液滴吐出装置
【課題】液体の変性や安定性低下を招くことなく、高粘度の液体を安定して吐出することが可能な液滴吐出装置を提供する。
【解決手段】液滴を吐出するノズル31と、ノズル31に連通し且つノズル31から吐出される液体を加圧するためのキャビティ32と、キャビティ32に連通し且つキャビティ32に供給される液体を貯留するためのリザーバ33と、キャビティ32に備えられ且つノズル31から液滴を吐出するためのノズルアクチュエータ22と、リザーバ33に備えられ且つリザーバ33内の液体に所定の剪断速度の機械的エネルギーを付与するための低粘度化アクチュエータ34と、ノズルアクチュエータ22を駆動制御すると共に低粘度化アクチュエータ34を駆動制御する制御装置とを備え、リザーバ33内の液体に所定の剪断速度の機械的エネルギーを付与して当該液体を低粘度化する。
【解決手段】液滴を吐出するノズル31と、ノズル31に連通し且つノズル31から吐出される液体を加圧するためのキャビティ32と、キャビティ32に連通し且つキャビティ32に供給される液体を貯留するためのリザーバ33と、キャビティ32に備えられ且つノズル31から液滴を吐出するためのノズルアクチュエータ22と、リザーバ33に備えられ且つリザーバ33内の液体に所定の剪断速度の機械的エネルギーを付与するための低粘度化アクチュエータ34と、ノズルアクチュエータ22を駆動制御すると共に低粘度化アクチュエータ34を駆動制御する制御装置とを備え、リザーバ33内の液体に所定の剪断速度の機械的エネルギーを付与して当該液体を低粘度化する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小な液滴をノズルから吐出して、その微粒子(ドット)を印刷媒体上に形成することにより、所定の文字や画像等を印刷するようにした液滴吐出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液滴吐出ヘッドを利用する液滴吐出型印刷装置は、家庭用の印刷装置として開発された技術であり、微小液滴を高精度に吐出することができる。この種の液滴吐出ヘッドの利点は、必要な量の液滴を、必要な部分だけに吐出、着弾させるところであり、印刷装置に止まらず、工業、医療の分野でも使用され、省エネルギー、省資源など環境負荷低減にも有効である。
液滴吐出ヘッドに代表される液滴吐出装置は、液滴を吐出するノズル、ノズルに連通し且つノズルから吐出される液体を加圧するための圧力室、圧力室に連通し且つ圧力室に供給される液体を貯留するための貯留室、圧力室に備えられ且つノズルから液滴を吐出するためのノズルアクチュエータ、ノズルアクチュエータを駆動制御する制御装置などを備えて構成される。
【0003】
このような液滴吐出装置では、印刷装置を始め、吐出液体が高粘度化している。例えば高分子ポリマーの液体などは粘度が高く、加圧室への液体の充填や、ノズルからの安定した液滴吐出が難しい。そこで、下記特許文献1に記載される液滴吐出装置では、液滴吐出信号の他に、液滴が吐出しない程度の高周波信号をノズルアクチュエータに印加し、それによって発生する熱で液体を低粘度化するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−119846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に記載される液滴吐出装置では、熱によって液体を低粘度化させるものであるため、逆に熱によって液体の変性、安定性低下を誘発する恐れがある。具体的には、工業分野で使用される液体は機能性インクであり、例えば熱硬化型インクでは、熱によって増粘してしまうため、安定した吐出を行うことができない。また、タンパク質インクなどは、熱によるダメージでインクの機能が損なわれてしまう。また、有機系のインクでは、引火する可能性があり、安全上不安定である。
本発明は、これらの諸問題に着目して開発されたものであり、液体の変性や安定性低下を招くことなく、高粘度の液体を安定して吐出することが可能な液滴吐出装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記諸問題を解決するため、本発明の液滴吐出装置は、液滴を吐出するノズルと、前記ノズルに連通し且つノズルから吐出される液体を加圧するための圧力室と、前記圧力室に連通し且つ圧力室に供給される液体を貯留するための貯留室と、前記圧力室に備えられ且つノズルから液滴を吐出するためのノズルアクチュエータと、前記貯留室に備えられ且つ貯留室内の液体に所定の剪断速度の機械的エネルギーを付与するための低粘度化アクチュエータと、前記ノズルアクチュエータを駆動制御すると共に前記低粘度化アクチュエータを駆動制御する制御装置とを備えたことを特徴とするものである。
【0007】
この液滴吐出装置によれば、貯留室内の液体に所定の剪断速度の機械的エネルギーを付与して当該液体を低粘度化することにより、液体の変性や安定性低下を招くことなく、高粘度の液体を安定して吐出することができる。
また、前記剪断速度は、前記液体の剪断速度と粘度の関係の変曲点以下の速度としたことを特徴とするものである。
この液滴吐出装置によれば、液体の剪断速度と粘度の関係の変曲点以下の剪断速度とすることで、液体を低粘度化する機械的エネルギーを確実に付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の液滴吐出装置を用いた液滴吐出型印刷装置の一実施形態を示す概略構成正面図である。
【図2】図1の液滴吐出型印刷装置に用いられる液滴吐出ヘッド近傍の底面図である。
【図3】図1の液滴吐出型印刷装置の制御装置のブロック図である。
【図4】各液滴吐出ヘッド内のノズルアクチュエータを駆動する駆動信号の説明図である。
【図5】スイッチングコントローラのブロック図である。
【図6】ノズルアクチュエータの駆動回路の一例を示すブロック図である。
【図7】図6の液滴吐出ヘッドのブロック図である。
【図8】図6のデジタル電力増幅回路のブロック図である。
【図9】図6の平滑フィルタのブロック図である。
【図10】図1の液滴吐出ヘッドのノズル近傍の縦断面図である。
【図11】吐出液体の剪断速度と粘度の関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明の液滴吐出装置の一実施形態として、液滴吐出型印刷装置に適用されたものについて説明する。
図1は、本実施形態の印刷装置の概略構成図であり、図において、印刷媒体1は、図の左から右に向けて矢印方向に搬送され、その搬送途中の印刷領域で印刷される、ラインヘッド型印刷装置である。
液滴吐出型印刷装置のうち、液滴吐出ノズルの形成された液滴吐出ヘッドをキャリッジと呼ばれる移動体に載せて印刷媒体の搬送方向と交差する方向に移動させるものを一般に「マルチパス型印刷装置」と呼んでいる。これに対し、印刷媒体の搬送方向と交差する方向に長尺な液滴吐出ヘッドを配置して、所謂1パスでの印刷が可能なものを一般に「ラインヘッド型印刷装置」と呼んでいる。
【0010】
図1中の符号2は、印刷媒体1の搬送ライン上方に設けられた複数の液滴吐出ヘッドであり、印刷媒体搬送方向に2列になるように且つ印刷媒体搬送方向と交差する方向に並べて配設されて、夫々、ヘッド固定プレート11に固定されている。各液滴吐出ヘッド2の最下面には、多数のノズルが形成されており、この面がノズル面と呼ばれている。ノズルは、図2に示すように、吐出する液体の色毎に、印刷媒体搬送方向と交差する方向に列状に配設されており、その列をノズル列と呼んだり、その列方向をノズル列方向と呼んだりする。そして、印刷媒体搬送方向と交差する方向に配設された全ての液滴吐出ヘッド2のノズル列によって、印刷媒体1の搬送方向と交差する方向の幅全長に及ぶラインヘッドが形成されている。印刷媒体1は、これらの液滴吐出ヘッド2のノズル面の下方を通過するときに、ノズル面に形成されている多数のノズルから液滴が吐出され、印刷が行われる。
【0011】
液滴吐出ヘッド2には、例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のインクなどの液体が、図示しない各色の液体タンクから液体供給チューブを介して供給される。そして、各液滴吐出ヘッド2に形成されているノズルから同時に必要箇所に必要量の液滴を吐出することにより、印刷媒体1上に微小なドットを出力する。これを各色毎に行うことにより、搬送部4で搬送される印刷媒体1を一度通過させるだけで、所謂1パスによる印刷を行うことができる。
【0012】
液滴吐出ヘッドの各ノズルから液滴を吐出する方法としては、静電方式、ピエゾ方式、膜沸騰液滴吐出方式などがあり、本実施形態ではピエゾ方式を用いた。ピエゾ方式は、ノズルアクチュエータである圧電素子に駆動信号を与えると、圧力室(キャビティともいう)内の振動板が変位してキャビティ内に圧力変化を生じ、その圧力変化によって液滴がノズルから吐出されるというものである。そして、駆動信号の波高値や電圧増減傾きを調整することで液滴の吐出量を調整することが可能となる。なお、本発明は、ピエゾ方式以外の液滴吐出方法にも、同様に適用可能である。
【0013】
液滴吐出ヘッド2の下方には、印刷媒体1を搬送方向に搬送するための搬送部4が設けられている。搬送部4は、駆動ローラ8及び従動ローラ9に搬送ベルト6を巻回して構成され、駆動ローラ8には図示しない電動モータが接続されている。また、搬送ベルト6の内側には、当該搬送ベルト6の表面に印刷媒体1を吸着するための図示しない吸着装置が設けられている。この吸着装置には、例えば負圧によって印刷媒体1を搬送ベルト6に吸着する空気吸引装置や、静電気力で印刷媒体1を搬送ベルト6に吸着する静電吸着装置などが用いられる。従って、給紙ローラ5によって給紙部3から印刷媒体1を一枚だけ搬送ベルト6上に送給し、電動モータによって駆動ローラ8を回転駆動すると、搬送ベルト6が印刷媒体搬送方向に回転され、吸着装置によって搬送ベルト6に印刷媒体1が吸着されて搬送される。この印刷媒体1の搬送中に、液滴吐出ヘッド2から液滴を吐出して印刷を行う。印刷の終了した印刷媒体1は、搬送方向下流側の排紙部10に排紙される。なお、前記搬送ベルト6には、例えばリニアエンコーダなどで構成される印刷基準信号出力装置が取付けられている。この印刷基準信号出力装置は、例えば搬送ベルト6とそれに吸着されて搬送される印刷媒体1とが同期して移動されることに着目し、印刷媒体1が搬送経路中の所定位置を通過した後は、搬送ベルト6の移動に伴って要求される印刷解像度相当のパルス信号を出力し、このパルス信号に応じて、後述する駆動回路から駆動信号をノズルアクチュエータに出力することで印刷媒体1上の所定位置に所定の色の液滴を吐出し、そのドットによって印刷媒体1上に所定の画像を描画する。
【0014】
この印刷装置内には、自身を制御するための制御装置が設けられている。この制御装置は、例えば図3に示すように、例えばパーソナルコンピュータ、デジタルカメラ等のホストコンピュータ60から入力された印刷データに基づいて、印刷装置や給紙装置等を制御することにより印刷媒体に印刷処理を行うものである。そして、ホストコンピュータ60から入力された印刷データ読込むための入力インタフェース61と、この入力インタフェース61から入力された印刷データに基づいて印刷処理等の演算処理を実行する例えばマイクロコンピュータで構成される制御部62と、前記給紙ローラ5に接続されている給紙ローラモータ17を駆動制御する給紙ローラモータドライバ63と、各液滴吐出ヘッド2を駆動制御するヘッドドライバ65と、前記駆動ローラ8に接続されている電動モータ7を駆動制御する電動モータドライバ66と、各ドライバ63、65、66と外部の給紙ローラモータ17、液滴吐出ヘッド2、電動モータ7とを接続するインタフェース67とを備えて構成される。
【0015】
制御部62は、印刷処理等の各種処理を実行するCPU(Central Processing Unit)62aと、入力インタフェース61を介して入力された印刷データ或いは当該印刷データ印刷処理等を実行する際の各種データを一時的に格納し、或いは印刷処理等のプログラムを一時的に展開するRAM(Random Access Memory)62cと、CPU62aで実行する制御プログラム等を格納する不揮発性半導体メモリで構成されるROM(Read-Only Memory)62dを備えている。この制御部62は、インタフェース61を介してホストコンピュータ60から印刷データ(画像データ)を入手すると、CPU62aが、この印刷データに所定の処理を実行して、何れの液滴吐出ヘッド2の何れのノズルから液滴を吐出するか或いはどの程度の液滴を吐出するかというノズル選択データ(駆動信号選択データ)を算出し、この印刷データや駆動信号選択データ及び各種センサからの入力データに基づいて、各ドライバ63、65、66に制御信号を出力する。各ドライバ63、65、66からはアクチュエータを駆動するための駆動信号が出力され、給紙ローラモータ17、電動モータ7、液滴吐出ヘッド2内のノズルアクチュエータなどが夫々作動して、印刷媒体1の給紙及び搬送及び排紙、並びに印刷媒体1への印刷処理が実行される。なお、制御部62内の各構成要素は、図示しないバスを介して電気的に接続されている。
【0016】
図4には、本実施形態の印刷装置の制御装置から液滴吐出ヘッド2に供給され、圧電素子からなるノズルアクチュエータを駆動するための駆動信号COMの一例を示す。本実施形態では、中間電位を中心に電位が変化する信号とした。この駆動信号COMは、ノズルアクチュエータを駆動して液滴を吐出する単位駆動信号としての駆動パルスPCOMを時系列的に接続したものであり、各駆動パルスPCOMの立上がり部分がノズルに連通するキャビティ(圧力室)の容積を拡大して液体を引込む(液体の吐出面を考えればメニスカスを引き込むとも言える)段階であり、駆動パルスPCOMの立下がり部分がキャビティの容積を縮小して液体を押出す(液体の吐出面を考えればメニスカスを押出すとも言える)段階であり、液体を押出した結果、液滴がノズルから吐出される。
【0017】
この電圧台形波からなる駆動パルスPCOMの電圧増減傾きや波高値を種々に変更することにより、液体の引込量や引込速度、液体の押出量や押出速度を変化させることができ、これにより液滴の吐出量を変化させて異なる大きさのドットを得ることができる。従って、複数の駆動パルスPCOMを時系列的に連結する場合でも、そのうちから単独の駆動パルスPCOMを選択してアクチュエータに供給し、液滴を吐出したり、複数の駆動パルスPCOMを選択してアクチュエータに供給し、液滴を複数回吐出したりすることで種々の大きさのドットを得ることができる。即ち、液滴が乾かないうちに複数の液滴を同じ位置に着弾すると、実質的に大きな液滴を吐出するのと同じことになり、ドットの大きさを大きくすることができるのである。このような技術の組合せによって多階調化を図ることが可能となる。なお、図4の左端の駆動パルスPCOM1は、液体を引込むだけで押出していない。これは、微振動と呼ばれ、液滴を吐出せずに、例えばノズルの増粘を抑制防止したりするのに用いられる。
【0018】
各液滴吐出ヘッド2には、前記駆動信号COMの他、前記図3の制御装置から制御信号として、印刷データに基づいて吐出するノズルを選択すると共に圧電素子などのノズルアクチュエータの駆動信号COMへの接続タイミングを決定する駆動信号選択データSI&SP、全ノズルにノズル選択データが入力された後、駆動信号選択データSI&SPに基づいて駆動信号COMと液滴吐出ヘッド2のノズルアクチュエータとを接続させるラッチ信号LAT及びチャンネル信号CH、駆動信号選択データSI&SPをシリアル信号として液滴吐出ヘッド2に送信するためのクロック信号CLK、後述する低粘度化アクチュエータを駆動する低粘度化信号LVが入力されている。なお、これ以後、ノズルアクチュエータを駆動する駆動信号の最小単位を駆動パルスPCOMとし、駆動パルスPCOMが時系列的に連結された信号全体を駆動信号COMと記す。即ち、ラッチ信号LATで一連の駆動信号COMが出力され始め、チャンネル信号CH毎に駆動パルスPCOMが出力されることになる。
【0019】
図5には、駆動信号COM(駆動パルスPCOM)をノズルアクチュエータ22に供給するために各液滴吐出ヘッド2内に構築されたスイッチングコントローラの具体的な構成を示す。このスイッチングコントローラは、液滴を吐出させるべきノズルに対応した圧電素子などのノズルアクチュエータ22を指定するための駆動信号選択データSI&SPを保存するシフトレジスタ211と、シフトレジスタ211のデータを一時的に保存するラッチ回路212と、ラッチ回路212の出力をレベル変換して選択スイッチ201に供給することにより、駆動信号COMをピエゾ素子などのノズルアクチュエータ22に接続するレベルシフタ213を備えて構成されている。
【0020】
シフトレジスタ211には、駆動信号選択データ信号SI&SPが順次入力されると共に、クロック信号CLKの入力パルスに応じて記憶領域が初段から順次後段にシフトする。ラッチ回路212は、ノズル数分の駆動信号選択データSI&SPがシフトレジスタ211に格納された後、入力されるラッチ信号LATによってシフトレジスタ211の各出力信号をラッチする。ラッチ回路212に保存された信号は、レベルシフタ213によって次段の選択スイッチ201をオンオフできる電圧レベルに変換される。これは、駆動信号COMが、ラッチ回路212の出力電圧に比べて高い電圧であり、これに合わせて選択スイッチ201の動作電圧範囲も高く設定されているためである。従って、レベルシフタ213によって選択スイッチ201が閉じられる圧電素子などのノズルアクチュエータは駆動信号選択データSI&SPの接続タイミングで駆動信号COM(駆動パルスPCOM)に接続される。また、シフトレジスタ211の駆動信号選択データSI&SPがラッチ回路212に保存された後、次の印刷情報をシフトレジスタ211に入力し、液滴の吐出タイミングに合わせてラッチ回路212の保存データを順次更新する。なお、図中の符号HGNDは、圧電素子などのノズルアクチュエータのグランド端である。また、この選択スイッチ201によれば、圧電素子などのノズルアクチュエータを駆動信号COM(駆動パルスPCOM)から切り離した後も、当該ノズルアクチュエータ22の入力電圧は、切り離す直前の電圧に維持される。
【0021】
図6には、ノズルアクチュエータの駆動回路の概略構成を示す。ラインヘッド型印刷装置を構成する液滴吐出ヘッド2には多数のノズルが形成されており、図7に示すように、その夫々に、前述したノズルアクチュエータ22が設けられており、それらのノズルアクチュエータ22の上流側に例えばトランスミッションゲートで構成される選択スイッチ201が配設され、選択スイッチ201がオンされているノズルアクチュエータ22にのみ駆動信号COM(駆動パルスPCOM)が印加される。
【0022】
本実施形態の駆動回路は、予め記憶されている駆動波形データDWCOMに基づいて、駆動信号COMの元、つまりノズルアクチュエータ22の駆動を制御する信号の基準となる駆動波形信号WCOMを生成する駆動波形信号発生回路25と、駆動波形信号発生回路25で生成された駆動波形信号WCOMをパルス変調する変調回路26と、変調回路26でパルス変調された変調信号を電力増幅するデジタル電力増幅回路、所謂D級アンプ28と、デジタル電力増幅器28で電力増幅された電力増幅変調信号を平滑化して、駆動信号COM(駆動パルスPCOM)として選択スイッチ201からノズルアクチュエータ22に供給する平滑フィルタ29とを備えて構成される。
【0023】
駆動波形信号発生回路25は、CPU62aから出力された駆動波形データDWCOMを電圧信号に変換して所定サンプリング周期分ホールドすると共に、それをD/A変換器でアナログ変換して駆動波形信号WCOMとして出力する。この駆動波形信号WCOMをパルス変調する変調回路26には、周知のパルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)回路を用いた。パルス幅変調は、例えば所定周波数の三角波信号やノコギリ波信号などの基準信号と入力信号、この場合は駆動波形信号WCOMを比較し、例えば駆動波形信号WCOMが基準信号より大きいときにオンデューティとなるパルスデューティの変調信号を出力する。また、変調回路26には、この他にパルス密度変調(PDM)回路などの周知のパルス変調回路を用いることができる。また、何れの場合も、プログラムによる演算処理によって変調回路26を構成することができる。
【0024】
デジタル電力増幅回路28は、図8に示すように、実質的に電力を増幅するためのハイサイドのスイッチング素子Q1及びローサイドのスイッチング素子Q2からなるハーフブリッジD級出力段21と、変調回路26からの変調信号に基づいて、それらのスイッチング素子Q1、Q2のゲート−ソース間信号GH、GLを調整するためのゲート駆動回路30とを備えて構成されている。デジタル電力増幅回路28では、変調信号がハイレベルであるとき、ハイサイド側スイッチング素子Q1のゲート−ソース間信号GHはハイレベルとなり、ローサイド側スイッチング素子Q2のゲート−ソース間信号GLはローレベルとなるので、ハイサイド側スイッチング素子Q1はオン状態となり、ローサイド側スイッチング素子Q2はオフ状態となり、その結果、ハーフブリッジD級出力段21の出力は、供給電圧VDDとなる。一方、変調信号がローレベルであるとき、ハイサイド側スイッチング素子Q1のゲート−ソース間信号GHはローレベルとなり、ローサイド側スイッチング素子Q2のゲート−ソース間信号GLはハイレベルとなるので、ハイサイド側スイッチング素子Q1はオフ状態となり、ローサイド側スイッチング素子Q2はオン状態となり、その結果、ハーフブリッジ出力段21の出力は0となる。
【0025】
平滑フィルタ29には、図9に示すように、2つのコンデンサC1、C2、コイルL、抵抗Rからなる3次のフィルタを用いた。この平滑フィルタ29によって、前記変調回路26で生じた変調周波数、即ちパルス変調の周波数成分を減衰して除去し、前述したような波形特性の駆動信号COM(駆動パルスPCOM)を出力する。
図10には、液滴吐出ヘッドのノズル近傍の縦断面を示す。図中の符号31が、ノズル面に開設されたノズルである。前述したように、ノズル31には、吐出する液体を加圧するためのキャビティ(圧力室)32が連設されており、このキャビティ32の上面に振動板35を介してノズルアクチュエータ22が取付けられている。キャビティ32には、液体を貯留するためのリザーバ(貯留室ともいう)33が連設されており、このリザーバ33に液体タンクからチューブを経て吐出液体が供給される。本実施形態では、このリザーバ33に振動板35を介して低粘度化アクチュエータ34が取付けられている。
【0026】
この低粘度化アクチュエータ34は、前述したノズルアクチュエータ22と同様に、例えば圧電素子からなり、電圧信号からなる前記低粘度化信号が印加されると膨張したり収縮したりして、リザーバ33内の液体に所定の剪断速度の機械的エネルギーを付与する。本実施形態では、印刷用のインクなどの液体に高粘度の液体を用いる。一般的に、高粘度インクなどの高粘度液体は、高分子が溶解しているものや、高濃度の顔料が分散しているものである。これらの高粘度液体は、非ニュートン流体という領域に属する。非ニュートン流体は、剪断速度に対し、粘度が指数関数的に変化するという性質を持っており、その多くは、剪断速度が増すと粘度が低下する傾向にある。一般的な傾向を図11に示す。
【0027】
この剪断速度と粘度の関係は、個々の高粘度液体によって異なるため、予めレオメータなどで液体の剪断速度と粘度の関係を測定し、低粘度化アクチュエータ34への低粘度化信号を設定する。具体的には、例えば図11のような剪断速度−粘度特性が得られたら、その特性の変曲点に相当する剪断速度が得られるように低粘度化信号LVを設定する。設定する剪断速度は、この変曲点以下の剪断速度であってもよいが、変曲点の剪断速度が最も効率よく、液体を低粘度化する剪断速度となる。
【0028】
この剪断速度変曲点以下の領域を、低粘度化アクチュエータ34の駆動周波数fで表記すると、液体の等価回路の容量をC、抵抗をRとしたとき、
f≦1/2πCR
と表れる。つまり、この周波数帯域で低粘度化アクチュエータ34を駆動する場合、入力周波数成分は機械的変位エネルギーとなり、これを越える周波数帯域で低粘度化アクチュエータ34を駆動すると、入力周波数成分は熱エネルギーとなってしまう。液体に与えられるエネルギーが熱エネルギーである場合、前述のように液体の温度が高くなるから、液体の変性や安全性低下を誘発してしまう。一方、液体に与えられるエネルギーが機械的エネルギーであれば、液体の温度を高めることなく、粘度を低下することができる。特に、本実施形態のように、リザーバ33に低粘度化アクチュエータ34を取付け、このリザーバ33内の液体を低粘度化することにより、キャビティ32への液体の流入をスムースにし、且つノズルからの吐出を安定化することができる。
【0029】
このように、本実施形態の液滴吐出型印刷装置によれば、液滴を吐出するノズル31と、ノズル31に連通し且つノズル31から吐出される液体を加圧するためのキャビティ32と、キャビティ32に連通し且つキャビティ32に供給される液体を貯留するためのリザーバ33と、キャビティ32に備えられ且つノズル31から液滴を吐出するためのノズルアクチュエータ22と、リザーバ33に備えられ且つリザーバ33内の液体に所定の剪断速度の機械的エネルギーを付与するための低粘度化アクチュエータ34と、ノズルアクチュエータ22を駆動制御すると共に低粘度化アクチュエータ34を駆動制御する制御装置とを備え、リザーバ33内の液体に所定の剪断速度の機械的エネルギーを付与して当該液体を低粘度化することとしたため、液体の変性や安定性低下を招くことなく、高粘度の液体を安定して吐出することができる。
【0030】
また、剪断速度は、液体の剪断速度と粘度の関係の変曲点以下の速度とすることで、液体を低粘度化する機械的エネルギーを確実に付与することができる。
なお、前記実施形態では、本発明の液滴吐出装置をラインヘッド型の液滴吐出型印刷装置に用いた場合についてのみ詳述したが、本発明のゲルの生成方法は、マルチパス型の液滴吐出型印刷装置にも同様に適用可能である。また、これらの印刷装置形態以外の印刷装置であってもよく、例えば工業分野、医療分野などで液滴を吐出して印刷を行うものにも同様に適用することができる。
【0031】
また、前記実施形態では、本発明の液滴吐出装置をインクなどの液体を吐出するものに具体化したが、この限りではなく、インク以外の他の液体(液体以外にも、機能材料の粒子が分散されている液状体、ジェルなどの流状体を含む)や液体以外の流体(流体として流して吐出できる固体など)を吐出する液滴吐出装置に具体化することもできる。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッサンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルタの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解の形態で含む液状体を吐出する液状体吐出装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を吐出する液滴吐出装置、精密ピペットとして用いられて試料となる液体を吐出する液滴吐出装置であってもよい。更に、時計やカメラなどの精密機械にピンポイントで潤滑油を吐出する液滴吐出装置、光通信素子などに用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するための紫外線硬化樹脂などの透明樹脂液を基板上に吐出する液滴吐出装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリなどのエッチング液を吐出する液滴吐出装置、ジェルを吐出する流状体吐出装置、トナーなどの粉体を例とする固体を吐出する流体吐出式記録装置であってもよい。そして、これらのうち何れか一種の吐出装置に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0032】
1は印刷媒体、2は液滴吐出ヘッド、3は給紙部、4は搬送部、5は給紙ローラ、6は搬送ベルト、7は電動モータ、8は駆動ローラ、9は従動ローラ、10は排紙部、11は固定プレート、21はハーフブリッジD級出力段、22はノズルアクチュエータ、25は駆動波形信号発生回路、26は変調回路、28はデジタル電力増幅回路、29は平滑フィルタ、30はゲート駆動回路、31はノズル、32はキャビティ(圧力室)、33はリザーバ(貯留室)、34は低粘度化アクチュエータ、65はヘッドドライバ
【技術分野】
【0001】
本発明は、微小な液滴をノズルから吐出して、その微粒子(ドット)を印刷媒体上に形成することにより、所定の文字や画像等を印刷するようにした液滴吐出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液滴吐出ヘッドを利用する液滴吐出型印刷装置は、家庭用の印刷装置として開発された技術であり、微小液滴を高精度に吐出することができる。この種の液滴吐出ヘッドの利点は、必要な量の液滴を、必要な部分だけに吐出、着弾させるところであり、印刷装置に止まらず、工業、医療の分野でも使用され、省エネルギー、省資源など環境負荷低減にも有効である。
液滴吐出ヘッドに代表される液滴吐出装置は、液滴を吐出するノズル、ノズルに連通し且つノズルから吐出される液体を加圧するための圧力室、圧力室に連通し且つ圧力室に供給される液体を貯留するための貯留室、圧力室に備えられ且つノズルから液滴を吐出するためのノズルアクチュエータ、ノズルアクチュエータを駆動制御する制御装置などを備えて構成される。
【0003】
このような液滴吐出装置では、印刷装置を始め、吐出液体が高粘度化している。例えば高分子ポリマーの液体などは粘度が高く、加圧室への液体の充填や、ノズルからの安定した液滴吐出が難しい。そこで、下記特許文献1に記載される液滴吐出装置では、液滴吐出信号の他に、液滴が吐出しない程度の高周波信号をノズルアクチュエータに印加し、それによって発生する熱で液体を低粘度化するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−119846号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献1に記載される液滴吐出装置では、熱によって液体を低粘度化させるものであるため、逆に熱によって液体の変性、安定性低下を誘発する恐れがある。具体的には、工業分野で使用される液体は機能性インクであり、例えば熱硬化型インクでは、熱によって増粘してしまうため、安定した吐出を行うことができない。また、タンパク質インクなどは、熱によるダメージでインクの機能が損なわれてしまう。また、有機系のインクでは、引火する可能性があり、安全上不安定である。
本発明は、これらの諸問題に着目して開発されたものであり、液体の変性や安定性低下を招くことなく、高粘度の液体を安定して吐出することが可能な液滴吐出装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記諸問題を解決するため、本発明の液滴吐出装置は、液滴を吐出するノズルと、前記ノズルに連通し且つノズルから吐出される液体を加圧するための圧力室と、前記圧力室に連通し且つ圧力室に供給される液体を貯留するための貯留室と、前記圧力室に備えられ且つノズルから液滴を吐出するためのノズルアクチュエータと、前記貯留室に備えられ且つ貯留室内の液体に所定の剪断速度の機械的エネルギーを付与するための低粘度化アクチュエータと、前記ノズルアクチュエータを駆動制御すると共に前記低粘度化アクチュエータを駆動制御する制御装置とを備えたことを特徴とするものである。
【0007】
この液滴吐出装置によれば、貯留室内の液体に所定の剪断速度の機械的エネルギーを付与して当該液体を低粘度化することにより、液体の変性や安定性低下を招くことなく、高粘度の液体を安定して吐出することができる。
また、前記剪断速度は、前記液体の剪断速度と粘度の関係の変曲点以下の速度としたことを特徴とするものである。
この液滴吐出装置によれば、液体の剪断速度と粘度の関係の変曲点以下の剪断速度とすることで、液体を低粘度化する機械的エネルギーを確実に付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の液滴吐出装置を用いた液滴吐出型印刷装置の一実施形態を示す概略構成正面図である。
【図2】図1の液滴吐出型印刷装置に用いられる液滴吐出ヘッド近傍の底面図である。
【図3】図1の液滴吐出型印刷装置の制御装置のブロック図である。
【図4】各液滴吐出ヘッド内のノズルアクチュエータを駆動する駆動信号の説明図である。
【図5】スイッチングコントローラのブロック図である。
【図6】ノズルアクチュエータの駆動回路の一例を示すブロック図である。
【図7】図6の液滴吐出ヘッドのブロック図である。
【図8】図6のデジタル電力増幅回路のブロック図である。
【図9】図6の平滑フィルタのブロック図である。
【図10】図1の液滴吐出ヘッドのノズル近傍の縦断面図である。
【図11】吐出液体の剪断速度と粘度の関係を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
次に、本発明の液滴吐出装置の一実施形態として、液滴吐出型印刷装置に適用されたものについて説明する。
図1は、本実施形態の印刷装置の概略構成図であり、図において、印刷媒体1は、図の左から右に向けて矢印方向に搬送され、その搬送途中の印刷領域で印刷される、ラインヘッド型印刷装置である。
液滴吐出型印刷装置のうち、液滴吐出ノズルの形成された液滴吐出ヘッドをキャリッジと呼ばれる移動体に載せて印刷媒体の搬送方向と交差する方向に移動させるものを一般に「マルチパス型印刷装置」と呼んでいる。これに対し、印刷媒体の搬送方向と交差する方向に長尺な液滴吐出ヘッドを配置して、所謂1パスでの印刷が可能なものを一般に「ラインヘッド型印刷装置」と呼んでいる。
【0010】
図1中の符号2は、印刷媒体1の搬送ライン上方に設けられた複数の液滴吐出ヘッドであり、印刷媒体搬送方向に2列になるように且つ印刷媒体搬送方向と交差する方向に並べて配設されて、夫々、ヘッド固定プレート11に固定されている。各液滴吐出ヘッド2の最下面には、多数のノズルが形成されており、この面がノズル面と呼ばれている。ノズルは、図2に示すように、吐出する液体の色毎に、印刷媒体搬送方向と交差する方向に列状に配設されており、その列をノズル列と呼んだり、その列方向をノズル列方向と呼んだりする。そして、印刷媒体搬送方向と交差する方向に配設された全ての液滴吐出ヘッド2のノズル列によって、印刷媒体1の搬送方向と交差する方向の幅全長に及ぶラインヘッドが形成されている。印刷媒体1は、これらの液滴吐出ヘッド2のノズル面の下方を通過するときに、ノズル面に形成されている多数のノズルから液滴が吐出され、印刷が行われる。
【0011】
液滴吐出ヘッド2には、例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色のインクなどの液体が、図示しない各色の液体タンクから液体供給チューブを介して供給される。そして、各液滴吐出ヘッド2に形成されているノズルから同時に必要箇所に必要量の液滴を吐出することにより、印刷媒体1上に微小なドットを出力する。これを各色毎に行うことにより、搬送部4で搬送される印刷媒体1を一度通過させるだけで、所謂1パスによる印刷を行うことができる。
【0012】
液滴吐出ヘッドの各ノズルから液滴を吐出する方法としては、静電方式、ピエゾ方式、膜沸騰液滴吐出方式などがあり、本実施形態ではピエゾ方式を用いた。ピエゾ方式は、ノズルアクチュエータである圧電素子に駆動信号を与えると、圧力室(キャビティともいう)内の振動板が変位してキャビティ内に圧力変化を生じ、その圧力変化によって液滴がノズルから吐出されるというものである。そして、駆動信号の波高値や電圧増減傾きを調整することで液滴の吐出量を調整することが可能となる。なお、本発明は、ピエゾ方式以外の液滴吐出方法にも、同様に適用可能である。
【0013】
液滴吐出ヘッド2の下方には、印刷媒体1を搬送方向に搬送するための搬送部4が設けられている。搬送部4は、駆動ローラ8及び従動ローラ9に搬送ベルト6を巻回して構成され、駆動ローラ8には図示しない電動モータが接続されている。また、搬送ベルト6の内側には、当該搬送ベルト6の表面に印刷媒体1を吸着するための図示しない吸着装置が設けられている。この吸着装置には、例えば負圧によって印刷媒体1を搬送ベルト6に吸着する空気吸引装置や、静電気力で印刷媒体1を搬送ベルト6に吸着する静電吸着装置などが用いられる。従って、給紙ローラ5によって給紙部3から印刷媒体1を一枚だけ搬送ベルト6上に送給し、電動モータによって駆動ローラ8を回転駆動すると、搬送ベルト6が印刷媒体搬送方向に回転され、吸着装置によって搬送ベルト6に印刷媒体1が吸着されて搬送される。この印刷媒体1の搬送中に、液滴吐出ヘッド2から液滴を吐出して印刷を行う。印刷の終了した印刷媒体1は、搬送方向下流側の排紙部10に排紙される。なお、前記搬送ベルト6には、例えばリニアエンコーダなどで構成される印刷基準信号出力装置が取付けられている。この印刷基準信号出力装置は、例えば搬送ベルト6とそれに吸着されて搬送される印刷媒体1とが同期して移動されることに着目し、印刷媒体1が搬送経路中の所定位置を通過した後は、搬送ベルト6の移動に伴って要求される印刷解像度相当のパルス信号を出力し、このパルス信号に応じて、後述する駆動回路から駆動信号をノズルアクチュエータに出力することで印刷媒体1上の所定位置に所定の色の液滴を吐出し、そのドットによって印刷媒体1上に所定の画像を描画する。
【0014】
この印刷装置内には、自身を制御するための制御装置が設けられている。この制御装置は、例えば図3に示すように、例えばパーソナルコンピュータ、デジタルカメラ等のホストコンピュータ60から入力された印刷データに基づいて、印刷装置や給紙装置等を制御することにより印刷媒体に印刷処理を行うものである。そして、ホストコンピュータ60から入力された印刷データ読込むための入力インタフェース61と、この入力インタフェース61から入力された印刷データに基づいて印刷処理等の演算処理を実行する例えばマイクロコンピュータで構成される制御部62と、前記給紙ローラ5に接続されている給紙ローラモータ17を駆動制御する給紙ローラモータドライバ63と、各液滴吐出ヘッド2を駆動制御するヘッドドライバ65と、前記駆動ローラ8に接続されている電動モータ7を駆動制御する電動モータドライバ66と、各ドライバ63、65、66と外部の給紙ローラモータ17、液滴吐出ヘッド2、電動モータ7とを接続するインタフェース67とを備えて構成される。
【0015】
制御部62は、印刷処理等の各種処理を実行するCPU(Central Processing Unit)62aと、入力インタフェース61を介して入力された印刷データ或いは当該印刷データ印刷処理等を実行する際の各種データを一時的に格納し、或いは印刷処理等のプログラムを一時的に展開するRAM(Random Access Memory)62cと、CPU62aで実行する制御プログラム等を格納する不揮発性半導体メモリで構成されるROM(Read-Only Memory)62dを備えている。この制御部62は、インタフェース61を介してホストコンピュータ60から印刷データ(画像データ)を入手すると、CPU62aが、この印刷データに所定の処理を実行して、何れの液滴吐出ヘッド2の何れのノズルから液滴を吐出するか或いはどの程度の液滴を吐出するかというノズル選択データ(駆動信号選択データ)を算出し、この印刷データや駆動信号選択データ及び各種センサからの入力データに基づいて、各ドライバ63、65、66に制御信号を出力する。各ドライバ63、65、66からはアクチュエータを駆動するための駆動信号が出力され、給紙ローラモータ17、電動モータ7、液滴吐出ヘッド2内のノズルアクチュエータなどが夫々作動して、印刷媒体1の給紙及び搬送及び排紙、並びに印刷媒体1への印刷処理が実行される。なお、制御部62内の各構成要素は、図示しないバスを介して電気的に接続されている。
【0016】
図4には、本実施形態の印刷装置の制御装置から液滴吐出ヘッド2に供給され、圧電素子からなるノズルアクチュエータを駆動するための駆動信号COMの一例を示す。本実施形態では、中間電位を中心に電位が変化する信号とした。この駆動信号COMは、ノズルアクチュエータを駆動して液滴を吐出する単位駆動信号としての駆動パルスPCOMを時系列的に接続したものであり、各駆動パルスPCOMの立上がり部分がノズルに連通するキャビティ(圧力室)の容積を拡大して液体を引込む(液体の吐出面を考えればメニスカスを引き込むとも言える)段階であり、駆動パルスPCOMの立下がり部分がキャビティの容積を縮小して液体を押出す(液体の吐出面を考えればメニスカスを押出すとも言える)段階であり、液体を押出した結果、液滴がノズルから吐出される。
【0017】
この電圧台形波からなる駆動パルスPCOMの電圧増減傾きや波高値を種々に変更することにより、液体の引込量や引込速度、液体の押出量や押出速度を変化させることができ、これにより液滴の吐出量を変化させて異なる大きさのドットを得ることができる。従って、複数の駆動パルスPCOMを時系列的に連結する場合でも、そのうちから単独の駆動パルスPCOMを選択してアクチュエータに供給し、液滴を吐出したり、複数の駆動パルスPCOMを選択してアクチュエータに供給し、液滴を複数回吐出したりすることで種々の大きさのドットを得ることができる。即ち、液滴が乾かないうちに複数の液滴を同じ位置に着弾すると、実質的に大きな液滴を吐出するのと同じことになり、ドットの大きさを大きくすることができるのである。このような技術の組合せによって多階調化を図ることが可能となる。なお、図4の左端の駆動パルスPCOM1は、液体を引込むだけで押出していない。これは、微振動と呼ばれ、液滴を吐出せずに、例えばノズルの増粘を抑制防止したりするのに用いられる。
【0018】
各液滴吐出ヘッド2には、前記駆動信号COMの他、前記図3の制御装置から制御信号として、印刷データに基づいて吐出するノズルを選択すると共に圧電素子などのノズルアクチュエータの駆動信号COMへの接続タイミングを決定する駆動信号選択データSI&SP、全ノズルにノズル選択データが入力された後、駆動信号選択データSI&SPに基づいて駆動信号COMと液滴吐出ヘッド2のノズルアクチュエータとを接続させるラッチ信号LAT及びチャンネル信号CH、駆動信号選択データSI&SPをシリアル信号として液滴吐出ヘッド2に送信するためのクロック信号CLK、後述する低粘度化アクチュエータを駆動する低粘度化信号LVが入力されている。なお、これ以後、ノズルアクチュエータを駆動する駆動信号の最小単位を駆動パルスPCOMとし、駆動パルスPCOMが時系列的に連結された信号全体を駆動信号COMと記す。即ち、ラッチ信号LATで一連の駆動信号COMが出力され始め、チャンネル信号CH毎に駆動パルスPCOMが出力されることになる。
【0019】
図5には、駆動信号COM(駆動パルスPCOM)をノズルアクチュエータ22に供給するために各液滴吐出ヘッド2内に構築されたスイッチングコントローラの具体的な構成を示す。このスイッチングコントローラは、液滴を吐出させるべきノズルに対応した圧電素子などのノズルアクチュエータ22を指定するための駆動信号選択データSI&SPを保存するシフトレジスタ211と、シフトレジスタ211のデータを一時的に保存するラッチ回路212と、ラッチ回路212の出力をレベル変換して選択スイッチ201に供給することにより、駆動信号COMをピエゾ素子などのノズルアクチュエータ22に接続するレベルシフタ213を備えて構成されている。
【0020】
シフトレジスタ211には、駆動信号選択データ信号SI&SPが順次入力されると共に、クロック信号CLKの入力パルスに応じて記憶領域が初段から順次後段にシフトする。ラッチ回路212は、ノズル数分の駆動信号選択データSI&SPがシフトレジスタ211に格納された後、入力されるラッチ信号LATによってシフトレジスタ211の各出力信号をラッチする。ラッチ回路212に保存された信号は、レベルシフタ213によって次段の選択スイッチ201をオンオフできる電圧レベルに変換される。これは、駆動信号COMが、ラッチ回路212の出力電圧に比べて高い電圧であり、これに合わせて選択スイッチ201の動作電圧範囲も高く設定されているためである。従って、レベルシフタ213によって選択スイッチ201が閉じられる圧電素子などのノズルアクチュエータは駆動信号選択データSI&SPの接続タイミングで駆動信号COM(駆動パルスPCOM)に接続される。また、シフトレジスタ211の駆動信号選択データSI&SPがラッチ回路212に保存された後、次の印刷情報をシフトレジスタ211に入力し、液滴の吐出タイミングに合わせてラッチ回路212の保存データを順次更新する。なお、図中の符号HGNDは、圧電素子などのノズルアクチュエータのグランド端である。また、この選択スイッチ201によれば、圧電素子などのノズルアクチュエータを駆動信号COM(駆動パルスPCOM)から切り離した後も、当該ノズルアクチュエータ22の入力電圧は、切り離す直前の電圧に維持される。
【0021】
図6には、ノズルアクチュエータの駆動回路の概略構成を示す。ラインヘッド型印刷装置を構成する液滴吐出ヘッド2には多数のノズルが形成されており、図7に示すように、その夫々に、前述したノズルアクチュエータ22が設けられており、それらのノズルアクチュエータ22の上流側に例えばトランスミッションゲートで構成される選択スイッチ201が配設され、選択スイッチ201がオンされているノズルアクチュエータ22にのみ駆動信号COM(駆動パルスPCOM)が印加される。
【0022】
本実施形態の駆動回路は、予め記憶されている駆動波形データDWCOMに基づいて、駆動信号COMの元、つまりノズルアクチュエータ22の駆動を制御する信号の基準となる駆動波形信号WCOMを生成する駆動波形信号発生回路25と、駆動波形信号発生回路25で生成された駆動波形信号WCOMをパルス変調する変調回路26と、変調回路26でパルス変調された変調信号を電力増幅するデジタル電力増幅回路、所謂D級アンプ28と、デジタル電力増幅器28で電力増幅された電力増幅変調信号を平滑化して、駆動信号COM(駆動パルスPCOM)として選択スイッチ201からノズルアクチュエータ22に供給する平滑フィルタ29とを備えて構成される。
【0023】
駆動波形信号発生回路25は、CPU62aから出力された駆動波形データDWCOMを電圧信号に変換して所定サンプリング周期分ホールドすると共に、それをD/A変換器でアナログ変換して駆動波形信号WCOMとして出力する。この駆動波形信号WCOMをパルス変調する変調回路26には、周知のパルス幅変調(PWM:Pulse Width Modulation)回路を用いた。パルス幅変調は、例えば所定周波数の三角波信号やノコギリ波信号などの基準信号と入力信号、この場合は駆動波形信号WCOMを比較し、例えば駆動波形信号WCOMが基準信号より大きいときにオンデューティとなるパルスデューティの変調信号を出力する。また、変調回路26には、この他にパルス密度変調(PDM)回路などの周知のパルス変調回路を用いることができる。また、何れの場合も、プログラムによる演算処理によって変調回路26を構成することができる。
【0024】
デジタル電力増幅回路28は、図8に示すように、実質的に電力を増幅するためのハイサイドのスイッチング素子Q1及びローサイドのスイッチング素子Q2からなるハーフブリッジD級出力段21と、変調回路26からの変調信号に基づいて、それらのスイッチング素子Q1、Q2のゲート−ソース間信号GH、GLを調整するためのゲート駆動回路30とを備えて構成されている。デジタル電力増幅回路28では、変調信号がハイレベルであるとき、ハイサイド側スイッチング素子Q1のゲート−ソース間信号GHはハイレベルとなり、ローサイド側スイッチング素子Q2のゲート−ソース間信号GLはローレベルとなるので、ハイサイド側スイッチング素子Q1はオン状態となり、ローサイド側スイッチング素子Q2はオフ状態となり、その結果、ハーフブリッジD級出力段21の出力は、供給電圧VDDとなる。一方、変調信号がローレベルであるとき、ハイサイド側スイッチング素子Q1のゲート−ソース間信号GHはローレベルとなり、ローサイド側スイッチング素子Q2のゲート−ソース間信号GLはハイレベルとなるので、ハイサイド側スイッチング素子Q1はオフ状態となり、ローサイド側スイッチング素子Q2はオン状態となり、その結果、ハーフブリッジ出力段21の出力は0となる。
【0025】
平滑フィルタ29には、図9に示すように、2つのコンデンサC1、C2、コイルL、抵抗Rからなる3次のフィルタを用いた。この平滑フィルタ29によって、前記変調回路26で生じた変調周波数、即ちパルス変調の周波数成分を減衰して除去し、前述したような波形特性の駆動信号COM(駆動パルスPCOM)を出力する。
図10には、液滴吐出ヘッドのノズル近傍の縦断面を示す。図中の符号31が、ノズル面に開設されたノズルである。前述したように、ノズル31には、吐出する液体を加圧するためのキャビティ(圧力室)32が連設されており、このキャビティ32の上面に振動板35を介してノズルアクチュエータ22が取付けられている。キャビティ32には、液体を貯留するためのリザーバ(貯留室ともいう)33が連設されており、このリザーバ33に液体タンクからチューブを経て吐出液体が供給される。本実施形態では、このリザーバ33に振動板35を介して低粘度化アクチュエータ34が取付けられている。
【0026】
この低粘度化アクチュエータ34は、前述したノズルアクチュエータ22と同様に、例えば圧電素子からなり、電圧信号からなる前記低粘度化信号が印加されると膨張したり収縮したりして、リザーバ33内の液体に所定の剪断速度の機械的エネルギーを付与する。本実施形態では、印刷用のインクなどの液体に高粘度の液体を用いる。一般的に、高粘度インクなどの高粘度液体は、高分子が溶解しているものや、高濃度の顔料が分散しているものである。これらの高粘度液体は、非ニュートン流体という領域に属する。非ニュートン流体は、剪断速度に対し、粘度が指数関数的に変化するという性質を持っており、その多くは、剪断速度が増すと粘度が低下する傾向にある。一般的な傾向を図11に示す。
【0027】
この剪断速度と粘度の関係は、個々の高粘度液体によって異なるため、予めレオメータなどで液体の剪断速度と粘度の関係を測定し、低粘度化アクチュエータ34への低粘度化信号を設定する。具体的には、例えば図11のような剪断速度−粘度特性が得られたら、その特性の変曲点に相当する剪断速度が得られるように低粘度化信号LVを設定する。設定する剪断速度は、この変曲点以下の剪断速度であってもよいが、変曲点の剪断速度が最も効率よく、液体を低粘度化する剪断速度となる。
【0028】
この剪断速度変曲点以下の領域を、低粘度化アクチュエータ34の駆動周波数fで表記すると、液体の等価回路の容量をC、抵抗をRとしたとき、
f≦1/2πCR
と表れる。つまり、この周波数帯域で低粘度化アクチュエータ34を駆動する場合、入力周波数成分は機械的変位エネルギーとなり、これを越える周波数帯域で低粘度化アクチュエータ34を駆動すると、入力周波数成分は熱エネルギーとなってしまう。液体に与えられるエネルギーが熱エネルギーである場合、前述のように液体の温度が高くなるから、液体の変性や安全性低下を誘発してしまう。一方、液体に与えられるエネルギーが機械的エネルギーであれば、液体の温度を高めることなく、粘度を低下することができる。特に、本実施形態のように、リザーバ33に低粘度化アクチュエータ34を取付け、このリザーバ33内の液体を低粘度化することにより、キャビティ32への液体の流入をスムースにし、且つノズルからの吐出を安定化することができる。
【0029】
このように、本実施形態の液滴吐出型印刷装置によれば、液滴を吐出するノズル31と、ノズル31に連通し且つノズル31から吐出される液体を加圧するためのキャビティ32と、キャビティ32に連通し且つキャビティ32に供給される液体を貯留するためのリザーバ33と、キャビティ32に備えられ且つノズル31から液滴を吐出するためのノズルアクチュエータ22と、リザーバ33に備えられ且つリザーバ33内の液体に所定の剪断速度の機械的エネルギーを付与するための低粘度化アクチュエータ34と、ノズルアクチュエータ22を駆動制御すると共に低粘度化アクチュエータ34を駆動制御する制御装置とを備え、リザーバ33内の液体に所定の剪断速度の機械的エネルギーを付与して当該液体を低粘度化することとしたため、液体の変性や安定性低下を招くことなく、高粘度の液体を安定して吐出することができる。
【0030】
また、剪断速度は、液体の剪断速度と粘度の関係の変曲点以下の速度とすることで、液体を低粘度化する機械的エネルギーを確実に付与することができる。
なお、前記実施形態では、本発明の液滴吐出装置をラインヘッド型の液滴吐出型印刷装置に用いた場合についてのみ詳述したが、本発明のゲルの生成方法は、マルチパス型の液滴吐出型印刷装置にも同様に適用可能である。また、これらの印刷装置形態以外の印刷装置であってもよく、例えば工業分野、医療分野などで液滴を吐出して印刷を行うものにも同様に適用することができる。
【0031】
また、前記実施形態では、本発明の液滴吐出装置をインクなどの液体を吐出するものに具体化したが、この限りではなく、インク以外の他の液体(液体以外にも、機能材料の粒子が分散されている液状体、ジェルなどの流状体を含む)や液体以外の流体(流体として流して吐出できる固体など)を吐出する液滴吐出装置に具体化することもできる。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッサンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルタの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解の形態で含む液状体を吐出する液状体吐出装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を吐出する液滴吐出装置、精密ピペットとして用いられて試料となる液体を吐出する液滴吐出装置であってもよい。更に、時計やカメラなどの精密機械にピンポイントで潤滑油を吐出する液滴吐出装置、光通信素子などに用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するための紫外線硬化樹脂などの透明樹脂液を基板上に吐出する液滴吐出装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリなどのエッチング液を吐出する液滴吐出装置、ジェルを吐出する流状体吐出装置、トナーなどの粉体を例とする固体を吐出する流体吐出式記録装置であってもよい。そして、これらのうち何れか一種の吐出装置に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0032】
1は印刷媒体、2は液滴吐出ヘッド、3は給紙部、4は搬送部、5は給紙ローラ、6は搬送ベルト、7は電動モータ、8は駆動ローラ、9は従動ローラ、10は排紙部、11は固定プレート、21はハーフブリッジD級出力段、22はノズルアクチュエータ、25は駆動波形信号発生回路、26は変調回路、28はデジタル電力増幅回路、29は平滑フィルタ、30はゲート駆動回路、31はノズル、32はキャビティ(圧力室)、33はリザーバ(貯留室)、34は低粘度化アクチュエータ、65はヘッドドライバ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出するノズルと、前記ノズルに連通し且つノズルから吐出される液体を加圧するための圧力室と、前記圧力室に連通し且つ圧力室に供給される液体を貯留するための貯留室と、前記圧力室に備えられ且つノズルから液滴を吐出するためのノズルアクチュエータと、前記貯留室に備えられ且つ貯留室内の液体に所定の剪断速度の機械的エネルギーを付与するための低粘度化アクチュエータと、前記ノズルアクチュエータを駆動制御すると共に前記低粘度化アクチュエータを駆動制御する制御装置とを備えたことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
前記剪断速度は、前記液体の剪断速度と粘度の関係の変曲点以下の速度としたことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項1】
液滴を吐出するノズルと、前記ノズルに連通し且つノズルから吐出される液体を加圧するための圧力室と、前記圧力室に連通し且つ圧力室に供給される液体を貯留するための貯留室と、前記圧力室に備えられ且つノズルから液滴を吐出するためのノズルアクチュエータと、前記貯留室に備えられ且つ貯留室内の液体に所定の剪断速度の機械的エネルギーを付与するための低粘度化アクチュエータと、前記ノズルアクチュエータを駆動制御すると共に前記低粘度化アクチュエータを駆動制御する制御装置とを備えたことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項2】
前記剪断速度は、前記液体の剪断速度と粘度の関係の変曲点以下の速度としたことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−208205(P2010−208205A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−58263(P2009−58263)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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