説明

液晶表示装置

【課題】使用環境における周囲光の強さにより、光センサーの検出レベルが変化しても、同じ周囲光の強度において、経年変化や、環境温度による特性劣化によって、光センサーの検出レベルが変化しても、指の接触を検出することができる液晶表示装置を得る。
【解決手段】タッチパネル機能を内蔵した液晶表示装置であって、アレイ基板3にマトリクス状に設けられ、周囲光を検出する複数の周囲光センサー7と、複数の周囲光センサー7の一部をブラックマトリクス4で覆い隠して遮光した遮蔽光センサー7Aと、遮蔽光センサー7Aによって検出したセンサーレベルに、α(一定値)を加算してしきい値を求め、周囲光センサー7によって検出したセンサーレベルと前記しきい値を比較して、周囲光センサー7によって検出したセンサーレベルが前記しきい値よりも低い場合には、周囲光センサー7上に遮光物があったことを検出する制御部10とを設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液晶表示装置(LCD)に関し、特に光センサーによるタッチパネル機能を内蔵した液晶表示装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のタッチパネル機能を内蔵した液晶表示装置について図5から図8までを参照しながら説明する(例えば、特許文献1参照)。図5は、従来のタッチパネル機能を内蔵した液晶表示装置を断面からみた構成を示す図である。
【0003】
図5において、従来のタッチパネル機能を内蔵した液晶表示装置は、外枠1と、バックライト(Backlight)2と、サブピクセルを構成する薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)などが設けられたアレイ基板3と、液晶(省略)と、RGBのカラーフィルター、ブラックマトリクスなどが設けられたカラーフィルター基板5と、偏光板6と、アレイ基板3にマトリクス状に設けられた複数の周囲光センサー7とが設けられている。
【0004】
つぎに、従来のタッチパネル機能を内蔵した液晶表示装置の動作について図面を参照しながら説明する。
【0005】
周囲光センサー7(タッチパネル機能)内蔵の液晶表示装置(LCD)を図5に示す。アレイ基板3にマトリクス状に配置された全ての周囲光センサー7に周囲光(外光)が入射されている状態で、液晶表示装置の偏光板6の上に指を置くことによって、周囲光が遮断される。周囲光(外光)が入射されている周囲光センサー7の検出レベル(センサーレベル)と、周囲光(外光)が遮断されている周囲光センサー7の検出レベル(センサーレベル)を比較することにより、指の接触を検出することができる。
【0006】
図6は、従来のタッチパネル機能を内蔵した液晶表示装置のセンサー画像を示す図である。
【0007】
図6において、センサー画像100は、真ん中に遮光物である人間の指101を置いている状況を示し、全ての周囲光センサー7のセンサーレベルに基づき生成したものである。なお、102は、周囲光測定ラインを示す。
【0008】
図7は、従来のタッチパネル機能を内蔵した液晶表示装置の周囲光測定ラインのセンサーレベルを示す図である。
【0009】
図7において、横軸は周囲光測定ライン102の左端からの距離(mm)、縦軸はセンサーレベル(換算値)をそれぞれ表す。指(遮光物)を置いた箇所とその周囲で、周囲光センサー7のセンサーレベルに差分Δができる。この差分Δによって指の接触を検出している。
【0010】
図8は、従来のタッチパネル機能を内蔵した液晶表示装置の周囲光を変化させた場合のセンサー画像及びセンサーレベルを示す図である。
【0011】
図8において、(a)及び(b)は周囲光の照度を900ルックスとした場合のセンサー画像及びセンサーレベル、(c)及び(d)は周囲光の照度を300ルックスとした場合のセンサー画像及びセンサーレベルをそれぞれ表す。周囲光(外光)を変化させると、指を置いたときのセンサーレベルの差分Δの値が変わってくることが分かる。
【0012】
従って、周囲光(外光)を監視する光センサーを設け、周囲光(外光)の強さによって指が接触したと判断される差分Δの値を変更する必要がある。
【0013】
【特許文献1】特開2007−94606号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
上述したような従来のタッチパネル機能を内蔵した液晶表示装置では、使用環境における周囲光(外光)の強さにより、光センサーの検出レベルが変化して、指の接触を検出できなくなる恐れがあるという問題点があった。
【0015】
また、同じ周囲光(外光)の強度においても、光センサーの経年変化や、環境温度による特性劣化によって、光センサーの検出レベルが変化して、指の接触を検出できなくなる恐れがあるという問題点があった。
【0016】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、その目的は、使用環境における周囲光(外光)の強さにより、光センサーの検出レベルが変化しても、指の接触を検出することができ、また、同じ周囲光(外光)の強度においても、光センサーの経年変化や、環境温度による特性劣化によって、光センサーの検出レベルが変化しても、指の接触を検出することができる液晶表示装置を得るものである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
この発明に係る液晶表示装置は、タッチパネル機能を内蔵した液晶表示装置であって、アレイ基板にマトリクス状に設けられ、周囲光を検出する複数の周囲光センサーと、前記複数の周囲光センサーの一部をブラックマトリクスで覆い隠して遮光した遮蔽光センサーと、前記遮蔽光センサーによって検出したセンサーレベルに、一定値を加算してしきい値を求め、周囲光センサーによって検出したセンサーレベルと前記しきい値を比較して、前記周囲光センサーによって検出したセンサーレベルが前記しきい値よりも低い場合には、周囲光センサー上に遮光物があったことを検出する制御部とを設けたものである。
【発明の効果】
【0018】
この発明に係る液晶表示装置は、タッチパネル機能において、使用環境における周囲光(外光)の強さにより、周囲光センサーの検出レベルが変化しても、指の接触を正確に検出することができるとともに、同じ周囲光(外光)の強度においても、周囲光センサーの経年変化や、環境温度による特性劣化によって、周囲光センサーの検出レベルが変化しても、指の接触を正確に検出することができるという効果を奏する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
実施の形態1.
この発明の実施の形態1に係る液晶表示装置について図1及び図2を参照しながら説明する。図1は、この発明の実施の形態1に係るタッチパネル機能を内蔵した液晶表示装置を断面からみた構成を示す図である。なお、明細書全体において、各図中、同一符号は同一又は相当部分を示す。
【0020】
図1において、この発明の実施の形態1に係る液晶表示装置は、外枠1と、バックライト(Backlight)2と、サブピクセルを構成する薄膜トランジスタ(TFT:Thin Film Transistor)などが設けられたアレイ基板3と、液晶(省略)と、RGBのカラーフィルター、ブラックマトリクス4などが設けられたカラーフィルター基板5と、偏光板6と、アレイ基板3にマトリクス状に設けられた複数の周囲光センサー7と、この周囲光センサー7の一部をブラックマトリクス4で覆い隠すなどして遮光した遮蔽光センサー7Aと、制御部10(図示せず)とが設けられている。
【0021】
図2は、この発明の実施の形態1に係る液晶表示装置のタッチパネル機能のしきい値演算機構の概略構成を示すブロック図である。
【0022】
図2において、この発明の実施の形態1に係る液晶表示装置のタッチパネル機能のしきい値演算機構は、遮蔽光センサー7Aと、CPU、メモリなどから構成される制御部10とが設けられている。
【0023】
遮蔽光センサー7Aは、表示部の上辺の中央の複数個の周囲光センサー7をブラックマトリクス4で覆い隠したものである。ブラックマトリクス4で覆い隠す周囲光センサー7は、1個や、3個や5個でも10個でも構わない。遮蔽光センサー7Aが複数個の場合には、検出レベルの平均を求めて検出誤差を少なくする。また、表示部の上辺の中央の周囲光センサー7に限られず、上辺の左端や右端でも構わない。さらに、表示部の上辺の周囲光センサー7に限られず、表示部の下辺や、左辺、右辺でも構わない。カラーフィルター基板5上のブラックマトリクス4は、サブピクセルを黒色で囲み、画像を鮮明にさせるために形成するが、この発明の実施の形態では、遮蔽光センサー7Aを形成するための役割も担う。
【0024】
つぎに、この実施の形態1に係る液晶表示装置のタッチパネル機能の動作について図面を参照しながら説明する。
【0025】
遮蔽光センサー7Aは、常に暗データ(センサーレベル)を観測する。制御部10は、遮蔽光センサー7Aによって検出したセンサーレベルに、α(一定値)を加算して、最適なしきい値Th1を求める。周囲光センサー7によって検出したセンサーレベルとしきい値Th1を比較して、このセンサーレベルがしきい値Th1よりも低い場合には、制御部10は、指の接触(遮光物)があったことを検出する。
【0026】
α(一定値)は、製品の出荷前に、工場等で予め求めておく。図7に示すように、指を置いた箇所とその周囲で、周囲光センサー7のセンサーレベルに差分Δができる。高レベルと低レベルの差分Δの間に最適なしきい値Th1を設定し、このしきい値Th1と周囲光センサー7のセンサーレベルを比較して、センサーレベルがしきい値Th1よりも低い場合には、指の接触を検出することができる。
【0027】
使用環境における周囲光(外光)の強さや、同じ周囲光(外光)の強度において、経年変化や、環境温度による特性劣化によって、周囲光センサー7の検出レベルが変化しても、指の接触を正確に検出することができるように、周囲光センサー7及び遮蔽光センサー7Aの各種の測定等により、α(一定値)を予め求めておく。
【0028】
この実施の形態1に係るタッチパネル機能を内蔵した液晶表示装置は、使用環境における周囲光(外光)の強さにより、周囲光センサー7の検出レベルが変化しても、指の接触を正確に検出することができるとともに、同じ周囲光(外光)の強度においても、周囲光センサー7の経年変化や、環境温度による特性劣化によって、周囲光センサー7の検出レベルが変化しても、指の接触を正確に検出することができ、環境によらず良好なタッチ動作を得ることができる。
【0029】
実施の形態2.
この発明の実施の形態2に係る液晶表示装置について図3及び図4を参照しながら説明する。図3は、この発明の実施の形態2に係る液晶表示装置のタッチパネル機能のしきい値演算機構の概略構成を示すブロック図である。なお、タッチパネル機能を内蔵した液晶表示装置を断面からみた構成は、上記の実施の形態1と同様である。
【0030】
図3において、この発明の実施の形態2に係る液晶表示装置のタッチパネル機能のしきい値演算機構は、周囲光センサー7と、遮蔽光センサー7Aと、CPU、メモリなどから構成される制御部10Aとが設けられている。
【0031】
図4は、この発明の実施の形態2に係る液晶表示装置のルックアップテーブルの構成を示す図である。
【0032】
図4において、ルックアップテーブル11は、差分Δ12と、この差分Δ12に対応した最適なしきい値13とが設けられている。なお、差分Δ12は、例示するように、10、20、30、…のように離散した値に限られず、0〜10、11〜20、21〜30、…のように連続した値でも良い。
【0033】
つぎに、この実施の形態2に係る液晶表示装置の動作について図面を参照しながら説明する。
【0034】
遮蔽光センサー7Aは、常に暗データ(センサーレベル)を観測する。制御部10は、遮蔽光センサー7Aによって検出したセンサーレベルと、周囲光センサー7によって検出したセンサーレベルを比較して、両者の差分Δを求める。次に、ルックアップテーブル11を参照して、求めた差分Δに対応する、最適なしきい値Th2を求める。周囲光センサー7によって検出したセンサーレベルとしきい値Th2を比較して、このセンサーレベルがしきい値Th2よりも低い場合には、制御部10は、指の接触(遮光物)があったことを検出する。
【0035】
ルックアップテーブル11は、製品の出荷前に、工場等で予め求めておく。図7に示すように、指を置いた箇所とその周囲で、周囲光センサー7のセンサーレベルに差分Δができる。高レベルと低レベルの差分Δの間に最適なしきい値Th2を設定し、このしきい値Th2と周囲光センサー7のセンサーレベルを比較して、センサーレベルがしきい値Th2よりも低い場合には、指の接触を検出することができる。
【0036】
使用環境における周囲光(外光)の強さや、同じ周囲光(外光)の強度において、経年変化や、環境温度による特性劣化によって、周囲光センサー7の検出レベルが変化しても、指の接触を正確に検出することができるように、周囲光センサー7及び遮蔽光センサー7Aの各種の測定等により、ルックアップテーブル11を予め作成しておく。
【0037】
この実施の形態2に係るタッチパネル機能を内蔵した液晶表示装置は、使用環境における周囲光(外光)の強さにより、周囲光センサー7の検出レベルが変化しても、指の接触を正確に検出することができるとともに、同じ周囲光(外光)の強度においても、周囲光センサー7の経年変化や、環境温度による特性劣化によって、周囲光センサー7の検出レベルが変化しても、指の接触を正確に検出することができ、環境によらず良好なタッチ動作を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】この発明の実施の形態1に係るタッチパネル機能を内蔵した液晶表示装置を断面からみた構成を示す図である。
【図2】この発明の実施の形態1に係る液晶表示装置のタッチパネル機能のしきい値演算機構の概略構成を示すブロック図である。
【図3】この発明の実施の形態2に係る液晶表示装置のタッチパネル機能のしきい値演算機構の概略構成を示すブロック図である。
【図4】この発明の実施の形態2に係る液晶表示装置のルックアップテーブルの構成を示す図である。
【図5】従来のタッチパネル機能を内蔵した液晶表示装置を断面からみた構成を示す図である。
【図6】従来のタッチパネル機能を内蔵した液晶表示装置のセンサー画像を示す図である。
【図7】従来のタッチパネル機能を内蔵した液晶表示装置の周囲光測定ラインのセンサーレベルを示す図である。
【図8】従来のタッチパネル機能を内蔵した液晶表示装置の周囲光を変化させた場合のセンサー画像及びセンサーレベルを示す図である。
【符号の説明】
【0039】
1 外枠、2 バックライト、3 アレイ基板、4 ブラックマトリクス、5 カラーフィルター基板、6 偏光板、7 周囲光センサー、7A 遮蔽光センサー、10 制御部、10A 制御部、11 ルックアップテーブル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネル機能を内蔵した液晶表示装置であって、
アレイ基板にマトリクス状に設けられ、周囲光を検出する複数の周囲光センサーと、
前記複数の周囲光センサーの一部をブラックマトリクスで覆い隠して遮光した遮蔽光センサーと、
前記遮蔽光センサーによって検出したセンサーレベルに、一定値を加算してしきい値を求め、周囲光センサーによって検出したセンサーレベルと前記しきい値を比較して、前記周囲光センサーによって検出したセンサーレベルが前記しきい値よりも低い場合には、周囲光センサー上に遮光物があったことを検出する制御部と
を備えたことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記一定値は、前記周囲光センサー及び遮蔽光センサーのセンサーレベルに基づいて予め求めておく
ことを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
【請求項3】
タッチパネル機能を内蔵した液晶表示装置であって、
アレイ基板にマトリクス状に設けられ、周囲光を検出する複数の周囲光センサーと、
前記複数の周囲光センサーの一部をブラックマトリクスで覆い隠して遮光した遮蔽光センサーと、
周囲光センサーと遮蔽光センサーのセンサーレベルの差分、及び差分に対応するしきい値を記憶するルックアップテーブルと、
前記遮蔽光センサーによって検出したセンサーレベルと、周囲光センサーによって検出したセンサーレベルを比較して両者の差分を求め、前記ルックアップテーブルを参照して、求めた差分に対応するしきい値を求め、周囲光センサーによって検出したセンサーレベルと前記しきい値を比較して、前記周囲光センサーによって検出したセンサーレベルが前記しきい値よりも低い場合には、周囲光センサー上に遮光物があったことを検出する制御部と
を備えたことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項4】
前記ルックアップテーブルは、前記周囲光センサー及び遮蔽光センサーのセンサーレベルに基づいて予め作成しておく
ことを特徴とする請求項3記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−193096(P2009−193096A)
【公開日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−29962(P2008−29962)
【出願日】平成20年2月12日(2008.2.12)
【出願人】(501426046)エルジー ディスプレイ カンパニー リミテッド (732)
【Fターム(参考)】