説明

測位装置およびそれを用いる位置情報システム

【課題】 携帯電話の端末装置や携帯情報端末に組込まれるなどして、使用者によって所持され、GPS測位を行うとともに自律測位も併用するようにしたセキュリティ端末において、測位性能を損なうことなく、消費電力を削減し、電池寿命を延ばせるようにする。
【解決手段】 GPS受信手段11およびGPS測位手段12によるGPS測位結果と、自律測位測位手段13による自律測位結果とを、制御手段15が選択的に採用して、無線通信手段14から通信ネットワーク2を介してセンター装置3へ送信するセキュリティ端末1において、前記制御手段15は、自律測位測位手段13における振動検知手段の検知結果に応答して、乗り物に乗車していると判断されるときには、歩数計や加速度センサなどの距離を検知するセンサの精度が低いと考えられるので、或いは歩数などから移動距離を求める場合、測位自体が不能になるので、少なくとも自律測位手段13を停止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、GPS測位手段などの外部電波を受信し、その受信結果から演算によって現在位置を求める電波利用測位手段を備えるとともに、初期位置からの移動方向および移動量を積算して自律測位を行っており、前記電波利用測位手段による測位不能時や誤差拡大時に、前記現在位置のデータが代わって使用される自律測位手段を合わせて備える測位装置およびそれを用いる位置情報システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、GPS(Global Positioning System)衛星からの電波を利用して測位するだけでなく、前記GPS衛星からの電波を受信できない状況に備えて、各種測位センサを補助的に使用して、上述のように自律測位を行うタイプの測位装置が提案されている。
【0003】
このタイプの携帯用測位装置の典型的な従来技術として、たとえば特許文献1および2が挙げられる。これらの従来技術は、GPS受信機とセンサとを備えて構成され、GPS衛星からの電波の受信が可能なときはGPS測位を行い、ビル中、街中、林などGPS測位が不可能な場所では、センサを用いて、移動距離は「歩幅×歩数」の演算で検出し、移動方向は地磁気センサを用いて検出し、現在位置を測位するようになっている。
【0004】
さらに、特許文献3には、GPS測位と自律測位とを併用するとともに、乗り物への乗車などの動作状態も判断し、それらの測位結果を融合して、測位精度を高めることが示されている。
【特許文献1】特開平11−194033号公報
【特許文献2】特開2000−97722号公報
【特許文献3】特開2002−48589号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の各従来技術では、いずれも、常時あらゆる測位手段を動作させて、それらの測位結果を融合して、測位精度を高めることは示されているけれども、使用者が保持する測位装置の消費電力を削減し、電池寿命を延ばすことは示されていない。
【0006】
本発明の目的は、測位性能を損なうことなく、消費電力を削減し、電池寿命を延ばすことができる測位装置およびそれを用いる位置情報システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の測位装置は、使用者によって所持される測位装置において、外部電波を受信し、その受信結果から演算によって現在位置を求める電波利用測位手段と、初期位置に、その初期位置からの移動方向および移動量を積算して現在位置を求める自律測位手段と、該測位装置の振動状態を検知する振動検知手段と、前記電波利用測位手段および自律測位手段の測位結果から、より正確と推定される方の測位結果もしくは2種類の測位手段による測位結果を融合した値を現在位置とするとともに、前記振動検知手段の検知結果に応答して、前記電波利用測位手段および自律測位手段の動作状態を制御する制御手段とを含むことを特徴とする。
【0008】
上記の構成によれば、携帯電話の端末装置や携帯情報端末に組込まれるなどして、使用者によって所持され、外部電波を受信し、その受信結果から演算によって現在位置を絶対測位できる電波利用測位手段と、初期位置に、その初期位置からの移動方向および移動量を積算して現在位置を求める自律測位手段とを併用し、制御手段が、それらの測位結果から、より正確と推定される方の測位結果もしくは2種類の測位手段による測位結果を融合した値を現在位置として、表示したり外部へ通報したりすることができる測位装置において、該測位装置の振動状態を検知する振動検知手段を設け、前記制御手段は、この振動検知手段の検知結果から、乗り物に乗車しているか、または乗車していない(歩行、走行など)かを判定し、その判定結果に応じて、前記電波利用測位手段および自律測位手段の動作状態を制御する。
【0009】
具体的には、前記乗り物に乗車している場合、自律測位手段による測位結果の誤差が大きい(地磁気センサやジャイロセンサなどの方位を検知するセンサは比較的正確に検知できても、歩数計や加速度センサなどの距離を検知するセンサの精度が低い)ので、或いは歩数などから移動距離を求める場合、測位自体が不能になるので、該自律測位手段による測位を停止させる。また、GPS受信機などの電波利用測位手段も、車両に乗車したことで測位が不能になったり、移動経路が或る程度特定されるので、測位間隔を間引いたり、停止させたりしてもよい。
【0010】
したがって、使用者によって所持される測位装置の測位性能を損なうことなく、消費電力を削減し、電池寿命を延ばすことができる。
【0011】
好ましくは、前記電波利用測位手段は、複数のGPS衛星からの電波を受信し、または複数の携帯電話の電波を受信し、もしくは複数のテレビ電波を受信し、それらの受信信号から、演算によって、複数の衛星、または基地局もしくは送信所からの距離をそれぞれ求め、現在位置を絶対測位する。
【0012】
また好ましくは、前記振動検知手段は、1軸、2軸または3軸の加速度センサの出力時間波形におけるパワー値または前記加速度センサの出力スペクトルにおけるゲインのピーク値から前記乗り物/非乗り物の検知を行い、GPS測位結果の移動速度から前記乗り物/非乗り物の検知を行い、もしくは3軸加速度センサの各相関関数に基づいて前記乗り物/非乗り物の検知を行う。
【0013】
また、本発明の測位装置では、前記制御手段は、前記振動検知手段の検知結果から、乗り物による移動中であると判定される場合には、少なくとも前記自律測位手段の動作を停止させることを特徴とする。
【0014】
上記の構成によれば、前記制御手段は、前記振動検知手段の検知結果から、乗り物による移動中であると判定される場合、すなわち車両に乗車して振動数が大幅に減少し、また降車して振動数が復帰するまでの間は、少なくとも前記自律測位手段の動作を停止させる。
【0015】
したがって、乗り物による移動中であると判定される場合、上述のように測位結果の誤差が大きい自律測位手段を少なくとも停止させることで、測位性能を損なうことなく、消費電力を削減し、電池寿命を延ばすことができる。また、必要に応じて、上述のように電波利用測位手段も、車両に乗車したことで測位が不能になったり、移動経路が或る程度特定されるので、測位間隔を間引いたり、停止させたりしてもよい。
【0016】
さらにまた、本発明の測位装置では、自律測位手段による測位が不能になった時点で前記振動検知手段によって状態検知処理を行い、その検知結果に応じて前記電波利用測位手段および自律測位手段を制御することを特徴とする。
【0017】
上記の構成によれば、自律測位手段による測位の不能時に、さらに状態検知を行うことで、同じ自律測位不能であっても、静止しているのか、車両に乗車しているのかなどで、前記電波利用測位手段および自律測位手段を、より適切に制御することができる。
【0018】
また、本発明の測位装置では、前記制御手段は、前記振動検知手段によって使用者の歩行または走行に対応した振動が検知されていると、前記電波利用測位手段および自律測位手段の測位結果に対して、それぞれに予め定めるエラー判断基準から、より正確と推定される方の測位結果を、前記自律測位手段における初期位置として更新させることを特徴とする。
【0019】
上記の構成によれば、自律測位手段における初期位置を更新(設定)するにあたって、制御手段は、先ず前記振動検知手段によって使用者の歩行または走行に対応した振動が検知されているか否か、したがって自律測位手段で或る程度信頼できる測位が行われているか否かを判断し、振動が検知されている、したがって或る程度信頼できる場合には、その自律測位手段の測位結果と前記電波利用測位手段の測位結果とのうち、それぞれに予め定めるエラー判断基準を適用して両者を比較し、より正確と推定される方の測位結果を、前記初期位置として採用する。
【0020】
したがって、自律測位のための初期位置を、適切に更新(設定)することができる。
【0021】
さらにまた、本発明の測位装置では、報知手段をさらに備え、前記制御手段は、前記振動検知手段によって使用者の歩行または走行に対応した振動が検知されている状態で、前記自律測位手段による測位結果に対して前記電波利用測位手段による測位結果が予め定める範囲外となっている場合、前記報知手段に電波利用測位手段の異常を報知させることを特徴とする。
【0022】
上記の構成によれば、振動検知手段によって使用者の歩行または走行に対応した振動が検知されている状態では、前記自律測位手段による測位結果は或る程度信用することができ、また前記歩行または走行で所定時間内に移動できる範囲は限られており、その範囲から電波利用測位手段による測位結果が大きく逸脱した場合、該電波利用測位手段において、受信できる衛星や基地局が減少したり、マルチパスなどの誤差を生じる要因が発生したものと考えられ、報知手段から報知する。
【0023】
したがって、測位結果が異常のままで、電波利用測位手段の測位結果を採用してしまうことを防止することができる。
【0024】
また、本発明の位置情報システムは、前記の測位装置において、無線通信網を介して測位結果を送信することができる無線通信手段をさらに備え、前記測位装置にコマンドを送信し、それに応答して返信された測位結果を受信する無線通信手段と、受信した測位結果を記憶する記憶手段と、受信した測位結果を表示する表示手段とを備えて構成されるセンター装置をさらに備えて成ることを特徴とする。
【0025】
上記の構成によれば、センター装置側から必要に応じて使用者の現在位置を確認したり、定期的に現在位置を送信させ、移動経路を確認したりすることができる位置情報システムを実現することができる。
【0026】
さらにまた、本発明の位置情報システムでは、前記センター装置からの測位結果の送信要求に応答して、前記制御手段は、前記電波利用測位手段による測位が成功した場合はその測位結果を、測位に失敗した場合は、前記振動検知手段の検知結果から、乗り物による移動中でないと判定される場合にのみ、前記自律測位手段の測位結果を送信することを特徴とする。
【0027】
上記の構成によれば、センター装置側からの要求に応じて測位結果を送信しなければならないときに、或る程度の精度が確保できる測位結果のみを送信することができる。
【0028】
また、本発明の位置情報システムでは、前記電波利用測位手段は、複数のGPS衛星からの電波を受信するGPS受信手段、およびその受信信号から、演算によって、複数の衛星からの距離をそれぞれ求め、現在位置を絶対測位するGPS測位手段と、複数の携帯電話の電波を受信する携帯電波受信手段、およびその受信信号から、演算によって、複数の基地局からの距離をそれぞれ求め、現在位置を絶対測位する携帯電波測位手段とであり、前記センター装置からの測位結果の送信要求に応答して、前記制御手段は、前記GPS測位手段による測位が成功した場合はその測位結果を送信し、測位に失敗した場合に前記携帯電波受信手段および携帯電波測位手段に測位を行わせることを特徴とする。
【0029】
上記の構成によれば、電波利用測位手段として、GPS受信手段およびGPS測位手段と、携帯電波受信手段および携帯電波測位手段機とを併用し、比較的精度の高い方のGPS受信手段およびGPS測位手段を優先して使用し、それによる測位ができないときに携帯電波受信手段および携帯電波測位手段を能動化する。
【0030】
したがって、GPS受信による精度を優先しながら、バックアップとしての携帯電波測位を、最小限の消費電力で実現することができる。
【発明の効果】
【0031】
本発明の測位装置は、以上のように、携帯電話の端末装置や携帯情報端末に組込まれるなどして、使用者によって所持され、外部電波を受信し、その受信結果から演算によって現在位置を絶対測位できる電波利用測位手段と、初期位置に、その初期位置からの移動方向および移動量を積算して現在位置を求める自律測位手段とを併用し、制御手段が、それらの測位結果から、より正確と推定される方の測位結果もしくは2種類の測位手段による測位結果を融合した値を現在位置として、表示したり外部へ通報したりすることができる測位装置において、該測位装置の振動状態を検知する振動検知手段を設け、前記制御手段は、この振動検知手段の検知結果から、乗り物に乗車しているか、または乗車していない(歩行、走行など)かを判定し、その判定結果に応じて、前記電波利用測位手段および自律測位手段の動作状態を制御する。
【0032】
それゆえ、使用者によって所持される測位装置の測位性能を損なうことなく、消費電力を削減し、電池寿命を延ばすことができる。
【0033】
また、本発明の位置情報システムは、以上のように、前記の測位装置において、無線通信網を介して測位結果を送信することができる無線通信手段をさらに備え、前記測位装置にコマンドを送信し、それに応答して返信された測位結果を受信する無線通信手段と、受信した測位結果を記憶する記憶手段と、受信した測位結果を表示する表示手段とを備えて構成されるセンター装置をさらに備えて成る。
【0034】
それゆえ、センター装置側から必要に応じて使用者の現在位置を確認したり、定期的に現在位置を送信させ、移動経路を確認したりすることができる位置情報システムを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0035】
[実施の形態1]
図1は、本発明の実施の第1の形態に係るセキュリティ端末1を用いた位置情報システムの概要を示す図である。この位置情報システムは、大略的に、測位装置である1または複数のセキュリティ端末1と、無線通信網を含む通信ネットワーク2と、前記通信ネットワーク2を介して前記セキュリティ端末1と接続されるセンター装置3とを備えて構成される。
【0036】
前記セキュリティ端末1は、携帯電話の端末装置や携帯情報端末に組込まれるなどして構成されており、利用者4が携帯し、予め定める周期、またはセンター装置3からの測位指示(検索指示)に応答して、後述するようにして複数のGPS衛星からの電波を受信してGPS測位を行い、および/または自律測位を行い、その測位結果(位置情報)を、予め定める周期、またはセンター装置3からの送信要求(検索指示)に応答して、前記センター装置3へ返信する。
【0037】
前記センター装置3は、位置情報サービスの提供業者の管理センターなどに設置されるサーバコンピュータなどで実現され、前記通信ネットワーク2を介して接続される管理者や保護者側のパーソナルコンピュータからの指示によって、前記測位およびその結果の送信指示をセキュリティ端末1へ送信したり、セキュリティ端末1から受信した現在位置や移動経路などの位置情報を前記管理者や保護者側のパーソナルコンピュータへ送信する。このような動作によって、貴重品や車両の盗難に対する追跡を行ったり、子供や老人の行方を確認したりすることができるようになっている。
【0038】
図2は、図1で示す構成の電気的構成を示すブロック図である。前記セキュリティ端末1は、前記GPS衛星からの電波を受信するGPS受信手段11と、その受信結果に測位演算を施し、現在位置を絶対測位できるGPS測位手段12と、初期位置からの移動方向および移動量を積算して現在位置を求める自律測位手段13と、前記通信ネットワーク2を介してセンター装置3と通信を行うための無線通信手段14と、前記GPS受信手段11、GPS測位手段12、自律測位手段13および無線通信手段14を制御する制御手段15と、後述するようにして求めた現在位置や前記移動経路などを記憶しておく記憶手段16と、前記現在位置や移動経路などを表示するとともに、緊急通報などの入力操作が行われる表示入力手段17とを備えて構成される。
【0039】
前記通信ネットワーク2は、携帯電話の基地局21〜23や、いわゆるインターネットプロトコル群が通信に利用される固定通信網などから構築されている。前記センター装置3は、前記通信ネットワーク2を介してセキュリティ端末1と通信を行うための無線通信手段31と、前記セキュリティ端末1に前記の指示を与える制御手段32と、前記セキュリティ端末1から送信されてきた現在位置や移動経路などを記憶しておく記憶手段33と、前記現在位置や移動経路などを表示するとともに、位置情報の検索要求の入力や各セキュリティ端末1の設定などを入力することができる表示入力手段34とを備えて構成される。
【0040】
上述のように構成される位置情報システムにおいて、電波利用測位手段であるGPS受信手段11およびGPS測位手段12は、予め定める周期、たとえば自律測位による誤差の蓄積値が予め定める閾値以上となる毎に、またはセンター装置3からの検索指示に応答して、現在位置をGPS測位する。このGPS測位では、絶対位置を検知することができ、また衛星配置や電波状況が良好でマルチパスの影響を受けない場合は精度良い位置検出が可能である。
【0041】
一方、自律測位手段13も、予め定める周期、たとえば1秒毎、またはセンター装置3からの検索指示に応答して、現在位置を自律測位する。この自律測位手段13は、利用者4の歩行による歩数をカウントする上下動加速度センサや振動センサおよび進行方向を検出する地磁気センサならびに初期位置にそれらのセンサからの出力による移動方向および移動量を積算してゆくことで現在位置を求める演算手段を備えて成り、予め設定されている使用者4の歩幅を用いて、前記上下動加速度センサや振動センサによる歩数から、歩幅×歩数の演算によって移動距離を算出し、また前記地磁気センサによって絶対方位を算出し、その移動距離と絶対方位とによる移動量を初期位置に加算してゆくことで測位を行う。この自律測位手段13は、絶対位置を測位することはできず、かつ精度もあまり高くはないけれども、省電力であり、かつ使用者4が歩行や走行していれば、場所を問わず(電波の届かない環境でも)測位することが可能である。
【0042】
前記歩幅は、必ずしも予め登録されている必要はなく、GPS測位結果と、その間にカウントされた歩数とから、或いは加速度センサの出力レベルと歩数となどから、自律測位手段13側で自動的に取得(学習)するようにしてもよく、さらに動的に変化するようにしてもよい。これによって、同じ使用者4でも、路面の状況(傾斜や凹凸など)、体調、荷物の有無などに適応することができる。
【0043】
注目すべきは、本発明では、セキュリティ端末1は、電源投入後、センター装置3からの検索指示の待受け状態である定常動作時には、制御手段15は、後述するように予め定める周期で前記GPS受信手段11およびGPS測位手段12に測位命令を出力してGPS測位を行わせるとともに、自律測位手段13にも測位命令を出力して自律測位を行わせ、それらの測位結果から、より正確と推定される方の測位結果もしくは2種類の測位手段による測位結果を融合した値を現在位置とするとともに、前記自律測位手段13における前記上下動加速度センサや振動センサの検知結果から、乗り物に乗車しているか、または乗車していない(歩行、走行など)かを判定し、その判定結果に応じて、前記GPS受信手段11およびGPS測位手段12と、自律測位手段13との動作状態を制御することである。
【0044】
具体的には、振動検知手段である前記上下動加速度センサや振動センサの検知出力は、静止状態と、歩行状態と、乗り物に乗車している状態とで、図3で示すように変化する。前記自律測位手段13内の信号処理回路は、上記波形を処理し、上述のような自律測位のための歩数をカウントするとともに、図3で示すような動作状態を表す信号を、前記制御手段15へ出力する。これに応答して、制御手段15は、前記乗り物に乗車している状態では、自律測位手段13による測位結果の誤差が大きい(地磁気センサやジャイロセンサなどの方位を検知するセンサは比較的正確に検知できても、歩数計や加速度センサなどの距離を検知するセンサの精度が低い)ので、或いは歩数などから移動距離を求める場合、測位自体が不能になるので、図4で示すように、該自律測位手段13による測位を停止させ、一方、非乗車状態では、毎秒、自律測位を行う。
【0045】
また、GPS受信手段11およびGPS測位手段12も、車両に乗車したことで測位が不能になったり、移動経路が或る程度特定されるので、測位間隔を間引いたり、停止させたりしてもよく、図4および以下の説明では、停止させるものとする。そして、自律測位を中止した状態では、予め定める周期、たとえば10分毎に、前記振動検知手段を起動して動作状態の検知処理を行い、乗り物から降車したと判断した場合は、GPS測位および自律測位を再開する。
【0046】
図3および図4では、前記振動検知手段として、1軸の加速度センサの例を示しており、また出力時間波形におけるパワー値から乗り物/非乗り物の検知を行う例を示している。具体的には、加速度センサ信号に対し、(1)式に示すように時間領域における平均信号パワー処理、もしくは(2)式に示すようにある特定の周波数帯域(a≦f≦b(Hz))における平均信号パワー処理を行い、平均信号パワーがある閾値以上の場合は乗車している乗り物(電車、自動車など)が移動しており、閾値未満の場合はそれ以外であると判断する。
【0047】
【数1】

【0048】
また、前記振動検知手段は、2軸や3軸の加速度センサであってもよく、またそれらの出力スペクトルにおけるゲインのピーク値から前記乗り物/非乗り物の検知を行うようにしてもよい。静止時、歩行時、乗り物乗車時における加速度センサの出力スペクトルの例を図5で示す。
【0049】
さらにまた、前記振動検知手段として、GPS測位結果の移動速度から前記乗り物/非乗り物の検知を行ってもよい。もしくは、3軸加速度センサの各相関関数に基づいて前記乗り物/非乗り物の検知を行うようにしてもよい。3軸加速度センサにおけるX,Z軸方向の加速度信号の静止時と乗り物乗車時とにおける相関の例を図6で示す。
【0050】
前記3軸加速度センサの場合、X,Y,Z軸周りのそれぞれの信号に対し、時間領域において(3)式に示す各軸間の相関関数処理を行い、(4)式に示す或る時間領域における平均相関値が或る閾値以上の場合は乗車している乗り物(電車、自動車など)が移動しており、閾値未満の場合はそれ以外であると判断する。
【0051】
【数2】

【0052】
さらにまた、無線通信手段14は、もう1つの電波利用測位手段であり、携帯電波受信手段および携帯電波測位手段を構成し、前記制御手段15からの測位指示に応答して、複数の携帯電話基地局からの電波を受信し、その受信結果から、各基地局からの距離を求め、演算によって現在位置を絶対測位する。この携帯電波測位は、前記GPS測位に比べて、測位精度は低いけれども、測位できる可能性(測位機会)は高い。この携帯電波を用いる測位には、位置の分かっている3つ以上の基地局からの電波を受信する必要があり、無線通信手段14が1つの基地局と通信を行うPDC(Personal Digital Cellular)方式の携帯電話端末の場合には、その無線通信手段14とは別に携帯電波受信手段および携帯電波測位手段を設ける必要があるが、3つ以上の基地局と通信を行うことができるCDMA(Code Division Multiple Access)方式の携帯電話端末の場合には、無線通信手段14で現在位置の測位を行うことで、それらは省略されてもよい。
【0053】
図7は、前記制御手段15によるセンター装置3からの検索指示の待受け状態である定常時の動作を説明するためのフローチャートである。ステップS1でセキュリティ端末1の電源スイッチがONされて動作を開始すると、先ずステップS2で車両への乗車中であることを表す乗車中フラグがリセット(非乗車中)される。次に、ステップS3でGPS受信手段11およびGPS測位手段12を使用してGPS電波による測位が行われ、ステップS4ではその測位結果の精度が予め定めるレベルに達しているか否かが判断され、達していない場合および未測位の場合には前記ステップS3に戻ってGPS測位を継続し、所定精度のGPS測位結果が得られるとステップS5に移り、その測位位置が自律測位手段13の初期位置に設定される。こうして、最初の初期位置を得る場合は、精度のよい絶対位置が得られるまで、毎回、たとえば1秒毎に、GPS測位を行う。
【0054】
続いてステップS6では、前記自律測位手段13における振動検知手段によって歩数検知が可能であるか否かが判断され、可能である場合はステップS7で1秒毎に自律測位が行われる。ステップS8では、その自律測位による蓄積誤差の見積もり値が予め定める閾値以上であるか否かが判断され、そうであるときには前記ステップS3に戻ってGPS測位が行われて前記誤差を解消し、そうでないときには前記ステップS6に戻って自律測位を継続する。こうして、毎秒の自律測位において蓄積誤差をカウントし、前記閾値以上になると、自律測位を中止して、精度のよい絶対位置が得られるまでGPS測位を行い、再び自律測位の初期位置を求めることで、誤差が前記閾値に蓄積されるまでの間は省電力な自律測位を行い、閾値以上の誤差が蓄積されると大消費電力のGPS測位を行うことで、測位精度と低消費電力とを両立することができる。
【0055】
一方、前記ステップS6において歩数検知が不能である場合にはステップS9に移り、乗り物/非乗り物の状態検知が行われる。乗り物に乗車していない状態、すなわち前記図3および図4から、静止状態では前記ステップS6に戻り、乗り物に乗車している状態ではステップS10に移り、前記乗車中フラグがセット(乗車中)され、さらにステップS11で前記GPS測位および自律測位が共に停止される。
【0056】
その後、ステップS12では再び乗り物/非乗り物の状態検知が行われ、引続き乗車している場合にはステップS13およびステップS14によって予め定める時間、たとえば10分が経過するまで待機し、経過すると前記ステップS12に戻って再び状態検知が行われる。これに対して、前記ステップS12において乗り物から降車している場合には、前記ステップS15からステップS3に戻って、GPS測位から処理を再開する。
【0057】
また、図8は、前記制御手段15によるセンター装置3からの検索指示を受信した場合の応答動作を説明するためのフローチャートである。保護者や管理者がセンター装置3へセキュリティ端末1の検索指示を出し、セキュリティ端末1がステップS21でセンター装置3からの前記検索指示を受信すると、先ずステップS22でGPS受信手段11およびGPS測位手段12を使用してGPS電波による測位が行われ、ステップS23ではそのGPS測位が可能であったか否かが判断され、可能であった場合はステップS24で、そのGPS測位結果が前記センター装置3へ送信されて動作を終了する。
【0058】
これに対して、前記ステップS23においてGPS測位が不可能であった場合はステップS25に移り、前記乗車中フラグがチェックされ、乗り物に乗車していない場合にはステップS26に移り、自律測位手段13による測位結果とともに、GPS測位が不可能であったことが前記センター装置3へ送信されて動作を終了する。
【0059】
また、前記ステップS25において乗り物に乗車している場合にはステップS27に移り、前記無線通信手段14を用いて携帯電波測位が行われ、ステップS28で、その測位結果とともに、GPS測位が不可能であったことおよび乗り物に乗車していることが前記センター装置3へ送信されて動作を終了する。
【0060】
前記ステップS24,S26またはS28の測位結果を受信すると、センター装置3は、その位置を地図画面に合わせて表示し、また同様の表示データを前記保護者や管理者のパーソナルコンピュータへ送信する。
【0061】
このように構成することで、GPS受信手段11およびGPS測位手段12に自律測位手段13を併用するようにしたセキュリティ端末1において、自律測位手段13内の振動検知手段が該セキュリティ端末1の振動状態を検知し、制御手段15は、この振動検知手段の検知結果から、乗り物に乗車しているか、または乗車していない(歩行、走行など)かを判定し、その判定結果に応じて、前記GPS受信手段11およびGPS測位手段12ならびに自律測位手段13の動作状態を制御するので、使用者4によって所持される該セキュリティ端末1の測位性能を損なうことなく、消費電力を削減し、電池寿命を延ばすことができる。特に、乗り物による移動中であると判定される場合、測位結果の誤差が大きかったり、測位自体が行えなかったりする自律測位手段13を停止させることは、測位性能を損なうことなく、効果的である。
【0062】
また、前記制御手段15が、自律測位手段13による測位の不能時に、さらに状態検知を行うことで、同じ自律測位不能であっても、静止しているのか、車両に乗車しているのかなどで、前記GPS受信手段11およびGPS測位手段12ならびに自律測位手段13を、より適切に制御することができる。
【0063】
さらにまた、そのセキュリティ端末1に、通信ネットワーク2を介して測位結果を送信することができる無線通信手段14をさらに設けるとともに、該セキュリティ端末1に検索要求を送信し、それに応答して返信された位置情報を受信する無線通信手段31と、受信した測位結果を記憶する記憶手段33と、受信した測位結果を表示する表示入力手段34とを備えるセンター装置3を備えてシステムを構成することで、センター装置3側から必要に応じて使用者4の現在位置を確認したり、定期的に現在位置を送信させ、移動経路を確認したりすることができる位置情報システムを実現することができる。
【0064】
また、本発明の位置情報システムでは、前記センター装置3からの検索要求に応答して、前記制御手段15は、前記GPS測位手段12による測位が成功した場合はその測位結果を、測位に失敗した場合は、前記振動検知手段の検知結果から、乗り物による移動中でないと判定される場合にのみ、前記自律測位手段13の測位結果を送信するので、センター装置3側からの検索要求に応じて測位結果を送信しなければならないときに、或る程度の精度が確保できる測位結果のみを送信することができる。
【0065】
さらにまた、本発明の位置情報システムでは、電波利用測位手段として、GPS測位を行うGPS受信手段11およびGPS測位手段12と、携帯電波測位を行う無線通信手段14とを併用し、制御手段15は、比較的精度の高い方のGPS受信手段11およびGPS測位手段12を優先して使用し、それによる測位ができないときに無線通信手段14に測位を行わせるので、GPS受信による精度を優先しながら、バックアップとしての携帯電波測位を、最小限の消費電力で実現することができる。
【0066】
[実施の形態2]
図9は、本発明の実施の第2の形態に係るセキュリティ端末の動作を説明するための図である。このセキュリティ端末は、前述のセキュリティ端末1の構成を用いることができ、前記制御手段15の動作プログラムが、次の図10と前述の図7とで異なるだけである。注目すべきは、このセキュリティ端末では、前記自律測位手段13の初期位置を更新してゆくにあたって、前記制御手段15は、表1でも示すように、GPS測位手段12および自律測位手段13の測位結果から、それぞれに予め設定されるエラー値判断基準に基づき、図9で示すように、より正確と推定される方の測位結果を、前記GPS測位手段12の測位毎に前記自律測位手段13の初期位置に設定することである。
【0067】
前記エラー値判断基準は、GPS測位手段12では、たとえば測位に使用したGPS電波の誤差分散値の内、最も低い値であり、一方、自律測位手段13では、歩数×歩幅×所定エラー率から成る見積もりエラー値(m)である。前記所定エラー率は、たとえば5%に選ばれる。
【0068】
【表1】

【0069】
図10は、制御手段15による上述の動作を説明するためのフローチャートである。前述の図7で示す動作と同一の動作には、同一のステップ番号を付して示し、その説明を省略する。本実施の形態では、前記ステップS5において、GPS測位の結果を自律測位の初期位置に設定した後、前記ステップS9に移り、乗り物に乗車しているか否かの状態検知が行われ、乗車している場合には前記ステップS10以降の処理に移り、乗車していない場合にはステップS31およびS32の並列処理に移る。ステップS31では、予め定める周期、たとえば5分毎の間欠にGPS測位が行われ、これに対してステップS32では、予め定める周期、たとえば1秒毎に自律測位が行われる。
【0070】
前記ステップS31,S32からはステップS33に移り、前記誤差分散値からGPS測位による精度を評価し、0より大きく、かつ予め定める値a1以下である場合にはステップS34に移り、前記値a1より大きい場合にはステップS35に移る。ステップS34では、前記見積もりエラー値を評価し、0より大きく、かつ予め定める値b1以下である場合、すなわちGPS電波の受信状況が好ましく、かつ自律測位での誤差も比較的小さい場合にはステップS36に移り、GPS測位手段12または自律測位手段13の測位結果が、自律測位手段13の初期位置に設定されて前記ステップS9に戻る。一方、前記ステップS34において、前記見積もりエラー値が前記値b1より大きい場合、すなわちGPS電波の受信状況が好ましく、かつ自律測位での誤差が比較的大きい場合にはステップS37に移り、GPS測位手段12の測位結果が、自律測位手段13の初期位置に設定されて前記ステップS9に戻る。
【0071】
同様に、ステップS35でも前記見積もりエラー値を評価し、0より大きく、かつ予め定める値b1以下である場合、すなわちGPS電波の受信状況があまり好ましくなく、かつ自律測位での誤差が比較的小さい場合にはステップS38に移り、自律測位手段13の測位結果が、その自律測位手段13の次の測位にあたっての初期位置に設定されて前記ステップS9に戻る。一方、前記ステップS35において、前記見積もりエラー値が前記値b1より大きい場合、すなわちGPS電波の受信状況があまり好ましくなく、かつ自律測位での誤差も比較的大きい場合にはステップS39に移り、GPS測位手段12または自律測位手段13の測位結果が、自律測位手段13の初期位置に設定されて前記ステップS9に戻る。
【0072】
なお、前記ステップS36,S39において、自律測位手段13の初期位置に、GPS測位手段12の測位結果と自律測位手段13の測位結果とのいずれを採用するかは、さらに条件を設定するなどして、任意に選択されればよい。
【0073】
以上のようにして、自律測位手段13における初期位置を更新(設定)するにあたって、前記ステップS33およびS34においてGPS測位結果と自律測位結果とを比較し、それぞれに予め設定されるエラー値判断基準に基づき、より正確と推定される方の測位結果を自律測位手段13の初期位置として採用するので、自律測位のための初期位置を、適切に更新(設定)することができる。
【0074】
[実施の形態3]
図11は、本発明の実施の第3の形態に係るセキュリティ端末の動作を説明するための図である。このセキュリティ端末も、前述のセキュリティ端末1の構成を用いることができ、前記制御手段15の動作プログラムが、この図11と前述の図8とで異なるだけである。注目すべきは、このセキュリティ端末では、前記センター装置3からの検索指示に応答して位置情報を送信するにあたって、制御手段15は、前記表1で示すように、GPS測位手段12および自律測位手段13の測位結果から、それぞれに予め設定されるエラー値判断基準に基づき、より正確と推定される方の測位結果を送信することである。
【0075】
すなわち、前記ステップS21でセンター装置3からの検索指示を受信し、ステップS22でGPS測位を行い、そのGPS測位が可能であった場合にはステップS43に移り、前記誤差分散値からGPS測位による精度を評価し、0より大きく、かつ予め定める値a1以下である場合にはステップS44に移り、前記値a1より大きい場合にはステップS45に移る。ステップS44では、前記見積もりエラー値を評価し、0より大きく、かつ予め定める値b1以下である場合、すなわちGPS電波の受信状況が好ましく、かつ自律測位での誤差も比較的小さい場合にはステップS46に移り、GPS測位手段12または自律測位手段13の測位結果を前記センター装置3へ送信する。一方、前記ステップS44において、前記見積もりエラー値が前記値b1より大きい場合、すなわちGPS電波の受信状況が好ましく、かつ自律測位での誤差が比較的大きい場合にはステップS47に移り、GPS測位手段12の測位結果が前記センター装置3へ送信される。
【0076】
同様に、ステップS45でも前記見積もりエラー値を評価し、0より大きく、かつ予め定める値b1以下である場合、すなわちGPS電波の受信状況があまり好ましくなく、かつ自律測位での誤差が比較的小さい場合にはステップS48に移り、自律測位手段13の測位結果が前記センター装置3へ送信される。一方、前記ステップS45において、前記見積もりエラー値が前記値b1より大きい場合、すなわちGPS電波の受信状況があまり好ましくなく、かつ自律測位での誤差も比較的大きい場合にはステップS49に移り、GPS測位手段12または自律測位手段13の測位結果が前記センター装置3へ送信される。
【0077】
このように構成することで、センター装置3からの検索指示に対しても、GPS測位結果と自律測位結果とのうち、より正確と推定される方の測位結果を送信することができる。
【0078】
[実施の形態4]
図12は、本発明の実施の第4の形態に係るセキュリティ端末の動作を説明するための図である。このセキュリティ端末も、前述のセキュリティ端末1の構成を用いることができ、前記制御手段15の動作プログラムが、次の図13と前述の図8とで異なるだけである。注目すべきは、このセキュリティ端末では、図12で示すように、前記制御手段15は、前記振動検知手段によって使用者の歩行または走行に対応した振動が検知されている状態で、前記自律測位手段13による測位結果に対して前記GPS測位手段12による測位結果が予め定める範囲α外となっている場合、報知手段である表示入力手段17から使用者4へ、および/または無線通信手段14からセンター装置3へ、GPS測位の異常を報知することである。
【0079】
すなわち、振動検知手段によって使用者4の歩行または走行に対応した振動が検知されている状態では、自律測位手段13による測位結果は或る程度信用することができ、これに対して、その測位結果からGPS測位手段12による測位結果が予め定める範囲外となっている場合、該GPS測位手段12において、受信できる衛星が減少したり、マルチパスなどの誤差を生じる要因が発生したものと考えられ、報知を行う。
【0080】
図13を参照して、前記ステップS21でセンター装置3からの検索指示を受信すると、ステップS52でGPS測位および自律測位を行い、ステップS23で、そのGPS測位が不可能であった場合は前記ステップS25〜S28の処理を行い、可能であった場合にはステップS53に移り、GPS測位位置の評価が行われる。その結果、自律測位位置から前記範囲α以内であれば前記ステップS24に移り、GPS測位位置を前記センター装置3へ送信し、範囲α外であればステップS54に移り、自律測位位置およびGPS測位の異常をセンター装置3へ報知する。
【0081】
このように構成することで、測位結果が異常のままで、GPS測位手段12の測位結果を採用してしまうことを防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0082】
【図1】本発明の実施の第1の形態に係るセキュリティ端末を用いた位置情報システムの概要を示す図である。
【図2】図1で示す構成の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】振動検知手段としての1軸の加速度センサの出力例を示すグラフである。
【図4】振動検知手段としての1軸の加速度センサの出力例を示すグラフである。
【図5】加速度センサの出力スペクトルの一例を示すグラフである。
【図6】3軸加速度センサにおけるX,Z軸方向の加速度信号の静止時と乗り物乗車時とにおける相関の例を示すグラフである。
【図7】センター装置からの検索指示の待受け状態である定常時の動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】センター装置からの検索指示を受信した場合の応答動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】本発明の実施の第2の形態に係るセキュリティ端末の動作を説明するための図である。
【図10】図9で示す動作を説明するためのフローチャートである。
【図11】本発明の実施の第3の形態に係るセキュリティ端末の動作を説明するための図である。
【図12】本発明の実施の第4の形態に係るセキュリティ端末の動作を説明するための図である。
【図13】図12で示す動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0083】
1 セキュリティ端末
2 通信ネットワーク
3 センター装置
4 利用者
11 GPS受信手段
12 GPS測位手段
13 自律測位手段
14 無線通信手段
15 制御手段
16 記憶手段
17 表示入力手段
21〜23 基地局
31 無線通信手段
32 制御手段
33 記憶手段
34 表示入力手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者によって所持される測位装置において、
外部電波を受信し、その受信結果から演算によって現在位置を求める電波利用測位手段と、
初期位置に、その初期位置からの移動方向および移動量を積算して現在位置を求める自律測位手段と、
該測位装置の振動状態を検知する振動検知手段と、
前記電波利用測位手段および自律測位手段の測位結果から、より正確と推定される方の測位結果もしくは2種類の測位手段による測位結果を融合した値を現在位置とするとともに、前記振動検知手段の検知結果に応答して、前記電波利用測位手段および自律測位手段の動作状態を制御する制御手段とを含むことを特徴とする測位装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記振動検知手段の検知結果から、乗り物による移動中であると判定される場合には、少なくとも前記自律測位手段の動作を停止させることを特徴とする請求項1記載の測位装置。
【請求項3】
前記制御手段は、自律測位手段による測位が不能になった時点で前記振動検知手段によって状態検知処理を行い、その検知結果に応じて前記電波利用測位手段および自律測位手段を制御することを特徴とする請求項1または2記載の測位装置。
【請求項4】
前記制御手段は、前記振動検知手段によって使用者の歩行または走行に対応した振動が検知されていると、前記電波利用測位手段および自律測位手段の測位結果に対して、それぞれに予め定めるエラー判断基準から、より正確と推定される方の測位結果を、前記自律測位手段における初期位置として更新させることを特徴とする請求項1または2記載の測位装置。
【請求項5】
報知手段をさらに備え、
前記制御手段は、前記振動検知手段によって使用者の歩行または走行に対応した振動が検知されている状態で、前記自律測位手段による測位結果に対して前記電波利用測位手段による測位結果が予め定める範囲外となっている場合、前記報知手段に電波利用測位手段の異常を報知させることを特徴とする請求項1または2記載の測位装置。
【請求項6】
前記請求項1〜5のいずれか1項に記載の測位装置において、無線通信網を介して測位結果を送信することができる無線通信手段をさらに備え、
前記測位装置にコマンドを送信し、それに応答して返信された測位結果を受信する無線通信手段と、受信した測位結果を記憶する記憶手段と、受信した測位結果を表示する表示手段とを備えて構成されるセンター装置をさらに備えて成ることを特徴とする位置情報システム。
【請求項7】
前記センター装置からの測位結果の送信要求に応答して、前記制御手段は、前記電波利用測位手段による測位が成功した場合はその測位結果を、測位に失敗した場合は、前記振動検知手段の検知結果から、乗り物による移動中でないと判定される場合にのみ、前記自律測位手段の測位結果を送信することを特徴とする請求項6記載の位置情報システム。
【請求項8】
前記電波利用測位手段は、複数のGPS衛星からの電波を受信するGPS受信手段、およびその受信信号から、演算によって、複数の衛星からの距離をそれぞれ求め、現在位置を絶対測位するGPS測位手段と、複数の携帯電話の電波を受信する携帯電波受信手段、およびその受信信号から、演算によって、複数の基地局からの距離をそれぞれ求め、現在位置を絶対測位する携帯電波測位手段とであり、
前記センター装置からの測位結果の送信要求に応答して、前記制御手段は、前記GPS測位手段による測位が成功した場合はその測位結果を送信し、測位に失敗した場合に前記携帯電波受信手段および携帯電波測位手段に測位を行わせることを特徴とする請求項6記載の位置情報システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図13】
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【図9】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−242578(P2006−242578A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−54336(P2005−54336)
【出願日】平成17年2月28日(2005.2.28)
【出願人】(000005832)松下電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】