カニューレ挿入、洗浄、プレッツ処置、または他の設置技術によって洞腔(2102)内に設置され、通常の粘液線毛輸送を介して自然入口部(2104)に移動する種々のサイズのビーズ(2100)を含んでもよい。図21Bは、洞開口部(2104)内のビーズ(2100)の拡大図である。ビーズが入口部(2104)を通過するにつれて、より大きなビーズは、堆積されたビーズ間(後述のように、多孔性ビーズも使用される場合にビーズ内でも)の間隙の周りでおよびそれを介して可能な粘液線毛クリアランスとともに、入口部に徐々にカニューレを挿入するように留置される。より小さなビーズは、入口部が再び開口すると放出される。
【0040】
また、自己集合装置は、三角箔等の非対称形状から構成されてもよい。図22Aに示すように、洞腔(2202)内に設置された三角箔(2200)は、通常の粘液線毛クリアランスに起因して自然入口部(2204)に向かって移動する。図22Bは、三角箔(2200)がどのように入口部(2204)でクラスター形成し、しかしそれらの特定の形状のために、ほぼ必ずそこを通じて流れることを可能にすることができることを示す洞腔内からの入口部の端面図である。かかる用途に適している対称的および非対称な形状の他の実施例は、特に、ミクロスフェア、ループ、輪、波形ストリップおよび管を含み、それら全ては、閉塞または粘液線毛クリアランスの防止なしに自己集合および連動してもよい。
【0041】
自己集合装置は、種々の導管、例えば、操縦可能なカテーテル、血管カテーテル、針等を含むカテーテルを使用して、洞内へ導入されてもよい。導管は、洞腔内への自己集合装置の送達のための遠位開口部および/または複数の側面開口部を含んでもよい。例えば、図26に示すように、導管(2600)は、鼻腔および鉤状突起(2602)を介して篩骨蜂巣(2604)内に前進する。導管の遠位端(2606)は、複数の側面開口部(2608)を含む。篩骨蜂巣(2604)内に入り次第、自己集合装置は、シリンジ、押し込みロッド、加圧気体、または当技術分野において既知の他の技術を使用して、導管の側面開口部(2610)を介して篩骨蜂巣(2604)内に投与されてもよい。装置は、プレッツ処置を使用して洞腔内に設置されてもよい。
【0042】
空隙率およびフロースルー
装置は、連続性粘液線毛クリアランスを可能にする種々の特徴あるいはそれらを介しておよび/またはそれらの周りの粘液の流れを促進する特徴を含むように構成されてもよい。例えば、図23に示すように、装置は、矢印で示すように、粘液がそこを通じて流れるようにする1つ以上の多孔性ビーズ(2300)を含んでもよい。また、装置は、穿孔構造(例えば、空孔、溝等)として形成されてもよい。図24に示されるのは、チャネル(図示せず)によって相互接続された複数の端開口部(2402)および側面開口部(2404)を有する円筒形装置(2400)である。矢印の方向で示すように、粘液は、側面開口部(2402)内におよび端開口部(2402)から、ならびにその逆も同様に流れてもよい。別の変形例において、図25Aおよび25Bに示すように、装置の表面は、粘液が、図25Bの矢印で示すような凹面によって形成されたくぼみを介して流れることができるように、一連の凹面2500(図25Aにおいて(−)で示す)および凸面2502(図25Aにおいて(+)で示す)を含むように織り込まれてもよい。フロースルーおよび連続性粘液線毛クリアランスのための他の適切な構造は、ゲル、スポンジ、多孔性モノリス、織りおよび不織り網目等を含むがこれらに限定されない。本明細書に提供される方法および装置とともに使用される適切な空隙率およびフロースルー材料の例証的であるが限定されない実施例は、以下の参考文献に概してまたは概念的に記述される。Sarkarら、Development and Characterization of a Porous Micro−patterned Scaffold for Vascular Tissue Engineering Applications.Biomaterials 27:4775−4782(2006);Rezwanら、Biodegradable and Bioactive Porous Polymer/inorganic Composite Scaffolds for Bone Tissue Engineering.Biomaterials 27:3413−3431(2006);Svec F,Porous Monoliths.Recent Developments in LC Column Technology June:2−6(2003);Landgrafら、Polymer Microcarrier Exhibiting Zero−Order Release.Drug Delivery Technology3(1):1-12(2003);Luら、In vitro and in vivo degradation of Porous Poly(DL−lactic−co−glycolic acid)Foams.Biomaterials 21:1837−1845(2000);Mooneyら、Novel Approach to Fabricate Porous Sponges of Poly(D,L−lactice−co−gylcolic acid)Without the use of Organic Solvents.Biomaterials 17:1417−1422(1996);およびBenson JR.Highly Porous Polymers.American Laboratory April(2003)。
【0043】
空間充填および展開
本明細書に記述した装置は、鉤状突起、篩骨胞、中鼻甲介、鼻壁、およびそれらの任意の組み合わせ間の空間を充填するように適合されてもよい。例えば、装置は、鉤状突起と中鼻甲介との、篩骨胞と中鼻甲介および/または鉤状突起との間の空間を充填するように適合されることができる。空間充填のための適切な装置は、ゲル、発泡体,ミクロスフェア、微小粒子、マイクロカプセル、ナノ球体、ナノカプセル、ナノ粒子(例えば、多孔性シリコンナノ粒子もしくは固体脂質ナノ粒子)、疎水性薬物粒子等、原位置ゲル化製剤、原位置ボーラス形成組成物、パッチ、フィルム、微小錠剤、液体入りカプセル、リポソームおよび他の脂質ベースの組成物等、ペグ化化合物等、ハイドロゲル製剤、エマルジョンもしくはマイクロエマルジョン、懸濁液、または他の任意の適切な薬物送達製剤を含むがこれらに限定されない。例えば、図27に示すように、空間充填装置(2700)は、篩骨胞(2704)、中鼻甲介(2706)、および鉤状突起(2708)間の空間を充填するために、導管(2702)を介して送達される。可視化道具(2710)、例えば内視鏡は、OMC内の適切な位置に装置を送達するのに役立つように使用されてもよい。
【0044】
装置の設置時の空間充填に加えて、ゴム状弾性を有する材料等の場合において可逆的に、あるいは塑性的に変形され得る材料等の場合において不可逆的に、水和とともに展開する材料の使用を介して、ポリマーもしくは非ポリマー形状記憶材料の使用を介して、または機械的展開を介して、空間充填は、設置後の装置寸法の配置済みの展開によって達成されてもよい。本明細書に提供される方法および装置とともに使用するための適切な空間充填および展開材料の例証的であるが限定されない実施例は、以下の参考文献において概してまたは概念的に説明される。Ha(‥)gerstro(‥)m H Polymer Gels as Pharmaceutical Dosage Forms.Dissertation for the Degree of Doctor of Philosophy (Faculty of Pharmacy)in Pharmaceutics.Comprehensive Summaries of Uppsala Dissertations for the Faculty of Pharmacy 293:76(2003);Guanら、Fabrication of Polymeric Microparticles for Drug Delivery by Soft Lithography.Biomaterials 27:4034−4041 (2006);およびVilaら、PEG−PLA Nanoparticles as Carriers for Nasal Vaccine Delivery.Journal of Aerosol Medicine 17(2):174−185(2004)。上述の空隙率およびフロースルー項目における特定された一部の参考文献は、等しい適用性も有す。
【0045】
活性薬剤
任意の活性薬剤は、それらがOMC炎症または関連する呼吸状態を治療するのに適しており、所望の放出動力学を達成することができる限り、本明細書に記述した装置に含まれてもよい。炎症は、病原体、損傷細胞、炎症性疾患、または刺激物等の有害な刺激に対する血管および周囲組織の複合体生物学的反応を記述するために、ならびに保護および治癒機能の両方を含むために本明細書において一般的に使用される。本明細書に記述したような炎症の治療は、有害な刺激(抗菌活性薬剤等を用いて)の治療、細胞(脈管構造から粘膜壁への組織の炎症細胞動員および浸潤(例えば、特に好中球、好酸球)に作用する活性薬剤等)および分子炎症反応(細胞受容体に影響する活性薬剤、シグナル変換、核因子シグナル伝達、核酸転写または転写抑制、翻訳、翻訳後修飾、滲出性サイトカイン放出ならびに病的および関連細胞による細胞外シグナル伝達等)の治療、および治癒反応(起源細胞型の支持細胞再生(例えば、血管新生および/または増殖因子のための活性薬剤)または瘢痕組織との傷害組織の交換のいずれかを介す活性薬剤等)、ならびにその急性、慢性、または外傷性徴候の治療および援助を含んでもよい。他の活性薬剤は、手術、装置の埋め込み、もしくは手術後の炎症、装置に対する異物反応および2次感染に起因する炎症、または装置自体のバイオフィルム形成および微生物コロニー形成等における他の治療に続発する状態または合併症を治療するために使用されてもよい。一変形例において、活性薬剤は、装置上のコーティングに含まれてもよい。別の変形例において、活性薬剤は、微小粒子(例えば、親水コロイド微小粒子またはポリマー微小粒子)内に被包されてもよい。そのような装置に使用され得る活性薬剤は、抗コリン薬、抗ヒスタミン薬、抗感染症剤、抗炎症剤、抗瘢痕もしくは抗増殖剤、化学療法/抗癌薬、インターフェロンおよびインターロイキン等のサイトカイン、うっ血除去薬、治癒促進剤およびビタミン(例えば、レチノイン酸、ビタミンA、デキサパンテノール、ビタミンB、およびそれらの誘導体)、高浸透圧剤、免疫調節/免疫抑制剤、ロイコトリエン修飾因子、粘液溶解薬、麻薬性鎮痛薬、小分子、チロシンキナーゼ阻害剤、ペプチド、タンパク質、核酸、血管収縮薬、またはそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない。アンチセンス核酸オリゴマーまたは他の直接的なトランス活性化および/またはmRNA発現、転写、およびタンパク質産生の転写抑制修飾因子が使用されてもよい。抗感染症剤は、概して、抗菌薬、抗真菌薬、抗寄生虫薬、抗ウイルス薬、および防腐薬を含む。抗炎症剤は、概して、ステロイド系および非ステロイド系抗炎症剤を含む。
【0046】
記述した方法および装置とともに使用するのに適切であり得る抗菌薬の実施例は、アミノ配糖体、アンフェニコール、アンサマイシン、βラクタム、リンコサミド、マクロライド、ニトロフラン、キノロン類、スルホンアミド、スルホン、テトラサイクリン、バンコマイシン、および任意のそれらの誘導体、またはそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない。一変形例において、βラクタムは、好適な抗菌薬である。
【0047】
記述した方法および装置とともに使用するのに適切であり得るβラクタムは、カルバセフェム、カルバペネム、セファロスポリン、セファマイシン、モノバクタム、オキサセフェム、ペニシリン、および任意のそれらの誘導体を含むがこれらに限定されない。一変形例において、ペニシリン(およびそれらの対応する塩)は、好適なβラクタムである。
記述した方法および装置とともに使用するのに適切であり得るペニシリンは、アムジノシリン、アムジノシリンピボキシル、アモキシシリン、アンピシリン、アパラシリン、アスポキシシリン、アジドシリン、アズロシリン、バカンピシリン、ベンジルペニシリン酸、ベンジルペニシリンナトリウム、カルベニシリン、カリンダシリン、クロメトシリン、クロキサシリン、シクラシリン、ジクロキサシリン、エピシリン、フェンベンシリン、フロキサシリン、ヘタシリン、レナンピシリン、メタンピシリン、メチシリンナトリウム、メズロシリン、ナフシリンナトリウム、オキサシリン、ペナメシリン、ペネタメートハイドリオダイド、ペニシリンGベネタミン、ペニシリンGベンザチン、ペニシリンGベンズヒドリルアミン、ペニシリンGカルシウム、ペニシリンGヒドラバミン、ペニシリンGカリウム、ペニシリンGプロカイン、ペニシリンN、ペニシリンO、ペニシリンV、ペニシリンVベンザチン、ペニシリンVヒドラバミン、ペニメピサイクリン、フェネチシリンカリウム、ピペラシリン、ピバンピシリン、プロピシリン、キナシリン、スルベニシリン、スルタミシリン、タランピシリン、テモシリン、およびチカルシリンを含むがこれらに限定されない。一変形例において、アモキシシリンは、副鼻洞装置に含まれてもよい。別の変形例において、装置は、アンピシリンを含む。また、Augmentin(登録商標)(アモキシシリンおよびクラブラン酸)等のクラブラン酸と組み合わされたペニシリンを使用してもよい。
【0048】
記述した方法および装置とともに使用するのに適した抗真菌薬の実施例は、アリルアミン、イミダゾール、ポリエン、チオカルバメート、トリアゾール、および任意のそれらの誘導体を含むがこれらに限定されない。一変形例において、イミダゾールは、好適な抗真菌薬である。用いられてもよい抗寄生虫薬は、アトバコン、クリンダマイシン、ダプソン、ヨードキノール、メトロニダゾール、ペンタミジン、プリマキン、ピリメタミン、スルファジアジン、トリメトプリム/スルファメトキサゾール、トリメトレキサート、およびそれらの組み合わせ等の薬剤を含む。
【0049】
記述した方法および装置とともに使用するのに適した抗ウイルス薬の実施例は、アシクロビル、ファムシクロビル、バラシクロビル、エドクスジン、ガンシクロビル、ホスカメト、シドビル(vistide)、ビトラセルト、ホミビルセン、HPMPA(9−(3−ヒドロキシ−2−ホスホノメトキシプロピル)アデニン)、PMEA(9−(2−ホスホノメトキシエチル)アデニン)、HPMPG(9−(3−ヒドロキシ−2−(ホスホノメトキシ)プロピル)グアニン)、PMEG(9−[2−(ホスホノメトキシ)エチル]グアニン)、HPMPC(1−(2−ホスホノメトキシ−3−ヒドロキシプロピル)−シトシン)、リバビリン、EICAR(5−エチニル−l−β−D−リボフラノシルイミダゾール−4−カルボキサミン)、ピラゾフリン(3−[β−D−リボフラノシル]−4−ヒドロキシピラゾール−5−カルボキサミン)、3−デアザグアニン、GR−92938X(1−β−D−リボフラノシルピラゾール−3、4−ジカルボキサミド)、LY253963(1、3、4−チアジアゾール−2−イル−シアナミド)、RD3−0028(l、4−ジヒドロ−2、3−ベンゾジチイン)、CL387626(4、4’−ビス[4、6−d][3−アミノフェニル−N−−、N−ビス(2−カルバモイルエチル)−スルホニリミノ]−1、3、5−トリアジン−2−イルアミノ−ビフェニル−−2−、2’−ジスルホン酸二ナトリウム塩)、BABIM(ビス[5−アミジノ−2−ベンズイミダゾリル−1]−メタン)、NIH351、およびそれらの組み合わせを含むがこれらに限定されない。
【0050】
記述した方法および装置とともに使用するのに適した防腐剤の実施例は、アルコール、クロロヘキシドリン、ヨウ素、トリクロサン、ヘキサクロロフェン、および銀を基にした薬剤(例えば、塩化銀、酸化銀、銀ナノ粒子)を含むがこれらに限定されない。
【0051】
典型的に、抗炎症剤の含有が所望される場合、ステロイド系抗炎症剤、例えばコルチコステロイドが用いられる。例示的なステロイド系抗炎症剤は、21−アセトキシプレグネノロン、アルクロメタゾン、アルゲストン、アムシノニド、ベクロメタゾン、βメタゾン、ブデソニド、クロロプレドニゾン、クロベタゾール、クロベタゾン、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチコステロン、コルチゾン、コルチバゾール、デフラザコート、デソニド、デスオキシメタゾン、デキサメサゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドナート、エノキソロン、フルアザコルト、フルクロロニド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオコルチンブチル、フルオコルトロン、フルオロメトロン、フルペロロン酢酸塩(fluperolone acetate)、フルプレドニデン酢酸塩、フルプレドニゾロン、フルランドレノリド、プロピオン酸フルチカゾン、ホルモコータル(formocortal)、ハルシノニド、ハロベタゾールプロピオン酸塩、ハロメタゾン、酢酸ハロプレドン、ヒドロコルタメート、ヒドロコルチゾン、ロテプレドノールエタボン酸塩(loteprednol etabonate)、マジプレドン(mazipredone)、メドリゾン(medrysone)、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、フランカルボン酸モメタゾン、パラメタゾン、プレドニカルベート、プレドニゾロン、プレドニゾロン25−ジエチルアミノ−酢酸塩、プレドニゾロンリン酸ナトリウム、プレドニゾン、プレドニバル、プレドニリデン、リメキソロン、チキソコルトール、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンベネトニド、トリアムシノロンヘキサセトニド、任意のそれらの誘導体、およびそれらの組み合わせを含む。一変形例において、ブデソニドは、ステロイド系抗炎症剤として装置に含まれる。別の変形例において、ステロイド系抗炎症剤は、フランカルボン酸モメタゾンであってもよい。さらに別の変形例において、ステロイド系抗炎症剤は、ベクロメタゾンであってもよい。その上さらなる変形例において、ステロイド系抗炎症剤は、プロピオン酸フルチカゾンであってもよい。
【0052】
非ステロイド系抗炎症剤が使用される場合、適切な薬剤は、COX阻害剤(COX−1またはCOX非特異的阻害剤)(例えば、サリチル酸誘導体、アスピリン、サリチル酸ナトリウム、トリサルチル酸コリンマグネシウム、サルサラート、ジフルニサル、スルファサラジンおよびオサラジン、アセトアミノフェン等のパラアミノフェノール誘導体、インドメタシンおよびスリンダク等のインドールおよびインデン酢酸、トルメチン、ジクロフェナクおよびケトロラク等のヘテロアリール酢酸、イブプロフェン、ナプロキセン、フルルビプロフェン、ケトプロフェン、フェノプロフェンおよびオキサプロジン等のアリールプロピオン酸、メフェナム酸およびメロキシカム等のアントラニル酸(フェナム酸)、オキシカム(ピロキシカム、メロキシカム)等のエノール酸ならびにナブメトン等のアルカノン)ならびに選択的COX−2阻害剤(例えば、ロフェコキシブ等のジアリール置換フラノン、セレコキシブ等のジアリール置換ピラゾール、エトドラク等のインドール酢酸およびニメスリド等のスルホンアニリド)を含むがこれらに限定されない。
【0053】
本明細書に記述した装置において使用され得る化学療法/抗癌薬は、アルキル化剤またはそれらのDNAを攻撃することによって、癌細胞を直接死滅させる他の薬剤(例えば、シクロホスファミド、イソホスファミド)等の抗腫瘍薬(例えば、癌化学療法剤、生物学的反応修飾因子、血管新生阻害剤、ホルモン受容体遮断薬、凍結治療薬または新生組織形成もしくは腫瘍形成を破壊もしくは阻害する他の薬剤)、ニトロソウレアまたは細胞のDNA修復に必要な変化を阻害することによって、癌細胞を死滅させる他の薬剤(例えば、カルムスチン(BCNU)およびロムスチン(CCNU))、代謝拮抗薬および特定の細胞機能、通常DNA合成に干渉することによって、癌細胞増殖をブロックする他の薬(例えば、6−メルカプトプリンおよび5−フルオロウラシル(5FU)、抗腫瘍抗生物質およびDNAを結合もしくは挿入し、RNA合成を阻止することによって作用する他の化合物(例えば、ドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシンCおよびブレオマイシン)植物性(ビンカ)アルカロイドおよび植物に由来する他の抗腫瘍剤(例えば、ビンクリスチンおよびビンブラスチン)、ステロイドホルモン、ホルモン阻害剤、ホルモン受容体拮抗薬およびホルモン応答性癌の増殖に影響を及ぼす他の薬剤(例えば、タモキシフェン、ハーセプチン、アミノグルテタミドおよびフォルメスタン等のアロマターゼ阻害剤、レトロゾールおよびアナストラゾール等のトリアゾール阻害剤、エキセメスタン等のステロイド系阻害剤)、抗血管新生タンパク質、小分子、遺伝子治療および/または腫瘍の血管形成もしくは血管新生を阻害する他の薬剤(例えば、meth−1、meth−2、サリドマイド)、ベバシズマブ(Avastin)、スクアラミン、エンドスタチン、アンジオスタチン、アンギオザイム、AE−941(Neovastat)、CC−5013(Revimid)、medi−522(Vitaxin)、2−メトキシエストラジオール(2ME2、Panzem)、カルボキシアミドトリアゾール(CAI)、コンブレタスタチンA4プロドラッグ(CA4P)、SU6668、SU11248、BMS−275291、COL−3、EMD121974、IMC−1C11、IM862、TNP−470、セレコキシブ(Celebrex)、ロフェコキシブ(Vioxx)、インターフェロンα、インターロイキン−12(IL−12)または参照により本願明細書に明確に組み込まれるScience Vol.289、Pages1197−1201(2000年8月17日)において同定された任意の化合物、生物学的反応修飾因子(例えば、インターフェロン、カルメットゲラン菌(bacillus calmette−guerin:BCG)、単クローン抗体、インターロイキン2、顆粒球コロニー刺激因子(granulocyte colony stimulating factor:GCSF)等)、PGDF受容体拮抗薬、ハーセプチン、アスパラギナーゼ、ブスルファン、カルボプラチン、シスプラチン、カルムスチン、クロラムブシル、シタラビン、ダカルバジン、エトポシド、フルカルバジン、フルオロウラシル、ゲムシタビン、ヒドロキシウレア、イフォスフォミド、イリノテカン、ロムスチン、メルファラン、メルカプトプリン、メトトレキサート、チオグアニン、チオテパ、トムデックス、トポテカン、トレオスルファン、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ミトアジトロン、オキサリプラチン、プロカルバジン、ストレプトシン、タキソールもしくはパクリタキセル、タキソテール、類似体/同類物、かかる化合物の誘導体、ならびにそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。
【0054】
OMC装置内に組み込まれ得る例示的なうっ血除去薬は、エピネフリン、プソイドエフェドリン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、テトラヒドロゾリジン、およびキシロメタゾリンを含むが、これらに限定されない。使用され得る粘液溶解薬は、アセチルシステイン、ドルナーゼα、およびグアイフェネシンを含むが、これらに限定されない。また、アゼラスチン、ジフェンヒドラミン、およびロラチジン等の抗ヒスタミン剤が使用されてもよい。
【0055】
組織から水を除去することが望ましいこれらの場合において、例えば、ポリープまたは浮腫組織から流体を除去するために、高浸透圧剤が用いられてもよい。適切な高浸透圧剤は、フロセミド、塩化ナトリウムゲル、または粘液層のモル浸透圧濃度を直接的または間接的に変化させる組織または物質から水を取り出す他の塩製剤を含むが、これらに限定されない。
【0056】
材料
装置がポリマーで作られる場合、用いられる生分解性または非生分解性ポリマーの選択は、所望の滞留時間および放出動力学、装置送達の方法、使用される特定の治療薬等によって異なる。全ての場合において、生分解性ポリマーは、分解される時に生理的に許容可能な分解産物をもたらす。
【0057】
OMC装置の産生に用いる適切な生分解性および生体適合性ポリマーは、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)、ポリ(ラクチド)/ポリ(エチレングリコール)コポリマー、ポリ(グリコリド)/ポリ(エチレングリコール)コポリマー、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)/ポリ(エチレングリコール)コポリマー、ポリ(乳酸)/ポリ(エチレングリコール)コポリマー、ポリ(グリコール酸)/ポリ(エチレングリコール)コポリマー、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)/ポリ(エチレングリコール)コポリマー、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(カプロラクトン)/ポリ(エチレングリコール)コポリマーポリ(オルトエステル)、ポリ(ホスファゼン)、ポリ(ヒドロキシ酪酸塩)もしくはポリ(ヒドロキシ酪酸塩)を含むコポリマー、ポリ(ラクチド−co−カプロラクトン)、ポリカーボネート、ポリエステルアミド、ポリ酸無水物、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(アルキレンアルキレンアルキレート)、ポリエチレングリコールおよびポリオルトエステルのコポリマー、生分解性ポリウレタン、ポリ(アミノ酸)、ポリエーテルエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリ(オキシエチレン)/ポリ(オキシプロピレン)コポリマー等のポリマー、またはそれらの混合物もしくはコポリマーを含むが、これらに限定されない。ドイツ、アーヘンのnmemoScienceによって商品化されたもの、または米国第5,189,110号もしくは米国第5,139,832号に記載されたもの等の生分解性形状記憶ポリマーは、異なるコポリマーの多層または隣接コーティング(Venkatraman SSら、Biodegradable Stents with Elastic Memory.Biomaterials 27:1573−1578(2006)に記載のように)を使用した上記のコポリマーの形状記憶構成として用いられてもよい。また、Zhengら、Shape Memory Properties of poly(D,L−lactide)/hydroxyapatite composites.Biomaterials 27:4288−4295(2006)を参照。
【0058】
本明細書では、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)は全て、PLG、PLGポリマー、またはラクチド/グリコリドポリマーと称される。本発明の薬物送達装置および組成物のためのラクチド/グリコリドポリマーは、典型的にラクチドおよびグリコリドモノマーの開環を介して溶融重合によって作られる。一部のポリマーは、カルボン酸末端基の有無に関わらず使用可能である。ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(ラクチド)、またはポリ(グリコリド)の末端基がカルボン酸でなく、例えば、エステルである場合、結果として生じるポリマーは、本明細書においてブロックまたはキャップされたと称される。逆に、ブロックされていないポリマーは、端カルボン酸基を有する。一変形例において、線状ラクチド/グリコリドポリマーが使用されるが、しかしながら、星形ポリマーが使用されてもよい。他の変形例において、高分子量ポリマーは、本発明の装置を形成するために、例えば強度要件を満たすためおよびバイオ吸収を延長するために使用されてもよい。他の場合において、低分子量ポリマーは、再吸収時間が重要であり、材料強度が重要でない場合に使用されてもよい。ポリマーのラクチド部分は、非対称炭素を有する。ラセミDL−、L−、およびD−ポリマーは、本発明の装置に含めるために商業化が可能である。L−ポリマーは、より結晶性であり、DL−ポリマーよりも遅く再吸収する。グリコリドおよびDL−ラクチドまたはL−ラクチドを含むコポリマーに加えて、L−ラクチドおよびDL−ラクチドのコポリマーもまた商業化が可能である。さらに、ラクチドまたはグリコリドのホモポリマーは、商業化が可能である。ラクチドまたはグリコリドの星形ポリマーあるいはラクチド/グリコリドコポリマーもまた商業化が可能である。
生分解性ポリマーがポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(ラクチド)、またはポリ(グリコリド)である場合において、ポリマー中のラクチドおよび/またはグリコリドの量は異なってもよい。一変形例において、生分解性ポリマーは、約0から約100モル%、約40から約100モル%、約50から約100モル%、約60から約100モル%、約70から約100モル%、または約80から約100モル%ラクチドと、約0から約100モル%、約0から約60モル%、約10から約40モル%、約20から約40モル%、または約30から約40モル%グリコリドとを含有し、ラクチドおよびグリコリドの量は、100モル%である。他の変形例において、生分解性ポリマーは、ポリ(ラクチド)、約85:15ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、約75:25ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、約65:35ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、または約50:50ポリ(ラクチド−co−グリコリド)であってもよく、比率はモル比である。生分解性ポリマーが繊維である場合、それらは、押出過程を介して作られてもよい。例えば、ポリマーは、適切な直径を有する繊維を形成するために、融液相過程を介して押し出されてもよい。次いで、繊維は、所望される場合より小さな直径にさらに縮小されてもよい。押出温度は、典型的にポリマーの溶融温度よりも高く、選択したポリマー型によって異なる。引き抜き過程は、典型的に、ガラス転移温度よりも高い温度でポリマーを引き抜くことと、次いで、ガラス転移温度と溶融温度との間の温度でポリマーを熱設定することとを含む。繊維は、任意の適切な長さであってもよい。繊維網目は、ブレイズにするまたは織ることによって形成されてもよく、網目密度は、張力、針空間、繊維直径等によって制御されてもよい。また、繊維は、本明細書に組み込まれる幾つかの参考文献に詳述されるようにコーティング(同時押出、スプレーコーティングまたは浸漬(液浸、間隙、カーテンまたはその他)コーティング)されてもよい。
【0059】
別の変形例において、生分解性ポリマーがポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(ラクチド)、またはポリ(グリコリド)である場合、ポリマーは、30℃で0.5g/dLの濃度のクロロホルムにおいて測定されるように、約0.15から約1.5dL/g、約0.25から約1.5dL/g、約0.25から約1.0dL/g、約0.25から約0.8dL/g、約0.25から約0.6dL/g、または約0.25から約0.4dL/gの固有粘度を有する。種々の溶剤、可塑剤、ポロシゲンおよび他の賦形剤は、生分解および薬物放出速度に影響を与えるために、ポリマーに添加されてもよい。分解速度に影響を及ぼす要因に関しては、例えば、Tracyら、Factors Affecting the Degradation Rate of Poly(lactide−co−glycolide)Microspheres in vivo and in vitro.Biomaterials 20:1057−1062(1999)およびWu XS and Wang N,Synthesis,Characterization,Biodegradation,and Drug Delivery Application of Biodegradable lactic/glycolic acid Polymers.Part II:Biodegradation.J.Biomater.Sci.Polymer Edn.12(1):21−34(2001)を参照。
【0060】
非生分解性ポリマーが装置または組成物を作るためまたはその中に組み込むために使用される場合、適切な非生分解性ポリマーは、ポリ(エチレン酢酸ビニル)、ポリ(酢酸ビニル)、シリコーンポリマー、ポリウレタン、セルロースポリマーおよびセルロース誘導体等の多糖、アシル置換酢酸セルロースおよびその誘導体、ポリ(エチレングリコール)およびポリ(ブチレンテレフタラート)のコポリマー、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル,ポリフッ化ビニル、ポリ(ビニルイミダゾール)、クロロスルホン化ポリオレフィン、ポリエチレンオキシド、ならびにそれらのコポリマーおよび混合物を含むが、これらに限定されない。
【0061】
さらに、装置、またはその任意の部分は、粘膜付着性である任意の生体適合性、生分解性または非生分解性ポリマーから作られてもよい。一部の場合において、装置は、ポリマー(例えば、PLGポリマー、ポリアクリル酸(NoveonTM、CarbopolTM)、カラギーナン、アルギン酸塩、キサンタンガム、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、キチン、キトサン、ヒアルロン酸、レクチンおよびそれらの誘導体から例えば構成される、ハイドロゲル等固体および半固体材料)であってもよくまたはなくてもよい、粘膜付着性のものでコーティングされてもよい。粘膜接着の微視的性質の幾つかの理論が存在し、吸着、拡散、電子、破壊および湿潤理論は全て、粘膜付着性材料の一部の所望の特性を説明する。実験的に、粘膜付着性の強度は、以下に記載されるように、生体材料特性(製剤種類、水和および腫脹特性、分子量、濃度、ならびに官能基、荷電、イオン化、鎖柔軟性、架橋密度および空間的定位を含む化学構造)と、環境特性(水和状態、膨化、環境pH、接触時間および印加圧力)と、生理的特徴(粘液線毛クリアランス、粘液ターンオーバ、および病状)とに関連する。Ugwoke MIら、The Biopharmaceutical Aspects of Nasal Mucoadhesive Drug Delivery. Journal of Pharmacy and Pharmacology 53:3−22(2001);Edsman K and Hagerstrom H.Pharmaceutical Applications of Mucoadhesion for the Non−Oral Routes.Journal of Pharmacy and Pharmacology 57:3−22(2005);Woodley J.Bioadhesion:New Possibilities for Drug Administration?Clin Pharmacokinet 40(2):77−84(2001);Harikarnpakdeeら、Spray−dried Mucoadhesive Microspheres:Preparations and Transport Through Nasal Cell Monolayer.AAPS PharmSciTech 7(1):El−10(2006);Chowdary KPR and Rao YS Mucoadhesive Microspheres for Controlled Drug Delivery.Biol.Pharm.Bull.27(11):1717−1724(2004);Gaviniら、Mucoashesive Microspheres for Nasal Administration of an Antiemetic Drug, Metoclopramide:in vitro/ex−vivo Studies.Journal of Pharmacy and Pharmacology 57:287−294(2005);Jainら、Development and Characterization of Mucoadhesive Microspheres Bearing Salbutamol for Nasal Delivery.Drug Delivery 11:113−122(2004);Peppas NA and Huang Y.Nanoscale Technology of Mucoadhesive Interactions.Advanced Drug Delivery Reviews 56:1675−1687(2004);およびJastiら、Recent Advances in Mucoadhesive Drug Delivery Systems.Business Briefing:Pharmatech(2003)。選択した生体材料は、粘膜接着をさらに増強する上記の特性に対して多くの場合最適化されることができる。例えば、粘膜付着性のものは、膨張するように水を吸収し、付着性となってもよい。粘膜付着性およびそのような装置の展開は、OMC内の固定を促進するために使用されることができる。また、装置は荷電を運搬するポリマーから作られてもよい。
【0062】
また、粘膜付着性性質は、装置の巨視的機械的構成によって、特に、装置(またはその粘膜付着性部分)の総質量(平均分量ではない)比に対する表面領域、具体的には、総支持(粘膜接着によって)質量比に対する界面領域(粘膜に直接的に接触またはその他、粘液の流体相と接触している装置の領域)によって付与されてもよい。特定の材料では、一定の生体材料、環境、および生理的特性の範囲内において、より少ない質量に対して高い表面領域を有する異なる断面特性が、粘膜接着を最適化するために多くの場合最も有用である。これらの比率、および粘膜付着性は、生分解性材料が分解し、それらの生体材料特性が変化するにつれて変化し、これは、滞留時間およびクリアランス速度の平衡を保つことでもまた享受されることができる。
【0063】
別の変形例において、自然ポリマーが使用されてもよい。装置に含まれる代表的な自然ポリマーは、ゼイン、修飾ゼイン、レクチン、カゼイン、ゼラチン、グルテン、ウシ血清アルブミン、コラーゲン等のタンパク質およびそれらの誘導体と、セルロース、キチン、キトサン、デキストラン、ポリヒアルロン酸等の多糖およびそれらの誘導体とを含むが、これらに限定されない。また、多糖のヒドロゲルまたはゾルゲル混合物が用いられてもよい。
【0064】
一部の変形例において、装置(またはその任意の部分)は、金属から作られてもよい。適切な金属の実施例は、コバルト、クロム、ニッケル、白金、ステンレス鋼、チタン、タンタル、および任意のそれらの合金、例えば、ニッケル−チタン合金、ならびにそれらの組み合わせを含むが、これらに限定されない。さらに、ポリマーコーティングニチノール構造等の場合の金属およびポリマー装置の組み合わせもまた主張される。
【0065】
II.方法
また、副鼻腔炎およびその関連する呼吸状態を治療するための方法も記述する。概して、方法は、持続的期間にわたって、治療有効量の活性薬剤をOMCに局所的に送達する本明細書に記述したような装置をOMC内に設置するステップを含む。活性薬剤は、上述のように、使用する装置に応じてOMCの任意の構造または組織に送達されてもよい。例えば、活性薬剤は、鉤状突起、篩骨胞、中鼻甲介、鼻壁、またはそれらの任意の組み合わせに送達されてもよい。活性薬剤は、約1週間、約2週間、約3週間、約1ヶ月、約2ヶ月、または約3ヶ月以上の期間にわたって送達されてもよい。装置の異なる部分は、異なる期間にわたって活性薬剤を送達するように構成されてもよい。さらに、装置の異なる部分は、異なる投薬量の活性薬剤を送達してもよい。同様に、より短期的および長期的薬物または送達用量の組み合わせが使用されてもよい。
【0066】
装置は、能動的固定方法、受動的固定方法、または両方法の組み合わせよってOMC内に設置されてもよい。上述のように、能動的固定は、OMCの構造上または内に装置を設置する任意の方法を含み、その方法は、OMC解剖学的形態を視覚的に変化させる。例えば、穿孔、穿刺等を含む方法は、能動的固定とみなされ得る。また、上述のように、受動的固定は、OMC解剖学的形態を視覚的に変化させずに、OMC内に装置を設置する任意の方法を含む。例えば、これらの方法は、空間充填、空間適合、摩擦適合、および張力適合を含んでもよい。また、可視化を援助するための道具、例えば内視鏡が装置の設置時に使用されてもよい。
【0067】
III.キット
本明細書に記述した装置は、活性薬剤をOMCに送達するためのキットに含まれてもよい。本明細書に記述した装置のいずれか1つに加えて、キットは、装置を送達するまたは装置送達を援助する構成要素を含んでもよい。例えば、カテーテル(誘導カテーテルを含む)、ガイドワイヤ、イントロデューサ、シース等は、キットに含まれてもよい。カテーテルおよびガイドワイヤは、可鍛性、形状事前設定、または操縦可能であてもよい。滑らかなコーティング、例えばTeflonTMまたはハイドロゲルコーティングは、所望される場合に、送達装置の外または内表面上に提供されてもよく、例えば、Thierryら、Bioactive Coatings of Endovascular Stents Based on Polyelectrolyte Multilayers.Biomacromolecules 4:1564−1571(2003)を参照。他のかかる装置は、プレッツ処置もしくは直ヘッド位置洗浄またはOMC領域等の技術を使用することによって、それらの展開または自己集合に先立って送達されてもよく、その場合において、キットは、装置(例えば、生理食塩水洗浄剤)のための適切な液体キャリアを含んでもよい。特定のコロイド装置のための、またはそれらの使用に先立って形成されたゲルもしくは発泡体を含有するものの多くを含むコロイド構成要素を有するキットは、別々の液体もしくは気体成分をそれらの各キット内にさらに含有してもよい。また、キットは温度、湿度、および/または圧力制御された容器も含んでもよい。
【0068】
キットは、2つ以上の種類の装置を含んでもよい。例えば、空間充填または自己集合装置は、カニューレ挿入インプラントとともにパッケージ化されてもよい。かかるキットとともに、カニューレ挿入インプラントは、穿刺および標的領域内にポートを提供するために使用されてもよい。例えば、空間充填または自己集合装置は、次いで、ポートを介して洞開口部または洞腔内に送達されてもよい。
【0069】
前述の発明は、理解の明確さの目的のために例証および実施例を通じてやや詳しく説明したが、特定の変更および修正が、添付の請求項の精神および範囲から逸脱することなくそれらになされ得ることは、本発明の教示に照らして当業者には容易に明らかであろう。本明細書に挙げられた全ての特許、出版物、学術論文、および他の参考文献は、それぞれ参照することにより個別に組み込まれるのと同様に、それら全体を参照することにより組み込まれる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
副腔炎および関連する呼吸状態を治療するための移植可能な持続性薬物送達装置であって、治療有効量の活性薬剤を含み、該装置は、局所徐放のために該活性薬剤を洞口鼻道複合体に送達する、装置。
【請求項2】
前記関連する呼吸状態は、前記洞口鼻道複合体の炎症、手術に起因する洞口鼻道複合体または洞腔の炎症、副鼻腔炎、鼻炎、鼻副鼻腔炎、上気道感染症、中耳炎、気管支炎、細気管支炎、ぜんそく、扁桃炎ならびに扁桃腺およびアデノイドの他の慢性疾患、喉頭炎、気管炎、鼻ポリポーシスおよび洞ポリポーシス、大気道および小気道の新生物、ならびに鼻の腫瘍、洞の腫瘍、または鼻咽頭の腫瘍からなる群より選択される、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記呼吸状態は、前記洞口鼻道複合体の炎症である、請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記関連する呼吸状態は、鼻ポリポーシスまたは洞ポリポーシスである、請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記活性薬剤は、抗コリン薬、抗ヒスタミン薬、抗感染症剤、抗炎症剤、抗瘢痕剤または抗増殖剤、化学療法剤または抗腫瘍剤、サイトカイン、うっ血除去薬、治癒促進剤およびビタミン、高浸透圧剤、免疫調節因子または免疫抑制剤、ロイコトリエン修飾因子、粘液溶解薬、麻薬性鎮痛薬、小分子、チロシンキナーゼ阻害剤、ペプチド、タンパク質、核酸、血管収縮薬、ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記活性薬剤は、抗炎症剤を含む、請求項5に記載の装置。
【請求項7】
前記抗炎症剤は、ステロイド系抗炎症剤を含む、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記ステロイド系抗炎症剤は、21−アセトキシプレグネノロン、アルクロメタゾン、アルゲストン、アムシノニド、ベクロメタゾン、βメタゾン、ブデソニド、クロロプレドニゾン、クロベタゾール、クロベタゾン、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチコステロン、コルチゾン、コルチバゾール、デフラザコート、デソニド、デスオキシメタゾン、デキサメサゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドナート、エノキソロン、フルアザコルト、フルクロロニド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオコルチンブチル、フルオコルトロン、フルオロメトロン、フルペロロン酢酸塩、フルプレドニデン酢酸塩、フルプレドニゾロン、フルランドレノリド、プロピオン酸フルチカゾン、ホルモコータル、ハルシノニド、ハロベタゾールプロピオン酸塩、ハロメタゾン、酢酸ハロプレドン、ヒドロコルタメート、ヒドロコルチゾン、ロテプレドノールエタボン酸塩、マジプレドン、メドリゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、フランカルボン酸モメタゾン、パラメタゾン、プレドニカルベート、プレドニゾロン、プレドニゾロン25−ジエチルアミノ−酢酸塩、プレドニゾロンリン酸ナトリウム、プレドニゾン、プレドニバル、プレドニリデン、リメキソロン、チキソコルトール、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンベネトニド、トリアムシノロンヘキサセトニド、ならびにそれらの誘導体および組み合わせからなる群より選択される、請求項7に記載の装置。
【請求項9】
前記抗炎症剤は、フランカルボン酸モメタゾンを含む、請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記活性薬剤は、抗感染症剤を含む、請求項5に記載の装置。
【請求項11】
前記抗感染症剤は、抗菌薬、抗真菌薬、抗寄生虫薬、抗ウイルス薬、防腐薬、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記抗感染症剤は、抗菌薬を含む、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
前記抗菌薬は、アミノ配糖体、アンフェニコール、アンサマイシン、βラクタム、リンコサミド、マクロライド、ニトロフラン、キノロン類、スルホンアミド、スルホン、テトラサイクリン、バンコマイシン、ならびにそれらの任意の誘導体および組み合わせからなる群より選択される、請求項12に記載の装置。
【請求項14】
前記活性薬剤は、前記装置上のコーティングに含まれる、請求項1に記載の装置。
【請求項15】
前記コーティングは、ポリマーを含む、請求項14に記載の装置。
【請求項16】
前記ポリマーは、生分解性ポリマーを含む、請求項15に記載の装置。
【請求項17】
生体適合性材料をさらに含む、請求項1に記載の装置。
【請求項18】
前記生体適合性材料は、生分解性ポリマー、非生分解性ポリマー、金属、またはそれらの組み合わせを含む、請求項17に記載の装置。
【請求項19】
前記生体適合性材料は、生分解性ポリマーを含む、請求項18に記載の装置。
【請求項20】
前記生分解性ポリマーは、ポリ(ラクチド)、ポリ(グリコリド)、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)、ポリ(乳酸)、ポリ(グリコール酸)、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)、ポリ(ラクチド)/ポリ(エチレングリコール)コポリマー、ポリ(グリコリド)/ポリ(エチレングリコール)コポリマー、ポリ(ラクチド−co−グリコリド)/ポリ(エチレングリコール)コポリマー、ポリ(乳酸)/ポリ(エチレングリコール)コポリマー、ポリ(グリコール酸)/ポリ(エチレングリコール)コポリマー、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)/ポリ(エチレングリコール)コポリマー、ポリ(カプロラクトン)、ポリ(カプロラクトン)/ポリ(エチレングリコール)コポリマー、ポリ(オルトエステル)、ポリ(ホスファゼン)、ポリ(ヒドロキシ酪酸塩)またはポリ(ヒドロキシ酪酸塩)を含むコポリマー、ポリ(ラクチド−co−カプロラクトン)、ポリカーボネート、ポリエステルアミド、ポリ酸無水物、ポリ(ジオキサノン)、ポリ(アルキレンアルキレンアルキレート)、ポリエチレングリコールおよびポリオルトエステルのコポリマー、生分解性ポリウレタン、ポリ(アミノ酸)、ポリエーテルエステル、ポリアセタール、ポリシアノアクリレート、ポリ(オキシエチレン)/ポリ(オキシプロピレン)コポリマー、ならびにそれらの混合物およびコポリマーからなる群より選択される、請求項19に記載の装置。
【請求項21】
前記生分解性ポリマーは、ラクチド/グリコリドポリマーを含む、請求項20に記載の装置。
【請求項22】
前記生体適合性材料は、非生分解性ポリマーを含む請求項18に記載の装置。
【請求項23】
前記非生分解性ポリマーは、ポリ(エチレン酢酸ビニル)、ポリ(酢酸ビニル)、シリコーンポリマー、ポリウレタン、セルロースポリマーおよびセルロース誘導体等の多糖、アシル置換酢酸セルロースおよびその誘導体、ポリ(エチレングリコール)およびポリ(ブチレンテレフタラート)のコポリマー、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル,ポリフッ化ビニル、ポリ(ビニルイミダゾール)、クロロスルホン化ポリオレフィン、ポリエチレンオキシド、ならびにそれらのコポリマーおよび混合物からなる群より選択される、請求項22に記載の装置。
【請求項24】
前記生体適合性材料は、金属を含む、請求項18に記載の装置。
【請求項25】
前記金属は、コバルト、クロム、ニッケル、白金、ステンレス鋼、チタン、タンタル、ニッケル−チタン、ならびにそれらの合金および組み合わせからなる群より選択される、請求項24に記載の装置。
【請求項26】
開口部分、洞部分、または鼻部分を任意に含む、請求項1に記載の装置。
【請求項27】
開口部分を含み、該開口部分は、活性薬剤を洞開口部に送達する、請求項26に記載の装置。
【請求項28】
前記開口部分は、前記洞口鼻道複合体に送達されるものと同一の活性薬剤を前記洞開口部に送達する、請求項27に記載の装置。
【請求項29】
前記開口部分は、前記洞口鼻道複合体に送達される前記活性薬剤と異なる活性薬剤を前記洞開口部に送達する、請求項27に記載の装置。
【請求項30】
洞部分を含み、該洞部分は、活性薬剤を洞腔に送達する、請求項26に記載の装置。
【請求項31】
前記洞部分は、前記洞口鼻道複合体に送達されるものと同一の活性薬剤を前記洞腔に送達する、請求項30に記載の装置。
【請求項32】
前記洞部分は、前記洞口鼻道複合体に送達されるものと同一の活性薬剤を、異なる投薬量または放出プロフィールで前記洞腔に送達する、請求項31に記載の装置。
【請求項33】
前記洞部分は、前記洞口鼻道複合体に送達される前記活性薬剤とは異なる活性薬剤を前記洞腔に送達する、請求項30に記載の装置。
【請求項34】
前記装置は、鉤状突起、篩骨胞、中鼻甲介、鼻壁、またはそれらの組み合わせの上、その内側、またはその間に設置するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項35】
前記装置は、前記鉤状突起上に設置される、請求項34に記載の装置。
【請求項36】
前記装置は、前記鉤状突起と前記篩骨胞との間に設置される、請求項34に記載の装置。
【請求項37】
前記装置は、前記鉤状突起と前記中鼻甲介との間に設置される、請求項34に記載の装置。
【請求項38】
前記装置は、前記篩骨胞と前記中鼻甲介との間に設置される、請求項34に記載の装置。
【請求項39】
前記装置は、前記中鼻甲介と前記鼻壁との間に設置される、請求項34に記載の装置。
【請求項40】
前記装置は、前記鉤状突起、前記篩骨胞、前記中鼻甲介、および前記鼻壁のうちの少なくとも2つの間の空間を充填するように適合される、請求項34に記載の装置。
【請求項41】
前記装置は、前記鉤状突起と中鼻甲介との間の空間を充填するように適合される、請求項40に記載の装置。
【請求項42】
前記装置は、前記篩骨胞と前記中鼻甲介との間の空間を充填するように適合される、請求項40に記載の装置。
【請求項43】
ゲルを含む、請求項40に記載の装置。
【請求項44】
発泡体を含む、請求項40に記載の装置。
【請求項45】
前記活性薬剤は、ミクロスフェア内に被包される、請求項40に記載の装置。
【請求項46】
前記ミクロスフェアは、親水コロイドミクロスフェアである、請求項44に記載の装置。
【請求項47】
前記装置は、受動的固定に適合される、請求項34に記載の装置。
【請求項48】
前記装置は、前記鉤状突起と前記中鼻甲介との間の受動的固定に適合される、請求項47に記載の装置。
【請求項49】
前記装置は、前記鉤状突起と前記篩骨胞との間の受動的固定に適合される、請求項47に記載の装置。
【請求項50】
前記装置は、前記篩骨胞と前記中鼻甲介との間の受動的固定に適合される、請求項47に記載の装置。
【請求項51】
前記装置は、前記中鼻甲介と前記鼻壁との間の受動的固定に適合される、請求項47に記載の装置。
【請求項52】
前記装置は、その直径が前記洞口鼻道複合体内に受動的に固定されたままとなるように自動調整するように構成されるコイルを含む、請求項47に記載の装置。
【請求項53】
前記装置は、粘膜付着性材料を含む、請求項47に記載の装置。
【請求項54】
前記装置は、能動的固定に適合される、請求項34に記載の装置。
【請求項55】
前記装置は、前記鉤状突起の上またはその内側の能動的固定に適合される、請求項54に記載の装置。
【請求項56】
前記装置は、前記鉤状突起と前記中鼻甲介との間の能動的固定に適合される、請求項54に記載の装置。
【請求項57】
前記装置は、前記鉤状突起と前記篩骨胞との間の能動的固定に適合される、請求項54に記載の装置。
【請求項58】
前記装置は、前記篩骨胞と前記中鼻甲介との間の能動的固定に適合される、請求項54に記載の装置。
【請求項59】
前記装置は、前記中鼻甲介と前記鼻壁との間の能動的固定に適合される、請求項54に記載の装置。
【請求項60】
前記装置は、該装置を能動的に固定するための1つ以上の繋留要素を含む、請求項54に記載の装置。
【請求項61】
前記装置は、それ自体を前記洞口鼻道複合体の1つ以上の構造内に穿刺および固定するように構成される、請求項54に記載の装置。
【請求項62】
前記装置は、配置前の第1の折り畳んだ構成、および配置後の第2の展開構成を有する、請求項61に記載の装置。
【請求項63】
前記装置は、それ自体を前記鉤状突起内に穿刺および固定するように構成される、請求項54に記載の装置。
【請求項64】
前記装置は、それ自体を前記篩骨胞内に穿刺および固定するように構成される、請求項54に記載の装置。
【請求項65】
前記装置は、副鼻腔空洞にカニューレを挿入する、請求項1に記載の装置。
【請求項66】
前記装置は、洞開口部の開存性を維持するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項67】
前記装置は、前記中鼻甲介を安定化するように構成される、請求項1に記載の装置。
【請求項68】
前記装置は、本体内に内在しながら自己集合する、請求項1に記載の装置。
【請求項69】
副鼻腔炎または洞口鼻道複合体を冒す関連する呼吸状態を治療するための方法であって、該状態を治療するために、活性薬剤を有する装置を該洞口鼻道複合体内に設置するステップと、持続的期間にわたって、治療有効量の該活性薬剤を該洞口鼻道複合体に局所的に送達するステップとを含む、方法。
【請求項70】
前記関連する呼吸状態は、前記洞口鼻道複合体の炎症、手術に起因する洞口鼻道複合体または洞腔の炎症、副鼻腔炎、鼻炎、鼻副鼻腔炎、上気道感染症、中耳炎、気管支炎、細気管支炎、ぜんそく、扁桃炎ならびに扁桃腺およびアデノイドの他の慢性疾患、喉頭炎、気管炎、鼻ポリポーシスおよび洞ポリポーシス、大気道および小気道の新生物、ならびに鼻の腫瘍、洞の腫瘍、または鼻咽頭の腫瘍からなる群より選択される、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記状態は、前記洞口鼻道複合体の炎症である、請求項70に記載の方法。
【請求項72】
前記状態は、鼻ポリポーシスまたは洞ポリポーシスである、請求項70に記載の方法。
【請求項73】
前記活性薬剤は、前記鉤状突起に送達される、請求項69に記載の方法。
【請求項74】
前記活性薬剤は、前記篩骨胞に送達される、請求項69に記載の方法。
【請求項75】
前記装置は、管腔を有する導管を使用して前記洞口鼻道複合体内に設置される、請求項69に記載の方法。
【請求項76】
前記導管は、前記洞口鼻道複合体の1つ以上の構造を穿刺するように構成される、請求項75に記載の方法。
【請求項77】
可視化を支援するために道具の使用をさらに含む、請求項69に記載の方法。
【請求項78】
前記道具は、内視鏡である、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記活性薬剤は、抗コリン薬、抗ヒスタミン薬、抗感染症剤、抗炎症剤、抗瘢痕剤または抗増殖剤、化学療法剤または抗腫瘍剤、サイトカイン、うっ血除去薬、治癒促進剤およびビタミン、高浸透圧剤、免疫調節因子または免疫抑制剤、ロイコトリエン修飾因子、粘液溶解薬、麻薬性鎮痛薬、小分子、チロシンキナーゼ阻害剤、ペプチド、タンパク質、核酸、生体高分子、血管収縮薬、ならびにそれらの組み合わせからなる群より選択される請求項69に記載の方法。
【請求項80】
前記活性薬剤は、抗炎症剤を含む、請求項79に記載の装置。
【請求項81】
前記抗炎症剤は、ステロイド系抗炎症剤を含む、請求項80に記載の装置。
【請求項82】
前記ステロイド系抗炎症剤は、21−アセトキシプレグネノロン、アルクロメタゾン、アルゲストン、アムシノニド、ベクロメタゾン、βメタゾン、ブデソニド、クロロプレドニゾン、クロベタゾール、クロベタゾン、クロコルトロン、クロプレドノール、コルチコステロン、コルチゾン、コルチバゾール、デフラザコート、デソニド、デスオキシメタゾン、デキサメサゾン、ジフロラゾン、ジフルコルトロン、ジフルプレドナート、エノキソロン、フルアザコルト、フルクロロニド、フルメタゾン、フルニソリド、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルオコルチンブチル、フルオコルトロン、フルオロメトロン、フルペロロン酢酸塩、フルプレドニデン酢酸塩、フルプレドニゾロン、フルランドレノリド、プロピオン酸フルチカゾン、ホルモコータル、ハルシノニド、ハロベタゾールプロピオン酸塩、ハロメタゾン、酢酸ハロプレドン、ヒドロコルタメート、ヒドロコルチゾン、ロテプレドノールエタボン酸塩、マジプレドン、メドリゾン、メプレドニゾン、メチルプレドニゾロン、フランカルボン酸モメタゾン、パラメタゾン、プレドニカルベート、プレドニゾロン、プレドニゾロン25−ジエチルアミノ−酢酸塩、プレドニゾロンリン酸ナトリウム、プレドニゾン、プレドニバル、プレドニリデン、リメキソロン、チキソコルトール、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、トリアムシノロンベネトニド、トリアムシノロンヘキサセトニド、ならびにそれらの誘導体および組み合わせからなる群より選択される、請求項81に記載の装置。
【請求項83】
前記抗炎症剤は、フランカルボン酸モメタゾンを含む、請求項82に記載の装置。
【請求項84】
前記活性薬剤は、抗感染症剤を含む、請求項79に記載の装置。
【請求項85】
前記抗感染症剤は、抗菌薬、抗真菌薬、抗寄生虫薬、抗ウイルス薬、防腐薬、およびそれらの組み合わせからなる群より選択される、請求項84に記載の装置。
【請求項86】
前記抗感染症剤は、抗菌薬を含む、請求項85に記載の装置。
【請求項87】
前記抗菌薬は、アミノ配糖体、アンフェニコール、アンサマイシン、βラクタム、リンコサミド、マクロライド、ニトロフラン、キノロン類、スルホンアミド、スルホン、テトラサイクリン、バンコマイシン、ならびにそれらの任意の誘導体および組み合わせからなる群より選択される、請求項86に記載の装置。
【請求項88】
洞口鼻道複合体を冒す状態を治療するための方法であって、該状態を治療するために、徐放のための治療有効量の活性薬剤を鉤状突起に送達するステップを含む、方法。
【請求項89】
洞口鼻道複合体を冒す状態を治療するための方法であって、該状態を治療するために、徐放のための治療有効量の活性薬剤を篩骨胞に送達するステップを含む、方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図1E】
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【図2】
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【図3】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図4D】
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【図5A】
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【図5B】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11A】
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【図11B】
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【図11C】
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【図11D】
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【図11E】
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【図12A】
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【図12B】
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【図12C】
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【図12D】
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【図12E】
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【図12F】
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【図12G】
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【図12H】
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【図13A】
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【図13B】
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【図13C】
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【図13D】
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【図13E】
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【図14A】
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【図14B】
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【図14C】
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【図14D】
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【図14E】
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【図14F】
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【図15A】
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【図15B】
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【図15C】
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【図16A】
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【図16B】
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【図16C】
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【図16D】
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【図16E】
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【図16F】
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【図16G】
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【図16H】
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【図16I】
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【図16J】
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【図16K】
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【図16L】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21A−21B】
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【図22A−22B】
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【図23】
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【図24】
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【図25A】
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【図25B】
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【図26】
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【図27】
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【図28A】
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【図28B】
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【図28C】
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【図28D】
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【図28E】
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【図28F】
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【図29】
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【公表番号】特表2009−543778(P2009−543778A)
【公表日】平成21年12月10日(2009.12.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−519511(P2009−519511)
【出願日】平成19年7月10日(2007.7.10)
【国際出願番号】PCT/US2007/015813
【国際公開番号】WO2008/008389
【国際公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【出願人】(509011640)シネクサス, インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】