流体加熱装置及び基板処理装置
【課題】流体収容部の加熱及び冷却を速やかに行うことができる技術を提供すること。
【解決手段】ハロゲンランプ21の周囲にスパイラル管4を設け、前記ハロゲンランプ21とスパイラル管4との間に、ハロゲンランプ21を覆うように、ハロゲンランプ21の熱線を透過する材料により構成された筒状体5を設ける。また、スパイラル管4に向けて冷却液を供給する冷却液ノズルを設ける。スパイラル管4はハロゲンランプ21により速やかに加熱され、冷却液を直接供給されることにより速やかに冷却される。
【解決手段】ハロゲンランプ21の周囲にスパイラル管4を設け、前記ハロゲンランプ21とスパイラル管4との間に、ハロゲンランプ21を覆うように、ハロゲンランプ21の熱線を透過する材料により構成された筒状体5を設ける。また、スパイラル管4に向けて冷却液を供給する冷却液ノズルを設ける。スパイラル管4はハロゲンランプ21により速やかに加熱され、冷却液を直接供給されることにより速やかに冷却される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体を高温高圧状態に加熱し、また高温高圧状態の流体を冷却する装置、及びこの装置を用いた基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被処理基板である例えば半導体ウエハ(以下、ウエハという)の洗浄を行う枚葉式のスピン洗浄装置は、ノズルを用いてウエハの表面に例えばアルカリ性や酸性の薬液を供給しながらウエハを回転させることによってウエハ表面のごみや自然酸化物などを除去する。この場合にはウエハ表面は、例えば純水などを利用したリンス洗浄により残った薬液が除去された後、ウエハを回転させて残った液体を振り飛ばす振切乾燥などによって乾燥される。
【0003】
ところが半導体装置の高集積化に伴い、こうした液体などを除去する処理において、いわゆるパターン倒れの問題が大きくなってきている。パターン倒れは、例えばウエハ表面に残った液体を乾燥させる際に、パターンを形成する凹凸の例えば凸部の左右に残っている液体が不均一に乾燥することにより、この凸部を左右に引っ張る表面張力のバランスが崩れて液体の多く残っている方向に凸部が倒れる現象である。
【0004】
こうしたパターン倒れの発生を抑えつつウエハ表面に残った液体を除去する手法として高温高圧流体の一種である超臨界状態の流体(超臨界流体)を用いた乾燥方法が知られている。超臨界流体は、液体と比べて粘度が小さく、また液体を溶解する能力も高いことに加え、超臨界流体と平衡状態にある液体や気体との間で界面が存在しない。そこで液体の付着した状態のウエハを超臨界流体と置換し、しかる後超臨界流体を気体に状態変化させると、表面張力の影響を受けることなく液体を乾燥させることができる。
【0005】
ここで特許文献1には、洗浄部にて洗浄された基板を乾燥処理室内に搬送し、次いで当該乾燥処理室内の圧力が乾燥処理用の処理流体(本例では二酸化炭素)の臨界圧以上となるように予め昇圧してから、当該乾燥処理室内に超臨界流体を供給することにより被処理基板の乾燥を行う技術が記載されている。しかしながらこの特許文献1には、処理流体をどのような手法によって超臨界流体にするかについては記載されていない。
【0006】
また特許文献2には、電気ヒーターの外側に石英管を2重に設け、石英管同士の間が流体の流路として形成された構成が記載されている。しかしながらこの特許文献2には、石英管を冷却する手法については記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−71118号公報:段落0025〜0019、段落0028〜0039、図1
【特許文献2】US5,559,924:FIG.1(A),FIG.1(B)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、流体収容部の加熱及び冷却を速やかに行うことができる流体加熱装置を提供することにある。また本発明の他の目的は、流体収容部の加熱及び冷却を速やかに行うことにより、スループットの向上を図ることができる基板処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る流体加熱装置は、
熱線を輻射する加熱部と、
この加熱部を囲むように設けられ、流体を収容するための流体収容部と、
この流体収容部に設けられ、外部との間で流体が通流する通流ポートと、
前記流体収容部の外面に冷却液を供給するための冷却液供給部と、
前記加熱部を前記冷却液から保護するために、前記加熱部と流体収容部との間に当該加熱部を囲むように設けられ、前記熱線を透過する材料により構成された保護カバー体と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また本発明に係る基板処理装置は、
高温高圧流体により被処理基板に対して処理を行うための処理容器と、
この処理容器内の流体を高温高圧状態に維持するために当該処理容器内を加熱する処理容器用の加熱機構と、
前記処理容器に接続された前記流体加熱装置と、
前記通流ポートと前記処理容器とを接続し、開閉バルブが介在する流体流路と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、加熱部を囲むように流体収容部を設け、この流体収容部を加熱部からの輻射熱により加熱すると共に、流体収容部の外面に冷却液を供給して冷却しているので、流体を速やかに加熱し、また流体収容部を速やかに冷却することができる。そして流体収容部と加熱部との間に輻射熱である熱線が透過できる保護カバー体を設けているので、加熱部が冷却液により損傷されることがない。さらに流体の加熱及び流体収容部の冷却を速やかに行うことができることから、この流体を用いて基板処理を行うにあたり、スループットの向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施の形態の超臨界処理装置を示す斜視図である。
【図2】前記超臨界処理装置に設けられている、前記超臨界処理部を示す斜視図である。
【図3】前記超臨界処理部の分解斜視図である。
【図4】前記超臨界処理装置に設けられている、流体加熱部を示す縦断斜視図である。
【図5】前記流体加熱部の縦断側面図である。
【図6】前記流体加熱部の横断平面図である。
【図7】前記超臨界処理部と前記流体加熱部の供給、排出系統を示す説明図である。
【図8】前記超臨界処理装置の作用を示す第1の説明図である。
【図9】前記超臨界処理装置の作用を示す第2の説明図である。
【図10】前記流体加熱部に設けられる冷却液供給部の他の例を示す縦断側面図である。
【図11】前記流体加熱部に設けられる冷却液供給部のさらに他の例を示す横断平面図である。
【図12】前記超臨界処理装置の他の構成例を示す説明図である。
【図13】前記超臨界処理装置のさらに他の構成例を示す説明図である。
【図14】前記流体加熱部に設けられている、流体収容部の他の例を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の基板処理装置をなす超臨界処理装置の構成について図1〜図7を参照しながら説明する。この例における超臨界処理装置は、ウエハWの処理を行う超臨界処理部1と、この超臨界処理部1への超臨界流体の供給を行う流体加熱部2とを備えている。
【0014】
先ず超臨界処理部1について図1〜図3を参照しながら説明する。この超臨界処理部1は、超臨界流体を用いてウエハWを乾燥する超臨界処理が行われる処理チャンバー11を備えている。この処理チャンバー11は、本実施の形態に係る超臨界処理装置1の処理容器に相当し、扁平な直方体形状の耐圧容器として構成されている。処理チャンバー11の内部にはウエハWを保持するためのウエハホルダー14を格納することが可能な扁平な処理空間100(図7参照)が形成されている。処理空間100は、例えば300mmのウエハWを処理する場合、ウエハWと処理チャンバー11の内壁面との間に超臨界流体を十分に通流させることが可能であり、且つウエハWに液盛りされたIPAが自然乾燥しないうちに短時間で処理空間100内の雰囲気を超臨界流体で満たすことが可能なように、例えば高さ数mm〜十数mm、容積300cm3〜1500cm3程度の比較的狭小な空間として構成されている。
【0015】
処理チャンバー11の前面には、ウエハWを搬入出するための、左右方向(図1中X方向)に細長い開口部110が形成されている。また処理チャンバー11における開口部110の上下には、平板状の2枚の突片部111が前後方向(図1中Y方向)に突出するように設けられている。各突片部111には、後述のロックプレート15を嵌入させるための嵌入孔112が形成されている。なお以降においては、図1及び図3の紙面左側を前後方向の前方側として説明を続ける。
【0016】
処理チャンバー11の上下両面には、例えばテープヒーターなどの抵抗発熱体からなるヒーター19が設けられており、処理チャンバー11を加熱することにより処理空間100内に供給された高温高圧流体、例えば超臨界IPAの超臨界状態を維持することができる。図7に模式的に示すように、ヒーター19は電源部19Aと接続されており、電源部19Aの出力を増減して、処理チャンバー11本体及び処理空間100の温度を常時、例えば100℃〜300℃の範囲の270℃に維持することができる。ヒーター19は処理チャンバー11用の加熱機構に相当する。なお図示の便宜上、図3には上面側のヒーター19のみを示してある。
【0017】
また処理チャンバー11の上下面には、ヒーター19から周囲の雰囲気を断熱するための上プレート12及び下プレート13が設けられている。上プレート12の上面及び下プレート13の下面には、これらのプレート12、13を冷却するための冷却管10が配設されており、例えば冷却水などの冷媒を通流させることにより、各プレート12、13を冷却することができる。なお図3においては図示の便宜上、上プレート12側の冷却管10のみを示してある。各プレート12、13の前方側には、既述の突片部111に対応する位置に、切り欠き部121、131が形成されており、これらのプレート12、13が、突片部111の嵌入孔112に嵌入されるロックプレート15と干渉しないようになっている。
【0018】
さらに例えば図1及び図3に示すように、本例における上プレート12及び下プレート13は、前方から見ると処理チャンバー11よりも左右方向に幅広に形成されている。前記下プレート13の両端縁の上面側には、レール161が前後方向に伸びるように設けられている。このレール161は、ウエハホルダー14を保持する後述のアーム部材142を走行させるものであり、図中162はレール161上を走行するスライダー、163はこのレール161を駆動する例えばロッドレスシリンダーなどからなる駆動機構、164は駆動機構163とスライダー162とを連結する連結部材である。
【0019】
ウエハホルダー14は、ウエハWを保持した状態で処理チャンバー11の処理空間100内に配置可能に構成された薄い板状の部材であり、左右方向に伸びる角柱状の蓋部材141に接続されている。この蓋部材141は、ウエハホルダー14を処理チャンバー11内に搬入したときに、上下の突片部111の間に嵌り込んで開口部110を塞ぐことができるように構成されている。また蓋部材141と対向する処理チャンバー11側の側壁面には、開口部110を囲むように不図示のOリングが設けられており、蓋部材141によって開口部110を塞いだときに処理空間100内の気密が維持されるように構成されている。
【0020】
蓋部材141の左右両端には、前後方向に伸びるアーム部材142が設けられており、このアーム部材142を既述のスライダー162と接続することにより、前記レール161上でアーム部材142を走行させることができる。そしてスライダー162をレール161の先端側まで移動させると、図2に示す処理チャンバー11の外部の受け渡し位置までウエハホルダー14が引き出される。この受け渡し位置では、ウエハホルダー14と後述する搬送アームとの間でウエハWの受け渡しが行われる。一方スライダー162をレール161の後端側まで移動させると、ウエハホルダー14が図1に示す処理チャンバー11(処理空間100)内の処理位置まで移動する。この処理位置では、ウエハWに対する超臨界処理が実行される。
【0021】
前記左右のアーム部材142には、その手前側の一端部に上方側へ突起する突起部143が設けられている。一方処理チャンバー11側には、例えば上プレート12の左右両端の前方領域にロック部材17が設けられている。このロック部材17は、ロックシリンダー171によって回転自在に構成されており、ロック部材17の突片を左右方向に開くと突起部143が係止状態から開放され(図2参照)、図1に示すように前記突片を下方側に向けると突起部143がロック部材17にて係止された状態となる。
【0022】
さらに処理チャンバー11の手前側には、ロックプレート15が設けられている。このロックプレート15は、ウエハホルダー14を処理位置まで移動させたとき、蓋部材141を処理チャンバー11の本体側へ向けて押さえ付ける役割を果たす。このためロックプレート15は、前記嵌入孔112に嵌入して、蓋部材141を押さえつけるロック位置(図1)と、このロック位置から下方側に退避して蓋部材141を開放する開放位置との間を昇降機構151により上下方向に移動するように構成されている。図3に示す152は、ロックプレート15をレール上で走行させてロックプレート15の移動方向を案内するスライド機構である。ここで図示の便宜上、図1及び図2においてはロックプレート15や昇降機構151等の記載を省略してある。
【0023】
また図2及び図3に示すように、前記受け渡し位置まで移動したウエハホルダー14の下方側には、当該ウエハホルダー14を冷却するための冷却機構3が設けられている。この冷却機構3は、ウエハホルダー14上に配置されるウエハWの下面と対向するように配置されたクーリングプレート31と、このクーリングプレート31のプレート面に複数個設けられ、例えば冷却用の清浄空気を吐出する吐出孔311とを備えている。
【0024】
前記クーリングプレート31はドレイン受け皿32上に保持されており、ウエハWから流れ落ちたIPAを受け止めてドレイン管33へ排出することができる。ドレイン受け皿32及びクーリングプレート31は昇降機構34によって昇降自在に構成されており、ウエハホルダー14が受け渡し位置まで移動したときには、上方側の冷却位置まで上昇してウエハホルダー14の冷却を実行し、ウエハホルダー14が処理位置まで移動した後には、冷却位置の下方位置まで降下するようになっている。なお図示の便宜上、図1においては冷却機構3の記載は省略してある。
【0025】
このような処理チャンバー11の側面には、当該処理チャンバー11に超臨界状態のIPAを供給するための流体流路をなす供給路18が接続されている。また図2に示す35は、ウエハホルダー14に受け渡されたウエハWにIPAを供給するためのIPAノズルであり、処理チャンバー11内に搬送される前のウエハWに再度IPAを供給して、当該ウエハWが自然乾燥しない程度の十分量のIPAを液盛りしてから当該ウエハWを処理チャンバー11内に搬入するようになっている。
【0026】
以上に説明した構成を備えた処理チャンバー11には、本発明の流体加熱装置をなす流体加熱部2が接続されている。この例の流体加熱部2は、処理チャンバー11の処理空間100に供給されるIPAの超臨界流体(高温高圧流体)を準備する機能と、超臨界処理を終えたあとのIPAを回収する機能とを備えている。以下流体加熱部2について、図1、図4〜図6を参照して説明する。
【0027】
この流体加熱部2は、熱線を輻射する加熱部をなすハロゲンランプ21を備えている。このハロゲンランプ21は直棒状の加熱ランプであり、垂直に伸びるように設けられている。ハロゲンランプ21は1本以上設けられ、この例では例えば4本のハロゲンランプ21が互いに離間して同心円状に設けられている。これらハロゲンランプ21の下端部は例えば共通の電源部21Aに接続されており、当該電源部21Aから供給される電力によりハロゲンランプ21が発熱し、加熱部として機能するように構成されている。なお図4では図示の便宜上、電源部21Aを省略している。
【0028】
ハロゲンランプ21の周囲には、所定の空間を開けて当該ハロゲンランプ21を囲むように、スパイラル管4が設けられている。このスパイラル管4は流体を収容する流体収容部をなすものである。このスパイラル管4は、ステンレス製の配管を長手方向に螺旋状に巻回させることにより円筒型に形成され、前記長手方向が垂直方向を向くように配置されている。例えばスパイラル管4は、ハロゲンランプ21から供給される輻射熱を吸収しやすくするために例えば黒色の輻射熱吸収塗料で塗装され、例えば長手方向に隣り合う配管同士が互いに接触するように螺旋状に巻かれている。このように隙間なく螺旋を形成することにより、ハロゲンランプ21から供給される輻射熱がスパイラル管4同士の隙間から外方へと漏れにくくなる。
【0029】
さらにスパイラル管4の外面には、複数個例えば4個の熱電対等からなる温度検出部40が、高さ方向の異なる位置に夫々設けられている。この温度検出部40により検出されたスパイラル管4の温度は、後述する制御部に出力され、ハロゲンランプ21への電力を供給する電源部21Aに供給電力の調整量としてフィードバックされて各スパイラル管4の加熱温度が調整される。また前記温度検出部40をスパイラル管4の内部に設けてスパイラル管4内の流体の温度を検出し、この検出値に基づいてスパイラル管4の加熱温度を調整するようにしてもよい。
【0030】
このスパイラル管4は、筒状体5によりその周囲を覆われている。この筒状体5は例えば横断面形状が環状に構成され、その内壁部は保護カバー体(第1の筒状体)51をなし、スパイラル管4の内部において、ハロゲンランプ21が設けられた領域を囲むように例えば円筒状に形成されている。また筒状体5の外壁部(第2の筒状体)52は、スパイラル管4の外方を囲むように、保護カバー体51と同心円状の円筒状に形成されている。
【0031】
前記保護カバー体51は、後述する冷却液からハロゲンランプ21を保護するために設けられており、ハロゲンランプ21の熱線を透過する材料例えば石英により構成されている。ハロゲンランプ21の熱線は波長が2nHz程度であるので、保護カバー体51の材料としては、この波長を透過する材料が適宜選択される。
【0032】
また前記外壁部52は、スパイラル管4とその外側領域との間を区画しており、例えばステンレスにより構成されている。これら保護カバー体51と外壁部52とは、例えばステンレス等の金属により構成された天井部53及び底面部54により接続されている。保護カバー体51と天井部53との間には、上下に例えばステンレス製の接続部材55,56(56A,56B)が夫々設けられ、上側接続部材55と天井部53との間にはシール部材をなすOリング57が設けられている。また下側接続部材56は上下2つの接続部材56A,56Bを組み合わせて構成され、底面部54と接触する接続部材56Aと当該底面部54との間にもシール部材をなすOリング58が設けられている。さらに外壁部52の上部にはフランジ部52aが形成されており、このフランジ部52aと天井部53の裏面側周縁領域とが接続されている。こうしてスパイラル管4の周囲には、筒状体5により区画された密閉空間が形成されることになる。
【0033】
さらにまた前記筒状体5の外方には外側カバー体6が設けられている。この外側カバー体6はステンレス製の円筒型であり、筒状体5の周囲を所定空間を介して覆うように構成されている。例えば外側カバー体6は、円筒形状の側壁61の上面及び下面を夫々天井部62及び底面部63にて塞ぐように構成されている。こうして筒状体5の周囲には、外側カバー体6により区画された空間が形成され、当該空間に満たされた空気が断熱材として機能することになる。また外側カバー体6の底面部63の中央側には開口部63aが形成されており、この開口部63aを介して前記ハロゲンランプ21と電源部21Aとが接続されている。
【0034】
この外側カバー体6には、前記スパイラル管4の外面に冷却液を吐出するための冷却液供給部をなす冷却液ノズル7が複数本取り付けられている。この冷却液ノズル7は略水平に伸びるように構成され、外側カバー体6の外方から、当該外側カバー体6を貫通して、筒状体5の内部にその先端が突入するように設けられている。前記冷却ノズル7はその先端に吐出口70を備えており、この吐出口70から冷却液をスパイラル管4に向けてスプレー状に噴霧するように構成されている。
【0035】
例えば冷却液ノズル7は、図5及び図6に示すように、スパイラル管4の上方側に冷却液を供給する第1の高さと、スパイラル管4の高さ方向の略中央に冷却液を供給する第2の高さに夫々設けられ、各高さ位置において、外側カバー体6を周方向に略4等分する位置に取り付けられている。図中71は取り付け部材、72は冷却液の供給路である。この冷却液ノズル7からスパイラル管4の外面に向けて冷却液を吐出することによりスパイラル管4が冷却されるが、この際温度検出部40ではスパイラル管4の温度を検出し、後述する制御部ではこの検出値に基づいて冷却液の供給停止のタイミングが決定される。
【0036】
続いてスパイラル管4に接続される配管系について説明する。この例におけるスパイラル管4は、筒状体5内に天井部53から垂直に突入し、筒状体5の内部において下方側まで伸びており、ここから上方側に向けて螺旋状に巻回して、再び天井部53から突出するように構成されている。つまりスパイラル管4の両端部は、筒状体5の天井部53から上方側に夫々突出しており、一端側の配管41は2本の配管41A,41Bに夫々分岐し、他端側の配管42は3本の配管42A〜42Cに夫々分岐している。この例では、配管41が第1の通流ポート、配管42が第2の通流ポートに夫々相当する。なお筒状体5の天井部53及び外側カバー体6の天井部62には、図4及び図5に示すように、配管41,42を貫通させるための貫通孔53a,62aが夫々形成されている。
【0037】
前記配管41Aは、図7に示すように、開閉バルブV1及びポンプP1を備えた供給路431を介して、流体であるイソプロピルアルコール(IPA)液の供給部441に接続されている。ここでポンプP1の出口側には、流量調節弁及び流量計を備えた不図示の流量調節部が設けられており、IPAの供給部441からスパイラル管4へ供給される液体状のIPAの供給量を調節することができるようになっている。また前記配管41Bの他端側は大気中に開放され、開閉バルブV0により開閉自在に構成されている。この開閉バルブV0はリリーフ弁であり、常時閉じられていて、何らかの要因でスパイラル管4の内圧が高まったときに開放される。
【0038】
さらに前記配管42Aは、開閉バルブV2及びポンプP2を備えた供給路18を介して処理チャンバー11に接続されている。この例では、配管42Aが流体収容部に設けられた通流ポートに相当する。前記配管42Bは、開閉バルブV3及びポンプP3を備えた供給路433を介して不活性ガス例えば窒素(N2)ガスの供給源442に接続されている。さらに前記配管42Cは、開閉バルブV4を備えた排気路45を介して除外設備に接続されている。
【0039】
また前記冷却液ノズル7は、共通の開閉バルブV5及びポンプP4を備えた供給路72により冷却液の供給源73に接続されている。ここで冷却液としては、例えば20℃程度に維持された冷却水や、シャーベット状や細かく粉砕された氷等を用いることができる。これら開閉バルブV0〜V5は、例えばPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等の耐食性材料により構成されると共に、10MPa程度の耐圧性及び300℃程度の耐熱性を備えたものが用いられる。なお図1では図示の便宜上ポンプP1〜P5の記載を省略している。
【0040】
さらに前記筒状体5の底面部には排出路59が接続されており、この排出路59は図示しない排気ポンプを介して例えば外部の排出ラインに接続され、100Pa程度の減圧雰囲気に維持されている。さらにまた例えば前記供給路18には図示しない圧力計が設けられており、スパイラル管4を加熱することにより、スパイラル管4内のIPAが超臨界状態となったことを検知することができるように構成されている。
【0041】
以上に説明した構成を備えた超臨界処理装置は、図7に示すように制御部Cと接続されている。制御部Cは例えば図示しないCPUと記憶部とを備えたコンピュータからなり、記憶部には超臨界処理装置の作用、即ち超臨界処理部1にてウエハWの超臨界処理を行なうステップや、流体加熱部2にて超臨界状態に調整されたIPAを処理チャンバーに供給し、さらに処理チャンバー11にて超臨界処理に用いられたIPAを流体加熱部に回収する動作に係わる制御についてのステップ(命令)群が組まれたプログラムが記録されている。このプログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスク、メモリーカード等の記憶媒体に格納され、そこからコンピュータにインストールされる。
【0042】
特に制御部Cは、図7に示すように、開閉バルブV0〜V5の開閉タイミングや、電源部19Aからヒーター19、電源部21Aからハロゲンランプ21への電力の給断タイミング並びに供給量、各ポンプP1〜P4による冷却水やIPAの供給タイミングや供給量を制御する役割を果たしている。また制御部Cはスパイラル管4に設けられた温度検出部40や、供給路18に設けられた不図示の圧力計からスパイラル管4内の温度や圧力を検出した結果を取得し、これらの結果に基づいてスパイラル管4の加熱や冷却を実行する。
【0043】
続いて本発明の作用について説明する。超臨界処理装置の超臨界処理部1には、図示しない枚葉式の洗浄装置において洗浄処理が実施されたウエハWが搬送される。この際洗浄装置では、例えばアルカリ性薬液であるSC1液(アンモニアと過酸化水素水の混合液)によるパーティクルや有機性の汚染物質の除去→リンス液である脱イオン水(Delonized Water:DIW)によるリンス洗浄→酸性薬液である希フッ酸水溶液(以下、DHF(Diluted HydroFluoric acid))による自然酸化膜の除去→DIWによるリンス洗浄がこの順に行われ、最後にウエハ表面にIPAが液盛りされる。そしてこの状態のまま洗浄装置より搬出され、超臨界処理部1へ搬送される。
【0044】
この超臨界処理部1への搬送は、例えば搬送アーム36を用いて行われる。この搬送アーム36は、図3に示すように、水平方向に伸びるアーム部材36Aの先端に、ウエハWを保持するための保持リング37が設けられており、昇降機構38Aによって昇降自在、移動機構38Bによって前後方向に移動自在に構成されている。保持リング37には、例えばウエハWの上面周縁部の3箇所を吸着保持する2組のピック39A,39Bが設けられており、搬入時に超臨界処理を行う前のウエハWを保持する搬入用ピック39Aと、搬出時に超臨界処理後のウエハWを保持する搬出用ピック39Bと、を使い分けている。
【0045】
ところでウエハWの搬入が行われる前の超臨界処理部1は、図8(a)に示すように、処理チャンバー11の電源部19Aをオンの状態にしてヒーター19によりチャンバー11本体を例えば270℃に加熱した状態となっている。一方で処理チャンバー11の上下に設けられた上プレート12、下プレート13は冷却管10によって冷却された状態となっており、処理チャンバー11の周囲の温度が上昇しすぎないようにして、ウエハホルダー14上のウエハW表面に供給されたIPAの蒸発を抑えている。
【0046】
また流体加熱部2では、例えば超臨界処理部1にて最初の処理を開始する前のタイミングにおいては、ハロゲンランプ21の電源部21Aはオフとなっており、スパイラル管4は予めIPAの凝縮温度以下の温度に調整された状態である。なお図8及び図9では図示の便宜上ハロゲンランプ21は1本のみ描いている。
【0047】
そして供給路431の開閉バルブV1及び排出路45の開閉バルブV4を夫々「開」(図8(a)中に「O」と記してある。以下同じ。)とし、供給路18、433の開閉バルブV2,V3を夫々「閉」(図8(a)中に「S」と記してある。以下同じ。)としてから、ポンプP1を作動させると共に既述の流量調節部にて供給量をしながらスパイラル管4へ向けて液体状態のIPAを供給する。スパイラル管4に供給されるIPAの量は、例えば流量調節部にて検出される単位時間当たりの供給量及び供給時間から求めることができる。
【0048】
こうして予め設定された時間だけIPAの供給を行ってスパイラル管4内をIPA液で満たしたらポンプP1を停止し、図8(b)に示すように、供給路431、18の開閉バルブV1、V2を夫々「閉」とし、供給路433の開閉バルブV3を「開」、排出路45の開閉バルブVを「開」の状態として、ポンプP3を作動させ、所定量のN2ガスをスパイラル管4内に供給する。これによりスパイラル管4内のIPAがN2ガスにより排出路45に押し出され、スパイラル管4の上部側の空間、及び供給路18、排出路45の開閉バルブV2,V4よりもスパイラル管4寄りの空間は、液体のIPAにて満たされていない空洞の状態となる。
【0049】
スパイラル管4内に所定量の液体IPAが仕込まれたら、スパイラル管4に設けられた開閉バルブV0〜V4を全て閉止し、電源部21Aをオンにしてハロゲンランプ21を発熱させ、スパイラル管4を例えば100℃〜300℃の範囲の270℃に加熱する。このときスパイラル管4の内部は密閉雰囲気となっているので、スパイラル管4を加熱するとIPAが蒸発して気体となり、IPAの体積の膨張に伴ってスパイラル管4内の圧力が上昇する。
【0050】
さらに密閉雰囲気内での加熱を継続し、IPAを昇温、昇圧すると、IPAの温度及び圧力が臨界点に到達し、スパイラル管4の内部が超臨界状態のIPAで満たされた状態となる。こうして超臨界処理を実行するためのIPAの準備が整ったら、流体加熱部2はスパイラル管4内の温度及び圧力が予め設定された値に維持されるようにハロゲンランプ21Aの出力を調節しながら待機する。
【0051】
これらの動作と並行して超臨界処理部1側では、搬送アーム36が受け渡し位置にて待機しているウエハホルダー14に当該ウエハWを受け渡した後、ウエハホルダー14の上方位置から退避する。そして図2に示すようにIPAノズル35からウエハWの表面にIPAを供給して、再度IPAの液盛りを行う。液盛りされたIPAはウエハWの乾燥を防止するための膜に相当している。
【0052】
IPAの液盛りを終えたら、クーリングプレート31を下方位置まで下降させ、アーム部材142をレール161上でスライドさせてウエハホルダー14を処理位置まで移動させる。そしてロック部材17を回転させて突起部143を係止し、蓋部材141によって処理チャンバー11の開口部110が塞がれたら、ロックプレート15を下方位置からロック位置まで上昇させて蓋部材141を手前側から押さえる。
【0053】
この結果、超臨界処理部1側では処理チャンバー11の処理空間100内にウエハWが搬入され、また流体加熱部2側ではスパイラル管4内に超臨界状態のIPAが準備されて、超臨界乾燥を実行する準備が整う。そこで蓋部材141のロックを終えたら、ウエハW表面に液盛りされたIPAが乾燥してしまう前に供給路18の開閉バルブV2を開放してスパイラル管4から処理空間100に向けて超臨界IPAを供給する(図9(a)参照)。
【0054】
開閉バルブV2が開くと、スパイラル管4内の超臨界IPAが膨張して供給路18内を流れ、処理空間100内に流入していく。このとき、(1)スパイラル管4内に準備する超臨界IPAの温度及び圧力を臨界温度、臨界圧力よりも十分に高い状態としておくこと、(2)処理チャンバー11内の処理空間100の容積及び開閉バルブV2よりも処理チャンバー11側の供給路18の容積をできるだけ小さくして超臨界IPAの膨張率を抑えること、さらに(3)ヒーター19によって処理空間100内を予め加熱しておき、また開閉バルブV2を開放する前後で、スパイラル管4内の温度及び圧力がほぼ同じ値に維持されるように、ハロゲンランプ21の出力を増大させて等温等圧膨張に近い状態で超臨界IPAを膨張させること、などにより超臨界状態を保ったままIPAを処理空間100内に供給することができる。
【0055】
そして処理空間100内に供給された超臨界IPAがウエハWに液盛りされたIPAと接触すると、液盛りされたIPAは超臨界IPAから熱を受け取って蒸発し超臨界状態となる。この結果、ウエハWの表面は液体のIPAから超臨界IPAに置換されていくことになるが、平衡状態において液体IPAと超臨界IPAとの間には界面が形成されないので、パターン倒れを引き起こすことなくウエハW表面の流体を超臨界IPAに置換することができる。
【0056】
処理空間100内に超臨界IPAを供給してから予め設定した時間が経過し、ウエハWの表面が超臨界IPAにて置換された状態となったら、図9(b)に示すように電源部21Aをオフの状態にしてハロゲンランプ21によるスパイラル管4の加熱を停止する。そして供給路72の開閉バルブV5を「開」にして、ポンプP5を作動させ、冷却液ノズル7からスパイラル管4に向けて、例えば20℃に温調された冷却水をスプレー状に噴霧する。
【0057】
このときスパイラル管4の外壁面は約250℃程度に加熱されているため、吹き付けられた冷却水は瞬時に気化し、この気化熱によりスパイラル管4が冷却され、その温度が速やかに低下していく。こうしてスパイラル管4の温度がIPAの凝縮温度以下となるように冷却し、当該凝縮温度以下の温度になると、開閉バルブV5を「閉」とする。既述の構成では、1分程度でスパイラル管4が前記凝縮温度以下に冷却される。
【0058】
ここで筒状体5の内部雰囲気は減圧雰囲気の排出路39を介して、速やかに外部に排出されていく。この際筒状体5の内部雰囲気は、冷却水と、冷却水が気化されることにより発生する水蒸気とが混在した状態になるが、この気液混合物は排出路39に排出され、例えば気体成分と液体成分とに夫々分離されてから外部の排気設備及び排出設備に夫々排出される。
【0059】
ところでスパイラル管4を冷却してスパイラル管4内の超臨界IPAを凝縮させると、IPAの体積が減少してスパイラル管4内の圧力が低下する一方、ヒーター19による処理チャンバー11の加熱は継続しているので、処理空間100内のIPAはスパイラル管4へ向けて流れていく。この結果、流入したIPAが次々と凝縮し、液体IPAとなってスパイラル管4内に溜まってゆくことになる。この際、液体IPAの液面が例えばスパイラル管4内の当初の高さ位置に到達したら、供給路18の開閉バルブV2を「閉」として処理空間100内のIPAの回収を完了する。
【0060】
また処理チャンバー11とスパイラル管4との間の温度、圧力バランス上、回収可能な全量をスパイラル管4内に回収してから開閉バルブV2を閉じるようにしてもよい。このときスパイラル管4内のIPAの液面が、予め定めた高さ位置を超えている場合には、排出路45側の開閉バルブV4を開いてIPAの一部を除害設備側へ排出することにより、液面レベルを調整してもよい。これらの例においてIPAの液面の高さ位置は、例えば当該液面の到達する位置の配管の壁面に耐圧性を備えた覗き窓を設け、赤外線式の液面計などによりIPAの液面を検出することなどにより検出することができる。
【0061】
このようにしてスパイラル管4にIPAが液体の状態で回収されると、処理チャンバー11内の圧力は次第に低下していく。一方処理空間100内の温度は常圧におけるIPAの沸点(82.4℃)よりも高い温度に保たれているので、処理空間100内のIPAは超臨界の状態から気体の状態に変化することになる。このとき超臨界状態と気体との間には界面が形成されないので表面に形成されたパターンに表面張力を作用させることなく、ウエハWを乾燥することができる。
【0062】
以上のプロセスにより、ウエハWの超臨界処理を終えたら、処理空間100に残存している気体のIPAを排出するため、不図示のパージガス供給ラインからN2ガスを供給して排気ラインへ向けてパージを行う。そして予め定めた時間だけN2ガスの供給を行いパージが完了したら、ロックプレート15を下方位置まで降下させ、ロック部材17による突起部143の係止状態を開放する。そしてウエハホルダー14を受け渡し位置まで移動させ、超臨界処理を終えたウエハWを搬送アーム36の搬出用ピック39Bで吸着保持し、搬送する。
【0063】
一方、流体加熱部2側においては、ハロゲンランプ21を発熱させて、スパイラル管4に回収したIPAを超臨界の状態として処理チャンバー11に次のウエハWが搬入されてくるタイミングを待つ。
【0064】
上述の実施の形態によれば以下の効果がある。流体加熱部2では、ハロゲンランプ21を囲むようにスパイラル管4を設けることにより、ハロゲンランプ21の熱線によりスパイラル管4を効率よく急速に加熱することができる。またスパイラル管4の冷却時には、スパイラル管4の外面に冷却水を供給している。既述のように、外壁温度が250℃程度のスパイラル管4に冷却液を供給すると、当該冷却水が瞬時に気化し、このときの気化熱によりスパイラル管4から熱が奪われていく。従ってスパイラル管4が効率よく冷却され、スパイラル管4をIPAの凝縮温度まで速やかに冷却することができる。
【0065】
さらにスパイラル管4の内部にハロゲンランプ21を設けると共に、スパイラル管4に直接冷却液を供給するように構成されているので、大掛かりな構成が不要であり、1台の流体加熱部2にて収納容器の加熱及び冷却を行う場合であっても、装置の大型化を抑えることができ、省スペース化を図ることができる。また簡易な構成であることから、製造コスト及び運転コストが低減される。
【0066】
この際、ハロゲンランプ21とスパイラル管4との間には、ハロゲンランプ21を囲むように保護カバー体51が設けられているので、スパイラル管4に冷却液を供給するときにも、ハロゲンランプ21が冷却液から保護され、ハロゲンランプ21が冷却液により損傷されるおそれがない。またこの保護カバー体51を石英等のハロゲンランプ21の熱線を透過する材料により構成することにより、スパイラル管4への加熱を妨げずに、ハロゲンランプ21を冷却液から保護することができる。
【0067】
さらにまたスパイラル管4を囲むように筒状体5を構成することにより、スパイラル管4への冷却液の供給により発生する気化生成物の飛散が抑えられ、当該気化生成物がハロゲンランプ21に付着することを防止することができる。さらにまたこのように筒状体5内を閉じた空間とすることにより、筒状体5内に存在する冷却液や気化生成物を回収でき、雰囲気の汚染を抑えることができる。
【0068】
さらにまたこのような流体加熱部2を超臨界処理部1に接続した場合には、流体加熱部2において、スパイラル管4を効率よく加熱及び冷却できるので、これらに要する時間が短縮され、超臨界処理のスループットが向上する。さらにIPAの凝縮によるスパイラル管4内の圧力減少に伴い超臨界処理部1から速やかにスパイラル管4にIPAを回収することができる。これによりIPAを再利用することができるため、ランニングコストが減少する。
【0069】
ここで流体加熱部2に用いられる冷却液供給部の他の例について図10を用いて説明する。この例の冷却液供給部は、外側カバー体6の外方から外側カバー体6、筒状体5の外壁を貫通して略水平に伸び、筒状体5の内部におけるスパイラル管4の外側にて、スパイラル管4に沿って下方側に略垂直に伸びる冷却液ノズル74を備えている。当該冷却液ノズル74には、略垂直に伸びる部位において、スパイラル管4と対向する面に多数の吐出孔75が互いに間隔を開けて形成されている。このような冷却液ノズル74は、例えばスパイラル管4の周囲に当該スパイラル管4の周方向に沿って互いに間隔を開けて複数本配置されている。その他の構成は、上述の実施の形態と同様である。このような冷却液ノズル74では、当該ノズル74に冷却液が供給されると、吐出孔75から冷却液が吐出し、この冷却液はスパイラル管4の外面にその長さ方向に沿って吹き付けられる。
【0070】
さらに冷却液供給部は図11に示すように構成してもよい。この例の冷却液供給部は、スパイラル管4と筒状体5の外壁部52との間に、当該外壁部52と同心円状に形成された環状の冷却液供給管76を備えている。この冷却液供給管76のスパイラル管4と対向する面には、多数の吐出孔77が互いに間隔を開けて形成されている。このような冷却液供給管76では、冷却液供給路72,78を介して冷却液が供給されると、吐出孔77から冷却液が吐出し、この冷却液はスパイラル管4の外面にその周方向に沿って吹き付けられる。
【0071】
さらにまた超臨界処理部1に接続される流体加熱部2は1つに限定されず、例えば図12に示すように共通の超臨界処理部1に対して2つの流体加熱部2A、2Bを接続してもよい。流体加熱部2A,2Bは上述の実施の形態と同様に構成されており、超臨界処理部1は2本の供給路18A,18Bが接続される点を除いては上述の実施の形態と同様に構成されている。
【0072】
このように複数の流体加熱部2A、2Bを接続することにより、一方側の流体加熱部2Aから供給された超臨界IPAを他方側の流体加熱部2Bにて回収し、この他方側の流体加熱部2Bで回収されたIPAを超臨界状態として処理空間100に供給するといったように、流体加熱部2A、2Bを交互に使用することができる。これにより一方の流体加熱部2A、2Bにて超臨界IPAを準備し、処理空間100にてウエハWの超臨界処理を行う動作と並行して、他方側の流体加熱部2A、2Bのスパイラル管4を冷却しておくことにより、IPAの回収に要する時間を短縮して単位時間当たりのウエハWの処理枚数を増やすことができる。ここで超臨界IPAの供給と他方側のスパイラル管4の冷却とを並行して行う場合には、冷却中のスパイラル管4に接続されている供給路18Bの開閉バルブV2Bは閉の状態としておく。
【0073】
また図13に示すように、流体加熱部2はIPAの超臨界化を図るために用い、超臨界処理部1にて使用されたIPAは流体加熱部2とは別の回収容器200に回収するようにしてもよい。図13中、202は処理空間100からのIPAの回収路、V6は回収路202に設けられた開閉バルブである。この回収容器200の周囲には、例えば冷媒を通流させて冷却するための冷却管201が設けられている。
【0074】
このような実施の形態では、流体加熱部2ではスパイラル管4を加熱することによりIPAの超臨界化を行い、こうして得られた超臨界IPAは処理チャンバー11に供給されて既述の乾燥処理が実行される。この際回収容器200は予めIPAの凝縮温度以下の温度に冷却しておく。そして乾燥処理が終了すると、開閉バルブV2を閉じ、開閉バルブV6を開いて、処理チャンバー11内のIPAを回収路22を介して回収容器200に送り込む。
【0075】
一方流体加熱部2では、処理チャンバー11内の乾燥処理が終了して開閉バルブV2が閉じられると、冷却液ノズル7から冷却水をスパイラル管4に供給して、当該スパイラル管4を凝縮温度以下の温度まで冷却する。そしてスパイラル管4が前記温度まで冷却されると、新たにIPA液をスパイラル管4内に導入し、次の乾燥処理に用いられるIPAの超臨界化を実施する。
【0076】
この際回収容器200にて回収された液体IPAを流体加熱部2に送り、再び超臨界化するようにしてもよい。この場合には、回収容器200からスパイラル管4へ移送する手法としては、回収容器200とスパイラル管4との間を連結し、ポンプにより送液してもよい。また回収容器200をスパイラル管4よりも高い位置に配置し、高低差を利用して移送を行ってもよい。
【0077】
この実施の形態によれば、流体加熱部2では超臨界IPAの供給を停止した後、スパイラル管4に直接冷却水を供給しているので、スパイラル管4をIPAの凝縮温度以下の温度まで速やかに冷却することができる。ここでスパイラル管4の温度が高い状態で液体IPAをスパイラル管4内に導入すると、導入されたIPAが直ちに気化してしまい、スパイラル管4の内圧が高まって所定量の液体IPAを導入できなくなったり、導入に要する時間が長くなるおそれがある。従って、このようにスパイラル管4を速やかに冷却できれば、次の処理に使用する液体のIPAをスパイラル管4に供給するまでの時間が短縮され、スループットの低下を抑えることができる。
【0078】
さらに本発明では、流体収容部を図14に示すように構成してもよい。この構成における流体収容部45は、配管46を略垂直に下に向けて所定の長さ分伸ばし、そこから上に向くように屈曲させて所定の長さ分伸ばすというように、配管46を上下に屈曲させながら円筒体を形成するように構成されている。そして配管46の一端側(第1の通流ポート)は液体IPAの供給源431に接続され、他端側47(第2の通流ポート)は処理チャンバー11に接続されている。
【0079】
また図2及び図3に示した例では、ウエハホルダー14はウエハWが載置される薄板状の部材として構成されているが、当該ウエハホルダー14を皿形状に構成してこの皿内にIPAの液溜まりを形成し、当該液溜まり中にウエハWを浸漬する構成としてもよい。既述のように処理空間100は100℃〜300℃程度に予熱されているので、超臨界IPAによる処理を開始する前にIPAが乾燥してしまう現象の発生を抑えることができる。
【0080】
このようにIPA中にウエハWを浸漬した状態で処理チャンバー11内に搬入する場合には、ウエハWは図3に示したように横置きの状態でウエハホルダー14に保持する場合に限られない。例えば、ウエハWを縦置きの状態で液体IPA中に浸漬することが可能なように、ウエハホルダー14を縦方向に細長いカップ形状の容器として構成してもよい。この場合には処理チャンバー11の形状もウエハホルダー14の形状に合わせて縦長に構成される。さらにこのときウエハホルダー14にて複数枚のウエハWを保持するようにしてもよい。
【0081】
そしてウエハWの乾燥を行うために用いる高温高圧流体の原料は、IPAに限定されるものではなく、例えばHFE(Hydro Fluoro Ether)やCO2(二酸化炭素)を用いてもよい。さらに高温高圧流体状態は、超臨界状態の場合に限られず、原料の液体を亜臨界状態(例えばIPAの場合は、温度100℃〜300℃の範囲、圧力1MPa〜3MPaの範囲内)として、この亜臨界流体を用いてウエハWの乾燥を行う場合も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0082】
さらにまた熱線を輻射する加熱部は、ハロゲンランプに限られず、LEDランプであってもよい。また、処理チャンバー11は、略水平に設けられた処理チャンバー11内にウエハホルダー14によりウエハWを搬入し、処理チャンバー11を略水平な状態で超臨界処理を行うようにしてもよい。また、略水平に設けられた処理チャンバー11内にウエハホルダー14によりウエハWを搬入した後、処理チャンバー11を略垂直に傾け、この垂直な状態で超臨界処理を行うようにしてもよい。
【0083】
さらには、本発明にて実施される超臨界処理はウエハWの表面の液体を除去する乾燥処理だけに限定されるものではない。例えばレジスト膜を用いてパターニングを行った後のウエハWを超臨界状態のIPAと接触させて、ウエハWからレジスト膜を除去する処理と当該ウエハWを乾燥させる処理とを一括して行う洗浄、乾燥処理にも本発明は適用することができる。
【0084】
さらにまた、本発明の流体加熱部は、半導体ウエハWを洗浄する洗浄液等の流体を加熱する場合にも適用することができる。
【符号の説明】
【0085】
W ウエハ
1 超臨界処理部
11 処理チャンバー
100 処理空間
18 供給路
19 ヒーター
2,2A,2B 流体加熱部
21 ハロゲンランプ
4 スパイラル管
5 筒状部
51 保護カバー体
52 外壁部
6 外側カバー体
V0〜V4 開閉バルブ
C 制御部
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体を高温高圧状態に加熱し、また高温高圧状態の流体を冷却する装置、及びこの装置を用いた基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
被処理基板である例えば半導体ウエハ(以下、ウエハという)の洗浄を行う枚葉式のスピン洗浄装置は、ノズルを用いてウエハの表面に例えばアルカリ性や酸性の薬液を供給しながらウエハを回転させることによってウエハ表面のごみや自然酸化物などを除去する。この場合にはウエハ表面は、例えば純水などを利用したリンス洗浄により残った薬液が除去された後、ウエハを回転させて残った液体を振り飛ばす振切乾燥などによって乾燥される。
【0003】
ところが半導体装置の高集積化に伴い、こうした液体などを除去する処理において、いわゆるパターン倒れの問題が大きくなってきている。パターン倒れは、例えばウエハ表面に残った液体を乾燥させる際に、パターンを形成する凹凸の例えば凸部の左右に残っている液体が不均一に乾燥することにより、この凸部を左右に引っ張る表面張力のバランスが崩れて液体の多く残っている方向に凸部が倒れる現象である。
【0004】
こうしたパターン倒れの発生を抑えつつウエハ表面に残った液体を除去する手法として高温高圧流体の一種である超臨界状態の流体(超臨界流体)を用いた乾燥方法が知られている。超臨界流体は、液体と比べて粘度が小さく、また液体を溶解する能力も高いことに加え、超臨界流体と平衡状態にある液体や気体との間で界面が存在しない。そこで液体の付着した状態のウエハを超臨界流体と置換し、しかる後超臨界流体を気体に状態変化させると、表面張力の影響を受けることなく液体を乾燥させることができる。
【0005】
ここで特許文献1には、洗浄部にて洗浄された基板を乾燥処理室内に搬送し、次いで当該乾燥処理室内の圧力が乾燥処理用の処理流体(本例では二酸化炭素)の臨界圧以上となるように予め昇圧してから、当該乾燥処理室内に超臨界流体を供給することにより被処理基板の乾燥を行う技術が記載されている。しかしながらこの特許文献1には、処理流体をどのような手法によって超臨界流体にするかについては記載されていない。
【0006】
また特許文献2には、電気ヒーターの外側に石英管を2重に設け、石英管同士の間が流体の流路として形成された構成が記載されている。しかしながらこの特許文献2には、石英管を冷却する手法については記載されていない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2008−71118号公報:段落0025〜0019、段落0028〜0039、図1
【特許文献2】US5,559,924:FIG.1(A),FIG.1(B)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、流体収容部の加熱及び冷却を速やかに行うことができる流体加熱装置を提供することにある。また本発明の他の目的は、流体収容部の加熱及び冷却を速やかに行うことにより、スループットの向上を図ることができる基板処理装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る流体加熱装置は、
熱線を輻射する加熱部と、
この加熱部を囲むように設けられ、流体を収容するための流体収容部と、
この流体収容部に設けられ、外部との間で流体が通流する通流ポートと、
前記流体収容部の外面に冷却液を供給するための冷却液供給部と、
前記加熱部を前記冷却液から保護するために、前記加熱部と流体収容部との間に当該加熱部を囲むように設けられ、前記熱線を透過する材料により構成された保護カバー体と、を備えたことを特徴とする。
【0010】
また本発明に係る基板処理装置は、
高温高圧流体により被処理基板に対して処理を行うための処理容器と、
この処理容器内の流体を高温高圧状態に維持するために当該処理容器内を加熱する処理容器用の加熱機構と、
前記処理容器に接続された前記流体加熱装置と、
前記通流ポートと前記処理容器とを接続し、開閉バルブが介在する流体流路と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、加熱部を囲むように流体収容部を設け、この流体収容部を加熱部からの輻射熱により加熱すると共に、流体収容部の外面に冷却液を供給して冷却しているので、流体を速やかに加熱し、また流体収容部を速やかに冷却することができる。そして流体収容部と加熱部との間に輻射熱である熱線が透過できる保護カバー体を設けているので、加熱部が冷却液により損傷されることがない。さらに流体の加熱及び流体収容部の冷却を速やかに行うことができることから、この流体を用いて基板処理を行うにあたり、スループットの向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本実施の形態の超臨界処理装置を示す斜視図である。
【図2】前記超臨界処理装置に設けられている、前記超臨界処理部を示す斜視図である。
【図3】前記超臨界処理部の分解斜視図である。
【図4】前記超臨界処理装置に設けられている、流体加熱部を示す縦断斜視図である。
【図5】前記流体加熱部の縦断側面図である。
【図6】前記流体加熱部の横断平面図である。
【図7】前記超臨界処理部と前記流体加熱部の供給、排出系統を示す説明図である。
【図8】前記超臨界処理装置の作用を示す第1の説明図である。
【図9】前記超臨界処理装置の作用を示す第2の説明図である。
【図10】前記流体加熱部に設けられる冷却液供給部の他の例を示す縦断側面図である。
【図11】前記流体加熱部に設けられる冷却液供給部のさらに他の例を示す横断平面図である。
【図12】前記超臨界処理装置の他の構成例を示す説明図である。
【図13】前記超臨界処理装置のさらに他の構成例を示す説明図である。
【図14】前記流体加熱部に設けられている、流体収容部の他の例を示す概略斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の基板処理装置をなす超臨界処理装置の構成について図1〜図7を参照しながら説明する。この例における超臨界処理装置は、ウエハWの処理を行う超臨界処理部1と、この超臨界処理部1への超臨界流体の供給を行う流体加熱部2とを備えている。
【0014】
先ず超臨界処理部1について図1〜図3を参照しながら説明する。この超臨界処理部1は、超臨界流体を用いてウエハWを乾燥する超臨界処理が行われる処理チャンバー11を備えている。この処理チャンバー11は、本実施の形態に係る超臨界処理装置1の処理容器に相当し、扁平な直方体形状の耐圧容器として構成されている。処理チャンバー11の内部にはウエハWを保持するためのウエハホルダー14を格納することが可能な扁平な処理空間100(図7参照)が形成されている。処理空間100は、例えば300mmのウエハWを処理する場合、ウエハWと処理チャンバー11の内壁面との間に超臨界流体を十分に通流させることが可能であり、且つウエハWに液盛りされたIPAが自然乾燥しないうちに短時間で処理空間100内の雰囲気を超臨界流体で満たすことが可能なように、例えば高さ数mm〜十数mm、容積300cm3〜1500cm3程度の比較的狭小な空間として構成されている。
【0015】
処理チャンバー11の前面には、ウエハWを搬入出するための、左右方向(図1中X方向)に細長い開口部110が形成されている。また処理チャンバー11における開口部110の上下には、平板状の2枚の突片部111が前後方向(図1中Y方向)に突出するように設けられている。各突片部111には、後述のロックプレート15を嵌入させるための嵌入孔112が形成されている。なお以降においては、図1及び図3の紙面左側を前後方向の前方側として説明を続ける。
【0016】
処理チャンバー11の上下両面には、例えばテープヒーターなどの抵抗発熱体からなるヒーター19が設けられており、処理チャンバー11を加熱することにより処理空間100内に供給された高温高圧流体、例えば超臨界IPAの超臨界状態を維持することができる。図7に模式的に示すように、ヒーター19は電源部19Aと接続されており、電源部19Aの出力を増減して、処理チャンバー11本体及び処理空間100の温度を常時、例えば100℃〜300℃の範囲の270℃に維持することができる。ヒーター19は処理チャンバー11用の加熱機構に相当する。なお図示の便宜上、図3には上面側のヒーター19のみを示してある。
【0017】
また処理チャンバー11の上下面には、ヒーター19から周囲の雰囲気を断熱するための上プレート12及び下プレート13が設けられている。上プレート12の上面及び下プレート13の下面には、これらのプレート12、13を冷却するための冷却管10が配設されており、例えば冷却水などの冷媒を通流させることにより、各プレート12、13を冷却することができる。なお図3においては図示の便宜上、上プレート12側の冷却管10のみを示してある。各プレート12、13の前方側には、既述の突片部111に対応する位置に、切り欠き部121、131が形成されており、これらのプレート12、13が、突片部111の嵌入孔112に嵌入されるロックプレート15と干渉しないようになっている。
【0018】
さらに例えば図1及び図3に示すように、本例における上プレート12及び下プレート13は、前方から見ると処理チャンバー11よりも左右方向に幅広に形成されている。前記下プレート13の両端縁の上面側には、レール161が前後方向に伸びるように設けられている。このレール161は、ウエハホルダー14を保持する後述のアーム部材142を走行させるものであり、図中162はレール161上を走行するスライダー、163はこのレール161を駆動する例えばロッドレスシリンダーなどからなる駆動機構、164は駆動機構163とスライダー162とを連結する連結部材である。
【0019】
ウエハホルダー14は、ウエハWを保持した状態で処理チャンバー11の処理空間100内に配置可能に構成された薄い板状の部材であり、左右方向に伸びる角柱状の蓋部材141に接続されている。この蓋部材141は、ウエハホルダー14を処理チャンバー11内に搬入したときに、上下の突片部111の間に嵌り込んで開口部110を塞ぐことができるように構成されている。また蓋部材141と対向する処理チャンバー11側の側壁面には、開口部110を囲むように不図示のOリングが設けられており、蓋部材141によって開口部110を塞いだときに処理空間100内の気密が維持されるように構成されている。
【0020】
蓋部材141の左右両端には、前後方向に伸びるアーム部材142が設けられており、このアーム部材142を既述のスライダー162と接続することにより、前記レール161上でアーム部材142を走行させることができる。そしてスライダー162をレール161の先端側まで移動させると、図2に示す処理チャンバー11の外部の受け渡し位置までウエハホルダー14が引き出される。この受け渡し位置では、ウエハホルダー14と後述する搬送アームとの間でウエハWの受け渡しが行われる。一方スライダー162をレール161の後端側まで移動させると、ウエハホルダー14が図1に示す処理チャンバー11(処理空間100)内の処理位置まで移動する。この処理位置では、ウエハWに対する超臨界処理が実行される。
【0021】
前記左右のアーム部材142には、その手前側の一端部に上方側へ突起する突起部143が設けられている。一方処理チャンバー11側には、例えば上プレート12の左右両端の前方領域にロック部材17が設けられている。このロック部材17は、ロックシリンダー171によって回転自在に構成されており、ロック部材17の突片を左右方向に開くと突起部143が係止状態から開放され(図2参照)、図1に示すように前記突片を下方側に向けると突起部143がロック部材17にて係止された状態となる。
【0022】
さらに処理チャンバー11の手前側には、ロックプレート15が設けられている。このロックプレート15は、ウエハホルダー14を処理位置まで移動させたとき、蓋部材141を処理チャンバー11の本体側へ向けて押さえ付ける役割を果たす。このためロックプレート15は、前記嵌入孔112に嵌入して、蓋部材141を押さえつけるロック位置(図1)と、このロック位置から下方側に退避して蓋部材141を開放する開放位置との間を昇降機構151により上下方向に移動するように構成されている。図3に示す152は、ロックプレート15をレール上で走行させてロックプレート15の移動方向を案内するスライド機構である。ここで図示の便宜上、図1及び図2においてはロックプレート15や昇降機構151等の記載を省略してある。
【0023】
また図2及び図3に示すように、前記受け渡し位置まで移動したウエハホルダー14の下方側には、当該ウエハホルダー14を冷却するための冷却機構3が設けられている。この冷却機構3は、ウエハホルダー14上に配置されるウエハWの下面と対向するように配置されたクーリングプレート31と、このクーリングプレート31のプレート面に複数個設けられ、例えば冷却用の清浄空気を吐出する吐出孔311とを備えている。
【0024】
前記クーリングプレート31はドレイン受け皿32上に保持されており、ウエハWから流れ落ちたIPAを受け止めてドレイン管33へ排出することができる。ドレイン受け皿32及びクーリングプレート31は昇降機構34によって昇降自在に構成されており、ウエハホルダー14が受け渡し位置まで移動したときには、上方側の冷却位置まで上昇してウエハホルダー14の冷却を実行し、ウエハホルダー14が処理位置まで移動した後には、冷却位置の下方位置まで降下するようになっている。なお図示の便宜上、図1においては冷却機構3の記載は省略してある。
【0025】
このような処理チャンバー11の側面には、当該処理チャンバー11に超臨界状態のIPAを供給するための流体流路をなす供給路18が接続されている。また図2に示す35は、ウエハホルダー14に受け渡されたウエハWにIPAを供給するためのIPAノズルであり、処理チャンバー11内に搬送される前のウエハWに再度IPAを供給して、当該ウエハWが自然乾燥しない程度の十分量のIPAを液盛りしてから当該ウエハWを処理チャンバー11内に搬入するようになっている。
【0026】
以上に説明した構成を備えた処理チャンバー11には、本発明の流体加熱装置をなす流体加熱部2が接続されている。この例の流体加熱部2は、処理チャンバー11の処理空間100に供給されるIPAの超臨界流体(高温高圧流体)を準備する機能と、超臨界処理を終えたあとのIPAを回収する機能とを備えている。以下流体加熱部2について、図1、図4〜図6を参照して説明する。
【0027】
この流体加熱部2は、熱線を輻射する加熱部をなすハロゲンランプ21を備えている。このハロゲンランプ21は直棒状の加熱ランプであり、垂直に伸びるように設けられている。ハロゲンランプ21は1本以上設けられ、この例では例えば4本のハロゲンランプ21が互いに離間して同心円状に設けられている。これらハロゲンランプ21の下端部は例えば共通の電源部21Aに接続されており、当該電源部21Aから供給される電力によりハロゲンランプ21が発熱し、加熱部として機能するように構成されている。なお図4では図示の便宜上、電源部21Aを省略している。
【0028】
ハロゲンランプ21の周囲には、所定の空間を開けて当該ハロゲンランプ21を囲むように、スパイラル管4が設けられている。このスパイラル管4は流体を収容する流体収容部をなすものである。このスパイラル管4は、ステンレス製の配管を長手方向に螺旋状に巻回させることにより円筒型に形成され、前記長手方向が垂直方向を向くように配置されている。例えばスパイラル管4は、ハロゲンランプ21から供給される輻射熱を吸収しやすくするために例えば黒色の輻射熱吸収塗料で塗装され、例えば長手方向に隣り合う配管同士が互いに接触するように螺旋状に巻かれている。このように隙間なく螺旋を形成することにより、ハロゲンランプ21から供給される輻射熱がスパイラル管4同士の隙間から外方へと漏れにくくなる。
【0029】
さらにスパイラル管4の外面には、複数個例えば4個の熱電対等からなる温度検出部40が、高さ方向の異なる位置に夫々設けられている。この温度検出部40により検出されたスパイラル管4の温度は、後述する制御部に出力され、ハロゲンランプ21への電力を供給する電源部21Aに供給電力の調整量としてフィードバックされて各スパイラル管4の加熱温度が調整される。また前記温度検出部40をスパイラル管4の内部に設けてスパイラル管4内の流体の温度を検出し、この検出値に基づいてスパイラル管4の加熱温度を調整するようにしてもよい。
【0030】
このスパイラル管4は、筒状体5によりその周囲を覆われている。この筒状体5は例えば横断面形状が環状に構成され、その内壁部は保護カバー体(第1の筒状体)51をなし、スパイラル管4の内部において、ハロゲンランプ21が設けられた領域を囲むように例えば円筒状に形成されている。また筒状体5の外壁部(第2の筒状体)52は、スパイラル管4の外方を囲むように、保護カバー体51と同心円状の円筒状に形成されている。
【0031】
前記保護カバー体51は、後述する冷却液からハロゲンランプ21を保護するために設けられており、ハロゲンランプ21の熱線を透過する材料例えば石英により構成されている。ハロゲンランプ21の熱線は波長が2nHz程度であるので、保護カバー体51の材料としては、この波長を透過する材料が適宜選択される。
【0032】
また前記外壁部52は、スパイラル管4とその外側領域との間を区画しており、例えばステンレスにより構成されている。これら保護カバー体51と外壁部52とは、例えばステンレス等の金属により構成された天井部53及び底面部54により接続されている。保護カバー体51と天井部53との間には、上下に例えばステンレス製の接続部材55,56(56A,56B)が夫々設けられ、上側接続部材55と天井部53との間にはシール部材をなすOリング57が設けられている。また下側接続部材56は上下2つの接続部材56A,56Bを組み合わせて構成され、底面部54と接触する接続部材56Aと当該底面部54との間にもシール部材をなすOリング58が設けられている。さらに外壁部52の上部にはフランジ部52aが形成されており、このフランジ部52aと天井部53の裏面側周縁領域とが接続されている。こうしてスパイラル管4の周囲には、筒状体5により区画された密閉空間が形成されることになる。
【0033】
さらにまた前記筒状体5の外方には外側カバー体6が設けられている。この外側カバー体6はステンレス製の円筒型であり、筒状体5の周囲を所定空間を介して覆うように構成されている。例えば外側カバー体6は、円筒形状の側壁61の上面及び下面を夫々天井部62及び底面部63にて塞ぐように構成されている。こうして筒状体5の周囲には、外側カバー体6により区画された空間が形成され、当該空間に満たされた空気が断熱材として機能することになる。また外側カバー体6の底面部63の中央側には開口部63aが形成されており、この開口部63aを介して前記ハロゲンランプ21と電源部21Aとが接続されている。
【0034】
この外側カバー体6には、前記スパイラル管4の外面に冷却液を吐出するための冷却液供給部をなす冷却液ノズル7が複数本取り付けられている。この冷却液ノズル7は略水平に伸びるように構成され、外側カバー体6の外方から、当該外側カバー体6を貫通して、筒状体5の内部にその先端が突入するように設けられている。前記冷却ノズル7はその先端に吐出口70を備えており、この吐出口70から冷却液をスパイラル管4に向けてスプレー状に噴霧するように構成されている。
【0035】
例えば冷却液ノズル7は、図5及び図6に示すように、スパイラル管4の上方側に冷却液を供給する第1の高さと、スパイラル管4の高さ方向の略中央に冷却液を供給する第2の高さに夫々設けられ、各高さ位置において、外側カバー体6を周方向に略4等分する位置に取り付けられている。図中71は取り付け部材、72は冷却液の供給路である。この冷却液ノズル7からスパイラル管4の外面に向けて冷却液を吐出することによりスパイラル管4が冷却されるが、この際温度検出部40ではスパイラル管4の温度を検出し、後述する制御部ではこの検出値に基づいて冷却液の供給停止のタイミングが決定される。
【0036】
続いてスパイラル管4に接続される配管系について説明する。この例におけるスパイラル管4は、筒状体5内に天井部53から垂直に突入し、筒状体5の内部において下方側まで伸びており、ここから上方側に向けて螺旋状に巻回して、再び天井部53から突出するように構成されている。つまりスパイラル管4の両端部は、筒状体5の天井部53から上方側に夫々突出しており、一端側の配管41は2本の配管41A,41Bに夫々分岐し、他端側の配管42は3本の配管42A〜42Cに夫々分岐している。この例では、配管41が第1の通流ポート、配管42が第2の通流ポートに夫々相当する。なお筒状体5の天井部53及び外側カバー体6の天井部62には、図4及び図5に示すように、配管41,42を貫通させるための貫通孔53a,62aが夫々形成されている。
【0037】
前記配管41Aは、図7に示すように、開閉バルブV1及びポンプP1を備えた供給路431を介して、流体であるイソプロピルアルコール(IPA)液の供給部441に接続されている。ここでポンプP1の出口側には、流量調節弁及び流量計を備えた不図示の流量調節部が設けられており、IPAの供給部441からスパイラル管4へ供給される液体状のIPAの供給量を調節することができるようになっている。また前記配管41Bの他端側は大気中に開放され、開閉バルブV0により開閉自在に構成されている。この開閉バルブV0はリリーフ弁であり、常時閉じられていて、何らかの要因でスパイラル管4の内圧が高まったときに開放される。
【0038】
さらに前記配管42Aは、開閉バルブV2及びポンプP2を備えた供給路18を介して処理チャンバー11に接続されている。この例では、配管42Aが流体収容部に設けられた通流ポートに相当する。前記配管42Bは、開閉バルブV3及びポンプP3を備えた供給路433を介して不活性ガス例えば窒素(N2)ガスの供給源442に接続されている。さらに前記配管42Cは、開閉バルブV4を備えた排気路45を介して除外設備に接続されている。
【0039】
また前記冷却液ノズル7は、共通の開閉バルブV5及びポンプP4を備えた供給路72により冷却液の供給源73に接続されている。ここで冷却液としては、例えば20℃程度に維持された冷却水や、シャーベット状や細かく粉砕された氷等を用いることができる。これら開閉バルブV0〜V5は、例えばPEEK(ポリエーテルエーテルケトン)やPTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等の耐食性材料により構成されると共に、10MPa程度の耐圧性及び300℃程度の耐熱性を備えたものが用いられる。なお図1では図示の便宜上ポンプP1〜P5の記載を省略している。
【0040】
さらに前記筒状体5の底面部には排出路59が接続されており、この排出路59は図示しない排気ポンプを介して例えば外部の排出ラインに接続され、100Pa程度の減圧雰囲気に維持されている。さらにまた例えば前記供給路18には図示しない圧力計が設けられており、スパイラル管4を加熱することにより、スパイラル管4内のIPAが超臨界状態となったことを検知することができるように構成されている。
【0041】
以上に説明した構成を備えた超臨界処理装置は、図7に示すように制御部Cと接続されている。制御部Cは例えば図示しないCPUと記憶部とを備えたコンピュータからなり、記憶部には超臨界処理装置の作用、即ち超臨界処理部1にてウエハWの超臨界処理を行なうステップや、流体加熱部2にて超臨界状態に調整されたIPAを処理チャンバーに供給し、さらに処理チャンバー11にて超臨界処理に用いられたIPAを流体加熱部に回収する動作に係わる制御についてのステップ(命令)群が組まれたプログラムが記録されている。このプログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスク、メモリーカード等の記憶媒体に格納され、そこからコンピュータにインストールされる。
【0042】
特に制御部Cは、図7に示すように、開閉バルブV0〜V5の開閉タイミングや、電源部19Aからヒーター19、電源部21Aからハロゲンランプ21への電力の給断タイミング並びに供給量、各ポンプP1〜P4による冷却水やIPAの供給タイミングや供給量を制御する役割を果たしている。また制御部Cはスパイラル管4に設けられた温度検出部40や、供給路18に設けられた不図示の圧力計からスパイラル管4内の温度や圧力を検出した結果を取得し、これらの結果に基づいてスパイラル管4の加熱や冷却を実行する。
【0043】
続いて本発明の作用について説明する。超臨界処理装置の超臨界処理部1には、図示しない枚葉式の洗浄装置において洗浄処理が実施されたウエハWが搬送される。この際洗浄装置では、例えばアルカリ性薬液であるSC1液(アンモニアと過酸化水素水の混合液)によるパーティクルや有機性の汚染物質の除去→リンス液である脱イオン水(Delonized Water:DIW)によるリンス洗浄→酸性薬液である希フッ酸水溶液(以下、DHF(Diluted HydroFluoric acid))による自然酸化膜の除去→DIWによるリンス洗浄がこの順に行われ、最後にウエハ表面にIPAが液盛りされる。そしてこの状態のまま洗浄装置より搬出され、超臨界処理部1へ搬送される。
【0044】
この超臨界処理部1への搬送は、例えば搬送アーム36を用いて行われる。この搬送アーム36は、図3に示すように、水平方向に伸びるアーム部材36Aの先端に、ウエハWを保持するための保持リング37が設けられており、昇降機構38Aによって昇降自在、移動機構38Bによって前後方向に移動自在に構成されている。保持リング37には、例えばウエハWの上面周縁部の3箇所を吸着保持する2組のピック39A,39Bが設けられており、搬入時に超臨界処理を行う前のウエハWを保持する搬入用ピック39Aと、搬出時に超臨界処理後のウエハWを保持する搬出用ピック39Bと、を使い分けている。
【0045】
ところでウエハWの搬入が行われる前の超臨界処理部1は、図8(a)に示すように、処理チャンバー11の電源部19Aをオンの状態にしてヒーター19によりチャンバー11本体を例えば270℃に加熱した状態となっている。一方で処理チャンバー11の上下に設けられた上プレート12、下プレート13は冷却管10によって冷却された状態となっており、処理チャンバー11の周囲の温度が上昇しすぎないようにして、ウエハホルダー14上のウエハW表面に供給されたIPAの蒸発を抑えている。
【0046】
また流体加熱部2では、例えば超臨界処理部1にて最初の処理を開始する前のタイミングにおいては、ハロゲンランプ21の電源部21Aはオフとなっており、スパイラル管4は予めIPAの凝縮温度以下の温度に調整された状態である。なお図8及び図9では図示の便宜上ハロゲンランプ21は1本のみ描いている。
【0047】
そして供給路431の開閉バルブV1及び排出路45の開閉バルブV4を夫々「開」(図8(a)中に「O」と記してある。以下同じ。)とし、供給路18、433の開閉バルブV2,V3を夫々「閉」(図8(a)中に「S」と記してある。以下同じ。)としてから、ポンプP1を作動させると共に既述の流量調節部にて供給量をしながらスパイラル管4へ向けて液体状態のIPAを供給する。スパイラル管4に供給されるIPAの量は、例えば流量調節部にて検出される単位時間当たりの供給量及び供給時間から求めることができる。
【0048】
こうして予め設定された時間だけIPAの供給を行ってスパイラル管4内をIPA液で満たしたらポンプP1を停止し、図8(b)に示すように、供給路431、18の開閉バルブV1、V2を夫々「閉」とし、供給路433の開閉バルブV3を「開」、排出路45の開閉バルブVを「開」の状態として、ポンプP3を作動させ、所定量のN2ガスをスパイラル管4内に供給する。これによりスパイラル管4内のIPAがN2ガスにより排出路45に押し出され、スパイラル管4の上部側の空間、及び供給路18、排出路45の開閉バルブV2,V4よりもスパイラル管4寄りの空間は、液体のIPAにて満たされていない空洞の状態となる。
【0049】
スパイラル管4内に所定量の液体IPAが仕込まれたら、スパイラル管4に設けられた開閉バルブV0〜V4を全て閉止し、電源部21Aをオンにしてハロゲンランプ21を発熱させ、スパイラル管4を例えば100℃〜300℃の範囲の270℃に加熱する。このときスパイラル管4の内部は密閉雰囲気となっているので、スパイラル管4を加熱するとIPAが蒸発して気体となり、IPAの体積の膨張に伴ってスパイラル管4内の圧力が上昇する。
【0050】
さらに密閉雰囲気内での加熱を継続し、IPAを昇温、昇圧すると、IPAの温度及び圧力が臨界点に到達し、スパイラル管4の内部が超臨界状態のIPAで満たされた状態となる。こうして超臨界処理を実行するためのIPAの準備が整ったら、流体加熱部2はスパイラル管4内の温度及び圧力が予め設定された値に維持されるようにハロゲンランプ21Aの出力を調節しながら待機する。
【0051】
これらの動作と並行して超臨界処理部1側では、搬送アーム36が受け渡し位置にて待機しているウエハホルダー14に当該ウエハWを受け渡した後、ウエハホルダー14の上方位置から退避する。そして図2に示すようにIPAノズル35からウエハWの表面にIPAを供給して、再度IPAの液盛りを行う。液盛りされたIPAはウエハWの乾燥を防止するための膜に相当している。
【0052】
IPAの液盛りを終えたら、クーリングプレート31を下方位置まで下降させ、アーム部材142をレール161上でスライドさせてウエハホルダー14を処理位置まで移動させる。そしてロック部材17を回転させて突起部143を係止し、蓋部材141によって処理チャンバー11の開口部110が塞がれたら、ロックプレート15を下方位置からロック位置まで上昇させて蓋部材141を手前側から押さえる。
【0053】
この結果、超臨界処理部1側では処理チャンバー11の処理空間100内にウエハWが搬入され、また流体加熱部2側ではスパイラル管4内に超臨界状態のIPAが準備されて、超臨界乾燥を実行する準備が整う。そこで蓋部材141のロックを終えたら、ウエハW表面に液盛りされたIPAが乾燥してしまう前に供給路18の開閉バルブV2を開放してスパイラル管4から処理空間100に向けて超臨界IPAを供給する(図9(a)参照)。
【0054】
開閉バルブV2が開くと、スパイラル管4内の超臨界IPAが膨張して供給路18内を流れ、処理空間100内に流入していく。このとき、(1)スパイラル管4内に準備する超臨界IPAの温度及び圧力を臨界温度、臨界圧力よりも十分に高い状態としておくこと、(2)処理チャンバー11内の処理空間100の容積及び開閉バルブV2よりも処理チャンバー11側の供給路18の容積をできるだけ小さくして超臨界IPAの膨張率を抑えること、さらに(3)ヒーター19によって処理空間100内を予め加熱しておき、また開閉バルブV2を開放する前後で、スパイラル管4内の温度及び圧力がほぼ同じ値に維持されるように、ハロゲンランプ21の出力を増大させて等温等圧膨張に近い状態で超臨界IPAを膨張させること、などにより超臨界状態を保ったままIPAを処理空間100内に供給することができる。
【0055】
そして処理空間100内に供給された超臨界IPAがウエハWに液盛りされたIPAと接触すると、液盛りされたIPAは超臨界IPAから熱を受け取って蒸発し超臨界状態となる。この結果、ウエハWの表面は液体のIPAから超臨界IPAに置換されていくことになるが、平衡状態において液体IPAと超臨界IPAとの間には界面が形成されないので、パターン倒れを引き起こすことなくウエハW表面の流体を超臨界IPAに置換することができる。
【0056】
処理空間100内に超臨界IPAを供給してから予め設定した時間が経過し、ウエハWの表面が超臨界IPAにて置換された状態となったら、図9(b)に示すように電源部21Aをオフの状態にしてハロゲンランプ21によるスパイラル管4の加熱を停止する。そして供給路72の開閉バルブV5を「開」にして、ポンプP5を作動させ、冷却液ノズル7からスパイラル管4に向けて、例えば20℃に温調された冷却水をスプレー状に噴霧する。
【0057】
このときスパイラル管4の外壁面は約250℃程度に加熱されているため、吹き付けられた冷却水は瞬時に気化し、この気化熱によりスパイラル管4が冷却され、その温度が速やかに低下していく。こうしてスパイラル管4の温度がIPAの凝縮温度以下となるように冷却し、当該凝縮温度以下の温度になると、開閉バルブV5を「閉」とする。既述の構成では、1分程度でスパイラル管4が前記凝縮温度以下に冷却される。
【0058】
ここで筒状体5の内部雰囲気は減圧雰囲気の排出路39を介して、速やかに外部に排出されていく。この際筒状体5の内部雰囲気は、冷却水と、冷却水が気化されることにより発生する水蒸気とが混在した状態になるが、この気液混合物は排出路39に排出され、例えば気体成分と液体成分とに夫々分離されてから外部の排気設備及び排出設備に夫々排出される。
【0059】
ところでスパイラル管4を冷却してスパイラル管4内の超臨界IPAを凝縮させると、IPAの体積が減少してスパイラル管4内の圧力が低下する一方、ヒーター19による処理チャンバー11の加熱は継続しているので、処理空間100内のIPAはスパイラル管4へ向けて流れていく。この結果、流入したIPAが次々と凝縮し、液体IPAとなってスパイラル管4内に溜まってゆくことになる。この際、液体IPAの液面が例えばスパイラル管4内の当初の高さ位置に到達したら、供給路18の開閉バルブV2を「閉」として処理空間100内のIPAの回収を完了する。
【0060】
また処理チャンバー11とスパイラル管4との間の温度、圧力バランス上、回収可能な全量をスパイラル管4内に回収してから開閉バルブV2を閉じるようにしてもよい。このときスパイラル管4内のIPAの液面が、予め定めた高さ位置を超えている場合には、排出路45側の開閉バルブV4を開いてIPAの一部を除害設備側へ排出することにより、液面レベルを調整してもよい。これらの例においてIPAの液面の高さ位置は、例えば当該液面の到達する位置の配管の壁面に耐圧性を備えた覗き窓を設け、赤外線式の液面計などによりIPAの液面を検出することなどにより検出することができる。
【0061】
このようにしてスパイラル管4にIPAが液体の状態で回収されると、処理チャンバー11内の圧力は次第に低下していく。一方処理空間100内の温度は常圧におけるIPAの沸点(82.4℃)よりも高い温度に保たれているので、処理空間100内のIPAは超臨界の状態から気体の状態に変化することになる。このとき超臨界状態と気体との間には界面が形成されないので表面に形成されたパターンに表面張力を作用させることなく、ウエハWを乾燥することができる。
【0062】
以上のプロセスにより、ウエハWの超臨界処理を終えたら、処理空間100に残存している気体のIPAを排出するため、不図示のパージガス供給ラインからN2ガスを供給して排気ラインへ向けてパージを行う。そして予め定めた時間だけN2ガスの供給を行いパージが完了したら、ロックプレート15を下方位置まで降下させ、ロック部材17による突起部143の係止状態を開放する。そしてウエハホルダー14を受け渡し位置まで移動させ、超臨界処理を終えたウエハWを搬送アーム36の搬出用ピック39Bで吸着保持し、搬送する。
【0063】
一方、流体加熱部2側においては、ハロゲンランプ21を発熱させて、スパイラル管4に回収したIPAを超臨界の状態として処理チャンバー11に次のウエハWが搬入されてくるタイミングを待つ。
【0064】
上述の実施の形態によれば以下の効果がある。流体加熱部2では、ハロゲンランプ21を囲むようにスパイラル管4を設けることにより、ハロゲンランプ21の熱線によりスパイラル管4を効率よく急速に加熱することができる。またスパイラル管4の冷却時には、スパイラル管4の外面に冷却水を供給している。既述のように、外壁温度が250℃程度のスパイラル管4に冷却液を供給すると、当該冷却水が瞬時に気化し、このときの気化熱によりスパイラル管4から熱が奪われていく。従ってスパイラル管4が効率よく冷却され、スパイラル管4をIPAの凝縮温度まで速やかに冷却することができる。
【0065】
さらにスパイラル管4の内部にハロゲンランプ21を設けると共に、スパイラル管4に直接冷却液を供給するように構成されているので、大掛かりな構成が不要であり、1台の流体加熱部2にて収納容器の加熱及び冷却を行う場合であっても、装置の大型化を抑えることができ、省スペース化を図ることができる。また簡易な構成であることから、製造コスト及び運転コストが低減される。
【0066】
この際、ハロゲンランプ21とスパイラル管4との間には、ハロゲンランプ21を囲むように保護カバー体51が設けられているので、スパイラル管4に冷却液を供給するときにも、ハロゲンランプ21が冷却液から保護され、ハロゲンランプ21が冷却液により損傷されるおそれがない。またこの保護カバー体51を石英等のハロゲンランプ21の熱線を透過する材料により構成することにより、スパイラル管4への加熱を妨げずに、ハロゲンランプ21を冷却液から保護することができる。
【0067】
さらにまたスパイラル管4を囲むように筒状体5を構成することにより、スパイラル管4への冷却液の供給により発生する気化生成物の飛散が抑えられ、当該気化生成物がハロゲンランプ21に付着することを防止することができる。さらにまたこのように筒状体5内を閉じた空間とすることにより、筒状体5内に存在する冷却液や気化生成物を回収でき、雰囲気の汚染を抑えることができる。
【0068】
さらにまたこのような流体加熱部2を超臨界処理部1に接続した場合には、流体加熱部2において、スパイラル管4を効率よく加熱及び冷却できるので、これらに要する時間が短縮され、超臨界処理のスループットが向上する。さらにIPAの凝縮によるスパイラル管4内の圧力減少に伴い超臨界処理部1から速やかにスパイラル管4にIPAを回収することができる。これによりIPAを再利用することができるため、ランニングコストが減少する。
【0069】
ここで流体加熱部2に用いられる冷却液供給部の他の例について図10を用いて説明する。この例の冷却液供給部は、外側カバー体6の外方から外側カバー体6、筒状体5の外壁を貫通して略水平に伸び、筒状体5の内部におけるスパイラル管4の外側にて、スパイラル管4に沿って下方側に略垂直に伸びる冷却液ノズル74を備えている。当該冷却液ノズル74には、略垂直に伸びる部位において、スパイラル管4と対向する面に多数の吐出孔75が互いに間隔を開けて形成されている。このような冷却液ノズル74は、例えばスパイラル管4の周囲に当該スパイラル管4の周方向に沿って互いに間隔を開けて複数本配置されている。その他の構成は、上述の実施の形態と同様である。このような冷却液ノズル74では、当該ノズル74に冷却液が供給されると、吐出孔75から冷却液が吐出し、この冷却液はスパイラル管4の外面にその長さ方向に沿って吹き付けられる。
【0070】
さらに冷却液供給部は図11に示すように構成してもよい。この例の冷却液供給部は、スパイラル管4と筒状体5の外壁部52との間に、当該外壁部52と同心円状に形成された環状の冷却液供給管76を備えている。この冷却液供給管76のスパイラル管4と対向する面には、多数の吐出孔77が互いに間隔を開けて形成されている。このような冷却液供給管76では、冷却液供給路72,78を介して冷却液が供給されると、吐出孔77から冷却液が吐出し、この冷却液はスパイラル管4の外面にその周方向に沿って吹き付けられる。
【0071】
さらにまた超臨界処理部1に接続される流体加熱部2は1つに限定されず、例えば図12に示すように共通の超臨界処理部1に対して2つの流体加熱部2A、2Bを接続してもよい。流体加熱部2A,2Bは上述の実施の形態と同様に構成されており、超臨界処理部1は2本の供給路18A,18Bが接続される点を除いては上述の実施の形態と同様に構成されている。
【0072】
このように複数の流体加熱部2A、2Bを接続することにより、一方側の流体加熱部2Aから供給された超臨界IPAを他方側の流体加熱部2Bにて回収し、この他方側の流体加熱部2Bで回収されたIPAを超臨界状態として処理空間100に供給するといったように、流体加熱部2A、2Bを交互に使用することができる。これにより一方の流体加熱部2A、2Bにて超臨界IPAを準備し、処理空間100にてウエハWの超臨界処理を行う動作と並行して、他方側の流体加熱部2A、2Bのスパイラル管4を冷却しておくことにより、IPAの回収に要する時間を短縮して単位時間当たりのウエハWの処理枚数を増やすことができる。ここで超臨界IPAの供給と他方側のスパイラル管4の冷却とを並行して行う場合には、冷却中のスパイラル管4に接続されている供給路18Bの開閉バルブV2Bは閉の状態としておく。
【0073】
また図13に示すように、流体加熱部2はIPAの超臨界化を図るために用い、超臨界処理部1にて使用されたIPAは流体加熱部2とは別の回収容器200に回収するようにしてもよい。図13中、202は処理空間100からのIPAの回収路、V6は回収路202に設けられた開閉バルブである。この回収容器200の周囲には、例えば冷媒を通流させて冷却するための冷却管201が設けられている。
【0074】
このような実施の形態では、流体加熱部2ではスパイラル管4を加熱することによりIPAの超臨界化を行い、こうして得られた超臨界IPAは処理チャンバー11に供給されて既述の乾燥処理が実行される。この際回収容器200は予めIPAの凝縮温度以下の温度に冷却しておく。そして乾燥処理が終了すると、開閉バルブV2を閉じ、開閉バルブV6を開いて、処理チャンバー11内のIPAを回収路22を介して回収容器200に送り込む。
【0075】
一方流体加熱部2では、処理チャンバー11内の乾燥処理が終了して開閉バルブV2が閉じられると、冷却液ノズル7から冷却水をスパイラル管4に供給して、当該スパイラル管4を凝縮温度以下の温度まで冷却する。そしてスパイラル管4が前記温度まで冷却されると、新たにIPA液をスパイラル管4内に導入し、次の乾燥処理に用いられるIPAの超臨界化を実施する。
【0076】
この際回収容器200にて回収された液体IPAを流体加熱部2に送り、再び超臨界化するようにしてもよい。この場合には、回収容器200からスパイラル管4へ移送する手法としては、回収容器200とスパイラル管4との間を連結し、ポンプにより送液してもよい。また回収容器200をスパイラル管4よりも高い位置に配置し、高低差を利用して移送を行ってもよい。
【0077】
この実施の形態によれば、流体加熱部2では超臨界IPAの供給を停止した後、スパイラル管4に直接冷却水を供給しているので、スパイラル管4をIPAの凝縮温度以下の温度まで速やかに冷却することができる。ここでスパイラル管4の温度が高い状態で液体IPAをスパイラル管4内に導入すると、導入されたIPAが直ちに気化してしまい、スパイラル管4の内圧が高まって所定量の液体IPAを導入できなくなったり、導入に要する時間が長くなるおそれがある。従って、このようにスパイラル管4を速やかに冷却できれば、次の処理に使用する液体のIPAをスパイラル管4に供給するまでの時間が短縮され、スループットの低下を抑えることができる。
【0078】
さらに本発明では、流体収容部を図14に示すように構成してもよい。この構成における流体収容部45は、配管46を略垂直に下に向けて所定の長さ分伸ばし、そこから上に向くように屈曲させて所定の長さ分伸ばすというように、配管46を上下に屈曲させながら円筒体を形成するように構成されている。そして配管46の一端側(第1の通流ポート)は液体IPAの供給源431に接続され、他端側47(第2の通流ポート)は処理チャンバー11に接続されている。
【0079】
また図2及び図3に示した例では、ウエハホルダー14はウエハWが載置される薄板状の部材として構成されているが、当該ウエハホルダー14を皿形状に構成してこの皿内にIPAの液溜まりを形成し、当該液溜まり中にウエハWを浸漬する構成としてもよい。既述のように処理空間100は100℃〜300℃程度に予熱されているので、超臨界IPAによる処理を開始する前にIPAが乾燥してしまう現象の発生を抑えることができる。
【0080】
このようにIPA中にウエハWを浸漬した状態で処理チャンバー11内に搬入する場合には、ウエハWは図3に示したように横置きの状態でウエハホルダー14に保持する場合に限られない。例えば、ウエハWを縦置きの状態で液体IPA中に浸漬することが可能なように、ウエハホルダー14を縦方向に細長いカップ形状の容器として構成してもよい。この場合には処理チャンバー11の形状もウエハホルダー14の形状に合わせて縦長に構成される。さらにこのときウエハホルダー14にて複数枚のウエハWを保持するようにしてもよい。
【0081】
そしてウエハWの乾燥を行うために用いる高温高圧流体の原料は、IPAに限定されるものではなく、例えばHFE(Hydro Fluoro Ether)やCO2(二酸化炭素)を用いてもよい。さらに高温高圧流体状態は、超臨界状態の場合に限られず、原料の液体を亜臨界状態(例えばIPAの場合は、温度100℃〜300℃の範囲、圧力1MPa〜3MPaの範囲内)として、この亜臨界流体を用いてウエハWの乾燥を行う場合も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0082】
さらにまた熱線を輻射する加熱部は、ハロゲンランプに限られず、LEDランプであってもよい。また、処理チャンバー11は、略水平に設けられた処理チャンバー11内にウエハホルダー14によりウエハWを搬入し、処理チャンバー11を略水平な状態で超臨界処理を行うようにしてもよい。また、略水平に設けられた処理チャンバー11内にウエハホルダー14によりウエハWを搬入した後、処理チャンバー11を略垂直に傾け、この垂直な状態で超臨界処理を行うようにしてもよい。
【0083】
さらには、本発明にて実施される超臨界処理はウエハWの表面の液体を除去する乾燥処理だけに限定されるものではない。例えばレジスト膜を用いてパターニングを行った後のウエハWを超臨界状態のIPAと接触させて、ウエハWからレジスト膜を除去する処理と当該ウエハWを乾燥させる処理とを一括して行う洗浄、乾燥処理にも本発明は適用することができる。
【0084】
さらにまた、本発明の流体加熱部は、半導体ウエハWを洗浄する洗浄液等の流体を加熱する場合にも適用することができる。
【符号の説明】
【0085】
W ウエハ
1 超臨界処理部
11 処理チャンバー
100 処理空間
18 供給路
19 ヒーター
2,2A,2B 流体加熱部
21 ハロゲンランプ
4 スパイラル管
5 筒状部
51 保護カバー体
52 外壁部
6 外側カバー体
V0〜V4 開閉バルブ
C 制御部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱線を輻射する加熱部と、
この加熱部を囲むように設けられ、流体を収容するための流体収容部と、
この流体収容部に設けられ、外部との間で流体が通流する通流ポートと、
前記流体収容部の外面に冷却液を供給するための冷却液供給部と、
前記加熱部を前記冷却液から保護するために、前記加熱部と流体収容部との間に当該加熱部を囲むように設けられ、前記熱線を透過する材料により構成された保護カバー体と、を備えたことを特徴とする流体加熱装置。
【請求項2】
前記流体収容部は、前記加熱部の周囲を巻回するように設けたスパイラル管であることを特徴とする請求項1記載の流体加熱装置。
【請求項3】
前記保護カバー体は筒状に構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の流体加熱装置。
【請求項4】
前記冷却液供給部は、前記流体収容部の周囲から当該流体収容部に冷却液を吐出する冷却液ノズルであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載の流体加熱装置。
【請求項5】
前記スパイラル管の外方を囲むように設けられた筒状の外壁部と、筒状に構成された前記保護カバー体とを含み、前記スパイラル管の周囲を囲むように設けられた筒状体を備え、
前記冷却液ノズルは前記筒状体の内側に冷却液を吐出するように設けられていることを特徴とする請求項4記載の流体加熱装置。
【請求項6】
前記加熱部は、流体収容部内の流体を加熱して超臨界流体とするためのものであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一つに記載の流体加熱装置。
【請求項7】
高温高圧流体により被処理基板に対して処理を行うための処理容器と、
この処理容器内の流体を高温高圧状態に維持するために当該処理容器内を加熱する処理容器用の加熱機構と、
前記処理容器に接続された請求項1ないし6のいずれか一つに記載の流体加熱装置と、
前記通流ポートと前記処理容器とを接続し、開閉バルブが介在する流体流路と、を備えたことを特徴とする基板処理装置。
【請求項8】
前記流体収容部内の液体状態である流体が高温高圧状態になった後、前記開閉バルブを開いて当該流体を前記処理容器へ供給し、その後前記冷却液供給部からの冷却液により、前記流体収容部を流体の凝縮温度以下に冷却するように制御信号を出力する制御部を設けたことを特徴とする請求項7記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記高温高圧流体は超臨界流体であることを特徴とする請求項7又は8記載の基板処理装置。
【請求項1】
熱線を輻射する加熱部と、
この加熱部を囲むように設けられ、流体を収容するための流体収容部と、
この流体収容部に設けられ、外部との間で流体が通流する通流ポートと、
前記流体収容部の外面に冷却液を供給するための冷却液供給部と、
前記加熱部を前記冷却液から保護するために、前記加熱部と流体収容部との間に当該加熱部を囲むように設けられ、前記熱線を透過する材料により構成された保護カバー体と、を備えたことを特徴とする流体加熱装置。
【請求項2】
前記流体収容部は、前記加熱部の周囲を巻回するように設けたスパイラル管であることを特徴とする請求項1記載の流体加熱装置。
【請求項3】
前記保護カバー体は筒状に構成されていることを特徴とする請求項1又は2記載の流体加熱装置。
【請求項4】
前記冷却液供給部は、前記流体収容部の周囲から当該流体収容部に冷却液を吐出する冷却液ノズルであることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載の流体加熱装置。
【請求項5】
前記スパイラル管の外方を囲むように設けられた筒状の外壁部と、筒状に構成された前記保護カバー体とを含み、前記スパイラル管の周囲を囲むように設けられた筒状体を備え、
前記冷却液ノズルは前記筒状体の内側に冷却液を吐出するように設けられていることを特徴とする請求項4記載の流体加熱装置。
【請求項6】
前記加熱部は、流体収容部内の流体を加熱して超臨界流体とするためのものであることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一つに記載の流体加熱装置。
【請求項7】
高温高圧流体により被処理基板に対して処理を行うための処理容器と、
この処理容器内の流体を高温高圧状態に維持するために当該処理容器内を加熱する処理容器用の加熱機構と、
前記処理容器に接続された請求項1ないし6のいずれか一つに記載の流体加熱装置と、
前記通流ポートと前記処理容器とを接続し、開閉バルブが介在する流体流路と、を備えたことを特徴とする基板処理装置。
【請求項8】
前記流体収容部内の液体状態である流体が高温高圧状態になった後、前記開閉バルブを開いて当該流体を前記処理容器へ供給し、その後前記冷却液供給部からの冷却液により、前記流体収容部を流体の凝縮温度以下に冷却するように制御信号を出力する制御部を設けたことを特徴とする請求項7記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記高温高圧流体は超臨界流体であることを特徴とする請求項7又は8記載の基板処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2012−87983(P2012−87983A)
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−234670(P2010−234670)
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年5月10日(2012.5.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年10月19日(2010.10.19)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
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