説明

消耗品ユニットの包装袋封緘構造

【課題】消耗品ユニットの包装袋の開口部を簡易で安価な方法で封緘し、消耗品回収協力契約をスムースに成立させて使用済みの消耗品ユニットを適切に回収できるようにする。
【解決手段】包装袋3は、対面縁部3bを拡開することで開口部を形成可能な一辺Aと、三辺B、C、Dが閉じられた封筒状の熱可塑性透明樹脂からなり、新品のトナーカートリッジ1を内包して対面縁部3bどうしを重ねた状態で超音波スポット溶着Sにより接合され消耗品回収協力同意ユーザに供給される。この接合部は、切り離しすることなくトナーカートリッジ1の取り出しを阻止する封緘として機能し、ユーザが包装袋を開封することで内包されたトナーカートリッジ1の使用許諾と回収協力の契約が成立するシステムに採用される。開封操作により溶着部分が開封痕として残るため、使用許諾契約の意思が明確になり、延いては使用済みの消耗品ユニットの適切な回収に寄与する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置に対して交換可能に供給される消耗品ユニットとしての画像形成ユニットを内包する包装袋の封緘方法に係り、より詳細には消耗品回収協力同意ユーザに対し、交換用の新品ユニットの包装袋を開封することで使用許諾契約を成立させて消耗品ユニットをレンタル式で安価に供給する一方、使用済みの消耗品ユニットを適切に回収できるようした消耗品回収処理方法および回収システムのための改良された包装袋の封緘構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、トナーを用いて画像を形成する電子写真式の画像形成装置(プリンタ、複写機、ファクシミリ等)がある。これら画像形成装置は、近年、ユーザの使い勝手を向上させるべく画像形成のための主要部をユニット化した所謂画像形成ユニットを着脱自在に備える構成が主流である。この画像形成ユニットは、現像剤(以下、トナーと言う)や感光体ドラム等の消耗品を一体的に組み込んでいることから、消耗品ユニットとも呼ばれる。
【0003】
このような画像形成装置において、例えばトナーが画像形成により消費され、遂には現像部内にトナーが無くなると、トナー残量検知機構による「トナー無し」の検知に基づいて強制的に印字が禁止されるようになっている。また、同様に感光体ドラムが消耗しトナー画像に不具合が発生する頃をカウンター等の検知手段により予測し、その時点で印字が禁止されるようになっている。このような状態になると、画像形成装置の表示部には新たな消耗品ユニットへの交換の警告・表示がなされ、通常、ユーザ側で交換作業が行なわれる。
【0004】
図5は、そのような従来の消耗品ユニット51(トナーカートリッジ)を梱包形態と共に示す図である。同図に示すように、新品の消耗品ユニット51は、生産現場にて紙や樹脂フィルム或いはアルミラミネートフィルム等からなる包装袋52に内包されてダンボール製等の梱包箱53に梱包される。包装袋52は、一辺に開口部52aを有する封筒状の包装袋であり、新品の消耗品ユニット51を開口部52aを介して内包した後、開口部52aを適宜絞ったり折り返したりして梱包箱53に梱包されて、メーカや販売業者から供給される。
【0005】
上述のユーザ側の交換作業に際し、ユーザは上記梱包状態を解いて新たな消耗品ユニットを画像形成装置にセットして引き続き画像形成装置を使用することとなる。一方、使用済みの消耗品ユニットは、メーカや販売業者へ返却するか通常のゴミとして廃棄処理する。
【0006】
ところで、近年ゴミの増大化が社会問題となり、消耗品のリサイクル化は世界的な動きでもあり、上記のような画像形成装置の消耗品においても、その回収はメーカ側に課せられた大きな課題となっている。
【0007】
そこで、最近では、メーカが積極的に回収を呼びかけるようになってきており、装置の取り扱い説明書や消耗品そのものの説明書には回収についての説明が記載されている。ところが、ユーザがそれらの説明書を読まなかったり、回収方法が煩雑だとして、消耗品ユニットを一般のゴミとして廃棄してしまうことも依然多く、適正な回収の促進に至っていない。
【0008】
これに対し、資源回収を促進するシステムとして、空き缶の回収に協力してくれた人には、特典として現金や商品券などを提供する、という提案がある(例えば、特許文献1参照)。また、ユーザの回収への協力度に応じて特典を用意する例として、印刷に用いる着色剤を収容したカートリッジに関連した消耗品回収システムも提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0009】
しかしながら、これら特許文献1、2に記載された回収システムは、回収協力者が所定の回収場所に回収物を持参し、この持参した回収物を特別に設けられた回収装置により検出したり回収情報を記録したり蓄積したりするシステムとされている。従って、回収システムが複雑であると共に、基本的に得られる特典は回収実施後に限られるために、回収意欲が減退したり煩雑さを感じる人も少なくない。
【0010】
そこで、このような回収システムを抜本的に改良して、消耗品回収協力同意ユーザに対しては、所定の契約を前提に、予め特典すなわち値引きをして消耗品を供給しようとするシステムが提案されている。
【0011】
すなわち、メーカ側が従来売り切り価格として設定した消耗品価格に対して、所定の値引き価格でユーザに供給する代わりに、使用済みとなった消耗品を確実にメーカや販売業者へ返却するという契約を締結することで、消耗品回収処理をスムースに行なおうとするものである。これは、謂わば、消耗品をレンタル式でメーカがユーザに貸与するのに似たシステムと言える。この場合、上記契約としては、協力という観点からも極めて簡易なものが望ましい。そうでなければ、契約手続きの煩雑さにより協力意欲が損なわれ、元も子もないことになる。
【0012】
そこで、図5に戻って、このような消耗品回収協力システムを実施するために、例えば梱包箱53に簡易契約書に相当する表示ラベル54を貼付することが行なわれている。
【0013】
この表示ラベル54には、例えば、『本消耗品ユニットには使用許諾契約を設けておりますので開封前に必ずお読みください。<使用許諾契約>本製品は〇〇会社が所有権を保有し、お客様に使用権を許諾します。お客様が本製品の使用にあたって、以下の事項に同意するものとします。・本製品は〇〇会社製適合機種のみでご使用いただけます。・お客様は本製品を「トナー交換」表示までご使用いただけます。・お客様は本製品を修理、改造、貸与、売却することはできません。・ご使用後は必ず返却願います。ご返却方法は同梱の案内書をご覧ください。...』などと記載されている。
【0014】
このように提案された消耗品回収協力システムによれば、消耗品回収に協力しようとするユーザは、上記表示ラベル54の記載内容を確認同意するだけで簡易契約されたものと見做され、その見返りとして安価に消耗品ユニットを入手可能となりコストメリットを享受できる。一方、メーカ側も、複雑な回収装置や管理システムを設けることなく、消耗品ユニットの回収が期待できるというメリットが得られる。
【0015】
しかしながら、図5に示した消耗品ユニット51において、包装袋52の開口部52aは単に絞ったり折り返したりするだけであるため、開封による契約の成立性が不確実なものとなってしまう点が否めない。
【0016】
そうすると、心無いユーザによっては、消耗品回収協力の契約を前提に安価に消耗品ユニットを入手したにも係わらず、使用済みの消耗品ユニットをメーカや販売業者へ正しく返却しない場合も起こり得る。
【0017】
ところで、このような簡易契約に類するものとして、CD−ROM等の電子媒体パッケージの例が知られている(例えば、特許文献3参照)。この、特許文献3に示されるCD−ROMパッケージング容器では、カバー体9に開封契約条項が印刷されており、封緘シール14により封緘されている。そして、この封緘シール14が破られることで開封契約が成立するというものである。
【0018】
また、特許文献4には、サポートやサービス契約ツールをパッケージ化したユースウェアパック50をシュリンク包装して、このシュリンク包装を元に戻せない状態に開封することで契約が成立するパッケージについて記載されている。
【0019】
そこで、図5に示した消耗品ユニットにおいて、簡易契約の実効性を高めるために、例えば、上記特許文献3を参考にして、図6(a)に示すように、包装袋52の開口部52aを矢印a方向に折り返し、この折り返し部52bに封緘シール55を貼付することや、上記特許文献4を参考にして、図6(b)に示すように、包装袋52を熱可塑性樹脂フィルムで構成し開口部52aをヒートシール52cで封止することも考えられた。
【特許文献1】特開平6−187546号公報
【特許文献2】特開2002−127563号公報
【特許文献3】特開2000−168871号公報
【特許文献4】特開2004−13637号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0020】
しかしながら、図6(a)に示すような封緘のためのシールを貼付する方法は、封緘シール55自体を別部材として用意しなければならないことから生産コストの向上や部材管理の煩雑さが生じると共に、消耗品ユニット生産現場において包装袋52の開口部52aを折り返す作業や封緘シール55の貼付作業が極めて細かい人手を要する作業のため生産性が著しく悪くなるという新たな問題が発生する。また、包装袋52のリサイクル時点での作業をも考慮すると、例えば破けて残ったシールや粘着剤の剥がし作業が煩雑で環境負荷も大きい。
【0021】
一方、包装袋52の開口部52aをヒートシール52cで全面溶着にて封止する図6(b)に示した方法では、包装袋52内が密閉されるため、空気による包装袋52の膨張を考慮した空気抜きによるヒートシール作業が必要となることから生産性が悪いと共に、袋の開封を容易にするために切り込みやスリットを形成する追加作業が必要となるという問題点があった。
【0022】
本発明の課題は、上記従来の実情に鑑み、消耗品ユニットの包装袋の開口部を簡易で安価な方法で封緘する方法を提供することにより、消耗品回収協力契約をスムースに成立させて使用済みの消耗品ユニットを適切に回収できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0023】
上記課題を解決するために本発明に係わる消耗品ユニットの包装袋封緘構造は、少なくとも対面縁部が熱可塑性樹脂から成り、該対面縁部を拡開することで開口部を形成可能な一辺と該一辺を除いた三辺が閉じられた封筒状の包装袋内に、画像形成装置に対して交換可能に供給される消耗品ユニットを内包して上記開口部を封緘する消耗品ユニットの包装袋封緘構造を前提とする。そして、上記開口部は、上記消耗品ユニットを内包して上記対面縁部どうしを重ねた状態で超音波スポット溶着により接合され該接合部を切り離しすることなく上記消耗品ユニットの取り出しを不能とすべく封緘される構成である。
【0024】
上記消耗品ユニットは、例えば、上記画像形成装置のユーザに対して使用済み消耗品ユニットを供給者へ返還すべく消耗品回収協力契約に基づいて供給され、上記包装袋には、上記開口部の開封により、上記消耗品回収協力契約が成立する旨の警告表示が印刷されて構成される。
【0025】
また、上記消耗品ユニットは、例えば、上記画像形成装置のユーザに対して使用済み消耗品ユニットを供給者へ返還すべく消耗品回収協力契約に基づいて供給され、上記開口部の開封により、上記消耗品回収協力契約が成立する旨の警告表示を備え、上記包装袋は、上記消耗品ユニットを内包した状態で上記警告表示を視認可能に透明樹脂にて形成されていても良い。
【0026】
また、上記包装袋は、例えば、上記対面縁部を拡開した時の開口縁全長が上記消耗品ユニットを出し入れ可能な最小長さ以上で該最小長さの2倍よりも短い長さであり、上記超音波スポット溶着により形成される接合部が重ねられた上記対面縁部どうしの略中央1箇所であるよう構成することができる。
【発明の効果】
【0027】
本発明によれば、開封せずには消耗品ユニットを取り出せないよう包装袋の開口部を超音波スポット溶着による簡易な方法で封緘するようにしたので、溶着作業が簡単で封緘部分が分かり易いため開封作業も容易に行なえる。また、別途封緘部材を用意する必要が無いため、環境負荷が少ない。
【0028】
そして、開封により溶着部分が開封痕として残るため、ユーザが包装袋の開口部を開封することにより内包された消耗品ユニットの使用許諾と回収協力の契約を成立させるシステムに採用して使用許諾契約の意思が明確になり、延いては使用済みの消耗品ユニットの適切な回収に寄与する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。先ず、本発明に係わる画像形成装置の基本構造について説明する。図2は、本発明が適用されるカラー画像形成装置(以下、単にプリンタという)の内部構成を説明する断面図である。
【0030】
図2に示すプリンタ10は、電子写真式で二次転写方式のタンデム型のカラー画像形成装置であり、画像形成部12、中間転写ベルトユニット13、給紙部14、及び両面印刷用搬送ユニット15で構成されている。
【0031】
プリンタ10の上面には排紙トレー39が、上面手前には図示しない操作パネルが形成され、排紙トレー39の右手上方には画像形成済みの記録紙(用紙)を排紙トレー39上に排紙する排紙ローラ対41が配置されている。また、プリンタ10の前部側面には、下部の給紙部14の上方全面を覆う図示しない保護カバーが設けられている。なお、このプリンタ10は図示しないケーブルによってパーソナルコンピュータなどのホスト機器に接続されている。
【0032】
このようなプリンタ10の画像形成部12の主要部には、一般的に、静電潜像を形成する感光体を中心とする感光体ドラムと、上記の静電潜像をトナーで顕像化(現像)する現像器からなる画像形成ユニットが着脱自在に配設されている。
【0033】
本例の画像形成部12は、図2の右から左へ4個の画像形成ユニット16(16M、16C、16Y、16K)を多段式に並設した構成からなり、上流側(図の右側)の3個の画像形成ユニット16M、16C及び16Yは、それぞれ減法混色の三原色であるマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の色トナーによるモノカラー画像を形成し、画像形成ユニット16Kは、主として文字や画像の暗黒部分等に用いられるブラック(K)トナーによるモノクロ画像を形成する。
【0034】
また、これら4個の画像形成ユニット16の現像器22の上部は着脱自在なトナーカートリッジ1として形成され、プリンタ10の手前外部に引き出すことができる。これにより、トナーカートリッジ1のトナーが使用し尽くされた際も、トナーが満タンに充填されている新たなトナーカートリッジ1と容易に交換することができる。
【0035】
上記の各画像形成ユニット16は、トナー容器(トナーカートリッジ1)に収納されたトナーの色を除き全て同じ構成である。したがって、以下ブラック(K)用の画像形成ユニット6Kを例にしてその構成を説明する。
【0036】
画像形成ユニット16は、最下部に感光体ドラム17を備えている。この感光体ドラム17は、その周面が例えば有機光導電性材料で構成されている。この感光体ドラム17の周面近傍を取り巻いて、クリーナ18、帯電ローラ19、光書込ヘッド21、及び現像器22の現像ローラ23が配置されている。
【0037】
現像器22は、上部のトナー容器にM、C、Y、Kで示したようにマゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)、ブラック(K)のいずれかのトナーを収容し、中間部には下部へのトナー補給機構を備えている。
【0038】
また、現像器22の下部には側面開口部に上述した現像ローラ23を備え、内部にトナー撹拌部材、現像ローラ23にトナーを供給するトナー供給ローラ、現像ローラ23上のトナー層を一定の層厚に規制するドクターブレード等を備えている。
【0039】
中間転写ベルトユニット13は、本体装置のほぼ中央で図の左右のほぼ端から端まで扁平なループ状になって延在する無端状の転写ベルト24と、この転写ベルト24を掛け渡されて転写ベルト24を図の反時計回り方向に循環移動させる駆動ローラ25と従動ローラ26を備えている。
【0040】
この中間転写ベルトユニット13は、上記扁平なループ状の転写ベルト24のループ内にベルト位置制御機構27を備えている。ベルト位置制御機構27は、転写ベルト24を介して感光体ドラム17の下部周面に押圧する導電性発泡スポンジから成る一次転写ローラ28を備えている。
【0041】
ベルト位置制御機構27は、マゼンタ(M)、シアン(C)及びイエロー(Y)の3個の画像形成ユニット16M、16C及び16Yに対応する3個の一次転写ローラ28を鉤型の支持軸を中心に同一周期で回転移動させる。
【0042】
そして、ベルト位置制御機構27は、ブラック(K)の画像形成ユニット16Kに対応する1個の一次転写ローラ28を上記3個の一次転写ローラ28の周期と異なる回転移動周期で回転移動させて転写ベルト24を感光体ドラム17から離接させる。
【0043】
すなわち、ベルト位置制御機構27は、中間転写ベルトユニット13の転写ベルト24の位置を、フルカラーモード(4個全部の一次転写ローラ28が転写ベルト24に当接)、モノクロモード(画像形成ユニット16Kに対応する一次転写ローラ28のみが転写ベルト24に当接)、及び全非転写モード(4個全部の一次転写ローラ28が転写ベルト24から離れる)に切換える。
【0044】
上記の中間転写ベルトユニット13には、上面部のベルト移動方向最上流側の画像形成ユニット16Mの更に上流側に、ベルトクリーナユニットが配置され、下面部のほぼ全面に沿い付けるように平らで薄型の廃トナー回収容器29が着脱自在に配置されている。
【0045】
給紙部14は、上下2段に配置された2個の給紙カセット31を備え、2個の給紙カセット31の給紙口(図の右方)近傍には、それぞれ用紙取出ローラ32、給送ローラ33、捌きローラ34、待機搬送ローラ対35が配置されている。
【0046】
待機搬送ローラ対35の用紙搬送方向(図の鉛直上方向)には、転写ベルト24を介して従動ローラ26に圧接する二次転写ローラ36が配設されて、用紙への二次転写部を形成している。
【0047】
この二次転写部の下流(図では上方)側にはベルト式熱定着装置37が配置されて、ベルト式熱定着装置37の更に下流側には、定着後の用紙をベルト式熱定着装置37から搬出する搬出ローラ対38、及びその搬出される用紙を装置上面に形成されている排紙トレー39に排紙する排紙ローラ対41が配設されている。
【0048】
両面印刷用搬送ユニット15は、上記搬出ローラ対38と排紙ローラ対41との中間部の搬送路から図の右横方向に分岐した開始返送路42a、それから下方に曲がる中間返送路42b、更に上記とは反対の左横方向に曲がって最終的に返送用紙を反転させる終端返送路42c、及びこれらの返送路の途中に配置された4組の返送ローラ対43a、43b、43c、43dを備えている。
【0049】
上記終端返送路42cの出口は、給紙部14の下方の給紙カセット31に対応する待機搬送ローラ対35への搬送路に連絡している。
また、本例において中間転写ベルトユニット13の上面部には、クリーニング部45及び取り込みローラ46が配置されている。
【0050】
クリーニング部45は、転写ベルト24の上面に当接して廃トナーを擦り取って除去し、取り込みローラ46はクリーニング部45が除去した廃トナーを引き継いで、図示を省略したベルトクリーナユニットの一時貯留部に溜め込み、その溜め込まれた廃トナーを搬送スクリューにより落下筒内を上部まで搬送し、落下筒を介して廃トナー回収容器29に送り込んでいる。
【0051】
また、上記のクリーニング部45を適度の圧力で転写ベルト24に圧接させるために、中間転写ベルトユニット13側には、下方から転写ベルト24をクリーニング部45に向けて押圧する押圧ローラ47が設けられている。
【0052】
このように、このプリンタ10は、従来の用紙に直接トナー像を転写する方式ではなく、待機搬送ローラ対35により二次転写部まで鉛直方向に搬送される用紙に中間転写ベルト24を介してトナー像を転写する方式となっている。
【0053】
したがって、用紙の搬送路に発生する用紙ジャム等の不具合を回復するメンテナンス処理時には、図2の右側を開放するのみで対処できるようになっている。
【0054】
図3は、上記のプリンタ10の画像形成ユニット16のトナーカートリッジ1と現像ドラムユニット2が合体している状態を示す斜視図である。また、図4は、上記の画像形成ユニット16において、トナーカートリッジ1が現像ドラムユニット2に対し、プリンタの用紙搬送方向に直行する方向に挿抜可能な構成を示す図である。
【0055】
このような画像形成装置において、トナーが画像形成により消費され、遂には現像部内にトナーがなくなると、不図示のトナー有無センサがトナーが所定値以下となったことを検知して制御装置に「トナー無し」信号を通知する。そして、画像欠陥、ハード障害発生防止のために、トナー無し検知が働くと、強制的に印字が禁止されるようになっている。
【0056】
なお、上記の現像ドラムユニット2も、感光体ドラム17が寿命に達すると新しい現像ドラムユニット2と交換される。このように、トナーカートリッジ1や現像ドラムユニット2は、通常ユーザ側で交換作業が可能な消耗品ユニットに構成されている。
【0057】
(実施形態)
図1は、本発明の実施形態における消耗品ユニットとしての新品のトナーカートリッジ1の包装形態を示す斜視図である。図1に示すように、本発明に係わる新品のトナーカートリッジ1は、当該トナーカートリッジ1をやや緩く包み込む大きさの包装袋3に内包されて不図示の梱包箱に梱包される(図5の従来例参照)。
【0058】
ここで、包装袋3は透明なポリエチレンテレフタレート(PET)フィルムから成り、開口部3aを形成する一辺Aと該一辺Aを除いた三辺B,C,Dが閉じられた封筒形状の包装袋とされている。
【0059】
そして、本実施形態においては、新品の消耗品ユニット1は、生産現場にて包装袋3に内包された後、図示しない公知の超音波溶着機(超音波ウェルダー)によって超音波スポット溶着Sされる。すなわち、対面縁部3bどうしを重ね揃えた状態でホーンと呼ばれる共鳴体の真下の接合台に載置しホーンを押し下げる。これにより、ホーンに伝達された振動エネルギーによって対面縁部3bどうしの境界面に強力な摩擦熱が発生し、PET樹脂の溶融温度まで瞬時に上昇し、溶着される。この溶着は同材質同士の溶着なので、接合部は母材(PET樹脂)強度に近いレベルである。
【0060】
また、包装袋3は上述のようにトナーカートリッジ1をやや緩く包み込む大きさとされているので、開口部に超音波スポット溶着Sによる接合部を形成するだけでトナーカートリッジ1の包装袋3からの取り出しを容易に阻止できる。すなわち、封緘が完了する。なお、超音波スポット溶着は一辺Aのいずれの位置に形成しても良く、また複数箇所としても良い。要は、この超音波スポット溶着による接合部がトナーカートリッジ1の包装袋3の取り出しを阻止できれば良い。
【0061】
なお、包装袋3の大きさとしては、やや余裕を取って、一辺Aの寸法に関し対面縁部3bを拡開した時の開口縁全長がトナーカートリッジ1を出し入れ可能な最小長さ以上で該最小長さの2倍よりも短い長さが望ましい。そして、そのようにした場合には、超音波スポット溶着を対面縁部3bどうしの略中央1箇所にのみ行なうことで、作業性が良好でトナーカートリッジ1の包装袋3からの取り出しも確実に阻止できる。
【0062】
また、包装袋3は、PET樹脂の単層フィルムに限らず、例えばインフレーション法によって積層した2層構成でもよく、アルミを積層したアルミラミネートフィルムや、紙や複数の樹脂を積層した多層フィルムでも良く、本接合方法に適用可能な熱可塑性樹脂を少なくとも対面縁部3b側に備える構成とすれば良い。
【0063】
ところで、本実施形態においても、図5の従来例で説明したように、不図示の梱包箱には簡易契約の内容を記載した表示ラベルが貼付されるか、印刷が施される。
【0064】
また、この簡易契約の内容は図1に示すように、包装袋3に直接印刷(印刷部3c)しても良いし、包装袋3を透明樹脂で構成した場合は、例えばトナーカートリッジ1のケーシングの背部に同様な内容を記載した表示ラベルを貼付するようにして包装袋3の外部からこの表示が読み取れるようにしても良い。
【0065】
さらに、包装袋3の開口部3aの超音波スポット溶着される位置の近傍には、メーカ名やロゴマーク、「開封」等の文字を印刷することで封緘部分を強調したり、超音波溶着機のホーンの先端形状を工夫することにより所定のマークの溶着がなされるようにして、開封痕として強調されるように構成しても良い。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】本発明の実施形態における新品トナーカートリッジの包装形態を示す斜視図である。
【図2】本発明が適用されるカラープリンタの内部構成を説明する断面図である。
【図3】本発明が適用されるトナーカートリッジと現像ドラムユニットが合体している状態を示す斜視図である。
【図4】本発明が適用されるトナーカートリッジが現像ドラムユニットに対しプリンタの用紙搬送方向に直行する方向に挿抜可能な構成を示す図である。
【図5】従来の新品トナーカートリッジの包装形態を梱包形態と共に示す斜視図である。
【図6】(a)は従来の新品トナーカートリッジの包装形態において包装袋の開口部の折り返し部に封緘シールを貼付する例を示す要部斜視図、(b)は従来の新品トナーカートリッジの包装形態において包装袋の開口部をヒートシールで封止する例を示す要部斜視図である。
【符号の説明】
【0067】
S スポット溶着部
1 トナーカートリッジ
2 現像ドラムユニット
3 包装袋
3a 開口部
3b 対面縁部
3c 印刷部
10 プリンタ
12 画像形成部
13 中間転写ベルトユニット
14 給紙部
15 両面印刷用搬送ユニット
16(16M、16C、16Y、16K) 画像形成ユニット
17(17m、17c、17y、17k) 感光体ドラム
18 クリーナ
19 帯電ローラ
21 光書込ヘッド
22 現像器
23 現像ローラ
24 転写ベルト
25 駆動ローラ
26 従動ローラ
27 ベルト位置制御機構
28 一次転写ローラ
29 廃トナー回収容器
31 給紙カセット
32 用紙取出ローラ
33 給送ローラ
34 捌きローラ
35 待機搬送ローラ対
36 二次転写ローラ
37 ベルト式熱定着装置
38 搬出ローラ対
39 排紙トレー
41 排紙ローラ対
42a 開始返送路
42b 中間返送路
42c 終端返送路
43a、43b、43c、43d 返送ローラ対
45 クリーニング部
46 取り込みローラ
47 押圧ローラ
51 消耗品ユニット
52 包装袋
52a 開口部
52b 折り返し
52c ヒートシール
53 梱包箱
54 表示ラベル
55 封緘シール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも対面縁部が熱可塑性樹脂から成り、該対面縁部を拡開することで開口部を形成可能な一辺と該一辺を除いた三辺が閉じられた封筒状の包装袋内に、画像形成装置に対して交換可能に供給される消耗品ユニットを内包して前記開口部を封緘する消耗品ユニットの包装袋封緘構造において、
前記開口部は、前記消耗品ユニットを内包して前記対面縁部どうしを重ねた状態で超音波スポット溶着により接合され該接合部を切り離しすることなく前記消耗品ユニットの取り出しを不能とすべく封緘される
ことを特徴とする消耗品ユニットの包装袋封緘構造。
【請求項2】
前記消耗品ユニットは、前記画像形成装置のユーザに対して使用済み消耗品ユニットを供給者へ返還すべく消耗品回収協力契約に基づいて供給され、
前記包装袋には、前記開口部の開封により、前記消耗品回収協力契約が成立する旨の警告表示が印刷されている
ことを特徴とする請求項1に記載の消耗品ユニットの包装袋封緘構造。
【請求項3】
前記消耗品ユニットは、前記画像形成装置のユーザに対して使用済み消耗品ユニットを供給者へ返還すべく消耗品回収協力契約に基づいて供給され、前記開口部の開封により、前記消耗品回収協力契約が成立する旨の警告表示を備え、
前記包装袋は、前記消耗品ユニットを内包した状態で前記警告表示を視認可能に透明樹脂にて形成されている
ことを特徴とする請求項1または2に記載の消耗品ユニットの包装袋封緘構造。
【請求項4】
前記包装袋は、前記対面縁部を拡開した時の開口縁全長が前記消耗品ユニットを出し入れ可能な最小長さ以上で該最小長さの2倍よりも短い長さであり、
前記超音波スポット溶着により形成される接合部が重ねられた前記対面縁部どうしの略中央1箇所である
ことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の消耗品ユニットの包装袋封緘構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−249028(P2009−249028A)
【公開日】平成21年10月29日(2009.10.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−103006(P2008−103006)
【出願日】平成20年4月11日(2008.4.11)
【出願人】(000104124)カシオ電子工業株式会社 (601)
【出願人】(000001443)カシオ計算機株式会社 (8,748)
【Fターム(参考)】