説明

潤滑装置

【課題】 加圧時の加圧時間及び脱圧時の脱圧時間を短くして加圧効率及び脱圧効率を向上させる。
【解決手段】 タンクT内の潤滑油を吐出する吐出口11を有したポンプ1と、ポンプ1の吐出口11から吐出された潤滑油を定量吐出する複数のバルブ70とを備え、ポンプ1が設けられるポンプブロック体50を備え、ポンプブロック体50に潤滑油を流出させる流出口52と、流出口52とポンプ1の吐出口11とを接続するポンプ側通路53とを形成し、複数のバルブ70が設けられるバルブブロック体80を備え、バルブブロック体80にバルブ70を取り付ける複数のバルブポート81と、流出口52から流出された潤滑油が流入する流入口82と、流入口82とバルブポート81とを接続するバルブ側通路83とを形成し、ポンプブロック体50とバルブブロック体80とを、流出口52と流入口82とを連通させて連設した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、グリスやオイル等の潤滑油を吐出する潤滑装置に係り、特に、タンク内の潤滑油を吐出する吐出口を有したポンプとポンプの吐出口から吐出された潤滑油を定量吐出するバルブとを備えた潤滑装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の潤滑装置としては、例えば、樹脂あるいは金属の射出成形機に設置されたグリスの潤滑装置がある。図7に示すように、この潤滑装置Saは、タンクTa内の潤滑油を吐出する吐出口101を有したポンプ100と、潤滑油の加圧及び脱圧によって往復動させられて潤滑油を吐出する単一のピストン(図示せず)及びこのピストンに対応した1つの吐出口を備え1ショットの吐出量が0.03ml〜1.5ml(0.03cc〜1.5cc)程度の周知の単一定量バルブ110とを備えている。この単一定量バルブ110は、パイプで構成される脱圧管路120を介してポンプ100に接続されている。ポンプ100は、タンクTaに貯留された潤滑油を脱圧管路120に送給するもので、このポンプ100にポンプ100の停止時に脱圧管路120の脱圧を強制的に行なう自動脱圧バルブ102を接続して構成されている。尚、図7中、符号103は管内圧が高圧になったとき潤滑油を逃がす安全のためのリリーフ弁、符号104は手動のエア抜きバルブ、符号105はポンプ100の一方向チェック弁である(例えば、特開2002−323196号公報に掲載)。
【0003】
【特許文献1】特開2002−323196号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、この従来の潤滑装置Saにおいては、ポンプ100とバルブ110との間に脱圧管路120としてのパイプが配管されており、ポンプ100の吐出口101から吐出された潤滑油は、このパイプを通して加圧されるので、加圧時間を要する一方、潤滑油を脱圧する場合も、潤滑油が脱圧管路120を通して脱圧されるので、脱圧時間を要する。そのため、ポンプ100の吐出口101から吐出された潤滑油がバルブ110に流入されるまでの経路長の長さが長いと、加圧時間及び脱圧時間が長くなり、加圧効率及び脱圧効率が悪くなるという問題があった。
【0005】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたもので、加圧時の加圧時間及び脱圧時の脱圧時間を短くして加圧効率及び脱圧効率を向上させた潤滑装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
このような目的を達成するため、本発明の潤滑装置は、タンク内の潤滑油を吐出する吐出口を有したポンプと、該ポンプの吐出口から吐出された潤滑油を定量吐出する複数のバルブとを備えた潤滑装置において、上記ポンプが設けられるポンプブロック体を備え、該ポンプブロック体に潤滑油を流出させる流出口と、該流出口と上記ポンプの吐出口とを接続するポンプ側通路とを形成し、上記複数のバルブが設けられるバルブブロック体を備え、該バルブブロック体に上記バルブを取り付ける複数のバルブポートと、上記流出口から流出された潤滑油が流入する流入口と、該流入口と上記バルブポートとを接続するバルブ側通路とを形成し、上記ポンプブロック体と上記バルブブロック体とを、上記流出口と上記流入口とを連通させて連設した構成としている。
【0007】
これにより、タンク内の潤滑油は、ポンプに流入されてポンプの吐出口から吐出され、ポンプ側通路を通過して流出口から流出し、流入口からバルブブロック体に流入する。バルブブロック体に流入した潤滑油は、バルブ側通路を通ってバルブポートに至り、このバルブポートからバルブに流入してバルブから吐出される。この際、潤滑油は、ポンプ側通路及びバルブ側通路において、ポンプによって加圧され、また必要に応じて脱圧されてバルブから吐出される。即ち、加圧及び脱圧することにより作動させられる脱圧型バルブを使用する場合には、ポンプによってポンプ側通路及びバルブ側通路の潤滑油を加圧及び脱圧する。尚、特に脱圧しなくても作動させられる非脱圧型バルブを使用する場合には、必ずしも脱圧しなくても良い。
【0008】
ここで、脱圧型バルブを使用する場合で説明すると、加圧時及び脱圧時においては、ポンプブロック体とバルブブロック体とを、流出口と流入口とを連通させて連設しているので、従来のようにポンプとバルブとの間をパイプで配管する必要がなくなり、そのため、潤滑油の圧力損失を低減させることができるとともに、加圧時間及び脱圧時間が短くなり、それだけ、加圧効率及び脱圧効率を向上させることができる。
【0009】
また、圧力損失を低減させることができることから、バルブの作動圧を低減させることができ、そのため、バルブを小型化することができる。更に、加圧時間及び脱圧時間を短くできるので、加圧,脱圧のサイクルを短時間で行なうことができるようになり、そのため、装置の運転サイクルを短くすることができる。
【0010】
そして、必要に応じ、上記ポンプの吐出口と、上記バルブブロック体の末端のバルブポートとの経路長Lを、20mm≦L≦300mmとした構成としている。即ち、経路長Lは、ポンプ側通路の長さと末端のバルブに対するバルブ側通路の長さとの和となる。経路長Lが20mmに満たないと、実質的にブロックを形成できない。300mmを超えると、ブロックが大きくなりすぎる。
これにより、上記の効果がより一層顕著になり、そのため、より一層加圧効率及び脱圧効率を向上させることができる。
【0011】
また、必要に応じ、上記ポンプを、上記タンクからの潤滑油を吸引する吸引口及び吸引した潤滑油を吐出する吐出口を有したシリンダと、該シリンダに進退動可能に挿通され当該進退動により潤滑油の吸引及び吐出を行なうピストンと、該ピストンを退出方向に付勢するスプリングと、該スプリングの付勢力に抗して上記ピストンを進出方向に移動させる駆動部とを備えて構成している。
これにより、ポンプから潤滑油を吐出させるときは、先ず、駆動部をOFFにしてスプリングによりピストンを退出方向に付勢する。この状態では、吸引口からシリンダ内に潤滑油が吸引されるようになる。そして、駆動部を駆動させてピストンを進出方向に移動させる。ピストンが進出すると、シリンダ内の潤滑油はピストンに押し出されて吐出口から吐出される。即ち、ポンプを比較的簡易な構成とすることができる。
【0012】
更に、必要に応じ、上記駆動部を、上記ポンプブロック体に設けられる電動モータと、該電動モータによって駆動されるとともに上記ポンプブロック体の空間に設けられ上記ピストンの一端に係合して該ピストンを進退動させるカム機構とを備えて構成している。
これにより、駆動部を比較的簡易な機構で構成することができるので、より一層、ポンプを簡易な構成とすることができる。また、ポンプ側通路の圧力損失を低減させることができるので、ポンプが潤滑油に掛ける圧力を抑えることができ、そのため、電動モータを小型化することができる。
【0013】
更にまた、必要に応じ、上記ポンプブロック体に、上記ポンプ側通路の途中からタンク側に至るドレン通路を形成し、該ドレン通路に、上記ポンプの作動時に該ドレン通路を閉にし、上記ポンプの非作動時に上記ドレン通路を開にする開閉バルブを介装し、上記ポンプブロック体に、上記ポンプ側通路の途中からタンク側に至るリリーフ通路を形成し、該リリーフ通路に、所定の圧力になったとき上記ポンプ側通路の潤滑油をタンク側に逃がすリリーフ弁を介装した構成としている。
これにより、ポンプを作動させると、ポンプから潤滑油が吐出されるとともにドレン通路が閉になるので、ポンプの吐出口から吐出された潤滑油をバルブブロック体に流入させることができ、そのため、潤滑油を加圧することができる。この加圧時において、潤滑油を加圧する圧力が所定値になったときは、リリーフ弁が開になってポンプ側通路の潤滑油をリリーフ通路に逃がす。これによって、ポンプ側通路の潤滑油を過圧することを防止することができる。また、ポンプの作動を停止すると、開閉バルブによってドレン通路が開になるので、ポンプ側通路の潤滑油を、ドレン通路を通してタンクに流入させることができ、そのため、潤滑油を脱圧することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明の潤滑装置によれば、加圧及び脱圧することにより作動させられる脱圧型バルブを使用する場合、加圧時及び脱圧時においては、ポンプブロック体とバルブブロック体とを、流出口と流入口とを連通させて連設しているので、従来のようにポンプとバルブとの間をパイプで配管する必要がなくなり、そのため、潤滑油の圧力損失を低減させることができるとともに、加圧時間及び脱圧時間が短くなり、それだけ、加圧効率及び脱圧効率を向上させることができる。また、圧力損失を低減させることができることから、バルブの作動圧を低減させることができ、そのため、バルブを小型化することができる。更に、脱圧時間を短くできるので、加圧,脱圧のサイクルを短時間で行なうことができるようになり、そのため、装置の運転サイクルを短くすることができる。
【0015】
また、ポンプの吐出口と、バルブブロック体の末端のバルブポートとの経路長Lを、20mm≦L≦300mmとした場合には、上記の効果がより一層顕著になり、そのため、より一層加圧効率及び脱圧効率を向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、添付図面に基づいて本発明の実施の形態に係る潤滑装置を説明する。
図1乃至図6には、本発明の実施の形態に係る潤滑装置Sを示している。本潤滑装置Sは、例えば、樹脂あるいは金属の射出成形機に設置されたグリス用の潤滑装置であり、タンクT内の潤滑油を吐出する吐出口11を有したポンプ1と、ポンプ1の吐出口11から吐出された潤滑油を吐出する複数のバルブ70とを備えて構成されている。
【0017】
ポンプ1は、図1,図3,図4及び図6に示すように、タンクTからの潤滑油を吸引する吸引口12及び吸引した潤滑油を吐出する吐出口11を有したシリンダ10と、シリンダ10に進退動可能に挿通され進退動により潤滑油の吸引及び吐出を行なうピストン20と、ピストン20を退出方向に付勢するスプリング30と、スプリング30の付勢力に抗してピストン20を進出方向に移動させる駆動部40とを備えて構成されている。図1及び図3中、符号2は、ポンプ1の一方向チェック弁である。このポンプ1は、内部に空間51を有して直方体状に形成されたポンプブロック体50に設けられている。
【0018】
シリンダ10は、吸引口12を上側に位置させている。このシリンダ10は、ピストン20の一端21がポンプブロック体50の内部の空間51に臨むようにポンプブロック体50に形成されている。ピストン20は、ロッド状に形成され、シリンダ10内を摺動して進退動可能に形成されている。
【0019】
駆動部40は、回転軸41がポンプブロック体50の空間51に臨むようにポンプブロック体50に設けられる電動モータ42と、電動モータ42によって駆動されるとともにポンプブロック体50の空間51に設けられピストン20の一端21に係合してピストン20を進退動させるカム機構43とを備えて構成されている。
【0020】
カム機構43は、図3に示すように、ピストン20の一端21が係合される凹部44aを有しピストン20の進退動方向に形成されるスプリング30が設けられる係合体44と、回転軸41に設けられ回転軸41に対して偏心した軸心を中心にして形成され一方面45a側に係合体44が取付固定されるカム体45とを備えて構成されている。
【0021】
上記のように構成されるポンプ1が設けられるポンプブロック体50は、図1乃至図4及び図6に示すように、潤滑油を流出させる流出口52と、流出口52とポンプ1の吐出口11とを接続するポンプ側通路53とが形成されている。このポンプブロック体50には、タンクTが取り付けられるタンク取付部54が形成されており、このタンク取付部54とシリンダ10の吸引口12とを接続する吸引通路55が形成されている。
【0022】
また、このポンプブロック体50には、図1,図3及び図6に示すように、ポンプ側通路53の途中からタンクT側に至るドレン通路56が形成され、このドレン通路56に、ポンプ1の作動時にドレン通路56を閉にし、ポンプ1の非作動時にドレン通路56を開にする開閉バルブ60が介装されている。この開閉バルブ60は、ソレノイドバルブで構成されている。図1中、符号61は、励磁時に進出して開閉バルブ60を閉にするソレノイドであり、符号62は、ソレノイド61の非励磁時に付勢力により開閉バルブ60を開にするスプリングである。ソレノイド61への通電,非通電は、例えば、コントローラ等に予めポンプ1の作動,非作動に対応して開閉バルブ60が開閉するように動作タイミングを記憶させ、この記憶させたタイミングでコントローラから発信される指令により行なわれる。
【0023】
更に、このポンプブロック体50には、図1,図3及び図4に示すように、ポンプ側通路53の途中からタンクT側に至るリリーフ通路57が形成され、このリリーフ通路57に、所定の圧力になったときポンプ側通路53の潤滑油をタンクT側に逃がすリリーフ弁57aが介装されている。このリリーフ弁57aは、常時はスプリング63の付勢力により閉状態となっており、内部パイロット圧が所定の圧力になったとき開状態となる。
【0024】
更にまた、このポンプブロック体50には、図1,図3及び図4に示すように、ポンプ側通路53の途中に、ポンプ側通路53の潤滑油の空気を抜くエア抜き通路58が設けられている。このエア抜き通路58は、ポンプ側通路53と、ポンプブロック体50に形成されポンプブロック体50の外部に通じる開口59とを接続している。また、このエア抜き通路58には、ポンプ側通路53の潤滑油の空気を抜くためのエア抜きバルブ58aが介装されている。
【0025】
バルブ70は、図1乃至図3及び図5に示すように、潤滑油の加圧及び脱圧によって往復動作させられて潤滑油を吐出する単一のピストン(図示せず)及びこのピストンに対応した1つの吐出口71を備え、1ショットの吐出量が0.03ml〜1.5ml程度の周知の単一定量バルブで構成されている。この単一定量バルブは、潤滑油の加圧及び脱圧により作動させられて潤滑油を吐出する脱圧型バルブである。このバルブ70は、直方体状に形成されたバルブブロック体80に設けられている。
【0026】
バルブブロック体80は、図1,図2,図4及び図5に示すように、バルブ70を取り付ける複数のバルブポート81と、ポンプブロック体50の流出口52から流出された潤滑油が流入する流入口82と、流入口82とバルブポート81とを接続するバルブ側通路83とが形成されている。
【0027】
そして、図1,図2及び図4に示すように、ポンプブロック体50とバルブブロック体80とは、流出口52と流入口82とが連通されて連設されている。詳しくは、ポンプブロック体50の下側にバルブブロック体80が位置し、図4に示すように、ポンプブロック体50とバルブブロック体80とがボルト84で縦列に接続されている。また、流出口52と流入口82との接続部には、シール用のOリング85が介装されている。この連設時のポンプ1の吐出口11と、バルブブロック体80の末端のバルブポート81との経路長L(図1中、P1,P2,P3,P4,P5を順に結ぶ線の距離)を、20mm≦L≦300mmとしている。実施の形態では、L=200mmとしている。
【0028】
従って、この実施の形態に係る潤滑装置Sを用いて潤滑油の潤滑を行なうと、以下のように作用する。バルブブロック体80のバルブポート81にバルブ70を取り付け、ポンプブロック体50のタンク取付部54にタンクTを取り付ける。タンクTを取り付けると、タンクT内に充填されている潤滑油が吸引通路55を通過してシリンダ10の吸引口12からシリンダ10内に流入可能になる。
【0029】
そして、電動モータ42を駆動してポンプ1を作動させる。電動モータ42を駆動すると、カム体45が軸心を中心に回転し、カム体45にスプリング30によって付勢された係合体44が進退動する。これによって、ピストン20がシリンダ10内を摺動しながら進退動させられ、タンクTからの潤滑油が吸引,吐出される。
【0030】
ポンプ1の吐出口11から吐出された潤滑油は、ポンプ側通路53を通過して流出口52から流出し、流入口82からバルブブロック体80に流入する。このとき、図6(A)に示すように、ポンプ1が作動しているので、コントローラからの指令によりソレノイド61が通電されて励磁され、このソレノイド61によって開閉バルブ60が閉となり、ドレン通路56が閉になる。そのため、ポンプ側通路53の潤滑油は、ドレン通路56を通ることができなくなり、バルブブロック体80に流入する。バルブブロック体80に流入した潤滑油は、バルブ側通路83を通過してバルブポート81に至り、このバルブポート81からバルブ70に流入してバルブ70から吐出される。バルブ70は、周知の脱圧型バルブを用いているので、このバルブ70内において、流入された潤滑油が加圧,脱圧を繰り返しながら吐出口71から潤滑油を吐出する。
【0031】
この際、潤滑油は、ポンプ側通路53及びバルブ側通路83において、ポンプ1によって加圧される。この加圧時においては、ポンプブロック体50とバルブブロック体80とを、流出口52と流入口82とを連通させて連設しているので、従来のようにポンプ1とバルブ70との間にパイプを配管する必要がなくなり、そのため、潤滑油の圧力損失を低減させることができるとともに、加圧時間を短くすることができ、それだけ、加圧効率を向上させることができる。実施の形態では、ポンプ1の吐出口11とバルブブロック体80の末端のバルブポート81との経路長Lを、L=200mm程度としているので、潤滑油の圧力損失を低減させるという効果がより一層顕著になる。また、圧力損失を低減させることができることから、バルブ70の作動圧を低減させることができ、そのため、バルブ70を小型化することができる。更に、ポンプ側通路53の圧力損失を低減させることができるので、ポンプ1が潤滑油に掛ける圧力を抑えることができ、そのため、電動モータ42を小型化することができる。
【0032】
また、予め所定の圧力の値を設定しておき、加圧時において、パイロット圧が所定値になったときは、リリーフ弁57aが開になる。リリーフ弁57aが開になると、ポンプ側通路53の潤滑油がリリーフ通路57を通るようになるので、ポンプ側通路53の潤滑油を過圧することを防止することができる。このリリーフ弁57aは、加圧圧力が所定値を下回ると閉になり、この閉状態では、ポンプ側通路53の潤滑油がリリーフ通路57を通ることができなくなり、バルブブロック体80に流入するようになるので、潤滑油の加圧を行なうことができる。
【0033】
また、本実施の形態では、加圧及び脱圧することにより作動させられる脱圧型バルブを使用しているので、ポンプ1による潤滑油の脱圧が必要になる。脱圧を行なうときは、ポンプ1を非作動にする。ポンプ1を非作動にすると、ポンプ1から潤滑油が吐出されなくなるとともに、図6(B)に示すように、コントローラの指令によりソレノイド61が非通電になって、スプリング62の付勢力により開閉バルブ60が開となり、ドレン通路56が開となる。これによって、ポンプ側通路53の潤滑油は、ドレン通路56を通るようになり、このドレン通路56を通ってタンクTに流入するようになるので、潤滑油を脱圧することができる。
【0034】
この脱圧時においては、ポンプブロック体50とバルブブロック体80とを、流出口52と流入口82とを連通させて連設しているので、従来のようにポンプ1とバルブ70との間にパイプを配管する必要がなくなり、そのため、脱圧時間を短くすることができ、それだけ、脱圧効率を向上させることができる。実施の形態では、ポンプ1の吐出口11とバルブブロック体80の末端のバルブポート81との経路長Lを、L=200mm程度としているので、潤滑油の脱圧時間を短くするという効果がより一層顕著になる。
【0035】
このようにポンプ側通路53及びバルブ側通路83の潤滑油を加圧及び脱圧するサイクルを繰り返してバルブ70の吐出口71から潤滑油を吐出する。加圧時間及び脱圧時間を短くできるので、加圧,脱圧のサイクルを短時間で行なうことができるようになり、そのため、装置Sの運転サイクルを短くすることができる。
この潤滑油を吐出するサイクルにおいて、潤滑油の加圧効率及び脱圧効率を向上させるために、潤滑油に混合する空気を抜くことが望ましい。詳しくは、ポンプ側通路53の途中に、ポンプ側通路53とポンプブロック体50に形成されポンプブロック体50の外部に通じる開口59とを接続するエア抜き通路58が設けられており、このエア抜き通路58に介装されたエア抜きバルブ58aによって、ポンプ側通路53の潤滑油の空気をエア抜き通路58を通して抜くようにしている。
【0036】
尚、上記実施の形態において、バルブ70を単一定量バルブの脱圧型バルブで構成したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、例えば、潤滑油の加圧によって順番に往復動させられて潤滑油を吐出するピストン及びこのピストンに対応した吐出口を備えた周知の進行型バルブ等の非脱圧型バルブで構成しても良く、適宜変更して差支えない。
また、上記実施の形態において、バルブ70を1ショットの吐出量が0.03ml〜1.5ml程度に構成したが、必ずしもこれに限定されるものではなく、適宜変更して差支えない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施の形態に係る潤滑装置の潤滑油の経路図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る潤滑装置を示す正面図である。
【図3】図2中A−A線断面図である。
【図4】図2中B−B線断面図である。
【図5】図2中C−C線断面図である。
【図6】図4中D−D線断面図である。
【図7】従来の潤滑装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0038】
S 潤滑装置
T タンク
1 ポンプ
2 一方向チェック弁
10 シリンダ
11 吐出口
12 吸引口
20 ピストン
21 一端
30 スプリング
40 駆動部
41 回転軸
42 電動モータ
43 カム機構
44 係合体
45 カム体
50 ポンプブロック体
51 空間
52 流出口
53 ポンプ側通路
54 タンク取付部
55 吸引通路
56 ドレン通路
57 リリーフ通路
57a リリーフ弁
58 エア抜き通路
58a エア抜きバルブ
59 開口
60 開閉バルブ
61 ソレノイド
62 スプリング
63 スプリング
70 バルブ
71 吐出口
80 バルブブロック体
81 バルブポート
82 流入口
83 バルブ側通路
84 ボルト
85 Oリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンク内の潤滑油を吐出する吐出口を有したポンプと、該ポンプの吐出口から吐出された潤滑油を定量吐出する複数のバルブとを備えた潤滑装置において、
上記ポンプが設けられるポンプブロック体を備え、該ポンプブロック体に潤滑油を流出させる流出口と、該流出口と上記ポンプの吐出口とを接続するポンプ側通路とを形成し、
上記複数のバルブが設けられるバルブブロック体を備え、該バルブブロック体に上記バルブを取り付ける複数のバルブポートと、上記流出口から流出された潤滑油が流入する流入口と、該流入口と上記バルブポートとを接続するバルブ側通路とを形成し、
上記ポンプブロック体と上記バルブブロック体とを、上記流出口と上記流入口とを連通させて連設したことを特徴とする潤滑装置。
【請求項2】
上記ポンプの吐出口と、上記バルブブロック体の末端のバルブポートとの経路長Lを、20mm≦L≦300mmとしたことを特徴とする請求項1記載の潤滑装置。
【請求項3】
上記ポンプを、上記タンクからの潤滑油を吸引する吸引口及び吸引した潤滑油を吐出する吐出口を有したシリンダと、該シリンダに進退動可能に挿通され当該進退動により潤滑油の吸引及び吐出を行なうピストンと、該ピストンを退出方向に付勢するスプリングと、該スプリングの付勢力に抗して上記ピストンを進出方向に移動させる駆動部とを備えて構成したことを特徴とする請求項1または2記載の潤滑装置。
【請求項4】
上記駆動部を、上記ポンプブロック体に設けられる電動モータと、該電動モータによって駆動されるとともに上記ポンプブロック体の空間に設けられ上記ピストンの一端に係合して該ピストンを進退動させるカム機構とを備えて構成したことを特徴とする請求項3記載の潤滑装置。
【請求項5】
上記ポンプブロック体に、上記ポンプ側通路の途中からタンク側に至るドレン通路を形成し、該ドレン通路に、上記ポンプの作動時に該ドレン通路を閉にし、上記ポンプの非作動時に上記ドレン通路を開にする開閉バルブを介装し、
上記ポンプブロック体に、上記ポンプ側通路の途中からタンク側に至るリリーフ通路を形成し、該リリーフ通路に、所定の圧力になったとき上記ポンプ側通路の潤滑油をタンク側に逃がすリリーフ弁を介装したことを特徴とする請求項1乃至4何れかに記載の潤滑装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−106868(P2010−106868A)
【公開日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−276606(P2008−276606)
【出願日】平成20年10月28日(2008.10.28)
【出願人】(591231926)リューベ株式会社 (25)
【Fターム(参考)】