潤滑剤劣化検出装置および検出装置付き軸受
【課題】 潤滑剤の種類に応じた劣化検出が可能な潤滑剤劣化検出装置、およびその潤滑剤劣化検出装置を備えた検出装置付き軸受を提供する。
【解決手段】 この潤滑剤劣化検出装置1は、検出対象となる潤滑剤5を互いの間に介在させる発光部2および受光部3と、マイクロコンピュータを使用した受光信号処理手段4を有する。受光信号処理手段4には、潤滑剤5中の混入物濃度を推定する判断手段6と、潤滑剤5の混入物量と透過光量との関係情報を設定した混入物量・光透過量関係設定部7とが設けられる。判断手段6は、前記混入物量・光透過量関係設定部7に設定された混入物量と透過光量との関係情報を用いて、受光部3の受光信号の強度から混入物濃度を推定して出力する。
【解決手段】 この潤滑剤劣化検出装置1は、検出対象となる潤滑剤5を互いの間に介在させる発光部2および受光部3と、マイクロコンピュータを使用した受光信号処理手段4を有する。受光信号処理手段4には、潤滑剤5中の混入物濃度を推定する判断手段6と、潤滑剤5の混入物量と透過光量との関係情報を設定した混入物量・光透過量関係設定部7とが設けられる。判断手段6は、前記混入物量・光透過量関係設定部7に設定された混入物量と透過光量との関係情報を用いて、受光部3の受光信号の強度から混入物濃度を推定して出力する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、潤滑剤の混入物などによる劣化状態を検出する潤滑剤劣化検出装置、およびその潤滑剤劣化検出装置を備えた検出装置付き軸受、例えば鉄道車両用、自動車用、産業機械用、風車設備用等の潤滑剤劣化検出装置付き軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
潤滑剤を封入した軸受では、軸受内部の潤滑剤(グリース、油など)が劣化すると転動体の潤滑不良が発生し、軸受寿命が短くなる。転動体の潤滑不良を、軸受の振動状態などから判断するのでは、寿命に達して動作異常が発生してから対処することになるため、潤滑状態の異常をより早く検出できない。そこで、軸受内の潤滑剤の状態を定期的あるいはリアルタイムに観測し、異常やメンテナンス期間の予測を可能にすることが望まれる。
【0003】
潤滑剤の劣化の主要な要因として、軸受の使用に伴って発生する摩耗粉が潤滑剤に混入することが挙げられる。
軸受の摩耗状態を検出するものとしては、軸受のシールの内側に電極やコイル等のセンサを配置し、摩耗粉の混入する潤滑剤の電気的特性を前記センサで検出するようにしたセンサ付き軸受が提案されている(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開2004−293776号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のセンサ付き軸受は、潤滑剤の電気的特性を検出するものであるため、大量の摩耗粉が入って導通が起こるなどの状況にならなければ、特性変化として検出されず、混入物の検出が困難な場合がある。
このような課題を解決するものとして、例えば図7のように、発光部32と受光部33の間に検出対象となる潤滑剤35を介在させ、発光部32から出射され潤滑剤35を透過する光を受光部33で測定することで光の透過率を求め、そこから潤滑剤35に混入する混入物の量を推定する構成のものを考えた。この場合の透過光の強度と混入物量との間には、図8にグラフで示すような関係がある。
【0005】
また、他の構成として、図9のように、光源32から出射して潤滑剤35を透過した透過光を検出する2つの光検出素子33A,33Bを、それらの光検出面の位置が互いに光の進行方向に対して所定間隔dだけずれるように配置し、これら2つの光検出素子33A,33Bの出力の信号強度を判定手段(図9では増幅器で示す)34で比較することによって潤滑剤35の劣化状態を検出するものを考えた。この場合、潤滑剤35を透過する光の透過光強度と透過距離との間には、図10にグラフで示すような関係がある。この関係は、透過光強度(透過光量)をI、透過距離をx、潤滑剤35への入射光量をIinとすると、αを定数として、
I=Iinexp(−αx) ……(1)
となる。
そこで、各光検出素子33A,33Bの出力の信号強度I0 ,I1 は、
I0 =Iinexp(−αx0 ) ……(2)
I1 =Iinexp(−αx1 ) ……(3)
となる。判定手段34を構成する増幅器が、2つの光検出素子33A,33Bの出力の信号強度の比を求めるものとすると、判定手段34の検出出力は、
(I1 /I0 )=exp(−α(x1 −x0 ))
=exp(−αd) ……(4)
となる。すなわち、増幅器の検出出力は、潤滑剤35そのものの厚さには関係なく、2つの光検出素子33A,33Bの光検出面の間隔dに依存する値となる。これにより、潤滑剤35の厚さの影響を受けずに、潤滑剤35の劣化状態を推定できる。
【0006】
さらに、他の構成例として、図7の構成において、図11のように、判定手段34から発光部32に対して点灯指令を行うことにより、発光部32で熱破壊を起こさずに大きな光量を出射させると共に、潤滑剤35を介在させずに発光部32の発光を受光する比較用の受光部33Cを追加したものを考えた。この場合、潤滑剤35を透過した光を受光する受光部33Cの光量出力と比較用の受光部33Cの光量出力とを判定手段34で比較することにより、潤滑剤35の光透過効率を求めて潤滑剤35に混入している異物の量を検出する。これにより発光部32を構成する発光素子の発光むらや電源変動などのコモンモードノイズをキャンセルすることができる。
【0007】
しかし、図7ないし図11の構成のものでは、予定した検出対象の潤滑剤について劣化検出する場合には有効であるが、検出対象の潤滑剤が複数種類に及ぶ場合に対応できないという問題がある。
【0008】
この発明の目的は、潤滑剤の種類に応じた適切な潤滑剤の劣化検出が可能な潤滑剤劣化検出装置、およびその潤滑剤劣化検出装置を備えた検出装置付き軸受を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の潤滑剤劣化検出装置は、検出対象となる潤滑剤(5)を互いの間に介在させる発光部(2)および受光部(3)(3A)(3B)と、この受光部(3)(3A)(3B)の受光信号の強度を用いて潤滑剤(5)中の混入物濃度を推定する受光信号処理手段(4)とを備えた潤滑剤劣化検出装置であって、前記受光信号処理手段(4)は、マイクロコンピュータを使用したものであり、この受光信号処理手段(4)は、潤滑剤(5)の混入物量と透過光量との関係情報を設定した混入物量・光透過量関係設定部(7)と、この混入物量・光透過量関係設定部(7)に設定された前記関係情報を用いて、前記受光部(3)(3A)(3B)の受光信号の強度から混入物濃度を推定する判断手段(6)とを有することを特徴とする。
この構成の潤滑剤劣化検出装置によると、潤滑剤(5)の混入物量と透過光量との関係情報を設定した混入物量・光透過量関係設定部(7)を設け、上記関係情報を用いて潤滑剤中の混入物濃度を推定する判断手段(6)を設けたので、潤滑剤(5)の種類毎に予め上記の関係情報を求めて設定しておくことで、潤滑剤(5)の種類に応じた適切な潤滑剤(5)の混入物濃度を推定できる。この混入物濃度から潤滑剤(5)の劣化状態がわかる。この場合に、複数種の潤滑剤(5)につき、上記関係情報を調べて混入物量・光透過量関係設定部(7)に設定しておき、前記判断手段(6)において、潤滑剤(5)の種類に応じて使用する関係情報を選択するようにすれば、複数種類の潤滑剤(5)につき、混入物濃度を推定することができる。このように推定された混入物濃度から、潤滑剤(5)の交換の必要性が判断できるため、使用期限前に廃棄される潤滑剤(5)の量を減少させることができ、また交換時期を予測することも可能となる。
受光信号処理手段(4)はマイクロコンピュータを使用したものであるため、例えば、潤滑剤(5)の種類毎にサンプルや試料を自動的に測定して、前記関係情報を潤滑剤種類毎に設定するようにプログラムすることなどで、複数種類の潤滑剤(5)についての劣化検出が容易となる。
【0010】
この発明において、前記判断手段(6)により推定された混入物濃度の値を、設定された基準しきい値と比較し、この基準しきい値を超える場合に警告信号を出す警告手段(8)を設けても良い。基準しきい値を適宜設定し、使用環境にあったタイミングで警告信号を出力させるようにすれば、潤滑剤(5)の劣化の監視が容易に行える。
【0011】
この発明において、前記マイクロコンピュータは、前記発光部(2)の点灯・消灯、および前記受光部(3)(3A)(3B)の受光信号の取り込みタイミングを制御するタイミング制御手段(9)と、前記受光部(3)(3A)(3B)の消灯時の受光信号を点灯時の受光信号から減算して、受光素子の暗電流およびノイズの影響をキャンセルする補正手段(10)とを備えるものであっても良い。
この構成の場合、点灯時の光量出力に含まれるノイズや受光部(2)を構成する受光素子の暗電流、回路のオフセットなどの影響を補正手段(10)でキャンセルできて、測定精度を向上させることができる。
【0012】
この発明において、共通の発光部(2)に対向して、検出対象となる潤滑剤(5)を通過する光路長が互いに異なるように複数の受光部(3A)(3B)を配置し、前記混入物量・光透過量関係設定部(7)は、潤滑剤(5)の混入物量と透過光量との関係情報として、潤滑剤(5)の混入物量と、複数の受光部(3A)(3B)毎の透過光量の差との関係情報を設定したものとし、前記判断手段(6)は、前記混入物量・光透過量関係設定部(7)に設定された前記関係情報を用いて、前記複数の受光部(3A)(3B)毎の透過光量の差から、混合物濃度を推定して出力するものとしても良い。
この構成の場合、潤滑剤(5)を通過する光路長の差による透過光量の差と潤滑剤(5)の混入物量との関係から混入物濃度を推定するため、より正確な混入物濃度の検出が可能となる。
【0013】
この発明において、前記発光部(2)に対して、検出対象となる潤滑剤(5)を介在させない比較用の受光部(3C)を追加し、前記混入物量・光透過量関係設定部(7)は、潤滑剤(5)の混入物量と透過光量との関係情報として、潤滑剤(5)を介在させる受光部(3)の信号である元信号と追加した比較用の受光部(3C)の信号との比較量と、潤滑剤(5)の混入物量との関係情報を設定したものとし、前記判断手段(6)は、前記混入物量・光透過量関係設定部(7)に設定された前記関係情報を用いて、前記元信号と追加した比較用の受光部(3C)の信号との比較量から、混合物濃度を推定して出力するものとしても良い。
この構成の場合、元信号と追加した比較用の受光部(3C)の信号との比較量、例えば差を求め、この比較量と潤滑剤(5)の混入物量との関係から混入物濃度を推定するため、より正確な混入物濃度の検出が可能となる。
【0014】
この発明の検出装置付き軸受は、この発明の上記いずれか構成の潤滑剤劣化検出装置を軸受に搭載したものである。
この構成によると、軸受内部に封入された潤滑剤の劣化を、定期的に、あるいはリアルタイムで正確に検出することが容易に行える。これにより、軸受に動作異常が発生する前に潤滑剤の交換の必要性を判断でき、軸受の潤滑不良による破損を防ぐことができる。また、潤滑剤交換の必要性を潤滑剤劣化検出装置の出力によって判断できるため、使用期限前に廃棄される潤滑剤の量が減少する。
【発明の効果】
【0015】
この発明の潤滑剤劣化検出装置は、検出対象となる潤滑剤を互いの間に介在させる発光部および受光部と、この受光部の受光信号の強度を用いて潤滑剤中の混入物濃度を推定する受光信号処理手段とを備えた潤滑剤劣化検出装置であって、前記受光信号処理手段は、マイクロコンピュータを使用したものであり、この受光信号処理手段は、潤滑剤の混入物量と透過光量との関係情報を設定した混入物量・光透過量関係設定部と、この混入物量・光透過量関係設定部に設定された前記関係情報を用いて、前記受光部の受光信号の強度から混入物濃度を推定する判断手段とを有するものとしたため、潤滑剤の種類に応じた適切な潤滑剤の劣化検出が可能となる。
この発明の検出装置付き軸受は、この発明の潤滑剤劣化検出装置を軸受に搭載したものであるため、軸受内部に封入された潤滑剤の劣化を、定期的に或いはリアルタイムで正確に検出することが容易に行える。その結果、軸受に動作異常が発生する前に潤滑剤の交換の必要性を判断でき、軸受の潤滑不良による破損を防ぐことができる。また、潤滑剤交換の必要性を潤滑剤劣化検出装置の出力によって判断できるため、使用期限前に廃棄される潤滑剤の量が減少する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
この発明の第1の実施形態を図1および図2と共に説明する。図1は、この実施形態の潤滑剤劣化検出装置の概略構成図である。この潤滑剤劣化検出装置1は、検出対象となる潤滑剤5を互いの間に介在させる発光部2および受光部3と、受光信号処理手段4とを備える。発光部2は例えばLEDを光源として有するものである。
【0017】
前記受光信号処理手段4は、マイクロコンピュータおよびこれに実行させるソフトウェアからなり、受光部3の受光信号の強度(例えば信号電圧)を用いて潤滑剤5中の混入物濃度を推定する判断手段6と、潤滑剤5の混入物量と透過光量との関係情報を設定した混入物量・光透過量関係設定部7を有する。上記関係情報は、関係式であっても、またテーブルの形式の情報であっても良い。判断手段6は、混入物量・光透過量関係設定部7に設定された混入物量と透過光量との関係情報に、受光部3の受光信号の強度を当てはめることにより、潤滑剤5中の混入物濃度を推定して出力する。なお、受光部3の受光信号は、A/Dコンバータ11を通してデジタル信号に変換されて判断手段6に取り込まれる。
【0018】
図2は、前記混入物量・光透過量関係設定部7に設定される混入物量と透過光量(光強度)との関係式の一例を示すグラフである。この関係式は、潤滑剤5の種類、および混入物の種類や粒子の大きさ毎に、実験的あるいは計算によって求めておく。例えば1種類の潤滑剤5についての関係式を求める場合、混入物量の分かっているサンプルを2種類以上準備して、それら潤滑剤5を透過する光強度を測定することにより、上記関係式を導くことができる。
【0019】
具体的には、図1の構成において、潤滑剤5の断面積をSとし、混入物の粒子の平均の断面積をmとした場合に、潤滑剤5は透明であり光透過率は1として、混入物の粒子は黒色で無反射であると考えると、1つの粒子が混入した場合の光の透過率Fは、
F=(S−m)/S ……(5)
となる。そこで、粒子の個数をnとし、潤滑剤5の光透過率をT0とすると、多数の混入物がある場合の光の透過率fは、それらの積となり、
f=T0 ×((S−m)/S)n =T0 ×Fn ……(6)
となる。したがって、
n=log (f/T0 )/log (F) ……(7)
となる。ここで、粒子の大きさが一定の場合、その数nと混入物の濃度Cは比例すると考えられるので、
C=n×A ……(8)
ただし、Aは比例定数
となる。式(7),(8)より、
C/A=log (f/T0 )/log (F) ……(9)
したがって、
C=(A/log (F))×log (f/T0 ) ……(10)
ここで、A/log (F)も定数であり、これをβとすると、
C=βlog (f/T0 ) ……(11)
となる。
比例定数βは、特定の濃度のサンプルを測定することにより求められる。したがって、潤滑剤5の光透過率T0 、比例定数βを予め調べておけば、光の透過率fに基づき判断手段6により、混入物の濃度Cを計算することができる。この場合、光透過率T0 と比例定数βは、潤滑剤5の種類によって異なるため、あらかじめ測定して種類毎に記憶させておき、使用する環境に合わせて選択して使用するようにすれば、多数の環境に適用させることができる。
【0020】
計算上では、潤滑剤5中の混入物濃度Cは式(11)で表せるが、実際にはβがfの値によって若干ずれる場合がある。そういった場合は、前記混入物量・光透過量関係設定部7に予備データとして補正曲線のデータをあらかじめ入力しておくことで、容易に補正することができる。あるいは、あらかじめ、受光部3の光量と濃度Cの関係のデータを前記混入物量・光透過量関係設定部7に入力してテーブル化しておき、受光部3での受光量から直接濃度Cを推定するようにしても良い。
【0021】
さらに、前記受光信号処理手段4は、警告手段8、タイミング制御手段9、および補正手段10を有する。
警告手段8は、前記判断手段6により推定された混入物濃度Cの値を、あらかじめ設定された基準しきい値と比較し、この基準しきい値を超える場合に警告信号を出す。
タイミング制御手段9は、発光部2の点灯・消灯、および受光部3の受光信号の取り込みタイミングを制御する。すなわち、タイミング制御手段9は、発光部2に発光指令を行うタイミングを設定内容に従って制御し、発光部2に発光させたときに、補正手段10または判断手段6により受光部3の受光信号を取り込むように、受光信号の取り込みタイミングを制御する。また、タイミング制御手段9は、発光部2が消灯のときに受光部3の光量出力を補正手段10に取り込むタイミングについても制御する。
補正手段10は、発光部2が消灯のときの受光部3の光量出力を取り込み、その値を発光部2が点灯のときの受光部3の光量出力から減算する。これにより、点灯時の光量出力に含まれるノイズや受光部3を構成する受光素子の暗電流、回路のオフセットなどの影響がキャンセルされ、測定精度を向上させることができる。
【0022】
このように、この潤滑剤劣化検出装置1では、マイクロコンピュータからなる受光信号処理手段4に、潤滑剤5中の混入物濃度Cを推定する判断手段6や、潤滑剤5の混入物量と透過光量との関係情報を設定した混入物量・光透過量関係設定部7を設けているので、潤滑剤5の種類毎にサンプルや試料を自動的に測定して、上記した各比例定数や補正曲線を自動的に作成するようにプログラムすることが可能である。また、混入物濃度Cの推定処理を単純化することができ、複数種類の潤滑剤5について混入物の濃度を推定することができる。測定結果を受光信号処理手段4のメモリ(図示せず)に記憶させることにより、測定結果の急激な変化を検出することもできる。
また、マイクロコンピュータからなる受光信号処理手段4に、前記判断手段6により推定された混入物濃度Cの値を、あらかじめ設定された基準しきい値と比較し、この基準しきい値を超える場合に警告信号を出す警告手段8を設けているので、基準しきい値を適切に設定できて、使用環境にあったタイミングで警告信号を出力させることができる。
また、受光信号処理手段4のメモリとして、不揮発メモリを利用した場合、長期間にわたる測定濃度Cの変化を自動的に記録することがきるため、経時変化の様子から潤滑剤5の寿命を予測することもできる。さらに、長期間にわたる測定濃度Cの変化を記憶しておき、急激な変化が発生した場合に、異常が発生している恐れがあるとして、警告信号を出力することもできる。
【0023】
図3および図4は、この発明の他の実施形態を示す。この実施形態の潤滑剤劣化検出装置1では、発光部2から出射して検出対象となる潤滑剤5を透過した透過光を検出する受光部として、潤滑剤5を通過する光路長が互いに異なる複数(ここでは2つの)の受光部3A,3Bを設けている。すなわち、複数の受光部3A,3Bは、それらの光検出面の位置を互いに光の進行方向に対して所定間隔dだけずらした状態で、潤滑剤5の中に配置する。これら受光部3A,3Bの受光信号を処理する受光信号処理手段4がマイクロコンピュータからなることは、図1の実施形態と同様であるが、この受光信号処理手段4では、判断手段6および混入物量・光透過量関係設定部7は、次のように構成されている。
受光部3A,3Bの受光信号は、A/Dコンバータ11A,11Bを通してデジタル信号に変換されて、受光信号処理手段4に取り込まれる。
【0024】
混入物量・光透過量関係設定部7には、受光部3A,3B毎の光量信号の差と、潤滑剤の混入物量の関係情報が、関係式またはテーブル等で設定される。この関係情報は、例えば、発光部2の消灯時、または混入物のわかっている潤滑剤5の透過光量を複数測定した結果として得られた情報を基に作成される。
判断手段6は、混入物量・光透過量関係設定部7に設定された関係情報を用い、前記複数の受光部3A,3B毎の透過光量の差から混合物濃度を推定して出力する。
警告手段8、補正手段10、およびタイミング制御手段9は、図1の実施形態の場合と同様である。
【0025】
この潤滑剤劣化検出装置1において、潤滑剤5を透過する光の強度は、透過した距離によって大きく減衰し、これら透過光強度と透過距離との間に図4にグラフで示す関係があることは、図9の提案例で説明した通りである。この関係から、2つの受光部3A,3Bの光量出力の信号強度の比は、潤滑剤5そのものの厚さには関係なく、2つの受光部3A,3Bの光検出面の間隔dに依存する値となることも、先述した式(4)で示している。そこで、判断手段6は、式(4)の値から、混入物量・光透過量関係設定部7に設定される式(11)を使用して、混入物の濃度Cを推定する。これにより、潤滑剤5の全体の厚さが不定の場合でも、正確に混入物の濃度Cを推定できる。
この潤滑剤劣化検出装置1の場合も、混入物量・光透過量関係設定部7に受光部3A,3B毎の光量信号の差と混入物量の関係式を、潤滑剤5の種類毎に設定しておくことにより、複数種類の潤滑剤5について混入物の濃度Cを推定することができる。
【0026】
なお、図3では、2つの受光部3A,3Bを設けた場合を例示したが、3つ以上の受光部を、互いに所定の光路差dを有するように配置した構成としても、上記と同様の効果を得ることができる。
【0027】
図5は、この発明のさらに他の実施形態を示す。この実施形態の潤滑剤劣化検出装置1は、図1の実施形態において、検出対象となる潤滑剤5を介在させずに発光部2の発光を受光する比較用の受光部3Cを追加したものである。この比較用の受光部3Cの光量出力は、A/Dコンバータ11Cを通してデジタル信号に変換されて受光信号処理手段4における判断手段6あるいは補正手段10に取り込まれる。判断手段6は、潤滑剤5を介在させた発光部2からの発光を受光する第1の受光部3の光量出力と、比較用の受光部3Cの光量出力との差信号の強度を、混入物量・光透過量関係設定部7に設定された混入物量と透過光量との関係情報に当てはめることにより、潤滑剤5中の混入物濃度を推定して出力する。
この潤滑剤劣化検出装置1の場合も、混入物量・光透過量関係設定部7に受光部3,3Cの光量信号の差と混入物量の関係式を、潤滑剤5の種類毎に設定しておくことにより、複数種類の潤滑剤5について混入物の濃度を推定することができる。
【0028】
図6は、上記した潤滑剤劣化検出装置1を搭載した検出装置付き軸受を、鉄道車両用軸受ユニットに用いた断面図である。この場合の鉄道車両用軸受ユニットは、検出装置付き軸受21とその内輪24の両側に各々接して設けられた付属部品である油切り22および後ろ蓋23とで構成される。軸受21は、ころ軸受、詳しくは複列の円すいころ軸受からなり、各列のころ26,26に対して設けた分割型の内輪24,24と、一体型の外輪25と、前記ころ26,26と、保持器27とを備える。
後ろ蓋23は、車軸30に軸受21よりも中央側で取付けられて外周のオイルシール28を摺接させたものである。油切り22は、車軸30に取付けられて外周にオイルシール29を摺接させたものである。これら軸受21の両端部に配置される両オイルシール28,29により軸受21の内部に潤滑剤が封止され、かつ防塵・耐水性が確保される。
【0029】
軸受21の外輪25には、軸受内部に封入された潤滑剤の劣化を検出する潤滑剤劣化検出装置1が取付けられている。この潤滑剤劣化検出装置1は、外輪25に設けられた検出装置挿入孔25aに挿入されて、ボルト等により外輪25に固定されている。潤滑剤劣化検出装置1およびその配線ケーブル18には、防水・防油処理が施される。潤滑剤劣化検出装置1の取付部も耐油材料でシールされる。例えば、前記潤滑剤劣化検出装置1は、密封シール32を介して外輪25の検出装置挿入孔25aに挿入され、密封シール32として、例えばOリングが用いられる。このように、密封シール32を介して潤滑剤劣化検出装置1が外輪25に固定されることにより、潤滑剤劣化検出装置1の取付部から軸受内部へ水分やゴミ等が侵入するのを防止できる。
上記潤滑剤劣化検出装置1を搭載したこの検出装置付き軸受21では、軸受内部に封入された潤滑剤の劣化を、リアルタイムで正確に検出することができる。具体的には、潤滑剤劣化検出装置1の周辺に存在する潤滑剤の状態を検出することができ、潤滑剤に混入している鉄粉量などを推定することができる。これにより、軸受21に動作異常が発生する前に潤滑剤の交換の必要性を判断できるため、軸受21の潤滑不良による破損を防ぐことができる。また、潤滑剤交換の必要性を潤滑剤劣化検出装置1の出力によって判断できるため、使用期限前に廃棄される潤滑剤の量が減少する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】この発明の第1の実施形態に係る潤滑剤劣化検出装置の概略構成図である。
【図2】潤滑剤を透過する光の透過光強度と混入物量との関係を示すグラフである。
【図3】この発明の他の実施形態に係る潤滑剤劣化検出装置の概略構成図である。
【図4】潤滑剤を透過する光の透過距離と透過光の強度との関係を示すグラフである。
【図5】この発明のさらに他の実施形態に係る潤滑剤劣化検出装置の概略構成図である。
【図6】上記潤滑剤劣化検出装置を搭載した検出装置付き軸受の一例を示す断面図である。
【図7】潤滑剤劣化検出装置の提案例の概略構成図である。
【図8】潤滑剤を透過する光の透過光強度と混入物量との関係を示すグラフである。
【図9】潤滑剤劣化検出装置の他の提案例の概略構成図である。
【図10】潤滑剤を透過する光の透過距離と透過光の強度との関係を示すグラフである。
【図11】潤滑剤劣化検出装置のさらに他の提案例の概略構成図である。
【符号の説明】
【0031】
1…潤滑剤劣化検出装置
2…発光部
3,3A,3B,3C…受光部
4…受光信号処理手段
5…潤滑剤
6…判断手段
7…混入物量・光透過量関係設定部
8…警告手段
9…タイミング制御手段
10…補正手段
12…光量信号取り込み手段
【技術分野】
【0001】
この発明は、潤滑剤の混入物などによる劣化状態を検出する潤滑剤劣化検出装置、およびその潤滑剤劣化検出装置を備えた検出装置付き軸受、例えば鉄道車両用、自動車用、産業機械用、風車設備用等の潤滑剤劣化検出装置付き軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
潤滑剤を封入した軸受では、軸受内部の潤滑剤(グリース、油など)が劣化すると転動体の潤滑不良が発生し、軸受寿命が短くなる。転動体の潤滑不良を、軸受の振動状態などから判断するのでは、寿命に達して動作異常が発生してから対処することになるため、潤滑状態の異常をより早く検出できない。そこで、軸受内の潤滑剤の状態を定期的あるいはリアルタイムに観測し、異常やメンテナンス期間の予測を可能にすることが望まれる。
【0003】
潤滑剤の劣化の主要な要因として、軸受の使用に伴って発生する摩耗粉が潤滑剤に混入することが挙げられる。
軸受の摩耗状態を検出するものとしては、軸受のシールの内側に電極やコイル等のセンサを配置し、摩耗粉の混入する潤滑剤の電気的特性を前記センサで検出するようにしたセンサ付き軸受が提案されている(例えば特許文献1)。
【特許文献1】特開2004−293776号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1のセンサ付き軸受は、潤滑剤の電気的特性を検出するものであるため、大量の摩耗粉が入って導通が起こるなどの状況にならなければ、特性変化として検出されず、混入物の検出が困難な場合がある。
このような課題を解決するものとして、例えば図7のように、発光部32と受光部33の間に検出対象となる潤滑剤35を介在させ、発光部32から出射され潤滑剤35を透過する光を受光部33で測定することで光の透過率を求め、そこから潤滑剤35に混入する混入物の量を推定する構成のものを考えた。この場合の透過光の強度と混入物量との間には、図8にグラフで示すような関係がある。
【0005】
また、他の構成として、図9のように、光源32から出射して潤滑剤35を透過した透過光を検出する2つの光検出素子33A,33Bを、それらの光検出面の位置が互いに光の進行方向に対して所定間隔dだけずれるように配置し、これら2つの光検出素子33A,33Bの出力の信号強度を判定手段(図9では増幅器で示す)34で比較することによって潤滑剤35の劣化状態を検出するものを考えた。この場合、潤滑剤35を透過する光の透過光強度と透過距離との間には、図10にグラフで示すような関係がある。この関係は、透過光強度(透過光量)をI、透過距離をx、潤滑剤35への入射光量をIinとすると、αを定数として、
I=Iinexp(−αx) ……(1)
となる。
そこで、各光検出素子33A,33Bの出力の信号強度I0 ,I1 は、
I0 =Iinexp(−αx0 ) ……(2)
I1 =Iinexp(−αx1 ) ……(3)
となる。判定手段34を構成する増幅器が、2つの光検出素子33A,33Bの出力の信号強度の比を求めるものとすると、判定手段34の検出出力は、
(I1 /I0 )=exp(−α(x1 −x0 ))
=exp(−αd) ……(4)
となる。すなわち、増幅器の検出出力は、潤滑剤35そのものの厚さには関係なく、2つの光検出素子33A,33Bの光検出面の間隔dに依存する値となる。これにより、潤滑剤35の厚さの影響を受けずに、潤滑剤35の劣化状態を推定できる。
【0006】
さらに、他の構成例として、図7の構成において、図11のように、判定手段34から発光部32に対して点灯指令を行うことにより、発光部32で熱破壊を起こさずに大きな光量を出射させると共に、潤滑剤35を介在させずに発光部32の発光を受光する比較用の受光部33Cを追加したものを考えた。この場合、潤滑剤35を透過した光を受光する受光部33Cの光量出力と比較用の受光部33Cの光量出力とを判定手段34で比較することにより、潤滑剤35の光透過効率を求めて潤滑剤35に混入している異物の量を検出する。これにより発光部32を構成する発光素子の発光むらや電源変動などのコモンモードノイズをキャンセルすることができる。
【0007】
しかし、図7ないし図11の構成のものでは、予定した検出対象の潤滑剤について劣化検出する場合には有効であるが、検出対象の潤滑剤が複数種類に及ぶ場合に対応できないという問題がある。
【0008】
この発明の目的は、潤滑剤の種類に応じた適切な潤滑剤の劣化検出が可能な潤滑剤劣化検出装置、およびその潤滑剤劣化検出装置を備えた検出装置付き軸受を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
この発明の潤滑剤劣化検出装置は、検出対象となる潤滑剤(5)を互いの間に介在させる発光部(2)および受光部(3)(3A)(3B)と、この受光部(3)(3A)(3B)の受光信号の強度を用いて潤滑剤(5)中の混入物濃度を推定する受光信号処理手段(4)とを備えた潤滑剤劣化検出装置であって、前記受光信号処理手段(4)は、マイクロコンピュータを使用したものであり、この受光信号処理手段(4)は、潤滑剤(5)の混入物量と透過光量との関係情報を設定した混入物量・光透過量関係設定部(7)と、この混入物量・光透過量関係設定部(7)に設定された前記関係情報を用いて、前記受光部(3)(3A)(3B)の受光信号の強度から混入物濃度を推定する判断手段(6)とを有することを特徴とする。
この構成の潤滑剤劣化検出装置によると、潤滑剤(5)の混入物量と透過光量との関係情報を設定した混入物量・光透過量関係設定部(7)を設け、上記関係情報を用いて潤滑剤中の混入物濃度を推定する判断手段(6)を設けたので、潤滑剤(5)の種類毎に予め上記の関係情報を求めて設定しておくことで、潤滑剤(5)の種類に応じた適切な潤滑剤(5)の混入物濃度を推定できる。この混入物濃度から潤滑剤(5)の劣化状態がわかる。この場合に、複数種の潤滑剤(5)につき、上記関係情報を調べて混入物量・光透過量関係設定部(7)に設定しておき、前記判断手段(6)において、潤滑剤(5)の種類に応じて使用する関係情報を選択するようにすれば、複数種類の潤滑剤(5)につき、混入物濃度を推定することができる。このように推定された混入物濃度から、潤滑剤(5)の交換の必要性が判断できるため、使用期限前に廃棄される潤滑剤(5)の量を減少させることができ、また交換時期を予測することも可能となる。
受光信号処理手段(4)はマイクロコンピュータを使用したものであるため、例えば、潤滑剤(5)の種類毎にサンプルや試料を自動的に測定して、前記関係情報を潤滑剤種類毎に設定するようにプログラムすることなどで、複数種類の潤滑剤(5)についての劣化検出が容易となる。
【0010】
この発明において、前記判断手段(6)により推定された混入物濃度の値を、設定された基準しきい値と比較し、この基準しきい値を超える場合に警告信号を出す警告手段(8)を設けても良い。基準しきい値を適宜設定し、使用環境にあったタイミングで警告信号を出力させるようにすれば、潤滑剤(5)の劣化の監視が容易に行える。
【0011】
この発明において、前記マイクロコンピュータは、前記発光部(2)の点灯・消灯、および前記受光部(3)(3A)(3B)の受光信号の取り込みタイミングを制御するタイミング制御手段(9)と、前記受光部(3)(3A)(3B)の消灯時の受光信号を点灯時の受光信号から減算して、受光素子の暗電流およびノイズの影響をキャンセルする補正手段(10)とを備えるものであっても良い。
この構成の場合、点灯時の光量出力に含まれるノイズや受光部(2)を構成する受光素子の暗電流、回路のオフセットなどの影響を補正手段(10)でキャンセルできて、測定精度を向上させることができる。
【0012】
この発明において、共通の発光部(2)に対向して、検出対象となる潤滑剤(5)を通過する光路長が互いに異なるように複数の受光部(3A)(3B)を配置し、前記混入物量・光透過量関係設定部(7)は、潤滑剤(5)の混入物量と透過光量との関係情報として、潤滑剤(5)の混入物量と、複数の受光部(3A)(3B)毎の透過光量の差との関係情報を設定したものとし、前記判断手段(6)は、前記混入物量・光透過量関係設定部(7)に設定された前記関係情報を用いて、前記複数の受光部(3A)(3B)毎の透過光量の差から、混合物濃度を推定して出力するものとしても良い。
この構成の場合、潤滑剤(5)を通過する光路長の差による透過光量の差と潤滑剤(5)の混入物量との関係から混入物濃度を推定するため、より正確な混入物濃度の検出が可能となる。
【0013】
この発明において、前記発光部(2)に対して、検出対象となる潤滑剤(5)を介在させない比較用の受光部(3C)を追加し、前記混入物量・光透過量関係設定部(7)は、潤滑剤(5)の混入物量と透過光量との関係情報として、潤滑剤(5)を介在させる受光部(3)の信号である元信号と追加した比較用の受光部(3C)の信号との比較量と、潤滑剤(5)の混入物量との関係情報を設定したものとし、前記判断手段(6)は、前記混入物量・光透過量関係設定部(7)に設定された前記関係情報を用いて、前記元信号と追加した比較用の受光部(3C)の信号との比較量から、混合物濃度を推定して出力するものとしても良い。
この構成の場合、元信号と追加した比較用の受光部(3C)の信号との比較量、例えば差を求め、この比較量と潤滑剤(5)の混入物量との関係から混入物濃度を推定するため、より正確な混入物濃度の検出が可能となる。
【0014】
この発明の検出装置付き軸受は、この発明の上記いずれか構成の潤滑剤劣化検出装置を軸受に搭載したものである。
この構成によると、軸受内部に封入された潤滑剤の劣化を、定期的に、あるいはリアルタイムで正確に検出することが容易に行える。これにより、軸受に動作異常が発生する前に潤滑剤の交換の必要性を判断でき、軸受の潤滑不良による破損を防ぐことができる。また、潤滑剤交換の必要性を潤滑剤劣化検出装置の出力によって判断できるため、使用期限前に廃棄される潤滑剤の量が減少する。
【発明の効果】
【0015】
この発明の潤滑剤劣化検出装置は、検出対象となる潤滑剤を互いの間に介在させる発光部および受光部と、この受光部の受光信号の強度を用いて潤滑剤中の混入物濃度を推定する受光信号処理手段とを備えた潤滑剤劣化検出装置であって、前記受光信号処理手段は、マイクロコンピュータを使用したものであり、この受光信号処理手段は、潤滑剤の混入物量と透過光量との関係情報を設定した混入物量・光透過量関係設定部と、この混入物量・光透過量関係設定部に設定された前記関係情報を用いて、前記受光部の受光信号の強度から混入物濃度を推定する判断手段とを有するものとしたため、潤滑剤の種類に応じた適切な潤滑剤の劣化検出が可能となる。
この発明の検出装置付き軸受は、この発明の潤滑剤劣化検出装置を軸受に搭載したものであるため、軸受内部に封入された潤滑剤の劣化を、定期的に或いはリアルタイムで正確に検出することが容易に行える。その結果、軸受に動作異常が発生する前に潤滑剤の交換の必要性を判断でき、軸受の潤滑不良による破損を防ぐことができる。また、潤滑剤交換の必要性を潤滑剤劣化検出装置の出力によって判断できるため、使用期限前に廃棄される潤滑剤の量が減少する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
この発明の第1の実施形態を図1および図2と共に説明する。図1は、この実施形態の潤滑剤劣化検出装置の概略構成図である。この潤滑剤劣化検出装置1は、検出対象となる潤滑剤5を互いの間に介在させる発光部2および受光部3と、受光信号処理手段4とを備える。発光部2は例えばLEDを光源として有するものである。
【0017】
前記受光信号処理手段4は、マイクロコンピュータおよびこれに実行させるソフトウェアからなり、受光部3の受光信号の強度(例えば信号電圧)を用いて潤滑剤5中の混入物濃度を推定する判断手段6と、潤滑剤5の混入物量と透過光量との関係情報を設定した混入物量・光透過量関係設定部7を有する。上記関係情報は、関係式であっても、またテーブルの形式の情報であっても良い。判断手段6は、混入物量・光透過量関係設定部7に設定された混入物量と透過光量との関係情報に、受光部3の受光信号の強度を当てはめることにより、潤滑剤5中の混入物濃度を推定して出力する。なお、受光部3の受光信号は、A/Dコンバータ11を通してデジタル信号に変換されて判断手段6に取り込まれる。
【0018】
図2は、前記混入物量・光透過量関係設定部7に設定される混入物量と透過光量(光強度)との関係式の一例を示すグラフである。この関係式は、潤滑剤5の種類、および混入物の種類や粒子の大きさ毎に、実験的あるいは計算によって求めておく。例えば1種類の潤滑剤5についての関係式を求める場合、混入物量の分かっているサンプルを2種類以上準備して、それら潤滑剤5を透過する光強度を測定することにより、上記関係式を導くことができる。
【0019】
具体的には、図1の構成において、潤滑剤5の断面積をSとし、混入物の粒子の平均の断面積をmとした場合に、潤滑剤5は透明であり光透過率は1として、混入物の粒子は黒色で無反射であると考えると、1つの粒子が混入した場合の光の透過率Fは、
F=(S−m)/S ……(5)
となる。そこで、粒子の個数をnとし、潤滑剤5の光透過率をT0とすると、多数の混入物がある場合の光の透過率fは、それらの積となり、
f=T0 ×((S−m)/S)n =T0 ×Fn ……(6)
となる。したがって、
n=log (f/T0 )/log (F) ……(7)
となる。ここで、粒子の大きさが一定の場合、その数nと混入物の濃度Cは比例すると考えられるので、
C=n×A ……(8)
ただし、Aは比例定数
となる。式(7),(8)より、
C/A=log (f/T0 )/log (F) ……(9)
したがって、
C=(A/log (F))×log (f/T0 ) ……(10)
ここで、A/log (F)も定数であり、これをβとすると、
C=βlog (f/T0 ) ……(11)
となる。
比例定数βは、特定の濃度のサンプルを測定することにより求められる。したがって、潤滑剤5の光透過率T0 、比例定数βを予め調べておけば、光の透過率fに基づき判断手段6により、混入物の濃度Cを計算することができる。この場合、光透過率T0 と比例定数βは、潤滑剤5の種類によって異なるため、あらかじめ測定して種類毎に記憶させておき、使用する環境に合わせて選択して使用するようにすれば、多数の環境に適用させることができる。
【0020】
計算上では、潤滑剤5中の混入物濃度Cは式(11)で表せるが、実際にはβがfの値によって若干ずれる場合がある。そういった場合は、前記混入物量・光透過量関係設定部7に予備データとして補正曲線のデータをあらかじめ入力しておくことで、容易に補正することができる。あるいは、あらかじめ、受光部3の光量と濃度Cの関係のデータを前記混入物量・光透過量関係設定部7に入力してテーブル化しておき、受光部3での受光量から直接濃度Cを推定するようにしても良い。
【0021】
さらに、前記受光信号処理手段4は、警告手段8、タイミング制御手段9、および補正手段10を有する。
警告手段8は、前記判断手段6により推定された混入物濃度Cの値を、あらかじめ設定された基準しきい値と比較し、この基準しきい値を超える場合に警告信号を出す。
タイミング制御手段9は、発光部2の点灯・消灯、および受光部3の受光信号の取り込みタイミングを制御する。すなわち、タイミング制御手段9は、発光部2に発光指令を行うタイミングを設定内容に従って制御し、発光部2に発光させたときに、補正手段10または判断手段6により受光部3の受光信号を取り込むように、受光信号の取り込みタイミングを制御する。また、タイミング制御手段9は、発光部2が消灯のときに受光部3の光量出力を補正手段10に取り込むタイミングについても制御する。
補正手段10は、発光部2が消灯のときの受光部3の光量出力を取り込み、その値を発光部2が点灯のときの受光部3の光量出力から減算する。これにより、点灯時の光量出力に含まれるノイズや受光部3を構成する受光素子の暗電流、回路のオフセットなどの影響がキャンセルされ、測定精度を向上させることができる。
【0022】
このように、この潤滑剤劣化検出装置1では、マイクロコンピュータからなる受光信号処理手段4に、潤滑剤5中の混入物濃度Cを推定する判断手段6や、潤滑剤5の混入物量と透過光量との関係情報を設定した混入物量・光透過量関係設定部7を設けているので、潤滑剤5の種類毎にサンプルや試料を自動的に測定して、上記した各比例定数や補正曲線を自動的に作成するようにプログラムすることが可能である。また、混入物濃度Cの推定処理を単純化することができ、複数種類の潤滑剤5について混入物の濃度を推定することができる。測定結果を受光信号処理手段4のメモリ(図示せず)に記憶させることにより、測定結果の急激な変化を検出することもできる。
また、マイクロコンピュータからなる受光信号処理手段4に、前記判断手段6により推定された混入物濃度Cの値を、あらかじめ設定された基準しきい値と比較し、この基準しきい値を超える場合に警告信号を出す警告手段8を設けているので、基準しきい値を適切に設定できて、使用環境にあったタイミングで警告信号を出力させることができる。
また、受光信号処理手段4のメモリとして、不揮発メモリを利用した場合、長期間にわたる測定濃度Cの変化を自動的に記録することがきるため、経時変化の様子から潤滑剤5の寿命を予測することもできる。さらに、長期間にわたる測定濃度Cの変化を記憶しておき、急激な変化が発生した場合に、異常が発生している恐れがあるとして、警告信号を出力することもできる。
【0023】
図3および図4は、この発明の他の実施形態を示す。この実施形態の潤滑剤劣化検出装置1では、発光部2から出射して検出対象となる潤滑剤5を透過した透過光を検出する受光部として、潤滑剤5を通過する光路長が互いに異なる複数(ここでは2つの)の受光部3A,3Bを設けている。すなわち、複数の受光部3A,3Bは、それらの光検出面の位置を互いに光の進行方向に対して所定間隔dだけずらした状態で、潤滑剤5の中に配置する。これら受光部3A,3Bの受光信号を処理する受光信号処理手段4がマイクロコンピュータからなることは、図1の実施形態と同様であるが、この受光信号処理手段4では、判断手段6および混入物量・光透過量関係設定部7は、次のように構成されている。
受光部3A,3Bの受光信号は、A/Dコンバータ11A,11Bを通してデジタル信号に変換されて、受光信号処理手段4に取り込まれる。
【0024】
混入物量・光透過量関係設定部7には、受光部3A,3B毎の光量信号の差と、潤滑剤の混入物量の関係情報が、関係式またはテーブル等で設定される。この関係情報は、例えば、発光部2の消灯時、または混入物のわかっている潤滑剤5の透過光量を複数測定した結果として得られた情報を基に作成される。
判断手段6は、混入物量・光透過量関係設定部7に設定された関係情報を用い、前記複数の受光部3A,3B毎の透過光量の差から混合物濃度を推定して出力する。
警告手段8、補正手段10、およびタイミング制御手段9は、図1の実施形態の場合と同様である。
【0025】
この潤滑剤劣化検出装置1において、潤滑剤5を透過する光の強度は、透過した距離によって大きく減衰し、これら透過光強度と透過距離との間に図4にグラフで示す関係があることは、図9の提案例で説明した通りである。この関係から、2つの受光部3A,3Bの光量出力の信号強度の比は、潤滑剤5そのものの厚さには関係なく、2つの受光部3A,3Bの光検出面の間隔dに依存する値となることも、先述した式(4)で示している。そこで、判断手段6は、式(4)の値から、混入物量・光透過量関係設定部7に設定される式(11)を使用して、混入物の濃度Cを推定する。これにより、潤滑剤5の全体の厚さが不定の場合でも、正確に混入物の濃度Cを推定できる。
この潤滑剤劣化検出装置1の場合も、混入物量・光透過量関係設定部7に受光部3A,3B毎の光量信号の差と混入物量の関係式を、潤滑剤5の種類毎に設定しておくことにより、複数種類の潤滑剤5について混入物の濃度Cを推定することができる。
【0026】
なお、図3では、2つの受光部3A,3Bを設けた場合を例示したが、3つ以上の受光部を、互いに所定の光路差dを有するように配置した構成としても、上記と同様の効果を得ることができる。
【0027】
図5は、この発明のさらに他の実施形態を示す。この実施形態の潤滑剤劣化検出装置1は、図1の実施形態において、検出対象となる潤滑剤5を介在させずに発光部2の発光を受光する比較用の受光部3Cを追加したものである。この比較用の受光部3Cの光量出力は、A/Dコンバータ11Cを通してデジタル信号に変換されて受光信号処理手段4における判断手段6あるいは補正手段10に取り込まれる。判断手段6は、潤滑剤5を介在させた発光部2からの発光を受光する第1の受光部3の光量出力と、比較用の受光部3Cの光量出力との差信号の強度を、混入物量・光透過量関係設定部7に設定された混入物量と透過光量との関係情報に当てはめることにより、潤滑剤5中の混入物濃度を推定して出力する。
この潤滑剤劣化検出装置1の場合も、混入物量・光透過量関係設定部7に受光部3,3Cの光量信号の差と混入物量の関係式を、潤滑剤5の種類毎に設定しておくことにより、複数種類の潤滑剤5について混入物の濃度を推定することができる。
【0028】
図6は、上記した潤滑剤劣化検出装置1を搭載した検出装置付き軸受を、鉄道車両用軸受ユニットに用いた断面図である。この場合の鉄道車両用軸受ユニットは、検出装置付き軸受21とその内輪24の両側に各々接して設けられた付属部品である油切り22および後ろ蓋23とで構成される。軸受21は、ころ軸受、詳しくは複列の円すいころ軸受からなり、各列のころ26,26に対して設けた分割型の内輪24,24と、一体型の外輪25と、前記ころ26,26と、保持器27とを備える。
後ろ蓋23は、車軸30に軸受21よりも中央側で取付けられて外周のオイルシール28を摺接させたものである。油切り22は、車軸30に取付けられて外周にオイルシール29を摺接させたものである。これら軸受21の両端部に配置される両オイルシール28,29により軸受21の内部に潤滑剤が封止され、かつ防塵・耐水性が確保される。
【0029】
軸受21の外輪25には、軸受内部に封入された潤滑剤の劣化を検出する潤滑剤劣化検出装置1が取付けられている。この潤滑剤劣化検出装置1は、外輪25に設けられた検出装置挿入孔25aに挿入されて、ボルト等により外輪25に固定されている。潤滑剤劣化検出装置1およびその配線ケーブル18には、防水・防油処理が施される。潤滑剤劣化検出装置1の取付部も耐油材料でシールされる。例えば、前記潤滑剤劣化検出装置1は、密封シール32を介して外輪25の検出装置挿入孔25aに挿入され、密封シール32として、例えばOリングが用いられる。このように、密封シール32を介して潤滑剤劣化検出装置1が外輪25に固定されることにより、潤滑剤劣化検出装置1の取付部から軸受内部へ水分やゴミ等が侵入するのを防止できる。
上記潤滑剤劣化検出装置1を搭載したこの検出装置付き軸受21では、軸受内部に封入された潤滑剤の劣化を、リアルタイムで正確に検出することができる。具体的には、潤滑剤劣化検出装置1の周辺に存在する潤滑剤の状態を検出することができ、潤滑剤に混入している鉄粉量などを推定することができる。これにより、軸受21に動作異常が発生する前に潤滑剤の交換の必要性を判断できるため、軸受21の潤滑不良による破損を防ぐことができる。また、潤滑剤交換の必要性を潤滑剤劣化検出装置1の出力によって判断できるため、使用期限前に廃棄される潤滑剤の量が減少する。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】この発明の第1の実施形態に係る潤滑剤劣化検出装置の概略構成図である。
【図2】潤滑剤を透過する光の透過光強度と混入物量との関係を示すグラフである。
【図3】この発明の他の実施形態に係る潤滑剤劣化検出装置の概略構成図である。
【図4】潤滑剤を透過する光の透過距離と透過光の強度との関係を示すグラフである。
【図5】この発明のさらに他の実施形態に係る潤滑剤劣化検出装置の概略構成図である。
【図6】上記潤滑剤劣化検出装置を搭載した検出装置付き軸受の一例を示す断面図である。
【図7】潤滑剤劣化検出装置の提案例の概略構成図である。
【図8】潤滑剤を透過する光の透過光強度と混入物量との関係を示すグラフである。
【図9】潤滑剤劣化検出装置の他の提案例の概略構成図である。
【図10】潤滑剤を透過する光の透過距離と透過光の強度との関係を示すグラフである。
【図11】潤滑剤劣化検出装置のさらに他の提案例の概略構成図である。
【符号の説明】
【0031】
1…潤滑剤劣化検出装置
2…発光部
3,3A,3B,3C…受光部
4…受光信号処理手段
5…潤滑剤
6…判断手段
7…混入物量・光透過量関係設定部
8…警告手段
9…タイミング制御手段
10…補正手段
12…光量信号取り込み手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
検出対象となる潤滑剤を互いの間に介在させる発光部および受光部と、この受光部の受光信号の強度を用いて潤滑剤中の混入物濃度を推定する受光信号処理手段とを備えた潤滑剤劣化検出装置であって、
前記受光信号処理手段は、マイクロコンピュータを使用したものであり、この受光信号処理手段は、潤滑剤の混入物量と透過光量との関係情報を設定した混入物量・光透過量関係設定部と、この混入物量・光透過量関係設定部に設定された前記関係情報を用いて、前記受光部の受光信号の強度から混入物濃度を推定する判断手段とを有するものとした潤滑剤劣化検出装置。
【請求項2】
請求項1記載の潤滑剤劣化検出装置において、前記判断手段により推定された混入物濃度の値を、設定された基準しきい値と比較し、この基準しきい値を超える場合に警告信号を出す警告手段を設けた潤滑剤劣化検出装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の潤滑剤劣化検出装置において、前記マイクロコンピュータは、前記発光部の点灯・消灯、および前記受光部の受光信号の取り込みタイミングを制御するタイミング制御手段と、前記受光部の消灯時の受光信号を点灯時の受光信号から減算して、受光素子の暗電流およびノイズの影響をキャンセルする補正手段とを備える潤滑剤劣化検出装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の潤滑剤劣化検出装置において、共通の発光部に対向して、検出対象となる潤滑剤を通過する光路長が互いに異なるように複数の受光部を配置し、前記混入物量・光透過量関係設定部は、潤滑剤の混入物量と透過光量との関係情報として、潤滑剤の混入物量と、複数の受光部毎の透過光量の差との関係情報を設定したものとし、前記判断手段は、前記混入物量・光透過量関係設定部に設定された前記関係情報を用いて、前記複数の受光部毎の透過光量の差から、混合物濃度を推定して出力するものとした潤滑剤劣化検出装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の潤滑剤劣化検出装置において、前記発光部に対して、検出対象となる潤滑剤を介在させない比較用の受光部を追加し、前記混入物量・光透過量関係設定部は、潤滑剤の混入物量と透過光量との関係情報として、潤滑剤を介在させる受光部の信号である元信号と追加した比較用の受光部の信号との比較量と、潤滑剤の混入物量との関係情報を設定したものとし、前記判断手段は、前記混入物量・光透過量関係設定部に設定された前記関係情報を用いて、前記元信号と追加した比較用の受光部の信号との比較量から、混合物濃度を推定して出力するものとした潤滑剤劣化検出装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の潤滑剤劣化検出装置を軸受に搭載した検出装置付き軸受。
【請求項1】
検出対象となる潤滑剤を互いの間に介在させる発光部および受光部と、この受光部の受光信号の強度を用いて潤滑剤中の混入物濃度を推定する受光信号処理手段とを備えた潤滑剤劣化検出装置であって、
前記受光信号処理手段は、マイクロコンピュータを使用したものであり、この受光信号処理手段は、潤滑剤の混入物量と透過光量との関係情報を設定した混入物量・光透過量関係設定部と、この混入物量・光透過量関係設定部に設定された前記関係情報を用いて、前記受光部の受光信号の強度から混入物濃度を推定する判断手段とを有するものとした潤滑剤劣化検出装置。
【請求項2】
請求項1記載の潤滑剤劣化検出装置において、前記判断手段により推定された混入物濃度の値を、設定された基準しきい値と比較し、この基準しきい値を超える場合に警告信号を出す警告手段を設けた潤滑剤劣化検出装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2記載の潤滑剤劣化検出装置において、前記マイクロコンピュータは、前記発光部の点灯・消灯、および前記受光部の受光信号の取り込みタイミングを制御するタイミング制御手段と、前記受光部の消灯時の受光信号を点灯時の受光信号から減算して、受光素子の暗電流およびノイズの影響をキャンセルする補正手段とを備える潤滑剤劣化検出装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の潤滑剤劣化検出装置において、共通の発光部に対向して、検出対象となる潤滑剤を通過する光路長が互いに異なるように複数の受光部を配置し、前記混入物量・光透過量関係設定部は、潤滑剤の混入物量と透過光量との関係情報として、潤滑剤の混入物量と、複数の受光部毎の透過光量の差との関係情報を設定したものとし、前記判断手段は、前記混入物量・光透過量関係設定部に設定された前記関係情報を用いて、前記複数の受光部毎の透過光量の差から、混合物濃度を推定して出力するものとした潤滑剤劣化検出装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の潤滑剤劣化検出装置において、前記発光部に対して、検出対象となる潤滑剤を介在させない比較用の受光部を追加し、前記混入物量・光透過量関係設定部は、潤滑剤の混入物量と透過光量との関係情報として、潤滑剤を介在させる受光部の信号である元信号と追加した比較用の受光部の信号との比較量と、潤滑剤の混入物量との関係情報を設定したものとし、前記判断手段は、前記混入物量・光透過量関係設定部に設定された前記関係情報を用いて、前記元信号と追加した比較用の受光部の信号との比較量から、混合物濃度を推定して出力するものとした潤滑剤劣化検出装置。
【請求項6】
請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の潤滑剤劣化検出装置を軸受に搭載した検出装置付き軸受。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
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【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2008−26046(P2008−26046A)
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−196427(P2006−196427)
【出願日】平成18年7月19日(2006.7.19)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年2月7日(2008.2.7)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年7月19日(2006.7.19)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】
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