説明

液圧装置

【課題】液圧ポンプの応答性を高めつつ電磁弁の開閉頻度を抑制することができる液圧装置を提供する。
【解決手段】モータ400により駆動され両方向に回転可能なポンプ450と、ポンプ450によりピストンロッド220が駆動する油圧シリンダ200と、ヘッド側ポートHPの管路に介挿された電磁弁320と、ロッド側ポートRPの管路に介挿されたパイロットチェック弁380および電磁弁310の少なくとも一方と、ピストンロッド220の変位を検出する直線変位計250とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電動モータにより駆動される液圧ポンプからの圧液により駆動する液圧装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、サーボモータにより直接駆動する駆動装置が用いられている。しかし、大きな駆動力を必要とする際には、モータにより駆動される液圧ポンプからの圧液を液圧シリンダに供給して、液圧シリンダにより大きな駆動力を得る液圧装置が用いられる。液圧装置では、電動モータ、液圧ポンプ、液圧タンク、制御弁等の油圧機器を必要とするため、機器の大きさが大型化する問題があり、小型化するための研究および開発が実施されている。
【0003】
特許文献1には、ハンチング現象の発生を防止した液圧装置について開示されている。特許文献1記載の液圧装置は、電動モータにより駆動され両方向回転可能な液圧ポンプを備え、片ロッド型の液圧シリンダのロッド側ポートをロッド側管路を介して、また、ヘッド側ポートをヘッド側管路を介して液圧ポンプの両ポートにそれぞれ接続し、少なくともヘッド側管路と液圧タンクとを連通する電磁弁を設け、更に、電動モータの回転を検出する回転検出センサを設けると共に、液圧ポンプがヘッド側管路から吸入して液圧シリンダを駆動するときに、回転検出センサにより検出された回転数が設定回転数以下となると電磁弁を閉弁する停止制御手段を備えたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許3247617号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1記載の液圧装置においては、ハンチング現象を抑制することができると記載されている。
しかしながら、実際の液圧装置において、回転検出センサにより検出された回転数が設定回転数以下となると電磁弁を閉弁する停止制御手段を備えた場合、液圧装置の応答性を高めることが困難となる。
【0006】
すなわち、一般的に、回転数に基づいて液圧装置の制御を行った場合、液圧は非線形であるため、液圧装置とモータとの関係において、不感帯があり、ピストンロッドを所定の位置で静止するためには、電磁弁を短時間にオンオフする必要が生じる。
【0007】
そこで、特許文献1記載の液圧装置では、所定の回転数に基づいて電磁弁を閉制御すると記載されているが、液圧装置の応答性を高めるために、当該回転数の閾値を下げると頻繁に電磁弁が短時間でオンオフを繰り返すこととなり機器の寿命が短くなる。
一方、当該回転数の閾値を上げると頻繁に電磁弁が短時間でオンオフを繰り返すことは防止できるが、液圧装置自体の応答性が低下する。
【0008】
本発明の目的は、液圧ポンプの応答性を高めつつ電磁弁の開閉頻度を抑制することができる液圧装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(1)
本発明に係る液圧装置は、モータにより駆動され両方向に回転可能な液圧ポンプと、液圧ポンプによりピストンロッドが駆動する液圧アクチュエータと、液圧ポンプと、液圧アクチュエータのヘッド側ポートおよびロッド側ポートとをそれぞれ接続する一対の管路と、ヘッド側ポートの管路に介挿された電磁弁と、ロッド側ポートの管路に介挿されたチェック弁および電磁弁の少なくとも一方と、液圧アクチュエータのピストンロッド変位を検出する変位検出器と、を備えたものである。
【0010】
この場合、液圧アクチュエータのピストンロッド変位を直接検出する変位検出器を設けているので、電磁弁の開閉の極性はモータの回転方向で検出し、電磁弁の開閉の閾値は、当該変位検出器からのピストンロッド変位またはピストンロッド速度に基づいて決定することができる。すなわち、モータの回転数による間接的情報でなく、直接的なピストンロッド変位を検出して、制御を行うことにより、液圧ポンプの応答性を高めつつ電磁弁の開閉頻度を抑制することができる。すなわち、液圧装置の不感帯であっても、ピストンロッドの状態を容易に検出することができる。その結果、液圧装置の応答性を高めつつ、液圧装置の耐久性を高めることができる。
【0011】
(2)
液圧装置において、電磁弁を制御する制御装置をさらに備え、制御装置は、変位検出器の出力に応じて、電磁弁の開閉を制御してもよい。
【0012】
この場合、制御装置により変位検出器の出力に応じて電磁弁の開閉を制御することができるので、間接的情報でなく、変位検出器からの直接的なピストンロッド変位に基づいて制御することができる。その結果、液圧の不感帯であっても、制御を確実に行うことができる。
【0013】
(3)
液圧装置において、電磁弁は、一対の管路の両方に設けられた電磁弁が一体として設けられていてもよい。
【0014】
この場合、一対の管路の両方に設けられた電磁弁が一体として設けられているので、部品点数を少なくすることができる。例えば、当該電磁弁として複数方向複数ポート複数位置電磁弁、具体的には4方向4ポート3位置電磁弁を用いることができる。
【0015】
(4)
液圧装置において、変位検出器は、変位センサからなってもよい。
【0016】
この場合、ピストンロッドの移動に大きな負荷をかけることなく、ピストンロッドの変位量および速度を検出することができる。
【0017】
(5)
液圧装置において、変位検出器は、磁歪式リニア変位センサからなってもよい。
【0018】
この場合、変位検出器が磁歪式リニア変位センサからなるので、小型軽量化を図ることができ、ピストンロッドの移動に大きな負荷をかけることなく、ピストンロッドの変位量および速度を検出することができる。
【0019】
(6)
液圧装置において、モータ、液圧ポンプおよび液圧アクチュエータは、モータポンプ一体型シリンダである。
【0020】
この場合、配管をマニホールドで形成することにより、モータおよび液圧ポンプと、液圧アクチュエータであるシリンダとが一体化されているので、液圧装置の小型化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本実施の形態にかかる液圧装置の一例を示す模式図である。
【図2】図1に示した液圧装置の電磁弁の配置および接続例を示す模式図である。
【図3】電磁弁を制御するコントローラの処理を説明するフローチャートである。
【図4】図2に示した液圧装置の電磁弁の配置および接続例の他の例を示す模式図である。
【図5】図2および図4に示した液圧装置の電磁弁の配置および接続例のさらに他の例を示す模式図である。
【図6】図2、図4および図5に示した液圧装置の電磁弁の配置および接続例のさらに他の例を示す模式図である。
【図7】図4に示した液圧装置の電磁弁の配置および接続例のさらに他の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明に係る実施の形態について図面を用いて説明する。本実施の形態においては、配管をマニホールド化することにより、ポンプ、モータ、油圧シリンダを一体化したモータポンプ一体型シリンダについて説明を行う。
【0023】
(一実施の形態)
まず、図1は本実施の形態にかかる液圧装置100の一例を示す模式図であり、図2は図1に示した液圧装置100の電磁弁300の配置および接続例を示す模式図である。
【0024】
(液圧装置の概略)
図1に示す液圧装置100は、主に、油圧シリンダ200、直線変位計250、電磁弁300、モータ400、エンコーダ420、圧力計430、ポンプ450、コントローラ500およびタンク600を含む。上述したように、図1においてモータ400、ポンプ450および油圧シリンダ200を別途記載したが、一体に形成されている。
【0025】
図1のコントローラ500は、例えば、CPU(中央制御装置)、ROM(リードオンリメモリ)、RAM(ランダムメモリ)等を含む。
【0026】
油圧シリンダ200は、複動シリンダからなり、ピストン210およびピストンロッド220を備える。ピストン210およびピストンロッド220の少なくとも一方には、直線変位計250が取り付けられている。ここで、直線変位計250は、磁歪式センサからなる。直線変位計250は、油圧シリンダ200のピストンロッド220の出方向および戻方向の変位を直接検出できるよう配設されている。
【0027】
図1に示すように、圧力計430の圧力データが、コントローラ500に与えられる。また、エンコーダ420は、モータ400の駆動変位を検出する。エンコーダ420の検出データがコントローラ500に与えられる。なお、図1においては、圧力計430を1個示しているが、ポンプ450の両側に設けてもよい。さらに、図2以降については、圧力計430の図示を省略する。
【0028】
直線変位計250は、油圧シリンダ200のピストンロッド220の出方向および戻方向の変位を検出する。直線変位計250の検出結果がコントローラ500に与えられる。コントローラ500は、所定の処理(PID制御)を施し、所定の処理結果をモータ制御信号(トルク信号)に変換、増幅し、モータ400に与える。モータ400は、モータ制御信号OFに基づいて駆動する。
【0029】
また、コントローラ500は、電磁弁300のソレノイドに電磁弁開閉信号OCを出力する。電磁弁300は、電磁弁開閉信号OCに基づいて、弁の開閉を行う。
【0030】
(液圧装置の配管構成について)
次に、図2を用いて液圧装置100の配管構成の詳細について説明を行う。図2の電磁弁300は、2ポート単動常時開電磁弁310,320を用いる。図2に示すように、油圧シリンダ200のヘッド側ポートHPに配管451pの一端が接続され、配管451pの他端がポンプ450に接続される。また、油圧シリンダ200のロッド側ポートRPに配管452pの一端が接続され、配管452pの他端がポンプ450に接続される。
【0031】
配管452pの途中には、分岐Aが設けられ、配管451pの途中には分岐Cが設けられる。分岐Cには、配管455pの一端が接続され、配管455pの他端が2ポート単動常時開電磁弁320の第1ポートに接続される。また、2ポート単動常時開電磁弁320の第2ポートには、配管454pの一端が接続され、配管454pの他端が2ポート単動常時開電磁弁310の第1ポートに接続される。
【0032】
また、配管453pの一端が2ポート単動常時開電磁弁310の第2ポートに接続され、配管453pの他端が分岐Aに接続される。配管454pの途中に設けられた分岐Bには、配管460pの一端が接続され、配管460pの他端がタンク600に接続される。
【0033】
(油圧シリンダの動作)
以下、油圧シリンダ200の動作について簡略に説明を行う。まず、コントローラ500からのモータ制御信号OFに応じてモータ400が回転し、当該モータ400の回転に応じてポンプ450が駆動する。なお、本実施の形態においては、少なくともポンプ450は、正逆回転が可能である。また、さらにモータ400も正逆回転が可能であってもよい。すなわち、ポンプ450およびモータ400のうち少なくとも一方、または両方が正逆回転可能であってもよい。また、モータ400およびポンプ450を複数設けてもよい。
【0034】
油圧シリンダ200は、ロッド側ポートRPおよびヘッド側ポートHPを備え、ポンプ450から2ポート単動常時開電磁弁310,320からなる電磁弁300を介してヘッド側ポートHPに圧油が送り込まれた場合、ピストンロッド220が伸び、ロッド側ポートRPからポンプ450に戻される。図1および図2に示すように、この状態を油圧シリンダ200のピストンロッド220が出方向である、という。
【0035】
一方、ポンプ450から2ポート単動常時開電磁弁310,320からなる電磁弁300を介してロッド側ポートRPに圧油が送り込まれた場合、ピストンロッド220が縮み、ヘッド側ポートHPから圧油がポンプ450およびタンク600に戻される。図1および図2に示すように、この状態を油圧シリンダ200のピストンロッド220が戻方向である、という。
以上のように、油圧シリンダ200のピストンロッド220は、出方向または戻方向に複動する。また、油圧シリンダ200のピストンロッド220には、重量物(図示省略)が連結されており、当該重量物を移動させるために、油圧シリンダ200のピストンロッド220が出方向または戻方向に複動する。なお、本実施の形態において、ピストンロッド220の体積分の差分が生じるので、タンク600から油量の供給または排出を制御することで、当該差分を吸収し制御する。
【0036】
(電磁弁制御処理)
以下、図2に示した電磁弁300の制御例について説明する。図3は、電磁弁300を制御するコントローラ500の処理を説明するフローチャートである。
【0037】
図3に示すように、まず、エンコーダ420を用いて、モータ400の回転方向を検出する(ステップS1)。ここで、モータ400の回転方向が戻り方向である場合、油圧シリンダ200のピストンロッド220の進行方向を直線変位計250により検出する(ステップS2)。
【0038】
ここで、直線変位計250からの検出結果が、油圧シリンダ200のピストンロッド220の進行方向が出方向であると判定された場合、油圧シリンダ200に外乱が発生しているとして、コントローラ500は、2ポート単動常時開電磁弁310,320からなる電磁弁300を閉制御する(ステップS3)。すなわち、戻り方向に電磁弁300を制御しているにも関わらず、油圧シリンダ200のピストンロッド220が逆方向に移動しているため、2ポート単動常時開電磁弁310,320からなる電磁弁300を閉塞し、油圧シリンダ200のピストンロッド220の動きを抑制する。
【0039】
一方、油圧シリンダ200のピストンロッド220の進行方向が戻方向であると判定された場合、油圧シリンダ200のピストンロッド220の速度が所定値SAより大きいか否かを判定する(ステップS4)。油圧シリンダ200のピストンロッド220の速度が所定値SAより大きい場合、電磁弁300のヘッド側2ポート単動常時開電磁弁320を開制御する(ステップS5)。
それにより、ヘッド側2ポート単動常時開電磁弁320を介して、油量の一部がヘッド側からタンク600側に戻される。したがって、ヘッド側からポンプ450へ戻される油量が減るので、ポンプ450からロッド側へ送る油量を減らすことができる。
【0040】
一方、油圧シリンダ200のピストンロッド220の速度が所定値SAより小さい場合、電磁弁300のロッド側およびヘッド側の2ポート単動常時開電磁弁310,320を閉制御する(ステップS3)。それにより、油量の全てがヘッド側ポートHPから配管451p側へ流れ、ポンプ450から送出された油量が配管452p側からロッド側ポートRPに流れ、油圧シリンダ200の速度を高めることができる。
【0041】
一方、ステップS1の処理において、エンコーダ420によりモータ400の回転方向が出方向であると判定された場合、油圧シリンダ200のピストンロッド220の進行方向を直線変位計250により検出する(ステップS12)。
【0042】
ここで、直線変位計250からの検出結果が、油圧シリンダ200のピストンロッド220の進行方向が戻方向であると判定された場合、油圧シリンダ200に外乱が発生しているとして、コントローラ500は、2ポート単動常時開電磁弁310,320からなる電磁弁300を閉制御する(ステップS3)。
【0043】
一方、油圧シリンダ200のピストンロッド220の進行方向が出方向であると判定された場合、油圧シリンダ200のピストンロッド220の速度が所定値SB以下か否かを判定する(ステップS14)。油圧シリンダ200のピストンロッド220の速度が所定値SB以下の場合、ロッド側2ポート単動常時開電磁弁310を開制御する(ステップS15)。それにより、タンク600からロッド側2ポート単動常時開電磁弁310を介してポンプ450から油量をヘッド側に供給できるので、油圧シリンダ200のピストンロッド220の速度を所定値SBに合わせることができる。
一方、油圧シリンダ200のピストンロッド220の速度が所定値SBより大きい場合、電磁弁300のロッド側およびヘッド側の2ポート単動常時開電磁弁310,320を閉制御する(ステップS3)。
【0044】
以上のように、液圧装置100においては、油圧シリンダ200のピストンロッド220の微小な変位で急激に圧力が変化するため、高速応答できる制御系が必要となる。さらに、ハンチングまたは不感帯の問題からピストンロッド220の動きが非線形であることから、直線変位計250を用いることにより、確実に検出を行うことができる。
【0045】
(他の例)
図4は、図2に示した液圧装置100の電磁弁300の配置および接続例の他の例を示す模式図である。
【0046】
以下、液圧装置100aについて説明を行う。なお、図4に示す液圧装置100aが、図2に示した液圧装置100と異なる点について主に説明を行う。したがって、同じ部分については、説明を省略する。
【0047】
まず、図4の液圧装置100aは、電磁弁300として、パイロットチェック弁380,390をさらに備える。
【0048】
(他の例の液圧装置の配管構成について)
図4に示すように、油圧シリンダ200のヘッド側ポートHPに配管451pの一端が接続され、配管451pの他端がポンプ450に接続される。また、油圧シリンダ200のロッド側ポートRPに配管452pの一端が接続され、配管452pの他端がポンプ450に接続される。
【0049】
配管452pの途中には、分岐A1、A2が設けられ、配管451pの途中には分岐C1、C2が設けられる。
分岐C1には、配管455pの一端が接続され、配管455pの他端が2ポート単動常時開電磁弁320の第1ポートに接続される。また、2ポート単動常時開電磁弁320の第2ポートには、配管454pの一端が接続され、配管454pの他端がパイロットチェック弁380のパイロットポートに接続される。
【0050】
分岐A1には、配管453pの一端が接続され、配管453pの他端が2ポート単動常時開電磁弁310の第2ポートに接続される。また、2ポート単動常時開電磁弁310の第1ポートには、配管456pの一端が接続され、配管456pの他端がパイロットチェック弁390のパイロットポートに接続される。
【0051】
分岐A2には、配管457pの一端が接続され、配管457pの他端がパイロットチェック弁380のアウト側接続口に接続される。また、パイロットチェック弁380のイン側接続口には、配管458pの一端が接続され、配管458pの他端がパイロットチェック弁390のイン側接続口に接続される。また、配管458pには、分岐Bが形成される。
【0052】
分岐C2には、配管459pの一端が接続され、配管459pの他端は、パイロットチェック弁390のアウト側接続口に接続される。
【0053】
コントローラ500からの電磁弁開閉信号OCが2ポート単動常時開電磁弁310,320のソレノイドに接続される。その結果、図1から図3までの液圧装置100と同様の動作を行うことができる。
【0054】
(さらに他の例1)
図5は、図2および図4に示した液圧装置100の電磁弁300の配置および接続例のさらに他の例を示す模式図である。
【0055】
以下、液圧装置100bについて説明を行う。なお、図5に示す液圧装置100bが、図2に示した液圧装置100と異なる点について主に説明を行う。したがって、同じ部分については、説明を省略する。
【0056】
(さらに他の例1の液圧装置の配管構成について)
まず、図5の液圧装置100bは、電磁弁300として、2ポート単動常時開電磁弁310の代わりに、チェック弁370を備える。チェック弁370のアウト側接続口には、配管453pの一端が接続され、配管453pの他端が分岐Aに接続される。チェック弁370のイン側接続口には、配管454pの一端が接続され、配管454pの他端側は、2ポート単動常時開電磁弁320の第2接続口に接続される。
【0057】
コントローラ500からの電磁弁開閉信号OCが2ポート単動常時開電磁弁320のソレノイドに接続される。その結果、図1から図3までの液圧装置100と同様の動作を行うことができる。
【0058】
(さらに他の例2)
図6は、図2、図4および図5に示した液圧装置100の電磁弁300の配置および接続例のさらに他の例を示す模式図である。
【0059】
以下、液圧装置100cについて説明を行う。なお、図6に示す液圧装置100cが、図4に示した液圧装置100aと異なる点について主に説明を行う。したがって、同じ部分については、説明を省略する。
【0060】
まず、図6の液圧装置100cは、電磁弁300として、2ポート単動常時開電磁弁320を使用せず、2ポート単動常時開電磁弁310のみを使用したものである。
【0061】
(さらに他の例2の液圧装置の配管構成について)
図6に示すように、分岐C1には、配管454pの一端が接続され、配管454pの他端がパイロットチェック弁380のパイロットポートに接続される。
【0062】
コントローラ500からの電磁弁開閉信号OCが2ポート単動常時開電磁弁310のソレノイドに接続される。その結果、図1から図3までの液圧装置100と同様の動作を行うことができる。
【0063】
(さらに他の例3)
図7は、図4に示した液圧装置100の電磁弁300の配置および接続例のさらに他の例を示す模式図である。
【0064】
以下、液圧装置100dについて説明を行う。なお、図7に示す液圧装置100dが、図2に示した液圧装置100と異なる点について主に説明を行う。したがって、同じ部分については、説明を省略する。
【0065】
まず、図7の液圧装置100dは、電磁弁300として、2ポート単動常時開電磁弁310および2ポート単動常時開電磁弁320の代わりに、4方向4ポート3位置電磁弁330を備える。
【0066】
(さらに他の例3の液圧装置の配管構成について)
図7に示すように、分岐Cには、配管455pの一端が接続され、配管455pの他端が4方向4ポート3位置電磁弁330の第2ポートに接続される。分岐Aには、配管454pの一端が接続され、配管454pの他端が4方向4ポート3位置電磁弁330の第1ポートに接続される。
4方向4ポート3位置電磁弁330の第3ポートには、配管460pの一端が接続され、配管460pの他端がタンク600に接続される。
【0067】
コントローラ500からの電磁弁開閉信号OCが4方向4ポート3位置電磁弁330の各ソレノイドに接続される。その結果、図1から図3までの液圧装置100と同様の動作を行う。
【0068】
なお、本実施の形態においては、エンコーダ420によりモータの回転方向を検出していることとしているが、これに限定されず、他の任意の回転方向検出装置、モータ回転方向検知器、非接触センサ、回転方向を検知する機能を有するモータなどを用いてもよい。
【0069】
以上の本実施の形態においては、油圧シリンダ200のピストンロッド変位を検出する直線変位計250を設けているので、電磁弁300の開閉の極性はモータ400の回転方向で検出し、電磁弁300の開閉の閾値は、当該直線変位計250からのピストンロッド変位またはピストンロッド速度に基づいて決定することができる。すなわち、モータ400の回転数による間接的情報でなく、直接的なピストンロッド変位を検出して、コントローラ500において電磁弁300の制御を行うことにより、ポンプ450の応答性を高めつつ電磁弁300の開閉頻度を抑制することができる。その結果、液圧装置100,100a,〜,100dにおいては、応答性を高めつつ、耐久性を高めることができる。
【0070】
本発明においては、モータ400がモータに相当し、ポンプ450が液圧ポンプに相当し、油圧シリンダ200が液圧アクチュエータおよびモータポンプ一体型シリンダに相当し、コントローラ500が制御装置に相当し、液圧装置100,100a,〜100dが液圧装置に相当し、ヘッド側ポートHPがヘッド側ポートに相当し、ロッド側ポートRPがロッド側ポートに相当し、電磁弁300,310,320,330が電磁弁に相当し、チェック弁370,380,390がチェック弁に相当し、直線変位計250が変位検出器、変位センサ、および磁歪式センサに相当し、4方向4ポート3位置電磁弁330が一体として設けられた電磁弁に相当する。
【0071】
本発明の好ましい一実施の形態は上記の通りであるが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態が他になされることは理解されよう。さらに、本実施形態において、本発明の構成による作用および効果を述べているが、これら作用および効果は、一例であり、本発明を限定するものではない。
【符号の説明】
【0072】
100,100a,〜100d 液圧装置
200 油圧シリンダ
250 直線変位計
300,310,320,330 電磁弁
370,380,390 チェック弁
400 モータ
450 ポンプ
HP ヘッド側ポート
RP ロッド側ポート


【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータにより駆動される液圧ポンプと、
前記液圧ポンプによりピストンロッドが駆動する液圧アクチュエータと、
前記液圧ポンプと、前記液圧アクチュエータのヘッド側ポートおよびロッド側ポートとをそれぞれ接続する一対の管路と、
前記ヘッド側ポートの管路に介挿された電磁弁と、
前記ロッド側ポートの管路に介挿されたチェック弁および電磁弁の少なくとも一方と、
前記液圧アクチュエータのピストンロッド変位を検出する変位検出器と、を備えたことを特徴とする液圧装置。
【請求項2】
前記電磁弁を制御する制御装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記変位検出器の出力に応じて、前記電磁弁の開閉を制御することを特徴とする請求項1記載の液圧装置。
【請求項3】
前記電磁弁は、一対の管路の両方に設けられた電磁弁が一体として設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の液圧装置。
【請求項4】
前記変位検出器は、変位センサからなることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の液圧装置。
【請求項5】
前記変位検出器は、磁歪式センサからなることを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の液圧装置。
【請求項6】
前記モータ、前記液圧ポンプおよび前記液圧アクチュエータは、モータポンプ一体型シリンダであることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載の液圧装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2013−19425(P2013−19425A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−150551(P2011−150551)
【出願日】平成23年7月7日(2011.7.7)
【出願人】(394007849)株式会社堀内機械 (7)
【Fターム(参考)】