説明

液晶表示装置

【課題】 液晶表示装置の動画ボケを解消する。
【解決手段】 10はTFT型の液晶パネル、20はバックライトである。13、14はタイミング生成部12の信号を受けて液晶パネル10のスキャン信号を形成するスキャンドライバと、クロックに基づいて水平方向の画像データを供給するためのデータドライバである。18は液晶パネルのバックライトをコントロールするバックライトドライバであり、バックライト20が複数本の蛍光灯L1、L2、・・・Lnによって構成され、この蛍光灯を液晶パネルの走査タイミングに応じて順次発光させる。液晶パネル10の複数の領域には所定のタイミングでバックライト光が透過するようになり、動きのある画像のボケが解消する。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光源からの光をライトバブルで変調して画像を形成し、投写することができる液晶表示装置に関わり、特に動画像を表示するときに好適な照明光源を使用した液晶表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ランプなどの光源と、空間光変調素子とされる液晶をライトバブルとして画像を表示する液晶表示装置は、表示部をフラットに構成することができると共に、消費電力の点でも陰極線管を使用する場合に比較して少なくすることができ、近年、その普及度が非常に高くなっている。しかしながら、液晶表示装置の場合は、通常は液晶パネルの背面に照明用の光源を備え、このバックライトを利用しないと表示画像の輝度を高くすることが困難になると共に、液晶の物理的な挙動を利用して光の透過度が制御される構造から、結果的に画像信号に対する応答速度が低いという問題が生じる。
【0003】ライトバブルを構成する液晶パネルは近年、単純マトリックス型の液晶パネルに対して、トランジスタによって各画素の透過率を制御するTFT型の液晶パネルが多く使用されており、このアクティブタイプの液晶パネルの場合は、データドライブ用のIC回路を使用して表示のために入力された画像データを1フィルド期間保持させることが可能になっている。そのため、バックライトの照射光を有効に利用することができ、高コントラスト、高輝度の表示装置を構築することができる反面、動きのある個所で動画ボケが生じるという問題がある。
【0004】上記したような動画ボケに対応するために液晶の応答速度を改善する方法として、液晶のセルギャップを薄くする方法、粘性の低い材料を使用する方法、高温で使用する方法等が考えられる。また、応答速度を早くするモードとしてVAモード、OCBモード等が考えられておりこれらの技術を採用して1フィールドを17ms以下の応答速度とすることが可能とされている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、アクティブマトリックス方式駆動において、いわゆるホ−ルド型のディスプレーでは応答速度に係わらず動画ボケを解消することが困難である。以下、この点を図13を参照して説明する。図13の(a)に示すように比較的暗い表示画面Sの一部に例えば4×8画素の白い移動標識Qが表示され、この移動標識が時間の経過と同時に水平方向に移動している場合を考える。
【0006】この場合は、次の表示フレーム画面S1を示す図(b)では、移動標識が4画素右方向に移動し、さらに次のフレーム画面S2を示す(c)では、さらに4画素右方向にずれるものとする。1フレームの周期を1/60secとすると、画面S1では網目にされた領域q1が1フレーム期間表示され、次のフレーム画面で白から黒に変化することになるが、視聴者の視覚ではこの部分は残像として残っているため、黒とは認識されない。同様に次のフレーム画面S2では、網目の領域q2はほぼ黒と認識されるが網目の部分q2は黒とは認識されない。
【0007】このような視覚の積分効果は実験によると、通常数10ms以内の短時間内の光刺激はほぼ完全に積分されるといわれており、液晶パネルの駆動方法に見られるように、特に、1フレーム(1フィールド)を単位として画像データを書き換える液晶パネルのアクティブドライブ方法を採用する場合は、このような時間内の刺激は、移動している標識Qの輪郭が移動方向の前後に沿ってぼける動画ボケを生じるという問題が生じる。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記したような問題点を解消するために請求項1の発明では、複数のゲート線と複数のデータ線と、前記ゲート線と前記データ線との交点に対応してマトリックス状に配置された画素セルからなる液晶パネルと、前記液晶パネル上に画像を表示するために、前記ゲート線を選択すると共に、前記データ線に画像を表示するための画像信号を供給する駆動手段とを備えている液晶表示装置において、前記駆動手段が駆動する周期に対応して前記液晶パネルの一部分を点滅させて照明する照明手段を有するようにしたものである。
【0009】液晶パネルの駆動手段は線順次でデータが入力されるように駆動され、前記照明手段が前記線順次の駆動タイミングに応じて点滅されるようにしている。この場合は前記液晶パネルの一部分が前記駆動手段により駆動された後に、前記照明手段が前記液晶パネルの駆動された部分を照明する点灯タイミングは所定時間遅れるようにする。
【0010】前記点灯タイミングの遅れは次式を満足するようにし、輝度の低下をできるだけ少なくなるようにする。
Δt=(1-duty)×F但し Δt:点灯のタイミング遅れduty:照明手段の点滅のテ゛ューティF :駆動手段が1フィールドの画像信号を駆動するために要する時間
【0011】液晶パネルの応答速度が考慮される場合は、液晶の分割数とともに、次式を満足するようにする。
τ<(1−duty−A)×F但し τ:液晶の応答時間A:液晶パネルの縦方向に対する照明手段の照明範囲の比
【0012】前記照明手段は動作中は常時点灯している線光源と、該線光源と液晶パネルの間に配置され、線光源の光束を点滅制御する液晶シャッタとし、シャッタを構成する偏光板として反射型の偏光板を使用することが好ましい。また、前記照明手段として、光源を一方向に反射して収束させる反射板と、該反射板からの光束を線状に収束させる集光手段と、該集光手段により収束した光束の方向を偏向して液晶パネルに照射する偏向手段を有するものを使用することもできる。
【0013】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施の形態を示す表示装置の概要をブロック図としたものである。この図において10はTFT型の液晶パネルを示し、画像表示を行うために例えばTNセルの両端子に電圧をかけることによって、各画素毎の光透過率を制御するようにしている。制御電極は微細加工が施されているTFT(薄膜トランジスタ)によって構成されており、通常は背面に蛍光ランプを光源とするバックライト20が設けられている。
【0014】このようなTFT型の液晶パネル10は、マトリックス状に配設されているスキャン電極とデータ電極の交点で、薄膜トランジスタに印加された画像データが1フィールド期間保持されるようにドライブされる。したがって、バックライトの光源を有効に利用することができ、コントラストを高くすると共に、輝度も高くなる。
【0015】11は図示されていない例えばパーソナルコンピュータや、映像ソースから供給されている画像情報から同期信号を抽出する同期信号生成部であり、少なくとの抽出された水平同期信号と、垂直同期信号が次のタイミング生成部12に供給される。13はタイミング生成部12の信号を受けて液晶パネル10のスキャン信号を形成するスキャンドライバ、14は同じくタイミング生成部12から供給されたクロックに基づいて水平方向の画像データを供給するためのデータドライバである。15は例えばアナログ信号で映像信号が供給されているときはその信号をデジタルデータに変換すると共に、種種の図形データや、キャラクタデータをメモリから読み出して表示すべき画像信号を生成し、所定のタイミングで次の信号処理部16に供給する。
【0016】信号処理部16は液晶パネル10の表示特性に対応して輝度レベルや色相、或いはコントラスト等の表示に係わる信号処理を行う信号処理部である。そしてこの信号処理部16で適性に補正された画像データが先のデータドライバ14に供給され、1ライン毎にデータが液晶パネルに書き込まれ、通常は1フィールド期間保持される。
【0017】17は本発明の画像表示装置の全体的な制御を行っている制御部(CPU)であり、この制御部17によって表示画像の拡大、縮小、その他各種の表示モードを選択させることができるようになされている。また、18は液晶パネルのバックライトをコントロールするバックライトドライバであり、バックライト20が複数本の蛍光灯L1、L2、・・・Lnによって構成されているときは、後で述べるようにこの蛍光灯を順次発光させて複数の領域に分けて表示面を所定のタイミングで照射することができるように制御している。
【0018】なお、19は必要に応じて複数本のバックライトの駆動モードを変えるモード切替部を示すが、必ずしも必要とするものではない。また、上記映像信号生成部15には供給された映像信号の動き検出を行う動き検出部15Aを設け、この動き検出のデータを制御部17に供給してバックライトの点灯モードを変更させることができる。さらに、RAM16Aを設けうることによって、信号処理のためのデータを外部から書き換えるようにしてもよい。
【0019】図2(a)は5本の蛍光管L1、L2、L3、L4、L5によって構成されているバックライト(背面光源)20の側面から見た模式図を示す。各蛍光管L1、L2、L3、L4、L5は液晶パネルで構成されている表示部10の背面に水平ラインに沿って配置されており、5本の蛍光管と必要に応じて設けられている反射板によって表示部10を垂直方向に5分割した領域B1,B2、B3、B4、B5に背面からほぼ均一な光を照射するように配置される。表示面の分割数は2〜10程度の範囲で任意に定めることができる。
【0020】図2(b)はバックライトの他の形態を示すもので、同じく5本の蛍光管L1,L2,L3,L4,L5に対して斜め方向に平板状の反射板m1,m2,m3,m4,m5を使用し、各蛍光管L1、L2、L3、L4、L5から放出された光を上方に反射させるようにしている。この場合は、図2(a)に比較してバックライト20の厚みを薄くすることができる。なお、通常は表示部10の下面に図に示すように光拡散板を配置して表示面の照度が均一となるようにする。
【0021】図3は上記したようなバックライト20によって照射された液晶パネル10の表示面Sが、ブロックB1、B2、B3、B4、B5に分割されている状態を示しており、このように表示面Sを垂直方向に分割して所定のタイミングで時分割的に照射すると、本発明の一つの課題としている動画ボケを低減することができる。
【0022】各蛍光管L1、L2、L3、L4、L5を駆動するバックライトドライバの一例を図4に示す。先に示したタイミング生成部12から供給されているフレーム同期信号Sbは、それぞれ遅延量が異なるように設定されている5個の遅延回路13a、13a、・・・に供給され、それぞれバックライト電源部13b、13b、・・・に供給される。各バックライト電源13bは、それぞれ所定時間遅延された信号で起動され、所定の期間(パルスデューティ)蛍光灯を点灯させるよな電源電圧を各蛍光管L1、L2、L3、L4、L5に供給する。
【0023】通常は各蛍光管L1、L2、L3、L4、L5は上から下方に向かって順次点灯し、次に消滅を繰り返すように駆動されるが、後で述べるように動き検出に基づいて各フィールド遅延回路の遅延量を制御したり、各バックライト電源の出力を制御して、種種の点灯モードが設定できるようにすることが好ましい。動画ボケを解消する場合は各蛍光管の点灯時間(デューティ)が従来の常時照射型の蛍光管に比較して短くなる。しかし、後で述べるように発光輝度が高くなるように電源電圧を選ぶことによって、同一電力で同一の輝度を実現することができる。
【0024】以下、3本の蛍光管を使用し液晶の表示面を3分割した領域で照射する場合の液晶パネルの書き込みタイミングと、蛍光管の点灯タイミングを図5に示す。液晶の水平ラインをm本とすると第1の領域B1は「1〜m/3」、第2の領域B2は「(m/3)+1〜2m/3」、第3の領域B3は「(2m/3)+1〜m」本の水平(スキャン)ラインに分割される。画像データは水平ライン1から、水平ラインmまでを順次フレーム周期F(例えば1/30ms〜1/120ms)で取り込まれる。この取り込まれた画像データに対応して液晶分子が物理的に応答し、画像データに対応した光透過特性を呈するまでの各ラインの応答時間τ(以下、立ち上がり応答速度という)が各ブロックの最終水平ラインm/3、及び2(m/3)、及びフィールドの最終ラインm上に示されている。この立ち上がり応答速度τは、図面上では短い時間に設定されているが、現在のTFT型液晶パネルの場合は実際は数ms〜10数msと考えることができる。
【0025】第1の領域B1「1〜m/3」では、第1の領域の最終水平ラインm/3にデータの取り込みが終了する時点f1から、少なくともこの液晶の立ち上がり応答時間τより長いΔtを経過した時点で第1の蛍光管L1を点灯させる駆動信号SL1を発生する。次に第2の領域B2となる表示部のバックライト光源である蛍光管L2は、第2の領域の最終水平ライン2(m/3)にデータの取り込みが終了する時点f2から同様にΔt遅れた信号SL2によって起動され第2の領域B2の照射が行われる。同様に第3の領域B3は、第3の領域の最終水平ラインmにデータが取り込まれた時点f3の後、Δt後に蛍光管L3が信号SL3によって起動される。
【0026】データが取り込まれた後に液晶分子が立ち上がり、光透過率が所定の値となるまでの応答時間、すなわち、液晶の立ち上がり応答時間τが、上記のデータが書き換えられる時の液晶分子の立ち下がりの応答時間と等しいと考えると、ΔtはΔt≒(1−duty)×Fであることが好ましい。
但し、F:フィールド時間、duty:照射時間/Fまた、逆に液晶の応答速度τはτ<(1-duty−1/n)×Fであることが好ましい。ここで、1/n=Aは有効画面の垂直方向サイズに対するある時刻における照明範囲の比率を示す。
【0027】例えば、duty:50%、ブロック分割数n=5、1フィールド時間17mSの場合は上記式から液晶の応答速度は5mS以下であることが望ましく、この条件において液晶の応答速度は考慮することなく動画ボケを解消するように設計することができる。
【0028】液晶の応答速度の遅い場合はバックライト発光デューティを短くし、または表示面の分割数を増加することによって対応することができる。実際に液晶の応答速度は立ち上がり、立ち下がりが同等であることは少なく、また、応答速度が先の条件を満たさない場合がある。例えばノーマリホワイトTNモードの場合は透過率の立ち上がり速度が遅く、立ち下がりが早い。この場合はΔtを先の値と比較して適当に長くすることによって立ち上がりのボケを改善する。
【0029】各蛍光管の駆動信号を示す信号SLの立ち下がりは、当該ブロックのデータが最初のラインで書き換えられる直前、さらに詳しくは当該ラインの液晶の透過率が新しい画像データに応答する直前まで点灯しておくことができ、信号SLの斜線を引いた期間が隣接するブロックの蛍光管の発光期間と重複した領域になる。したがって、上記の実施例では蛍光管を点灯するduty{TB1、TB2,TB3}は1フレーム期間の1/3より長くすることができ、液晶パネルに対して十分な輝度を与えることができる。但し、立ち下がりが遅い場合はΔtを先の値と比較して短くするが、これらの微調整は液晶の応答特性に応じて調整すればよい。
【0030】バックライトから出射された光は理想的には表示画面を分割している領域のみに照射されることが好ましいが、実際には分割された表示面の他のブロックにも照射される。例えば、先に示した図2のように5本の蛍光灯を平行してバックライトとして配置したときは、B1領域には第2の蛍光管L2の照射光が漏れ込み、B2領域には本来のバックライトの蛍光管L2による照射光の他に隣接する蛍光管L1、およびL3の照射光が漏れ込む。このようなバックライトによる照射光の輝度を側面からみると、図6の各線種で示すように、特にバックライトの構造によってはブロックの境界付近で、時間的には異なっているが少なくとも3個のバックライトの発光が影響する場合が生じる。
【0031】したがって、表示面の各ブロックの境界線で早い動きを示す画像がある場合は、先の動画ボケが目立つことになるが、この影響を少なくするためにはさらに表示画面の分割数を多くすることにより、例えば10分割することで、動画ボケを殆どなくすることができる。なお、上記のように表示面が分割されてバックライトが照射されるようにしているときに、全バックライトを同時に点灯したときに、3点差線で示すように表示面に輝度むらが生じないように、バックライトの位置や、光拡散板を配置しておくと、上記ようにバックライトを点滅制御しても、表示面の各境界領域の輝度は積分効果によって殆ど目立たなくすることができる。
【0032】ところで、バックライトの本数を増加すると、一般的には各表示面を照射するバックライトのdutyが下がるため表示画面の輝度がそれだけ低下する。そこで、各バックライトの発光電力を高くして短時間でも十分に高輝度の発光が行われるようにすることが好ましい。
【0033】しかし、蛍光管をバックライトとするときは、駆動電力を高くしたときに高温における輝度の消滅効果を考慮する必要がある。例えば、図7はバックライトとしての蛍光管の輝度と蛍光管に投入される電力(管電流)の関係を示している。蛍光管の場合は発光効率は環境温度に依存しており管電流が増加すると蛍光管自体の発熱により効率が低下する。低電流領域で効率が最適となるように設定されている通常の蛍光管の場合は、環境温度が固定されていると管電流を増加させたときに図の点線に示すように輝度が低下する。しかし、輝度が最適となる環境温度を設定すると、図の太線で示すように管電流の増加と共に、輝度を高くすることができるようになる。
【0034】一般的には、管電流を増加したとき蛍光管の温度もそのまま上昇するが、管電流を増加してもduty駆動を行わせると、消費電力は管電流の大きさだけでは上昇しない。したがって、duty駆動にすれば、管電流を増加しても輝度が低下しないようにすることができる。つまり、図8図(a)に示すように100%のduty(常時点灯)時の電力Pnの環境温度に対して十分な輝度が得られるように設定すると、duty50%、または30%とするときは、同図(b)または(c)に示すように駆動時に管電流が増加するように制御し、輝度の平均値が高くなるようにすることができる。この場合、平均電力Pnは変化せず管温度はそれほど上昇しないので十分に発光輝度を高くすることができる。
【0035】図9は、バックライトを液晶パネルの分割された各領域に対して照射する際に、照射光を液晶シャッタによって断続するようにする場合の実施例を示す。この図においては、バックライト20はL1、L2、L3、L4からなる4本の蛍光管によって構成されており、その上方に液晶シャッタ30が設けられている。液晶シャッタ30はよく知られているように液晶板を挟んで上下に偏光板30A、30Bが配置されており、液晶シャッタの駆動電極が液晶パネルの分割領域B1,B2,B3,B4に対応して透明電極等によって配置されている。したがって、この透明電極の印加電圧を前記した信号SLのタイミングで供給すれば、液晶パネルへの照射光を分割された領域B1,B2,B3,B4毎に所定のタイミングで照射することができる。
【0036】図10は上記したような液晶シャッタを使用する場合のバックライトの他の実施の形態を示す。この実施例ではバックライトの光源部20の上方に液晶シャッタ30が配置されており、その上方に光拡散板を介して液晶パネル10が載置されている。この液晶シャッタ30の偏光板としては反射型偏光板30c、および30dが液晶の両面に配置され、図9の場合と同様に液晶シャッタ30の駆動電極が液晶パネル10の分割領域に対応して設けられている。光源部20は内面が全て反射板で囲われており内部に蛍光管を配置してもよいが、この光源部20に面発光型の光源を内蔵するようにしてもよい。
【0037】反射型偏光板30(c、d)は特定の偏波面の光を透過するが、偏光面に一致していない光、例えばs波を吸収しないで反射するような特性を持たせる。すると、シャッタが開いている領域からは例えばp波を透過して液晶パネルに照射され、シャッタが閉じた領域の光は図示しているようにs波が光源部20側に全反射され光源部20においてその偏光面が回転した光が再びシャッタが開いている領域から液晶パネル側に放出される。したがって、液晶シャッタ部を透過する光が増加し、光源部20の光を有効に利用することができ、反射型の通常の偏光板を使用する場合に比較して照射光の輝度を高くすることができる。また、偏光板において光の吸収がないので耐熱性を付加することができる。
【0038】このような反射型の偏光板は、例えば3MDBEF(商品名)として実用化されており、偏光フィルムの形で液晶パネルの背面偏光板に貼付することによって耐熱性を付加すると共に、液晶パネルの前面側の偏光板と共用できるため本発明の液晶表示装置との適合性を高くする。
【0039】図11は点光源または線光源とされている光源31を使用したバックライト30の実施例を示す。この図に示されている照射型のバックライトは高輝度の発光源(メタルハロイドランプ)31を利用できるようにしたものである。光源31の出射光は楕円状のリフレクター32によってほぼ平行光とされ、シリンドリカルレンズ33によって直線状に絞り込まれる。34は多角形の回転ミラー(ポリゴンミラー)であり、シリンドリカルレンズ33によって直線状に絞り込まれた光束を拡散板10Aを介して液晶パネル10側に反射して照射する。
【0040】回転ミラー34を液晶パネル10に表示される画像のフレーム周期に対応してその回転位相、及び回転数を制御すると、斜線で示した領域に光束を照射することがことができ、この光束部分が矢印方向に移動することによって液晶パネルの全面を時分割的に照射するバックライトが構成される。本実施例はバックライトが高輝度にできるため、スクリーンに映像を投影する液晶パネル(液晶プロジエクタ)のバックライトとして好適である。
【0041】上記各実施例は光源として主に蛍光管を使用する場合について述べたが、発光源としては、近年開発されているフラットタイプの表示装置であるPDP(プラズマディスプレイパネル)の発光源を使用してもよい。また、フラットな光源として実用化されている有機EL板を面発光源とし使用すると、液晶パネルの分割された領域を照射する出射光の制御が極めて容易にできる。
【0042】さらに、高輝度の発光ダイオードを平板状に配置して面光源を作り、液晶パネルの背面に配置すると、その発光領域と発光タイミングがスキャンドライバの制御パルスを利用して簡単に制御することができるようになる。
【0043】また、図1に示されているように動き検出15Aで表示すべき画像の動き検出を行うと、その検出結果に対応してバックライトの点滅モードを動きに応じて変更させることができる。たとえば、表示画面に動きのない静止画の場合は、その期間はバックライトを構成する蛍光管の点滅制御を、図1のモード切換部19から出力される信号によって全面点灯モードに変更する。または液晶シャッタの全てのシャッタ領域オープンにするように制御する等によって高輝度の表示が可能になるようにする。
【0044】また、動きの程度によって画面を表示している領域の分割数を変更するように制御してもよい。例えば、バックライトの蛍光管数を増加してしておき、極めて動きの激しい画像の場合は表示面の分割数を増加するように各蛍光管の発光タイミングを定めると共に、動きの少ない場面では分割数が小さくなるように蛍光管の発光タイミングを制御し、同時に発光輝度の制御をする。このような制御は図4に示した各フィールド遅延回路13a、およびバックライト電源13bを制御部17からのコマンド信号に基づいて行えばよい。
【0045】図12(a)は、本発明の表示装置に適応することができる、バックライトの他の実施の形態を示す。この図において21A、21Bは蛍光管、またはハロゲンランプ等からなる光源であり、22はアクリル樹脂等によって形成されている導光板である。導光板22の一方の面には反射板23が設けられ、他方の面には表示装置としての液晶パネルが配置される。
【0046】導光板22の中心部には電圧が印加されることによって等方性の光透過特性が異方性の光透過特性に変化する液晶板24が埋設されている。液晶板24は例えば正の誘電率異方性を有するネマティック液晶が使用され、その配行方向は導光方向と平行になっている。そして、一方の面はコモン電極とされ、他方の面にはストライプ状の電極(共に透明電極)が形成されている。電圧が印加された電極部分の領域Lwからは導光板22内をジグザグ状に反射しながら進行している光源21(A,B)の光が取り出されるようにしている。このような光学素子はHーPDLC(ホロク゛ラフイック ホ゜リマー テ゛ィスハ゜ース゛ト゛ リキット゛クリスタル)と呼ばれている。
【0047】図12(b)は導光板22の一部を拡大図としたもので、液晶板24は液晶パネルと同様に微細な間隔で水平方向に電極によって区分されている。すなわち、下面はコモン電極面28とされるが、上面には水平方向に数ミクロンの間隔で多数のストライプ電極27が形成され、このストライプ電極27を表示装置の分割数に対応してブロック化し引き出すようにしている。液晶板24の上下間の電極に電圧が印加されていないときは、導光板22は等方性の透過特性となっており、光源21A、21Bから出射光は導光板22の上面、および下面で全反射を受けて図のように光源12(A,B)間を往復している。
【0048】しかし、液晶板24のある領域Lwに電圧が印加されると、この領域26の液晶分子はストライプ状に図12(b)に示すように変移し、この変移領域と変移していない領域が例えばp偏光波に対して回析格子を形成する。するとこの回析格子となっている部分を通過する光は異方性により、一方の側から侵入した光は上方に、他方の方向から侵入した光は下方に進路を変える。但し、s偏光波はそのまま導光されるが、光源、リフレクタによる反射屈折を繰り返すことにより偏光情報が失われ、再度他端から導光板に入射される。上方に反射した例えばp偏光波はそのまま液晶パネルの分割した領域を照射すると共に、下方に反射した偏光波も反射板23によって反射され、結果的に液晶パネル側に照射される。
【0049】ストライプ電極27の選択パターンを液晶パネルの分割表示領域に合わせて設定することにより液晶パネルの任意の部分に光を照射することができるバックライトを構成することができる。図(c)に示されているように背面の反射板23を山形に変形すると、導光板22内の平行光もジグザグに全反射をくり返すようになり、出射光をより多くすることができる。また、この実施例のバックライトからは偏光方向が揃った光のみが出射されるため液晶表示装置の照明光として好適になる。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように本発明の液晶表示装置は、透過型の液晶パネルの表示面を所定の領域に分割すると共に、この分割された領域に対して所定のタイミングで光を照射するようにしているので、特に、高コントラスト、高輝度が要望されているTFT型液晶表示装置の場合に、動画によるボケを殆どなくすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態を示す液晶表示装置のブロック図である。
【図2】蛍光管を適応したバックライトの説明図である。
【図3】本発明の実施の形態を示す液晶表示装置の全体図を示す模式図である。
【図4】バックライトの駆動系を示すブロック図である。
【図5】液晶パネルのデータの書き込みとバックライトの点滅タイミングを示す波形図である。
【図6】5分割されたときのバックライトの輝度分布を示す説明図である。
【図7】蛍光管の輝度と消費電力の関係を示すグラフである。
【図8】バックライトを所定のデューティで駆動したときの電力の説明図である。
【図9】液晶シャッタをバックライトの制御に使用する時の説明図である。
【図10】液晶シャッタと反射型偏光板の組み合わせを示す側面図である。
【図11】高輝度のバックライトを実現するときの実施の形態を示す模式図である。
【図12】H−PDLCをバックライトとするときの説明図である。
【図13】液晶表示装置で起きる動画ボケの説明図である。
【符号の説明】
10 液晶パネル、11 同期生成部、12 タイミング発生部、13 スキャンドライバ、14 データドライバ、15 映像信号生成部、16 信号処理部、17 制御部、18 バックライトドライバ、20 バックライト

【特許請求の範囲】
【請求項1】 複数のゲート線と複数のデータ線と、前記ゲート線と前記データ線との交点に対応してマトリックス状に配置された画素セルからなる液晶パネルと、前記液晶パネル上に画像を表示するために、前記ゲート線を選択すると共に、前記データ線に画像を表示するための画像信号を供給する駆動手段と、前記駆動手段が駆動する周期に対応して前記液晶パネルの一部分を点滅させて照明する照明手段と、を有することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】 前記液晶パネルは前記駆動手段により線順次で駆動され、前記照明手段が前記線順次の駆動タイミングに応じて点滅されることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】 前記液晶パネルの一部分が前記駆動手段により駆動された後に、前記照明手段が前記液晶パネルの駆動された部分を照明する点灯タイミングが所定時間遅れていることを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】 前記点灯タイミングの遅れは次式を満足していること特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置。
Δt=(1-duty)×F但し Δt:点灯のタイミング遅れduty:照明手段の点滅のテ゛ューティF :駆動手段が1フィールドの画像信号を駆動するために要する時間
【請求項5】 前記液晶パネルの液晶応答速度が次式を満足することを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置。
τ<(1−duty−A)×F但し τ:液晶の応答時間A:液晶パネルの縦方向に対する照明手段の照明範囲の比
【請求項6】 前記照明手段が複数の線光源からなることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項7】 前記照明手段が動作中は常時点灯している線光源と、該線光源と液晶パネルの間に配置され、線光源の光束を点滅制御する液晶シャッタとを有することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項8】 前記照明手段が、前記光源を一方向に反射して収束させる反射板と、該反射板からの光束を線状に収束させる集光手段と、該集光手段により収束した光束で液晶パネルの背面を走査するように照射する偏向手段とを有することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項9】 前記液晶パネルがアクティブマトリックス型の液晶パネルによって構成されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。

【図6】
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【図10】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図7】
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【図4】
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【図5】
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【図8】
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【図9】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2002−6815(P2002−6815A)
【公開日】平成14年1月11日(2002.1.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2000−191092(P2000−191092)
【出願日】平成12年6月21日(2000.6.21)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】