液晶パネル及び液晶パネルの製造方法
【課題】信頼性の高い湾曲型の液晶パネル及びその製造方法を得ることを目的とする。
【解決手段】実施の形態1の液晶パネル100は、カラーフィルタ基板120の第2主面とカラーフィルタ基板120の第1主面との間に挟まれる領域内の液晶140をシール材130によって挟持している。カラーフィルタ基板120及びスイッチング素子基板110の厚みがそれぞれ0.2mm以下であり、基板120及び110の第2主面が凸状になるように、短手方向である湾曲方向に対する湾曲構造を有し、基板120及び110それぞれの第1主面(他方の主面)の端部に、湾曲方向に沿って切断傷を有している。
【解決手段】実施の形態1の液晶パネル100は、カラーフィルタ基板120の第2主面とカラーフィルタ基板120の第1主面との間に挟まれる領域内の液晶140をシール材130によって挟持している。カラーフィルタ基板120及びスイッチング素子基板110の厚みがそれぞれ0.2mm以下であり、基板120及び110の第2主面が凸状になるように、短手方向である湾曲方向に対する湾曲構造を有し、基板120及び110それぞれの第1主面(他方の主面)の端部に、湾曲方向に沿って切断傷を有している。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液晶パネル及びその製造方法に係り、特に湾曲した表示画面を有する液晶パネル及びその製造技術に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルを用いた液晶表示装置(LCD)に代表される平面型表示装置は、軽量、薄型、低消費電力の特徴を生かして各種分野で利用されている。中でも液晶表示装置は、パーソナル・コンピュータやテレビに代表される情報機器やAV機器に幅広く用いられている。
【0003】
また、自発光素子を表示部に用いた表示装置、例えば電界発光型エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置や、反射光を利用する電子ペーパー等が、次世代の薄型表示装置として用いられるようになってきている。EL表示装置は広視野角、高コントラスト、動画対応の高速応答等の特徴を有している。電子ペーパーは、そのメモリー機能や反射性能から得られる低消費電力が特徴である。
【0004】
このような表示装置には従来から薄型軽量化の要求がある。また、例えば、列車や車両等に搭載される場合、限られた空間に多くの情報を効率的かつ視認性良く表示することが求められる。また、搭載機器や設置場所のデザインにフィットすることが求められる。
【0005】
このような要求に対し、表示面を湾曲形状にして筐体の外形と一体化した湾曲ディスプレイの研究・開発がなされている。
【0006】
湾曲形状のディスプレイを実現するためには、表示パネルを構成する基板に可撓性を持たせる必要がある。そのような基板の例として、例えばプラスチック基板(換言すれば樹脂基板)が知られている。液晶ディスプレイの場合、例えば、一方の樹脂基板上にアクティブ素子(TFT等)や配線等が形成されスイッチング素子基板として機能し、もう一方の樹脂基板上にカラーフィルタやブラックマトリクス等が形成されカラーフィルタ基板として機能する。これらの各種要素の形成には、金属薄膜や半導体層を形成する成膜工程や、微細パターンを形成する写真製版工程が採用される。しかし、これらの工程には200℃以上の加熱工程や化学処理工程等が含まれるため、樹脂基板の耐熱性、膨張・収縮が問題になる。
【0007】
一方、液晶ディスプレイ等にはガラス基板が広く用いられてきた。ガラス基板は、膨張率が小さく、耐熱性や耐薬品性に優れている。しかし、ガラス基板は、硬く、割れ易いという問題があり、このため湾曲形状のディスプレイには不適であるとされてきた。これに対し、厚さ0.2mm程度以下のガラス基板によれば、可撓性を持たせて湾曲化が可能であることが例えば特許文献1により提案されている。また、ガラス基板からなる液晶パネルの製造方法が例えば特許文献2及び特許文献3に開示されている。なお、液晶ディスプレイに用いられるガラス基板の一般的な厚さは例えば0.5mm〜1.0mm程度である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−46115号公報
【特許文献2】特開2009−237279号公報
【特許文献3】特開2006−259566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
通常、液晶パネルは貼り合わされた二枚のマザーガラス基板から所定の大きさの個片サイズへ切り出すことにより製造される。切り出しは、スクライブホイールを用いて、貼り合わされたマザー基板の表側及び裏側から其々二枚のマザーガラス基板表面に切断の起点となる切断傷を形成した後に、応力を印加することによりガラス基板を分断することにより行われる。このようなスクライブホイールによって切断傷を形成した後に分断する方法を「スクライブ・アンド・ブレーク」と呼ぶ。
【0010】
また、応力の印加方法として、形成された切断傷に沿ってレーザー光を照射して切断する方法が使われる場合もある。これら何れの切断方法においても、基板の切断面には微小な傷やクラックなどのダメージが入ることがあり、この様な基板端面に残存する傷やクラックは、その後に加わった応力によって成長する。
【0011】
特に、可撓性を持たせて湾曲化が可能である厚さ0.2mm以下に加工されたガラス基板においては、切断傷を形成する工程や分断する工程において、一般的な液晶ディスプレイに用いられるガラス基板(厚さは例えば0.5mm〜1.0mm)よりも、上記説明した微小な傷やクラックが生じやすく、これら切断傷の成長を起点として液晶パネルが破損してしまうという問題点があった。
【0012】
薄型ガラス基板を湾曲させる場合には、さらに注意が必要である。なぜならば、湾曲した薄型ガラス基板は、クラック等の部分の経時劣化によって遅れ破壊が発生しやすいからである。これは、湾曲による引っ張り応力が加わり続けることに拠る。
【0013】
このため、例えば基板切断工程においてクラック等を発生させないようにガラス基板を切断することが要求され、さらに上記微小な傷、クラックに引っ張り応力が加わらないように構成することが要求される。
【0014】
上記の種々要求に対して、液晶表示装置のガラス基板の割れ強度を向上する方法が幾つか提案されている。特許文献2では、対向して張り合わされた第一、第二のガラス基板において、第一の基板は第二の基板と対向しない面側に切断傷を形成し、第二の基板の端面においては、第一の基板と対向する面側に切断傷を形成し、第一の基板が凹面に変形される場合の衝撃や曲げのストレスに対する信頼性を向上させる方法が開示されている。切断方法は従来の「スクライブ・アンド・ブレーク」を採用している。
【0015】
また、特許文献3においては、第一の基板を従来のスクライブ・アンド・ブレーク、第二の基板をレーザーで切断し、衝撃や曲げのストレスに対する信頼性を向上させる方法が開示されている。レーザーの切断はレーザー光照射直後に冷風もしくはミストを吹き付け熱応力により切断する方法である。
【0016】
しかしながら、従来の「スクライブ・アンド・ブレーク」では厚さ0.2mm以下に加工されたガラス基板を切断するには、スクライブホイールに印加する荷重を高精度かつ低荷重にしなければ、十分な強度を持たせることができない。さらにガラス基板の厚さが0.15、0.1mmと薄くなるほどに高い精度、低荷重が求められる。また、スクライブラインとシール材との距離関係も重要となる。また、第二のガラス基板にスクライブする際に、スクライブヘッドが第一のガラス基板と接触し傷を生じてしまうため、第二のガラス基板の端面は第一のガラス基板の端面より、3.1mm以上突き出して形成する必要があり、その結果、液晶表示装置の額縁が広がってしまうといった問題点があった。
【0017】
また、熱応力を用いて切断するレーザー切断においては被切断ガラスの熱容量が必要であり、厚さ0.2mm以下では熱容量が不足し、所望する線に切断することが困難であるという問題点があった。
【0018】
また、特許文献2と特許文献3との開示技術を組み合わせ、第二のガラスガラス基板の切断にレーザー切断も用いた場合、レーザーの熱と冷風もしくはミストにより、シール部材の収縮、ガラス基板からの剥がれを生じてしまうため、シール部材からレーザー切断ラインを2.0mm以上離す必要が生じ、液晶表示装置の額縁が広がってしまうといった問題点が顕著になる。
【0019】
従来の液晶パネル及びその製造方法は以上のように行われており、額縁が比較的高くなるともに、信頼性の高い湾曲型の液晶パネルを得るしかことができないという問題点があった。
【0020】
この発明は上記問題点を解決するためになされたもので、信頼性の高い湾曲型の液晶パネル及びその製造方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
この発明に係る請求項1記載の液晶パネルは、第1主面及び第2主面を有し、画像を表示する表示面が第1主面に設けられる第1の基板と、第1主面及び第2主面を有し、前記第1の基板の第2主面と自身の第1主面とが対向するように配置される第2の基板と、平面視して前記表示面に対応して、前記第1の基板の第2主面と第2の基板の第1主面との間に挟まれる領域である狭間領域を囲い、該狭間領域内に液晶を狭持するシール材とを備え、前記第1及び第2の基板の厚みがそれぞれ0.2mm以下であり、前記第1及び第2の基板の第1主面及び第2主面のうち、それぞれの一方の主面が凸状になるように、所定の湾曲方向に対する湾曲構造を有し、前記第1及び第2の基板はそれぞれの他方の主面の端部に、少なくとも前記所定の湾曲方向に平行な切断方向に沿って切断傷を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0022】
請求項1記載の本願発明の液晶パネルにおいて第1及び第2の基板は、凸状となる主面(一方の主面)の反対面であるそれぞれの他方の主面の端部に、少なくとも所定の湾曲方向に平行な所定の切断方向に沿って切断傷を有している。
【0023】
すなわち、これらの切断傷は、第1及び第2の基板における湾曲構造の凹部側となる他方の主面に設けられる。したがって、上記湾曲構造を得る際、第1及び第2の基板それぞれの切断傷に対して圧縮する方向に力が加えられるため、切断傷が上記湾曲構造の原因となる危険性を確実に回避することができる結果、強度が劣化しない湾曲型の液晶パネルを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の実施の形態1における液晶パネルの全体構造を示す斜視図である。
【図2】図1で示した液晶パネルのA−A断面を示す断面図である。
【図3】図1で示した液晶パネルのB−B断面を示す断面図である。
【図4】一対のマザー基板が互いに貼り合わされる前の状態を示す平面図である。
【図5】一対のマザー基板の貼り合わされた後の状態を示す平面図である。
【図6】図5におけるC−C断面及びD−D断面を示す断面図である。
【図7】第1切断工程における切断傷が形成される平面位置を示す平面図である。
【図8】一つの液晶パネルに対応したカラーフィルタ基板及びスイッチング素子基板からなる一単位の液晶パネル用中間基板を示す平面図である。
【図9】図8のE−E断面及びF−F断面を示す断面図である。
【図10】図9における断面図において第2切断工程における切断傷の形成位置を追加して示した断面図である。
【図11】第2切断工程後の一対の液晶パネルの状態を示す断面図である。
【図12】スクライブラインとシール材130との位置関係を示す平面図である。
【図13】図12のG−G断面を示す断面図である。
【図14】実施の形態2の製造方法において第1切断工程における切断傷が形成される平面位置を示す平面図である。
【図15】一つの液晶パネルに対応したカラーフィルタ基板及びスイッチング素子基板aからなる一単位の液晶パネル用中間基板を示す平面図である。
【図16】この発明の実施の形態3における液晶パネルの全体構造を示す斜視図である。
【図17】図16で示した液晶パネルのH−H断面を示す断面図である。
【図18】図16で示した液晶パネルのI−I断面を示す断面図である。
【図19】実施の形態3の製造方法において第1切断工程における切断傷が形成される平面位置を示す平面図である。
【図20】実施の形態3の製造方法における第1切断工程後のカラーフィルタ基板及びスイッチング素子基板に対応した一つの液晶パネル用中間基板を示す平面図である。
【図21】図20におけるJ−J断面及びK−K断面を示す断面図である。
【図22】第2切断工程後の一対の液晶パネル基板の状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<実施の形態1>
(構造)
図1はこの発明の実施の形態1における液晶パネルの全体構造を示す斜視図である。図2及び図3は図1で示した液晶パネルのA−A断面及びB−B断面を示す断面図である。
【0026】
以下、実施の形態1の液晶パネル100の構成について図1〜図3を参照して説明する。なお、図1〜図3で示す液晶パネル100の構造は模式的なものであり、示された構成要素の正確な大きさなどを反映するものではない。例えば、図1〜図3において、表示画素の繰り返し部分の省略及び膜構成の一部簡略化を行っている。また、図中、既出の図において説明したものと同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。この点は図4以降で示す図面においても同様とする。
【0027】
ここでは、一例としてTFT(Thin Film Transistor)をスイッチング素子として用いて動作される液晶パネルについて説明を行うことにする。図1及び図2に示される様に、実施の形態1の液晶パネル100は、画像を表示する表示面200を有する第1の基板であるカラーフィルタ基板120と、カラーフィルタ基板120の表示面200と反対側の面に対向して配置される第2の基板であるスイッチング素子基板110とを有する。
【0028】
以下、本明細書において、カラーフィルタ基板120において表示面200が形成される側にある面(図2及び図3の上方)を第1主面、その反対面を第2主面とする。同様にスイッチング素子基板110において、表示面200に対しより近い面(図2及び図3の上方)を第1主面、その反対面を第2主面とする。
【0029】
互いに対向するカラーフィルタ基板120の第2主面とスイッチング素子基板110の第1主面との間において、平面視して表示面200に対応する領域である狭間領域を囲う様に配置されたシール材130を備えており、このシール材130により上記狭間領域内に液晶140が狭持されている。
【0030】
また、スイッチング素子基板110及びカラーフィルタ基板120はいずれも図1で示す矢印X1−X2と平行な方向を長手方向、矢印X1−X2と垂直な方向を短手方向とする平面視矩形状の最終形状を呈しており、この最終形状となるように、少なくとも、この最終形状よりも大きな外形を持つマザー基板より切り出されることにより形成されている。液晶パネル100における上記短手方向である湾曲方向に対し、スイッチング素子基板110及びカラーフィルタ基板120それぞれの第2主面(一方の主面)が凸状となるように湾曲されている。
【0031】
さらに、スイッチング素子基板110の第1主面側に端部となる下辺部分110u(図1,図2参照)は、カラーフィルタ基板120の下辺部分120uより平面視突出するように形成される。
【0032】
そして、スイッチング素子基板110の第1主面に形成される後述する絶縁膜115上の下辺部分110uの近傍領域に端子118が設けられる。このスイッチング素子基板110の下辺部分110uにおいては、スイッチング素子基板110がマザー基板より切り出される際に発生する微小な傷やクラックなどのダメージdm(dm3;切断傷)が残存しており、図2の断面図にも示す様にカラーフィルタ基板120と対向する第1主面側に主としてダメージdm(dm1)が残存する。
【0033】
スイッチング素子基板110は主として透明基板であるガラス基板111(第2主面側)と絶縁膜115(第1主面側)との積層構造で構成される。スイッチング素子基板110の絶縁膜115上に液晶140を配向させる配向膜112、配向膜112の下部に液晶140を駆動する電圧を印加する画素電極113が設けられる。
【0034】
また、画素電極113に電圧を供給するTFTなどのスイッチング素子114が絶縁膜115内に設けられる。絶縁膜115内にはさらに、スイッチング素子114に信号を供給する配線であるゲート配線(図示せず)及びソース配線(図示せず)などが設けられ、さらに平面視して表示面200に対応する領域から外れた領域にはスイッチング素子114に供給される信号を外部から受け入れる上述した端子118、端子118から入力された信号を後述する共通電極123へ伝達するためのトランスファ電極(図示せず)などを有しており、端子118は湾曲により変形しない下辺部分110uの近傍の辺に配置している。また、ガラス基板111の第2主面上には偏光板131が設けられる。
【0035】
一方、カラーフィルタ基板120は主として透明基板であるガラス基板121(第1主面側)、遮光層125(中間)、及び共通電極123(第2主面側)の積層構造で形成される。さらに、共通電極123上には液晶140を配向させる配向膜122が形成される。
【0036】
配向膜122より第1主面側に配置された共通電極123は、スイッチング素子基板110上の画素電極113との間に電界を生じさせて液晶140を駆動する。遮光層125の第1主面側にカラーフィルタ124が設けられる。ガラス基板121の表面(第1主面)上には偏光板132が設けられる。この偏光板132は偏光板131と同種の素材から構成される。
【0037】
また、スイッチング素子基板110とカラーフィルタ基板120とはシール材130及び基板110,120間の距離を一定の距離に保持するスペーサ(図示せず)を介して貼り合わされている。スペーサとしては、基板上に散布された粒状のスペーサを用いても良いし、基板110,120のうちいずれか一方の基板上、または両方の基板上に樹脂をパターニングして形成された柱状のスペーサを用いても良い。さらに、トランスファ電極と共通電極123は、トランスファ材(図示せず)により電気的に接続されており、端子118から入力された信号が共通電極123に伝達される。この他に、液晶パネル100は駆動信号を発生する駆動用IC(Integrated Circuit)などを装備した制御基板135、制御基板135を端子118に電気的に接続するFFC(Flexible Flat Cable)136、光源となるバックライトユニット(通常は、表示面200の反対側であるスイッチング素子基板110の第2主面側に配置されるが、ここでは図示せず)などを備えており、これら部材と共に表示面200の部分が開放された筐体(図示せず)の中に収納される。また、表示面200へ接触する接触物の表示面上の相対位置を検知するタッチパネル機能を付与する為に、この筐体の内側或いは外側の表示面200の部分に対向する様に薄板状のタッチパネル機のセンサ部を配置しても良い。
【0038】
このように、実施の形態1の液晶パネル100は基本的に以下の構造を呈している。第1主面及び第2主面を有し、画像を表示する表示面200が第1主面に設けられるカラーフィルタ基板120と、第1主面及び第2主面を有し、カラーフィルタ基板120の第2主面と自身の第1主面とが対向するように配置されるスイッチング素子基板110と、平面視して表示面200に対応して、カラーフィルタ基板120の第2主面とカラーフィルタ基板120の第1主面との間に挟まれる領域である狭間領域を囲い、該狭間領域内に液晶140を狭持するシール材130とを備えている。
【0039】
そして、実施の形態1の液晶パネル100は、カラーフィルタ基板120及びスイッチング素子基板110の厚みがそれぞれ0.2mm以下であり、基板120及び110の第2主面(一方の主面)が凸状になるように、短手方向である湾曲方向に対する湾曲構造を有し、基板120及び110それぞれの第1主面(他方の主面)の端部に、切断傷SL1及び切断傷SL3を有することを特徴としている。
【0040】
上述した構成の実施の形態1の液晶パネル100は以下の様に動作する。例えば、制御基板135から電気信号が入力されると、画素電極113及び共通電極123に駆動電圧が加わり、駆動電圧に合わせて液晶140の分子の方向が変わる。そして、バックライトユニットの発する光がスイッチング素子基板110、液晶140及びカラーフィルタ基板120を介して観察者側に透過あるいは遮断されることにより、液晶パネル100の表示面200に映像等が表示される。
【0041】
なお、上述した液晶パネル100の内部構成は、一例であり他の構成でも良い。液晶パネル100の動作モードは、TN(Twisted Nematic)モードや、STN(SupperTwisted Nematic)モード、IPS(In Plane Switching)モード、VA(Virtical Alignment)モード、強誘電性液晶モードなどでもよく、駆動方法は、単純マトリックスやアクティブマトリックスなどでもよく、カラーフィルタ基板120に設けた共通電極123をスイッチング素子基板110側に設置して、画素電極113との間に横方向に液晶140に対して電界をかける横電界方式を用いた液晶パネルでも良い。
【0042】
さらに、トランスファ材については、シール材130中に導電性の粒子などを混合することにより代用でき省略することも可能である。
【0043】
また、ここでは、小型化を図るべく、一辺にのみ端子118を設け、一つの制御基板135のみを接続する構成としたが、構成端子118をスイッチング素子基板110の二辺に設け、其々に制御基板135を接続する構成としても良い。
【0044】
さらに、駆動用ICを制御基板135に載せた状態で接続するのではなく端子118上に配置して駆動用ICの端子を端子118に直接接続する構成としても良い。また、シール材130において、液晶を注入する注入口の図示を省略しているが、液晶の注入方法として、真空中で注入口より注入する真空注入法を用いる場合には注入口及び注入口を封止する封止剤が形成される。また、液晶を液滴状で配置して真空中で基板を貼り合わせて注入する滴下注入法を用いる場合には、注入口及び封止剤は省略可能である。
【0045】
(製造方法)
次に、この発明の実施の形態1である液晶パネルの製造方法について、図4〜図9を用いて説明を行う。ここでは、面積の大きなマザー基板より液晶パネル100を複数枚取り出して製造(多面取り)する方法の一例として、貼り合わされた一対のマザー基板より4枚の液晶パネル100を取り出す場合について説明する。
【0046】
図4は、一対のマザー基板の互いに貼り合わされる前の状態を示す平面図であり、同図の(a)は、カラーフィルタ基板120を取り出す第1のマザー基板であるマザー基板20を示し、図4(b)は、スイッチング素子基板110を取り出す第2のマザー基板であるマザー基板10を示している。
【0047】
図4の(a) に示す様に、マザー基板20には、4枚のカラーフィルタ基板120a、120b、120c及び120dが作りこまれている。さらに、例えばカラーフィルタ基板120aには、図1〜図3を参照して既に説明したように、液晶パネル100が完成した場合の表示面200に対応した領域である表示領域220aに、液晶を駆動する共通電極123、カラーフィルタ124及び遮光層125などが作りこまれている。カラーフィルタ基板120b〜120dについても図示及び説明は省略するが、カラーフィルタ基板120aと同様の構成が作りこまれている。また、これら共通電極123、カラーフィルタ142及び遮光層125等の作りこみは一般的な液晶パネルにおけるカラーフィルタ基板の製造方法と同様で良いことから詳細な製造方法に関する説明は省略する。
【0048】
図4の(b) に示す様に、マザー基板10には、4枚のスイッチング素子基板110a、110b、110c及び110dが作りこまれている。さらに、例えばスイッチング素子基板110aには、図1〜図3を参照して既に説明したように、外部から信号を受け入れる端子118aや、液晶パネルが完成した場合の表示面に対応した領域である表示領域210aに、液晶を駆動する画素電極113、スイッチング素子114、種々の接続配線などが作りこまれている。スイッチング素子基板110b〜110dについても図示及び説明は省略するが、スイッチング素子基板110aと同様の構成が作りこまれている。これら端子及びスイッチング素子などの作りこみは一般的な液晶パネルにおけるスイッチング素子基板の製造方法と同様で良いことから詳細な製造方法に関する説明は省略する。
【0049】
マザー基板20及びマザー基板10には互いに貼り合わされる前において、液晶140を配向させる配向膜122,112間等の基板120(120a〜120d),110(110a〜110d)間の距離を一定の距離に保持するスペーサ、及び基板120,110間で信号を伝達するトランスファ電極など(図示せず)が形成されている。
【0050】
また、図4(a) に示す様に、マザー基板20には、カラーフィルタ基板120a〜120dとスイッチング素子基板110a〜110dとを貼り合わせる為のシール材130a〜130dが平面視して表示面200に対応した領域である表示領域220a〜220dを囲む様に形成され、さらにシール材130a〜130d内に充填される液晶140がシール材130a〜130dで囲まれる領域(狭間領域)内に液滴状で形成されている。ここでは、滴下注入法を用いて液晶140を充填する方法を一例としたので、この様に形成したが、真空注入法を用いる場合には、シール材130a〜130dは完全に閉じた形状ではなく一部開口させた注入口が形成される。また、真空注入法では、貼り合わせた後に上記注入口より液晶140は注入されることから、上記説明した液滴状の液晶140の形成処理は省略される。
【0051】
このように準備されたマザー基板20及びマザー基板10は、マザー基板20を図4(a) で示す状態から反転させて、カラーフィルタ基板120aに対してスイッチング素子基板110a、同様にカラーフィルタ基板120b〜120dに対してスイッチング素子基板110b〜110dの様に、それぞれの基板が対応する様に、互いに対向して配置され、真空中においてシール材130a〜130dにより貼り合わされて一対のマザー基板10及びマザー基板20からなる組合せ基板を得る。
【0052】
図5は、一対のマザー基板の貼り合わされた後の状態、すなわち、上記組合せ基板を示した平面図である。上述したマザー基板20とマザー基板10との貼り合わせ後の組合せ基板は、図5に示す様にマザー基板20及びマザー基板10は互いに対向して貼り合わされた状態となる。また、貼り合わされることにより、液滴状であった液晶140がそれぞれのシール材130a〜130dで囲われる領域内に均一に拡がり充填される。
【0053】
続いて、液晶パネルに可撓性を持たせて湾曲化が可能とするために、この貼り合わされた状態でフッ酸、バッファードフッ酸等を用いた薬液処理や物理的研磨などにより薄型化処理を実施する。
【0054】
この際、発明者により薄型化処理とガラス強度の関係を検討した結果、薬液処理による薄板化の方が、ガラス強度向上のためには好ましく、物理研磨を用いた場合は薬液処理を併用する方が好ましい。実施の形態1においては、マザー基板10及び20のそれぞれの板厚0.5mmを薬液処理により、0.2mmまで薄板化した。
【0055】
次に、この貼り合わされ薄板化されたマザー基板20及びマザー基板10からなる組合せ基板から4枚(所定数)の液晶パネル用中間基板を経て最終的に4枚の液晶パネルを切り出す切断処理について説明を行う。
【0056】
実施の形態1における切断処理は、4枚の個々の液晶パネルに対応して、4分割して4枚の液晶パネル用中間基板を得る第1切断工程と、個々の分割された液晶パネル用中間基板を最終形状の液晶パネルに成形する第2切断工程の2段階に分けて行う。先ず4分割した液晶パネル用中間基板を得る第1切断工程について図5〜図7を用いて説明する。
【0057】
図6は、図5におけるC−C断面及びD−D断面を示す断面図である。図中、マザー基板20及びマザー基板10において、カラーフィルタ基板120a〜120d及びスイッチング素子基板110a〜110dを切り出す場合における不要部分150を斜線ハッチングにて示している。通常、ガラス基板の切断は、ガラス基板の表面に切断の起点となる切断傷を形成した後、切断傷の近傍に応力を印加することにより分断が行われる。
【0058】
実施の形態1の第1切断工程においては、図6の断面図に示す様に、マザー基板20の分断は、上記説明の斜線ハッチングされた不要部分150を除去する様に、カラーフィルタ基板120a,120cと不要部分150の境界(同図(a) )、あるいはカラーフィルタ基板120a,120bと不要部分150の境界(同図(b) )に切断傷SL1が形成されている。
【0059】
このように、マザー基板20の第1主面側に対し、カラーフィルタ基板120の最終形状が得られるように切断傷SL1が形成される。
【0060】
一方、第2切断工程においては、スイッチング素子基板110a〜110dの最終形状ではなく、個々のスイッチング素子基板110a,110c間、スイッチング素子基板110a,110b間を余裕を持たせて分離すべく、スイッチング素子基板110a,110c間、あるいはスイッチング素子基板110a,110b間の中間付近に切断傷SL2が形成されている。
【0061】
このように、マザー基板10の第2主面側に対し、スイッチング素子基板110の最終形状より大きな形状の中間形状が得られるように切断傷SL2が形成される。
【0062】
以上説明したように、第1切断工程において設けられる切断傷SL1及びSL2は、マザー基板20に形成される切断傷SL1については、マザー基板10と対向する面と反対側の第1主面側に、マザー基板10に形成される切断傷SL2については、マザー基板20と対向する面と反対側の第2主面側に、それぞれ形成される。その結果、第1切断工程後に応力を印加することにより、4つの液晶パネル100に対応する4枚(所定数)の液晶パネル用中間基板を得ることができる。
【0063】
図7は切断傷SL1及びSL2が形成される平面位置を示す平面図である。同図(a) は切断傷SL1の形成位置を破線により示し、同図(b) は切断傷SL2の形成位置を破線により示している。
【0064】
同図(a) に示すように、マザー基板20の分断は、図中縦方向に伸びる4本の垂直切断線LV1と図中横方向に伸びる4本の水平切断線LH1とからなる切断傷SL1によって、カラーフィルタ基板120a〜120dが一度の切断により最終形状となるように行われる。すなわち、カラーフィルタ基板120a〜120dの最終形状に等しい所定の形状に対応して切断傷SL1が形成されている。
【0065】
一方、マザー基板10の分断は、図中縦方向に伸びる3本の垂直切断線LV2と図中横方向に伸びる3本の水平切断線LH2とからなる切断傷SL2によって、スイッチング素子基板110a〜110dの最終形状ではなく、個々のスイッチング素子基板110a〜110dから余裕を持った中間形状で分離する様に行われる。すなわち、スイッチング素子基板110a〜110dの最終形状より大きい形状に対応して切断傷SL2が形成されている。
【0066】
このように、切断傷SL1及びSL2をマザー基板20及び10に形成した後、それぞれの切断傷SL1及びSL2の近傍に応力を印加することにより、切断傷SL1及びSL2に沿ってマザー基板20及び10が分断される。その結果、4枚の個々の液晶パネル100に対応して、4分割された液晶パネル用中間基板が得られ第1切断工程が完了する。
【0067】
以上の様に行った第1切断工程後に応力を印加して分離された状態について、図8及び図9を用いて説明する。図8は、一つの液晶パネルに対応したカラーフィルタ基板120a及びスイッチング素子基板110aからなる一単位の液晶パネル用中間基板を示す平面図である。図9は図8のE−E断面及びF−F断面を示す断面図である。
【0068】
また、カラーフィルタ基板120b〜120d及びスイッチング素子基板110b〜110dに対応した液晶パネル用中間基板についても同様であることから説明を省略し、以下においても、カラーフィルタ基板120a及びスイッチング素子基板110aからなる液晶パネル用中間基板を例にとって説明する。
【0069】
第1切断工程後においては、図8及び図9に示す様に、カラーフィルタ基板120aは最終形状に切り出されており、スイッチング素子基板110aについてはスイッチング素子基板110aの最終形状より、左右上下の外側に、不要部分150(図中斜線ハッチング領域)の一部が残存する分、大きな外形となる様に切断されている。また、マザー基板20及び10それぞれの端面には、第1切断工程において発生した微小な傷やクラックなどダメージdm1及びdm2(切断傷SL1及びSL2)が残存する。
【0070】
カラーフィルタ基板120aにおいては、図8及び図9に示す様に、カラーフィルタ基板120aの外形の四辺全てにおいて切断傷SL1によるダメージdm1が残存している。また、図9の断面図に示す様にダメージdm1は、切断傷SL1の形成された側であるスイッチング素子基板110aと対向する第2主面と反対側の第1主面側に主に残存する。
【0071】
一方、スイッチング素子基板110aにおいては、図9に示すように、外側に設けられた不要部分150の切断面が形成された四辺において切断傷SL2によるダメージdm2が残存している。
【0072】
また、図9の断面図に示す様にダメージdm2は、切断傷SL2の形成された側であるカラーフィルタ基板120aと対向する面と反対側の第2主面側に主に残存する。
【0073】
また、スイッチング素子基板110aの外側に設けられた不要部分150については、本来は、切断傷SL2をスイッチング素子基板110aの最終形状の外形にあわせて形成することにより第1切断工程によって除去可能であり、この場合、第2切断工程は不要になる。
【0074】
しかし、実施の形態1においては信頼性の高い液晶パネル100を得るべく、スイッチング素子基板110aの端面において、マザー基板10のカラーフィルタ基板120aと対向する面である第1主面側に分断の起点となる切断傷を形成した後に分断することにより得られた切断面とする必要がある。
【0075】
しかし、カラーフィルタ基板120aと対向するマザー基板10の第1主面側は、第1切断工程の前においては、互いに対向するマザー基板20及びマザー基板10により挟まれる領域にあるため、切断傷を形成することができない。
【0076】
そこで、第1切断工程では、最終形状に切り出すのではなく、スイッチング素子基板110aの外側に第2切断工程を行うための後述する切断傷SL3が形成からな切断しろ(露出部)として不要部分150を設けた形状に切断している。
【0077】
すなわち、第1切断工程において、マザー基板20のカラーフィルタ基板120aと対向する、マザー基板10の第1主面側に露出する切断しろを設けることができれば、続く第2切断工程において当該切断しろに切断傷SL3を形成することが可能となる。この点からは、第1切断工程においてマザー基板10を4分割することは必須ではない。
【0078】
しかしながら、カラーフィルタ基板120a〜120dの間に位置する不要部分150については、第2切断工程によりカラーフィルタ基板120a〜120dそれぞれから分離されるが、切り出されたカラーフィルタ基板120a〜120dとの隙間が殆どないため、除去することは比較的困難である。したがって、第1切断工程により、マザー基板10を4分割し、第1切断工程後にそれぞれが一単位の液晶パネルに対応した液晶パネル用中間基板に分離することにより、マザー基板20から分断された不要部分150を第2切断工程によって容易に除去することができる。
【0079】
すなわち、第1切断工程 において、切断傷SL1及びSL2を、湾曲方向に平行な所定の切断方向に加え、上記所定の切断方向に垂直な第2の切断方向に沿ってさらに形成して、液晶パネル用中間基板と液晶パネルとの対応可関係を1対1にすることにより、第2切断工程の処理の軽減を図ることができる。
【0080】
続いて、第2切断工程について、図10を用いて説明を行う。図10は、図9における断面図において、第2切断工程のために形成される切断傷SL3の形成位置を追加して示したものである。
【0081】
図10に示す様に、第2切断工程においては、スイッチング素子基板110aの外側に設けられた不要部分150を除去して液晶パネル100の最終形状に成形するため、カラーフィルタ基板120aと不要部分150の境界に切断傷SL3を形成する。切断傷SL3は、図10からも明らかな様、カラーフィルタ基板120aを切り出す第1切断工程によって対向するマザー基板20が除去されて露出された部分(露出部)、即ち、カラーフィルタ基板120aと対向する、スイッチング素子基板110aの第1主面側に形成される。
【0082】
また、スイッチング素子基板110aの第1主面側より切断傷SL3を形成する際において、カラーフィルタ基板120aの端面に影響を与えることなく、スイッチング素子基板110aの第1主面に切断傷SL3を形成する方法として、ガラスが吸収する波長355nmの紫外線レーザーを用いた。
【0083】
紫外線レーザーのスポット径が0.1mm程度であるが、カラーフィルタ基板120aの端面に紫外線レーザーが照射されないように、スイッチング素子基板110aの端面をカラーフィルタ基板120aの端面よりも0.3〜0.5mm突出した位置に切断傷SL3を形成した。
【0084】
このように、第2切断工程の切断傷SL3を得る工程に、紫外線レーザーによる溶解(レーザスクライブ・アンド・ブレーク)を用いることにより、カラーフィルタ基板120に対するスイッチング素子基板110の突出長さを確実に0.5mm以下にして、狭額縁化構造の液晶パネル100を得ることができる。
【0085】
なお、通常、端子118aの形成される部分については(長辺近傍部分)、このようにスイッチング素子基板110aの端面がカラーフィルタ基板120aの端面よりも突出した構造となるが、端子118aの形成されない部分についても、突出させた構造とした。
【0086】
図11は第2切断工程後の一対の液晶パネルの状態を示す断面図である。図11に示すように、第2切断工程では、切断傷SL3を形成した後に、応力を印加することによって、最終形状のスイッチング素子基板110aが切り出され、マザー基板20及びマザー基板10からなる液晶パネル用中間基板から、カラーフィルタ基板120a及びスイッチング素子基板110aに対応した液晶パネルを最終的に切り出す切断工程が完了する。
【0087】
この際、スイッチング素子基板110aの第2主面側に存在した切断傷SL2によるダメージdm2部分(中間切断傷)は不要部分150と共に除去される。
【0088】
また、このようにして、形成された液晶パネルにおいては、図10を用いて説明したように、スイッチング素子基板110aの四辺全てにおいて、第1主面側に切断傷SL3が形成した後に応力を印加することにより分断された切断面を端面に有しており、その端面は、図11に示すように、切断傷SL3によるダメージdm3が残存しており、ダメージdm3は、切断傷SL3の形成された側であるスイッチング素子基板110aの第1主面側に主に残存する。
【0089】
このように、個々の液晶パネルが最終形状となる様に分断された後、偏光板貼付け工程において、カラーフィルタ基板120の第1主面側及びスイッチング素子基板110の第2主面側にそれぞれ偏光板が貼り付けられ、制御基板実装工程において制御基板が実装される。
【0090】
そして、最終組み立て工程で、液晶パネル100が湾曲方向(短手方向)において第2主面側(一方の主面側)が凸上になる湾曲構造に保持・固定(図示せず)され、カラーフィルタ基板120a側に位置する表示面200の部分が開放された筐体に収納されることによって、図1及び図2および図3において説明した液晶パネル100と同様の構成を持つ実施の形態1の液晶パネルが完成する。なお、湾曲方向とは、湾曲している辺に沿った方向を意味する。
【0091】
なお、以上説明した実施の形態1の製造方法においては、第1切断工程により4枚の個々の液晶パネルに対応して4分割した液晶パネル用中間基板を得た後、第2切断工程を個々の液晶パネルに対応して別々に行った。しかししながら、この様な手順に限られず、一部切断の順番を変更しても良い。例えば、先ず、X方向或いはY方向など一方向についてのみ、第1切断工程による分断及び第2切断工程による不要部分の除去を実施することにより、複数の液晶パネルが一列につながった短冊状の形状に加工し、その後、もう一方向について、順次、第1切断工程による分断及び第2切断工程による不要部分の除去を実施しても良い。
【0092】
特に、一組のマザー基板から多数の液晶パネルを取り出す場合には、このように短冊状の形状で処理した方が効率良く処理できる工程がある。例えば、注入口による液晶の注入を行う場合については、注入口方向のみ先に分断し、短冊形状で液晶を注入した後、個々のパネルに対応した分断を行う方が効率良く液晶の注入工程を実施できる。さらに、端子が一辺にのみ配置される構成の場合には、端子配置方向のみ先に分断し、短冊形状で液晶パネルの動作検査工程を実施することも可能であり、効率良く液晶パネルの動作検査工程を実施できる。
【0093】
このように、第1切断工程後に得られる液晶パネル用中間基板と、最終的に得られる液晶パネルとを1対他の関係、すなわち、所定数の液晶パネル用中間基板から所定数を上回る複数の液晶パネルを製造するようにしても良い。例えば、図4〜図11で示した例において、水平切断線のみよりなる切断傷SL1及びSL2を形成して2枚(所定数)の液晶パネル用中間基板を得た後、垂直切断線のみよりなる切断傷SL1及びSL3を形成して4枚の液晶パネルを得るようにしても良い。
【0094】
【表1】
【0095】
表1は、切断方法と切断可能ガラス板厚の関係を示している。表1において、○印は「切断可」を意味し、△印は「切断困難」を意味し、×印は「切断不可」を意味している。
【0096】
ここで、本発明における切断傷を形成する方法ついて表1を用いて説明する。発明者らは薄く加工した合わせ板ガラスの切断について検討を重ね、表1に示すようにスクライブ方法により切断可能な板厚があることを見出した。
【0097】
表1において、実施例1として「(1)スクライブ・アンド・ブレーク法」を用い、実施例2として「(2)レーザスクライブ・アンド・ブレーク法」を用い、比較例1として「(3)レーザー切断法」を用いた。
【0098】
表1に示すように、「スクライブ・アンド・ブレーク法」及び「レーザスクライブ・アンド・ブレーク法」を用いれば、0.2mm以上のガラス基板を切断することが可能であり、特に「レーザスクライブ・アンド・ブレーク法」ではより薄い0.1mmのガラス基板まで切断できることが分かった。
【0099】
一方、「レーザー切断法」では、前述したように、被切断物の熱容量が必要となり0.2mm以下のガラス基板では所望するラインを切断することができなかった。したがって表1の結果を勘案し、本発明においては「スクライブ・アンド・ブレーク法」と「レーザスクライブ・アンド・ブレーク法」を用いて切断工程を実行することにした。
【0100】
本発明においては、曲率半径300mm以下の湾曲液晶パネルを製造対象としており、湾曲時の応力、衝撃、耐久性などを勘案しガラス基板の厚さ0.2mm以下が求められている。曲率半径300mm以上の場合は、ガラス基板の厚さを0.2mmより厚くすることは可能であり、第1切断工程においてはレーザー切断を用いることもできる。
【0101】
しかしながら、第2切断工程では、前述した通りレーザー照射後の冷風またはミストが露出したシール材130にも吹き付けられるためにシール材130が収縮して、シール材130が基板より剥がれてしまう。表1及び上記説明により、0.20mmを下回る膜厚のガラス基板を有する第1及び第2のマザー基板を分割する場合、「レーザスクライブ・アンド・ブレーク法」が好適であることがわかる。
【0102】
以上、表1の実験結果から、マザー基板10及び20となるガラス基板の膜厚が0.20mm未満の場合においては、第一切断工程もレーザスクライブ・アンド・ブレーク法を用いる方が望ましい。
【0103】
【表2】
【0104】
表2はスクライブラインとシール材130との距離とガラスの破壊強度の関係を示している。次に、スクライブライン(切断傷SL1〜SL3)とシール材130との距離Ds(mm)とガラス強度の関係について表2および図12、図13を用いて説明する。
【0105】
図12は、スクライブラインとシール材130(130a,130c)との位置関係を示す平面図であり、図13は図12のG−G断面を示す断面図である。
【0106】
表2における破壊強度は「JIS R 1601」で示されている4点曲げ強さより求め、シール材130のない同じ厚さのガラス基板1枚を同じ切断方法、条件で切断した場合の破壊強度との比を破壊強度比で表している。なお、4点曲げ強度は、切断傷を形成した面が引っ張りとなるように行い、ガラス基板は0.15mmの厚さのものを用いた。
【0107】
表2に示すように、スクライブラインLV1(SL1)とシール材130a(130c)との距離Dsが1.0mmよりも小さい場合、急激に破壊強度が低下しており、1.0mm以上では破壊強度が距離Dsに依存せず安定していることが認識される。したがって、ガラス基板の強度を確保するためには、本シール材130とスクライブラインつまりカラーフィルタ基板120の端面までの距離を1.0mm以上とすることが好ましい。
【0108】
このように、カラーフィルタ基板120の端部はシール材130から1.0mm以上の距離Dsを隔てるように形成することにより、実施の形態1の液晶パネル100は耐久性の向上を図ることができる。その結果、液晶パネル100の長寿命化を図ることができる。
【0109】
また、本実施の形態1の液晶パネル100においては、製造方法の説明において説明したように、カラーフィルタ基板120における切断時のダメージdm1は、スイッチング素子基板110と対向する面と反対側の第1主面側に主に残存しており、スイッチング素子基板110における切断時のダメージdm3は、カラーフィルタ基板120と対向する面である第1主面側に主に残存している。
【0110】
この様な位置に切断時のダメージdm1,dm3が残存する液晶パネル100の短手方向となる湾曲方向に対し、表示面200側からの応力により、カラーフィルタ基板120及びスイッチング素子基板110それぞれの第2主面側が凸面となる、すなわち、表示面200が形成される第1主面側が凹面となるように湾曲させた場合、図1、図2からも判る様に、何れの基板120,110についても、ダメージdm1及びダメージdm3の主に残存する部分が圧縮される方向に変形される。
【0111】
微小な傷やクラックなどのダメージが応力により成長するのは、傷やクラックが引っ張りの応力により拡げられることにより成長するのが主たる原因である。したがって、この表示面200が凹面となるような応力を与えた湾曲に対して、これらダメージdm1及びダメージdm3は共に成長することがないため、湾曲された後の液晶パネル100の強度低下の原因となり難い。
【0112】
上述したように、第1切断工程及び第2切断工程において設けられる切断傷SL1及びSL3は、カラーフィルタ基板120及びスイッチング素子基板110における湾曲構造の凹部側に設けられるため、湾曲構造を得る工程の実行時には、基板120及び110の切断傷SL1及びSL3に対して圧縮する方向に力が加えられる。このため、切断傷SL1及びSL3が上記湾曲構造の原因となる危険性を確実に回避することができる結果、強度が劣化しない湾曲型の液晶パネル100を得ることができる。その結果、生産工程の向上を図ることができる。
【0113】
さらに、本実施の形態1の液晶パネル100において、端子118が形成されない部分についても、平面視してスイッチング素子基板110の端面が、カラーフィルタ基板120の端面より0.3〜0.5mm突き出した構造となっており、表示領域の外側にある非表示領域(額縁)を大きく広げることがなく、狭額縁化構造の液晶パネルを得ることができる。
【0114】
加えて、第2切断工程の切断傷SL3を得る工程に、紫外線レーザーによる溶解(レーザスクライブ・アンド・ブレーク)を用いることにより、カラーフィルタ基板120に対するスイッチング素子基板110の突出長さを確実に0.5mm以下にして、狭額縁化構造の液晶パネル100を得ることができる。
【0115】
このように、実施の形態1の液晶パネル100は、湾曲により凸面となる面(第2主面)側に切断傷による主なダメージが残存しないことにより、湾曲による引っ張り応力により微小な傷やクラックなどのダメージが成長することによるガラス割れ強度の低下を防止することができる。その結果、基板端面への特別な補強処理など、他の処理工程を追加することなく、かつ額縁を広げることなく、耐久性向上を図った液晶パネル100を得ることができる。
【0116】
実施の形態1の液晶パネルにおいては、端子118が長手方向の辺(長辺)に形成され、短手方向を湾曲方向として第2主面側を凸状に湾曲させた液晶パネル100について説明したが、端子118は短手方向の辺(短辺)に形成されていても良い。
【0117】
この場合、短手方向の辺に設けられる端子118に接続される制御基板135は、長手方向の端子118に接続される制御基板135よりも小さい方が好ましく、かつ湾曲させる曲率半径は、長手方向のみ端子118が形成された場合よりも大きくすることが好ましい。なぜなら、端子118に接続されるFPC136により応力の集中が起きやすいためである。
【0118】
<実施の形態2>
実施の形態1の液晶パネル100においては、個々のスイッチング素子基板110(110a〜110d)の四辺全てにおいて、第2切断工程にてカラーフィルタ基板120aと対向する面側に切断傷SL3を形成して分断を行った。
【0119】
しかしながら、スイッチング素子基板110が一方向、例えば短手方向が湾曲方向として湾曲される場合、湾曲される辺である短手方向に平行な短辺となる二辺についてのみ、カラーフィルタ基板120と対向する面側であるスイッチング素子基板110の第1主面側に切断傷SL3を形成して分断を行う様にしても良い。特に注入口により液晶を注入する場合においては、注入口の配置される辺については、カラーフィルタ基板120及びスイッチング素子基板110の平面形状が合致しており、何れも突出しない方が注入工程時における液晶の引き込みが容易となる点からは望ましいからである。
【0120】
図14は実施の形態2の製造方法において切断傷SL1及びSL2が形成される平面位置を示す平面図である。同図(a) は切断傷SL1の形成位置を破線により示し、同図(b) は切断傷SL2の形成位置を破線により示している。
【0121】
同図(a) に示すように、マザー基板20の分断は、図中縦方向に伸びる4本の垂直切断線LV1と図中横方向に伸びる4本の水平切断線LH1とからなる切断傷SL1によって、カラーフィルタ基板120a〜120dが一度の切断により最終形状となるように行われる。すなわち、カラーフィルタ基板120a〜120dの最終形状に等しい所定の形状に対応して切断傷SL1が形成されている。
【0122】
一方、マザー基板10の分断は、図中縦方向に伸びる3本の垂直切断線LV2と図中横方向に伸びる4本の水平切断線LH3とからなる切断傷SL2によって、スイッチング素子基板110a〜110dの最終形状ではなく、短手方向においてのみ個々のスイッチング素子基板110a〜110dを余裕を持って分離する様に行われる。すなわち、スイッチング素子基板110a〜110dの最終形状より長辺が長くなる形状に切断傷SL2が形成されている。
【0123】
このように切断傷SL1及びSL2をマザー基板20及び10に形成した後、それぞれの切断傷SL1及びSL2の近傍に応力を印加することにより、切断傷SL1及びSL2に沿ってマザー基板20及び10が分断される。その結果、4枚の個々の液晶パネル100に対応して、4分割された液晶パネル用中間基板が得られ、第1切断工程が完了する。
【0124】
以上の様に行った第1切断工程後の状態について、図15を用いて説明する。図15は、一つの液晶パネルに対応したカラーフィルタ基板120a及びスイッチング素子基板110aからなる一単位の液晶パネル用中間基板を示す平面図である。
【0125】
また、カラーフィルタ基板120b〜120d及びスイッチング素子基板110b〜110dに対応した液晶パネル用中間基板についても同様であることから説明を省略し、以下においても、カラーフィルタ基板120a及びスイッチング素子基板110aからなる液晶パネル用中間基板を例にとって説明する。
【0126】
第1切断工程後においては、図15に示すように、カラーフィルタ基板120aは所定の形状(最終形状)に切り出されており、スイッチング素子基板110aについては短手方向(図中縦方向)においては最終形状に切り出され、長手方向(図中横方向)においては最終形状より少し余裕を持った形状で切り出される。
【0127】
すなわち、短手方向においては第1切断工程に図11の(a) に示すような形状のスイッチング素子基板110aが切り出され、長手方向では図9(b) で示した不要部分150の一部が残存するように切り出される。ただし、短手方向においては、スイッチング素子基板110aの第2主面側にダメージが残存する。
【0128】
すなわち、マザー基板20及び10が分断された4つの液晶パネル用中間基板それぞれの端面には、第1切断工程において発生した微小な傷やクラックなどのダメージが残存する。この際、カラーフィルタ基板120a〜120dそれぞれは主として第1主面側にダメージが残り、スイッチング素子基板110a〜110dそれぞれは主として第2主面側にダメージが残る。
【0129】
続いて、第2切断工程について、図15を用いて説明を行う。第2切断工程においては、スイッチング素子基板110aの外側に設けられた不要部分150を除去して液晶パネル100を最終形状に成形するため、カラーフィルタ基板120aの短辺側についてのみ不要部分150の境界に切断傷SL3を形成する。
【0130】
この際、スイッチング素子基板110aの第2主面側の短辺近傍に存在した切断傷SL2によるダメージdm2部分(中間切断傷)は不要部分150と共に除去される。
【0131】
このように、実施の形態2における第2切断工程では、短手方向に対して平行な二辺にのみ、不要部分150を残すように切断し、残り二辺(図15の上下の辺)については、第1切断工程の段階で最終形状となる位置で切断する。
【0132】
したがって、上記残り二辺について、スイッチング素子基板110aの第1主面側から切断傷SL3を形成する必要が無くなる。また、上記残り二辺のうち端子118aの配置されない辺(図15の上辺)においては、スイッチング素子基板110aの端面とカラーフィルタ基板120aの端面の位置を合わせ、この辺においてシール材130aに注入口131aを形成することが好ましい。
【0133】
このように、実施の形態2では第1切断工程を行った後、第2切断工程において、スイッチング素子基板110の短手方向にのみ第1主面側より切断傷SL3を形成して不要部分150の分断を行っている。
【0134】
これにより、注入口を用い液晶を注入する液晶パネルにおいても、特に湾曲によるダメージを受け易い短手方向に対して平行な二辺について湾曲により凸となる面側に切断傷による主なダメージが残存しないことにより、耐久性向上が図れる。
【0135】
このように、実施の形態2の液晶パネルにおいて、第1切断工程及び第2切断工程において設けられる切断傷SL1及びSL3は、カラーフィルタ基板120及びスイッチング素子基板110における湾曲構造の凹部側に設けられるため、実施の形態1の液晶パネル100と同様、強度が劣化しない湾曲型の液晶パネルを得ることができる効果を奏する。なお、スイッチング素子基板110の長手方向に平行な長辺の端面には第2主面側にダメージdm2が残存しているが、長手方向は湾曲方向と垂直な方向であり湾曲により影響をほとんど受けない。
【0136】
さらに、実施の形態2の製造方法は、湾曲方向においてのみ、切断傷SL3を形成して第2切断工程を行うことにより、製造工程の簡略化を図ることができる。
【0137】
<実施の形態3>
実施の形態1及び実施の形態2においては、表示面(第1主面)が凹面となる方向に湾曲された湾曲型の液晶パネルについて説明を行ったが、実施の形態3では、表示面が凸面となる方向に湾曲された液晶パネルへの適用例について説明する。
【0138】
(構造)
図16はこの発明の実施の形態3における液晶パネルの全体構造を示す斜視図である。図17及び図18は図16で示した液晶パネルのH−H断面及びI−I断面を示す断面図である。
【0139】
以下、実施の形態3の液晶パネル101の構成について図16〜図18を参照して説明する。なお、図16〜図18で示す液晶パネル101の構造は模式的なものであり、示された構成要素の正確な大きさなどを反映するものではない。例えば、図16〜図18において、表示画素の繰り返し部分の省略及び膜構成の一部簡略化を行っている。また、図中、既出の図において説明したものと同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0140】
図16及び図17に示されるように、実施の形態3の液晶パネル101は、実施の形態1の液晶パネル100と同様、画像を表示する表示面200を第1主面に有する第1の基板であるカラーフィルタ基板120と、カラーフィルタ基板120の表示面200と反対側の面(第2主面)に対向して配置される第1主面を有する第2の基板であるスイッチング素子基板110とから構成される。
【0141】
以下、実施の形態1の液晶パネル100と異なる部分を中心に説明する。実施の形態3の液晶パネル101は、液晶パネル101にける長手方向(X1−X2方向)と垂直な湾曲方向に対し、スイッチング素子基板110及びカラーフィルタ基板120それぞれの第1主面(一方の主面)が凸状となるように湾曲されている。
【0142】
また、本実施の形態3の液晶パネル101において、図15に示すように、スイッチング素子基板110の端子118が形成されていない辺(図中下辺)のカラーフィルタ基板120の端面が、スイッチング素子基板100の端面より突き出している。
【0143】
(製造方法)
続いて、本実施の形態3の液晶パネル101の製造方法について説明する。実施の形態3の液晶パネル101の製造方法については、実施の形態1の液晶パネルの製造方法からの変更部分について説明する。
【0144】
まず、図6〜図9を用いて説明した第1切断工程からの変更部分について、図19〜図22を用いて説明する。
【0145】
図19は実施の形態3の製造方法において切断傷SL1及びSL2が形成される平面位置を示す平面図である。同図(a) は切断傷SL1の形成位置を破線により示し、同図(b) は切断傷SL2の形成位置を破線により示している。
【0146】
同図(b) に示すように、マザー基板10の分断は、図中縦方向に伸びる4本の垂直切断線LV2と図中横方向に伸びる4本の水平切断線LH2とからなる切断傷SL2によって、スイッチング素子基板110a〜110dが一度の切断により最終形状(所定の形状)となるように行われる。すなわち、スイッチング素子基板110a〜110dの最終形状に等しい所定の形状に対応して切断傷SL2が形成されている。
【0147】
一方、マザー基板20の分断は、同図(a) に示すように、図中縦方向に伸びる3本の垂直切断線LV1と図中横方向に伸びる4本の水平切断線LH1とからなる切断傷SL1によって、個々のカラーフィルタ基板120a〜120dを余裕を持って分離する様に行われる。すなわち、垂直切断線LV2によって切断される部分は最終形状より大きい形状になるように分離され、水平切断線LH1によって切断される部分は最終形状に合致するように分離される。したがって、端子118が設けられるスイッチング素子基板110の辺(図中下辺)については、端子118(端子118a〜118d)が露出する。
【0148】
このように切断傷SL1及びSL2をマザー基板20及び10に形成した後、それぞれの切断傷SL1及びSL2の近傍に応力を印加することにより、切断傷SL1及びSL2に沿ってマザー基板20及び10が分断される。その結果、4枚の個々の液晶パネル100に対応して、4分割された液晶パネル用中間基板が得られ、第1切断工程が完了する。
【0149】
図20は、実施の形態3の製造方法における第1切断工程後の液晶パネル用中間基板におけるカラーフィルタ基板120a及びスイッチング素子基板110aに対応した一つの液晶パネルを示しており、図21(a)及び(b)は、図20における、断面線J−J及び断面線K−Kでの断面図を示したものである。
【0150】
第1切断工程において切断傷の形成される方向は、図5を用いて説明した実施の形態1同様に、マザー基板20に形成されるSL1についてはマザー基板10と対向する面と反対側の第1主面側に、マザー基板10に形成されるSL2についてはマザー基板20と対向する面と反対側の第2主面面側にそれぞれ形成される。
【0151】
また、切断位置については、第1切断工程後における図20及び図21に示すように、スイッチング素子基板110aについては最終形状となる様に切断されており、カラーフィルタ基板120aについてはカラーフィルタ基板120aの最終形状よりカラーフィルタ基板120aの短手方向と平行な二辺(図20の左右辺)の外側に不要部分150(図中斜線ハッチング領域)を設けられる分、最終形状より大きな外形となる様に切断されている。
【0152】
また、スイッチング素子基板110a及びカラーフィルタ基板120aそれぞれの端面には、第1切断工程において発生した微小な傷やクラックなどのダメージdm1及びdm2が残存する。
【0153】
図21に示すように、カラーフィルタ基板120aにおいては、短手方向の二辺(左右辺)における不要部分150の切断面が形成された端部に切断傷SL1によるダメージdm1が残存している。また、不要部分150を有さない長手方向の二辺(上下辺)においても切断傷SL1によるダメージdm1が残存している。この際、ダメージdm1は、切断傷SL1の形成された側であるスイッチング素子基板110aと対向する面と反対側となるスイッチング素子基板110aの第1主面側に主に残存する。
【0154】
一方、スイッチング素子基板110aにおいては、図21に示すように、スイッチング素子基板110aの外形の四辺全てにおいて、不要部分150を有することなく切断傷SL2によるダメージdm2が残存している。この際、ダメージdm2は、切断傷SL2の形成された側であるカラーフィルタ基板120aと対向する面と反対側となるスイッチング素子基板110aの第2主面側に主に残存する。
【0155】
続いて行われる第2切断工程においては、カラーフィルタ基板120aの外側に設けられた不要部分150を除去して液晶パネルを最終形状に成形するため、カラーフィルタ基板120aと不要部分150の境界に切断傷SL3を形成する。
【0156】
すなわち、実施の形態2と同様、図20及び図21に示すように、カラーフィルタ基板120aの外側に設けられた不要部分150を除去して液晶パネル101を最終形状に成形するため、スイッチング素子基板110aの短辺側についてのみ不要部分150の境界に切断傷SL3を形成する。
【0157】
また、カラーフィルタ基板120aに切断傷SL3を形成する方法として、ガラスが吸収する波長355nmの紫外線レーザーを用いた。
【0158】
図22は、第2切断工程後の液晶パネル基板の状態を示す断面図である。同図に示すように、第2切断工程においては、切断傷SL3を形成した後、応力を印加することによって最終形状のカラーフィルタ基板120aが切り出され、液晶パネル用中間基板よりカラーフィルタ基板120a及びスイッチング素子基板110aに対応した液晶パネルを切り出す切断工程が完了する。
【0159】
このようにして形成された液晶パネル101においては、図20及び図21を用いて説明したとおり、カラーフィルタ基板120aの短手方向の二辺において、第2主面側に切断傷SL3が形成した後に応力を印加することにより分断された切断面を端面に有しており、その端面においては切断傷SL3によるダメージが残存しており、その切断傷SL3によるダメージは切断傷SL3の形成された側であるカラーフィルタ基板120aの第2主面側に主に残存する。
【0160】
その後、実施の形態3の製造方法では、カラーフィルタ基板120aの湾曲方向である短手方向に平行な二辺について湾曲により変形が生じるようにカラーフィルタ基板120a及びスイッチング素子基板110aの第2主面が凹面となる方向、即ち表示面側である第1主面が凸面となる方向にカラーフィルタ基板120a及びスイッチング素子基板110aを湾曲する。
【0161】
その後、偏光板の貼付け、制御基板の接続、基板の湾曲、及び筐体への収納などを行うことにより、実施の形態3の液晶パネル101が完成する。これらの工程については、実施の形態1の液晶パネルの製造方法と同様で良いことから説明を省略する。
【0162】
本実施の形態3の液晶パネル101においては、基板120及び110の第2主面が凹となる方向に湾曲された液晶パネルにおいて、湾曲により変形を生じる端面であるカラーフィルタ基板の短手方向(湾曲方向)に平行な二辺の端面については、カラーフィルタ基板120及びスイッチング素子基板110の双方ともに湾曲により凹となる面側である第2主面側に主として切断傷SL2及びSL3を形成することにより行われている。
【0163】
したがって、湾曲により凸となる面側に切断傷による主なダメージが残存しないことにより、湾曲による引っ張り応力により微小な傷やクラックなどのダメージが成長することによるガラス割れ強度の低下を防止することができる。なお、カラーフィルタ基板120の長手方向に平行な長辺の端面には第1主面側にダメージdm1が残存しているが、長手方向は湾曲方向と垂直な方向であり湾曲により影響をほとんど受けない。
【0164】
その結果、他の処理工程を追加することなく湾曲型の液晶パネルの耐久性向上と低コスト化を図ることができる。また、実施の形態1、実施の形態1の変形例、あるいは実施の形態2で説明した構成あるいは製造方法と共通の部分については、本実施の形態3の湾曲型の液晶パネル101においても、実施の形態1、実施の形態2と同様の効果が得られる。以下、効果について一部、具体的に説明する。
【0165】
実施の形態3の液晶パネル101において、実施の形態1と同様、カラーフィルタ基板120及びスイッチング素子基板110の端部はシール材130から1.0mm以上の距離Dsを隔てるように形成することにより、実施の形態3の液晶パネル101は、耐久性の向上を図ることができる。その結果、液晶パネル100の長寿命化を図ることができる。
【0166】
さらに、実施の形態3の液晶パネル101において、平面視してカラーフィルタ基板1200の短辺の端面が、スイッチング素子基板110の端面より0.3〜0.5mm突き出した構造とすることにより、実施の形態1の液晶パネル100と同様、表示領域の外側にある非表示領域(額縁)を大きく広げることがなく、狭額縁化構造の液晶パネルを得ることができる。
【0167】
また、実施の形態1と同様、実施の形態3においても、第2切断工程の切断傷SL3を得る工程に、紫外線レーザーによる溶解(レーザスクライブ・アンド・ブレーク)を用いることにより、湾曲方向におけるスイッチング素子基板110に対するカラーフィルタ基板120の突出長さを確実に0.5mm以下にして、狭額縁化構造の液晶パネル101を得ることができる。
【0168】
<その他>
なお、実施の形態1〜実施の形態3においては、切断傷の形成方法に特徴があることから、切断傷の形成後に行う切断傷の近傍への応力印加方法について具体的に説明はしなかったが、板状のブレイク治具を押し当てて印加する方法が好ましい。
【0169】
また、実施の形態1〜実施の形態3において、第2切断工程断の切断傷形成方法は紫外線レーザーによる溶解により形成しているが、この溶解させた変質層の深さは20〜50μmが好適であり、20μm以下では応力印加時にスクライブラインに沿って分断できず、50μm以上では破壊強度が低下する。
【0170】
本発明の実施の形態1〜実施の形態3は液晶パネルについて説明しているが、ガラス基板等の一対の基板間にシール材ないし接着材などにより対向させることで形成される表示機器たとえば有機エレクトロルミネッセンスなどにおいても、本発明を適用することができ同様の効果が得られる。
【0171】
また、本発明の実施の形態1〜実施の形態3は短手方向に平行な短辺を湾曲させる液晶パネルについて説明したが、長手方向に平行な長辺を湾曲させる構造も勿論可能である。その場合は、短手方向と長手方向を入れ替えることにより実現でき、同様の効果が得られる。ただし、この場合、端子118も長辺近傍から短辺近傍に変更することが好ましい。
【0172】
また、本発明の実施の形態1〜実施の形態3では、一組のマザー基板10及び20から4枚の液晶パネル100を得る製造方法を例に挙げたが、これに限定されず、一組のマザー基板10及び20からN(≧1)枚の液晶パネル100を製造する方法に本発明を適用可能なのは勿論である。
【符号の説明】
【0173】
10,20 マザー基板、100,101 液晶パネル、110(110a〜110d) スイッチング素子基板、118(118a〜118d)、端子、120(120a〜120d) カラーフィルタ基板、130(130a〜130d) シール材、140 液晶、200 表示面、210a〜210d,220a〜220d 表示領域、SL1〜SL3 切断傷。
【技術分野】
【0001】
この発明は、液晶パネル及びその製造方法に係り、特に湾曲した表示画面を有する液晶パネル及びその製造技術に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶パネルを用いた液晶表示装置(LCD)に代表される平面型表示装置は、軽量、薄型、低消費電力の特徴を生かして各種分野で利用されている。中でも液晶表示装置は、パーソナル・コンピュータやテレビに代表される情報機器やAV機器に幅広く用いられている。
【0003】
また、自発光素子を表示部に用いた表示装置、例えば電界発光型エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置や、反射光を利用する電子ペーパー等が、次世代の薄型表示装置として用いられるようになってきている。EL表示装置は広視野角、高コントラスト、動画対応の高速応答等の特徴を有している。電子ペーパーは、そのメモリー機能や反射性能から得られる低消費電力が特徴である。
【0004】
このような表示装置には従来から薄型軽量化の要求がある。また、例えば、列車や車両等に搭載される場合、限られた空間に多くの情報を効率的かつ視認性良く表示することが求められる。また、搭載機器や設置場所のデザインにフィットすることが求められる。
【0005】
このような要求に対し、表示面を湾曲形状にして筐体の外形と一体化した湾曲ディスプレイの研究・開発がなされている。
【0006】
湾曲形状のディスプレイを実現するためには、表示パネルを構成する基板に可撓性を持たせる必要がある。そのような基板の例として、例えばプラスチック基板(換言すれば樹脂基板)が知られている。液晶ディスプレイの場合、例えば、一方の樹脂基板上にアクティブ素子(TFT等)や配線等が形成されスイッチング素子基板として機能し、もう一方の樹脂基板上にカラーフィルタやブラックマトリクス等が形成されカラーフィルタ基板として機能する。これらの各種要素の形成には、金属薄膜や半導体層を形成する成膜工程や、微細パターンを形成する写真製版工程が採用される。しかし、これらの工程には200℃以上の加熱工程や化学処理工程等が含まれるため、樹脂基板の耐熱性、膨張・収縮が問題になる。
【0007】
一方、液晶ディスプレイ等にはガラス基板が広く用いられてきた。ガラス基板は、膨張率が小さく、耐熱性や耐薬品性に優れている。しかし、ガラス基板は、硬く、割れ易いという問題があり、このため湾曲形状のディスプレイには不適であるとされてきた。これに対し、厚さ0.2mm程度以下のガラス基板によれば、可撓性を持たせて湾曲化が可能であることが例えば特許文献1により提案されている。また、ガラス基板からなる液晶パネルの製造方法が例えば特許文献2及び特許文献3に開示されている。なお、液晶ディスプレイに用いられるガラス基板の一般的な厚さは例えば0.5mm〜1.0mm程度である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−46115号公報
【特許文献2】特開2009−237279号公報
【特許文献3】特開2006−259566号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
通常、液晶パネルは貼り合わされた二枚のマザーガラス基板から所定の大きさの個片サイズへ切り出すことにより製造される。切り出しは、スクライブホイールを用いて、貼り合わされたマザー基板の表側及び裏側から其々二枚のマザーガラス基板表面に切断の起点となる切断傷を形成した後に、応力を印加することによりガラス基板を分断することにより行われる。このようなスクライブホイールによって切断傷を形成した後に分断する方法を「スクライブ・アンド・ブレーク」と呼ぶ。
【0010】
また、応力の印加方法として、形成された切断傷に沿ってレーザー光を照射して切断する方法が使われる場合もある。これら何れの切断方法においても、基板の切断面には微小な傷やクラックなどのダメージが入ることがあり、この様な基板端面に残存する傷やクラックは、その後に加わった応力によって成長する。
【0011】
特に、可撓性を持たせて湾曲化が可能である厚さ0.2mm以下に加工されたガラス基板においては、切断傷を形成する工程や分断する工程において、一般的な液晶ディスプレイに用いられるガラス基板(厚さは例えば0.5mm〜1.0mm)よりも、上記説明した微小な傷やクラックが生じやすく、これら切断傷の成長を起点として液晶パネルが破損してしまうという問題点があった。
【0012】
薄型ガラス基板を湾曲させる場合には、さらに注意が必要である。なぜならば、湾曲した薄型ガラス基板は、クラック等の部分の経時劣化によって遅れ破壊が発生しやすいからである。これは、湾曲による引っ張り応力が加わり続けることに拠る。
【0013】
このため、例えば基板切断工程においてクラック等を発生させないようにガラス基板を切断することが要求され、さらに上記微小な傷、クラックに引っ張り応力が加わらないように構成することが要求される。
【0014】
上記の種々要求に対して、液晶表示装置のガラス基板の割れ強度を向上する方法が幾つか提案されている。特許文献2では、対向して張り合わされた第一、第二のガラス基板において、第一の基板は第二の基板と対向しない面側に切断傷を形成し、第二の基板の端面においては、第一の基板と対向する面側に切断傷を形成し、第一の基板が凹面に変形される場合の衝撃や曲げのストレスに対する信頼性を向上させる方法が開示されている。切断方法は従来の「スクライブ・アンド・ブレーク」を採用している。
【0015】
また、特許文献3においては、第一の基板を従来のスクライブ・アンド・ブレーク、第二の基板をレーザーで切断し、衝撃や曲げのストレスに対する信頼性を向上させる方法が開示されている。レーザーの切断はレーザー光照射直後に冷風もしくはミストを吹き付け熱応力により切断する方法である。
【0016】
しかしながら、従来の「スクライブ・アンド・ブレーク」では厚さ0.2mm以下に加工されたガラス基板を切断するには、スクライブホイールに印加する荷重を高精度かつ低荷重にしなければ、十分な強度を持たせることができない。さらにガラス基板の厚さが0.15、0.1mmと薄くなるほどに高い精度、低荷重が求められる。また、スクライブラインとシール材との距離関係も重要となる。また、第二のガラス基板にスクライブする際に、スクライブヘッドが第一のガラス基板と接触し傷を生じてしまうため、第二のガラス基板の端面は第一のガラス基板の端面より、3.1mm以上突き出して形成する必要があり、その結果、液晶表示装置の額縁が広がってしまうといった問題点があった。
【0017】
また、熱応力を用いて切断するレーザー切断においては被切断ガラスの熱容量が必要であり、厚さ0.2mm以下では熱容量が不足し、所望する線に切断することが困難であるという問題点があった。
【0018】
また、特許文献2と特許文献3との開示技術を組み合わせ、第二のガラスガラス基板の切断にレーザー切断も用いた場合、レーザーの熱と冷風もしくはミストにより、シール部材の収縮、ガラス基板からの剥がれを生じてしまうため、シール部材からレーザー切断ラインを2.0mm以上離す必要が生じ、液晶表示装置の額縁が広がってしまうといった問題点が顕著になる。
【0019】
従来の液晶パネル及びその製造方法は以上のように行われており、額縁が比較的高くなるともに、信頼性の高い湾曲型の液晶パネルを得るしかことができないという問題点があった。
【0020】
この発明は上記問題点を解決するためになされたもので、信頼性の高い湾曲型の液晶パネル及びその製造方法を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
この発明に係る請求項1記載の液晶パネルは、第1主面及び第2主面を有し、画像を表示する表示面が第1主面に設けられる第1の基板と、第1主面及び第2主面を有し、前記第1の基板の第2主面と自身の第1主面とが対向するように配置される第2の基板と、平面視して前記表示面に対応して、前記第1の基板の第2主面と第2の基板の第1主面との間に挟まれる領域である狭間領域を囲い、該狭間領域内に液晶を狭持するシール材とを備え、前記第1及び第2の基板の厚みがそれぞれ0.2mm以下であり、前記第1及び第2の基板の第1主面及び第2主面のうち、それぞれの一方の主面が凸状になるように、所定の湾曲方向に対する湾曲構造を有し、前記第1及び第2の基板はそれぞれの他方の主面の端部に、少なくとも前記所定の湾曲方向に平行な切断方向に沿って切断傷を有することを特徴としている。
【発明の効果】
【0022】
請求項1記載の本願発明の液晶パネルにおいて第1及び第2の基板は、凸状となる主面(一方の主面)の反対面であるそれぞれの他方の主面の端部に、少なくとも所定の湾曲方向に平行な所定の切断方向に沿って切断傷を有している。
【0023】
すなわち、これらの切断傷は、第1及び第2の基板における湾曲構造の凹部側となる他方の主面に設けられる。したがって、上記湾曲構造を得る際、第1及び第2の基板それぞれの切断傷に対して圧縮する方向に力が加えられるため、切断傷が上記湾曲構造の原因となる危険性を確実に回避することができる結果、強度が劣化しない湾曲型の液晶パネルを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】この発明の実施の形態1における液晶パネルの全体構造を示す斜視図である。
【図2】図1で示した液晶パネルのA−A断面を示す断面図である。
【図3】図1で示した液晶パネルのB−B断面を示す断面図である。
【図4】一対のマザー基板が互いに貼り合わされる前の状態を示す平面図である。
【図5】一対のマザー基板の貼り合わされた後の状態を示す平面図である。
【図6】図5におけるC−C断面及びD−D断面を示す断面図である。
【図7】第1切断工程における切断傷が形成される平面位置を示す平面図である。
【図8】一つの液晶パネルに対応したカラーフィルタ基板及びスイッチング素子基板からなる一単位の液晶パネル用中間基板を示す平面図である。
【図9】図8のE−E断面及びF−F断面を示す断面図である。
【図10】図9における断面図において第2切断工程における切断傷の形成位置を追加して示した断面図である。
【図11】第2切断工程後の一対の液晶パネルの状態を示す断面図である。
【図12】スクライブラインとシール材130との位置関係を示す平面図である。
【図13】図12のG−G断面を示す断面図である。
【図14】実施の形態2の製造方法において第1切断工程における切断傷が形成される平面位置を示す平面図である。
【図15】一つの液晶パネルに対応したカラーフィルタ基板及びスイッチング素子基板aからなる一単位の液晶パネル用中間基板を示す平面図である。
【図16】この発明の実施の形態3における液晶パネルの全体構造を示す斜視図である。
【図17】図16で示した液晶パネルのH−H断面を示す断面図である。
【図18】図16で示した液晶パネルのI−I断面を示す断面図である。
【図19】実施の形態3の製造方法において第1切断工程における切断傷が形成される平面位置を示す平面図である。
【図20】実施の形態3の製造方法における第1切断工程後のカラーフィルタ基板及びスイッチング素子基板に対応した一つの液晶パネル用中間基板を示す平面図である。
【図21】図20におけるJ−J断面及びK−K断面を示す断面図である。
【図22】第2切断工程後の一対の液晶パネル基板の状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
<実施の形態1>
(構造)
図1はこの発明の実施の形態1における液晶パネルの全体構造を示す斜視図である。図2及び図3は図1で示した液晶パネルのA−A断面及びB−B断面を示す断面図である。
【0026】
以下、実施の形態1の液晶パネル100の構成について図1〜図3を参照して説明する。なお、図1〜図3で示す液晶パネル100の構造は模式的なものであり、示された構成要素の正確な大きさなどを反映するものではない。例えば、図1〜図3において、表示画素の繰り返し部分の省略及び膜構成の一部簡略化を行っている。また、図中、既出の図において説明したものと同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。この点は図4以降で示す図面においても同様とする。
【0027】
ここでは、一例としてTFT(Thin Film Transistor)をスイッチング素子として用いて動作される液晶パネルについて説明を行うことにする。図1及び図2に示される様に、実施の形態1の液晶パネル100は、画像を表示する表示面200を有する第1の基板であるカラーフィルタ基板120と、カラーフィルタ基板120の表示面200と反対側の面に対向して配置される第2の基板であるスイッチング素子基板110とを有する。
【0028】
以下、本明細書において、カラーフィルタ基板120において表示面200が形成される側にある面(図2及び図3の上方)を第1主面、その反対面を第2主面とする。同様にスイッチング素子基板110において、表示面200に対しより近い面(図2及び図3の上方)を第1主面、その反対面を第2主面とする。
【0029】
互いに対向するカラーフィルタ基板120の第2主面とスイッチング素子基板110の第1主面との間において、平面視して表示面200に対応する領域である狭間領域を囲う様に配置されたシール材130を備えており、このシール材130により上記狭間領域内に液晶140が狭持されている。
【0030】
また、スイッチング素子基板110及びカラーフィルタ基板120はいずれも図1で示す矢印X1−X2と平行な方向を長手方向、矢印X1−X2と垂直な方向を短手方向とする平面視矩形状の最終形状を呈しており、この最終形状となるように、少なくとも、この最終形状よりも大きな外形を持つマザー基板より切り出されることにより形成されている。液晶パネル100における上記短手方向である湾曲方向に対し、スイッチング素子基板110及びカラーフィルタ基板120それぞれの第2主面(一方の主面)が凸状となるように湾曲されている。
【0031】
さらに、スイッチング素子基板110の第1主面側に端部となる下辺部分110u(図1,図2参照)は、カラーフィルタ基板120の下辺部分120uより平面視突出するように形成される。
【0032】
そして、スイッチング素子基板110の第1主面に形成される後述する絶縁膜115上の下辺部分110uの近傍領域に端子118が設けられる。このスイッチング素子基板110の下辺部分110uにおいては、スイッチング素子基板110がマザー基板より切り出される際に発生する微小な傷やクラックなどのダメージdm(dm3;切断傷)が残存しており、図2の断面図にも示す様にカラーフィルタ基板120と対向する第1主面側に主としてダメージdm(dm1)が残存する。
【0033】
スイッチング素子基板110は主として透明基板であるガラス基板111(第2主面側)と絶縁膜115(第1主面側)との積層構造で構成される。スイッチング素子基板110の絶縁膜115上に液晶140を配向させる配向膜112、配向膜112の下部に液晶140を駆動する電圧を印加する画素電極113が設けられる。
【0034】
また、画素電極113に電圧を供給するTFTなどのスイッチング素子114が絶縁膜115内に設けられる。絶縁膜115内にはさらに、スイッチング素子114に信号を供給する配線であるゲート配線(図示せず)及びソース配線(図示せず)などが設けられ、さらに平面視して表示面200に対応する領域から外れた領域にはスイッチング素子114に供給される信号を外部から受け入れる上述した端子118、端子118から入力された信号を後述する共通電極123へ伝達するためのトランスファ電極(図示せず)などを有しており、端子118は湾曲により変形しない下辺部分110uの近傍の辺に配置している。また、ガラス基板111の第2主面上には偏光板131が設けられる。
【0035】
一方、カラーフィルタ基板120は主として透明基板であるガラス基板121(第1主面側)、遮光層125(中間)、及び共通電極123(第2主面側)の積層構造で形成される。さらに、共通電極123上には液晶140を配向させる配向膜122が形成される。
【0036】
配向膜122より第1主面側に配置された共通電極123は、スイッチング素子基板110上の画素電極113との間に電界を生じさせて液晶140を駆動する。遮光層125の第1主面側にカラーフィルタ124が設けられる。ガラス基板121の表面(第1主面)上には偏光板132が設けられる。この偏光板132は偏光板131と同種の素材から構成される。
【0037】
また、スイッチング素子基板110とカラーフィルタ基板120とはシール材130及び基板110,120間の距離を一定の距離に保持するスペーサ(図示せず)を介して貼り合わされている。スペーサとしては、基板上に散布された粒状のスペーサを用いても良いし、基板110,120のうちいずれか一方の基板上、または両方の基板上に樹脂をパターニングして形成された柱状のスペーサを用いても良い。さらに、トランスファ電極と共通電極123は、トランスファ材(図示せず)により電気的に接続されており、端子118から入力された信号が共通電極123に伝達される。この他に、液晶パネル100は駆動信号を発生する駆動用IC(Integrated Circuit)などを装備した制御基板135、制御基板135を端子118に電気的に接続するFFC(Flexible Flat Cable)136、光源となるバックライトユニット(通常は、表示面200の反対側であるスイッチング素子基板110の第2主面側に配置されるが、ここでは図示せず)などを備えており、これら部材と共に表示面200の部分が開放された筐体(図示せず)の中に収納される。また、表示面200へ接触する接触物の表示面上の相対位置を検知するタッチパネル機能を付与する為に、この筐体の内側或いは外側の表示面200の部分に対向する様に薄板状のタッチパネル機のセンサ部を配置しても良い。
【0038】
このように、実施の形態1の液晶パネル100は基本的に以下の構造を呈している。第1主面及び第2主面を有し、画像を表示する表示面200が第1主面に設けられるカラーフィルタ基板120と、第1主面及び第2主面を有し、カラーフィルタ基板120の第2主面と自身の第1主面とが対向するように配置されるスイッチング素子基板110と、平面視して表示面200に対応して、カラーフィルタ基板120の第2主面とカラーフィルタ基板120の第1主面との間に挟まれる領域である狭間領域を囲い、該狭間領域内に液晶140を狭持するシール材130とを備えている。
【0039】
そして、実施の形態1の液晶パネル100は、カラーフィルタ基板120及びスイッチング素子基板110の厚みがそれぞれ0.2mm以下であり、基板120及び110の第2主面(一方の主面)が凸状になるように、短手方向である湾曲方向に対する湾曲構造を有し、基板120及び110それぞれの第1主面(他方の主面)の端部に、切断傷SL1及び切断傷SL3を有することを特徴としている。
【0040】
上述した構成の実施の形態1の液晶パネル100は以下の様に動作する。例えば、制御基板135から電気信号が入力されると、画素電極113及び共通電極123に駆動電圧が加わり、駆動電圧に合わせて液晶140の分子の方向が変わる。そして、バックライトユニットの発する光がスイッチング素子基板110、液晶140及びカラーフィルタ基板120を介して観察者側に透過あるいは遮断されることにより、液晶パネル100の表示面200に映像等が表示される。
【0041】
なお、上述した液晶パネル100の内部構成は、一例であり他の構成でも良い。液晶パネル100の動作モードは、TN(Twisted Nematic)モードや、STN(SupperTwisted Nematic)モード、IPS(In Plane Switching)モード、VA(Virtical Alignment)モード、強誘電性液晶モードなどでもよく、駆動方法は、単純マトリックスやアクティブマトリックスなどでもよく、カラーフィルタ基板120に設けた共通電極123をスイッチング素子基板110側に設置して、画素電極113との間に横方向に液晶140に対して電界をかける横電界方式を用いた液晶パネルでも良い。
【0042】
さらに、トランスファ材については、シール材130中に導電性の粒子などを混合することにより代用でき省略することも可能である。
【0043】
また、ここでは、小型化を図るべく、一辺にのみ端子118を設け、一つの制御基板135のみを接続する構成としたが、構成端子118をスイッチング素子基板110の二辺に設け、其々に制御基板135を接続する構成としても良い。
【0044】
さらに、駆動用ICを制御基板135に載せた状態で接続するのではなく端子118上に配置して駆動用ICの端子を端子118に直接接続する構成としても良い。また、シール材130において、液晶を注入する注入口の図示を省略しているが、液晶の注入方法として、真空中で注入口より注入する真空注入法を用いる場合には注入口及び注入口を封止する封止剤が形成される。また、液晶を液滴状で配置して真空中で基板を貼り合わせて注入する滴下注入法を用いる場合には、注入口及び封止剤は省略可能である。
【0045】
(製造方法)
次に、この発明の実施の形態1である液晶パネルの製造方法について、図4〜図9を用いて説明を行う。ここでは、面積の大きなマザー基板より液晶パネル100を複数枚取り出して製造(多面取り)する方法の一例として、貼り合わされた一対のマザー基板より4枚の液晶パネル100を取り出す場合について説明する。
【0046】
図4は、一対のマザー基板の互いに貼り合わされる前の状態を示す平面図であり、同図の(a)は、カラーフィルタ基板120を取り出す第1のマザー基板であるマザー基板20を示し、図4(b)は、スイッチング素子基板110を取り出す第2のマザー基板であるマザー基板10を示している。
【0047】
図4の(a) に示す様に、マザー基板20には、4枚のカラーフィルタ基板120a、120b、120c及び120dが作りこまれている。さらに、例えばカラーフィルタ基板120aには、図1〜図3を参照して既に説明したように、液晶パネル100が完成した場合の表示面200に対応した領域である表示領域220aに、液晶を駆動する共通電極123、カラーフィルタ124及び遮光層125などが作りこまれている。カラーフィルタ基板120b〜120dについても図示及び説明は省略するが、カラーフィルタ基板120aと同様の構成が作りこまれている。また、これら共通電極123、カラーフィルタ142及び遮光層125等の作りこみは一般的な液晶パネルにおけるカラーフィルタ基板の製造方法と同様で良いことから詳細な製造方法に関する説明は省略する。
【0048】
図4の(b) に示す様に、マザー基板10には、4枚のスイッチング素子基板110a、110b、110c及び110dが作りこまれている。さらに、例えばスイッチング素子基板110aには、図1〜図3を参照して既に説明したように、外部から信号を受け入れる端子118aや、液晶パネルが完成した場合の表示面に対応した領域である表示領域210aに、液晶を駆動する画素電極113、スイッチング素子114、種々の接続配線などが作りこまれている。スイッチング素子基板110b〜110dについても図示及び説明は省略するが、スイッチング素子基板110aと同様の構成が作りこまれている。これら端子及びスイッチング素子などの作りこみは一般的な液晶パネルにおけるスイッチング素子基板の製造方法と同様で良いことから詳細な製造方法に関する説明は省略する。
【0049】
マザー基板20及びマザー基板10には互いに貼り合わされる前において、液晶140を配向させる配向膜122,112間等の基板120(120a〜120d),110(110a〜110d)間の距離を一定の距離に保持するスペーサ、及び基板120,110間で信号を伝達するトランスファ電極など(図示せず)が形成されている。
【0050】
また、図4(a) に示す様に、マザー基板20には、カラーフィルタ基板120a〜120dとスイッチング素子基板110a〜110dとを貼り合わせる為のシール材130a〜130dが平面視して表示面200に対応した領域である表示領域220a〜220dを囲む様に形成され、さらにシール材130a〜130d内に充填される液晶140がシール材130a〜130dで囲まれる領域(狭間領域)内に液滴状で形成されている。ここでは、滴下注入法を用いて液晶140を充填する方法を一例としたので、この様に形成したが、真空注入法を用いる場合には、シール材130a〜130dは完全に閉じた形状ではなく一部開口させた注入口が形成される。また、真空注入法では、貼り合わせた後に上記注入口より液晶140は注入されることから、上記説明した液滴状の液晶140の形成処理は省略される。
【0051】
このように準備されたマザー基板20及びマザー基板10は、マザー基板20を図4(a) で示す状態から反転させて、カラーフィルタ基板120aに対してスイッチング素子基板110a、同様にカラーフィルタ基板120b〜120dに対してスイッチング素子基板110b〜110dの様に、それぞれの基板が対応する様に、互いに対向して配置され、真空中においてシール材130a〜130dにより貼り合わされて一対のマザー基板10及びマザー基板20からなる組合せ基板を得る。
【0052】
図5は、一対のマザー基板の貼り合わされた後の状態、すなわち、上記組合せ基板を示した平面図である。上述したマザー基板20とマザー基板10との貼り合わせ後の組合せ基板は、図5に示す様にマザー基板20及びマザー基板10は互いに対向して貼り合わされた状態となる。また、貼り合わされることにより、液滴状であった液晶140がそれぞれのシール材130a〜130dで囲われる領域内に均一に拡がり充填される。
【0053】
続いて、液晶パネルに可撓性を持たせて湾曲化が可能とするために、この貼り合わされた状態でフッ酸、バッファードフッ酸等を用いた薬液処理や物理的研磨などにより薄型化処理を実施する。
【0054】
この際、発明者により薄型化処理とガラス強度の関係を検討した結果、薬液処理による薄板化の方が、ガラス強度向上のためには好ましく、物理研磨を用いた場合は薬液処理を併用する方が好ましい。実施の形態1においては、マザー基板10及び20のそれぞれの板厚0.5mmを薬液処理により、0.2mmまで薄板化した。
【0055】
次に、この貼り合わされ薄板化されたマザー基板20及びマザー基板10からなる組合せ基板から4枚(所定数)の液晶パネル用中間基板を経て最終的に4枚の液晶パネルを切り出す切断処理について説明を行う。
【0056】
実施の形態1における切断処理は、4枚の個々の液晶パネルに対応して、4分割して4枚の液晶パネル用中間基板を得る第1切断工程と、個々の分割された液晶パネル用中間基板を最終形状の液晶パネルに成形する第2切断工程の2段階に分けて行う。先ず4分割した液晶パネル用中間基板を得る第1切断工程について図5〜図7を用いて説明する。
【0057】
図6は、図5におけるC−C断面及びD−D断面を示す断面図である。図中、マザー基板20及びマザー基板10において、カラーフィルタ基板120a〜120d及びスイッチング素子基板110a〜110dを切り出す場合における不要部分150を斜線ハッチングにて示している。通常、ガラス基板の切断は、ガラス基板の表面に切断の起点となる切断傷を形成した後、切断傷の近傍に応力を印加することにより分断が行われる。
【0058】
実施の形態1の第1切断工程においては、図6の断面図に示す様に、マザー基板20の分断は、上記説明の斜線ハッチングされた不要部分150を除去する様に、カラーフィルタ基板120a,120cと不要部分150の境界(同図(a) )、あるいはカラーフィルタ基板120a,120bと不要部分150の境界(同図(b) )に切断傷SL1が形成されている。
【0059】
このように、マザー基板20の第1主面側に対し、カラーフィルタ基板120の最終形状が得られるように切断傷SL1が形成される。
【0060】
一方、第2切断工程においては、スイッチング素子基板110a〜110dの最終形状ではなく、個々のスイッチング素子基板110a,110c間、スイッチング素子基板110a,110b間を余裕を持たせて分離すべく、スイッチング素子基板110a,110c間、あるいはスイッチング素子基板110a,110b間の中間付近に切断傷SL2が形成されている。
【0061】
このように、マザー基板10の第2主面側に対し、スイッチング素子基板110の最終形状より大きな形状の中間形状が得られるように切断傷SL2が形成される。
【0062】
以上説明したように、第1切断工程において設けられる切断傷SL1及びSL2は、マザー基板20に形成される切断傷SL1については、マザー基板10と対向する面と反対側の第1主面側に、マザー基板10に形成される切断傷SL2については、マザー基板20と対向する面と反対側の第2主面側に、それぞれ形成される。その結果、第1切断工程後に応力を印加することにより、4つの液晶パネル100に対応する4枚(所定数)の液晶パネル用中間基板を得ることができる。
【0063】
図7は切断傷SL1及びSL2が形成される平面位置を示す平面図である。同図(a) は切断傷SL1の形成位置を破線により示し、同図(b) は切断傷SL2の形成位置を破線により示している。
【0064】
同図(a) に示すように、マザー基板20の分断は、図中縦方向に伸びる4本の垂直切断線LV1と図中横方向に伸びる4本の水平切断線LH1とからなる切断傷SL1によって、カラーフィルタ基板120a〜120dが一度の切断により最終形状となるように行われる。すなわち、カラーフィルタ基板120a〜120dの最終形状に等しい所定の形状に対応して切断傷SL1が形成されている。
【0065】
一方、マザー基板10の分断は、図中縦方向に伸びる3本の垂直切断線LV2と図中横方向に伸びる3本の水平切断線LH2とからなる切断傷SL2によって、スイッチング素子基板110a〜110dの最終形状ではなく、個々のスイッチング素子基板110a〜110dから余裕を持った中間形状で分離する様に行われる。すなわち、スイッチング素子基板110a〜110dの最終形状より大きい形状に対応して切断傷SL2が形成されている。
【0066】
このように、切断傷SL1及びSL2をマザー基板20及び10に形成した後、それぞれの切断傷SL1及びSL2の近傍に応力を印加することにより、切断傷SL1及びSL2に沿ってマザー基板20及び10が分断される。その結果、4枚の個々の液晶パネル100に対応して、4分割された液晶パネル用中間基板が得られ第1切断工程が完了する。
【0067】
以上の様に行った第1切断工程後に応力を印加して分離された状態について、図8及び図9を用いて説明する。図8は、一つの液晶パネルに対応したカラーフィルタ基板120a及びスイッチング素子基板110aからなる一単位の液晶パネル用中間基板を示す平面図である。図9は図8のE−E断面及びF−F断面を示す断面図である。
【0068】
また、カラーフィルタ基板120b〜120d及びスイッチング素子基板110b〜110dに対応した液晶パネル用中間基板についても同様であることから説明を省略し、以下においても、カラーフィルタ基板120a及びスイッチング素子基板110aからなる液晶パネル用中間基板を例にとって説明する。
【0069】
第1切断工程後においては、図8及び図9に示す様に、カラーフィルタ基板120aは最終形状に切り出されており、スイッチング素子基板110aについてはスイッチング素子基板110aの最終形状より、左右上下の外側に、不要部分150(図中斜線ハッチング領域)の一部が残存する分、大きな外形となる様に切断されている。また、マザー基板20及び10それぞれの端面には、第1切断工程において発生した微小な傷やクラックなどダメージdm1及びdm2(切断傷SL1及びSL2)が残存する。
【0070】
カラーフィルタ基板120aにおいては、図8及び図9に示す様に、カラーフィルタ基板120aの外形の四辺全てにおいて切断傷SL1によるダメージdm1が残存している。また、図9の断面図に示す様にダメージdm1は、切断傷SL1の形成された側であるスイッチング素子基板110aと対向する第2主面と反対側の第1主面側に主に残存する。
【0071】
一方、スイッチング素子基板110aにおいては、図9に示すように、外側に設けられた不要部分150の切断面が形成された四辺において切断傷SL2によるダメージdm2が残存している。
【0072】
また、図9の断面図に示す様にダメージdm2は、切断傷SL2の形成された側であるカラーフィルタ基板120aと対向する面と反対側の第2主面側に主に残存する。
【0073】
また、スイッチング素子基板110aの外側に設けられた不要部分150については、本来は、切断傷SL2をスイッチング素子基板110aの最終形状の外形にあわせて形成することにより第1切断工程によって除去可能であり、この場合、第2切断工程は不要になる。
【0074】
しかし、実施の形態1においては信頼性の高い液晶パネル100を得るべく、スイッチング素子基板110aの端面において、マザー基板10のカラーフィルタ基板120aと対向する面である第1主面側に分断の起点となる切断傷を形成した後に分断することにより得られた切断面とする必要がある。
【0075】
しかし、カラーフィルタ基板120aと対向するマザー基板10の第1主面側は、第1切断工程の前においては、互いに対向するマザー基板20及びマザー基板10により挟まれる領域にあるため、切断傷を形成することができない。
【0076】
そこで、第1切断工程では、最終形状に切り出すのではなく、スイッチング素子基板110aの外側に第2切断工程を行うための後述する切断傷SL3が形成からな切断しろ(露出部)として不要部分150を設けた形状に切断している。
【0077】
すなわち、第1切断工程において、マザー基板20のカラーフィルタ基板120aと対向する、マザー基板10の第1主面側に露出する切断しろを設けることができれば、続く第2切断工程において当該切断しろに切断傷SL3を形成することが可能となる。この点からは、第1切断工程においてマザー基板10を4分割することは必須ではない。
【0078】
しかしながら、カラーフィルタ基板120a〜120dの間に位置する不要部分150については、第2切断工程によりカラーフィルタ基板120a〜120dそれぞれから分離されるが、切り出されたカラーフィルタ基板120a〜120dとの隙間が殆どないため、除去することは比較的困難である。したがって、第1切断工程により、マザー基板10を4分割し、第1切断工程後にそれぞれが一単位の液晶パネルに対応した液晶パネル用中間基板に分離することにより、マザー基板20から分断された不要部分150を第2切断工程によって容易に除去することができる。
【0079】
すなわち、第1切断工程 において、切断傷SL1及びSL2を、湾曲方向に平行な所定の切断方向に加え、上記所定の切断方向に垂直な第2の切断方向に沿ってさらに形成して、液晶パネル用中間基板と液晶パネルとの対応可関係を1対1にすることにより、第2切断工程の処理の軽減を図ることができる。
【0080】
続いて、第2切断工程について、図10を用いて説明を行う。図10は、図9における断面図において、第2切断工程のために形成される切断傷SL3の形成位置を追加して示したものである。
【0081】
図10に示す様に、第2切断工程においては、スイッチング素子基板110aの外側に設けられた不要部分150を除去して液晶パネル100の最終形状に成形するため、カラーフィルタ基板120aと不要部分150の境界に切断傷SL3を形成する。切断傷SL3は、図10からも明らかな様、カラーフィルタ基板120aを切り出す第1切断工程によって対向するマザー基板20が除去されて露出された部分(露出部)、即ち、カラーフィルタ基板120aと対向する、スイッチング素子基板110aの第1主面側に形成される。
【0082】
また、スイッチング素子基板110aの第1主面側より切断傷SL3を形成する際において、カラーフィルタ基板120aの端面に影響を与えることなく、スイッチング素子基板110aの第1主面に切断傷SL3を形成する方法として、ガラスが吸収する波長355nmの紫外線レーザーを用いた。
【0083】
紫外線レーザーのスポット径が0.1mm程度であるが、カラーフィルタ基板120aの端面に紫外線レーザーが照射されないように、スイッチング素子基板110aの端面をカラーフィルタ基板120aの端面よりも0.3〜0.5mm突出した位置に切断傷SL3を形成した。
【0084】
このように、第2切断工程の切断傷SL3を得る工程に、紫外線レーザーによる溶解(レーザスクライブ・アンド・ブレーク)を用いることにより、カラーフィルタ基板120に対するスイッチング素子基板110の突出長さを確実に0.5mm以下にして、狭額縁化構造の液晶パネル100を得ることができる。
【0085】
なお、通常、端子118aの形成される部分については(長辺近傍部分)、このようにスイッチング素子基板110aの端面がカラーフィルタ基板120aの端面よりも突出した構造となるが、端子118aの形成されない部分についても、突出させた構造とした。
【0086】
図11は第2切断工程後の一対の液晶パネルの状態を示す断面図である。図11に示すように、第2切断工程では、切断傷SL3を形成した後に、応力を印加することによって、最終形状のスイッチング素子基板110aが切り出され、マザー基板20及びマザー基板10からなる液晶パネル用中間基板から、カラーフィルタ基板120a及びスイッチング素子基板110aに対応した液晶パネルを最終的に切り出す切断工程が完了する。
【0087】
この際、スイッチング素子基板110aの第2主面側に存在した切断傷SL2によるダメージdm2部分(中間切断傷)は不要部分150と共に除去される。
【0088】
また、このようにして、形成された液晶パネルにおいては、図10を用いて説明したように、スイッチング素子基板110aの四辺全てにおいて、第1主面側に切断傷SL3が形成した後に応力を印加することにより分断された切断面を端面に有しており、その端面は、図11に示すように、切断傷SL3によるダメージdm3が残存しており、ダメージdm3は、切断傷SL3の形成された側であるスイッチング素子基板110aの第1主面側に主に残存する。
【0089】
このように、個々の液晶パネルが最終形状となる様に分断された後、偏光板貼付け工程において、カラーフィルタ基板120の第1主面側及びスイッチング素子基板110の第2主面側にそれぞれ偏光板が貼り付けられ、制御基板実装工程において制御基板が実装される。
【0090】
そして、最終組み立て工程で、液晶パネル100が湾曲方向(短手方向)において第2主面側(一方の主面側)が凸上になる湾曲構造に保持・固定(図示せず)され、カラーフィルタ基板120a側に位置する表示面200の部分が開放された筐体に収納されることによって、図1及び図2および図3において説明した液晶パネル100と同様の構成を持つ実施の形態1の液晶パネルが完成する。なお、湾曲方向とは、湾曲している辺に沿った方向を意味する。
【0091】
なお、以上説明した実施の形態1の製造方法においては、第1切断工程により4枚の個々の液晶パネルに対応して4分割した液晶パネル用中間基板を得た後、第2切断工程を個々の液晶パネルに対応して別々に行った。しかししながら、この様な手順に限られず、一部切断の順番を変更しても良い。例えば、先ず、X方向或いはY方向など一方向についてのみ、第1切断工程による分断及び第2切断工程による不要部分の除去を実施することにより、複数の液晶パネルが一列につながった短冊状の形状に加工し、その後、もう一方向について、順次、第1切断工程による分断及び第2切断工程による不要部分の除去を実施しても良い。
【0092】
特に、一組のマザー基板から多数の液晶パネルを取り出す場合には、このように短冊状の形状で処理した方が効率良く処理できる工程がある。例えば、注入口による液晶の注入を行う場合については、注入口方向のみ先に分断し、短冊形状で液晶を注入した後、個々のパネルに対応した分断を行う方が効率良く液晶の注入工程を実施できる。さらに、端子が一辺にのみ配置される構成の場合には、端子配置方向のみ先に分断し、短冊形状で液晶パネルの動作検査工程を実施することも可能であり、効率良く液晶パネルの動作検査工程を実施できる。
【0093】
このように、第1切断工程後に得られる液晶パネル用中間基板と、最終的に得られる液晶パネルとを1対他の関係、すなわち、所定数の液晶パネル用中間基板から所定数を上回る複数の液晶パネルを製造するようにしても良い。例えば、図4〜図11で示した例において、水平切断線のみよりなる切断傷SL1及びSL2を形成して2枚(所定数)の液晶パネル用中間基板を得た後、垂直切断線のみよりなる切断傷SL1及びSL3を形成して4枚の液晶パネルを得るようにしても良い。
【0094】
【表1】
【0095】
表1は、切断方法と切断可能ガラス板厚の関係を示している。表1において、○印は「切断可」を意味し、△印は「切断困難」を意味し、×印は「切断不可」を意味している。
【0096】
ここで、本発明における切断傷を形成する方法ついて表1を用いて説明する。発明者らは薄く加工した合わせ板ガラスの切断について検討を重ね、表1に示すようにスクライブ方法により切断可能な板厚があることを見出した。
【0097】
表1において、実施例1として「(1)スクライブ・アンド・ブレーク法」を用い、実施例2として「(2)レーザスクライブ・アンド・ブレーク法」を用い、比較例1として「(3)レーザー切断法」を用いた。
【0098】
表1に示すように、「スクライブ・アンド・ブレーク法」及び「レーザスクライブ・アンド・ブレーク法」を用いれば、0.2mm以上のガラス基板を切断することが可能であり、特に「レーザスクライブ・アンド・ブレーク法」ではより薄い0.1mmのガラス基板まで切断できることが分かった。
【0099】
一方、「レーザー切断法」では、前述したように、被切断物の熱容量が必要となり0.2mm以下のガラス基板では所望するラインを切断することができなかった。したがって表1の結果を勘案し、本発明においては「スクライブ・アンド・ブレーク法」と「レーザスクライブ・アンド・ブレーク法」を用いて切断工程を実行することにした。
【0100】
本発明においては、曲率半径300mm以下の湾曲液晶パネルを製造対象としており、湾曲時の応力、衝撃、耐久性などを勘案しガラス基板の厚さ0.2mm以下が求められている。曲率半径300mm以上の場合は、ガラス基板の厚さを0.2mmより厚くすることは可能であり、第1切断工程においてはレーザー切断を用いることもできる。
【0101】
しかしながら、第2切断工程では、前述した通りレーザー照射後の冷風またはミストが露出したシール材130にも吹き付けられるためにシール材130が収縮して、シール材130が基板より剥がれてしまう。表1及び上記説明により、0.20mmを下回る膜厚のガラス基板を有する第1及び第2のマザー基板を分割する場合、「レーザスクライブ・アンド・ブレーク法」が好適であることがわかる。
【0102】
以上、表1の実験結果から、マザー基板10及び20となるガラス基板の膜厚が0.20mm未満の場合においては、第一切断工程もレーザスクライブ・アンド・ブレーク法を用いる方が望ましい。
【0103】
【表2】
【0104】
表2はスクライブラインとシール材130との距離とガラスの破壊強度の関係を示している。次に、スクライブライン(切断傷SL1〜SL3)とシール材130との距離Ds(mm)とガラス強度の関係について表2および図12、図13を用いて説明する。
【0105】
図12は、スクライブラインとシール材130(130a,130c)との位置関係を示す平面図であり、図13は図12のG−G断面を示す断面図である。
【0106】
表2における破壊強度は「JIS R 1601」で示されている4点曲げ強さより求め、シール材130のない同じ厚さのガラス基板1枚を同じ切断方法、条件で切断した場合の破壊強度との比を破壊強度比で表している。なお、4点曲げ強度は、切断傷を形成した面が引っ張りとなるように行い、ガラス基板は0.15mmの厚さのものを用いた。
【0107】
表2に示すように、スクライブラインLV1(SL1)とシール材130a(130c)との距離Dsが1.0mmよりも小さい場合、急激に破壊強度が低下しており、1.0mm以上では破壊強度が距離Dsに依存せず安定していることが認識される。したがって、ガラス基板の強度を確保するためには、本シール材130とスクライブラインつまりカラーフィルタ基板120の端面までの距離を1.0mm以上とすることが好ましい。
【0108】
このように、カラーフィルタ基板120の端部はシール材130から1.0mm以上の距離Dsを隔てるように形成することにより、実施の形態1の液晶パネル100は耐久性の向上を図ることができる。その結果、液晶パネル100の長寿命化を図ることができる。
【0109】
また、本実施の形態1の液晶パネル100においては、製造方法の説明において説明したように、カラーフィルタ基板120における切断時のダメージdm1は、スイッチング素子基板110と対向する面と反対側の第1主面側に主に残存しており、スイッチング素子基板110における切断時のダメージdm3は、カラーフィルタ基板120と対向する面である第1主面側に主に残存している。
【0110】
この様な位置に切断時のダメージdm1,dm3が残存する液晶パネル100の短手方向となる湾曲方向に対し、表示面200側からの応力により、カラーフィルタ基板120及びスイッチング素子基板110それぞれの第2主面側が凸面となる、すなわち、表示面200が形成される第1主面側が凹面となるように湾曲させた場合、図1、図2からも判る様に、何れの基板120,110についても、ダメージdm1及びダメージdm3の主に残存する部分が圧縮される方向に変形される。
【0111】
微小な傷やクラックなどのダメージが応力により成長するのは、傷やクラックが引っ張りの応力により拡げられることにより成長するのが主たる原因である。したがって、この表示面200が凹面となるような応力を与えた湾曲に対して、これらダメージdm1及びダメージdm3は共に成長することがないため、湾曲された後の液晶パネル100の強度低下の原因となり難い。
【0112】
上述したように、第1切断工程及び第2切断工程において設けられる切断傷SL1及びSL3は、カラーフィルタ基板120及びスイッチング素子基板110における湾曲構造の凹部側に設けられるため、湾曲構造を得る工程の実行時には、基板120及び110の切断傷SL1及びSL3に対して圧縮する方向に力が加えられる。このため、切断傷SL1及びSL3が上記湾曲構造の原因となる危険性を確実に回避することができる結果、強度が劣化しない湾曲型の液晶パネル100を得ることができる。その結果、生産工程の向上を図ることができる。
【0113】
さらに、本実施の形態1の液晶パネル100において、端子118が形成されない部分についても、平面視してスイッチング素子基板110の端面が、カラーフィルタ基板120の端面より0.3〜0.5mm突き出した構造となっており、表示領域の外側にある非表示領域(額縁)を大きく広げることがなく、狭額縁化構造の液晶パネルを得ることができる。
【0114】
加えて、第2切断工程の切断傷SL3を得る工程に、紫外線レーザーによる溶解(レーザスクライブ・アンド・ブレーク)を用いることにより、カラーフィルタ基板120に対するスイッチング素子基板110の突出長さを確実に0.5mm以下にして、狭額縁化構造の液晶パネル100を得ることができる。
【0115】
このように、実施の形態1の液晶パネル100は、湾曲により凸面となる面(第2主面)側に切断傷による主なダメージが残存しないことにより、湾曲による引っ張り応力により微小な傷やクラックなどのダメージが成長することによるガラス割れ強度の低下を防止することができる。その結果、基板端面への特別な補強処理など、他の処理工程を追加することなく、かつ額縁を広げることなく、耐久性向上を図った液晶パネル100を得ることができる。
【0116】
実施の形態1の液晶パネルにおいては、端子118が長手方向の辺(長辺)に形成され、短手方向を湾曲方向として第2主面側を凸状に湾曲させた液晶パネル100について説明したが、端子118は短手方向の辺(短辺)に形成されていても良い。
【0117】
この場合、短手方向の辺に設けられる端子118に接続される制御基板135は、長手方向の端子118に接続される制御基板135よりも小さい方が好ましく、かつ湾曲させる曲率半径は、長手方向のみ端子118が形成された場合よりも大きくすることが好ましい。なぜなら、端子118に接続されるFPC136により応力の集中が起きやすいためである。
【0118】
<実施の形態2>
実施の形態1の液晶パネル100においては、個々のスイッチング素子基板110(110a〜110d)の四辺全てにおいて、第2切断工程にてカラーフィルタ基板120aと対向する面側に切断傷SL3を形成して分断を行った。
【0119】
しかしながら、スイッチング素子基板110が一方向、例えば短手方向が湾曲方向として湾曲される場合、湾曲される辺である短手方向に平行な短辺となる二辺についてのみ、カラーフィルタ基板120と対向する面側であるスイッチング素子基板110の第1主面側に切断傷SL3を形成して分断を行う様にしても良い。特に注入口により液晶を注入する場合においては、注入口の配置される辺については、カラーフィルタ基板120及びスイッチング素子基板110の平面形状が合致しており、何れも突出しない方が注入工程時における液晶の引き込みが容易となる点からは望ましいからである。
【0120】
図14は実施の形態2の製造方法において切断傷SL1及びSL2が形成される平面位置を示す平面図である。同図(a) は切断傷SL1の形成位置を破線により示し、同図(b) は切断傷SL2の形成位置を破線により示している。
【0121】
同図(a) に示すように、マザー基板20の分断は、図中縦方向に伸びる4本の垂直切断線LV1と図中横方向に伸びる4本の水平切断線LH1とからなる切断傷SL1によって、カラーフィルタ基板120a〜120dが一度の切断により最終形状となるように行われる。すなわち、カラーフィルタ基板120a〜120dの最終形状に等しい所定の形状に対応して切断傷SL1が形成されている。
【0122】
一方、マザー基板10の分断は、図中縦方向に伸びる3本の垂直切断線LV2と図中横方向に伸びる4本の水平切断線LH3とからなる切断傷SL2によって、スイッチング素子基板110a〜110dの最終形状ではなく、短手方向においてのみ個々のスイッチング素子基板110a〜110dを余裕を持って分離する様に行われる。すなわち、スイッチング素子基板110a〜110dの最終形状より長辺が長くなる形状に切断傷SL2が形成されている。
【0123】
このように切断傷SL1及びSL2をマザー基板20及び10に形成した後、それぞれの切断傷SL1及びSL2の近傍に応力を印加することにより、切断傷SL1及びSL2に沿ってマザー基板20及び10が分断される。その結果、4枚の個々の液晶パネル100に対応して、4分割された液晶パネル用中間基板が得られ、第1切断工程が完了する。
【0124】
以上の様に行った第1切断工程後の状態について、図15を用いて説明する。図15は、一つの液晶パネルに対応したカラーフィルタ基板120a及びスイッチング素子基板110aからなる一単位の液晶パネル用中間基板を示す平面図である。
【0125】
また、カラーフィルタ基板120b〜120d及びスイッチング素子基板110b〜110dに対応した液晶パネル用中間基板についても同様であることから説明を省略し、以下においても、カラーフィルタ基板120a及びスイッチング素子基板110aからなる液晶パネル用中間基板を例にとって説明する。
【0126】
第1切断工程後においては、図15に示すように、カラーフィルタ基板120aは所定の形状(最終形状)に切り出されており、スイッチング素子基板110aについては短手方向(図中縦方向)においては最終形状に切り出され、長手方向(図中横方向)においては最終形状より少し余裕を持った形状で切り出される。
【0127】
すなわち、短手方向においては第1切断工程に図11の(a) に示すような形状のスイッチング素子基板110aが切り出され、長手方向では図9(b) で示した不要部分150の一部が残存するように切り出される。ただし、短手方向においては、スイッチング素子基板110aの第2主面側にダメージが残存する。
【0128】
すなわち、マザー基板20及び10が分断された4つの液晶パネル用中間基板それぞれの端面には、第1切断工程において発生した微小な傷やクラックなどのダメージが残存する。この際、カラーフィルタ基板120a〜120dそれぞれは主として第1主面側にダメージが残り、スイッチング素子基板110a〜110dそれぞれは主として第2主面側にダメージが残る。
【0129】
続いて、第2切断工程について、図15を用いて説明を行う。第2切断工程においては、スイッチング素子基板110aの外側に設けられた不要部分150を除去して液晶パネル100を最終形状に成形するため、カラーフィルタ基板120aの短辺側についてのみ不要部分150の境界に切断傷SL3を形成する。
【0130】
この際、スイッチング素子基板110aの第2主面側の短辺近傍に存在した切断傷SL2によるダメージdm2部分(中間切断傷)は不要部分150と共に除去される。
【0131】
このように、実施の形態2における第2切断工程では、短手方向に対して平行な二辺にのみ、不要部分150を残すように切断し、残り二辺(図15の上下の辺)については、第1切断工程の段階で最終形状となる位置で切断する。
【0132】
したがって、上記残り二辺について、スイッチング素子基板110aの第1主面側から切断傷SL3を形成する必要が無くなる。また、上記残り二辺のうち端子118aの配置されない辺(図15の上辺)においては、スイッチング素子基板110aの端面とカラーフィルタ基板120aの端面の位置を合わせ、この辺においてシール材130aに注入口131aを形成することが好ましい。
【0133】
このように、実施の形態2では第1切断工程を行った後、第2切断工程において、スイッチング素子基板110の短手方向にのみ第1主面側より切断傷SL3を形成して不要部分150の分断を行っている。
【0134】
これにより、注入口を用い液晶を注入する液晶パネルにおいても、特に湾曲によるダメージを受け易い短手方向に対して平行な二辺について湾曲により凸となる面側に切断傷による主なダメージが残存しないことにより、耐久性向上が図れる。
【0135】
このように、実施の形態2の液晶パネルにおいて、第1切断工程及び第2切断工程において設けられる切断傷SL1及びSL3は、カラーフィルタ基板120及びスイッチング素子基板110における湾曲構造の凹部側に設けられるため、実施の形態1の液晶パネル100と同様、強度が劣化しない湾曲型の液晶パネルを得ることができる効果を奏する。なお、スイッチング素子基板110の長手方向に平行な長辺の端面には第2主面側にダメージdm2が残存しているが、長手方向は湾曲方向と垂直な方向であり湾曲により影響をほとんど受けない。
【0136】
さらに、実施の形態2の製造方法は、湾曲方向においてのみ、切断傷SL3を形成して第2切断工程を行うことにより、製造工程の簡略化を図ることができる。
【0137】
<実施の形態3>
実施の形態1及び実施の形態2においては、表示面(第1主面)が凹面となる方向に湾曲された湾曲型の液晶パネルについて説明を行ったが、実施の形態3では、表示面が凸面となる方向に湾曲された液晶パネルへの適用例について説明する。
【0138】
(構造)
図16はこの発明の実施の形態3における液晶パネルの全体構造を示す斜視図である。図17及び図18は図16で示した液晶パネルのH−H断面及びI−I断面を示す断面図である。
【0139】
以下、実施の形態3の液晶パネル101の構成について図16〜図18を参照して説明する。なお、図16〜図18で示す液晶パネル101の構造は模式的なものであり、示された構成要素の正確な大きさなどを反映するものではない。例えば、図16〜図18において、表示画素の繰り返し部分の省略及び膜構成の一部簡略化を行っている。また、図中、既出の図において説明したものと同一の構成要素には同一の符号を付し、その説明を適宜省略する。
【0140】
図16及び図17に示されるように、実施の形態3の液晶パネル101は、実施の形態1の液晶パネル100と同様、画像を表示する表示面200を第1主面に有する第1の基板であるカラーフィルタ基板120と、カラーフィルタ基板120の表示面200と反対側の面(第2主面)に対向して配置される第1主面を有する第2の基板であるスイッチング素子基板110とから構成される。
【0141】
以下、実施の形態1の液晶パネル100と異なる部分を中心に説明する。実施の形態3の液晶パネル101は、液晶パネル101にける長手方向(X1−X2方向)と垂直な湾曲方向に対し、スイッチング素子基板110及びカラーフィルタ基板120それぞれの第1主面(一方の主面)が凸状となるように湾曲されている。
【0142】
また、本実施の形態3の液晶パネル101において、図15に示すように、スイッチング素子基板110の端子118が形成されていない辺(図中下辺)のカラーフィルタ基板120の端面が、スイッチング素子基板100の端面より突き出している。
【0143】
(製造方法)
続いて、本実施の形態3の液晶パネル101の製造方法について説明する。実施の形態3の液晶パネル101の製造方法については、実施の形態1の液晶パネルの製造方法からの変更部分について説明する。
【0144】
まず、図6〜図9を用いて説明した第1切断工程からの変更部分について、図19〜図22を用いて説明する。
【0145】
図19は実施の形態3の製造方法において切断傷SL1及びSL2が形成される平面位置を示す平面図である。同図(a) は切断傷SL1の形成位置を破線により示し、同図(b) は切断傷SL2の形成位置を破線により示している。
【0146】
同図(b) に示すように、マザー基板10の分断は、図中縦方向に伸びる4本の垂直切断線LV2と図中横方向に伸びる4本の水平切断線LH2とからなる切断傷SL2によって、スイッチング素子基板110a〜110dが一度の切断により最終形状(所定の形状)となるように行われる。すなわち、スイッチング素子基板110a〜110dの最終形状に等しい所定の形状に対応して切断傷SL2が形成されている。
【0147】
一方、マザー基板20の分断は、同図(a) に示すように、図中縦方向に伸びる3本の垂直切断線LV1と図中横方向に伸びる4本の水平切断線LH1とからなる切断傷SL1によって、個々のカラーフィルタ基板120a〜120dを余裕を持って分離する様に行われる。すなわち、垂直切断線LV2によって切断される部分は最終形状より大きい形状になるように分離され、水平切断線LH1によって切断される部分は最終形状に合致するように分離される。したがって、端子118が設けられるスイッチング素子基板110の辺(図中下辺)については、端子118(端子118a〜118d)が露出する。
【0148】
このように切断傷SL1及びSL2をマザー基板20及び10に形成した後、それぞれの切断傷SL1及びSL2の近傍に応力を印加することにより、切断傷SL1及びSL2に沿ってマザー基板20及び10が分断される。その結果、4枚の個々の液晶パネル100に対応して、4分割された液晶パネル用中間基板が得られ、第1切断工程が完了する。
【0149】
図20は、実施の形態3の製造方法における第1切断工程後の液晶パネル用中間基板におけるカラーフィルタ基板120a及びスイッチング素子基板110aに対応した一つの液晶パネルを示しており、図21(a)及び(b)は、図20における、断面線J−J及び断面線K−Kでの断面図を示したものである。
【0150】
第1切断工程において切断傷の形成される方向は、図5を用いて説明した実施の形態1同様に、マザー基板20に形成されるSL1についてはマザー基板10と対向する面と反対側の第1主面側に、マザー基板10に形成されるSL2についてはマザー基板20と対向する面と反対側の第2主面面側にそれぞれ形成される。
【0151】
また、切断位置については、第1切断工程後における図20及び図21に示すように、スイッチング素子基板110aについては最終形状となる様に切断されており、カラーフィルタ基板120aについてはカラーフィルタ基板120aの最終形状よりカラーフィルタ基板120aの短手方向と平行な二辺(図20の左右辺)の外側に不要部分150(図中斜線ハッチング領域)を設けられる分、最終形状より大きな外形となる様に切断されている。
【0152】
また、スイッチング素子基板110a及びカラーフィルタ基板120aそれぞれの端面には、第1切断工程において発生した微小な傷やクラックなどのダメージdm1及びdm2が残存する。
【0153】
図21に示すように、カラーフィルタ基板120aにおいては、短手方向の二辺(左右辺)における不要部分150の切断面が形成された端部に切断傷SL1によるダメージdm1が残存している。また、不要部分150を有さない長手方向の二辺(上下辺)においても切断傷SL1によるダメージdm1が残存している。この際、ダメージdm1は、切断傷SL1の形成された側であるスイッチング素子基板110aと対向する面と反対側となるスイッチング素子基板110aの第1主面側に主に残存する。
【0154】
一方、スイッチング素子基板110aにおいては、図21に示すように、スイッチング素子基板110aの外形の四辺全てにおいて、不要部分150を有することなく切断傷SL2によるダメージdm2が残存している。この際、ダメージdm2は、切断傷SL2の形成された側であるカラーフィルタ基板120aと対向する面と反対側となるスイッチング素子基板110aの第2主面側に主に残存する。
【0155】
続いて行われる第2切断工程においては、カラーフィルタ基板120aの外側に設けられた不要部分150を除去して液晶パネルを最終形状に成形するため、カラーフィルタ基板120aと不要部分150の境界に切断傷SL3を形成する。
【0156】
すなわち、実施の形態2と同様、図20及び図21に示すように、カラーフィルタ基板120aの外側に設けられた不要部分150を除去して液晶パネル101を最終形状に成形するため、スイッチング素子基板110aの短辺側についてのみ不要部分150の境界に切断傷SL3を形成する。
【0157】
また、カラーフィルタ基板120aに切断傷SL3を形成する方法として、ガラスが吸収する波長355nmの紫外線レーザーを用いた。
【0158】
図22は、第2切断工程後の液晶パネル基板の状態を示す断面図である。同図に示すように、第2切断工程においては、切断傷SL3を形成した後、応力を印加することによって最終形状のカラーフィルタ基板120aが切り出され、液晶パネル用中間基板よりカラーフィルタ基板120a及びスイッチング素子基板110aに対応した液晶パネルを切り出す切断工程が完了する。
【0159】
このようにして形成された液晶パネル101においては、図20及び図21を用いて説明したとおり、カラーフィルタ基板120aの短手方向の二辺において、第2主面側に切断傷SL3が形成した後に応力を印加することにより分断された切断面を端面に有しており、その端面においては切断傷SL3によるダメージが残存しており、その切断傷SL3によるダメージは切断傷SL3の形成された側であるカラーフィルタ基板120aの第2主面側に主に残存する。
【0160】
その後、実施の形態3の製造方法では、カラーフィルタ基板120aの湾曲方向である短手方向に平行な二辺について湾曲により変形が生じるようにカラーフィルタ基板120a及びスイッチング素子基板110aの第2主面が凹面となる方向、即ち表示面側である第1主面が凸面となる方向にカラーフィルタ基板120a及びスイッチング素子基板110aを湾曲する。
【0161】
その後、偏光板の貼付け、制御基板の接続、基板の湾曲、及び筐体への収納などを行うことにより、実施の形態3の液晶パネル101が完成する。これらの工程については、実施の形態1の液晶パネルの製造方法と同様で良いことから説明を省略する。
【0162】
本実施の形態3の液晶パネル101においては、基板120及び110の第2主面が凹となる方向に湾曲された液晶パネルにおいて、湾曲により変形を生じる端面であるカラーフィルタ基板の短手方向(湾曲方向)に平行な二辺の端面については、カラーフィルタ基板120及びスイッチング素子基板110の双方ともに湾曲により凹となる面側である第2主面側に主として切断傷SL2及びSL3を形成することにより行われている。
【0163】
したがって、湾曲により凸となる面側に切断傷による主なダメージが残存しないことにより、湾曲による引っ張り応力により微小な傷やクラックなどのダメージが成長することによるガラス割れ強度の低下を防止することができる。なお、カラーフィルタ基板120の長手方向に平行な長辺の端面には第1主面側にダメージdm1が残存しているが、長手方向は湾曲方向と垂直な方向であり湾曲により影響をほとんど受けない。
【0164】
その結果、他の処理工程を追加することなく湾曲型の液晶パネルの耐久性向上と低コスト化を図ることができる。また、実施の形態1、実施の形態1の変形例、あるいは実施の形態2で説明した構成あるいは製造方法と共通の部分については、本実施の形態3の湾曲型の液晶パネル101においても、実施の形態1、実施の形態2と同様の効果が得られる。以下、効果について一部、具体的に説明する。
【0165】
実施の形態3の液晶パネル101において、実施の形態1と同様、カラーフィルタ基板120及びスイッチング素子基板110の端部はシール材130から1.0mm以上の距離Dsを隔てるように形成することにより、実施の形態3の液晶パネル101は、耐久性の向上を図ることができる。その結果、液晶パネル100の長寿命化を図ることができる。
【0166】
さらに、実施の形態3の液晶パネル101において、平面視してカラーフィルタ基板1200の短辺の端面が、スイッチング素子基板110の端面より0.3〜0.5mm突き出した構造とすることにより、実施の形態1の液晶パネル100と同様、表示領域の外側にある非表示領域(額縁)を大きく広げることがなく、狭額縁化構造の液晶パネルを得ることができる。
【0167】
また、実施の形態1と同様、実施の形態3においても、第2切断工程の切断傷SL3を得る工程に、紫外線レーザーによる溶解(レーザスクライブ・アンド・ブレーク)を用いることにより、湾曲方向におけるスイッチング素子基板110に対するカラーフィルタ基板120の突出長さを確実に0.5mm以下にして、狭額縁化構造の液晶パネル101を得ることができる。
【0168】
<その他>
なお、実施の形態1〜実施の形態3においては、切断傷の形成方法に特徴があることから、切断傷の形成後に行う切断傷の近傍への応力印加方法について具体的に説明はしなかったが、板状のブレイク治具を押し当てて印加する方法が好ましい。
【0169】
また、実施の形態1〜実施の形態3において、第2切断工程断の切断傷形成方法は紫外線レーザーによる溶解により形成しているが、この溶解させた変質層の深さは20〜50μmが好適であり、20μm以下では応力印加時にスクライブラインに沿って分断できず、50μm以上では破壊強度が低下する。
【0170】
本発明の実施の形態1〜実施の形態3は液晶パネルについて説明しているが、ガラス基板等の一対の基板間にシール材ないし接着材などにより対向させることで形成される表示機器たとえば有機エレクトロルミネッセンスなどにおいても、本発明を適用することができ同様の効果が得られる。
【0171】
また、本発明の実施の形態1〜実施の形態3は短手方向に平行な短辺を湾曲させる液晶パネルについて説明したが、長手方向に平行な長辺を湾曲させる構造も勿論可能である。その場合は、短手方向と長手方向を入れ替えることにより実現でき、同様の効果が得られる。ただし、この場合、端子118も長辺近傍から短辺近傍に変更することが好ましい。
【0172】
また、本発明の実施の形態1〜実施の形態3では、一組のマザー基板10及び20から4枚の液晶パネル100を得る製造方法を例に挙げたが、これに限定されず、一組のマザー基板10及び20からN(≧1)枚の液晶パネル100を製造する方法に本発明を適用可能なのは勿論である。
【符号の説明】
【0173】
10,20 マザー基板、100,101 液晶パネル、110(110a〜110d) スイッチング素子基板、118(118a〜118d)、端子、120(120a〜120d) カラーフィルタ基板、130(130a〜130d) シール材、140 液晶、200 表示面、210a〜210d,220a〜220d 表示領域、SL1〜SL3 切断傷。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面及び第2主面を有し、画像を表示する表示面が第1主面に設けられる第1の基板と、
第1主面及び第2主面を有し、前記第1の基板の第2主面と自身の第1主面とが対向するように配置される第2の基板と、
平面視して前記表示面に対応して、前記第1の基板の第2主面と第2の基板の第1主面との間に挟まれる領域である狭間領域を囲い、該狭間領域内に液晶を狭持するシール材とを備え、
前記第1及び第2の基板の厚みがそれぞれ0.2mm以下であり、前記第1及び第2の基板の第1主面及び第2主面のうち、それぞれの一方の主面が凸状になるように、所定の湾曲方向に対する湾曲構造を有し、
前記第1及び第2の基板はそれぞれの他方の主面の端部に、少なくとも前記所定の湾曲方向に平行な切断方向に沿って切断傷を有することを特徴とする、
液晶パネル。
【請求項2】
請求項1記載の液晶パネルであって、
前記一方の主面は前記第1及び第2の基板の第2主面を含み、前記他方の主面は前記第1及び第2の基板の第1主面を含み、
前記第2の基板は前記所定の湾曲方向において、端部位置が前記第1の基板より平面視0.5mm以下の長さ分突き出して形成され、前記第1の基板の端部は前記シール材から1.0mm以上の距離を隔てるように形成されることを特徴とする、
液晶パネル。
【請求項3】
請求項1記載の液晶パネルであって、
前記一方の主面は前記第1及び第2の基板の第1主面を含み、前記他方の主面は前記第1及び第2の基板の第2主面を含み、
前記第1の基板は前記所定の湾曲方向において、端部位置が前記第2の基板より平面視0.5mm以下の長さ分突き出して形成され、前記第2の基板の端部は前記シール材から1.0mm以上の距離を隔てるように形成されることを特徴とする、
液晶パネル。
【請求項4】
少なくとも一つの液晶パネルを製造する液晶パネルの製造方法であって、
前記少なくとも一つの液晶パネルはそれぞれ
第1主面及び第2主面を有し、画像を表示する表示面が第1主面に設けられる第1の基板と、
第1主面及び第2主面を有し、前記第1の基板の第2主面と自身の第1主面とが対向するように配置される第2の基板と、
平面視して前記表示面に対応して、前記第1の基板の第2主面と第2の基板の第1主面との間に挟まれる領域である狭間領域を囲い、該狭間領域内に液晶を狭持するシール材とを備え、
前記液晶パネルの製造方法は、
(a) 前記第1の基板を少なくとも一つ取り出し可能な第1のマザー基板と前記第2の基板を少なくとも一つ取り出し可能な第2のマザー基板とを前記シール材により互いに対向して貼り合わせて組合せ基板を得るステップを備え、前記第1及び第2のマザー基板は前記第1の基板の第2の主面側と前記第2の基板の第1主面側とが対向して貼り合わされ、
(b) 前記組合せ基板における前記第1及び第2のマザー基板の膜厚がそれぞれ薄くなるように加工するステップと、
(c) 前記組合せ基板における前記第1のマザー基板の第1主面側及び前記第2のマザー基板の第2主面側に対し、少なくとも前記所定の湾曲方向に平行な所定の切断方向に沿って第1及び第2の切断傷を形成した後に応力を印加することにより、各々が少なくとも一つの液晶パネルが取り出し可能な所定数の液晶パネル用中間基板を前記組合せ基板から切り出すステップとを備え、前記所定数の液晶パネル用中間基板は前記所定の湾曲方向において前記第1及び第2の基板の一方である切断対象基板の端部が他方の基板の端部よりも突出して形成されることにより、前記切断対象基板は、前記他方の主面に合致する主面に第3の切断傷が形成可能な露出部を有するとともに、前記一方の主面に合致する主面に前記第1及び第2の切断傷のうちの一方の切断傷が中間切断傷として形成され、
(d) 前記所定数の液晶パネル用中間基板それぞれの前記切断対象基板の前記他方の主面に対し、前記露出部に分断の起点となる第3の切断傷を前記所定の切断方向に沿って形成した後、応力を印加することにより、前記中間切断傷を除去して前記少なくとも一つの液晶パネルを切り出すステップをさらに備える、
液晶パネルの製造方法。
【請求項5】
請求項4記載の液晶パネルの製造方法であって、
前記ステップ(b) は前記第1及び第2の基板の厚みがそれぞれ0.2mm以下になるように加工するステップを含み、
(e) 前記ステップ(d) 後に実行され、前記少なくとも一つの液晶パネルそれぞれの前記所定の湾曲方向に対して、前記第1及び第2の基板の第1主面及び第2主面に関し、前記一方の主面に合致する面がそれぞれ凸状になるように湾曲させることにより、各々が湾曲構造を有する前記少なくとも一つの液晶パネルを得るステップをさらに備える、
液晶パネルの製造方法。
【請求項6】
請求項5記載の液晶パネルの製造方法であって、
前記少なくとも一つの液晶パネルはそれぞれにおいて、
前記一方の主面は前記第1及び第2の基板の第2主面を含み、前記他方の主面は前記第1及び第2の基板の第1主面を含み、
前記切断対象基板は前記第2の基板を含み、
前記中間切断傷は前記第2の切断傷を含み、前記第3の切断傷は前記第2の基板の第1主面に形成され、
ステップ(c) は、前記第1の基板の各端部が前記シール材から1.0mm以上の距離を隔てるよう前記第1の切断傷を形成し、
前記ステップ(d) は、前記第2の基板の第1主面に対し、平面視して前記第1の基板の端部から少なくとも前記所定の湾曲方向において平面視0.5mm以下の位置に前記所定の切断方向に沿って前記第3の切断傷を形成するステップを含む、
液晶パネルの製造方法。
【請求項7】
請求項5記載の液晶パネルの製造方法であって、
前記少なくとも一つの液晶パネルはそれぞれにおいて、
前記一方の主面は前記第1及び第2の基板の第1主面を含み、前記他方の主面は前記第1及び第2の基板の第2主面を含み、
前記切断対象基板は前記第1の基板を含み、
前記中間切断傷は前記第1の切断傷を含み、前記第3の切断傷は前記第1の基板の第2主面に形成され、
ステップ(c) は、前記第2の基板の各端部が前記シール材から1.0mm以上の距離を隔てるよう前記第2の切断傷を形成し、
前記ステップ(d) は、前記第1の基板の第2主面に対し、前記第2の基板の端部から前記所定の湾曲方向において平面視0.5mm以下の位置に前記所定の切断方向に沿って前記第3の切断傷を形成するステップを含む、
液晶パネルの製造方法。
【請求項8】
請求項6あるいは請求項7記載の液晶パネルの製造方法であって、
前記ステップ(d) は、前記所定の湾曲方向においてのみ、前記第3の切断傷を形成する工程を含む、
液晶パネルの製造方法。
【請求項9】
請求項4ないし請求項8のうち、いずれか1項に記載の液晶パネルの製造方法であって、
前記ステップ(d) は、紫外線レーザーにより前記第3の切断傷を形成するステップを含む、
液晶パネルの製造方法。
【請求項10】
請求項4ないし請求項9のうち、いずれか1項に記載の液晶パネルの製造方法であって、
前記ステップ(c) において、前記第1及び第2の切断傷は前記所定の切断方向に加え、前記所定の切断方向に垂直な第2の切断方向に沿ってさらに形成され、
前記所定数の液晶パネル用中間基板は前記少なくとも一つの液晶パネルに1対1に対応する、
液晶パネルの製造方法。
【請求項1】
第1主面及び第2主面を有し、画像を表示する表示面が第1主面に設けられる第1の基板と、
第1主面及び第2主面を有し、前記第1の基板の第2主面と自身の第1主面とが対向するように配置される第2の基板と、
平面視して前記表示面に対応して、前記第1の基板の第2主面と第2の基板の第1主面との間に挟まれる領域である狭間領域を囲い、該狭間領域内に液晶を狭持するシール材とを備え、
前記第1及び第2の基板の厚みがそれぞれ0.2mm以下であり、前記第1及び第2の基板の第1主面及び第2主面のうち、それぞれの一方の主面が凸状になるように、所定の湾曲方向に対する湾曲構造を有し、
前記第1及び第2の基板はそれぞれの他方の主面の端部に、少なくとも前記所定の湾曲方向に平行な切断方向に沿って切断傷を有することを特徴とする、
液晶パネル。
【請求項2】
請求項1記載の液晶パネルであって、
前記一方の主面は前記第1及び第2の基板の第2主面を含み、前記他方の主面は前記第1及び第2の基板の第1主面を含み、
前記第2の基板は前記所定の湾曲方向において、端部位置が前記第1の基板より平面視0.5mm以下の長さ分突き出して形成され、前記第1の基板の端部は前記シール材から1.0mm以上の距離を隔てるように形成されることを特徴とする、
液晶パネル。
【請求項3】
請求項1記載の液晶パネルであって、
前記一方の主面は前記第1及び第2の基板の第1主面を含み、前記他方の主面は前記第1及び第2の基板の第2主面を含み、
前記第1の基板は前記所定の湾曲方向において、端部位置が前記第2の基板より平面視0.5mm以下の長さ分突き出して形成され、前記第2の基板の端部は前記シール材から1.0mm以上の距離を隔てるように形成されることを特徴とする、
液晶パネル。
【請求項4】
少なくとも一つの液晶パネルを製造する液晶パネルの製造方法であって、
前記少なくとも一つの液晶パネルはそれぞれ
第1主面及び第2主面を有し、画像を表示する表示面が第1主面に設けられる第1の基板と、
第1主面及び第2主面を有し、前記第1の基板の第2主面と自身の第1主面とが対向するように配置される第2の基板と、
平面視して前記表示面に対応して、前記第1の基板の第2主面と第2の基板の第1主面との間に挟まれる領域である狭間領域を囲い、該狭間領域内に液晶を狭持するシール材とを備え、
前記液晶パネルの製造方法は、
(a) 前記第1の基板を少なくとも一つ取り出し可能な第1のマザー基板と前記第2の基板を少なくとも一つ取り出し可能な第2のマザー基板とを前記シール材により互いに対向して貼り合わせて組合せ基板を得るステップを備え、前記第1及び第2のマザー基板は前記第1の基板の第2の主面側と前記第2の基板の第1主面側とが対向して貼り合わされ、
(b) 前記組合せ基板における前記第1及び第2のマザー基板の膜厚がそれぞれ薄くなるように加工するステップと、
(c) 前記組合せ基板における前記第1のマザー基板の第1主面側及び前記第2のマザー基板の第2主面側に対し、少なくとも前記所定の湾曲方向に平行な所定の切断方向に沿って第1及び第2の切断傷を形成した後に応力を印加することにより、各々が少なくとも一つの液晶パネルが取り出し可能な所定数の液晶パネル用中間基板を前記組合せ基板から切り出すステップとを備え、前記所定数の液晶パネル用中間基板は前記所定の湾曲方向において前記第1及び第2の基板の一方である切断対象基板の端部が他方の基板の端部よりも突出して形成されることにより、前記切断対象基板は、前記他方の主面に合致する主面に第3の切断傷が形成可能な露出部を有するとともに、前記一方の主面に合致する主面に前記第1及び第2の切断傷のうちの一方の切断傷が中間切断傷として形成され、
(d) 前記所定数の液晶パネル用中間基板それぞれの前記切断対象基板の前記他方の主面に対し、前記露出部に分断の起点となる第3の切断傷を前記所定の切断方向に沿って形成した後、応力を印加することにより、前記中間切断傷を除去して前記少なくとも一つの液晶パネルを切り出すステップをさらに備える、
液晶パネルの製造方法。
【請求項5】
請求項4記載の液晶パネルの製造方法であって、
前記ステップ(b) は前記第1及び第2の基板の厚みがそれぞれ0.2mm以下になるように加工するステップを含み、
(e) 前記ステップ(d) 後に実行され、前記少なくとも一つの液晶パネルそれぞれの前記所定の湾曲方向に対して、前記第1及び第2の基板の第1主面及び第2主面に関し、前記一方の主面に合致する面がそれぞれ凸状になるように湾曲させることにより、各々が湾曲構造を有する前記少なくとも一つの液晶パネルを得るステップをさらに備える、
液晶パネルの製造方法。
【請求項6】
請求項5記載の液晶パネルの製造方法であって、
前記少なくとも一つの液晶パネルはそれぞれにおいて、
前記一方の主面は前記第1及び第2の基板の第2主面を含み、前記他方の主面は前記第1及び第2の基板の第1主面を含み、
前記切断対象基板は前記第2の基板を含み、
前記中間切断傷は前記第2の切断傷を含み、前記第3の切断傷は前記第2の基板の第1主面に形成され、
ステップ(c) は、前記第1の基板の各端部が前記シール材から1.0mm以上の距離を隔てるよう前記第1の切断傷を形成し、
前記ステップ(d) は、前記第2の基板の第1主面に対し、平面視して前記第1の基板の端部から少なくとも前記所定の湾曲方向において平面視0.5mm以下の位置に前記所定の切断方向に沿って前記第3の切断傷を形成するステップを含む、
液晶パネルの製造方法。
【請求項7】
請求項5記載の液晶パネルの製造方法であって、
前記少なくとも一つの液晶パネルはそれぞれにおいて、
前記一方の主面は前記第1及び第2の基板の第1主面を含み、前記他方の主面は前記第1及び第2の基板の第2主面を含み、
前記切断対象基板は前記第1の基板を含み、
前記中間切断傷は前記第1の切断傷を含み、前記第3の切断傷は前記第1の基板の第2主面に形成され、
ステップ(c) は、前記第2の基板の各端部が前記シール材から1.0mm以上の距離を隔てるよう前記第2の切断傷を形成し、
前記ステップ(d) は、前記第1の基板の第2主面に対し、前記第2の基板の端部から前記所定の湾曲方向において平面視0.5mm以下の位置に前記所定の切断方向に沿って前記第3の切断傷を形成するステップを含む、
液晶パネルの製造方法。
【請求項8】
請求項6あるいは請求項7記載の液晶パネルの製造方法であって、
前記ステップ(d) は、前記所定の湾曲方向においてのみ、前記第3の切断傷を形成する工程を含む、
液晶パネルの製造方法。
【請求項9】
請求項4ないし請求項8のうち、いずれか1項に記載の液晶パネルの製造方法であって、
前記ステップ(d) は、紫外線レーザーにより前記第3の切断傷を形成するステップを含む、
液晶パネルの製造方法。
【請求項10】
請求項4ないし請求項9のうち、いずれか1項に記載の液晶パネルの製造方法であって、
前記ステップ(c) において、前記第1及び第2の切断傷は前記所定の切断方向に加え、前記所定の切断方向に垂直な第2の切断方向に沿ってさらに形成され、
前記所定数の液晶パネル用中間基板は前記少なくとも一つの液晶パネルに1対1に対応する、
液晶パネルの製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2013−25015(P2013−25015A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−158677(P2011−158677)
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年7月20日(2011.7.20)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】
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