温度測定装置、温度校正装置及び温度校正方法
【課題】熱処理機構を用いて基板を所定の温度に熱処理する熱処理装置において、前記熱処理機構の温度を簡易な方法で適切に校正する。
【解決手段】温度校正装置の温度検査治具10は、熱処理板上に載置される被処理ウェハ70と、被処理ウェハ70上に設けられた複数のホイートストンブリッジ回路71とを有している。ホイートストンブリッジ回路71は、温度変化に応じて抵抗値が変化する4つの測温抵抗体72と、接触子41が接触する4つのコンタクトパッド73と有している。温度校正装置の制御部では、ホイートストンブリッジ回路71が平衡状態となるように、すなわちホイートストンブリッジ回路71のオフセット電圧がゼロになるように、熱処理板の温度を調節する。
【解決手段】温度校正装置の温度検査治具10は、熱処理板上に載置される被処理ウェハ70と、被処理ウェハ70上に設けられた複数のホイートストンブリッジ回路71とを有している。ホイートストンブリッジ回路71は、温度変化に応じて抵抗値が変化する4つの測温抵抗体72と、接触子41が接触する4つのコンタクトパッド73と有している。温度校正装置の制御部では、ホイートストンブリッジ回路71が平衡状態となるように、すなわちホイートストンブリッジ回路71のオフセット電圧がゼロになるように、熱処理板の温度を調節する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱処理機構を用いて基板を所定の温度に熱処理する熱処理装置に対し、前記熱処理機構の温度を測定するための温度測定装置、当該温度測定装置を備え、前記熱処理機構の温度を校正するための温度校正装置、及び当該温度校正装置を用いた温度校正方法に関する。なお、ここで言う校正とは、熱処理機構の温度を計測し、当該熱処理機構の温度を所望の値に調節することを意味する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程におけるフォトリソグラフィー工程では、半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という。)上にレジスト液を塗布した後の加熱処理(プリベーキング処理)、レジスト膜に所定のパターンを露光した後の加熱処理(ポストエクスポージャーベーキング処理)、露光されたレジスト膜を現像した後の加熱処理(ポストベーキング処理)などの種々の熱処理が行われている。また、これら加熱処理後にウェハの温度を調節する熱処理も行われている。さらに、エッチング処理や成膜処理などのプラズマ処理においても、ウェハの温度を調節する熱処理が行われている。
【0003】
上述した熱処理は、例えば熱処理装置において所定の温度に設定された熱処理板上にウェハを載置して行われる。そして、この熱処理を適切に行うためには、熱処理板上のウェハの温度分布を事前に計測し、当該計測結果に基づいて熱処理板の温度を適宜補正することが重要である。そこで、従来、この熱処理におけるウェハの温度を計測することが行われている。
【0004】
かかるウェハの温度の計測には、複数の温度センサと、当該複数の温度センサのセンサ出力を出力信号として出力する接点とがウェハ表面に設けられたウェハ型温度センサを用いることが提案されている。かかる場合、熱処理装置の内部に設けられた接触子をウェハ上の接点に接触させる。接点からの出力信号は、接触子を介して熱処理装置の外部に設けられたデータ管理部に出力される。そして、データ管理部では、出力信号に基づいて、ウェハの温度が判別される(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−187619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1のウェハ型温度センサ上では、複数の温度センサは個別に接点と接続されているため、各温度センサの抵抗値がすべて測定される。かかる場合、データ管理部において管理されるデータ、すなわち計測される温度の数が非常に多くなる。そうすると、これら温度の計測結果に基づいて熱処理板の温度を調節する場合、当該温度の制御が非常に複雑なものなる。したがって、熱処理板の温度調節に改善の余地があった。
【0007】
また、無線式の計測装置を用いた場合であっても、上記特許文献1と同様に、ウェハ上に設けられた複数の温度センサの抵抗値がすべて測定されるので、熱処理板の温度制御が非常に複雑になる。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、熱処理機構を用いて基板を所定の温度に熱処理する熱処理装置において、前記熱処理機構の温度を簡易な方法で適切に校正することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するため、本発明は、熱処理機構を用いて基板を所定の温度に熱処理する熱処理装置に対し、前記熱処理機構の温度を測定するための温度測定装置であって、基板と、前記基板上に設けられ、温度変化に応じて抵抗値が変化する複数の測温抵抗体を備えたホイートストンブリッジ回路と、を有することを特徴としている。
【0010】
本発明によれば、温度測定装置の基板上に形成されたホイートストンブリッジ回路が平衡状態となるように、すなわち、ホイートストンブリッジ回路におけるオフセット電圧がゼロになるように、熱処理機構の温度を調節することができる。かかる場合、オフセット電圧がゼロになるので、ホイートストンブリッジ回路における複数の測温抵抗体の抵抗値、すなわち当該測温抵抗体で計測される基板の温度が等しくなる。したがって、本発明によれば、基板を水平面内で均一に熱処理するように、熱処理機構の温度を適切に調節することができる。そして、このように温度調節された熱処理機構によって、後続の基板に対する熱処理を適切に行うことができる。
【0011】
また、基板上の複数の領域において温度を測定しようとすると、複数の測温抵抗体が必要になるため、従来の方法を用いると、当該測温抵抗体の数に応じた複数箇所の温度が計測される。そうすると、これら複数のパラメータを用いて熱処理機構の温度が調節されることになる。これに対して、本発明によれば、熱処理機構の温度を調節するために用いるパラメータは、ホイートストンブリッジ回路のオフセット電圧の1つのみである。したがって、本発明によれば、簡易な制御で熱処理機構の温度を調節することができる。
【0012】
前記ホイートストンブリッジ回路は、所定の抵抗値を有する固定抵抗体を備えていてもよい。なお、固定抵抗体とは、温度変化に対して、抵抗値の変化がゼロ、若しくは抵抗値の変化が無視できるほど小さいものを言う。
【0013】
別な観点による本発明は、熱処理機構を用いて基板を所定の温度に熱処理する熱処理装置に対し、前記熱処理機構の温度を校正するための温度校正装置であって、基板と、前記基板上に設けられ、温度変化に応じて抵抗値が変化する複数の測温抵抗体を備えたホイートストンブリッジ回路と、前記ホイートストンブリッジ回路が平衡状態となるように、前記熱処理機構の温度を調節する制御部と、を有することを特徴としている。なお、ホイートストンブリッジ回路が平衡状態になるとは、当該ホイートストンブリッジ回路の中点間の電位差がゼロになる状態をいい、すなわちホイートストンブリッジ回路のオフセット電圧がゼロになる状態をいう。
【0014】
前記ホイートストンブリッジ回路は複数設けられ、前記制御部は、複数の前記ホイートストンブリッジ回路が平衡状態になるように、前記熱処理機構の温度を調節してもよい。
【0015】
前記制御部は、前記ホイートストンブリッジ回路における電流値が所定の値になるように、前記熱処理機構の温度を調節してもよい。かかる場合、ホイートストンブリッジ回路における測温抵抗体の抵抗値を所定の値にすることができる。したがって、基板を所定の温度で均一に熱処理するように、熱処理機構の温度を調節することができる。なお、かかる場合でも、熱処理機構の温度を調節するためのパラメータは、ホイートストンブリッジ回路のオフセット電圧と電流値の2つであるため、従来よりも簡易な制御で熱処理機構の温度を調節することができる。
【0016】
前記ホイートストンブリッジ回路は複数設けられ、前記制御部は、複数の前記ホイートストンブリッジ回路における電流値が等しくなるように、前記熱処理機構の温度を調節してもよい。
【0017】
前記ホイートストンブリッジ回路は、所定の抵抗値を有する固定抵抗体を備えていてもよい。
【0018】
前記制御部は、前記ホイートストンブリッジ回路において異なる箇所のオフセット電圧を測定し、それぞれの場合において当該ホイートストンブリッジ回路が平衡状態になるように、前記熱処理機構の温度を調節してもよい。
【0019】
前記ホイートストンブリッジ回路は複数設けられ、複数の前記ホイートストンブリッジ回路は、千鳥状、格子状、又は連続して蛇行状に配置されていてもよい。
【0020】
前記熱処理機構は、複数の領域に区画され、当該領域毎に温度調節可能であってもよい。
【0021】
また別な観点による本発明は、熱処理機構を用いて基板を所定の温度に熱処理する熱処理装置に対し、温度校正装置を用いて前記熱処理機構の温度を校正する温度校正方法であって、基板と、前記基板上に設けられ、温度変化に応じて抵抗値が変化する複数の測温抵抗体を備えたホイートストンブリッジ回路と、から構成される前記温度校正装置を用いて、前記ホイートストンブリッジ回路が平衡状態となるように、前記熱処理機構の温度を調節することを特徴としている。
【0022】
前記ホイートストンブリッジ回路は複数設けられ、複数の前記ホイートストンブリッジ回路が平衡状態になるように、前記熱処理機構の温度を調節してもよい。
【0023】
前記ホイートストンブリッジ回路における電流値が所定の値になるように、前記熱処理機構の温度を調節してもよい。
【0024】
前記ホイートストンブリッジ回路は複数設けられ、複数の前記ホイートストンブリッジ回路における電流値が等しくなるように、前記熱処理機構の温度を調節してもよい。
【0025】
前記ホイートストンブリッジ回路は、所定の抵抗値を有する固定抵抗体を備えていてもよい。
【0026】
前記ホイートストンブリッジ回路において異なる箇所のオフセット電圧を測定し、それぞれの場合において当該ホイートストンブリッジ回路が平衡状態になるように、前記熱処理機構の温度を調節してもよい。
【0027】
前記熱処理機構は、複数の領域に区画され、前記領域毎に前記熱処理機構の温度を調節してもよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、熱処理機構を用いて基板を所定の温度に熱処理する熱処理装置において、前記熱処理機構の温度を簡易な方法で適切に校正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本実施の形態にかかる温度校正装置と熱処理装置の構成の概略を示す説明図である。
【図2】熱処理板の構成の概略を示す平面図である。
【図3】温度検査治具の構成の概略を示す平面図である。
【図4】ホイートストンブリッジ回路の構成の概略を示す説明図である。
【図5】温度検査治具の構成の概略を示す側面図である。
【図6】他の実施の形態にかかる温度検査治具の構成の概略を示す平面図である。
【図7】他の実施の形態にかかるホイートストンブリッジ回路の配置を示す説明図である。
【図8】他の実施の形態にかかる温度検査治具の構成の概略を示す平面図である。
【図9】他の実施の形態にかかる温度検査治具の構成の概略を示す平面図である。
【図10】他の実施の形態にかかる温度検査治具の構成の概略を示す平面図である。
【図11】他の実施の形態にかかる温度検査治具の構成の概略を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかる温度校正装置1と、当該温度校正装置1が適用される熱処理装置2の構成の概略を示す説明図である。温度校正装置1は、熱処理装置2に対して後述する熱処理機構としての熱処理板50の温度の調節を行い、当該熱処理板50に載置される温度検査治具10を有している。また、熱処理装置2は、熱処理板50上に基板としてのウェハWを載置して、当該ウェハWの熱処理を行う。
【0031】
熱処理装置2は、図1に示すように側面に温度検査治具10又はウェハWの搬入出口(図示せず)が形成された処理容器20を有している。処理容器20内には、上側に位置して鉛直方向に昇降動自在な蓋部材30と、下側に位置して蓋部材30と一体となって処理室Kを形成する熱板収容部31が設けられている。
【0032】
蓋部材30は、略円筒形状を有している。蓋部材30の下面外周部には突起部40が形成され、当該突起部40が熱板収容部31と当接して処理室Kが形成されるようになっている。また、蓋部材30の下面には、鉛直下方に延伸する、例えばポゴピン等の接触子41が複数設けられている。接触子41には、導電性を有する材料が用いられる。複数の接触子41は、温度検査治具10の後述するコンタクトパッド73に対応(対向)して配置されている。また、蓋部材30の上面中央部には、排気部42が設けられている。処理室K内の雰囲気は、排気部42から均一に排気される。
【0033】
熱板収容部31は、熱処理板50を収容して熱処理板50の外周部を保持する環状の保持部材51と、その保持部材51の外周を囲む略筒状のサポートリング52を備えている。
【0034】
熱処理板50は、図2に示すように複数、例えば4つの熱板領域R1、R2、R3、R4に区画されている。熱処理板50は、例えば平面視において4等分に区画されている。すなわち、熱板領域R1、R2、R3、R4は、それぞれ中心角が90度の扇形状を有している。
【0035】
熱処理板50の各熱板領域R1〜R4には、電気供給により発熱するヒータ53が個別に内蔵され、各熱板領域R1〜R4毎に加熱できる。各熱板領域R1〜R4のヒータ53の発熱量は、後述する制御部100により調節されている。制御部100は、ヒータ53の発熱量を調節して、各熱板領域R1〜R4の温度を所定の温度に制御できる。
【0036】
図1に示すように熱処理板50の下方には、温度検査治具10又はウェハWを下方から支持し昇降させるための昇降ピン60が設けられている。昇降ピン60は、昇降駆動機構61により鉛直方向に昇降できる。熱処理板50の中央部付近には、熱処理板50を厚み方向に貫通する貫通孔62が形成されている。昇降ピン60は、熱処理板50の下方から上昇して貫通孔62を通過し、熱処理板50の上方に突出できるようになっている。
【0037】
次に、温度校正装置1の構成について説明する。温度校正装置1は、図1に示したように熱処理板50上に載置される温度検査治具10を有している。温度検査治具10は、図3に示すように基板としての被処理ウェハ70を有している。被処理ウェハ70は、ウェハWと同一材料、例えばシリコンで構成され、ウェハWと同一の平面形状を有している。なお、正確な温度を測定する為、被処理ウェハ70は実際のウェハWと同一であることが望ましいが、これに限られず、形状、材質等が異なっていても構わない。例えば、LED用高放熱基板を使用することもできる。この基板はベース基板として、Al若しくはCuなどの金属が使用されているので、耐熱性も高く、高熱伝導性により高温環境下でも被処理ウェハ70の反りが問題にならない。
【0038】
被処理ウェハ70上には、複数のホイートストンブリッジ回路71が形成されている。本実施の形態では、複数のホイートストンブリッジ回路71は、被処理ウェハ70のほぼ全面に亘って千鳥状に配置されている。各ホイートストンブリッジ回路71は、図3及び図4に示すように4つの測温抵抗体72と4つのコンタクトパッド73とが配線74で電気的に接続された構成を有している。なお、これら測温抵抗体72、コンタクトパッド73、配線74は、例えば被処理ウェハ70にフォトリソグラフィー処理を行うことによって一括して形成される。また、被処理ウェハ70が導体である場合には、これらの素子が形成される前に、表面に十分な絶縁加工を行えばよい。
【0039】
測温抵抗体72は、温度変化に対して抵抗値が変化する抵抗体であり、例えばRTD(Resistance Temperature Detector)やサーミスタなどが用いられる。測温抵抗体72は、被処理ウェハ70の温度の測定点に配置されている。
【0040】
コンタクトパッド73には、図5に示すように熱処理板50の温度調節時に接触子41が接触する。コンタクトパッド73には、導電性を有する材料、例えばアルミニウムが用いられる。図4に示すように4つのコンタクトパッド73はホイートストンブリッジ回路71における頂点部に配置されている。そして、直列する2つの測温抵抗体72、72の両端部に設けられた一対のコンタクトパッド73a、73aは、ホイートストンブリッジ回路71に電圧を印加するために用いられる。また、直列する2つの測温抵抗体72、72の中間点に設けられた一対のコンタクトパッド73b、73bは、当該コンタクトパッド73b、73b間の電圧を測定するために用いられる。すなわち、コンタクトパッド73b、73bは、ホイートストンブリッジ回路71におけるオフセット電圧を測定するために用いられる。なお、図4中の矢印は、ホイートストンブリッジ回路71に電圧を印加した際の電流を示している。
【0041】
なお、配線74には、コンタクトパッド73と同様に、例えばアルミニウムが用いられる。
【0042】
また、温度校正装置1は、図1に示すように熱処理装置2の外部に設けられた制御部100を有している。制御部100は、例えばコンピュータであって、例えばプロセッサ、メモリ、アンプ、スイッチなどを備えた計測回路を有している。この計測回路によって、制御部100は、ホイートストンブリッジ回路71におけるオフセット電圧等を計測することができる。また、制御部100は、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、例えばホイートストンブリッジ回路71におけるオフセット電圧に基づいて、熱処理板50の温度(ヒータ53の発熱量)を調節するプログラムが格納されている。なお、前記プログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御部100にインストールされたものであってもよい。また、熱処理装置2自体が、熱処理板50の温度を調節する温度調節機構を有している場合は、制御部100は、計測した温度に基づいて、当該温度調節機構を制御するものであってもよい。熱処理装置2が有する機能に応じて、適宜対応すればよい。
【0043】
次に、以上のように構成された温度校正装置1を用いて、熱処理装置2の熱処理板50の温度を調節する方法について説明する。
【0044】
先ず、温度検査治具10が、熱処理装置2に搬入される。温度検査治具10は、予め上昇して待機していた昇降ピン60に受け渡される。その後、昇降ピン60が下降して、温度検査治具10が熱処理板50上に載置される。このとき、熱処理板50の各熱板領域R1〜R4は、制御部100によって予め定められた初期温度に調節されている。その後、蓋部材30が所定の位置に下降して、当該蓋部材30が閉じられる。そして、所定の時間、熱処理板50上に載置された温度検査治具10の被処理ウェハ70に対して熱処理が行われる。
【0045】
一方、熱処理板50上に載置された温度検査治具10のコンタクトパッド73には、接触子41が接触している。そして、被処理ウェハ70に対する熱処理が終了すると、当該被処理ウェハ70上のコンタクトパッド73a、73aに接触子41を介して所定の電圧が印加される。続いて、コンタクトパッド73b、73bから接触子41を介して制御部100に、測定結果の信号が出力される。こうして制御部100では、ホイートストンブリッジ回路71のオフセット電圧(コンタクトパッド73b、73b間の電圧)が測定される。そして、制御部100では、複数のホイートストンブリッジ回路71のオフセット電圧がゼロになるように、熱処理板50の温度の調節が行われる。すなわち、制御部100は、複数のホイートストンブリッジ回路71のオフセット電圧がゼロになるように、熱処理板50の温度を熱板領域R1〜R4毎に調節する。
【0046】
なお、ホイートストンブリッジ回路71のオフセット電圧がゼロになるとは、当該ホイートストンブリッジ回路71における4つの測温抵抗体72の抵抗値が等しくなるということである。すなわち、ホイートストンブリッジ回路71が設けられた被処理ウェハ70の温度が均一になるということである。したがって、すべてのホイートストンブリッジ回路71のオフセット電圧がゼロになると、被処理ウェハ70全体で温度が均一になる。
【0047】
以上のように熱処理板50の温度が調節されると、昇降ピン60を上昇させ、温度検査治具10が熱処理装置2から搬出される。こうして、熱処理板50の温度が調節される。
【0048】
なお、1回の温度調節ですべてのホイートストンブリッジ回路71のオフセット電圧をゼロにできない場合は、複数回の温度調節を行う。すなわち、被処理ウェハ70の熱処理、ホイートストンブリッジ回路71のオフセット電圧の測定、及び熱処理板50の温度調節が繰り返し行われ、すべてのホイートストンブリッジ回路71のオフセット電圧をゼロにする。
【0049】
以上の実施の形態によれば、被処理ウェハ70上に形成されたホイートストンブリッジ回路71が平衡状態となるように、すなわち、ホイートストンブリッジ回路71におけるオフセット電圧がゼロになるように、熱処理板50の温度が調節される。かかる場合、オフセット電圧がゼロになるので、ホイートストンブリッジ回路71における4つの測温抵抗体72の抵抗値、すなわちこれら測温抵抗体72で計測される被処理ウェハ70の温度が等しくなる。しかも、被処理ウェハ70上のすべてのホイートストンブリッジ回路71におけるオフセット電圧がゼロになるので、これらのホイートストンブリッジ回路71における被処理ウェハ70の温度が等しくなる。したがって、本実施の形態によれば、被処理ウェハ70を水平面内で均一に熱処理するように、熱処理板50の温度を適切に調節することができる。換言すれば、本実施の形態は、熱処理板50の温度調節に際し、被処理ウェハ70の温度の面内均一性が確保できればよく、絶対的な温度調節が不要な場合に特に有用である。熱処理板50の設定出力は、本来、信用に値するものであるが、時間の経過に伴って、出力値がばらつく個体が出てくることは実際の現場ではよくあることである。このような場合は、面内の均一性が確保された時点で、温度調節が十分になされたとみなすことができる。
【0050】
また、ホイートストンブリッジ回路71は4つの測温抵抗体72を備えているため、従来の方法を用いると、4箇所の温度が計測される。そうすると、これら4つのパラメータを用いて熱処理板50の温度が調節されることになる。これに対して、本実施の形態によれば、熱処理温度50の温度を調節するために用いるパラメータは、ホイートストンブリッジ回路71のオフセット電圧の1つのみである。このように本実施の形態によればパラメータ数が少ないため、簡易な制御で熱処理板50の温度を調節することができる。したがって、熱処理板50のヒータ53にかかる負荷を小さくできると共に、熱処理板50の温度調節を短時間で行うことができる。
【0051】
ここで、測温抵抗体の抵抗値の測定を行う際に、通常用いられている2線接続式や4線接続式を用いた場合、1つの測温抵抗体に対して2つ又は4つのコンタクトパッド(2本又は4本の配線)が設けられる。これに対して、本実施の形態のホイートストンブリッジ回路71では、4つの測温抵抗体72に対して4つのコンタクトパッド73(4本の配線74)が設けられている。したがって、本実施の形態によれば、コンタクトパッド73の数や配線74の本数を減少させることができる。
【0052】
さらに、熱処理板50は複数の熱板領域R1〜R4に区画され、各熱板領域R1〜R4に個別にヒータ53が内蔵されている。このため、各熱板領域R1〜R4毎に温度を調節することができ、熱処理板50の温度調節をより厳密に行うことができる。
【0053】
以上の実施の形態では、熱処理板50の温度調節を行うパラメータとして、ホイートストンブリッジ回路71におけるオフセット電圧が用いられていたが、このオフセット電圧に加えて、ホイートストンブリッジ回路71における電流値を用いてもよい。
【0054】
かかる場合、熱処理装置2において、熱処理板50上に載置された温度検査治具10に熱処理を行った後、当該温度検査治具10におけるホイートストンブリッジ回路71のオフセット電圧に加えて、当該ホイートストンブリッジ回路71の電流値が測定される。そして、制御部100では、すべてのホイートストンブリッジ回路71のオフセット電圧がゼロになると共に、ホイートストンブリッジ71の電流値が所定の値になり、且つすべてのホイートストンブリッジ回路71における電流値が等しくなるように、熱処理板50の温度が調節される。
【0055】
本実施の形態によれば、被処理ウェハ70上のすべてのホイートストンブリッジ回路71における測温抵抗体72の抵抗値を等しく所定の値にすることができる。したがって、被処理ウェハ70を所定の温度で均一に熱処理するように、熱処理板50の温度を調節することができる。かかる場合でも、熱処理温度50の温度を調節するためのパラメータは、ホイートストンブリッジ回路71のオフセット電圧と電流値の2つであるため、従来よりも簡易な制御で熱処理板50の温度を調節することができる。
【0056】
なお、以上の実施の形態において、制御部100には、例えばホイートストンブリッジ回路71における電流値と被処理ウェハ70の温度との関係を示すテーブル(図示せず)が記録されていてもよい。かかる場合、制御部100では、測定されたホイートストンブリッジ回路71の電流値に基づき、上記テーブルを用いて、被処理ウェハ70の温度が計測される。これにより、熱処理後の被処理ウェハ70の絶対温度を把握することができる。
【0057】
また、ホイートストンブリッジ回路71において、4つの測温抵抗体72のうちの1つを、所定の抵抗値を有する固定抵抗体に置き換えてもよい。固定抵抗体とは、温度変化に対して、抵抗値の変化がゼロ、若しくは抵抗値の変化が無視できるほど小さいものを言う。例えば、1つの1385Ωを有する固定抵抗体と、3つのPt1000(測温抵抗体72)とで構成されたホイートストンブリッジ回路71を用意する。Pt1000は100℃の時の抵抗値が1385Ωになることが分かっている。かかる場合、ホイートストンブリッジ回路71のオフセット電圧がゼロになるように制御するだけで、残る3つの測温抵抗体72が1385Ωになることになる。すなわち、この3つの測温抵抗体72が100℃に制御されていることになる。固定抵抗体の配置された箇所の温度を測定できなくなってしまうが、電流値を測定することなく、絶対的な温度制御も可能になる。したがって、熱処理板50の制御されるべき温度が予め決まっている場合に、この方法は非常に有効である。なお、固定抵抗体に置き換えられる数は、1つに限られず、2つ以上あってもよい。
【0058】
以上の実施形態では、ホイートストブリッジ回路71のオフセット電圧がゼロになったことをもって、4つの測温抵抗体72のそれぞれの抵抗が同じになったとみなしてきた。しかし、実際には、ホイートストンブリッジ回路71の左側2つの測温抵抗体72が互いに同じ抵抗値を有し、右側2つの測温抵抗体72が互いに同じ抵抗値を有していれば、左側と右側の測温抵抗体72とで抵抗値が異なっていても、オフセット電圧はゼロになってしまう。例えば、左側の2つが1000Ω、右側の2つが980Ωの場合である。このような場合においては、ホイートストンブリッジ回路71の左側と右側とで温度が異なるにも関わらず、4つとも同一の温度であると認識されてしまう恐れがある。このような事態の発生を回避する方法として、ホイートストンブリッジ回路71のオフセット電圧の測定箇所を変えることが有効である。先ず、オフセット電圧の測定、及びオフセット電圧がゼロになるように制御を行う。ここまでの制御は、上記の実施例で説明した通りである。ここで、被処理ウェハ70上のコンタクトパッド73a、73a、73b、73bに接触子41を接触した状態のまま、第2回目のオフセット電圧の測定を行う。これまではコンタクトパッド73a、73aの間に電圧を印加していたが、今度はコンタクトパッド73b、73bの間に電圧を印加する。続いて、コンタクトパッド73a、73aから接触子41を介して、ホイートストンブリッジ回路71のオフセット電圧(コンタクトパッド73a、73a間の電圧)を測定する。ここで、第2回目のオフセット電圧(73a、73a間の電圧)もゼロなのであれば、ホイートストンブリッジ回路71において、4つの測温抵抗体72はすべて同じ温度であることになる。なお、この第2回目のオフセット電圧の測定は、任意のタイミングで設定される。第1回目のオフセット電圧を測定した後にすぐに行ってもよいし、オフセット電圧がゼロになるように設定された後、確認のために第2回目のオフセット電圧の測定を行ってもよい。
【0059】
以上の実施の形態では、被処理ウェハ70上において、複数のホイートストンブリッジ回路71は千鳥状に配置されていたが、当該複数のホイートストンブリッジ回路71の配置はこれに限定されない。例えば図6に示すように被処理ウェハ70上において、複数のホイートストンブリッジ回路71は格子状に配置されていてもよい。また、例えば図7に示すように複数のホイートストンブリッジ回路71が連続して配置され、図8に示すように被処理ウェハ70上において、これら複数のホイートストンブリッジ回路71が蛇行して配置されていてもよい。いずれの場合においても、ホイートストンブリッジ回路71のオフセット電圧、あるいはオフセット電圧及び電流値に基づいて、被処理ウェハ70を均一に熱処理するように、熱処理板50の温度を調節することができる。
【0060】
また、以上の実施の形態の複数のコンタクトパッド73はホイートストブリッジ回路71における頂点部に配置されていたが、例えば図9に示すように複数のコンタクトパッド73は、被処理ウェハ70の周縁部に沿って連続して配置されていてもよい。かかる場合、ホイートストンブリッジ回路71における頂点部には、2本の配線74に接続された金属パッド110が配置される。そして、各金属パッド110と各コンタクトパッド73は、配線111によって接続されている。金属パッド110と配線111には、導電性を有する材料、例えばアルミニウムが用いられる。なお、本実施の形態において、金属パッド110には接触子41が接触しないため、当該金属パッド110を省略して、配線74と配線111を直接接続してもよい。
【0061】
ここで、温度検査治具10が熱処理装置2に搬入された際、例えば被処理ウェハ70が所定の位置から水平面内で回転した状態で熱処理板50上に載置される場合がある。かかる場合でも、コンタクトパッド73が被処理ウェハ70の周縁部に沿って連続して配置されていので、コンタクトパッド73に接触子41を確実に接触させることができる。このため、ホイートストンブリッジ回路71のオフセット電圧や電流値を確実に測定することができ、熱処理板50の温度を適切に調節することができる。
【0062】
また、測温抵抗体72から離間した被処理ウェハ70の周縁部にコンタクトパッド73が配置されているので、当該コンタクトパッド73に接触子41が接触した際に、当該接触子41の接触によって測温抵抗体72が温度変化の影響を受けない。したがって、ホイートストンブリッジ回路71のオフセット電圧や電流値をより確実に測定することができる。
【0063】
以上の実施の形態において、図10に示すように複数のホイートストンブリッジ回路71のうち、一のホイートストンブリッジ回路を基準ホイートストンブリッジ回路120としてもよい。基準ホイートストンブリッジ回路120は、4つの測温抵抗体72に代えて、4つの基準抵抗体121を有している。基準抵抗体121は、温度変化に応じて抵抗値が変化せず、且つ測温抵抗体72の抵抗値と所定量以上、例えば300Ω以上解離した抵抗値を有している。また、基準ホイートストンブリッジ回路120は、4つのコンタクトパッド73に代えて、4つの基準コンタクトパッド122を有している。そして、複数のコンタクトパッド73と基準コンタクトパッド122は、被処理ウェハ70の周縁部に沿って連続して配置されている。なお、基準ホイートストンブリッジ回路120の他の構成は、上記実施の形態におけるホイートストンブリッジ回路71の構成と同様であるので説明を省略する。
【0064】
以上のように基準抵抗体121は、温度変化に応じて抵抗値が変化せず、且つ測温抵抗体72の抵抗値と所定量以上解離した抵抗値を有しているので、被処理ウェハ70を熱処理中に測定される、測温抵抗体72の抵抗値と基準抵抗体121の抵抗値を区別することができる。これによって、制御部100において、熱処理板50に対する基準抵抗体121の位置を把握することができるので、他の測温抵抗体72の位置を把握することができ、熱処理板50上の被処理ウェハ70の水平面内における位置も把握することができる。すなわち、基準抵抗体121及び測温抵抗体72の位置と、熱処理板50の熱板領域R1〜R4を対応付けることができる。したがって、本実施の形態によれば、熱処理板50の温度調節を熱板領域R1〜R4毎に適切に行うことができる。
【0065】
以上の実施の形態では、ホイートストンブリッジ回路71のオフセット電圧や電流値を測定する際、温度検査治具10のコンタクトパッド73に接触子41を接触させていたが、本発明はホイートストンブリッジ回路71を有する種々の温度検査治具10に適用することができる。
【0066】
例えば図11に示すように、有線式の温度検査治具10を用いてもよい。温度検査治具10のコンタクトパッド73は、配線130を介してフレキシブルケーブル131に接続されている。また、フレキシブルケーブル131は、制御部100に接続されている。本実施の形態では、ホイートストンブリッジ回路71のオフセット電圧や電流値を測定する際、コンタクトパッド73に接触子41を接触させる必要がない。このため、コンタクトパッド73を省略して、配線74と配線111を直接接続してもよい。また、蓋部材30の下面に設けられた接触子41も省略してもよい。
【0067】
かかる場合、温度検査治具10は熱処理装置2の内部に配置され、制御部100は熱処理装置2の外部に配置される。そして、この状態で被処理ウェ70に熱処理が行われ、ホイートストンブリッジ回路71のオフセット電圧や電流値が測定される。
【0068】
なお、本実施の形態の有線式の温度検査治具10において、計測回路は制御部10に設けられていたが、当該計測回路を被処理ウェハ70上に設けてもよい。
【0069】
また、温度検査治具10には、無線式の温度検査治具を用いてもよい。かかる場合、制御部100に設けられていた計測回路(図示せず)は被処理ウェハ70上に設けられる。そして、ホイートストンブリッジ回路71のオフセット電圧や電流値は、計測回路から無線で制御部100に出力される。
【0070】
以上のように有線式又は無線式の温度検査治具10のいずれを用いた場合でも、ホイートストンブリッジ回路71のオフセット電圧、あるいはオフセット電圧及び電流値に基づいて、被処理ウェハ70を均一に熱処理するように、熱処理板50の温度を調節することができる。
【0071】
以上の実施の形態では、熱処理板50は、4つの熱板領域R1〜R4に区画されていたが、その数は任意に選択できる。また、熱処理板50の熱板領域R1〜R4の形状も任意に選択できる。
【0072】
また、以上の実施の形態の熱処理装置2において行われる熱処理は、例えばフォトリソグラフィー処理における熱処理であってもよいし、エッチング処理や成膜処理などのプラズマ処理における熱処理であってもよい。この場合にウェハWに移動する熱は、熱処理板50にからの熱に限られず、エッチングガスやプラズマからの伝熱も含むことになる。
【0073】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。本発明はこの例に限らず種々の態様を採りうるものである。本発明は、基板がウェハ以外のFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板である場合にも適用できる。
【符号の説明】
【0074】
1 温度校正装置
2 熱処理装置
10 温度検査治具
30 蓋部材
41 接触子
50 熱処理板
70 被処理ウェハ
71 ホイートストンブリッジ回路
72 測温抵抗体
73 コンタクトパッド
100 制御部
120 基準ホイートストンブリッジ回路
121 基準抵抗体
122 基準コンタクトパッド
131 フレキシブルケーブル
R1〜R4 熱板領域
W ウェハ
【技術分野】
【0001】
本発明は、熱処理機構を用いて基板を所定の温度に熱処理する熱処理装置に対し、前記熱処理機構の温度を測定するための温度測定装置、当該温度測定装置を備え、前記熱処理機構の温度を校正するための温度校正装置、及び当該温度校正装置を用いた温度校正方法に関する。なお、ここで言う校正とは、熱処理機構の温度を計測し、当該熱処理機構の温度を所望の値に調節することを意味する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程におけるフォトリソグラフィー工程では、半導体ウェハ(以下、「ウェハ」という。)上にレジスト液を塗布した後の加熱処理(プリベーキング処理)、レジスト膜に所定のパターンを露光した後の加熱処理(ポストエクスポージャーベーキング処理)、露光されたレジスト膜を現像した後の加熱処理(ポストベーキング処理)などの種々の熱処理が行われている。また、これら加熱処理後にウェハの温度を調節する熱処理も行われている。さらに、エッチング処理や成膜処理などのプラズマ処理においても、ウェハの温度を調節する熱処理が行われている。
【0003】
上述した熱処理は、例えば熱処理装置において所定の温度に設定された熱処理板上にウェハを載置して行われる。そして、この熱処理を適切に行うためには、熱処理板上のウェハの温度分布を事前に計測し、当該計測結果に基づいて熱処理板の温度を適宜補正することが重要である。そこで、従来、この熱処理におけるウェハの温度を計測することが行われている。
【0004】
かかるウェハの温度の計測には、複数の温度センサと、当該複数の温度センサのセンサ出力を出力信号として出力する接点とがウェハ表面に設けられたウェハ型温度センサを用いることが提案されている。かかる場合、熱処理装置の内部に設けられた接触子をウェハ上の接点に接触させる。接点からの出力信号は、接触子を介して熱処理装置の外部に設けられたデータ管理部に出力される。そして、データ管理部では、出力信号に基づいて、ウェハの温度が判別される(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−187619号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した特許文献1のウェハ型温度センサ上では、複数の温度センサは個別に接点と接続されているため、各温度センサの抵抗値がすべて測定される。かかる場合、データ管理部において管理されるデータ、すなわち計測される温度の数が非常に多くなる。そうすると、これら温度の計測結果に基づいて熱処理板の温度を調節する場合、当該温度の制御が非常に複雑なものなる。したがって、熱処理板の温度調節に改善の余地があった。
【0007】
また、無線式の計測装置を用いた場合であっても、上記特許文献1と同様に、ウェハ上に設けられた複数の温度センサの抵抗値がすべて測定されるので、熱処理板の温度制御が非常に複雑になる。
【0008】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、熱処理機構を用いて基板を所定の温度に熱処理する熱処理装置において、前記熱処理機構の温度を簡易な方法で適切に校正することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記の目的を達成するため、本発明は、熱処理機構を用いて基板を所定の温度に熱処理する熱処理装置に対し、前記熱処理機構の温度を測定するための温度測定装置であって、基板と、前記基板上に設けられ、温度変化に応じて抵抗値が変化する複数の測温抵抗体を備えたホイートストンブリッジ回路と、を有することを特徴としている。
【0010】
本発明によれば、温度測定装置の基板上に形成されたホイートストンブリッジ回路が平衡状態となるように、すなわち、ホイートストンブリッジ回路におけるオフセット電圧がゼロになるように、熱処理機構の温度を調節することができる。かかる場合、オフセット電圧がゼロになるので、ホイートストンブリッジ回路における複数の測温抵抗体の抵抗値、すなわち当該測温抵抗体で計測される基板の温度が等しくなる。したがって、本発明によれば、基板を水平面内で均一に熱処理するように、熱処理機構の温度を適切に調節することができる。そして、このように温度調節された熱処理機構によって、後続の基板に対する熱処理を適切に行うことができる。
【0011】
また、基板上の複数の領域において温度を測定しようとすると、複数の測温抵抗体が必要になるため、従来の方法を用いると、当該測温抵抗体の数に応じた複数箇所の温度が計測される。そうすると、これら複数のパラメータを用いて熱処理機構の温度が調節されることになる。これに対して、本発明によれば、熱処理機構の温度を調節するために用いるパラメータは、ホイートストンブリッジ回路のオフセット電圧の1つのみである。したがって、本発明によれば、簡易な制御で熱処理機構の温度を調節することができる。
【0012】
前記ホイートストンブリッジ回路は、所定の抵抗値を有する固定抵抗体を備えていてもよい。なお、固定抵抗体とは、温度変化に対して、抵抗値の変化がゼロ、若しくは抵抗値の変化が無視できるほど小さいものを言う。
【0013】
別な観点による本発明は、熱処理機構を用いて基板を所定の温度に熱処理する熱処理装置に対し、前記熱処理機構の温度を校正するための温度校正装置であって、基板と、前記基板上に設けられ、温度変化に応じて抵抗値が変化する複数の測温抵抗体を備えたホイートストンブリッジ回路と、前記ホイートストンブリッジ回路が平衡状態となるように、前記熱処理機構の温度を調節する制御部と、を有することを特徴としている。なお、ホイートストンブリッジ回路が平衡状態になるとは、当該ホイートストンブリッジ回路の中点間の電位差がゼロになる状態をいい、すなわちホイートストンブリッジ回路のオフセット電圧がゼロになる状態をいう。
【0014】
前記ホイートストンブリッジ回路は複数設けられ、前記制御部は、複数の前記ホイートストンブリッジ回路が平衡状態になるように、前記熱処理機構の温度を調節してもよい。
【0015】
前記制御部は、前記ホイートストンブリッジ回路における電流値が所定の値になるように、前記熱処理機構の温度を調節してもよい。かかる場合、ホイートストンブリッジ回路における測温抵抗体の抵抗値を所定の値にすることができる。したがって、基板を所定の温度で均一に熱処理するように、熱処理機構の温度を調節することができる。なお、かかる場合でも、熱処理機構の温度を調節するためのパラメータは、ホイートストンブリッジ回路のオフセット電圧と電流値の2つであるため、従来よりも簡易な制御で熱処理機構の温度を調節することができる。
【0016】
前記ホイートストンブリッジ回路は複数設けられ、前記制御部は、複数の前記ホイートストンブリッジ回路における電流値が等しくなるように、前記熱処理機構の温度を調節してもよい。
【0017】
前記ホイートストンブリッジ回路は、所定の抵抗値を有する固定抵抗体を備えていてもよい。
【0018】
前記制御部は、前記ホイートストンブリッジ回路において異なる箇所のオフセット電圧を測定し、それぞれの場合において当該ホイートストンブリッジ回路が平衡状態になるように、前記熱処理機構の温度を調節してもよい。
【0019】
前記ホイートストンブリッジ回路は複数設けられ、複数の前記ホイートストンブリッジ回路は、千鳥状、格子状、又は連続して蛇行状に配置されていてもよい。
【0020】
前記熱処理機構は、複数の領域に区画され、当該領域毎に温度調節可能であってもよい。
【0021】
また別な観点による本発明は、熱処理機構を用いて基板を所定の温度に熱処理する熱処理装置に対し、温度校正装置を用いて前記熱処理機構の温度を校正する温度校正方法であって、基板と、前記基板上に設けられ、温度変化に応じて抵抗値が変化する複数の測温抵抗体を備えたホイートストンブリッジ回路と、から構成される前記温度校正装置を用いて、前記ホイートストンブリッジ回路が平衡状態となるように、前記熱処理機構の温度を調節することを特徴としている。
【0022】
前記ホイートストンブリッジ回路は複数設けられ、複数の前記ホイートストンブリッジ回路が平衡状態になるように、前記熱処理機構の温度を調節してもよい。
【0023】
前記ホイートストンブリッジ回路における電流値が所定の値になるように、前記熱処理機構の温度を調節してもよい。
【0024】
前記ホイートストンブリッジ回路は複数設けられ、複数の前記ホイートストンブリッジ回路における電流値が等しくなるように、前記熱処理機構の温度を調節してもよい。
【0025】
前記ホイートストンブリッジ回路は、所定の抵抗値を有する固定抵抗体を備えていてもよい。
【0026】
前記ホイートストンブリッジ回路において異なる箇所のオフセット電圧を測定し、それぞれの場合において当該ホイートストンブリッジ回路が平衡状態になるように、前記熱処理機構の温度を調節してもよい。
【0027】
前記熱処理機構は、複数の領域に区画され、前記領域毎に前記熱処理機構の温度を調節してもよい。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、熱処理機構を用いて基板を所定の温度に熱処理する熱処理装置において、前記熱処理機構の温度を簡易な方法で適切に校正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本実施の形態にかかる温度校正装置と熱処理装置の構成の概略を示す説明図である。
【図2】熱処理板の構成の概略を示す平面図である。
【図3】温度検査治具の構成の概略を示す平面図である。
【図4】ホイートストンブリッジ回路の構成の概略を示す説明図である。
【図5】温度検査治具の構成の概略を示す側面図である。
【図6】他の実施の形態にかかる温度検査治具の構成の概略を示す平面図である。
【図7】他の実施の形態にかかるホイートストンブリッジ回路の配置を示す説明図である。
【図8】他の実施の形態にかかる温度検査治具の構成の概略を示す平面図である。
【図9】他の実施の形態にかかる温度検査治具の構成の概略を示す平面図である。
【図10】他の実施の形態にかかる温度検査治具の構成の概略を示す平面図である。
【図11】他の実施の形態にかかる温度検査治具の構成の概略を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本実施の形態にかかる温度校正装置1と、当該温度校正装置1が適用される熱処理装置2の構成の概略を示す説明図である。温度校正装置1は、熱処理装置2に対して後述する熱処理機構としての熱処理板50の温度の調節を行い、当該熱処理板50に載置される温度検査治具10を有している。また、熱処理装置2は、熱処理板50上に基板としてのウェハWを載置して、当該ウェハWの熱処理を行う。
【0031】
熱処理装置2は、図1に示すように側面に温度検査治具10又はウェハWの搬入出口(図示せず)が形成された処理容器20を有している。処理容器20内には、上側に位置して鉛直方向に昇降動自在な蓋部材30と、下側に位置して蓋部材30と一体となって処理室Kを形成する熱板収容部31が設けられている。
【0032】
蓋部材30は、略円筒形状を有している。蓋部材30の下面外周部には突起部40が形成され、当該突起部40が熱板収容部31と当接して処理室Kが形成されるようになっている。また、蓋部材30の下面には、鉛直下方に延伸する、例えばポゴピン等の接触子41が複数設けられている。接触子41には、導電性を有する材料が用いられる。複数の接触子41は、温度検査治具10の後述するコンタクトパッド73に対応(対向)して配置されている。また、蓋部材30の上面中央部には、排気部42が設けられている。処理室K内の雰囲気は、排気部42から均一に排気される。
【0033】
熱板収容部31は、熱処理板50を収容して熱処理板50の外周部を保持する環状の保持部材51と、その保持部材51の外周を囲む略筒状のサポートリング52を備えている。
【0034】
熱処理板50は、図2に示すように複数、例えば4つの熱板領域R1、R2、R3、R4に区画されている。熱処理板50は、例えば平面視において4等分に区画されている。すなわち、熱板領域R1、R2、R3、R4は、それぞれ中心角が90度の扇形状を有している。
【0035】
熱処理板50の各熱板領域R1〜R4には、電気供給により発熱するヒータ53が個別に内蔵され、各熱板領域R1〜R4毎に加熱できる。各熱板領域R1〜R4のヒータ53の発熱量は、後述する制御部100により調節されている。制御部100は、ヒータ53の発熱量を調節して、各熱板領域R1〜R4の温度を所定の温度に制御できる。
【0036】
図1に示すように熱処理板50の下方には、温度検査治具10又はウェハWを下方から支持し昇降させるための昇降ピン60が設けられている。昇降ピン60は、昇降駆動機構61により鉛直方向に昇降できる。熱処理板50の中央部付近には、熱処理板50を厚み方向に貫通する貫通孔62が形成されている。昇降ピン60は、熱処理板50の下方から上昇して貫通孔62を通過し、熱処理板50の上方に突出できるようになっている。
【0037】
次に、温度校正装置1の構成について説明する。温度校正装置1は、図1に示したように熱処理板50上に載置される温度検査治具10を有している。温度検査治具10は、図3に示すように基板としての被処理ウェハ70を有している。被処理ウェハ70は、ウェハWと同一材料、例えばシリコンで構成され、ウェハWと同一の平面形状を有している。なお、正確な温度を測定する為、被処理ウェハ70は実際のウェハWと同一であることが望ましいが、これに限られず、形状、材質等が異なっていても構わない。例えば、LED用高放熱基板を使用することもできる。この基板はベース基板として、Al若しくはCuなどの金属が使用されているので、耐熱性も高く、高熱伝導性により高温環境下でも被処理ウェハ70の反りが問題にならない。
【0038】
被処理ウェハ70上には、複数のホイートストンブリッジ回路71が形成されている。本実施の形態では、複数のホイートストンブリッジ回路71は、被処理ウェハ70のほぼ全面に亘って千鳥状に配置されている。各ホイートストンブリッジ回路71は、図3及び図4に示すように4つの測温抵抗体72と4つのコンタクトパッド73とが配線74で電気的に接続された構成を有している。なお、これら測温抵抗体72、コンタクトパッド73、配線74は、例えば被処理ウェハ70にフォトリソグラフィー処理を行うことによって一括して形成される。また、被処理ウェハ70が導体である場合には、これらの素子が形成される前に、表面に十分な絶縁加工を行えばよい。
【0039】
測温抵抗体72は、温度変化に対して抵抗値が変化する抵抗体であり、例えばRTD(Resistance Temperature Detector)やサーミスタなどが用いられる。測温抵抗体72は、被処理ウェハ70の温度の測定点に配置されている。
【0040】
コンタクトパッド73には、図5に示すように熱処理板50の温度調節時に接触子41が接触する。コンタクトパッド73には、導電性を有する材料、例えばアルミニウムが用いられる。図4に示すように4つのコンタクトパッド73はホイートストンブリッジ回路71における頂点部に配置されている。そして、直列する2つの測温抵抗体72、72の両端部に設けられた一対のコンタクトパッド73a、73aは、ホイートストンブリッジ回路71に電圧を印加するために用いられる。また、直列する2つの測温抵抗体72、72の中間点に設けられた一対のコンタクトパッド73b、73bは、当該コンタクトパッド73b、73b間の電圧を測定するために用いられる。すなわち、コンタクトパッド73b、73bは、ホイートストンブリッジ回路71におけるオフセット電圧を測定するために用いられる。なお、図4中の矢印は、ホイートストンブリッジ回路71に電圧を印加した際の電流を示している。
【0041】
なお、配線74には、コンタクトパッド73と同様に、例えばアルミニウムが用いられる。
【0042】
また、温度校正装置1は、図1に示すように熱処理装置2の外部に設けられた制御部100を有している。制御部100は、例えばコンピュータであって、例えばプロセッサ、メモリ、アンプ、スイッチなどを備えた計測回路を有している。この計測回路によって、制御部100は、ホイートストンブリッジ回路71におけるオフセット電圧等を計測することができる。また、制御部100は、プログラム格納部(図示せず)を有している。プログラム格納部には、例えばホイートストンブリッジ回路71におけるオフセット電圧に基づいて、熱処理板50の温度(ヒータ53の発熱量)を調節するプログラムが格納されている。なお、前記プログラムは、例えばコンピュータ読み取り可能なハードディスク(HD)、フレキシブルディスク(FD)、コンパクトディスク(CD)、マグネットオプティカルデスク(MO)、メモリーカードなどのコンピュータに読み取り可能な記憶媒体に記録されていたものであって、その記憶媒体から制御部100にインストールされたものであってもよい。また、熱処理装置2自体が、熱処理板50の温度を調節する温度調節機構を有している場合は、制御部100は、計測した温度に基づいて、当該温度調節機構を制御するものであってもよい。熱処理装置2が有する機能に応じて、適宜対応すればよい。
【0043】
次に、以上のように構成された温度校正装置1を用いて、熱処理装置2の熱処理板50の温度を調節する方法について説明する。
【0044】
先ず、温度検査治具10が、熱処理装置2に搬入される。温度検査治具10は、予め上昇して待機していた昇降ピン60に受け渡される。その後、昇降ピン60が下降して、温度検査治具10が熱処理板50上に載置される。このとき、熱処理板50の各熱板領域R1〜R4は、制御部100によって予め定められた初期温度に調節されている。その後、蓋部材30が所定の位置に下降して、当該蓋部材30が閉じられる。そして、所定の時間、熱処理板50上に載置された温度検査治具10の被処理ウェハ70に対して熱処理が行われる。
【0045】
一方、熱処理板50上に載置された温度検査治具10のコンタクトパッド73には、接触子41が接触している。そして、被処理ウェハ70に対する熱処理が終了すると、当該被処理ウェハ70上のコンタクトパッド73a、73aに接触子41を介して所定の電圧が印加される。続いて、コンタクトパッド73b、73bから接触子41を介して制御部100に、測定結果の信号が出力される。こうして制御部100では、ホイートストンブリッジ回路71のオフセット電圧(コンタクトパッド73b、73b間の電圧)が測定される。そして、制御部100では、複数のホイートストンブリッジ回路71のオフセット電圧がゼロになるように、熱処理板50の温度の調節が行われる。すなわち、制御部100は、複数のホイートストンブリッジ回路71のオフセット電圧がゼロになるように、熱処理板50の温度を熱板領域R1〜R4毎に調節する。
【0046】
なお、ホイートストンブリッジ回路71のオフセット電圧がゼロになるとは、当該ホイートストンブリッジ回路71における4つの測温抵抗体72の抵抗値が等しくなるということである。すなわち、ホイートストンブリッジ回路71が設けられた被処理ウェハ70の温度が均一になるということである。したがって、すべてのホイートストンブリッジ回路71のオフセット電圧がゼロになると、被処理ウェハ70全体で温度が均一になる。
【0047】
以上のように熱処理板50の温度が調節されると、昇降ピン60を上昇させ、温度検査治具10が熱処理装置2から搬出される。こうして、熱処理板50の温度が調節される。
【0048】
なお、1回の温度調節ですべてのホイートストンブリッジ回路71のオフセット電圧をゼロにできない場合は、複数回の温度調節を行う。すなわち、被処理ウェハ70の熱処理、ホイートストンブリッジ回路71のオフセット電圧の測定、及び熱処理板50の温度調節が繰り返し行われ、すべてのホイートストンブリッジ回路71のオフセット電圧をゼロにする。
【0049】
以上の実施の形態によれば、被処理ウェハ70上に形成されたホイートストンブリッジ回路71が平衡状態となるように、すなわち、ホイートストンブリッジ回路71におけるオフセット電圧がゼロになるように、熱処理板50の温度が調節される。かかる場合、オフセット電圧がゼロになるので、ホイートストンブリッジ回路71における4つの測温抵抗体72の抵抗値、すなわちこれら測温抵抗体72で計測される被処理ウェハ70の温度が等しくなる。しかも、被処理ウェハ70上のすべてのホイートストンブリッジ回路71におけるオフセット電圧がゼロになるので、これらのホイートストンブリッジ回路71における被処理ウェハ70の温度が等しくなる。したがって、本実施の形態によれば、被処理ウェハ70を水平面内で均一に熱処理するように、熱処理板50の温度を適切に調節することができる。換言すれば、本実施の形態は、熱処理板50の温度調節に際し、被処理ウェハ70の温度の面内均一性が確保できればよく、絶対的な温度調節が不要な場合に特に有用である。熱処理板50の設定出力は、本来、信用に値するものであるが、時間の経過に伴って、出力値がばらつく個体が出てくることは実際の現場ではよくあることである。このような場合は、面内の均一性が確保された時点で、温度調節が十分になされたとみなすことができる。
【0050】
また、ホイートストンブリッジ回路71は4つの測温抵抗体72を備えているため、従来の方法を用いると、4箇所の温度が計測される。そうすると、これら4つのパラメータを用いて熱処理板50の温度が調節されることになる。これに対して、本実施の形態によれば、熱処理温度50の温度を調節するために用いるパラメータは、ホイートストンブリッジ回路71のオフセット電圧の1つのみである。このように本実施の形態によればパラメータ数が少ないため、簡易な制御で熱処理板50の温度を調節することができる。したがって、熱処理板50のヒータ53にかかる負荷を小さくできると共に、熱処理板50の温度調節を短時間で行うことができる。
【0051】
ここで、測温抵抗体の抵抗値の測定を行う際に、通常用いられている2線接続式や4線接続式を用いた場合、1つの測温抵抗体に対して2つ又は4つのコンタクトパッド(2本又は4本の配線)が設けられる。これに対して、本実施の形態のホイートストンブリッジ回路71では、4つの測温抵抗体72に対して4つのコンタクトパッド73(4本の配線74)が設けられている。したがって、本実施の形態によれば、コンタクトパッド73の数や配線74の本数を減少させることができる。
【0052】
さらに、熱処理板50は複数の熱板領域R1〜R4に区画され、各熱板領域R1〜R4に個別にヒータ53が内蔵されている。このため、各熱板領域R1〜R4毎に温度を調節することができ、熱処理板50の温度調節をより厳密に行うことができる。
【0053】
以上の実施の形態では、熱処理板50の温度調節を行うパラメータとして、ホイートストンブリッジ回路71におけるオフセット電圧が用いられていたが、このオフセット電圧に加えて、ホイートストンブリッジ回路71における電流値を用いてもよい。
【0054】
かかる場合、熱処理装置2において、熱処理板50上に載置された温度検査治具10に熱処理を行った後、当該温度検査治具10におけるホイートストンブリッジ回路71のオフセット電圧に加えて、当該ホイートストンブリッジ回路71の電流値が測定される。そして、制御部100では、すべてのホイートストンブリッジ回路71のオフセット電圧がゼロになると共に、ホイートストンブリッジ71の電流値が所定の値になり、且つすべてのホイートストンブリッジ回路71における電流値が等しくなるように、熱処理板50の温度が調節される。
【0055】
本実施の形態によれば、被処理ウェハ70上のすべてのホイートストンブリッジ回路71における測温抵抗体72の抵抗値を等しく所定の値にすることができる。したがって、被処理ウェハ70を所定の温度で均一に熱処理するように、熱処理板50の温度を調節することができる。かかる場合でも、熱処理温度50の温度を調節するためのパラメータは、ホイートストンブリッジ回路71のオフセット電圧と電流値の2つであるため、従来よりも簡易な制御で熱処理板50の温度を調節することができる。
【0056】
なお、以上の実施の形態において、制御部100には、例えばホイートストンブリッジ回路71における電流値と被処理ウェハ70の温度との関係を示すテーブル(図示せず)が記録されていてもよい。かかる場合、制御部100では、測定されたホイートストンブリッジ回路71の電流値に基づき、上記テーブルを用いて、被処理ウェハ70の温度が計測される。これにより、熱処理後の被処理ウェハ70の絶対温度を把握することができる。
【0057】
また、ホイートストンブリッジ回路71において、4つの測温抵抗体72のうちの1つを、所定の抵抗値を有する固定抵抗体に置き換えてもよい。固定抵抗体とは、温度変化に対して、抵抗値の変化がゼロ、若しくは抵抗値の変化が無視できるほど小さいものを言う。例えば、1つの1385Ωを有する固定抵抗体と、3つのPt1000(測温抵抗体72)とで構成されたホイートストンブリッジ回路71を用意する。Pt1000は100℃の時の抵抗値が1385Ωになることが分かっている。かかる場合、ホイートストンブリッジ回路71のオフセット電圧がゼロになるように制御するだけで、残る3つの測温抵抗体72が1385Ωになることになる。すなわち、この3つの測温抵抗体72が100℃に制御されていることになる。固定抵抗体の配置された箇所の温度を測定できなくなってしまうが、電流値を測定することなく、絶対的な温度制御も可能になる。したがって、熱処理板50の制御されるべき温度が予め決まっている場合に、この方法は非常に有効である。なお、固定抵抗体に置き換えられる数は、1つに限られず、2つ以上あってもよい。
【0058】
以上の実施形態では、ホイートストブリッジ回路71のオフセット電圧がゼロになったことをもって、4つの測温抵抗体72のそれぞれの抵抗が同じになったとみなしてきた。しかし、実際には、ホイートストンブリッジ回路71の左側2つの測温抵抗体72が互いに同じ抵抗値を有し、右側2つの測温抵抗体72が互いに同じ抵抗値を有していれば、左側と右側の測温抵抗体72とで抵抗値が異なっていても、オフセット電圧はゼロになってしまう。例えば、左側の2つが1000Ω、右側の2つが980Ωの場合である。このような場合においては、ホイートストンブリッジ回路71の左側と右側とで温度が異なるにも関わらず、4つとも同一の温度であると認識されてしまう恐れがある。このような事態の発生を回避する方法として、ホイートストンブリッジ回路71のオフセット電圧の測定箇所を変えることが有効である。先ず、オフセット電圧の測定、及びオフセット電圧がゼロになるように制御を行う。ここまでの制御は、上記の実施例で説明した通りである。ここで、被処理ウェハ70上のコンタクトパッド73a、73a、73b、73bに接触子41を接触した状態のまま、第2回目のオフセット電圧の測定を行う。これまではコンタクトパッド73a、73aの間に電圧を印加していたが、今度はコンタクトパッド73b、73bの間に電圧を印加する。続いて、コンタクトパッド73a、73aから接触子41を介して、ホイートストンブリッジ回路71のオフセット電圧(コンタクトパッド73a、73a間の電圧)を測定する。ここで、第2回目のオフセット電圧(73a、73a間の電圧)もゼロなのであれば、ホイートストンブリッジ回路71において、4つの測温抵抗体72はすべて同じ温度であることになる。なお、この第2回目のオフセット電圧の測定は、任意のタイミングで設定される。第1回目のオフセット電圧を測定した後にすぐに行ってもよいし、オフセット電圧がゼロになるように設定された後、確認のために第2回目のオフセット電圧の測定を行ってもよい。
【0059】
以上の実施の形態では、被処理ウェハ70上において、複数のホイートストンブリッジ回路71は千鳥状に配置されていたが、当該複数のホイートストンブリッジ回路71の配置はこれに限定されない。例えば図6に示すように被処理ウェハ70上において、複数のホイートストンブリッジ回路71は格子状に配置されていてもよい。また、例えば図7に示すように複数のホイートストンブリッジ回路71が連続して配置され、図8に示すように被処理ウェハ70上において、これら複数のホイートストンブリッジ回路71が蛇行して配置されていてもよい。いずれの場合においても、ホイートストンブリッジ回路71のオフセット電圧、あるいはオフセット電圧及び電流値に基づいて、被処理ウェハ70を均一に熱処理するように、熱処理板50の温度を調節することができる。
【0060】
また、以上の実施の形態の複数のコンタクトパッド73はホイートストブリッジ回路71における頂点部に配置されていたが、例えば図9に示すように複数のコンタクトパッド73は、被処理ウェハ70の周縁部に沿って連続して配置されていてもよい。かかる場合、ホイートストンブリッジ回路71における頂点部には、2本の配線74に接続された金属パッド110が配置される。そして、各金属パッド110と各コンタクトパッド73は、配線111によって接続されている。金属パッド110と配線111には、導電性を有する材料、例えばアルミニウムが用いられる。なお、本実施の形態において、金属パッド110には接触子41が接触しないため、当該金属パッド110を省略して、配線74と配線111を直接接続してもよい。
【0061】
ここで、温度検査治具10が熱処理装置2に搬入された際、例えば被処理ウェハ70が所定の位置から水平面内で回転した状態で熱処理板50上に載置される場合がある。かかる場合でも、コンタクトパッド73が被処理ウェハ70の周縁部に沿って連続して配置されていので、コンタクトパッド73に接触子41を確実に接触させることができる。このため、ホイートストンブリッジ回路71のオフセット電圧や電流値を確実に測定することができ、熱処理板50の温度を適切に調節することができる。
【0062】
また、測温抵抗体72から離間した被処理ウェハ70の周縁部にコンタクトパッド73が配置されているので、当該コンタクトパッド73に接触子41が接触した際に、当該接触子41の接触によって測温抵抗体72が温度変化の影響を受けない。したがって、ホイートストンブリッジ回路71のオフセット電圧や電流値をより確実に測定することができる。
【0063】
以上の実施の形態において、図10に示すように複数のホイートストンブリッジ回路71のうち、一のホイートストンブリッジ回路を基準ホイートストンブリッジ回路120としてもよい。基準ホイートストンブリッジ回路120は、4つの測温抵抗体72に代えて、4つの基準抵抗体121を有している。基準抵抗体121は、温度変化に応じて抵抗値が変化せず、且つ測温抵抗体72の抵抗値と所定量以上、例えば300Ω以上解離した抵抗値を有している。また、基準ホイートストンブリッジ回路120は、4つのコンタクトパッド73に代えて、4つの基準コンタクトパッド122を有している。そして、複数のコンタクトパッド73と基準コンタクトパッド122は、被処理ウェハ70の周縁部に沿って連続して配置されている。なお、基準ホイートストンブリッジ回路120の他の構成は、上記実施の形態におけるホイートストンブリッジ回路71の構成と同様であるので説明を省略する。
【0064】
以上のように基準抵抗体121は、温度変化に応じて抵抗値が変化せず、且つ測温抵抗体72の抵抗値と所定量以上解離した抵抗値を有しているので、被処理ウェハ70を熱処理中に測定される、測温抵抗体72の抵抗値と基準抵抗体121の抵抗値を区別することができる。これによって、制御部100において、熱処理板50に対する基準抵抗体121の位置を把握することができるので、他の測温抵抗体72の位置を把握することができ、熱処理板50上の被処理ウェハ70の水平面内における位置も把握することができる。すなわち、基準抵抗体121及び測温抵抗体72の位置と、熱処理板50の熱板領域R1〜R4を対応付けることができる。したがって、本実施の形態によれば、熱処理板50の温度調節を熱板領域R1〜R4毎に適切に行うことができる。
【0065】
以上の実施の形態では、ホイートストンブリッジ回路71のオフセット電圧や電流値を測定する際、温度検査治具10のコンタクトパッド73に接触子41を接触させていたが、本発明はホイートストンブリッジ回路71を有する種々の温度検査治具10に適用することができる。
【0066】
例えば図11に示すように、有線式の温度検査治具10を用いてもよい。温度検査治具10のコンタクトパッド73は、配線130を介してフレキシブルケーブル131に接続されている。また、フレキシブルケーブル131は、制御部100に接続されている。本実施の形態では、ホイートストンブリッジ回路71のオフセット電圧や電流値を測定する際、コンタクトパッド73に接触子41を接触させる必要がない。このため、コンタクトパッド73を省略して、配線74と配線111を直接接続してもよい。また、蓋部材30の下面に設けられた接触子41も省略してもよい。
【0067】
かかる場合、温度検査治具10は熱処理装置2の内部に配置され、制御部100は熱処理装置2の外部に配置される。そして、この状態で被処理ウェ70に熱処理が行われ、ホイートストンブリッジ回路71のオフセット電圧や電流値が測定される。
【0068】
なお、本実施の形態の有線式の温度検査治具10において、計測回路は制御部10に設けられていたが、当該計測回路を被処理ウェハ70上に設けてもよい。
【0069】
また、温度検査治具10には、無線式の温度検査治具を用いてもよい。かかる場合、制御部100に設けられていた計測回路(図示せず)は被処理ウェハ70上に設けられる。そして、ホイートストンブリッジ回路71のオフセット電圧や電流値は、計測回路から無線で制御部100に出力される。
【0070】
以上のように有線式又は無線式の温度検査治具10のいずれを用いた場合でも、ホイートストンブリッジ回路71のオフセット電圧、あるいはオフセット電圧及び電流値に基づいて、被処理ウェハ70を均一に熱処理するように、熱処理板50の温度を調節することができる。
【0071】
以上の実施の形態では、熱処理板50は、4つの熱板領域R1〜R4に区画されていたが、その数は任意に選択できる。また、熱処理板50の熱板領域R1〜R4の形状も任意に選択できる。
【0072】
また、以上の実施の形態の熱処理装置2において行われる熱処理は、例えばフォトリソグラフィー処理における熱処理であってもよいし、エッチング処理や成膜処理などのプラズマ処理における熱処理であってもよい。この場合にウェハWに移動する熱は、熱処理板50にからの熱に限られず、エッチングガスやプラズマからの伝熱も含むことになる。
【0073】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明はかかる例に限定されない。当業者であれば、特許請求の範囲に記載された思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、それらについても当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。本発明はこの例に限らず種々の態様を採りうるものである。本発明は、基板がウェハ以外のFPD(フラットパネルディスプレイ)、フォトマスク用のマスクレチクルなどの他の基板である場合にも適用できる。
【符号の説明】
【0074】
1 温度校正装置
2 熱処理装置
10 温度検査治具
30 蓋部材
41 接触子
50 熱処理板
70 被処理ウェハ
71 ホイートストンブリッジ回路
72 測温抵抗体
73 コンタクトパッド
100 制御部
120 基準ホイートストンブリッジ回路
121 基準抵抗体
122 基準コンタクトパッド
131 フレキシブルケーブル
R1〜R4 熱板領域
W ウェハ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱処理機構を用いて基板を所定の温度に熱処理する熱処理装置に対し、前記熱処理機構の温度を測定するための温度測定装置であって、
基板と、
前記基板上に設けられ、温度変化に応じて抵抗値が変化する複数の測温抵抗体を備えたホイートストンブリッジ回路と、を有することを特徴とする、温度測定装置。
【請求項2】
前記ホイートストンブリッジ回路は、所定の抵抗値を有する固定抵抗体を備えることを特徴とする、請求項1に記載の温度測定装置。
【請求項3】
熱処理機構を用いて基板を所定の温度に熱処理する熱処理装置に対し、前記熱処理機構の温度を校正するための温度校正装置であって、
基板と、
前記基板上に設けられ、温度変化に応じて抵抗値が変化する複数の測温抵抗体を備えたホイートストンブリッジ回路と、
前記ホイートストンブリッジ回路が平衡状態となるように、前記熱処理機構の温度を調節する制御部と、を有することを特徴とする、温度校正装置。
【請求項4】
前記ホイートストンブリッジ回路は複数設けられ、
前記制御部は、複数の前記ホイートストンブリッジ回路が平衡状態になるように、前記熱処理機構の温度を調節することを特徴とする、請求項3に記載の温度校正装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記ホイートストンブリッジ回路における電流値が所定の値になるように、前記熱処理機構の温度を調節することを特徴とする、請求項3又は4に記載の温度校正装置。
【請求項6】
前記ホイートストンブリッジ回路は複数設けられ、
前記制御部は、複数の前記ホイートストンブリッジ回路における電流値が等しくなるように、前記熱処理機構の温度を調節することを特徴とする、請求項3〜5のいずれかに記載の温度校正装置。
【請求項7】
前記ホイートストンブリッジ回路は、所定の抵抗値を有する固定抵抗体を備えることを特徴とする、請求項3又は4に記載の温度校正装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記ホイートストンブリッジ回路において異なる箇所のオフセット電圧を測定し、それぞれの場合において当該ホイートストンブリッジ回路が平衡状態になるように、前記熱処理機構の温度を調節することを特徴とする、請求項3〜7のいずれかに記載の温度校正装置。
【請求項9】
前記ホイートストンブリッジ回路は複数設けられ、
複数の前記ホイートストンブリッジ回路は、千鳥状、格子状、又は連続して蛇行状に配置されていることを特徴とする、請求項3〜8のいずれかに記載の温度校正装置。
【請求項10】
前記熱処理機構は、複数の領域に区画され、当該領域毎に温度調節可能であることを特徴とする、請求項3〜9のいずれかに記載の温度校正装置。
【請求項11】
熱処理機構を用いて基板を所定の温度に熱処理する熱処理装置に対し、温度校正装置を用いて前記熱処理機構の温度を校正する温度校正方法であって、
基板と、
前記基板上に設けられ、温度変化に応じて抵抗値が変化する複数の測温抵抗体を備えたホイートストンブリッジ回路と、から構成される前記温度校正装置を用いて、
前記ホイートストンブリッジ回路が平衡状態となるように、前記熱処理機構の温度を調節することを特徴とする、温度校正方法。
【請求項12】
前記ホイートストンブリッジ回路は複数設けられ、
複数の前記ホイートストンブリッジ回路が平衡状態になるように、前記熱処理機構の温度を調節することを特徴とする、請求項11に記載の温度校正方法。
【請求項13】
前記ホイートストンブリッジ回路における電流値が所定の値になるように、前記熱処理機構の温度を調節することを特徴とする、請求項11又は12に記載の温度校正方法。
【請求項14】
前記ホイートストンブリッジ回路は複数設けられ、
複数の前記ホイートストンブリッジ回路における電流値が等しくなるように、前記熱処理機構の温度を調節することを特徴とする、請求項11〜13のいずれかに記載の温度校正方法。
【請求項15】
前記ホイートストンブリッジ回路は、所定の抵抗値を有する固定抵抗体を備えることを特徴とする、請求項11又は12に記載の温度校正方法。
【請求項16】
前記ホイートストンブリッジ回路において異なる箇所のオフセット電圧を測定し、それぞれの場合において当該ホイートストンブリッジ回路が平衡状態になるように、前記熱処理機構の温度を調節することを特徴とする、請求項11〜15のいずれかに記載の温度校正方法。
【請求項17】
前記熱処理機構は、複数の領域に区画され、
前記領域毎に前記熱処理機構の温度を調節することを特徴とする、請求項11〜16のいずれかに記載の温度校正方法。
【請求項1】
熱処理機構を用いて基板を所定の温度に熱処理する熱処理装置に対し、前記熱処理機構の温度を測定するための温度測定装置であって、
基板と、
前記基板上に設けられ、温度変化に応じて抵抗値が変化する複数の測温抵抗体を備えたホイートストンブリッジ回路と、を有することを特徴とする、温度測定装置。
【請求項2】
前記ホイートストンブリッジ回路は、所定の抵抗値を有する固定抵抗体を備えることを特徴とする、請求項1に記載の温度測定装置。
【請求項3】
熱処理機構を用いて基板を所定の温度に熱処理する熱処理装置に対し、前記熱処理機構の温度を校正するための温度校正装置であって、
基板と、
前記基板上に設けられ、温度変化に応じて抵抗値が変化する複数の測温抵抗体を備えたホイートストンブリッジ回路と、
前記ホイートストンブリッジ回路が平衡状態となるように、前記熱処理機構の温度を調節する制御部と、を有することを特徴とする、温度校正装置。
【請求項4】
前記ホイートストンブリッジ回路は複数設けられ、
前記制御部は、複数の前記ホイートストンブリッジ回路が平衡状態になるように、前記熱処理機構の温度を調節することを特徴とする、請求項3に記載の温度校正装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記ホイートストンブリッジ回路における電流値が所定の値になるように、前記熱処理機構の温度を調節することを特徴とする、請求項3又は4に記載の温度校正装置。
【請求項6】
前記ホイートストンブリッジ回路は複数設けられ、
前記制御部は、複数の前記ホイートストンブリッジ回路における電流値が等しくなるように、前記熱処理機構の温度を調節することを特徴とする、請求項3〜5のいずれかに記載の温度校正装置。
【請求項7】
前記ホイートストンブリッジ回路は、所定の抵抗値を有する固定抵抗体を備えることを特徴とする、請求項3又は4に記載の温度校正装置。
【請求項8】
前記制御部は、前記ホイートストンブリッジ回路において異なる箇所のオフセット電圧を測定し、それぞれの場合において当該ホイートストンブリッジ回路が平衡状態になるように、前記熱処理機構の温度を調節することを特徴とする、請求項3〜7のいずれかに記載の温度校正装置。
【請求項9】
前記ホイートストンブリッジ回路は複数設けられ、
複数の前記ホイートストンブリッジ回路は、千鳥状、格子状、又は連続して蛇行状に配置されていることを特徴とする、請求項3〜8のいずれかに記載の温度校正装置。
【請求項10】
前記熱処理機構は、複数の領域に区画され、当該領域毎に温度調節可能であることを特徴とする、請求項3〜9のいずれかに記載の温度校正装置。
【請求項11】
熱処理機構を用いて基板を所定の温度に熱処理する熱処理装置に対し、温度校正装置を用いて前記熱処理機構の温度を校正する温度校正方法であって、
基板と、
前記基板上に設けられ、温度変化に応じて抵抗値が変化する複数の測温抵抗体を備えたホイートストンブリッジ回路と、から構成される前記温度校正装置を用いて、
前記ホイートストンブリッジ回路が平衡状態となるように、前記熱処理機構の温度を調節することを特徴とする、温度校正方法。
【請求項12】
前記ホイートストンブリッジ回路は複数設けられ、
複数の前記ホイートストンブリッジ回路が平衡状態になるように、前記熱処理機構の温度を調節することを特徴とする、請求項11に記載の温度校正方法。
【請求項13】
前記ホイートストンブリッジ回路における電流値が所定の値になるように、前記熱処理機構の温度を調節することを特徴とする、請求項11又は12に記載の温度校正方法。
【請求項14】
前記ホイートストンブリッジ回路は複数設けられ、
複数の前記ホイートストンブリッジ回路における電流値が等しくなるように、前記熱処理機構の温度を調節することを特徴とする、請求項11〜13のいずれかに記載の温度校正方法。
【請求項15】
前記ホイートストンブリッジ回路は、所定の抵抗値を有する固定抵抗体を備えることを特徴とする、請求項11又は12に記載の温度校正方法。
【請求項16】
前記ホイートストンブリッジ回路において異なる箇所のオフセット電圧を測定し、それぞれの場合において当該ホイートストンブリッジ回路が平衡状態になるように、前記熱処理機構の温度を調節することを特徴とする、請求項11〜15のいずれかに記載の温度校正方法。
【請求項17】
前記熱処理機構は、複数の領域に区画され、
前記領域毎に前記熱処理機構の温度を調節することを特徴とする、請求項11〜16のいずれかに記載の温度校正方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−230023(P2012−230023A)
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−98991(P2011−98991)
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年11月22日(2012.11.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年4月27日(2011.4.27)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
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