説明

演奏端末

【課題】複数のユーザがそれぞれの携帯端末を用いて演奏を行なうことにより、一体感を楽しめる技術を提供することを目的とする。
【解決手段】マスターはマスター端末において、楽曲演奏速度に応じて、一定のクロック周期を有するガイド音を鳴らす。クライアントはクライアント端末において、ガイド音と同一のクロック周期を有するフォロー音を鳴らす。クライアントは、ガイド音およびフォロー音の立ち上がりエッジを揃えることにより、マスター端末およびクライアント端末の間で同期調整を行なうことができる。マスターおよびクライアントは、それぞれマスター端末およびクライアント端末に演奏開始指示を与えることにより、その後にガイド音およびフォロー音が立ち上がるときに、同時に演奏を開始することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数のユーザがそれぞれの携帯端末を用いて演奏を行なうことにより、一体感を楽しめる技術に関する。
【背景技術】
【0002】
最近では、携帯端末を用いて楽しめるゲームが開発されている。さらに、携帯端末ボタンを操作することにより楽しめるゲームのみならず、携帯端末を振るまたは傾けることにより楽しめるゲームが開発されている。携帯端末を動かすことにより楽しめるゲームが、以下の非特許文献1に紹介されている。
【0003】
非特許文献1の携帯端末は、携帯端末の動きを検知するために、加速度センサまたはカメラセンサを備えている。加速度センサまたはカメラセンサが検知した携帯端末の動きは、携帯端末の音声再生および画像再生にそのまま反映される。たとえば、ユーザが携帯端末を左下から右上に振り上げることにより、携帯端末はサーベルを振りかざす効果音を音声再生できるため、ユーザは実際にサーベルを振りかざすような体感を味わえる。
【0004】
【非特許文献1】遠藤 学、“これからのモバイルゲームはケータイを振って傾けて遊ぶ”、[online]、平成19年4月24日、アイティーメディア株式会社、[平成19年6月21日検索]、インターネット<URL:http://plusd.itmedia.co.jp/mobile/articles/0704/24/news103.html>
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
非特許文献1の携帯端末においては、ユーザは携帯端末を動かすことにより、ゲームを楽しめるのみならず、楽曲演奏をも楽しめる。ここで、複数のユーザが楽曲演奏を楽しむためには、複数の携帯端末は音声再生を同期させる必要がある。しかし、複数のユーザはそれぞれの携帯端末において、楽曲演奏を開始するための携帯端末ボタンを異なるタイミングで操作することが通常である。そのため、複数の携帯端末は音声再生を同期させることができない。
【0006】
複数の携帯端末が音声再生を同期させる方法として、GPSを利用して絶対時間を計測する方法がある。しかし、GPSを利用する方法はコスト高につながる。また、複数の携帯端末が機種を異にするときに、音声再生を同期させることができなければ、ユーザが音声再生のずれを修正することは困難である。
【0007】
そこで、本発明は前記問題点に鑑み、複数のユーザがそれぞれの携帯端末を用いて演奏を行なうことにより、一体感を楽しめる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、演奏端末であって、音声情報に基づいて音声を再生する音声情報再生手段と、前記音声情報再生手段による音声の再生と、他の演奏端末が備える前記音声情報再生手段による音声の再生とを同期させることを目的として、基準クロック音を再生する基準クロック音再生手段と、を備え、前記基準クロック音に基づいて同期調整された演奏端末間で、音声を同期して再生することを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、演奏端末であって、音声情報に基づいて音声を再生する音声情報再生手段と、比較クロック音を再生する比較クロック音再生手段と、前記音声情報再生手段による音声の再生と、他の演奏端末が備える前記音声情報再生手段による音声の再生とを同期させることを目的として、前記他の演奏端末に含まれる一の演奏端末により再生された基準クロック音に同期して、前記比較クロック音を再生させるタイミングをユーザに設定させる同期設定手段と、を備え、前記基準クロック音に基づいて同期調整された演奏端末間で、音声を同期して再生することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の演奏端末において、前記同期設定手段は、前記基準クロック音が立ち上がるときに、前記比較クロック音が立ち上がるように、前記比較クロック音が立ち上がるタイミングをユーザに設定させる手段、を含むことを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1に記載の演奏端末において、さらに、前記音声情報再生手段による音声情報に基づく音声の再生を開始させるためのトリガが与えられた後に、前記基準クロック音が立ち上がるときに、前記音声情報再生手段に対して音声情報に基づく音声の再生を開始させる手段、を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項2または請求項3に記載の演奏端末において、さらに、前記音声情報再生手段による音声情報に基づく音声の再生を開始させるためのトリガが与えられた後に、前記比較クロック音が立ち上がるときに、前記音声情報再生手段に対して音声情報に基づく音声の再生を開始させる手段、を備えることを特徴とする。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の演奏端末において、さらに、前記演奏端末が動く方向およびタイミングを検知する手段と、前記演奏端末が動くべき方向およびタイミングを規定する手段と、前記演奏端末が動く方向およびタイミングと、前記演奏端末が動くべき方向およびタイミングと、がそれぞれ一致する程度に応じて、前記音声情報再生手段が実際に再生する音声を決定する手段と、を備えることを特徴とする。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の演奏端末において、さらに、前記演奏端末が動く方向およびタイミングと、前記演奏端末が動くべき方向およびタイミングと、がそれぞれ一致する程度に応じて、得点を表示する手段、を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の演奏端末において、さらに、前記演奏端末が動くべき方向およびタイミングを表示する手段、を備えることを特徴とする。
【0016】
請求項9に記載の発明は、請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の演奏端末において、さらに、前記演奏端末が動く方向を検知する手段と、前記演奏端末が動く方向に応じて、画像を表示する手段と、を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
複数のユーザは、それぞれの携帯端末を手に持ってパフォーマンスを行なうことにより、パフォーマンスおよび楽曲演奏を楽しめる。複数の携帯端末が音声再生を同期させるために、複数のユーザがそれぞれ担う役割は異なる。複数のユーザを、それぞれが担う役割に応じて、マスターおよびクライアントと定義する。マスターおよびクライアントが手に持つ携帯端末を、それぞれマスター端末およびクライアント端末と定義する。
【0018】
マスターおよびクライアントは、パフォーマンスの準備を行なうときに、マスター端末およびクライアント端末の間で音声再生を同期させるための準備を行なう。具体的には、マスターはマスター端末において、楽曲演奏速度に応じて、一定のクロック周期を有するガイド音を鳴らす。そして、クライアントはクライアント端末において、ガイド音と同一のクロック周期を有するフォロー音を鳴らす。さらに、クライアントは、ガイド音が立ち上がるときに、フォロー音も立ち上がるように、フォロー音を鳴らすタイミングを調整する。
【0019】
マスターおよびクライアントは、パフォーマンスを開始するときに、それぞれマスター端末およびクライアント端末に演奏を開始するように指示する。そして、マスター端末およびクライアント端末は、演奏開始指示後にそれぞれガイド音およびフォロー音が立ち上がるときに演奏を開始する。これにより、マスター端末およびクライアント端末が機種を異にするときであっても、マスターおよびクライアントは、簡便にマスター端末およびクライアント端末の間で音声再生を同期させることができて、パフォーマンスを通じて一体感を楽しむことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
{携帯端末システムの全体構成}
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施の形態について説明する。まず、携帯端末システムの全体構成について説明する。図1は、携帯端末システムの全体構成を示す図である。楽曲サーバ1は、演奏情報を格納しており、マスター端末2M、クライアント端末2C、オーディエンス端末2Aに、演奏情報を提供する。マスター端末2M、クライアント端末2C、オーディエンス端末2Aは、それぞれ、マスターM、クライアントC、オーディエンスAが携帯する端末である。以上の3種類の端末は、図2で説明する携帯端末2の構成要素を同様に備えるが、携帯端末システムにおいて担う役割は異なる。
【0021】
マスターMおよびクライアントCは、それぞれマスター端末2Mおよびクライアント端末2Cを用いて、グループGを結成してパフォーマンスを行なう。具体的には、マスターMは、楽曲サーバ1にグループGを作成することを要求する。また、クライアントCは、楽曲サーバ1にグループGに加入することを要求する。そして、楽曲サーバ1は、マスターMおよびクライアントCに、演奏情報を提供する。
【0022】
マスターMおよびクライアントCが所有する演奏情報には、音声情報および画像情報などが含まれる。音声情報とは、マスター端末2Mおよびクライアント端末2Cによる音声再生についての情報である。画像情報とは、マスターMおよびクライアントCによる振り付けについての情報である。マスターMおよびクライアントCは、音声再生および振り付けを対応付けて、個人でまたは共同でパフォーマンスを練習できて、本番のパフォーマンスに臨める。
【0023】
オーディエンスAは、オーディエンス端末2Aを用いて、本番のパフォーマンスに参加する。具体的には、オーディエンスAは、楽曲サーバ1に本番のパフォーマンスに参加することを要求する。そして、楽曲サーバ1は、オーディエンスAに、演奏情報を提供する。
【0024】
オーディエンスAが所有する演奏情報にも、音声情報および画像情報などが含まれる。音声情報とは、オーディエンス端末2Aによる音声再生についての情報である。画像情報とは、動作方向に応じて発光色が変化するペンライトとして、オーディエンス端末2Aを機能させるための情報である。
【0025】
マスターM、クライアントC、オーディエンスAは、携帯端末2を用いてパフォーマンスを行なう、または、携帯端末2を用いてパフォーマンスに参加することにより、一体感を楽しむことができる。
【0026】
{携帯端末の構成要素}
次に、携帯端末2の構成要素について説明する。図2は、携帯端末2の構成要素を示すブロック図である。携帯端末2として、携帯電話機または携帯ゲーム機などがあげられる。携帯端末2は、操作部21、センサ部22、スピーカ23、モニタ24、制御部25、無線部26、記憶部27などから構成されている。
【0027】
操作部21は、ユーザによる操作を受け付ける。操作部21として、操作ボタンまたはタッチパネルなどがあげられる。
【0028】
センサ部22は、ユーザによる携帯端末2の動きを検知する。センサ部22として、加速度センサまたはカメラセンサなどがあげられる。
【0029】
スピーカ23は、楽曲サーバ1から携帯端末2にダウンロードされた音声情報などを音声出力する。
【0030】
モニタ24は、楽曲サーバ1から携帯端末2にダウンロードされた画像情報などを画像出力する。操作部21がタッチパネルであるときには、操作部21およびモニタ24はタッチパネルとして機能する。
【0031】
制御部25は、楽曲サーバ1へのアクセス、音声情報の音声再生、画像情報の画像再生などを制御する。制御部25の構成要素については後述する。
【0032】
無線部26は、楽曲サーバ1にアクセスして、グループの作成、グループへの加入、演奏情報の提供などを要求する。
【0033】
記憶部27は、楽曲サーバ1から携帯端末2にダウンロードされた演奏情報を記憶する。演奏情報の構成要素については、図3および図4を用いて後述する。
【0034】
制御部25は、音声再生部251、画像再生部252、同期調整部253、開始決定部254、タイミング判定部255などから構成されている。
【0035】
音声再生部251は、楽曲サーバ1から携帯端末2にダウンロードされた音声情報などを音声再生して、スピーカ23に音声情報などを音声出力させる。
【0036】
画像再生部252は、楽曲サーバ1から携帯端末2にダウンロードされた画像情報などを画像再生して、モニタ24に画像情報などを画像出力させる。
【0037】
同期調整部253は、パフォーマンスの準備段階において、複数の携帯端末2による音声情報の音声再生が同期するように準備を行なう。
【0038】
開始決定部254は、パフォーマンスの開始段階において、複数の携帯端末2による音声情報の音声再生を同時に開始させる。
【0039】
タイミング判定部255は、画像情報に規定された振り付けとユーザが行なう振り付けが一致したときに、音声情報に規定された音声再生が実際に行なわれるようにする。
【0040】
図3は、各携帯端末2がダウンロードする演奏情報の内容を示す図である。各携帯端末2がダウンロードする演奏情報は、同一の楽曲についての演奏情報である。しかし、各携帯端末2が担う役割が異なることを反映して、各携帯端末2がダウンロードする演奏情報の内容は異なる。
【0041】
各携帯端末2がダウンロードする演奏情報は、パート譜面などに相当する3個のトラックT1、T2、T3から構成されている。マスターMおよびクライアントCは、トラックT1、T2、T3をダウンロードする。オーディエンスAは、トラックT3をダウンロードする。
【0042】
マスターMは、トラックT1を自演奏情報271Mとして、トラックT2を他演奏情報272Mとして、トラックT3を伴奏情報273Mとして、ダウンロードする。すなわち、マスターMは、トラックT1については自身がパフォーマンスを行なうことにより演奏を行なうが、トラックT2についてはクライアントCに演奏を委ねる。ただし、マスターMは、個人でパフォーマンスを練習するときに、トラックT2を参照できる。また、マスターMは、トラックT3については自身がパフォーマンスを行なうことなく伴奏演奏を行なえる。
【0043】
クライアントCは、トラックT1を他演奏情報272Cとして、トラックT2を自演奏情報271Cとして、トラックT3を伴奏情報273Cとして、ダウンロードする。すなわち、クライアントCは、トラックT2については自身がパフォーマンスを行なうことにより演奏を行なうが、トラックT1についてはマスターMに演奏を委ねる。ただし、クライアントCは、個人でパフォーマンスを練習するときに、トラックT1を参照できる。また、クライアントCは、トラックT3については自身がパフォーマンスを行なうことなく伴奏演奏を行なえる。
【0044】
オーディエンスAは、トラックT3を伴奏情報273Aとしてダウンロードするが、トラックT1、T2をダウンロードしない。すなわち、オーディエンスAは、本番のパフォーマンスにおいて、伴奏演奏を行なえる。
【0045】
図4は、各トラックの情報内容を示す図である。トラックT1は、音声情報T1S、画像情報T1P、タイミング情報T1T、ガイド音情報T1G、フォロー音情報T1Fなどから構成されている。トラックT2は、音声情報T2S、画像情報T2P、タイミング情報T2T、ガイド音情報T2G、フォロー音情報T2Fなどから構成されている。トラックT3は、音声情報T3S、画像情報T3P、フォロー音情報T3Fなどから構成されている。
【0046】
トラックT1、T2は、主旋律などを規定する情報であり、自演奏情報271または他演奏情報272としてダウンロードされる情報である。トラックT1、T2は、規定する主旋律などは異なるが、自演奏情報271または他演奏情報272として処理される方法は同様である。そこで、トラックT1について説明を行なう。
【0047】
音声情報T1Sは、自演奏情報271としてダウンロードされたときには、ユーザ自身がパフォーマンスを行なうことにより、音声再生部251が音声再生する情報である。また、音声情報T1Sは、他演奏情報272としてダウンロードされたときには、ユーザ自身がパフォーマンスを行なわなくても、音声再生部251が音声再生する情報である。
【0048】
画像情報T1Pは、ユーザがパフォーマンスを練習するときに、ユーザの振り付けを確認するための情報であり、画像再生部252が画像再生する情報である。
【0049】
タイミング情報T1Tは、ユーザが振り付けを行なうべきタイミングを規定する情報であり、タイミング判定部255が処理する情報である。タイミング判定部255は、タイミング情報T1Tに規定された振り付けのタイミングと、ユーザが行なう振り付けのタイミングと、を比較する。そして、タイミング判定部255は、両タイミングが一致したときに、音声情報T1Sの音声再生が実際に行なわれるようにする。
【0050】
ガイド音情報T1Gは、マスター端末2Mにダウンロードされたときに、パフォーマンスの準備段階において、同期調整部253がスピーカ23にガイド音を音声出力させるための情報である。ガイド音とは、音声情報T1Sの音声再生速度に応じて、マスター端末2Mが一定のクロック周期で鳴らす音である。
【0051】
フォロー音情報T1Fは、クライアント端末2Cにダウンロードされたときに、パフォーマンスの準備段階において、同期調整部253がスピーカ23にフォロー音を音声出力させるための情報である。フォロー音とは、音声情報T1Sの音声再生速度に応じて、クライアント端末2Cが一定のクロック周期で鳴らす音である。
【0052】
ガイド音およびフォロー音は、同一のクロック周期を有するが、必ずしも立ち上がりタイミングを揃えていない。クライアントCは、ガイド音およびフォロー音の立ち上がりタイミングを揃えることにより、マスター端末2Mおよびクライアント端末2Cの間で、同期調整を行なうことができる。
【0053】
トラックT3は、伴奏などを規定する情報であり、伴奏情報273としてダウンロードされる情報である。音声情報T3Sは、ユーザ自身がパフォーマンスを行なわなくても、音声再生部251が音声再生する情報である。画像情報T3Pは、ユーザがパフォーマンスに参加するときに、携帯端末2を振り動かすことにより、携帯端末2をペンライトとして機能させるための情報であり、画像再生部252が画像再生する情報である。
【0054】
フォロー音情報T3Fは、オーディエンス端末2Aにダウンロードされたときに、本番のパフォーマンスにおいて、同期調整部253がスピーカ23にフォロー音を音声出力させるための情報である。オーディエンスAは、ガイド音およびフォロー音の立ち上がりタイミングを揃えることにより、マスター端末2Mおよびオーディエンス端末2Aの間で、同期調整を行なうことができる。
【0055】
ここで、マスターMおよびクライアントCは、トラックT1、T2、T3をダウンロードするときに、トラックT1、T2、T3に含まれるすべての情報のうち、必要な情報のみをダウンロードしてもよい。また、オーディエンスAは、トラックT3をダウンロードするときに、トラックT3に含まれるすべての情報のうち、必要な情報のみをダウンロードしてもよい。
【0056】
たとえば、マスターMは、トラックT1を自演奏情報271Mとしてダウンロードするときに、ガイド音情報T1Gをダウンロードするため、フォロー音情報T1Fをもダウンロードしなくてもよい。また、マスターMは、トラックT2を他演奏情報272Mとしてダウンロードするときに、ガイド音情報T2Gおよびフォロー音情報T2Fをもダウンロードしなくてもよい。さらに、マスターMは、トラックT3を伴奏情報273Mとしてダウンロードするときに、フォロー音情報T3Fをもダウンロードしなくてもよい。
【0057】
{グループを結成する手順}
次に、グループGを結成する手順について説明する。図5は、マスターMおよびクライアントCがグループGを結成する手順を示す図である。マスターMおよびクライアントCが集まるときに、マスターMはクライアントCにグループGへの加入を勧める。マスターMおよびクライアントCは、それぞれマスター端末2Mおよびクライアント端末2Cにおいて、アプリケーションを起動する(ステップSG1)。このとき、制御部25は、楽曲サーバ1にアクセス要求を無線通信する。
【0058】
マスターMは、グループGの作成要求を行なう(ステップSG2)。ここで、マスターMは、グループGのメンバーについては通知しない。このとき、制御部25は、楽曲サーバ1にグループ作成要求を無線通信する。
【0059】
マスターMは、グループIDを取得する(ステップSG3)。ここで、グループIDは、グループGについてのグループIDであって、グループGのメンバーについてのメンバーIDではない。このとき、制御部25は、楽曲サーバ1からグループID通知を無線受信して、グループID通知をモニタ24に行なう。
【0060】
マスターMは、楽曲を選択する(ステップSG4)。このとき、制御部25は、楽曲サーバ1に楽曲提供要求を無線通信する。ここで、楽曲サーバ1は、直ちに楽曲提供を行なうわけではない。
【0061】
マスターMは、ステップSG3において取得したグループIDを、クライアントCに口頭で伝達する(ステップSG5)。クライアントCは、ステップSG5において伝達されたグループIDを入力する(ステップSG6)。このとき、制御部25は、楽曲サーバ1にグループ加入要求を無線通信する。
【0062】
マスターMは、グループGへの加入を締め切る(ステップSG7)。ここで、グループGのメンバーは、マスターMおよびクライアントCに確定する。このとき、制御部25は、楽曲サーバ1に締め切り要求を無線通信する。
【0063】
マスターMおよびクライアントCは、それぞれマスター端末2Mおよびクライアント端末2Cにおいて、マスターMがステップSG4において選択した楽曲をダウンロードする(ステップSG8)。このとき、制御部25は、楽曲サーバ1から楽曲提供を無線受信して、記憶部27に楽曲を格納する。マスターMおよびクライアントCがダウンロードした演奏情報は、図3および図4で説明した演奏情報である。
【0064】
図3においては、楽曲サーバ1は、マスターMに対して、トラックT1を自演奏情報271Mとして、トラックT2を他演奏情報272Mとして、楽曲提供を行なう。また、楽曲サーバ1は、クライアントCに対して、トラックT1を他演奏情報272Cとして、トラックT2を自演奏情報271Cとして、楽曲提供を行なう。
【0065】
図3とは異なり、楽曲サーバ1は、マスターMに対して、トラックT2を自演奏情報271Mとして、トラックT1を他演奏情報272Mとして、楽曲提供を行なってもよい。また、楽曲サーバ1は、クライアントCに対して、トラックT2を他演奏情報272Cとして、トラックT1を自演奏情報271Cとして、楽曲提供を行なってもよい。
【0066】
楽曲サーバ1は、楽曲提供を行なう各携帯端末2の役割に応じて、各携帯端末2に楽曲提供を行なってもよい。たとえば、図3においては、楽曲サーバ1は、マスターMがトラックT1を自身で演奏して、クライアントCがトラックT2を自身で演奏するように、マスター端末2Mおよびクライアント端末2Cに楽曲提供を行なってもよい。また、マスターMは一人であるが、クライアントCは複数であるときには、楽曲サーバ1は、複数のクライアントCがグループGに加入した順序に応じて、マスター端末2Mおよび複数のクライアント端末2Cに楽曲提供を行なってもよい。
【0067】
{同期調整を行なう手順}
次に、パフォーマンスを開始するにあたり、複数の携帯端末2の間で同期調整を行なう手順について説明する。図6は、マスターMおよびクライアントCが同期調整を行なう手順を示す図である。マスターMおよびクライアントCは、それぞれマスター端末2Mおよびクライアント端末2Cにおいて、アプリケーションを起動する(ステップSS1)。
【0068】
マスターMは、マスター端末2Mにおいて、ガイド音を発音する(ステップSS2)。このとき、同期調整部253は、ガイド音発音の要求を操作部21から受けて、自演奏情報271Mのうちガイド音情報T1Gを記憶部27から取得する。そして、同期調整部253は、ガイド音発音のクロック周期の情報をガイド音情報T1Gから参照して、ガイド音をスピーカ23に音声出力させる。
【0069】
クライアントCは、クライアント端末2Cにおいて、同期調整を行なう(ステップSS3)。このとき、同期調整部253は、フォロー音発音の要求を操作部21から受けて、自演奏情報271Cのうちフォロー音情報T2Fを記憶部27から取得する。そして、同期調整部253は、フォロー音発音のクロック周期の情報をフォロー音情報T2Fから参照して、フォロー音をスピーカ23に音声出力させる。
【0070】
ガイド音発音およびフォロー音発音のクロック周期は同一である。しかし、ガイド音発音およびフォロー音発音の立ち上がりエッジは一致しないことが通常である。すなわち、マスター端末2Mおよびクライアント端末2Cは同期調整を取れていないことが通常である。
【0071】
マスター端末2Mおよびクライアント端末2Cが同期調整を取れているならば(ステップSS4においてYES)、マスターMおよびクライアントCは、パフォーマンスを開始する直前のスタンバイ状態に入る(ステップSS5)。このとき、同期調整部253は、スタンバイ要求を操作部21から受けて、ガイド音発音およびフォロー音発音の立ち上がりエッジを確定する。
【0072】
マスター端末2Mおよびクライアント端末2Cが同期調整を取れていないならば(ステップSS4においてNO)、マスター端末2Mおよびクライアント端末2Cが同期調整を取れるまで、クライアントCは、クライアント端末2Cにおいて、同期調整を繰り返す(ステップSS3)。
【0073】
マスターMおよびクライアントCは、パフォーマンスを開始する(ステップSS6)。このとき、開始決定部254は、演奏開始要求を操作部21から受けて、音声再生を音声再生部251に開始させるなどの処理を行なう。
【0074】
図7は、同期調整方法を示すタイムチャートである。左端から右端まで進行するに従って、時刻t1、t2、t3の順序で時間が経過する。ガイド音波形253Mは、マスター端末2Mによるガイド音波形であり、フォロー音波形253Cは、クライアント端末2Cによるフォロー音波形である。ガイド音波形253Mおよびフォロー音波形253Cは、同一クロック周期を有する矩形波として記載されている。
【0075】
時刻t1において、マスターMは、操作部21のボタンを押すことにより、ガイド音発音を開始する(ステップSS2)。時刻t2において、クライアントCは、操作部21のボタンを押すことにより、フォロー音発音を開始する(ステップSS3)。
【0076】
しかし、ガイド音波形253Mおよびフォロー音波形253Cの立ち上がりエッジは一致していない(ステップSS4においてNO)。すなわち、マスター端末2Mおよびクライアント端末2Cが、それぞれガイド音波形253Mおよびフォロー音波形253Cの立ち上がりエッジにおいて「ピッ」と発音するとすれば、両端末が合わせて「ピピッ」と発音していることを、マスターMおよびクライアントCは感知する。
【0077】
時刻t3において、クライアントCは、操作部21のボタンを再度押すことにより、再度同期調整を行なう(ステップSS3)。そして、ガイド音波形253Mおよびフォロー音波形253Cの立ち上がりエッジは一致している(ステップSS4においてYES)。すなわち、両端末が合わせて「ピッ」と発音していることを、マスターMおよびクライアントCは感知する。ここで、ガイド音発音およびフォロー音発音が異なる音程で行なわれるならば、ガイド音発音およびフォロー音発音のタイミングが一致するときであっても、ガイド音発音およびフォロー音発音を容易に区別できる。
【0078】
図8は、同期調整時にモニタ24に表示される画像を示す図である。マスター端末2Mおよびクライアント端末2Cのモニタ24に表示される画像は基本的には同様である。しかし、同期調整セットボタン245は、クライアントCが同期調整を行なうために使用するボタンであるが、マスターMは使用しないボタンである。
【0079】
拍子表示部244は、楽曲の拍子数と同一個数の領域に等分割された円形表示である。図8においては、楽曲の拍子数は4拍子であるため、拍子表示部244は4個の領域に等分割される。このとき、同期調整部253は、ガイド音発音の要求を操作部21から受けて、自演奏情報271Mのうちガイド音情報T1Gを記憶部27から取得する。そして、同期調整部253は、ガイド発音のクロック周期の情報、および、楽曲の拍子数の情報を、ガイド音情報T1Gから参照する。さらに、同期調整部253は、ガイド音をスピーカ23に音声出力させるとともに、拍子表示部244をモニタ24に画像出力させる。
【0080】
時刻t1において、ガイド音波形253Mの立ち上がりエッジ時に、マスター端末2Mの拍子表示部244は、4個の領域のうち右上の領域を点灯させる(ステップSS2)。時刻t2において、フォロー音波形253Cの立ち上がりエッジ時に、クライアント端末2Cの拍子表示部244は、4個の領域のうち右上の領域を点灯させる(ステップSS3)。そして、マスター端末2Mおよびクライアント端末2Cの拍子表示部244は、それぞれ以降のガイド音波形253Mおよびフォロー音波形253Cの立ち上がりエッジ時ごとに、右上の領域から点灯方向矢印244Aの方向に点灯領域を移動させる。
【0081】
しかし、ガイド音波形253Mおよびフォロー音波形253Cの立ち上がりエッジは一致していないことに対応して、マスター端末2Mおよびクライアント端末2Cによる拍子表示部244の点灯タイミングは一致していない(ステップSS4においてNO)。
【0082】
時刻t3において、フォロー音波形253Cの立ち上がりエッジ時に、クライアント端末2Cの拍子表示部244は、4個の領域のうち右上の領域を点灯させる(ステップSS3)。そして、ガイド音波形253Mおよびフォロー音波形253Cの立ち上がりエッジは一致していることに対応して、マスター端末2Mおよびクライアント端末2Cによる拍子表示部244の点灯タイミングは一致している(ステップSS4においてYES)。
【0083】
マスターMおよびクライアントCは、完了ボタン246を押すことにより、パフォーマンスを開始する直前のスタンバイ状態に入る(ステップSS5)。マスターMおよびクライアントCは、演奏開始ボタン247を押すことにより、それぞれマスター端末2Mおよびクライアント端末2Cにおいて、パフォーマンスを開始する(ステップSS6)。
【0084】
図7で説明した方法を使用すれば、ガイド音発音およびフォロー音発音のタイミングを揃えることにより、マスター端末2Mおよびクライアント端末2Cの間で同期調整を行なうことができる。図7で説明した方法と合わせて、図8で説明した方法を使用すれば、マスター端末2Mおよびクライアント端末2Cによる拍子表示部244の点灯タイミングを揃えることによっても、両端末間で同期調整を行なうことができる。さらに、ガイド音発音およびフォロー音発音の立ち上がりエッジ時に、マスター端末2Mおよびクライアント端末2Cがバイブレーション機能により振動するならば、各端末による振動タイミングを揃えることによっても、両端末間で同期調整を行なうことができる。
【0085】
次に、パフォーマンスを開始する直前に、複数の携帯端末2の間で演奏開始を同時に行なう手順について説明する。図9は、演奏開始方法を示すタイムチャートである。左端から右端まで進行するに従って、時刻t4から時刻t8までの順序で時間が経過する。ガイド音波形253Mおよびフォロー音波形253Cは、図6から図8までで説明した同期調整方法により、すでに同期がとられている。
【0086】
時刻t4において、ガイド音波形253Mおよびフォロー音波形253Cの立ち上がりエッジ時に、マスターMは「いち」と発する。時刻t4以降は、時刻t5、t6、t7において、ガイド音波形253Mおよびフォロー音波形253Cの立ち上がりエッジ時に、マスターMはそれぞれ「に」、「さん」、「はい」と発する。図8で説明したように、楽曲の拍子数は4拍子であるため、マスターMは「いち、に、さん、はい」と発する。
【0087】
時刻t7において、マスターMが「はい」と発することにより、マスターMおよびクライアントCは演奏開始ボタン247を押す。しかし、マスターMおよびクライアントCが演奏開始ボタン247を押すタイミングは、時刻t7とわずかに一致しないことが通常である。また、マスターMおよびクライアントCが演奏開始ボタン247を押すタイミングは、相互にわずかに一致しないことが通常である。図9においては、マスターMが時刻t7からわずかに時間が経過した後に演奏開始ボタン247を押したことを示すタイミングポイント247M、および、クライアントCがマスターMに遅れて演奏開始ボタン247を押したことを示すタイミングポイント247Cが記載されている。
【0088】
時刻t8において、ガイド音波形253Mおよびフォロー音波形253Cの立ち上がりエッジ時に、マスター端末2Mおよびクライアント端末2Cは演奏を開始する(ステップSS6)。このとき、開始決定部254は、演奏開始要求を操作部21から受けて、音声再生を音声再生部251に開始させるなどの処理を行なう。すなわち、マスターMおよびクライアントCが時刻t7に演奏開始ボタン247を押せなかったとしても、マスター端末2Mおよびクライアント端末2Cは同期調整後に同時に演奏を開始できる。
【0089】
図9においては、マスターMおよびクライアントCが演奏開始ボタン247を押したタイミング後に、次回にガイド音波形253Mおよびフォロー音波形253Cのエッジが立ち上がるときに、マスター端末2Mおよびクライアント端末2Cは演奏を開始する。ここで、次々回にガイド音波形253Mおよびフォロー音波形253Cのエッジが立ち上がるときに、マスター端末2Mおよびクライアント端末2Cは演奏を開始してもよい。特にクライアントCが演奏開始ボタン247を押すタイミングが時刻t7から大幅に遅れたときであっても、クライアントCは演奏を開始するまで猶予時間を確保できるため有効である。
【0090】
{練習から本番までの手順}
次に、練習から本番までの手順について説明する。まず、マスターMおよびクライアントCは、練習段階において、音声再生および振り付けを対応付けて記憶する。次に、マスターMおよびクライアントCは、リハーサル段階において、パフォーマンスを練習する。最後に、マスターMおよびクライアントCは、本番段階において、パフォーマンスを披露する。また、オーディエンスAは、本番段階において、パフォーマンスに参加する。
【0091】
まず、練習段階について説明する。図10は、演奏時にモニタ24に表示される画像を示す図である。マスターMおよびクライアントCは、それぞれマスター端末2Mおよびクライアント端末2Cを用いて、モニタ24を参照しながら音声再生および振り付けを対応付けて記憶する。
【0092】
振り付け矢印241は、パフォーマンスを行なうにあたり、携帯端末2を動かす方向を示す矢印である。振り付け見本242は、携帯端末2を動かす方向のみならず、全身の振り付けをも示す見本である。図10においては、振り付け矢印241は上向きの矢印についてハイライトされていて(図10では斜線が施されている)、振り付け見本242は携帯端末2を上向きに動かそうとしている。スコア表示部243は、ユーザおよび振り付け見本242による振り付けタイミングが一致する程度をスコアとして表示する。もっとも、マスターMおよびクライアントCは、音声再生および振り付けを対応付けて記憶するために、スコア表示部243を使用していない。
【0093】
練習段階では、マスター端末2Mでは、音声再生部251は、自演奏情報271Mのうち音声情報T1Sを、他演奏情報272Mのうち音声情報T2Sを、伴奏情報273Mのうち音声情報T3Sを音声再生する。また、画像再生部252は、自演奏情報271Mのうち画像情報T1Pを画像再生する。
【0094】
また、クライアント端末2Cでは、音声再生部251は、自演奏情報271Cのうち音声情報T2Sを、他演奏情報272Cのうち音声情報T1Sを、伴奏情報273Cのうち音声情報T3Sを音声再生する。また、画像再生部252は、自演奏情報271Cのうち画像情報T2Pを画像再生する。
【0095】
すなわち、マスターMおよびクライアントCは、自身が行なう演奏、他方が行なう演奏、伴奏演奏を参照できる。また、マスターMおよびクライアントCは、自身が行なう振り付けを参照できる。
【0096】
次に、リハーサル段階について説明する。マスターMおよびクライアントCは、図6から図8までで説明した同期調整方法、および、図9で説明した演奏開始方法を使用することにより、パフォーマンスを練習する。リハーサル段階においても個人練習段階と同様に、振り付け矢印241、振り付け見本242、スコア表示部243を、モニタ24に表示できる。ここでは、マスターMおよびクライアントCは、パフォーマンスの習熟度を見積もるために、スコア表示部243を使用する。
【0097】
リハーサル段階では、練習段階とは異なり、マスター端末2Mでは、音声再生部251は、他演奏情報272Mに含まれる音声情報T2Sを音声出力しない。また、クライアント端末2Cでは、音声再生部251は、他演奏情報272Cに含まれる音声情報T1Sを音声再生しない。
【0098】
すなわち、マスターMおよびクライアントCは、自身がパフォーマンスを行なうことにより、自身の主旋律の演奏を行なう。また、自身がパフォーマンスを行なうことなく、伴奏の演奏を行なう。しかし、他方の主旋律の演奏を他方に委ねる。
【0099】
ここで、マスターMおよびクライアントCがパフォーマンスの習熟度を見積もる方法について説明する。マスター端末2Mおよびクライアント端末2Cにおける手順は同様であるため、マスター端末2Mにおける手順について説明する。
【0100】
タイミング判定部255は、マスター端末2Mが動いた方向についての情報を、センサ部22から取得する。また、タイミング判定部255は、マスター端末2Mが動くべき方向についてのタイミング情報T1Tを、記憶部27から取得する。そして、タイミング判定部255は、マスター端末2Mが動いた方向およびタイミングと、マスター端末2Mが動くべき方向およびタイミングと、を比較する。タイミング判定部255は、方向およびタイミングが一致する程度に応じて、スコア表示部243にスコアを表示させる。
【0101】
図11は、演奏方法を示すタイムチャートである。左端から右端まで進行するに従って、時刻t9から時刻t13までの順序で時間が経過する。左端から右端まで描かれた実線は、最上段からそれぞれ、タイミング情報T1T、マスターMによるマスター端末2Mの動作、音声情報T1S、再生音声を示している。
【0102】
時刻t10において、動作矢印22Uに示すように、マスターMはマスター端末2Mを上方向に動かしている。しかし、振り付け矢印241Uに示すように、マスター端末2Mが上方向に動くべきタイミングは時刻t9であり、時刻t10からわずかにずれている。音声情報T1Sは、局所音声情報251Uが時刻t9において音声再生されるべきことを規定している。
【0103】
もっとも、タイミング判定部255は、局所再生音声23Uをスピーカ23に音声再生させるように、音声再生部251に要求する。しかし、タイミング判定部255は、局所再生音声23Uの音量を小さくするように、音声再生部251に要求する。さらに、タイミング判定部255は、タイミングがわずかにずれたことによる低めのスコアを、スコア表示部243に与える。
【0104】
時刻t11において、動作矢印22Rに示すように、マスターMはマスター端末2Mを右方向に動かしている。そして、振り付け矢印241Rに示すように、マスター端末2Mが右方向に動くべきタイミングは同じく時刻t11である。音声情報T1Sは、局所音声情報251Rが時刻t11において音声再生されるべきことを規定している。
【0105】
そこで、タイミング判定部255は、局所再生音声23Rをスピーカ23に音声再生させるように、音声再生部251に要求する。そして、タイミング判定部255は、局所再生音声23Rの音量を大きくするように、音声再生部251に要求する。さらに、タイミング判定部255は、タイミングが一致したことによる高めのスコアを、スコア表示部243に与える。
【0106】
時刻t13において、動作矢印22Dに示すように、マスターMはマスター端末2Mを下方向に動かしている。しかし、振り付け矢印241Dに示すように、マスター端末2Mが下方向に動くべきタイミングは時刻t12であり、時刻t13から大幅にずれている。音声情報T1Sは、局所音声情報251Dが時刻t12において音声再生されるべきことを規定している。そこで、タイミング判定部255は、局所再生音声をスピーカ23に音声再生させないように、音声再生部251に要求する。さらに、タイミング判定部255は、タイミングが大幅にずれたことにより、スコアをスコア表示部243に与えない。
【0107】
マスターMおよびクライアントCは、再生音声の音量およびスコアを参照することにより、パフォーマンスの習熟度を見積もることができる。また、タイミング判定部255は、方向およびタイミングが一致しない程度に応じて、バイブレーション機能を起動することもできる。すなわち、タイミング判定部255は、タイミングが大幅にずれたことにより、バイブレーション機能を起動することもできる。マスターMおよびクライアントCは、バイブレーションの有無を参照することにより、パフォーマンスの習熟度を見積もることができる。
【0108】
最後に、本番段階について説明する。マスターMおよびクライアントCがパフォーマンスを行なうことについては、本番段階はリハーサル段階と同様である。しかし、オーディエンスAがパフォーマンスに参加することについては、本番段階はリハーサル段階と異なる。オーディエンスAがパフォーマンスに参加する方法について説明する。
【0109】
オーディエンスAは、図5で説明した方法と同様の方法により、グループGに加入する。すなわち、オーディエンスAは、マスターMから口頭で伝達されたグループIDを入力する。そして、マスターMがグループGへの加入を締め切ることにより、オーディエンスAは図3および図4で説明した演奏情報をダウンロードする。
【0110】
オーディエンスAは、図6から図8までで説明した方法と同様の方法により、マスターMとの間で同期調整を行なう。すなわち、オーディエンスAは、フォロー音情報T3Fによるフォロー音とガイド音情報T1Gによるガイド音の立ち上がりタイミングを揃える。
【0111】
オーディエンスAは、図9で説明した方法と同様の方法により、伴奏の演奏を行なう。すなわち、オーディエンスAは、マスターMが「はい」と発するときに、演奏開始ボタン247を押すことにより、伴奏の演奏を開始する。そして、オーディエンスAは、画像情報T3Pにより、オーディエンス端末2Aをペンライトとして機能させる。
【0112】
ここで、オーディエンスAがオーディエンス端末2Aをペンライトとして機能させる方法について説明する。タイミング判定部255は、オーディエンス端末2Aが動いた方向についての情報を、センサ部22から取得する。そして、タイミング判定部255は、オーディエンス端末2Aが動いた方向に応じて、画像情報T3Pを画像再生部252に画像再生させる。
【0113】
たとえば、タイミング判定部255は、オーディエンス端末2Aが左側に動いたときには、画像情報T3Pのうち、モニタ24を赤色に発光させるための情報を、画像再生部252に画像再生させる。また、オーディエンス端末2Aが右側に動いたときには、画像情報T3Pのうち、モニタ24を青色に発光させるための情報を、画像再生部252に画像再生させる。すなわち、オーディエンスAがオーディエンス端末2Aを左右に振り動かすたびに、オーディエンス端末2Aのモニタ24は赤色および青色に交互に発光する。
【0114】
オーディエンス端末2A、マスター端末2M、クライアント端末2Cにおいて、タイミング判定部255が行なう処理はそれぞれ異なる。オーディエンス端末2Aにおいては、タイミング判定部255は、オーディエンス端末2Aが動いたタイミングに依存することなく、オーディエンス端末2Aが動いた方向に応じて、モニタ24にペンライトとして発光させる。マスター端末2Mおよびクライアント端末2Cにおいては、タイミング判定部255は、マスター端末2Mおよびクライアント端末2Cが動いた方向およびタイミングに応じて、スピーカ23に音声出力させる。
【0115】
以上の説明においては、タイミング判定部255がセンサ部22からオーディエンス端末2Aの動作方向についての情報を取得している。しかし、画像再生部252がセンサ部22からオーディエンス端末2Aの動作方向についての情報を取得してもよい。この場合には、画像再生部252は、タイミング判定部255によらないで、オーディエンス端末2Aが動いた方向に応じて、画像情報T3Pを画像再生する。
【0116】
マスターMおよびクライアントCは、それぞれパフォーマンスを行なうことにより、主旋律を演奏する。オーディエンスAは、ペンライトを振りながら、伴奏を演奏する。これにより、マスターM、クライアントC、オーディエンスAは、パフォーマンスを通じて一体感を楽しむことができる。
【図面の簡単な説明】
【0117】
【図1】携帯端末システムの全体構成を示す図である。
【図2】携帯端末の構成要素を示すブロック図である。
【図3】各携帯端末がダウンロードする演奏情報の内容を示す図である。
【図4】各トラックの情報内容を示す図である。
【図5】マスターおよびクライアントがグループを結成する手順を示す図である。
【図6】マスターおよびクライアントが同期調整を行なう手順を示す図である。
【図7】同期調整方法を示すタイムチャートである。
【図8】同期調整時にモニタに表示される画像を示す図である。
【図9】演奏開始方法を示すタイムチャートである。
【図10】演奏時にモニタに表示される画像を示す図である。
【図11】演奏方法を示すタイムチャートである。
【符号の説明】
【0118】
M マスター
C クライアント
A オーディエンス
1 楽曲サーバ
2 携帯端末
21 操作部
22 センサ部
23 スピーカ
24 モニタ
25 制御部
26 無線部
27 記憶部
251 音声再生部
252 画像再生部
253 同期調整部
254 開始決定部
255 タイミング判定部
271 自演奏情報
272 他演奏情報
273 伴奏情報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
音声情報に基づいて音声を再生する音声情報再生手段と、
前記音声情報再生手段による音声の再生と、他の演奏端末が備える前記音声情報再生手段による音声の再生とを同期させることを目的として、基準クロック音を再生する基準クロック音再生手段と、
を備え、
前記基準クロック音に基づいて同期調整された演奏端末間で、音声を同期して再生することを特徴とする演奏端末。
【請求項2】
音声情報に基づいて音声を再生する音声情報再生手段と、
比較クロック音を再生する比較クロック音再生手段と、
前記音声情報再生手段による音声の再生と、他の演奏端末が備える前記音声情報再生手段による音声の再生とを同期させることを目的として、前記他の演奏端末に含まれる一の演奏端末により再生された基準クロック音に同期して、前記比較クロック音を再生させるタイミングをユーザに設定させる同期設定手段と、
を備え、
前記基準クロック音に基づいて同期調整された演奏端末間で、音声を同期して再生することを特徴とする演奏端末。
【請求項3】
請求項2に記載の演奏端末において、
前記同期設定手段は、
前記基準クロック音が立ち上がるときに、前記比較クロック音が立ち上がるように、前記比較クロック音が立ち上がるタイミングをユーザに設定させる手段、
を含むことを特徴とする演奏端末。
【請求項4】
請求項1に記載の演奏端末において、さらに、
前記音声情報再生手段による音声情報に基づく音声の再生を開始させるためのトリガが与えられた後に、前記基準クロック音が立ち上がるときに、前記音声情報再生手段に対して音声情報に基づく音声の再生を開始させる手段、
を備えることを特徴とする演奏端末。
【請求項5】
請求項2または請求項3に記載の演奏端末において、さらに、
前記音声情報再生手段による音声情報に基づく音声の再生を開始させるためのトリガが与えられた後に、前記比較クロック音が立ち上がるときに、前記音声情報再生手段に対して音声情報に基づく音声の再生を開始させる手段、
を備えることを特徴とする演奏端末。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の演奏端末において、さらに、
前記演奏端末が動く方向およびタイミングを検知する手段と、
前記演奏端末が動くべき方向およびタイミングを規定する手段と、
前記演奏端末が動く方向およびタイミングと、前記演奏端末が動くべき方向およびタイミングと、がそれぞれ一致する程度に応じて、前記音声情報再生手段が実際に再生する音声を決定する手段と、
を備えることを特徴とする演奏端末。
【請求項7】
請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の演奏端末において、さらに、
前記演奏端末が動く方向およびタイミングと、前記演奏端末が動くべき方向およびタイミングと、がそれぞれ一致する程度に応じて、得点を表示する手段、
を備えることを特徴とする演奏端末。
【請求項8】
請求項1ないし請求項7のいずれかに記載の演奏端末において、さらに、
前記演奏端末が動くべき方向およびタイミングを表示する手段、
を備えることを特徴とする演奏端末。
【請求項9】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の演奏端末において、さらに、
前記演奏端末が動く方向を検知する手段と、
前記演奏端末が動く方向に応じて、画像を表示する手段と、
を備えることを特徴とする演奏端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2009−15105(P2009−15105A)
【公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−178116(P2007−178116)
【出願日】平成19年7月6日(2007.7.6)
【出願人】(591128453)株式会社メガチップス (322)
【Fターム(参考)】