説明

潤滑剤塗膜計測方法及び潤滑剤塗膜計測装置

【課題】精度と信頼性の高い潤滑剤の塗膜状態の測定を行う潤滑剤塗膜計測装置を提供する。
【解決手段】光を一対の物体の接触部分に照射して干渉縞を発生させる光源40と、干渉縞の分光像を発生させる分光器36と、この分光器で発生した分光像を拡大する顕微鏡38と、顕微鏡で拡大された分光像を高速撮影する高速度カメラ34と、高速度カメラを接触部分に沿って移動させる高速度カメラ移動手段46と、高速度カメラから得た高速撮影データに基づいて油膜の状態を計測する演算手段50とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、相対的に転動又は摺動している一対の物体の接触部分を潤滑する潤滑剤の塗膜の状態を計測する潤滑剤塗膜計測方法及び潤滑剤塗膜計測装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えばベアリングにおいては、互いに潤滑油で潤滑されているボール(一方の物体)と、外輪リング、或いは内輪リング(他方の物体)とが線接触または点接触していると荷重が集中するため、物体の弾性変形と潤滑油の高圧粘度を考慮しなければならない。このような潤滑状態を、弾性流体潤滑状態(EHL状態:Elastohydrodynamic Lubricastion)いう。
このようなベアリングのEHL状態を観察する従来の方法として、円盤状のディスク及び剛球を相対的に転動又は摺動するように配置し、そのディスク及び剛球の接触部分を潤滑油で潤滑しておくとともに、接触部分の潤滑油に光を照射して干渉縞を発生させる光干渉法によりEHL状態の油膜厚さを測定する方法が知られている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、光干渉法による油膜厚さの測定は、精度及び信頼性の面で問題があり、EHL状態を高精度に観察することができない。
本発明はこのような不都合を解消するためになされたものであり、精度と信頼性の高い潤滑剤の塗膜状態の測定を行なうことで、EHL状態を高精度に観察することができる潤滑剤塗膜計測方法及び潤滑剤塗膜計測装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
前記課題を解決するため、請求項1記載の発明は、相対的に転動又は摺動している一対の物体の接触部分を潤滑する潤滑剤の塗膜の厚さを計測する方法であって、光源から出力された光を前記塗膜の前記接触部分に照射して干渉縞を発生させる工程と、前記接触部分に沿って移動しながら、前記干渉縞を分光して発生した分光像を拡大して高速撮影する工程と、高速撮影したデータに基づいて前記分光像の輝度分布を解析する工程と、輝度分布を解析したデータに基づいて前記分光像の黒縞の波長及び明縞の波長を演算する工程と、前記黒縞の波長及び明縞の波長に基づいて前記塗膜の厚さを測定する工程と、を備えたことを特徴とする潤滑剤塗膜計測方法である。
【0005】
また、請求項2の発明は、請求項1記載の潤滑剤塗膜計測方法において、前記光源をハロゲン光源及びキセノン光源とし、これらハロゲン光源及びキセノン光源をミキシングした光を前記塗膜の接触部分に照射するようにした。
また、請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の潤滑剤塗膜計測方法において、前記一対の物体を、特定温度の雰囲気状態に配置するとともに、前記潤滑剤を、特定温度に設定するようにした。
【0006】
また、請求項4の発明は、請求項1から3の何れか1項に記載の潤滑剤塗膜計測方法において、前記一対の物体を互いに押し付けた状態とする。
また、請求項5の発明は、請求項1から3の何れか1項に記載の潤滑剤塗膜計測方法において、前記一対の物体における一方の物体の他方の物体との接触部分を球面により形成し、モータの回転運動をカム機構により前記一方の物体の往復揺動運動に変換しつつ、一方の物体を他方の物体に対して相対的に摺動させると共に、一対の物体の接触部分を潤滑する潤滑剤の塗膜の厚さを計測するようにした。
【0007】
一方、請求項6の発明は、相対的に転動又は摺動している一対の物体の接触部分を潤滑する潤滑剤の塗膜の状態を計測する装置であって、光を前記塗膜の接触部分に照射して干渉縞を発生させる光源と、前記干渉縞の分光像を発生させる分光器と、この分光器で発生した前記分光像を拡大する顕微鏡と、この顕微鏡で拡大された前記分光像を高速撮影する高速度カメラと、この高速度カメラを前記接触部分に沿って移動させる高速度カメラ移動手段と、前記高速度カメラから得た高速撮影データに基づいて前記塗膜の状態を計測する演算手段とを備え、前記演算手段は、高速撮影データに基づいて前記分光像の輝度分布を解析する輝度分布解析手段と、この輝度分布解析手段で解析した輝度分布に基づいて前記分光像の黒縞の波長及び明縞の波長を演算する波長演算手段と、この波長演算手段で演算した前記黒縞の波長及び明縞の波長に基づいて前記塗膜の厚さを演算する塗膜厚さ演算手段とを備えていることを特徴とする潤滑剤塗膜計測装置である。
【0008】
また、請求項7の発明は、請求項6記載の潤滑剤塗膜計測装置において、前記光源は、ハロゲン光源及びキセノン光源であり、これらハロゲン光源及びキセノン光源をミキシングした光が、前記塗膜の接触部分に照射されるようにした。
また、請求項8の発明は、請求項6又は7記載の潤滑剤塗膜計測装置において、前記一対の物体のうち少なくとも一方のトルク変化を計測するトルク計測手段を備えているとともに、前記演算手段は、前記トルク計測手段が計測したデータに基づいて、一対の物体の接触部分の摩擦係数を演算する摩擦係数演算手段を備えているようにした。
【0009】
また、請求項9の発明は、請求項6から8の何れか1項に記載の潤滑剤塗膜計測装置において、前記一対の物体を特定温度の雰囲気状態とする雰囲気温度設定手段と、前記潤滑剤を特定温度に設定する潤滑剤温度設定手段とを備えるようにした。
また、請求項10の発明は、請求項6から9の何れか1項に記載の潤滑剤塗膜計測装置において、前記一対の物体を互いに押し付けた状態とする押し付け手段を設けた。
また請求項11の発明は、請求項6から10の何れか1項に記載の潤滑剤塗膜計測装置において、前記一対の物体における一方の物体の他方の物体との接触部分を球面により形成し、モータと、このモータの回転運動を前記一方の物体の往復揺動運動に変換するカム機構とを備えるようにした。
【発明の効果】
【0010】
本発明の潤滑剤塗膜計測方法及び潤滑剤塗膜計測装置によると、光源から出力された光を塗膜の接触部分に照射して干渉縞を発生させ、接触部分に沿って移動しながら、干渉縞を分光して発生した分光像を拡大して高速撮影し、高速撮影したデータに基づいて分光像の輝度分布を解析し、輝度分布を解析したデータに基づいて分光像の黒縞の波長及び明縞の波長を演算し、黒縞の波長及び明縞の波長に基づいて塗膜の厚さを計測するようにしたので、従来では精度及び信頼性の面で問題があった弾性流体潤滑状態(EHL状態:Elastohydrodynamic Lubricastion)の潤滑剤の塗膜の厚さの計測を高精度に、且つ信頼性を高くして行うことができる。
なお、計測可能な潤滑剤としては、半固体状のものから液体状の潤滑剤が挙げられる。より具体的には、油(潤滑油)の場合は油膜厚さを、グリース(潤滑グリース)の場合はグリース膜厚を高精度、且つ、信頼性を良くして計測できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明を実施するための最良の形態(以下、実施形態という。)を、図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1実施形態)
図1は、本発明に係る第1実施形態の潤滑剤塗膜計測装置を示す図である。符号2は、ガラス製の円盤形状のディスク試験片であり、このディスク試験片2の上下方向を向く軸心に、装置架台4に支持されて上下方向に延在しているディスク回転軸6の上部が固定されている。
【0012】
ディスク回転軸6の下端側にはタイミングベルト8を介してサーボモータ10が連結されており、サーボモータ10の駆動力が、タイミングベルト8、ディスク回転軸6を介してディスク試験源2に軸回り回転として伝達される。また、ディスク回転軸6には、第1トルクメータ12が接続されている。
ディスク試験片2の下面には、球形のボール試験片14が接触している。このボール試験片14に、ディスク試験片2の径方向に延在しているボール連結軸16が固定されている。なお、ボール連結軸16は、鋼球からなるボール試験片14がディスク試験片2の下面に接触するように、支持手段(図示せず)によって支持されている。
【0013】
このボール連結軸16にはサーボモータ18が連結しており、サーボモータ18の駆動力が、ボール連結軸16を介してボール試験片14に回転として伝達されるようになっている。また、ボール連結軸16には、第2トルクメータ20が接続されている。
符号22は、所定量の潤滑油を溜めた潤滑剤溜まりである。潤滑剤溜まり22内の潤滑油は、図示しないヒータにより所定温度により加熱されており、この潤滑剤溜まり22内の潤滑油にボール試験片14の下側が浸されている。
【0014】
潤滑剤溜まり22は、てこの原理を用いた荷重負荷装置24に支持されており、この荷重負荷装置24に所定重量の錘26を載せると、錘26を載置した側が下がり、錘26を載置した側と支点Sに対して反対側に設けた潤滑油22側が上昇することで、潤滑剤溜まり22がボール試験片14をディスク試験片2の下面側に押し付けるようになっている。
装置架台4には、潤滑剤溜まり22がX方向(ディスク回転軸6に近接、或いは離間する水平方向)、或いはY方向(X方向に直交した水平方向)に移動可するように荷重負荷装置24を支持する第1XYステージ32が設けられている。
【0015】
符号28は、ディスク試験片2及びボール試験片14を内部に収納しているチャンバであり、チャンバ28内には、熱風発生装置30から所定温度の熱風が供給されるようになっている。
また、装置架台4には、高速度カメラ34、分光器36、光学顕微鏡38、光源40を組み込んだユニット42をXY方向に移動させる第2XYステージ44が設けられているとともに、ユニット42をX方向に微小移動させる直動装置46が設けられている。直動装置46は、ボールねじ機構46aと、ボールねじ機構46aのねじ軸を回転させるサーボモータ46bとで構成されている。
【0016】
前述した光源40は、ハロゲン光源40aとキセノン光源40bとで構成されており、これらハロゲン光源40a及びキセノン光源40bの光をミキシングした光が、二股ファイバーライトガイド48を通過して光学顕微鏡38の対物レンズ38aから下方に照射される。
高速度カメラ34には演算装置50が接続されているとともに、演算装置50には、演算結果を表示する表示装置52が接続されている。
演算装置50は、図2に示すように、輝度分布解析回路50a、波長演算回路50b、塗膜厚さ演算回路50c、摩擦係数演算回路50d及び演算結果出力回路50eを備えている。
【0017】
輝度分布解析回路50aは、高速度カメラ34から得たデータに基づいて後述す分光像の輝度分布を解析する回路である。波長演算回路50bは、輝度分布解析回路50aで解析した輝度分布に基づいて分光像の黒縞の波長及び明縞の波長を演算する回路である。塗膜厚さ演算回路50cは、波長演算回路50bで演算した黒縞の波長及び明縞の波長に基づいてディスク試験片2及びボール試験片14の接触部分における潤滑油膜の厚さを演算する回路である。
摩擦係数演算回路50dは、第1トルクメータ12及び第2トルクメータ20から得たトルク変化データに基づいて、ディスク試験片2及びボール試験片14の接触部分の摩擦係数を演算する回路である。そして、演算結果出力回路50eは、塗膜厚さ演算回路50c、摩擦係数演算回路50dが演算した結果を出力する回路である。
【0018】
次に、ディスク試験片2及びボール試験片14の接触部分を潤滑している潤滑油膜の厚さを測定する原理について、図3から図8を参照して説明する。なお、図5(a)、図6、(a)、図7(a)及び図8(a)は、それぞれディスク試験片2及びボール試験片14が静止している状態の図であり、図5(b)、図6(b)、図7(b)図8(b)は、それぞれディスク試験片2及びボール試験片14が回転している状態の図である。
【0019】
図3は、ガラス製のディスク試験片2及び鋼球からなるボール試験片14が静止しているときの接触部分を拡大した図であり、ディスク試験片2の下面にはCr半透過膜が形成されており、このCr半透過膜の下面に、さらにSiO2のスペーサ膜が形成される。ディスク試験片2の上方から入射した光は、Cr半透過膜の表面で反射した光R1と、ボール試験片14表面で反射した光R2となる。また、hsio2はSiO2のスペーサ膜の厚さ、hgapは表面粗さによって生じる隙間の厚さである。
【0020】
また、図4は、ディスク試験片2及びボール試験片14が回転したときの状態を拡大して示した図であり、ディスク試験片2及びボール試験片14の接触部分の間には潤滑油膜が形成されている。hoilは潤滑油膜の厚さである。光R1、R2は干渉を起こすので、図5に示すようなニュートンリング(干渉縞)を観察する。なお、図5は、干渉縞を簡略化して示している。
そして、図5の干渉縞のラインAに沿った領域の分光像を得るとともに、この分光像を拡大して高速撮影することで、図6に示す画像を得る。なお、図6も、高速撮影した画像を簡略化して示している。
【0021】
次いで、図6で得た分光像の画像のラインBに沿った領域の輝度分布を解析し、図7に示す解析図を得る。すなわち、図7の(a)では、静止時における干渉縞の暗縞の波長λ1、明縞の波長λ2が演算され、図7の(b)では、回転時における干渉縞の暗縞の波長λ3、明縞の波長λ4が演算される。
ここで、光R1、R2の光路差と干渉縞の明暗の関係より、静止時における干渉縞の暗縞の波長λ1、明縞の波長λ2から以下の式が成立する。なお、noilは、潤滑油の屈折率である。
暗縞 : (2noil(hsio2 + hgap))/λ1 = m …………………式1
明縞 : (2noil(hsio2 + hgap))/λ2 = m + 1/2………式2
また、式1、式2に基づいて以下の式が成立する。
hsio2 + hgap = (λ1λ2)/(4noil(λ1 − λ2))………式3
【0022】
このように、静止時における干渉縞の暗縞の波長λ1、明縞の波長λ2から、スペーサ膜の厚さと表面粗さによって生じる隙間の厚さを加えた厚さ(hsio2 + hgap)を算出することができ、図8の(a)は、hsio2 + hgapの値をプロットした結果である。
また、回転時における干渉縞の暗縞の波長λ3、明縞の波長λ4から以下の式が成立する。
hoil + hsio2 + hgap
=(λ3λ4)/(4noil(λ3 − λ4) ………式4
【0023】
図8の(b)は、hoil + hsio2 + hgapの値をプロットした結果である。
そして、式3、式4に基づいて以下の式のように、ディスク試験片2及びボール試験片14が回転しているときの潤滑油膜の厚さhoilを求める。
hoil = (1/4noil)((λ3λ4)/(λ3−λ4) − (λ1λ2)/(λ1−λ2) …………式5
【0024】
次に、本実施形態の潤滑剤塗膜計測装置1を使用した潤滑油膜の計測方法について作用とともに説明する。
最初に、潤滑剤塗膜計測装置1を使用してディスク試験片2及びボール試験片14の接触部分における潤滑油膜の厚さを計測する方法について説明する。
第2XYステージ44の駆動によりユニット42を水平方向に移動させ、光学顕微鏡38の対物レンズ38aを、ディスク試験片2及びボール試験片14の接触部分の上方に位置させる。
【0025】
次に、荷重負荷装置24に所定重量の錘26を載せ、ボール試験片14の下側が浸されている潤滑剤溜まり22によりボール試験片14をディスク試験片2の下面側に押し付ける。また、潤滑剤溜まり22内の潤滑油を所定温度に加熱しておくとともに、ディスク試験片2及びボール試験片14を収納しているチャンバ内に、熱風発生装置30から所定温度の熱風を供給する。
【0026】
このように、荷重負荷装置24でボール試験片14とディスク試験片2との間に押し付け力が発生し、熱風発生装置30でボール試験片14及びディスク試験片2が所定の雰囲気温度で接触し、さらに潤滑油も所定温度に設定されているので、再現性の高い測定が行われる。
そして、ディスク試験片2及びボール試験片14を静止した状態で計測を開始する。
【0027】
ハロゲン光源40aの光とキセノン光源40bの光をミキシングした光を、ディスク試験片2及びボール試験片14の接触部分に照射し、接触部分に干渉縞を発生させる(図5の(a)参照)。
ここで、ハロゲン光源40aの光とキセノン光源40bの光をミキシングした光は、広範囲に及ぶ波長領域を有し、かつ輝度が大きい特殊な光となる。
【0028】
そして、分光器36によって干渉縞の分光像を発生し、高速度カメラ34が、光学顕微鏡38によって拡大された分光像を高速撮影していく。このように高速度カメラ34が分光像を高速撮影する際には、直動装置46がユニット42をX方向に微小移動させていく(図6の(a)参照)。
このように、直動装置46でユニット42X方向に微小移動させていきながら高速度カメラ34で分光像を高速撮影することで、静止時におけるディスク試験片2及びボール試験片14の接触部分が広範囲に精度良く撮影される。
【0029】
高速度カメラ34が高速撮影したデータは、演算装置50の輝度分布解析回路50aに入力される。輝度分布解析回路50aは、分光像の輝度分布を解析して解析データを得る。そして、波長演算回路50bは、輝度分布解析回路50aで解析したデータに基づいて、静止時における干渉縞の暗縞の波長λ1、明縞の波長λ2を演算する(図7の(a)参照)。
そして、サーボモータ10の駆動によりディスク試験片2を回転させ、サーボモータ18の駆動によりボール試験片14を回転させる。この際、ボール試験片14の下側が潤滑剤溜まり22内に浸されているので、潤滑油が、順次ディスク試験片2及びボール試験片14の間に供給されていき潤滑油膜が形成される(図4参照)。そして、潤滑油膜の計測を開始する。
【0030】
すなわち、ハロゲン光源40aの光とキセノン光源40bの光をミキシングした光を、ディスク試験片2及びボール試験片14の接触部分に照射し、接触部分に干渉縞を発生させる(図5の(b)参照)。
そして、高速度カメラ34が、光学顕微鏡38によって拡大された分光像を高速撮影していく。この場合にも、直動装置46がユニット42をX方向に微小移動させていく(図6の(b)参照)。
【0031】
このように、直動装置46でユニット42X方向に微小移動させていきながら高速度カメラ34で分光像を高速撮影することで、回転時におけるディスク試験片2及びボール試験片14の接触部分が広範囲に精度良く撮影される。
演算装置50の輝度分布解析回路50aは、高速度カメラ34から入力した高速撮影データに基づいて解析データを得る。そして、波長演算回路50bは、輝度分布解析回路50aで解析したデータに基づいて、回転時における干渉縞の暗縞の波長λ3、明縞の波長λ4を演算する(図7の(b)参照)。
【0032】
塗膜厚さ演算回路50cは、静止時における干渉縞の暗縞の波長λ1、明縞の波長λ2、回転時における干渉縞の暗縞の波長λ3、明縞の波長λ4に基づいて、潤滑油膜の厚さhoilを演算する(図8の(b)参照)。
そして、演算結果出力回路50eは、塗膜厚さ演算回路50cで演算した潤滑油膜の厚さhoilを表示装置52に出力する。
これにより、ディスク試験片2及びボール試験片14の接触部分における潤滑油膜の厚さの測定が完了する。
【0033】
次に、潤滑剤塗膜計測装置1を使用してディスク試験片2及びボール試験片14の接触部分における潤滑油膜の厚さを計測する方法について説明する。
第1トルクメータ12が、ディスク試験片2が回転しているときのディスク回転軸6のトルク変化を計測し、第2トルクメータ20が、ボール試験片14が回転しているときのボール連結軸16のトルク変化を計測しているが、これら第1及び第2トルクメータ12,20のトルク変化のデータが演算装置50の摩擦係数演算回路50dに入力される。
【0034】
摩擦係数演算回路50dは、入力したディスク試験片2側とボール試験片14側のトルク変化に基づいて、ディスク試験片2及びボール試験片14の接触部分の摩擦係数を演算する。
そして、演算結果出力回路50eは、摩擦係数演算回路50dで演算したディスク試験片2及びボール試験片14の接触部分の摩擦係数を表示装置52に出力する。
これにより、ディスク試験片2及びボール試験片14の接触部分の摩擦係数の測定が完了する。
【0035】
なお、ディスク試験片2及びボール試験片14が本発明の一対の物体に相当し、光学顕微鏡38が本発明の顕微鏡に相当し、直動装置46が本発明の高速度カメラ移動手段に相当し、演算装置50が本発明の演算手段に相当し、輝度分布解析回路50aが本発明の輝度分布解析手段に相当し、波長演算回路50bが本発明の波長演算手段に相当し、塗膜厚さ演算回路50cが本発明の塗膜厚さ演算手段に相当し、第1トルクメータ12,第2トルクメータ20が本発明のトルク計測手段に相当し、摩擦係数演算回路50dが本発明の摩擦係数演算手段に相当し、チャンバ28が本発明の雰囲気温度設定手段に相当し、潤滑剤溜まり22及び荷重負荷装置24が本発明の押し付け手段に相当する。
【0036】
したがって、本実施形態は、光源40から出力された光を、ディスク試験片2及びボール試験片14の接触部分における潤滑油膜に照射して干渉縞を発生し、直動装置46でユニット42をX方向に移動しながら、分光器36で発生させた干渉縞の分光像を光学顕微鏡38で拡大しつつ高速度カメラ34で高速撮影し、その高速撮影したデータに基づいて潤滑油膜の厚さを測定しているので、従来では精度及び信頼性の面で問題があった弾性流体潤滑状態(EHL状態:Elastohydrodynamic Lubricastion)の潤滑油膜の厚さを高精度に、且つ信頼性を高くして行うことができる。
【0037】
また、光源40の光は、ハロゲン光源40aの光とキセノン光源40bの光をミキシングした光であり、広範囲に及ぶ波長領域を有し、かつ輝度が大きい特殊な光となるので、発生する干渉縞の明暗が正確となり、さらに高精度に潤滑油膜の厚さ測定を行うことができる。
また、荷重負荷装置24でボール試験片14とディスク試験片2との間に押し付け力を発生させ、熱風発生装置30でボール試験片14及びディスク試験片2が所定の雰囲気温度で接触し、さらに潤滑油も所定温度に設定しているので、再現性の高い測定を行うことができる。
【0038】
さらに、第1トルクメータ12でディスク試験片2が回転しているときのディスク回転軸6のトルク変化を計測し、第2トルクメータ20でボール試験片14が回転しているときのボール連結軸16のトルク変化を計測し、演算装置50の摩擦係数演算回路50dが、第1及び第2トルクメータ12,20のトルク変化のデータに基づいて、ディスク試験片2及びボール試験片14の接触部分の摩擦係数を演算するようにしているので、簡単な構成でディスク試験片2及びボール試験片14の接触部分の摩擦係数を測定することができる。
【0039】
(第2実施形態)
次に、図9は、図1と異なる構成の本発明に係る第2実施形態の潤滑剤塗膜計測装置を示す図である。
本実施形態の潤滑剤塗膜計測装置58は、潤滑剤溜まり22に所定量のグリースが溜まっているとともに、装置架台4上に、ディスク試験片2の下面に塗布されたグリースを掻き取るゴムへら等からなる掻き取り部60が設けられている。この掻き取り部60は、ディスク試験片2の下面に近接し、潤滑剤溜まり22からボール試験片14を介してディスク試験片2の下面に塗布されたグリースの余分量を掻き取り、試験中にはディスク試験片2の下面に存在するグリースの塗膜の厚さが一定となるようにしている。このようにすることで、ディスク試験片2の下面へのグリースの塗膜の形成能力を高精度に行うことができる。
【0040】
そして、本実施形態も、潤滑油を用いた潤滑油膜の厚さを計測する方法と同様の手順を行うことによって、従来では精度及び信頼性の面で問題があった弾性流体潤滑状態(EHL状態:Elastohydrodynamic Lubricastion)のグリースの塗膜の厚さの測定を高精度に、且つ信頼性を高くして行うことができる。
(第3実施形態)
図10は、本発明に係る第3実施形態の潤滑剤塗膜計測装置の構成を示す図である。なお、本実施形態の潤滑剤塗膜計測装置70では、第1施形態の潤滑剤塗膜計測装置1と同一部分について同一符号を付して説明を省略する。
【0041】
本実施形態の潤滑剤塗膜計測装置70が図1に示される潤滑剤塗膜計測装置1と異なる点は、潤滑剤塗膜計測装置1における第2トルクメータ20及びサーボモータ18の代わりに、それぞれカム機構72及びサーボモータ74が設けられている点である。
図11に示されるように、カム機構72は、サーボモータ74の回転軸75に連結された円柱状の偏心カム76と、この偏心カム76に連結されたクランク78とを備えている。偏心カム76は、その軸心SCが回転軸75の軸心SMと平行になっている。但し、偏心カム76の軸心SMは、回転軸75の軸心SCから所定の距離Eだけ離れており、この距離Eは偏心カム76の偏心量になる。
【0042】
偏心カム76には、その軸線方向中央部に断面が円形とされた軸部77が同軸的に形成されている。一方、クランク78は上下方向に細長いプレート状に形成されており、その下端側には円形の軸受孔79が穿設されている。カム機構72では、クランク78の軸受孔79内に偏心カム76の軸部77が相対的に回動可能に挿入されている。またクランク78の上端部には、ボールジョイント等のジョイント部材80を介してボール連結軸16の基端部が連結されている。これにより、ボール回転軸75はクランク78に上下方向に沿って揺動可能に連結される。
【0043】
カム機構72では偏心カム76の偏心量Eが調整可能とされている。調整方法としては、例えば、偏心量Eがそれぞれ異なる複数個の偏心カム76を予め用意しておき、装置による試験開始前に、所望の偏心量Eを有する偏心カム76を回転軸75に取り付けることにより、偏心量Eの調整を行う。また偏心カム76に偏心量Eを調整するための調整機構(図示省略)を設け、この調整機構により偏心量Eを調整するようにしても良い。
【0044】
図12に示されるように、潤滑剤塗膜計測装置70の演算回路50には、サーボ制御回路82が設けられている。サーボ制御回路82は、装置作動時にサーボモータ74にサーボ駆動信号を出力すると共に、サーボモータ74の回転速度に対応するフィードバック信号を演算結果出力回路50eに出力する。これにより、サーボモータ74は、サーボ駆動信号に対応する回転速度で回転すると共に、フィードバック信号をサーボ制御回路82に出力する。また演算結果出力回路50eは、フィードバック信号に基づいてサーボモータ74の回転速度を算出し、その表示信号を表示装置52に出力する。
【0045】
次に、カム機構72の振幅比Aとボール試験片14の揺動量との関係について説明する。図13(a)〜(d)には、ボール連結軸16がジョイント部材80を介すことなく、直接的にクランク78に連結されていると仮定した場合のボール試験片14の振幅量(以下「仮想振幅量」という。)と振幅比ARとの関係が示されている。ここで、図13(a)に示されるように、カム機構72の振幅比ARとは、ボール試験片14の半径をB、偏心カム76の偏心量Eとしたときに、B/Eで表される数値である。
【0046】
振幅比ARが1未満の場合には、図13(b)に示されるように、ボール試験片14の仮想振幅量は、ボール試験片14の直径(B×2)よりも小さくなり、振幅比ARが1の場合には、図13(c)に示されるように、ボール試験片14の仮想振幅量は、ボール試験片14の直径(B×2)と等しくなり、振幅比ARが1を超える場合には、図13(d)に示されるように、ボール試験片14の仮想振幅量は、ボール試験片14の直径(B×2)よりも大きくなる。
【0047】
一方、実際のカム機構72では、ボール連結軸16の基端部がジョイント部材80を介してクランク78に連結されていることから、ボール試験片14には、仮想振幅量の大きさに比例する揺動量の揺動運動が発生することになる。このとき、ボール試験片14の揺動運動の1周期はサーボモータ74の1回転と同期するので、ボール試験片14の揺動運動の周波数はサーボモータ74の回転速度と一致する。
【0048】
以上説明した潤滑剤塗膜計測装置70では、潤滑油膜の厚さを測定する際に、サーボモータ74を回転させることにより、ボール試験片14を揺動させてディスク試験片2上の潤滑油膜に対して非定常状態とすることができる。
したがって、潤滑剤塗膜計測装置70では、第1実施形態の潤滑剤塗膜計測装置1と同様に、弾性流体潤滑状態(EHL状態:Elastohydrodynamic Lubricastion)の潤滑油膜の厚さを高精度に、且つ信頼性を高くして測定できることに加え、ボール試験片14を所定の揺動量及び周波数で揺動する非定常状態としつつ、潤滑油膜の厚さを高精度に測定できる。
【0049】
なお、ボール試験片14を所定の揺動量及び周波数で揺動させる揺動機構としては、例えば、サーボモータの回転軸をボール連結軸16と直交するように配置し、このサーボモータの回転軸をボール連結軸の基端部に直接連結し、サーボモータを正転及び逆転を繰り返すように制御するものも考えられる。しかし、このような揺動機構では、振幅比ARを5以下に設定することが困難であると共に、ボール試験片14の慣性等の影響を受けやすいため、ボール試験片14を精度良く所定の揺動量で揺動させることが困難である。
また本実施形態では、最小の振幅比ARを0.55に設定していたが、偏心量Eが更に小さい偏心カム76をサーボモータ74に取り付けることにより、振幅比ARを0.55よりも更に小さくすることも可能である。
【実施例】
【0050】
次に、本発明の第3実施形態に係る潤滑剤塗膜計測装置70を用いて潤滑油膜の厚さを測定した結果を実施例として説明する。
図14(a)〜(d)には、ボール試験片14の揺動量を段階的に変化させつつ、潤滑油膜の厚さをX軸方向に沿って測定した結果が示されている。
図14(a)には振幅比ARを0.55に設定して、ボール試験片14を揺動させつつ、潤滑油膜の厚さに対する測定結果が示されている。図14(b)には振幅比ARを1.29に設定して、ボール試験片14を揺動させつつ、潤滑油膜の厚さに対する測定結果が示されている。図14(c)には振幅比ARを1.29に設定して、ボール試験片14を揺動させつつ、潤滑油膜の厚さに対する測定結果が示されている。図14(d)には振幅比ARを1.98に設定して、ボール試験片14を揺動させつつ、潤滑油膜の厚さに対する測定結果が示されている。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】本発明に係る第1実施形態の潤滑剤塗膜計測装置を示す図である。
【図2】本発明に係る第1実施形態の潤滑剤塗膜計測装置を構成する演算手段の構成を示す図である。
【図3】静止時の一対の物体の接触部分を拡大して示した図である。
【図4】回転時の一対の物体の接触部分を拡大して示した図である。
【図5】光を照射して発生した干渉縞の概略を示す図である。
【図6】分光像を高速撮影した画像の概略を示す図である。
【図7】分光像を輝度分析した解析図である。
【図8】油膜の厚さを測定した結果を示す図である。
【図9】本発明に係る第2実施形態の潤滑剤塗膜計測装置を示す図である。
【図10】本発明に係る第3実施形態の潤滑剤塗膜計測装置を示す図である。
【図11】図10に示される潤滑剤塗膜計測装置におけるカム機構及びサーボモータを示す図である。
【図12】本発明に係る第3実施形態の潤滑剤塗膜計測装置を構成する演算手段の構成を示す図である。
【図13】図10に示されるカム機構における偏心カムの振幅比とボール試験片の振幅量との関係が示す図である。
【図14】図10に示される潤滑剤塗膜計測装置を用いてボール試験片の揺動量を段階的に変化させつつ、潤滑油膜の厚さをX軸方向に沿って測定した結果が示す図である。
【符号の説明】
【0052】
1 潤滑剤塗膜計測装置
2 ディスク試験片
10 サーボモータ
12 第1トルクメータ
14 ボール試験片
18 サーボモータ
20 第2トルクメータ
22 潤滑剤溜まり
24 荷重負荷装置
28 チャンバ
34 高速度カメラ
36 分光器
38 光学顕微鏡
40 光源
40a ハロゲン光源
40b キセノン光源
42 ユニット
44 第2XYステージ
46 直動装置
50 演算装置
50a 輝度分布解析回路50b 波長演算回路
50c 塗膜厚さ演算回路
50d 摩擦係数演算回路
52 表示装置
58 潤滑剤塗膜計測装置
60 掻き取り部
70 潤滑剤塗膜計測装置
72 カム機構
74 サーボモータ
75 回転軸
76 偏心カム
77 軸部
78 クランク
80 ジョイント部材
82 サーボ制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
相対的に転動又は摺動している一対の物体の接触部分を潤滑する潤滑剤の塗膜の厚さを計測する方法であって、
光源から出力された光を前記塗膜の前記接触部分に照射して干渉縞を発生させる工程と、
前記接触部分に沿って移動しながら、前記干渉縞を分光して発生した分光像を拡大して高速撮影する工程と、
高速撮影したデータに基づいて前記分光像の輝度分布を解析する工程と、
輝度分布を解析したデータに基づいて前記分光像の黒縞の波長及び明縞の波長を演算する工程と、
前記黒縞の波長及び明縞の波長に基づいて前記塗膜の厚さを測定する工程と、を備えたことを特徴とする潤滑剤塗膜計測方法。
【請求項2】
前記光源をハロゲン光源及びキセノン光源とし、これらハロゲン光源及びキセノン光源をミキシングした光を前記油膜の接触部分に照射することを特徴とする請求項1記載の潤滑剤塗膜計測方法。
【請求項3】
前記一対の物体を、特定温度の雰囲気状態に配置するとともに、前記潤滑剤を、特定温度に設定することを特徴とする請求項1又は2に記載の潤滑剤塗膜計測方法。
【請求項4】
前記一対の物体を互いに押し付けた状態とすることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の潤滑剤塗膜計測方法。
【請求項5】
前記一対の物体における一方の物体の他方の物体との接触部分を球面により形成し、
モータの回転運動をカム機構により前記一方の物体の往復揺動運動に変換しつつ、一方の物体を他方の物体に対して相対的に摺動させると共に、前記一対の物体の接触部分を潤滑する潤滑剤の塗膜の厚さを計測すること特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の潤滑剤塗膜計測方法。
【請求項6】
相対的に転動又は摺動している一対の物体の接触部分を潤滑する潤滑剤の塗膜の状態を計測する装置であって、
光を前記塗膜の接触部分に照射して干渉縞を発生させる光源と、
前記干渉縞の分光像を発生させる分光器と、
この分光器で発生した前記分光像を拡大する顕微鏡と、
この顕微鏡で拡大された前記分光像を高速撮影する高速度カメラと、
この高速度カメラを前記接触部分に沿って移動させる高速度カメラ移動手段と、
前記高速度カメラから得た高速撮影データに基づいて前記塗膜の状態を計測する演算手段とを備え、
前記演算手段は、高速撮影データに基づいて前記分光像の輝度分布を解析する輝度分布解析手段と、この輝度分布解析手段で解析した輝度分布に基づいて前記分光像の黒縞の波長及び明縞の波長を演算する波長演算手段と、この波長演算手段で演算した前記黒縞の波長及び明縞の波長に基づいて前記塗膜の厚さを演算する塗膜厚さ演算手段とを備えていることを特徴とする潤滑剤塗膜計測装置。
【請求項7】
前記光源は、ハロゲン光源及びキセノン光源であり、これらハロゲン光源及びキセノン光源をミキシングした光が、前記塗膜の接触部分に照射されることを特徴とする請求項6記載の潤滑剤塗膜計測装置。
【請求項8】
前記一対の物体のうち少なくとも一方のトルク変化を計測するトルク計測手段を備えているとともに、前記演算手段は、前記トルク計測手段が計測したデータに基づいて、一対の物体の接触部分の摩擦係数を演算する摩擦係数演算手段を備えていることを特徴とする請求6又は7記載の潤滑剤塗膜計測装置。
【請求項9】
前記一対の物体を特定温度の雰囲気状態とする雰囲気温度設定手段と、前記潤滑剤を特定温度に設定する潤滑剤温度設定手段とを備えたことを特徴とする請求項6から8の何れか1項に記載の潤滑剤塗膜計測装置。
【請求項10】
前記一対の物体を互いに押し付けた状態とする押し付け手段を設けたことを特徴とする請求項6から9の何れか1項に記載の潤滑剤塗膜計測装置。
【請求項11】
前記一対の物体における一方の物体の他方の物体との接触部分を球面により形成し、
モータと、このモータの回転運動を前記一方の物体の往復揺動運動に変換するカム機構とを備えたことを特徴とする特徴とする請求項6から10の何れか1項に記載の潤滑剤塗膜計測装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−180716(P2009−180716A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−22796(P2008−22796)
【出願日】平成20年2月1日(2008.2.1)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【Fターム(参考)】