説明

流体動圧軸受の検査方法及びこの流体動圧軸受を備えたスピンドルモータ

【課題】 流体動圧軸受を高精度に検査すること。
【解決手段】 気体を給送して、スリーブ6の軸受孔の下側開口からラジアル間隙50及び軸受孔の上側開口を経てロータハブ12の上壁部12aの外方に向かう気体の流れを起こして、ロータ部10を浮上させる。ロータ部10を浮上させた状態で、変位計40を用いてロータ部10の回転と同期した振れの大きさを測定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体動圧軸受の検査方法及びこの流体動圧軸受を備えたスピンドルモータに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ハードディスク駆動装置に用いられるスピンドルモータには、種々の軸受が採用されている。例えば、ロータハブに固定されたシャフトとベースに固定されるとともにシャフトが挿入されるスリーブとの間における潤滑油の動圧を利用した流体動圧軸受が利用されている(このような流体動圧軸受の例として例えば特許文献1参照)。流体動圧軸受は、ロータハブがスリーブに対し非接触状態で支持されている。
【0003】
【特許文献1】特開2003-088042号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、ハードディスク駆動装置は、高密度化、高精度化が進み、スピンドルモータに対しても、ロータハブを有するロータ部を高精度に回転させることが要請されている。
【0005】
このような高精度なロータ部を得るために、スピンドルモータの状態でロータ部を検査すると共に、スピンドルモータの組立て途上においてもロータ部に対し様々な検査を実施する必要がある。
【0006】
また、スピンドルモータの状態においてロータ部を検査した場合、検査により規格を満足しなかったモータは廃却となり、廃却コストがかかり生産性が悪くなる。従って、ロータ部の検査対象項目によっては、スピンドルモータの組立て途上で、且つ構成されるモータ部品の数が少ない状態で検査を行うのが好ましい場合がある。
【0007】
また、ロータ部を検査する場合、検査計をロータ部に接触させて検査すると、検査計がロータ部を押すことでロータ部とスリーブとが互いに接触することとなり、ロータ部若しくはスリーブが損傷してしまい、動圧軸受として満足する性能を得られなくなる場合がある。
【0008】
本発明は、上記課題を鑑みたものであり、本発明の目的は、スピンドルモータの組立て途上において流体動圧軸受を高精度に検査することである。
【0009】
また本発明の目的は、信頼性並びに耐久性に優れた流体動圧軸受及びこれを備えたスピンドルモータを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、静止部と静止部に対し中心軸回りに回転するロータ部とを備えたスピンドルモータに用いられる流体動圧軸受の検査方法であって、
中心軸に沿う方向に配置された軸受孔を有するスリーブを用意する工程と、
スリーブの軸受孔に挿入されるシャフトと、シャフトの上端部に配置されシャフトの外周面から半径方向外方に広がる下面を有する上壁部と、を備えたロータ部を用意する工程と、
シャフトをスリーブの軸受穴に挿入して、該シャフトの外周面とスリーブの内周面との間のラジアル間隙を介し対向させる、対向工程と、
軸受孔の下側開口部における気圧を、上壁部より上側の気圧よりも相対的に高め、軸受孔の下側開口からラジアル間隙及び軸受孔の上側開口を経て上壁部の外方に向かう気体の流れを起こすことにより、ロータ部をスリーブに対して中心軸方向に相対的に浮上させる、浮上工程と、
浮上させた状態を保ちつつ、ロータ部若しくは静止部に対して、所定の測定を実施する、測定工程と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
請求項2の発明は、ロータ部は、更に上壁部の外周部から下側に伸びる円筒部と、円筒部の下端に位置し記録ディスクが載置されるディスク載置部と、を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項3の発明は、浮上状態を保ちつつ、測定工程に先立って、円筒部に対し周方向の空気流を吹き付けてロータ部を静止部に対し回転させ、
測定工程における測定は、ロータ部が回転状態にある流体動圧軸受に対して実施される、ことを特徴とする。
【0013】
請求項4の発明は、浮上状態を保ちつつ、測定工程に先立って、ハブ部の外周部に対して周方向の空気流を吹き付けてロータ部を静止部に対して回転させ、
測定工程における測定は、ロータ部が回転状態にある流体動圧軸受に対して実施される、ことを特徴とする。
【0014】
請求項5の発明は、測定工程に先立って空気流の吹き付けを停止し、その後ロータが回転を停止する前までに測定が実施される、ことを特徴とする。
【0015】
請求項6の発明は、所定の測定は、ロータ部の一部位を測定箇所とした、回転と同期した振れの大きさの測定であることを特徴とする。
【0016】
請求項7の発明は、ロータ部は、上壁部の下面から下側に伸び且つスリーブの外周面と半径方向に対向する環状壁部を備え、
浮上工程において、気体は、前記軸受孔の上側開口から上壁部の下面とスリーブの上端面との間のスラスト間隙、および、スリーブの外周面と環状壁部との間のシール間隙を通り排出されることを特徴とする。
【0017】
請求項8の発明は、スラスト間隙の間隙寸法は、前記ラジアル間隙の間隙寸法より大きく且つ50μm以下であり、
前記スラスト間隙には、ロータ部の回転時にスラスト間隙に保持された潤滑流体に動圧を誘起するスラスト動圧発生用溝を有するスラスト動圧軸受部が構成されることを特徴とする。
【0018】
請求項9の発明は、ラジアル間隙の間隙寸法は、10μm以下であり、
ラジアル間隙には、ロータ部の回転時にラジアル間隙に保持された潤滑流体に動圧を誘起するラジアル動圧発生用溝を有するラジアル動圧軸受部が構成されることを特徴とする。
【0019】
請求項10の発明は、中心軸に沿う方向に伸びる気体給送部を有し、スリーブの下部を保持するスリーブ保持部を備え、
スリーブの下部外周面とスリーブ保持部との間には、弾力性を有するリング状部材が嵌め込まれていることを特徴とする。
【0020】
請求項11の発明は、請求項1乃至10のいずれか記載の流体動圧軸受を備えたことを特徴とするスピンドルモータ。
【発明の効果】
【0021】
本発明では、スピンドルモータの組立て途上において高精度に流体動圧軸受を検査することができる。とりわけ、ロータ部の回転と同期した振れの大きさの測定を高精度に実現することができる。
【0022】
また、流体動圧軸受のロータ部と静止部に対し非接触状態にて検査されるため、ロータ部若しくはスリーブの損傷を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の一実施形態について図1乃至図5を参照に説明する。なお、本発明の説明において、各部材の位置関係や方向を上下左右で説明するときは、あくまで図面における位置関係や方向を示し、実際の機器に組み込まれたときの位置関係や方向を示すものではない。
【0024】
図1は、例えばハードディスク駆動装置に使用されるスピンドルモータを示す縦断面図である。スピンドルモータは、静止部1と、略カップ形状のベースプレート2の中央部の円形貫通孔2aに配置される流体動圧軸受4と、流体動圧軸受4により回転自在に支持されるロータ部10と、を備える。
【0025】
流体動圧軸受4は、内側に軸方向に伸びる軸受孔を有する中空円筒状のスリーブ6を備える。スリーブ6の下端部は、シール部材11によって閉塞され、スリーブ6の内周面は、シャフト14と半径方向にラジアル間隙5050を介して対向する。
【0026】
ロータ10は、ロータハブ12と、ロータハブ12に固着されたシャフト14と、を備える。シャフト14は、スリーブ6に対して中心軸J1Xを中心として回転する。ロータハブ12は、略円板状の上壁部12aと、上壁部12aの外周部から垂下する円筒部12bと、円筒部12bの下端部に位置し記録ディスク100が載置されるディスク載置部12cと、を備える。
【0027】
円筒部12bの内周面には、ロータマグネット16が接着剤によって固着されると共に、ロータマグネット16は、ステータ8と半径方向に間隙を介して対向する。
【0028】
上述の構造においては、ロータハブ12の上壁部12aの下面とスリーブ6の上端面との間のスラスト間隙52と、スリーブ6の内周面とシャフト14の外周面との間のラジアル間隙50と、シャフト14の下端面とシール部材10の上面との間の間隙とは、すべて連続している。そして、その連続した間隙には、潤滑流体としてオイルが途切れることなく保持されている。
【0029】
スリーブ6の上部外周面には、スリーブ6の外径が上端面から軸方向下方に縮径する傾斜面が設けられており、この傾斜面と対向するロータハブ12の上壁部12aの環状壁部12dとの間には、シール間隙54が構成される。シール間隙54の半径方向の間隙寸法は、軸方向下方に向かうに従って増大している。すなわち、スリーブ6の上部外周面と環状壁部12dとが協動してテーパシール部18を構成している。上述した各間隙内に保持されるオイルは、テーパシール部18内において、オイルの表面張力と外気圧とがバランスされ、オイルと空気との界面がメニスカス状に形成される。
【0030】
次ぎに、流体動圧軸受4について説明する。
【0031】
スリーブ6の内周面とシャフト14の外周面との間のラジアル間隙50には、上ラジアル動圧軸受20及び下ラジアル動圧軸受22が軸線方向に離間して設けられている。上ラジアル動圧軸受20及び下ラジアル動圧軸受22は、スリーブ6の内周面と、シャフト14の外周面と、半径方向に対向する両部材間のラジアル間隙50に保持されているオイルとを備える。
【0032】
スリーブ6の内周面の上ラジアル動圧軸受20を構成する部位には、オイルを上ラジアル動圧軸受部20の軸線方向両端部から略中央部に誘起するヘリングボーン動圧溝列6aが形成されている。スリーブ6の内周面の下ラジアル動圧軸受22を構成する部位にも同様にヘリングボーン動圧溝列6bが形成されている。ロータ部10が回転すると上ラジアル動圧軸受20と下ラジアル動圧軸受22とで発生する圧力により、シャフト14は、非接触状態にて支持される。
【0033】
また、スリーブ6の上端面とロータハブ12の上壁部12aの下面との間のスラスト間隙52には、スラスト動圧軸受24が設けられている。スラスト動圧軸受24は、スリーブ6の上端面と、ロータハブ12の上壁部12aの下面と、スラスト間隙52に保持されているオイルとを備える。
【0034】
またスリーブ6の上端面には、ロータ部10の回転時に、オイルが半径方向内方に誘起されるよう、スパイラル状のスラスト動圧発生用溝列6cが形成されている。ロータ10が回転すると、スラスト動圧軸受24では、スラスト動圧発生用溝列により半径方向内方へと向かう圧力が誘起される。この圧力によってオイル内圧が高められ、ロータ部10が浮上する方向に作用する流体動圧が発生するとともに、ラジアル間隙50と、シャフト14の下端面とシール部材10の上面との間隙と、に保持されるオイル全体の圧力が正圧に保たれることとなる。なお、スラスト動圧発生用溝列は、ヘリングボーン状溝列でもよい。
【0035】
本発明のロータ部10の回転振れを測定する方法について説明する。図2は、ロータ部10の回転振れを測定する流れを示す図である。図3は、ロータ部10の浮上状態を示す図である。また、図4は、ロータアッセンブリ30の浮上状態における変位計40との相対位置を示す図である。図5は、図3のロータハブを矢印200の方向から見た図である。
【0036】
これに先立ち、図3のロータアッセンブリ30の組立方法について説明する。まず、シャフト14がスリーブ6の下側の開口から挿入される。次に、シャフト14の上部外周部にロータハブ12が圧入及び/又は接着等の手段によって固定される。以上によりロータハブ12、シャフト14、及びスリーブ6を備えたロータアッセンブリ30が構成される。
【0037】
次ぎに、前述の回転振れを測定する方法について説明する。まず、スリーブ保持部32にロータアッセンブリ30を置く(ステップS21)。スリーブ保持部32の内側にはリング状部材34が配置されている。ロータアッセンブリ30をスリーブ32に置くとき、リング状部材34は、弾性変形してスリーブ6を内側への弾性力で押さえる。この構成により、スリーブ6は、スリーブ保持部32に保持されることとなる。
【0038】
なお、ステップ21では、シャフト14はスリーブ保持部32に接触していない。即ち、図3に示すように、シャフト14の下端部とスリーブ保持部32との間には隙間36は形成される。この構成により、シャフト14がスリーブ保持部32に傾いて当接した状態から浮上することを防止できる。従って、後述するロータアッセンブリ30が安定して浮上することができる。
【0039】
そして、ポンプ(不図示)から所定の圧力を有する気体を、気体流路孔38を介してラジアル間隙50及びスラスト間隙52へと給送して、ロータアッセンブリ30を浮上させる(ステップS22)。本実施形態では、気体として空気を用いる。なお、気体としては、窒素、ヘリウム等も適用可能である。組立て後のスピンドルモータの品質に影響を与えない気体であれば適用可能である。
【0040】
詳細に述べると、図3の矢印のように、気体流路孔38から給送された気体は、ラジアル間隙50の下側開口から上側開口、および、スラスト間隙52の径方向内端部から径方向外端部へと流れる。これにより、ラジアル間隙50の下側開口の気圧をロータハブ12の上壁部12aの上側の領域の気圧より高くする。スラスト間隙50の径方向外端部へと流れた気体は、シール間隙54を通り軸受外部へ排出される。本実施形態では、ロータハブ12は、およそ10μm浮上する。
【0041】
そして、ロータの回転振れを測定する変位計40の先端部をロータハブ12の外周部に近づける(ステップS23)。ロータアッセンブリ30が浮上した状態において、変位計40は、ロータアッセンブリ30に接触していない。
【0042】
また、図5に示すように、気体がラジアル間隙50に給送されると同時又はその後に、ロータハブ12の円筒部12bに対しノズル60から気体を吹き付ける(ステップ24)。この気体は、前述のラジアル間隙50に給送する気体と同じでもよいし異なる気体でもよい。気体は、円筒部12bに対し周方向の4箇所から吹き付ける。気体は、モータの回転方向と同じ方向となるよう、円筒部12bに吹き付けられる。この構成によりロータアッセンブリ30は、およそ一分間に100〜400回転することとなる。
【0043】
ロータアッセンブリ30が回転すると、ラジアル間隙50及びスラスト間隙52には、常に気体が給送されるため、ラジアル間隙50及びスラスト間隙52は静圧気体軸受が構成され、ロータアッセンブリ50を非接触状態にて支持される。
【0044】
また、ロータアッセンブリ30が浮上した状態では、ラジアル間隙50はおよそ10μm以下であり、スラスト間隙52はラジアル間隙50より広く50μm以下である。この構成により、給送された気体は、ラジアル間隙50からスラスト間隙50に容易に流動するとともに、直ちにロータハブ12の上壁部12aを浮上する方向へと押圧する。そのため、ロータアッセンブリ30の回転初期状態でのロータハブ12とスリーブ6との接触を低減することができる。
【0045】
また、リング状部材34が弾性変形した状態でスリーブ6に密着しているため、スリーブ6とスリーブ保持部32との間の隙間から気体が漏れることを抑制できる。
【0046】
続いて、気体流路孔38から気体を給送している状態で、ノズル60によるロータハブ12の円筒部12bへの気体の吹きつけを停止し、ロータアッセンブリ30を数秒間回転させる(ステップS25)。ステップS25では、ノズル60による円筒部12bへの気体の吹きつけを停止した状態では、ロータアッセンブリ30は惰性回転している。
【0047】
その後、ロータアッセンブリ30の回転が停止するまでの間に、図4に示すロータハブ12の外周上端面の一部位12dを基準として変位計40を用いてロータアッセンブリ30の回転と同期した回転振れの大きさを測定する。即ち、ロータアッセンブリ30の軸方向のRRO(Repeatable Run Out 繰り返し性の振れ)を測定する(ステップS26)。測定は、ロータアッセンブリ30が回転している間、複数回実施される。
【0048】
ステップS26では、ロータアッセンブリ30の惰性回転中に変位計で測定することにより、ロータアッセンブリの回転振れは外部からの圧力が加わらない状態で測定されるため、ロータアッセンブリ30の回転振れを高精度に測定することができる。
【0049】
また、ステップS26においては、ロータアッセンブリ30が、スリーブ6に対し非接触状態で支持された状態において変位計を用いて測定される。そのため、ステップS26において測定された回転振れ値と、スピンドルモータの組立て後の回転振れ値と、との良好で且つ高精度な相関性を得ることができる。従って、効率良くモータを生産できるので、モータの生産性を向上させることができる。
【0050】
また、回転振れ値を複数回測定した場合でも、回転振れ値の繰り返し精度を改善することができる。
【0051】
また、回転振れ値を改善することができるため、モータ生産時に回転振れ値に規格が設けられている場合、規格内外の判定を正確に行うことができ、モータの品質及び生産性を向上させることができる。
【0052】
また、変位計40は、ロータアッセンブリ30に対して非接触状態で回転振れを測定する。そのため、前述と同様にロータハブが外部から圧力を加わらない状態で測定されるため、ロータアッセンブリ30の回転振れを高精度に測定することができる。
【0053】
また、変位計40がロータハブに接触した状態でロータアッセンブリ30の回転振れを測定する場合、ロータハブとスリーブとが接触して、そのどちらか一方或いは両部材が傷つき損傷する場合があった。しかし本発明では、変位計は、ロータアッセンブリ30に対して非接触状態であるためロータハブ及びスリーブの損傷を防止できる。
【0054】
また、非接触式の変位計40を用いたため、測定分解能が高くなり、測定精度を向上させることができる。
【0055】
また、ラジアル間隙50の下端側開口部から上端側開口部へと気体を給送してロータハブアッセンブリ30を浮上させるため、スリーブの材質に影響されず簡便な構成で効率よくロータアッセンブリ30の浮上を得ることができる。
【0056】
以上、本発明に従う流体動圧軸受の検査方法及びこの流体動圧軸受を備えたスピンドルモータの一実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【0057】
例えば、検査対象項目は、ロータ部の浮上量の測定、回転トルクの測定等が可能である。また、スラスト間隙の測定、モータ部品の形状などのモジュレーション検出等も可能である。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の一実施形態のスピンドルモータを示す縦断面図である。
【図2】ロータアッセンブリの回転振れを測定する流れを示す図である。
【図3】ロータアッセンブリの浮上状態を示す図である。
【図4】図3のロータハブを上側から見た図である。
【図5】ロータアッセンブリの浮上状態における変位計との相対位置を示す図である。
【符号の説明】
【0059】
1 静止部
6 スリーブ
10 ロータ部
12 ロータハブ
12a 上壁部
12b 円筒部
12c ディスク載置部
30 ロータアッセンブリ
32 スリーブ保持部
40 変位計
50 ラジアル間隙
52 スラスト間隙
54 シール間隙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
静止部と前記静止部に対し中心軸回りに回転するロータ部とを備えたスピンドルモータに用いられる流体動圧軸受の検査方法であって、
中心軸に沿う方向に配置された軸受孔を有するスリーブを用意する工程と、
前記スリーブの軸受孔に挿入されるシャフトと、前記シャフトの上端部に配置され前記シャフトの外周面から径方向外方に広がる下面を有する上壁部と、を備えたロータ部を用意する工程と、
前記シャフトを前記スリーブの軸受穴に挿入して、該シャフトの外周面と前記スリーブの内周面との間のラジアル間隙を介し対向させる、対向工程と、
前記軸受孔の下側開口部における気圧を、前記上壁部より上側の気圧よりも相対的に高め、前記軸受孔の下側開口から前記ラジアル間隙及び前記軸受孔の上側開口を経て前記上壁部の外方に向かう気体の流れを起こすことにより、前記ロータ部を前記スリーブに対して中心軸方向に相対的に浮上させる、浮上工程と、
前記浮上させた状態を保ちつつ、前記ロータ部若しくは静止部に対して、所定の測定を実施する、測定工程と、を備えたことを特徴とする流体動圧軸受の検査方法。
【請求項2】
前記ロータ部は、更に前記上壁部の外周部から下側に伸びる円筒部と、前記円筒部の下端に位置し記録ディスクが載置されるディスク載置部と、を備えることを特徴とする請求項1記載の流体動圧軸受の検査方法。
【請求項3】
前記浮上状態を保ちつつ、前記測定工程に先立って、前記円筒部に対し周方向の空気流を吹き付けて前記ロータ部を前記静止部に対し回転させ、
前記測定工程における測定は、前記ロータ部が回転状態にある流体動圧軸受に対して実施される、ことを特徴とする請求項1又は2記載の流体動圧軸受の検査方法。
【請求項4】
前記浮上状態を保ちつつ、前記測定工程に先立って、前記ハブ部の外周部に対して周方向の空気流を吹き付けて前記ロータ部を前記静止部に対して回転させ、
前記測定工程における測定は、前記ロータ部が回転状態にある流体動圧軸受に対して実施される、ことを特徴とする請求項1又は2記載の流体動圧軸受の検査方法。
【請求項5】
前記測定工程に先立って前記空気流の吹き付けを停止し、その後前記ロータが回転を停止する前までに前記測定が実施される、ことを特徴とする請求項3又は4記載の流体動圧軸受の製造方法。
【請求項6】
前記所定の測定は、前記ロータ部の一部位を測定箇所とした、回転と同期した振れの大きさの測定であることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の流体動圧軸受の検査方法。
【請求項7】
前記ロータ部は、前記上壁部の下面から下側に伸び且つ前記スリーブの外周面と半径方向に対向する環状壁部を備え、
前記浮上工程において、前記気体は、前記前記軸受孔の前記上側開口から前記上壁部の下面と前記スリーブの上端面との間のスラスト間隙、および、前記スリーブの外周面と前記環状壁部との間のシール間隙を通り排出されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の流体動圧軸受の製造方法。
【請求項8】
前記スラスト間隙の間隙寸法は、前記ラジアル間隙の間隙寸法より大きく且つ50μm以下であり、
前記スラスト間隙には、前記ロータ部の回転時に前記スラスト間隙に保持された潤滑流体に動圧を誘起するスラスト動圧発生用溝を有するスラスト動圧軸受部が構成されることを特徴とする請求項7記載の流体動圧軸受の検査方法。
【請求項9】
前記ラジアル間隙の間隙寸法は、10μm以下であり、
前記ラジアル間隙には、前記ロータ部の回転時に前記ラジアル間隙に保持された潤滑流体に動圧を誘起するラジアル動圧発生用溝を有するラジアル動圧軸受部が構成されることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の流体動圧軸受の検査方法。
【請求項10】
中心軸に沿う方向に伸びる気体給送部を有し、前記スリーブの下部を保持するスリーブ保持部を備え、
前記スリーブの下部外周面と前記スリーブ保持部との間には、弾力性を有するリング状部材が嵌め込まれていることを特徴とする請求項1乃至9のいずれかに記載の流体動圧軸受の検査方法。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか記載の流体動圧軸受を備えたことを特徴とするスピンドルモータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−275363(P2008−275363A)
【公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−116666(P2007−116666)
【出願日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【出願人】(000232302)日本電産株式会社 (697)
【Fターム(参考)】