説明

液晶表示装置および電子機器

【課題】視角制御画素102に対して十分な書き込みを確保する。
【解決手段】視角制御画素102は、走査線112と視角制御線115との交差に対応し
て設けられる。ここで、視角制御画素102は、TFTと液晶容量とを備え、走査線11
2に選択電圧が印加されたときに、液晶容量の一端たる画素電極が視角制御線115に接
続される。液晶容量の他端は、コモン電極であり、共通線108eに接続される。走査線
駆動回路140は、1〜240行目の走査線112に順番に選択電圧を印加する。視角制
御回路160は、選択された走査線に位置する視角制御画素102に、視角制御のオンオ
フに応じた視角制御信号を、視角制御線115を介して供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、視角制御機能を備える液晶表示装置および電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機やPDA(personal digital assistants)などの電子機器の表示部には、
小型、薄型、低消費電力などの利点を有する液晶表示装置が広く用いられている。この種
の電子機器に適用される液晶表示装置では、通常では広い視角が求められる一方で、他人
に覗かれたくないなどの理由により一時的に狭い視角が求められる場合もある。そこで、
表示画素に加え、視角制御画素を設けるとともに、該視角制御画素をオフ状態またはオン
状態のいずれかに制御することによって、視角が広い状態と狭い状態とで切り替え可能と
する視角制御機能を有する液晶表示装置が提案されている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−191645号公報(図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、表示部のサイズが大きくなったり、解像度が高くなったりしたときに、
視角制御画素や配線などの負荷が重くなり、視角制御画素に対する書き込み能力の低下が
懸念された。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、その目的の1つは、視角制御画素
に対する書き込み能力の低下を防止する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために本発明に係る液晶表示装置は、走査線とデータ線との交差に
対応してそれぞれ設けられ、各々は、前記走査線に選択電圧が印加されたときに一端と他
端との間が導通状態となるとともに前記一端が前記データ線に接続された表示画素スイッ
チング素子と、前記表示画素スイッチング素子の他端に接続された表示画素電極と、を含
み、前記表示画素電極とコモン電極とにおける電圧によって液晶層が駆動される表示画素
と、前記走査線と視角制御線との交差に対応して設けられ、各々は、前記走査線に選択電
圧が印加されたときに、一端と他端との間が導通状態となるとともに前記一端が前記視角
制御線に接続された視角制御画素スイッチング素子と、前記視角制御画素スイッチング素
子の他端に接続された視角制御画素電極と、を含み、視角度に対する透過率または反射率
の特性が前記表示画素とは異なる視角制御画素と、複数の前記走査線を所定の順番で選択
し、選択した走査線に前記選択電圧を印加する走査線駆動回路と、前記選択電圧が印加さ
れた走査線に対応する視角制御画素に対し、視角制御に応じた電圧の視角制御信号を、前
記視角制御線を介して供給する視角制御回路と、を具備することを特徴とする。本発明に
よれば、視角制御画素に対し、視角制御に応じた電圧の視角制御信号を、走査線への選択
電圧の印加にあわせて順番に書き込むので、書き込み時における負荷が軽くなり、十分な
書き込み能力を確保することが可能となる。
【0006】
本発明において、前記選択電圧が印加された走査線に対応する表示画素の階調成分に応
じた電圧のデータ信号を、前記データ線に供給するデータ線駆動回路を有する構成として
も良い。
また、このような構成において、前記視角制御回路は、2以上の視角制御線をまとめて
駆動することも好ましい。これにより、視角制御信号の出力数が減少するので、視角制御
回路の簡略化や低コスト化をはかることが可能となる。
前記視角制御回路は、1または2以上の視角制御画素毎に視角制御のオンまたはオフに
応じた電圧の視角制御信号を供給しても良い。これにより、任意の表示パターンで視角制
御をオンさせることが可能である。前記視角制御回路は、1または2以上の視角制御画素
毎に視角制御の度合いに応じた電圧の視角制御信号を供給しても良い。これにより、任意
の表示パターンで視角制御の度合いを変化させることも可能である。
また、本発明において、前記視角制御線は、前記データ線と交差しないように設けられ
た構成も好ましい。この構成によれば、データ線に、視角制御線の電圧変化に伴うノイズ
が混入するのを抑えることが可能となる。
なお、本発明は、液晶表示装置のほか、該液晶表示装置を有する電子機器としても概念
することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】第1実施形態に係る液晶表示装置の構成を示すブロック図である。
【図2】同液晶表示装置における表示パネル等の構成を示す斜視図である。
【図3】同液晶表示装置の表示画素および視角制御画素の等価回路を示す図である。
【図4】同液晶表示装置の表示画素および視角制御画素の構成を示す平面図である。
【図5】同液晶表示装置の視角特性等を示す図である。
【図6】同表示パネル等の構成を示す平面図である。
【図7】同液晶表示装置の動作を示す図である。
【図8】同液晶表示装置の視角制御の一例を示す図である。
【図9】第2実施形態に係る液晶表示装置の視角特性等を示す図である。
【図10】同液晶表示装置の動作を示す図である。
【図11】同液晶表示装置の視角制御の一例を示す図である。
【図12】応用・変形例(その1)に係る液晶表示装置の構成を示す図である。
【図13】応用・変形例(その2)に係る液晶表示装置の構成を示す図である。
【図14】応用・変形例(その3)に係る液晶表示装置の構成を示す図である。
【図15】実施形態に係る液晶表示装置を適用した携帯電話を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<第1実施形態>
以下、図面を参照して本発明の実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係
る液晶表示装置の構成を示すブロック図である。
この図に示されるように、液晶表示装置10は、表示パネル100の周辺に、表示制御
回路20、走査線駆動回路140、データ線駆動回路150および視角制御回路160が
配置した構成となっている。
【0009】
このうち、表示パネル100は、図2に示されるように、素子基板100aと対向基板
100bとを一定の間隙を保って貼り合わせられた構成となっている。なお、素子基板1
00aと対向基板100bとの間隙には液晶層が封入されるが、図2では省略されている

表示パネル100の背面側には、LED52を有するバックライト50が設けられ、観
察側に向けて白色光を照射する。また、素子基板100aの背面側には偏光板40aが、
対向基板100bの観察側には偏光板40bが、それぞれ設けられている。
【0010】
表示パネル100には、図1に示されるように、240行の走査線112が横(X)方
向に沿って設けられる一方、960(=320×3)列のデータ線114が縦(Y)方向
に沿って、かつ、各走査線112と互いに電気的に絶縁を保つように設けられている。さ
らに、240行の走査線112と960列のデータ線114との各交差に対応して、それ
ぞれサブ表示画素101が設けられる。
ここで、X方向にわたって互いに隣接する3つのサブ表示画素101は、それぞれR(
赤)、G(緑)、B(青)に対応したものであり、これらのR・G・Bの3つのサブ表示
画素101の加法混色によって、カラー表示の単位となる画素が構成される。このため、
本実施形態では、縦240画素×横320画素でカラー画像を表示することになる。
なお、本実施形態のようにカラー表示する場合、表示単位となる1画素は、複数の異な
る色のサブ表示画素101から構成される。この構成では、サブ表示画素の各々がそれぞ
れ表示画素に相当することになる。一方、後述するように単色表示する構成では、表示画
素は、表示単位となる1画素に一致することになる。
【0011】
また、表示パネル100には、視角制御線115が、3列のデータ線114に対し1列
の割合でY方向に沿って計320列分、各走査線112と互いに電気的に絶縁を保つよう
に設けられている。そして、240行の走査線112と320列の視角制御線115との
各交差に対応して、それぞれ視角制御画素102が設けられる。
したがって、本実施形態では、R・G・Bのサブ表示画素101の3個に対し1個の割
合で視角制御画素102が設けられる。
【0012】
すべてのデータ線114の一端は、図において上側に引き出されて、データ線駆動回路
150にそれぞれ接続される。これに対し、すべての視角制御線115の一端は、データ
線駆動回路150とは反対側の、図において下側に引き出されて、視角制御回路160に
それぞれ接続されている。
なお、データ線駆動回路150および視角制御回路160の機能については、表示制御
回路20や走査線駆動回路140とともに後述する。
【0013】
図3は、サブ表示画素101および視角制御画素102の等価回路を示す図であり、任
意の2行において隣接する2画素分の構成を示している。
この図に示されるように、R・G・Bのサブ表示画素101もCの視角制御画素102
も電気的には互いに同一の等価回路で示され、それぞれnチャネル型の薄膜トランジスタ
ー(thin film transistor:以下単に「TFT」と略称する)116と液晶容量とを有す
る構成となっている。
【0014】
本実施形態において表示パネル100は、素子基板100aと対向基板100bとの間
に液晶層105を封入した構成であって、液晶層にかかる電界方向を基板面方向としたF
FS(fringe field switching)モードとしたものである。後述するようにサブ表示画素
101および視角制御画素102の各々では、それぞれコモン電極108の表面に、絶縁
層等を介して画素電極が形成された構造となっている。このため、画素電極とコモン電極
108との間では、絶縁層等によって一種の容量成分が生じる。この容量成分が液晶容量
であり、この液晶容量の保持電圧で生じた電界に応じて、液晶分子の配向方向が変化する
構成となっている。
ただし、サブ表示画素101と視角制御画素102とでは、画素電極の形状が異なって
いるので、液晶層105に働く電界の方向も異なっている。両者を区別するために、サブ
表示画素101および視角制御画素102におけるTFT、液晶容量(画素電極)の符号
をそれぞれ異ならせている。
【0015】
詳細には、サブ表示画素101にあっては、表示画素スイッチング素子として機能する
TFT116のゲート電極が走査線112に接続される一方、そのソース電極がデータ線
114に接続され、そのドレイン電極が画素電極(表示画素電極)118に接続されてい
る。液晶容量120の一端である画素電極118は、TFT116のドレイン電極に接続
される一方、液晶容量120の他端であるコモン電極108は、共通線108eに共通接
続されている。
視角制御画素102にあっても同様に、視角制御画素スイッチング素子として機能する
TFT117のゲート電極が走査線112に接続される一方、そのソース電極が視角制御
線115に接続され、そのドレイン電極が画素電極(視角制御画素電極)119に接続さ
れている。液晶容量130の一端である画素電極119は、TFT116のドレイン電極
に接続される一方、液晶容量130の他端であるコモン電極108は、共通線108eに
共通接続されている。なお、共通線108eには、図示省略した給電回路によって電圧V
comが印加されている。
【0016】
図4は、素子基板100aにおいてR・G・Bのサブ表示画素101および視角制御画
素102に相当する領域の構成を示す平面図である。
本実施形態において、TFT116、117はアモルファスシリコン型であって、その
ゲート電極が半導体層よりも下側(紙面奥側)に位置するボトムゲート型とした構成であ
る。
図において、第1電極層となるゲート配線のパターニングによって、走査線112およ
び共通線108eが形成され、さらに、第2導電層となるITO(indium tin oxide)層
のパターニングにより、矩形形状のコモン電極108が共通線108eと重なるように形
成されている。この重なりにより、コモン電極108は、共通線108eと電気的に接続
されることになる。
【0017】
次に、ゲート絶縁膜(図示省略)が形成され、さらにTFT116の半導体層30およ
びTFT117の半導体層31がそれぞれ島状に形成されている。第3導電層となる金属
層のパターニングにより、TFT116のソース電極を兼ねるデータ線114、TFT1
17のソース電極を兼ねる視角制御線115、TFT116のドレイン電極32、および
、TFT117のドレイン電極33がそれぞれ形成されている。
続いて層間絶縁膜(図示省略)が形成された後、サブ表示画素101にあっては、該層
間絶縁膜を貫通してドレイン電極32に達するコンタクトホール34が設けられる一方、
視角制御画素102にあっては、該層間絶縁膜を貫通してドレイン電極33に達するコン
タクトホール35が設けられる。
そして、第4導電層となるITO層のパターニングにより、櫛歯状の画素電極118が
平面的に見てドレイン電極32と重なるように形成される一方、はしご状の画素電極11
9が、平面的に見てドレイン電極33と重なるように形成される。
これにより、画素電極118は、コンタクトホール34を介してドレイン電極32に接
続され、画素電極119についても、コンタクトホール35を介してドレイン電極33に
接続されることになる。
この後、ポリイミド等からなる配向膜が画素の配列領域にわたって形成されるとともに
、Y方向に平行であって逆平行(アンチパラレル)方向のラビング処理が施される。ここ
で、素子基板100aにおいて背面側に設けられる偏光板40aは、その透過軸がラビン
グ方向と直交する方向に設定される。
【0018】
対向基板100bについては特に図示しないが、コモン電極108と対向する領域にお
いて開口部を有する遮光層が設けられるとともに、サブ表示画素101にあっては、開口
部においてそれぞれRGBのいずれかに対応するカラーフィルターが設けられる。これに
対し、視角制御画素102にあっては、該開口部においてカラーフィルターが設けられず
に、素通しの状態となっている。
なお、対向基板100bにおいて液晶層105に接する面には、素子基板100aと同
様な配向膜が形成される。該配向膜に施されるラビングの方向は、Y方向に平行であって
逆平行(アンチパラレル)方向であり、素子基板100aにおけるラビング方向と同方向
である。また、対向基板100bの観察側に設けられる偏光板40bは、その透過軸が、
ラビング方向と同方向に設定される。
【0019】
バックライト50から表示パネル100に背面側から照射される光は、偏光板40aに
よって直線偏光に変換されて、サブ表示画素101および視角制御画素102のそれぞれ
に入射する。
サブ表示画素101において、コモン電極108と画素電極118との間(すなわち液
晶容量120)で印加される電圧がオフ電圧である場合、液晶分子がラビング方向に応じ
た方向に沿って配向するので、液晶層105に入射した直線偏光は、その入射時の直線偏
光状態を保って液晶層105から出射する。ただし、この直線偏光方向は、偏光板40b
の吸収軸にほぼ一致しているので、該偏光板40bによって遮断される。
したがって、サブ表示画素101では、オフ電圧の印加状態にあっては、視角度の大小
にかかわらず、図5(a)においてoffで示されるように暗状態となる。
【0020】
ここで、視角度については、図2に示されるように、透過率の測定対象となる着目画素
pから観察側に向かう基板法線方向の方位を0度とし、着目画素pを通過して、かつ、Y
方向に平行な軸qを中心にして回転させたときの角度θで規定している。
【0021】
サブ表示画素101において、コモン電極108と画素電極118との間の印加電圧が
オン電圧である場合、液晶分子は、画素電極118におけるスリットとほぼ直交する方向
に配向する。このため、液晶層105に入射した直線偏光は、該液晶層105によって位
相差が与えられるために、入射時の偏光方向と直交する方向に変換されて、該液晶層10
5から出射する。変換された偏光方向は、偏光板40bの透過軸とほぼ一致するので、偏
光板40bを透過する。
したがって、サブ表示画素101では、オン電圧の印加状態にあっては、表示光として
視認される明状態となる。このとき、サブ表示画素101の視角特性では、図5(a)に
おいて表示画素onで示されるように視角度θがゼロにおいて透過率が最大となり、視角
度θが大きくなるにつれて、徐々に透過率が低下する。
なお、図5(a)においては、透過率の最大値を100%とし、最小値を0%として正
規化している、
【0022】
一方、視角制御画素102において、コモン電極108と画素電極119との間(すな
わち液晶容量130)の印加電圧がオフ電圧である場合、サブ表示画素101と同様な理
由から、視角度θの大小にかかわらず、図5(b)においてoffで示されるサブ表示画
素101と同様に暗状態となる。
したがって、視角制御画素102にオフ電圧を印加して、サブ表示画素101を、RG
B成分に応じた透過率に制御すると、サブ表示画素101の透過光に基づく画像を、視角
度θの広い範囲で視認させることが可能となる(広視角モード)。
これをコントラスト比でみてみると、図5(b)において実線で示されるように、視角
度θが−80度から+80度の広い範囲で20以上となるので、この範囲であれば、どの
方向からみても画像が見易い。
【0023】
これに対し、視角制御画素102において、コモン電極108と画素電極119との間
の印加電圧がオン電圧である場合、素子基板100aの側に位置する液晶分子は、基板方
向とほぼ垂直方向となるように配向する。この配向状態を視角度θがゼロの方向からみた
とき、液晶層105において位相差変化がないので、視角制御画素102の視角特性では
、図5(a)において破線で示されるように、視角度θがゼロにおいては暗状態となる。
ただし、視角度θがゼロでない、斜め方向からみたときでは、位相差変化が生じて、視角
制御画素102の透過率が変化する。詳細には、透過率は、視角度θがゼロから±50度
程度なるまでの範囲では、視角度θが大きくなるにつれて、液晶層105による位相差変
化に応じて増加し、視角度θが±50度程度でピークを迎え、以降視角度θが大きくなる
につれて、液晶層105による位相差変化に応じて減少する。
このため、視角制御画素102にオン電圧を印加すると、該視角制御画素102は、正
面から見ると暗状態の黒表示であるが、横側に傾けた方向から見ると、増加した透過率の
分だけ明るくみえる。
したがって、視角制御画素102にオン電圧を印加して、サブ表示画素101を、RG
B成分に応じた透過率に制御した場合、サブ表示画素101の透過光に基づく画像を、正
面からは、視認させることはできる。しかしながら、横側に傾けた方向からでは、サブ表
示画素101の透過率が、それほど変化しないのに対し、視角制御画素102の透過率が
増加するために、コントラスト比が低下する。このため、視角制御画素102にオン電圧
を印加すれば、サブ表示画素101による透過光に基づく画像を、正面以外では、視認し
難くすることが可能となる(狭視角モード)。
これをコントラスト比でみてみると、図5(b)において破線で示されるように、視角
度θが−50度以下の範囲および+50度の以上の範囲で、2以下となるので、これらの
範囲では画像が非常に見え難くなる。
【0024】
このように、視角制御画素102にオフ電圧を印加するか、オン電圧を印加するかによ
って、広視角モードと狭視角モードとで切り替えることが可能である。ここで、視角制御
画素102に対する電圧の印加を、すべての視角制御画素102に対して一括して実行す
る構成では、視角制御画素102の液晶容量130に対する電圧の書込能力が問題となる
。この問題は、例えば表示パネル100のサイズが大きくなって、液晶容量130の1個
あたりの容量サイズが増したり、視角制御線115の配線抵抗・寄生容量が増加したりし
た場合だけでなく、表示パネルの100の解像度が高くなって、液晶容量130の個数が
増加した場合に、顕著となる。
【0025】
そこで本実施形態では、視角制御画素102をすべて一括ではなく、一部ずつ順番にオ
ンまたはオフ電圧を書き込む構成としている。そのための主要構成が表示制御回路20、
走査線駆動回路140および視角制御回路160である。
【0026】
表示制御回路20は、各種の制御信号を生成して、各部を制御するものである。詳細に
は、表示制御回路20は、制御信号Ctr-yによって走査線駆動回路140を制御し、制御
信号Ctr-xによってデータ線駆動回路150を制御し、制御信号Ctr-cによって視角制御
回路160を制御する。
【0027】
走査線駆動回路140は、制御信号Ctr-yにしたがって1〜240行目の走査線112
に、それぞれ走査信号を供給するものである。
詳細には、走査線駆動回路140は、走査線112を1、2、3、…、240行目とい
う順番で選択するとともに、選択した走査線への走査信号を選択電圧VGHに相当するH
レベルとし、それ以外の走査線への走査信号を非選択電圧VGLに相当するLレベルとす
る。
ここで便宜上、1、2、3、…、240行目の走査線112に供給される走査信号を、
それぞれY1、Y2、Y3、…、Y240と表記し、特に行を特定しないで一般的に説明する場
合には、iを用いてYiと表記する。
【0028】
視角制御回路160は、走査線駆動回路140によって選択される走査線に位置する視
角制御画素102に対し、視角制御のオンオフに応じた電圧の視角制御信号を、視角制御
線115を介して供給するものである。
詳細には、視角制御回路160は、視角制御画素のマトリクス配列に対応した記憶領域
を有し、各記憶領域は、それぞれ視角制御のオンまたはオフを指定する1ビットの視角制
御ビットDcを記憶する。ここで、視角制御回路160は、選択走査線に位置する視角制
御画素102の視角制御ビットDcを記憶領域から1行分読み出すとともに、視角制御ビ
ットDcで指定されたオンまたはオフに応じた電圧の視角制御信号に変換し、視角制御線
115に供給する。この供給動作を、視角制御回路160は、選択走査線に位置する32
0列分のそれぞれについて並列的に実行する。
なお、左から数えて1、2、3、…、320列目の視角制御線115に供給される視角
制御信号を、それぞれXc1、Xc2、Xc 3、…、Xc320と表記している。
また、視角制御のオンオフに変更が生じると、表示制御回路20は、変更後の視角制御
ビットDcを供給するとともに、視角制御回路160における記憶領域の内容を書き換え
る構成となっている。
【0029】
データ線駆動回路150は、走査線駆動回路140によって選択される走査線に位置す
るサブ表示画素101に対し、R・G・Bのいずれかに応じた階調成分に応じた電圧のデ
ータ信号を、データ線114を介して供給するものである。
詳細には、データ線駆動回路150は、サブ表示画素101のマトリクス配列に対応し
た記憶領域(図示省略)を有し、各記憶領域は、それぞれサブ表示画素101のRGBの
いずれかの階調成分を指定する表示データDaを記憶する。ここで、データ線駆動回路1
50は、選択走査線に位置するサブ表示画素101の表示データDaを記憶領域から1行
分読み出すとともに、表示データDaで指定された階調成分に応じた電圧のデータ信号に
変換し、データ線114に供給する。この供給動作を、データ線駆動回路150は、選択
走査線aに位置する960列分のそれぞれについて並列的に実行する。
ここで、左から数えてj番目の画素(表示単位)に対応するR・G・Bのデータ信号を
、それぞれXRj、XGj、XBjと表記している。jは、本実施形態では1から320までの
整数である。
また、表示すべき画像に変更が生じると、表示制御回路20は、変更後の表示データD
aを供給するとともに、データ線駆動回路150における記憶領域の内容を書き換える構
成となっている。
【0030】
表示パネル100におけるTFT116、117をアモルファスシリコン型としたとき
、走査線駆動回路140や、データ線駆動回路150、視角制御回路160については、
表示パネル100に対して、それぞれ個別の、または、これらの機能を適宜組み合わせた
半導体(ベアチップ)が、COG(chip on glass)技術を用いて実装される。
また、走査線駆動回路140やデータ線駆動回路150については、それぞれ1チップ
ではなく、図6に示されるように2個に分割されて、あるいは、それぞれ3個以上に分割
されて、COF(chip on film)技術などによって表示パネル100に実装されても良い
。なお、図6において、表示制御回路20は、二点鎖線で示される領域側に設けられる。
また、視角制御回路160についても、2個以上に分割しても良い。
さらに、TFT116、117については他の構造、例えばゲート電極の配置でいえば
トップゲート型としても良いし、プロセスでいえばポリシリコン型としても良い。TFT
116、117をポリシリコン型とするのであれば、走査線駆動回路140や、データ線
駆動回路150、視角制御回路160の構成素子を、素子基板にあって画素のマトリクス
配列の周辺に造り込んでも良い。
【0031】
次に、液晶表示装置10における電圧の書き込み動作について図7を参照して説明する
。図7は、液晶表示装置10の各部における動作を示す図である。
走査線駆動回路140は、上述したように、また、同図に示されるように、フレームに
わたって走査線112を1、2、3、…、240行目という順番で選択するとともに、選
択した走査線への走査信号を選択電圧VGHに相当するHレベルとし、それ以外の走査線
への走査信号を非選択電圧VGLに相当するLレベルとする。
なお、フレームとは、表示パネル100を駆動することによって、画像の1コマ分を表
示させるのに要する期間をいい、表示パネル100の垂直走査周波数が60Hzであれば
、その逆数である16.7ミリ秒である。
【0032】
ここで、本実施形態では、液晶容量120、130を交流駆動する際に、書き込む電圧
の極性をフレームにわたって同一とするとともに、次のフレームにおいて反転させる面反
転方式とする。このため、表示制御回路20は、あるフレーム(図7において「nフレー
ム」と表記している)において正極性を指定し、次の(n+1)フレームの期間において
負極性を指定して、以下同様にフレーム毎に極性を反転させる。
なお、極性とは、液晶容量120(130)に電圧を保持させる際に、画素電極118
(119)をコモン電極108よりも高位側とする場合を正極性とし、低位側とする場合
を負極性とする。
また、電圧については、液晶容量120(130)に印加される電圧を除き、図示省略
した接地電位を電圧ゼロの基準とする。液晶容量120(130)に印加される電圧は、
コモン電極108と画素電極118(119)との電位差であり、他の電圧と区別する必
要があるからである。
【0033】
まず、nフレームにおいては、走査線駆動回路140によって走査信号Y1だけがHレ
ベルとなる。
走査信号Y1がHレベルとなる期間において、データ線駆動回路150は、1行目にお
けるサブ表示画素101の表示データDaを読み出すとともに、当該表示データDaで指定
された電圧だけ、電圧Vcomを基準に高位側とした電圧のデータ信号に変換し、それぞれ
データ線114に供給する。
これにより例えば、左から数えてj番目の画素に対応するRのデータ信号XRjは、1行
j列の画素のうち、表示データDaで指定されたRの階調成分に応じた分(図7において
↑で示される電圧)だけ電圧Vcomよりも高位側とした電圧となる。
【0034】
一方、走査信号Y1がHレベルとなる期間において、視角制御回路160は、1行目に
おける視角制御画素102の視角制御ビットDcを読み出すとともに、当該視角制御ビッ
トDcが、オンを指定しているのであれば視角制御信号を電圧Von(+)とし、オフを指定し
ているのであれば視角制御信号を電圧Vcomとする。
図7では、左から数えてj番目の画素に対応する視角制御信号Xcjが、1行j列の画素
に対応した視角制御ビットDcで視角制御のオンが指定されているために、走査信号Y1が
Hレベルとなる期間において電圧Von(+)となっている状態を示している。
【0035】
さて走査信号Y1がHレベルであると、1行目に位置するTFT116、TFT117
がオン状態(導通状態)となる。このため、1行目における画素電極118には、データ
線114に供給されたデータ信号がオン状態のTFT116を介して印加されるので、1
行目のサブ表示画素101における液晶容量120には、それぞれ階調に応じた正極性の
電圧が書き込まれる。
同様に、1行目における画素電極119には、視角制御線115に供給された視角制御
信号がオン状態のTFT117を介して印加されるので、1行目の視角制御画素102に
おける液晶容量130には、視角制御のオンが指定されていれば、正極性のオン電圧がそ
れぞれ書き込まれ、視角制御のオフが指定されていれば、オフ電圧としてゼロ電圧がそれ
ぞれ書き込まれる。
なお、走査信号Y1がLレベルに切り替わると、1行目に位置するTFT116、TF
T117がオフ状態(非導通状態)となるが、液晶容量120、130の各々にそれぞれ
書き込まれた電圧は、その容量成分によって保持される。
【0036】
次に、走査信号Y2だけがHレベルとなる。走査信号Y2がHレベルとなる期間において
、データ線駆動回路150は、2行目のサブ表示画素101の各々に対応する表示データ
Daで指定された電圧だけ、電圧Vcomを基準に高位側とした電圧のデータ信号に変換し、
それぞれデータ線114に供給する一方、視角制御回路160は、2行目における視角制
御画素102の各々に対応する視角制御ビットDcのオンオフに応じた電圧の視角制御信
号を、それぞれ視角制御線115に供給する。
これにより、2行目のサブ表示画素101における液晶容量120には、それぞれ階調
成分に応じた正極性の電圧が書き込まれ、2行目の視角制御画素102における液晶容量
130には、視角制御のオンオフに応じた正極性の電圧が書き込まれることになる。
なお、図7では、視角制御信号Xcjが、2行j列の画素に対応した視角制御ビットDc
で視角制御のオフが指定されているために、走査信号Y2がHレベルとなる期間において
電圧Vcomとなっている状態を示している。
【0037】
nフレームにおいては、以下同様な動作が、3、4、5、…、240行目の順に実行さ
れる。これにより、すべてのサブ表示画素101における液晶容量120には、それぞれ
階調成分に応じた正極性の電圧が書き込まれるとともに、すべての視角制御画素102に
おける液晶容量130には、それぞれ視角制御のオンオフに応じた正極性の電圧が書き込
まれることなる。
次の(n+1)フレームにおいては、書き込み極性が反転して負極性となる以外、nフ
レームと同様な動作が実行される。
なお、負極性となった場合、データ信号XRjは、Rの表示データDaで指定された階調
成分に応じた分(図において↓で示される電圧)だけ電圧Vcomよりも低位側とした電圧
となり、視角制御のオンが指定されたときの視角制御信号Xcjは、電圧Vcomを基準に電
圧Von(+)を反転させた電圧Von(-)となる。
【0038】
図7には、データ信号XRj、視角制御信号Xcjのほか、i行j列の画素のうち、サブ表
示画素101におけるRの画素電極118の電圧R(i,j)、および、視角制御画素102
において視角制御オンが指定されたときの画素電極119の電圧C(i,j)の波形が示され
ている。
このうち、電圧R(i,j)は、走査信号YiがHレベルとなったときに、データ信号XRjの
電圧となり、以後、走査信号YiがLレベルとなっても保持される。液晶容量120の他
端は、電圧Vcomのコモン電極108であるので、i行j列の画素のうち、サブ表示画素
101におけるRの液晶容量120に書き込まれて保持される電圧は、電圧R(i,j)にお
いてハッチングで示されたものとなる。
同様に、電圧C(i,j)は、走査信号YiがHレベルとなったときに、視角制御信号Xcjの
電圧が書き込まれ、以後、走査信号YiがLレベルとなっても保持される。液晶容量13
0の他端についてもコモン電極108であるので、i行j列の画素のうち、視角制御画素
102における液晶容量130に書き込まれて保持される電圧は、電圧C(i, j)の波形に
おいてハッチングで示されたものとなる。
【0039】
なお、視角制御画素102において視角制御オフが指定されたときの画素電極119の
電圧C(i,j)は、特に図示しないが、電圧Vcomとなるので、液晶容量130には、オフ電
圧としてのゼロ電圧が書き込まれて保持されることになる。
また、図7において、走査信号Y1〜Y240の電圧を示す縦スケールに対し、データ信号
XRj、視角制御信号Xcj等の電圧を示す縦スケールを、便宜的に拡大している。
【0040】
本実施形態に係る液晶表示装置10によれば、視角制御画素102に対し、視角制御の
オンオフに応じた電圧の視角制御信号を、すべて一括ではなく、走査線112の選択にあ
わせて1、2、3、…、240行目の順番で1行ずつ書き込むので、書き込み時における
負荷が軽くなって、視角制御画素102の液晶容量130に対して十分な書き込みが可能
となる。
【0041】
また、本実施形態では、表示単位の画素毎に視角制御をオンオフすることができる。こ
のため、任意の表示パターンで視角制御をオンオフさせることが可能である。例えば、図
8に示されるように、表示パネル100の表示領域のうち、ある特定の領域に限って視角
制御をオンにし、当該特定領域についてのみ狭視角モードとして、斜め方向から見難くさ
せる一方、他の領域については視角制御をオフにし、広視角モードとすることができる。
これにより、表示パネル100の各表示領域において、それぞれ異なる画像を表示させた
ときに、視角制御オンの領域で表示される特定の画像を狭視角とする一方、他の領域で表
示される画像を広視角とすることができるので、特定の画像については、正面以外の方向
から見ようとしても見難くすることが可能となる。したがって、例えば表示パネル100
を車等のセンターコンソールに設置したときに、特定の画像については、後部座席側から
見ることはできるが、助手席側および運転席側からはほとんど見ることができないように
することが可能となる。
なお、上述したように視角制御のオンオフは視角制御ビットDcによって指定される。
このため、表示制御回路20は、視角制御をオンとすべき領域に属する視角制御画素10
2に対し、視角制御ビットDcによってオンを指定し、視角制御をオフとすべき領域に属
する視角制御画素102に対し、視角制御ビットDcによってオフを指定することになる

【0042】
また、視角制御画素102の液晶容量130に対して十分な書き込みを確保する、とい
う観点からすれば、視角制御のオンオフを必ずしも視角制御画素102毎に指定する必要
はなく、互いに隣接する表示単位の画素に対応する視角制御画素の複数個を単位としてオ
ンまたはオフを指定する構成としても良いし、すべての視角制御画素102に対して一律
にオンまたはオフを指定する構成としても良い。
【0043】
<第2実施形態>
上述した第1実施形態では、表示単位の画素毎に、視角制御をオンまたはオフのいずれ
かで2値的に変化させるものであったが、この第2実施形態は、視角制御のオンを2以上
の種類として、例えば3種類として視角制御の度合いを変化させるものである。詳細には
、第2実施形態では、第1実施形態における視角制御のオンと同程度に視角制御した状態
を「on1」とし、以下、視角制御を段階的にオフに近づけて「on2」、「on3」と
する。なお、第2実施形態において、第1実施形態における視角制御のオフとした状態を
「off」とする。このように、第2実施形態において視角制御の度合いを「on1」、
「on2」、「on3」、「off」の4種類で規定するときに、視角制御画素102に
おいて、コモン電極108と画素電極119との間で印加される電圧は、絶対値でみて、
on1>on2>on3>off
という関係になる。
【0044】
視角制御画素102の液晶容量130では、印加電圧が高くなるにつれて、素子基板1
00aの側に位置する液晶分子が初期配向状態から基板方向とほぼ垂直方向となるように
配向変化するが、視角度θがゼロの方向からみたときでは、液晶層105における位相差
が生じないので、暗状態からほとんど変化しない。ただし、視角度θがゼロでない、斜め
方向からみたときでは、位相差変化が生じるので、図9(a)に示されるように、印加電
圧が大きくなるにつれて、第1実施形態においてオフ電圧を印加した状態に相当する「o
ff」からオン電圧を印加した状態に相当する「on1」に近づく。
このことは視角制御画素102を斜め方向からみたときに、印加電圧が高くなるにつれ
て、視角制御画素102の透過率が増加し、これによって、サブ表示画素101による透
過光に基づく画像のコントラスト比を低下させて、視認し難くさせることを意味する。
したがって、図9(b)に示されるように、斜め方向からみたときに、視角制御の「o
ff」から「on1」まで、コントラスト比が徐々に低下することによって、視角制御の
度合いを変化させることが可能となる。
【0045】
第2実施形態では、視角制御の度合いが4種類であるから、その度合いを規定する視角
制御ビットDcは2ビットとなる。このため、第2実施形態における視角制御回路160
は、視角制御画素のマトリクス配列に対応した記憶領域の各々において、2ビットの視角
制御ビットDcを記憶する一方、選択走査線に位置する視角制御画素102の視角制御ビ
ットDcを記憶領域から1行分読み出すとともに、読み出した視角制御ビットDcに応じて
次のような電圧の視角制御信号に変換し、視角制御線115に供給することになる。詳細
には、視角制御回路160は、視角制御信号を、正極性が指定されている場合であって、
視角制御ビットDcによって「on1」が指定されていれば電圧Von1(+)とし、「on2
」が指定されていれば電圧Von2(+)とし、「on3」が指定されていれば電圧Von3(+)と
する一方、負極性が指定されている場合であって、視角制御ビットDcによって「on1
」が指定されていれば電圧Von1(-)とし、「on2」が指定されていれば電圧Von2(-)と
し、「on3」が指定されていれば電圧Von3(-)とする。
【0046】
図10は、視角制御信号Xcjのほか、i行j列の画素の視角制御画素102において視
角制御の「on1」が指定されたときの画素電極119の電圧C(i,j)の波形が示されて
いる。
この図に示されるように、正極性の電圧Von1(+)、Von2(+)、Von3(+)と、負極性の電
圧Von1(-)、Von2(-)、Von3(-)とは、それぞれコモン電極108に印加された電圧Vco
mを基準に対称の関係にある。
【0047】
第2実施形態では、表示単位の画素毎に視角制御の度合いを変化させることが可能とな
る。詳細には、例えば図11に示されるように、表示パネル100の表示領域のうち、特
定の領域、例えばユーザー識別番号や、パスワード、暗証番号などのように他人に覗かれ
ては困るような入力(表示)領域を「on1」とし、この「on1」の領域から周辺に向
かうにつれて「on2」、「on3」、「off」として、表示領域で表示すべき内容に
応じて視角制御の度合いを段階的に変化させることが可能となる。
【0048】
なお、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、視角制御画素102の液晶容
量130に対して十分な書き込みを確保する、という観点からすれば、視角制御の度合い
を必ずしも視角制御画素102毎に指定する必要はなく、互いに隣接する表示単位の画素
に対応する視角制御画素の複数個を単位として視角制御の度合いを指定する構成としても
良いし、すべての視角制御画素102に対して一律に視角制御の度合いをを指定する構成
としても良い。
また、第2実施形態では、視角制御のオンを3種類として説明したが、2種類であって
も良いし、4種類以上であっても良いのはもちろんである。
【0049】
<応用・変形例>
本発明は、上述した第1および第2実施形態に限られず、次のように様々な応用・変形
が可能である。
【0050】
<その1>
例えば、視角制御回路160は、視角制御線115を、1列ずつ個別に駆動するのでは
なく、図12に示されるように、2列ずつまとめて駆動する構成としても良い。もちろん
、視角制御線115を3以上の列数ずつまとめて駆動しても良い。
このように視角制御線115を複数の列ずつまとめて駆動すると、視角制御回路160
の出力数を削減することができるので、視角制御回路160の構成簡略化や低コスト化を
図ることが可能となる。また、視角制御線115と視角制御回路160との接続点数も減
少するので、接続ピッチを緩和することも可能となる。
【0051】
<その2>
また、第1および第2実施形態において、視角制御回路160は、画素のマトリクス配
列を挟んで、データ線駆動回路150とは反対の辺側に実装したが、この理由は、視角制
御線115とデータ線114とを交差させないためである。換言すれば、データ線114
と視角制御線115とを絶縁層を介して交差させてしまうと、視角制御線115で電圧が
切り替わりに伴うノイズが、その交差部分で生じる容量成分を介してデータ線114に重
畳されるので、サブ表示画素に書き込まれる電圧に影響を与え、表示品位を低下させてし
まう。この表示品位を避けるために、実施形態にあっては、視角制御線115とデータ線
114とを交差させなかったのである。
したがって、視角制御線115とデータ線114とを交差させない限りにおいては、例
えば図13に示されるように視角制御線115を屈曲させることにより、視角制御回路1
60を、画素のマトリクス配列を挟んで、走査線駆動回路140とは反対の辺に実装して
も良い。また、視角制御線115を図13とは反対方向に屈曲させることにより、視角制
御回路160を、走査線駆動回路140と同じ辺側に実装しても良い。
【0052】
<その3>
R・G・Bのサブ表示画素101およびCの視角制御画素102の配列は、図1に限ら
れず、例えば図14に示されるように、表示の単位となる画素を、RGBCの2×2で構
成しても良い。このような2×2の配列では、Cの視角制御画素102に対応する視角制
御線115は、Gのサブ表示画素101に対応するデータ線114を兼用する。このため
、視角制御回路160は、データ線駆動回路150の機能を兼用することになる。詳細に
は、視角制御回路160は、RGの走査線112が選択されたとき、データ線114にR
の階調成分に応じた電圧のデータ信号を供給し、データ線を兼用する視角制御線115に
Gの階調成分に応じた電圧のデータ信号を供給する一方、BCの走査線112が選択され
たとき、データ線114にBの階調成分に応じた電圧のデータ信号を供給し、データ線を
兼用する視角制御線115に視角制御のオンオフに応じた電圧の視角制御信号を供給する
ことになる。
【0053】
<その4>
上述した説明では、書込極性の基準をコモン電極108に印加される電圧Vcomとした
。これは、TFT116、117が理想的なスイッチとして機能する場合であり、実際に
は、ゲート・ドレイン間の寄生容量に起因して、オンからオフに状態変化するときにドレ
イン電極(画素電極118)の電位が低下する現象(プッシュダウン、突き抜け、フィー
ルドスルーなどと呼ばれる)が発生する。液晶層の劣化を防止するため、液晶容量120
、130については交流駆動としなければならないが、コモン電極108への電圧Vcom
を書込極性の基準として交流駆動すると、プッシュダウンのために、負極性書込による液
晶容量120、130の電圧実効値が、正極性書込による実効値よりも若干大きくなって
しまう(TFT116がnチャネルの場合)。
そこで、書込極性の基準電圧とコモン電極108の電圧Vcomとを別々とするとともに
、書込極性の基準電圧を、プッシュダウンの影響が相殺されるように、電圧Vcomよりも
高位側に設定しても良い。
あるいは、正極性のオン電圧Von(+)と負極性のオン電圧Von(-)とを視角制御信号とし
て供給したときに、プッシュダウンの影響が相殺されるように、電圧Von(+)、Von(-)を
それぞれ個別に調整可能な構成としても良い。
【0054】
また、視角制御オフに対応する視角制御信号については、コモン電極108と同一の電
圧Vcomに限られず、液晶容量130の印加電圧をしきい値電圧以下とする電圧であれば
良い。このため、特に図示しないが、正極性であれば、電圧Vcom(または極性の基準電
圧)よりわずかに高めの電圧Voff(+)とすれば良いし、負極性であれば、電圧Vcom(基
準電圧)よりわずかに低めの電圧Voff(-)とすれば良い。
【0055】
<その5>
コモン電極108については、時間的に一定の電圧Vcomとはせずに、正極性とする場
合には相対的に低い電圧とし、負極性とする場合には相対的に高い電圧としても良い。ま
た、コモン電極108については、各画素にわたって共通とするのではなく、例えば、走
査線112に対応する行毎に分割しても良い。
【0056】
<その他>
また、サブ表示画素101および視角制御画素102については、透過型に限られず、
反射型としても良い。
反射型とする場合には、コモン電極108として、反射性の導電層をパターニングした
ものを用いても良いし、別途の反射性金属層を設けても良い。さらに、透過型および反射
型の両者を組み合わせた、いわゆる半透過半反射型としても良い。
また、サブ表示画素101については、R・G・Bの3つに限られず、例えばGを、Y
G(黄緑)およびEG(エメラルドグリーン)に分けて、これらの4色のサブ表示画素で
カラー表示の単位となる画素を構成して、広色帯化を図った構成としても良い。
さらに、カラーではなく単色表示とする構成でも良い。単色表示とする構成では、1個
の表示画素が表示単位となる1画素になるとともに、視角制御画素102が設けられる。
また、1画素を構成する表示画素は、例えばカラーフィルターを除去した(または、カラ
ーフィルターを該色とした)サブ表示画素101の1個と同等な構成となる。
また、フレームにおける書き込み極性については、面反転方式に限られず、行(ライン
)反転方式や、列反転方式、画素反転方式など種々のものが適用可能である。
【0057】
<電子機器>
次に、上述した実施形態等に係る液晶表示装置10を有する電子機器について説明する
。図15は、実施形態や応用・変形例に係る液晶表示装置10を用いた携帯電話1200
の構成を示す図である。
この図に示されるように、携帯電話1200は、複数の操作ボタン1202や方向キー
1204のほか、受話口1206、送話口1208とともに、上述した液晶表示装置を備
えるものである。なお、液晶表示装置のうち、表示パネル100のみ外観として表れ、他
については、携帯電話1200の筐体内となる。
なお、実施形態等に係る液晶表示装置10は、図15に示した携帯電話以外の電子機器
にも適用可能である。このような電子機器としては、例えばデジタルスチルカメラや、ノ
ートパソコン、液晶テレビ、ビューファインダー型(またはモニタ直視型)のビデオレコ
ーダー、カーナビゲーション装置、電子手帳、電卓、ワードプロセッサー、ワークステー
ション、テレビ電話、タッチパネルを備えた機器等などの表示部を有するものが挙げられ
る。
【符号の説明】
【0058】
10…液晶表示装置、100…表示パネル、101…サブ表示画素、102…視角制御画
素、105…液晶層、108…コモン電極、112…走査線、114…データ線、115
…視角制御線、116、117…TFT、118、119…画素電極、120、130…
液晶容量、140…走査線駆動回路、150…データ線駆動回路、160…視角制御回路
、1200…携帯電話

【特許請求の範囲】
【請求項1】
走査線とデータ線との交差に対応してそれぞれ設けられ、各々は、
前記走査線に選択電圧が印加されたときに一端と他端との間が導通状態となるとともに
前記一端が前記データ線に接続された表示画素スイッチング素子と、前記表示画素スイッ
チング素子の他端に接続された表示画素電極と、を含み、前記表示画素電極とコモン電極
とにおける電圧によって液晶層が駆動される表示画素と、
前記走査線と視角制御線との交差に対応して設けられ、各々は、
前記走査線に選択電圧が印加されたときに、一端と他端との間が導通状態となるととも
に前記一端が前記視角制御線に接続された視角制御画素スイッチング素子と、前記視角制
御画素スイッチング素子の他端に接続された視角制御画素電極と、を含み、視角度に対す
る透過率または反射率の特性が前記表示画素とは異なる視角制御画素と、
複数の前記走査線を所定の順番で選択し、選択した走査線に前記選択電圧を印加する走
査線駆動回路と、
前記選択電圧が印加された走査線に対応する視角制御画素に対し、視角制御に応じた電
圧の視角制御信号を、前記視角制御線を介して供給する視角制御回路と、
を具備することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記選択電圧が印加された走査線に対応する表示画素の階調成分に応じた電圧のデータ
信号を、前記データ線に供給するデータ線駆動回路を有する
ことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記視角制御回路は、2以上の視角制御線をまとめて駆動する
ことを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記視角制御回路は、1または2以上の視角制御画素毎に視角制御のオンまたはオフに
応じた電圧の視角制御信号を供給する
ことを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記視角制御回路は、1または2以上の視角制御画素毎に視角制御の度合いに応じた電
圧の視角制御信号を供給する
ことを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記視角制御線は、前記データ線と交差しないように設けられている
ことを特徴とする請求項2または3に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
請求項1乃至6のいずれかに記載の液晶表示装置を有することを特徴とする電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2010−250265(P2010−250265A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−241113(P2009−241113)
【出願日】平成21年10月20日(2009.10.20)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】