説明

液晶表示装置

【課題】 視認するそれぞれの方向に応じた表示特性を実現することのできる液晶表示装置を提供する。
【解決手段】 OCBモード液晶を用いて構成される液晶画素をマトリクス状に配した表示パネルDPと、前記表示パネルを照明する光を時分割で複数の方向に射出するように切り替える光制御手段(14)と、前記複数の方向についてそれぞれ独立のガンマ補正を行った映像を時分割で表示パネルに表示する表示制御手段(10,15,7)とを備えた液晶表示装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は立体表示、あるいは複数方向の映像を表示することが可能な液晶表示装置に関し、視認するそれぞれの方向に応じた視野角特性を実現することのできる液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、軽量、薄型、低消費電力などの特徴を生かして、パーソナルコンピュータ、情報携帯端末、テレビジョン、あるいはカーナビゲーションシステム等の表示装置として広く利用されている。
この液晶表示装置は、一つの二次元情報を表示するのが通常であるが、それに留まらず、立体表示、あるいは同一画面で観察者の見る方向によって同時に異なる画面表示が可能な液晶表示装置が提案されている。例えば、車載用で運転席と助手席とで見える映像が異なる2画面表示装置や、右目用の映像と左目用の映像をそれぞれ表示することによって立体表示を行う3次元表示装置などが提案されている。
【0003】
このような表示を可能とする技術として、視差バリア方式が知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
図13は、視差バリア方式の概念図である。液晶パネルDPには、右方向用の画素と、左方向用の画素とが個別に形成されている。そして、斜め方向からは、その各々の画素を透過して出射する光の一方の光を観測できるように、視差バリア層51を形成する。なお、その視差バリア51としてレンチキュラーレンズを設けて指向性を高めることもできる。しかしながら、このような視差バリア方式では、右方向用の画素と左方向用の画素とを異ならしめる必要があることから、表示画像の空間解像度は実際の表示パネルの画素数の1/2に低下してしまう。
【0004】
一方、時分割駆動によって左右それぞれの方向に光を振り分けることで光の指向性を切り替える方式も提案されている。
この方式によれば、空間解像度、もしくは開口率を減少させることなく複数の画面を表示することや、立体画像を表示することができる。
【特許文献1】特開平5−107663号公報
【特許文献2】特開平10−161061号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、本来液晶パネルの有する視野角特性や階調表示特性は、必ずしも左右で対称とはなっておらず、従って液晶には同じ電圧が印加されたとしても左右で異なって視認される視野角特性や階調表示特性が存在する。立体表示を行う際に、このように左右視差非対称の光学特性が生じることは不都合である。
一方、同一画面で同時に異なる複数画面表示を行う際、1つの方向で視認する映像の表示特性と他の方向で視認する映像の表示特性とを映像の種類によって別にしたい場合などのように、視認する方向によって異なった特性が有用な場合もある。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、視認するそれぞれの方向に応じた視野角特性や階調表示特性といった表示特性を実現することのできる液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するための本発明は、OCBモード液晶を用いて構成される液晶画素をマトリクス状に配した表示パネルと、前記表示パネルを照明する光を時分割で複数の方向に射出するように切り替える光制御手段と、前記複数の方向についてそれぞれ独立のガンマ補正を行った映像を時分割で表示パネルに表示する表示制御手段とを備えた液晶表示装置である。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、視認するそれぞれの方向に応じた表示特性を実現することのできる液晶表示装置を得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
〔第1の実施の形態〕
以下の実施の形態では立体表示を行う場合を例として説明するが、本発明はこれに限られるものではない。
【0010】
図1は、本発明の概要を説明する図である。
本発明に係る液晶表示装置では、透過型の液晶パネルDPの下にバックライトBLを備えている。そして、バックライトBLは、光源52aおよびバックライト導光板53aを有するバックライトBLa、光源52bおよびバックライト導光板53bを有するバックライトBLbで構成される。ここで、光源52aをオンしたときは、光はバックライト導光板53aによって図の右方向に出射され、光源52bをオンしたときは、光はバックライト導光板53bによって図の左方向に出射される。
【0011】
立体表示を行うときは、液晶パネルDPに右の画像を表示する期間で光源52aを点灯し、液晶パネルDPに左の画像を表示する期間で光源を切替えて光源52bを点灯する。このように時分割で液晶パネルDPに左右視差像を順次表示し、これと同期して照明する光源の指向性を切替えることによって、左右の視差画像をそれぞれ左右の眼に導くことができる。
【0012】
なお、図1は液晶表示装置の概略の構成を示している。実際の表示装置においては、液晶パネルDPとバックライトBLとの間に、さらにコリメートレンズ、プリズムフィルムなどの光の指向性を調整する光学素子を適宜設けることができる。
【0013】
ところで、1フレーム期間を時分割して異なる映像を表示するためには、応答速度の速い液晶を使用することが必須の条件となる。このため、本実施の形態では、動画表示に必要とされる高速な液晶応答性を有すると共に、広視野角の実現が可能なOCBモード(Optically Compensated Bend)液晶を使用する。
【0014】
図2は、液晶表示装置の回路構成を概略的に示す図である。
液晶表示装置は液晶パネルDP、液晶パネルDPを照明するバックライトBL(BLa、BLb)、液晶パネルDPおよびバックライトBLを制御する表示制御回路CNTを備える。
【0015】
液晶パネルDPは一対の電極基板であるアレイ基板1および対向基板2間に液晶層3を挟持した構造である。液晶層3は、例えばノーマリホワイトの表示動作のために予めスプレー配向からベンド配向に転移されると共にベンド配向からスプレー配向への逆転移が印加される電圧により阻止される液晶を液晶材料として含む。
【0016】
表示制御回路CNTは、アレイ基板1および対向基板2から液晶層3に印加される液晶駆動電圧により液晶パネルDPの透過率を制御する。スプレー配向からベンド配向への転移は電源投入時に表示制御回路CNTにより行われる所定の初期化処理で比較的大きな電界を液晶に印加することにより得られる。
アレイ基板1では、複数の画素電極PEが透明絶縁基板GL上において略マトリクス状に配置される。また、複数のゲート線Y(Y1〜Ym)が複数の画素電極PEの行に沿って配置され、複数のソース線X(X1〜Xn)が複数の画素電極PEの列に沿って配置される。
【0017】
これらゲート線Yおよびソース線Xの交差位置近傍には、複数の画素スイッチング素子Wが配置される。各画素スイッチング素子Wは例えばゲートがゲート線Yに接続され、ソース−ドレインパスがソース線Xおよび画素電極PE間に接続される薄膜トランジスタからなり、対応ゲート線Yを介して駆動されたときに対応ソース線Xおよび対応画素電極PE間で導通する。
【0018】
各画素電極PEおよび共通電極CEは例えばITO等の透明電極材料からなり、それぞれ配向膜ALで覆われ、画素電極PEおよび共通電極CEからの電界に対応した液晶分子配列に制御される液晶層3の一部である画素領域と共に液晶画素PXを構成する。
【0019】
複数の液晶画素PXは各々画素電極PEおよび共通電極CE間に液晶容量CLCを有する。複数の補助容量線C1〜Cmは各々対応行の液晶画素PXの画素電極PEに容量結合して補助容量Csを構成する。補助容量Csは画素スイッチング素子Wの寄生容量に対して十分大きな容量値を有する。
【0020】
表示制御回路CNTは、ゲートドライバYD、ソースドライバXD、バックライト駆動部LD、駆動用電圧発生回路4、およびコントローラ回路5を備える。
ゲートドライバYDは、複数のスイッチング素子Wを行単位に導通させるように複数のゲート線Y1〜Ymを順次駆動する。ソースドライバXDは、各行のスイッチング素子Wが対応ゲート線Yの駆動によって導通する期間において画素電圧Vsを複数のソース線X1〜Xnにそれぞれ出力する。バックライト駆動部LDは、バックライトBLを駆動する。駆動用電圧発生回路4は、液晶パネルDPの駆動用電圧を発生する。コントローラ回路5は、ゲートドライバYD、ソースドライバXDおよびバックライト駆動部LDを制御する。
【0021】
駆動用電圧発生回路4は、補助容量線Cに印加される補償電圧Veを発生する補償電圧発生回路6を含む容量結合駆動を含んでも良い。また、ソースドライバXDによって用いられる所定数の階調基準電圧VREFを発生する階調基準電圧発生回路7、および対向電極CTに印加されるコモン電圧Vcomを発生するコモン電圧発生回路8を含む。
【0022】
コントローラ回路5は、制御回路10、垂直タイミング制御回路11、水平タイミング制御回路12、画像データ変換回路17、バックライト制御回路14およびガンマ切替回路15を含む。
【0023】
制御回路10は、外部信号源SSから入力される同期信号SYNC’に基づいて新たな同期信号SYNC(VSYNC,DE)を生成するとともに、表示制御回路CNT各部の動作を制御する信号を生成する。
垂直タイミング制御回路11は、制御回路10から入力される同期信号SYNC(VSYNC,DE)に基づいてゲートドライバYDなどに対する制御信号CTYを発生する。水平タイミング制御回路12は、制御回路10から入力される同期信号SYNC(VSYNC,DE)に基づいてソースドライバXDに対する制御信号CTXを発生する。
【0024】
画像データ変換回路17は、複数の画素PXに対して外部信号源SSから入力される画像データDI(左画像データ、右画像データ)を一時保存すると共に、所定タイミングでソースドライバXDに出力する。バックライト制御回路14は、垂直タイミング制御回路11から出力される制御信号CTYに基づいてバックライト駆動部LDを制御する。ガンマ切替回路15は、階調値−階調電圧特性を変更するための補正データを階調基準電圧発生回路7に出力する。
【0025】
なお、液晶パネルDPには、セレクタ回路16が設けられ、このセレクタ回路16からの切替信号によってガンマ切替回路15から出力される補正データが変更される。
【0026】
画像データDIは複数の液晶画素PXに対する複数の画素データからなり、1フレーム期間(垂直走査期間V)に左画像データ、右画像データについて2回更新される。制御信号CTYはゲートドライバYDに供給され、制御信号CTXは画像データ変換回路17から得られる画素データDOと共にソースドライバXDに供給される。制御信号CTYは上述のように順次複数のゲート線Yを駆動する動作をゲートドライバYDに行わせるために用いられ、制御信号CTXは画像データ変換回路17の液晶画素PX単位に得られ直列に出力される画素データDOを複数のソース線Xにそれぞれ割り当てると共に出力極性を指定する動作をソースドライバXDに行わせるために用いられる。
【0027】
ゲートドライバYDはゲート線Yを選択するために例えばシフトレジスタ回路を用いて構成される。ここで、ゲートパルスは、左画像データと右画像データとについての2種を出力する。
なお、本実施の形態の左画像データと右画像データの表示動作については後で詳細に説明する。
【0028】
ソースドライバXDは階調基準電圧発生回路7から供給される所定数の階調基準電圧VREFを参照してこれら画素データDOをそれぞれ画素電圧Vsに変換し、複数のソース線X1〜Xnに並列的に出力する。
【0029】
画素電圧Vsは共通電極CEのコモン電圧Vcomを基準として画素電極PEに印加される電圧であり、例えばフレーム反転駆動およびライン反転駆動を行うようコモン電圧Vcomに対して極性反転される。2倍速の垂直走査速度で反射部表示駆動を行う場合には、例えばライン反転駆動(1H反転駆動)およびフレーム反転駆動を行うようコモン電圧Vcomに対して極性反転される。
【0030】
また、補償電圧Veは1行分のスイッチング素子Wが非導通となるときにこれらスイッチング素子Wに接続されるゲート線Yに対応した補助容量線CにゲートドライバYDを介して印加され、これらスイッチング素子Wの寄生容量によって1行分の画素PXに生じる画素電圧Vsの変動を補償する容量結合駆動であっても良い。
【0031】
ゲートドライバYDが例えばゲート線Y1をオン電圧により駆動してこのゲート線Y1に接続された全ての画素スイッチング素子Wを導通させると、ソース線X1〜Xn上の画素電圧Vsがこれら画素スイッチング素子Wをそれぞれ介して対応画素電極PEおよび補助容量Csの一端に供給される。
【0032】
また、ゲートドライバYDは、ゲート線Y1に対応した補助容量線C1に補償電圧発生回路6からの補償電圧Veを出力し、またゲート線Y1に接続された全ての画素スイッチング素子Wを1水平走査期間だけ導通させた直後にこれら画素スイッチング素子Wを非導通にするオフ電圧をゲート線Y1に出力する。補償電圧Veはこれら画素スイッチング素子Wが非導通になったときにこれらの寄生容量によって画素電極PEから引き抜かれる電荷を低減して画素電圧Vsの変動、すなわち突き抜け電圧ΔVpを実質的にキャンセルする。
【0033】
図3は、ソースドライバXDの構成を概略的に示す図である。
ソースドライバXDは、シフトレジスタ21、サンプリング・ロードラッチ22、デジタルアナログ(D/A)変換回路23、および出力バッファ回路24を含む。
制御信号CTXには、一行分の画素データの取り込み開始タイミングを制御する水平スタート信号STH、シフトレジスタ21において水平スタート信号STXをシフトさせる水平クロック信号CKHが含まれている。
【0034】
シフトレジスタ21は、水平スタート信号STHを水平クロック信号CKHに同期してシフトし、画素データDOを順次直並列変換するタイミングを制御する。サンプリング・ロードラッチ22は、シフトレジスタ21の制御により1ライン分の画素PXに対する画素データDOを順次ラッチし、並列的に出力する。デジタルアナログ(D/A)変換回路23は、画素データDOをアナログ形式の画素電圧に変換する。出力バッファ回路24は、D/A変換回路23から得られるアナログ画素電圧をソース線X1,・・・,Xnに出力する。そして、D/A変換回路23は、階調基準電圧発生回路7から発生される複数の階調基準電圧VREFを参照するように構成される。
【0035】
ガンマ切替回路15は、1フレーム期間において制御回路10からの信号に応じて、ガンマ補正データを左画像データ用と右画像データ用とで切替えて階調基準電圧発生回路7に対して出力する。階調基準電圧発生回路7はガンマ補正データに基づいて階調基準電圧VREFを作成して出力する。
【0036】
なお、ガンマ切替回路15には、種々の表示特性、例えば、コントラストを高める表示、低階調を強調する表示など、を与える複数組のガンマ補正データが記憶されている。
そして、液晶パネルDPに設けられたセレクタ回路16は、上述の表示特性を指定できるだけでなく表示形式(立体表示、2画面表示、通常表示)を指定することもできる。すると、指定された表示形式に対応したガンマ補正データが記憶された複数組のガンマ補正データから選択されて表示に適用される。
【0037】
図4は、階調基準電圧発生回路7の構成を示す図である。
階調基準電圧発生回路7は階調基準電圧V0〜V9の数よりも少ない例えば4個である第2所定数の可変電圧発生部VG1〜VG4と、これら可変電圧発生部VG1〜VG4の出力端(出力チャネル)CH4〜CH1間に直列に接続される複数の抵抗R0〜R8とを有する。複数の抵抗R0〜R8は可変電圧発生部VG1〜VG4の出力端CH4〜CH1間に得られる差電圧を分圧して階調基準電圧V0〜V9を得る。可変電圧発生部VG1〜VG4の各々は、D/A変換器30および出力バッファ31を含む。
【0038】
可変電圧発生部VG1では、D/A変換器30がガンマ補正を兼ねて設定される数値データRD1に対応した出力電圧を発生し、出力バッファ31がこの出力電圧を出力端CH4から出力する。可変電圧発生部VG2では、D/A変換器30がガンマ補正を兼ねて設定される数値データRD2に対応した出力電圧を発生し、出力バッファ31がこの出力電圧を出力端CH3から出力する。可変電圧発生部VG3では、D/A変換器30がガンマ補正を兼ねて設定される数値データRD3に対応した出力電圧を発生し、出力バッファ31がこの出力電圧を出力端CH2から出力する。可変電圧発生部VG4では、D/A変換器30がガンマ補正を兼ねて設定される数値データRD4に対応した出力電圧を発生し、出力バッファ31がこの出力電圧を出力端CH1から出力する。
【0039】
数値データRD1〜RD4は、ガンマ切替回路15からシリアルに階調基準電圧発生回路7に出力される。可変電圧発生部VG1〜VG4のD/A変換器30は、数値データRD1〜RD4を出力電圧に変換する構造であり、各種設定に対応可能に構成されている。
【0040】
D/A変換回路23のD/A変換部23’は、R−DACで構成される場合は、階調基準電圧発生回路7により制御された階調基準電圧V0,V1間、階調基準電圧V1,V2間、階調基準電圧V2,V3間、階調基準電圧V3,V4間、階調基準電圧V4,V5間、階調基準電圧V5,V6間、階調基準電圧V6,V7間、階調基準電圧V7,V8間、および階調基準電圧V8,V9間にそれぞれ複数の抵抗群及びスイッチ群を備え、入力される階調基準電圧を画素データDOに基づいて抵抗分圧し、対応するアナログ画素電圧をソース線X1,・・・,Xnに出力する。
【0041】
次に、本実施の形態における液晶表示装置の駆動方法を説明する。本実施の形態では、1フレーム期間中に右画像表示期間と左画像表示期間とが設けられ、それぞれの期間において右画像用、左画像用の画素電圧が液晶画素に供給される。
【0042】
図5は、本実施の形態の液晶表示装置の駆動方法を説明する図である。
図1乃至図5を参照しつつ駆動方法を説明する。上述のようにゲートドライバYDから出力されるゲート線Yを選択するためのゲートパルスは、右画像表示用と左画像表示用の2種が設けられている。
【0043】
制御信号CTYは、第1スタート信号(右画像表示開始信号)STHA、第2スタート信号(左画像表示開始信号)STHB、クロック信号、および出力イネーブル信号等を含む。
【0044】
第1スタート信号(右画像表示開始信号)STHAは、右画像表示開始タイミングを制御する。第2スタート信号(左画像表示開始信号)STHBは、左画像表示開始タイミングを制御する。クロック信号は、シフトレジスタ回路においてこれらスタート信号STHA,STHBをシフトさせる。出力イネーブル信号は、スタート信号STHA,STHBの保持位置に対応してシフトレジスタ回路によって所定数ずつ順次または一緒に選択されるゲート線Y1〜Ymへの駆動信号の出力を制御する。
【0045】
他方、制御信号CTXはスタート信号、クロック信号、ロード信号、および極性信号等を含む。
先ず右画像表示動作について説明する。
ゲートドライバYDは制御信号CTYの制御により1フレーム期間の1/3期間においてゲート線Y1〜Ymを右画像表示用に順次選択し、各行の画素スイッチング素子Wを1水平走査期間Hだけ導通させる駆動信号としてオン電圧を選択ゲート線Yに供給する。1行分の入力画素データDIが1行分の右画像表示用画素データRに変換される。1行分の右画像表示用画素データRは画像データ変換回路17から直列に出力される。
【0046】
この画素データRが画像データ変換回路17から出力されるタイミングに合わせて、制御回路10から指示を受けたガンマ切替回路15は、右画像用のガンマ補正データを階調基準電圧発生回路7に出力する。この右画像用のガンマ補正データは、セレクタ回路より指定された表示特性に対応したデータである。階調基準電圧発生回路7は、階調基準電圧VREFを右画像表示用に切替えて出力する。
【0047】
ソースドライバXDは上述の階調基準電圧発生回路7から供給される所定数の階調基準電圧VREFを参照してこれら画素データRをそれぞれ画素電圧Vsに変換し、複数のソース線X1〜Xnに並列的に出力する。
【0048】
この右画像表示期間に合わせて制御回路10は、所定タイミングでバックライト制御回路14に点消灯信号を出力する。バックライト制御回路14は、バックライト駆動部LDを駆動してバックライトBLaの点消灯を制御する。
図5では、右画像が表示パネルに表示されてから左画像が表示を開始するまでの1フレーム期間の1/6期間バックライトBLaが点灯する。
【0049】
続いて、左画像表示動作について説明する。ゲートドライバYDは制御信号CTYの制御により1フレーム期間の1/3期間においてゲート線Y1〜Ymを左画像表示用に順次選択し、各行の画素スイッチング素子Wを1水平走査期間Hだけ導通させる駆動信号としてオン電圧を選択ゲート線Yに供給する。1行分の入力画素データDIが1行分の左画像表示用画素データLに変換される。1行分の左画像表示用画素データLは画像データ変換回路17から直列に出力される。
【0050】
この画素データLが画像データ変換回路17から出力されるタイミングに合わせて、制御回路10から指示を受けたガンマ切替回路15は、左画像用のガンマ補正データを階調基準電圧発生回路7に出力する。この左画像用のガンマ補正データは、セレクタ回路より指定された表示特性に対応したデータである。階調基準電圧発生回路7は、階調基準電圧VREFを左画像表示用に切替えて出力する。
【0051】
ソースドライバXDは上述の階調基準電圧発生回路7から供給される所定数の階調基準電圧VREFを参照してこれら画素データLをそれぞれ画素電圧Vsに変換し、複数のソース線X1〜Xnに並列的に出力する。
この左画像表示期間に合わせて制御回路10は、所定タイミングでバックライト制御回路14に点消灯信号を出力する。バックライト制御回路14は、バックライト駆動部LDを駆動してバックライトBLbの点消灯を制御する。
図5では、左画像が表示パネルに表示されてから右画像が表示を開始するまでの1フレーム期間の1/6期間バックライトBLbが点灯する。
【0052】
続いて、本実施の形態の液晶表示装置を用いた表示例について説明する。
【0053】
図6は、立体表示状況を示す図である。
図6では、左画面(左眼用)が明るく表示されているのに対し、右画面(右眼用)は暗い表示がなされている。これは、バックライトBLa及びバックライトBLbの輝度が同じであっても、例えば表示パネルの視野角特性や階調表示特性が液晶の配列等の影響で左右で異なっていることによる。しかしながら、良好な立体表示を実現する上では、上述のように左右映像は同じ表示特性であることが望ましい。
【0054】
図7は、液晶印加電圧に対する画素の透過率特性を示す図であり、図8は、表示信号の階調値に対する画素の透過率特性を示す図である。
【0055】
画素PXが図7に示すような透過率特性である場合、画素PXの透過率特性は表示信号の階調値に対して図8において破線で示す曲線となる。このため、可変電圧発生部VG1〜VG4の出力電圧および抵抗R0〜R8の抵抗比が図7に示す特性曲線の変曲点を考慮して設定され、これにより図8に一点鎖線で示す曲線のガンマ補正を表示信号のD/A変換において行うようにする。
【0056】
この結果、画素PXの透過率特性が表示信号の階調値に比例する直線となる。また、可変電圧発生部VG1〜VG4の出力電圧は数値データRD1〜RD4により任意に変更できるため、画素PXの透過率特性を所望の曲線、例えばその傾き等も種々に設定することもできる。
【0057】
そこで、この実施形態では、例えば左画面(左眼用)が明るく表示されるのに対し右画面(右眼用)は暗い表示がなされる視野角特性を有する表示パネルであっても、セレクタ回路16の設定により階調基準電圧発生回路7の階調基準電圧VREFが左画像表示期間では右画像表示期間よりも0.1V程度大きくなるように制御される。
【0058】
図9は、ガンマ補正後の立体表示状況を示す図である。
図9では、例えば、本液晶表示装置のユーザが、少なくとも1方の画面についてガンマ補正データを指定している。この結果、左右の画面は同じ特性で表示されている。これによって品位の高い立体表示を得ることができる。
【0059】
なお、通常の平面表示と立体表示を切り替えたときにガンマ補正データが切り替えられる。即ち、ユーザがセレクタ回路16を操作して、平面表示から立体表示に切り替えたときは、ガンマ切替回路15はそれを検知してその切替以降、予め記憶していた立体表示用のガンマ補正データを所定タイミングで階調基準電圧発生回路7に出力する。
【0060】
また、制御回路10が外部信号源SSから画像データが平面表示用か立体表示用かを判断して、その結果をガンマ切替回路15に渡しても良い。これによって、ガンマ切替回路15は、表示される画像に対応して自動で適正なガンマ補正データを出力することができる。
【0061】
図10は、2画面表示状況を示す図である。
図10は例えば、運転席と助手席とで視認できる表示内容を異にした画面である。この表示では、左画面にウエブ表示がされ、右画面に地図が表示されている。地図は、運転者の視認性を良くするため輝度を重視して表示することが望ましく、ウエブ表示は、目に優しい輝度で、コントラスト重視の表示が望ましい。
【0062】
図11は、表示信号の階調値に対する画素の透過率特性を示す図である。
図11で実線で示す基準の特性に対して、右画面及び左画面はそれぞれ点線及び一点鎖線で示す特性となるようなガンマ補正データを用いる。
【0063】
図12は、ガンマ補正後の2画面表示状況を示す図である。
図12では、例えば、ユーザが両画面について図11に示すガンマ補正データを指定している。この結果、右画面は明るいコントラストの高い画像となり、左画面は落ち着いた目に優しい画像となっている。これによってそれぞれの視認者のニーズに適合した画像を得ることができる。
【0064】
なお、ユーザは、セレクタ回路16を操作して、所望のガンマ補正データを指定することができる。ガンマ切替回路15はその指定以降、指定されたガンマ補正データを所定タイミングで階調基準電圧発生回路7に出力する。
また、制御回路10が外部信号源SSから画像データの種類を判断して、その結果をガンマ切替回路15に渡しても良い。これによって、ガンマ切替回路15は、表示される画像に対応して自動で適正なガンマ補正データを出力することができる。
【0065】
本実施の形態の液晶表示装置では、左映像と右映像を同じにすれば通常表示となり、表示クオリテイを落とさずに表示できる。このときは、バックライトBLa、BLbを共に点灯したままにしておけばよい。通常は、左右共に同じ映像を映しておくが、ある特殊な状況下にあることを判断して、立体表示にしたり、2画面表示にしたりする使い方でもよい。
【0066】
また、階調基準電圧発生回路7をガンマ補正データに基づいて階調基準電圧VREFを生成するように構成しているが、複数のアナログ回路を用い、それを切り替えることで階調基準電圧VREFを生成するようにしても良い。
さらに、階調基準電圧発生回路7は抵抗ストリングによってR−DACとして構成しているが、容量を用いてC−DACとして構成しても良い。
【0067】
また、本実施の形態では、立体表示と2画面表示として2つの方向に光が射出する例を述べたが、本発明はこの形態に限定されず、2以上の任意の方向に光が射出し、そのそれぞれの方向についてガンマ補正を実行するようにしても良い。従って、その場合には、ガンマ補正データもその方向の数だけ必要とされる。また、ガンマ補正データは、色(R,G,B)毎に設けても良い。
【0068】
また、本実施の形態では、バックライトBLa及びBLbの輝度を合わせて制御してもかまわない。
【0069】
〔第2の実施の形態〕
図14は、第2の実施の形態の、液晶表示装置の回路構成を概略的に示す図である。第2の実施の形態では、ガンマ補正の方法が第1の実施の形態と異なっている。従って、第1の実施の形態と同一の部位には同一の符号を付してその詳細の説明は省略する。
【0070】
コントローラ回路5は、制御回路10、垂直タイミング制御回路11、水平タイミング制御回路12、画像データ変換回路17、バックライト制御回路14およびガンマ補正回路18を含む。
【0071】
画像データ変換回路17は、複数の画素PXに対して外部信号源SSから入力される画像データDI(左画像データ、右画像データ)を一時保存すると共に、所定タイミングでガンマ補正回路18に出力する。ガンマ補正回路18は、制御回路からの切り換えタイミング信号に応じてガンマ補正値を切り換えて、それぞれの画像データDI(左画像データ、右画像データ)に適用する。そして、画素データDOを生成してソースドライバXDに出力する。
なお、ガンマ補正値はデジタルガンマテーブルメモリ19に保存されており、ガンマ補正回路18は、例えば、セレクタ回路16を介して予め指定されたガンマ補正値を用いて処理を行う。
【0072】
第1の実施の形態では、Vref電圧を可変としてガンマ補正を行っていたが、高速な電圧変化に追従することができない場合もあった。これに対して、第2の実施の形態では、映像信号にガンマ補正を行う方式であるため、第1の実施の形態と比較すると、高速な電圧変化に追従することが可能である。
【0073】
なお、本方式でガンマ補正を行う際、精度の良い階調表現を可能とするために、例えば、階調基準電圧発生回路7、ソースドライバXDなどの階調数を増加して階調分解能を高くするように構成しても良く、あるいはフレームレートコントロール方式を採用して階調数を増加するように構成しても良い。
【0074】
尚、本発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。
また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の概要を説明する図。
【図2】液晶表示装置の回路構成を概略的に示す図。
【図3】ソースドライバの構成を概略的に示す図。
【図4】階調基準電圧発生回路の構成を示す図。
【図5】本実施の形態の液晶表示装置の駆動方法を説明する図。
【図6】立体表示状況を示す図。
【図7】液晶印加電圧に対する画素の透過率特性を示す図。
【図8】表示信号の階調値に対する画素の透過率特性を示す図。
【図9】ガンマ補正後の立体表示状況を示す図。
【図10】2画面表示状況を示す図。
【図11】表示信号の階調値に対する画素の透過率特性を示す図。
【図12】ガンマ補正後の2画面表示状況を示す図。
【図13】視差バリア方式の概念図。
【図14】第2の実施の形態の液晶表示装置の回路構成を概略的に示す図。
【符号の説明】
【0076】
1…アレイ基板、2…対向基板、3…液晶層、4…駆動用電圧発生回路、5…コントローラ回路、7…階調基準電圧発生回路、10…制御回路、14…バックライト制御回路、15…ガンマ切替回路、16…セレクタ回路、30…D/A変換器、31…バッファ回路、YD…ゲートドライバ、DI…画像データ、DO…画素データ、XD…ソースドライバ、PE…画素電極、CE…共通電極、PX…液晶画素、DP…表示パネル、BL,BLa,BLb…バックライト、CNT…表示制御回路、VG1,VG2,VG3,VG4…可変電圧発生部、X…ソース線、G…ゲート線、W…スイッチング素子。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
OCBモード液晶を用いて構成される液晶画素をマトリクス状に配した表示パネルと、
前記表示パネルを照明する光を時分割で複数の方向に射出するように切り替える光制御手段と、
前記複数の方向についてそれぞれ独立のガンマ補正を行った映像を時分割で表示パネルに表示する表示制御手段と
を備えたことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記表示制御手段は、
前記複数の方向についてのガンマ補正データを複数組記憶する補正データ記憶手段と、
前記補正データ記憶手段に記憶されたガンマ補正データから選択したガンマ補正データを表示に適用する補正データ切替手段と
を備えたことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記複数の方向についてそれぞれ適用されるガンマ補正データを指定する補正データ指定手段を備えたことを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記補正データ指定手段は、映像の表示形式に対応したガンマ補正データを指定し、
前記補正データ切替手段は、指定されたガンマ補正データを表示に適用することを特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
映像信号から当該映像の表示形式を取得して、前記表示形式に対応した情報を前記補正データ指定手段に提供する表示形式取得手段を備え、
前記補正データ指定手段は、提供される情報に基づいてガンマ補正データを指定することを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−151016(P2009−151016A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−327696(P2007−327696)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【出願人】(302020207)東芝松下ディスプレイテクノロジー株式会社 (2,170)
【Fターム(参考)】