説明

温度特性調整データ生成方法

【課題】n(nは1以上の整数)次の関数で表現される温度特性を持った信号のn−1次の温度係数を調整する際に、n次の温度係数の影響を軽減し、且つコストの増大を抑えることができる、温度特性の調整データを生成する方法を提供する。
【解決手段】温度特性調整データ生成方法は、n(nは1以上の整数)次の関数で表現される温度特性を持った信号を生成する回路を有する半導体装置の温度特性を調整するデータ(803)を、プログラム処理装置(6、10)を用いて生成する方法であって、n+1よりも少ない数の温度における前記信号の値を、前記信号に関する目標値に所定の補正値を加えた値(601)に近づけるように温度特性を調整するデータを生成するデータ生成処理を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子回路が生成する信号の温度特性を調整するデータの生成方法に係り、特に半導体基板に形成された回路により生成される信号の温度特性を調整するためのデータの生成方法に適用して有効な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置上に形成された回路は、安定した動作を実現するため、周囲の温度変化に対して影響を受けにくい基準電圧や基準発振信号等を必要とすることが多い。そのため、温度変化の影響を受けにくい回路が開示されている。
【0003】
例えば、温度変化の影響を受けにくい電圧発生器として、特許文献1に記載の電圧発生器がある。この電圧発生器は、正の温度係数を持つ抵抗と負の温度係数を持つ抵抗とを組み合わせることで、互いの温度係数を相殺し、温度変化の影響を受けにくい回路構成としている。また、別の例として、温度変化の影響を受けにくい発振器として、特許文献2に記載の発振器がある。この発振器は、抵抗値と電圧値によって発振周波数が決定されるが、その抵抗値の温度係数を打ち消すような温度係数を印加電圧に持たせることで、互いの温度係数を相殺し、温度変化の影響を受けにくい回路構成としている。
【0004】
一般に抵抗や電圧などの電気特性は、半導体装置の製造時に、半導体装置毎にばらつきが発生するため、製造した個々の半導体装置における電圧発生器や発振器等の温度特性を同一に形成することは困難である。そのため、個々の半導体装置における電圧発生器や発振器等の温度特性を調整する作業が必要となる。
【0005】
従来の温度特性の調整方法として、例えば、特許文献3に開示がある。特許文献3に記載の温度特性の調整方法は、水晶振動子による圧電発振器の発振周波数の温度特性の測定時間を短縮するために、前記圧電発振器に内蔵したヒータ抵抗を加熱することにより、前記圧電発振器の加熱時間を短縮し、温度特性を調整する時間短縮を図る方法である。当該調整方法では、加熱後に温度特性を調整する方法として、n点の温度において周波数の測定を行い、測定されたn点の温度における周波数の変化がなくなるように、n−1次の温度係数を調整する方法を採用している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2008−108009号公報
【特許文献2】特開2008−301042号公報
【特許文献3】特開2009−246648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献3に示される温度特性の調整方法では、n−1次の温度係数を調整することで、測定したn点の温度における周波数の目標値に対する誤差を小さくすることは可能であるが、n次以上の温度係数の影響を無視してn−1次の温度係数を調整しているため、測定したn点以外の温度における前記誤差が大きくなる場合がある。仮に当該誤差を軽減するためにn次の温度係数を調整するならば、n+1点の測定が必要になり、温度設定に要する時間及び測定回数が増加し、テスト時間の増大を招く。また、測定点がn+1点に増えることで、テスト装置や温度特性の調整対象である半導体装置に搭載するメモリ容量の増大により、コスト増大を招く。
【0008】
本発明の目的は、n(nは1以上の整数)次の関数で表現される温度特性を持った信号のn−1次の温度係数を調整する際に、n次の温度係数の影響を軽減し、且つコストの増大を抑えることができる、温度特性の調整データを生成する方法を提供することである。
【0009】
本発明の前記並びにその他の目的と新規な特徴は本明細書の記述及び添付図面から明らかになるであろう。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本願において開示される発明のうち代表的なものの概要を簡単に説明すれば下記の通りである。
【0011】
すなわち、温度特性調整データ生成方法は、n(nは1以上の整数)次の関数で表現される温度特性を持った信号を生成する回路を有する半導体装置の温度特性を調整するデータを、プログラム処理装置を用いて生成する方法であって、n+1よりも少ない数の温度における前記信号の値を、前記信号に関する目標値に所定の補正値を加えた値に近づけるように温度特性を調整するデータを生成するデータ生成処理を含む。
【発明の効果】
【0012】
本願において開示される発明のうち代表的なものによって得られる効果を簡単に説明すれば下記のとおりである。
【0013】
すなわち、n(nは1以上の整数)次の関数で表現される温度特性を持った信号のn−1次の温度係数を調整する際に、n次の温度係数の影響を軽減し、且つコストの増大を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】図1は温度特性調整データ生成方法を適用した半導体装置とテスタを含むシステムの構成図である。
【図2】図2は発振回路1の回路構成の一例である。
【図3】図3は調整ターゲット値の決定方法についての説明図である。
【図4】図4は調整ターゲット値の決定方法についての説明図である。
【図5】図5は実施形態1に係る温度特性調整データ生成方法の手順を示すフローチャートである。
【図6】図6は実施形態1に係る温度調整装置4の温度設定に要する時間を示す説明図である。
【図7】図7は実施形態2に係る温度特性調整データ生成方法の手順を示すフローチャートである。
【図8】図8は実施形態2に係る温度特性調整データ生成方法を適用した温度特性の調整結果を示すグラフである。
【図9】図9は実施形態2に係る温度調整装置4の温度設定に要する時間を示す説明図である。
【図10】図10は実施形態3に係る温度特性調整データ生成方法の手順を示すフローチャートである。
【図11】図11は実施形態3に係る温度特性調整データ生成方法を適用した温度特性の調整結果を示すグラフである。
【図12】図12は実施形態3に係る温度調整装置4の温度設定に要する時間を示す説明図である。
【図13】図13は実施形態4に係る温度特性調整データ生成方法の手順を示すフローチャートである。
【図14】図14は実施形態4に係る温度特性調整データ生成方法を適用した温度特性の調整結果を示すグラフである。
【図15】図15は実施形態4に係る前記温度調整装置4の温度設定に要する時間を示す説明図である。
【図16】図16は実施形態5に係る温度特性調整データ生成方法の手順を示すフローチャートである。
【図17】図17は実施形態5に係る温度特性調整データ生成方法を適用した温度特性の調整結果を示すグラフである。
【図18】図18は実施形態5に係る前記温度調整装置4の温度設定に要する時間を示す説明図である。
【図19】図19は前記調整ターゲット値の決定方法についての説明図である。
【図20】図20は前記調整ターゲット値の決定方法についての説明図である。
【図21】図21は実施形態6に係る温度特性調整データ生成方法の手順を示すフローチャートである。
【図22】図22は実施形態7に係る前記調整ターゲット値の決定方法についての説明図である。
【図23】図23は実施形態7に係る温度特性調整データ生成方法の手順を示すフローチャートである。
【図24】図24は温度特性調整データ生成方法を適用した半導体装置とテスタを含むシステムの構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
1.実施の形態の概要
先ず、本願において開示される発明の代表的な実施の形態について概要を説明する。代表的な実施の形態についての概要説明で括弧を付して参照する図面中の参照符号はそれが付された構成要素の概念に含まれるものを例示するに過ぎない。
【0016】
〔1〕本発明の代表的な実施の形態に係る温度特性調整データ生成方法は、n(nは1以上の整数)次の関数で表現される温度特性を持った信号を生成する回路を有する半導体装置の温度特性を調整するデータ(803、806、810、815、820、822、826)を、プログラム処理装置(6、10)を用いて生成する方法であって、前記プログラム処理装置による処理は、n+1よりも少ない数の温度における前記信号の値を、前記信号に関する目標値に所定の補正値を加えた値(601〜609)に近づけるように温度特性を調整するデータを生成するデータ生成処理を含む。これによれば、前記温度における前記信号の値を前記目標値に近づけるのではなく、前記目標値に所定の補正値を加えた値に近づけるように前記n−1次以下の温度係数を調整するから、n次の温度係数を調整しなくとも、n次の温度係数を考慮した温度特性の調整が可能となる。これにより、n次の温度係数を調整するために必要とされたn+1点の測定数より少ない測定点数での温度特性の調整が可能となるから、測定時間及びデータを記憶するための記憶装置の容量を減らすことが可能となる。
【0017】
〔2〕項1の温度特性調整データ生成方法において、前記n次の温度係数のばらつきの平均値の絶対値が、前記n次の温度係数のばらつき幅よりも小さいときは、前記所定の補正値は、前記n次の温度係数のばらつきの平均値となる前記n次の温度係数を有する所定の関数(203)によって決定される。これによれば、前記測定された信号の温度特性が、前記平均値であるn次の温度係数を有する所定の関数で表わされるとして、前記補正値を決定するから、前記信号の値の前記目標値に対する変動幅を小さくすることが可能となる。例えば図3参照。
【0018】
〔3〕項1又は2の温度特性調整データ生成方法において、前記n次の温度係数のばらつきの平均値の絶対値が、前記n次の温度係数のばらつき幅よりも大きいときは、前記所定の補正値は、前記n次の温度係数の絶対値が最大にばらついたときのn次の温度係数を有し、要求される温度特性の温度範囲における前記信号の値の最大の変動幅よりも小さい変動幅を、前記目標値に対して正側と負側に有する所定の関数(208)、によって決定される。これによれば、前記測定された信号の温度特性が、当該n次の温度係数を有し、且つ前記目標値に対する変動幅を正側と負側に有する所定の関数で表わされるとして、前記補正値を決定するから、前記n次の温度係数の絶対値が最大にばらついた場合でも、前記信号の値の前記目標値に対する変動幅を小さくすることが可能となる。例えば図4参照。
【0019】
〔4〕項1乃至3の何れかの温度特性調整データ生成方法において、前記データ生成処理は、第1の温度に設定し、候補のデータにしたがって設定された前記回路の前記信号を測定するとともに、当該測定した信号の値と前記目標値に前記第1の温度における第1の補正値を加算した値との誤差が最も小さい前記候補のデータを、前記測定した信号の値とともに記憶装置に記憶する第1処理(S301〜S305)と、第2の温度に設定し、前記第1処理によって記憶された前記候補のデータにしたがって設定された前記回路の前記信号を測定するとともに、当該候補のデータに対応させて前記測定した信号の値を前記記憶装置に記憶する第2処理(S307〜S308)と、前記第2処理によって記憶された前記測定した信号と、前記目標値に前記第2の温度における第2の補正値を加算した値との誤差が最も小さい候補のデータを温度特性調整データとして決定する第3処理(S309)と、を含む。これによれば、容易に、n次の温度係数を考慮した温度特性の調整が可能となる。また、前記第1処理において記憶された前記候補のデータに基づいて、前記第2の温度における前記信号の値を測定するから、測定点数を少なくすることができる。例えば図5参照。
【0020】
〔5〕項1乃至3の何れかの温度特性調整データ生成方法において、前記データ生成処理は、第1の温度に設定し、候補のデータにしたがって設定された前記回路の前記信号を測定するとともに、当該測定した信号の値と前記目標値に前記第1の温度における第1の補正値を加算した値との誤差が最も小さい前記候補のデータを、前記測定した信号の値とともに記憶装置に記憶する第1処理と(S301〜S305)、第2の温度に設定し、前記第1処理によって記憶された前記候補のデータにしたがって設定された前記回路の前記信号を測定するとともに、当該候補のデータに対応させて前記測定した信号の値を前記記憶装置に記憶する第2処理と(S307〜S310)、前記第1処理による前記測定した信号と、前記第2処理による前記測定した信号との差が最も小さい前記候補のデータを、温度特性を調整するデータとして決定する第3処理(S311)と、を含む。例えば図7参照。
【0021】
〔6〕項1乃至5の何れかの温度特性調整データ生成方法において、前記信号に要求される温度特性の温度範囲の中心温度に対し、所定の値を減算した温度を第1の温度とし、前記中心温度に対し、前記所定の値を加算した温度を第2の温度とする。これによれば、前記第1の温度と前記第2の温度における2次の温度係数の影響を排除して、1次の温度係数をより精度よく調整できる。また、前記要求される温度特性の温度範囲において、前記中心温度に対して低温側と高温側の前記信号の変動幅を均等にするように、温度特性を調整することが可能となる。例えば、図8参照。
【0022】
〔7〕項1乃至3の何れかの温度特性調整データ生成方法において、前記データ生成処理は、第1の温度に設定し、候補のデータにしたがって設定された前記回路の前記信号を測定し、当該測定した信号の値と、前記目標値に前記第1の温度における第1の補正値を加算した値との誤差が最も小さい前記候補のデータを前記測定した信号の値とともに記憶装置に記憶する第1処理と(S301〜S305)、第2の温度に設定し、前記第2の温度に遷移する途中の第3の温度において、前記第1処理によって記憶された前記候補のデータにしたがって設定された前記回路の前記信号を測定するとともに、当該候補のデータに対応させて前記測定した信号の値を前記記憶装置に記憶する第2処理(S307、S312)と、第2の温度において、前記第1処理によって記憶された前記候補のデータにしたがって設定された前記回路の前記信号を測定するとともに、当該候補のデータに対応させて前記測定した信号の値を前記記憶装置に記憶する第3処理(S313〜S314)と、前記記憶されたデータに基づいて、前記第1の補正値と前記第2の補正値を更新する第4処理(S315、S321)と、更新された前記補正値に基づいて、温度特性を調整するデータを決定する第5処理(S317、S323)と、を含む。これによれば、前記第2の温度に遷移している間の温度において、前記信号を測定するから、3点の温度に夫々設定して温度特性を測定する場合に比べて短い測定時間によって、2次の温度係数を考慮した前記信号の温度特性を簡易的に把握することができる。例えば図10参照。
【0023】
〔8〕項7の温度特性調整データ生成方法において、前記候補のデータは、前記温度特性の1次の温度係数を決定する1次係数設定データと、前記温度特性の0次の温度係数を決定する0次係数設定データとを、夫々1個ずつ含む複数組のデータである。これによれば、1次の温度係数と0次の温度係数を個別に設定することが可能となる。
【0024】
〔9〕項8の温度特性調整データ生成方法において、前記第4の処理は、前記第1処理乃至第3処理によって記憶された、前記候補のデータに対応する夫々の温度における前記測定した信号の複数組のうち、少なくとも一組に基づいて算出した2次の温度係数を有する関数を用いて、前記第1の補正値と前記第2の温度における第2の補正値を修正する処理である。また、前記第5の処理は、前記第1の温度における前記測定した信号の値と前記第2の温度における前記測定した信号の値との差が、前記第4の処理によって修正した前記第1の補正値を前記目標値に加算した値と、前記第2の補正値を前記目標値に加算した値との差に最も近い値となる前記1次係数設定データを有する候補のデータを決定し、決定した候補のデータの前記0次係数設定データを変更しながら前記信号を測定するとともに、当該候補のデータに対応させて前記測定した信号の値を前記記憶装置に記憶する第6処理(S316)と、修正した前記第2の補正値を前記目標値に加算した値と前記第6処理によって記憶された前記測定した信号との誤差が最も小さい候補のデータを、温度特性を調整するデータとして決定する第7処理(S317)と、を含む処理である。これによれば、測定した前記信号の値に基づいて算出した、2次の温度係数の概算値を用いて前記補正値を修正するから、2次の温度係数を考慮した調整をより高精度に行うことが可能となる。例えば図10、及び図11参照。
【0025】
〔10〕項8の温度特性調整データ生成方法において、前記第3の温度は、前記第1の温度の近傍の温度であり、前記第3処理において、前記回路は、前記第1処理による前記測定した信号の値と前記第2処理による前記測定した信号の値との差が最も小さくなる前記候補のデータに設定される。また、前記第4処理は、前記第3処理において設定された前記候補のデータに対応させて記憶された、前記第1処理による前記測定された値と前記第3処理による前記測定された値との差の2分の1の値に基づいて、前記第1の補正値と前記第2の温度における第2の補正値を修正する処理(S321)である。さらに、前記第5の処理は、前記第3処理において設定された前記1次係数設定データを有する候補のデータを決定し、決定した候補のデータの前記0次係数設定データを変更しながら前記信号を測定するとともに、当該候補のデータに対応させて前記測定した信号の値を前記記憶装置に記憶する第6処理(S322)と、修正した前記第2の補正値を前記目標値に加算した値と、前記第6処理によって記憶された前記測定した信号との誤差が最も小さい候補のデータを、温度特性を調整するデータとして決定する第7処理(S323)と、を含む処理である。これによれば、前記第1の温度における2次の温度係数による温度勾配の影響を小さくすることができるから、1次の温度係数の影響を精度よく調整することができ、前記第1の温度における前記信号の値を、当該信号の温度特性を表わす関数の極大値、又は極小値とすることができる。これにより、前記第1の温度と前記第2の温度における前記信号の変動幅を、当該要求される温度特性の温度範囲における最大の変動幅とみなして、前記補正値を上記のように修正することで、当該変動幅を前記目標値に対して正側と負側に均等になるように割り振ることが可能となる。例えば図13、及び図14参照。
【0026】
〔11〕項10の温度特性調整データ生成方法において、前記第1の温度は、前記信号に要求される温度特性の温度範囲の中心温度である。これによれば、前記要求される温度特性の温度範囲において、前記中心温度に対して低温側と高温側の前記信号の変動幅を均等にするように調整することが可能となる。例えば、図14参照。
【0027】
〔12〕項1乃至3の何れかの温度特性調整データ生成方法において、前記データ生成処理は、第1の温度に設定し、候補のデータにしたがって設定された前記回路の前記信号を測定し、当該測定した信号の値と、前記目標値に前記第1の温度における第1の補正値を加算した値との誤差が最も小さい前記候補のデータを前記測定した信号の値とともに記憶装置に記憶する第1処理(S301〜S305)と、第2の温度に設定し、前記第1処理によって記憶された前記候補のデータにしたがって設定された前記回路の前記信号を測定するとともに、当該候補のデータに対応させて前記測定した信号の値を前記記憶装置に記憶する第2処理(S307、S310)と、第3の温度に設定し、前記第1の温度における前記測定した信号の値と前記第2の温度における前記測定した信号の値との差が、最も小さくなる前記候補のデータにしたがって設定された前記回路の前記信号を測定するとともに、当該候補のデータに対応させて前記測定した信号の値を前記記憶装置に記憶する第3処理(S324〜S326)と、前記記憶されたデータに基づいて、前記第1の補正値、前記第2の温度における第2の補正値、及び前記第3の温度における第3の補正値を更新する第4処理(S327)と、更新された夫々の補正値に基づいて、温度特性を調整するデータを決定する第5処理(S328、S329)と、を含む。これによれば、3点の温度を測定するから、当該信号の温度特性をより精度よく把握することできる。例えば図16参照。
【0028】
〔13〕項12の温度特性調整データ生成方法において、前記第4処理は、前記第3処理において設定された前記候補のデータに対応させて記憶された、前記第1処理による前記測定された値と前記第3処理による前記測定された値との差の2分の1の値に基づいて、前記第1の補正値、前記第2の補正値、及び前記第3の補正値を修正する処理(S327)であり、前記第5の処理は、前記第3処理において設定された前記候補のデータの前記1次係数設定データを有する候補のデータを決定し、決定した候補のデータの前記0次係数設定データを変更しながら前記信号を測定し、当該候補のデータに対応させて前記測定した信号の値を前記記憶装置に記憶する第6処理(S328)と、修正した前記第2の補正値を前記目標値に加算した値と、前記第6処理によって記憶された前記測定した信号との誤差が最も小さい候補のデータを、温度特性を調整するデータとして決定する第7処理(S329)と、を含む処理である。これによれば、前記信号の温度特性を、前記第1の温度における前記目標値に対する変動幅と、前記第3の温度における前記目標値に対する変動幅が均等になるように調整することが可能となる。例えば図16、及び図17参照。
【0029】
〔14〕項13の温度特性調整データ生成方法において、前記信号に要求される温度特性の温度範囲の中心温度に対し所定の値を減算した温度を第1の温度とし、前記中心温度に対し前記所定の値を加算した温度を第2の温度とする。これによれば、前記要求される温度特性の温度範囲において、前記第1の温度と前記第2の温度における2次の温度係数の影響を排除して、1次の温度係数をより精度よく調整できる。また、前記中心温度に対する低温側と高温側の前記信号の変動幅を均等にするように調整することが可能となる。例えば、図17参照。
【0030】
〔15〕項1乃至3の何れかの温度特性調整データ生成方法において、前記データ生成処理は、第1の温度に設定し、候補のデータにしたがって設定された前記回路の前記信号を測定するとともに、当該候補のデータに対応させて前記測定した信号の値を前記記憶装置に記憶する第1処理(S333〜S335)と、第2の温度に設定し、前記第1処理によって記憶された前記候補のデータにしたがって設定された前記回路の前記信号を測定するとともに、当該候補のデータに対応させて前記測定した信号の値を前記記憶装置に記憶する第2処理(S336〜S337)と、第3の温度に設定し、前記第1処理によって記憶された前記候補のデータにしたがって設定された前記回路の前記信号を測定するとともに、当該候補のデータに対応させて前記測定した信号の値を前記記憶装置に記憶する第3処理(S338〜S339)と、前記記憶されたデータに基づいて、温度特性を調整するデータを決定する第4処理(S340〜S342)と、を含む。これによれば、前記第1処理において記憶された前記候補のデータに基づいて、前記第2の温度及び前記第3の温度において前記信号の値を測定するから、測定点数を少なくすることができる。例えば図23参照。
【0031】
〔16〕項15の温度特性調整データ生成方法において、前記候補のデータは、前記温度特性の2次の温度係数を決定する2次係数設定データと、前記温度特性の1次の温度係数を決定する1次係数設定データと、前記温度特性の0次の温度係数を決定する0次係数設定データとを、夫々1個ずつ含む複数組のデータである。これによれば、2次の温度係数と、1次の温度係数と、0次の温度係数を個別に設定することが可能となる。
【0032】
〔17〕項16の温度特性調整データ生成方法において、前記第4の処理は、前記第1の温度における前記測定した信号の値と前記第2の温度における前記測定した信号の値との差が、前記目標値に前記第1の補正値を加えた値と前記目標値に前記第2の温度における第2の補正値を加えた値との差に最も近い値となり、且つ、前記第2の温度における前記測定した信号の値と前記第3の温度における前記測定した信号の値との差が、前記目標値に前記第2の補正値を加えた値と前記目標値に前記第3の温度における第3の補正値を加えた値との差に最も近い値となる前記2次係数設定データ及び前記第1次係数設定データを有する候補のデータを決定する第5処理(S340)と、前記第5処理によって決定した候補のデータの前記0次係数設定データを変更しながら前記信号を測定し、当該候補のデータに対応させて、前記測定した信号の値を前記記憶装置に記憶する第6処理(S341)と、前記第3の補正値を前記目標値に加算した値と前記第6処理によって記憶された前記測定した信号との誤差が最も小さい候補のデータを、温度特性を調整するデータとして決定する第7処理(S342)と、を含む処理である。これによれば、前記信号の温度特性を、前記第1の温度における前記目標値に対する変動幅と、前記第3の温度における前記目標値に対する変動幅が均等になる特性に調整することが可能となる。例えば、図22、及び図23参照。
【0033】
〔18〕項17の温度特性調整データ生成方法において、前記信号に要求される温度特性の温度範囲の中心温度を前記第2の温度とし、前記中心温度に対し、所定の値を減算した温度を第1の温度とし、前記中心温度に対し、前記所定の値を加算した温度を第3の温度とする。これによれば、前記要求される温度特性の温度範囲において、前記中心温度に対する低温側と高温側の前記信号の変動幅を均等にするように調整することが可能となる。例えば、図22参照。
【0034】
2.実施の形態の詳細
実施の形態について更に詳述する。
【0035】
≪実施の形態1≫
図1は本発明の実施の形態1に係る、温度特性調整データ生成方法を適用した、半導体装置とテスタを含むシステムの構成図の一例である。
【0036】
温度特性の調整対象とされる半導体装置3は、一つの半導体基板に形成される半導体装置であり、所定の機能を実現する回路を内部に有する。図1では、その内部回路の代表例として、信号S1を生成する発振回路1を示し、前記信号S1の発振周波数が、温度特性の調整対象である。
【0037】
前記発振回路1は信号S1を生成し、その発振周波数は、発振周波数を調整する機能を有する調整回路2からの制御信号11に基づいて決定される。
【0038】
前記制御信号11は、後述する前記発振回路1に内蔵される発振周波数調整部109に入力され、発振周波数を決定するためのデータである。前記制御信号11は、前記調整回路2に設定される調整データに従って決定される。
【0039】
前記調整データは、前記信号S1の発振周波数の温度特性を調整するためのデータであり、例えば、発振周波数の温度特性が2次関数で表現できるのであれば、1次温度係数を決定する設定値と、0次温度係数を決定する設定値とを有するデータである。前記調整データは、前記半導体装置3の特性試験時等の温度特性のトリミング時に、後述する方法により前記半導体装置3毎に決定され、最終的に決定された前記調整データが最終調整結果として、メモリ部8の記憶領域に格納される。前記メモリ部8は例えば、不揮発性の記憶領域を有する装置である。
【0040】
前記半導体装置3の実動作の際には、例えば、パワーオンリセット後に制御回路7によって前記メモリ部8から前記最終調整結果として記録された前記調整データがロードされ、前記調整回路2に与えられることによって、所望の発振周波数を有する前記信号S1が出力される。
【0041】
前記調整データは、調整ターゲット値に基づいて決定される。
【0042】
前記調整ターゲット値は、所定の温度における前記信号S1の発振周波数の値を調整するためのデータである。前記調整ターゲット値は、例えば、前記信号S1の発振周波数が温度変化の影響を受けないとした場合の発振周波数の理想となる値を目標値として、当該目標値に所定の補正値を加えた値である。前記調整ターゲット値の値は、図1の参照符号601に示されるように、温度毎に設定された値であり、前記目標に対する変動分の割合として表わしてもよいし、発振周波数の値で表わしてもよい。前記調整ターゲット値は、後述する判定装置6の記憶部に記憶される。なお、前記調整ターゲット値601は、前記メモリ部8に記憶させておいてもよい。この場合には、前記発振器1の温度特性の調整を開始する際に、前記判定装置6が、前記制御回路7を介して前記調整ターゲット値601を前記メモリ部8から読み出しておくことが必要となる。
【0043】
前記制御回路7は、前記クロック生成回路9によって生成される前記クロック信号S2に基づいて動作するデータ処理装置であり、前記判定装置6からの制御信号により動作し、前記メモリ部8のデータの書換えや読み出し、前記調整回路2の制御等を行う。前記制御部7は、例えばCPUである。
【0044】
前記制御回路7と前記メモリ部8は、前記クロック生成回路9によって生成されたクロック信号S2をクロック信号として動作する。前記クロック信号S2は、例えば、前記信号S1と比べて十分低い周波数を有し、低精度のクロック信号である。
【0045】
前記調整データの生成は、前記半導体装置3、温度調整装置4、周波数検知装置5、及び前記判定装置6によって実現される。
【0046】
前記周波数検知装置5及び前記判定装置6は外部に設置されたテスタであり、コンピュータ処理装置である。なお、前記テスタは、前記温度調整装置4を加えた構成でもよい。
【0047】
前記温度調整装置4は、前記判定装置6によって制御され、前記温度調整装置4上に設置された前記半導体装置3の温度環境を変化させる装置である。
【0048】
前記判定装置6は、内部に備える記憶部に格納された所定のプログラムに従って、前記温度調整装置4を制御して、前記半導体装置3の温度環境を変化させ、所定の温度環境下において前記周波数検知装置5によって測定された前記信号S1の発振周波数の値を取得する。そして、前記判定装置6は、前記測定された値が前記調整ターゲット値に近づくように、前記制御回路7と前記温度調整装置4の動作を制御することにより、最終的な前記調整データを決定する。
【0049】
ここで、前記調整データの生成過程で測定された前記信号S1の発振周波数の値は、図1の参照符号801に示すように、設定された温度毎に前記調整データと対応されて前記メモリ部8に記憶される。前記メモリ部8には、前述のように、最終的な温度特性の調整結果となる前記調整データも格納される。図1に示される前記調整データは、1次温度係数の設定値と0次温度係数(絶対値)の設定値の組み合わせからなるデータであるが、これに限られず、その他の高次の温度係数の設定値を含んでもよい。
【0050】
ここで、前記信号S1の発振周波数の温度特性について、図2を用いて説明する。
【0051】
図2は、前記発振回路1の回路構成の一例である。
【0052】
図2において、前記発振回路1は、オペアンプ101、電流源102、電流源103、抵抗R、スイッチ104、スイッチ105、容量C、比較器106、発振回路107、制御回路108、及び発振周波数調整部109を有する。
【0053】
前記オペアンプ101は、2つの入力端子の一方に電圧VTEMPを入力し、他方にノードn1の電圧を入力し、これら2つの入力した電圧が一致するように、前記電流源102の電流値を制御する。ここで、ノードn1の電圧は、前記電流源102の電流と抵抗Rとの積で表される。すなわち、前記電流源102が流す電流値は電圧VTEMPを抵抗Rにより除算したものとなる。
【0054】
前記電流源103と前記電流源102は、電流値を所定の倍率にコピーして流すカレントミラーを形成するトランジスタで構成される。前記所定の倍率は前記電流源103と前記電流源102におけるトランジスタのサイズの比で設定される。前記電流源103の電流は、前記スイッチ104が接続されている場合には、容量Cに充電される。
【0055】
前記スイッチ104は前記信号S1の1周期分の時間だけ導通するように前記制御回路108によって制御されている。これにより、前記電流源103が流す電流は前記信号S1の1周期分の時間だけ容量Cに充電され、充電された電流量と容量Cによってノードn2の電圧が決定される。
【0056】
前記比較器106は、前記ノードn2の電圧と電圧VREFと比較する。電圧VREFが、前記ノードn2の電圧よりも高い場合は、容量Cの充電時間、すなわち前記スイッチ104の導通時間が短いことを意味するため、前記信号S1の1周期の時間を延ばすように、前記発振回路107の発振周波数を下げる。一方、電圧VREFが前記ノードn2の電圧よりも低い場合は、前記信号S1の1周期の時間が長すぎることを意味するため、前記発振回路107の発振周波数を上げるように制御する。
【0057】
前記制御回路108は、前記発振回路107の出力信号である前記信号S1に基づいて、前記比較器106で比較した後、前記スイッチ105を導通させ、容量Cの電荷をディスチャージし、前記ノードn2の電圧をグラウンドレベルに低下させて、次に前記スイッチ104を導通させるときに備える。
【0058】
以上のように、前記信号S1の1周期の時間を前記制御回路108、前記スイッチ104を介してフィードバックすることにより、電圧VTEMP、電圧VREF、抵抗R、容量Cによって決定される発振周波数を有する前記信号S1が得られる。したがって、発振周波数の温度特性は、電圧VTEMP、電圧VREF、抵抗R、容量Cの温度特性によって決定されることになり、図2に示される回路構成の場合には、前記信号S1の発振周波数は2次関数で表わされる温度特性を有することとなる。ここで、前記信号S1の温度特性の1次温度係数は、電圧VTEMPの温度特性によって決定され、0次温度係数は、抵抗Rの値によって決定される。
【0059】
このように、前記信号S1の発振周波数の温度特性は、夫々の要素の温度特性によって決定されるので、これらの各要素が望まない温度特性を持っていたり、製造ばらつきにより温度特性がばらついたりすると、前記信号S1の発振周波数も望まない温度特性を持つことになる。そこで、前述のように前記発振器1は、前記調整データにより、前記信号S1の発振周波数の温度特性を調整する。
【0060】
ここで、前記調整データに基づいて温度特性を調整する回路は、前記発振周波数調整部109である。
【0061】
前記発振周波数調整部109は、例えば、前記調整回路2から取得した前記調整データに基づいて、電圧VTEMPの温度特性及び抵抗Rの値を調整することにより、1次温度係数と0次温度係数を調整する。
【0062】
ここで、前記調整ターゲット値の決定方法について説明する。
【0063】
前述のように、前記信号S1の発振周波数の温度特性が、温度の2次関数で表わされる場合を例として説明する。
【0064】
図3は、前記調整ターゲット値の決定方法についての説明図である。
【0065】
図3におけるグラフの縦軸は、前記信号S1の発振周波数の前記目標値からの変動幅の割合、すなわち周波数の前記目標値に対する誤差を表わしており、横軸は温度を表わしている。ここで、前記目標値は、例えば、前記信号S1の仕様値である。例えば、当該仕様値が100MHzである場合には、100MHzが前記目標値となる。
【0066】
一般に温度特性を調整する場合には、着目した温度において、前記目標値になるように調整される。
【0067】
例えば、着目した2点の温度における発振周波数の値を測定し、その温度における発振周波数の値が、前記目標値になるように、1次温度係数と0次温度係数を調整する。2次温度特性を調整する場合には、3点の温度における測定値が必要となる。
【0068】
図3の(A)に示されるグラフは、前記信号S1の発振周波数の温度特性が、所定の2次温度係数のばらつき範囲を有する場合において、温度25度と125度の2点の温度において前記目標値になるように2次温度係数以外の温度係数を調整した温度特性をシミュレーションにより算出したものである。
【0069】
ここで、図3の(A)において、参照符号201で表わされる関数は、前記信号S1の2次温度係数が最大にばらついたときの温度特性を表わしており、参照符号202で表わされる関数は、当該2次温度係数が最小にばらついたときの温度特性を表わしている。これらの曲線に挟まれた領域が2次温度係数のばらつき範囲となる。なお、2次温度係数のばらつきの最大と最小は、例えば2次温度係数のばらつきの3σの値である。
【0070】
一般的に製品仕様において、温度特性を表現する場合には、要求される温度特性の温度範囲における、仕様値の中心値からの最大の変動幅で表現される。例えば、所定の温度範囲における前記信号S1の前記目標値に対する正側の最大の周波数誤差が+1.0%であり、前記目標値に対する負側の最大の周波数誤差が−0.2%である場合には、前記信号S1の温度特性は、最大変動幅1.0%と表現される。
【0071】
図3の(A)に示すように、着目した2つの温度において前記目標値となるように温度特性を調整すると、着目した温度においては前記目標値に近づくが、所定の温度範囲においては、前記目標値に対して大きな誤差が生じてしまう。例えば、前記関数201で表わされる温度特性は、−40度から125度までの温度範囲において、前記目標値に対する正側の最大の周波数誤差として+1.4%の誤差が生じてしまう。これは、2次温度係数を考慮せずに1次温度係数と0次温度係数を調整したことに起因する問題である。この誤差を改善するために、3点の温度を測定して2次温度係数を調整する方法も考えられるが、前述のように、測定時間等の増加の問題が生ずる。
【0072】
そこで、実施の形態1では、着目する2つの温度において、前記信号S1の発振周波数の値が、前記目標値に所定の補正値を加えた前記調整ターゲット値に近づくように前記調整データを生成する。
【0073】
ここで、前記所定の補正値は、前記信号S1の発振周波数の温度特性が有する温度係数のうち、調整しない温度係数に基づいた関数によって決定される。例えば、前記所定の補正値は、温度特性の2次温度係数のばらつき傾向に応じて、以下の2つの方法により決定される。
【0074】
まず、第1の方法は、前記平均値の値を有する2次温度係数を有し、且つ要求される温度範囲の最大温度と最小温度における発振周波数の値が前記目標値の値となる関数に基づいて、前記補正値を決定する方法である。例えば、図3の(A)に示すように、温度特性の2次温度係数のばらつきの平均値が、2次温度係数のばらつき幅よりも小さい場合に適用して有効な方法である。具体的には、以下のように決定する。
【0075】
図3の(B)において、参照符号203で表わされる関数が、前記信号S1の2次温度係数のばらつきの平均値となる2次係数を有し、且つ−40度と125度における周波数誤差が0%になる関数である。2次温度係数のばらつき範囲の平均値とばらつき幅は、シミュレーション結果などから予め求めておく。前記ばらつき範囲は、例えば2次温度係数のばらつきの3σの範囲である。
【0076】
例えば、温度特性を調整するために、25度と125度の温度に着目した場合において、前記補正値は、前記関数203の温度25度における発振周波数の値と、125度における発振周波数の値に基づいて決定される。すなわち、図3の(B)に示されるように、前記関数203の値は、25度において−0.2%であり、125度において0%であるから、25度における前記補正値は−0.2%、125度における前記補正値は0%と決定される。これにより、25度における前記調整ターゲット値は、前記目標値である0%に前記補正値−0.2%を加えた値である−0.2%となり、また、125度における前記調整ターゲット値も、同様に0%と決定される。
【0077】
上記のように決定された前記調整ターゲット値に近づくように温度特性を調整すると、2次係数が最大にばらついたときは、前記関数204のようになり、2次温度係数が最小にばらついたときは、前記関数205のようになる温度特性がシミュレーションにより算出される。これによれば、図3の(B)に示すように、−40度から125度までの温度範囲における最大の周波数誤差を小さくすることができる。
【0078】
第2の方法は、2次温度係数の絶対値が最大にばらついたときの2次温度係数を有し、且つ要求される温度範囲における発振周波数の変動幅よりも小さい変動幅を、前記目標値に対して正側と負側に有する関数によって、前記補正値を決定する方法である。例えば、図4の(A)に示すように、温度特性の2次温度係数のばらつきの平均値が、2次温度係数のばらつき幅よりも大きい場合に適用して有効な方法である。具体的には、以下のように決定する。
【0079】
図4の(A)に示されるグラフは、前記信号S1の発振周波数の温度特性が、図3の(A)とは別の2次温度係数のばらつき範囲を有する場合において、温度25度と125度の2点の温度において前記目標値になるになるように2次温度係数以外の温度係数を調整した温度特性をシミュレーションにより算出したものである。
【0080】
ここで、図4の(A)において、参照符号206で表わされる関数は、前記信号S1の2次温度係数が最大にばらついたときの温度特性を表わしており、参照符号207で表わされる関数は、当該2次温度係数が最小にばらついたときの温度特性を表わしている。これらの曲線に挟まれた領域が2次温度係数のばらつき範囲となる。
【0081】
図4の(B)において、参照符号200Aで表わされる関数は、前記信号S1の2次温度係数のばらつきが最大となる2次係数、すなわち、前記関数206と同一の2次温度係数、を有し、要求される温度範囲における正側の最大の周波数誤差と負側の最大の周波数誤差の絶対値が一致する関数である。この関数を用いて、前記補正値を決定する。なお、正側の最大の周波数誤差と負側の最大周波数誤差は、完全に一致する必要はなく、誤差があってもよい。
【0082】
例えば、温度特性を調整するために、25度と125度の温度に着目した場合において、前記補正値は、前記関数200Aの温度25度における発振周波数の値と、125度における発振周波数の値に基づいて決定される。すなわち、図4の(B)に示されるように、前記関数200Aは、25度において−0.3%であり、125度において0.4%であるから、25度における前記補正値は−0.3%、125度における前記補正値は0.4%と決定される。これにより、25度における前記調整ターゲット値は、前記目標値である0%に前記補正値−0.3%を加えた値である−0.3%となり、また、125度における前記調整ターゲット値も、同様に0.4%と決定される。
【0083】
上記のように決定された前記調整ターゲット値に近づくように、温度特性を調整すると、2次係数が最大にばらついたときは、前記関数208のようになり、2次温度係数が最小にばらついたときは、前記関数209のようになる温度特性がシミュレーションにより算出される。これによれば、図4の(B)に示すように、−40度から125度までの温度範囲において、前記目標値の正側と負側の周波数誤差が等しくなるように割り振ることができるので、最大の周波数誤差を小さくすることができる。
【0084】
なお、上記方法により決定した前記調整ターゲット値を、前記温度調整装置4の温度調整精度や前記周波数検知装置5の周波数検知精度等を考慮して補正して、補正後の値を最終的な調整ターゲット値としてもよい。
【0085】
次に、前記調整データの生成方法の手順を、図5を用いて詳細に説明する。
【0086】
図5は実施形態1に係る前記調整データの生成方法の手順を示すフローチャートである。
【0087】
ここでは、一例として、前記調整データの生成において測定する2つの温度は、第1温度を室温25度とし、第2温度を、前記半導体装置3に要求される動作補償温度範囲の上限温度である125度とする。また、前記調整ターゲット値は、前記参照符号601に示される値とする。さらに、前記調整データは、1次温度係数の設定値及び0次温度係数の設定値の組み合わせを有する。
【0088】
まず、前記判定装置6は、前記温度調整装置4を第1温度の25度に設定する(S301)。そして、前記判定装置6は、前記制御部7を制御し、前記調整回路2に1次温度係数の初期値を設定する(S302)。例えば、前記1次温度係数の設定値が、2ビットで表わされる場合には、“00”を初期値として設定する。なお、0次温度係数の初期値は、“00”でなくても良く、設計時に算出した温度特性が最適となる0次温度係数の値を初期値として設定しても良い。
【0089】
その後、前記判定装置6は、前記制御部7を制御することにより、前記調整データの1次温度係数を固定して0次温度係数を可変させた前記調整データによって前記調整回路2を設定し、前記周波数検知装置5により測定した前記信号S1の前記目標値に対する周波数誤差を取得する(S303)。例えば、0次温度係数が4ビットで表現される値である場合において、1次温度係数は初期値の“00”として、0次温度係数を“0000”から順に可変して設定し、夫々の前記調整データ毎に周波数誤差を取得する。なお、前記周波数検知装置5から取得するデータや記録されるデータは、周波数誤差ではなく発振周波数の値でもよい。
【0090】
前記判定装置6は、取得した測定結果から前記調整ターゲット値601に最も近い周波数誤差となる前記調整データを選択し、選択された前記調整データと、それに対応する周波数誤差を、第1温度目調整結果801として前記メモリ部8に記憶する(S304)。例えば、1次温度係数の値が“00”であり、0次温度係数が“1101”であるときに、周波数誤差が−0.2%になるのであれば、それらの値が記憶される。
【0091】
そして、以上のステップ303からステップ304の処理を、予め決めておいた候補となる1次温度係数の設定値の全てについて、繰り返し行う(S305、S306)。ここで、前記候補となる1次温度係数の設定値は、設定可能な全ての値であってもよいし、テスト時間短縮のため、設定可能な全ての値のうちの特定の値でもよい。その場合、測定していない1次温度係数の設定値での周波数誤差は、測定された1次温度係数の設定値における測定結果から推定すればよい。
【0092】
前記候補となる1次温度係数の全てについての測定と記憶が完了した後、前記判定装置6は、前記温度調整装置4を制御して、第2温度125度に設定する(S307)。その後、前記判定装置6は、前記制御部207を制御し、ステップ305において前記メモリ部8に記憶された前記第1温度目調整結果801の前記調整データを読み出させ、読み出した前記調整データを前記調整回路2に設定して、前記信号S1の周波数誤差を測定し、第2温度目測定結果802として前記メモリ部8に記憶する(S308)。例えば、前記調整データを、前記第1温度目調整結果として記憶された1次温度係数“00”と0次温度係数“1101”に設定して、そのときの周波数誤差−0.4%を当該調整データと対応させて記憶する。このとき、記憶される前記第2温度目測定結果802は、前記第1温度目調整結果801に第2温度における周波数誤差を追加する形式で記憶されるものであってもよいし、前記第1温度目調整結果801とは別個のデータとして記憶されるものであってもよい。なお、図5に示す前記第1温度目調整結果801及び前記第2温度目測定結果802は、説明のため、測定結果の一部を表示しているにすぎない。
【0093】
そして、前記判定装置6は、前記第2温度目測定結果802から、前記調整ターゲット値601に最も近い周波数誤差となる1次温度係数設定と0次温度係数設定の組み合わせの前記調整データを選択し、選択した前記調整データを最終調整結果803として、前記メモリ部8に記憶し(S309)、温度特性調整データの生成を終了する。例えば、図5の場合には、前記第2温度目測定結果802において、1次温度係数“10”と0次温度係数“0111”の組み合わせであるときの周波数誤差が0%であって、前記調整ターゲット値の125度における値(0%)と等しくなるから、当該1次温度係数と0次温度係数の組み合わせの前記調整データを前記最終調整結果803として記憶する。
【0094】
図6は実施形態1による温度特性調整データ生成方法を適用した場合の前記温度調整装置4の温度設定に要する時間を示す説明図である。
【0095】
図6に示すように、図5の動作フローでは、ステップ301で前記温度調整装置4が第1温度(25度)に設定された後、前記半導体装置3の温度が安定するまでの安定化時間を経て、ステップ303が実施される。そして、ステップ307で温度調整装置4が第2温度(125度)に設定されると、前記温度調整装置4と前記半導体装置3の温度は第2温度125に向かって変化していく。その後、前記温度調整装置4の温度が設定された第2温度に到達した後、前記半導体装置3の温度が安定するまでの安定化時間を経て、ステップ308が実施される。したがって、実施の形態1に係る温度調整データ生成方法では、温度特性の調整にかかる時間は主に、前記温度調整装置4が第1温度から第2温度に遷移する時間と、第1温度及び第2温度における安定化時間と、ステップ303及び308における測定時間との合計時間T1になる。
【0096】
図6において、一点鎖線で示されるグラフは、従来の温度特性の調整方法により、3点の温度において発振周波数を測定して2次温度係数を求める場合の一例であり、温度特性の調整にかかる合計時間はT2である。この結果から、温度特性の調整に要する時間を大幅に短縮されることがわかる。
【0097】
以上、実施の形態1に係る温度特性調整データ生成方法を適用することにより、従来の2点の測定値を用いた温度特性の調整方法に比べて、要求される温度範囲における前記目標値に対する変動幅を小さくすることができる。また、これによれば、2次の温度係数を考慮した温度特性の調整が可能となるから、測定時間及びデータを記憶するための記憶装置の容量を減らすことが可能となる。
【0098】
なお、前記制御回路7と前記メモリ部8の動作クロック信号として前記信号S1ではなく、前記クロック信号S2を用いる理由は以下である。
【0099】
前記制御回路7と前記メモリ8の動作クロック信号として前記信号S1を利用することを考えると、前記信号S1は、前記発振器3の温度特性の調整が完了するまでは所望の周波数であるとは限らず、例えば、当該調整が完了するまでの間に、所望の周波数よりも大幅に高い周波数となっている場合がある。この場合には、前記制御回路7と前記メモリ部8が誤動作してしまう可能性がある。そこで、前記制御回路7と前記メモリ部8が誤動作しないような十分低い周波数のクロック信号を生成するため、前記クロック生成回路9を設けている。この場合、前記クロック信号S2の周波数として高い精度は必要なく、前記制御回路7と前記メモリ部8が誤動作しない程度の精度があればよい。
【0100】
なお、前記動作クロック信号として、前記クロック生成回路9の出力信号S2ではなく、前記発振器3の外部から入力したクロック信号を利用してもよい。例えば、前記制御回路7と前記メモリ部8が誤動作しない程度に十分高い周波数であって、高精度なクロック信号を入力すれば、前記クロック信号S2を用いる場合よりも、前記制御回路7と前記メモリ8の動作速度を速くすることが可能となる。
【0101】
あるいは、前記信号S1を前記制御回路7と前記メモリ部8が誤動作しない程度の十分低い周波数に分周した信号を、動作クロック信号として用いても良い。その場合には、前記クロック生成回路9は不要となり、前記温度補償型発振器3の面積を低減できる。
【0102】
≪実施の形態2≫
図7は本発明の実施の形態2に係る、温度特性調整データ生成方法の手順を示すフローチャートの一例である。
【0103】
実施の形態2に係る温度特性調整データ生成方法は、前記実施の形態1と同様のシステムを用いて実現され、前記半導体装置3の動作補償温度範囲の中心温度を挟んで対称な2点の温度において調整が行われる。ここでは、前記動作補償温度範囲を−40度から125度とした場合を一例とし、第1温度を室温25度とし、第2温度を60度とする。また、前記判定装置6に設定される前記調整ターゲット値は、参照符号602で表わされる値とし、前述の図3又は図4と同様の方法により算出された値である。さらに、前記調整データは、1次温度係数の設定値及び0次温度係数の設定値の組み合わせを有する。
【0104】
なお、以下の図7のフローチャートの説明では、前述の図5のフローチャートと同一の処理については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0105】
まず、前記判定装置6は、図5と同様の処理により、第1温度(25度)において周波数誤差を測定し、第1温度目調整結果804を記憶する(S301〜S306)。その後、前記判定装置6は、前記温度調整装置4を制御して、第2温度(60度)に設定し(S307)、前記判定装置6は、図5のステップ308と同様に、第2温度目測定結果805を記憶する(S310)。なお、図7に示す前記第1温度目調整結果804及び前記第2温度目測定結果805は、説明のため、測定結果の一部を表示しているにすぎない。
【0106】
次に、前記判定装置6は、前記第2温度目測定結果805から、前記第1温度目調整結果804における周波数誤差に最も近い周波数誤差となる前記調整データを選択し、最終調整結果806として記憶する(S311)。例えば、図7において、1次温度係数“01”と0次温度係数“1010”の組み合わせの場合に、第1温度と第2温度における周波数誤差は−0.25%であり等しい。そこで、当該組み合わせの前記調整データを前記最終調整結果806として記憶する。
【0107】
以上のように前記最終調整結果806を決定する際、前記第2温度目測定結果から、前記調整ターゲット値602の値に最も近い周波数誤差となる前記調整データを選択するのではなく、前記第1温度目調整結果804の周波数誤差に最も近い周波数誤差となる前記調整データを選択することで、1次温度係数の誤差を最小限に抑えることができる。
【0108】
また、動作補償温度範囲の中心温度を挟んで対称な2点の温度で調整するから、前記第1の温度と前記第2の温度における2次温度係数の影響を排除できる。例えば、温度特性が(式1)のように表わせる場合を考える。
【0109】
y=a(T−T0)+b(T−T0)+c ・・・(式1)
【0110】
(式1)において、aは2次温度係数、bは1次温度係数、cは0次温度係数、である。また、Tは測定温度であり、T0は前記中心温度(42.5[℃])である。ここで、T=25[℃]とT=60[℃]とした場合において、2つの温度におけるyの差分を計算すると、2次の項が消えることになる。すなわち、前記第1の温度(25℃)と前記第2の温度(60℃)における2次温度係数の影響を排除できる。
【0111】
図8は実施形態2に係る温度特性調整データ生成方法を適用した場合の温度特性の調整結果の一例を示すグラフである。ここでは、温度特性の2次温度係数のばらつきの平均値が、2次温度係数のばらつき幅よりも小さい場合を例としている。
【0112】
図8において、参照符号211で表わされる関数は、前記信号S1の2次温度係数が最大にばらついたときに、図7の方法により調整された温度特性を表わしており、参照符号212で表わされる関数は、当該2次温度係数が最小にばらついたときに、図7の方法により調整された温度特性を表わしている。参照符号210で表わされる関数は、前述の図3と同様の方法により算出された2次温度係数を有する関数である。
【0113】
図8に示されるように、実施の形態2に係る温度特性調整データ生成方法を適用すれば、前記動作補償温度範囲である−40度から125度において、当該温度範囲の中心温度に対して低温側と高温側の周波数誤差の変動幅が均等になるように温度特性を調整することが可能となる。また、前記中心温度を挟んで対称な2点の温度で調整を行うことは、2次温度係数だけではなく、全ての偶数次の温度係数の影響を排除することができるため、3次以上の温度係数を調整する際も有効となる。
【0114】
さらに、実施の形態2において、前記中心温度と上限温度との差、又は前記中心温度と下限温度との差を1/√2倍することで得られる所定値を、前記中心温度から減算して得られる温度の近傍に第1温度を設定し、前記中心温度に前記所定値を加算して得られる温度の近傍に第2温度を設定する。これによれば、2次温度係数のばらつきの程度によらず、最大の周波数誤差をより低減することが可能となる。
【0115】
また、図8では、温度特性の2次温度係数のばらつきの平均値が、2次温度係数のばらつき幅よりも小さい場合を例としているが、温度特性の2次温度係数のばらつきの平均値が、2次温度係数のばらつき幅よりも大きい場合には、図4に示される方法により前記関数210を算出する。
【0116】
図9は実施形態2に係る温度特性調整データ生成方法を適用した場合の前記温度調整装置4の温度設定に要する時間を示す説明図である。
【0117】
図9に示すように、実施の形態2に係る温度調整データ生成方法では、温度特性の調整にかかる時間は主に、前記温度調整装置4が第1温度から第2温度に遷移する時間と、第1温度及び第2温度における安定化時間と、ステップ303及び310における測定時間との合計時間になる。したがって、動作補償温度範囲の中心温度を挟んで対称な2点の温度は、中心温度に近いほど温度特性の調整に要する時間は短縮することが可能である。しかしながら、前記2点の温度をより中心温度に近づける場合には、前記温度調整装置4の温度調整誤差や前記周波数検知装置5の周波数検知誤差の影響を受けやすくなることに留意しなければならない。
【0118】
≪実施の形態3≫
図10は本発明の実施の形態3に係る、温度特性調整データ生成方法の手順を示すフローチャートの一例である。
【0119】
実施の形態3に係る温度特性調整データ生成方法は、前記実施の形態1と同様のシステムを用いて実現される。
【0120】
当該データ生成方法は、前記半導体装置3の動作補償温度範囲における第1温度と第2温度において調整を行う際に、第1温度から第2温度に遷移する間の温度において前記信号S1の測定を実施し、2次の温度係数を考慮した前記信号S1の温度特性を簡易的に把握して、前記調整ターゲット値を修正する処理を含む方法である。
【0121】
ここでは、前記動作補償温度範囲を−40度から125度とした場合を一例とし、第1温度を室温25度とし、第2温度を125度とする。また、予め前記判定装置6に設定される前記調整ターゲット値は、参照符号601で表わされる値とし、前述の図3又は図4と同様の方法により算出された値である。さらに、前記調整データは、1次温度係数の設定値及び0次温度係数の設定値の組み合わせを有する。
【0122】
なお、以下の図10のフローチャートの説明では、前述の図5のフローチャートと同一の処理については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0123】
まず、前記判定装置6は、図5と同様の処理により、第1温度(25度)において周波数誤差を測定し、第1温度目調整結果801を記憶する(S301〜S306)。そして、前記判定装置6は、前記温度調整装置4を制御して、第2温度(125度)に設定する(S307)。
【0124】
その後、第2温度(125度)に遷移する途中の温度において、前記判定装置6は前記制御部7を制御することにより、前記1温度目調整結果811の前記調整データにしたがって前記調整回路2を設定し、当該調整データ毎に取得した周波数誤差を、中間温度測定結果808として前記メモリ部8に記憶させる(S312)。なお、図10に示す前記第1温度目調整結果807及び前記中間温度測定結果808は、説明のため、測定結果の一部を表示しているにすぎない。
【0125】
ステップ312の後、前記半導体装置3の温度が第2温度に安定したら(S313)、前記判定装置6は、前記制御部7を制御することにより、前記1温度目調整結果807の前記調整データにしたがって前記調整回路2を設定させ、当該調整データ毎に取得した周波数誤差を、第2温度目測定結果809として前記メモリ部8に記憶させる(S314)。このとき、前記1温度目調整結果807の前記調整データの全てについて周波数誤差を測定してもよいし、少なくとも1つの前記調整データについて周波数誤差を測定してもよい。
【0126】
なお、前記第2温度目測定結果809は、前記第1温度目調整結果801及び前記中間温度測定結果808に第2温度における周波数誤差を追加する形式で記憶されてもよいし、前記第1温度目調整結果807及び前記中間温度測定結果808とは別個のデータとして記憶されてもよい。なお、図10に示す前記第2温度目調整結果809は、説明のため、測定結果の一部を表示しているにすぎない。
【0127】
次に、前記判定装置6は、前記制御部7を制御して、前記第1温度目調整結果807、前記中間温度測定結果808、及び前記第2温度目測定結果809を基に、前記信号S1の周波数の温度特性を2次関数近似したときの2次係数を算出させる。2次係数は、一つの前記調整データに係る周波数誤差から算出してもよいし、ステップ314で前記1温度目調整結果807の前記調整データの全てについて周波数誤差を測定しているのであれば、全ての前記調整データに係る周波数誤差から算出した2次係数の平均値でもよい。
【0128】
そして、前記制御部7は、算出した2次係数に基づいて前記調整ターゲット値601を修正し、前記判定装置6は当該修正された前記調整ターゲット値を新たな調整ターゲット値603として決定する(S315)。なお、前記調整ターゲット値603は前記制御部7により前記メモリ部8に記憶してもよい。
【0129】
そして、前記判定装置6は、前記制御部7を制御して、所定の1次温度係数を決定した後、前記0次係数設定データを変更しながら周波数誤差を測定し、記憶させる(S316)。具体的な方法は以下である。
【0130】
まず、前記判定装置6は、前記制御部7を制御して、前記第1温度目調整結果807及び前記第2温度目測定結果809において、第1温度における周波数誤差と第2温度における周波数誤差との差が、前記調整ターゲット値603の第1温度と第2温度における値の差に最も近い値となる1次温度係数を選択させる。例えば、図10において、前記調整ターゲット値603の第1温度と第2温度における値の差は、−0.6%である。そして、前記第1温度目調整結果807及び前記第2温度目測定結果809における1次温度係数が“10”であるときの周波数誤差は夫々、−0.2%と0.4%であることから、その周波数誤差の差は−0.6%となり、前記調整ターゲット値603の第1温度と第2温度における値の差と一致する。したがって、この場合には、1次温度係数として“10”が選択される。
【0131】
次に、前記判定装置6は、前記制御部7を制御することにより、前記選択した1次温度係数に固定した前記調整データの0次温度係数を可変させて前記調整回路2を設定させ、当該調整データ毎に周波数誤差を取得する。例えば、1次温度係数を前記選択された値である“10”として、0次温度係数を“0000”から順に可変して設定し、夫々の前記調整データ毎に周波数誤差を取得する。なお、0次温度係数の初期値は、“0000”でなくても良く、設計時に算出した温度特性が最適となる0次温度係数の値を初期値として設定しても良い。なお、図示はしないが、これらの周波数誤差は、前記第1温度目調整結果807等と同様に、前記調整データと周波数誤差とが対応されて前記メモリ部8に記憶される。
【0132】
ステップ316により前記調整データ毎に周波数誤差が記憶されたら、前記判定装置6は、前記制御部7を制御し、ステップ316により取得した周波数誤差が、前記調整ターゲット値603に最も近い値となる前記調整データを最終調整結果810として取得し、記憶する(S317)。例えば、前記調整ターゲット値603の125度における値(0%)に最も近い、周波数誤差となる前記調整データが、1次温度係数“10”と0次温度係数“0110”の組み合わせである場合には、当該組み合わせの前記調整データが、前記最終調整結果810として決定され、記憶される。
【0133】
以上のように、第2温度に遷移中に測定した値に基づいて算出した2次温度係数の概算値を用いて前記調整ターゲット値を更新するから、前記半導体装置3毎の2次温度係数を考慮した温度特性の調整が可能となり、より高精度な温度特性の調整が可能となる。また、3点の温度に夫々設定して2次温度係数を調整する方法に比べて短い測定時間により、2次温度係数を簡易的に把握することができる。
【0134】
図11は実施形態3に係る温度特性調整データ生成方法を適用した場合の温度特性の調整結果の一例を示すグラフである。ここでは、温度特性の2次温度係数のばらつきの平均値が、2次温度係数のばらつき幅よりも小さい場合を例としている。
【0135】
図11において、参照符号214で表わされる関数は、前記信号S1の2次温度係数が最大にばらついたときに、図10の方法により調整された温度特性を表わしており、参照符号216で表わされる関数は、当該2次温度係数が最小にばらついたときに、図10の方法により調整された温度特性を表わしている。また、参照符号213で表わされる関数は、2次温度係数が最大にばらついたときに、前述の図10のステップ315によって2次関数近似された関数であり、参照符号215で表わされる関数は、2次温度係数が最小にばらついたときに、前述の図10のステップ315によって2次関数近似された関数の一例である。
【0136】
図11に示されるように、実施の形態3に係る温度特性調整データ生成方法を適用すれば、前記動作補償温度範囲における正側の周波数誤差と負側の周波数誤差を前記半導体装置3毎に適当に分布させることができ、最大の周波数誤差を低減することが可能となる。
【0137】
図12は実施形態3に係る温度特性調整データ生成方法を適用した場合の前記温度調整装置4の温度設定に要する時間を示す説明図である。
【0138】
図12に示すように、実施の形態3に係る温度調整データ生成方法では、温度特性の調整に要する時間は主に、前記温度調整装置4が第1温度から第2温度に遷移する時間と、第1温度及び第2温度における安定化時間と、ステップ303、314、及び316における測定時間との合計時間になる。ステップ312における測定は、温度調整装置4の温度を変化させながら実行されるため、温度特性の調整に要する時間を増加させる要因とはならない。したがって、テスト時間の増大を避けつつ、より最適な温度特性の調整が可能となる。
【0139】
なお、温度特性が3次温度係数を有する場合に、温度特性を3次関数近似するためには、第1温度と第2温度との間の2つの中間温度において測定した結果を用いればよい。また、3次温度係数のばらつき範囲から前記調整ターゲット値を決定し、2次温度係数を調整する場合は、第1温度及び第2温度と、中間温度としての第3温度及び第4温度のうち、いずれか3つの温度における測定結果があればよい。
【0140】
≪実施の形態4≫
図13は本発明の実施の形態4に係る、温度特性調整データ生成方法の手順を示すフローチャートの一例である。
【0141】
実施の形態4に係る温度特性調整データ生成方法は、前記実施の形態1と同様のシステムを用いて実現される。
【0142】
当該データ生成方法は、前記半導体装置3の動作補償温度範囲における第1温度と第2温度において調整を行う際に、第1温度から第2温度に遷移する間の第1温度近傍の温度において前記信号S1の測定を実施する処理と、前記調整ターゲット値を修正する処理とを含む方法である。
【0143】
ここでは、前記動作補償温度範囲を−40度から125度とした場合を一例とし、第1温度を前記動作補償温度範囲の中心温度である42.5度とし、第2温度を125度とする。また、予め前記判定装置6に設定される前記調整ターゲット値は、参照符号604で表わされる値とし、前述の図3又は図4と同様の方法により算出された値である。さらに、前記調整データは、1次温度係数の設定値及び0次温度係数の設定値の組み合わせを有する。
【0144】
なお、以下の図13のフローチャートの説明では、前述の図5、図7、及び図10のフローチャートと同一の処理については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0145】
まず、前記判定装置6は、図5と同様の処理により、第1温度(42.5度)において周波数誤差を測定し、第1温度目調整結果811を記憶する(S301A、S302〜S306)。そして、前記判定装置6は、前記温度調整装置4を制御して、第2温度(125度)に設定する(S307)。
【0146】
その後、第2温度(125度)に遷移する途中の第1温度の近傍の温度において、前記判定装置6は前記制御部7を制御することにより、前記1温度目調整結果811の前記調整データにしたがって前記調整回路2を設定し、当該調整データ毎に取得した周波数誤差を、第1温度目近傍測定結果812として前記メモリ部8に記憶させる(S318)。なお、図13に示す前記第1温度目調整結果811及び前記第1温度目近傍測定結果812は、説明のため、測定結果の一部を表示しているにすぎない。
【0147】
そして、前記判定装置6は前記制御部7を制御して、前記第1温度目調整結果811と前記第1温度目近傍測定結果812から、第1温度での周波数誤差の温度勾配が最もゼロに近い前記調整データと、当該調整データ対応する第1温度における周波数誤差とを、第1温度目近傍調整結果813として前記メモリ部8に記憶させる(S319)。具体的には、前記第1温度目調整結果811における周波数誤差と前記第1温度目近傍測定結果812における周波数誤差の差の絶対値が最も小さくなる前記候補のデータに設定される。例えば、前記第1温度目調整結果811及び前記第1温度目近傍測定結果812によれば、1次温度係数“10”と0次温度係数が“0111”となる組み合わせのとき、前記周波数誤差の差が0%となり、最も小さくなる。したがって、この場合には、この組み合わせの前記調整データと、それに対応する第1温度における周波数誤差−0.2%とが、前記第1温度目近傍調整結果813として記憶される。
【0148】
ステップ319の後、前記半導体装置3の温度が第2温度に安定したら(S313)、前記判定装置6は、前記制御部7を制御することにより、前記1温度目近傍調整結果813の前記調整データにしたがって前記調整回路2を設定し、取得した周波数誤差を、第2温度目測定結果814として前記メモリ部8に記憶させる(S320)。
【0149】
次に、前記判定装置6は、前記制御部7を制御して、前記第1温度目近傍調整結果813と前記第2温度目測定結果814に基づいて、前記調整ターゲット値604を更新する(S321)。具体的には、以下の方法により行う。
【0150】
前述のステップ319において、選択された調整データによれば、第1温度付近において1次温度係数がキャンセルされ、第1温度(42.5度)での周波数誤差の値は、当該温度特性に係る関数の極大値又は極小値になる。例えば、前記第1温度目調整結果811及び前記第1温度目近傍測定結果812によれば、第1温度(42.5度)において−0.2%であり、第2温度において0.4%であることから、第1温度における周波数誤差−0.2%が極小値となる。したがって、前記動作補償温度範囲における正側の最大の周波数誤差が0.4%であり、負側の最大の周波数誤差が−0.2%となる。これらの周波数誤差を、前記目標値に対する正側と負側に均等になるように割り振るためには、前記調整ターゲット値の値を、42.5度において−0.3%とし、125度において0.3%とすればよい。“0.3%”の値は、前記動作補償温度範囲における周波数誤差の変動幅(0.6%)の2分の1の値である。このように算出した値が、新たな前記調整ターゲット値605として設定される。
【0151】
ステップ321において、前記調整ターゲット値が更新された後、前記判定装置6は、前記制御部7を制御することにより、前記第2温度目測定結果814に係る前記調整データの0次温度係数を可変させて、前記調整回路2を設定し、周波数誤差を取得する(S322)。例えば、1次温度係数は、前記選択された値である“10”として、0次温度係数を“0000”から順に可変して設定し、夫々の前記調整データ毎に周波数誤差を取得する。なお、0次温度係数の初期値は、“0000”でなくても良く、設計時に算出した温度特性が最適となる0次温度係数の値を初期値として設定しても良い。なお、図示はしないが、これらの周波数誤差は、前記第1温度目調整結果811等と同様に、前記調整データと周波数誤差とが対応されて前記メモリ部8に記憶される。
【0152】
ステップ322により前記調整データ毎に周波数誤差が記憶されたら、前記判定装置6は、前記制御部7を制御し、ステップ322により取得した周波数誤差が、前記調整ターゲット値605に最も近い値となる前記調整データを最終調整結果815として取得して、記憶する(S323)。例えば、前記調整ターゲット値605の125度における値(0.3%)に最も近い周波数誤差となる前記調整データが、1次温度係数“10”と0次温度係数“0110”の組み合わせである場合には、当該組み合わせの前記調整データが、前記最終調整結果815として記憶される。
【0153】
図14は実施形態4に係る温度特性調整データ生成方法を適用した場合の温度特性の調整結果の一例を示すグラフである。ここでは、温度特性の2次温度係数のばらつきの平均値が、2次温度係数のばらつき幅よりも小さい場合を例としている。
【0154】
図14において、参照符号219で表わされる関数は、前記信号S1の2次温度係数が最大にばらついたときに、図13の方法により調整された温度特性を表わしており、参照符号220で表わされる関数は、当該2次温度係数が最小にばらついたときに、図13の方法により調整された温度特性を表わしている。また、参照符号217で表わされる関数は、2次温度係数が最大にばらついたときに、図13のステップ318によって1次温度係数が調整された関数であり、参照符号218で表わされる関数は、2次温度係数が最小にばらついたときに、図13のステップ318によって1次温度係数が調整された関数の一例である。
【0155】
図14に示されるように、実施の形態4に係る温度特性調整データ生成方法を適用すれば、前記動作補償温度範囲の中心温度付近における2次温度係数による温度勾配の影響を小さくすることができるから、1次温度係数の影響を精度よく調整することができる。これにより、前記中心温度と前記第2温度における周波数誤差の変動幅が、前記動作補償温度範囲における周波数誤差の最大の変動幅となるから、当該変動幅に基づいて前記調整ターゲット値を上記のように修正することで、周波数誤差を前記目標値に対して正側と負側に均等になるように割り振ることが可能となる。なお、前記動作補償温度範囲の中心温度付近での周波数誤差の温度勾配は、偶数次の温度係数の影響を受けにくいので、より高次の温度係数の調整においても、実施の形態4に係るデータ生成方法を適用することは有効である。
【0156】
図15は実施形態4に係る温度特性調整データ生成方法を適用した場合の前記温度調整装置4の温度設定に要する時間を示す説明図である。
【0157】
図15に示すように、実施の形態4に係る温度調整データ生成方法では、温度特性の調整に要する時間は主に、前記温度調整装置4が第1温度に遷移する時間と、前記温度調整装置4が第1温度から第2温度に遷移する時間と、第1温度及び第2温度における安定化時間と、ステップ303、320、及び322における測定時間との合計時間になる。ステップ318における測定は、前記温度調整装置4の温度を変化させながら実行されるため、温度特性の調整に要する時間を増加させる要因とはならない。したがって、テスト時間の増大を避けつつ、より最適な温度特性の調整が可能となる。
【0158】
≪実施の形態5≫
図16は本発明の実施の形態5に係る、温度特性調整データ生成方法の手順を示すフローチャートの一例である。
【0159】
実施の形態5に係る温度特性調整データ生成方法は、前記実施の形態1と同様のシステムを用いて実現される。
【0160】
当該データ生成方法は、前記半導体装置3の動作補償温度範囲における第1温度と第2温度における前記信号S1の測定に加えて、第3温度における測定を行って前記調整ターゲット値を修正する処理を含む方法である。
【0161】
前記半導体装置3の動作補償温度範囲の中心温度を挟んで対称な2点の温度において調整が行われる。ここでは、前記動作補償温度範囲を−40度から125度とした場合を一例とし、前記動作補償温度範囲の中心温度を挟んで対称な2点の温度である25度を第1温度とし、60度を第2温度とする。また、前記動作補償温度範囲の上限の温度である125度を第3温度とする。さらに、予め前記判定装置6に設定される前記調整ターゲット値は、参照符号606で表わされる値とし、前述の図3又は図4と同様の方法により算出された値である。さらに、前記調整データは、1次温度係数の設定値及び0次温度係数の設定値の組み合わせを有する。
【0162】
なお、以下の図16のフローチャートの説明では、前述の図5、図7、図10、及び図13のフローチャートと同一の処理については、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0163】
まず、前記判定装置6は、図5と同様の処理により、第1温度(25度)において周波数誤差を測定し、第1温度目調整結果816を記憶する(S301〜S306)。そして、前記判定装置6は、前記温度調整装置4を制御して、第2温度(60度)に設定する(S307)。その後、前記判定装置6は、図5のステップ308と同様に、第2温度目測定結果817を記憶させる(S310)。なお、図16に示す前記第1温度調整結果816及び前記第2温度測定結果817は、説明のため、測定結果の一部を表示しているにすぎない。
【0164】
次に、前記判定装置6は、前記第2温度目測定結果817から、前記第1温度目調整結果816における周波数誤差に最も近い周波数誤差を有する、1次温度係数と0次温度係数の組み合わせの前記調整データを選択し、第2温度目調整結果818として記憶する(S324)。例えば、前記第1温度目調整結果816及び前記第2温度目測定結果817において、1次温度係数“01”と0次温度係数“1010”の組み合わせの場合に、第1温度と第2温度における周波数誤差が−0.15%となり等しくなる。そこで、この組み合わせの前記調整データを前記第2温度目調整結果818として記憶する。
【0165】
ステップ324の後、前記判定装置6は、前記温度調整装置4を制御して第3温度(125度)に設定する(S325)。前記判定装置6は、前記半導体装置3の温度が前記第3温度に安定したら、前記制御部7を制御することにより、前記2温度目調整結果818の前記調整データにしたがって、前記調整回路2を設定し、取得した周波数誤差を第3温度目測定結果819として前記メモリ部8に記憶させる(S326)。
【0166】
次に、前記判定装置6は、前記制御部7を制御して、前記第1温度目調整結果816と前記第3温度目調整結果819に基づいて、前記調整ターゲット値606を更新する(S327)。具体的には、以下の方法により行う。
【0167】
前述のステップ324において、第1温度の周波数誤差と第2温度の周波数誤差とが最も近くなるような前記調整データを選択したことにより、第1温度及び第2温度において、1次温度係数を調整することができた。また、第1温度及び第2温度は、前記動作補償温度範囲の中心温度を挟んで対称な2点の温度である。したがって、前記中心温度での周波数誤差が、前記動作補償温度範囲における最小又は最大の周波数誤差となり、第3温度での周波数誤差が最大又は最小の周波数誤差となる。そこで、第1温度における周波数誤差の絶対値と第3温度における周波数誤差の絶対値が等しくなるように、前記調整ターゲット値606を修正する。具体的には、第1温度から第3温度までの周波数誤差の変動幅の2分の1の値に基づいて、前記前記調整ターゲット値606を修正する。例えば、1次温度係数“01”と0次温度係数“1010”の組み合わせにおいて、第1温度における周波数誤差が−0.15%であり、第3温度における周波数誤差が0.45%であるから、第1温度から第3温度までの周波数誤差の変動幅は0.60%である。そこで、前記調整ターゲット値606の第1温度及び第2温度での値を−0.3%とし、第3温度での値を0.3%とした新たな前記調整ターゲット値を調整ターゲット値607として設定する。なお、上記の例では、第1温度における周波数誤差を用いたが、第2温度における周波数誤差を用いても同様の作用を奏する。
【0168】
ステップ327において、前記調整ターゲット値が更新された後、前記判定装置6は、前記制御部7を制御することにより、前記第3温度目測定結果819に係る前記調整データの0次温度係数を可変させて、前記調整回路2を設定し、周波数誤差を取得する(S328)。例えば、1次温度係数を前記第3温度目測定結果819に係る前記調整データの1次温度係数“01”に固定して、0次温度係数を“0000”から順に可変して設定し、夫々の前記調整データ毎に周波数誤差を取得する。なお、0次温度係数の初期値は、“0000”でなくても良く、設計時に算出した温度特性が最適となる0次温度係数の値を初期値として設定しても良い。図示はしないが、これらの周波数誤差は、前記第1温度目調整結果816等と同様に、前記調整データと周波数誤差とが対応されて前記メモリ部8に記憶される。
【0169】
ステップ328により前記調整データ毎に周波数誤差が記憶されたら、前記判定装置6は、前記制御部7を制御し、ステップ328において取得した周波数誤差が前記調整ターゲット値607に最も近い値となる前記調整データを、最終調整結果820として取得して、前記メモリ部8に記憶させる(S329)。例えば、前記調整ターゲット値607の125度における値(0.3%)に最も近い周波数誤差となる前記調整データが、1次温度係数“01”と0次温度係数“0111”の組み合わせである場合には、当該組み合わせの前記調整データが、前記最終調整結果815として記憶される。
【0170】
図17は実施形態5に係る温度特性調整データ生成方法を適用した場合の温度特性の調整結果の一例を示すグラフである。ここでは、温度特性の2次温度係数のばらつきの平均値が、2次温度係数のばらつき幅よりも小さい場合を例としている。
【0171】
図17において、参照符号222で表わされる関数は、前記信号S1の2次温度係数が最大にばらついたときに、図16の方法により調整された温度特性を表わしており、参照符号224で表わされる関数は、当該2次温度係数が最小にばらついたときに、図17の方法により調整された温度特性を表わしている。また、参照符号221で表わされる関数は、2次温度係数が最大にばらついたときに、図16のステップ324によって1次温度係数が調整された関数であり、参照符号223で表わされる関数は、2次温度係数が最小にばらついたときに、図16のステップ324によって1次温度係数が調整された関数の一例である。
【0172】
図17に示されるように、実施の形態5に係る温度特性調整データ生成方法を適用すれば、第1温度と第2温度における2次温度係数の影響を排除して、1次温度係数をより精度よく調整でき、前記動作補償温度範囲において、前記中心温度に対する低温側と高温側の周波数誤差を均等にするように温度特性を調整することが可能となる。また、前記第1温度と前記第2温度における周波数誤差の変動幅に基づいて前記調整ターゲット値を上記のように修正するから、周波数誤差を前記目標値に対して正側と負側に割り振ることが可能となる。
【0173】
図18は実施形態5に係る温度特性調整データ生成方法を適用した場合の前記温度調整装置4の温度設定に要する時間を示す説明図である。
【0174】
図18に示すように、実施の形態5に係る温度調整データ生成方法では、温度特性の調整に要する時間は主に、前記温度調整装置4が第1温度から第2温度に遷移する時間と、第2温度から第3温度に遷移する時間と、第1温度、第2温度、及び第3温度における安定化時間と、ステップ303、310、326、及び328における測定時間との合計時間になる。従来は、第3温度まで測定が完了しないと、1次温度係数の調整を行うことができず、第2温度及び第3温度では全ての1次係数設定における測定結果を前記メモリ部8に記憶しなければならなかった。しかしながら、本実施の形態に係る温度調整データ生成方法によれば、第2温度の測定が完了すれば、1次温度係数の調整が可能であることから、ステップ310及び326での測定回数を削減することができ、温度特性の調整に要する時間を短縮することが可能となり、また、前記メモリ部8に必要な記憶領域の容量もより低減することが可能となる。
【0175】
≪実施の形態6≫
図19は本発明の実施の形態6に係る温度特性調整データ生成方法における前記調整ターゲット値の決定方法についての説明図である。
【0176】
実施の形態6に係る温度特性調整データ生成方法は、前記信号S1の発振周波数の温度特性が、1次関数で表現される場合を一例とする。
【0177】
図19におけるグラフの縦軸は、前記信号S1の発振周波数の前記目標値に対する誤差を表わしており、横軸は温度を表わしている。
【0178】
図19の(A)に示されるグラフは、前記信号S1の発振周波数の温度特性が、所定の1次温度係数のばらつき範囲を有する場合において、温度25度において前記目標値になるように0次温度係数を調整した温度特性をシミュレーションにより算出したものである。
【0179】
ここで、図19の(A)において、参照符号225で表わされる関数は、前記信号S1の1次温度係数が最大にばらついたときの温度特性を表わしており、参照符号226で表わされる関数は、当該1次温度係数が最小にばらついたときの温度特性を表わしている。これらの曲線に挟まれた領域が1次温度係数のばらつき範囲となる。なお、1次温度係数のばらつきの最大と最小は、例えば1次温度係数のばらつきの3σの値である。
【0180】
このように、着目した1つの温度において前記目標値となるように温度特性を調整すると、前述の図3の場合と同様に、着目した温度においては前記目標値に近づくが、所定の温度範囲においては、前記目標値に対して大きな誤差が生じてしまう。
【0181】
そこで、実施の形態6では、実施の形態1と同様の思想に基づいて、着目する1つの温度において、前記信号S1の発振周波数の値が、前記目標値に所定の補正値を加えた前記調整ターゲット値に近づくように温度特性を調整する。
【0182】
前記所定の補正値は、温度特性の1次係数のばらつき傾向に応じて、以下の方法により決定される。
【0183】
第1の方法は、温度特性の1次温度係数のばらつきの平均値である値の1次温度係数を有する関数に基づいて、前記補正値を決定する方法である。当該方法は、前記平均値が、1次温度係数のばらつき幅よりも小さい場合において、1次温度係数のばらつきの最大値を有する関数と、ばらつきの最小値を有する関数のいずれか一方が、要求される温度範囲における周波数誤差の最大値を決めており、且つ他方が周波数誤差の最小値を決めている場合に適用して有効な方法である。
【0184】
具体的な方法は、以下である。
【0185】
図19の(B)において、参照符号227で表わされる関数が、前記信号S1の1次温度係数のばらつきの平均値となる1次係数を有する関数である。1次温度係数のばらつき範囲の平均値とばらつき幅は、シミュレーション結果などから予め求めておく。前記ばらつき範囲は、例えば1次温度係数のばらつきの3σの範囲である。
【0186】
例えば、温度特性を調整するための温度として、25度に着目した場合において、前記補正値は、前記関数227の温度25度における発振周波数の値に基づいて決定される。すなわち、図19の(B)に示されるように、前記関数227の値は、25度において−0.2%であるから、25度における前記補正値を−0.2%と決定される。これにより、25度における前記調整ターゲット値は、前記目標値である0%に前記補正値−0.2%を加えた値である−0.2%に決定される。
【0187】
上記のように決定された前記調整ターゲット値に近づくように温度特性を調整すると、1次係数が最大にばらついたときは、前記関数228のようになり、1次温度係数が最小にばらついたときは、前記関数229のようになる温度特性がシミュレーションにより算出される。これによれば、図19の(B)に示すように、−40度から125度までの温度範囲における最大の周波数誤差を小さくすることができる。
【0188】
第2の方法は、1次温度係数の絶対値が最大にばらついたときの1次温度係数を有する関数に基づいて、前記補正値を決定する方法である。当該方法は、前記平均値が、1次温度係数のばらつき幅よりも大きい場合において、1次温度係数のばらつきの最大値を有する関数と、ばらつきの最小値を有する関数のいずれか一方が、要求される温度範囲における周波数誤差の最大値と最小値の双方を決めている場合に適用して有効な方法である。
【0189】
具体的な方法は、以下である。
【0190】
図20の(A)に示されるグラフは、前記信号S1の発振周波数の温度特性が、図19の(A)とは別の1次温度係数のばらつき範囲を有する場合において、前記信号の値が、温度25度において前記目標値になるように0次温度係数を調整した温度特性をシミュレーションにより算出したものである。
【0191】
ここで、図20の(A)において、参照符号230で表わされる関数は、前記信号S1の1次温度係数が最大にばらついたときの温度特性を表わしており、参照符号231で表わされる関数は、当該1次温度係数が最小にばらついたときの温度特性を表わしている。これらの曲線に挟まれた領域が1次温度係数のばらつき範囲となる。
【0192】
図20の(B)において、参照符号230Aで表わされる関数は、前記信号S1の2次温度係数のばらつきが最大となる2次係数、すなわち、前記関数230と同一の1次温度係数、を有し、要求される温度範囲における正側の最大の周波数誤差と負側の最大の周波数誤差の絶対値が一致する関数である。この関数を用いて、前記補正値を決定する。なお、正側の最大の周波数誤差と負側の最大周波数誤差は、完全に一致する必要はなく、誤差があってもよい。
【0193】
例えば、温度特性を調整するために、25度に着目した場合において、前記補正値は、前記関数230Aの温度25度における発振周波数の値に基づいて決定される。すなわち、図20の(B)に示されるように、前記関数230Aの値は、25度において−0.2%であるから、25度における前記補正値は−0.2%と決定される。これにより、25度における前記調整ターゲット値は、前記目標値である0%に前記補正値−0.2%を加えた値である−0.2%に決定される。
【0194】
上記のように決定された前記調整ターゲット値に近づくように、温度特性を調整すると、1次係数が最大にばらついたときは、前記関数232のようになり、2次温度係数が最小にばらついたときは、前記関数233のようになる温度特性がシミュレーションにより算出される。これによれば、図20の(B)に示すように、−40度から125度までの温度範囲において、前記目標値の正側と負側の周波数誤差が等しくなるように割り振ることができるので、最大の周波数誤差を小さくすることができる。
【0195】
次に、実施の形態6に係る温度特性調整データの生成方法の手順を、図21を用いて詳細に説明する。
【0196】
図21は実施形態6に係る前記調整データの生成方法の手順を示すフローチャートである。
【0197】
実施の形態6に係る温度特性調整データ生成方法は、前記実施の形態1と同様のシステムを用いて実現される。
【0198】
ここでは、前記動作補償温度範囲を−40度から125度とした場合を一例とし、第1温度を室温25度とする。また、前記判定装置6に設定される前記調整ターゲット値は、参照符号608で表わされる値とし、前述の図19又は図20と同様の方法により算出された値である。さらに、前記調整データは、0次温度係数の設定値を有する。
【0199】
まず、前記判定装置6は、前記温度調整装置4を第1温度の25度に設定する(S330)。そして、前記判定装置6は、前記制御部7を制御し、前記調整データの0次温度係数を可変させて前記調整回路2を設定し、前記周波数検知装置5により前記信号S1の周波数誤差を取得する(S331)。例えば、0次温度係数を“0000”から順に可変して設定し、夫々の前記調整データ毎に周波数誤差を取得する。なお、0次温度係数の初期値は、“0000”でなくても良く、設計時に算出した温度特性が最適となる0次温度係数の値を初期値として設定しても良い。また、前記周波数検知装置5から取得するデータは、周波数誤差ではなく発振周波数の値でもよい。なお、図21に示す第1温度測定結果821は、説明のため測定結果の一部を表示しているにすぎない。
【0200】
次に前記判定装置6は、取得した測定結果から前記調整ターゲット値601に最も近い周波数誤差となる前記調整データを選択し、選択された前記調整データを最終調整結果822として、前記メモリ部8に記憶し(S332)、温度特性調整データの生成を終了する。
【0201】
以上実施の形態6に係る温度特性調整データの生成方法によれば、前記動作補償温度範囲における誤差範囲を正側と負側にほぼ均等に分布させ、最大の周波数誤差を低減することが可能となる。
【0202】
特に、前記動作補償温度範囲の中心温度を第1温度として0次温度係数を調整すれば、1次温度係数のばらつき範囲に依らず、周波数誤差を正側と負側にほぼ均等に分布させ、最大の周波数誤差を最も低減できる。
【0203】
また、前記判定装置6に設定される前記調整ターゲット値608は、1つに限られない。前記動作補償温度範囲が異なる製品への適用を考慮して、2温度以上のデータを持っても良いし、テーブル形式ではなく、温度と誤差の関数で表現しても良い。
【0204】
更に、動作補償温度範囲の中心温度で測定し絶対値設定を調整すれば、1次温度係数のばらつき範囲に依らず、周波数誤差を正側と負側にほぼ均等に分布させ、周波数誤差の絶対値の最大値を最も低減できる。
【0205】
≪実施の形態7≫
図22は本発明の実施の形態7に係る温度特性調整データ生成方法における前記調整ターゲット値の決定方法についての説明図である。
【0206】
実施の形態7に係る温度特性調整データ生成方法は、前記信号S1の発振周波数の温度特性が、3次関数で表現される場合を一例とする。
【0207】
図22におけるグラフの縦軸は、前記信号S1の発振周波数の前記目標値に対する誤差を表わしており、横軸は温度を表わしている。
【0208】
図22では、前記動作補償温度範囲を−40度から125度とした場合を一例とし、前記動作補償温度範囲の下限温度である−40度を第1温度とし、前記動作補償温度範囲の中心温度である42.5度を第2温度とし、前記動作補償温度範囲の上限温度である125度を第3温度とする。
【0209】
図22の(A)に示されるグラフは、前記信号S1の発振周波数の温度特性が、所定の3次温度係数のばらつき範囲を有する場合において、前記第1温度、前記第2温度、及び前記第3温度において前記信号S1の値が前記目標値になるように3次温度係数以外の温度係数を調整した温度特性をシミュレーションにより算出したものである。
【0210】
ここで、図22の(A)において、参照符号234で表わされる関数は、前記信号S1の3次温度係数が最大にばらついたときの温度特性を表わしており、参照符号235で表わされる関数は、当該3次温度係数が最小にばらついたときの温度特性を表わしている。これらの曲線に挟まれた領域が3次温度係数のばらつき範囲となる。なお、3次温度係数のばらつきの最大と最小は、例えば3次温度係数のばらつきの3σの値である。
【0211】
図22の(A)に示すように、着目した3つの温度において前記目標値となるように温度特性を調整すると、前述の図3の場合と同様に、着目した温度においては前記目標値に近づくが、所定の温度範囲においては、前記目標値に対して大きな誤差が生じてしまう。例えば、関数234の場合には、最大の周波数誤差が1%を超える程度の大きな周波数誤差が生じてしまう。
【0212】
そこで、実施の形態7では、実施の形態1と同様の思想に基づいて、着目する3つの温度において、前記信号S1の発振周波数の値が、前記目標値に所定の補正値を加えた前記調整ターゲット値に近づくように温度特性を調整する。
【0213】
前記所定の補正値を決定する方法の一例を以下に示す。
【0214】
当該方法は、要求される温度範囲の上限温度又は下限温度における周波数誤差が、温度特性を表わす関数の極大値又は極小値と等しくなるような関数に基づいて決定する方法である。当該関数の3次係数は、シミュレーション結果等から予め求めた3次温度係数のばらつき範囲のばらつき幅と平均値の関係に応じて決定する。ここでは、当該関数の3次係数として、最大にばらついたときの3次温度係数の値を利用する。
【0215】
例えば、前記補正値は、図22の(B)に示される関数234Aによって決定される。前記関数234Aは、前記上限温度である125度における周波数誤差が、当該関数の極大値(0.8%)と等しくされ、前記下限温度である−40度における周波数誤差が、当該関数の極小値(−0.8%)と等しくされた関数であって、最大にばらついたときの3次温度係数の値を3次係数として有する関数である。この関数を用いて、正側の最大の周波数誤差の絶対値と負側の最大の周波数誤差の絶対値が等しくなるように、前記補正値を決定する。例えば、図22の(B)の場合、−40度における前記補正値を−0.8%とし、42.5度における前記補正値を0%とし、125度における前記補正値を0.8%とする。これによれば、前記調整ターゲット値は、前記目標値を0%とすれば、−40度における前記調整ターゲット値は−0.8%となり、42.5度における前記調整ターゲット値は0%となり、125度における前記調整ターゲット値は0.8%となる。
【0216】
上記のように決定された前記調整ターゲット値に近づくように温度特性を調整すると、3次係数が最大にばらついたときは、前記関数234Aと重なった前記関数236のようになり、1次温度係数が最小にばらついたときは、前記関数237のようになる温度特性がシミュレーションにより算出される。これによれば、図22の(B)に示すように、−40度から125度までの温度範囲における最大の周波数誤差を小さくすることができる。
【0217】
なお、上記例では、前記関数236の3次係数として、最大にばらついたときの3次温度係数の値を利用したが、これに限られず、3次温度係数のばらつきの平均値となる値を3次係数として利用してもよい。
【0218】
図23は実施形態7に係る前記調整データの生成方法の手順を示すフローチャートである。
【0219】
実施の形態7に係る温度特性調整データ生成方法は、前記実施の形態1と同様のシステムを用いて実現される。
【0220】
ここでは、前記判定装置6に設定される前記調整ターゲット値は、参照符号609で表わされる値とし、前述の図22の方法により決定された値である。また、前記調整データは、2次温度係数の設定値、1次温度係数の設定値、及び0次温度係数の設定値の組み合わせを有する。
【0221】
まず、前記判定装置6は、前記温度調整装置4を第1温度の−40度に設定する(S333)。そして、前記判定装置6は、前記制御部7を制御し、前記調整回路2に0次温度係数の初期値を設定する(S334)。例えば、前記調整データの0次温度係数の設定値が、4ビットで表わされる場合には、0次温度係数“0000”を初期値として設定する。なお、0次温度係数の初期値は、“0000”でなくても良く、設計時に算出した温度特性が最適となる0次温度係数の値を初期値として設定しても良い。
【0222】
その後、前記判定装置6は、前記制御部7を制御することにより、前記調整データの0次温度係数を固定して、2次温度係数及び1次温度係数の設定値を可変させて前記調整回路2を設定し、前記周波数検知装置5により前記信号S1の周波数誤差を取得して、前記メモリ部8に記憶させる(S335)。例えば、0次温度係数は初期値の“0000”として、2次温度係数及び1次温度係数を“0000”から順に可変して設定し、夫々の温度係数の組み合わせを有する前記調整データ毎に周波数誤差を取得する。例えば、第1温度目測定結果823に示されるように測定結果を記録させる。ここで、測定を行う2次温度係数及び1次温度係数の設定値の組み合わせは、設定可能な全ての組み合わせであってもよいし、テスト時間短縮のため、設定可能な全ての組み合わせのうちの特定の組み合わせでもよい。その場合、測定していない組み合わせでの周波数誤差は、測定された組み合わせでの測定結果から推定すればよい。
【0223】
なお、前記周波数検知装置5から取得するデータや記録されるデータは、周波数誤差ではなく発振周波数の値でもよい。
【0224】
ステップ335の後、前記判定装置6は、前記温度調整装置4を制御して、第2温度42.5度に設定する(S336)。そして、前記判定装置6は、前記制御部207を制御し、ステップ335において記憶された前記第1温度目測定結果823の前記調整データを読み出させ、読み出した前記調整データを前記調整回路2に設定して周波数誤差を測定し、第2温度目測定結果824として記憶する(S337)。
【0225】
ステップ337の後、前記判定装置6は、前記温度調整装置4を制御して、第3温度125度に設定し(S336)、ステップ337と同様の方法により、周波数誤差を測定して、第3温度目測定結果825として記憶する(S339)。なお、図23に示す前記第1温度目調整結果823、前記第2温度目測定結果824、及び第3温度目測定結果825は、説明のため、測定結果の一部を表示しているにすぎない。
【0226】
次に、前記判定装置6は、3点の温度において取得した測定結果から、温度間の周波数誤差の差が、前記調整ターゲット値609の温度間の値の差に最も近い値となる前記調整データを選択する(S340)。すなわち、第1温度と第2温度における周波数誤差の差が、前記調整ターゲット値609の第1温度と第2温度における値の差に最も近い値となり、且つ、第2温度と第3温度における周波数誤差の差が、前記調整ターゲット値609の第2温度と第3温度における値の差に最も近い値となる前記調整データを選択する。
【0227】
例えば、前記第1温度目測定結果823及び前記第2温度目測定結果より、2次温度係数“1000”と1次温度係数“1100”の組み合わせとなる前記調整データの場合、第1温度における周波数誤差が1.7%であり、第2温度における周波数誤差が2.5%であるから、第1温度と第2温度における周波数誤差の差は−0.8%となる。また、前記第3温度目測定結果825より、第3温度における上記組み合わせでの周波数誤差が3.2%であるから、第2温度と第3温度における周波数誤差の差は−0.7%となる。一方、前記調整ターゲット値609の第1温度と第2温度における値の差は−0.8%であり、第2温度と第3温度における周波数誤差の差は−0.8%である。したがって、2次温度係数“1000”と1次温度係数“1100”の組み合わせとなる前記調整データが、上記の条件に最も合致する1次温度係数と0次温度係数の組み合わせを有するデータであるならば、当該調整データが選択される。
【0228】
ステップ340において、前記調整データが選択されたら、前記判定装置6は、前記制御部7を制御することにより、前記選択された調整データの0次温度係数を可変させて前記調整回路2を設定し、周波数誤差を取得する(S341)。例えば、前記第3温度目測定結果819に係る前記調整データの2次温度係数の設定値である“1000”と、1次温度係数の設定値である“1100”に固定して、0次温度係数を“0000”から順に可変して設定し、夫々の前記調整データ毎に周波数誤差を取得する。
【0229】
そして、ステップ341で測定された周波数誤差のうち、前記調整ターゲット値609に最も近い周波数誤差となる前記調整データを最終調整結果826として記録して(S342)、温度特性調整データの生成を終了する。
【0230】
以上実施の形態7によれば、3次関数で表わされる温度特性であっても、前記動作補償温度範囲における周波数誤差を正側と負側にほぼ均等に分布させ、周波数誤差を低減することが可能となる。
【0231】
なお、図23で示した3つの測定温度は必ずしも前記動作補償温度範囲の上限温度、下限温度、及び中心温度でなくともよい。たとえば、室温を測定温度の一つとしてもよい。しかし、3つの測定温度が近接すると、前記温度調整装置4の温度調整誤差や前記周波数特性装置5の測定誤差等の影響を受けやすくなること留意しなければならない。
【0232】
また、実施の形態7において、前記中心温度から前記中心温度と上限温度との差、又は前記中心温度と下限温度との差を√3/2倍することで得られる所定値を減算して得られる温度の近傍に第1温度を設定し、前記中心温度に前記所定値を加算して得られる温度の近傍に第3温度を設定する。これによれば、3次温度係数のばらつき範囲に依らず、温度係数調整後の最大誤差をより低減できる。
【0233】
≪実施の形態8≫
図24は本発明の実施の形態8に係る、温度特性調整データ生成方法を適用した、半導体装置とテスタを含むシステムの構成図の別の一例である。
【0234】
図24に示されるシステムは、図1に係るシステムと異なり、前記判定装置6と前記周波数検知装置5の代わりに、半導体装置31の内部に演算回路10を有する。
【0235】
なお、図1に係るシステムと同一の構成要素には、同一の符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0236】
前記演算回路10は、制御回路71、及び判定部61を有する。前記判定部61は、前記判定装置6の機能に加え、後述する比較部53から前記信号S1の周波数誤差又は発振周波数の値を入力する。また、前記制御回路71は、前記制御回路7の機能に加え、前記判別部61の制御にしたがって動作する。
【0237】
また、前記演算回路10は、前記周波数検知装置5の機能も併せ持つ。具体的には、前記演算回路10は、外部から入力される基準信号S3を入力し、前記発振回路1の出力信号である前記信号S1と前記基準信号S3をカウントするカウンタ51、及びカウンタ52を有し、夫々のカウンタの値を比較部53により比較することで周波数誤差を測定することができる。
【0238】
なお、前記メモリ部8と前記演算回路10の動作に必要なクロック信号には、低速低精度クロック源9の出力信号S2を用いてもよいし、基準信号S3を用いてもよい。
【0239】
以上実施の形態8に係る前記半導体装置31を用いることにより、前述の実施の形態1乃至7に示す温度特性調整データ生成方法を適用して、図1に係るシステムと同様の作用を奏する。また、図1に係るシステムに比べてテスト装置の構成を簡略化することが可能となる。
【0240】
また、前記演算回路10の全部又は一部をマイクロコンピュータやFPGA(Field Programmable Gate Array)等のプログラマブルな演算回路で実現すれば、温度特性調整データの生成を完了した後、プログラムをリセットすることで、前記カウンタ51及び52、前記比較部53、前記判定部61、及び前記制御回路71等に用いた領域を再利用することができる。この場合には、前記メモリ部8と前記演算回路10の動作クロックとして、前記メモリ部8に記録した最終的な前記調整データを読み出すまでは低速低精度な前記クロック信号S2を用い、読み出した後は前記発振回路1の前記信号S1を用いると良い。
【0241】
以上本発明者によってなされた発明を実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明はそれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能であることは言うまでもない。
【0242】
例えば、上記実施の形態1乃至8のデータ生成方法では、前記半導体装置3及び前記半導体装置31が内部に有する所定の機能を実現する回路として、前記発振回路1を一例としたが、これに限られず、電圧生成回路、電流生成回路、温度センサ回路、増幅器、及びフィルタ等の回路に、適用することも可能である。その場合は、検知する特性に応じて、特性を検知する装置を変えればよい。例えば、検知する特性が電圧、電流、電力、交流信号、直流信号、又はインピーダンスなどの場合は、所望のアナログ回路として、前記周波数検知装置5を電圧検知装置、電流検知装置、電力検知装置、又はインピーダンス検知装置等を前記半導体装置3又は31の内外に設置すればよい。
【0243】
また、実施の形態1乃至8に係る温度特性調整データ生成方法は、1次関数、2次関数、又は3次関数で表現される温度特性に適用する場合について示したが、これに限られず、4次以上の関数で表現される温度特性にも適用することが可能である。
【0244】
さらに、実施の形態1乃至7において、前記温度調整装置4を第2温度又は第3温度に設定する方法を示したが、これに限られず、前記温度調整装置4が複数ある場合には、別の前記温度調整装置4を予め第2温度又は第3温度に設定しておいて、前記半導体装置3を当該別の前記温度調整装置4に移動させる方法も可能である。これによれば、温度特性の調整に要する時間のうち、第2温度又は第3温度に遷移するまでの時間を省略することが可能となる。
【符号の説明】
【0245】
1 発振回路
2 調整回路
3、31 半導体装置
4 温度調整装置
5 周波数検知装置
51、52 カウンタ
53 比較部
6 判定装置
61 判定部
601〜609 調整ターゲット値
7、71 制御回路
8 メモリ部
9 クロック信号生成回路
10 演算回路
11 制御信号
101 オペアンプ
102、103 電流源
104、105 スイッチ
106 比較器
107 発振回路
108 制御回路
109 発振周波数調整部
201、206 2次温度係数が最大にばらついたときの温度特性
202、207 2次温度係数が最小にばらついたときの温度特性
203、200A 補正値を決定するための関数
204、208 2次温度係数が最大にばらついたときの調整後の温度特性
205、209 2次温度係数が最小にばらついたときの調整後の温度特性
210 補正値を決定するための関数
211 2次温度係数が最大にばらついたときの調整後の温度特性
212 2次温度係数が最小にばらついたときの調整後の温度特性
213、215 2次関数近似された温度特性
214 2次温度係数が最大にばらついたときの調整後の温度特性
216 2次温度係数が最小にばらついたときの調整後の温度特性
217、218 補正値を決定するための関数
219 2次温度係数が最大にばらついたときの調整後の温度特性
220 2次温度係数が最小にばらついたときの調整後の温度特性
221、223 補正値を決定するための関数
222 2次温度係数が最大にばらついたときの調整後の温度特性
224 2次温度係数が最小にばらついたときの調整後の温度特性
225、230 1次温度係数が最大にばらついたときの温度特性
226、231 1次温度係数が最小にばらついたときの温度特性
227、230A 補正値を決定するための関数
228、232 1次温度係数が最大にばらついたときの調整後の温度特性
229、233 1次温度係数が最小にばらついたときの調整後の温度特性
234A 補正値を決定するための関数
234 3次温度係数が最大にばらついたときの温度特性
235 3次温度係数が最小にばらついたときの温度特性
236 3次温度係数が最大にばらついたときの調整後の温度特性
237 3次温度係数が最小にばらついたときの調整後の温度特性
821、823 第1温度目測定結果
812 第1温度目近傍測定結果
802、805、809、814、817、824 第2温度目測定結果
808 中間温度測定結果
819、825 第3温度目測定結果
801、804、807、811、816 第1温度目調整結果
813 第1温度目近傍調整結果
818 第2温度目調整結果
803、806、810、815、820、822、826 最終調整結果

【特許請求の範囲】
【請求項1】
n(nは1以上の整数)次の関数で表現される温度特性を持った信号を生成する回路を有する半導体装置の温度特性を調整するデータを、プログラム処理装置を用いて生成する方法であって、
前記プログラム処理装置による処理は、
n+1よりも少ない数の温度における前記信号の値を、前記信号に関する目標値に所定の補正値を加えた値に近づけるように温度特性を調整するデータを生成するデータ生成処理を含む、温度特性調整データ生成方法。
【請求項2】
前記n次の温度係数のばらつきの平均値の絶対値が、前記n次の温度係数のばらつき幅よりも小さいときは、前記所定の補正値は、前記n次の温度係数のばらつきの平均値となる前記n次の温度係数を有する所定の関数によって決定される、請求項1記載の温度特性調整データ生成方法。
【請求項3】
前記n次の温度係数のばらつきの平均値の絶対値が、前記n次の温度係数のばらつき幅よりも大きいときは、前記所定の補正値は、前記n次の温度係数の絶対値が最大にばらついたときのn次の温度係数を有し、要求される温度特性の温度範囲における前記信号の値の最大の変動幅よりも小さい変動幅を、前記目標値に対して正側と負側に有する所定の関数によって決定される、請求項1記載の温度特性調整データ生成方法。
【請求項4】
前記データ生成処理は、第1の温度に設定し、候補のデータにしたがって設定された前記回路の前記信号を測定するとともに、当該測定した信号の値と前記目標値に前記第1の温度における第1の補正値を加算した値との誤差が最も小さい前記候補のデータを、前記測定した信号の値とともに記憶装置に記憶する第1処理と、
第2の温度に設定し、前記第1処理によって記憶された前記候補のデータにしたがって設定された前記回路の前記信号を測定するとともに、当該候補のデータに対応させて前記測定した信号の値を前記記憶装置に記憶する第2処理と、
前記第2処理によって記憶された前記測定した信号と、前記目標値に前記第2の温度における第2の補正値を加算した値との誤差が最も小さい候補のデータを温度特性調整データとして決定する第3処理と、を含む、請求項1記載の温度特性調整データ生成方法。
【請求項5】
前記データ生成処理は、第1の温度に設定し、候補のデータにしたがって設定された前記回路の前記信号を測定するとともに、当該測定した信号の値と前記目標値に前記第1の温度における第1の補正値を加算した値との誤差が最も小さい前記候補のデータを、前記測定した信号の値とともに記憶装置に記憶する第1処理と、
第2の温度に設定し、前記第1処理によって記憶された前記候補のデータにしたがって設定された前記回路の前記信号を測定するとともに、当該候補のデータに対応させて前記測定した信号の値を前記記憶装置に記憶する第2処理と、
前記第1処理による前記測定した信号と、前記第2処理による前記測定した信号との差が最も小さい前記候補のデータを、温度特性を調整するデータとして決定する第3処理と、を含む、請求項1記載の温度特性調整データ生成方法。
【請求項6】
前記信号に要求される温度特性の温度範囲の中心温度に対し、所定の値を減算した温度を第1の温度とし、前記中心温度に対し、前記所定の値を加算した温度を第2の温度とする、請求項5記載の温度特性調整データ生成方法。
【請求項7】
前記データ生成処理は、第1の温度に設定し、候補のデータにしたがって設定された前記回路の前記信号を測定し、当該測定した信号の値と、前記目標値に前記第1の温度における第1の補正値を加算した値との誤差が最も小さい前記候補のデータを前記測定した信号の値とともに記憶装置に記憶する第1処理と、
第2の温度に設定し、前記第2の温度に遷移する途中の第3の温度において、前記第1処理によって記憶された前記候補のデータにしたがって設定された前記回路の前記信号を測定するとともに、当該候補のデータに対応させて前記測定した信号の値を前記記憶装置に記憶する第2処理と、
第2の温度において、前記第1処理によって記憶された前記候補のデータにしたがって設定された前記回路の前記信号を測定するとともに、当該候補のデータに対応させて前記測定した信号の値を前記記憶装置に記憶する第3処理と、
前記記憶されたデータに基づいて、前記第1の補正値と前記第2の補正値を更新する第4処理と、
更新された前記補正値に基づいて、温度特性を調整するデータを決定する第5処理と、を含む、請求項1記載の温度特性調整データ生成方法。
【請求項8】
前記候補のデータは、前記温度特性の1次の温度係数を決定する1次係数設定データと、前記温度特性の0次の温度係数を決定する0次係数設定データとを、夫々1個ずつ含む複数組のデータである、請求項7記載の温度特性調整データ生成方法。
【請求項9】
前記第4の処理は、前記第1処理乃至第3処理によって記憶された、前記候補のデータに対応する夫々の温度における前記測定した信号の複数組のうち、少なくとも一組に基づいて算出した2次の温度係数を有する関数を用いて、前記第1の補正値と前記第2の温度における第2の補正値を修正する処理であり、
前記第5の処理は、前記第1の温度における前記測定した信号の値と前記第2の温度における前記測定した信号の値との差が、前記第4の処理によって修正した前記第1の補正値を前記目標値に加算した値と、前記第2の補正値を前記目標値に加算した値との差に最も近い値となる前記1次係数設定データを有する候補のデータを決定し、決定した候補のデータの前記0次係数設定データを変更しながら前記信号を測定するとともに、当該候補のデータに対応させて前記測定した信号の値を前記記憶装置に記憶する第6処理と、
修正した前記第2の補正値を前記目標値に加算した値と前記第6処理によって記憶された前記測定した信号との誤差が最も小さい候補のデータを、温度特性を調整するデータとして決定する第7処理と、を含む処理である、請求項8記載の温度特性調整データ生成方法。
【請求項10】
前記第3の温度は、前記第1の温度の近傍の温度であり、
前記第3処理において、前記回路は、前記第1処理による前記測定した信号の値と前記第2処理による前記測定した信号の値との差が最も小さくなる前記候補のデータに設定され、
前記第4処理は、前記第3処理において設定された前記候補のデータに対応させて記憶された、前記第1処理による前記測定された値と前記第3処理による前記測定された値との差の2分の1の値に基づいて、前記第1の補正値と前記第2の温度における第2の補正値を修正する処理であり、
前記第5の処理は、前記第3処理において設定された前記11次係数設定データを有する候補のデータを決定し、決定した候補のデータの前記0次係数設定データを変更しながら前記信号を測定するとともに、当該候補のデータに対応させて前記測定した信号の値を前記記憶装置に記憶する第6処理と、
修正した前記第2の補正値を前記目標値に加算した値と、前記第6処理によって記憶された前記測定した信号との誤差が最も小さい候補のデータを、温度特性を調整するデータとして決定する第7処理と、を含む処理である、請求項8記載の温度特性調整データ生成方法。
【請求項11】
前記第1の温度は、前記信号に要求される温度特性の温度範囲の中心温度である、請求項10記載の温度特性調整データ生成方法。
【請求項12】
前記データ生成処理は、第1の温度に設定し、候補のデータにしたがって設定された前記回路の前記信号を測定し、当該測定した信号の値と、前記目標値に前記第1の温度における第1の補正値を加算した値との誤差が最も小さい前記候補のデータを前記測定した信号の値とともに記憶装置に記憶する第1処理と、
第2の温度に設定し、前記第1処理によって記憶された前記候補のデータにしたがって設定された前記回路の前記信号を測定するとともに、当該候補のデータに対応させて前記測定した信号の値を前記記憶装置に記憶する第2処理と、
第3の温度に設定し、前記第1の温度における前記測定した信号の値と前記第2の温度における前記測定した信号の値との差が、最も小さくなる前記候補のデータにしたがって設定された前記回路の前記信号を測定するとともに、当該候補のデータに対応させて前記測定した信号の値を前記記憶装置に記憶する第3処理と、
前記記憶されたデータに基づいて、前記第1の補正値、前記第2の温度における第2の補正値、及び前記第3の温度における第3の補正値を更新する第4処理と、
更新された夫々の補正値に基づいて、温度特性を調整するデータを決定する第5処理と、を含む、請求項1記載の温度特性調整データ生成方法。
【請求項13】
前記第4処理は、前記第3処理において設定された前記候補のデータに対応させて記憶された、前記第1処理による前記測定された値と前記第3処理による前記測定された値との差の2分の1の値に基づいて、前記第1の補正値、前記第2の補正値、及び前記第3の補正値を修正する処理であり、
前記第5の処理は、前記第3処理において設定された前記候補のデータの前記1次係数設定データを有する候補のデータを決定し、決定した候補のデータの前記0次係数設定データを変更しながら前記信号を測定し、当該候補のデータに対応させて前記測定した信号の値を前記記憶装置に記憶する第6処理と、
修正した前記第2の補正値を前記目標値に加算した値と、前記第6処理によって記憶された前記測定した信号との誤差が最も小さい候補のデータを、温度特性を調整するデータとして決定する第7処理と、を含む処理である、請求項12記載の温度特性調整データ生成方法。
【請求項14】
前記信号に要求される温度特性の温度範囲の中心温度に対し所定の値を減算した温度を第1の温度とし、前記中心温度に対し前記所定の値を加算した温度を第2の温度とする、請求項13記載の温度特性調整データ生成方法。
【請求項15】
前記データ生成処理は、第1の温度に設定し、候補のデータにしたがって設定された前記回路の前記信号を測定するとともに、当該候補のデータに対応させて前記測定した信号の値を前記記憶装置に記憶する第1処理と、
第2の温度に設定し、前記第1処理によって記憶された前記候補のデータにしたがって設定された前記回路の前記信号を測定するとともに、当該候補のデータに対応させて前記測定した信号の値を前記記憶装置に記憶する第2処理と、
第3の温度に設定し、前記第1処理によって記憶された前記候補のデータにしたがって設定された前記回路の前記信号を測定するとともに、当該候補のデータに対応させて前記測定した信号の値を前記記憶装置に記憶する第3処理と、
前記記憶されたデータに基づいて、温度特性を調整するデータを決定する第4処理と、を含む、請求項1記載の温度特性調整データ生成方法。
【請求項16】
前記候補のデータは、前記温度特性の2次の温度係数を決定する2次係数設定データと、前記温度特性の1次の温度係数を決定する1次係数設定データと、前記温度特性の0次の温度係数を決定する0次係数設定データとを、夫々1個ずつ含む複数組のデータである、請求項15記載の温度特性調整データ生成方法。
【請求項17】
前記第4の処理は、前記第1の温度における前記測定した信号の値と前記第2の温度における前記測定した信号の値との差が、前記目標値に前記第1の補正値を加えた値と前記目標値に前記第2の温度における第2の補正値を加えた値との差に最も近い値となり、且つ、前記第2の温度における前記測定した信号の値と前記第3の温度における前記測定した信号の値との差が、前記目標値に前記第2の補正値を加えた値と前記目標値に前記第3の温度における第3の補正値を加えた値との差に最も近い値となる、前記2次係数設定データ及び前記第1次係数設定データを有する候補のデータを決定する第5処理と、
前記第5処理によって決定した候補のデータの前記0次係数設定データを変更しながら前記信号を測定し、当該候補のデータに対応させて、前記測定した信号の値を前記記憶装置に記憶する第6処理と、
前記第3の補正値を前記目標値に加算した値と前記第6処理によって記憶された前記測定した信号との誤差が最も小さい候補のデータを、温度特性を調整するデータとして決定する第7処理と、を含む処理である、請求項16記載の温度特性調整データ生成方法。
【請求項18】
前記信号に要求される温度特性の温度範囲の中心温度を前記第2の温度とし、
前記中心温度に対し、所定の値を減算した温度を第1の温度とし、
前記中心温度に対し、前記所定の値を加算した温度を第3の温度とする、請求項17記載の温度特性調整データ生成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2011−160081(P2011−160081A)
【公開日】平成23年8月18日(2011.8.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−18465(P2010−18465)
【出願日】平成22年1月29日(2010.1.29)
【出願人】(302062931)ルネサスエレクトロニクス株式会社 (8,021)
【Fターム(参考)】