説明

炊飯器

【課題】鍋を誘導加熱する加熱コイルへの電流経路を導通遮断するスイッチング手段を有する炊飯器において、短絡検知手段でスイッチング手段の短絡を検知すると強制短絡手段で強制的に短絡電流を流し、電流遮断手段の溶断時間が短く安全な炊飯器を提供する。
【解決手段】鍋1を誘導加熱する第1加熱コイル2への電流経路を第1スイッチング手段4により導通遮断し、交流電源5からの入力電流が所定値を超えると交流電源5からの電流経路を遮断する電流遮断手段6を有し、第1スイッチング手段4の短絡を検知する短絡検知手段13の出力に応じて強制短絡手段14により電流遮断手段6に電流を流すよう構成する。短絡検知手段13は、制御手段12が第1スイッチング手段4をオフしているとき、入力電流検知手段11の出力が所定値を超えると第1スイッチング手段4を短絡と判定し、このとき強制短絡手段14を導通するよう構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、鍋を誘導加熱する加熱コイルへの電流経路を導通遮断するスイッチング手段を有する炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の炊飯器は、インバータ回路より加熱コイルに高周波電力を供給して、被加熱物を入れる鍋を加熱コイルにより誘導加熱し、インバータ回路を制御回路により制御するよう構成し、インバータ回路は、加熱コイルと並列接続された共振用コンデンサと、加熱コイルと直列接続されたスイッチング素子と、スイッチング素子と並列接続されたダイオードとからなり、制御回路は、スイッチング素子のオン時間を設定するオン時間設定回路と、スイッチング素子のオン時間を切り替えるオン時間切り替え手段とを有し、保温時の入力電力をオン時間切り替え手段で制御している(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この種の炊飯器では、一般的に交流電源からの入力電流の経路に電流ヒューズなどの電流遮断手段を取り付けている。この電流ヒューズは、スイッチング素子またはダイオードがショートしたきに短絡電流が流れると断線し、交流電源からの電流経路を遮断するので、交流電源が短絡電流により発熱、焼損するのを防止することができる。
【特許文献1】特開平8−10137号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、このような従来の構成では、スイッチング素子とこのスイッチング素子に並列接続したダイオードとで構成するスイッチング手段がショートした場合、ショートしたスイッチング手段の抵抗値がばらつくので、この抵抗値が大きい場合、交流電源から流れる短絡電流が低下し、電流遮断手段の溶断時間が長くなるという問題を有していた。
【0005】
本発明は上記従来の課題を解決するもので、短絡検知手段でスイッチング手段の短絡を検知すると強制短絡手段で強制的に短絡電流を流し、電流遮断手段の溶断時間を短くできる安全な炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は上記目的を達成するために、鍋を誘導加熱する第1加熱コイルへの電流経路を第1スイッチング手段により導通遮断し、第1スイッチング手段を制御手段によりオンオフし、交流電源を整流手段により整流し、交流電源から供給される入力電流を入力電流検知手段により検知し、交流電源からの入力電流が所定値を超えると交流電源からの電流経路を遮断する電流遮断手段を有し、第1スイッチング手段の短絡を検知する短絡検知手段の出力に応じて強制短絡手段により電流遮断手段に電流を流すよう構成し、短絡検知手段は、制御手段が第1スイッチング手段をオフしているとき、入力電流検知手段の出力が所定値を超えると第1スイッチング手段を短絡と判定し、強制短絡手段は短絡検知手段が第1スイッチング手段の短絡を検知したとき、導通するよう構成したものである。
【0007】
これにより、スイッチング手段がショートし、ショートしたスイッチング手段の抵抗値がばらつき、この抵抗値が大きくなっても、短絡検知手段がスイッチング手段の短絡を検知し、強制短絡手段が電流遮断手段に電流遮断手段が溶断するのに十分な大きさの短絡電流を流すので、電流遮断手段をすぐに溶断できる。
【発明の効果】
【0008】
本発明の炊飯器は、電流遮断手段の溶断時間を短くできるので、ショートしたスイッチング手段や、加熱コイルに短絡電流が流れる時間が短くなり、スイッチング手段や加熱コイルの発熱を抑えることができ、安全な炊飯器を提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
第1の発明は、鍋を誘導加熱する第1加熱コイルと、前記第1加熱コイルへの電流経路を導通遮断する第1スイッチング手段と、前記第1スイッチング手段をオンオフする制御手段と、交流電源を整流する整流手段と、前記交流電源から供給される入力電流を検知する入力電流検知手段と、前記交流電源からの入力電流が所定値を超えると前記交流電源からの電流経路を遮断する電流遮断手段と、前記第1スイッチング手段の短絡を検知する短絡検知手段と、前記短絡検知手段の出力に応じて前記電流遮断手段に電流を流す強制短絡手段とを備え、前記短絡検知手段は、前記制御手段が前記第1スイッチング手段をオフしているとき、前記入力電流検知手段の出力が所定値を超えると、前記第1スイッチング手段を短絡と判定し、前記強制短絡手段は前記短絡検知手段が第1スイッチング手段の短絡を検知したとき、導通するよう構成したものであり、強制短絡手段により電流遮断手段に電流遮断手段が溶断するのに十分な大きさの短絡電流を流すことができて、電流遮断手段をすぐに溶断でき、ショートしたスイッチング手段や、加熱コイルに短絡電流が流れる時間を短くすることができ、スイッチング手段や加熱コイルの発熱を抑えることができて、安全な炊飯器を提供できる。
【0010】
第2の発明は、鍋を誘導加熱する第1加熱コイルと、前記第1加熱コイルへの電流経路を導通遮断する第1スイッチング手段と、前記鍋を誘導過熱する第2加熱コイルと、前記第2加熱コイルへの電流経路を導通遮断する第2スイッチング手段と、前記第1スイッチング手段および前記第2スイッチング手段の導通遮断を制御する制御手段と、交流電源を整流する整流手段と、前記交流手段から供給される入力電流を検知する入力電流検知手段と、前記交流電源からの入力電流が所定値を超えると前記交流電源からの電流経路を遮断する電流遮断手段と、前記第1スイッチング手段または前記第2スイッチング手段の短絡を検知する短絡検知手段とを備え、前記短絡検知手段は、前記制御手段が前記第1スイッチング手段および前記第2スイッチング手段をオフしているとき、前記入力電流検知手段の出力が所定値を超えると前記第1スイッチング手段または前記第2スイッチング手段の短絡と判定し、前記第1スイッチング手段、前記第2スイッチング手段をともに導通するよう構成したものであり、電流遮断手段に電流遮断手段が溶断するのに十分な大きさの短絡電流が流れるので、電流遮断手段をすぐに溶断することができ、ショートしたスイッチング手段や、加熱コイルに短絡電流が流れる時間が短くなり、スイッチング手段や加熱コイルの発熱を抑えることができ、安全な炊飯器を提供できる。また、スイッチング手段を利用することにより基板の省スペース化が図れる。
【0011】
第3の発明は、上記第2の発明において、第1スイッチング手段の両端電圧を検知する第1の電圧検知手段と、第2スイッチング手段の両端電圧を検知する第2の電圧検知手段とを備え、短絡検知手段は、制御手段が第1スイッチング手段をオフしているとき、前記第1の電圧検知手段の出力が所定値以下だと前記第2スイッチング手段のオンを維持し、前記第2スイッチング手段がオフのときに第2の電圧検知手段が所定値以下だと前記第1スイッチング手段の導通するようにしたものであり、どちらのスイッチング手段がショートしたかを第1の電圧検知手段と第2の電圧検知手段で精度良く検知することができ、電流遮断手段を溶断するかどうかを正確に判断することができ、安全性の高い炊飯器を提供できる。
【0012】
第4の発明は、上記第3の発明において、炊飯器の炊飯履歴を記憶する記憶手段を備え、前記記憶手段は、短絡検知手段が短絡と判定したスイッチング手段の情報を記憶するようにしたものであり、第1スイッチング手段と第2スイッチング手段のいずれがショートしたかを確認することができるので、修理、改善が容易な炊飯器を提供できる。
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0014】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1における炊飯器の一部ブロック化した要部回路図である。
【0015】
図1に示すように、鍋1は、磁束を通す金属を複数用いた積層体で構成し、第1熱コイル2と磁気結合し、鍋1を第1加熱コイル2により誘導加熱するよう構成している。第1加熱コイル2は複数の銅線を束ねたリッツ線をさらに20数本で撚った線で構成しており、高周波電流が流れたときの電流分布を均一にしている。
【0016】
第1共振用コンデンサ3は第1加熱コイル2に並列接続しており、第1加熱コイル2と並列共振回路を構成している。この第1共振用コンデンサ3は高周波電流が流れても損失の少ないポリプロピレンコンデンサを使用している。
【0017】
第1スイッチング手段4は、第1加熱コイル2への電流経路を導通遮断するもので、MOSFETやIGBTなどの半導体素子と、この半導体素子に逆接続した逆接続ダイオードで構成している。MOSFETやIGBTは耐圧が高く、高周波のスイッチングが可能で、大電流を流すことができるという利点がある。
【0018】
交流電源5は炊飯器に電力を供給するもので、交流電源5の電源周波数は、東日本地域では50Hz、西日本地域では60Hzとなっている。
【0019】
電流遮断手段6は、交流電源5からの入力電流が所定値を超えると交流電源5からの電流経路を遮断するもので、ヒューズなどで構成し、定格電圧以下で定格値以上の電流が流れると溶断するものである。
【0020】
整流手段7は、交流電源5を整流するもので、ダイオードブリッジ8、チョークコイル9、平滑用コンデンサ10で構成している。ここで、平滑用コンデンサ10の容量は数μFと小さく、加熱コイル2に高周波電流を流した場合、リプルが生じる。本実施の形態では、このリプル電圧は、交流電源5の電圧と同じとなる。
【0021】
入力電流検知手段11は、交流電源5から供給される入力電流を検知するもので、カレントトランスなどで構成し、短絡検知手段13に信号を送る。制御手段12は、第1スイッチング手段4の導通遮断を制御するもので、マイクロコンピュータ内部のAD変換器やPWM発生器などで構成し、スイッチング手段4と短絡検知手段13にオンオフ信号を送る。
【0022】
短絡検知手段13は、第1スイッチング手段4の短絡を検知するもので、マイクロコンピュータを利用して構成しており、短絡検知手段13の規定値Imaxはマイクロコンピュータ内部のROMに記憶されている。短絡検知手段13の入力はマイクロコンピュータ内部のAD変換器を使用している。本実施の形態では、鍋1が加熱されていない状態を短絡検知手段13が検出したときに、入力電流検知手段11の値が規定値Imaxより大きければ強制短絡手段14にオン信号を送る。
【0023】
強制短絡手段14は、短絡検知手段13の出力に応じて電流遮断手段6に電流を流すもので、リレーなどで構成し、短絡検知手段13よりオン信号が送られるとオンする。
【0024】
ここで、短絡検知手段13は、制御手段12が第1スイッチング手段4をオフしているとき、入力電流検知手段11の出力が所定値を超えると、第1スイッチング手段4を短絡と判定し、このとき、強制短絡手段14を導通するよう構成している。
【0025】
鍋1は、図2に示すように、炊飯器本体24の内部に着脱自在に収納し、炊飯器本体24の上部に蓋25を開閉自在に設けている。炊飯器本体24の下部に、鍋1の下部と対向する位置に鍋1を誘導加熱する第1加熱コイル2を設けている。回路基板26は、誘導加熱制御などを行うもので、この回路基板26上にスイッチング手段4を取り付け、スイッチング手段4の放熱を行う冷却用ヒートシンク27を設けている。冷却用ファン28は冷却用ヒートシンク27に風を当てて温度を低減するものである。
【0026】
上記構成において動作を説明する。鍋1内に米と水を入れ、動作を開始すると、制御手段12は、所定のシーケンスに基づいて、第1スイッチング手段4を制御し、第1加熱コイル2により鍋1を誘導加熱して炊飯工程と保温工程を実行する。
【0027】
ここで、制御手段12により第1スイッチング手段4をオフしているときに、入力電流検知手段11の出力が所定値を超えると、短絡検知手段13は第1スイッチング手段4を短絡と判定し、このとき、強制短絡手段14を導通することで、電流遮断手段6に電流遮断手段6が溶断するのに十分な大きさの短絡電流を流すことができ、電流遮断手段6をすぐに溶断できる。
【0028】
以上のように、本実施の形態においては、短絡検知手段13は、制御手段12が第1スイッチング手段4をオフしているとき、入力電流検知手段11の出力が所定値を超えると、第1スイッチング手段4を短絡と判定し、このとき、強制短絡手段14を導通するよう構成したので、強制短絡手段14により電流遮断手段6に電流遮断手段6が溶断するのに十分な大きさの短絡電流を流すことができて、電流遮断手段6をすぐに溶断でき、ショートした第1スイッチング手段4や、第1加熱コイル2に短絡電流が流れる時間を短くすることができ、第1スイッチング手段4や第1加熱コイル2の発熱を抑えることができて、安全な炊飯器を提供できる。
【0029】
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2における炊飯器の一部ブロック化した要部回路図である。
【0030】
図3に示すように、第2加熱コイル20は、鍋1を誘導加熱するもので、鍋1と磁気結合しており、複数の銅線を束ねたリッツ線をさらに20数本で撚った線で構成しており、高周波電流が流れたときの電流分布を均一にしている。
【0031】
第2共振用コンデンサ15は第2加熱コイル20に並列接続しており、第2加熱コイル20と並列共振回路を構成し、高周波電流が流れても損失の少ないポリプロピレンコンデンサを使用している。
【0032】
第2スイッチング手段16は、第2加熱コイル20への電流経路を導通遮断するもので、MOSFETやIGBTなどの半導体素子と、この半導体素子に逆接続した逆接続ダイオードで構成している。MOSFETやIGBTは耐圧が高く、高周波のスイッチングが可能で、大電流を流すことができるという利点がある。
【0033】
本実施の形態において、第2インバータ手段は第2加熱コイル20、第2共振用コンデンサ15、第2スイッチング手段16で構成している。
【0034】
第1制御手段17は、第1スイッチング手段4の導通遮断を制御するもので、マイクロコンピュータ内部のAD変換器やPWM発生器などで構成し、第1スイッチング手段4と短絡検知手段19にオンオフ信号を送るよう構成し、第2制御手段18は、第2スイッチング手段16の導通遮断を制御するもので、マイクロコンピュータ内部のAD変換器やPWM発生器などで構成し、第2スイッチング手段16と短絡検知手段19にオンオフ信号を送るよう構成している。
【0035】
短絡検知手段19は、第1スイッチング手段4または第2スイッチング手段16の短絡を検知するもので、マイクロコンピュータを利用して構成し、この短絡検知手段19の規定値Imaxはマイクロコンピュータ内部のROMに記憶されている。短絡検知手段19の入力はマイクロコンピュータ内部のAD変換器を使用している。
【0036】
ここで、短絡検知手段19は、第1制御手段17および第2制御手段18が第1スイッチング手段4および第2スイッチング手段16をそれぞれオフしているとき、入力電流検知手段11の値が所定値(たとえば、規定値Imax)より大きければ第1制御手段17に第1スイッチング手段4がオンする信号を送り、第2制御手段18にも第2スイッチング16手段がオンする信号を送って、第1スイッチング手段4、第2スイッチング手段16をともに導通するよう構成している。他の構成は上記実施の形態1と同じであり、同一符号を付して説明を省略する。
【0037】
上記構成において動作を説明する。短絡検知手段19は、第1制御手段17および第2制御手段18が第1スイッチング手段4および第2スイッチング手段16をそれぞれオフしているとき、入力電流検知手段11の出力が所定値を超えると第1スイッチング手段4または第2スイッチング手段16の短絡と判定し、第1スイッチング手段4、第2スイッチング手段16をともに導通することにより、電流遮断手段6に電流遮断手段6が溶断するのに十分な大きさの短絡電流が流れるので、電流遮断手段6をすぐに溶断できる。
【0038】
以上のように、本実施の形態においては、短絡検知手段19は、第1制御手段17および第2制御手段18が第1スイッチング手段4および第2スイッチング手段16をそれぞれオフしているとき、入力電流検知手段11の出力が所定値を超えると第1スイッチング手段4または第2スイッチング手段16の短絡と判定し、第1スイッチング手段4、第2スイッチング手段16をともに導通するよう構成したので、電流遮断手段6に電流遮断手段6が溶断するのに十分な大きさの短絡電流が流れるので、電流遮断手段6をすぐに溶断することができ、ショートした第1スイッチング手段4または第2スイッチング手段16や、第1加熱コイル2または第2加熱コイル20に短絡電流が流れる時間が短くなり、スイッチング手段や加熱コイルの発熱を抑えることができ、安全な炊飯器を提供できる。また、第1スイッチング手段4、第2スイッチング手段16を利用することにより基板の省スペース化を図ることができる。
【0039】
(実施の形態3)
図4は、本発明の実施の形態3における炊飯器の一部ブロック化した要部回路図である。
【0040】
図4に示すように、第1電圧検知手段23は、第1スイッチング手段4の両端電圧を検知するもので、マイクロコンピュータを利用して構成し、この第1電圧検知手段23の規定値Vmax1はマイクロコンピュータ内部のROMに記憶されている。第1電圧検知手段23の入力はマイクロコンピュータ内部のAD変換器を使用している。本実施の形態では、第1電圧検知手段23の値がVmax1より大きければ短絡検知手段22にスイッチング手段4が導通状態であると信号を送る。
【0041】
第2電圧検知手段21は、第2スイッチング手段16の両端電圧を検知するもので、マイクロコンピュータを利用して構成し、この第2電圧検知手段21の規定値Vmax2はマイクロコンピュータ内部のROMに記憶されている。第2電圧検知手段21の入力はマイクロコンピュータ内部のAD変換器を使用している。本実施の形態では、第2電圧検知手段21の値がVmax2より大きければ短絡検知手段22にスイッチング手段16が導通状態であると信号を送る。
【0042】
短絡検知手段22は、マイクロコンピュータを利用して構成し、この短絡検知手段22の規定値Imaxはマイクロコンピュータ内部のROMに記憶されている。短絡検知手段22の入力はマイクロコンピュータ内部のAD変換器を使用している。
【0043】
ここで、短絡検知手段22は、第1制御手段17が第1スイッチング手段4をオフしているとき、第1の電圧検知手段23の出力が所定値以下だと第2スイッチング手段16のオンを維持し、第2スイッチング手段16がオフのときに第2の電圧検知手段21が所定値以下だと第1スイッチング手段4の導通するようにしている。他の構成は上記実施の形態2と同じであり、同一符号を付して説明を省略する。
【0044】
上記構成において動作を説明する。短絡検知手段22は、第1制御手段17が第1スイッチング手段4をオフしているとき、第1の電圧検知手段23の出力が所定値以下だと第2スイッチング手段16のオンを維持し、第2スイッチング手段16がオフのときに第2の電圧検知手段21が所定値以下だと第1スイッチング手段4の導通することにより、電流遮断手段6に電流遮断手段6が溶断するのに十分な大きさの短絡電流が流れるので、電流遮断手段6をすぐに溶断できる。
【0045】
以上のように、本実施の形態においては、短絡検知手段22は、第1制御手段17が第1スイッチング手段4をオフしているとき、第1の電圧検知手段23の出力が所定値以下だと第2スイッチング手段16のオンを維持し、第2スイッチング手段16がオフのときに第2の電圧検知手段21が所定値以下だと第1スイッチング手段4の導通するにしているので、ショートした第1スイッチング手段4または第2スイッチング手段16や、第1加熱コイル2または第2加熱コイル20に短絡電流が流れる時間が短くなり、スイッチング手段や加熱コイルの発熱を抑えることができ、安全な炊飯器を提供できる。
【0046】
また、第1の電圧検知手段23および第2の電圧検知手段21により、それぞれ第1スイッチング手段4および第2スイッチング手段16のショートを検知するので、どちらのスイッチング手段がショートしたかを第1の電圧検知手段23と第2の電圧検知手段21で精度よく検知することができ、電流遮断手段6を溶断するかどうかを正確に判断することができ、安全性の高い炊飯器を提供できる。
【0047】
(実施の形態4)
図5は、本発明の実施の形態4における炊飯器の一部ブロック化した要部回路図である。
【0048】
図5に示すように、記憶手段31は、炊飯器の炊飯履歴を記憶するもので、マイクロコンピュータ内部のRAMを使用して構成し、この記憶手段31は短絡検知手段22が短絡と判定したスイッチング手段の情報を記憶するようにしている。この情報は2ビットのデジタルデータである。他の構成は上記実施の形態2または3と同じであり、同一符号を付して説明を省略する。
【0049】
上記構成において動作を説明する。記憶手段31は、短絡検知手段22が短絡と判定したスイッチング手段の情報を記憶することにより、第1スイッチング手段4と第2スイッチング手段16のいずれがショートしたかを確認することができる。
【0050】
以上のように、本実施の形態においては、記憶手段31は、短絡検知手段22が短絡と判定したスイッチング手段の情報を記憶するようにしたので、第1スイッチング手段4と第2スイッチング手段16のいずれがショートしたかを確認することができるので、修理、改善が容易な炊飯器を提供できる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
以上のように、本発明にかかる炊飯器は、電流遮断手段の溶断時間を短くできるので、ショートしたスイッチング手段や、加熱コイルに短絡電流が流れる時間が短くなり、スイッチング手段や加熱コイルの発熱を抑えることができ、安全な炊飯器を提供できるので、鍋を誘導加熱する加熱コイルへの電流経路を導通遮断するスイッチング手段を有する炊飯器として有用である。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施の形態1における炊飯器の一部ブロック化した要部回路図
【図2】同炊飯器の断面図
【図3】本発明の実施の形態2における炊飯器の一部ブロック化した要部回路図
【図4】本発明の実施の形態3における炊飯器の一部ブロック化した要部回路図
【図5】本発明の実施の形態4における炊飯器の一部ブロック化した要部回路図
【符号の説明】
【0053】
1 鍋
2 第1加熱コイル
4 第1スイッチング手段
5 交流電源
6 電流遮断手段
7 整流手段
11 入力電流検知手段
12 制御手段
13 短絡検知手段
14 強制短絡手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鍋を誘導加熱する第1加熱コイルと、前記第1加熱コイルへの電流経路を導通遮断する第1スイッチング手段と、前記第1スイッチング手段をオンオフする制御手段と、交流電源を整流する整流手段と、前記交流電源から供給される入力電流を検知する入力電流検知手段と、前記交流電源からの入力電流が所定値を超えると前記交流電源からの電流経路を遮断する電流遮断手段と、前記第1スイッチング手段の短絡を検知する短絡検知手段と、前記短絡検知手段の出力に応じて前記電流遮断手段に電流を流す強制短絡手段とを備え、前記短絡検知手段は、前記制御手段が前記第1スイッチング手段をオフしているとき、前記入力電流検知手段の出力が所定値を超えると、前記第1スイッチング手段を短絡と判定し、前記強制短絡手段は前記短絡検知手段が第1スイッチング手段の短絡を検知したとき、導通するよう構成した炊飯器。
【請求項2】
鍋を誘導加熱する第1加熱コイルと、前記第1加熱コイルへの電流経路を導通遮断する第1スイッチング手段と、前記鍋を誘導過熱する第2加熱コイルと、前記第2加熱コイルへの電流経路を導通遮断する第2スイッチング手段と、前記第1スイッチング手段および前記第2スイッチング手段の導通遮断を制御する制御手段と、交流電源を整流する整流手段と、前記交流手段から供給される入力電流を検知する入力電流検知手段と、前記交流電源からの入力電流が所定値を超えると前記交流電源からの電流経路を遮断する電流遮断手段と、前記第1スイッチング手段または前記第2スイッチング手段の短絡を検知する短絡検知手段とを備え、前記短絡検知手段は、前記制御手段が前記第1スイッチング手段および前記第2スイッチング手段をオフしているとき、前記入力電流検知手段の出力が所定値を超えると前記第1スイッチング手段または前記第2スイッチング手段の短絡と判定し、前記第1スイッチング手段、前記第2スイッチング手段をともに導通するよう構成した炊飯器。
【請求項3】
第1スイッチング手段の両端電圧を検知する第1の電圧検知手段と、第2スイッチング手段の両端電圧を検知する第2の電圧検知手段とを備え、短絡検知手段は、制御手段が第1スイッチング手段をオフしているとき、前記第1の電圧検知手段の出力が所定値以下だと前記第2スイッチング手段のオンを維持し、前記第2スイッチング手段がオフのときに第2の電圧検知手段が所定値以下だと前記第1スイッチング手段の導通するようにした請求項2記載の炊飯器。
【請求項4】
炊飯器の炊飯履歴を記憶する記憶手段を備え、前記記憶手段は、短絡検知手段が短絡と判定したスイッチング手段の情報を記憶するようにした請求項3記載の炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−136372(P2006−136372A)
【公開日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−326195(P2004−326195)
【出願日】平成16年11月10日(2004.11.10)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】