説明

液晶表示装置

【課題】液晶変調素子に新たな構成を追加することなく、液晶層内での荷電性粒子の堆積による影響を回避する。
【解決手段】液晶表示装置は、第1の電極103及び第2の電極107、第1の電極と第2の電極との間に配置された液晶層105、第1の電極と液晶層との間に配置された第1の配向膜104、及び第2の電極と液晶層との間に配置された第2の配向膜106を含む液晶変調素子2R,2G,2Bと、液晶変調素子の変調動作状態において、前記液晶層に生じる電界の符号が周期的に反転するように第1及び第2の電極にそれぞれ第1及び第2の電位を与える制御手段3とを有する。制御手段は、変調動作状態以外の状態において、前記液晶層に生じる電界の符号が一定となるように該第1及び第2の電極にそれぞれ第3及び第4の電位を与える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】

本発明は、液晶変調素子を用いたプロジェクタ等の液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶変調素子には、透明電極(共通電極)を有する第1の透明基板と、画素を形成する透明電極(画素電極)や配線、スイッチング素子等を有する第2の透明基板との間に誘電異方性が正であるネマチック液晶を封入したものがある。この液晶変調素子は、液晶分子長軸を2枚のガラス基板間で連続的に90°ねじった、いわゆるTN(Twisted Nematic)液晶変調素子と称され、透過型の液晶変調素子として用いられている。また、上記第2の透明基板に代えて、反射鏡、配線及びスイッチング素子等を有する回路基板を用いたものもある。この液晶変調素子は、液晶分子長軸を2枚の基板に対してほぼ垂直にモメオトロピック配向させた、いわゆるVAN(Vertical Arrangement Nematic)液晶変調素子と称され、反射型液晶素子として用いられている。
【0003】
これらの液晶変調素子では、一般に、ECB(Electrically Controlled Birefringence)効果を利用し、液晶層を通過する光波動に対してリタデーションを与える(偏光状態を変化させる)作用を制御して画像を形成する。
【0004】
このようなECB効果を用いて光強度を変調する液晶変調素子においては、液晶層に電界を印加することによって、該液晶層に存在する荷電性粒子(イオン性物質)が移動する。液晶層に直流電界を与え続けると、荷電性粒子が、対向する2つの電極のどちらかに引き寄せられる。これにより、電極に与えられる電圧が一定であっても、液晶層に与えられる電界が荷電性粒子の電荷によって増減し、実質的に液晶層へ印加される電界が減衰又は増大する。
【0005】
このような現象を回避するために、一般に、配列画素のラインごとに、印加する電界の正負極性を反転し、かつ該極性を60ヘルツ等の所定周期で切り換えるライン反転ドライブ方法が採用される。また、配列画素の全てに印加する電界の正負極性を所定周期で反転するフィールド反転ドライブ方法も用いられる。これらのドライブ方法により、液晶層にかかる電界が一定の極性にならないようにし、イオンの偏りを防止することができる。
【0006】
このことは、液晶層に対する実効電界を、電極に印加される電圧に対して常に同じ値となるようにすることに相当する。
【0007】
ところが、液晶層の内部や液晶層を囲む外壁材等にも荷電性粒子が存在しており、特に高温環境下において液晶を駆動することで、これらの荷電性粒子がドリフト(移動)する。そして、これらの荷電性粒子は、液晶層内部で直流電界成分となり、液晶層界面の配向膜又は電極界面に付着し、液晶分子の配向方向に沿ってドリフト及び堆積することになる。
【0008】
また、有機配向膜を有する液晶変調素子においては、高温環境下において液晶を駆動することによる荷電性粒子のドリフトに加え、液晶変調素子に光が入射することによって配向膜や液晶やシール材等の有機材料が分解されて荷電性粒子が発生する。これらの荷電性粒子も、液晶層内部で直流電界成分となり、液晶層界面の配向膜又は電極界面に付着し、さらに液晶分子の配向方向にドリフト及び堆積する。
【0009】
そして、液晶層の特定領域に堆積した荷電性粒子によって、液晶に印加される実効電界が変化することで、所望のECB変調が行われず、画像の品位を劣化させる。例えば、液晶表示素子の有効表示領域内で輝度むらを生じさせる。
【0010】
このような問題に関する対策が、特許文献1〜4にて開示されている。
【0011】
特許文献1には、画像表示動作時以外のときに、液晶セルの画素電極及び対向電極の少なくとも一方の電位をグランドレベルにすることによって、焼きつき現象を起こす要因となるイオンを配向膜や電極界面から解離させる方法が開示されている。
【0012】
また、特許文献2には、液晶変調素子の非表示領域にイオントラップ電極領域を設け、該イオントラップ電極に直流電圧を印加することで画像表示に影響を与えない非表示領域のイオントラップ電極領域に不純物イオンを吸着する方法が開示されている。
【0013】
また、特許文献3には、画素電極と異なる位置に金属膜電極を配置し、金属膜電極と共通電極との間に直流電圧を印加することで、表示領域における可動性イオンの濃度を低減し、フリッカー現象を抑制する方法が開示されている。
【0014】
さらに、特許文献4には、液晶封入口近傍の2枚の電極基板に設けられた対向する面に、透明電極と独立して設置されたイオントラップ電極を設け、このイオントラップ電極に電圧を印加してイオン性不純物をトラップする方法が開示されている。
【0015】
以上のように、外部からの電圧制御によって液晶変調素子内部の荷電性粒子をコントロールすることで、画像表示の品位を良好にすることが可能である。
【特許文献1】特開2005−55562号公報
【特許文献2】特開平8−201830号公報
【特許文献3】特開平11−38389号公報
【特許文献4】特開平5−323336号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、特許文献1にて開示された方法では、液晶変調素子の回路内部に対向電極をグランドレベルに落とすためのスイッチング部を設ける必要があるため、液晶変調素子の製造工程が増える。また、対向電極をグランドレベルにするだけでは、配向膜や電極界面に付着しているイオンを引き剥がす力がクーロン力に比べて弱く、効果が低い。
【0017】
また、特許文献2〜4にて開示されている方法では、非表示領域に新たにイオンを引き寄せるイオントラップ電極を設けるため、やはり製造工程が増加する。しかも、イオン不純物の引き寄せはクーロン力で行われるが、クーロン力は距離の2乗に反比例するため、イオントラップ電極から離れた位置に発生するイオンを効率良く引き寄せることができない。
【0018】
本発明は、液晶変調素子に新たなスイッチング部やイオントラップ電極等の構成を追加することなく、液晶層内での荷電性粒子の堆積による影響を回避できるようにした液晶表示装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の一側面としての液晶表示装置は、第1及び第2の電極、該第1の電極と第2の電極との間に配置された液晶層、第1の電極と液晶層との間に配置された第1の配向膜、及び第2電極と液晶層との間に配置された第2の配向膜を含む液晶変調素子と、液晶変調素子の変調動作状態において、液晶層に生じる電界の符号が周期的に反転するように第1及び第2の電極にそれぞれ第1及び第2の電位を与える制御手段とを有する。そして、制御手段は、変調動作状態以外の状態において、液晶層に生じる電界の符号が一定となるように該第1及び第2の電極にそれぞれ第3及び第4の電位を与えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、変調動作状態において第1及び第2の電位が与えられる電極に第3及び第4の電位を与えることで、液晶層と配向膜との界面に付着したり液晶層内で堆積したりした荷電性粒子を強制的に該界面から解離させたり拡散させたりすることができる。このため、液晶変調素子に新たなスイッチング部やイオントラップ電極等の構成を追加することなく、荷電性粒子の影響による画像の品位の低下を抑制することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の好ましい実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0022】
図1には、本発明の実施例1である液晶表示装置としての液晶プロジェクタ(画像投射装置)の構成を示している。
【0023】
3は制御手段としての液晶パネルドライバであり、パーソナルコンピュータ、DVDプレーヤ、テレビチューナ等の画像供給装置50から入力された画像情報を、レッド用、グリーン用及びブルー用パネル駆動信号に変換する。各パネル駆動信号は、反射型液晶変調素子であるレッド用液晶パネル2R、グリーン用液晶パネル2G及びブルー用液晶パネル2Bにそれぞれ入力される。これにより、3つの液晶パネル2R,2G,2Bは互いに独立に駆動される。液晶パネル2R,2G,2Bは、パネル駆動信号に応じた変調動作によって後述する照明光学系からの光(色分解された光)を変調する。これにより、画像供給装置50から入力された画像情報の各色成分に応じた画像を表示する。
【0024】
1は照明光学系であり、図中の枠内の左側にはその上面図を、右側にはその側面図を示している。照明光学系1は、光源ランプ、放物面リフレクタ、フライアイレンズ、偏光変換素子、コンデンサーレンズ等を含み、偏光方向が揃った直線偏光光(S偏光)としての照明光を射出する。
【0025】
照明光学系1からの照明光は、マゼンタ色を反射してグリーン色を透過するダイクロイックミラー30に入射する。照明光のうちマゼンタ色成分はこのダイクロイックミラーで反射され、ブルー色の偏光に半波長のリタデーションを与えるブルークロスカラー偏光子34を透過する。これにより、図の紙面に平行な方向を偏光方向とするブルー色の直線偏光(P偏光)と、図の紙面に垂直な方向を偏光方向とするレッド色の直線偏光(S偏光)とが生成される。
【0026】
ブルー色のP偏光は、第1の偏光ビームスプリッタ33に入射し、その偏光分離膜を透過して、ブルー用液晶パネル2Bに導かれる。また、レッド色のS偏光は、第1の偏光ビームスプリッタ33の偏光分離膜で反射されて、レッド用液晶パネル2Rに導かれる。
【0027】
一方、ダイクロイックミラー30を透過したグリーン色の直線偏光光(S偏光)は、光路長を補正するためのダミーガラス36を透過し、次に第2の偏光ビームスプリッタ31に入射する。そして、グリーン色のS偏光は、その偏光分離膜で反射されて、グリーン用液晶パネル2Gに導かれる。
【0028】
このようにして、レッド用、グリーン用及びブルー用液晶パネル2R,2G,2Bは照明光によって照明される。
【0029】
そして、各液晶パネルに入射した光は、各液晶パネルに配列された画素の変調状態に応じて偏光のリタデーションが付与されるとともに、該液晶パネルによって反射されて射出する。反射光のうち照明光と同じ偏光方向を有する偏光成分は、照明光の光路を逆に辿って照明光学系1側に戻る。
【0030】
また、反射光のうち照明光の偏光方向に対して直交する偏光方向を有する偏光成分(変調光)は以下のように進む。P偏光であるレッド用液晶パネル2Rによる変調光は、第1の偏光ビームスプリッタ33の偏光分離膜を透過する。次に、レッド色の偏光に半波長のリタデーションを与えるレッドクロスカラー偏光子35を透過してS偏光とされる。そして、該レッド色のS偏光は、第3の偏光ビームスプリッタ32に入射し、その偏光分離膜で反射されて、投射レンズ4に導かれる。
【0031】
S偏光であるブルー用液晶パネル2Bによる変調光は、第1の偏光ビームスプリッタ33の偏光分離膜で反射され、レッドクロスカラー偏光子35をリタデーション作用を受けることなく透過して第3の偏光ビームスプリッタ32に入射する。該ブルー色のS偏光は、第3の偏光ビームスプリッタ32の偏光分離膜で反射されて、投射レンズ4に導かれる。
【0032】
P偏光であるグリーン用液晶パネル2Gによる変調光は、第2の偏光ビームスプリッタ31の偏光分離膜を透過して、光路長を補正するためのダミーガラス37を透過し、第3の偏光ビームスプリッタ32に入射する。該グリーン色のP偏光は、第3の偏光ビームスプリッタ32の偏光分離膜を透過して、投射レンズ4に導かれる。
【0033】
こうして色合成された3色の変調光は、投射レンズ4によって被投射面である光拡散スクリーン5に投射される。これにより、フルカラー画像が表示される。
【0034】
本実施例にて用いられているレッド用液晶パネル2R、グリーン用液晶パネル2G及びブルー用液晶パネル2Bは、垂直配向モード(例えば、VAN型)の反射型液晶変調素子である。
【0035】
図2には、レッド用液晶パネル2R、グリーン用液晶パネル2G及びブルー用液晶パネル2Bに共通の断面構造を示している。光が入射する側から順に、101はARコート膜、102はガラス基板である。また、103はガラス基板102上に形成されたITO等により形成される透明電極膜(第1の電極)である。104は透明電極膜103と後述する液晶層との間に配置された第1の配向膜である。105は第1の配向膜104と第2の配向膜106との間に配置された液晶層である。107は透明電極膜103に対向配置され、アルミ等の金属により形成された反射画素電極層(第2の電極)である。108は反射画素電極層107が形成されたSi基板である。なお、透明電極膜103及び反射画素電極層107は、以下まとめて電極層という場合もある。
【0036】
図9には、画像表示のための変調動作状態(液晶駆動状態)における液晶パネルドライバ3による電極層103,107への印加電圧の制御によって、液晶層105に生じる実効電界を示している。横軸は時間、縦軸は液晶層105の実効電界(電位差)である。液晶パネルドライバ3は、コンピュータプログラムを内部に格納し、該プログラムに従って、電極層103,107への印加電圧を制御する。
【0037】
なお、以下の説明において、各電極又は液晶層への印加電圧とは、不図示のグランド(0V)を基準とした電位(グランドとの間の電位差)を意味する。また、反射画素電極層107に与えられる交流電位の中心値を中心電位という。
【0038】
反射画素電極層107を介して液晶層105の反射電極側端部に与えられる電圧(電界)は、特定周期αを持った交流電圧(実線)V2であり、透明電極膜103を介して液晶層105の透明電極側端部に与えられる電圧(電界)は、直流電圧(破線)V1である。このとき、透明電極膜103に与えられる直流電圧は第1の電位に相当し、反射画素電極層107に与えられる交流電圧は第2の電位に相当する。
【0039】
液晶層105に生じる実効電界は、これら交流電圧V2と直流電圧V1との差に応じて発生し、特定周期αで正の電界PVと負の電界NVとが交互に切り換わる交流電界である。すなわち、液晶層105に生じる電位差が正と負とに周期的に変化する。更に言い換えれば、液晶層に生じる電界の符号が周期的に反転するように(正と負とに周期的に変化するように)両電極に電位を(電位差を)与える。液晶変調素子の変調動作状態(画像表示状態)においては、上記のような電圧(電位、電界)の制御を制御手段によって行う。
【0040】
ここで、特定周期αは、NTSC方式では1/120秒、PAL方式では1/100秒であり、1フィールドの周期に相当する。2つのフィールド周期(1/60秒又は1/50秒)で1フレーム画像が表示される。ただし、特定周期αは、1フレーム画像の表示周期に相当するものであってもよい。
【0041】
また、正の電界PVと負の電界NVは、両電極層103,107に与えられる電圧(電界)に、配向膜104,106の抵抗による電圧降下や、各配向膜でトラップされる電荷(電子やホールの電荷)の作り出す微小な電圧(電界)が全て重畳されたものである。
【0042】
図3には、レッド用液晶パネル2R、グリーン用液晶パネル2G及びブルー用液晶パネル2Bをガラス基板102側から見て示している。110は第1配向膜104によって配向された液晶分子のダイレクタ方向(プレチルト方向)である。111は第2の配向膜106によって配向された液晶分子のダイレクタ方向(プレチルト方向)である。112は液晶パネルの有効表示領域であり、ダイレクタ方向110及び111はともに配向膜面の法線に対して数度傾いており、かつ傾く方向が互いに相反している。
【0043】
有効表示領域112の短辺112a及び長辺方向112bに対して約45度の方向に配向処理がなされている。
【0044】
プロジェクタでは、高輝度なランプからの光照射により、液晶パネル2R、2G、2Bの温度が上昇し、常温動作環境下においては約40度になるように制御される。しかし、プロジェクタを長期間使用すると、液晶パネル2R、2G、2Bは長期間にわたって昇温状態(高温状態)となり、さらに液晶分子が画像表示のために駆動されることで、以下のような問題が生じる。
【0045】
液晶層105の内部やその周辺の有機物質であるシール材料、第1の配向膜104,第2の配向膜106及び電極層103,107等の界面付近には、荷電性粒子113が存在する。この荷電性粒子113は、上記長期間使用によって、図4及び図5に示すように、反射画素電極層107側の第2の配向膜106との界面に沿って液晶分子のダイレクタ方向に進み、有効表示領域112の第2の配向膜106側の対角領域に堆積する。ここでの荷電性粒子113の電荷は、負の符号の電荷である。なお、図4は液晶パネルの断面図、図5は液晶パネルをガラス基板102側から見た図である。
【0046】
そして、上記のように第2の配向膜106と液晶層105との界面に堆積した荷電性粒子113によって、液晶層105に生じる実効電界が変化してしまう。その結果、荷電性粒子が堆積した領域の画像の品位が低下してしまう。
【0047】
本実施例は、このように堆積した荷電性粒子113を第2の配向膜106の界面及び有効表示領域112の対角領域から浮遊させるために、液晶パネルドライバ3によって、電極層103,107への印加電圧の制御を行う。この印加電圧制御は、プロジェクタの変調動作状態以外の状態(以下、非変調動作状態という)、つまりは液晶層105に上述した交流電界を生じさせていない状態(電極層103,107に第1及び第2の電位を与えていない状態)にて行われる。
【0048】
まず、図6に示すように、堆積した荷電性粒子113を液晶層105の内部に浮遊させるために、透明電極膜103に正の電圧(第3の電位)を、反射画素電極層107に負の電圧(第4の電位)を印加する。ここで、反射画素電極層107に印加する電圧は負で無くても構わない。具体的には、反射画素電極層107に印加する電圧と透明電極膜103に印加する電圧とを比較したときに、反射画素電極層107に印加する電圧が相対的に負の電圧(同じ符号の電圧)になれば足りる。すなわち、反射画素電極層107に印加する電圧が、透明電極膜103に印加する電圧よりも低ければ(マイナス側であれば)よい。もちろん、反射画素電極層107に印加する電圧と透明電極膜103に印加する電圧との両者をプラスの電圧にしても、両者をマイナスの電圧にしても、一方をプラス、他方をプラスにしても、上述の条件を満足していればよい。これは後述する実施例においても同じである。
【0049】
図7には、両電極層103,107に対する印加電圧103a,107aを示す。図7から分かるように、反射画素電極層107への印加電圧(第4の電位)107aは、透明電極膜103への印加電圧(第3の電位)103aに対して負の電圧である。両電極層103,107への印加電圧103a,107aは、時間に経過によって変化しない一定の直流電圧である。ただし、ここにいう一定の電圧とは、全く変動がない電圧だけでなく、電源電圧の変動や制御誤差等によって同一電圧とみなせる範囲でのみ変動する電圧も含む。このことは、後述する他の実施例でも同じである。
【0050】
これにより、液晶層105には、周期的に正と負に変化しない負の直流電界が発生する。なお、周期的に正と負に変化しないように、液晶層105に直流電界を印加する範囲内において、その直流電界の強さが変動しても構わない。すなわち、両電極の電圧(電位)は変化しても構わないが、一方の電極の電圧(電位)に対する他方の電極の電圧(電位)の符号が変化しない方が望ましい。更に言い換えれば、液晶層に生じる電界の符号が一定となるように(正のまま一定、或いは負のまま一定となるように)両電極に電位を(電位差を)与える。液晶変調素子の変調動作状態以外(画像非表示状態、装置起動中、スリープ状態中、装置終了動作中等)においては、上記のような電圧(電位、電界)の制御を制御手段によって行う。
【0051】
また、透明電極膜103及び反射画素電極層107に印加される電圧は、液晶層105の面内方向、すなわち厚さ方向に対して直交する方向(液晶パネルの表示面内方向又は変調面内方向とも言える)において、同じである。但し、荷電性粒子が堆積している領域の液晶層に印加される電圧を高くし(両電極間の電位差を大きくし)、その他の荷電性粒子の堆積量が少ない領域の液晶層に印加される電圧を低くするようにしても良い。
【0052】
そして、このような印加電圧制御を、非変調動作状態にて所定時間の間行う。これにより、図8のように液晶層105と第2の配向膜106の界面に付着又は堆積した負の荷電性粒子113は、反射画素電極層107に印加された負の電圧に対するクーロン力による反発力によって、該界面から解離して液晶層105の内部に浮遊していく。
【0053】
ここで、所定時間とは、上記堆積した荷電性粒子113の大部分(例えば、70%以上)又は全てが、第2の配向膜106の界面から離れて、液晶層105の内部に浮遊するまでの時間である。
【0054】
また、上記のように、液晶層105との界面に荷電性粒子113が堆積する第2の配向膜側の反射画素電極層107に印加される電圧の符号は、該荷電性粒子113の符号と同じ負である。
【0055】
本実施例によれば、液晶層105と第2の配向膜106との界面に堆積した荷電性粒子113を、該界面から解離させて液晶層内にて浮遊させる。これにより、堆積した荷電性粒子113の影響による画像の品位の低下を抑制することができる。
【0056】
なお、本実施例では、液晶層105と第2の配向膜106との界面に堆積する負の荷電性粒子113を界面から解離させる場合について説明したが、液晶層105と第1の配向膜104との界面には正の荷電性粒子が堆積する可能性がある。この場合も、上記と同様の印加電圧制御を行うことで、荷電性粒子を界面から解離させ、浮遊させることができる。この場合、液晶層105との界面に正の荷電性粒子が堆積する第1の配向膜104側の透明電極膜103に印加される電圧の符号は、荷電性粒子の符号と同じ正とするとよい。
【実施例2】
【0057】
実施例1でも説明したように、プロジェクタの長期間使用によって、負の荷電性粒子113が、第2の配向膜106側において液晶層105の有効表示領域112の一方の対角方向における対角領域付近に堆積する。
【0058】
本実施例では、荷電性粒子113が堆積した対角方向とは異なる対角方向に荷電性粒子113を引き寄せて、荷電性粒子113を拡散(移動)させる。なお、本実施例において、実施例1と共通する構成要素には、実施例1と同符号を付す。このことは、後述する他の実施例でも同じである。
【0059】
また、本実施例においても、変調動作状態では図9にて説明した交流電界が液晶層105に生ずるように透明電極膜103と反射画素電極層107への印加電圧が制御される。このことは、後述する他の実施例においても同じである。
【0060】
一方、非変調動作状態では、透明電極膜103と反射画素電極層107に、液晶層105の面内方向においてこれらに印加される電圧の差(電極間電位差)が変化するように、すなわち分布を持つように電圧が印加される。具体的には、液晶層105内の荷電性粒子がより多く堆積する領域に対して、より大きい電極間電位差が生ずるように透明電極膜103と反射画素電極層107への印加電圧が制御される。このような印加電圧制御が、所定時間の間、行われる。
【0061】
図10には、反射画素電極層107に印加する有効表示領域112内での電圧の分布を示す。印加電圧が大きい領域122を明るく(白色で)示し、印加電圧が小さくなるに連れて暗くなる(グレーとなる)領域123として示し、印加電圧が0の領域124を黒で示している。また、有効表示領域112に対応する反射画素電極層107の画素有効領域を太線125で示している。
【0062】
図10から分かるように、荷電性粒子113が堆積する対角方向Aについては、電極間電位差は一定とし、対角方向Aでの対角線上及びその近傍の領域124の電極間電位差は0としている。一方、もう1つの対角方向Bについては、電極間電位差の変化を大きくし、対角領域に近いほど電極間電位差を高くしている。
【0063】
なお、領域122は最も荷電性粒子113が堆積する領域であり、第1の領域に相当する。また、領域123及び領域124は、領域122に対する第2の領域に相当する。さらに、領域123と領域124との間ではそれぞれ、第1の領域と第2の領域に相当する。
【0064】
本実施例では、図11〜図13に示すように両電極層103,107への印加電圧(第3及び第4の電位)を設定する。
【0065】
図11は、図10中の領域124での印加電圧を示す。透明電極膜103への印加電圧103bと反射画素電極層107への印加電圧107bはともに、時間の経過によって変化しない一定の直流電圧である。また、両印加電圧103b,107bは一致しており、電極間電位差は0となる。
【0066】
なお、一致するとは、完全に一致する場合だけでなく、制御誤差等によって一致しているとみなせる範囲でのみ差がある場合も含む。このことは、後述する他の実施例でも同じである。
【0067】
また、図12は、図10中の領域122での印加電圧を示す。反射画素電極層107への印加電圧107bは交流電圧であり、該交流電圧の最小値と透明電極膜103への印加電圧103bとが一致している。透明電極膜103への印加電圧103bは、直流電圧である。
【0068】
このような印加電圧制御は、反射画素電極層107に、透明電極膜103に対して、反射画素電極層107への印加電圧107bの時間積分値(図中に点線で示す)に相当する正の直流電圧を印加することと等価である。
【0069】
図13は、図10中の領域123での印加電圧を示している。領域122と同様に、反射画素電極層107への印加電圧107bは交流電圧であり、該交流電圧の最小値と透明電極膜103への印加電圧103bとが一致している。透明電極膜103への印加電圧103bは、直流電圧である。ただし、反射画素電極層107に印加される交流電圧の最大値は、領域122で反射画素電極層107に印加される交流電圧の最大値よりも低い。
【0070】
このような印加電圧制御は、反射画素電極層107に、透明電極膜103に対して、反射画素電極層107への印加電圧107bの時間積分値(図中に点線で示す)に相当する正の直流電圧を印加することと等価である。
【0071】
この結果、領域122には、領域123よりも大きい電極間電位差120が与えられ、より高い直流電圧が印加されることになる。
【0072】
図14には、液晶パネルの断面構造を示している。この図には、上記領域122,123,124のうち液晶層105の印加電圧が0である領域124を除く領域122,123で液晶層105に印加される電圧の符号を示す。上述したように、反射画素電極層107の印加電圧107bは、透明電極膜103の印加電圧103bに対して正の電圧であり、液晶層105にも周期的に正と負に変化しない正の直流電界が生じる。
【0073】
液晶層105との界面に荷電性粒子113が堆積する第2の配向膜側の反射画素電極層107に印加される電圧の符号は、該荷電性粒子113の符号とは異なる正である。しかし、反射画素電極層107への印加電圧107bは、荷電性粒子113が堆積する対角方向Aとは異なる対角方向Bにおける対角領域に向かって高くなる。
【0074】
このため、第2の配向膜106の界面における対角方向Aに堆積した負の荷電性粒子113は、図15に示すように、クーロン力により対角方向Bに引き寄せられ、液晶層105内部で拡散する。
【0075】
本実施例において前述した所定時間とは、上記対角方向Aにおいて堆積した荷電性粒子113の大部分(例えば、70%)又は全てが、他の対角方向Bに拡散するまでの時間である。
【0076】
このようにして、特定の対角方向に堆積した荷電性粒子113を拡散させることにより、荷電性粒子113の堆積の影響による画像の品位の低下を抑制することができる。
【実施例3】
【0077】
実施例2でも説明したように、プロジェクタの長期間使用によって、負の荷電性粒子113が、第2の配向膜106側において液晶層105の有効表示領域112の一方の対角方向における対角領域付近に堆積する。
【0078】
本実施例では、実施例2と同様に、非変調動作状態において、荷電性粒子113が堆積した対角方向とは異なる対角方向に荷電性粒子113を引き寄せて、荷電性粒子113を拡散させる。具体的には、実施例2で図10を用いて説明したのと同様に、透明電極膜103と反射画素電極層107に、液晶層105の面内方向においてこれらに印加される電圧の差(電極間電位差)が変化するように電圧が印加される。具体的には、液晶層105内の荷電性粒子がより多く堆積する領域に対して、より大きい電極間電位差が生ずるように透明電極膜103と反射画素電極層107への印加電圧が制御される。このような印加電圧制御が、所定時間の間、行われる。
【0079】
図16〜図18には、本実施例における上記所定時間の間での両電極層103,107への印加電圧を示す。
【0080】
図16は、図10中の領域124での印加電圧を示す。透明電極膜103への印加電圧103bと反射画素電極層107への印加電圧107bはともに、時間の経過によって変化しない一定の直流電圧である。また、両印加電圧103b,107bは一致しており、液晶層105の印加電圧は0となる。
【0081】
また、図17は、図10中の領域122での印加電圧を示す。反射画素電極層107への印加電圧107b及び透明電極膜103への印加電圧103bはともに、直流電圧である。反射画素電極層107には、透明電極膜103よりも高い(正の)直流電圧が印加される。
【0082】
図18は、図10中の領域123での印加電圧を示している。領域122と同様に、反射画素電極層107への印加電圧107b及び透明電極膜103への印加電圧103bはともに、直流電圧である。また、反射画素電極層107には、透明電極膜103よりも高い(正の)直流電圧が印加される。ただし、反射画素電極層107には、領域122において反射画素電極層107に印加される直流電圧よりも低い電圧が印加される。
【0083】
この結果、領域122には、領域123よりも大きい電極間電位差120が与えられ、より高い直流電圧が印加されることになる。
【0084】
本実施例でも、実施例2で図14を用いて説明したように、領域124を除く領域122,123で、反射画素電極層107の印加電圧107bは、透明電極膜103の印加電圧103bに対して正の電圧となる。そして、液晶層105には周期的に正と負に変化しない正の直流電界が生じる。
【0085】
液晶層105との界面に荷電性粒子113が堆積する第2の配向膜側の反射画素電極層107に印加される電圧の符号は、該荷電性粒子113の符号とは異なる正である。しかし、図9から分かるように、反射画素電極層107への印加電圧107bは、荷電性粒子113が堆積する対角方向Aとは異なる対角方向Bにおける対角領域に向かって高くなる。
【0086】
このため、配向膜106の界面における対角方向Aに堆積した負の荷電性粒子113は、実施例2にて図15を用いて説明したのと同様に、クーロン力により対角方向Bに引き寄せられ、液晶層105内部で拡散する。
【0087】
所定時間とは、上記対角方向Aにおいて堆積した荷電性粒子113の大部分(例えば、70%)又は全てが、他の対角方向Bに拡散するまでの時間である。
【0088】
このようにして、特定の対角方向に堆積した荷電性粒子113を拡散させることにより、荷電性粒子113の堆積の影響による画像の品位の低下を抑制することができる。
【0089】
なお、本実施例では、反射画素電極層107に直流電圧を印加するので、実施例2のように反射画素電極層107に交流電圧を印加する場合に比べて、所定時間の間、常にクーロン力によって対角方向Bに荷電性粒子113を引き寄せることができる。このため、荷電性粒子113の拡散効果を高めることができる。
【0090】
なお、本実施例2,3では、第2の配向膜側において対角領域に堆積した負の荷電性粒子113を拡散させる場合について説明したが、第1の配向膜104側において対角領域に正の荷電性粒子が堆積する可能性がある。この場合も、実施例2,3と同様の印加電圧制御を行うことで、該荷電性粒子を拡散させることができる。この場合、液晶層105との界面に正の荷電性粒子が堆積する第1の配向膜104側の透明電極膜103に印加される電圧の符号は、該荷電性粒子の符号とは異なる負とするとよい。
【実施例4】
【0091】
本発明の実施例4では、まず実施例1(図6〜図8)で説明した第1の印加電圧制御(第1の制御)を行って、第2の配向膜106の界面に堆積した荷電性粒子113を該界面から液晶層105内に浮遊させる。その後、実施例2(図10〜15)又は実施例3(図16〜18)で説明した第2の印加電圧制御(第2の制御)を行う。すなわち、荷電性粒子113が堆積した有効表示領域112の対角方向Aとは異なる対角方向Bに荷電性粒子113を引き寄せ、荷電性粒子113を拡散させる。
【0092】
このように、上記第1の印加電圧制御と第2の印加電圧制御とを切り替えて順次行うことにより、一方の印加電圧制御のみを行う場合に比べて、荷電性粒子113の影響による画像の品位の低下をより効果的に抑制することができる。
【0093】
なお、第1の印加電圧制御と第2の印加電圧制御を行う順序は、上述した順序と逆であってもよい。
【実施例5】
【0094】
次に、本発明の実施例5である液晶プロジェクタについて説明する。ここでは、上記実施例1〜4にて説明した荷電性粒子113の解離又は拡散のための印加電圧制御を行う液晶パネルドライバ3の具体的な動作について、図19Aに示すフローチャートを用いて説明する。この動作は、液晶パネルドライバ3内に格納されたコンピュータプログラムに従って実行される。
【0095】
ステップS301では、液晶パネルドライバ3は、プロジェクタの電源スイッチが投入された(電源ON)か否かを判別する。電源ONの場合は、ステップS302にて、内部タイマーのカウントを開始する。このタイマーは、プロジェクタが変調動作状態となっている時間(画像表示時間)の積算値(画像表示積算時間)Tをカウントするものであり、前回までの画像表示積算時間に今回の画像表示時間を加算する。
【0096】
電源ONにより、プロジェクタは画像表示状態(液晶パネルの変調動作状態)となり、図9に示す印加電圧制御によって液晶パネルを駆動し、画像を表示(投射)する。
【0097】
次に、ステップS303では、液晶パネルドライバ3は、電源スイッチがOFFされたか否かを判別する。電源OFFでない場合はこの判別を繰り返し、電源OFFの場合は、ステップS304に進む。
【0098】
ステップS304では、非変調動作状態に移行したとして、上記タイマーによりカウントされた画像表示積算時間Tが所定積算時間Taに達したか否かを判別する。この所定積算時間Taは、液晶パネルにおいて液晶層105と第2の配向膜106の界面や有効表示領域112の対角領域に堆積した荷電性粒子113が画質に影響を与えると予想される時間として予め設定される。画像表示積算時間Tが所定積算時間Taに達しない場合は、ステップS307にジャンプしてプロジェクタの所定の動作終了処理を行った後、電源を遮断する。
【0099】
一方、画像表示積算時間Tが所定積算時間Taに達した場合には、ステップS305に進み、実施例1〜4にて説明した、荷電性粒子113の解離又は拡散のための印加電圧制御を開始する。
【0100】
ステップS305にて、実施例1〜3で説明した印加電圧制御を行う場合には、ステップS306で、該印加電圧制御を所定時間(実施例1〜3にて説明した所定時間)行ったか否かを判別する。まだ所定時間行っていない場合にはこの判別を繰り返す。所定時間行った場合には、ステップS307に進み、プロジェクタの所定の動作終了処理を行った後、電源を遮断する。
【0101】
また、ステップS305にて、実施例4にて説明した印加電圧制御を行う場合は、図19Bに示すように、ステップS306aで、例えば、第1の電圧印加制御を実施例1で説明した所定時間(ここでは第1の所定時間という)行ったか否かを判別する。まだ第1の所定時間行っていない場合にはこの判別を繰り返し、第1の所定時間行った場合はステップS306bで第2の印加電圧制御を開始する。そして、ステップS306cで、第2の電圧印加制御を実施例2又は3で説明した所定時間(ここでは第2の所定時間という)行ったか否かを判別する。まだ第2の所定時間行っていない場合にはこの判別を繰り返し、第2の所定時間行った場合はステップS307に進み、プロジェクタの所定の動作終了処理を行った後、電源を遮断する。
【0102】
なお、本実施例では、プロジェクタの電源OFF時であって所定の画像表示積算時間の経過に応じて実施例1〜4にて説明した印加電圧制御を行う場合について説明した。しかし、該印加電圧制御の実施タイミングは、プロジェクタの電源ONから液晶パネルが変調動作状態に移行するまでの間でもよい。また、ユーザーの操作に応じた任意のタイミングで行えるようにしてもよい。さらに、画像表示積算時間にかかわらず、プロジェクタの電源OFFや電源ONごとに該印加電圧制御を行うようにしてもよい。
【0103】
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
【0104】
例えば、上記各実施例は、垂直配向モードの液晶変調素子に対するものであるが、上記実施例の印加電圧制御を、垂直配向モード以外のTN,STN,OCB型等の液晶変調素子に適した形態に変形してこれらの液晶変調素子に適用してもよい。また、透過型液晶変調素子に適した形態に変形して実施してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明の実施例1〜5である液晶プロジェクタの構成を示す図。
【図2】実施例1〜5で用いられる液晶パネルの断面図。
【図3】上記液晶パネルにおける垂直配向モードのプレチルト方向を説明する図。
【図4】実施例1において、液晶パネル内で堆積した荷電性粒子を示す断面図。
【図5】実施例1において、液晶パネル内で堆積した荷電性粒子を示すガラス基板側から見た図。
【図6】実施例1において、荷電性粒子を浮遊させるための対向電極への印加電圧を説明する図。
【図7】実施例1において、荷電性粒子を浮遊させるための対向電極への印加電圧を説明する図。
【図8】実施例1において、印加電圧制御により浮遊した荷電性粒子を説明する図。
【図9】実施例における液晶パネルの交流駆動を説明する図。
【図10】実施例2において堆積した荷電性粒子を拡散させるために反射画素電極層に与える面内分布を説明する図。
【図11】実施例2において、図10中の領域124での対向電極への印加電圧を説明する図。
【図12】実施例2において、図10中の領域122での対向電極への印加電圧を説明する図。
【図13】実施例2において、図10中の領域123での対向電極への印加電圧を説明する図。
【図14】実施例2において、堆積した荷電性粒子を拡散させるための対向電極への印加電圧を説明する図。
【図15】実施例2において、堆積した荷電性粒子を拡散させた状態を示す図。
【図16】実施例3において、図10中の領域124での対向電極への印加電圧を説明する図。
【図17】実施例3において、図10中の領域122での対向電極への印加電圧を説明する図。
【図18】実施例3において、図10中の領域123での対向電極への印加電圧を説明する図。
【図19A】実施例5における液晶プロジェクタの動作を示すフローチャート。
【図19B】実施例5における液晶プロジェクタの動作を示すフローチャート。
【符号の説明】
【0106】
101 ARコート膜
102 ガラス基板
103 透明電極膜
104 第1の配向膜
105 液晶層
106 第2の配向膜
107 反射画素電極層
108 Si基板
110,111 液晶分子のダイレクタ方向(プレチルト方向)
113荷電性粒子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の電極及び第2の電極、前記第1の電極と前記第2の電極との間に配置された液晶層、前記第1の電極と前記液晶層との間に配置された第1の配向膜、及び前記第2の電極と前記液晶層との間に配置された第2の配向膜を含む液晶変調素子と、
前記液晶変調素子の変調動作状態において、前記液晶層に生じる電界の符号が周期的に反転するように前記第1及び第2の電極にそれぞれ第1及び第2の電位を与える制御手段とを有し、
前記制御手段は、前記変調動作状態以外の状態において、前記液晶層に生じる電界の符号が一定となるように該第1及び第2の電極にそれぞれ第3及び第4の電位を与えることを特徴とする画像表示装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記第3及び第4の電位として、それぞれ前記液晶層の面内方向において同じ電位を前記第1及び第2の電極に与えることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記制御手段は、前記第1及び第2の電極のうち前記液晶層との界面に該液晶層内の荷電性粒子が堆積する配向膜側の電極に印加する相対的な電位が、該荷電性粒子の符号と同じ符号となるように、前記第3又は第4の電位を与えることを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記第3及び第4の電位として、該第3及び第4の電位の差が前記液晶層の面内方向において変化する電位を前記第1及び第2の電極に与えることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記液晶層の面内方向において、前記液晶層内の荷電性粒子が堆積する領域を第1の領域とし、該第1の領域よりも前記荷電性粒子の堆積が少ない領域を第2の領域とするとき、
前記制御手段は、前記第2の領域での前記第3及び第4の電位の電位差を前記第1の領域での該電位差よりも大きくすることを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記制御手段は、前記第1及び第2の電極のうち前記液晶層との界面に該液晶層内の荷電性粒子が堆積する配向膜側の電極に、該荷電性粒子の符号と異なる符号の前記第3又は第4の電位を与えることを特徴とする請求項4又は5に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記制御手段は、
前記第3及び第4の電位として、前記液晶層の面内方向において同じ電位を前記第1及び第2の電極に与える第1の制御と、
前記第3及び第4の電位として、該第3及び第4の電位の差が前記液晶層の面内方向において変化する電位を前記第1及び第2の電極に与える第2の制御とを順次行うことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記液晶変調素子は、垂直配向モードの反射型液晶変調素子であることを特徴とする請求項1から7のいずれか1つに記載の液晶表示装置。

【図13】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図14】
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【図15】
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【図19A】
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【図19B】
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【公開番号】特開2008−309823(P2008−309823A)
【公開日】平成20年12月25日(2008.12.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−154727(P2007−154727)
【出願日】平成19年6月12日(2007.6.12)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】